説明

破袋機

【課題】小さいゴミ袋の破袋、小規模事業所に適した破袋機を提供する。
【解決手段】フレームにベアリングケース4を取り付け、このベアリングケース4の片方に減速機構を含む駆動源6を、他方に螺旋翼2の回転軸3を上記駆動源6の駆動軸に直結し、上記螺旋翼2の同心円上に絡み付き防止ロッド20を亘設し、必要ならば上記螺旋翼2の回転軸3に放射状にカッタ17を設け、上記螺旋翼2をケーシングに収容し、上記ケーシングに開閉可能な蓋体7を設け、この蓋体7に上記螺旋翼2の周縁軌道上に刃先が位置するように過負荷回避機構を備えた可動刃12を配置し、上記ケーシング1の上流側に上向きの投入口8aを、下流側に下向きの排出口8bを設け、上記投入口8aの内面に螺旋翼周縁に位置するよう固定刃25を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家庭や事業所から回収したゴミを包んでいるポリエチレン等のゴミ袋を破り去る破袋機に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は特願2007−039982で「フレーム11に亘設した回転軸13に、複数のカッタ17を放射状に取り付け、このカッタ17の回転軌跡に沿って固定刃26を配設し、上記固定刃26の外側周囲をカバー27で覆い、このカバー27の、上記カッタ17が上向きに回転する側に投入口28を設け、上記カッタ17は回転方向に対して揺動可能で、上記固定刃26は回転するカッタ17に対して向き合う方向に鉤状に曲げられ、かつ、千鳥足状に配置して固定刃26とカッタ17とが交互に行き交うようにし、また、上記カッタ17および固定刃26の素材を板バネ材とし、回転軸13に取り付けたカッタ間に紐状物巻き付き防止棒19を亘設してなる」破袋機を提案した。
【0003】
上記提案により軽量・小型でありながら処理能力の大きい破袋機を提供できるようになったが、ユーザーから更に小型で簡便な破袋機を求められている。その背景には破袋機の構造上存在する隙間を潜り抜けて未破袋のまま排出されることがあり、特にゴミ袋が小さいときにはこの傾向が強いことが判明した。また、小規模の事業所では上記提案の破袋機よりより簡単で安価な破袋機の提供を求められるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記状況に鑑み本発明は、これまでに提案されている破袋機では、その機構の隙間を潜り抜けて排出されるゴミ袋の再破袋、あるいは、より簡単で安価な破袋機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためにこの発明は、フレームFにベアリングケース4を取り付け、このベアリングケース4の片方に減速機構を含む駆動源6を、他方に螺旋翼2の回転軸3を上記駆動源6の駆動軸に直結し、上記螺旋翼2の同心円上に絡み付き防止ロッド20を亘設し、必要ならば上記螺旋翼2の回転軸3に放射状にカッタ17を設け、上記螺旋翼2をケーシング1に収容し、上記ケーシング1に開閉可能な蓋体7を設け、この蓋体7に上記螺旋翼2の周縁軌道上に刃先が位置するように過負荷回避機構を備えた可動刃12を配置し、上記ケーシング1の上流側に上向きの投入口8aを、下流側に下向きの排出口8bを設け、上記投入口8aの内面に螺旋翼周縁に位置するよう固定刃(23)(25)を設けたものであり、必要ならば上記螺旋翼(2)の外周縁に引っ掛け爪(18)(19)を適宜の間隔で設けたものである。また、必要ならば破袋機全体を下流側に向けて上向きに傾斜させてゴミ袋の破袋機内での滞留時間を長くする。
【発明の効果】
【0006】
上記の如く構成する本発明は、構造が極めて簡単で移動・固定が簡単なため、破袋済ゴミを送り出すコンベヤーラインのサイドに設置し、従来の破袋機の構造上発生する隙間を潜り抜けて排出された未破袋のゴミ袋を拾い上げ、投入することにより確実に破袋され、コンベヤーラインに排出(戻すことが)できる。また、小規模事業所でのゴミ処理に最適(設置面積が少なく、安価に提供することができる)なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1(a)(b)に示すようにこの発明の破袋機は、フレームFの上部にベアリングケース4を約20度傾斜させて取り付け、このベアリングケース1の傾斜下向き側に減速機を含む駆動源6が取り付けられ、傾斜上向き側に、図1〜図5に示すように螺旋翼2の回転軸3が、駆動源6の出力軸に直結されている。
【0008】
上記回転軸3には螺旋翼2が一体に設けられ、この螺旋翼2の外径の中間同心円上に紐、テープ等ゴミの中に混在している長尺物が回転軸3に絡み付かないように絡み付き防止ロッド20が亘設され、必要ならば回転軸3に取り付け金具16を介して放射状にカッタ17を取り付け、また、螺旋翼2の周囲にゴミ袋を引っ掛け破る引っ掛け爪18,19が固着されている。
【0009】
上記螺旋翼2は、ケーシング1内に収容され、ケーシング1の上部には蓋体7が、片方をピン21によって開閉可能にして内部を看視できるようにし、他方にターンクリップ22を設けて操業中に蓋体7が不用意に開かないようにしている。また、蓋体7には複数の支点台9を設け、この支点台9にピンPを介して揺動片11が取り付けられ、この揺動片11の揺動端にピン14を介してコイルスプリング15が掛け渡され、その端は固定片13のピン14に引っ掛けられて過負荷回避機構を形成した揺動片11に可動刃12が固着されている。なお、上記過負荷回避機構を形成した可動刃12全体は防塵と安全確保を目的とするカバー26が着脱可能に設けられている。
【0010】
ケーシング1の螺旋翼2の回転方向後方下手に複数の取り付け台24が設けられ、この取り付け台24に固定刃23が固着され、投入口8aの下流側内面にも固定刃25がその先端が螺旋翼2の外周縁近くに位置するように固着されている。
【0011】
以上のように構成する破袋機にゴミ袋が投入されると螺旋翼2によって掻き回されながら下流方向に推し進められ、その間に螺旋翼2に取り付けられた引っ掛け片18,19に引っ掛けられ、更に回転軸に放射状に取り付けられたカッタ17にも引っ掛けられて固定刃23および25、更に可動刃12によって破袋される。
【0012】
また、ケーシング1と共に螺旋翼2の回転軸3を下流方向上向きに傾斜させることにより、投入されたゴミ袋は最適な状態でケーシング1内に滞留して破袋機能が充分に発揮される。この傾斜角は、実験の結果、5度から30度の範囲で、実用的には10度から20度が適当である。5度未満ではゴミ袋がケーシング内を早く通過して破袋効果が充分に得られず、30度を超えるとゴミおよびゴミ袋がケーシング内に長く滞留して好ましくない。
【産業上の利用可能性】
【0013】
以上説明したようにこの発明によれば極めて簡単な構造でゴミ袋の破袋が行われ、特にこれまで提案してきた破袋機の弱点である小さいゴミ袋の破袋が確実に行われるようになり、また、小規模のゴミ処理にも対応でき産業上利用価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図面代用写真で(a)は斜め後方、(b)は斜め前方から観たものである。
【図2】ケーシング内部を示す正面図
【図3】ケーシング内部を示す平面図
【図4】図1のA−A矢視図
【図5】図1のB−B矢視図
【符号の説明】
【0015】
1:ケーシング
2:螺旋翼
3:回転軸(螺旋翼の)
4:ベアリングケース
5:フランジ
6:駆動源
7:蓋体
8a:投入口
8b:排出口
9:支点台
10:ピン
11:揺動片
12:可動刃
13:固定片
14:ピン
15:コイルスプリング
16:取り付け金具
17:カッタ
18:引っ掛け爪
19:引っ掛け爪
20:絡み付き防止ロッド
21:ピン
22:ターンクリップ
23:固定刃
24:取り付け台
25:固定刃
26:カバー
F:フレーム
P:ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(F)にベアリングケース(4)を取り付け、このベアリングケース(4)の片方に減速機構を含む駆動源(6)を、他方に螺旋翼(2)の回転軸(3)を上記駆動源(6)の駆動軸に直結し、上記螺旋翼(2)の同心円上に絡み付き防止ロッド(20)を亘設し、上記螺旋翼(2)をケーシング(1)に収容し、上記ケーシング(1)に開閉可能な蓋体(7)を設け、この蓋体(7)に上記螺旋翼(2)の周縁軌道上に刃先が位置するように過負荷回避機構を備えた可動刃(12)を配置し、上記ケーシングの上流側に上向きの投入口(8a)を、下流側に下向きの排出口(8b)を設け、上記投入口(8a)の内面に螺旋翼周縁に位置するよう固定刃(23)(25)を設けてなる破袋機。
【請求項2】
上記螺旋翼(2)の外周縁に引っ掛け爪(18)(19)を適宜の間隔で設けてなる請求項1に記載の破袋機。
【請求項3】
上記螺旋翼(2)の回転軸(3)に放射状にカッタ(17)を設けてなる請求項1または2に記載の破袋機

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−20269(P2012−20269A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171104(P2010−171104)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(394006174)テクニカマシナリー株式会社 (8)
【Fターム(参考)】