説明

砕石微粉末の固化体とその固化方法

【課題】 採石場等で大量に排出される未利用の砕石微粉末と有効に利用し、アルカリ性の小さい多様な固化体を簡単に製造する技術の提供。
【解決手段】 砕石微粉末に普通ポルトランドセメントと水酸化マグネシウムあるいは火山ガラス微粉末を配合し、水を加えて混練後、成形、養生して砕石微粉末を固化する。又、砕石微粉末に廃ガラス微粉末を配合し、その後800〜1000℃の範囲内で焼成して砕石微粉を固化するに当り、竹粉砕微粉末、おが屑、籾殻粉末等の有機粉末を2〜5質量%の範囲内で配合して固化する。更に、ベントナイトを配合し、水を加えて混練後、成形、乾燥し、その後焼成して砕石微粉末を固化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砕石の採掘、破砕、建設・土木の廃材、粒度調整工程から排出される砕石微粉末を有効に活用するための砕石微粉末の固化体とその固化技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
砕石の採掘、破砕、建設・土木の廃材、粒度調整工程から排出される砕石微粉の多くは、利用価値が少ないということで採掘跡に埋め立て処分されている。有効利用に関しては、その一部が道路の路盤材として利用されている場合もあるが、大半は発生量が多いこともあって廃棄処分されている。従って、現状はほとんど有効利用がなされていない。
【0003】
有効利用の一方法として、これら排出される破砕物等を固化して利用することが種々提案されている。固化方法として一般的には、普通ポルトランドセメントを用いる方法が知られている。骨材、セメント比は7:3が一般的である。この場合、固化体のpHは12程度の強アルカリとなっていて、利用する場合には制約されことが多く、有効活用という点では問題がある。pHを下げるためにセメント量を低くすると、従来の強度が低下し、この場合も前述同様に利用する場合には制約されことが多く、有効活用という点では問題がある。
【0004】
一方、砕石微粉末類似の化学組成を有する原料に発泡剤SiCを加えて焼成し、コンクリート用軽量骨材を製造する技術(例えば特許文献1参照)が知られている。また、焼却灰、砕石粉などにアルミニウムの強酸塩と石灰類とセメントよりなる無機固化剤を添加して固化した後、焼成し建材を製造する技術(例えば特許文献2参照)が知られている。
【0005】
他方、水酸化マグネシウムを含ませる技術においては、高炉スラグ微粉末とアルカリ性無機物質とを水中で混合し、固化反応させ、脱水させた後に、乾燥、粉砕して調湿性無機質粉末を得る技術が知られている(例えば特許文献3参照)。更に、砕石粉末又はスラッジ等の原料に発泡剤として、過酸化水素及び水を用い、セメントを用いて固化する技術、気孔助材に木粉末を用い、焼結助材にガラス微粉末あるいは、珪石粉末を加え高温焼成して固化する技術が発泡体の製造方法として知られている(例えば特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−226242号公報
【特許文献2】特開平08−318581号公報
【特許文献3】特開2004−175601号公報
【特許文献4】特開平08−318581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
砕石等の利用形態で骨材として、固形物についてはその利用方法が検討され、それなりの使用形態が種々開発され提案されている。しかし、固形物の除かれた粉末状のものにおいては、その処分を含めて利用方法が確立されていないのが現状である。本発明はその粉末状のものに注目し、固化することで従来の問題点を解決するようにした技術である。固化技術においては、従来からもその技術の一端は前述の例のように開示されている。
【0008】
しかしながら、従来の技術、また開示されている技術においては、完成されたものではなく、まだ種々問題点を多く有している。開示されている技術の例を説明すると、特許文献1に開示された技術は、高価な発泡剤SiCを添加する必要があることで経済的に問題がある上、焼成温度が1000℃以上必要であること等の問題点を有している。又、特許文献2に開示された技術は、無機固化材を添加するものであるが、流し込み、脱形後焼成する必要があり、用途が限られる等で問題がある。
【0009】
特許文献3の技術は、水酸化マグネシウムをアルカリ無機物質として固化物質にしたことのみが開示されたもので、水酸化マグネシウムの効果を具現化するための手段を欠いている。特許文献4の技術は、ガラス微粉末を加えて成形物を高温焼成することが開示されているが、焼成助材として他の物質、発泡剤、過酸化水素、水、木と混合され使用されるもので、発泡体生成のためのものである。又流し込み成形から焼成するものであって養生だけで、目的の固化体を得るものでない。又、砕石微粉末に水酸化マグネシウムを混合させて使用される製法形態のものではない。
【0010】
以上のように、前述の技術はいずれも固化技術に関わるものであるが、特に微粉末のものを固化する点において、例えばアルカリ性の度合いを小さく、密度を高める等の技術では、満足すべき形態になっていない。本発明は、このような従来の技術背景の下になされたもので、特に未利用資源を組み合わせて多様な固化体を簡単に製造する技術であって、次の目的を達成する。
【0011】
本発明の目的は、圧縮強度を維持しつつアルカリ性を軽減し砕石微粉末の割合を多くして固化した砕石微粉末の固化体とその固化技術の提供にある。本発明の他の目的は、調湿性を持たせ密度の高い、また、吸水性をよくして固化した砕石微粉末の固化体とその固化技術の提供にある。本発明の更に他の目的は、簡素な製造形態で固化できる砕石微粉末の固化体とその固化技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記した従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、砕石微粉末に普通ポルトランドセメントと同時に水酸化マグネシウムあるいはガラス微粉末、特に火山ガラス微粉末を配合し固化することにより、その目的を達成した。また、砕石微粉末にガラス微粉末、特に廃ガラス微粉末を配合し、その後焼成して固化することにより、その目的を達成した。
【0013】
必要に応じて、さらにベントナイトを配合し、水を加えて混練後、成形、乾燥し、その後焼成して固化することにより、その目的を達成した。さらに竹粉砕微粉、おが屑、籾殻粉末等の有機粉末を配合し、水を加えて混練後、成形、乾燥し、その後焼成して固化することにより、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。本発明の対象とする砕石微粉末は、自然物、産業廃棄物等の人工物を問わず、原石は勿論のこと土壌、土砂、建設材等の産業廃棄物から発生するものの微粉末である。対象となる微粉末の粒度は1.2mm以下が好ましい。次に本発明の手段を説明する。
【0014】
本発明1の砕石微粉末の固化体は、砕石微粉末に、質量比が各々1.0:1.0から1.0:0.5の範囲内で調整された普通ポルトランドセメント及び水酸化マグネシウムの混合物を加えて配合し、水を加えて混練し、成形し、養生して固化したものであることを特徴とし、養生のみで固化できることを特徴としている。
【0015】
本発明2の砕石微粉末の固化体は、砕石微粉末に、質量比が各々1.0:1.0から1.0:0.5の範囲内で調整された普通ポルトランドセメント及び火山ガラス微粉末の混合物を加えて配合し、水を加えて混練し、成形、養生して固化したものであることを特徴とする。
【0016】
本発明3の砕石微粉末の固化体は、本発明1及び2において、前記混合物は前記配合された配合物の全質量に対し5〜30質量%の範囲で調整されたものであることを特徴とする。
【0017】
本発明4の砕石微粉末の固化体は、本発明2において、前記ガラス微粉末の粒度は45μm以下であることを特徴とする。
【0018】
本発明5の砕石微粉末の固化体は、砕石微粉末と廃ガラス微粉末の混合物において、前記砕石微粉末の量を前記混合物の10〜80質量%の範囲内に調整し、前記ガラス微粉末の量を前記混合物の20〜90質量%の範囲内に調整して混合し、この混合物を成形し、800〜1000℃の温度の範囲内で焼成して固化したものであることを特徴とする。
【0019】
本発明6の砕石微粉末の固化方法は、砕石微粉末に、質量比が各々1.0:1.0から1.0:0.5の範囲内で調整された普通ポルトランドセメント及び水酸化マグネシウムの混合物を加えて配合し、この配合物に水を加えて混練し、この混練された配合物を成形し、この成形された配合物を養生して固化することを特徴とし、養生のみで固化できることを特徴としている。
【0020】
本発明7の砕石微粉末の固化方法は、砕石微粉末に、質量比が各々1.0:1.0から1.0:0.5の範囲内で調整された普通ポルトランドセメント及び火山ガラス微粉末の混合物を加えて配合物とし、この配合物に水を加えて混練し、この混練された配合物を成形し、この成形された配合物を養生して固化することを特徴とする。
【0021】
本発明8の砕石微粉末の固化方法は、本発明6及び7において、前記混合物は前記配合された配合物の全質量に対し5〜30質量%の範囲で調整されたものであることを特徴とする。
【0022】
本発明9の砕石微粉末の固化方法は、本発明7において、前記火山ガラス微粉末の粒度は45μm以下であることを特徴とする。
【0023】
本発明10の砕石微粉末の固化方法は、砕石微粉末と廃ガラス微粉末の混合物において、前記砕石微粉末の量を前記混合物の10〜80質量%の範囲内に調整し、前記ガラス微粉末の量を前記混合物の20〜90質量%の範囲内に調整して混合し、この混合物を成形し、この成形された混合物を800〜1000℃の温度の範囲内で焼成して固化することを特徴とする。
【0024】
本発明11の砕石微粉末の固化方法は、本発明10において、前記混合物に竹粉砕微粉、おが屑、籾殻粉末から選択される1つ以上の有機粉末を2〜5質量%の範囲内で加え配合物とし固化することを特徴とする。
【0025】
本発明12の砕石微粉末の固化方法は、本発明10において、前記混合物にベントナイトを加え配合物とし、この配合物に水を加えて混練し、この混練された配合物を成形し、この成形された配合物を乾燥し、この乾燥された配合物を焼成して固化することを特徴とする。
【0026】
本発明13の砕石微粉末の固化方法は、本発明12において、前記配合物に竹粉砕微粉、おが屑、籾殻粉末から選択される1つ以上の有機粉末を2〜5質量%の範囲内で加え配合物とし固化することを特徴とする。
【0027】
次に本発明の好ましい手段について説明する。本発明1〜4、本発明6〜9で示した配合物の普通ポルトランドセメントの配合量は原料成分全質量に基づき5質量%を超える量以上30質量%以下の範囲内で調整するのが好ましい。本発明5、本発明10〜13で示した砕石微粉末の配合量は全質量に基づき10〜50質量%の範囲内で、廃ガラス微粉末の配合量は全質量に基づき50〜90質量%の範囲内で調整し、焼成温度を850〜950℃の範囲内で調整するのが好ましい。
【0028】
本発明により得られる砕石微粉末の固化体の原料は、砕石微粉末に対し、普通ポルトランドセメント、水酸化マグネシウム、火山ガラス微粉末、竹粉砕微粉末、おが屑、籾殻粉末等の有機粉末、ベントナイトから選択される少なくとも2種とからなるものである。
【0029】
砕石微粉末は、砕石の採掘、破砕、建設・土木現場、粒度調整工程等から大量に排出されるものであり、その粒度は2.5mm以下、中でも1.2mm以下であるものが好ましい。
【0030】
本発明においてガラス微粉末は、火山ガラス微粉末を用いるのが好ましく、その粒度は45μm以下が好ましい。火山ガラスは農薬のキャリアーとして用いられている。その微粉末は農薬散布時に飛散するため、粒度10μm以上のものが用いられており、工場において10μm以下のものが除かれている。ここで発生する微粉末は副産物として扱われ廃棄されていて、その有効利用が望まれている。本発明における火山ガラス微粉末はこの副産物でよいのである。
【0031】
砕石微粉末に普通ポルトランドセメント及び水酸化マグネシウムを配合し、水を加えて混練後、成形、養生して砕石微粉を固化するに当り、普通ポルトランドセメントと水酸化マグネシウムの質量比を1.0:1.0〜1.0:0.5の範囲内で調整することを特徴とする砕石微粉の固化技術については、普通ポルトランドセメントの配合量を原料成分全質量に基づき5質量%を超える量以上30質量%以下とし、好ましくは5〜10質量%の範囲内で調整される。
【0032】
水酸化マグネシウムは普通ポルトランドセメントの配合量が少なくても、固化体の強度低下を招かずpHを下げる効果がある。この配合量が5質量%未満であると、得られる固化体の機械的強度は十分ではなくなる。また、30質量%を越えると固化体のpHが12以上でアルカリ性が強くなり、利用する場合の制約が多くなる。
【0033】
砕石微粉末にガラス微粉、特に廃ガラス微粉末を配合する本発明5、本発明10〜13で示した配合量は、焼成して砕石微粉末を固化するに当り、砕石微粉末の配合量を全質量に基づき10〜80質量%の範囲内、廃ガラス微粉末の配合量を全質量に基づき20〜90質量%の範囲内で調整するとともに焼成温度を800〜1000℃の範囲内で調整することを特徴としているが、好ましくは砕石微粉末の配合量を全質量に基づき10〜50質量%の範囲内、廃ガラス微粉末の配合量を全質量に基づき50〜90質量%の範囲内で調整され、焼成温度を850〜950℃の範囲内で調整されるのがよい。
【0034】
砕石微粉末の配合量が90質量%以上であると、得られる固化体の機械的強度は十分ではなくなる。又、焼成温度が800℃以下であると、得られる固化体の機械的強度も十分ではなくなる。更に、焼成温度が1000℃以上では融着が発生する。
【0035】
成形をしやすくするためには、適量のベントナイトと水を加えて成形するのがよい。ベントナイトの添加は、造粒物である固化体のハンドリングを向上させ固化体を保持したとき崩壊させない効果がある。この際添加される水の量は、原料混合物に対し外割で5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%の範囲である。この質量が5質量%未満の場合は混合が困難となり均質な成形物を得にくい。また、30質量%を超えると乾燥に長時間を要し、製造効率が低下する。
【0036】
押出成形では湿式法、例えば混合物全量当り15〜30質量%の水を加える方法が用いられる。加圧成形では半乾式法、例えば混合物全量当り15質量%までの水、中でも5〜10質量%の水を加える方法や、乾式法が用いられる。成形物は必要に応じ乾燥し、昇温させ、800〜1000℃、好ましくは850〜950℃の範囲内の温度で焼成する。昇温は5〜20℃/分程度で行えばよい。
【0037】
軽量の固化体を得るためには、砕石微粉末と廃ガラス微粉末の配合に、更に竹粉砕微粉末、おが屑、籾殻粉末等の有機粉末を配合し、その後焼成することにより得られる。
【発明の効果】
【0038】
本発明方法によれば、普通ポルトランドセメントを固化剤として用いる場合は、水酸化マグネシウムあるいは火山ガラス微粉末を配合することにより、pHの低い砕石微粉末の固化体、且つ固形物同様程度の強度を有する固化体を得ることができる。また、砕石微粉末に廃ガラス微粉末を配合し、その後焼成して砕石微粉末を固化する場合は、竹粉砕微粉末、おが屑、籾殻粉末等の有機粉末を配合する。更に、ベントナイトを配合することにより、軽量固化体あるいは砕石と同程度の高強度の固化体を得ることができる。
【0039】
この場合、通常の焼結温度よりも低温で焼成することができ、未利用資源や廃棄物の有効利用や環境保全と相俟って低コスト化を図ることができる。また、この固化体は、原料や製造条件を種々変えることにより、高強度や高吸水率等の物性を適宜変えることができるので、例えば高強度のものは砕石と同様の骨材として、また特に軽量高吸水率のものは、水質浄化資材、汚水浄化資材、ビル屋上緑化用混合資材、植栽用資材などといった種々の用途に供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本実施の形態は、実施例に代えて説明する。
<実施例>
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、各実施例中の配合成分の割合は質量%で表す。
【0041】
<実施例1>
A砕石場の1.2mm以下の砕石微粉末90g、普通ポルトランドセメント5g、水酸化マグネシウム5gをニーダーにて均一になるまで混合し、その後水を12g添加し混練した。得られた混練物を加圧力10MPaで円柱状に成形した。得られた成形体を80℃、半日の蒸気養生後、80℃、1日の水中養生した。このようにして得られた固化体の物性は、圧縮強度が20.6MPa、吸水率が10.5重量%、比重が2.41、pHが10.9であった。なお、比重は吸水状態の固化体の比重で表し、pHは強度測定後の破片をその重量の10倍量の蒸留水に1日浸漬した後の水のpHで表した。
【0042】
<実施例2〜8>
表1に示す組成及び配合比の原料を用いた以外は実施例1と同様にして各固化体を得た。各固化体の物性を表2に示す。
<比較例>
普通ポルトランドセメントだけを用いた。表1に示す組成及び配合比の原料を用いた以外は実施例1と同様にして固化体を得た。固化体の物性を表2に示す。
【0043】
【表1】

表1中の各符号は次のとおりである。
AP:A砕石場の1.2mm以下の砕石微粉末
BP:B砕石場の1.2mm以下の砕石微粉末
PS:普通ポルトランドセメント
HM:水酸化マグネシウム
VG:火山ガラス微粉末
【0044】
【表2】

以上の結果から、少ないセメント量であっても、強度値を確保でき、pH値を低く抑えられることを確認した。
【0045】
<実施例9>
A砕石場の1.2mm以下の砕石微粉末20g、廃ガラス微粉末80gをニーダーにて均一になるまで混合した混合物を耐熱容器に充填し、昇温速度10℃/分で900℃まで昇温し、その温度で30分間保持後冷却した。その結果、溶融発泡固化体を得た。得られた固化体からブロック状の試料を切り出し、その重量と容積から算出されるかさ密度は、0.731g/cmであった。得られた固化体を13.2mm以下に破砕し、9.50,4.75,2.36mmのふるいでふるい分けた。各粒度区分の密度を表3に示す。密度は、ガス置換密度測定器(Quantachrome社製、penta-pycnometer)で測定した。以下の実施例も同様である。
【0046】
【表3】

以上の結果から、水持ちがよく、且つ水はけのよい固化体ができたことを確認した。
【0047】
<実施例10>
A砕石場の1.2mm以下の砕石微粉末20g、廃ガラス微粉末80g、竹粉砕粉末2.5gをニーダーにて均一になるまで混合した混合物を耐熱容器に充填し、昇温速度10℃/分で900℃まで昇温し、その温度で30分間保持後冷却した。その結果、溶融発泡固化体を得た。得られた固化体からブロック状の試料を切り出し、その重量と容積から算出されるかさ密度は、0.631g/cmであった。得られた固化体を13.2mm以下に破砕し、9.50,4.75,2.36mmのふるいでふるい分けた。各粒度区分の密度を表4に示す。
【0048】
【表4】

【0049】
<実施例11〜22>
A砕石場の1.2mm以下の砕石微粉末15〜90g、廃ガラス微粉末5〜90g、ベントナイト5gをニーダーにて均一になるまで混合した後、パン型造粒機で水を添加しながら平均粒径10mmの粒状成形体を作成した。成形体を表5に示すように12種の実施例について作成した。乾燥後回転管状炉(内径42mm、長さ800mmのステンレススチール製)を用いて焼成した。
【0050】
炉投入から排出までは約20分、回転数は3.01rpm、傾斜角度3°20′、炉内最高温度は880〜890℃で、その位置はほぼ炉の中央であった。得られた固化体の吸水率、圧壊強度、密度を図1に示す。なお、密度はヘリウムガス置換密度測定器で測定した。また、圧壊強度は、球状の粒を上下から加圧し、破壊時の加重を球の投影断面積で除した値とした。なお、砕石原岩石の圧縮強度は75〜100MPaであるが、圧壊強度は15〜22MPaである。砕石微粉末の割合が多くなるに従い、密度が高くなること等を確認した。
【0051】
【表5】

表5中の符号は次のとおりである。
AP:A砕石場の1.2mm以下の砕石微粉末
【0052】
<実施例23〜27>
A砕石場の1.2mm以下の砕石微粉末15g、廃ガラス微粉末80g、ベントナイト5g、竹粉砕粉末2.5gをニーダーにて均一になるまで混合した後、パン型造粒機で水を添加しながら平均粒径10mmの粒状成形体を作成した。成形体を表6に示すように5種の実施例について作成した。乾燥後、前記の回転管状炉を用いて焼成した。得られた固化体の吸水率、圧壊強度、密度を図2に示す。この実施例においては、竹粉を添加する方が竹粉を添加しない場合に比し低密度にすることができることを確認した。
【0053】
【表6】

表6中の符号は次のとおりである。
AP:A砕石場の1.2mm以下の砕石微粉末
密度の比較例として、ガラス微粉末にSiCを添加して焼成・発泡させた泡ガラス(商品名:軽量土木材料「スーパーソル」)の気泡の大きさの異なる3種類の試料について、前述の密度測定器で密度を測定した。その結果を表7に示した。
【0054】
【表7】

【0055】
かさ密度は密度よりやや小さい。差が小さいのは含まれている気泡の大半が独立気泡であることを示している。結果はいずれも1以下である。特に植栽用に利用するには水持ちが悪く閉気孔であるため、微生物等が定着し難い構造であり、水質浄化等には不適である。これに対し本実施例の場合は、密度はいずれの場合も1以上であり、水持ちのよい資材として利用できることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、実施例11〜22における固化体の吸水率、圧壊強度、密度を示すデータ図である。
【図2】図2は、実施例23〜27における固化体の吸水率、圧壊強度、密度を示すデータ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砕石微粉末に、質量比が各々1.0:1.0〜1.0:0.5の範囲内で調整された普通ポルトランドセメント及び水酸化マグネシウムの混合物を加えて配合し、水を加えて混練し、成形し、養生して固化した砕石微粉末の固化体。
【請求項2】
砕石微粉末に、質量比が各々1.0:1.0〜1.0:0.5の範囲内で調整された普通ポルトランドセメント及び火山ガラス微粉末の混合物を加えて配合し、水を加えて混練し、成形、養生して固化した砕石微粉末の固化体。
【請求項3】
請求項1及び2記載の砕石微粉末の固化体において、
前記混合物は前記配合された配合物の全質量に対し5〜30質量%の範囲で調整されたものであることを特徴とする砕石微粉末の固化体。
【請求項4】
請求項2記載の砕石微粉末の固化体において、
前記ガラス微粉末の粒度は45μm以下であることを特徴とする砕石微粉末の固化体。
【請求項5】
砕石微粉末と廃ガラス微粉末の混合物において、
前記砕石微粉末の量を前記混合物の10〜80質量%の範囲内に調整し、前記ガラス微粉末の量を前記混合物の20〜90質量%の範囲内に調整して混合し、この混合物を成形し、800〜1000℃の温度の範囲内で焼成して固化した砕石微粉末の固化体。
【請求項6】
砕石微粉末に、質量比が各々1.0:1.0〜1.0:0.5の範囲内で調整された普通ポルトランドセメント及び水酸化マグネシウムの混合物を加えて配合し、この配合物に水を加えて混練し、この混練された配合物を成形し、この成形された配合物を養生して固化することを特徴とする砕石微粉末の固化方法。
【請求項7】
砕石微粉末に、質量比が各々1.0:1.0〜1.0:0.5の範囲内で調整された普通ポルトランドセメント及び火山ガラス微粉末の混合物を加えて配合物とし、この配合物に水を加えて混練し、この混練された配合物を成形し、この成形された配合物を養生して固化することを特徴とする砕石微粉末の固化方法。
【請求項8】
請求項6及び7記載の砕石微粉末の固化方法において、
前記混合物は前記配合された配合物の全質量に対し5〜30質量%の範囲で調整されたものであることを特徴とする砕石微粉末の固化方法。
【請求項9】
請求項7記載の砕石微粉末の固化方法において、
前記火山ガラス微粉末の粒度は45μm以下であることを特徴とする砕石微粉末の固化方法。
【請求項10】
砕石微粉末と廃ガラス微粉末の混合物において、
前記砕石微粉末の量を前記混合物の10〜80質量%の範囲内に調整し、前記ガラス微粉末の量を前記混合物の20〜90質量%の範囲内に調整して混合し、この混合物を成形し、この成形された混合物を800〜1000℃の温度の範囲内で焼成して固化することを特徴とする砕石微粉末の固化方法。
【請求項11】
請求項10記載の砕石微粉末の固化方法において、
前記混合物に竹粉砕微粉、おが屑、籾殻粉末から選択される1つ以上の有機粉末を2〜5質量%の範囲内で加え配合物とし固化することを特徴とする砕石微粉末の固化方法。
【請求項12】
請求項10記載の砕石微粉末の固化方法において、
前記混合物にベントナイトを加え配合物とし、この配合物に水を加えて混練し、この混練された配合物を成形し、この成形された配合物を乾燥し、この乾燥された配合物を焼成して固化することを特徴とする砕石微粉末の固化方法。
【請求項13】
請求項12記載の砕石微粉末の固化方法において、
前記配合物に竹粉砕微粉、おが屑、籾殻粉末から選択される1つ以上の有機粉末を2〜5質量%の範囲内で加え配合物とし固化することを特徴とする砕石微粉末の固化方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−176758(P2007−176758A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378380(P2005−378380)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】