説明

硬化性組成物およびそれらの使用

本発明は、架橋剤として1種以上の有機金属化合物を含む硬化性組成物、および半導体パッケージでのその適用に関する。特に、前記有機金属化合物は有機チタネートである。ある実施形態では、前記有機チタネートとしては、テトラアルキルチタネートおよびチタネートキレートが挙げられるが、これらに限定されない。前記硬化性組成物は、増加した架橋密度を有し、室温での弾性率が顕著に増加せずに高い温度での貯蔵弾性率が高く、このことは半導体パッケージに対する信頼性試験の間、硬化性組成物の性能を潜在的に高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、架橋剤として有機金属化合物を含む硬化性組成物、特に半導体パッケージ産業で使用するための硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイ取付け材料は、ほとんどがポリマーをベースとしており、ほとんどが無定形ポリマーである。無定形ポリマー材料の最も重要な特性の1つは、温度変化とともにガラス転移が認められうることである。弾性率の非常に大きな変化は、かなり制限された温度範囲に渡って起こる可能性があり、これはガラス転移温度として定義される。弾性率は、外部からの力が掛かった場合の材料の耐変形性を測定する。ダイ剪断強度は、基本的にダイ取付け材料の剪断力に対する抵抗の測定である。従って、ダイ剪断強度は弾性率に関係し、弾性率はガラス転移温度の範囲で大きく変化する。ダイ取付け製品の開発経験によれば、高温ダイ剪断強度は高い温度での材料弾性率に関係する。通常、ダイ取付け材料の貯蔵弾性率はガラス転移の範囲で急激に低下し、最終的に、高い温度での保持された貯蔵弾性率はガラス転移の後には非常に低い。このことは、材料の信頼性性能が劣るという結果になりうる。室温で適度な弾性率と高い温度での保持と釣り合いを取るために、信頼性に対する要求を満たすことが望ましい。これまで、高い温度での弾性率を向上しようとすると、室温での弾性率の増加を伴うことが非常に多く、このことはパッケージにおける応力増加につながった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、なおも、高い温度で高い貯蔵弾性率を有し、室温での弾性率の顕著な増加のない硬化性組成物に対する要求が当該技術分野で存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、室温で顕著な弾性率の増加をもたらさず、高い温度で高い貯蔵弾性率を得るために少なくとも樹脂および架橋剤として有機金属化合物を含む硬化性組成物である。有機金属化合物、例えば有機チタネートを、ダイ取付け材料、アンダーフィルなどの硬化性組成物に添加した場合、これはポリマーおよびフィラーのいずれとも反応すると考えられ、この反応によってポリマーおよびフィラーの間で結合を作り、系の架橋密度を増加する。
【0005】
本発明では、架橋剤として有機金属化合物を含む硬化性組成物、硬化性組成物の架橋密度を増加させるための方法、架橋剤として前記有機金属化合物の使用、および前記硬化性組成物を使用して製造される物品が開示される。特に、本発明は以下の実施形態を含むが、これらに限定されない:
1.樹脂および架橋剤として有機金属化合物を含む硬化性組成物。
【0006】
2.実施形態1に記載の硬化性組成物であって、ここで前記有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0007】
3.実施形態2に記載の硬化性組成物であって、ここで前記有機チタン化合物は、有機チタネートおよび/またはチタンキレートを含む。
【0008】
4.実施形態3に記載の硬化性組成物であって、ここで前記有機チタネートは、 テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0009】
5.実施形態3に記載の硬化性組成物であって、ここで前記チタンキレートは、アセチルアセトネートチタネートキレート、アセト酢酸エチルチタネートキレート、トリエタノールアミンチタネートキレート、乳酸チタネートキレートおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0010】
6.実施形態2に記載の硬化性組成物であって、ここで前記有機アルミニウム化合物は、ジステアロイルイソプロポキシアルミネートを含む。
【0011】
7.実施形態2に記載の硬化性組成物であって、ここで前記有機ジルコニウム化合物は、テトラアルキルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラキス(トリエタノールアミノ)ジルコニウム(IV)、ナトリウムジルコニウム乳酸塩、ジルコニウムテトラ−n−ブタノレート、およびビス−クエン酸ジエチルエステルn−プロパノレートジルコニウムキレートからなる群より選択される。
【0012】
8.上記実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物であって、ここで前記架橋剤は、前記組成物の全重量を基準として、約0.1重量%から約15重量%の量で存在する。
【0013】
9.実施形態8に記載の硬化性組成物であって、ここで前記架橋剤は、前記組成物の全重量を基準として、約0.5重量%から約10重量%の量で存在する。
【0014】
10.実施形態9に記載の硬化性組成物であって、ここで前記架橋剤は、前記組成物の全重量を基準として、約1.0重量%から約6重量%の量で存在する。
【0015】
11.実施形態10に記載の硬化性組成物であって、ここで前記架橋剤は、前記組成物の全重量を基準として、約2重量%から約4重量%の量で存在する。
【0016】
12.上記実施形態のいずれかに記載の硬化性組成物であって、ここで前記樹脂は、エポキシ、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、ビニルエーテル、ビニル、シアネートエステル、またはシロキサン樹脂の1種以上から選択される。
【0017】
13.上記実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物は、さらに、フィラー、希釈剤および硬化剤の1種以上を含む。
【0018】
14.実施形態13に記載の硬化性組成物であって、ここで前記フィラーは、金、銀、銅、ニッケル、鉄、
これらの合金;金、銀、または銅で覆われた銅、ニッケル、鉄、ガラス、シリカ、アルミニウム、またはステンレススチール;アルミニウム、ステンレススチール;シリカ、ガラス、シリコンカーバイド、窒化ホウ素、アルミニウムオキシド、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、オキシドフィラー、および金属で覆われたオキシドフィラーの1種以上から選択される。
【0019】
15.実施形態13に記載の硬化性組成物であって、ここで前記硬化剤は、ルイス酸、ルイス塩基、イミダゾール、無水物、アミン、およびアミン付加物の1種以上から選択される。
【0020】
16.実施形態13−15のいずれか1つに記載の硬化性組成物であって、ここで1種以上の前記樹脂の全充填量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約10−85重量%、約20−70重量%、または約20−50重量%の範囲に入る。
【0021】
17.実施形態13−15のいずれか1つに記載の硬化性組成物であって、ここで1種以上の前記フィラーの全充填量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約10重量%から85重量%、約30重量%から70重量%、または約40重量%から60重量%の範囲にある。
【0022】
18.実施形態13−15のいずれか1つに記載の硬化性組成物であって、ここで1種以上の前記硬化剤の全充填量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約0.1重量%から10重量%、または約1重量%から5重量%の範囲にある。
【0023】
19.上記実施形態のいずれか1つに記載の硬化性組成物であって、ここで前記硬化性組成物は、ダイ取付け接着剤またはアンダーフィルカプセル材料である。
【0024】
20.硬化性組成物中で、架橋剤としての有機金属化合物の使用。
【0025】
21.実施形態20に記載の使用であって、ここで前記有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0026】
22.実施形態21に記載の使用であって、ここで前記有機チタン化合物は、有機チタネートおよび/またはチタンキレートを含む。
【0027】
23.実施形態22に記載の使用であって、ここで前記有機チタネートは、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0028】
24.実施形態22に記載の使用であって、ここで前記チタンキレートは、アセチルアセトネートチタネートキレート、アセト酢酸エチルチタネートキレート、トリエタノールアミンチタネートキレート、乳酸チタネートキレートおよびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0029】
25.実施形態21に記載の使用であって、ここで前記有機アルミニウム化合物は、ジステアロイルイソプロポキシアルミネートを含む。
【0030】
26.実施形態21に記載の使用であって、ここで前記有機ジルコニウム化合物は、テトラアルキルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラキス(トリエタノールアミノ)ジルコニウム(IV)、ナトリウムジルコニウム乳酸塩、ジルコニウムテトラ−n−ブタノレート、およびビス−クエン酸ジエチルエステルn−プロパノレートジルコニウムキレートからなる群より選択される。
【0031】
27.実施形態20−26のいずれか1つに記載の使用であって、ここで前記有機金属化合物は、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約0.1重量%から約15重量%の範囲で存在する。
【0032】
28.実施形態27に記載の使用であって、ここで前記有機金属化合物は、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約0.5重量%から約10重量%の範囲で存在する。
【0033】
29.実施形態28に記載の使用であって、ここで前記有機金属化合物は、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約1.0重量%から約6.0重量%の範囲で存在する。
【0034】
30.実施形態29に記載の使用であって、ここで前記有機金属化合物は、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約2重量%から約4重量%の範囲で存在する。
【0035】
31. 硬化性組成物において、架橋密度を増加させるための方法であって、この方法は、架橋剤として有効な量の有機金属化合物を前記硬化性組成物に添加することを含む。
【0036】
32.実施形態31に記載の方法であって、ここで前記有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される。
【0037】
33.実施形態31または32に記載の方法であって、ここで前記有機金属化合物の全量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約0.1重量%から15重量%、好ましくは約0.5重量%から10重量%、より好ましくは約1.0重量%から6.0重量%、なおより好ましくは約2重量%から6重量%の範囲にある。
【0038】
34.基体に結合されている部品を有する物品を製造するための方法であって、この方法は、実施形態1−19のいずれか1つに記載の硬化性組成物を少なくとも前記基体表面および部品の一部に塗布するステップ、および前記部品を前記基体に結合するステップ、ならびに任意に、前記基体を前記接着剤と接触させた後、室温より高い温度で前記硬化性組成物を加熱硬化させるステップを含む。
【0039】
35.実施形態1−19に記載の硬化性組成物を使用することによって製造される物品であって、この物品は基体、この基体上の部品および前記硬化性組成物を含む。
【0040】
本発明では、樹脂およびフィラーのいずれとも反応できる架橋剤として有機金属化合物を使用するために、本接着剤系の架橋密度は改善されうる。さらに、本発明の硬化性組成物は、室温で顕著な弾性率の増加をもたらすことがなく、高い温度で高い貯蔵弾性率を示すことができる。
【0041】
本明細書ではそれ以外に定義されていない場合、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が関係する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載された方法および材料に類似または同じである任意のそれらは、本発明の実施において利用することができるが、好ましい方法および材料が本明細書に記載されている。従って、すぐ下に定義される用語は、明細書全体を参照することによってさらに充分に説明される。また、本明細書で用いる場合、単数形「不定冠詞(a)」、「不定冠詞(an)」および「定冠詞(the)」は、文脈が明確にそれ以外を示さない場合、複数形の意味を含む。数値範囲は、その範囲を決める数字を含める。
【0042】
本発明では、架橋剤として有機金属化合物を含む硬化性組成物、硬化性組成物の架橋密度を増加するための方法、架橋剤としての前記有機金属化合物の使用、および前記硬化性組成物を使用することによって製造される物品が開示される。硬化性組成物は、ダイ取付け接着剤またはアンダーフィルカプセル材料などを含んでいてよいが、これらに限定されない。物品は、半導体デバイスを含んでいてよいが、これらに限定されない。
【0043】
本発明の態様では、少なくとも樹脂および架橋剤として有機金属化合物を含む硬化性組成物が提供される。
【0044】
(有機金属化合物)
前記有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択されてよい。
【0045】
1つの実施形態では、前記有機チタン化合物は、有機チタネートである。ある実施形態では、前記有機チタネートは、テトラアルキルチタネート、およびチタネートキレートからなる群より選択される。テトラアルキルチタネートは、一般構造:Ti(OR)で表されてよく、ここでRは、アルキル基、例えば、プロピル、ブチル、イソオクチルなどを表す。ある実施形態では、このテトラアルキルチタネートとしては、分子式:Ti(OCを有するテトライソプロピルチタネート、分子式:Ti(OCを有するテトラ−n−ブチルチタネートおよび分子構造:
【0046】
【化1】

(例えば、DuPont社からのTyzor TOT)を有するテトラキス(2−エチルヘキシル)チタネートが挙げられる。他の実施形態では、代表的なテトラアルキルチタネートとしては、イソプロピルトリオレイン酸チタネート、チタントリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキシド、チタントリステアロイルイソプロポキシド、ビス(ペンタン−2,4−ジオナト−O,O’)ビス(アルカノラト)チタン、ビス(ペンタン−2,4−ジオナト−O,O’)ビス(アルカノラト)チタン、ビス(ペンタン−2,4−ジオナト−O,O’)ビス(アルカノラト)チタン、トリエタノールアミンチタネート、ジイソブトキシ−ビスアセト酢酸エチルチタネート、およびテトラキス(2−エチルヘキサン−1,3−ジオラト)チタンが挙げられる。
【0047】
本発明で使用できるチタネートキレートは、式:
【0048】
【化2】

で表されることができる。この分子構造において、Xは酸素または窒素を含有する官能基を表し、Yは炭素数2または3の鎖を表す。例示的なチタネートキレートとしては、TYZOR(登録商標)AA−シリーズ−アセチルアセトネートチタネートキレート:
【0049】
【化3】

(例えば、DuPont社からのTyzor GBA);
TYZOR(登録商標)DC−アセト酢酸エチルチタネートキレート:
【0050】
【化4】

TYZOR(登録商標)TE、トリエタノールアミンチタネートキレート、下記のケージ構造:
【0051】
【化5】

を有する少なくとも1種の成分を有するキレート混合物;
TYZOR(登録商標)LA−乳酸チタネートキレートアンモニウム塩:
【0052】
【化6】

が挙げられるが、これらに限定されず、上記すべては、DuPont社から市販品が入手可能である。
【0053】
ある態様では、本発明で使用される架橋剤は、アルミネートおよび/またはジルコネートであってよい。例示的なアルミネートとしては、ジステアロイルイソプロポキシアルミネートが挙げられるが、これに限定されない。例示的なジルコネートとしては、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラキス(トリエタノールアミノ)ジルコニウム(IV)、ナトリウムジルコニウム乳酸塩、ジルコニウムテトラ−n−ブタノレート、およびビス−クエン酸ジエチルエステルn−プロパノレートジルコニウムキレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
典型的には、1種以上の前記有機金属化合物の全充填量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約0.1重量%から15重量%、好ましくは約0.5重量%から10重量%、より好ましくは約1.0重量%から6.0重量%、なおより好ましくは約2重量%から4重量%の範囲に入ることができる。1つの態様では、前記有機金属化合物の全充填量は、前記硬化性組成物の1重量%、2重量%、4重量%、5重量%または8重量%であってよい。
【0055】
(樹脂)
本発明で使用される樹脂は、任意の樹脂であってよく、エポキシ、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、ビニルエーテル、ビニル、シアネートエステル、またはシロキサン樹脂などの1種以上であってよいが、これらに限定されない。
【0056】
例示的なエポキシ樹脂としては、例えば、液状エポキシ、異なった種類の液状エポキシとの液状エポキシの組合せ、および溶液中の固体状エポキシから選択されるものが挙げられる。このエポキシは、例えば、アミンまたはヒドロキシル基で置換されたもののような追加の官能基も有することができる。また、このエポキシは、例えば、1,2−エポキシプロパン、1,3−エポキシプロパン、ブチレンオキシド、n−ヘキシルプロピレンエポキシドなどの未置換のものであってよい。市販のエポキシ樹脂の例としては、Epon(登録商標)樹脂862、Epiclon N−730A、Epiclon 830S(Resolution Performance Products、P.O.Box 4500、Houston、TX 77210、USA);D.E.R.(登録商標)332(Dow Chemical Company、Midland、MI 48674);Araldite GY285(Chemica Inc.316 West 130th Street、Los Angels,CA 90061、USA);RSL−1739(Resolution Performance ProductsからのPビスフェノールF/エピクロロヒドリンエポキシ樹脂);およびNSCエポキシ5320(Henkel Corporationからの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル)が挙げられる。
【0057】
例示的なアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル化合物としては、液状(メタ)アクリレート、液状(メタ)アクリレートと異なった種類のアクリレートおよび溶液中の固体状(メタ)アクリレート(モノマーまたはオリゴマー)との組合せが挙げられるが、これらに限定されない。具体的な例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2量体ジオールモノメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルメタクリレート、および2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレートが挙げられる。市販品の入手可能なアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル化合物の例としては、SR506(イソボルニルアクリレート)、SR9020(プロポキシル化グリセリルトリアクリレート)(Sartomer Inc.(上海)、500 Fu Te 2nd East Road、Wai Gao Qiao Free Trade Zone、上海、200131)、SR368(Sartomerからのトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート)、CN120Z(Sartomerからのエポキシアクリレート)、およびSR306(Sartomerからのトリプロピレングリコールジアクリレート)が挙げられる。
【0058】
本発明で使用される例示的なシアネートエステル樹脂としては、当該技術分野において公知である様々なシアネートエステル、例えば、エチレンジイソシアネート;1,4−テトラメチレンジイソシアネート;1,4および/または1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート;1,12−ドデカンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン1,3−および1,4−ジイソシアネートおよびこれらの異性体の混合物;1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン;2,4−および2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネートおよびこれらの異性体の混合物;ヘキサヒドロ−1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート;ペルヒドロ−2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート;2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートおよびこれらの異性体の混合物;ジフェニルメタン−2,4’−および/または4,4’−ジイソシアネート;ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;1,3−および1,4−キシレンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(シクロへキシルイソシアネート)、4,4’−イソプロピル−ビス(シクロへキシルイソシアネート)、1,4−シクロへキシルジイソシアネートおよび3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI);2,4−および2,6−トルエンジイソシアネート;ジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;1−メチルオキシ−2,4−フェニレンジイソシアネート;1−クロロフェニル−2,4−ジイソシアネート;p−(1−イソシアナトエチル)−フェニルイソシアネート;m−(3−イソシアナトブチル)−フェニルイソシアネートおよび4−(2−イソシアネート−シクロへキシル−メチル)−フェニルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
例示的なシロキサン樹脂としては、非官能性シランおよびアミノ官能性、エポキシ官能性、アクリレート官能性および他の官能性シランなどの官能基化シランが挙げられるが、これらは当該技術分野において公知であり、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、5,6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジエチレン−トリアミン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノエチルアミノプロピル−トリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、オリゴマー状アミノアルキルシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノイソブチルメチルジメトキシシラン、(3−アクリルオキシプロピル)−トリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプト−プロピルトリエトキシシラン、およびオレフィン性シラン、例えば、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アルキルビニルジアルコキシシラン、アリルトリアルコキシシラン、ヘキセニルトリアルコキシシランなどが挙げられる。
【0060】
本発明において他の樹脂、例えば、Epiclon EXA−830CRP(大日本インキ化学会社からのエピクロロヒドリンフェノールホルムアルデヒド樹脂)、SRM−1(Henkel CorporationからのC36分岐鎖アルカンジイルビス−[6−(2,5−ジヒドロ−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−1−イル)ヘキサノエート])なども使用することができる。
【0061】
典型的には、1種以上の前記樹脂の全充填量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約10−85重量%、好ましくは約20−70重量%、より好ましくは約20−50重量%の範囲に入っていてよい。
【0062】
(フィラー)
前記硬化性組成物は、さらにフィラーを含んでいてよい。本発明の実施で使用されるフィラーとしては、有機および無機フィラー、必要に応じて導電性または絶縁性フィラー、例えば、金、銀、銅、ニッケル、鉄、これらの合金;金、銀、または銅で覆われた銅、ニッケル、鉄、ガラス、シリカ、アルミニウム、またはステンレススチール;アルミニウム、ステンレススチール;シリカ、ガラス、シリコンカーバイド、窒化ホウ素、アルミニウムオキシド、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、オキシドフィラー、および金属で覆われたオキシドフィラーなどを挙げることができるが、これらに限定されない。市販品で入手可能なフィラーの具体例としては、Cab−O−Sil(登録商標)TS−720シリカ(Silicon Dioxide社製)、SP−10Gシリカ(Fuso Chemical Co.,Ltd.からの無定形シリカ)、SE−1(Gelest社製の無定形で、ヘキサメチルジシラザンで処理されたシリコンジオキシド)などが挙げられる。
【0063】
典型的には、1種以上の前記フィラーの全充填量は、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約10重量%から約85重量%、より好ましくは約30重量%から約70重量%、または約40重量%から約60重量%の範囲にあってよい。
【0064】
(硬化剤)
前記硬化性組成物は、さらに硬化剤を含んでいてよい。本発明の実施で使用される硬化剤としては、例えば、ルイス酸、ルイス塩基、イミダゾール、無水物、アミン、アミン付加物または類似物、例えば、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾリン、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウム−トリメリテートを挙げることができる。硬化剤の具体例としては、Jeffamine D−2000(Huntsman Petrochemical Corporationからのポリオキシプロピレンジアミン)、2P4MZ(National Starch & Chemicalsからの10ミクロンに微粉化されたフェニルメチルイミダゾール)、EMI−24−CN(Borregaad Synthesisからの1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール)などを挙げることができる。
【0065】
硬化剤が存在する場合、典型的には、1種以上の前記硬化剤の全充填量は、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約0.1重量%から約10重量%、好ましくは約1重量%から約5重量%の範囲にあってよい。
【0066】
加えて、前記硬化性組成物は、さらに希釈剤、例えば、NSC Epoxy5320(National Starch & Chemicalsからの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル)を含むことができる。
【0067】
本発明の他の態様では、硬化性組成物での架橋密度を増加するための方法が提供され、前記方法は、1種以上の有効な量の有機金属化合物(1種または複数種)を前記硬化性組成物に添加することを含む。上記のように、この有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択されてよい。1種以上の前記有機金属化合物の全量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約0.1重量%から15重量%、好ましくは約0.5重量%から10重量%、より好ましくは約1.0重量%から6.0重量%、なおより好ましくは約2重量%から4重量%の範囲にあってよい。1つの態様では、前記有機金属化合物の全充填量は、前記硬化性組成物の1重量%、2重量%、4重量%、5重量%または8重量%であってよい。前記方法は、前記硬化性組成物の高い温度での貯蔵弾性率を、室温での弾性率の顕著な増加をもたらすことなく改善することができる。
【0068】
本発明のさらに別の態様では、本発明は、さらに、基体に結合された部品を有する物品を製造するための方法を提供し、この方法は、上記硬化性組成物を少なくとも基体表面および部品の一部に塗布するステップ、および前記基体表面に前記部品を結合するステップを含む。ある実施形態では、前記方法は、さらに、室温より高い温度で前記接着剤を熱的に硬化するステップを含み、このステップは、前記基体を前記接着剤と接触させた後に実施される。なおも別の態様では、基体に結合された前記部品はダイのような半導体部品であってよい。
【0069】
本発明の別の態様では、上記方法で製造された物品が提供され、この物品は基体、この基体上の部品、および前記部品を前記基体に結合するための前記硬化性組成物を含む。前記部品は半導体部品であってよい。
【0070】
本発明のさらなる態様では、硬化性組成物、例えば、ダイ取付け接着剤、アンダーフィルなどにおける架橋剤として有機金属化合物の使用を提供する。前記のように、有機金属化合物は、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択されてよい。1種以上の前記有機金属化合物の全量は、前記硬化性組成物の全重量を基準にして、約0.1重量%から15重量%、好ましくは約0.5重量%から10重量%、より好ましくは約1.0重量%から6.0重量%、なおより好ましくは約2重量%から4重量%の範囲にあってよい。1つの態様では、前記有機金属化合物の全充填量は、前記硬化性組成物の1重量%、2重量%、4重量%、5重量%または8重量%であってよい。
【0071】
本発明は、下記の非限定的な実施例を参照してさらに説明される。
【実施例】
【0072】
(DMTA(動的機械熱分析)試験方法)
−装置(TA Instruments製の動的機械分析器Q800)が充分に調製されており、空気ベアリングおよび冷却ガスが接続されていることを確認する。
【0073】
−試料形状および弾性率範囲に適したクランプを選択し、インストールし、および調整する。
【0074】
−試料寸法を測定し、および試料をクランプ中に取り付ける。
【0075】
−サーモカップルを試料近傍に配置する。
【0076】
−所望の実験様式を実施するのに必要な操作方式(DMA多周波、DMA多重歪み、DMA制御力など)を選択する。
【0077】
−方式およびクランプ型によって定義される、力、周波数、加熱速度などの操作方式に対して適する手順を作成する。(適切な場合の周波数または振幅のテーブルを含む。)事前プログラム化試験テンプレートを実験で使用したい場合は、それらを利用することも可能である。
【0078】
−フィルムクランプを使用する場合、この一般ガイドラインに従う:
実験パラメータを設定する。これらのクランプは張力クランプであることに留意する;従って、力軌道および予荷重力価は選択されなければならない。推奨される値は、適切な場合、予荷重力に対しては0.005から1N、力軌道に対しては115から200パーセントである。
【0079】
振幅:このシグナルはプログラムされた値を達成し、維持しなければならない。多重歪み実験を行う場合、この振幅はプログラムされた値を周期的に繰り返す。
【0080】
剛性:剛性は装置の測定可能な範囲(100N/mから10000000N/m)内でなければならない。
【0081】
駆動力:駆動力は、0.0001から18Nの間になければならない。
【0082】
通常の操作は、3℃/分で−65℃から250℃まで行う。
【0083】
次いで、「測定」を押し、モーターを開始し、所望の測定をプレビュー表示し、実験を継続する前に条件が容認できることを確認する。
【0084】
−炉を閉じ、実験を開始する。実験を開始する前に、DMAが制御器に接続されていること、試料が取り付けられていること、炉が閉じられていること、すべての必要な情報が装置制御ソフトウェアにより入力されたことを確認する。
【0085】
装置を使っての実験が終了したとき、データファイルを収集する。これらのデータファイルに含まれた情報を分析するために、TA Instruments Universal Analysisプログラムを使用する。−65℃および25℃、および、必要に応じて他のあらゆる温度での弾性率を計算する。
【0086】
実施例1
(硬化性組成物の製造)
表1および表2に示す2つのグループの配合物を、下記の手順に従ってエポキシ樹脂をベースにして製造した。
【0087】
グループ1のエポキシ系配合物に対しては、すべての原材料をジャーの中に表1に示す順序に従って加える。例えば、2.807gのRSL−1739、0.2gのJeffamine D−2000、0.108gのCab−O−Sil TS−720シリカ、0.2gの2P4MZ硬化剤、5gのSP−10Gシリカ、0.913gのNSC EPOXY 5320、および0.05gのEMI−24−CNを秤量すると、9.278gのExp1試料を得る。化合物をドラフト中で5分間手でかき混ぜ、スパチュラを使用して材料を流動させ、ジャーのかど、壁に注意して充分に混合する。次いで、インフィードギャップ2ミル(0.051mm)、アウトフィードギャップ1.5ミル(0.038mm)で材料を3段ロールミリングに2回通す。使用した3段ロールミルは、EXAKT Apparatebau GmBH & Co.kG(Robert−Koch−Strasse 5、22851 Norderstedt、Germany)からのEXAKT 50であった。均一な混合物を得るまで5分間手でかき混ぜる。
【0088】
グループ2のエポキシ系配合物に対しては、すべての原材料をジャーの中に表2に示す順序に従って加える。例えば、3.6gのEpiclon EXA−830CRP、0.3gのJeffamine D−2000、0.2gの2P4MZ、5.1gのSP−10Gシリカ、0.6gのNSC EPOXY 5320、0.1gのTyzor TOTおよび0.4gのTyzor GBAを秤量すると、10.3gのExp10試料を得る。化合物をドラフト中で5分間手でかき混ぜ、スパチュラを使用して材料を流動させ、ジャーのかど、壁に注意して充分に混合する。次いで、インフィードギャップ2ミル、アウトフィードギャップ1.5ミルで材料を3段ロールミリングに2回通す。均一な混合物を得るまで5分間手でかき混ぜる。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
(硬化性組成物のDMTA結果)
グループ2の硬化性組成物のDMTA結果を下の表3−4に示す。
【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【0094】
表3および表4から、いずれのグループも同じ傾向を示し、すなわち、架橋剤としてテトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート/アセチルアセトネートチタネートキレート(Tyzor TOT/GBA)の添加によって、実施例の貯蔵弾性率は高い温度、すなわち、100℃、150℃、および200℃、特に150℃で著しく増加し、一方、貯蔵弾性率は低い温度および室温でわずかな変化のままであった。グループ1の実施例に対しては、250℃での貯蔵弾性率は、(テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート)/(アセチルアセトネートチタネートキレート)の添加によって顕著に増加したままであり、一方、グループ2の実施例の250℃での貯蔵弾性率は、平均6.8%減少した。
【0095】
これらの結果は、前記のダイ取付け材料への要望に応え、すなわち、高温での適度な弾性率を保持するとともに室温で適度な弾性率を有する。この特性を有する材料は信頼性試験で高い性能を示し、この試験は半導体パッケージの性能を評価するのにますます重要になりつつある。
【0096】
実施例2
(硬化性組成物のDMTA結果に及ぼす有機金属化合物の量の効果)
有機金属化合物の量を変化させたことを除いて、実施例1で説明したように硬化性組成物を配合した。硬化性組成物のDMTA結果を表5および6に示す。
【0097】
実施例の貯蔵弾性率は、100℃および150℃で最も顕著に増加した。これら2点の温度での値のみ下の表にまとめる。
【0098】
【表5】

【0099】
グループ1の実施例に対しては、貯蔵弾性率の増加は、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート/アセチルアセトネートチタネートキレート(Tyzor TOT/GBA)の量の増加に対応せず、貯蔵弾性率の増加の最適値を有することが理解できる。
【0100】
【表6】

【0101】
グループ2の実施例に関しては、貯蔵弾性率の増加は、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート/アセチルアセトネートチタネートキレート(Tyzor TOT/GBA)の量が低い(1重量%以下)か中間(4重量%以下)のいずれかである場合、その量の増加に対応しないことが理解できる。しかし、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート/アセチルアセトネートチタネートキレートの量が高い(8重量%まで)場合、貯蔵弾性率は高い温度で再び急激に増加する(Exp11を参照)。
【0102】
これらの結果は、少量のテトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート/アセチルアセトネートチタネートキレートのみで高い温度での弾性率の減少を大きく改善できることを示す。この特徴により、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート/アセチルアセトネートチタネートキレートが添加されたダイ取付け材料の他の特性に影響する可能性を低下させることができる。高い温度における弾性率を保持しようとする要求が非常に大きい場合は、アセチルアセトネートチタネートキレートを多量に添加してその要求を満たすことができる。
【0103】
実施例3
(ダイ取付けのための硬化性組成物の使用)
本実施例は、物品またはこの物品を製造するための方法を示し、この物品は、実施例1で製造して得た硬化性組成物の1つにより基体に結合した半導体部品を含む。
【0104】
表1の硬化性組成物Exp2を使い、基体表面の少なくとも一部を被膜の厚さ1−2mmで塗布し、次いで、接着剤で被覆した基体表面にダイを付ける。ダイは、接着剤を温度、例えば、120℃で20分、110℃で10分、150℃で30分、および180℃で50分などで硬化した後、基体に結合する。
【0105】
当業者であれば、本発明が、目的を達成し、記載された利点、ならびに本発明に特有の利点を得るよう充分に適合していることを容易に理解する。当業者には明らかであるように、本明細書で開示された本発明に対してさまざまな変更および修正を、本発明の精神と範囲を外れることなく行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂および架橋剤として有機金属化合物を含む硬化性組成物。
【請求項2】
前記有機金属化合物が、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記有機チタン化合物が、有機チタネートおよび/またはチタニウムキレートを含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記有機チタネートが、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記チタニウムキレートが、アセチルアセトネートチタネートキレート、アセト酢酸エチルチタネートキレート、トリエタノールアミンチタネートキレート、乳酸チタネートキレートおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記有機アルミニウム化合物が、ジステアロイルイソプロポキシアルミネートを含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記有機ジルコニウム化合物が、テトラアルキルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラキス(トリエタノールアミノ)ジルコニウム(IV)、ナトリウムジルコニウム乳酸塩、ジルコニウムテトラ−n−ブタノレート、およびビス−クエン酸ジエチルエステルn−プロパノレートジルコニウムキレートを含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記硬化性組成物の全重量を基準として、架橋剤が約0.5重量%から約10重量%の量で存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記樹脂が、エポキシ、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、ビニルエーテル、ビニル、シアネートエステル、またはシロキサン樹脂の1種以上から選択される、上記請求項のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
さらに、フィラー、希釈剤、および硬化剤の1種以上を含む、上記請求項のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
硬化性組成物における架橋剤としての有機金属化合物の使用。
【請求項12】
前記有機金属化合物が、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記有機チタン化合物が、有機チタネートおよび/またはチタニウムキレートを含む、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記有機チタネートが、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記チタニウムキレートが、アセチルアセトネートチタネートキレート、アセト酢酸エチルチタネートキレート、トリエタノールアミンチタネートキレート、乳酸チタネートキレートおよびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
前記有機アルミニウム化合物が、ジステアロイルイソプロポキシアルミネートを含む、請求項12に記載の使用。
【請求項17】
前記有機ジルコニウム化合物が、テトラアルキルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラキス(トリエタノールアミノ)ジルコニウム(IV)、ナトリウムジルコニウム乳酸塩、ジルコニウムテトラ−n−ブタノレート、およびビス−クエン酸ジエチルエステルn−プロパノレートジルコニウムキレートからなる群より選択される、請求項12に記載の使用。
【請求項18】
前記有機金属化合物が、前記硬化性組成物の重量を基準にして、約0.5重量%から約10重量%の量で存在する、請求項11〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
硬化性組成物において架橋密度を増加させるための方法であって、前記方法は、架橋剤として有効な量の有機金属化合物を前記硬化性組成物に添加することを含む、方法。
【請求項20】
前記有機金属化合物が、有機チタン化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物およびこれらの組合せからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物を使用することによって製造される物品。

【公表番号】特表2011−520023(P2011−520023A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508783(P2011−508783)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/CN2008/000938
【国際公開番号】WO2009/137954
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】