研磨装置、および円盤状基板の製造方法
【課題】研磨作業域への研磨液の供給を促進し、積層ワークの積層方向において均一に研磨することのできる研磨装置および円盤状基板の製造方法を提供する。
【解決手段】研磨機構は、回転テーブルに支持した積層ワーク140の中心孔141に、研磨ブラシ150を挿入し、スラリ供給ノズル123からスラリを積層ワーク140の上面に供給し、積層ワーク140を回転させ、研磨ブラシ150を回転させつつその軸方向(上下方向)に所定のストロークで往復移動させて、中心孔141の内周面(円盤状基板10の内周面)を研磨する。積層ワーク140は、円盤状基板10が多数積層されると共に所定枚数毎に外周面から中心孔141にスラリを供給するスラリ導入スペーサ160が介装されてホルダ200に支持され、さらに、その円盤状基板10の積層部位を覆うようにカバー300が装着されている。研磨作業時には、カバー300の内側を流れるスラリがスラリ導入スペーサ160を介して中心孔141に供給される。
【解決手段】研磨機構は、回転テーブルに支持した積層ワーク140の中心孔141に、研磨ブラシ150を挿入し、スラリ供給ノズル123からスラリを積層ワーク140の上面に供給し、積層ワーク140を回転させ、研磨ブラシ150を回転させつつその軸方向(上下方向)に所定のストロークで往復移動させて、中心孔141の内周面(円盤状基板10の内周面)を研磨する。積層ワーク140は、円盤状基板10が多数積層されると共に所定枚数毎に外周面から中心孔141にスラリを供給するスラリ導入スペーサ160が介装されてホルダ200に支持され、さらに、その円盤状基板10の積層部位を覆うようにカバー300が装着されている。研磨作業時には、カバー300の内側を流れるスラリがスラリ導入スペーサ160を介して中心孔141に供給される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば磁気記録媒体用ガラス基板などの円盤状基板の内周を研磨する研磨装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
記録メディアとしての需要の高まりを受け、近年、円盤状基板であるディスク基板の製造が活発化している。このディスク基板の一つである磁気ディスク基板としては、アルミ基板とガラス基板とが広く用いられている。アルミ基板は加工性も高く安価である点に特長があり、一方のガラス基板は強度、表面の平滑性、平坦性に優れている点に特長がある。特に最近ではディスク基板の小型化と高密度化の要求が著しく高くなり、基板の表面の粗さが小さく高密度化を図ることが可能なガラス基板の注目度が高まっている。
【0003】
このような磁気ディスク基板の製造装置に関する公報記載の従来技術として、中心孔を有するガラスディスクの内周面を研磨する技術が存在する(例えば、特許文献1、2参照。)。
この特許文献1では、ガラスディスクを積層した積層ガラスディスクを中心軸回りに回転可能にセッティングし、軸回りに無数のブラシ毛を持つ軸付研磨ブラシを積層ガラスディスクの中心孔に挿入する。そして、この軸付研磨ブラシを、往復移動させつつ積層ガラスディスクの回転方向とは逆方向に回転させて、積層ガラスディスクの内周面を研磨している。
また、特許文献2では、浮遊砥粒を含有した研磨液にガラス基板を浸漬することで、液切れによる研磨不足や研磨不良を来すことのない研磨方法が提案されている。また、この特許文献2では、回転軸上に螺旋状に植毛されたブラシ毛を回転させて研磨することで、被研磨面に常に新鮮な研磨液を循環供給し、研磨効率、再現性および精度を高める技術が開示されている。
【0004】
図13に、従来の円盤状基板の内周面を研磨する方法の一例を示す。
図13に示す研磨方法では、円盤状基板10を中心軸方向に多数積層して構成された積層ワーク501が、図示しない回転テーブルに軸方向を縦にして装着されている。積層ワーク501の中心孔501Aには、図示しない回転駆動軸に上端で連結された軸状の研磨ブラシ502が挿入配置されている。また、積層ワーク501の上側には、砥粒を含む研磨液を供給するノズル503が配置されている。
そして、ノズル503から積層ワーク501の上面に研磨液を供給しつつ、積層ワーク501を回転させ、また、研磨ブラシ502を回転させつつその軸方向に往復移動させて、積層ワーク501の中心孔501Aの内周面(すなわち円盤状基板10の内周面)を研磨する。
研磨ブラシ502は、軸芯の周囲にブラシ列が所定の間隔(ブラシ隙間)を有して所定のピッチで螺旋状に設けられている。これにより、ブラシ隙間もブラシ列と同じピッチで螺旋状に形成されている。
【0005】
この図13に示すような研磨方法において、積層ワーク501の上面に供給された研磨液は、研磨作業中、図13中に矢印で示すように流れて研磨作業域(研磨ブラシ502と積層ワーク501の内周面との間)に供給される。すなわち、研磨液は、積層ワーク501の中心孔501Aに流入し、研磨ブラシ502のブラシ隙間を通って研磨作業面に達する。そして、この研磨液は、研磨ブラシ502の回転によるブラシ隙間の螺旋の作用によって下部に向かって移動して行く。そして、最終的には積層ワーク501の中心孔501Aの下端から下側に排出される。
【0006】
【特許文献1】特開平11−33886号公報
【特許文献2】特開平11−221742号公報
【0007】
しかしながら、上記のごとき従来の内周面の研磨方法では、研磨作業域である積層ワークの上下方向において、均一かつ充分に研磨液を供給することが難しく、そのために積層ワークの上下方向において研磨が不均一となるという問題があった。
【0008】
すなわち、上述したように、研磨作業中、積層ワークの上面に供給された研磨液は、この上面から狭いブラシ隙間を通って研磨作業域に達し、研磨作業を行いつつ徐々に下方に移動する。このために、研磨作業域に供給される研磨液の量が限定されるとともに、研磨液の供給箇所が上面だけであることから、研磨に用いられる研磨液の量が積層箇所によって大きく異なってしまう。その結果、積層ワークにおける積層箇所によって内周研磨の研磨状態が異なり、積層ワークを構成する個々の円盤状基板に対してバラツキの少ない、かつ精度の高い内周研磨を行うことが難しかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、研磨作業域への研磨液の供給を促進し、積層ワークの積層方向において均一に研磨することのできる研磨装置および円盤状基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、中心部に開孔を有する円盤状基板の内周面を研磨する研磨装置であって、円盤状基板を複数枚積層させた積層ワークをセッティングするセッティング手段と、積層ワークの円盤状基板の開孔に挿入されて回転するブラシと、積層ワークを覆うカバー部材と、カバー部材により覆われた積層ワークの円盤状基板の開孔に対して研磨液を流入する研磨液流入手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、セッティング手段は、装着された円盤状基板間に、中心に開孔とこの開孔と外周部とを連通させる連通部を備えた導入スペーサを挟んで積層ワークをセッティングし、研磨液流入手段は、連通部を介して積層ワークの開孔に対して研磨液を流入させることを特徴とすれば、例えば積層ワークに挿入されるブラシの軸方向を鉛直方向とした場合に、その積層ワークの下方や中間部分などに配置される円盤状基板に対しても良好な内周研磨が実現できる点で好ましい。
【0012】
また、カバー部材は、研磨液を積層ワークの外周面に沿って導入スペーサまで導くように形成されてなることを特徴とすれば、積層ワークの外周面から円盤状基板の内孔に、効率良く研磨液を供給することが可能となる。
さらに、カバー部材は、積層ワークの外周面との間に所定の空隙をもって積層ワークを覆うことを特徴とすることができる。
また、カバー部材は、下端近傍に研磨液の排出孔を備えることを特徴とすることができる。
【0013】
他の観点から捉えると、本発明は、中心部に開孔を有する円盤状基板の内周面を研磨して円盤状基板を製造する円盤状基板の製造方法であって、研磨の対象となる円盤状基板を複数枚積層した積層ワークを保持する保持工程と、保持工程により保持された積層ワークの外周面をカバー部材で覆う工程と、カバー部材で覆われ保持工程により保持された積層ワークの円盤状基板の開孔にブラシを挿入してブラシを回転し、開孔に研磨液を流入させて研磨する研磨工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
ここで、保持工程は、装着された円盤状基板間に、中心に開孔とこの開孔の外周部とを連通させる連通部とを備えた導入スペーサを挟み、研磨工程は、カバー部材を用いて、導入スペーサの連通部を介して円盤状基板の開孔に研磨液を流入させることを特徴とすることができる。
また、保持工程は、円盤状基板を積層保持する基板ホルダに円盤状基板を装着する工程を、さらに有し、円盤状基板を積層保持した基板ホルダを保持することを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように構成された本発明によれば、これらの構成を採用しない場合に比べて、研磨作業域へ研磨液をより均一に供給することが可能となり、積層ワークの積層方向における研磨の不均等を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
はじめに、図1−1および図1−2に基づいて本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)10の製造工程を説明する。
この製造工程は、まず図1−1(a)に示す1次ラップ工程にて、円盤状基板(ワーク)10の原材料を定盤21に載置し、円盤状基板10の平面11を削る。このとき、円盤状基板10を載置した定盤21の表面には、例えばダイヤモンドの砥粒が散りばめられる。次に、図1−1(b)に示す内外周研削工程にて、円盤状基板10の中心に設けられた開孔(hole)12を内周砥石22によって研削し、円盤状基板10の外周13を外周砥石23によって研削する。このとき、内周砥石22と外周砥石23で円盤状基板10の内周面と外周面を挟み込んで同時加工することで、内径と外径の同軸度を確保し易くすることができる。そして、図1−1(c)に示す外周研磨工程では、外周研磨用ブラシ24を用いて円盤状基板10の外周13が研磨される。その後、図1−1(d)に示す2次ラップ工程にて、円盤状基板10を定盤21に載置し、円盤状基板10の平面11を更に削る。
【0017】
次いで、図1−2(e)に示す内周研磨工程にて、円盤状基板10の中心の開孔12に研磨ブラシ150を挿入し、円盤状基板10の開孔12を研磨する。その後、図1−2(f)に示す1次ポリッシュ工程にて、円盤状基板10を定盤21に載置し、円盤状基板10の平面11を磨く。このときの研磨には、例えば不織布(研磨布)として硬質ポリッシャが用いられる。更に、図1−2(g)に示す2次ポリッシュ工程にて、軟質ポリッシャを用いた平面研磨が行われる。その後、図1−2(h)に示す最終洗浄・検査工程にて洗浄と検査が行われて、円盤状基板(ディスク基板)10が製造される。
【0018】
つぎに、上述の内周研磨工程にて用いられる研磨装置について説明する。
図2は研磨装置100の外観を示す斜視図であり、図3は研磨機構110の縦断面(一部)を示した図である。尚、図2は研磨機構110の研磨ヘッド120が上方に位置する研磨作業前の準備状態を示し、図3は研磨ヘッド120が下降した作業中の状態を示している。このために、図2および図3における研磨ヘッド120の位置は一致していない。
図2および図3に示す研磨装置100は、研磨対象部材である円盤状基板10が複数枚積層されて成る積層ワーク140(後に詳述する)が取り付けられ、この積層ワーク140に対して研磨作業を行うものである。
研磨装置100は、ベースフレーム101に、左右一対の研磨機構110L,110Rを並列に備えている。これにより、二組の積層ワーク140に対して同時に研磨作業を行うことができるようになっている。尚、左右の研磨機構110L,110Rは同様な構成となっており、以下、研磨機構110として説明する。
【0019】
ベースフレーム101には、浮遊砥粒を含有した研磨液であるスラリを収容するスラリタンク102が配設されている。また、図示しないが、スラリタンク102に収容されたスラリを循環駆動するポンプや、研磨装置の制御装置等が設けられている。
研磨機構110は、ベースフレーム101に立設されたコラム111に鉛直方向に移動可能に支持された研磨ヘッド120と、その下側に配設された回転テーブル130とを備えている。
【0020】
研磨ヘッド120は、後述する研磨ブラシ150の一端部を把持して、この研磨ブラシ150を鉛直に支持するチャック121を備えている。このチャック121は、図示しないモータ等の駆動手段によって回転駆動されるようになっている。
チャック121の周囲には、下側に開放する円筒状のカバー122が、チャック121を覆い更に所定の高さまで垂下して設けられている。そしてカバー122の内側に、チャック121に隣接してスラリ供給ノズル123が設けられている。このスラリ供給ノズル123は、回転テーブル130に装着された積層ワーク140の上面に向かって開口している。
研磨ヘッド120は、コラム111に沿って鉛直に所定のストロークで昇降移動可能に設けられており、図示しない昇降駆動手段によって昇降駆動されるようになっている。
【0021】
回転テーブル130は、所定の径からなる円盤状部材で形成され、その上面に積層ワーク140を取り付けることができるように構成されている。この回転テーブル130は、研磨ヘッド120の下側に配設されており、図示しないモータ等の駆動手段によって所定の回転数で回転駆動されるようになっている。その中央には、所定径の開口131が形成され、その内部に回転テーブル130とは独立して支持軸受け132が設けられている。この支持軸受け132は、研磨ブラシ150の先端を回転可能に支持するものである。
また、この回転テーブル130の周囲および下側を覆うように、上方に開口する有底円筒状のスラリ受け133が設けられている。更に、スラリ受け133の上側に、上下に開口する円筒状のカバー134が設けられている。このカバー134の正面側には、扉135が開閉可能に設けられている。
【0022】
研磨ヘッド120に設けられたスラリ供給ノズル123と、回転テーブル130に設けられたスラリ受け133とは、それぞれベースフレーム101に設けられたスラリタンク102と図示しない配管によって接続されている。そして、スラリタンク102の内部に収容したスラリをスラリ供給ノズル123に供給し、スラリ受け133が受けたスラリをスラリタンク102に回収するようになっている。つまり、スラリはスラリタンク102からスラリ供給ノズル123へ、スラリ受け133からスラリタンク102へと循環するようになっている。
【0023】
このような研磨機構110は、図3に示すように、回転テーブル130の上面に積層ワーク140を支持し、研磨ヘッド120のチャック121に研磨ブラシ150の上端を支持する。そして、研磨ヘッド120の下降によって研磨ブラシ150を積層ワーク140の中心孔141に挿入し、研磨ブラシ150の下端を支持軸受け132に支持させた状態とする。この状態で、スラリ供給ノズル123からスラリを吐出して積層ワーク140の上面に供給し、回転テーブル130(積層ワーク140)を回転させると共に、研磨ブラシ150を回転させつつその軸方向(上下方向)に所定のストロークで往復移動させる。これによって、積層ワーク140の中心孔141の内周面(円盤状基板10の内周面)を研磨するものである。本実施の形態では、積層ワーク140(回転テーブル130)の回転方向は上側から見て反時計回り、研磨ブラシ150の回転方向はこれとは逆の上側から見て時計回りに設定される。
【0024】
図4は、この研磨機構110にて用いられる研磨ブラシ150を示す斜視図である。また、図5は研磨ブラシ150の軸方向の一部を拡大した断面図である。
研磨ブラシ150は、図4に示すように、ステンレス合金鋼等によって形成され所定の直径からなる軸芯151の周囲に、ブラシ基材としてのブラシ列152が所定のピッチで螺旋状に設けられている。ブラシ列152の間には所定の間隔(ブラシ隙間153)が設定されており、このブラシ隙間153もブラシ列152と同じく螺旋状に軸方向に連続している。尚、ブラシ列152(ブラシ隙間153)の螺旋方向は、いわゆる左巻き(反時計回りで遠ざかる方向)となっており、時計回りの回転でブラシ隙間153内のスラリを上側から下側に向けて(基端側から先端側に向けて)駆動し得るようになっている。
【0025】
研磨ブラシ150の毛先までの寸法を含む外径は、例えば、円盤状基板10の内径12mmに対して直径13mmとする。
軸芯151は、ブラシ領域より両端側にそれぞれ所定量突出しており、一方はチャック121による被把持部151A、他方は支持軸受け132に支持される先細りの被支持部151Bとなっている。
【0026】
このような研磨ブラシ150は、軸芯151の周囲にブラシ列152を所定のピッチで螺旋状に巻き付けて固定した後、ブラシ列152の毛先を所定外径にカットして形成される。
ブラシ列152は、図5に示すように、所定長さのブラシ毛材154を、芯金155を巻くようにその中央部分で二つ折りにし、その芯金155を巻回する屈曲部分を外側から基部金具156でカシメる。これによって、ブラシ列152のブラシ毛材154は芯金155に一体に固定され、図5に示すように軸芯151に対して列状に形成されている。このブラシ毛材154は、例えば、ナイロン等によって、径0.1mmに形成される。
基部金具156は、図5中に示すように、軸芯151の周囲にて、軸方向に互いに当接させながら螺旋状に巻き付けることで、ブラシ列152の間隔(ピッチ)およびブラシ隙間153が一定となるように形成されている。つまり、基部金具156の幅は、ブラシ毛材154を芯金155に固定する機能において必要な最小限の幅より大きく、ブラシ列152のピッチを規定する寸法にて設定されている。
【0027】
つぎに、この積層ワーク140について説明する。
図6は積層ワーク140の全体斜視図、図7は円盤状基板10の積層過程を示す斜視図、図8は円盤状基板10の積層途中に介装されるスラリ導入スペーサ160を示す図である。また、図9はカバー300と、積層ワーク140へのカバー300の装着を説明する図である。更に、図10は研磨作業状態の断面図である。
図6に示す積層ワーク140は、図7に示すようにして円盤状基板10を多数(例えば150枚)積層した状態で、ホルダ200に支持されている。
【0028】
ホルダ200は、上下の支持円盤(上部支持円盤210,下部支持円盤220)が、周方向に複数本(例えば4本)配置された連結バー230によって所定の間隔で連結されて構成されている。そして、この上部支持円盤210、下部支持円盤220および連結バー230によって形成される空間(内部)に、積層された円盤状基板10が収容され、この積層された円盤状基板10が、上部支持円盤210の上側に締着される固定円盤240によって、ホルダ200に固定される。このホルダ200は、ステンレス合金鋼等によって形成されている。
【0029】
上側の上部支持円盤210は、所定厚さの円盤状で、その中央に、積層された円盤状基板10を内部に装着するための開孔211が形成されている。
下側の下部支持円盤220は、所定厚さの円盤部221の下面側に、大径の装着フランジ222を備えている。その中央には、スラリの流通および研磨ブラシ150を挿通するための開孔223が形成されている。円盤部221の直径は、上部支持円盤210の直径より所定量大きく設定されている。
固定円盤240は、上部支持円盤210とほぼ同径で所定厚さからなる円盤状部材であり、その中央に、後述する上部押さえ233と嵌合する嵌合孔241が形成されている。そして、上部支持円盤210の上面にて、中心を一致させてボルトによって固定されるようになっている。
【0030】
このようなホルダ200には、図7に示すように積層治具としてのセンタリングシャフト232を用いて積層された円盤状基板10が装着される。
すなわち、センタリングシャフト232に、下部押さえ231を挿入して取り付け、ついで円盤状基板10を順次嵌合することで、その中心の開孔12を基準として位置決めされた状態で円盤状基板10を積層する。そして最後に上部押さえ233をセンタリングシャフト232に挿入して取り付ける。これにより、センタリングシャフト232に嵌合して積層された円盤状基板10が、下部押さえ231と上部押さえ233との間に挟まれた状態となる。
【0031】
下部押さえ231は、外径が円盤状基板10の外径と略等しいかそれより大きい所定厚さの円盤状の部材である。その内径は、円盤状基板10の内径より大きく設定されている。
上部押さえ233は、円盤状基板10と外径が略等しい本体部233Aの上側に、小径部233Bが形成されて二段の外形に形成されている。その中央には、スラリの流通および研磨ブラシ150を挿通するための開孔233Cが形成されている。
これら上部押さえ233および下部押さえ231は、例えば、ポリアセタール等の樹脂により形成されている。
センタリングシャフト232は、下端に下部支持円盤220の開孔223(図10参照)に嵌合する大径部232Aと、その上側に下部押さえ231の内径に嵌合する中径部(図示せず)を有している。そのさらに上側に、円盤状基板10が嵌合する位置決め軸部232Bが立設されているものである。
【0032】
上記のごとくセンタリングシャフト232に嵌合して積層された円盤状基板10は、ホルダ200の内部に、図6の上側から上部支持円盤210の開孔211(図10参照)を介して挿置される。そして、上部支持円盤210の上側に締着された固定円盤240によって、下部支持円盤220に押圧されて、積層された円盤状基板10が固定される。このとき、上部押さえ233の小径部233Bに固定円盤240の嵌合孔241が嵌合する。
センタリングシャフト232は、積層された円盤状基板10が固定された後、図6の下側から抜き取られる。
これにより、積層された円盤状基板10の開孔12によって中心孔141(図6、図10参照)が形成される。この中心孔141の上端は、上部に開放する上部押さえ233の開孔233Cに繋がり、中心孔141の下端は下部押さえ231の内径部および下部支持円盤220の開孔223に繋がっている。
【0033】
ここで、ホルダ200内に積層された円盤状基板10の間には、所定枚数毎に研磨液流入手段としてのスラリ導入スペーサ160が設けられる。これは、前述のセンタリングシャフト232に円盤状基板10を順次嵌合する際に、所定枚数毎にスラリ導入スペーサ160を挟み込ませることで設置される。本実施の形態では、全積層厚さを三等分するように2個のスラリ導入スペーサ160が介装されている。例えば円盤状基板10を150枚積層する場合では、例えば50枚毎に1個のスラリ導入スペーサ160が介装される。
【0034】
スラリ導入スペーサ160は、図8(a)に斜視図,図8(b)にその断面図を示すように、所定の厚さで外径が円盤状基板10と略等しい円盤状に、例えばポリアセタール等の樹脂によって形成されている。中央には円盤状基板10の内径より大きい開孔161が形成されており、また、外周面には所定深さの溝162が形成されている。更に、その溝162の底(外周面)と開孔161の内周面とを連通して所定径の貫通供給孔163が、周方向に等角度間隔で複数個(例えば8個(45度間隔)、形成されている。
【0035】
ここで、本実施の形態では、上記のごとく多数の円盤状基板10が積層されてホルダ200に収容されてなる積層ワーク140に、その円盤状基板10が積層された部位を覆うようにカバー300が装着されて研磨作業に供される。
このカバー300は、例えば、薄いシート状の樹脂フィルム等によって上下端が開放する円筒状(直管状)に形成されている。これは、当初から円筒状に形成されている場合の他に、例えば矩形の樹脂フィルムシートを取り付け時に丸めて両端を接合して形成することもできる。そして、その内径は、ホルダ200の下部支持円盤220の円盤部221に隙間なく嵌合し得るように設定される。カバー300の高さは、ホルダ200の下部支持円盤220の装着フランジ222の上面から、上部支持円盤210の上面までの高さより所定量高くなるように設定されている。また、カバー300の下縁近傍には、所定径の排出孔301が周方向に所定間隔で複数個、開孔形成されている。
【0036】
上記のごとく形成されたカバー300は、図9に示すように、積層ワーク140にその上側から被せるようにして外挿され、下端をホルダ200の下部支持円盤220の円盤部221に嵌合させて装着される。
そして、積層ワーク140にカバー300が装着された状態では、カバー300の上端縁は積層ワーク140の上面より所定量高くなる。また、カバー300の内周と上部支持円盤210の側周面との間に、所定の幅の流通間隙142が形成される。これは、上部支持円盤210の直径より下部支持円盤220の円盤部221の直径が大きく形成され、カバー300は下部支持円盤220の円盤部221に嵌合する直径の直管状に形成されていることによる。尚、上部支持円盤210と下部支持円盤220の円盤部221とが同一直径に形成されたホルダ200では、カバー300を上部が広がるテーパ状として流通間隙142が形成されるようにする。
更に、カバー300の下部に形成された排出孔301は、カバー300の装着状態で下部支持円盤220の円盤部221の上面より上側に位置する。
これにより、カバー300は、その下端である下部開口部がホルダ200の下部支持円盤220によって塞がれて、積層ワーク140の周囲を覆い(積層ワーク140を内部に収容し)、上方に開口する円筒容器状を成す。
【0037】
そして、上記のごとくカバー300が装着された積層ワーク140は、ホルダ200の下部支持円盤220の装着フランジ222が、研磨機構110の回転テーブル130にボルトによって締着されることで、回転テーブル130に装着される。ここまでの、ホルダ200に円盤状基板10を積層して支持させて、回転テーブル130に装着する構成が、本実施の形態における本発明のセッティング手段である。尚、カバー300の装着工程はこれに限るものではなく、積層ワーク140を回転テーブル130に装着した後、積層ワーク140にカバー300を被せる工程としても良い。
【0038】
つぎに、研磨作業中の積層ワーク140の断面図である図10を参照して、研磨作業および研磨作業中におけるスラリの流れについて説明する。
研磨作業は、前述のごとく、スラリ供給ノズル123からスラリを吐出して積層ワーク140の上面に供給し、回転テーブル130を回転させると共に、研磨ブラシ150を回転させつつその軸方向(上下方向)に所定のストロークで往復移動させて行う。
積層ワーク140の上面に供給されたスラリは、図10中に矢印で示すように、ホルダ200の上部に開放する上部押さえ233の開孔233Cから積層ワーク140の中心孔141に流入すると共に、流通間隙142を通って積層ワーク140の外周とカバー300との間に流入する。これらに流入し得なかった余剰のスラリは、カバー300の上縁から外側に溢れ、外周面を伝って流下する。
【0039】
積層ワーク140の中心孔141に流入したスラリは、螺旋状に形成された研磨ブラシ150のブラシ毛材154(図5参照)と、この研磨ブラシ150の回転、更にスラリの自重などによって下方に送られ、下部支持円盤220の開孔223から流れ出る。また、流通間隙142を通って積層ワーク140の外周とカバー300との間に流入したスラリは、積層ワーク140の外面を伝って流下し、その一部がカバー300の下部の排出孔301から流出する。
このように積層ワーク140の外面を伝わらせてスラリを流し、この外面からも中心孔141にスラリを供給している。これにより、研磨ブラシ150による研磨作業域(中心孔141の内周面)には、上部支持円盤210の開孔211から流入したスラリばかりでなく、外周側からもスラリが供給されることとなる。
【0040】
すなわち、研磨ブラシ150と積層ワーク140との相対移動に起因する圧力変化によって、図10中の矢印Xで示すように、積層ワーク140の外周側に存在するスラリが、スラリ導入スペーサ160の貫通供給孔163を介して研磨作業域に供給される。
これにより、積層ワーク140の上端からだけではなく、積層ワーク140の途中から(例えば50枚ごとに)下部の研磨作業域にも新鮮なスラリが供給されることとなる。このため、積層ワーク140の中心孔141の内周面(円盤状基板10の内周面)を、その上下方向においてより均等に研磨することができる。また、研磨作業域に多くのスラリが供給されるため、研磨作業効率が向上し、研磨作業時間を短縮することができる。
【0041】
ここで、このスラリ導入スペーサ160の貫通供給孔163を介した研磨作業域へのスラリの供給は、貫通供給孔163の外側にスラリが存在すれば足りる。従って、本実施の形態では、2個のスラリ導入スペーサ160が存在する位置まで、スラリが積層ワーク140の外周面を伝って流下していればよい。つまり、カバー300全体にスラリが充満してその中に積層ワーク140が完全に浸漬していることを要さない。
積層ワーク140の外周とカバー300との間にスラリを流入させる流通間隙142の間隔と、カバー300の下縁近傍に形成される排出孔301の径および数は、このような作用によってスラリが良好に供給されるように設定される。
【0042】
つぎに、上述した研磨装置100にて実行される内周研磨工程について、更に詳細に説明する。
図11は、内周研磨工程の流れを示すフローチャートである。
内周研磨工程では、まず、円盤状基板10を取り付け治具(センタリングシャフト232)に嵌合して順次積層する(ステップ101)。
ここで、円盤状基板10の所定枚数(例えば50枚)毎に、スラリ導入スペーサ160を介装し(ステップ102)、円盤状基板10の所定枚数(例えば150枚)の積層を完了する(ステップ103)。
【0043】
つぎに、取り付け治具に重ねられ積層された円盤状基板10をホルダ200にセットして積層ワーク140を形成する(ステップ104)。
ついで、その積層ワーク140にカバー300を装着する(ステップ105)。
そして、カバー300が装着された積層ワーク140を、研磨装置100の回転テーブル130に装着する(ステップ106)。
以上の工程で、研磨装置100への積層ワーク140の取り付けが終了する。
【0044】
尚、前述したように、積層ワーク140にカバー300を装着するステップ(S105)は、積層ワーク140を研磨装置100の回転テーブル130に装着するステップ(S106)の後としても良い。また、研磨装置100の研磨ヘッド120への研磨ブラシ150の装着(チャック121による研磨ブラシ150の把持)は、上記工程の前後に適宜設定する。
【0045】
ついで、ポンプを駆動してスラリ供給ノズル123からスラリを積層ワーク140の上面に吐出させる(ステップ107)。そして、積層ワーク140の中心孔141およびカバー300の内部(積層ワーク140の外周面)にスラリが流下する状態で、研磨機構110の研磨ヘッド120を下降させて、その研磨ヘッド120によって支持される研磨ブラシ150を積層ワーク140の中心孔141に挿入する(ステップ108)。
【0046】
この状態にて、スラリを供給しながら、研磨ブラシ150を所定方向(第1の方向)に回転させ、積層ワーク140(回転テーブル130)を研磨ブラシ150とは逆方向(第2の方向)に回転させて研磨を行う(ステップ109)。またこのとき、図10の白矢印に示すように、研磨ブラシ150を積層ワーク140の軸方向(上下方向)に往復移動させる(ステップ110)。このように往復移動させることによって、積層ワーク140に接触する研磨ブラシ150の位置を変化させ、研磨ブラシ150の同一位置によって積層ワーク140の同一の箇所を研磨することによる研磨の偏りを防止し、より均一化された研磨が可能となる。この研磨作業を予め定められた研磨時間行い(ステップ111)、研磨時間が経過すると、研磨装置を停止させる(ステップ112)。
その後、積層ワーク140を回転テーブル130から取り外し(ステップ113)、更に、ホルダ200から円盤状基板10を装着時とは逆の工程で取り外す(ステップ114)。
【0047】
つぎに、本実施の形態の構成(以下本願構成と称す)と、従来構成である比較例とを比較実験した結果を説明する。
実験は、下記のごとき条件で研磨作業を行い、その後、円盤状基板10の全数または所定数をサンプリングして内周の直径を計測した。
本願構成では、円盤状基板10を150枚積層し、50枚ごとにスラリ導入スペーサ160を介装した。すなわち、スラリ導入スペーサ160は2個用いた。
図12は、その実験結果を示し、(a)は本願構成によって研磨したもの、(b)は比較例によって研磨したものである。横軸は積層した円盤状基板10の位置(上部〜下部)を示し、縦軸は被研磨面の内径(円盤状基板10の内径)を示している。本願構成についてはa−1〜a−9の合計9回の試験を実施し、比較例についてはb−1〜b−3の合計3回の試験を実施した。
【0048】
実験条件(共通)は、下記の通りである。
○円盤状基板(1.89インチガラス磁気ディスク)
材料:結晶化ガラス
外径:48mm
内径:12mm
厚さ:0.7mm
○ワーク積層体
積層した円盤状基板の数:150枚
測定サンプル数:55(抜き取り)〜150(全数)
回転数:55rpm
○使用研磨ブラシ
外径:φ13
材質:66ナイロン
線径:0.90mm
回転数:1500rpm
揺動速度:240mm/分
○研磨ブラシ切り込み量
0.5mm
この研磨ブラシ切り込み量とは、研磨ブラシ150の中心をワーク積層体140の中心に対してズラした(切り込んだ)量である。
○スラリ(研磨液)
比重:1.2
○加工時間
14〜28分(所定の研磨量を基準に設定)
【0049】
実験の結果、(b)に示す比較例(従来構成)では、円盤状基板10の配置位置で(上部と下部とで)、内径に略5/1000mmの差が生じた。これに対して、本実施の形態を適用した構成では、上部と下部との内径差を略2.5/1000mm以下に抑えることができた。また、所定の研磨量の加工に要する時間も、比較例が平均で25.3分であったのに対して、本実施の形態では19.2分と約75%に短縮することができた。これにより、本構成の有効性が確認できた。
尚、本願構成であっても、下部の円盤状基板10の内径が小さくなる傾向がある。これは、スラリ導入スペーサ160の介装位置を下側に偏在させ、また、設ける数を増やし、下部へのスラリの供給を促進させること等で改善することが可能である。
【0050】
以上、詳述したように、本実施の形態によれば、積層ワーク140を覆うカバー300によって、積層ワーク140の積層途中(スラリ導入スペーサ160)から中心孔141にスラリを供給することができる。
ここで、一般に、限られた量の研磨液で研磨作業を行う場合には、下部に行くほど研磨液に含まれる砥粒が摩滅して研磨機能が低下する。その結果、積層ワーク140の上部と下部とでは研磨の進捗が異なることとなり、積層ワーク140の中心孔141が下側に向かって先細りのテーパ状を呈する。つまり、上部では研磨の進行が速く大径化する一方、下部では研磨の進行が遅く相対的に小径の状態に留まる。このため、上部に位置した円盤状基板10と下部に位置した円盤状基板10とで等しい研磨仕上げ精度が得られず、精度にバラツキを生じてしまう。
しかしながら、本実施の形態によれば、従来ではスラリが供給され難かった下部の研磨作業域にも新鮮なスラリが供給されることとなり、積層ワーク140の中心孔141の内周面(円盤状基板10の内周面)の研磨を、積層ワーク140の上下方向において均等に行うことができる。また、研磨作業域にスラリを潤沢に供給することができるために研磨作業効率が向上し、研磨作業時間を短縮することができる。
なお、本願発明は上記実施の形態に示す構成に限定されるものではなく、適宜変更可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1−1】(a)〜(d)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。
【図1−2】(e)〜(h)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。
【図2】研磨装置の外観斜視図である。
【図3】研磨機構の縦断面図である。
【図4】研磨機構が用いる研磨ブラシを示す斜視図である。
【図5】研磨ブラシの軸方向拡大断面図である。
【図6】積層ワークの全体斜視図である。
【図7】円盤状基板の積層過程を示す斜視図である。
【図8】スラリ導入スペーサを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図9】積層ワークへのカバーの装着を説明する図である。
【図10】研磨作業中の積層ワークの断面図である。
【図11】内周研磨工程の流れを示すフローチャートである。
【図12】本願構成と比較例とを比較実験した結果を説明する図である。
【図13】従来から行われていた円盤状基板の内周研磨方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
10…円盤状基板、12…開孔、100…研磨装置、123…スラリ供給ノズル、140…積層ワーク、150…研磨ブラシ、160…スラリ導入スペーサ(研磨液流入手段)、163…貫通供給孔、200…ホルダ、300…カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば磁気記録媒体用ガラス基板などの円盤状基板の内周を研磨する研磨装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
記録メディアとしての需要の高まりを受け、近年、円盤状基板であるディスク基板の製造が活発化している。このディスク基板の一つである磁気ディスク基板としては、アルミ基板とガラス基板とが広く用いられている。アルミ基板は加工性も高く安価である点に特長があり、一方のガラス基板は強度、表面の平滑性、平坦性に優れている点に特長がある。特に最近ではディスク基板の小型化と高密度化の要求が著しく高くなり、基板の表面の粗さが小さく高密度化を図ることが可能なガラス基板の注目度が高まっている。
【0003】
このような磁気ディスク基板の製造装置に関する公報記載の従来技術として、中心孔を有するガラスディスクの内周面を研磨する技術が存在する(例えば、特許文献1、2参照。)。
この特許文献1では、ガラスディスクを積層した積層ガラスディスクを中心軸回りに回転可能にセッティングし、軸回りに無数のブラシ毛を持つ軸付研磨ブラシを積層ガラスディスクの中心孔に挿入する。そして、この軸付研磨ブラシを、往復移動させつつ積層ガラスディスクの回転方向とは逆方向に回転させて、積層ガラスディスクの内周面を研磨している。
また、特許文献2では、浮遊砥粒を含有した研磨液にガラス基板を浸漬することで、液切れによる研磨不足や研磨不良を来すことのない研磨方法が提案されている。また、この特許文献2では、回転軸上に螺旋状に植毛されたブラシ毛を回転させて研磨することで、被研磨面に常に新鮮な研磨液を循環供給し、研磨効率、再現性および精度を高める技術が開示されている。
【0004】
図13に、従来の円盤状基板の内周面を研磨する方法の一例を示す。
図13に示す研磨方法では、円盤状基板10を中心軸方向に多数積層して構成された積層ワーク501が、図示しない回転テーブルに軸方向を縦にして装着されている。積層ワーク501の中心孔501Aには、図示しない回転駆動軸に上端で連結された軸状の研磨ブラシ502が挿入配置されている。また、積層ワーク501の上側には、砥粒を含む研磨液を供給するノズル503が配置されている。
そして、ノズル503から積層ワーク501の上面に研磨液を供給しつつ、積層ワーク501を回転させ、また、研磨ブラシ502を回転させつつその軸方向に往復移動させて、積層ワーク501の中心孔501Aの内周面(すなわち円盤状基板10の内周面)を研磨する。
研磨ブラシ502は、軸芯の周囲にブラシ列が所定の間隔(ブラシ隙間)を有して所定のピッチで螺旋状に設けられている。これにより、ブラシ隙間もブラシ列と同じピッチで螺旋状に形成されている。
【0005】
この図13に示すような研磨方法において、積層ワーク501の上面に供給された研磨液は、研磨作業中、図13中に矢印で示すように流れて研磨作業域(研磨ブラシ502と積層ワーク501の内周面との間)に供給される。すなわち、研磨液は、積層ワーク501の中心孔501Aに流入し、研磨ブラシ502のブラシ隙間を通って研磨作業面に達する。そして、この研磨液は、研磨ブラシ502の回転によるブラシ隙間の螺旋の作用によって下部に向かって移動して行く。そして、最終的には積層ワーク501の中心孔501Aの下端から下側に排出される。
【0006】
【特許文献1】特開平11−33886号公報
【特許文献2】特開平11−221742号公報
【0007】
しかしながら、上記のごとき従来の内周面の研磨方法では、研磨作業域である積層ワークの上下方向において、均一かつ充分に研磨液を供給することが難しく、そのために積層ワークの上下方向において研磨が不均一となるという問題があった。
【0008】
すなわち、上述したように、研磨作業中、積層ワークの上面に供給された研磨液は、この上面から狭いブラシ隙間を通って研磨作業域に達し、研磨作業を行いつつ徐々に下方に移動する。このために、研磨作業域に供給される研磨液の量が限定されるとともに、研磨液の供給箇所が上面だけであることから、研磨に用いられる研磨液の量が積層箇所によって大きく異なってしまう。その結果、積層ワークにおける積層箇所によって内周研磨の研磨状態が異なり、積層ワークを構成する個々の円盤状基板に対してバラツキの少ない、かつ精度の高い内周研磨を行うことが難しかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、研磨作業域への研磨液の供給を促進し、積層ワークの積層方向において均一に研磨することのできる研磨装置および円盤状基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、中心部に開孔を有する円盤状基板の内周面を研磨する研磨装置であって、円盤状基板を複数枚積層させた積層ワークをセッティングするセッティング手段と、積層ワークの円盤状基板の開孔に挿入されて回転するブラシと、積層ワークを覆うカバー部材と、カバー部材により覆われた積層ワークの円盤状基板の開孔に対して研磨液を流入する研磨液流入手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、セッティング手段は、装着された円盤状基板間に、中心に開孔とこの開孔と外周部とを連通させる連通部を備えた導入スペーサを挟んで積層ワークをセッティングし、研磨液流入手段は、連通部を介して積層ワークの開孔に対して研磨液を流入させることを特徴とすれば、例えば積層ワークに挿入されるブラシの軸方向を鉛直方向とした場合に、その積層ワークの下方や中間部分などに配置される円盤状基板に対しても良好な内周研磨が実現できる点で好ましい。
【0012】
また、カバー部材は、研磨液を積層ワークの外周面に沿って導入スペーサまで導くように形成されてなることを特徴とすれば、積層ワークの外周面から円盤状基板の内孔に、効率良く研磨液を供給することが可能となる。
さらに、カバー部材は、積層ワークの外周面との間に所定の空隙をもって積層ワークを覆うことを特徴とすることができる。
また、カバー部材は、下端近傍に研磨液の排出孔を備えることを特徴とすることができる。
【0013】
他の観点から捉えると、本発明は、中心部に開孔を有する円盤状基板の内周面を研磨して円盤状基板を製造する円盤状基板の製造方法であって、研磨の対象となる円盤状基板を複数枚積層した積層ワークを保持する保持工程と、保持工程により保持された積層ワークの外周面をカバー部材で覆う工程と、カバー部材で覆われ保持工程により保持された積層ワークの円盤状基板の開孔にブラシを挿入してブラシを回転し、開孔に研磨液を流入させて研磨する研磨工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
ここで、保持工程は、装着された円盤状基板間に、中心に開孔とこの開孔の外周部とを連通させる連通部とを備えた導入スペーサを挟み、研磨工程は、カバー部材を用いて、導入スペーサの連通部を介して円盤状基板の開孔に研磨液を流入させることを特徴とすることができる。
また、保持工程は、円盤状基板を積層保持する基板ホルダに円盤状基板を装着する工程を、さらに有し、円盤状基板を積層保持した基板ホルダを保持することを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように構成された本発明によれば、これらの構成を採用しない場合に比べて、研磨作業域へ研磨液をより均一に供給することが可能となり、積層ワークの積層方向における研磨の不均等を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
はじめに、図1−1および図1−2に基づいて本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)10の製造工程を説明する。
この製造工程は、まず図1−1(a)に示す1次ラップ工程にて、円盤状基板(ワーク)10の原材料を定盤21に載置し、円盤状基板10の平面11を削る。このとき、円盤状基板10を載置した定盤21の表面には、例えばダイヤモンドの砥粒が散りばめられる。次に、図1−1(b)に示す内外周研削工程にて、円盤状基板10の中心に設けられた開孔(hole)12を内周砥石22によって研削し、円盤状基板10の外周13を外周砥石23によって研削する。このとき、内周砥石22と外周砥石23で円盤状基板10の内周面と外周面を挟み込んで同時加工することで、内径と外径の同軸度を確保し易くすることができる。そして、図1−1(c)に示す外周研磨工程では、外周研磨用ブラシ24を用いて円盤状基板10の外周13が研磨される。その後、図1−1(d)に示す2次ラップ工程にて、円盤状基板10を定盤21に載置し、円盤状基板10の平面11を更に削る。
【0017】
次いで、図1−2(e)に示す内周研磨工程にて、円盤状基板10の中心の開孔12に研磨ブラシ150を挿入し、円盤状基板10の開孔12を研磨する。その後、図1−2(f)に示す1次ポリッシュ工程にて、円盤状基板10を定盤21に載置し、円盤状基板10の平面11を磨く。このときの研磨には、例えば不織布(研磨布)として硬質ポリッシャが用いられる。更に、図1−2(g)に示す2次ポリッシュ工程にて、軟質ポリッシャを用いた平面研磨が行われる。その後、図1−2(h)に示す最終洗浄・検査工程にて洗浄と検査が行われて、円盤状基板(ディスク基板)10が製造される。
【0018】
つぎに、上述の内周研磨工程にて用いられる研磨装置について説明する。
図2は研磨装置100の外観を示す斜視図であり、図3は研磨機構110の縦断面(一部)を示した図である。尚、図2は研磨機構110の研磨ヘッド120が上方に位置する研磨作業前の準備状態を示し、図3は研磨ヘッド120が下降した作業中の状態を示している。このために、図2および図3における研磨ヘッド120の位置は一致していない。
図2および図3に示す研磨装置100は、研磨対象部材である円盤状基板10が複数枚積層されて成る積層ワーク140(後に詳述する)が取り付けられ、この積層ワーク140に対して研磨作業を行うものである。
研磨装置100は、ベースフレーム101に、左右一対の研磨機構110L,110Rを並列に備えている。これにより、二組の積層ワーク140に対して同時に研磨作業を行うことができるようになっている。尚、左右の研磨機構110L,110Rは同様な構成となっており、以下、研磨機構110として説明する。
【0019】
ベースフレーム101には、浮遊砥粒を含有した研磨液であるスラリを収容するスラリタンク102が配設されている。また、図示しないが、スラリタンク102に収容されたスラリを循環駆動するポンプや、研磨装置の制御装置等が設けられている。
研磨機構110は、ベースフレーム101に立設されたコラム111に鉛直方向に移動可能に支持された研磨ヘッド120と、その下側に配設された回転テーブル130とを備えている。
【0020】
研磨ヘッド120は、後述する研磨ブラシ150の一端部を把持して、この研磨ブラシ150を鉛直に支持するチャック121を備えている。このチャック121は、図示しないモータ等の駆動手段によって回転駆動されるようになっている。
チャック121の周囲には、下側に開放する円筒状のカバー122が、チャック121を覆い更に所定の高さまで垂下して設けられている。そしてカバー122の内側に、チャック121に隣接してスラリ供給ノズル123が設けられている。このスラリ供給ノズル123は、回転テーブル130に装着された積層ワーク140の上面に向かって開口している。
研磨ヘッド120は、コラム111に沿って鉛直に所定のストロークで昇降移動可能に設けられており、図示しない昇降駆動手段によって昇降駆動されるようになっている。
【0021】
回転テーブル130は、所定の径からなる円盤状部材で形成され、その上面に積層ワーク140を取り付けることができるように構成されている。この回転テーブル130は、研磨ヘッド120の下側に配設されており、図示しないモータ等の駆動手段によって所定の回転数で回転駆動されるようになっている。その中央には、所定径の開口131が形成され、その内部に回転テーブル130とは独立して支持軸受け132が設けられている。この支持軸受け132は、研磨ブラシ150の先端を回転可能に支持するものである。
また、この回転テーブル130の周囲および下側を覆うように、上方に開口する有底円筒状のスラリ受け133が設けられている。更に、スラリ受け133の上側に、上下に開口する円筒状のカバー134が設けられている。このカバー134の正面側には、扉135が開閉可能に設けられている。
【0022】
研磨ヘッド120に設けられたスラリ供給ノズル123と、回転テーブル130に設けられたスラリ受け133とは、それぞれベースフレーム101に設けられたスラリタンク102と図示しない配管によって接続されている。そして、スラリタンク102の内部に収容したスラリをスラリ供給ノズル123に供給し、スラリ受け133が受けたスラリをスラリタンク102に回収するようになっている。つまり、スラリはスラリタンク102からスラリ供給ノズル123へ、スラリ受け133からスラリタンク102へと循環するようになっている。
【0023】
このような研磨機構110は、図3に示すように、回転テーブル130の上面に積層ワーク140を支持し、研磨ヘッド120のチャック121に研磨ブラシ150の上端を支持する。そして、研磨ヘッド120の下降によって研磨ブラシ150を積層ワーク140の中心孔141に挿入し、研磨ブラシ150の下端を支持軸受け132に支持させた状態とする。この状態で、スラリ供給ノズル123からスラリを吐出して積層ワーク140の上面に供給し、回転テーブル130(積層ワーク140)を回転させると共に、研磨ブラシ150を回転させつつその軸方向(上下方向)に所定のストロークで往復移動させる。これによって、積層ワーク140の中心孔141の内周面(円盤状基板10の内周面)を研磨するものである。本実施の形態では、積層ワーク140(回転テーブル130)の回転方向は上側から見て反時計回り、研磨ブラシ150の回転方向はこれとは逆の上側から見て時計回りに設定される。
【0024】
図4は、この研磨機構110にて用いられる研磨ブラシ150を示す斜視図である。また、図5は研磨ブラシ150の軸方向の一部を拡大した断面図である。
研磨ブラシ150は、図4に示すように、ステンレス合金鋼等によって形成され所定の直径からなる軸芯151の周囲に、ブラシ基材としてのブラシ列152が所定のピッチで螺旋状に設けられている。ブラシ列152の間には所定の間隔(ブラシ隙間153)が設定されており、このブラシ隙間153もブラシ列152と同じく螺旋状に軸方向に連続している。尚、ブラシ列152(ブラシ隙間153)の螺旋方向は、いわゆる左巻き(反時計回りで遠ざかる方向)となっており、時計回りの回転でブラシ隙間153内のスラリを上側から下側に向けて(基端側から先端側に向けて)駆動し得るようになっている。
【0025】
研磨ブラシ150の毛先までの寸法を含む外径は、例えば、円盤状基板10の内径12mmに対して直径13mmとする。
軸芯151は、ブラシ領域より両端側にそれぞれ所定量突出しており、一方はチャック121による被把持部151A、他方は支持軸受け132に支持される先細りの被支持部151Bとなっている。
【0026】
このような研磨ブラシ150は、軸芯151の周囲にブラシ列152を所定のピッチで螺旋状に巻き付けて固定した後、ブラシ列152の毛先を所定外径にカットして形成される。
ブラシ列152は、図5に示すように、所定長さのブラシ毛材154を、芯金155を巻くようにその中央部分で二つ折りにし、その芯金155を巻回する屈曲部分を外側から基部金具156でカシメる。これによって、ブラシ列152のブラシ毛材154は芯金155に一体に固定され、図5に示すように軸芯151に対して列状に形成されている。このブラシ毛材154は、例えば、ナイロン等によって、径0.1mmに形成される。
基部金具156は、図5中に示すように、軸芯151の周囲にて、軸方向に互いに当接させながら螺旋状に巻き付けることで、ブラシ列152の間隔(ピッチ)およびブラシ隙間153が一定となるように形成されている。つまり、基部金具156の幅は、ブラシ毛材154を芯金155に固定する機能において必要な最小限の幅より大きく、ブラシ列152のピッチを規定する寸法にて設定されている。
【0027】
つぎに、この積層ワーク140について説明する。
図6は積層ワーク140の全体斜視図、図7は円盤状基板10の積層過程を示す斜視図、図8は円盤状基板10の積層途中に介装されるスラリ導入スペーサ160を示す図である。また、図9はカバー300と、積層ワーク140へのカバー300の装着を説明する図である。更に、図10は研磨作業状態の断面図である。
図6に示す積層ワーク140は、図7に示すようにして円盤状基板10を多数(例えば150枚)積層した状態で、ホルダ200に支持されている。
【0028】
ホルダ200は、上下の支持円盤(上部支持円盤210,下部支持円盤220)が、周方向に複数本(例えば4本)配置された連結バー230によって所定の間隔で連結されて構成されている。そして、この上部支持円盤210、下部支持円盤220および連結バー230によって形成される空間(内部)に、積層された円盤状基板10が収容され、この積層された円盤状基板10が、上部支持円盤210の上側に締着される固定円盤240によって、ホルダ200に固定される。このホルダ200は、ステンレス合金鋼等によって形成されている。
【0029】
上側の上部支持円盤210は、所定厚さの円盤状で、その中央に、積層された円盤状基板10を内部に装着するための開孔211が形成されている。
下側の下部支持円盤220は、所定厚さの円盤部221の下面側に、大径の装着フランジ222を備えている。その中央には、スラリの流通および研磨ブラシ150を挿通するための開孔223が形成されている。円盤部221の直径は、上部支持円盤210の直径より所定量大きく設定されている。
固定円盤240は、上部支持円盤210とほぼ同径で所定厚さからなる円盤状部材であり、その中央に、後述する上部押さえ233と嵌合する嵌合孔241が形成されている。そして、上部支持円盤210の上面にて、中心を一致させてボルトによって固定されるようになっている。
【0030】
このようなホルダ200には、図7に示すように積層治具としてのセンタリングシャフト232を用いて積層された円盤状基板10が装着される。
すなわち、センタリングシャフト232に、下部押さえ231を挿入して取り付け、ついで円盤状基板10を順次嵌合することで、その中心の開孔12を基準として位置決めされた状態で円盤状基板10を積層する。そして最後に上部押さえ233をセンタリングシャフト232に挿入して取り付ける。これにより、センタリングシャフト232に嵌合して積層された円盤状基板10が、下部押さえ231と上部押さえ233との間に挟まれた状態となる。
【0031】
下部押さえ231は、外径が円盤状基板10の外径と略等しいかそれより大きい所定厚さの円盤状の部材である。その内径は、円盤状基板10の内径より大きく設定されている。
上部押さえ233は、円盤状基板10と外径が略等しい本体部233Aの上側に、小径部233Bが形成されて二段の外形に形成されている。その中央には、スラリの流通および研磨ブラシ150を挿通するための開孔233Cが形成されている。
これら上部押さえ233および下部押さえ231は、例えば、ポリアセタール等の樹脂により形成されている。
センタリングシャフト232は、下端に下部支持円盤220の開孔223(図10参照)に嵌合する大径部232Aと、その上側に下部押さえ231の内径に嵌合する中径部(図示せず)を有している。そのさらに上側に、円盤状基板10が嵌合する位置決め軸部232Bが立設されているものである。
【0032】
上記のごとくセンタリングシャフト232に嵌合して積層された円盤状基板10は、ホルダ200の内部に、図6の上側から上部支持円盤210の開孔211(図10参照)を介して挿置される。そして、上部支持円盤210の上側に締着された固定円盤240によって、下部支持円盤220に押圧されて、積層された円盤状基板10が固定される。このとき、上部押さえ233の小径部233Bに固定円盤240の嵌合孔241が嵌合する。
センタリングシャフト232は、積層された円盤状基板10が固定された後、図6の下側から抜き取られる。
これにより、積層された円盤状基板10の開孔12によって中心孔141(図6、図10参照)が形成される。この中心孔141の上端は、上部に開放する上部押さえ233の開孔233Cに繋がり、中心孔141の下端は下部押さえ231の内径部および下部支持円盤220の開孔223に繋がっている。
【0033】
ここで、ホルダ200内に積層された円盤状基板10の間には、所定枚数毎に研磨液流入手段としてのスラリ導入スペーサ160が設けられる。これは、前述のセンタリングシャフト232に円盤状基板10を順次嵌合する際に、所定枚数毎にスラリ導入スペーサ160を挟み込ませることで設置される。本実施の形態では、全積層厚さを三等分するように2個のスラリ導入スペーサ160が介装されている。例えば円盤状基板10を150枚積層する場合では、例えば50枚毎に1個のスラリ導入スペーサ160が介装される。
【0034】
スラリ導入スペーサ160は、図8(a)に斜視図,図8(b)にその断面図を示すように、所定の厚さで外径が円盤状基板10と略等しい円盤状に、例えばポリアセタール等の樹脂によって形成されている。中央には円盤状基板10の内径より大きい開孔161が形成されており、また、外周面には所定深さの溝162が形成されている。更に、その溝162の底(外周面)と開孔161の内周面とを連通して所定径の貫通供給孔163が、周方向に等角度間隔で複数個(例えば8個(45度間隔)、形成されている。
【0035】
ここで、本実施の形態では、上記のごとく多数の円盤状基板10が積層されてホルダ200に収容されてなる積層ワーク140に、その円盤状基板10が積層された部位を覆うようにカバー300が装着されて研磨作業に供される。
このカバー300は、例えば、薄いシート状の樹脂フィルム等によって上下端が開放する円筒状(直管状)に形成されている。これは、当初から円筒状に形成されている場合の他に、例えば矩形の樹脂フィルムシートを取り付け時に丸めて両端を接合して形成することもできる。そして、その内径は、ホルダ200の下部支持円盤220の円盤部221に隙間なく嵌合し得るように設定される。カバー300の高さは、ホルダ200の下部支持円盤220の装着フランジ222の上面から、上部支持円盤210の上面までの高さより所定量高くなるように設定されている。また、カバー300の下縁近傍には、所定径の排出孔301が周方向に所定間隔で複数個、開孔形成されている。
【0036】
上記のごとく形成されたカバー300は、図9に示すように、積層ワーク140にその上側から被せるようにして外挿され、下端をホルダ200の下部支持円盤220の円盤部221に嵌合させて装着される。
そして、積層ワーク140にカバー300が装着された状態では、カバー300の上端縁は積層ワーク140の上面より所定量高くなる。また、カバー300の内周と上部支持円盤210の側周面との間に、所定の幅の流通間隙142が形成される。これは、上部支持円盤210の直径より下部支持円盤220の円盤部221の直径が大きく形成され、カバー300は下部支持円盤220の円盤部221に嵌合する直径の直管状に形成されていることによる。尚、上部支持円盤210と下部支持円盤220の円盤部221とが同一直径に形成されたホルダ200では、カバー300を上部が広がるテーパ状として流通間隙142が形成されるようにする。
更に、カバー300の下部に形成された排出孔301は、カバー300の装着状態で下部支持円盤220の円盤部221の上面より上側に位置する。
これにより、カバー300は、その下端である下部開口部がホルダ200の下部支持円盤220によって塞がれて、積層ワーク140の周囲を覆い(積層ワーク140を内部に収容し)、上方に開口する円筒容器状を成す。
【0037】
そして、上記のごとくカバー300が装着された積層ワーク140は、ホルダ200の下部支持円盤220の装着フランジ222が、研磨機構110の回転テーブル130にボルトによって締着されることで、回転テーブル130に装着される。ここまでの、ホルダ200に円盤状基板10を積層して支持させて、回転テーブル130に装着する構成が、本実施の形態における本発明のセッティング手段である。尚、カバー300の装着工程はこれに限るものではなく、積層ワーク140を回転テーブル130に装着した後、積層ワーク140にカバー300を被せる工程としても良い。
【0038】
つぎに、研磨作業中の積層ワーク140の断面図である図10を参照して、研磨作業および研磨作業中におけるスラリの流れについて説明する。
研磨作業は、前述のごとく、スラリ供給ノズル123からスラリを吐出して積層ワーク140の上面に供給し、回転テーブル130を回転させると共に、研磨ブラシ150を回転させつつその軸方向(上下方向)に所定のストロークで往復移動させて行う。
積層ワーク140の上面に供給されたスラリは、図10中に矢印で示すように、ホルダ200の上部に開放する上部押さえ233の開孔233Cから積層ワーク140の中心孔141に流入すると共に、流通間隙142を通って積層ワーク140の外周とカバー300との間に流入する。これらに流入し得なかった余剰のスラリは、カバー300の上縁から外側に溢れ、外周面を伝って流下する。
【0039】
積層ワーク140の中心孔141に流入したスラリは、螺旋状に形成された研磨ブラシ150のブラシ毛材154(図5参照)と、この研磨ブラシ150の回転、更にスラリの自重などによって下方に送られ、下部支持円盤220の開孔223から流れ出る。また、流通間隙142を通って積層ワーク140の外周とカバー300との間に流入したスラリは、積層ワーク140の外面を伝って流下し、その一部がカバー300の下部の排出孔301から流出する。
このように積層ワーク140の外面を伝わらせてスラリを流し、この外面からも中心孔141にスラリを供給している。これにより、研磨ブラシ150による研磨作業域(中心孔141の内周面)には、上部支持円盤210の開孔211から流入したスラリばかりでなく、外周側からもスラリが供給されることとなる。
【0040】
すなわち、研磨ブラシ150と積層ワーク140との相対移動に起因する圧力変化によって、図10中の矢印Xで示すように、積層ワーク140の外周側に存在するスラリが、スラリ導入スペーサ160の貫通供給孔163を介して研磨作業域に供給される。
これにより、積層ワーク140の上端からだけではなく、積層ワーク140の途中から(例えば50枚ごとに)下部の研磨作業域にも新鮮なスラリが供給されることとなる。このため、積層ワーク140の中心孔141の内周面(円盤状基板10の内周面)を、その上下方向においてより均等に研磨することができる。また、研磨作業域に多くのスラリが供給されるため、研磨作業効率が向上し、研磨作業時間を短縮することができる。
【0041】
ここで、このスラリ導入スペーサ160の貫通供給孔163を介した研磨作業域へのスラリの供給は、貫通供給孔163の外側にスラリが存在すれば足りる。従って、本実施の形態では、2個のスラリ導入スペーサ160が存在する位置まで、スラリが積層ワーク140の外周面を伝って流下していればよい。つまり、カバー300全体にスラリが充満してその中に積層ワーク140が完全に浸漬していることを要さない。
積層ワーク140の外周とカバー300との間にスラリを流入させる流通間隙142の間隔と、カバー300の下縁近傍に形成される排出孔301の径および数は、このような作用によってスラリが良好に供給されるように設定される。
【0042】
つぎに、上述した研磨装置100にて実行される内周研磨工程について、更に詳細に説明する。
図11は、内周研磨工程の流れを示すフローチャートである。
内周研磨工程では、まず、円盤状基板10を取り付け治具(センタリングシャフト232)に嵌合して順次積層する(ステップ101)。
ここで、円盤状基板10の所定枚数(例えば50枚)毎に、スラリ導入スペーサ160を介装し(ステップ102)、円盤状基板10の所定枚数(例えば150枚)の積層を完了する(ステップ103)。
【0043】
つぎに、取り付け治具に重ねられ積層された円盤状基板10をホルダ200にセットして積層ワーク140を形成する(ステップ104)。
ついで、その積層ワーク140にカバー300を装着する(ステップ105)。
そして、カバー300が装着された積層ワーク140を、研磨装置100の回転テーブル130に装着する(ステップ106)。
以上の工程で、研磨装置100への積層ワーク140の取り付けが終了する。
【0044】
尚、前述したように、積層ワーク140にカバー300を装着するステップ(S105)は、積層ワーク140を研磨装置100の回転テーブル130に装着するステップ(S106)の後としても良い。また、研磨装置100の研磨ヘッド120への研磨ブラシ150の装着(チャック121による研磨ブラシ150の把持)は、上記工程の前後に適宜設定する。
【0045】
ついで、ポンプを駆動してスラリ供給ノズル123からスラリを積層ワーク140の上面に吐出させる(ステップ107)。そして、積層ワーク140の中心孔141およびカバー300の内部(積層ワーク140の外周面)にスラリが流下する状態で、研磨機構110の研磨ヘッド120を下降させて、その研磨ヘッド120によって支持される研磨ブラシ150を積層ワーク140の中心孔141に挿入する(ステップ108)。
【0046】
この状態にて、スラリを供給しながら、研磨ブラシ150を所定方向(第1の方向)に回転させ、積層ワーク140(回転テーブル130)を研磨ブラシ150とは逆方向(第2の方向)に回転させて研磨を行う(ステップ109)。またこのとき、図10の白矢印に示すように、研磨ブラシ150を積層ワーク140の軸方向(上下方向)に往復移動させる(ステップ110)。このように往復移動させることによって、積層ワーク140に接触する研磨ブラシ150の位置を変化させ、研磨ブラシ150の同一位置によって積層ワーク140の同一の箇所を研磨することによる研磨の偏りを防止し、より均一化された研磨が可能となる。この研磨作業を予め定められた研磨時間行い(ステップ111)、研磨時間が経過すると、研磨装置を停止させる(ステップ112)。
その後、積層ワーク140を回転テーブル130から取り外し(ステップ113)、更に、ホルダ200から円盤状基板10を装着時とは逆の工程で取り外す(ステップ114)。
【0047】
つぎに、本実施の形態の構成(以下本願構成と称す)と、従来構成である比較例とを比較実験した結果を説明する。
実験は、下記のごとき条件で研磨作業を行い、その後、円盤状基板10の全数または所定数をサンプリングして内周の直径を計測した。
本願構成では、円盤状基板10を150枚積層し、50枚ごとにスラリ導入スペーサ160を介装した。すなわち、スラリ導入スペーサ160は2個用いた。
図12は、その実験結果を示し、(a)は本願構成によって研磨したもの、(b)は比較例によって研磨したものである。横軸は積層した円盤状基板10の位置(上部〜下部)を示し、縦軸は被研磨面の内径(円盤状基板10の内径)を示している。本願構成についてはa−1〜a−9の合計9回の試験を実施し、比較例についてはb−1〜b−3の合計3回の試験を実施した。
【0048】
実験条件(共通)は、下記の通りである。
○円盤状基板(1.89インチガラス磁気ディスク)
材料:結晶化ガラス
外径:48mm
内径:12mm
厚さ:0.7mm
○ワーク積層体
積層した円盤状基板の数:150枚
測定サンプル数:55(抜き取り)〜150(全数)
回転数:55rpm
○使用研磨ブラシ
外径:φ13
材質:66ナイロン
線径:0.90mm
回転数:1500rpm
揺動速度:240mm/分
○研磨ブラシ切り込み量
0.5mm
この研磨ブラシ切り込み量とは、研磨ブラシ150の中心をワーク積層体140の中心に対してズラした(切り込んだ)量である。
○スラリ(研磨液)
比重:1.2
○加工時間
14〜28分(所定の研磨量を基準に設定)
【0049】
実験の結果、(b)に示す比較例(従来構成)では、円盤状基板10の配置位置で(上部と下部とで)、内径に略5/1000mmの差が生じた。これに対して、本実施の形態を適用した構成では、上部と下部との内径差を略2.5/1000mm以下に抑えることができた。また、所定の研磨量の加工に要する時間も、比較例が平均で25.3分であったのに対して、本実施の形態では19.2分と約75%に短縮することができた。これにより、本構成の有効性が確認できた。
尚、本願構成であっても、下部の円盤状基板10の内径が小さくなる傾向がある。これは、スラリ導入スペーサ160の介装位置を下側に偏在させ、また、設ける数を増やし、下部へのスラリの供給を促進させること等で改善することが可能である。
【0050】
以上、詳述したように、本実施の形態によれば、積層ワーク140を覆うカバー300によって、積層ワーク140の積層途中(スラリ導入スペーサ160)から中心孔141にスラリを供給することができる。
ここで、一般に、限られた量の研磨液で研磨作業を行う場合には、下部に行くほど研磨液に含まれる砥粒が摩滅して研磨機能が低下する。その結果、積層ワーク140の上部と下部とでは研磨の進捗が異なることとなり、積層ワーク140の中心孔141が下側に向かって先細りのテーパ状を呈する。つまり、上部では研磨の進行が速く大径化する一方、下部では研磨の進行が遅く相対的に小径の状態に留まる。このため、上部に位置した円盤状基板10と下部に位置した円盤状基板10とで等しい研磨仕上げ精度が得られず、精度にバラツキを生じてしまう。
しかしながら、本実施の形態によれば、従来ではスラリが供給され難かった下部の研磨作業域にも新鮮なスラリが供給されることとなり、積層ワーク140の中心孔141の内周面(円盤状基板10の内周面)の研磨を、積層ワーク140の上下方向において均等に行うことができる。また、研磨作業域にスラリを潤沢に供給することができるために研磨作業効率が向上し、研磨作業時間を短縮することができる。
なお、本願発明は上記実施の形態に示す構成に限定されるものではなく、適宜変更可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1−1】(a)〜(d)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。
【図1−2】(e)〜(h)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。
【図2】研磨装置の外観斜視図である。
【図3】研磨機構の縦断面図である。
【図4】研磨機構が用いる研磨ブラシを示す斜視図である。
【図5】研磨ブラシの軸方向拡大断面図である。
【図6】積層ワークの全体斜視図である。
【図7】円盤状基板の積層過程を示す斜視図である。
【図8】スラリ導入スペーサを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図9】積層ワークへのカバーの装着を説明する図である。
【図10】研磨作業中の積層ワークの断面図である。
【図11】内周研磨工程の流れを示すフローチャートである。
【図12】本願構成と比較例とを比較実験した結果を説明する図である。
【図13】従来から行われていた円盤状基板の内周研磨方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
10…円盤状基板、12…開孔、100…研磨装置、123…スラリ供給ノズル、140…積層ワーク、150…研磨ブラシ、160…スラリ導入スペーサ(研磨液流入手段)、163…貫通供給孔、200…ホルダ、300…カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部に開孔を有する円盤状基板の内周面を研磨する研磨装置であって、
前記円盤状基板を複数枚積層させた積層ワークをセッティングするセッティング手段と、
前記積層ワークの前記円盤状基板の前記開孔に挿入されて回転するブラシと、
前記積層ワークを覆うカバー部材と、
前記カバー部材により覆われた前記積層ワークの前記円盤状基板の前記開孔に対して研磨液を流入する研磨液流入手段と
を備えた研磨装置。
【請求項2】
前記セッティング手段は、装着された前記円盤状基板間に、中心に開孔と当該開孔と外周部とを連通させる連通部を備えた導入スペーサを挟んで前記積層ワークをセッティングし、
前記研磨液流入手段は、前記連通部を介して前記積層ワークの前記開孔に対して研磨液を流入させることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、研磨液を前記積層ワークの外周面に沿って前記導入スペーサまで導くように形成されてなることを特徴とする請求項2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記積層ワークの外周面との間に所定の空隙をもって当該積層ワークを覆うことを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記カバー部材は、下端近傍に研磨液の排出孔を備えることを特徴とする請求項4に記載の研磨装置。
【請求項6】
中心部に開孔を有する円盤状基板の内周面を研磨して円盤状基板を製造する円盤状基板の製造方法であって、
研磨の対象となる前記円盤状基板を複数枚積層した積層ワークを保持する保持工程と、
前記保持工程により保持された前記積層ワークの外周面をカバー部材で覆う工程と、
前記カバー部材で覆われ前記保持工程により保持された前記積層ワークの前記円盤状基板の前記開孔にブラシを挿入して当該ブラシを回転し、当該開孔に研磨液を流入させて研磨する研磨工程と、
を有する円盤状基板の製造方法。
【請求項7】
前記保持工程は、装着された前記円盤状基板間に、中心に開孔と当該開孔と外周部とを連通させる連通部とを備えた導入スペーサを挟み、
前記研磨工程は、前記カバー部材を用いて、前記導入スペーサの前記連通部を介して前記円盤状基板の前記開孔に研磨液を流入させることを特徴とする請求項6に記載の円盤状基板の製造方法。
【請求項8】
前記保持工程は、
前記円盤状基板を積層保持する基板ホルダに当該円盤状基板を装着する工程をさらに有し、前記円盤状基板を積層保持した当該基板ホルダを保持することを特徴とする請求項6に記載の円盤状基板の製造方法。
【請求項1】
中心部に開孔を有する円盤状基板の内周面を研磨する研磨装置であって、
前記円盤状基板を複数枚積層させた積層ワークをセッティングするセッティング手段と、
前記積層ワークの前記円盤状基板の前記開孔に挿入されて回転するブラシと、
前記積層ワークを覆うカバー部材と、
前記カバー部材により覆われた前記積層ワークの前記円盤状基板の前記開孔に対して研磨液を流入する研磨液流入手段と
を備えた研磨装置。
【請求項2】
前記セッティング手段は、装着された前記円盤状基板間に、中心に開孔と当該開孔と外周部とを連通させる連通部を備えた導入スペーサを挟んで前記積層ワークをセッティングし、
前記研磨液流入手段は、前記連通部を介して前記積層ワークの前記開孔に対して研磨液を流入させることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、研磨液を前記積層ワークの外周面に沿って前記導入スペーサまで導くように形成されてなることを特徴とする請求項2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記積層ワークの外周面との間に所定の空隙をもって当該積層ワークを覆うことを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記カバー部材は、下端近傍に研磨液の排出孔を備えることを特徴とする請求項4に記載の研磨装置。
【請求項6】
中心部に開孔を有する円盤状基板の内周面を研磨して円盤状基板を製造する円盤状基板の製造方法であって、
研磨の対象となる前記円盤状基板を複数枚積層した積層ワークを保持する保持工程と、
前記保持工程により保持された前記積層ワークの外周面をカバー部材で覆う工程と、
前記カバー部材で覆われ前記保持工程により保持された前記積層ワークの前記円盤状基板の前記開孔にブラシを挿入して当該ブラシを回転し、当該開孔に研磨液を流入させて研磨する研磨工程と、
を有する円盤状基板の製造方法。
【請求項7】
前記保持工程は、装着された前記円盤状基板間に、中心に開孔と当該開孔と外周部とを連通させる連通部とを備えた導入スペーサを挟み、
前記研磨工程は、前記カバー部材を用いて、前記導入スペーサの前記連通部を介して前記円盤状基板の前記開孔に研磨液を流入させることを特徴とする請求項6に記載の円盤状基板の製造方法。
【請求項8】
前記保持工程は、
前記円盤状基板を積層保持する基板ホルダに当該円盤状基板を装着する工程をさらに有し、前記円盤状基板を積層保持した当該基板ホルダを保持することを特徴とする請求項6に記載の円盤状基板の製造方法。
【図1−1】
【図1−2】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1−2】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−126380(P2008−126380A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316342(P2006−316342)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]