説明

破砕装置

【課題】瓶やペットボトルや缶などの縦長容器を破砕することができる安価かつコンパクトな破砕装置を提供する。
【解決手段】縦長容器Pを投入許容する投入部と、該投入部に投入された縦長容器Pを破砕する破砕刃21と、該破砕刃21を回転駆動するモータ駆動部と、前記破砕刃21で前記縦長容器Pを破砕した後の破砕物Dを収容する回収箱30とを備えた破砕装置1について、前記投入部を、縦長容器Pを縦向きに投入可能で横向きに投入不可能な大きさの投入口4と、前記投入口4から前記破砕刃21までの誘導部とで構成し、該誘導部を、縦向きに投入された前記縦長容器Pが横向きにならない程度の大きさの投入空間5aを空けて誘導壁5で囲繞して構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばペットボトルやビン、缶などの容器を破砕するような破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空き缶や空瓶を粉砕する空き缶、空瓶用の処理装置が提案されている(特許文献1参照)。この処理装置は、回転歯によって空き缶や空瓶を粉砕し、空瓶は瓶破片収納部に収納し、空き缶は裁断片収納部に収納する。この処理装置は、二つの回転部材の双方の回転によって空瓶の外周両側から押圧するようにして処理加工用通路に引き込むことができ、空瓶が断面円形状のものである場合でも、空瓶の逃げを防止できるとされている。
【0003】
しかし、この処理装置は、空瓶がすべりを起こして回転し、回転歯で粉砕できない事態を防止するために回転歯の大きさや対向配置の位置に制限が生じるものである。このため、空瓶を粉砕するための回転歯と、空き缶を裁断するための回転歯を別々に設ける必要があり、破壊するために必要な機械部分の占める大きさおよび価格のどちらでも不利なものであった。
【特許文献1】特開平9−308835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、上述した問題に鑑み、瓶やペットボトルや缶などの容器を破砕することができる安価かつコンパクトな破砕装置を提供し、利用者の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、破砕対象物を投入許容する投入部と、該投入部に投入された破砕対象物を破砕する破砕刃と、該破砕刃を回転駆動する駆動手段と、前記破砕刃で前記破砕対象物を破砕した後の破砕物を収容する収容部とを備え、前記投入部は、破砕対象物である縦長容器を縦向きに投入可能で横向きに投入不可能な大きさの投入口と、前記投入口から前記破砕刃までの誘導部とで構成され、該誘導部を、縦向きに投入された前記縦長容器が横向きにならない程度の大きさの空間を空けて壁部材で囲繞して構成した破砕装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明により、缶や瓶などの容器を破砕することができる安価かつコンパクトな破砕装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は、破砕装置1の斜視図を示し、図2は、前扉8を開いて回収箱30を取り出した状態の破砕装置1の斜視図を示し、図3は、破砕装置1の縦断左側面図を示し、図4は、回転ユニット20(20A,20B)の平面図を示す。
【0008】
破砕装置1は、略直方体形状の筐体2を有しており、前下がりに傾斜している上面に投入口4と操作表示部6が設けられている。投入口4には、スライド式に開閉する開閉シャッタ3が設けられている。また投入口4には、手前に磁石12が設けられ、奥に開閉検知センサ11が設けられている。磁石12は、鉄等の磁性体で形成された開閉シャッタ3の端部3aを吸着して閉状態で安定させる。この磁石12と開閉シャッタ3の傾斜配置により、開閉シャッタ3が完全に閉まらずに少し開いた状態で停止することを防止している。また開閉検知センサ11は、開閉シャッタ3の開閉を検知する。
【0009】
筐体2の正面には、下方半分程度の大きさの前扉8が設けられている。この前扉8は、開閉可能に適宜の蝶番で筐体2に取り付けられており、この蝶番と左右逆側の正面に開閉用の取手8aが設けられている。筐体2には、この前扉8の開閉を検知する開閉検知センサ48も設けられている。
【0010】
また筐体2は、図2に示すように、下方内側に回収箱30が収納されている。この回収箱30は、底の深い箱型形状であり、上面が開放されている。この回収箱30は、正面上部に取手31が形成されており、底面に車輪38(図3参照)が設けられている。利用者は、前扉8を開くと、回収箱30を手前に取り出すことができる。
【0011】
また回収箱30は、下部正面に開口部32が形成されている。この開口部32は、奥まで続く空間の入り口である。この空間には、液受けトレイ35が開口部32から挿入されている。
【0012】
液受けトレイ35は、底の浅い箱型形状であり、上面が開放されている。また液受けトレイ35は、前面中央に取手36が設けられている。この液受けトレイ35は、取手36を持って手前に引き出すことができ、回収箱30と分離することができる。
【0013】
また、回収箱30は、図3の断面図に示すように、下方に仕切板33が設けられている。この仕切板33は、周囲から中央に向かって下方へ下がるように傾斜しており、中央に液体通過穴33aが形成されている。また、仕切板33の下方位置には、液受けトレイ35が挿入されるだけの空間が設けられている。回収箱30には、網目の細かい水切り網40が被せられる。この水切り網40は、仕切板33の上面から回収箱30の側壁内面に沿って上縁に到達するようにセットされている。水切り網40の開口縁部41は、回収箱30の開口縁部30aに掛けて外側に折り返されている。
【0014】
筐体2の上部には、投入口4から下方へ続く誘導壁5が設けられている。この誘導壁5は、前後左右の4面に設けられて平面視四角形に配置されており、下方へ向かって幅狭になるように構成されている。この4面の誘導壁5に囲繞された投入空間5aは、ペットボトルや瓶などの縦長容器Pを縦向きに投入することができる大きさに形成されている。また、互いに対向する誘導壁5の間の幅は、縦向きに投入された縦長容器Pが横向きにならない程度の幅に設定されている。
【0015】
誘導壁5および投入空間5aの下方位置には、略円盤形の破砕刃21が回転軸方向に複数枚配置された回転ユニット20A,20Bが前後に対向配置されている。破砕刃21は、円盤型本体の外周に複数の刃23が突設されている。
【0016】
この回転ユニット20(20A,20B)に設けられた複数の破砕刃21は、図4に示すように、破砕刃21の肉厚分の間隔を隔てて整列配置されている。そして、回転ユニット20の各破砕刃21の固定角度は、回転ユニット20が回転軸25を軸心として破砕方向に回転するときに、最も外側の破砕刃21の刃23が先行し、最も内側の破砕刃21の刃23が最後に続くように構成されている。従って、回転ユニット20における各破砕刃21の刃23は、平面視へ字型に配置されている。
【0017】
回転ユニット20A,20Bは、一方の破砕刃21と破砕刃21の間に他方の破砕刃21が入るように互い違いに組み合わせて配置されている。これにより、投入された縦長容器Pを確実に破砕することができる。
【0018】
筐体2には、図3に示すように、上下方向略中央付近に仕切り板7が設けられている。この仕切り板7は、回転ユニット20A,20Bの破砕刃21が重なった組合せ部位の直下位置に放出穴7aが形成されている。従って、回転ユニット20A,20Bで破砕された破砕物Dは、放出穴7aから回収箱30内に放出される。
【0019】
図5は、破砕装置1の構成を示すブロック図である。
破砕装置1は、制御部51と、この制御部51に接続された入力部6a、開閉検知センサ11,48、モータ駆動部52、および表示部6bが設けられている。
【0020】
入力部6aは、操作表示部6(図1参照)に設けられた複数の押下ボタンにより形成されている。この入力部6aは、押下された押下ボタンの種類に応じて押下信号を制御部51に送信する。押下ボタンの種類には、回転ユニット20を正回転させて破砕を開始する「スタートボタン」、破砕を停止する「停止ボタン」、および回転ユニット20を逆回転させる「逆回転ボタン」がある。正回転のとき、回転ユニット20A,20Bは、上から投入された縦長容器Pを巻き込むように、破砕刃21が交互に重なっている部分を下方へ移動させるように回転する。逆回転のとき、回転ユニット20A,20Bは、破砕中の縦長容器Pを上方へ押し戻すように、破砕刃21が交互に重なっている部分を上方へ移動させるように回転する。
【0021】
表示部6bは、操作表示部6(図1参照)に設けられた複数のLEDで構成されている。この表示部6bは、制御部51の制御信号に従って点灯/消灯する。表示部6bの各LEDにより示す状態表示には、回転ユニット20が回転して破砕中であることを示す「破砕中」、回転ユニット20が逆回転していることを示す「逆回転中」、回収箱30が破砕後の破片で満タンになっていることを示す「回収箱満タン」、開閉シャッタ3が開いていることを示す「開閉シャッタ開」、および前扉8が開いていることを示す「前扉開」がある。
【0022】
開閉検知センサ11は、開閉シャッタ3(図1参照)の開閉を検知し、検知信号を制御部51に送信する。
開閉検知センサ48は、前扉8(図1参照)の開閉を検知し、検知信号を制御部51に送信する。
【0023】
制御部51は、各種信号を受け取り、また各種制御信号を送信して各部を駆動制御する。またこの制御部51は、回転ユニット20の回転を一定時間で停止するための計時処理、および開閉検知センサ11で開閉シャッタ3が開いたことを検知した場合に停止する緊急停止処理など、各種の処理を実行する。
【0024】
モータ駆動部52は、制御部51から受信する制御信号に従って、回転ユニット20を正回転または逆回転させる。
【0025】
図6は、破砕装置1の制御部51が実行する動作のフローチャートを示す。
制御部51は、入力部6aにより「スタートボタン」が押下されるまで待機する(ステップS1:No)。
【0026】
「スタートボタン」が押下されると(ステップS1:Yes)、制御部51は、開閉シャッタ3が開状態か閉状態かを開閉検知センサ11により検知する(ステップS2)。
【0027】
開閉シャッタ3が開状態であれば(ステップS2:Yes)、制御部51は、緊急停止処理を実行し、モータ駆動部52に回転停止信号を送信して回転ユニット20の回転を停止させ、「開閉シャッタ開」のLEDを点灯してエラー報知し(ステップS3)、ステップS2に処理を戻す。
開閉シャッタ3が閉状態であれば(ステップS2:No)、制御部51は、前扉8が開状態か閉状態かを開閉検知センサ48により検知する(ステップS4)。
【0028】
前扉8が開状態であれば(ステップS4:Yes)、制御部51は、緊急停止処理を実行し、モータ駆動部52に回転停止信号を送信して回転ユニット20の回転を停止させ、「前扉開」のLEDを点灯してエラー報知し(ステップS5)、ステップS2に処理を戻す。
前扉8が閉状態であれば(ステップS4:No)、制御部51は、モータ駆動部52により回転ユニット20を正方向(粉砕実行方向)に回転させる(ステップS6)。
【0029】
入力部6aにより「逆回転ボタン」が押下されると(ステップS7:Yes)、制御部51は、「逆回転ボタン」が解除されるまでモータ駆動部52により回転ユニット20を逆回転させる(ステップS8)。
【0030】
制御部51は、一定時間が経過するまで(ステップS9:No)、ステップS2に処理を戻して破砕処理を継続する。この間、制御部51は、経過時間を計時する計時処理を実行する。この計時処理により一定時間が経過すれば(ステップS9:Yes)、制御部51は、モータ駆動部52に停止信号を送信して回転ユニット20の回転を停止させ(ステップS10)、処理を終了する。
【0031】
以上の構成および動作により、破砕装置1は、ペットボトルや瓶、缶などの縦長容器Pを確実に破砕することができる。特に、誘導壁5により縦長容器Pが横向けになることがないため、縦長容器Pが円筒形であっても刃滑りが生じることを防止でき、確実に縦長容器Pを破砕できる。
【0032】
また、縦長容器Pを縦方向に投入させるため、回転ユニット20の幅を小さくすることや破砕刃21の枚数を少なくすることができる。すなわち、縦長容器Pを横向きに投入させて破砕する場合であれば、この縦長容器Pの長手方向の長さ分だけ回転ユニット20に破砕刃21を並設する必要があるが、本実施形態により縦長容器Pの横幅分だけ回転ユニット20に破砕刃21を並設すれば良くなる。従って、破砕装置1全体を小型に構成することができ、また安価に製造することができる。また、破砕刃21の枚数を減らせるため、刃23を研ぐなどのメンテナンス費用も抑制することができる。
【0033】
また、回収箱30を仕切板33で上下に仕切って2層構造にし、上層に水切り網40を備え、下層に液受けトレイ35を備えたため、破砕した破片を水切り網40で収集し、缶や瓶やペットボトル等の縦長容器Pに残っていた液体を液受けトレイ35の収容部37で収集することができる。従って、利用者が飲み残しのある縦長容器Pを投入口4に投入しても、縦長容器Pの破片と液体とを分離回収することができる。これにより、利用者は、縦長容器P内の飲み残しを別途処分する手間が省かれ、破砕装置1を便利に利用できる。
【0034】
また、対向配置した回転ユニット20A,20Bの各破砕刃21を交互に組み合わせて配置し、刃23を平面視へ字型に配置したため、縦長容器Pの材質(ガラス、PET、アルミなど)や形状に関わらず、破砕装置1は、確実に刃23を縦長容器Pに引っ掛けて縦長容器Pを破砕することができる。
【0035】
また、開閉シャッタ3を傾斜配置して傾斜スライドさせる構成としたこと、および開閉シャッタ3を磁性体で形成して磁石12を備えたことにより、開閉シャッタ3を確実に閉状態にすることができる。
【0036】
また、開閉シャッタ3が開いているときは回転ユニット20の回転を停止する構成としたことにより、使用の安全性を高めることができる。
また、利用者の手が近づく投入口4から刃23のある回転ユニット20までの距離を縦長容器Pが縦向けに入るほど長く構成したことにより、使用の安全性を高めることができる。
【0037】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の壁部材は、実施形態の誘導壁5に対応し、
以下同様に、
空間は、投入空間5aに対応し、
入力手段は、入力部6aに対応し、
破砕刃群は、回転ユニット20に対応し、
所定間隔は、破砕刃21の肉厚に対応し、
収容部は、回収箱30に対応し、
液体容器は、液受けトレイ35に対応し、
仕分け容器は、水切り網40に対応し、
制御手段は、制御部51に対応し、
停止制御手段は、ステップS2を実行する制御部51に対応し、
駆動手段は、モータ駆動部52に対応し、
破砕対象物は、縦長容器Pに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】破砕装置の斜視図。
【図2】前扉を開いて回収箱を取り出した状態の破砕装置の斜視図。
【図3】破砕装置の縦断左側面図。
【図4】回転ユニットの平面図。
【図5】破砕装置の構成を示すブロック図。
【図6】破砕装置の制御部が実行する動作のフローチャート。
【符号の説明】
【0039】
1…破砕装置、3…開閉シャッタ、4…投入口、5…誘導壁、5a…投入空間、6a…入力部、11…開閉検知センサ、20…回転ユニット、21…破砕刃、23…刃、30…回収箱、35…液受けトレイ、40…水切り網、51…制御部、52…モータ駆動部、D…破砕物、P…縦長容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕対象物を投入許容する投入部と、
該投入部に投入された破砕対象物を破砕する破砕刃と、
該破砕刃を回転駆動する駆動手段と、
前記破砕刃で前記破砕対象物を破砕した後の破砕物を収容する収容部とを備え、
前記投入部は、破砕対象物である縦長容器を縦向きに投入可能で横向きに投入不可能な大きさの投入口と、
前記投入口から前記破砕刃までの誘導部とで構成され、
該誘導部を、縦向きに投入された前記縦長容器が横向きにならない程度の大きさの空間を空けて壁部材で囲繞して構成した
破砕装置。
【請求項2】
前記収容部は、
前記破砕物が通過せず液体が通過する大きさの隙間を有する仕分け容器と、
該仕分け容器の隙間を通過した液体を収容する液体容器とで構成した
請求項1記載の破砕装置。
【請求項3】
前記投入口の開閉を行う開閉シャッタと、
該開閉シャッタの開閉を検知する開閉検知センサと、
該開閉検知センサがシャッタ開を検知すると前記駆動手段による前記破砕刃の回転駆動を停止制御する制御手段とを備えた
請求項1または2記載の破砕装置。
【請求項4】
前記駆動手段による前記破砕刃の回転駆動の開始入力を受け付ける入力手段と、
該開始入力により前記回転駆動を開始した後に該回転駆動を停止するタイミングを定める停止制御手段を備えた
請求項1、2または3記載の破砕装置。
【請求項5】
前記破砕刃は、円盤の周囲に1以上の刃を配設した形状であり、
該破砕刃を回転軸方向に所定間隔置きに複数配設して破砕刃群を構成し、
2つの前記破砕刃群を、互いの破砕刃を互い違いに交差させて対向配置した
請求項1から4のいずれか1つに記載の破砕装置。
【請求項6】
前記破砕刃群における破砕刃の刃の位置を、回転軸方向外側の刃が回転軸方向内側の刃よりも正回転方向に先行するように平面視略ヘ字型に並べて配置した
請求項5記載の破砕装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−22898(P2009−22898A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189546(P2007−189546)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(597120972)オリエント測器コンピュータ株式会社 (56)
【Fターム(参考)】