説明

硬化性パーフルオロエラストマー組成物

a)ニトリル基硬化サイトを有するパーフルオロエラストマーと、b)i)ビス(アミノフェノール)およびii)硬化温度で分解してアンモニアを発生する化合物よりなる群から選択された硬化剤と、c)1〜25phr疎水性シリカフィラーとを含む非ブラック充填パーフルオロエラストマー組成物。硬化した組成物は、親水性シリカを含有する類似の配合物よりも驚くほど良好な圧縮永久歪みを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)パーフルオロエラストマーと、b)アンモニア発生硬化剤およびビス(アミノフェノール)よりなる群から選択された硬化剤と、c)疎水性シリカフィラーとを含むパーフルオロエラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パーフルオロエラストマーは、際立った商業的成功をおさめてきており、厳しい環境に遭遇する多種多様な用途で、特に高温および攻撃的な化学薬品への曝露が起こるそれらの最終用途で使用されている。これらのポリマーは、航空機エンジン用のシール、石油採掘装置、半導体ウェハー製造法、および高温で用いられる工業装置用のシールエレメントでしばしば使用される。
【0003】
多くのパーフルオロエラストマーシールはカーボンブラックで充填されている。しかしながら、ますます多くの最終使用用途が非ブラックシールを必要としている。シリカ、硫酸バリウム、アルミナおよびケイ酸アルミニウムのような白色フィラーがかかる用途に一般に用いられる(米国特許公報(特許文献1)および米国特許公報(特許文献2))。
【0004】
パーフルオロエラストマーを架橋するために利用可能な幾つかの異なるタイプの硬化システムがある。特に好ましいシステムはi)ビス(アミノフェノール)(米国特許公報(特許文献3))とii)硬化温度で分解してアンモニアを発生する化合物とである。アンモニアはパーフルオロエラストマーポリマー鎖上に置かれたニトリル基硬化サイトと反応してトリアジン環を生み出し、こうしてパーフルオロエラストマーを架橋すると考えられる(米国特許公報(特許文献4)および(特許文献5))。
【0005】
ビス(アミノフェノール)かアンモニア発生化合物かのどちらかで硬化性であり、かつ、耐圧縮永久歪み性をはじめとする良好な物理的性質を有する硬化した物品をもたらす、非ブラック充填パーフルオロエラストマー組成物を有することは望ましいであろう。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,696,189号明細書
【特許文献2】米国特許第6,191,208B1号明細書
【特許文献3】米国特許第6,211,319号明細書
【特許文献4】米国特許第6,281,296号明細書
【特許文献5】国際公開第2001/27194号パンフレット
【特許文献6】米国特許第4,281,092号明細書
【特許文献7】米国特許第5,789,489号明細書
【特許文献8】米国特許第3,332,907号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、硬化した時に、良好な物理的性質、特に良好な(すなわち、低い)圧縮永久歪みを有する硬化性パーフルオロエラストマー組成物を指向する。従って、本発明の態様は、
A.(1)テトラフルオロエチレン、(2)パーフルオロ(ビニルエーテル)、ならびに(3)ニトリル含有フッ素化オレフィンおよびニトリル含有フッ素化ビニルエーテルよりなる群から選択された硬化部位モノマーの共重合単位を含むパーフルオロエラストマーと、
B.パーフルオロエラストマー百重量部当たり1〜25重量部の疎水性シリカと、
C.i)ビス(アミノフェノール)およびii)40℃〜330℃の温度で分解してアンモニアを生成する化合物よりなる群から選択された硬化剤と
を含む硬化性組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の組成物は、硬化した時に、エラストマー特性を示す実質的に完全にフッ素化されたフルオロポリマーであるゴム弾性のパーフルオロポリマー(本明細書では以下「パーフルオロエラストマー」)をベースにしている。パーフルオロエラストマーは、アンモニアおよびビス(アミノフェノール)でポリマーを架橋可能にするニトリル基を含有する。
【0009】
パーフルオロエラストマーは、少なくとも2つの主要なパーフッ素化モノマーの共重合単位を有するポリマー組成物である。一般に、主要なコモノマーの1つはパーフルオロオレフィンであり、一方、他はパーフルオロ(ビニルエーテル)である。代表的なパーフッ素化オレフィンには、テトラフルオロエチレン(TFE)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)が含まれる。好適なパーフッ素化ビニルエーテルは式
CF=CFO(Rf’O)(Rf”O) (I)
(式中、Rf’およびRf”は2〜6個の炭素原子の異なる線状または分岐パーフルオロアルキレン基であり、mおよびnは独立して0〜10であり、そしてRは1〜6個の炭素原子のパーフルオロアルキル基である)
のものである。
【0010】
好ましいクラスのパーフルオロ(ビニルエーテル)には、式
CF=CFO(CFCFXO) (II)
(式中、XはFまたはCFであり、nは0〜5であり、そしてRは1〜6個の炭素原子のパーフルオロアルキル基である)
の組成物が含まれる。
【0011】
最も好ましいクラスのパーフルオロ(ビニルエーテル)には、式中、nが0または1であり、そしてRが1〜3個の炭素原子を含有するそれらのエーテルが含まれる。かかるパーフッ素化エーテルの例には、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が挙げられる。他の有用なモノマーには、式
CF=CFO[(CFCFCFZO] (III)
(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基であり、m=0または1、n=0〜5、そしてZ=FまたはCFである)
の化合物が含まれる。
【0012】
このクラスの好ましいメンバーは、式中、RがC、m = 0、そしてn = 1であるものである。
【0013】
追加のパーフルオロ(ビニルエーテル)モノマーには、式
CF=CFO[(CFCFCFO)(CFCFCFO)(CF]C2x+1 (IV)
(式中、mおよびnは独立して=1〜10、p=0〜3、そしてx=1〜5である)
の化合物が含まれる。
【0014】
このクラスの好ましいメンバーには、式中、n=0〜1、m=0〜1、そしてx=1である化合物が含まれる。
【0015】
有用なパーフルオロ(ビニルエーテル)の別の例には、
CF=CFOCFCF(CF)O(CFO)2n+1 (V)
(式中、n=1〜5、m=1〜3、そして式中、好ましくはn=1である)
が挙げられる。
【0016】
パーフルオロ(ビニルエーテル)の混合物もまた使用されてもよい。
【0017】
好ましいパーフルオロエラストマーは、主要なモノマー単位としてテトラフルオロエチレンと少なくとも1つのパーフルオロ(ビニルエーテル)とよりなる。かかる共重合体では、共重合したパーフッ素化エーテル単位は、ポリマー中の全モノマー単位の約15モルパーセント〜65モルパーセント(好ましくは25〜60モルパーセント)を構成する。
【0018】
パーフルオロポリマーは、一般に0.1〜5モルパーセントの量で、少なくとも1つのニトリル基含有硬化部位モノマーの共重合単位をさらに含有する。該範囲は好ましくは0.3〜1.5モルパーセントである。好適な硬化部位モノマーには、ニトリル含有フッ素化オレフィンおよびニトリル含有フッ素化ビニルエーテルが含まれる。有用なニトリル含有硬化部位モノマーには、以下に示される式
CF=CF−O(CF−CN (VI)
(式中、n=2〜12、好ましくは2〜6である)
CF=CF−O[CF−CFCF−O]−CF−CF(CF)−CN (VII)
(式中、n=0〜4、好ましくは0〜2である)
CF=CF−[OCFCF(CF)]−O−(CF−CN (VIII)
(式中、x=1〜2、そしてn=1〜4である)、および
CF=CF−O−(CF−O−CF(CF)CN (IX)
(式中、n=2〜4である)
のものが含まれる。
【0019】
式(VIII)のものが好ましい。特に好ましい硬化部位モノマーは、ニトリル基とトリフルオロビニルエーテル基とを有するパーフッ素化ポリエーテルである。最も好ましい硬化部位モノマーは
CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN (X)
すなわち、パーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)または8−CNVEである。
【0020】
本発明で用いられるパーフルオロエラストマーは、i)38.5〜74.7(最も好ましくは44〜69.5)モルパーセントのテトラフルオロエチレン(TFE)、ii)25〜60(最も好ましくは30〜55)モルパーセントのパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)およびiii)0.3〜1.5(最も好ましくは0.5〜1.0)モルパーセントのニトリル基含有硬化モノマー、好ましくは8−CNVEの共重合単位を好ましくは含む。
【0021】
本発明で用いられるパーフルオロエラストマーは、ブレアジール(Breazeale)(米国特許公報(特許文献6))またはコグリン(Coughlin)ら(米国特許公報(特許文献7))に記載されているもののようなかかる周知の方法によって製造されてもよい。
【0022】
本発明の組成物に硬化剤として用いられてもよいビス(アミノフェノール)には、式
【0023】
【化1】

【0024】
(式中、AはSO、O、CO、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜10個の炭素原子のパーフルオロアルキル、または2つの芳香環を連結する炭素−炭素結合である)
のものが含まれる。アミノおよびヒドロキシル基は、相互交換可能で基Aに関してメタおよびパラ位にある。好ましくは、硬化剤は、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン(ジアミノビスフェノールAFまたはDABPAF)よりなる群から選択された化合物である。あるいはまた、ヒドロキシル基はチオール基で置換されてもよい。硬化剤は、アンジェロ(Angelo)に付与された(米国特許公報(特許文献8)に開示されているように製造することができる。ジアミノビスフェノールAFは、好ましくは硝酸カリウムとトリフルオロ酢酸とでの4,4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール(すなわち、ビスフェノールAF)のニトロ化、その後好ましくは溶媒としてのエタノールと触媒としての触媒量のパラジウム/炭素とでの接触水素化によって製造することができる。本発明の組成物中に存在する場合、ビス(アミノフェノール)またはビス(アミノチオフェノール)は典型的には0.2〜7(好ましくは1〜2)phr(すなわち、パーフルオロエラストマー百重量部当たりの重量部)のレベルである。
【0025】
本発明の組成物に用いられてもよいアンモニア発生化合物は、40℃〜330℃、好ましくは90℃〜220℃の温度でアンモニアを発生することができるものである。これらの化合物の説明に役立つ実例には、アセトアルデヒドアンモニアをはじめとするアルデヒドアンモニア縮合生成物と、例えば、ヘキサメチレンテトラミン;カルバメート、例えば、t−ブチルカルバメート、ベンジルカルバメート、およびHCFCFCH(CH)OCONH;尿素;尿素塩酸塩;チオ尿素、フタルアミドのようなアミド;テトラアミン硫酸銅(II)水和物のような金属アミン錯体;アンモニア−ルイス酸付加体;オキサミド酸のようなカルボキサミド;ビウレット;ホルムアミジン、ホルムアミジン塩酸塩、およびホルムアミジン酢酸塩のような非置換アミジン;ならびに(特許文献5)に開示されているもののような非置換または置換トリアジン誘導体などの他の化合物とが挙げられる。本発明の組成物中に存在する場合、アンモニア発生化合物のレベルは一般に0.05〜5phr、好ましくは0.1〜1phrである。
【0026】
本発明の組成物はまた、1〜25(好ましくは3〜15)phr疎水性シリカをも含有する。好ましくは、本発明の組成物に用いられるシリカの平均主要粒度は100nm未満、好ましくは7〜16nmである。「疎水性シリカ」とは、水で湿らないシリカを意味する。親水性シリカ粒子の表面上に通常存在するシラノール基の数は、疎水性シリカの表面上では大きく減らされる。疎水性シリカは、表面シラノール基と、それぞれ、1〜3個のアルキル基および3〜1個のアルコキシまたはハロゲン基を有するオルガノシランとの反応によって親水性シリカから一般的には製造される。アルキル基は、エポキシ、アミノ、メルカプト、ビニルまたはハロゲン基のようないかなる官能基も含有しない。かかるシランの例には、トリメトキシメチルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクチルトリクロロシランなどが挙げられるが、それらに限定されない。疎水性シリカの具体的な例には、−O−Si−(CH、−O−Si−(CH、または−O−Si−C17基をそれらの表面上に有するものが挙げられるが、それらに限定されない。商業的に入手可能な疎水性シリカには、エアロジル(Aerosil)(登録商標)R972、R974、R812およびR805(デグッサ株式会社、独国フランクフルト(Degussa Aktiengesellschaft,Frankfurt,Germany))が含まれる。
【0027】
本発明の代わりの実施形態では、上記のオルガノシランが親水性シリカフィラーを含有するパーフルオロエラストマー組成物に添加されてもよい。
【0028】
疎水性TiOまたは疎水性アルミナのような疎水性無機フィラーが疎水性シリカに加えて本発明の組成物に使用されてもよい。これらの疎水性フィラーは、相当する親水性フィラー上の表面ヒドロキシル基と上記タイプのオルガノシランとの反応によって製造される。あるいはまた、上記のようなオルガノシランがTiOまたはアルミナのような親水性無機フィラーを含有するパーフルオロエラストマー組成物に添加されてもよい。
【0029】
驚くべきことに、疎水性シリカは、本発明の組成物で類似の粒度および構造の親水性シリカより良好に機能して良好な(すなわち、低い)圧縮永久歪みを有する硬化した物品を生成する。
【0030】
パーフルオロエラストマー配合で典型的に用いられる安定剤、可塑剤、滑剤、他のフィラー、および加工助剤のような添加剤は、それらが意図される使用条件に対して十分な安定性を有するという条件で、本発明の組成物中へ組み入れることができる。特に、低温性能は、パーフルオロポリエーテルの組み入れによって高めることができる。
【0031】
本発明の硬化性組成物はガスケット、管材料、およびシールの製造で有用である。かかる物品は一般に、圧力下に様々な添加剤入り硬化性組成物の配合調合物を成形し、部品を硬化させ、次にそれをポスト硬化サイクルにかけることによって製造される。硬化した組成物は、圧縮永久歪みをはじめとする、優れた物理的性質を有する。それらは特に、半導体装置を製造するためのシールおよびガスケットのような用途で、および高温自動車用途向けシールで有用である。
【0032】
本発明は今、すべての部が特に明記しない限り重量による、いくつかの実施形態によって例示される。
【実施例】
【0033】
(試験方法)
(硬化特性)
硬化特性は、モンサント移動ダイ流動計(Monsanto Moving Die Rheometer)(MDR2000)機器を用いて次の条件で測定した:
移動ダイ周波数:1.66Hz
振動振幅:0.5
温度:実施例で明記される通り
試験の継続期間:実施例で明記される通り
【0034】
次の硬化パラメーターを記録した:
:dN・mの単位での最大トルクレベル
:dN・mの単位での最小トルクレベル
2:Mよりも2単位上昇までの分
90:最大トルクの90%までの分
【0035】
試験検体は、下の実施例でリストする調合物に記載するように適切な添加剤を配合したエラストマーから調製した。配合はラバーミルで実施した。ミルにかけた組成物をシートに成形し、サンプルをダイスでディスクへ打ち抜いて試験検体を形成した。
【0036】
硬化特性は、正圧および高温下に維持された機器の密封試験空洞中に試験検体を入れることによって測定した。双円錐ディスクを試験検体に埋め込み、指定周波数で0.5°のアークによって振動させ、それによって試験検体に剪断歪みを与えた。ディスクを回転させるために必要とされる最大振幅での力(トルク)は、ゴムの剛性(剪断弾性率)に比例する。このトルクを時間の関数として記録した。ゴム検体の剛性は硬化の間ずっと増加するので、試験は硬化性の尺度を提供する。試験は、予め定めた時間が経過した時に終了する。曲線を得るために必要とされる時間は、試験温度およびゴム化合物の特性の関数である。
【0037】
(引張特性)
特に記載のない限り、応力/歪み特性はK214 O−リングについて測定した。物理的性質測定値は、米国材料試験協会(ASTM)D1414に記載された方法に従って得た。次のパラメーターを記録した:
100、MPaの単位での100%伸びでの弾性率
、MPaの単位での破壊引張強度
、%の単位での破断伸び
【0038】
O−リングサンプルの圧縮永久歪みはASTM D1414に従って測定した。
【0039】
次のパーフルオロエラストマー・ポリマーを実施例で使用した:
FFKM A−TFEの68.2モルパーセント単位、PMVEの31.0モルパーセント単位および8−CNVEの0.80モルパーセント単位を含有するターポリマーを、米国特許公報(特許文献7)に記載されている一般的な方法に従って製造した。
【0040】
(対照例1〜3)
様々なタイプのシリカを含有する過酸化物硬化性パーフルオロエラストマー組成物の対照組成物を16インチ・ミルで混合した。調合物を表1に示す。
【0041】
硬化特性を177℃で15分間測定した。O−リングを177℃で6分間成形し、次に空気オーブン中232℃で6時間ポスト硬化させた。O−リングの引張特性および圧縮永久歪みを次に試験方法に従って測定した。結果を表Iに示す。これらの過酸化物硬化対照組成物については、圧縮永久歪み値は、親水性シリカの代わりに疎水性シリカを用いることによって改善されなかった。
【0042】
【表1】

【0043】
(実施例1〜4ならびに比較例AおよびB)
試験検体を表IIに示す処方に従って調合した。硬化特性をMDRによって199℃で30分間測定した。引張特性および圧縮永久歪みを、MDRによって測定したT90より5分間長く199℃で成形したK214 O−リングについて試験した。O−リングを次に窒素中305℃で26時間ポスト硬化させた(温度を室温から305℃まで徐々に上げた)。結果はまた表IIに示す。疎水性シリカを含有する本発明の組成物(すなわち、実施例1〜4)は、親水性シリカを含有する類似の組成物(比較例AおよびB)よりはるかに良好な(すなわち、低い)圧縮永久歪み値を有した。疎水性シリカを含有する本発明の組成物はまた、親水性シリカを含有する比較組成物より良好な硬化特性をも有した。比較組成物のMDR曲線は逆戻り(すなわち、Mに到達した後に、硬化状態の低下を示唆するトルクの減少)を示したが、本発明の組成物のMDR曲線は逆戻りを示さなかった。
【0044】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.(1)テトラフルオロエチレン、(2)パーフルオロ(ビニルエーテル)、ならびに(3)ニトリル含有フッ素化オレフィンおよびニトリル含有フッ素化ビニルエーテルよりなる群から選択された硬化部位モノマーの共重合単位を含むパーフルオロエラストマーと、
B.パーフルオロエラストマー百重量部当たり1〜25重量部の疎水性シリカと、
C.i)ビス(アミノフェノール)およびii)40℃〜330℃の温度で分解してアンモニアを生成する化合物よりなる群から選択された硬化剤と
を含むことを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
疎水性二酸化チタンおよび疎水性アルミナよりなる群から選択されたフィラーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記パーフルオロエラストマーが38.5〜74.7モルパーセントのテトラフルオロエチレン、25〜60モルパーセントのパーフルオロ(メチルビニルエーテル)および0.3〜1.5モルパーセントのパーフルオロ(8−シアノ−5−メチル−3,6−ジオキサ−1−オクテン)の共重合単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記疎水性シリカがパーフルオロエラストマー百重量部当たり5〜15重量部の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記疎水性シリカがその表面上に−O−Si(CH、−O−Si−(CH、および−O−Si−C17よりなる群から選択された疎水性官能基を有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記ビス(アミノフェノール)が2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパンであることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
分解してアンモニアを生成する前記化合物がアセトアルデヒドアンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、t−ブチルカルバメート、ベンジルカルバメート、HCFCFCH(CH)OCONH、尿素、尿素塩酸塩、チオ尿素、フタルアミド、金属アミン錯体、オキサミド酸、ビウレット、ホルムアミジン、ホルムアミジン塩酸塩およびホルムアミジン酢酸塩よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。

【公表番号】特表2007−502890(P2007−502890A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523940(P2006−523940)
【出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/026285
【国際公開番号】WO2005/017017
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(597035953)デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー (44)
【Fターム(参考)】