説明

破骨細胞培養容器および使用方法

破骨細胞(osteolast)機能を検出するための骨片の付着層を含む破骨細胞培養容器。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、同時係属仮出願番号60/568,274(2004年5月6日出願)の利益を主張するものであり、この出願は参照することによりその全てが本明細書に組み込まれる。
【0002】
骨粗鬆症は、骨の脆弱性および骨折のリスクにつながる、骨組織の劣化および低い骨密度により特徴付けられる代謝性骨疾患である。骨吸収を減少または妨げる薬物を同定するのに用いられ得る迅速なアッセイについて当技術分野の継続的な要求がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ヒトまたは非ヒト破骨細胞または破骨細胞前駆細胞の培養のための、骨片の薄い付着層を含む破骨細胞培養容器を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
破骨細胞機能のアッセイは、細胞培養上清をサンプリングすることにより簡単に行われ得る。本発明の破骨細胞培養容器は、したがって、破骨細胞機能、特に骨吸収のインビトロアッセイを実施するのに生理的に適切なおよび安価な基質を提供する。本発明の破骨細胞培養容器は、ハイスループットアッセイによく適しており、したがって、破骨細胞機能に影響を及ぼす、特に骨吸収を妨げるまたは減少する能力のある試験化合物のスクリーニングに有用である。本発明の破骨細胞培養容器は、市販のEIAキットと適合し、数週間の培養の後ではなく数日で結果が得られるという点で象牙質ディスク(dentin disc)よりも優れている。
【0005】
容器
容器の培養表面(その上に細胞が播種される容器の内表面の部分)が、それに骨片が付着できる材質であれば、細胞を培養するのに適切な任意の容器が、本発明の破骨細胞培養容器として用いられ得る。適切な容器は、少なくとも1つの培養域を含み、そして、例えば、市販の4−、6−、8−、12−、24−、96−、または384−ウェルプラスチック組織培養プレートまたはペトリ皿が挙げられる。親水性表面が、特に適している。有用な材質には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、共重合体(例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0006】
骨片
破骨細胞培養容器の培養域は、本質的に骨片からなる付着層を含む。層は、好ましくは実質的に均一であり、すなわち、層の深度は、好ましくは層中の最大骨片の最長寸法よりも深くない。骨片の単層が好ましいが、完全にそろった層は必要でない。
【0007】

【0008】
本明細書において「骨」は、哺乳類の骨も、角、歯、牙などから得られた象牙質材質も含む。骨片は、好ましくは哺乳類の骨片、特にウシの骨片、そしてより好ましくはヒトの骨片である。非ヒト哺乳類の骨は、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、マウス、ラット、およびモルモットなどの哺乳類から得られ得る。骨は、公知の方法を用いて、例えば、骨の破片をミルですりつぶすことにより、所望の小片サイズにすりつぶされ得る。通常は、ヒトの骨は、臓器斡旋機関(organ procurement organization)から得られ、機関かまたは末端利用者により所望の小片サイズにすりつぶされ得る。臓器斡旋機関協会(Association of Organ Procurement Organizations)は、適切なヒトの骨断片または小片を提供することができる臓器斡旋機関のリストを保持している。
【0009】

【0010】
破骨細胞培養容器の製造方法
本発明の破骨細胞培養容器を製造するために、骨片の水性懸濁液のアリコートを、好ましくは無菌条件下で、容器の1以上の培養域に分注する。水性懸濁液は、本質的に水および骨片からなる。水性懸濁液を製造する際に、大きな骨片の懸濁を保つように、それを連続的に攪拌することは有益である。当業者であれば、水性懸濁液中の骨片の濃度および培養域に分注される水性懸濁液の量などのパラメーターが、培養域のサイズによるということを理解するであろう。これらのパラメーターの操作は、当業者は十分対応できる。水性懸濁液を分注した後、容器は、好ましくは無菌を保つ条件下、例えば、層流フード中で、単に風乾され得る。骨片を培養域の表面に付着させるのにさらなる操作は必要ない。乾燥時間(通常は1から数日)終了時には、培養域は骨片の付着層を含む。
【0011】
破骨細胞機能のアッセイ方法
本発明の破骨細胞培養容器は、正常な哺乳類、好ましくはヒトの骨を用いて破骨細胞機能 (例えば、破骨細胞分化または骨吸収)をアッセイするのに用いられ得る。破骨細胞または破骨細胞前駆細胞は、骨片の付着層上に播種されそして当技術分野で公知の方法により適切な培地中で培養される。培養培地は、インビトロ骨吸収および/または破骨細胞分化の産物についてアッセイされ得る。アッセイは、定性的または定量的にならびにローかまたはハイスループット形式で実行され得る。
【0012】
破骨細胞または破骨細胞前駆細胞
本発明のアッセイは、骨吸収を引き起こすかまたは骨吸収を引き起こす細胞へと分化し得る任意のタイプの細胞(初代細胞かまたは樹立細胞株)に用いられ得る。例えば、破骨細胞または破骨細胞前駆細胞などの細胞。本明細書において「破骨細胞」には、分化した破骨細胞および破骨細胞様細胞株が含まれる。本明細書において「破骨細胞前駆細胞」には、プレ破骨細胞、破骨細胞先駆細胞(progenitor)、および破骨細胞前駆細胞株が含まれる。純化細胞集団(すなわち、その全てまたは大部分の細胞が所望のタイプの細胞である集団)を用いる必要はない。
【0013】
破骨細胞または破骨細胞前駆細胞は、例えば、鳥類または哺乳類のものであり得る。鳥類の破骨細胞または破骨細胞前駆細胞は、例えば、Collin-Osdoby et al., Methods Mol Med. 2003; 80: 65-88; Collin-Osdoby et al., J Bone Miner Res. 2002 Oct; 17(10): 1859-71に開示されている。適切な哺乳類の破骨細胞または破骨細胞前駆細胞には、ラット(Bushinsky, J Bone Miner Res. 1994 Nov; 9(11): 1839-44)またはマウス(Takahashi et al., Methods Mol Med. 2003; 80: 129-44)などのげっ歯類;ウサギ(Coxon et al., Methods Mol Med. 2003; 80: 89-99; Shimizu et al., Bone Miner. 1989 Jul; 6(3): 261-75);非ヒト霊長類(Povolny & Lee, Exp Hematol. 1993 Apr; 21(4): 532-7; Takahashi et al., J Bone Miner Res. 1987 Aug; 2(4): 311-7);およびヒト(Sabokbar & Athanasou, Methods Mol Med. 2003; 80: 101-11; Benito et al., Cytometry. 2002 Oct 15; 50(5): 261-6)のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
初代破骨細胞および初代破骨細胞前駆細胞を得るおよび培養する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Chenu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 5683-87, 1988; Hughes et al., J Clin Invest. 1989 Jun; 83(6): 1930-35; Roodman, Exp. Hematol. 27, 1229-41, 1999; Roux & Orcel, Arthritis Res. 2000; 2(6): 451-56; Toyosaki-Maeda et al., Arthritis Res. 2001; 3(5): 306-10参照。
【0015】
ヒト破骨細胞前駆細胞の好ましい源は、Cambrex Corporationから入手できるものである(「POIETICSTM Osteoclast Precursors」、製造番号2T-110)。破骨細胞前駆細胞を培養するための培養培地および添加物もまた、Cambrex Corporationから得ることができる(例えば、PT-8001;PT-8201;PT-9501)。
【0016】
他の適切な細胞には、MOCP-5破骨細胞前駆細胞(Chen & Li, J Bone Miner Res. 1998 Jul; 13(7): 1112-23);H-2KbtsA58トランスジェニックマウスからの破骨細胞誘導性および破骨細胞誘発性(osteoclastogenic)細胞株(Chambers et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 5578-82, 1993);およびbcl-XLおよびラージT抗原二重トランスジェニックマウス由来の不死化破骨細胞(OCL)前駆細胞株(Hentunen et al., Endocrinology 140, 2954-61, 1999)が挙げられるが、これらに限定されない。プレ破骨細胞および破骨細胞様細胞株もまた、用いられ得る。例えば、Fiorelli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92, 2672-76, 1995; Miyamoto & Suda, Keio J. Med. 52, 1-7, 2003; Arai et al., J. Exp. Med. 190, 1741-54, 1999; Espinosa et al., J. Cell Sci. 115, 3837-48, 2002; Mbalaviele et al., J. Cell Biol. 141, 1467-76, 1998; Thomas et al., Endocrinol. 140, 4451-58, 1999; Quinn et al., Endocrinol, 139, 4424-27, 1998; Itoh et al., Endocrinol. 142, 3656-62, 2001;およびRagab et al., Am. J. Physiol. Cell Physiol. 283, C679-C687, 2002参照。MacDonald et al., J Bone Miner Res. 1986 Apr; 1(2): 227-33もまた参照。
【0017】
温度およびパーセントCOなどの他の培養条件のみならず、所定の細胞タイプに対する適切な培養培地の選択も、当業者は十分対応できる範囲にある(例えば、ANIMAL CELL CULTURE, R.I. Freshney, ed., 1986参照)。
【0018】
培養時間は、培養される細胞のタイプにより変化し得る。例えば、破骨細胞前駆細胞が用いられる場合、細胞が機能的な破骨細胞に分化し得るように、アッセイが実行される前に4〜5日間培養され得る。破骨細胞または破骨細胞様細胞株が用いられる場合、アッセイは、播種した細胞が付着した後、好ましくは播種24時間後に、実行され得る。
【0019】
破骨細胞機能の試験
破骨細胞機能は、骨吸収かまたは破骨細胞分化を検出することにより評価され得る。骨吸収は、様々な方法で検出され得、培養培地中に放出されたカルシウムあるいはコラーゲン(またはコラーゲン断片)を検出することを含む。
【0020】
カルシウムは、任意の当技術分野で公知の方法を用いて検出され得る。カルシウムに対する比色アッセイは、例えば、Alatas et al., Clin Biochem. 2002 Jun; 35(4): 293-6; Lin et al., J Pharm Biomed Anal. 1999 Dec; 21(5): 931-43; Mann & Green, Ann Clin Biochem. 1988 Jul; 25(Pt 4): 444;およびCorns, Ann Clin Biochem. 1987 Nov; 24(Pt 6): 591-7に開示されている。蛍光に基づくカルシウムアッセイは、例えば、Witte et al., J Biomol Screen. 2002 Oct; 7(5): 466-75; Zhang et al., J Biomol Screen. 2003 Oct; 8(5): 571-7; Chambers et al., Comb Chem High Throughput Screen. 2003 Jun; 6(4): 355-62; Princen et al., Cytometry. 2003 Jan; 51A(1): 35-45;およびSullivan et al., Methods Mol Biol. 1999; 114: 125-33 に開示されている。QUANTICHROMTM(BioCan)キットなどの市販のキットが、用いられ得る。
【0021】
コラーゲンまたはコラーゲン断片は、コラーゲンエピトープに特異的に結合する抗体を用いて便利に検出される。当技術分野で公知のように、コラーゲン抗体かまたはコラーゲン抗体に結合する2次抗体が、蛍光、発光、比色、または放射性ラベルなどの検出可能なラベルで標識され得る。I型コラーゲンを検出するMETRATM Helical Peptide EIAキット(Quidel);I型コラーゲンのC−末テロペプチドに局在しているエピトープを検出するSerum CROSSLAPS(登録商標)ELISA(Nordic Bioscience);および骨I型コラーゲンの架橋N−テロペプチドを検出するOSTEOMARK(登録商標)NTx(Ostex)などの様々な市販のEIAアッセイおよびキットが、コラーゲンを検出するのに用いられ得る。
【0022】
破骨細胞分化は、上述のように、骨吸収の産物を検出することにより、または培養培地中に分泌される酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ5b型(「TRAP」または「TRAP 5b」)(Minkin, Calcif Tissue Int 1982; 34: 285-90)などの破骨細胞分化の生化学的マーカーを検出することにより、評価され得る。TRAPアッセイは公知であり、細胞化学的染色(比色)、酵素的アッセイ(例えば、蛍光、発光または比色)、およびイムノアッセイ(例えば、比色または蛍光)が挙げられる。ビトロネクチン受容体(インテグリンαβ)などの他のマーカーは、当技術分野で公知の免疫化学的方法により検出され得る。
【0023】
試験化合物
試験化合物は、試験化合物の破骨細胞機能に影響を及ぼす能力をスクリーニングするために、破骨細胞または破骨細胞前駆細胞の培養の間の任意の時点で添加され得る。試験化合物は、既に当技術分野で公知のいかなる薬剤であり得、またはいかなる薬理学的活性を有することも前もって知られていない化合物であり得る。試験基質は、天然物であり得または実験室で合成され得る。それらは、微生物、動物、または植物から単離され得、あるいは組換えで製造され得または当技術分野で公知の化学的手法により合成され得る。
【0024】
試験化合物は、化合物ライブラリから得られ得る。試験化合物のコンビナトリアルライブラリを生成する方法は、当技術分野で公知であり、「生物ライブラリ」の形成、空間的にアドレス可能なパラレル(parallel)固相または液相ライブラリ、逆重畳積分(deconvolution)を必要とする合成ライブラリ法、「one-bead one-compound」ライブラリ法、およびアフィニティークロマトグラフィー選別を用いる合成ライブラリ法が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、DeWitt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90, 6909, 1993; Erb et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91, 11422, 1994; Zuckermann et al., J. Med. Chem. 37, 2678, 1994; Cho et al., Science 261, 1303, 1993; Carell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33, 2059, 1994; Carell et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33, 2061, 1994; Gallop et al., J. Med. Chem. 37, 1233, 1994;およびLam, Anticancer Drug Des. 12, 145, 1997参照。
【0025】
試験化合物は、例えば、溶液中(Houghten, Biotechniques 13, 412-21, 1992)、ビーズ上(Lam, Nature 354, 82-84, 1991)、プラスミド内(Cull et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89, 1865-69, 1992)、またはファージ内(Scott & Smith, Science 249, 386-90, 1990; Devlin, Science 249, 404-06, 1990; Cwirla et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 97, 6378-82, 1990; Felici, J. Mol. Biol. 222, 301-10, 1991;および米国特許第5,223,409号)で細胞に提示され得る。本発明のアッセイのために、試験化合物は、最も都合よく培養培地に添加される。これは、細胞が破骨細胞培養容器に入れられる後かまたは前になされ得る。
【0026】
キット
本発明はまた、1以上の本発明の破骨細胞培養容器および本明細書に開示されたアッセイの1以上の実施態様を実行するための説明書を含むキットを提供する。キットは、骨吸収の検出用試薬、緩衝液、破骨細胞または破骨細胞前駆細胞、培養培地、成長因子などの他の要素を含み得る。
【0027】
この開示に挙げた全ての特許、特許出願、および参考文献は、本明細書中でその全体が参考として明確に組み込まれる。上述の開示は、本発明を概して説明している。さらに完全な理解は、以下の具体的な実施例を参照することにより得られ得、実施例は例証の目的のみのために提供されるものであり、本発明の範囲の制限を意図するものではない。
【実施例】
【0028】
実施例1
本実施例は、インビトロの骨吸収のアッセイに用いるための既存の市販の基質の代替物としてのOSTEOASSAYTM骨プレートの評価について記載する。
【0029】

【0030】
骨片からのI型コラーゲンペプチドの培養上清中への放出を、酵素免疫測定法(EIA)により定量的に測定した。吸収特異的コラーゲン吸収断片の測定のための3つの異なる市販のアッセイキットを調べた:METRATM Helical Peptide EIAキット(Quidel)、Serum CROSSLAPS(登録商標)ELISA(Nordic Bioscience)キット、およびOSTEOMARK(登録商標)NTx(Ostex)キット。いくつかの実験において、OSTEOASSAYTMプレートを、象牙質ディスク(ALPCO Diagnostics)と比較した。他のアッセイにおいて、初代ヒト破骨細胞前駆細胞を、破骨細胞機能の阻害剤(アレンドロネートまたはカルシトニン)に48-72時間暴露し、その後骨吸収活性をアッセイした。
【0031】
OSTEOASSAYTMプレート中で分化した破骨細胞前駆細胞の上清におけるコラーゲン吸収産物の放出は、実質的に時間に対して線形であった(図1)。シグナル対バックグラウンド(signal-to-background)(S:N)比(未分化の前駆細胞に対する分化した細胞)もまた、48時間のアッセイ期間の後経時的に>10に増加した。S:N値およびバックグラウンドレベルにおける有意差が、コラーゲン吸収ペプチドの測定のための3つの市販のEIAキットを比較した場合観察された。Quidel EIAキットのS:N比>Nordic Bioscience EIAキットのS:N比>Ostex EIAキットのS:N比(図2A、2B)。
【0032】
初代ヒト破骨細胞が骨を吸収する能力を、OSTEOASSAYTMプレートと象牙質ディスクの両方で測定した(図2A、2B)。24時間の期間で(5日目から6日目)、象牙質ディスクから放出されたコラーゲンペプチドの量は、Quidel EIAキットでアッセイすると、OSTEOASSAYTMプレートから放出された量よりもほぼ4倍少なかった。同様に、比較を2日間にわたってNordic Bioscience EIAキットで行った場合、象牙質ディスクは、OSTEOASSAYTMプレートにおいてヒト骨粉から放出されたコラーゲンペプチドの量の23%しか放出しなかった。
【0033】
初代ヒト破骨細胞前駆細胞を、10,000細胞/ウェルで播種し、M-CSFおよび可溶性RANKリガンドを含む培地中で培養した。培養の5日後、培地を+/- 1 nM カルシトニンまたは+/- 様々な濃度のアレンドロネートで新しくした。さらなる2日間の培養後、各ウェルからの上清を、CTxコラーゲン吸収産物の存在についてアッセイした。図3は、カルシトニンがOSTEOASSAYTMプレートでインビトロの骨吸収を効果的に抑制することを示している。図4は、アレンドロネートに対するIC50値が約1μMであったことを示している。OSTEOASSAYTMプレートでなされたアッセイの変動係数は、Z'値>0.5で平均して12%となった。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】OSTEOASSAYTMプレート中で培養した分化初代ヒト破骨細胞により引き起こされたコラーゲンペプチドの放出の経時変化を示しているグラフ。
【図2A】OSTEOASSAYTMプレート中かまたは象牙質ディスク上で培養した初代ヒト破骨細胞により引き起こされたコラーゲンペプチド放出の検出を比較するグラフ。図2A、細胞を5日間培養し、上清のサンプルをさらなる48時間の培養後回収しそしてCTxテロペプチドに対するEIAアッセイに用いた。
【図2B】OSTEOASSAYTMプレート中かまたは象牙質ディスク上で培養した初代ヒト破骨細胞により引き起こされたコラーゲンペプチド放出の検出を比較するグラフ。図2B、細胞を5日間培養し、上清のサンプルをさらなる24時間の培養後回収しそしてらせん状ペプチドに対するEIAアッセイに用いた。
【図3】OSTEOASSAYTMプレートでアッセイしたカルシトニンによる骨吸収の抑制を示しているグラフ。
【図4】OSTEOASSAYTMプレートでアッセイしたアレンドロネートによる骨吸収の抑制を示しているグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に最長寸法約0.15mm未満である骨片からなる付着層を含む少なくとも1つの培養域を含む、破骨細胞培養容器。
【請求項2】
骨片が最長寸法約0.125mm未満である、請求項1の破骨細胞培養容器。
【請求項3】
骨片が最長寸法約1μmから約0.125mmの間である、請求項1の破骨細胞培養容器。
【請求項4】
複数の培養域を含む、請求項1の破骨細胞培養容器。
【請求項5】
骨片が哺乳類の骨片を含む、請求項1の破骨細胞培養容器。
【請求項6】
骨片がヒトの骨片を含む、請求項1の破骨細胞培養容器。
【請求項7】
骨片がウシの骨片を含む、請求項1の破骨細胞培養容器。
【請求項8】
付着層が実質的に均一である、請求項1の破骨細胞培養容器。
【請求項9】
付着層が骨片の単層である、請求項1の破骨細胞培養容器。
【請求項10】
少なくとも1つの培養域がさらに培養培地および付着層を覆う破骨細胞または破骨細胞前駆細胞の集団を含む、請求項1−9または30のいずれかの破骨細胞培養容器。
【請求項11】
破骨細胞または破骨細胞前駆細胞の集団がヒト破骨細胞またはヒト破骨細胞前駆細胞を含む、請求項10の破骨細胞培養容器。
【請求項12】
培養培地が試験化合物を含む、請求項10または11の破骨細胞培養容器。
【請求項13】
破骨細胞機能を検出する方法であって:
培養培地の存在下における請求項1−9または30のいずれかの破骨細胞培養容器の骨片の付着層上での破骨細胞または破骨細胞前駆細胞の培養;および
(a)骨片の吸収を反映する成分;または
(b)破骨細胞分化のマーカー
を検出するための培養培地の検査
を含む方法。
【請求項14】
破骨細胞機能を検出する方法であって:
(a)骨片の吸収を反映する成分;または
(b)破骨細胞分化のマーカー
を検出するための請求項10または11の破骨細胞培養容器の培養培地の検査
を含む方法。
【請求項15】
培養培地が破骨細胞分化のマーカーを検出するために検査されおよび該マーカーが酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ5b型(TRAP)分泌またはTRAP活性である、請求項13または14の方法。
【請求項16】
培養培地が付着骨片の吸収を反映する成分を検出するために検査されおよび該成分がカルシウムである、請求項13または14の方法。
【請求項17】
培養培地が付着骨片の吸収を反映する成分を検出するために検査されおよび該成分がコラーゲンまたはコラーゲン断片である、請求項13または14の方法。
【請求項18】
検査するステップの前に破骨細胞または破骨細胞前駆細胞を試験化合物と接触させることをさらに含む、請求項13−17のいずれかの方法。
【請求項19】
検査するステップがイムノアッセイを用いて実行される、請求項13−18のいずれかの方法。
【請求項20】
検査するステップが比色アッセイを用いて実行される、請求項13−18のいずれかの方法。
【請求項21】
検査するステップが酵素的アッセイを用いて実行される、請求項13−18のいずれかの方法。
【請求項22】
破骨細胞または破骨細胞前駆細胞の集団がヒト破骨細胞またはヒト破骨細胞前駆細胞を含む、請求項13−21のいずれかの方法。
【請求項23】
破骨細胞培養容器を製造する方法であって:
容器の培養域に本質的に水および最長寸法約0.15mm未満である骨片からなる組成物を分注すること(水が蒸発することにより培養域が骨片の付着層を含む)
を含む方法。
【請求項24】
骨片が最長寸法約0.125mm未満である、請求項23の方法。
【請求項25】
骨片が最長寸法約1μmから約0.125mmの間である、請求項23の方法。
【請求項26】
容器が複数の培養域を含む、請求項23の方法。
【請求項27】
骨片が哺乳類の骨片を含む、請求項23の方法。
【請求項28】
骨片がヒトの骨片を含む、請求項23の方法。
【請求項29】
骨片がウシの骨片を含む、請求項23の方法。
【請求項30】
請求項23−29のいずれかの方法により製造された破骨細胞培養容器。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−535942(P2007−535942A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511703(P2007−511703)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/016144
【国際公開番号】WO2005/108551
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(505326656)キャンブレックス・バイオ・サイエンス・ウォーカーズヴィル・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】