説明

硬化性組成物

【課題】硬化後長期にわたる汚染防止性能を有し、さらに、発泡することなく硬化し、かつ硬化後長期にわたる汚染防止性能を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含む硬化性組成物を提供する
【解決手段】イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)に、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)を配合することにより、またさらにこれに水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)を組み合わせることにより、前記課題を解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有する硬化性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から建築物の外壁目地の防水シーリング材、塩化ビニルシート等の樹脂製シート、タイルや木質板等の建築用部材の接着剤あるいは塗膜防水材として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを硬化成分として含有する硬化性組成物が作業のしやすさ、硬化後の接着性の高さや、低引張応力から高引張応力(高伸びから低伸び)まで硬化後のゴム弾性物性を広範囲に調節できるなどの優れた点から広く用いられている。
しかしながら、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、硬化後のゴム引張物性を低引張応力から高引張応力まで比較的自由に調節できる利点を有している反面、シーリング材や塗膜防水材などに使用するため低〜中引張応力域に設計したとき、これを含有する硬化性組成物は、硬化後の表面にタック(粘着)が残るため、大気中に浮遊する自動車排ガス中の煤煙や砂埃等の塵埃が付着しやすくなり、表面が黒っぽく汚染してしまうという欠点を有している。特に硬化後3ヶ月以上の長期間屋外に暴露されたとき、硬化物表面に対する塵埃の付着が続き表面汚染が進行することにより、美観上著しい不具合が生じてしまうという問題がある。
この硬化物表面の汚染性を解決する技術として、ウレタンプレポリマーあるいは特定のジイソシアネートモノマーから得られるウレタンプレポリマーに、不飽和アクリル系化合物などの光硬化性物質を配合して耐汚染性を改善する技術が開示されている(特許文献1及び2参照)。しかし、これらは短期間暴露されたときの汚染防止性は有しているものの、長期間にわたる汚染防止性は不十分である。
【0003】
一方、このイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有する硬化性組成物には、主剤と硬化剤を施工時に混合して硬化させる2液硬化型もしくは多液硬化型の硬化性組成物と、硬化性組成物を施工後、大気中の水分(湿気)に暴露し接触させることにより、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基が湿気と反応し硬化進行するのを利用する1液湿気硬化型の硬化性組成物があるが、施工作業時に主剤と硬化剤を混合する手間がなく、作業性に優れている点で、1液湿気硬化型の硬化性組成物の使用量が年々増加している。しかし、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーからなる1液湿気硬化型の硬化性組成物においては、イソシアネート基濃度が高かったり、硬化速度を速めたりした場合、イソシアネート基が大気中の水分(湿気)と反応し硬化する際、炭酸ガスの発生量が多くなる、あるいは急激に炭酸ガスが発生するなどして、硬化物内部に炭酸ガスの気泡が生じ、外観の悪化、伸びなどのゴム引張物性の低下、接着強さの低下などの不具合を生じる問題がある。
【0004】
この炭酸ガスによる発泡を防止する方法として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、予めオキサゾリジン環を有する化合物を配合して組成物としておき、施工時にイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを湿気と接触させたとき、イソシアネート基が水分と反応して炭酸ガスを発生する前に、オキサゾリジン化合物が水分と反応して生じる主に2級アミンの活性水素基がイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と反応して尿素結合を形成して、炭酸ガスによる発泡を起こすことなく硬化させる、オキサゾリジン環を有する化合物をいわゆる潜在性硬化剤として利用する方法があり、これに関する技術として、例えば、ウレタンプレポリマーに、オキサゾリジン化合物とオキサゾリジン環の開環促進化合物とを配合して、貯蔵安定性に優れ、硬化時に発泡しない室温硬化型ポリウレタン組成物や、特定の分岐密度を有する脂肪族または脂環式ウレタンプレポリマーに、特定のポリソシアネートを用いて合成されたウレタンポリオキサゾリジンを配合して、優れた耐候性と耐汚染性を有するウレタン樹脂組成物が提案されている(特許文献3及び4参照)。しかし、これらは発泡を防止する効果は有するものの、硬化後長期にわたる汚染防止性能は不十分であり、前述の問題は依然として解決されていないのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開昭56−122822号公報
【特許文献2】特開2002−37832号公報
【特許文献3】特開平09−169829号公報
【特許文献4】特開2003−335833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の従来の問題にかんがみて、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有する硬化性組成物において、硬化後長期にわたる汚染防止性能を有する硬化性組成物、さらに、発泡することなく硬化し、かつ硬化後長期にわたる汚染防止性能を有する硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決すべく研究した結果、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物を配合することにより、得られる硬化性組成物が硬化後3ヶ月以上の長期にわたって汚染防止性能を発揮すること、さらに驚くべきことに、この炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレート化合物にオキサゾリジン化合物を組み合わせることにより、発泡防止性能に加えて、汚染防止性能を発揮する期間を延長する効果を有することを見出し本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物(B)とを含有することを特徴とする硬化性組成物である。
【0009】
そして、
(2)前記(1)において、(メタ)アクリレート化合物(B)が、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を1個および不飽和アクリロイル基を2〜5個有する化合物であること、
が好ましく、また、
(3)前記(1)において、(メタ)アクリレート化合物(B)が、下記一般式(1)に表す化合物であること、
【化1】

[式(1)において、Rは炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは結合(基)を表し、Yは多価(m+n価)の脂肪族炭化水素系基を表す。m、nはそれぞれ独立に1以上の整数である。Rが複数のときはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、nが2以上のときはRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。]
が好ましく、また
(4)前記(1)において、(メタ)アクリレート化合物(B)が、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物と炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有モノイソシアネート化合物との反応生成物であること、
が好ましい。さらに本発明は、
(5)前記(1)〜(4)のいずれかにおいて、さらに、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)を配合することを特徴とする硬化性組成物である。
【0010】
そして、
(6)前記(5)において、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)が、オキサゾリジン化合物であること、
が好ましく、さらに本発明は、
(7)前記(1)〜(6)のいずれかにおいて、さらに、添加剤(D)を配合することを特徴とする硬化性組成物である。
【0011】
そして、
(8)前記(7)において、添加剤(D)が、ヒンダードアミン系光安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤であること、
が好ましい。
なお、本発明において、前記「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートまたはメタクリレート」を意味する。
【発明の効果】
【0012】
上記の構成をとることにより、本発明の硬化性組成物は、硬化後長期間にわたって汚染防止性能を発揮する効果を、更には発泡することなく硬化し、加えて硬化後さらに長期間にわたって汚染防止性能を発揮する効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の硬化性組成物で使用する各成分について、以下に詳しく説明する。
まず、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)成分について説明する。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物とを活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰条件で反応させて得られるものであり、本願発明において、硬化成分としてなるものである。
【0014】
具体的には、活性水素含有化合物と有機イソシアネート化合物とを、イソシアネート基/活性水素(基)のモル比が1.2〜10/1.0、好ましくは1.5〜5.0/1.0となる範囲で同時あるいは逐次に反応させて、ウレタンプレポリマー(A)中にイソシアネート基が残存するようにして製造することができる。モル比が1.2/1.0を下回ると、得られるウレタンプレポリマー(A)の架橋点が少なくなりすぎ、硬化性組成物の硬化後の伸びや引張強度などのゴム弾性物性が低下し、接着性が乏しいものとなり、モル比が10/1.0を超えると、湿気等の水分と反応したときに炭酸ガスの発生量が多くなり発泡の原因となるため好ましくない。
【0015】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基含有量は0.3〜15.0質量%が好ましく、特に0.5〜5.0質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が0.3質量%未満の場合は、前記同様の理由で、ゴム弾性物性が低下し、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合も、前記同様の理由で、炭酸ガスによる発泡が生じ好ましくない。
【0016】
反応製造方法としては、ガラス製やステンレス製などの反応容器に活性水素含有化合物と有機イソシアネート化合物とを仕込み、後述する反応触媒や有機溶剤の存在下、あるいは不存在下に、50〜120℃で攪拌しながら反応させる方法が挙げられる。この際、イソシアネート基が湿気と反応すると、得られるウレタンプレポリマー(A)が増粘するため、窒素ガス置換、窒素ガス気流下などの湿気を遮断した状態で反応を行うことが好ましい。
【0017】
なお、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、含まれるイソシアネート基が大気中の水分(湿気)と室温で反応硬化することにより、これを含有する硬化性組成物は1液湿気硬化型として、好適に使用される。
【0018】
前記有機イソシアネート化合物としては、具体的には、有機ポリイソシアネートと、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として場合により用いる有機モノイソシアネートが挙げられ、さらに有機ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基が芳香族炭化水素と結合している芳香族系有機ポリイソシアネートや、イソシアネート基が脂肪族炭化水素と結合している脂肪族系ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0019】
芳香族系ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、あるいはこれらの混合物等のジフェニルメタンジイソシアネート類(MDI類);2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートあるいはこれらの混合物等のトルエンジイソシアネート類(TDI類);この他フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。
【0020】
脂肪族系のポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート;プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0021】
また、これらジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、または、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDIまたはポリメリックMDI)なども挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、硬化後のゴム弾性や耐候性に優れている点で、芳香族系ポリイソシアネートの中ではMDI類が好ましく、芳香脂肪族ポリイソシアネートの中ではキシリレンジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートの中ではヘキサメチレンジイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートの中ではイソホロンジイソシアネートが、それぞれ好ましい。
【0022】
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の変性用として、場合により用いる有機モノイソシアネートとしては、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネート等の脂肪族系モノイソシアネートが挙げられる。
【0023】
前記活性水素含有化合物としては、高分子ポリオールや高分子ポリアミンの他、場合により使用する鎖延長剤としての、低分子ポリオール、低分子アミノアルコール、低分子ポリアミン、或いはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として用いる高分子や低分子のモノオールなどが挙げられる。
【0024】
高分子ポリオールとしては、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオール、動植物系ポリオール、これらのコポリオール、またはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
【0025】
高分子ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量は、1000〜100,000、さらに1,000〜30,000、特に1,000〜20,000が好ましい。数平均分子量が1000未満では、得られる硬化性組成物の硬化後の伸びなどのゴム弾性物性が悪化し、100,000を超えると、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎ、作業性が悪化するため好ましくない。
【0026】
ポリエステル系ポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、へキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸;これらポリカルボン酸のメチルエステルやエチルエステル等のアルキルエステル化合物;またはこれらポリカルボン酸の酸無水物などの1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類;ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオールまたはポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
【0027】
また、低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε-カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0028】
ポリカーボネートポリオールとしては、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは前記低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
【0029】
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類、ポリカルボン酸の他、ソルビトール、マンニトール、ショ糖(スクロース)、グルコース等の糖類系低分子多価アルコール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類の一種以上を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物の1種以上を開環付加重合あるいは共重合(以下、「重合あるいは共重合」を(共)重合という。)させた、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリオキシテトラメチレン系ポリオール、ポリ−(オキシエチレン)−(オキシプロピレン)−ランダムあるいはブロック共重合系ポリオール、さらに、前述のポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートエーテルポリオールなどが挙げられる。また、これらの各種ポリオールと有機イソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたポリオールも挙げられる。
【0030】
ポリオキシアルキレン系ポリオールのアルコール性水酸基の数は、1分子当たり平均して2個以上、さらに2〜4個、特に2〜3個であることが好ましい。
【0031】
さらに、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、その製造時に、水素化セシウム、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウムなどのセシウム系化合物、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、ホスファゼニウム化合物、複合金属シアン化錯体など、なかでも亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体を触媒として使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、さらに0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが、また分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが、得られるイソシアネネート基含有ウレタンプレポリマーの粘度を低下でき、かつ得られる硬化組成物の硬化後のゴム弾性物性が良好となる点で好ましい。
【0032】
また、ウレタンプレポリマー(A)の変性用として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低分子モノアルコール類を開始剤として、前記プロピレンオキシド等の環状エーテル化合物を開環付加(共)重合させたポリオキシプロピレン系モノオール等のポリオキシアルキレン系モノオールなどを場合により使用することもできる。
【0033】
なお、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールあるいはポリオキシアルキレン系モノオールなどの「系」とは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るものが最も好ましい。
【0034】
炭化水素系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール;水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール;塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールなどが挙げられる。
【0035】
ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体類と他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下あるいは不存在下に共重合したものなどが挙げられる。
【0036】
動植物系ポリオールとしては、ヒマシ油系ジオールなどが挙げられる。
【0037】
鎖延長剤としては、前記のポリエステル系ポリオールの合成に用いられる低分子のポリオール類、ポリアミン類、アミノアルコール類の他、前述のポリオキシアルキレン系ポリオールで、数平均分子量が1000未満の低分子量のもの、またはこれらの2種以上の混合物が例示される。
【0038】
前記の活性水素含有化合物として挙げた化合物は1種または2種以上を組み合わせて使用することができるが、これらのうち、得られる硬化性組成物のゴム弾性物性や接着性が良好な点で、高分子ポリオールが好ましく、さらにポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましく、ポリオキシプロピレン系ポリオールが最も好ましい。
【0039】
次に、本発明において使用する炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物(B)成分について説明する。この(B)成分は、分子内に炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を少なくとも1個と、不飽和の(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個有する化合物であり、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)に配合することにより、得られる硬化性組成物に対して、施工後、屋外に暴露されたとき、硬化後のゴム弾性物性を低引張応力〜中引張応力(高伸び率〜中伸び率)域に設計したときでも、3ヶ月以上、さらには6ヶ月以上、よりさらには1年以上の長期間にわたって、塵埃が硬化物表面に付着するのを防止してきれいな表面を保つ、優れた汚染防止性能(耐汚染性)を発揮する効果を付与するものである。この優れた汚染防止性能は、硬化性組成物が硬化する際、含まれる前記(B)成分が硬化物の表面に移行(ブリード)し、分子中の不飽和の(メタ)アクリロイル基が、太陽光の紫外線などに暴露されて反応硬化することにより極めて薄い膜を形成し表面の粘着を抑えること、及び炭素数10以上の脂肪族炭化水素基が表面に配向し表面の粘着を抑えることの二つの効果が相まって塵埃の付着を防止することにより発揮されるもの、さらに硬化物表面に少し塵埃が付着しても、(B)成分の炭素数10以上の脂肪族炭化水素基からなる親油性の基およびエステル基からなる親水性の基による洗浄効果により、雨水や流水がかかったとき塵埃が洗い流されやすくなり、再び硬化物表面がきれいな状態に戻る効果により発揮されるものと推察される。
【0040】
前記(メタ)アクリレート化合物(B)は、硬化性組成物に対する耐汚染性付与の効果が高い点で、分子内に炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を1個有し、不飽和アクリロイル基を2〜5個有する化合物が好ましい。
【0041】
前記(メタ)アクリレート化合物(B)成分は、下記一般式(1)に表される化合物が好ましいものとして挙げられる。
【化2】

[式(1)において、Rは炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは結合(基)を表し、Yは多価(m+n価)の脂肪族炭化水素系基を表す。m、nはそれぞれ独立に1以上の整数である。Rが複数のときはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、nが2以上のときはRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。]
【0042】
前記炭素数10以上の脂肪族炭化水素基としては、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、n−ベヘニル基等の1価の脂肪族炭化水素基、あるいはこれらの異性体やこれらの基にメチル基やエチル基などの置換基を有している基などが挙げられる。これらのうちさらに汚染防止効果が高い点で、炭素数14以上、よりさらに炭素数16以上の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに言えば、炭素数10以上、さらに炭素数14以上、よりさらに炭素数16以上の1価の直鎖脂肪族炭化水素基が好ましく、特にn−オクタデシル基が好ましい。
【0043】
なお、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基は、汚染防止付与効果が高い点で、分子内に1個存在するのが好ましい。すなわち、前記一般式(1)において、mは1が好ましい。また、前記Rが水素原子であるアクリロイル基が好ましく、そしてnは2〜5、特に2〜4であることが、アクリロイル基の数が複数となり造膜性が良好で汚染防止付与効果が高い点で好ましい。したがって、(メタ)アクリレート化合物(B)成分としては、分子内に1個の炭素数10以上の1価の脂肪族炭化水素基を有し、2〜4個の不飽和アクリロイル基を有する化合物が特に好ましい。
前記結合(基)Xとしては、ウレタン結合、エステル結合、アミド結合などが挙げられ、後述するようにウレタン結合が好ましい。
前記Yは、多価(m+n価)の脂肪族炭化水素系基である。なお、本発明において「脂肪族炭化水素系基」とは、脂肪族炭化水素骨格中にエーテル結合などの酸素原子を有していても良いことを意味する。
【0044】
多価の脂肪族炭化水素系基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、ネオペンチレン基等の2価の脂肪族炭化水素基;グリセリンから水酸基を除いた残基、トリメチロールプロパンから水酸基を除いた残基等の3価の脂肪族炭化水素基;ペンタエリスリトールから水酸基を除いた残基等の4価の脂肪族炭化水素基;ジグリセリンから水酸基を除いた残基;ジトリメチロールプロパンから水酸基を除いた残基等の4価のエーテル結合含有脂肪族炭化水素基;ジペンタエリスリトールから水酸基を除いた残基等の6価のエーテル結合含有脂肪族炭化水素基などが挙げられる。これらのうち汚染防止性能が高い点で、3価以上、さらに3〜6価、よりさらに3〜5価の脂肪族炭化水素系基が好ましく、特にペンタエリスリトールから水酸基を除いた残基が好ましい。
【0045】
前記炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物(B)を合成する方法としては、
(イ)イソシアネート基を有する炭素数10以上の1価の脂肪族炭化水素化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化反応する方法
(ロ)水酸基を有する炭素数10以上の脂肪族炭化水素化合物と、カルボキシル基を有する不飽和(メタ)アクリル化合物、あるいはカルボキシル基を有する炭素数10以上の脂肪族炭化水素化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をエステル化反応する方法
(ハ)アミノ基を有する炭素数10以上の脂肪族炭化水素化合物と、カルボキシル基を有する不飽和(メタ)アクリル化合物をアミド化反応する方法
などが挙げられるが、合成がし易い点で(イ)のウレタン化反応して、ウレタン結合により両者を結合する方法が好ましい。この方法を具体的に示すと、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の合成において使用するのと同様の反応容器に、イソシアネート基を有する炭素数10以上の脂肪族炭化水素化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物を仕込み、前述と同様の公知のウレタン化反応触媒や有機溶剤の存在下、あるいは不存在下に、50から120℃で攪拌しながら反応させる方法が挙げられる。この際、不飽和アクリロイル基が熱でラジカル反応するのを防止するため、公知の重合禁止剤の添加やエアバブリングするなどして反応を行うことが好ましい。
【0046】
前記反応で使用するイソシアネート基を有する炭素数10以上の脂肪族炭化水素化合物は、前記で挙げた炭素数10以上の脂肪族炭化水素基に少なくとも1個のイソシアネート基が結合した化合物であり、具体的には、n−デシルモノイソシアネート、n−ドデシルモノイソシアネート、n−テトラデシルモノイソシアネート、n−ペンタデシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、n−ヘプタデシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネート、n−エイコシルモノイソシアネート、n−ベヘニルモノイソシアネート等のモノイソシアネート化合物が挙げられ、またポリイソシアネート類も使用できる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうち得られる(メタ)アクリレート化合物(B)の耐汚染性付与効果が高い点で、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有モノイソシアネート化合物が好ましく、特にn−オクタデシルモノイソシアネートが好ましい。
【0047】
前記反応で使用する水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(B)としては、有機イソシアネートのイソシアネート基との反応性の良さから、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリレート化合物が好ましく、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシネオペンチル(メタ)アクリレート等の1個の水酸基と1個の不飽和(メタ)アクリロイル基を有する化合物;グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の1個の水酸基と2〜5個の不飽和(メタ)アクリロイル基を有する化合物;グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の2個の水酸基と1〜4個の不飽和(メタ)アクリロイル基を有する化合物などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうち得られる(メタ)アクリレート化合物(B)の耐汚染性付与効果が高い点で、1個の水酸基と2〜5個の不飽和(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、さらにグリセリンジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートが好ましく、特にペンタエリスリトールトリアクリレートが好ましい。
【0048】
前記(メタ)アクリレート化合物(B)は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.01〜30質量部、さらに0.1〜10質量部配合するのが好ましい。0.01質量部未満では耐汚染性付与効果が小さく、30質量部を超えるとコストが増大し、ゴム弾性物性も低下するため好ましくない。なお、本発明の硬化性組成物は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、炭素数10以上の1価の脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物(B)とからなるものが好ましい。
【0049】
次に、本発明において前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物(B)に加えて、さらに配合することが好ましい水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)について説明する。硬化性組成物が前記(A)成分と(B)成分とからなる場合は、この硬化性組成物が湿気等の水分と接触したとき、(A)成分のイソシアネート基が水分と反応し、尿素結合を形成して硬化するが、この際炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる発泡が生じ、外観の悪化や接着性の低下などの不具合を生じることがあり、これは(A)成分のイソシアネート基含有量が大きかったり、硬化促進触媒を使用して硬化速度を高めたりした場合顕著に現れる。これに対し、(A)成分と(B)成分に加え、さらに前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)成分を配合すると、(A)成分のイソシアネート基が水分と反応して炭酸ガスを発生する前に、この(C)成分が水分と反応して加水分解することにより、アルコール性水酸基、1級アミノ基あるいは2級アミノ基などの活性水素含有官能基を生成(再生)し、この活性水素が(A)成分のイソシアネート基と反応し架橋硬化するため、硬化性組成物は炭酸ガスにより発泡を生じることなく硬化し、外観や接着性の良好な硬化物となるものである。したがって(C)成分は潜在硬化剤として機能するものである。
【0050】
さらに前記(C)成分は、この潜在硬化剤としての機能に加え、前記(B)成分の汚染防止付与効果をさらに長期にわたり延長させる効果をも有する。これは、加水分解により再生した活性水素含有官能基が、前記(B)成分が硬化物の表面にブリードして被膜を形成するのを助けるため、と推察される。
【0051】
前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)中のイソシアネート基1.0モルに対して、前記(C)成分が加水分解して再生する活性水素が0.2モル以上、さらに0.2〜2.0モル、特に0.4〜1.6モルとなるように使用するのが好ましい。0.2モル未満では発泡防止が不十分となり好ましくない。
【0052】
前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)としては、具体的にはポリオールのケイ酸エステル、第1級及び/又は第2級アミノ基を有する化合物のケチミン化合物、アルジミン化合物、オキサゾリジン化合物、またはこれらの任意の混合物を挙げることができる。これらのうち、得られる硬化性組成物の貯蔵安定性と発泡防止性に優れている点で、ポリオールのケイ酸エステル、オキサゾリジン化合物が好ましく、特にオキサゾリジン化合物が好ましい。
【0053】
ポリオールのケイ酸エステルは1価アルコールのアルコキシシラン化合物とのアルコール交換反応により、ケチミン化合物は1級アミノ基を有する化合物とケトン類との脱水反応により、アルジミン化合物は1級アミノ基を有する化合物とアルデヒド類との脱水反応により、オキサゾリジン化合物はジエタノールアミンなどのアミノアルコールとアルデヒド類やケトン類との脱水反応により、それぞれ合成することができる。
【0054】
前記ポリオールのケイ酸エステルとしては、具体的に、1価アルコールのケイ酸エステル(アルコキシシリル化合物)をポリオールでアルコール置換し、副生する1価アルコールを溜去する方法か、あるいは、テトラクロロシラン、アルキルトリクロロシラン等のケイ酸のハロゲン化合物とポリオールとを脱ハロゲン化水素する方法により得ることができるが、前者の反応方法のほうが製造が容易なため好ましい。
【0055】
前記ポリオールのケイ酸エステルに使用するポリオールとしては、分子内にアルコール性水酸基を2個以上含有する化合物であればよく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等の1級水酸基のみからなるポリオール;プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、グリセリン、ポリオキシプロピレングリコール等の1級と2級のアルコール性水酸基からなるポリオールなどが挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうち、得られる(C)成分の発泡防止効果が良好な点で、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールが好ましい。
【0056】
1価アルコールのケイ酸エステルとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のモノアルキルトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;トリメチルモノメトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン等のトリアルキルモノアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシランカップリング剤などを挙げることができる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができが、これらのうち、得られる(C)成分の発泡防止性能が良好な点で、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0057】
オキサゾリジン化合物は、酸素原子と窒素原子を含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上、好ましくは2〜6個有する化合物であり、大気中の水分(湿気)と反応し加水分解を受け、オキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基を生成(再生)することにより、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の潜在性硬化剤として機能するものである。 また、前述したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の有機イソシアネート原料として好ましいものとして挙げた脂肪族系有機ポリイソシアネートを用いた場合、水分だけの反応だと硬化速度が極端に遅延してしまうが、オキサゾリジン化合物を用いることにより、これと水分との反応により再生する2級アミノ基と脂肪族系有機ポリイソシアネート由来のイソシアネート基との反応は、水分との反応より反応速度が大きなため硬化速度を速められる効果も有する。
【0058】
オキサゾリジン化合物としては、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させて得られる、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物やエステル基含有オキサゾリジン化合物あるいはまた、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネート基含有オキサゾリジンなどが挙げられ、製造し易く粘度の低い点でウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
【0059】
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、例えば、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.9〜1.2/1.0の範囲、好ましくは0.95〜1.05/1.0の範囲となるように使用し、有機溶剤の存在下または不存在下に50〜100℃の温度で反応して得られるものが挙げられる。
【0060】
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成に用いられる有機イソシアネート化合物は、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の合成に用いられるのと同様のものが挙げられ、このうちウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の結晶化度を低下させ、得られる硬化性組成物の作業性を良好にできる点で、脂肪族系有機ポリイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
【0061】
前記水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。
【0062】
この水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の合成方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1.0モルに対し、アルデヒドまたはケトンのカルボニル基が1.0モル以上、好ましくは1.0〜1.5倍モル、更に好ましくは1.0〜1.2倍モル使用し、トルエン、キシレン等の溶媒中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水縮合反応を行う方法が挙げられる。
【0063】
アルカノールアミンとしてはジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、イソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−へキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルへキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒ、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物などが挙げられる。
【0064】
これらのうち、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造の容易さと、得られる硬化性組成物が硬化するときの発泡防止性に優れている点で、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、さらにイソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。これらの具体的な例として、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンなどが挙げられる。
【0065】
オキサゾリジンシリルエーテルは、前述した水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物と、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランとの脱アルコール反応により得られる。
【0066】
エステルオキサゾリジンは、前述した水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物とジカルボン酸もしくはポリカルボン酸の低級アルキルエステルとの反応によって得ることができる。
【0067】
なお、オキサゾリジン化合物は、分子内に、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と5〜35℃の常温で反応する官能基を実質的に有していない。この実質的に有していないとは、前述のウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成においてモル比の選択により少量の活性水素が分子内に残存する場合があるが、本発明の目的を達成する上で、有していないとしても差し支えないことを意味する。
【0068】
次に、本発明の硬化性組成物において、さらに配合することが好ましい添加剤(D)について説明する。
添加剤(D)としては、硬化促進剤、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)、着色剤などが挙げられる。
【0069】
硬化促進剤は、前記のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と水との反応を促進し、硬化性組成物の硬化を促進させるため、そして前記水分と反応して活性水素含有基を生成する化合物(C)をさらに使用した場合は、前記(C)成分が水分と反応して加水分解をして活性水素を再生するのを促進させ、または、再生した活性水素と、前記のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基との反応を促進させて、本発明の硬化性組成物の硬化速度を向上させるために添加するものである。硬化促進剤としては、前記(C)成分を使用しない場合は、金属系触媒、アミン系触媒などが挙げられ、さらに前記(C)成分を使用した場合は、金属系触媒に加え、有機カルボン酸系化合物、燐酸エステル系化合物、p−トルエンスルホニルイソシアネート、p−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応物などが挙げられる。
【0070】
金属系触媒としては、テトラ−n−ブチルチタネート等の金属アルコキシド;オクチル酸第一錫、オクテン酸錫等の、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクチル酸、オクテン酸等の後記の有機カルボン酸系化合物と同様の有機カルボン酸系化合物との塩;ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)等の金属キレート化合物;ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と後記の有機カルボン酸系化合物と同様の有機カルボン酸系化合物との塩などが挙げられる。
【0071】
アミン系触媒としては、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の第3級アミン類;これらアミン類と有機カルボン酸との塩類などが挙げられる。
【0072】
有機カルボン酸系化合物としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、オクテン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸;マレイン酸等のα、β−不飽和カルボン酸;フタル酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;これらの酸無水物などが挙げられる。
【0073】
燐酸エステル系化合物としては、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート等の酸性燐酸エステル化合物;亜燐酸エステル化合物としては、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト等の亜燐酸トリエステル化合物;ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等の亜燐酸ジエステル化合物などが挙げられる。
【0074】
p−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応物は、硬化性組成物に配合する前に、p−トルエンスルホニルイソシアネートと水分とを予め反応して得られたものであっても良いし、p−トルエンスルホニルイソシアネートを硬化性組成物に配合している間に水分を添加して反応させたもの、あるいは硬化性組成物中に存在する水分と反応したものであっても良いし、あるいはまた、硬化性組成物に配合した後、貯蔵中に、後述する添加剤中などに含まれる水分と反応して生成したものであってもよい。
【0075】
これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、これらのうち硬化促進効果が優れている点で、前記(C)成分を使用しない場合は、金属系触媒が好ましく、前記(C)成分を使用した場合は、リン酸エステル系化合物、p−トルエンスルホニルイソシアネートおよびp−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応物などからなる群から選択される1種または2種以上が好ましい。
【0076】
前記硬化促進剤の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、さらに0.1〜5質量部が好ましい。0.001質量部未満だと硬化促進の効果が少なく、10質量部を超えると硬化性組成物の貯蔵安定性や硬化物の耐水性、耐熱性を悪化させるため好ましくない。
【0077】
可塑剤は、得られる硬化性組成物の粘度を下げて作業性を向上させるとともに、硬化後の引張応力、伸び等のゴム弾性物性を調節するために使用するものである。
【0078】
可塑剤としては、分子量が1,000未満の低分子量の可塑剤、数平均分子量が1,000以上の高分子量の可塑剤などが挙げられ、低分子量の可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類;塩素化パラフィンなどが挙げられ、高分子量の可塑剤としては、ジカルボン酸類とグルコール類とからのポリエステル系樹脂;ポリオキシエチレングリコールやポリオキシプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールのアルキルエーテル化誘導体やアルキルエステル化誘導体;前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の合成において挙げたのと同様のポリオキシアルキレンポリオールまたはポリオキシアルキレンモノオールと、有機モノイソシアネートまたは有機ポリイソシアネートとを反応して得られる、分子内にイソシアネート基と活性水素基を有しない液状高分子ウレタン系可塑剤;低粘度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系(共)重合体樹脂;ポリブタジエンやポリイソプレン等のポリオレフィン樹脂、水添ポリブタジエンや水添ポリイソプレン等のポリアルキレン樹脂などが挙げられる。
【0079】
これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、粘度が低く、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と相溶性が良好で、得られる硬化性組成物の作業性が良好な点および硬化後表面に移行が少なく硬化物表面の汚染性が少ない点で、フタル酸エステル類が好ましく、さらにフタル酸ジイソノニルが好ましい。
【0080】
前記耐候性安定剤は、硬化物の酸化や光劣化、熱劣化などを防止して、耐候性だけではなく耐熱性をさらに向上させるために使用するものであり、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられ、ヒンダードアミン系光安定剤単独か、ヒンダードフェノール系酸化防止剤単独か、あるいはヒンダードアミン系光安定剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤の組み合わせ、すなわちヒンダードアミン系光安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤が、耐候性を向上させる効果が高い点で好ましい。
【0081】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカンニ酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子量1000未満の低分子量の光安定剤;コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3、5−トリアジン縮合物の他、ADEKA社製品、商品名アデカフタブLA−63P、LA−68LD等の分子量1000以上の高分子量の光安定剤が挙げられる。
【0082】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
【0083】
紫外線吸収剤としては、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどのトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾンなどのべンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−t e r t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0084】
これらは単独あるいは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0085】
耐候安定剤は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.01〜30質量部、特に0.1〜10質量部配合するのが好ましい。
【0086】
充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤は、それぞれ物性補強や増量、タレ(スランプ)の防止、接着性の向上、貯蔵安定性の向上、着色などのために、本願発明の硬化性組成物に配合して使用することができる。
【0087】
充填剤としては、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、スレート粉、無水ケイ酸、石英微粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、沈降性シリカなどの合成シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの無機粉末状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状充填剤;ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーンなどの無機系バルーン状充填剤などの無機系充填剤;あるいはこれらの表面を脂肪酸などの有機物で処理した充填剤;木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、木綿チップ、ゴム粉末、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の微粉末、ポリエチレン粉末等の有機系粉末状充填剤;ポリエチレン中空体、サランマイクロバルーンなどの有機系バルーン状充填剤などの有機系充填剤などの他、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの難燃性付与充填剤なども挙げられ、粒径0.01〜1,000μmのものが好ましい。
【0088】
揺変性付与剤としては、コロイダルシリカ、脂肪酸処理炭酸カルシウムなどの無機揺変性付与剤、有機ベントナイト、脂肪酸アマイドなどの有機揺変性付与剤が挙げられる。
【0089】
接着性向上剤としては、カップリング剤が挙げられ、カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などの各種カップリング剤またはその部分加水分解縮合物を挙げることができ、このうちシラン系カップリング剤またはその部分加水分解縮合物が接着性に優れているため好ましい。
【0090】
このシラン系カップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのアルコキシシリル基を含有する分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合物またはこれらシラン系カップリング剤の1種または2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200〜3,000の化合物を挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上を組合せて使用できる。
【0091】
貯蔵安定性改良剤としては、組成物中に存在する水分と反応するビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウム、p−トルエンスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
【0092】
なお、p−トルエンスルホニルイソシアネートは、前述したように、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)成分を使用したときの硬化促進剤としての働きもするため特に好ましい。
【0093】
着色剤としては、酸化チタンや酸化鉄などの無機系顔料、銅フタロシアニンなどの有機系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
これらは単独あるいは2種以上を混合して使用できる。
【0094】
充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性改良剤、および着色剤の合計の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して0〜500質量部、特に5〜300質量部であることが好ましい。
【0095】
本願発明の硬化性組成物において、前記各添加剤(D)成分はそれぞれ1種類または2種以上を組み合せて使用することができる。
【0096】
また、本発明の硬化性組成物は、耐汚染性に優れ、硬化後のゴム弾性物性を低硬度で高伸びから高硬度で低伸びのものまで広範囲に調節することができ、かつ接着性、耐水性や耐候性等の耐久性などにも優れているため、さらに前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)成分を使用した場合は、夏場における高温、多湿の厳しい条件下でも硬化物に発泡が生じないため、建築用、土木用の塗料、塗膜防水剤、接着剤、シーリング材などの各種の用途に使用できるが、特に建築用あるいは土木用のシーリング材として好適に用いられる。
【0097】
また、本発明の硬化性組成物が施工の対象とする材料としては、モルタルやコンクリ−ト等のセメント系材料、大理石等の天然石材料、サイディングやタイル等の窯業系材料、ポリプロピレンや塩化ビニル等の各種合成樹脂製のシート状や板状の材料、木材や合板等の木質系材料などが、接着性などが良好なため好適に挙げられる。
【0098】
また、本発明の硬化性組成物の製造方法としては特に限定されないが、例えば、ステンレス製や鉄製の反応装置を用いて、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)成分と、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物(B)と、さらに水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)成分を使用する場合はこの(C)成分を別々に反応合成しておく。これらの反応は、添加剤(D)成分の存在下において行ってもよいし、不存在下において行ってもよい。次いで攪拌、混合装置に(A)成分と(B)成分を、さらに(C)成分を使用する場合は(C)成分を仕込み、さらに添加剤(D)成分を加え混練り後、減圧脱泡して製造する方法が挙げられる。(A)成分や(C)成分は湿気に触れると反応して、増粘や加水分解を起こすため、反応合成や攪拌、混合は、湿気に触れないように密封状態、窒素ガス雰囲気下などの湿気を遮断した状態において行うのが好ましい。攪拌、混合装置としては、ステンレス製や鉄製のプラネタリーミキサー、ニーダー、アジター、ナウタミキサー、ラインミキサーなど各種挙げられる。製造した硬化性組成物もまた湿気に触れると反応して、増粘、硬化するものであるため、貯蔵に際しては、湿気を遮断できる容器に詰め、密封して貯蔵するのが好ましい。前記容器としては、ステンレス製、鉄製等の金属製ドラム缶、金属製や合成樹脂製のペール缶や袋状容器、ラミネート処理した紙製や合成樹脂製のカートリッジ状容器など各種挙げられる。
【実施例】
【0099】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0100】
[合成例1]イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーU−1の合成
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子社製、商品名:エクセノール3021、数平均分子量3,200)を458gと、ポリオキシプロピレントリオール(三井化学ポリウレタン社製、商品名:Triol−MN−4,000、数平均分子量4,000)を292gと、トルエン45gを仕込み、攪拌しながら4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名:ミリオネートMT、分子量250)を196gと、反応触媒としてジブチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−100)を0.1g加えた後、加温して70〜80℃で反応し、イソシアネート基含有量が理論値(4.51質量%)以下となった時点で反応を終了し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーU−1を合成した。このときの反応時間は2時間、滴定による実測イソシアネート基含有量は4.38質量%であった。
得られたウレタンプレポリマーU−1は、25℃における粘度8,500mPa・sの常温で透明な粘稠液体であった。
【0101】
[合成例2]イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーU−2の合成
合成例1と同様の反応容器を用い、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子社製、商品名:エクセノール3021、数平均分子量3,200)を703gと、ポリオキシプロピレントリオール(三井化学ポリウレタン社製、商品名:Triol−MN−4,000、数平均分子量4,000)を162g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(デグサジャパン社製、商品名:VESTANAT IPDI、分子量222.3)を135gと、反応触媒としてジブチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−100)を0.5g加えた後、加温して70〜80℃で反応し、イソシアネート基含有量が理論値(2.75質量%)以下となった時点で反応を終了し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーU−2を合成した。このときの反応時間は4時間、滴定による実測イソシアネート基含有量は2.66質量%であった。
得られたウレタンプレポリマーU−2は、25℃における粘度8,000mPa・sの常温で透明な粘稠液体であった。
【0102】
[合成例3]オクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1の合成
攪拌機、温度計、空気注入管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製、商品名:SR−444、分子量298)を298gと、トルエン149gを仕込み、エアバブリングおよび攪拌しながらオクタデシルモノイソシアネート(保土ヶ谷化学工業社製、商品名:ミリオネートO、分子量295)を295gと、反応触媒としてオクチル酸錫(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−28)を0.06g加えた後、加温して70〜80℃で反応し、滴定による実測イソシアネート基含有量が0.3質量%以下となった時点で反応を終了し、オクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を合成した。このときの反応時間は2時間であった。
得られたウレタン結合を有するオクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を常温に冷却したところ固化した。
【0103】
[合成例4]ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1の合成
攪拌機、温度計、エステル管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、ジエタノールアミン(分子量105)を435gとトルエンを183g仕込み、攪拌しながらイソブチルアルデヒド(分子量72.1)を328g加えた後、加熱し110〜150℃で3時間還流脱水反応を続け、副生する水(74.5g)を系外に除いた。反応終了後、更に減圧下(50〜70hPa)で加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応生成物であるN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジンを得た。
次いで、エステル管を窒素導入管に換え、窒素ガスを流しながら、得られたN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジン659gに、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製。商品名:HDI、分子量168)を341g加え、70〜80℃で反応し、滴定による実測イソシアネート基含有量が0.0質量%となった時点で反応を終了し、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を合成した。このときの反応時間は8時間であった。
得られたウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1は、室温で透明の液体であった。
【0104】
実施例1
攪拌機、加熱・冷却装置および窒素導入管付混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーU−1を100g仕込み、攪拌しながら、合成例3で得たオクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を0.5gと、予めそれぞれ100〜110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした酸化チタン10gと、重質炭酸カルシウム20gと、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名:カルファイン200M)100gと、フタル酸ジイソノニル40gを順次仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで下記のヒンダードフェノール系酸化防止剤0.2gと、ヒンダードアミン系光安定剤0.5gを加え、内容物が均一になるまでさらに混合した。次いで、20〜70hPaで減圧脱泡し、ペーパーカートリッジ容器に充填、密封して、1液湿気硬化型シーリング材S−1を調製した。
得られた1液湿気硬化型シーリング材S−1は、室温で白色のペースト状液体であった。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤: チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:IRGANOX 1010、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
ヒンダードアミン系光安定剤: チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:TINUVIN 765、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートおよびメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート(混合物」)
【0105】
実施例2〜4
実施例1において、オクタデシル基トリアクリレート化合物A−1とヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤のそれぞれの使用量を、実施例2については2gと1gと1gに、実施例3については4gと1gと1gに、実施例4については6gと1gと2gにした以外は同様にして、室温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材S−2、S−3およびS−4をそれぞれ調製した。
【0106】
実施例5および6
実施例1において、実施例5については、オクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を8gとヒンダードアミン系光安定剤を3g使用し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を使用しない以外は同様にして、実施例6については、オクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を10gとヒンダードフェノール系酸化防止剤を3g使用し、ヒンダードアミン系光安定剤を使用しない以外は同様にして、室温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材S−5およびS−6をそれぞれ調製した。
【0107】
比較例1および2
実施例1において、比較例1および2ともオクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を使用しないで、そしてヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤のそれぞれの使用量を、比較例1については1gと1gに、比較例2については1gと2gにした以外は同様にして、室温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材比較S−1および比較S−2をそれぞれ調製した。
【0108】
実施例7
攪拌機、加熱・冷却装置および窒素導入管付混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例2で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーU−2を100g仕込み、攪拌しながら、合成例3で得たオクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を0.5gと、予めそれぞれ100〜110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした酸化チタン10gと、重質炭酸カルシウム20gと、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名:カルファイン200M)100gと、フタル酸ジイソノニル40gを順次仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで実施例1で使用したのと同様のヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.5gと、ヒンダードアミン系光安定剤を0.5g加え、さらにp−トルエンスルホニルモノイソシアネート0.3gと、合成例4で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を13g仕込み、内容物が均一になるまでさらに混合した。次いで、20〜70hPaで減圧脱泡し、ペーパーカートリッジ容器に充填、密封して、室温で白色のペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材S−7を調製した。
【0109】
実施例8〜10
実施例7において、オクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1とヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤のそれぞれの使用量を、実施例8については2gと1gと1gに、実施例9については4gと1gと1gに、実施例10については6gと1gと2gにした以外は同様にして、室温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材S−8、S−9およびS−10をそれぞれ調製した。
【0110】
実施例11および12
実施例7において、実施例11については、オクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を8gとヒンダードアミン系光安定剤を2g使用し、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を使用しない以外は同様にして、実施例12については、オクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を10gとヒンダードフェノール系酸化防止剤を2g使用し、ヒンダードアミン系光安定剤を使用しない以外は同様にして、室温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材S−11およびS−12をそれぞれ調製した。
【0111】
比較例3および4
実施例7において、比較例3および4ともオクタデシル基含有トリアクリレート化合物A−1を使用しないで、そしてヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤のそれぞれの使用量を、比較例3については1gと1gに、比較例4については1gと2gにした以外は同様にして、室温で白色ペースト状液体の1液湿気硬化型シーリング材比較S−3および比較S−4をそれぞれ調製した。
【0112】
実施例1〜12で得た1液湿気硬化型シーリング材S−1〜S−12および比較例1〜4で得た1液湿気硬化型シーリング材比較S−1〜比較S−4を用いて下記の試験を行った結果を、配合組成とともに、実施例1〜6ならびに比較例1および2については表1に、実施例7〜12ならびに比較例3および4については表2に示す。
【0113】
[試験方法]
(1)スランプ
JIS A 1439(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」の「4.1 スランプ試験」により、23℃におけるスランプ(縦)を測定した。
【0114】
(2)表面汚染性
厚さ5mmのスレート板の表面に、厚さ5mm×幅20mmの短冊状に切り出したスレート板を四角枠状に配置し接着剤を用いて接着し、深さ5mm×幅20mm×長さ150mmの目地を作製し、この目地に1液湿気硬化型シーリング材を充填し、余分のシーリング材をヘラでかきとり表面を平らにしたものを試験体とした。
試験体を直ちに23℃、50%相対湿度の室内に移し一日置いた後、屋外の交通量の多い交差点近くに、目地の表面が道路に面する向きに、その長さ方向を垂直にして設置し暴露した。3ヵ月経過後、6ヵ月経過後、12ヵ月経過後および24ヵ月経過後、試験体表面の塵埃付着による汚染の状態を目視により観察し、シーリング材表面の汚染性を下記の判定基準により評価した。
判定基準:
○:表面に、塵埃の付着がほとんど認められずきれいな状態。
△:表面に、塵埃が少し付着し、汚れが少し認められる状態。
×:表面に、塵埃が付着し黒く汚れた状態。
【0115】
(3)引張接着性
JIS A 1439(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」の「4.21 引張接着性試験」により、養生後の試験体について引張試験をし、50%引張応力M50(N/cm)、最大引張応力Tmax(N/cm)、最大荷重時の伸びEmax(%)を求めた。
なお、試験体は、モルタルを被着体とし、プライマー(オート化学工業社製、OP−2531)で処理し、シーリング材を打設、養生して作製した。
【0116】
【表1】

【0117】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレート化合物(B)とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリレート化合物(B)が、炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を1個および不飽和アクリロイル基を2〜5個有する化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリレート化合物(B)が、下記一般式(1)に表す化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【化1】

[式(1)において、Rは炭素数10以上の脂肪族炭化水素基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは結合(基)を表し、Yは多価(m+n価)の脂肪族炭化水素系基を表す。m、nはそれぞれ独立に1以上の整数である。Rが複数のときはそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、nが2以上のときはRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。]
【請求項4】
前記(メタ)アクリレート化合物(B)が、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物と炭素数10以上の脂肪族炭化水素基含有モノイソシアネート化合物との反応生成物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
さらに、水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)を配合することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記水分と反応して活性水素含有官能基を生成する化合物(C)が、オキサゾリジン化合物である、請求項5に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
さらに、添加剤(D)を配合することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記添加剤(D)が、ヒンダードアミン系光安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤である、請求項7に記載の硬化性組成物。

【公開番号】特開2009−179777(P2009−179777A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22536(P2008−22536)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000103541)オート化学工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】