説明

破砕機の刃物構造

【課題】金属製の細線や編線が含まれる被破砕物を良好に切断する。
【解決手段】互いに平行な第1,第2回転軸15A,15Bに、互いに噛み合う回転カッタ21,22を設け、第1回転軸15Bの回転カッタを弾性円形カッタ21とし、弾性円形カッタ21は、基体部45に第2回転軸15Bに直交する面に沿う環状のスリット42を挟んで配置された一対の分離ディスク部と、これら分離ディスク部の外周縁部に設けられた切刃部41とを具備し、切刃部41を、第1回転軸15Aの剛性回転カッタ22の切刃部34に摺接または近接するとともに、分離ディスク部の弾性によりスリット42側に後退可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸に取り付けられる回転カッタや回転カッタ間に配置される固定カッタにより被破砕物を切断破砕する破砕機や切断機などの刃物構造に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許文献1に示す二軸破砕機は、互いに平行な一対の回転軸にスペーサと回転カッタとを交互に取り付け、一方の回転軸の回転カッタの外周部間に、他方の回転軸の回転カッタの外周部が噛み合っている。また、切断カッタの側部に、回転カッタ間に嵌合する固定カッタが設けられている。
【0003】
このような回転カッタは、外周部に取り付けられた鉤刃により、被破砕物を回転カッタの噛み合い部や、回転カッタと固定カッタの噛み合い部に引き込み、回転カッタの外周縁部に設けられた刃部、または回転カッタの刃部と固定カッタの刃部により、被破砕物を切断破砕している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−307520
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の被破砕物、たとえば廃タイヤや廃家電には、金属製の細線や編線などが多数含まれている。
一方、上記破砕機では、長時間の使用により刃部が磨耗すると、被破砕物に含まれる金属製の細線や編線を良好に切断することができない。また刃部に硬質異物が噛み込まれると、磨耗が激しく、刃部が破損するおそれがあった。
本発明は上記問題点を解決して、金属製の細線や編線などを良好に切断できる破砕機や切断機などの刃物構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
回転カッタが、隣接する回転軸の回転カッタ同士が交互に噛み合うように互いに平行な複数の回転軸にそれぞれ取り付けられた破砕機の刃物構造であって、
隣接する回転軸の少なくとも一方に取り付けられた回転カッタを弾性回転カッタとし、
当該弾性回転カッタは、回転軸に直交する面に沿う環状の空隙部を挟んで配置された一対の分離ディスクと、これら分離ディスクの外周縁部にそれぞれ設けられて、隣接する回転軸の回転カッタの切刃部の一部に対面する切刃部とを具備し、
前記切刃部を、隣接する回転軸の回転カッタの切刃部の一部に摺接または近接させるとともに、前記分離ディスクの弾性により前記空隙部側に後退可能に構成したものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、
空隙部を形成する第1の空隙形成構造は、
回転軸に嵌合される中心穴を有する基体部と、当該基体部から空隙部を挟んで一体に延設された一対の分離ディスク部とからなるものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の構成において、
空隙部を形成する第2の空隙形成構造は、
回転軸が嵌合される中心穴を有する一対のディスク板と、
これらディスク板の間に介在されたスペーサリングとからなるものである。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の構成において、
空隙部を形成する第4の空隙形成構造は、
回転軸が嵌合される中心穴を有する一対のディスク板と、これらディスク板の対向面の間に形成された環状の空隙保持用油室と、当該空隙保持用油室に圧油を供給して空隙部を保持する保持用圧油供給路とにより構成されたものである。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の構成において、
空隙部は、
回転軸が嵌合される中心穴をそれぞれ有する一対のディスク板の対向面の間に形成された環状の空隙保持用油室と、当該空隙保持用油室に圧油を供給して空隙部を保持する保持用圧油供給路とにより形成されたものである。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項2または3記載の構成において、
空隙部で中心穴の周囲に、分離ディスク部またはディスク板を拡開方向に付勢するばね部材を設けたものである。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項2または3記載の構成において、
空隙部で切刃部の裏面側に形成された拡開用油室と、
当該拡開用油室に圧油を供給してディスク板の切刃部をそれぞれ拡開方向に付勢する拡開用圧油供給路と、
前記拡開用油室の油圧を弾性的に保持する圧油弾性保持手段とを設けたものである。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項2または3記載の構成において、
空隙部に、分離ディスク部またはディスク板の切刃部の出退位置を調整可能な空隙調整機構を設け、
当該空隙調整機構を、分離ディスク部またはディスク板の対向面に全周にわたってそれぞれ形成されて外周側ほど互いに離間するテーパ面部と、当該テーパ面部間に介在された複数の楔部材と、前記楔部材を出退調整可能に固定する固定具とで構成したものである。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の構成において、
回転カッタの外周部に鉤刃部を形成したものである。
請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の構成において、
回転カッタの両側部に、回転カッタに交互に噛み合うように固定カッタをそれぞれ配置し、
回転カッタの少なくとも一方を弾性固定カッタとし、
当該弾性固定カッタは、回転軸に直交する面に沿う空隙部を挟んで配置された対の分離プレートと、これら一対の分離プレートの先端側に設けられて回転カッタの切刃部の一部に対面する切刃部とを具備し、
前記切刃部は、回転カッタの外周側面に設けられた切刃部の一部に摺接または近接されるとともに、前記分離プレートの弾性により前記空隙部側に後退可能に構成されたものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の構成によれば、分離ディスクの弾性により、切刃部を前記空隙部側に後退可能として、隣接する回転軸の回転カッタの切刃部の一部に摺接または近接させたので、被破砕物に対する切れ味を向上させて、被破砕物に含まれる金属製の細線や編線を良好に切断し、良好な切れ味を継続させることができる。また硬質異物に対して、切刃部を後退させて、欠けなどの損傷を防止することができる。
【0016】
請求項2記載の構成によれば、切削加工などにより、回転カッタに空隙部を形成して基体部と分離ディスク部を形成することができ、従来の回転カッタを改良して製造することができ、製造コストを低減することができる。
【0017】
請求項3記載の構成によれば、一対のディスク板とスペーサリングで構成したので、簡易な構造で安価に製造することができ、組立も容易に行うことができる。
請求項4記載の構成によれば、テーパ面部と楔部材により、一対のディスク板を強固に固定することができる。また楔部材の出退位置を調整して空隙部を拡開し、切刃部の出退位置を微調整することができる。
【0018】
請求項5記載の構成によれば、保持用圧油供給路から空隙保持用油室に圧油を供給してディスク板の間隔を保持し空隙部を形成することができ、ディスク板の着脱や交換を短時間で行うことができる。
【0019】
請求項6記載の構成によれば、ばね部材による弾性支持機構により、簡単な構造で、軽加圧状態で切刃部を摺接させて切れ味を向上させ、金属性の細線や編線をさらに良好に切断できるとともに、ばね部材の変更により切刃部同士の加圧力を調整することができる。これにより、切刃部の摺接状態および良好な切れ味を長時間にわたって持続させることができる。
【0020】
請求項7記載の構成によれば、油圧式の弾性支持機構により、軽加圧された状態で切刃部の一部を摺接させることで、切れ味を向上させて金属性の細線や編線をさらに良好に切断できることができる。また切刃部が磨耗した場合に、油圧の変更により切刃部同士の加圧状態および出退位置を容易に調整することができる。これにより、切刃部の摺接状態および良好な切れ味を長時間にわたって持続させることができる。
【0021】
請求項8記載の構成によれば、テーパ面部と楔部材との作用により、磨耗に対応して、ディスク板間の空隙部の幅を調整して切刃部の出退位置を調整することができ、切刃部の切れ味を長時間にわたって持続させることができる。
【0022】
請求項9記載の構成によれば、鉤刃部により被破砕物を回転カッタの噛み合い部に引き込ませて、被破砕物を良好に破砕することができる。
請求項10記載の構成によれば、回転カッタに噛み合う固定カッタを、弾性固定カッタとし、弾性固定カッタの分離プレートの弾性により切刃部を後退可能としたので、隣接する回転カッタの切刃部とで切断する被破砕物に対する切れ味を向上させて、被破砕物に含まれる金属製の細線や編線を良好に切断し、良好な切れ味を継続させることができる。また硬質異物を噛み込んだ時に、分離プレートの弾性により切刃部を後退させて欠けなどの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る二軸破砕機の第1実施例を示し、回転カッタおよび固定カッタの噛み合い状態を示す平面視の断面図である。
【図2】弾性回転カッタの中央縦断面図である。
【図3】弾性回転カッタの半横断面図である。
【図4】切刃部の摺接状態を示す部分拡大断面図である。
【図5】固定カッタを示し、(a)は剛性固定カッタを示す斜視図、(b)は弾性固定カッタを示す斜視図である。
【図6】破砕機を示す全体縦断面図である。
【図7】破砕機を示す全体平面部分断面図である。
【図8】第2実施例における回転カッタおよび固定カッタの噛み合い状態を示す平面視の断面図である。
【図9】弾性回転カッタの中央縦断面図である。
【図10】弾性回転カッタの半横断面図である。
【図11】弾性固定カッタを示す斜視図である。
【図12】第3実施例における回転カッタおよび固定カッタの噛み合い状態を示す平面視の断面図である。
【図13】弾性回転カッタを示す中央縦断面図である。
【図14】弾性回転カッタの半横断面図である。
【図15】弾性固定カッタを示す斜視図である。
【図16】第4実施例における回転カッタおよび固定カッタの噛み合い状態を示す平面視の断面図である。
【図17】弾性回転カッタを示す中央縦断面図である。
【図18】弾性回転カッタを示す半横断面図である。
【図19】第1の弾性支持機構を有する第5実施例を示し、回転カッタおよび固定カッタの噛み合い状態を示す平面視の断面図である。
【図20】弾性回転カッタを示す半横断面図である。
【図21】弾性固定カッタを示す半横断面図である。
【図22】第2の弾性支持機構を有する第6実施例を示し、回転カッタおよび固定カッタの噛み合い状態を示す平面視の断面図である。
【図23】弾性回転カッタを示す平面視の拡大半断面図である。
【図24】弾性回転カッタを示す中央縦断面図である。
【図25】空隙調整機構を有する第7実施例を示し、回転カッタおよび固定カッタの噛み合い状態を示す平面視の断面図である。
【図26】弾性回転カッタを示す中央縦断面図である。
【図27】弾性回転カッタを示す平面視の拡大半断面図である。
【図28】弾性固定カッタを示す拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0024】
以下、本発明に係る二軸破砕機の第1〜第8実施例を図面に基づいて説明する。
[第1実施例]
(二軸破砕機の基本構造)
図6および図7は、たとえば廃タイヤ(被破砕物)を破砕する二軸破砕機を示し、破砕物投下口11aを有する台板11上に、平面視が矩形状に形成されてポッパを有するケーシング12が立設され、この台板11上でケーシング12の後部に、減速機付で正逆回転切替可能な駆動モータ13が設置されている。そしてケーシング12の左右側板12a,12b間に、軸受14,14を介して互いに平行な水平方向の第1回転軸15Aと第2回転軸15Bが回転自在に支持されている。そしてケーシング12から突出する第1,第2回転軸15A,15Bの端部に、第1,第2回転軸15A,15Bを相対方向に回転させる連動ギヤ16A,16Bが噛み合った状態でそれぞれ固定され、さらに第1回転軸15Aの先端部に受動スプロケット17が取り付けられている。そして、この受動スプロケット17と、駆動モータ13の出力軸に取り付けられた駆動スプロケット18との間に伝動チェーン19が巻張されて連動連結されている。
【0025】
第1回転軸15Aおよび第2回転軸15は、たとえば略正六角形断面に形成され、回転カッタ21,22と中間リング(中間部材)25とがそれぞれ交互に装着固定されるとともに、両回転カッタ21,22の外周部が交互に噛み合うように配置される。これら回転カッタ21,22は、第1回転軸15Aに装着された剛性回転カッタ22と、第2回転軸15Bに装着された本発明に係る弾性回転カッタ21とで構成されている。またケーシング12の前後側板12c,12dには、回転カッタ21,22に噛み合う固定カッタ23,24が設けられ、これら固定カッタ23,24は、剛性回転カッタ22の外周部に噛み合う本発明に係る弾性固定カッタ23と、弾性回転カッタ21の外周部に噛み合う剛性固定カッタ24とで構成されている。
【0026】
図1に示すように、剛性回転カッタ22は従来と同様に一体に構成され、ディスク本体31の中心部に第1回転軸15Aが嵌合される略正六角形の中心穴32が形成され、外周部の対称位置に一対の鉤刃部33が形成されている。これら鉤刃部33には、正転時に廃タイヤを回転カッタ21,22間に引き込み破断する前刃33aと、逆転時に廃タイヤを回転カッタ21,22と固定カッタ23,24との間に引き込み破断する後刃33bが設けられている。またディスク本体31の外周部で両縁部切刃部34が設けられている。この切刃部34は、図4に示すように、分離ディスク部34,34の外周で両縁部に沿って形成された切刃取付溝35に、切削チップ34aが植設された切刃部34が嵌合されてロウ付けされている。
【0027】
前側板12cに取付部材26を介して設けられた剛性固定カッタ24は、従来と同様に一体に構成されたもので、図4、図5(a)に示すように、カッタブロック本体36の先端部で両縁に刃物取付溝37がそれぞれ形成され、これら刃物取付溝37に、それぞれ切削チップ38aが植設された切刃部38が嵌合されてロウ付けされている。そして、第2回転軸15Bの中間リング25に対応する剛性固定カッタ24と、弾性回転カッタ21に対応する中間ブロック(中間部材)27とが交互に配置され、剛性固定カッタ24の切刃部38と、弾性回転カッタ21の後述する切刃部41の一部とが摺接または近接されて噛み合うように構成される。
【0028】
(第1の空隙形成構造)
第1の空隙形成構造51を有する弾性回転カッタ21および弾性固定カッタ23を、図1〜図5を参照して説明する。
【0029】
第1の空隙形成構造51を有する弾性回転カッタ21は、図1〜図4に示すように、第2回転軸15Bに嵌合される中心穴44が形成された基体部45と、この基体部45からスリット(空隙部)42を挟んで一体に延設された円形の一対の分離ディスク部(分離ディスク)43,43とを具備している。
【0030】
分離ディスク部43,43の外周部には、前刃46aと後刃46bを有する複数(図では2個)の鉤刃部46が対称位置に形成されている。また分離ディスク部43,43の外周縁に刃物取付溝47がそれぞれ形成され、これら刃物取付溝47に切刃部41がそれぞれ装着されている。これら切刃部41を、剛性回転カッタ22の切刃部34の一部に摺接、あるいは近接させることにより、分離ディスク部43,43の弾性を利用して廃タイヤを良好に切断することができる。
【0031】
すなわち、切削反力が加わると、分離ディスク部43,43の弾性により切刃部41をスリット42側に後退させる微細振動が発生し、この微細振動により切刃部41に効果的な切れ味を生じさせる。これは、たとえば工作機械の旋盤で、切削工具のバイトで切削した時に、バイトがシャンクの弾性を利用して切削チップに微細振動を生じさせて良好な切削を実現しているのと同様の作用効果として説明できる。これにより、廃タイヤ内に内装された金属製の細線や網線を効果的に切断することができる。また切刃部41,34間に硬い異物などが噛み込まれた場合でも、切刃部41が後退されることで、切刃部41,34の磨耗や欠けなどを効果的に防止することができる。
【0032】
第1の空隙形成構造を有する弾性固定カッタ23は、図5(b)に示すように、ケーシング12の後側板12dに取付部材26を介して固定された基体部91と、基体部91からスリット(空隙部)93を挟んで一体に先端側に延設された一対のカッタプレート部(分離プレート)92,92とで構成されている。そして一対のカッタプレート部92,92の先端で両縁部に刃物取付溝95がそれぞれ形成され、これら刃物取付溝37にそれぞれ切削チップ94aが植設された切刃部94が嵌合されてロウ付けされて固着されている。そして第1回転軸15Aの中間リング25に対応してこの弾性固定カッタ23が配置され、剛性回転カッタ22に対応して中間ブロック27が配置されている。
【0033】
ここで、弾性回転カッタ21の分離ディスク部43の外側面と剛性回転カッタ22の側面との隙間δ2、弾性固定カッタ23のカッタプレート部92と剛性回転カッタ22のディスク本体31の隙間δ2は、0.1〜0.5mmに形成される。そして、分離ディスク部43の切刃部41が、剛性回転カッタ22の切刃部34の一部に摺接または近接(δ1=0.1〜0.5mm)された状態で噛み合い、切断時に分離ディスク部43,43の弾性により切刃部41が後退されることにより、廃タイヤが良好に切断される。さらに分離ディスク部43,43の弾性により切刃部41,94が後退を許容されるスリット(空隙部)42の間隔は、δ3=2〜5mmで、好ましくは2.5〜3.5mmである。
【0034】
上記第1の空隙形成構造51を有する弾性回転カッタ21および弾性固定カッタ23を具備した二軸破砕機によれば、第1,第2回転軸15A,15Bが正転駆動されると、弾性回転カッタ21と剛性回転カッタ22が相対方向に回転駆動されて、鉤刃部33,46により掻き込まれた廃タイヤが、弾性回転カッタ21と剛性回転カッタ22の噛み合い部分に引き込まれ、これら回転カッタ21,22の切刃部41,34により廃タイヤが切断される。この時、弾性回転カッタ21の切刃部41が剛性回転カッタ22の切刃部34の一部に摺接、または近接されるとともに、分離ディスク部43の弾性により切刃部41が後退可能に構成されるので、廃タイヤのゴム材および廃タイヤに内在された金属細線や金属編線を良好に切断することができる。また分離ディスク部43の弾性により、弾性回転カッタ21の切刃部41を剛性回転カッタ22の切刃部34の一部に軽加圧された状態で摺接させることで、切刃部41,34が摺接または近接した状態で良好に切断可能な継続時間を延ばし、磨耗に対する切刃部41,34の寿命を延ばすことができる。
【0035】
第1,第2回転軸15A,15Bが反転駆動されると、鉤刃部33により掻き取られた廃タイヤが、剛性回転カッタ22と弾性固定カッタ23の噛み合い部分にら引き込まれ、これら剛性回転カッタ22と弾性固定カッタ23の切刃部34,94により廃タイヤが切断される。この時、弾性固定カッタ23の切刃部94が剛性回転カッタ22の切刃部34の一部に摺接、または近接されるとともに、カッタプレート部92の弾性により、切刃部94が後退可能に構成されるので、廃タイヤのゴム材および廃タイヤに内在された金属製の細線や編線を良好に切断することができる。また分離ディスク部43の弾性により、切刃部94を剛性回転カッタ22の切刃部34の一部に軽加圧された状態で摺接させることで、切刃部34,94が摺接、近接されて良好に切断可能な継続時間を延ばし、磨耗に対する切刃部34,94の寿命を延ばすことができる。
【0036】
同時に、鉤刃部33により掻き取られた廃タイヤが、弾性回転カッタ21と剛性固定カッタ24の噛み合い部分に引き込まれ、これら弾性回転カッタ21と剛性固定カッタ24の切刃部41,38とにより廃タイヤが切断される。この時、弾性回転カッタ21の切刃部41が剛性固定カッタ24の切刃部38の一部に摺接、または近接されるとともに、分離ディスク部43の弾性により、切刃部41が後退可能に構成されるので、廃タイヤおよび廃タイヤに内在された金属製の細線や編線を良好に切断することができる。また分離ディスク部43の弾性により、弾性回転カッタ21の切刃部41が剛性固定カッタ24の切刃部38に軽加圧された状態で摺接させることで、切刃部41,38が摺接、近接されて良好に切断可能な継続時間を延ばし、磨耗に対する切刃部41,38の寿命を延ばすことができる。
【0037】
なお、摺接により切刃部34,38,41,94が加熱されて廃タイヤが着火するような恐れがある場合には、冷却エアや冷却水を回転カッタ21,22や固定カッタ23,24に吹き付けたり、第1,第2回転軸15A,15Bや取付部材26に冷却通路を形成して冷却水や冷却油を供給し冷却してもよい。
【0038】
[第2実施例]
第2の空隙形成構造52を有する弾性回転カッタ21および弾性固定カッタ23の第2実施例を、図8〜図11を参照して説明する。なお、第1実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
第2の空隙形成構造52を有する弾性回転カッタ21は、第2回転軸15Bが嵌合される略正六角形の中心穴62を有する一対のディスク板(分離ディスク)61,61と、これらディスク板61,61の間に介在されるスペーサリング64とにより構成される。このスペーサリング64は、軸心部に第2回転軸15Bが嵌合する略正六角形の中心穴65が形成されて、中間リング25と同一外径に形成され、その厚みにより空隙部63を形成している。これらディスク板61,61は、外側の周縁部に形成された刃物取付溝47に、切削チップ41aを有する切刃部41が設けられており、またスペーサリング64に外周側の対向面に環状の調整用溝66を形成して、ディスク板61,61の弾性を調整している。
【0040】
第2の空隙形成構造52を有する弾性固定カッタ23は、図11に示すように、ケーシング12の後側板12dに取付部材26を介して固定された一対のカッタプレート(分離プレート)101,101と、これらカッタプレート101,101間に配置されて空隙部102を形成するスペーサプレート103とで構成されている。そして一対のカッタプレート101,101の先端で外縁部に形成された刃物取付溝47に、切削チップ94aを有する切刃部94がロウ付けされて取り付けられている。そして第1回転軸15Aの中間リング25に対応して配置された弾性固定カッタ23と、剛性回転カッタ22に対応して配置された中間ブロック27とが交互に配置され、弾性固定カッタ23の先端部が剛性回転カッタ22の外周部間に噛み合い、これら切刃部94,34の一部が摺接、または近接されて廃タイヤが切断される。
【0041】
上記第2の空隙形成構造52を有する弾性回転カッタ21を具備した二軸破砕機によれば、正転駆動時に、弾性回転カッタ21と剛性回転カッタ22の噛み合い部分で、切刃部41,34により廃タイヤが切断される。この時、弾性回転カッタ21の切刃部41が剛性回転カッタ22の切刃部34の一部に摺接、または近接されるとともに、ディスク板61の弾性により切刃部41が後退可能に構成されるので、廃タイヤのゴム材および廃タイヤに内在された金属製の細線や編線を良好に切断することができる。またディスク板61の弾性により、弾性回転カッタ21の切刃部41を剛性回転カッタ22の切刃部34の一部に軽加圧された状態で摺接させることで、切刃部41,34が摺接または近接した状態で切断可能な継続時間を延ばし、磨耗に対する切刃部41,34の寿命を延ばすことができる。
【0042】
反転駆動時には、剛性回転カッタ22と弾性固定カッタ23の噛み合い部分と、弾性回転カッタ21と剛性固定カッタ24の噛み合い部分で、それぞれの切刃部34,94、41,38により廃タイヤが切断される。この時、弾性固定カッタ23と弾性回転カッタ21の切刃部94,41が剛性回転カッタ22および剛性固定カッタ24の切刃部34,38の一部に摺接、近接され、かつ切刃部94,41が後退可能に構成されるので、廃タイヤのゴム材および廃タイヤに内在された金属製の細線や編線を良好に切断することができる。またディスク板61およびカッタプレート101の弾性により、切刃部94,41をそれぞれ切刃部34,38に軽加圧された状態で摺接させることで、摺接、近接されて良好に切断できる継続時間、すなわち寿命を延ばすことができる。
【0043】
なお、ディスク板61およびカッタプレート101の切刃部41,94を、外側の周縁部にのみ形成したが、空隙部102側の周縁部に設けることができる。これにより、外側の縁部の切刃部41,94が磨耗した時に、取り外して裏返し装着することにより、新しい切刃部41,94で切断破砕することができる。
【0044】
[第3実施例]
第3の空隙形成構造53を有する弾性回転カッタ21および弾性固定カッタ23の第3実施例を、図12〜図15を参照して説明する。なお、先の実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
第3の空隙形成構造53を有する弾性回転カッタ21は、一対のディスク板61,61の対向面で中心穴62の周囲に、中心穴62から外周の所定範囲に、外周側ほど互いに離間方向の傾斜角を有するテーパ面部71,71がそれぞれ形成されている。これらテーパ面部71,71間には、周方向で3〜6分割(図では3分割)されて空隙部63を形成する扇形の楔部材72が配置されている。さらにテーパ面部71,71の外周側のディスク板61,61の対向面に、楔部材72に対して複数の半割り状の雌ねじ部73がそれぞれ半径方向に形成され、これらディスク板61,61間の雌ねじ部73に、楔部材72を軸心側に押圧し固定可能な固定ビス(固定具)74がそれぞれ装着されている。また各固定ビス74の頭部にそれぞれ形成された溝部に、締結具75aで連結された無端状のロックワイヤ75が張り渡されて固定ビス74が抜け止めされている。なお、テーパ面部71は、中間リング25に対応する範囲より少し広い範囲に形成され、各ディスク板61の弾性により刃先部41を後退させることができる。
【0046】
第3の空隙形成構造53を有する弾性固定カッタ23は、図15に示すように、一対のカッタプレート101の対向面で基端側に、先端側ほど互いに離間するように傾斜されたテーパ面部111がそれぞれ形成され、テーパ面部111間に楔部材112が配置されて空隙部102が形成されている。カッタプレート101の対向面でテーパ面部111の先端側に、複数の半割り状の雌ねじ部113が対向して形成され、これら雌ねじ部73に、楔部材112を基端側に押圧し固定可能な固定ビス(固定具)114が装着されている。また各固定ビス114の頭部にそれぞれ形成された溝部に、締結具115aに連結されたロックワイヤ115が張り渡されて固定ビス114が固定されている。
【0047】
上記第3の空隙形成構造53を有する弾性回転カッタ21を具備した二軸破砕機によれば、第1,第2空隙形成構造53を有する弾性回転カッタ21を具備した二軸破砕機と同様な作用効果を奏することができる。
【0048】
また切刃部41,94が磨耗した時に、ロックワイヤ75,115を外し、固定ビス74,114を僅かに締め付けて楔部材72,112を押し込むことで、空隙部63,102を僅かに拡開させ切刃部41,94を突出させて、摺接または近接状態を維持することができる。
【0049】
[第4実施例]
第4の空隙形成構造54を有する弾性回転カッタ21を備えた第4実施例を、図16〜図18を参照して説明する。なお、先の実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
第4空隙形成構造54を有する弾性回転カッタ21は、一対の分離ディスク61,61の対向面に、オイルシールを有する中心穴62から所定距離離れた外周部に全周にわたってそれぞれ形成されたシール用溝82,82と、これらシール用溝82,82間に摺動可能に嵌合されたオイルシール付のシールリング83と、空隙部63でシールリング83と中心穴の内周側に形成された環状の空隙保持用油室81と、第2回転軸15Bの軸心部の給油穴84aおよびこの給油穴84aから空隙保持用油室81に連通された分配穴84bからなる保持用圧油供給路84を具備し、図示しないが、第2回転軸15Bの給油穴84a端部は、油圧ポンプや油圧アキュムレータから所定圧の圧油を供給する油圧供給管がロータリジョイントを介して接続されている。
【0051】
したがって、給油穴84aから分配穴84bを介して空隙保持用油室81に所定圧の圧油が供給され、空隙保持用油室81によりディスク板61,61が離間する方向に加圧されて空隙部63が拡開され保持される。
【0052】
ここで、弾性固定カッタ23には、第2の空隙形成構造54を有するものが採用されている。
上記第4の空隙形成構造54を有する弾性回転カッタ21および弾性固定カッタ23を具備した二軸破砕機によれば、第1〜第3空隙形成構造51〜53を有する弾性回転カッタ21を具備した二軸破砕機と同様な作用効果を奏することができる。
【0053】
[第5実施例]
第1の弾性支持機構55を有する弾性回転カッタ21および弾性固定カッタ23の第5実施例を、図19〜図21を参照して説明する。なお、先の実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
第1の弾性支持機構55を有する弾性回転カッタ21は、一対のディスク板61の外周縁部に、係止溝121を対向して全周囲に形成し、これら係止溝121間に皿ばね(ばね部材)122を嵌合させて、ディスク板61,61を、第2回転軸15Bに沿って相対方向に付勢し間隙部63を拡開するように構成されている。前記皿ばね122により、ディスク板61の弾性を向上させて、軽加圧状態で弾性回転カッタ21の切刃部41を、剛性回転カッタ22および剛性固定カッタ24の切刃部34,38の一部にそれぞれ摺接させることができる。
【0055】
第1の弾性支持機構55を有する弾性固定カッタ23は、一対のカッタプレート101の先端縁部に全長にわたって互いに対向する係止溝131を形成し、これら係止溝131間に皿ばね(ばね部材)132を係合させて、カッタプレート101,101を第2回転軸15Bに沿って相対方向に付勢し、間隙部102を拡開するように構成されている。この皿ばね132により、カッタプレート101の弾性を向上させて、軽加圧状態でカッタプレート101の切刃部94を、剛性回転カッタ22の切刃部34の一部にそれぞれ摺接させることができる。
【0056】
上記構成によれば、皿ばね122,132による第1の弾性支持機構55により、簡単な構造で、軽加圧状態で切刃部41,34,38,94の一部を摺接させて切れ味を向上させ、金属製の細線や編線をさらに良好に切断できるとともに、弾性係数の異なる皿ばね122,132に交換することにより、切刃部41,34,38,94同士の加圧力を調整して、ディスク板61およびカッタプレート101の弾性を調整することができる。さらに切刃部41,34,38,94が磨耗した時に、少し弾性力の大きい皿ばね122,132と交換することにより、切刃部41,34,38,94の摺接状態を長く継続させて良好な切れ味を長時間にわたって持続させることができる。
【0057】
なお、弾性回転カッタ21および弾性固定カッタ23は、第2の空隙保持機構52が採用されているが、第1の空隙保持機構51であってもよい。
[第6実施例]
第2の弾性支持機構56を有する弾性回転カッタ21の第6実施例を、図22〜図24を参照して説明する。なお、先の実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。ここで、弾性回転カッタ21および弾性固定カッタ23は前述の第2の空隙保持機構52が採用されている。
【0058】
第2の弾性支持機構56を有する弾性回転カッタ21は、オイルシールを有するスペーサリング64により形成されたディスク板61の間隙部63に、油圧によりディスク板61を加圧減圧可能に支持する弾性用油室を設けたものである。すなわち、ディスク板61の間隙部63で外周縁近傍に、環状のシール用溝141を第2回転軸15Bと同一軸心状に形成し、一対のシール用溝141にわたって、オイルシールを有するシールリング142を軸心方向に位置ずれ可能に嵌合している。またディスク板61,61の対向面でシールリング142の内側に、受圧溝143を同一軸心状に形成し、この受圧溝143を含む間隙部63内が弾性用油室144に構成されている。また第2回転軸15Bの軸心部に形成された給油穴146aと、第2回転軸15Bとスペーサリング64に形成されて給油穴146aと弾性用油室144とを連通する分配穴146bからなる弾性用圧油供給路146と、弾性用油室144内の油圧を弾性的に支持し、かつ油圧を変更可能な圧油弾性保持手段がこの弾性用圧油供給路146に接続されている。この圧油弾性保持手段は、たとえばダイヤフラム式油圧アキュムレータ145やダイヤフラム式シリンダなどより構成されているが、弾性用油室144内の油圧を所定範囲内で弾性的に支持できるものであれば、これに限るものではない。
【0059】
したがって、弾性用油室144の圧油により、ディスク板61の弾性を向上させて、軽加圧状態で弾性回転カッタ21の切刃部41を、剛性回転カッタ22および剛性固定カッタ24の切刃部34,38の一部にそれぞれ摺接させることができる。また弾性回転カッタ21の切刃部41が磨耗した時に、圧油弾性保持手段により弾性用油室144を少し昇圧することで、切刃部41を僅かに突出させて、切刃部41の軽加圧状態での摺動や近接状態を保持することができる。
【0060】
上記構成によれば、弾性用油室144内の油圧を弾性的にする圧油弾性保持手段により、弾性的に軽加圧された状態で切刃部41を剛性回転カッタ22および剛性固定カッタ24の切刃部34,38の一部にそれぞれ摺接させることができ、切れ味を向上させて金属性の細線や編線をさらに良好に切断できることができる。また油圧の変更により切刃部同士の加圧力を容易に調整することができるとともに、切刃部41が磨耗した場合に、弾性用油室144を加圧することにより、切刃部41を突出させて加圧し、切刃部41の摺接状態および良好な切れ味を長時間にわたって持続させることができる。
【0061】
[第7実施例]
空隙調整機構を有する弾性回転カッタ21および弾性固定カッタ23の第7実施例を、図25〜図28を参照して説明する。なお、先の実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
空隙調整機構を有する弾性回転カッタ21は、ディスク板61,61の中心穴62の外周部に介在されたスペーサリング64により間隙部63が形成されて、第2の空隙保持機構52が採用されている。スペーサリング64より外周側でディスク板61,61の対向面に、外周側ほど互いに離間する方向の傾斜角を有するテーパ面部151,151が所定範囲にそれぞれ形成されている。これらテーパ面部151,151間には、間隙部63を拡開して切刃部41を出退調整可能な扇形の楔部材152が設けられており、これら楔部材152は、周方向で3〜6分割(図では3分割)されて半径方向に出退自在に配置されている。さらに楔部材152の外周側で、ディスク板61,61の対向面に、楔部材152に対して複数の半割り状の雌ねじ部153がそれぞれ半径方向に形成され、これら雌ねじ部153に楔部材152を軸心側に押圧し固定可能な固定ビス(固定具)154がそれぞれ装着されている。また各固定ビス154の頭部に形成された溝部に、締結具155aで連結された無端状のロックワイヤ75が張り渡されて固定ビス74が固定されている。
【0063】
したがって、固定ビス154により楔部材152を出退して間隙部63を拡縮し、これにより切刃部41を出退調整することができる。
空隙調整機構57を有する弾性固定カッタ23は、図27に示すように、一対のカッタプレート101,101間の空隙部102でスペーサプレート103の先端側に、先端側ほど互いに離間する傾斜角を有するテーパ面部161がそれぞれ形成され、テーパ面部161間に配置された楔部材162により、空隙部102が形成されている。カッタプレート101,101の対向面でテーパ面部161の先端側に、複数の半割り状の雌ねじ部113が形成され、これら雌ねじ部73により楔部材72を基端側に押圧し固定可能な固定ビス(固定具)164が装着されている。また各固定ビス164の頭部にそれぞれ形成された溝部に、取付ビス165aにより張設されたロックワイヤ165が張り渡されて固定ビス164が固定されている。
【0064】
したがって、固定ビス164により楔部材162を出退して間隙部102を拡縮し、これにより切刃部94を出退調整することができる。
上記空隙調整機構57を有する弾性回転カッタ21および弾性固定カッタ22を具備した二軸破砕機によれば、上記実施例の効果に加えて、切刃部41,94が磨耗した時に、ロックワイヤ155,165を外し、固定ビス154,164を回転させて突出させ、楔部材152,162を僅かに押し込むことで、切刃部41,94を突出させて、剛性回転カッタ23および剛性固定カッタ24の切刃部34,38の一部にそれぞれ摺接または近接させることができ、良好な切れ味を長時間、継続させることができる。
【0065】
なお、上記実施例1〜7では、弾性回転カッタ21と剛性回転カッタ22、弾性固定カッタ23と剛性固定カッタ24をそれぞれ対で配置したが、剛性回転カッタ22に替えて弾性回転カッタ21を、剛性固定カッタ24に替えて弾性固定カッタ23をそれぞれ採用し、すべて弾性式のカッタとしてもよい。
【0066】
また上記実施例1〜7では、2本の回転軸に装着された回転カッタについて、説明したが、単数または3本以上の回転軸に装着された回転カッタと、回転カッタに噛み合う固定カッタとを有する破砕機に、弾性回転カッタや弾性固定カッタを設けてもよい。
【0067】
さらに、切刃部34,38,41,94の摺接により加熱されて被破砕物である廃タイヤが着火するような恐れがある場合には、冷却エアや冷却水を回転カッタ21,22や固定カッタ23,24に吹き付けたり、第1,第2回転軸15A,15Bや取付部材26に冷却通路を形成して冷却水や冷却油を供給し冷却してもよい。
【符号の説明】
【0068】
12 ケーシング
13 駆動モータ
15A 第1回転軸
15B 第2回転軸
21 弾性回転カッタ
22 剛性回転カッタ
23 弾性固定カッタ
24 剛性固定カッタ
25 中間リング(中間部材)
26 取付部材
27 中間ブロック
31 ディスク本体
32 中心穴
33 鉤刃部
34 切刃部
36 カッタブロック本体
38 切刃部
41 切刃部
42 スリット(空隙部)
43 分離ディスク部
44 中心穴
45 基体部
46 鉤刃部
51 第1の空隙形成構造
52 第2の空隙形成構造
53 第3の空隙形成構造
54 第4の空隙形成構造
55 第1の弾性支持機構
56 第2の弾性支持機構
57 空隙調整機構
61 ディスク板
62 中心穴
63 空隙部
64 スペーサリング
65 中心穴
71 テーパ面部
72 楔部材
74 固定ビス
75 ロックワイヤ
81 空隙保持用油室
83 シールリング
84 保持用圧油供給路
91 基体部
92 カッタプレート部(分離プレート)
93 スリット(空隙部)
94 切刃部
101 カッタプレート(分離プレート)
102 空隙部
103 スペーサプレート
111 テーパ面部
112 楔部材
114 固定ビス
115 ロックワイヤ
121 係止溝
122 皿ばね(ばね部材)
131 係止溝
132 皿ばね(ばね部材)
142 シールリング
144 弾性用油室
145 油圧アキュムレータ
146 弾性用圧油供給路
151 テーパ面部
152 楔部材
154 固定ビス(固定具)
155 ロックワイヤ
161 テーパ面部
162 楔部材
164 固定ビス(固定具)
165 ロックワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転カッタが、隣接する回転軸の回転カッタ同士が交互に噛み合うように互いに平行な複数の回転軸にそれぞれ取り付けられた破砕機の刃物構造であって、
隣接する回転軸の少なくとも一方に取り付けられた回転カッタを弾性回転カッタとし、
当該弾性回転カッタは、回転軸に直交する面に沿う環状の空隙部を挟んで配置された一対の分離ディスクと、これら分離ディスクの外周縁部にそれぞれ設けられて、隣接する回転軸の回転カッタの切刃部の一部に対面する切刃部とを具備し、
前記切刃部を、隣接する回転軸の回転カッタの切刃部の一部に摺接または近接させるとともに、前記分離ディスクの弾性により前記空隙部側に後退可能に構成した
ことを特徴とする破砕機の刃物構造。
【請求項2】
空隙部を形成する第1の空隙形成構造は、
回転軸に嵌合される中心穴を有する基体部と、当該基体部から両側に空隙部を挟んで一体に延設された一対の分離ディスク部からなる
ことを特徴とする請求項1記載の破砕機の刃物構造。
【請求項3】
空隙部を形成する第2の空隙形成構造は、
回転軸が嵌合される中心穴を有する一対のディスク板と、
これらディスク板の間に介在されたスペーサリングとからなる
ことを特徴とする請求項1記載の破砕機の刃物構造。
【請求項4】
空隙部を形成する第3の空隙形成構造は、
回転軸が嵌合される中心穴を有する一対のディスク板と、これらディスク板の対向面で中心穴の周囲に形成され外周側ほど互いに離間するテーパ面部と、当該テーパ面部間に介在された複数の楔部材と、これら楔部材を固定する固定具とにより構成された
ことを特徴とする請求項1記載の破砕機の刃物構造。
【請求項5】
空隙部を形成する第4の空隙形成構造は、
回転軸が嵌合される中心穴を有する一対のディスク板と、これらディスク板の対向面の間に形成された環状の空隙保持用油室と、当該空隙保持用油室に圧油を供給して空隙部を保持する保持用圧油供給路とにより形成された
ことを特徴とする請求項1記載の破砕機の刃物構造。
【請求項6】
空隙部で中心穴の周囲に、分離ディスク部またはディスク板を拡開方向に付勢するばね部材を設けた
ことを特徴とする請求項2または3記載の破砕機の刃物構造。
【請求項7】
空隙部で切刃部の裏面側に形成された拡開用油室と、
当該拡開用油室に圧油を供給してディスク板の切刃部をそれぞれ拡開方向に付勢する拡開用圧油供給路と、
前記拡開用油室の油圧を弾性的に保持する圧油弾性保持手段とを設けた
ことを特徴とする請求項2または3記載の破砕機の刃物構造。
【請求項8】
空隙部に、分離ディスク部またはディスク板の切刃部の出退位置を調整可能な空隙調整機構を設け、
当該空隙調整機構を、
分離ディスク部またはディスク板の対抗面に全周にわたってそれぞれ形成されて外周側ほど互いに離間するテーパ面部と、当該テーパ面部間に介在された複数の楔部材と、前記楔部材を出退調整可能に固定する固定具とで構成した
ことを特徴とする請求項2または3記載の破砕機の刃物構造。
【請求項9】
回転カッタの外周部に鉤刃部を形成した
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の破砕機の刃物構造。
【請求項10】
回転カッタの両側部に、回転カッタに交互に噛み合うように固定カッタをそれぞれ配置し、
回転カッタの少なくとも一方を弾性固定カッタとし、
当該弾性固定カッタは、回転軸に直交する面に沿う空隙部を挟んで配置された対の分離プレートと、これら一対の分離プレートの先端側に設けられて回転カッタの切刃部の一部に対面する切刃部とを具備し、
前記切刃部は、回転カッタの外周側面に設けられた切刃部の一部に摺接または近接されるとともに、前記分離プレートの弾性により前記空隙部側に後退可能に構成された
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の破砕機の刃物構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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