破瓶防止包装容器及び破瓶防止包装容器の包装方法
【課題】 本発明の課題は、容器が衝撃などにより破瓶することを防止する破瓶防止包装容器及び破瓶防止包装容器の包装方法を提供することにある。
【解決手段】 破瓶防止包装容器1は、熱収縮フィルム5を熱収縮させることにより、容器2と容器2を保護するように容器2の下方へ設けられる緩衝部材3とを一体とし固定することができる。緩衝部材3により、容器2に加えられる衝撃を吸収することができ、容器2の破瓶を防止することが可能となる。
【解決手段】 破瓶防止包装容器1は、熱収縮フィルム5を熱収縮させることにより、容器2と容器2を保護するように容器2の下方へ設けられる緩衝部材3とを一体とし固定することができる。緩衝部材3により、容器2に加えられる衝撃を吸収することができ、容器2の破瓶を防止することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイアル容器等の容器が、振動・衝撃等により破瓶するのを防ぐための破瓶防止包装容器及び破瓶防止包装容器の包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図23に示すように、バイアル容器等に使用される容器100は一般的にガラス製であり、容器100を載置する際に強く置きすぎたり、輸送時の振動や落下などの衝撃により破瓶すると、ガラス片101や容器内部の内容物102が飛散するおそれがある。
【0003】
このようなことから、バイアル容器の底部を底部ステッカー等で覆い、側面をスリーブ等で覆い、スリーブを熱収縮によりバイアル容器に密着させることにより、バイアル容器周囲を衛生的に保つとともに、容器に加わる衝撃から破瓶を防止しようとする技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−509864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の構成ではバイアル容器底部は底部ステッカーが設けられているだけで、過度の衝撃からバイアル容器を十分に保護できるものではなかった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑み、容器が衝撃などにより破瓶することを防止する破瓶防止包装容器及び破瓶防止包装容器の包装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の破瓶防止包装容器は、
胴部とその胴部の下端部を構成する底部とを有し、その底部の端面が底面とされ、胴部の上側に形成される開口が蓋部で覆われる容器と、
容器の底部に嵌合され又は突き合わされるように位置し、底面から下方へ突出してその容器を保護する緩衝部材と、
少なくとも容器の胴部と緩衝部材の接合部の周囲を覆うように熱収縮により包装される熱収縮フィルムと、
を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで述べる容器は、代表的には例えばバイアル容器等の円筒状でその上方の開口が蓋部で覆われている容器を例示することができるが、バイアル容器に限られるものではない。また、破瓶防止包装容器とは、バイアル容器等の容器と例えば樹脂で形成される緩衝部材とを熱収縮により収縮する熱収縮フィルムで覆ったものを指す。また、熱収縮フィルムとは、単に熱収縮により収縮するフィルムのほか、フィルムの表面又は裏面が印刷面とされ、フィルムの裏面に糊層を有し、又は有しない熱収縮ラベルを含み、この熱収縮ラベルを代表例に挙げることができる。
【0009】
本発明によれば、バイアル容器等の容器の下方に緩衝部材が設けられており、さらに、容器と緩衝部材は、少なくともそれらの接合部の周囲が熱収縮フィルムにより覆われているので、容器と緩衝部材とを一体化できるようになる。このように一体化しておけば、容器に過度の衝撃が生じたとき、緩衝部材がその衝撃を吸収し、容器を保持することができ、破瓶防止の効果が高くなる。
【0010】
また、熱収縮フィルムは、上端が容器の蓋部の天面に回り込み、下端が緩衝部材の底面に回り込んで、緩衝部材を含む容器の全高に渡る範囲を包装する。
【0011】
これによれば、容器上方の蓋部から下方の緩衝部材までを熱収縮フィルムで覆うことが可能となるので、容器の密封性が高められ、バイアル容器を衛生的に取り扱うことができる。また、万一過度の衝撃により容器が破損したとしても、ガラスや、内部の内容物が飛散しにくくなり、安全である。
【0012】
また、容器は、胴部の途中から上方の蓋部にかけてくびれた形状の肩部を有する形態であって、熱収縮フィルムは、上端が肩部の肩面にかかり、下端が緩衝部材の底面に回り込み、容器の肩部から緩衝部材の底面に渡る範囲を包装する。
【0013】
また、熱収縮フィルムは、上端が胴部の側面にかかり、下端が緩衝部材の底面に回り込み、容器の胴部から緩衝部材の底面に渡る範囲を包装する。
【0014】
また、容器は、胴部の途中から上方の蓋部にかけてくびれた形状の肩部を有する形態であって、熱収縮フィルムは、上端が肩部の肩面にかかり、下端が緩衝部材の側面にかかり、容器の肩部から緩衝部材の側面に渡る範囲を包装する。
【0015】
これらによれば、容器上方にくびれた形状の肩部が形成されている場合、熱収縮フィルムはその肩部の肩面にかかることとなり、熱収縮フィルムがはずれにくくなる。さらに、蓋部の天面まで包装されていないので、蓋部の開閉が容易であるとともに熱収縮フィルムの使用量を減らすことができる。
【0016】
また、緩衝部材の底面まで回り込むように熱収縮フィルムで覆われている場合は、熱収縮フィルムにより緩衝部材の容器からの抜け防止になる。ただし、熱収縮フィルムを使用しているので、容器胴部の側面、緩衝部材の側面にかかる位置が覆われているだけの場合であっても、十分に収縮してさえいれば、容器と緩衝部材とを一体化することは可能であり、熱収縮フィルムの使用量を減らすことができる。
【0017】
また、緩衝部材は、容器の底部に嵌合又は接触する側壁と、その側壁の下部に形成された底壁と、側壁もしくは底壁から延び出て容器の底部に接触するストッパとを有する。
【0018】
これによれば、緩衝部材の側壁が容器の底部と嵌合又は接触しているので、横方向のずれを防止できる。また、側壁もしくは底壁から延び出て容器の底部に接触するストッパが形成されているので、容器の嵌合代を一義的に決定することができる。
【0019】
また、緩衝部材の側壁の容器側には、上方に向かうほど拡径するテーパ部が形成され、容器は、そのテーパ部と嵌合又は接触する。
【0020】
これによれば、テーパ部により、容器と緩衝部材とを取付けやすく、また、容器と緩衝部材との接合部に連続した外面を形成しやすい。
【0021】
また、緩衝部材のストッパは、緩衝部材の側壁の内側に形成され、容器の底部と緩衝部材の底壁又は接地面との間に中空部が形成される。
【0022】
これによれば、緩衝部材には中空部が形成されているので、バイアル容器に過度の衝撃が加わったときにその中空部がクッションの役割を果たし、耐衝撃性が向上する。
【0023】
また、ストッパが側壁内面から横方向へ突出した後、上方へ延びる環状の形態で形成され、その上端面が容器の底面に当接する。
【0024】
これによれば、ストッパの上端面が容器の底面に当接しているので、環状のライン上で容器の嵌合代は一義的に高さが決定される。また、ストッパは横方向へ突出した後、上方へ延びているので、その断面はL字状であり、その部分で衝撃を吸収できる。
【0025】
具体的に述べると、ストッパは、容器に衝撃が加えられた際、容器の底面と当接する上端面が内側へ折れ曲がるとともに、テーパ部が容器の角部に沿って外側へ折れ曲がる。これによれば、容器に加えられる衝撃をさらに吸収することが可能となる。
【0026】
また、中空部は、容器が破損した場合に、容器内部の内容物をその中空部内に受止める。これによれば、容器が破損したとしても内部の内容物が外に漏れ出すことが無く、安全である。
【0027】
また、本発明の破瓶防止包装容器の包装方法は、
胴部とその胴部の下端部を構成する底部とを有し、その底部の端面が底面とされ、胴部の上側に形成される開口が蓋部で覆われる容器を用意する工程と、
その容器の底部に緩衝部材を嵌合し又は突き合わすように位置させる工程と、
その状態で熱収縮フィルムを少なくとも容器の胴部と緩衝部材との接合部の周囲を覆うように被せた後、熱収縮させて少なくとも容器の胴部及び緩衝部材の外面に密着させる工程と、
を含むことを特徴とする。
【0028】
これによれば、熱収縮によって収縮される熱収縮フィルムにより、バイアル容器等の容器と緩衝部材とを一体化した包装容器として包装することができる。そして、緩衝部材が容器の底部に設けられているため、運搬時の振動や、過度の衝撃に強い包装容器とすることができる。
【0029】
また、上端が容器の蓋部の天面に回り込み、下端が緩衝部材の底面に回り込むように、緩衝部材を含む容器の全高に渡る範囲を熱収縮フィルムにより包装する構成としてもよい。
【0030】
これによれば、容器の蓋部から、緩衝部材までの範囲を包装する場合、容器のバージン性が保たれ、衛生的である。また、容器下部の緩衝部材により、耐衝撃性のある包装容器とすることが可能である。さらに、過度の衝撃により破瓶したとしても、ガラスや内部の内容物が飛散しにくくなり、安全な包装とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る破瓶防止包装容器を示す図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1の底面図。
【図4】図1のA−A断面図。
【図5】緩衝部材を示す図。
【図6】図5のC−C断面図。
【図7】図4のB−B部分拡大図及び衝撃時の様子を示す図。
【図8】破瓶防止包装容器の包装方法を示す図。
【図9】別の包装がなされた破瓶防止包装容器を示す図。
【図10】別の包装がなされた破瓶防止包装容器を示す図。
【図11】別の包装がなされた破瓶防止包装容器を示す図。
【図12】別の包装がなされた破瓶防止包装容器を示す図。
【図13】緩衝部材の変形例を示す図。
【図14】緩衝部材の変形例を示す図。
【図15】緩衝部材の変形例を示す図。
【図16】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図17】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図18】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図19】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図20】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図21】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図22】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図23】従来のバイアル容器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る破瓶防止包装容器1を示す正面図である。破瓶防止包装容器1は、バイアル容器(以下単に容器ともいう)2と、緩衝部材3及び熱収縮フィルム5を備えている。容器2は、胴部2aとその胴部2aの下端部を構成する底部2b(図4参照)とを有し、その底部2bの端面が底面2b1(図4参照)とされ、円筒状の胴部2aの上側に形成される開口2dがキャップ部4a及び封止部4bを含む蓋部4で覆われている。また、容器2の底部2bに対し突き合わされるように位置し、容器2の底面2b1から下方へ突出してその容器2を保護する緩衝部材3を備えている。さらに、図2に示す平面図及び図3に示す底面図から分かるように、上端が容器2の蓋部4(キャップ部4a)の天面4a1に回り込み、下端が緩衝部材3の底面3b1に回り込んで、緩衝部材3を含む容器2の全高に渡る範囲が熱収縮性の表示付熱収縮フィルム(熱収縮ラベル)5で覆われている。この熱収縮フィルム5の裏面には、糊層が形成されており、熱収縮時に糊面が容器2又は緩衝部材3の表面と接着するようになっている。また、熱収縮フィルム5の表面又は裏面には、内部の内容物に関しての情報が印刷された印刷領域6が形成されている。ここで、蓋部4の近傍に設けられた熱収縮フィルム5のミシン目5aを切取ることでキャップ部4aを取り外すことが可能となる。
【0033】
容器2は、図1のA−A断面図としての図4に示すように、底部2bから上方へ延びる胴部2aを有し、さらに胴部2aの途中から上方の蓋部4にかけてくびれた形状の肩部2cを有しており、肩部2cの先端は開口部2dとなっている。このような医療用のバイアル容器2は、一般的にガラス製であり、内部2eに薬液等の内容物が注入される。
【0034】
蓋部4は、キャップ部4a、封止部4b、封止栓4cから形成されており、容器2の開口部2dを弾性体で形成される封止栓4cで栓をし、その回りを金属製の封止部4bで固定している。さらに、封止部4b及び封止栓4cの上面を覆うようにキャップ部4aが設けられている。使用する際は、キャップ部4aを外し、注射器等を使用し、針の先端で封止栓4cを突き抜け内部の薬液等を抜き取る。
【0035】
緩衝部材3は、容器2の胴部2aと連続するように側壁3aが形成されており、その側壁3aの下部に底壁3bが設けられている。そして、側壁3aから伸ばされて容器2の底面2b1に接触するストッパ3cを有している。なお、緩衝部材3の材質としては、一般的な樹脂が使用される。
【0036】
熱収縮フィルム5は、図4に示すように容器2と緩衝部材3の周囲を覆っている。具体的に説明すると、図2に示すように上端が容器2の蓋部4(キャップ部4a)の天面4a1の一部に回り込み、肩部2c、胴部2a、緩衝部材3の側壁3aを覆っている。さらに、図3に示すように下端が緩衝部材3の底面3b1の一部に回り込み、緩衝部材3を含む容器2の全高に渡る範囲を包装している。なお、熱収縮フィルム5の厚みは、説明を分かり易くするために誇張して描いており、実際は容器2の厚みに比べ非常に薄いものである。
【0037】
緩衝部材3について図5、図6、図7により詳細に説明する。緩衝部材3は、図5の平面図に示すように、容器2の底部2bの形状と同様、円形の形態を有している。また、図6に示すC−C断面図、図7(a)に示すB−B部分拡大図のように、側壁3aの先端部に上方に向かうほど拡径する(上方に向かうにつれ内側から外側に傾く(d2>d1となる))テーパ部3dを有しており、テーパ部3dは容器2の角部2fと対応する位置に形成されている。側壁3aの途中からは、側壁3a内面から横方向へ内側に向かってフランジ部3fが形成されており、さらに上方に向けて延びる環状のストッパ3cが形成されている。ストッパ部3cの上端面3c1が容器2の底面2b1と当接する。なお、ストッパ3cとはフランジ部3fを含むものである。そして、ストッパ3cによって容器2の底部2bと緩衝部材3の底壁3bとの間(容器2の底面2b1と緩衝部材3の底面3b1(接地面)との間)に中空部3eが形成されている。
【0038】
ここで、緩衝部材3のテーパ部3dは、容器2の角部2fと対応する位置関係にあるので、容器2に緩衝部材3を取付ける場合に取付け易く(嵌め込み易く)なっている。さらに、テーパ部3dの先端は、ストッパ3cの上端面3c1より高い位置に形成されているので、嵌め合わせ時や取付け後に横ズレ等が起きにくくなる。
【0039】
また、緩衝部材3にはストッパ3cが設けられており、ストッパ3cの上端面3c1が容器2の底面2b1と当接しているので、環状のライン上で容器2の嵌合代は一義的に高さが決定される。
【0040】
また、緩衝部材3の側壁3aと容器2の胴部2aは連続するように一直線状に形成されているので、緩衝部材3が容器2の底部2bより大きく形成されているものに比べ幅方向の場所を取らず、破瓶防止包装容器1の保管が容易になる。
【0041】
次に、バイアル容器2に衝撃が加わった場合について図7(b)により説明する。図7(a)の状態からバイアル容器2に衝撃が加わると、図7(b)に示すように、緩衝部材3に形成された空気の入った中空部3eがクッションの役割を果たし、容器2の衝撃を緩和できる。さらに、断面L字状のストッパ3cが内側に折れ曲がり、テーパ部3dは容器2の角部2fに沿って外側に折れ曲がるので、より衝撃を吸収できる。ここで、熱収縮フィルム5は、容器2の胴部2aと緩衝部材3との接合部7の周囲を覆うように設けられているので、テーパ部3dは熱収縮フィルム5によって受止められる。
【0042】
また、万が一過度の衝撃などにより容器2が破瓶したとしても、容器2は熱収縮フィルム5により覆われているので、内部の薬液等やガラス片が飛散することはない。また、緩衝部材3には中空部3eが形成されているので、内部の薬液等が漏れ出したとしても、その薬液等は中空部3eに溜められるので、外部に漏れ出すことがなく安全である。このように本発明によると、中空部3eを形成した緩衝部材3と熱収縮フィルム5とにより、バイアル容器2の運搬時の振動や、容器2の落下などの過度の衝撃から容器2を守ることができる破瓶防止効果の高い破瓶防止包装容器1を構成できる。
【0043】
ここで、破瓶防止包装容器1の包装方法を図8により説明する。なお、図8において、緩衝部材3はその様子が分かりやすいように断面図として説明する。まず、図8(a)に示すように、蓋部4が設けられているバイアル容器2を用意し、その容器2に対し、容器2の底部2bに緩衝部材3を突き合わすように位置させ、容器2を保護するように取付ける(図8(b))。
【0044】
図8(b)に示されるように、容器2の底部2に緩衝部材3が嵌め合わされるときは、容器2の底部2bと緩衝部材3のストッパ3cが接触する(容器2の底面2b1と緩衝部材3のストッパ3cの上端面3c1が当接する)ことで、容器2と緩衝部材3が固定される。さらに、このとき容器2の角部2fと緩衝部材3のテーパ部3dが対応する位置関係にあるので、嵌め合わせが容易にできる。
【0045】
そして、図8(c)に示されるように、容器2及び緩衝部材3の周囲に熱収縮フィルム5を配置させ、容器2及び緩衝部材3の周囲を覆うように被せる。なお、熱収縮フィルム5の形状は具体的に示していないが、熱収縮後に容器2を覆うだけの長さ及び大きさがあれば良い。また、熱収縮フィルム5としては、特に限定されず、例えばポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から構成される1種又は2種以上の混合物を含むフィルムを用いることができる。
【0046】
そして、図8(d)に示されるように、熱収縮フィルム5を熱収縮させ、容器2の胴部2a及び緩衝部材3の外面に密着させる。熱収縮フィルム5の裏面には糊が付着されているので、容器2の胴部2a表面及び緩衝部材3の表面と熱収縮フィルム5が強固に接着するようになる。この工程において、容器2及び緩衝部材3が熱収縮フィルム5により包装され、破瓶防止包装容器1が形成される。このように、熱収縮フィルム5により、容器2の胴部2a(図4参照)と緩衝部材3の接合部7(図7参照)が覆われるようになるので、容器2と緩衝部材3とを一体とすることができる。このとき、容器2の底部2bと平行に緩衝部材3の底壁3bが配置されており、その底壁3bに対して、水平に熱収縮フィルム5が包装されているので、床面Yに対して、破瓶防止包装容器1を垂直に立てることができる。
【0047】
そして、このように、容器2上方の蓋部4から下方の緩衝部材3までが熱収縮フィルム5で覆われているので、容器2の密封性が高められ、バイアル容器2を衛生的に取り扱うことができる。また、緩衝部材3が一体的に取付けられるので、容器2を載置する際に強く置き過ぎたり、輸送時の振動や落下の衝撃などから、容器2を保護することができる。さらに、万が一外部からの過度の衝撃により容器2が破損したとしても、ガラスや、内部の内容物が飛散しにくくなり、安全な破瓶防止包装容器1及びその包装方法とすることができる。
【0048】
次に、図9〜図12に別形態の包装がなされた破瓶防止包装容器1を示す。図9に示すように、熱収縮フィルム5は容器2の肩部2cの肩面2c1、胴部2aの側面、緩衝部材3の側壁3a、底部3b(底面3b1)の一部にかけての範囲を包装するようにしてもよい。この場合、容器2の肩部2cが抜け防止のストッパとしての役目を果たすので、熱収縮フィルム5は肩部2cの片面2c1にかかり、はずれにくくなり、容器2からズレ落ちることがない。また、蓋部4の天面4a1まで包装されていないので、蓋部4の開閉が容易であるとともに熱収縮フィルム5の使用量を減らすことができる。
【0049】
また、図10に示すように、熱収縮フィルム5は容器2の胴部2aの側面、緩衝部材3の側壁3a、底壁3b(底面3b1)の一部にかけて包装するようにしてもよい。胴部2aは、緩衝部材3の側壁3aに比べ長く形成されているので、熱収縮フィルム5がズレ落ちる心配はなく、図9の場合より収縮フィルム5の使用量をさらに減らすことができる。また、緩衝部材3の底面3b1が熱収縮フィルム5で覆われているので、緩衝部材3の抜け防止になる。
【0050】
また、図11に示すように、熱収縮フィルム5は蓋部4(キャップ部4a)の天面4a1の一部、容器2の胴部2aの側面、緩衝部材3の側壁3aにかけての範囲を包装されるようにしてもよい。このように包装すると、緩衝部材3が下方に抜ける恐れがあるが、熱収縮フィルム5が十分に収縮されていれば、緩衝部材3が締め付けられるので、容器2と緩衝部材3は強固に固定できる。そして、この態様によれば、緩衝部材3の底壁3b(底面3b1)全体が床面に接するので、容器2を床面に立てる時の安定性が増す。また、ミシン目5aが容器2の肩部2cに対応した位置に設けられている。このような位置にミシン目5aが形成されることで、熱収縮フィルム5の肩部2cより上部を取ることができる。よって、蓋部4は全て露出されるので使い勝手が良く、蓋部4(キャップ部4a)の開閉も行い易い。
【0051】
また、図12に示すように、熱収縮フィルム5を容器2の胴部2aの側面、緩衝部材3の側壁3aとを覆うように包装してもよい。このように包装すると、熱収縮フィルム5の量をかなり減らせることになる。しかし、減らした場合であっても、熱収縮フィルム5が十分に熱収縮されてさえいれば、容器2と緩衝部材3とを一体化することは可能である。
【0052】
このように、少なくとも容器2の胴部2aと緩衝部材3の接合部7(図7参照)の周囲を熱収縮フィルム5で覆い、熱収縮フィルム5を熱収縮させ固定することで、容器2と緩衝部材3とを一体化することが可能となる。そして、一体化することで、中空部3eが設けられた緩衝部材3を容器2の下方に取付けることができるので、破瓶防止に繋がる。
【0053】
図13〜図15に緩衝部材3の変形例を示す。図13に示す緩衝部材30は、側壁30aの上方に容器2の角部2fと対応する位置にテーパ部30dが形成されている。容器2の底面2b1(図示せず)と下方で接触する環状のストッパ30cは、緩衝部材30の底壁30bから垂直に延びて容器2の底部2bを支えるように形成されている。そして、ストッパ30cにより、容器2の底部2bと緩衝部材30の底壁30bとの間に中空部30eが形成される。このような形状とすることで緩衝部材30を製造する場合の金型等の作成が容易になる。
【0054】
また、図14に示す緩衝部材31は、側壁31aの上方に容器2の角部2fと対応する位置にテーパ部31dが形成されており、側壁31aから内側に向けてフランジ部31fが延び、さらに容器2の底面2b1(図示せず)と接触するように上方へ向けて第一ストッパ31c1が延びている。さらに、底壁31bの中央付近から上方へ向けて垂直に第二ストッパ31c2が延びている。このように、第二ストッパ31c2を設けることで、容器2自体を支える強度を増すことができる。このとき、環状に形成される第1ストッパ31c1、第二ストッパ31c2によって緩衝部材3の底壁3bと容器2の底部2bとの間に第1中空部31e1、第2中空部31e2となる空気の入る場所を2ヶ所設けることができ、衝撃吸収性が高まる。
【0055】
また、図15に示す緩衝部材32は、側壁32aの上方に容器2の角部2fと対応する位置にテーパ部32dが形成されており、側壁32aから内側に向けて水平部32fが延び、向かいの側壁部32aと繋がっている。そして、水平部32fの上面に容器2の底面2b1(図示せず)と接触するように上方へ向けてストッパ32cが形成されている。このような形態とすることで、ストッパ32cによって緩衝部材32の底壁32bと容器2の底部2bとの間には、上から順に第1中空部32e1、第2中空部32e2の計2ヶ所の空間を形成することができる。第二中空部32e2は、全方向が緩衝部材32の一部で囲まれているので内部の空気をその空間に閉じ込めることができ、衝撃により空気が外部に漏れることが無く、耐衝撃性が高くなる。
【0056】
なお、上記したようなバイアル容器2以外の容器にも、この緩衝部材3を使用することは勿論可能であり、容器の形状に合わせ緩衝部材3の形状を適宜変更するようにすればよい。
【0057】
さらに、図16〜図22に容器2と緩衝部材(33〜39)の変形例の位置関係を示す。図16に示すように、容器2の底部2bに緩衝部材33の側壁33aが嵌合している。緩衝部材33の上面33c1と容器2の底面2b1が接触しており、緩衝部材33は、上面33c1から底面33b1に行くにつれ径が大きくなっており、床面に置いたときの安定性が高い。また、容器2の底部2bは側壁2aに沿って嵌め合わせばよいので、挿入が容易である。
【0058】
また、図17に示す例では、緩衝部材34の側壁34aがストッパ34cとして働いている。つまり、容器2の角部2fの下方に沿って環状にストッパ34cが形成されており、容器2の底部2bと緩衝部材34の底壁34bとの間に中空部34eが形成されている。
【0059】
また、図18に示す例では、緩衝部材35の側壁35aの上部に形成されたテーパ部35dが容器2の角部2fと対応する位置で接触し、容器2を支持している。このテーパ部35dは、ストッパ35cとしての役割も果たしており、容器の嵌合代を一義的に決定している。なお、容器2の底部2bと緩衝部材35の底壁35bとの間に中空部35eが形成されている。
【0060】
また、図19に示す例では、緩衝部材36の側壁36aの上部に形成されたテーパ部36dが容器2の角部2fと対応する位置で接触している。さらに、底壁36bから上方に延びるストッパ36cが容器2の底面2b1と接触し、嵌合代を一義的に決定している。なお、容器2の底部2bと緩衝部材36の底壁36bとの間には、第一中空部36e1、第二中空部36e2が形成されている。
【0061】
また、図20に示す例では、緩衝部材37の側壁37aの途中から内側へフランジ部37fが延びている。このフランジ部37fの上面が容器2の底面2b1と接触し、ストッパ37cとして機能している。側壁37aは、環状に容器2の底部2b(胴部2a)と対応する位置に配置されるので、容器2との嵌合を容易に行うことができる。なお、容器2の底部2bと緩衝部材37の底壁37bとの間に中空部37eが形成されている。
【0062】
また、図21に示す例では、緩衝部材38の側壁38aが容器2の底部2b(胴部2a)と対応する位置に形成される。また、底壁38bからストッパ38cが上方に延び、容器2の底部2b(底面2b1)と接触している。なお、容器2の底部2bと緩衝部材38の底壁38bとの間に第一中空部38e1、第二中空部38e2が形成されている。
【0063】
また、図22に示す例では、緩衝部材39の側壁39aが容器2の底部2b(胴部2a)と対応する位置に形成される。また、側壁39aの途中から内側に向けフランジ部39fが延び、そこからさらに折れ曲がり上方に向けてストッパ39cが延びている。そして、ストッパ39cが容器2の底部2b(底面2b1)と接触している。なお、容器2の底部2bと緩衝部材39の底壁39bとの間に第一中空部39e1、第二中空部39e2が形成されている。
【0064】
ここで、上記に示した緩衝部材33〜39により、容器2の胴部2aと側壁33a〜39aとに連続した外面が形成される。このように連続した外面が形成されることで、熱収縮フィルム5をその容器2の外面に合わせ密着させて覆うことができる。
【0065】
上記で示す実施例において、緩衝部材3は弾性変形可能な樹脂を使用する場合を想定したが、その材質は特に限定されず、使用に合わせ適宜変更可能である。また、樹脂のみでは無く、紙やゲル状の材質のものでも良く、耐衝撃性を有するものならば良く、ストッパ3cなど一部分のみを他の材質と変更することも可能である。
【0066】
また、上記で示す実施例において、熱収縮フィルム5の表面は、熱収縮フィルム5の一部が印刷領域6とされているが、熱収縮フィルム5の全面を印刷領域6としてもよい。また、容器2の表面に容器内部の情報が印刷された表示ラベルを予め取付けた後、その上から表示印刷された熱収縮フィルム(熱収縮ラベル)5に代えて表示印刷のされていない熱収縮フィルムを巻き付けるようにしてもよい。この場合、熱収縮フィルムを透明とすれば、熱収縮フィルムの下方の容器2に貼布された表示ラベルの印刷がその熱収縮フィルムを通して外から見えることとなる。また、熱収縮フィルム5の裏面には糊面が形成されている場合を示したが、必ずしも裏面の糊は必要ではなく、裏面に糊のない熱収縮フィルムを使用してもよい。この場合は、熱収縮に伴い熱収縮フィルムが容器2や緩衝部材3の表面に密着し又は接触し、一体化されることとなる。
【0067】
また、上記で示す実施例において、ミシン目5aの位置は使用用途に合わせ適宜変更が可能である。例えば、蓋部4に対して水平にミシン目5aが入っている場合を示したが、蓋部4に対して縦方向に形成してもよく、熱収縮フィルム5の全面にミシン目5aを設け、廃棄の際に容器2と緩衝部材3を分離できるようにしてもよい。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 破瓶防止包装容器
2 容器(バイアル容器)
3 緩衝部材
3c ストッパ
3e 中空部
4 蓋部
5 熱収縮フィルム
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイアル容器等の容器が、振動・衝撃等により破瓶するのを防ぐための破瓶防止包装容器及び破瓶防止包装容器の包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図23に示すように、バイアル容器等に使用される容器100は一般的にガラス製であり、容器100を載置する際に強く置きすぎたり、輸送時の振動や落下などの衝撃により破瓶すると、ガラス片101や容器内部の内容物102が飛散するおそれがある。
【0003】
このようなことから、バイアル容器の底部を底部ステッカー等で覆い、側面をスリーブ等で覆い、スリーブを熱収縮によりバイアル容器に密着させることにより、バイアル容器周囲を衛生的に保つとともに、容器に加わる衝撃から破瓶を防止しようとする技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−509864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の構成ではバイアル容器底部は底部ステッカーが設けられているだけで、過度の衝撃からバイアル容器を十分に保護できるものではなかった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑み、容器が衝撃などにより破瓶することを防止する破瓶防止包装容器及び破瓶防止包装容器の包装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の破瓶防止包装容器は、
胴部とその胴部の下端部を構成する底部とを有し、その底部の端面が底面とされ、胴部の上側に形成される開口が蓋部で覆われる容器と、
容器の底部に嵌合され又は突き合わされるように位置し、底面から下方へ突出してその容器を保護する緩衝部材と、
少なくとも容器の胴部と緩衝部材の接合部の周囲を覆うように熱収縮により包装される熱収縮フィルムと、
を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで述べる容器は、代表的には例えばバイアル容器等の円筒状でその上方の開口が蓋部で覆われている容器を例示することができるが、バイアル容器に限られるものではない。また、破瓶防止包装容器とは、バイアル容器等の容器と例えば樹脂で形成される緩衝部材とを熱収縮により収縮する熱収縮フィルムで覆ったものを指す。また、熱収縮フィルムとは、単に熱収縮により収縮するフィルムのほか、フィルムの表面又は裏面が印刷面とされ、フィルムの裏面に糊層を有し、又は有しない熱収縮ラベルを含み、この熱収縮ラベルを代表例に挙げることができる。
【0009】
本発明によれば、バイアル容器等の容器の下方に緩衝部材が設けられており、さらに、容器と緩衝部材は、少なくともそれらの接合部の周囲が熱収縮フィルムにより覆われているので、容器と緩衝部材とを一体化できるようになる。このように一体化しておけば、容器に過度の衝撃が生じたとき、緩衝部材がその衝撃を吸収し、容器を保持することができ、破瓶防止の効果が高くなる。
【0010】
また、熱収縮フィルムは、上端が容器の蓋部の天面に回り込み、下端が緩衝部材の底面に回り込んで、緩衝部材を含む容器の全高に渡る範囲を包装する。
【0011】
これによれば、容器上方の蓋部から下方の緩衝部材までを熱収縮フィルムで覆うことが可能となるので、容器の密封性が高められ、バイアル容器を衛生的に取り扱うことができる。また、万一過度の衝撃により容器が破損したとしても、ガラスや、内部の内容物が飛散しにくくなり、安全である。
【0012】
また、容器は、胴部の途中から上方の蓋部にかけてくびれた形状の肩部を有する形態であって、熱収縮フィルムは、上端が肩部の肩面にかかり、下端が緩衝部材の底面に回り込み、容器の肩部から緩衝部材の底面に渡る範囲を包装する。
【0013】
また、熱収縮フィルムは、上端が胴部の側面にかかり、下端が緩衝部材の底面に回り込み、容器の胴部から緩衝部材の底面に渡る範囲を包装する。
【0014】
また、容器は、胴部の途中から上方の蓋部にかけてくびれた形状の肩部を有する形態であって、熱収縮フィルムは、上端が肩部の肩面にかかり、下端が緩衝部材の側面にかかり、容器の肩部から緩衝部材の側面に渡る範囲を包装する。
【0015】
これらによれば、容器上方にくびれた形状の肩部が形成されている場合、熱収縮フィルムはその肩部の肩面にかかることとなり、熱収縮フィルムがはずれにくくなる。さらに、蓋部の天面まで包装されていないので、蓋部の開閉が容易であるとともに熱収縮フィルムの使用量を減らすことができる。
【0016】
また、緩衝部材の底面まで回り込むように熱収縮フィルムで覆われている場合は、熱収縮フィルムにより緩衝部材の容器からの抜け防止になる。ただし、熱収縮フィルムを使用しているので、容器胴部の側面、緩衝部材の側面にかかる位置が覆われているだけの場合であっても、十分に収縮してさえいれば、容器と緩衝部材とを一体化することは可能であり、熱収縮フィルムの使用量を減らすことができる。
【0017】
また、緩衝部材は、容器の底部に嵌合又は接触する側壁と、その側壁の下部に形成された底壁と、側壁もしくは底壁から延び出て容器の底部に接触するストッパとを有する。
【0018】
これによれば、緩衝部材の側壁が容器の底部と嵌合又は接触しているので、横方向のずれを防止できる。また、側壁もしくは底壁から延び出て容器の底部に接触するストッパが形成されているので、容器の嵌合代を一義的に決定することができる。
【0019】
また、緩衝部材の側壁の容器側には、上方に向かうほど拡径するテーパ部が形成され、容器は、そのテーパ部と嵌合又は接触する。
【0020】
これによれば、テーパ部により、容器と緩衝部材とを取付けやすく、また、容器と緩衝部材との接合部に連続した外面を形成しやすい。
【0021】
また、緩衝部材のストッパは、緩衝部材の側壁の内側に形成され、容器の底部と緩衝部材の底壁又は接地面との間に中空部が形成される。
【0022】
これによれば、緩衝部材には中空部が形成されているので、バイアル容器に過度の衝撃が加わったときにその中空部がクッションの役割を果たし、耐衝撃性が向上する。
【0023】
また、ストッパが側壁内面から横方向へ突出した後、上方へ延びる環状の形態で形成され、その上端面が容器の底面に当接する。
【0024】
これによれば、ストッパの上端面が容器の底面に当接しているので、環状のライン上で容器の嵌合代は一義的に高さが決定される。また、ストッパは横方向へ突出した後、上方へ延びているので、その断面はL字状であり、その部分で衝撃を吸収できる。
【0025】
具体的に述べると、ストッパは、容器に衝撃が加えられた際、容器の底面と当接する上端面が内側へ折れ曲がるとともに、テーパ部が容器の角部に沿って外側へ折れ曲がる。これによれば、容器に加えられる衝撃をさらに吸収することが可能となる。
【0026】
また、中空部は、容器が破損した場合に、容器内部の内容物をその中空部内に受止める。これによれば、容器が破損したとしても内部の内容物が外に漏れ出すことが無く、安全である。
【0027】
また、本発明の破瓶防止包装容器の包装方法は、
胴部とその胴部の下端部を構成する底部とを有し、その底部の端面が底面とされ、胴部の上側に形成される開口が蓋部で覆われる容器を用意する工程と、
その容器の底部に緩衝部材を嵌合し又は突き合わすように位置させる工程と、
その状態で熱収縮フィルムを少なくとも容器の胴部と緩衝部材との接合部の周囲を覆うように被せた後、熱収縮させて少なくとも容器の胴部及び緩衝部材の外面に密着させる工程と、
を含むことを特徴とする。
【0028】
これによれば、熱収縮によって収縮される熱収縮フィルムにより、バイアル容器等の容器と緩衝部材とを一体化した包装容器として包装することができる。そして、緩衝部材が容器の底部に設けられているため、運搬時の振動や、過度の衝撃に強い包装容器とすることができる。
【0029】
また、上端が容器の蓋部の天面に回り込み、下端が緩衝部材の底面に回り込むように、緩衝部材を含む容器の全高に渡る範囲を熱収縮フィルムにより包装する構成としてもよい。
【0030】
これによれば、容器の蓋部から、緩衝部材までの範囲を包装する場合、容器のバージン性が保たれ、衛生的である。また、容器下部の緩衝部材により、耐衝撃性のある包装容器とすることが可能である。さらに、過度の衝撃により破瓶したとしても、ガラスや内部の内容物が飛散しにくくなり、安全な包装とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る破瓶防止包装容器を示す図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1の底面図。
【図4】図1のA−A断面図。
【図5】緩衝部材を示す図。
【図6】図5のC−C断面図。
【図7】図4のB−B部分拡大図及び衝撃時の様子を示す図。
【図8】破瓶防止包装容器の包装方法を示す図。
【図9】別の包装がなされた破瓶防止包装容器を示す図。
【図10】別の包装がなされた破瓶防止包装容器を示す図。
【図11】別の包装がなされた破瓶防止包装容器を示す図。
【図12】別の包装がなされた破瓶防止包装容器を示す図。
【図13】緩衝部材の変形例を示す図。
【図14】緩衝部材の変形例を示す図。
【図15】緩衝部材の変形例を示す図。
【図16】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図17】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図18】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図19】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図20】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図21】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図22】容器と緩衝部材の変形例の位置関係を示す図。
【図23】従来のバイアル容器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る破瓶防止包装容器1を示す正面図である。破瓶防止包装容器1は、バイアル容器(以下単に容器ともいう)2と、緩衝部材3及び熱収縮フィルム5を備えている。容器2は、胴部2aとその胴部2aの下端部を構成する底部2b(図4参照)とを有し、その底部2bの端面が底面2b1(図4参照)とされ、円筒状の胴部2aの上側に形成される開口2dがキャップ部4a及び封止部4bを含む蓋部4で覆われている。また、容器2の底部2bに対し突き合わされるように位置し、容器2の底面2b1から下方へ突出してその容器2を保護する緩衝部材3を備えている。さらに、図2に示す平面図及び図3に示す底面図から分かるように、上端が容器2の蓋部4(キャップ部4a)の天面4a1に回り込み、下端が緩衝部材3の底面3b1に回り込んで、緩衝部材3を含む容器2の全高に渡る範囲が熱収縮性の表示付熱収縮フィルム(熱収縮ラベル)5で覆われている。この熱収縮フィルム5の裏面には、糊層が形成されており、熱収縮時に糊面が容器2又は緩衝部材3の表面と接着するようになっている。また、熱収縮フィルム5の表面又は裏面には、内部の内容物に関しての情報が印刷された印刷領域6が形成されている。ここで、蓋部4の近傍に設けられた熱収縮フィルム5のミシン目5aを切取ることでキャップ部4aを取り外すことが可能となる。
【0033】
容器2は、図1のA−A断面図としての図4に示すように、底部2bから上方へ延びる胴部2aを有し、さらに胴部2aの途中から上方の蓋部4にかけてくびれた形状の肩部2cを有しており、肩部2cの先端は開口部2dとなっている。このような医療用のバイアル容器2は、一般的にガラス製であり、内部2eに薬液等の内容物が注入される。
【0034】
蓋部4は、キャップ部4a、封止部4b、封止栓4cから形成されており、容器2の開口部2dを弾性体で形成される封止栓4cで栓をし、その回りを金属製の封止部4bで固定している。さらに、封止部4b及び封止栓4cの上面を覆うようにキャップ部4aが設けられている。使用する際は、キャップ部4aを外し、注射器等を使用し、針の先端で封止栓4cを突き抜け内部の薬液等を抜き取る。
【0035】
緩衝部材3は、容器2の胴部2aと連続するように側壁3aが形成されており、その側壁3aの下部に底壁3bが設けられている。そして、側壁3aから伸ばされて容器2の底面2b1に接触するストッパ3cを有している。なお、緩衝部材3の材質としては、一般的な樹脂が使用される。
【0036】
熱収縮フィルム5は、図4に示すように容器2と緩衝部材3の周囲を覆っている。具体的に説明すると、図2に示すように上端が容器2の蓋部4(キャップ部4a)の天面4a1の一部に回り込み、肩部2c、胴部2a、緩衝部材3の側壁3aを覆っている。さらに、図3に示すように下端が緩衝部材3の底面3b1の一部に回り込み、緩衝部材3を含む容器2の全高に渡る範囲を包装している。なお、熱収縮フィルム5の厚みは、説明を分かり易くするために誇張して描いており、実際は容器2の厚みに比べ非常に薄いものである。
【0037】
緩衝部材3について図5、図6、図7により詳細に説明する。緩衝部材3は、図5の平面図に示すように、容器2の底部2bの形状と同様、円形の形態を有している。また、図6に示すC−C断面図、図7(a)に示すB−B部分拡大図のように、側壁3aの先端部に上方に向かうほど拡径する(上方に向かうにつれ内側から外側に傾く(d2>d1となる))テーパ部3dを有しており、テーパ部3dは容器2の角部2fと対応する位置に形成されている。側壁3aの途中からは、側壁3a内面から横方向へ内側に向かってフランジ部3fが形成されており、さらに上方に向けて延びる環状のストッパ3cが形成されている。ストッパ部3cの上端面3c1が容器2の底面2b1と当接する。なお、ストッパ3cとはフランジ部3fを含むものである。そして、ストッパ3cによって容器2の底部2bと緩衝部材3の底壁3bとの間(容器2の底面2b1と緩衝部材3の底面3b1(接地面)との間)に中空部3eが形成されている。
【0038】
ここで、緩衝部材3のテーパ部3dは、容器2の角部2fと対応する位置関係にあるので、容器2に緩衝部材3を取付ける場合に取付け易く(嵌め込み易く)なっている。さらに、テーパ部3dの先端は、ストッパ3cの上端面3c1より高い位置に形成されているので、嵌め合わせ時や取付け後に横ズレ等が起きにくくなる。
【0039】
また、緩衝部材3にはストッパ3cが設けられており、ストッパ3cの上端面3c1が容器2の底面2b1と当接しているので、環状のライン上で容器2の嵌合代は一義的に高さが決定される。
【0040】
また、緩衝部材3の側壁3aと容器2の胴部2aは連続するように一直線状に形成されているので、緩衝部材3が容器2の底部2bより大きく形成されているものに比べ幅方向の場所を取らず、破瓶防止包装容器1の保管が容易になる。
【0041】
次に、バイアル容器2に衝撃が加わった場合について図7(b)により説明する。図7(a)の状態からバイアル容器2に衝撃が加わると、図7(b)に示すように、緩衝部材3に形成された空気の入った中空部3eがクッションの役割を果たし、容器2の衝撃を緩和できる。さらに、断面L字状のストッパ3cが内側に折れ曲がり、テーパ部3dは容器2の角部2fに沿って外側に折れ曲がるので、より衝撃を吸収できる。ここで、熱収縮フィルム5は、容器2の胴部2aと緩衝部材3との接合部7の周囲を覆うように設けられているので、テーパ部3dは熱収縮フィルム5によって受止められる。
【0042】
また、万が一過度の衝撃などにより容器2が破瓶したとしても、容器2は熱収縮フィルム5により覆われているので、内部の薬液等やガラス片が飛散することはない。また、緩衝部材3には中空部3eが形成されているので、内部の薬液等が漏れ出したとしても、その薬液等は中空部3eに溜められるので、外部に漏れ出すことがなく安全である。このように本発明によると、中空部3eを形成した緩衝部材3と熱収縮フィルム5とにより、バイアル容器2の運搬時の振動や、容器2の落下などの過度の衝撃から容器2を守ることができる破瓶防止効果の高い破瓶防止包装容器1を構成できる。
【0043】
ここで、破瓶防止包装容器1の包装方法を図8により説明する。なお、図8において、緩衝部材3はその様子が分かりやすいように断面図として説明する。まず、図8(a)に示すように、蓋部4が設けられているバイアル容器2を用意し、その容器2に対し、容器2の底部2bに緩衝部材3を突き合わすように位置させ、容器2を保護するように取付ける(図8(b))。
【0044】
図8(b)に示されるように、容器2の底部2に緩衝部材3が嵌め合わされるときは、容器2の底部2bと緩衝部材3のストッパ3cが接触する(容器2の底面2b1と緩衝部材3のストッパ3cの上端面3c1が当接する)ことで、容器2と緩衝部材3が固定される。さらに、このとき容器2の角部2fと緩衝部材3のテーパ部3dが対応する位置関係にあるので、嵌め合わせが容易にできる。
【0045】
そして、図8(c)に示されるように、容器2及び緩衝部材3の周囲に熱収縮フィルム5を配置させ、容器2及び緩衝部材3の周囲を覆うように被せる。なお、熱収縮フィルム5の形状は具体的に示していないが、熱収縮後に容器2を覆うだけの長さ及び大きさがあれば良い。また、熱収縮フィルム5としては、特に限定されず、例えばポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から構成される1種又は2種以上の混合物を含むフィルムを用いることができる。
【0046】
そして、図8(d)に示されるように、熱収縮フィルム5を熱収縮させ、容器2の胴部2a及び緩衝部材3の外面に密着させる。熱収縮フィルム5の裏面には糊が付着されているので、容器2の胴部2a表面及び緩衝部材3の表面と熱収縮フィルム5が強固に接着するようになる。この工程において、容器2及び緩衝部材3が熱収縮フィルム5により包装され、破瓶防止包装容器1が形成される。このように、熱収縮フィルム5により、容器2の胴部2a(図4参照)と緩衝部材3の接合部7(図7参照)が覆われるようになるので、容器2と緩衝部材3とを一体とすることができる。このとき、容器2の底部2bと平行に緩衝部材3の底壁3bが配置されており、その底壁3bに対して、水平に熱収縮フィルム5が包装されているので、床面Yに対して、破瓶防止包装容器1を垂直に立てることができる。
【0047】
そして、このように、容器2上方の蓋部4から下方の緩衝部材3までが熱収縮フィルム5で覆われているので、容器2の密封性が高められ、バイアル容器2を衛生的に取り扱うことができる。また、緩衝部材3が一体的に取付けられるので、容器2を載置する際に強く置き過ぎたり、輸送時の振動や落下の衝撃などから、容器2を保護することができる。さらに、万が一外部からの過度の衝撃により容器2が破損したとしても、ガラスや、内部の内容物が飛散しにくくなり、安全な破瓶防止包装容器1及びその包装方法とすることができる。
【0048】
次に、図9〜図12に別形態の包装がなされた破瓶防止包装容器1を示す。図9に示すように、熱収縮フィルム5は容器2の肩部2cの肩面2c1、胴部2aの側面、緩衝部材3の側壁3a、底部3b(底面3b1)の一部にかけての範囲を包装するようにしてもよい。この場合、容器2の肩部2cが抜け防止のストッパとしての役目を果たすので、熱収縮フィルム5は肩部2cの片面2c1にかかり、はずれにくくなり、容器2からズレ落ちることがない。また、蓋部4の天面4a1まで包装されていないので、蓋部4の開閉が容易であるとともに熱収縮フィルム5の使用量を減らすことができる。
【0049】
また、図10に示すように、熱収縮フィルム5は容器2の胴部2aの側面、緩衝部材3の側壁3a、底壁3b(底面3b1)の一部にかけて包装するようにしてもよい。胴部2aは、緩衝部材3の側壁3aに比べ長く形成されているので、熱収縮フィルム5がズレ落ちる心配はなく、図9の場合より収縮フィルム5の使用量をさらに減らすことができる。また、緩衝部材3の底面3b1が熱収縮フィルム5で覆われているので、緩衝部材3の抜け防止になる。
【0050】
また、図11に示すように、熱収縮フィルム5は蓋部4(キャップ部4a)の天面4a1の一部、容器2の胴部2aの側面、緩衝部材3の側壁3aにかけての範囲を包装されるようにしてもよい。このように包装すると、緩衝部材3が下方に抜ける恐れがあるが、熱収縮フィルム5が十分に収縮されていれば、緩衝部材3が締め付けられるので、容器2と緩衝部材3は強固に固定できる。そして、この態様によれば、緩衝部材3の底壁3b(底面3b1)全体が床面に接するので、容器2を床面に立てる時の安定性が増す。また、ミシン目5aが容器2の肩部2cに対応した位置に設けられている。このような位置にミシン目5aが形成されることで、熱収縮フィルム5の肩部2cより上部を取ることができる。よって、蓋部4は全て露出されるので使い勝手が良く、蓋部4(キャップ部4a)の開閉も行い易い。
【0051】
また、図12に示すように、熱収縮フィルム5を容器2の胴部2aの側面、緩衝部材3の側壁3aとを覆うように包装してもよい。このように包装すると、熱収縮フィルム5の量をかなり減らせることになる。しかし、減らした場合であっても、熱収縮フィルム5が十分に熱収縮されてさえいれば、容器2と緩衝部材3とを一体化することは可能である。
【0052】
このように、少なくとも容器2の胴部2aと緩衝部材3の接合部7(図7参照)の周囲を熱収縮フィルム5で覆い、熱収縮フィルム5を熱収縮させ固定することで、容器2と緩衝部材3とを一体化することが可能となる。そして、一体化することで、中空部3eが設けられた緩衝部材3を容器2の下方に取付けることができるので、破瓶防止に繋がる。
【0053】
図13〜図15に緩衝部材3の変形例を示す。図13に示す緩衝部材30は、側壁30aの上方に容器2の角部2fと対応する位置にテーパ部30dが形成されている。容器2の底面2b1(図示せず)と下方で接触する環状のストッパ30cは、緩衝部材30の底壁30bから垂直に延びて容器2の底部2bを支えるように形成されている。そして、ストッパ30cにより、容器2の底部2bと緩衝部材30の底壁30bとの間に中空部30eが形成される。このような形状とすることで緩衝部材30を製造する場合の金型等の作成が容易になる。
【0054】
また、図14に示す緩衝部材31は、側壁31aの上方に容器2の角部2fと対応する位置にテーパ部31dが形成されており、側壁31aから内側に向けてフランジ部31fが延び、さらに容器2の底面2b1(図示せず)と接触するように上方へ向けて第一ストッパ31c1が延びている。さらに、底壁31bの中央付近から上方へ向けて垂直に第二ストッパ31c2が延びている。このように、第二ストッパ31c2を設けることで、容器2自体を支える強度を増すことができる。このとき、環状に形成される第1ストッパ31c1、第二ストッパ31c2によって緩衝部材3の底壁3bと容器2の底部2bとの間に第1中空部31e1、第2中空部31e2となる空気の入る場所を2ヶ所設けることができ、衝撃吸収性が高まる。
【0055】
また、図15に示す緩衝部材32は、側壁32aの上方に容器2の角部2fと対応する位置にテーパ部32dが形成されており、側壁32aから内側に向けて水平部32fが延び、向かいの側壁部32aと繋がっている。そして、水平部32fの上面に容器2の底面2b1(図示せず)と接触するように上方へ向けてストッパ32cが形成されている。このような形態とすることで、ストッパ32cによって緩衝部材32の底壁32bと容器2の底部2bとの間には、上から順に第1中空部32e1、第2中空部32e2の計2ヶ所の空間を形成することができる。第二中空部32e2は、全方向が緩衝部材32の一部で囲まれているので内部の空気をその空間に閉じ込めることができ、衝撃により空気が外部に漏れることが無く、耐衝撃性が高くなる。
【0056】
なお、上記したようなバイアル容器2以外の容器にも、この緩衝部材3を使用することは勿論可能であり、容器の形状に合わせ緩衝部材3の形状を適宜変更するようにすればよい。
【0057】
さらに、図16〜図22に容器2と緩衝部材(33〜39)の変形例の位置関係を示す。図16に示すように、容器2の底部2bに緩衝部材33の側壁33aが嵌合している。緩衝部材33の上面33c1と容器2の底面2b1が接触しており、緩衝部材33は、上面33c1から底面33b1に行くにつれ径が大きくなっており、床面に置いたときの安定性が高い。また、容器2の底部2bは側壁2aに沿って嵌め合わせばよいので、挿入が容易である。
【0058】
また、図17に示す例では、緩衝部材34の側壁34aがストッパ34cとして働いている。つまり、容器2の角部2fの下方に沿って環状にストッパ34cが形成されており、容器2の底部2bと緩衝部材34の底壁34bとの間に中空部34eが形成されている。
【0059】
また、図18に示す例では、緩衝部材35の側壁35aの上部に形成されたテーパ部35dが容器2の角部2fと対応する位置で接触し、容器2を支持している。このテーパ部35dは、ストッパ35cとしての役割も果たしており、容器の嵌合代を一義的に決定している。なお、容器2の底部2bと緩衝部材35の底壁35bとの間に中空部35eが形成されている。
【0060】
また、図19に示す例では、緩衝部材36の側壁36aの上部に形成されたテーパ部36dが容器2の角部2fと対応する位置で接触している。さらに、底壁36bから上方に延びるストッパ36cが容器2の底面2b1と接触し、嵌合代を一義的に決定している。なお、容器2の底部2bと緩衝部材36の底壁36bとの間には、第一中空部36e1、第二中空部36e2が形成されている。
【0061】
また、図20に示す例では、緩衝部材37の側壁37aの途中から内側へフランジ部37fが延びている。このフランジ部37fの上面が容器2の底面2b1と接触し、ストッパ37cとして機能している。側壁37aは、環状に容器2の底部2b(胴部2a)と対応する位置に配置されるので、容器2との嵌合を容易に行うことができる。なお、容器2の底部2bと緩衝部材37の底壁37bとの間に中空部37eが形成されている。
【0062】
また、図21に示す例では、緩衝部材38の側壁38aが容器2の底部2b(胴部2a)と対応する位置に形成される。また、底壁38bからストッパ38cが上方に延び、容器2の底部2b(底面2b1)と接触している。なお、容器2の底部2bと緩衝部材38の底壁38bとの間に第一中空部38e1、第二中空部38e2が形成されている。
【0063】
また、図22に示す例では、緩衝部材39の側壁39aが容器2の底部2b(胴部2a)と対応する位置に形成される。また、側壁39aの途中から内側に向けフランジ部39fが延び、そこからさらに折れ曲がり上方に向けてストッパ39cが延びている。そして、ストッパ39cが容器2の底部2b(底面2b1)と接触している。なお、容器2の底部2bと緩衝部材39の底壁39bとの間に第一中空部39e1、第二中空部39e2が形成されている。
【0064】
ここで、上記に示した緩衝部材33〜39により、容器2の胴部2aと側壁33a〜39aとに連続した外面が形成される。このように連続した外面が形成されることで、熱収縮フィルム5をその容器2の外面に合わせ密着させて覆うことができる。
【0065】
上記で示す実施例において、緩衝部材3は弾性変形可能な樹脂を使用する場合を想定したが、その材質は特に限定されず、使用に合わせ適宜変更可能である。また、樹脂のみでは無く、紙やゲル状の材質のものでも良く、耐衝撃性を有するものならば良く、ストッパ3cなど一部分のみを他の材質と変更することも可能である。
【0066】
また、上記で示す実施例において、熱収縮フィルム5の表面は、熱収縮フィルム5の一部が印刷領域6とされているが、熱収縮フィルム5の全面を印刷領域6としてもよい。また、容器2の表面に容器内部の情報が印刷された表示ラベルを予め取付けた後、その上から表示印刷された熱収縮フィルム(熱収縮ラベル)5に代えて表示印刷のされていない熱収縮フィルムを巻き付けるようにしてもよい。この場合、熱収縮フィルムを透明とすれば、熱収縮フィルムの下方の容器2に貼布された表示ラベルの印刷がその熱収縮フィルムを通して外から見えることとなる。また、熱収縮フィルム5の裏面には糊面が形成されている場合を示したが、必ずしも裏面の糊は必要ではなく、裏面に糊のない熱収縮フィルムを使用してもよい。この場合は、熱収縮に伴い熱収縮フィルムが容器2や緩衝部材3の表面に密着し又は接触し、一体化されることとなる。
【0067】
また、上記で示す実施例において、ミシン目5aの位置は使用用途に合わせ適宜変更が可能である。例えば、蓋部4に対して水平にミシン目5aが入っている場合を示したが、蓋部4に対して縦方向に形成してもよく、熱収縮フィルム5の全面にミシン目5aを設け、廃棄の際に容器2と緩衝部材3を分離できるようにしてもよい。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 破瓶防止包装容器
2 容器(バイアル容器)
3 緩衝部材
3c ストッパ
3e 中空部
4 蓋部
5 熱収縮フィルム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部とその胴部の下端部を構成する底部とを有し、その底部の端面が底面とされ、前記胴部の上側に形成される開口が蓋部で覆われる容器と、
前記容器の前記底部に嵌合され又は突き合わされるように位置し、前記底面から下方へ突出してその容器を保護する緩衝部材と、
少なくとも前記容器の前記胴部と前記緩衝部材の接合部の周囲を覆うように熱収縮により包装される熱収縮フィルムと、
を備えることを特徴とする破瓶防止包装容器。
【請求項2】
前記熱収縮フィルムは、上端が前記容器の前記蓋部の天面に回り込み、下端が前記緩衝部材の底面に回り込んで、前記緩衝部材を含む前記容器の全高に渡る範囲を包装する請求項1に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項3】
前記容器は、前記胴部の途中から上方の前記蓋部にかけてくびれた形状の肩部を有する形態であって、
前記熱収縮フィルムは、上端が前記肩部の肩面にかかり、下端が前記緩衝部材の底面に回り込み、前記容器の肩部から前記緩衝部材の底面に渡る範囲を包装する請求項1に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項4】
前記熱収縮フィルムは、上端が前記胴部の側面にかかり、下端が前記緩衝部材の底面に回り込み、前記容器の胴部から前記緩衝部材の底面に渡る範囲を包装する請求項1に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項5】
前記容器は、前記胴部の途中から上方の前記蓋部にかけてくびれた形状の肩部を有する形態であって、
前記熱収縮フィルムは、上端が前記肩部の肩面にかかり、下端が前記緩衝部材の側面にかかり、前記容器の肩部から前記緩衝部材の側面に渡る範囲を包装する請求項1に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項6】
前記緩衝部材は、前記容器の底部に嵌合又は接触する側壁と、その側壁の下部に形成された底壁と、前記側壁もしくは前記底壁から延び出て前記容器の底面に接触するストッパとを有している請求項1ないし5のいずれか1項に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項7】
前記緩衝部材の側壁の前記容器側には、上方に向かうほど拡径するテーパ部が形成され、前記容器は、そのテーパ部と嵌合又は接触する請求項6に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項8】
前記緩衝部材の前記ストッパは、前記緩衝部材の側壁の内側に形成され、前記容器の底部と前記緩衝部材の底壁又は接地面との間に中空部が形成される請求項6又は7に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項9】
前記ストッパが前記側壁内面から横方向へ突出した後、上方へ延びる環状の形態で形成され、その上端面が前記容器の底面に当接する請求項6ないし8のいずれか1項に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項10】
胴部とその胴部の下端部を構成する底部とを有し、その底部の端面が底面とされ、前記胴部の上側に形成される開口が蓋部で覆われる容器を用意する工程と、
その容器の底部に緩衝部材を嵌合し又は突き合わすように位置させる工程と、
その状態で熱収縮フィルムを少なくとも前記容器の前記胴部と前記緩衝部材との接合部の周囲を覆うように被せた後、熱収縮させて少なくとも前記容器の前記胴部及び前記緩衝部材の外面に密着させる工程と、
を含むことを特徴とする破瓶防止包装容器の包装方法。
【請求項11】
上端が前記容器の前記蓋部の天面に回り込み、下端が前記緩衝部材の底面に回り込むように前記緩衝部材を含む前記容器の全高に渡る範囲を前記熱収縮フィルムにより包装する請求項10に記載の破瓶防止包装容器の包装方法。
【請求項1】
胴部とその胴部の下端部を構成する底部とを有し、その底部の端面が底面とされ、前記胴部の上側に形成される開口が蓋部で覆われる容器と、
前記容器の前記底部に嵌合され又は突き合わされるように位置し、前記底面から下方へ突出してその容器を保護する緩衝部材と、
少なくとも前記容器の前記胴部と前記緩衝部材の接合部の周囲を覆うように熱収縮により包装される熱収縮フィルムと、
を備えることを特徴とする破瓶防止包装容器。
【請求項2】
前記熱収縮フィルムは、上端が前記容器の前記蓋部の天面に回り込み、下端が前記緩衝部材の底面に回り込んで、前記緩衝部材を含む前記容器の全高に渡る範囲を包装する請求項1に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項3】
前記容器は、前記胴部の途中から上方の前記蓋部にかけてくびれた形状の肩部を有する形態であって、
前記熱収縮フィルムは、上端が前記肩部の肩面にかかり、下端が前記緩衝部材の底面に回り込み、前記容器の肩部から前記緩衝部材の底面に渡る範囲を包装する請求項1に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項4】
前記熱収縮フィルムは、上端が前記胴部の側面にかかり、下端が前記緩衝部材の底面に回り込み、前記容器の胴部から前記緩衝部材の底面に渡る範囲を包装する請求項1に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項5】
前記容器は、前記胴部の途中から上方の前記蓋部にかけてくびれた形状の肩部を有する形態であって、
前記熱収縮フィルムは、上端が前記肩部の肩面にかかり、下端が前記緩衝部材の側面にかかり、前記容器の肩部から前記緩衝部材の側面に渡る範囲を包装する請求項1に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項6】
前記緩衝部材は、前記容器の底部に嵌合又は接触する側壁と、その側壁の下部に形成された底壁と、前記側壁もしくは前記底壁から延び出て前記容器の底面に接触するストッパとを有している請求項1ないし5のいずれか1項に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項7】
前記緩衝部材の側壁の前記容器側には、上方に向かうほど拡径するテーパ部が形成され、前記容器は、そのテーパ部と嵌合又は接触する請求項6に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項8】
前記緩衝部材の前記ストッパは、前記緩衝部材の側壁の内側に形成され、前記容器の底部と前記緩衝部材の底壁又は接地面との間に中空部が形成される請求項6又は7に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項9】
前記ストッパが前記側壁内面から横方向へ突出した後、上方へ延びる環状の形態で形成され、その上端面が前記容器の底面に当接する請求項6ないし8のいずれか1項に記載の破瓶防止包装容器。
【請求項10】
胴部とその胴部の下端部を構成する底部とを有し、その底部の端面が底面とされ、前記胴部の上側に形成される開口が蓋部で覆われる容器を用意する工程と、
その容器の底部に緩衝部材を嵌合し又は突き合わすように位置させる工程と、
その状態で熱収縮フィルムを少なくとも前記容器の前記胴部と前記緩衝部材との接合部の周囲を覆うように被せた後、熱収縮させて少なくとも前記容器の前記胴部及び前記緩衝部材の外面に密着させる工程と、
を含むことを特徴とする破瓶防止包装容器の包装方法。
【請求項11】
上端が前記容器の前記蓋部の天面に回り込み、下端が前記緩衝部材の底面に回り込むように前記緩衝部材を含む前記容器の全高に渡る範囲を前記熱収縮フィルムにより包装する請求項10に記載の破瓶防止包装容器の包装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−236608(P2012−236608A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104697(P2011−104697)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(591037476)株式会社岩田レーベル (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(591037476)株式会社岩田レーベル (32)
【Fターム(参考)】
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