説明

硫酸含有油性廃棄物の処理方法及び処理装置

【課題】 石油精製過程にて生じる硫酸ピッチや廃油と硫酸との混合物等の硫酸含有油性廃棄物を、セメント焼成用助燃材として有効利用することで、外部へダストや硫黄酸化物を排出する虞がなく、しかも、セメント焼成設備の操業に影響を及ぼす虞がない硫酸含有油性廃棄物の処理方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】 本発明の硫酸含有油性廃棄物の処理方法は、硫酸含有油性廃棄物をセメント焼成設備を用いて燃焼処理する方法であり、中和処理槽22にて硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤により中和処理し、得られた中和処理物を粉砕機25にて粉砕し、得られた微粉砕物を造粒装置27を用いて造粒し、得られた造粒物をバーナー11aを介してセメント焼成設備のロータリーキルン4の窯尻部4aに投入し燃焼処理することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸含有油性廃棄物の処理方法及び処理装置に関し、更に詳しくは、石油精製過程にて生じる硫酸ピッチや廃油と硫酸との混合物等の硫酸含有油性廃棄物、あるいは、この硫酸含有油性廃棄物を中和剤により中和処理した中和処理物を、セメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入し、油分を熱分解するとともに、この熱分解により生じる熱エネルギー及び硫黄成分を資源として有効利用することが可能な硫酸含有油性廃棄物の処理方法及び処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、石油精製過程にて生じる硫酸ピッチや廃油と硫酸との混合物等の硫酸含有油性廃棄物は、石油精製過程における重質油から重油を製造する工程や潤滑油を製造する工程にて副産物として発生するものが主である。これらの製造工程で発生する硫酸含有油性廃棄物は、一旦精製処理を行って有効成分を分留したのち、不要となった残留部分を中和処理後、焼却処理するのが一般的である。
一方、最近、不法投棄が問題となっている硫酸含有油性廃棄物は、灯油やA重油を原料として軽油を不正に製造した場合に副産物として発生するものが主である。これらの不法投棄物は、含有する硫酸により容器が損傷し、この容器内の硫酸含有油性廃棄物が外に流出して周辺の土壌を汚染したり、あるいは、地下に浸透して地下水等を汚染する等の問題が生じる虞がある。
【0003】
この様な発生過程の故か、従来より、様々な硫酸含有油性廃棄物の処理方法が提案され、実用に供されている。
まず、第1の処理方法としては、硫酸ピッチを極性のある有機系の溶剤及びアルカリ金属の水酸化物の水溶液等に溶解または分散させ、得られた溶液または分散液を燃焼処理する方法が提案されている(特許文献1、2)。
また、上記の溶液または分散液中に中和剤を投入して残余の硫酸を中和処理し、得られた中和物中の油分及びタール分を焼却処理する方法も提案されている(特許文献1、3)。
また、硫酸ピッチの固形分を発煙硫酸を用いて溶解し、この溶解液を中和処理することなく焙焼処理する方法も提案されている(特許文献4)。
【0004】
また、第2の処理方法としては、硫酸ピッチに、セメントやセメント系固化材、あるいは処理剤を混合して固化させ、さらに、この固化物を中和処理し、この中和処理した固化物を粉砕し、セメント焼成の原燃料助材として処理する方法が提案されている(特許文献5、6)。
【特許文献1】特開2005−028303号公報
【特許文献2】特開2005−103483号公報
【特許文献3】特願2004−175674号公報
【特許文献4】特開2002−001399号公報
【特許文献5】特開2002−180067号公報
【特許文献6】特願2005−082944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の第1の処理方法では、硫酸含有油性廃棄物を溶解または分散するために極性のある有機溶剤及びアルカリ金属の水酸化物の水溶液等を用いているので、強酸である硫酸含有油性廃棄物及び有機溶剤やアルカリ水溶液の取扱に細心の注意が必要となり、また、処理自体が高コストとなるという問題点があった。
また、中和剤を投入して残余の硫酸を中和処理する場合には、中和剤を用いた分、さらに高コストの処理となるという問題点があった。
また、発煙硫酸を用いて硫酸ピッチの固形分を溶解する場合には、強酸である発煙硫酸を用いている分、取扱に一層の注意が必要となり、また、発煙硫酸を用いることでさらに高コストの処理となるという問題点があった。
【0006】
この場合、硫酸ピッチに廃硫酸を混合して固形分の一部を溶解した後、残余の固形分を分離し、分離した固形分のみを発煙硫酸で溶解し、その後、廃硫酸を混合した溶液と発煙硫酸で溶解した溶液を混合すれば、発煙硫酸の使用量を減少させることも可能であるが、工程が増加した分、高コストになってしまうという新たな問題点が生じる虞があった。
この様に、従来の第1の処理方法では、溶液の状態のものを燃焼処理するので、燃焼処理する手段を、燃料をセメント焼成設備の高温部に噴出させるバーナーと共用することで、燃焼処理コストを低く抑えることができる。しかしながら、溶液の種類によっては発熱量が殆ど無いものもあることから、硫酸含有油性廃棄物を溶解した溶液の発熱量が10000kJ/kg(≒2400kcal/kg)以下となる場合も多々あり、硫酸含有油性廃棄物の熱分解により生じる熱エネルギー及び硫黄成分を資源として有効利用することが難しい場合があった。
【0007】
一方、従来の第2の処理方法では、硫酸ピッチに、セメントやセメント系固化材、あるいは処理剤を混合して固化させているので、液状の油や微粉炭の噴霧燃焼と比べて燃焼性が大幅に劣るという問題点があった。
その理由は、硫酸ピッチを固化する際に燃焼性に劣る固化剤及び処理剤を混合しているので、混合により得られた粒状物または塊状物は、硫酸ピッチ自体より発熱量が低いものとなるからである。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、石油精製過程にて生じる硫酸ピッチや廃油と硫酸との混合物等の硫酸含有油性廃棄物を、セメント焼成用助燃材として有効利用することで、外部へダストや硫黄酸化物を排出する虞がなく、しかも、セメント焼成設備の操業に影響を及ぼす虞がない硫酸含有油性廃棄物の処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、強酸性である硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤にて中和処理し、次いで、この中和処理物を粉砕し、次いで、この微粉砕物を造粒し、次いで、この造粒物をセメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入して燃焼処理することとすれば、硫酸含有油性廃棄物に含まれる油分は、この燃焼処理に伴って完全燃焼し、また、硫酸含有油性廃棄物に含まれる硫黄分及びカルシウム系中和剤に含まれるカルシウム分は、セメントクリンカ中に取り込まれてセメントクリンカの一成分となり、したがって、外部へ排出する虞がなくなり、また、この燃焼処理にて発生した酸化硫黄(SO)は、仮焼炉やサスペンションプレヒータ内にてセメント粉末原料により脱硫されるので、外部に排出される虞が無く、したがって、セメント焼成設備の操業に影響を及ぼすことのない硫酸含有油性廃棄物の処理が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の硫酸含有油性廃棄物の処理方法は、硫酸含有油性廃棄物をセメント焼成設備を用いて燃焼処理する方法であって、前記硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤にて中和処理する中和処理工程と、得られた中和処理物を粉砕する粉砕工程と、得られた微粉砕物を造粒する造粒工程と、得られた造粒物を前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入して燃焼処理する燃焼処理工程とを備えてなることを特徴とする。
【0011】
この硫酸含有油性廃棄物の処理方法では、硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤にて中和処理することにより、強酸性の硫酸含有油性廃棄物を中性に改質する。これにより、得られた中和処理物を安全に取り扱うことが可能になる。
また、得られた中和処理物を粉砕し、その後造粒することにより、得られた造粒物のハンドリング性が向上する。
また、得られた造粒物をセメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入して燃焼処理することにより、硫酸含有油性廃棄物及びカルシウム系中和剤に含まれる無機成分をセメント原料として有効利用し、硫酸含有油性廃棄物の再資源化が図られる。
【0012】
前記中和処理工程は、前記硫酸含有油性廃棄物中の硫酸の含有量を中和滴定法により求め、次いで、この硫酸を中和するのに必要な量以上の前記カルシウム系中和剤を前記硫酸含有油性廃棄物に加え、この硫酸含有油性廃棄物を中和することが好ましい。
この処理方法では、硫酸含有油性廃棄物中の硫酸の含有量を中和滴定法により求めた後、この硫酸含有油性廃棄物に中和するのに必要な量以上のカルシウム系中和剤を加え、この硫酸含有油性廃棄物を中和することにより、得られた中和処理物は確実に中性を呈するものとなり、安全性がさらに高まる。
【0013】
前記中和処理工程の前に、前記硫酸含有油性廃棄物を30℃以上かつ80℃以下に加熱することが好ましい。
硫酸含有油性廃棄物を30℃以上かつ80℃以下に加熱することにより、硫酸含有油性廃棄物の流動性が確保され、カルシウム系中和剤との反応が促進される。
【0014】
前記中和処理工程の前に、前記硫酸含有油性廃棄物に水および/または溶剤を添加することが好ましい。
硫酸含有油性廃棄物に水および/または溶剤を添加することにより、硫酸含有油性廃棄物の流動性がさらに確保され、硫酸含有油性廃棄物とカルシウム系中和剤との反応がさらに促進される。
【0015】
前記カルシウム系中和剤は、石灰石、消石灰、生石灰、セメント、セメント焼成原料、セメント原料ダスト、セメントクリンカ粉、セメントコンクリートスラッジ、セメントコンクリート塊状物、セメントコンクリート微粉末、コンクリート廃材、コンクリート廃材微粉末、スラグの群から選択された1種または2種以上であることが好ましい。
【0016】
前記微粉砕物は、粒径が75μm以下の粉体の累積百分率が50重量%以上であることが好ましい。
前記造粒工程は、前記微粉砕物100重量部に対して水を10重量%以上かつ30重量%以下添加して造粒することが好ましい。
前記造粒物の平均粒径は、2mm以上かつ5mm以下であることが好ましい。
【0017】
本発明の硫酸含有油性廃棄物の処理装置は、硫酸含有油性廃棄物をセメント焼成設備を用いて燃焼処理する装置であって、前記硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤にて中和処理する中和処理手段と、得られた中和処理物を粉砕する粉砕手段と、得られた微粉砕物を造粒する造粒手段と、得られた造粒物を前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入する投入手段とを備えてなることを特徴とする。
【0018】
この処理装置では、硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤にて中和処理する中和処理手段と、得られた中和処理物を粉砕する粉砕手段と、得られた微粉砕物を造粒する造粒手段と、得られた造粒物を前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入する投入手段とを備えたことにより、強酸性の硫酸含有油性廃棄物が中性に改質されて中和処理物として取り扱われ、取り扱い上の安全性が向上する。
また、セメント焼成設備では、硫酸含有油性廃棄物の中和処理物をセメント原料及び焼成時の燃料として有効利用され、硫酸含有油性廃棄物の再資源化が図られる。
【0019】
前記中和処理手段は、前記硫酸含有油性廃棄物を貯留しカルシウム系中和剤にて中和処理する中和処理槽と、この中和処理槽に貯留される前記硫酸含有油性廃棄物を30℃以上かつ80℃以下に加熱する加熱手段とを備えてなることが好ましい。
前記中和処理手段と前記粉砕手段との間に、前記中和処理手段にて得られた中和処理物を粒状化する粒状化手段を設けてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の硫酸含有油性廃棄物の処理方法によれば、硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤にて中和処理する中和処理工程と、得られた中和処理物を粉砕する粉砕工程と、得られた微粉砕物を造粒する造粒工程と、得られた造粒物を前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入して燃焼処理する燃焼処理工程とを備えたので、硫酸含有油性廃棄物をpH2以下の強酸性から中性に改質することができ、安全に取り扱うことができる。
また、得られた中和処理物を粉砕し、その後造粒するので、得られた造粒物はハンドリング性に優れたものとなり、セメント焼成設備に直接投入可能な状態に改質することができる。
【0021】
また、硫酸含有油性廃棄物に含まれる硫黄分及びカルシウム系中和剤に含まれるカルシウム分をセメントクリンカ中に取り込んでセメントクリンカの一成分として有効利用するので、これらをセメント原料として有効利用することができ、したがって、硫酸含有油性廃棄物の再資源化を図ることができる。
また、酸化硫黄(SO)等はセメント焼成設備内にてセメント粉末原料により脱硫され、外部へ排出する虞もない。
以上により、硫酸含有油性廃棄物を安全に大量処理することができ、この硫酸含有油性廃棄物に含まれる成分を熱エネルギーやセメントクリンカ原料として有効利用することができ、しかも、セメント焼成設備の操業に影響を及ぼす虞もない。
【0022】
本発明の硫酸含有油性廃棄物の処理装置によれば、硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤にて中和処理する中和処理手段と、得られた中和処理物を粉砕する粉砕手段と、得られた微粉砕物を造粒する造粒手段と、得られた造粒物を前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入する投入手段とを備えたので、硫酸含有油性廃棄物の処理を安全かつ確実に行うことができる。
また、硫酸含有油性廃棄物の中和処理物をセメント原料及び焼成時の燃料として有効利用することができ、硫酸含有油性廃棄物の再資源化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の硫酸含有油性廃棄物の処理方法及び処理装置の最良の形態について、図面に基づき説明する。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態のセメント製造設備を示す模式図であり、石油精製過程にて生じた硫酸ピッチや廃油と硫酸との混合物等からなる硫酸含有油性廃棄物を、カルシウム系中和剤にて中和処理し、得られた中和処理物をセメント原料及び燃料の一部として用いるセメント製造設備の例である。
図において、1はセメント原料を乾燥・粉砕する原料ミル、2はセメント原料粉を分離するサイクロン、3はセメント原料貯蔵庫、4はロータリーキルン(セメント焼成設備)、5はクリンカクーラ、6は仮焼炉、7は複数段のサイクロン7a〜7dからなるサスペンションプレヒータ、8は仮焼炉6の2次ダクト、9は電気集塵機、10は排気煙突、11a、11bはバーナー、12はクーラ排気ライン、13はセメント原料供給ライン、14はセメント原料粉供給ライン、15はセメントクリンカ搬送ラインである。
この製造設備では、ロータリーキルン4と仮焼炉6とによりセメント焼成設備が構成されている。
【0025】
21は石油精製過程にて生じた硫酸ピッチや廃油と硫酸との混合物等からなる硫酸含有油性廃棄物をセメント焼成設備を用いて燃焼処理する際に用いられる硫酸含有油性廃棄物の処理装置であり、硫酸ピッチまたは廃油と硫酸との混合物である硫酸含有油性廃棄物31をカルシウム系中和剤32にて中和処理する中和処理槽22と、この中和処理槽22により中和処理された中和処理物を粒状化する粒状化装置(粒状化手段)23と、この粒状化した中和処理物を貯留するホッパ24と、ホッパ24より粒状化した中和処理物を引き出し粉砕する粉砕機(粉砕手段)25と、粉砕機25により微粉砕された中和処理物の微粉砕物を貯留するホッパ26と、ホッパ26より微粉砕物を引出し、これに水33を加えて造粒する造粒装置(造粒手段)27と、造粒装置27により造粒された中和処理物の造粒物を貯留するホッパ28と、ホッパ28より引出された中和処理物の造粒物をセメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入する投入ライン(投入手段)29と、この処理装置における硫酸含有油性廃棄物、カルシウム系中和剤及び水の供給量、温度等を制御する制御装置(図示略)とにより構成されている。
【0026】
中和処理槽22は、硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤にて中和処理することができる槽であればよい。硫酸含有油性廃棄物は、pHが2以下の強酸であることが多く、中和処理槽22としても強酸に対して十分耐性を有することが求められるので、例えば、pHが1程度の強酸に対して十分耐性を有するものが好ましい。この中和処理槽22には、硫酸含有油性廃棄物の流動性を確保する一つの方法として、この硫酸含有油性廃棄物を所定の温度、例えば30〜80℃に加熱・保持するヒータ(図示略)が内蔵されている。
【0027】
粒状化装置23は、中和処理槽22により中和処理された半液状またはペースト状の中和処理物から水分等を取り除くとともに、残った半固体状の中和処理物を粒状化することができるものであればよい。
この粒状化装置23では、中和処理された半液状又はペースト状の中和処理物が投入され、粒状化処理されるので、この中和処理物が投入される部分の内面は、中和処理物により腐食されることの無いよう、ステンレススチール等の耐腐食性に優れた材料により構成されている。
また、この粒状化装置23には、中和処理物を加熱することで内部に含まれる水分や揮発性有機物等を取り除くために、この中和処理物を所定の温度、例えば30〜80℃に加熱・保持するヒータ(図示略)が内蔵されている。
【0028】
この粒状化装置23では、上記の中和処理物の油分やタール分をできるだけ固化物に取り込み、しかも、水分等を取り除く際に揮発分として一緒に除去されることを防止するために、上記の中和処理槽22でのカルシウム系中和剤の添加量を、硫酸含有油性廃棄物の中和に必要なカルシウム系中和剤の1〜3倍量、好ましくは1.5〜2倍量とし、その後、撹拌・混合することにより、所定の粒径や形状の粒状物を得ることができる。
目標として粒径5〜30mmの粒状物を得ることができるよう、カルシウム系中和剤の添加量と品種を選択する。
【0029】
カルシウム系中和剤は、上記の中和処理槽22の他に、粒状化装置23でさらに添加してもよい。この場合、中和処理槽22及び粒状化装置23でのカルシウム系中和剤の添加量の合計量を、硫酸含有油性廃棄物の中和に必要なカルシウム系中和剤の1〜3倍量、好ましくは1.5〜2倍量とすればよい。
【0030】
ホッパ24は、粒状化装置23により粒状化された中和処理物を一旦貯留し、所定の量を計量・送出(図示略)するもので、その内面は中和処理物により腐食されることの無いよう、ステンレススチール等の耐腐食性に優れた材料により構成されている。
【0031】
粉砕機25は、ホッパ24より所定の量を計量・送出された中和処理物の粒状化物を粉砕し、この粉砕機25の内部または外部に設けられた分級器(図示略)にて分級することにより、所定の粒度、例えば粒径75μm以下の粉体の累積百分率が50重量%以上、好ましくは粒径45μm以下の粉体の累積百分率が50重量%以上となる粉体を得ることができる。
【0032】
粉砕機25としては、竪型ミルやコンビネーションミルのような各種の粉砕機があるが、所定の粒度の粉体を得ることができるものであれば機種は問わない。ここでは、分級器を内蔵した小型の竪型ミルを用いた。この分級器は固定式で、ガイドベーンの開閉とエアリフト空気量の調整で分級サイズを調整するものである。また、竪型ミルは、粉砕圧力と粉砕物供給量とミル内通風量を制御して粉砕量を調整する。
【0033】
ホッパ26は、粉砕機25により粉砕された中和処理物の粉砕物を一旦貯留し、次の造粒装置27に所定量を計量・送出(図示略)するものである。
造粒装置27は、ホッパ26より計量・送出された中和処理物の粉砕物に水33を加え、平均粒径2〜5mmの造粒物とする。
造粒装置27は、例えば、パン形やドラム形等各種あるが、所定の粒径に造粒できるものであれば機種は問わない。
ここでは、パン形造粒機(この形式の造粒機をペレタイザと称す)を用いた。このパン形造粒機の造粒物の粒径及び造粒量は、パンの回転速度、中和処理物の粉砕物の供給量、及び加える水33の量を制御して調整することができる。
【0034】
ホッパ28は、造粒機27により造粒された造粒物を一旦貯留し、この造粒物を所定量計量して投入ライン29へ送出するものである。
この投入ライン29に送出された造粒物は、バーナー11a、11bのいずれか一方、または双方を介してセメント焼成設備の800℃以上の高温部に助燃材として投入(噴出)され、燃焼処理される。
なお、これら粉砕機25〜投入ライン29の中和処理物に接触する部分は、中和処理物により腐食されることの無いよう、ステンレススチール等の耐腐食性に優れた材料により構成されている。
【0035】
ここで、セメント焼成設備の800℃以上の高温部としては、例えば、ロータリーキルン4、ロータリーキルンの窯尻部4a、仮焼炉6、仮焼炉2次ダクト8等があるが、バーナー11a、11bが既に設置されていることから、ロータリーキルン4、仮焼炉6での投入(噴出)が容易である。
また、バーナー11a、11bは、既存の重油用バーナー、石炭用バーナー、再生油用バーナー等に中和処理物の造粒物からなる助燃材を噴出する構造を付加してもよく、単独のバーナーを設けて噴出してもよい。
【0036】
また、前記の各所で計量する場合、計量する手段と、計量物の送出量を制御する手段を備えて、所定量の送出ができる機構とする。
また、中和処理槽22に粒状化装置23の機能を付加した構成とすれば、特に粒状化装置23を設ける必要はない。
【0037】
また、この粒状化装置23の替わりに中和処理物を塊状化する塊状化装置を設ければ、中和処理槽22により中和処理された中和処理物を塊状化することができる。
さらに、この処理装置21を、例えば、石油精製設備の硫酸ピッチ貯蔵場所に設置して石油精製設備から排出される硫酸ピッチを中和・粒状化し、得られた粒状の中和処理物をセメント製造設備に搬送する構成としてもよい。
【0038】
次に、この硫酸含有油性廃棄物の処理装置21を備えたセメント製造設備を用いて硫酸含有油性廃棄物の処理を行う方法について説明する。
ここで処理される硫酸含有油性廃棄物とは、石油精製過程で排出されるものの他、違法な軽油製造により発生したもの、不法投棄されたもの、これらの硫酸ピッチが混入した土壌、廃油に硫酸または廃硫酸が加えられたものも含まれる。
【0039】
また、ここで用いられるセメント焼成原料は、基本的には石灰石を主体とし、これにシリカ・アルミナ原料として粘土、鉄原料その他を配合し、成分調整を行ったものであり、石灰石の配合量としてはおよそ80重量%となる。したがって、硫酸ピッチ等の硫酸含有油性廃棄物の中和処理物をセメント焼成原料・燃料として用いるためには、中和剤としてカルシウム系中和剤を用いるのが好ましい。
【0040】
ここでは、まず、中和処理槽22に石油精製過程にて生じた硫酸ピッチ等の硫酸含有油性廃棄物を所定量、貯留し、この硫酸含有油性廃棄物にカルシウム系中和剤を添加し、中和処理する。
カルシウム系中和剤としては、カルシウムを含むアルカリ性物質を含有したものが好ましく、カルシウムを含むアルカリ性物質としては、石灰石、消石灰、生石灰、セメント、セメント焼成原料、セメント原料ダスト、セメントクリンカ粉、セメントコンクリートスラッジ、セメントコンクリート塊状物、セメントコンクリート微粉末、コンクリート廃材、コンクリート廃材微粉末(コンクリート廃材から再生骨材回収時に発生する微粉末)、スラグの群から選択された1種または2種以上が好ましい。
より具体的には、例えば、石灰石粉末、セメント、コンクリート廃材微粉末を重量比で2:1:1の割合で混合したもの等が挙げられる。
【0041】
この中和処理は、より具体的には、中和滴定法により硫酸含有油性廃棄物中の硫酸の含有量を求め、次いで、この硫酸含有油性廃棄物を攪拌しつつ、この硫酸含有油性廃棄物に中和に十分な量のカルシウム系中和剤を加え、この硫酸含有油性廃棄物中の硫酸を中和し、中和処理物とする。ここでは、硫酸含有油性廃棄物とカルシウム系中和剤を一緒に混ぜて混練するとよい。
これにより、中和処理物のpH(水素イオン濃度)は、中和前の硫酸含有油性廃棄物の状態ではpHが1程度であったものが、中和後には4〜12程度にまで上昇し、弱酸性、中性もしくはアルカリ性を呈することとなる。
ここでは、中和滴定法により求めたカルシウム系中和剤の必要量の1.5倍量を硫酸含有油性廃棄物に混合し、中和した。
【0042】
ここで、硫酸含有油性廃棄物の粘性が高く撹拌し難い場合には、予め、この硫酸含有油性廃棄物を中和処理槽22に内蔵されたヒータ(図示略)により加熱して該硫酸含有油性廃棄物の粘性を低下させておくとよい。
また、この硫酸含有油性廃棄物に水または有機溶剤を添加し、この硫酸含有油性廃棄物の粘性を低下させておいてもよい。
また、油分吸着・ハンドリング性の改善等のために、カルシウム系中和剤を添加する際に、木屑や木粉等の木質バイオマス粉を添加してもよい。
【0043】
また、カルシウム系中和剤は、硫酸含有油性廃棄物を中和するに必要な量以上に添加することが好ましい。
その理由は、カルシウム系中和剤の添加量が少ない場合、得られた中和処理物が酸性になり、これと接する処理装置21の金属部分が腐食し易くなるからである。したがって、硫酸含有油性廃棄物を完全に中和せずに弱酸性のままでセメント原料・燃料化を行った場合、輸送装置や保管庫、粒状化装置、粉砕機、造粒装置、セメント焼成装置等にトラブルが生じ易くなる。
【0044】
一方、カルシウム系中和剤の添加量が多い場合、特に、カルシウム系中和剤として石灰石、セメント焼成原料、コンクリートスラグ等を用いた場合、得られた中和処理物はほぼ中性のままであり、特に問題が生じる虞もない。また、消石灰、生石灰、セメント、セメント原料ダスト、セメントクリンカ粉、セメントコンクリートスラッジ、セメントコンクリート塊状物、セメントコンクリート微粉末等を用いた場合、得られた中和処理物はアルカリ性となるが、アルカリ性では、これと接する金属は腐食し難くなるので問題になることはない。
【0045】
次いで、この中和処理物を粒状化装置23に投入し、粒状化する。
この粒状化装置23にはヒータが内蔵されているので、中和処理物を所定の温度、例えば30〜80℃に加熱することにより、中和処理物中の油分及びタール分の流動性を確保することができる。また、中和処理物の内部に含まれる水分や揮発性有機物等の一部が蒸発(あるいは揮発)して散逸し、もしくは、過剰の中和剤に反応(あるいは吸着)し、半固形状の中和処理物となる。この半固体状の中和処理物は、粒状化されて、例えば、粒径1〜20mmの粒子となる。
【0046】
この粒状化された中和処理物は、粒径が1〜20mmの大きさの粒子となった場合、そのままの大きさでは粒子表面からの燃焼となる。したがって、燃焼性としては、液状油の噴霧燃焼や石炭の微粉炭燃焼と比べて著しく劣ることとなる。そこで、この粒状化された中和処理物を、例えば、竪型ミル等の粉砕機25を用いて粉砕し、燃焼性のよい形状への転換を図る。
【0047】
一般的には、粒状化された中和処理物を微粉炭並に微粉砕し、微粉化するのがよいのであるが、特に、この粒状化された中和処理物の場合、油分・タール分の多い部分と、硫酸成分とカルシウム系中和剤とが反応したものが多い部分とが混在した状態となっている可能性が高く、単に微粉砕しても、成分が均一な微粉となるとは限らない。そこで、粒状化された中和処理物を、一旦微粉砕した後、造粒することで、成分の均一化を図ることが好ましい。
また、中和処理物に礫や砂のような異物が含まれていた場合であっても、粉砕機により粉末となるまで粉砕処理するので、土壌中に埋設されていた硫酸含有油性廃棄物を最初の原料として中和処理して燃料化することも可能である。
【0048】
この粒状化された中和処理物を一旦ホッパ24に貯留し、その後ホッパ24より粉砕機25へ送出し、この粉砕機25にて所定の粒度、例えば、粒径75μm以下の粒子の累積百分率が50重量%以上、好ましくは粒径45μm以下の粒子の累積百分率が50重量%以上となるように粉砕する。
ここで粉砕機25として竪型ミルを用いた場合、所定の粒度の調整は、ホッパ24から竪型ミルへの送出量、竪型ミルの粉砕ローラの緊張圧力、通風量(多くの場合、ミル差圧で代替表示)及び内蔵された分級器のガイドベーン開度等を調整することにより行うことができる。
【0049】
粉砕機25で粉砕した微粉砕物は、一時ホッパ26へ貯留された後、ホッパ26より造粒装置27へ送出され、この造粒装置27にて水33が加えられて平均粒径1〜5mm、好ましくは平均粒径1〜3mmの粒子(造粒物)に造粒される。
ここで、造粒装置27としてパン形造粒機を用いた場合、水33の添加量は、微粉砕物100重量部に対して10〜30重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜15重量部である。
また、造粒された粒子(造粒物)の平均粒径を所定の範囲に制御するには、微粉砕物の粒度、水の添加量、パンの回転速度等を調整すればよい。
【0050】
次いで、造粒された中和処理物の粒子をホッパ26に一旦貯留し、このホッパ26から所定量を計量・引出しし、投入ライン29にてセメント焼成設備の800℃以上のロータリーキルン4の出口部である窯前部4b、ロータリーキルン4の窯尻部4a、仮焼炉6、仮焼炉2次空気ダクト8内に、バーナー11a、11bのいずれか一方、または双方を介して投入(あるいは噴出)させればよい。
【0051】
燃焼処理の一例として、造粒された中和処理物の粒子を微粉炭と混合し、この混合物をバーナー11aを介して仮焼炉6に噴出させ、燃焼させる方法がある。
この方法では、セメント焼成設備の操業に影響を及ぼすことなく処理することができる。
また、造粒された中和処理物の粒子の投入位置を、セメント焼成設備の800℃以上の高温部としたので、中和処理物に含まれる油分は完全に燃焼して分解し、この燃焼の際に残った残渣と硫黄分は予熱装置で加熱されたセメント原料中に取り込まれ、ロータリーキルン4内で燃焼され、セメントクリンカとなる。したがって、中和処理物の燃焼に伴って煤塵や有害物質が排出されることは無い。
【0052】
ここで、造粒された中和処理物の粒子の投入位置を、セメント焼成設備の800℃以下の部分、例えば、他のセメント原料と同様の位置に投入して燃焼処理すると、この中和処理物に含まれる硫酸ピッチ等の硫酸含有油性廃棄物がサスペンションプレヒータ7の最上段サイクロン7aでほとんど燃焼してしまうことになる。したがって、セメント焼成設備の排ガス温度を上昇させるのみで、この硫酸ピッチ等の硫酸含有油性廃棄物が保有する熱量を有効利用することができない。
【0053】
また、最上段サイクロン7aの温度が320〜400℃程度であることを考慮すると、仮焼炉6等の800〜900℃の高温部よりもカルシウム分との反応性が低下する。したがって、硫酸ピッチ等の硫酸含有油性廃棄物に含まれる硫黄分も、硫酸の一部がカルシウムと反応することなく排ガス系に散逸し、排ガス中のSOを大幅に上昇させることとなる。
また、同時に、最上段サイクロン7aの温度が320〜400℃程度であり、かつ、酸素濃度が3〜6%であることを考慮すると、硫酸ピッチ等の硫酸含有油性廃棄物が不完全燃焼し、これに伴い発生する炭化物が排ガス中に含まれる結果、電気集塵機等の集塵装置の集塵効率を低下させ、煤塵等が外部に排出される虞がある。さらに、硫酸ピッチ等の硫酸含有油性廃棄物の不完全燃焼により、ダイオキシン等の有害物質が発生する虞もある。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の硫酸含有油性廃棄物の処理方法によれば、硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤にて中和処理する中和処理工程と、得られた中和処理物を粉砕する粉砕工程と、得られた微粉砕物を造粒する造粒工程と、得られた造粒物を前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入して燃焼処理する燃焼処理工程とを備えたので、強酸の硫酸含有油性廃棄物を中性に改質することにより、安全に取り扱うことができる。
また、得られた中和処理物を粉砕し造粒するので、ハンドリング性に優れたものとすることができ、セメント焼成設備に直接投入可能な状態に改質することができる。
【0055】
また、硫酸含有油性廃棄物に含まれる硫黄分及びカルシウム系中和剤に含まれるカルシウム分をセメント原料の一成分として有効利用することができ、硫酸含有油性廃棄物の再資源化を図ることができる。
また、酸化硫黄(SO)等はセメント焼成設備にてセメント粉末原料により脱硫されるので、外部へ排出する虞がなくなり、環境への負荷もない。
【0056】
本実施形態の硫酸含有油性廃棄物の処理装置21によれば、硫酸ピッチまたは廃油と硫酸との混合物である硫酸含有油性廃棄物31をカルシウム系中和剤32にて中和処理する中和処理槽22と、この中和処理槽22により中和処理された中和処理物を粒状化する粒状化装置23と、粒状化した中和処理物を粉砕する粉砕機25と、得られた微粉砕物に水33を加えて造粒する造粒装置27と、造粒された中和処理物の造粒物をセメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入する投入ライン29とを備えたので、硫酸含有油性廃棄物の処理を安全かつ確実に行うことができる。
また、造粒された中和処理物の造粒物をセメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入することとしたので、硫酸含有油性廃棄物をセメント原料及び焼成時の燃料として有効利用することができ、硫酸含有油性廃棄物の再資源化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態のセメント製造設備を示す模式図である。
【符号の説明】
【0058】
1 原料ミル
2 サイクロン
3 セメント原料貯蔵庫
4 ロータリーキルン
5 クリンカクーラ
6 仮焼炉
7 サスペンションプレヒータ
7a〜7d サイクロン
8 2次ダクト
9 電気集塵機
10 排気煙突
11a、11b バーナー
13 セメント原料供給ライン
14 セメント原料粉供給ライン
15 セメントクリンカ搬送ライン
21 硫酸含有油性廃棄物の処理装置
22 中和処理槽
23 粒状化装置
24 ホッパ
25 粉砕機
26 ホッパ
27 造粒装置
28 ホッパ
29 投入ライン
31 硫酸含有油性廃棄物
32 カルシウム系中和剤
33 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸含有油性廃棄物をセメント焼成設備を用いて燃焼処理する方法であって、
前記硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤にて中和処理する中和処理工程と、
得られた中和処理物を粉砕する粉砕工程と、
得られた微粉砕物を造粒する造粒工程と、
得られた造粒物を前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入して燃焼処理する燃焼処理工程と
を備えてなることを特徴とする硫酸含有油性廃棄物の処理方法。
【請求項2】
前記中和処理工程は、前記硫酸含有油性廃棄物中の硫酸の含有量を中和滴定法により求め、次いで、この硫酸を中和するのに必要な量以上の前記カルシウム系中和剤を前記硫酸含有油性廃棄物に加え、この硫酸含有油性廃棄物を中和することを特徴とする請求項1記載の硫酸含有油性廃棄物の処理方法。
【請求項3】
前記中和処理工程の前に、前記硫酸含有油性廃棄物を30℃以上かつ80℃以下に加熱することを特徴とする請求項1または2記載の硫酸含有油性廃棄物の処理方法。
【請求項4】
前記中和処理工程の前に、前記硫酸含有油性廃棄物に水および/または溶剤を添加することを特徴とする請求項1、2または3記載の硫酸含有油性廃棄物の処理方法。
【請求項5】
前記カルシウム系中和剤は、石灰石、消石灰、生石灰、セメント、セメント焼成原料、セメント原料ダスト、セメントクリンカ粉、セメントコンクリートスラッジ、セメントコンクリート塊状物、セメントコンクリート微粉末、コンクリート廃材、コンクリート廃材微粉末、スラグの群から選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の硫酸含有油性廃棄物の処理方法。
【請求項6】
前記微粉砕物は、粒径が75μm以下の粉体の累積百分率が50重量%以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の硫酸含有油性廃棄物の処理方法。
【請求項7】
前記造粒工程は、前記微粉砕物100重量部に対して水を10重量%以上かつ30重量%以下添加して造粒することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の硫酸含有油性廃棄物の処理方法。
【請求項8】
前記造粒物の平均粒径は、2mm以上かつ5mm以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項記載の硫酸含有油性廃棄物の処理方法。
【請求項9】
硫酸含有油性廃棄物をセメント焼成設備を用いて燃焼処理する装置であって、
前記硫酸含有油性廃棄物をカルシウム系中和剤にて中和処理する中和処理手段と、
得られた中和処理物を粉砕する粉砕手段と、
得られた微粉砕物を造粒する造粒手段と、
得られた造粒物を前記セメント焼成設備の800℃以上の高温部に投入する投入手段と
を備えてなることを特徴とする硫酸含有油性廃棄物の処理装置。
【請求項10】
前記中和処理手段は、前記硫酸含有油性廃棄物を貯留しカルシウム系中和剤にて中和処理する中和処理槽と、この中和処理槽に貯留される前記硫酸含有油性廃棄物を30℃以上かつ80℃以下に加熱する加熱手段とを備えてなることを特徴とする請求項9記載の硫酸含有油性廃棄物の処理装置。
【請求項11】
前記中和処理手段と前記粉砕手段との間に、前記中和処理手段にて得られた中和処理物を粒状化する粒状化手段を設けてなることを特徴とする請求項9または10記載の硫酸含有油性廃棄物の処理装置。

【図1】
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