説明

硬化された植物性エステルに基づく離型剤を含む熱可塑性組成物

本発明は、(d)熱可塑性ポリマー、(e)離型剤、および(f)任意にさらなる添加剤、を含む熱可塑性組成物であって、当該離型剤は、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、もしくはヒドロキシカルボン酸の誘導体と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールもしくは1つ以上のエポキシド基を有する化合物、もしくは1つ以上のケト基を有する化合物のうち1つ以上とのエステル、またはヒドロキシカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の誘導体と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールもしくは1つ以上のエポキシド基を有する化合物もしくは1つ以上のケト基を有する化合物のうち1つ以上とのエステルの混合物、を含む熱可塑性組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性組成物、熱可塑性組成物を生成するための方法、この方法によって得られる熱可塑性組成物、熱可塑性組成物に基づく成形品を生産するための方法、この方法によって得られる成形品、ならびに、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の誘導体またはケトカルボン酸もしくはケトカルボン酸の誘導体および1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールまたは少なくとも1つのエポキシド基を有する化合物のエステル、またはヒドロキシカルボン酸、およびヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の誘導体、またはヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の誘導体と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール、もしくは少なくとも1つのエポキシド基を有する化合物のうち1つ以上とのエステルの混合物を含む離型剤の使用、に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマーに基づく熱可塑性組成物は、その熱可塑性特性から、成形品を生産するために、頻繁に使用される。これは、熱可塑性ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度まで熱可塑性組成物を加熱し、引き続いてこれを射出成形金型に(例えば射出成形によって)射出し、組成物に、その所望の形状を与えることを伴う。
【0003】
しかし、有効な離型特性は、(例えば射出成形によって)成形品を形成するための効率的かつ経済的な加工を可能にするために、熱可塑性組成物にとって重要な特性である。通常、離型剤は、この加工特性を可能にするために、成形品を生産するために使用される熱可塑性組成物に加えられなければならない。離型剤として有効に機能するため、このタイプの薬剤またはこのタイプの化合物は、その有効性を失わず、かつ/または、変色を引き起こさないように、加工条件下で安定でなければならない。さらに、離型剤は、組成物のポリマーおよび他の成分と化学的に相互作用しなくてもよく、他の点では、組成物に悪影響を及ぼしてはいけない。透明または半透明のポリマーでは、離型剤はその透明性を損なうべきではない。射出成形の間、離型剤は、金型の表面上にいずれの沈着物も形成すべきではなく、成形後、表面上で見えるようになる程度まで、部品の表面に移動するべきでもない。成形品の表面上の離型剤のこのような沈着は、「曇り(Beschlag)」と呼ばれる。
【0004】
特許文献1には、芳香族ポリカーボネート、または芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルの混合物に基づき、2〜6のヒドロキシル基を有するポリオールおよびC10−C36 カルボン酸の脂肪酸エステルならびに飽和 α−オレフィンオリゴマーの混合物を離型剤として含む、熱可塑性組成物が記載されている。しかし、この熱可塑性組成物の欠点は、とりわけ、これに含まれ、2の化学的に異なる成分(脂肪酸エステルおよびα−オレフィンオリゴマー)からなる離型剤が、その化学組成において非常に複雑であるという事実にある。さらに、特許文献1に記載される熱可塑性組成物の透明度は、さらに改善の余地がある。
【0005】
さらに、従来技術(特に、特許文献1)で使用される離型剤は、高い揮発性を示し、成形品の生産の間の高温による、離型剤の一部の漏れを引き起こす。これは、毒性上の理由から警戒すべきであるだけではなく、これは射出成形金型の表面からの熱可塑性組成物の剥離特性の機能障害、および、より容易な黄変ももたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0234171(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、熱可塑性成形材料に関連する技術からもたらされる、少なくともいくつかの欠点を克服するという目的に基づく。
【0008】
本発明の目的は、高い対費用効果で生産することができ、良好な離型特性を示すことの他に、良好な環境上の適合性によって識別され、特にその良好な生分解性の結果として、生分解性の熱可塑性組成物からの繊維、箔、フィルムおよび成形品の生産における離型剤としての使用に適した離型剤を提供することである。
【0009】
特に、本発明は、熱可塑性組成物、特に、主にまたは専ら、(例えば射出成形による)成形品の生産に使用された場合に射出成形金型の表面から容易に剥離できる熱可塑性ポリエステルに基づく熱可塑性組成物であって、できるだけ少ない化学的に異なる成分しか含まず、従って、できるだけ少ない工程で、高い対費用効果で生産することもできる熱可塑性組成物の開示目的に基づく。
【0010】
さらに、本発明は、当該技術分野で公知の熱可塑性組成物と比較して改善された透明度、およびまた、当該技術分野で公知の熱可塑性組成物と比較して射出成形金型の表面から改善された剥離特性を示す熱可塑性組成物の開示目的に基づく。特に、熱可塑性組成物の加工において、特に、この熱可塑性組成物からの成形品の生産においては、この組成物の可能な限り少ない成分しか漏れず、可能であれば、当該成分のいずれもが漏れず、従って、成形品の生産に従事する人々の毒性的な曝露を、最小限に減少させることができる。
【0011】
本発明はまた、本願明細書に記載された有利な熱可塑性組成物を生成するために使用できる方法の開示目的に基づく。
【0012】
さらに、本発明は、熱可塑性組成物が、当該熱可塑性組成物のガラス転移温度の範囲の温度またはこれより高い温度まで加熱した後、成形品まで移行し、当該成形品は、一旦冷却されると、当該技術分野で公知の成形品(特に、熱可塑性ポリエステルに基づく従来技術の成形品)よりもさらに有効に成形品を生産するために使用される金型の表面から剥離できる、成形品を生産するための方法の開示目的に基づく。
【0013】
本発明はまた、成形品、特に、当該技術分野で公知の熱可塑性ポリエステルベースの成形品と比較して高い対費用効果で生産でき、可能であれば、改善された透明性をも示す、熱可塑性ポリエステルに基づく成形品の開示目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0014】
最初に言及した目的の達成に対する寄与は、
a)熱可塑性ポリマー、
b)離型剤、および
c)任意にさらなる添加剤、を含む熱可塑性組成物によってなされ、
当該離型剤は、以下を含む;
ヒドロキシカルボン酸;
好ましくは少なくとも部分的に硬化した、
ヒドロキシカルボン酸、
ヒドロキシカルボン酸の誘導体、
ケトカルボン酸、もしくは
ケトカルボン酸の誘導体、好ましくは、ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体、
と、
1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール、もしくは
1つ以上のエポキシド基を有する化合物、のうち1つ以上、
好ましくは、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール、
とのエステル、
または、
ヒドロキシカルボン酸、ならびにヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の誘導体、ケトカルボン酸もしくはケトカルボン酸の誘導体、好ましくはヒドロキシカルボン酸およびその誘導体と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールもしくは1つ以上のエポキシド基を有する化合物のうち1つ以上、好ましくは1つ以上のヒドロキシル基を有する(好ましくは2〜10のヒドロキシル基を有する)アルコールとのエステルの混合物。
【0015】
好ましい構成では、当該離型剤は、好ましくは少なくとも部分的に硬化した、
ヒドロキシカルボン酸、または
ヒドロキシカルボン酸の誘導体、
と、
1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールと、のエステルを含む。
【0016】
本願明細書における用語「硬化したエステル」とは、特に、カルボン酸成分が1つ以上の二重結合を有する前駆体に由来する植物性エステルを指す。これらの二重結合は、水素化によって、少なくとも部分的にまたは完全に除去できる。当該前駆体の二重結合の全てが除去されているというわけではない場合、当該エステルは、部分的に硬化したものと言え、好ましくは当該前駆体の少なくとも50mol%、特に好ましくは少なくとも70mol%の二重結合は、水素化された。これは、例えば、NMR分光法、またはヨウ素価の計測によって特定することができる。
【0017】
本願明細書において使用される用語「熱可塑性ポリマー」は、特定の温度範囲内で、容易に(熱可塑的に)変形できる可塑性物質を指す。この工程は可逆的であり、過熱が加熱による当該物質の分解を引き起こさない限りは、冷却および融解状態への再加熱によって所望の回数繰り返すことができる。
【0018】
本発明の組成物に含むことができる熱可塑性ポリマーは、特に、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリビニルエステル、熱可塑性ポリエーテル、熱可塑性ポリスチレン、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性硫黄ポリマー、熱可塑性ポリアセタール、熱可塑性フッ素プラスチック、熱可塑性スチレン−オレフィンコポリマー、熱可塑性ポリアクリレート、熱可塑性エチレン−酢酸ビニルコポリマー、または2つ以上の上記熱可塑性ポリマーの混合物である。
【0019】
しかし、本発明によれば、熱可塑性ポリマーの90重量%超、特に好ましくは95重量%超、さらにより好ましくは少なくとも99重量%、最も好ましくは100重量%(それぞれ、熱可塑性ポリマーの総重量に基づく)が熱可塑性ポリエステルに基づくことが好ましい。本願明細書において使用される用語「ポリエステル」は、特に、ポリカルボン酸とポリオールとの間の重縮合反応によって得られるポリマー(「AA//BB−ポリエステル」として知られるもの)、またはヒドロキシカルボン酸の重縮合反応、または環状エステルの開環重合によって得られるポリマー(「AB−ポリエステル」として知られるもの)を含む。本発明の1つの構成では、ポリカーボネート(ホスゲンとジオールとの反応によって得ることができるもの)は、本発明について使用される用語「ポリエステル」から除いてもよい。
【0020】
原則として、全ての現在公知の熱可塑性ポリエステルおよびコポリエステルは、本発明の熱可塑性組成物中の成分a)として使用できる。このタイプのポリエステルの例としては、少なくとも1つのポリカルボン酸、好ましくはジカルボン酸(二塩基酸)またはそのエステル形成誘導体と、少なくとも1つのポリオール、好ましくは二価アルコール(ジオール)との縮合反応を介して生成された、実質的に直鎖状のポリエステルが挙げられる。好ましくは二塩基性酸、および好ましくは二価ジオールは、両方とも脂肪族または芳香族のいずれかであってもよいが、芳香族ポリエステルおよび部分的な芳香族ポリエステルは、その高い軟化点および加水分解安定性に関して、熱可塑性成形材料として特に好ましい。芳香族ポリエステルにおいて、実質的に全てのエステル結合は、芳香環に結合している。これらは半結晶性であってもよく、液晶性さえ呈していてもよく、または非晶性であってもよい。本発明によれば、少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体および少なくとも1つの脂肪族ジオールから得られる部分的な芳香族ポリエステルは、特に好ましくは熱可塑性ポリエステルである。適した芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸または4,4’−ビフェニルジカルボン酸が挙げられる。適した脂肪族ジオールの例としては、アルキレンジオール(特に、2〜6のC原子、好ましくは2〜4のC原子を含むもの)が挙げられ、特定の例は、エチレングリコール、プロピレンジオールおよびブチレンジオールである。好ましくは、エチレングリコール、1,2−プロピレンジオール、1,3−プロピレンジオール、または1,4−ブチレンジオールは、成分a)として本発明の組成物中に含まれる熱可塑性ポリエステルを生成するためのポリオールまたはジオール成分として使用される。本発明において特に好ましく、ジカルボン酸とジオールとの反応によって得られる熱可塑性ポリエステルとしては、特に、ポリアルキレンテレフタレート、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアルキレンナフタレート、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアルキレンジベンゾエート、例えば、ポリエチレンビベンゾエート、およびまた、これらの熱可塑性ポリエステルのうち少なくとも2つの混合物が挙げられる。
【0021】
上記の本願明細書に記載されたこれらの部分的な芳香族ポリエステルは、他のジカルボン酸、例えばイソフタル酸、または他のジオール、例えば、シクロヘキサンジメタノールに由来する少量のユニットを任意に含んでいてもよく、これは、一般的に、当該ポリエステルの融点を下げる。部分的な芳香族ポリエステルの特定の群は、上記のポリエステルセグメント(「ハードセグメント」とも知られる)に加えて、「ソフトセグメント」として知られるものを含む、セグメント化コポリエステルまたはブロックコポリエステルとして知られるものである。これらのソフトセグメントは、軟性ポリマー、すなわち、低いガラス転移温度(T)および低い剛性と、反応性末端基、好ましくは2つのヒドロキシル基とを有する実質的な非晶質ポリマーに由来する。好ましくは、これらの「ソフトセグメント」のガラス転移温度は、0℃未満、特に好ましくは−20℃未満、最も好ましくは−40℃未満である。原則として、複数の異なるポリマーが、ソフトセグメントとして使用できる。「ソフトセグメント」の適した例は、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステルまたは脂肪族ポリカーボネートである。当該ソフトセグメントのモル質量は、広い範囲にわたってもよいが、好ましくは400〜6,000g/molである。
【0022】
少なくとも1つのポリカルボン酸またはそのエステル形成誘導体と、少なくとも1つのポリオールとの重縮合反応を介して得られる上記の直鎖状のポリエステルに加えて、本発明の熱可塑性組成物はまた、短鎖ヒドロキシカルボン酸の重縮合反応または環状エステルの開環反応によって得られる熱可塑性ポリエステルを含んでいてもよい。
【0023】
熱可塑性ポリマーの生成のために使用することができる、適した短鎖ヒドロキシカルボン酸の例としては、特に、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸およびまた、これらのヒドロキシカルボン酸の混合物が挙げられる。適した環状エステルの例としては、特に、グリコリド(グリコール酸のダイマー)およびε−カプロラクトン(6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステル)が挙げられる。
【0024】
本願明細書に記載された熱可塑性ポリエステルの生成は、とりわけ、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」、第12巻、1〜75ページおよび217〜256ページ;John Wiley & Sons(1988)にも、「Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry」、第A21巻、227〜251ページ、VCH Publishers社(1992)にも記載されている。本発明において好ましい熱可塑性ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびポリ乳酸(PLA)であり、50重量%超、好ましくは75重量%超、特に好ましくは90重量%超(それぞれ当該熱可塑性組成物に基づく)のこれらのポリマーのそれぞれが、本発明の熱可塑性組成物の好ましい構成において本質的に含まれていてもよい。
【0025】
成分a)としての当該熱可塑性ポリマーに加えて、本発明の組成物はまた、成分b)として下記を含む離型剤を含む;
ヒドロキシカルボン酸;
好ましくは少なくとも部分的に硬化した、
ヒドロキシカルボン酸、
ヒドロキシカルボン酸の誘導体、
ケトカルボン酸、もしくは
ケトカルボン酸の誘導体、好ましくは、ヒドロキシカルボン酸およびその誘導体、
と、
1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール、もしくは
1つ以上のエポキシド基を有する化合物、のうち1つ以上、
好ましくは、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール、とのエステル
または、
ヒドロキシカルボン酸ならびにヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の誘導体、ケトカルボン酸もしくはケトカルボン酸の誘導体、好ましくはヒドロキシカルボン酸、およびその誘導体と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールもしくは1つ以上のエポキシド基を有する化合物、好ましくは1つ以上のヒドロキシル基を有する(好ましくは2〜10のヒドロキシル基を有する)アルコールのうち1つ以上とのエステルの混合物。
【0026】
好ましい構成では、当該離型剤は、好ましくは少なくとも部分的に硬化した、
ヒドロキシカルボン酸、または
ヒドロキシカルボン酸の誘導体、
と、
1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールと、のエステルを含む。
【0027】
本願明細書において使用される用語「ヒドロキシカルボン酸」は、プロトン化形態のヒドロキシカルボン酸、脱プロトン化された形態のヒドロキシカルボン酸(すなわち、特に、ヒドロキシカルボン酸の塩)、およびプロトン化形態および脱プロトン化された形態のヒドロキシカルボン酸の混合物を含む。さらに、原則として、用語「ヒドロキシカルボン酸」は、少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのヒドロキシル基を有する全ての化合物を含む。従って、これは、特にまた、少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのヒドロキシル基に加えて、他の官能基(例えばエーテル基など)も含む化合物を含む。
【0028】
用語「ヒドロキシカルボン酸の誘導体」は、アルコールとの反応において、ヒドロキシカルボン酸の対応するエステルをもたらすヒドロキシカルボン酸の全ての誘導体を含む。特に、用語「ヒドロキシカルボン酸の誘導体」は、ヒドロキシカルボン酸の酸塩化物およびまた、ヒドロキシカルボン酸の酸無水物を含む。これらの誘導体は、好ましくはヒドロキシカルボン酸と比較してカルボン酸基の増加した反応性を呈するため、エステルの形成は、アルコールとの反応において促進される。
【0029】
ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の誘導体と、アルコールもしくはエポキシドとの反応によって得られたエステル、あるいは、ヒドロキシカルボン酸および当該エステルの混合物を含む離型剤は、従って、成分b)として本発明の熱可塑性組成物中に含まれる離型剤として使用される。この場合、少なくとも40重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%、最も好ましくは少なくとも70重量%(それぞれ、離型剤の総重量に基づく)の離型剤がヒドロキシカルボン酸、エステル、ヒドロキシカルボン酸およびエステルまたは混合物に基づくことが特に好ましい。
【0030】
離型剤b)として、または離型剤b)の成分として、または離型剤b)のエステル成分として使用されるヒドロキシカルボン酸は、特に、6〜26の範囲、特に好ましくは8〜24の範囲、さらにより好ましくは10〜22の範囲、さらに好ましくは12〜20の範囲、最も好ましくは14〜18の範囲のいくつかの炭素原子を有する飽和ヒドロキシカルボン酸または不飽和ヒドロキシカルボン酸の形態である。好ましくは、当該ヒドロキシカルボン酸は、正確に1つのヒドロキシル基を有するが、これは、例えばまた、2、3、4または4超のヒドロキシル基を有することもできる。カルボン酸基または誘導体化カルボン酸基に対するヒドロキシル基の位置は、原則として重要ではない。従って、当該ヒドロキシル基は、カルボン酸基または誘導体化カルボン酸基の炭素原子に隣接する炭素原子上に位置できる。しかし、これはまた、ヒドロキシル基が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26の炭素鎖を介したカルボン酸基または誘導体化カルボン酸基の炭素原子から離れた炭素原子上に位置することも考えられる。
【0031】
適したヒドロキシカルボン酸は、特に、6〜26、特に8〜24、さらに好ましくは10〜22、さらに12〜20、最も好ましくは14〜18の炭素原子を含むモノヒドロキシモノカルボン酸からなる群から選択され、これらのモノヒドロキシモノカルボン酸は、飽和または不飽和、脂肪族または芳香族であってもよい。特に含まれるものは、 α−ヒドロキシカルボン酸、β−ヒドロキシカルボン酸およびω−ヒドロキシカルボン酸である。本発明によれば、特に適したヒドロキシカルボン酸としては、特に、ヒドロキシ脂肪酸(例えば、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、硬化ヒマシ油脂肪酸(少量のステアリン酸およびパルミチン酸、ならびに12−ヒドロキシステアリン酸を含む脂肪酸)、サビニン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、イプロリック酸(3,11−ジヒドロキシテトラデカン酸)、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、ジャラピノール酸、ジュニペル酸、アンブレットール酸、アロイリット酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸、カムロレニン酸、フェロニック酸、セレブロン酸、9−ヒドロキシステアリン酸および10−ヒドロキシステアリン酸など)が挙げられ、これらのヒドロキシ脂肪酸のうち、12−ヒドロキシステアリン酸、9−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、硬化ヒマシ油脂肪酸およびリシノール酸は特に好ましく、12−ヒドロキシステアリン酸およびリシノール酸は最も好ましい。
【0032】
さらに、アルコール、水素またはカルボン酸による、エポキシ化されたカルボン酸の開環生成物もまた、ヒドロキシカルボン酸として使用できる。これらの例としては、エポキシ化されたあまに油、大豆油脂肪酸およびオレイン酸ならびにその各誘導体が挙げられる。
【0033】
ケトカルボン酸は、原則として、当業者に適していると思われるこの物質のクラスの全ての公知の化合物の形態であってもよい。これらとしては、特にα−ケトカルボン酸、β−ケトカルボン酸およびγ−ケトカルボン酸ならびにそれらの混合型、ならびにまたそれらのうち少なくとも2つの混合物が挙げられる。α−ケト酸の例としては、ピルビン酸(2−オキソプロパン酸)が挙げられる。β−ケト酸の例としてはアセト酢酸(3−オキソブタン酸)が挙げられる。γ−ケト酸の例としては、レブリン酸(4−オキソペンタン酸)が挙げられる。α−ケトカルボン酸およびβ−ケトカルボン酸の両方の例としては、オキサル酢酸(オキソブタン二酸)が挙げられる。これらの例としては、9−ケトステアリン酸、10−ケトステアリン酸または12−ケトステアリン酸およびその各誘導体が挙げられる。
【0034】
原則として、当該ヒドロキシカルボン酸はまた、他のカルボン酸と組み合わせて使用することができ(例えば、ヒドロキシル基を含んでいないモノカルボン酸またはジカルボン酸との組み合わせ)、アルコールとのヒドロキシカルボン酸のエステル化によって離型剤を生産できる。しかし、この場合、ヒドロキシカルボン酸の量は、使用されるカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸の総重量に基づき、好ましくは10〜95重量%の範囲、特に好ましくは50〜95重量%の範囲が好ましい。
【0035】
1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールとしては、2〜9、特に好ましくは3〜8、最も好ましくは3〜6の範囲の数のヒドロキシル基を有するアルコールの利用が好ましい。1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールの炭素原子数は、好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜20、最も好ましくは3〜10の範囲である。
【0036】
これらのアルコールのうち、特に、グリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ビストリメチロールプロパン、イノシトール、ビストリメチロールエタン、トリメチロールプロパン(TMP)、ソルビトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、マンニトール、ラクトース、ロイクロース、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、テトラメチロールシクロヘキサノール、テトラメチロールシクロペンタノール、テトラメチロールシクロピラノール、グリセロール、ならびにまた、これらのポリオールと、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの反応の生成物が好ましく、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールならびにジペンタエリスリトールが特に好ましい。
【0037】
離型剤または離型剤の成分として使用される、ヒドロキシカルボン酸と1つ以上のヒドロキシル基とを有するアルコールのエステルは、カルボン酸とアルコールとのエステルを生成するための当業者に知られたいずれかの方法によって生成できる。好ましくは、当該ヒドロキシカルボン酸は、エステル化触媒の存在下でアルコールとエステル化される。使用されるエステル化触媒は、酸(例えば、硫酸またはp−トルエンスルホン酸など)または金属およびその化合物であってもよい。適した例は、微粉金属または便宜的に塩、酸化物もしくはその可溶性有機化合物の形態として使用されるスズ、チタン、ジルコニウムである。プロトン酸と対照的に、金属触媒は、一般的に、180℃超の温度でのみ、その完全な活性を達成する高温触媒である。しかし、これらは、プロトン源触媒と比較して、少ない副生成物(例えばオレフィンなど)しか生じないため、これらは本発明において好ましい。本発明において特に好ましいエステル化触媒は、1つ以上の二価スズ化合物、または出発物質と反応して二価スズ化合物を形成できるスズ化合物もしくは元素スズである。例えば、使用される触媒は、スズ、塩化スズ(II)、硫酸スズ(II)、スズ(II)アルコレート、または有機酸のスズ(II)塩、特に、モノカルボン酸およびジカルボン酸のスズ(II)塩であってもよい。特に好ましいスズ触媒は、シュウ酸スズ(II)および安息香酸スズ(II)である。
【0038】
エステル化反応は、当業者に知られた方法を使用して行なうことができる。この観点から、反応混合物から反応の間に形成された水を除去することは、特に有利である可能性があり、水のこの除去は、好ましくは蒸留、任意に過剰なアルコールを用いた蒸留によって行なわれる。エステル化反応が行なわれた後、反応混合物からの未反応のアルコールの除去も可能であり、アルコールのこの除去はまた、好ましくは蒸留によって行なわれる。さらに、エステル化反応の完了後、特に、未反応のアルコールの分離後の反応混合物中に残っている触媒は、任意に塩基で処置した後に、濾過または遠心によって分離できる。
【0039】
さらに、50〜300℃の範囲、特に好ましくは100〜250℃の範囲、最も好ましくは100〜280℃の範囲、最も好ましくは150〜270℃の範囲、さらに好ましくは200〜250℃の範囲の温度でエステル化反応を行なうことが好ましい。至適温度は、原料アルコール(単数または複数)、反応の進行、触媒のタイプおよび触媒の濃度に依存する。これは、各個別のケースで、試行によって容易に特定できる。上昇した温度は、反応速度を増加させ、二次反応(例えば、アルコールからの水の除去または有色の副生成物の形成など)を促進させる。所望の温度または所望の温度範囲は、反応容器中の圧力(わずかに過剰な圧力、通常の圧力または任意に減少させた圧力)によって固定できる。
【0040】
上記のエステルの合成による生成に加えて、ヒドロキシカルボン酸とアルコールとの植物エステルの使用、またはヒドロキシカルボン酸とアルコールとのバイオテクノロジーによって生産されたエステルの使用も、原則として可能である。
【0041】
離型剤または離型剤の成分として使用でき、ヒドロキシカルボン酸と1つ以上のヒドロキシル基を含むアルコールとのエステル化によって得ることができる上記のエステルに加えて、さらにまた、使用される離型剤が、ヒドロキシカルボン酸、好ましくは本願明細書に記載されたヒドロキシカルボン酸、特に本願明細書に記載されたヒドロキシ脂肪酸と、1つ以上のエポキシド基を有する化合物との反応によって得られる化合物の形態にあることが可能である。
【0042】
さらに、それぞれヒドロキシカルボン酸とアルコールまたはエポキシドとのエステル化によって得られる様々なエステルの混合物、あるいは、ヒドロキシカルボン酸とアルコールまたはエポキシドとのエステル化によって得られる少なくとも1つのエステル、および、例えば、カルボン酸とアルコールまたはエポキシドとのエステル化によって得られる少なくとも1つのさらなるエステルの混合物はまた、離型剤または離型剤の成分として使用できる。後者の混合物の例としては、離型剤b)としても使用できるリシノール酸が挙げられる。
【0043】
本発明の熱可塑性組成物の特に好ましい実施態様によれば、成分b)として含まれる離型剤は、ヒドロキシカルボン酸、好ましくはモノヒドロキシモノカルボン酸、特に好ましくはモノヒドロキシ脂肪酸と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールとのエステルを含み、当該モノヒドロキシモノカルボン酸は、6〜26の範囲の炭素数を有する飽和モノヒドロキシモノカルボン酸、不飽和モノヒドロキシモノカルボン酸または飽和モノヒドロキシモノカルボン酸および不飽和モノヒドロキシモノカルボン酸の混合物である。
【0044】
さらに、離型剤または離型剤の成分(成分b)として使用される、ヒドロキシカルボン酸と、複数のヒドロキシル基を有するアルコールとのエステルに関しては、アルコールのヒドロキシル基の全てがエステル化されているわけではないが、ヒドロキシル基のいくつかはエステル化されていないままであることが好ましい。これに関連して、アルコールのヒドロキシル基のうちの少なくとも5mol%、特に好ましくは少なくとも10mol%、さらに好ましくは少なくとも20mol%、さらに好ましくは少なくとも30mol%、さらに好ましくは少なくとも40mol%、最も好ましくは少なくとも50mol%が、ヒドロキシカルボン酸のカルボン酸基でエステル化されていないことが特に好ましい。表現「少なくとも5mol%がヒドロキシカルボン酸のカルボン酸基でエステル化されていない」とは、この場合、本発明の組成物に含まれる離型剤中の、カルボン酸およびアルコールから離型剤を生産するためのアルコールに当初から存在する全てのヒドロキシル基のうちの少なくとも5mol%は、エステル化されておらず、従って、依然として完成した離型剤中でさえもヒドロキシル基の形態であるという事実を表現することを意図している。
【0045】
さらに、本発明の熱可塑性組成物は、熱可塑性ポリマー(成分a)および離型剤(成分b)に加えて、任意にさらなる添加剤も含むことができる。さらなる添加剤としては、特に、衝撃靱性調整剤、フィラー物質、強化剤、難燃剤化合物、熱およびUV安定剤、酸化防止剤、他の加工助剤、核形成剤、染料およびたれ防止剤が挙げられる。適した衝撃靱性調整剤、フィラー物質、強化剤および難燃剤化合物の例は、とりわけ、米国特許出願公開第2005/0234171(A1)号明細書から推測することができる。
【0046】
さらに、本発明の熱可塑性組成物に関して、当該熱可塑性組成物が、
a1)60〜99.99重量%、特に好ましくは80〜99.8重量%、最も好ましくは90〜99.6重量%の熱可塑性ポリマー、
b1)0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%の離型剤、および
c1)0〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%のさらなる添加剤、
(それぞれ、当該熱可塑性組成物の総重量に基づき、成分a)〜c)の和は100重量%である)を含むことが好ましい。
【0047】
本発明の別の構成では、当該熱可塑性組成物が、
a2)1〜69.99重量%、特に好ましくは1.5〜49.8重量%、最も好ましくは2〜19.6重量%の熱可塑性ポリマー、
b2)0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%の離型剤、
c2)少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、特に好ましくは少なくとも30重量%の生分解性の充填成分、および
d2)0〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%のさらなる添加剤、
(それぞれ、当該熱可塑性組成物の総重量に基づき、成分a2)〜d2)の和は100重量%である)を含んでいることが好ましい。生分解性の充填成分は、原則として、当業者に知られ、適していると思われる全ての成分の形態であってもよい。これらは、特に、単一および複数の糖(デンプンおよびデンプン誘導体、セルロースおよびセルロース誘導体、麻、ジュート、靭皮、サトウキビ、アシ、特にアシ粉、ならびに植物から得られる他の物質またはその少なくとも2つの組み合わせなど)を含む。この構成内では、熱可塑性ポリマーの少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも75重量%(それぞれ、熱可塑性ポリマーに基づく)が、再生可能な原料(乳酸など)から生成できるモノマーに基づくこともまた好ましい。この熱可塑性組成物は、生分解性の、使い捨ておよびディスポーザブルの物品(食器類または刃物類など)に特に適している。
【0048】
本発明の熱可塑性組成物の特定の実施態様によれば、当該組成物は、0.001重量%未満、特に好ましくは0.0005重量%未満、最も好ましくは0.0001重量%未満の、少なくとも1つのC−C18 α−オレフィンの飽和 α−オレフィンオリゴマーを含むことが好ましい。
【0049】
最初に言及した目的の達成に対する寄与はまた、
a)熱可塑性ポリマー、
b)離型剤、および
c)任意にさらなる添加剤
を含む熱可塑性組成物を生成するための方法によってなされ、当該方法は、工程:
i)熱可塑性ポリマーを準備する工程と、
ii)ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸の誘導体と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールもしくは1つ以上のエポキシド基を有する化合物とのエステル、または、ヒドロキシカルボン酸ならびにヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の誘導体と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールもしくは1つ以上のエポキシド基を有する化合物とのエステルの混合物を含む離型剤を準備する工程と、
iii)さらなる添加剤を任意に準備する工程と、
iv)成分i)、ii)および任意にiii)を混合する工程と、を含む。
【0050】
熱可塑性ポリマー、離型剤およびさらなる添加剤としては、好ましい熱可塑性ポリマー、離型剤およびさらなる添加剤として本発明の熱可塑性組成物に関連して最初に言及された熱可塑性ポリマー、離型剤およびさらなる添加剤が好ましい。
【0051】
これらの成分は、工程i)、ii)および任意にiii)において第一に準備される。次いで、成分i)、ii)および任意にiii)は、本発明の方法の工程iv)で混合される。
【0052】
成分i)、ii)および任意にiii)は、この場合、公知の技術を使用して混合できる。従って、当該混合は、例えば、様々な成分が熱可塑性ポリマーの溶融加工温度未満で混合される乾式混合工程、あるいは、成分が任意に予混され、熱可塑性ポリマーの溶融加工温度で混合される溶融混合法であってもよい。当該溶融混合法としては、特に、本発明において好ましく、かつ、例えば、1軸混練機、噛合式同方向回転型、噛合式異方向回転型、非噛合式同方向回転型、非噛合式異方向回転型もしくは他のタイプの2軸混練機を使用する連続的な溶融混練、または、ローラー混練機、Banbury混練機などを使用するバッチ溶融混練によって行なうことができる溶融混練法が挙げられる。乾燥混合法と溶融混合法との組み合わせもまた考えられる。
【0053】
さらに、個々の成分i)、ii)および任意にiii)を、混合装置に加える順序および特質は、原則として重要ではない。従って、例えば、熱可塑性ポリマーおよび任意に添加剤を、混合装置に第一に入れ、離型剤はその後にのみ加えることができる。第一に、離型剤または一部の離型剤を本発明の熱可塑性組成物の1つ以上の他の成分(例えば1つ以上の添加剤)と混合し、次いで、この混合物を、混合装置中に既に含まれる熱可塑性ポリマーに加えるか、あるいは、第一にこの混合物を混合装置に入れ、その後初めて熱可塑性ポリマーを加えるか、のいずれもまた考えられる。
【0054】
熱可塑性組成物を生成するための本発明の方法のさらなる構成において、当該混合は、下記工程の少なくとも1つに従って行なわれる:
M1)当該熱可塑性ポリマーのガラス転移温度または当該熱可塑性ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度である、
M2)離型剤は当該熱可塑性ポリマーよりも液状である、または
M3)当該離型剤の少なくとも一部は当該熱可塑性ポリマーの前駆体に加えられる。
【0055】
さらに、前述の工程のうち2つ以上が合わされた場合も本発明の構成に沿っている。特に、構成として、これは、記号の組み合わせに基づいて示された、工程の下記の組み合わせ(M1M2、M1M3、M2M3およびM1M2M3)を生じる。
【0056】
本発明の方法の好ましい実施態様M1に従い、成分i)、ii)および任意にiii)は、本発明の方法の工程iv)で、溶融混合法によって混合される。これに関連して、工程iv)における混合は、当該熱可塑性ポリマーのガラス転移温度または当該熱可塑性ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度で行なわれることが特に好ましい。これに関連して、温度範囲の上限は、使用される熱可塑性ポリマーの分解温度によって実質的に区切られるが、当該混合は、使用される熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(T)よりも5℃低い温度からガラス転移温度よりも200℃高い温度の範囲の温度、特に好ましくは使用される熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(T)よりも1℃低い温度からガラス転移温度よりも180℃高い温度の範囲の温度、最も好ましくは、使用される熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(T)よりも1℃高い温度からガラス転移温度よりも150℃高い温度の範囲の温度で行なわれることが特に好ましい。さらに、当該混合が、使用される熱可塑性ポリマーのガラス転移温度よりも10〜180℃、好ましくは50〜150℃高い範囲の温度で行なわれる場合も本発明の構成に沿っている。
【0057】
離型剤が熱可塑性ポリマーよりも液状である本発明の構成M2において、当該離型剤が液状であり、当該熱可塑性ポリマーが未だ液状ではない温度で当該離型剤を使用することが好ましい。好ましくは、当該熱可塑性ポリマーの温度は、この場合、このポリマーのガラス転移温度未満である。従って、当該離型剤の溶融温度と当該熱可塑性ポリマーのガラス転移温度とが、少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃、特に好ましくは少なくとも30℃異なっていることが好ましい。さらに、この構成おいて、かつ一般的にも、熱可塑性ポリマーを顆粒として使用することが好ましい。一般的に言えば、球状または円柱状の三次元の形状を有する、当業者に知られた全ての顆粒形態は、この場合も可能である。ふるい分析によって特定された顆粒サイズは、顆粒状粒子のうち少なくとも70重量%が、0.01〜5cmの範囲、好ましくは0.1〜4cmの範囲である。この構成による手順は、顆粒状粒子の表面を、少なくとも部分的に本発明の離型剤でコーティングすることを可能にするため、少なくとも部分的にコーティングされた熱可塑性ポリマー顆粒が得られる。これは、本発明の離型剤を、特に、熱可塑性組成物が引き続いて押出される配合物として調製された場合、当該組成物中で可能な限り均一に分布させる。
【0058】
離型剤が熱可塑性ポリマーの前駆体に加えられる本発明の構成M3において、当該離型剤は、液状形態または固形状の形態のいずれかであってもよい。熱可塑性ポリマーの前駆体は、原則として、熱可塑性ポリマーが得られる前に、当業者に知られた全ての前駆体の形態であってもよい。これらは、特に、最終的な熱可塑性ポリマーよりも低い分子量を有する前駆体を含む。この場合、前駆体の分子量が、最終的な熱可塑性ポリマーの分子量と、少なくとも1.1倍、好ましくは少なくとも1.5倍、特に好ましくは少なくとも2倍異なることが好ましい。熱可塑性ポリマーを生成するために使用されるモノマーおよびオリゴマー(好ましくは2〜100モノマーからなる)に加え、(特に重縮合物の)さらなる成分は、通常は加熱処理によって完全に重合され、最終的な熱可塑性ポリマーを形成するプレポリマーである。好ましくは、当該プレポリマーは、繰り返し単位としての100個を超えるモノマーに基づき、繰り返し単位としてのモノマー数、従って最終的な熱可塑性ポリマーの最終的な分子量は達成されない。従って、本発明の離型剤を、いずれの場合にも、モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーまたはこれらのうち少なくとも2つに加えることが特に好ましい。これは、本発明の離型剤の均一な分布に加え、通常、重合または完全な重合の間に行き渡る状態の結果として、熱可塑性ポリマーとの化学結合の結果として離型剤の取り込みも可能にする。
【0059】
溶融混合法の場合に、工程iv)で得られる加熱された組成物が成形品の生産に直接的に供給されない限り、当該方法はまた、さらなる工程v):
v)熱可塑性組成物を、好ましくは20〜30℃の範囲の温度まで、特に好ましくは室温まで冷却する工程、を含むことができる。
【0060】
さらに、工程v)の実行前、実行中あるいは実行後に、任意にまた、工程iv)の後に、かつ工程v)を実行することなく、工程iv)で得られる熱可塑性組成物をさらなる顆粒化へと供給することができる。
【0061】
さらに、本発明の方法に関連して、成分a)〜c)は、成分a)〜c)の混合によって得られる熱可塑性組成物が、
a1)60〜99.99重量%、特に好ましくは80〜99.8重量%、最も好ましくは90〜99.6重量%の熱可塑性ポリマー、
b1)0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%の離型剤、および
c1)0〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%のさらなる添加剤、
(それぞれ、当該熱可塑性組成物の総重量に基づき、成分a)〜c)の和は100重量%である)を含むような相対量で互いに混合することが好ましい。
【0062】
本発明の方法の別の構成では、成分a2)〜d2)は、成分a2)〜d2)の混合によって得られる熱可塑性組成物が、
a2)1〜69.99重量%、特に好ましくは1.5〜49.8重量%、最も好ましくは2〜19.6重量%の熱可塑性ポリマー、
b2)0.01〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%の離型剤、
c2)少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、特に好ましくは少なくとも30重量%の生分解性の充填成分、および
d2)0〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.2〜5重量%のさらなる添加剤、
(それぞれ、当該熱可塑性組成物の総重量に基づき、成分a2)〜d2)の和は100重量%である)を含むような相対量で互いに混合することが好ましい。
【0063】
さらに、本発明によれば、熱可塑性組成物を生成するための本発明の方法の過程を通して、少なくとも1つのC−C18 α−オレフィンの飽和 α−オレフィンオリゴマーは、最大で、成分a)〜c)の混合によって得られる熱可塑性組成物が、0.001重量%未満、特に好ましくは0.0005重量%未満、最も好ましくは0.0001重量%未満の飽和 α−オレフィンオリゴマーを含むような量で使用されることが好ましい。
【0064】
最初に言及された目的の達成に対する寄与はまた、本願明細書に記載された方法によって得られる熱可塑性組成物によってなされる。この場合、かつ一般的に、当該熱可塑性組成物は、6.64未満、好ましくは6未満、特に好ましくは5未満、またさらに好ましくは4未満、さらに好ましくは3未満の黄色指標を示すことが好ましい。当該黄色指標は、DIN 5033に従って試験される組成物の試料の、L、a、b表色系に従ってb値として特定される黄色値である。多くの場合、当該黄色指標は、1または2未満ではない。
【0065】
最初に言及した目的の達成に対する寄与はまた、熱可塑性組成物に基づく成形品を生産するための方法であって、工程:
I)本発明の熱可塑性組成物を準備する工程と、
II)当該熱可塑性組成物を、当該熱可塑性ポリマーのガラス転移温度、または当該熱可塑性ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度まで加熱する工程と、
III)工程II)で生成した、加熱された熱可塑性組成物から、成形品を生産する工程と、を含む方法によってなされる。
【0066】
成形品を生産するための本発明の方法の工程I)において、本発明の熱可塑性組成物は、第一に準備され、この準備は、好ましくは、工程i)、ii)、iv)および任意にiii)および/またはv)を含む方法によって実行される。
【0067】
次いで、工程II)では、当該熱可塑性組成物は、当該熱可塑性ポリマーのガラス転移温度または当該熱可塑性ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度まで加熱される。これに関連して、温度範囲の上限は、使用される熱可塑性ポリマーの分解温度によって実質的に区切られるが、熱可塑性組成物は、使用される熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(T)よりも5℃低い温度からガラス転移温度よりも100℃高い温度の範囲の温度、特に好ましくは使用される熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(T)よりも1℃低い温度からガラス転移温度よりも50℃高い温度の範囲の温度、最も好ましくは、使用される熱可塑性ポリマーのガラス転移温度(T)よりも1℃高い温度からガラス転移温度よりも20℃高い温度の範囲の温度まで加熱されることがまた好ましい。
【0068】
原則として、工程I)およびII)は、同時にまたは連続的に行なわれてもよい。工程I)およびII)の同時実行は、例えば、熱可塑性組成物が溶融混合法によって生成された場合に有益である。この場合、任意に、溶融混合法によって生成した組成物を、直接的に成形品に移行させることが有利かも知れない。工程I)およびII)の連続実行は、例えば、熱可塑性組成物が乾燥混合法によって生成される場合、あるいは熱可塑性組成物が溶融混合法によって生成されるが、生成の直後に成形品の形成にさらされない場合に有益である。一方、これは、工程v)に従って第一に冷却される。
【0069】
成形品を生産するための本発明の方法の工程III)において、成形品は工程II)で生成した、加熱された熱可塑性組成物から生産される。成形品を生産するための方法の特定の例は、射出成形、押出成形、圧縮成形、層状成形、積層成形、中空成形、真空成形およびトランスファー成形であり、射出成形が特に好ましい。
【0070】
さらに、少なくとも1つのさらなる工程IV)において、工程III)で得られた成形品の少なくとも部分的な領域が、成形品のブランクとして機能し、その塊の断面に関して減少させる場合も熱可塑性成形品を生産するための本発明の方法の構成に沿っている。当該塊の断面は、本発明の熱可塑性成形材料を貫かせた成形品の領域の断面である。例えば、入れ物または容器において、塊の断面は、これらの入れ物または容器の壁の厚さである。より糸状の、またはコード状の様式で形作られた成形品においては、塊の断面は、これらの糸またはコードの厚さである。より平面状の形状(板、層、織布、フィルムまたは箔など)においては、塊の断面は、これらの平面状の形状の厚さである。塊の断面の減少のために、原則として、この目的のために当業者に知られた全ての適した方法が利用されてもよい。これらの例としては、1または2方向への伸展、1または2方向への延伸、遠心またはブロー成形が挙げられ、これらはそれぞれ、好ましくは、本発明の熱可塑性組成物が十分に柔らかく、または液状にさえもなり、伸展、延伸、遠心またはブロー成形を行なうことができる上昇した温度で行なわれる。断面が減少する部分的な領域は、工程III)で得られた成形品の、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%を構成する。一般的に言えば、伸展または延伸は、工程III)で得られた成形品から繊維が得られる場合に行なわれる。一方、箔の生産においては、伸展または延伸は、1以上の次元で行なうことができる。従って、押し出し機から生じる織布は、押し出し機から出てくる速度よりも速い速度でロール上で延伸できる。一方、入れ物または容器が得られる場合は、伸展、延伸および遠心と別に、何にもましてブロー成形が工程IV)で使用される。この場合、塊の断面は、ガス圧を加えることで減少する。ガス圧は、一般的に、工程III)で得られた成形品の熱可塑性組成物(通常、少なくともガラス転移温度まで加熱される)を、伸長させるように選択される。一般的に言えば、伸長は、成形品の最終形状を有する金型の使用の結果として限定される。このようにして、冷凍室などの入れ物に加え、食品(果実、野菜または肉など)および医薬組成物(錠剤、カプセル剤、座剤または粉末など)のトレーおよびパッケージ、また液体のための容器などを生産することが可能である。これらの液体容器は、化粧品または医薬品産業の液体のためだけでなく、食品産業(好ましくは飲料産業)において、繰り返し使用する容器(PETまたはPLAのボトルなど)としても使用できる。工程I)〜IV)のうち2つ以上は、さらなる工程によって補完され、かつ/または少なくとも時間を重複させて進めることもできる。これは、特に、工程III)およびIV)に当てはまる。
【0071】
特に、PETまたはPLAまたはPET−PLAボトルの生産において、少なくとも80重量%のPET、または複数の糖(デンプンなど)の混合物を、通常、30〜70重量%の範囲、好ましくは40〜60重量%の範囲の混合物に基づく割合で、PLAまたはPLAとPETと共に含む本発明の熱可塑性組成物が、工程I)で準備される。当該組成物は、工程II)を介して加工され、工程III)において、閉鎖領域に加え、通常、閉鎖領域を伴い、次いで袖状のボトル領域を生じる安定化カラーを含む成形品のブランクを形成する。工程IV)では、ボトルの形状による限界までボトル領域に拡張するガスを閉鎖領域中に満たす。この場合、ボトル領域の壁の塊の断面は、ボトル領域の体積が増加するのと同時に減少する。このタイプの生産のために、伸張ブロー成形機、例えば、とりわけ、Boehm Fertigungstechnik Suhl GmbH(ドイツ)によって供給されるものを利用してもよい。
【0072】
さらに、本発明はまた、ボトルとは別に他の成形品の生産を可能にする。これらは、使い捨ての容器、および繰り返し使用する容器(皿、トレー、ポットまたはカップなど)、および刃物類(ナイフ、フォークまたはスプーンなど)を含む。本発明の生分解性の熱可塑性組成物は、これらの利用に特に適している。
【0073】
最初に言及された目的のうち少なくともいくつかの達成に対するさらなる寄与はまた、成形品を生産するための、本願明細書に記載された本発明の方法によって得られる、成形品、好ましくはボトル、特に好ましくはPETボトルによってなされる。好ましくは、この成形品は、6.64未満、好ましくは6未満、特に好ましくは5未満、また、さらに好ましくは4未満、さらに好ましくは3未満の黄色指標を示す。多くの場合、当該黄色指標は、1または2未満ではない。当該黄色指標は、本願明細書に記載されたように特定される。
【0074】
最初に言及された目的の達成に対する寄与はまた、熱可塑性組成物中の離型剤として、特に熱可塑性ポリエステルに基づく熱可塑性組成物中の離型剤として、特にヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の誘導体と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールもしくは1つ以上のエポキシド基を有する化合物とのエステル、またはヒドロキシカルボン酸、およびヒドロキシカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の誘導体と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールもしくは1つ以上のエポキシド基を有する化合物とのエステルの混合物を含む、本願明細書に記載された離型剤の使用によってなされる。
【0075】
離型剤および熱可塑性ポリマーとしては、好ましい離型剤および熱可塑性ポリマーであるとして本発明の熱可塑性組成物に関連して最初に言及された離型剤および熱可塑性ポリマーも好ましい。
【0076】
本発明は、これから、非限定的な実施例への参照と共に、より詳細に記載される。
【実施例】
【0077】
(熱可塑性組成物の生成)
6kgのポリエチレンテレフタレート(PET SP04、Catalana de Polimers製)を、15kg ヘンシェルミキサーに入れた。混合壁の温度は40℃だった。さらに、0.5重量%の硬化したリシノール酸(Loxiol G15、Cognis Oleochemicals GmbH(ドイツ)の製品)を離型剤として加えた。引き続いて、当該物質をスタッフィングスクリューが付いた造粒機(ZSK 26Mcc)で造粒した。
【0078】
(熱可塑性組成物からの成形品の生産)
Battenfeld HM800/210型 油圧式クランピングユニットが付いた完全油圧式射出成形機を、熱可塑性組成物から成形品を生産するために使用した。最大クランプ力は800kNであり、スクリューの直径は25mmである。円錐状のテーパリング、四角形のコアを有する金型を、実験用金型として使用した。2kNの最大計測範囲を有する力変換器を、離型力を特定するために、イジェクターロッドに取り付けた。成形材料を約225℃で約4時間、予備乾燥した。
【0079】
離型力(Nで特定した)を10サイクルで測定した。
【0080】
【表1】

【0081】
上記の表は、熱可塑性組成物への、離型剤としてのリシノール酸の添加は、離型性の顕著な改善、および射出成形金型の壁からの著しく改善された剥離特性をもたらすことを示す。高い透明度、および滑らかかつ均一な表面構造を有する成形品を得た。さらに、平均6.64(PET SP04について)および2.4(PET SP04+Loxiol G15について)のDIN 5033に従った黄色指標を測定できた。当該黄色指標は、DIN 5033に従って試験した組成物の試料のL、a、b表色系に従ったb値として測定した黄色値である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)熱可塑性ポリマー、
b)離型剤、および
c)任意にさらなる添加剤、
を含む熱可塑性組成物であって、
前記離型剤は、
ヒドロキシカルボン酸;
ヒドロキシカルボン酸、
ヒドロキシカルボン酸の誘導体、
ケトカルボン酸、もしくは
ケトカルボン酸の誘導体、
と、
1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール、もしくは
1つ以上のエポキシド基を有する化合物、のうち1つ以上と、
のエステル;
または
ヒドロキシカルボン酸、およびヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸の誘導体、ケトカルボン酸もしくはケトカルボン酸の誘導体と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールもしくは1つ以上のエポキシド基を有する化合物のうち1つ以上と、のエステルの混合物を含む熱可塑性組成物。
【請求項2】
前記離型剤は、ヒドロキシカルボン酸と、1つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールとのエステルを含む請求項1記載の熱可塑性組成物。
【請求項3】
前記ヒドロキシカルボン酸は、6〜26の範囲の炭素数を有する飽和ヒドロキシカルボン酸、不飽和ヒドロキシカルボン酸、または飽和ヒドロキシカルボン酸および不飽和ヒドロキシカルボン酸の混合物である請求項1または請求項2に記載の熱可塑性組成物。
【請求項4】
前記アルコールは、2〜9の範囲のいくつかのヒドロキシル基を含む請求項3記載の熱可塑性組成物。
【請求項5】
前記アルコールの少なくとも10mol%のヒドロキシル基は、前記ヒドロキシカルボン酸のカルボン酸基でエステル化されていない請求項3または請求項4に記載の熱可塑性組成物。
【請求項6】
前記熱可塑性組成物は、
a)60〜99.99重量%の前記熱可塑性ポリマー、
b)0.01〜20重量%の前記離型剤、および
c)0〜20重量%の前記さらなる添加剤、
(それぞれ前記熱可塑性組成物の総重量に基づき、成分a)〜c)の和は100重量%である)を含む請求項1〜5いずれか1項に記載の熱可塑性組成物。
【請求項7】
a)熱可塑性ポリマー、
b)離型剤、および
c)任意にさらなる添加剤、を含む熱可塑性組成物を生成するための方法であって、
工程:
i)熱可塑性ポリマーを準備する工程と、
ii)請求項1〜6いずれか1項に記載の離型剤を準備する工程と、
iii)さらなる添加剤を任意に準備する工程と、
iv)成分i)、ii)および任意にiii)を混合する工程と、を含む方法。
【請求項8】
前記混合する工程は、下記工程の少なくとも1つに従って行なわれる請求項7記載の方法:
M1)前記熱可塑性ポリマーのガラス転移温度または前記熱可塑性ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度である、
M2)前記離型剤は、前記熱可塑性ポリマーよりも液状である、または
M3)前記離型剤の少なくとも一部は、前記熱可塑性ポリマーの前駆体に加えられる。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリマーの90重量%超はポリエステルに基づく請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリエステルは、ポリカルボン酸とポリオールとのポリマーエステル、またはヒドロキシカルボン酸に基づくポリマーエステルである、請求項7〜9いずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
成分a)〜c)は、成分a)〜c)を混合することによって得られる熱可塑性組成物が、
a)60〜99.99重量%の前記熱可塑性ポリマー、
b)0.01〜20重量%の前記離型剤、および
c)0〜20重量%の前記さらなる添加剤、
(それぞれ前記熱可塑性組成物の総重量に基づき、成分a)〜c)の和は100重量%である)を含むような相対量で共に混合される請求項7〜10いずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項7〜11いずれか1項に記載の方法によって得られる熱可塑性組成物。
【請求項13】
6.64未満の黄色指標を有する請求項12記載の熱可塑性組成物。
【請求項14】
工程:
I)請求項1〜6、12または13いずれか1項に記載の熱可塑性組成物を準備する工程と、
II)前記熱可塑性組成物を、前記熱可塑性ポリマーのガラス転移温度、または前記熱可塑性ポリマーのガラス転移温度よりも高い温度まで加熱する工程と、
III)工程II)で生成した、加熱された熱可塑性組成物から、成形品を生産する工程と、
を含む熱可塑性組成物に基づく成形品を生産するための方法。
【請求項15】
さらに、工程IV)において、工程III)と比較して、工程III)で得られた成形品の少なくとも部分的な領域が、その塊の断面について減少する請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記断面は、ガス圧を加えることによって減少する請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記成形品は液体容器である請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法によって得られる成形品。
【請求項19】
6.64未満の黄色指標を有する請求項18記載の成形品。
【請求項20】
特に、熱可塑性ポリエステルに基づく熱可塑性組成物中の離型剤としての、熱可塑性組成物中における請求項1〜6いずれか1項に記載の離型剤の使用。
【請求項21】
熱可塑性ポリマーからの液体容器の生産における請求項1〜6いずれか1項に記載の離型剤の使用。

【公表番号】特表2010−539274(P2010−539274A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524515(P2010−524515)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062203
【国際公開番号】WO2009/037214
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(509339049)エメリー オレオケミカルズ ゲーエムベーハー (6)
【Fターム(参考)】