説明

硬化型組成物

【課題】引張強度が高く、接着性が良好な硬化型組成物を提供する。
【解決手段】 (a)ポリサルファイドポリマーと
(b)酸化剤と
(c)シランカップリング剤と
(c)トリアジンチオール化合物とを含む
硬化型組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーリング材、接着剤及び塗料として好適に用いられる硬化型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポルサルファイドポリマーと酸化剤とからなる硬化型組成物は、混合することによって室温で容易に硬化する。得られる硬化物は良好な接着性、耐油性及び耐候性を有するためシーリング材、接着剤および塗料として広く用いられている。
【0003】
ポリサルファイドポリマーと、有機過酸化物と、石鹸とからなる硬化型組成物が知られていた(特許文献1参照)。得られた硬化型組成物は、硬化速度が速く作業性が良かった。その硬化物は、種々の溶剤、燃料油、温水に長期間浸しても膨れることが無いため、耐油性や耐水性が高かった。さらに、水蒸気やガスの透過性が極めて低かった。また、この硬化型組成物とガラスとを接着した場合、ガラス越しに促進暴露を行っても接着力が低下せず、耐光性が良かったため、シーリング材や接着剤、塗料等に好適に用いられた。しかしながら、被着体にガラスと金属、ガラスと熱可塑性樹脂といった複数の材料を接着しようとした場合、必ずしも十分な接着力が得られず、用途が制限されることがあった。
【特許文献1】特開2006―169454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、引張強度が高く接着性が良好であり、シーリング材、接着剤及び塗料として好適に用いられる硬化型組成物を提供することである。
【発明の効果】
【0005】
本発明のポリサルファイドポリマーと酸化剤とシランカップリング剤とトリアジンチオール化合物とからなる硬化型組成物は、引張強度が高く優れた接着性を有し、金属、ガラス、ゴム、熱可塑性樹脂等様々な物質と接着する。特に金属に対する接着性が良好である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、(a)ポリサルファイドポリマーと(b)酸化剤と(c)シランカップリング剤と(d)トリアジンチオール化合物を含む硬化型組成物は、接着性が良好であることを見いだした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明で用いられる硬化型組成物におけるポリサルファイドポリマーについて説明する。
【0009】
(a)ポリサルファイドポリマー
ポリサルファイドポリマーは、主鎖中に、
(ア)−(COCHOC−S)−(但し、xは1〜5の整数である。)で表される構造単位を含有し、かつ末端に、
(イ)−COCHOC−SHで表されるチオール基を有するものである。このポリサルファイドポリマーは、室温で流動性を有し、数平均分子量が好ましくは100〜200,000であり、より好ましくは400〜50,000である。このようなポリサルファイドポリマーの好ましい例は、米国特許2,466,963号明細書に記載されている。
【0010】
(b)酸化剤
本発明で用いられる酸化剤について説明する。本発明の酸化剤は、ポリサルファイドポリマーのチオール基を酸化する物質であり、パラキノンジオキシム、過ホウ酸ナトリウム、ジニトロベンゼン、無機酸化物、無機過酸化物、有機過酸化物が好ましく用いられる。
【0011】
無機酸化物として、具体的には、酸化鉛、酸化鉛(IV)鉛(II)、酸化アンチモン(III)、酸化アンチモン(V)、酸化バリウム、酸化銅、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、クロム酸亜鉛、クロム酸鉛、クロム酸カリウム、クロム酸アンモニウム、クロム酸ナトリウムなどが使用可能である。無機過酸化物としては、具体的に二酸化バリウム、二酸化鉛、二酸化マンガン、二酸化亜鉛、二酸化カルシウム、二酸化マグネシウムなどが使用可能である。特に、好ましい酸化剤は、二酸化マンガンである。
【0012】
有機過酸化物としては、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、ジアシルパーオキサイド等が使用可能であり、具体的には、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル4,4―ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレラート、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、1,1―ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)―3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、ジメチルオキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジベンゾイルパーオキサイド、ジサクシニル酸パーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジ−n−オクタノイルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジイソブチルロイルパーオキサイド等が使用できる。
【0013】
パラキノンジオキシム、過ホウ酸ナトリウム、ジニトロベンゼン、無機酸化物、無機過酸化物、有機過酸化物は、2種類以上用いても良い。
【0014】
酸化剤として、特に、有機過酸化物を使用すると、得られる硬化物の耐候性や耐水性が高く好ましい。中でもハイドロパーオキサイド、パーオキシエステルは、特定の金属イオンの存在によって硬化が促進され、硬化速度の調節が容易で好ましい。さらに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエートは、ポリサルファイドポリマーとの相溶性が良く好ましい。
【0015】
本発明の硬化型組成物における酸化剤の含有量は、ポリサルファイドポリマー100重量部に対して、0.5〜50重量部が好ましく、より好ましくは、1.0〜30重量部である。酸化剤の含有量が、0.5重量部以上であれば十分に硬化し、50重量部以下であれば、コスト的にも好ましい。
【0016】
(c)シランカップリング剤
本発明の硬化型組成物に使用できるシランカップリング剤は、加水分解性シリル基と反応性有機官能基とを含有する化合物である。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどが挙げられる。また、特開平6−271833号公報に記載のポリサルファイドポリマー“チオコールLP−3”と3―グリドキシプロピルトリメトキシシランを反応させて合成した末端トリメトキシシラン変性ポリサルファイドポリマーもシランカップリング剤として用いることができる。これらシランカップリング剤は2種以上を用いてもよい。本発明の硬化型組成物では、シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、末端トリメトキシシラン変性ポリサルファイドポリマーを使用した場合、特に接着性が良好で好ましい。
【0017】
本発明の硬化型組成物中のシランカップリング剤の含有量は、ポリサルファイドポリマー100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは、0.5〜10重量部である。シランカップリング剤の含有量が、0.1重量部以上であれば十分接着力が得られ、20重量部以下であれば、コスト的にも好ましい。
【0018】
(d)トリアジンチオール化合物
本発明で用いられるトリアジンチオール化合物について説明する。本発明で用いられるトリアジンチオール化合物は、1,3,5−トリアジンジチオールあるいはその誘導体、1,3,5−トリアジントリチオールなどを挙げることができる。1,3,5−トリアジンジチオールの誘導体としては、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−メチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−エチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−プロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジプロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジブチルアミノ−1、3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ヘキシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−デシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールなどを挙げることができる。本発明の硬化型組成物には、必要に応じてこれらトリアジンチオール化合物を二種類以上併用して配合しても良い。本発明の硬化型組成物では、トリアジンチオール化合物として、1,3,5−トリアジントリチオールを添加した場合、特に接着性の改善効果および引張強度の向上効果が高く好ましい。
【0019】
本発明の硬化型組成物における酸化剤の含有量は、ポリサルファイドポリマー100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは、0.1〜5重量部である。トリアジンチオール化合物の含有量が、0.01重量部以上であれば十分に接着力の生じ、50重量部以下であれば、コスト的に好ましい。
【0020】
本発明の硬化型組成物には、必要に応じて前記(a)〜(d)以外に、補強剤、充填剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機ポリサルファイド化合物、粘着付与剤、架橋助剤、不飽和カルボン酸の金属塩、受酸剤、加硫促進剤、石鹸、難燃剤、防黴剤、着色剤などを添加することができる。また、本発明の硬化型組成物の特性を損なわない限り、ゴム・エラストマーあるいは樹脂を配合することもできる。
【0021】
本発明の硬化型組成物に使用することができる充填剤は、例えばカーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、マイカ、ケイ酸、ケイ酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ゼオライト、パーライト、セラミックバルーン、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、アルミナバルーン、プラスチックバルーン等の中空微小球等が挙げられる。
【0022】
本発明の硬化型組成物に使用できる可塑剤は、例えば、フタレート系、アジペート系、ホスフェート系、キシレン樹脂、塩素化パラフィン、炭化水素系可塑剤等が挙げられる。具体的には、ジメチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレート、テキサノールベンジルフタレート、アルキルベンジルフタレート、ジブチルアジペート、ビス(ブチルジグリコール)アジペート、マレイン酸ジブチル、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、トリクレシルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、特開平10−60261号公報記載のキシレン樹脂、特公昭56−14705号公報、特公昭56−15440号公報、特公昭57―56511号公報等に例示されているようなジアリールアルカン型の化合物、トリアリールジアルカン型の化合物、スチレンの2〜3重合体とアルキルベンゼンとの反応生成物からなる高沸点芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0023】
本発明の硬化型組成物に使用できる紫外線吸収剤は、例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系、ニッケル塩及びニッケル錯塩系が挙げられる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、ニッケル塩、ニッケル錯塩系の紫外線吸収剤であり、とりわけベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3(3,4,5,6−テトラ−ヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンソトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ニッケルジブチルジチオカルバメート、[2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミン−ニッケルなどである。
【0024】
本発明の硬化型組成物に使用できる酸化防止剤は、例えばアミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤は、ポリサルファイドポリマーとの相溶性が良く好ましい。具体的には、1,3,5‐トリス[[3,5‐ビス(1,1‐ジメチルエチル)‐4‐ヒドロキシフェニル]メチル]‐1,3,5‐トリアジン‐2,4,6(1H,3H,5H)‐トリオン、1,1,3‐トリス(5‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐2‐メチルフェニル)ブタン、1,1‐ビス(4‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐5‐tert‐ブチルフェニル)ブタン、2,2‐ビス[[[3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオニル]オキシ]メチル]プロパン‐1,3‐ジオール1,3‐ビス[3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、ビス(3‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン), 4,4′,4′′‐[(2,4,6‐トリメチルベンゼン‐1,3,5‐トリイル)トリス(メチレン)]トリス(2,6‐ジ‐tert‐ブチルフェノール)などである。
【0025】
本発明の硬化型組成物に使用できる1分子中に−Sx−(但し、xは2以上の整数)を1つのみ持つ有機ポリサルファイド化合物は、脂肪族及び/又は芳香族基を持つ直鎖状もしくは環状化合物が挙げられる。具体的には、ジメチルジサルファイド、ジ−t−ブチルジサルファイド、ジチオジグリコール酸、ジチオプロピオン酸、ジチオプロピオン酸エステル、ジチオ安息香酸、ジチオサリチル酸、ジ−t−ノニルポリサルファイド、ジ−t−ドデシルポリサルファイド、ジフェニルジサルファイド、ジベンジルジサルファイド、レンチオニン、スポリデスミン等が挙げられる。特に好ましい1分子中に−Sx−(但し、xは2以上の整数)を1つのみ持つ有機ポリサルファイド化合物は、臭気の少ないジ−t−ドデシルポリサルファイドである。
【0026】
本発明の硬化型組成物に使用できる粘着付与剤は、プラスチックやゴムなどの高分子物質に添加して、粘着性を増加させる機能を有するものである。具体的には、クマロン・インデン樹脂、クマロン樹脂、ナフテン系油、フェノール樹脂、ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジン誘導体、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、水添テルペン樹脂、α−ピネン樹脂、アルキルフェノール・アセチレン系樹脂、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド系樹脂、スチレン樹脂、C系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、C/C9共重合系石油樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド系樹脂等が挙げられる。なかでも、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、水添テルペン樹脂、スチレン樹脂、C系石油樹脂、C9系石油樹脂、C/C9共重合系石油樹脂は、耐候性が良く好ましい。
【0027】
粘着付与剤の溶解度パラメーターが、8.0〜10.0であるとポリサルファイドポリマーや可塑剤との相溶性が良く好ましい。より好ましくは8.5〜9.5である。溶解度パラメーターが8.0未満および10.0を超える場合、ポリサルファイドポリマーや可塑剤との相溶性が悪くなる場合がある。特にポリサルファイドポリマーや可塑剤との相溶性が良い接着付与剤は、テルペン・フェノール樹脂、ロジンエステル、C系石油樹脂、C/C9共重合系石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、変性テルペン樹脂、スチレン樹脂であるこれら粘着付与剤は2種以上を用いてもよい。
【0028】
粘着付与剤の含有量は、ポリサルファイドポリマー100重量部に対して、0.5〜50重量部が好ましく、より好ましくは、1.0〜30重量部である。粘着付与剤の含有量が、0.5〜50重量部であると、接着性の改善効果が十分に得られ配合物の粘度が過度に高くならない。
【0029】
本発明の硬化型組成物に使用できる架橋助剤は、硫黄、キノンジオキシム系、メタクリレート系、アリル系、マレイミド系およびその他に大別される。具体的には、硫黄、p−キノンジオキシム、p・p−ジベンゾイルキノンジオキシム、ラウリルメタクリレート、エチレングリコールアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチールメタクリレート、ジアリールフマレート、ジアリールフタレート、テトラアリールオキシエタン、トリアリールシアヌレート、マレイミド、フェニールマレイミド、NN‘−m−フェニレンビスマレイミド、無水マレイン酸、イタコン酸、ジビニールベンゼン、ビニルトルエン、1,2−ポリブタジエン等が挙げられる。また、架橋助剤は2種以上を用いてもよい。
【0030】
本発明の硬化型組成物に好ましく用いられる架橋助剤は、ポリサルファイドポリマー100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、より好ましくは、1.0〜10重量部である。さらに好ましくは2.0〜5.0重量部である。架橋助剤の含有量が、0.1〜20重量部であると、架橋効果の向上効果が十分得られ、経済的に好ましい。
【0031】
本発明の硬化型組成物に使用できる不飽和カルボン酸の金属塩は、少なくとも一つ以上の炭素原子間の二重結合または三重結合と一つ以上のカルボキシル基を有する化合物と金属との塩である。
【0032】
本発明の硬化型組成物に使用できる不飽和カルボン酸の金属塩において、金属としては、鉛、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、アルミニウム等が挙げられる。特に、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムは、最大引張応力の向上効果が大きく好ましい。
【0033】
本発明の硬化型組成物に好ましく用いられる不飽和カルボン酸の金属塩において、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、ソルビン酸等が挙げられる。特に、アクリル酸、メタクリル酸が、ポリマーに分散し易く好ましい。
【0034】
本発明の硬化型組成物に好ましく用いられる不飽和カルボン酸の金属塩において、不飽和カルボン酸の金属塩としては、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、メタクリル酸カルシウム、アクリル酸アルミニウム、メタクリル酸アルミニウムなどが挙げられる。また、不飽和カルボン酸の金属塩は2種以上を用いてもよい。さらに、上記した不飽和カルボン酸と、上記した金属を含む化合物の両方を組成物に添加し、組成物の中で不飽和カルボン酸の金属塩を生成させて用いることもできる。
【0035】
本発明の硬化型組成物に使用できる不飽和カルボン酸の金属塩の含有量は、ポリサルファイドポリマー100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、より好ましくは、0.5〜25重量部である。さらに好ましくは2.5〜10重量部である。不飽和カルボン酸の金属塩の含有量が、0.1〜50重量部であると、最大引張応力の向上効果が十分得られコストが過度に高くなることがない。
【0036】
本発明の硬化型組成物に使用できる受酸剤としては、具体的には、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、硼酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜燐酸カルシウム、酸化亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、硼酸マグネシウム、メタ硼酸マグネシウム、メタ硼酸カルシウム、メタ硼酸バリウムなどが挙げられる。上記受酸剤は2種類以上添加しても良い。
【0037】
本発明の硬化型組成物に使用できる加硫促進剤としては、例えばアルデヒド・アンモニア及びアルデヒド・アミン系、チオウレア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系などが挙げられる。具体的には、ヘキサメチレンテトラミン、ジフェニルグアニジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。上記加硫促進剤は2種類以上添加しても良い。
【0038】
本発明の硬化型組成物に使用できる石鹸は、アルカリ金属およびそれ以外の金属の脂肪酸塩である。
【0039】
金属としては、例えばリチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルビジウム、ストロンチウム、インジウム、錫、アンチモン、セシウム、バリウム、鉛、ビスマス、モリブデン、タングステン、ルテニウム等を用いることができる。中でも、銅、鉄、鉛、コバルト、ニッケル、カリウム、マンガン、インジウム、亜鉛が硬化速度が速く好ましい。脂肪酸としては、例えば酢酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸、ナフテン酸等が挙げられる。特に酢酸塩、オクタン酸塩、ナフテン酸塩が好ましい。石鹸としては、特に、酢酸銅、オクタン酸銅、ナフテン酸銅、オクタン酸カリウム、ナフテン酸カリウム、オクタン酸鉄、ナフテン酸鉄、オクタン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、オクタン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクタン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オクタン酸インジウム、ナフテン酸インジウム、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛、オクタン酸マンガン、ナフテン酸マンガンが硬度発現に優れており好ましい。また、石鹸は2種以上を用いてもよい。
【0040】
硬化型組成物中の石鹸の含有量は、ポリサルファイドポリマーと有機過酸化物の合計100重量部に対して、0.0005〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜3重量部である。石鹸の含有量が0.0005〜10重量部であると、硬化が速く、十分な可使時間を持つ。
【0041】
本発明の硬化型組成物にはその特性を損なわない限り、他のゴム・エラストマーを加えることができる。例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリルゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンーブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマー等が挙げられる。
【0042】
本発明の硬化型組成物は、ポリサルファイドポリマーと酸化剤とシランカップリング剤とトリアジンチオール化合物とからなる。本発明の硬化型組成物は、常温で硬化しゴム状弾性体となる。
【0043】
本発明の硬化型組成物は、硬化物は水、種々の溶剤、燃料油、酸、アルカリに対する抵抗性が高く浸漬しても膨潤が少ない。また、ポリマーにポリブタジエンポリオールや、ポリシロキサンを用いた硬化物に比べ、気体、水蒸気の遮断性に優れている。
【0044】
本発明の硬化型組成物を複層ガラスのシーリング材として用いた場合、金属やガラスに対する自着力が強いため、プライマーの塗布といった前処理を必要とせず良好である。また、耐候性に優れるため、サンシャインウェザオーメーターによる促進曝露を長期間行っても剥離等による結露の問題が生じず良好である。
【実施例】
【0045】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
【0046】
実施例1〜4
ポリサルファイドポリマー(東レ・ファインケミカル(株)製、「チオコール LP−55」)に、可塑剤、添加剤及び充填剤を表1の割合で配合し、さらにトリアジンチオール化合物を添加しミキサーで混合することによって主剤を得た。一方で、パーブチルZに、可塑剤、添加剤および充填剤を表2の割合で添加し、ミキサーで混合することによって硬化剤を得た。主剤と硬化剤を10:1(重量比)で量り取り、ヘラにて混合することでシーラント混合物を得た。得られたシーラント混合物を用いて、引張試験を行った。
【0047】
引張試験は、JIS A 1439−2004の5.20 引張接着性試験に従って行った。試験体は、5.17.2に従って作成した。硬化条件は23℃55%R.H.(相対湿度)にて7日間とした。また、被着体にはガラス板とアルミニウム板を用いた。破壊の状況は、引張試験後の試験片の接着面積に対する接着破壊の割合を目視にて評価した。破壊の状況は、接着破壊が少ない方が好ましい。評価結果は表1に示した。
【0048】
比較例1
実施例で用いた主剤から、トリアジンチオール化合物を加えずに作製したシーラント混合物を比較例1として実施例と同様の試験を行った。評価結果は表1に示した。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
実施例1〜4は、ガラス板、アルミニウム板のいずれもほとんど接着破壊がなく接着性が良好であった。また、最大引張応力も高く好ましい。比較例1は、アルミニウム板に対する接着性が悪く、最大引張応力が低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリサルファイドポリマーと(b)酸化剤と(c)シランカップリング剤と(d)トリアジンチオール化合物を含む硬化型組成物。
【請求項2】
酸化剤が二酸化マンガンである請求項1に記載の硬化型組成物。
【請求項3】
酸化剤が有機過酸化物である請求項1に記載の硬化型組成物。

【公開番号】特開2009−84469(P2009−84469A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257279(P2007−257279)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000187046)東レ・ファインケミカル株式会社 (153)
【Fターム(参考)】