説明

硬貨処理装置

【課題】 外光の影響により硬貨の検知精度が劣化した状態で硬貨処理装置が使用されないようにすること。
【解決手段】 一実施形態における硬貨処理装置は、貯留部と、発光部と、受光部と、硬貨検出手段と、制御手段と、を備えている。上記貯留部は、硬貨を貯留する。上記発光部は、上記貯留部内に向けて光を発する。上記受光部は、上記発光部に対向配置され、受光した光の強度に応じた受光信号を出力する。上記硬貨検出手段は、上記受光部からの出力の変化に基づいて上記貯留部に貯留された硬貨を検出する。上記制御手段は、上記発光部が消灯した状態で上記受光部から出力される受光信号で示される強度が予め定められた閾値を超える場合、所定の異常処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、所定位置に存在する硬貨を光学的に検出する硬貨処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投入口に投入された硬貨を取り込んで収納部に収納する機能や、指示された枚数または額の硬貨を自動的に払い出す機能等を備えた硬貨処理装置が普及している。
例えば各種販売店においては、POS(Point Of Sales)端末やECR(Electric Cash Register)等の商品販売処理装置に接続され、投入口に投入された硬貨を計数して商品販売処理装置に通知するとともに、商品販売処理装置から所定額の出金が指示されたことに応じて当該額の硬貨を受皿に払い出す自動釣銭機が使用されている。
【0003】
従来の硬貨処理装置には、払い出された硬貨の取り忘れを防止すべく、受皿に払い出された硬貨を検知するセンサを設け、このセンサが硬貨を検知している間は警告を行ったり次の動作への移行を禁止したりするものも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3−48675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記受皿に払い出された硬貨を検知するセンサとしては、例えば透過型のフォトセンサが用いられる。透過型のフォトセンサは、光を発する発光素子と、受光した光の強度に応じた信号を出力する受光素子とを有し、これら発光素子および受光素子によって光路を形成し、この光路が遮られたことを以って対象物を検知するセンサである。
【0006】
このようなフォトセンサを用いる場合、建物内の照明や日光等の外光の影響により硬貨の検知精度が劣化する虞がある。硬貨の検知精度が劣化すると、受皿に硬貨が在るにも関わらずその硬貨が検知されないなど、各種の不具合が生じる。同様の問題は、受皿以外の場所、例えば上記投入口に投入された硬貨を検知するフォトセンサにおいても生じ得る。
【0007】
このような事情から、外光の影響により硬貨の検知精度が劣化した状態で硬貨処理装置が使用されないように、何らかの手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、一実施形態における硬貨処理装置は、貯留部と、発光部と、受光部と、硬貨検出手段と、制御手段と、を備えている。
上記貯留部は、硬貨を貯留する。上記発光部は、上記貯留部内に向けて光を発する。上記受光部は、上記発光部に対向配置され、受光した光の強度に応じた受光信号を出力する。上記硬貨検出手段は、上記受光部からの出力の変化に基づいて上記貯留部に貯留された硬貨を検出する。上記制御手段は、上記発光部が消灯した状態で上記受光部から出力される受光信号で示される強度が予め定められた閾値を超える場合、所定の異常処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態における硬貨入出金装置の外観斜視図。
【図2】同実施形態における本体ユニットの一部を示す正面図。
【図3】同実施形態における硬貨入出金装置の制御回路を示すブロック図。
【図4】同実施形態において制御部が実行する処理のフローチャート。
【図5】第2の実施形態において制御部が実行する処理のフローチャート。
【図6】第3の実施形態において制御部が実行する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、第1,第2,第3の実施形態および変形例について説明する。
なお、第1〜第3の実施形態においては、硬貨処理装置の一例として、POS端末、ECR、あるいは顧客自身が操作して会計処理を進行するセルフチェックアウト端末等の商品販売処理装置に接続され、硬貨を入金する機能と上記商品販売処理装置からの指令に応じた金額を出金する機能とを備えた硬貨入出金装置1を例示する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における硬貨入出金装置1の外観斜視図である。
硬貨入出金装置1は、本体ユニット2と、この本体ユニット2を正面に向けて引き出し可能に収納するハウジングケース3とを備えている。
【0012】
本体ユニット2の正面側には、硬貨投入口21、硬貨払出口22、硬貨受皿23、表示部25、操作部26、および電源スイッチ27等が設けられている。
【0013】
硬貨投入口21は、本体ユニット2の正面右側に設けられ、複数の硬貨を一括して投入可能な大きさに上方が本体ユニット2の外側に向かって開口している。硬貨投入口21の底面は、投入された硬貨を硬貨入出金装置1の内部へと搬送する入金ベルト30で構成される。この入金ベルト30による搬送方向の下流側には、分離ローラ31が硬貨1枚分よりも若干大きい間隔を設けて入金ベルト30に対向配置されている。複数枚の硬貨が重なったまま入金ベルト30により搬送されても、この分離ローラ31によりその重なりが解消される。
【0014】
硬貨払出口22および硬貨受皿23は、本体ユニット2の正面中央から左側にかけて設けられている。硬貨払出口22からは、本体ユニット2の内部から払い出される硬貨が排出される。硬貨受皿23は、硬貨払出口22の周囲を取り囲むように上方を本体ユニット2の外側に向けて開口して設けられており、硬貨払出口22から排出された硬貨を貯留する。
【0015】
硬貨受皿23の底面は、所定高さの段差を形成して下方に陥没した平面部23aと、この平面部23aの左右に設けられた曲面部23b,23cとで構成されている。曲面部23b,23cは、一端が上記段差の上端に接続され、他端が硬貨受皿23の内壁の上記一端よりも高い位置に接続されている。したがって、硬貨払出口22から排出された硬貨が曲面部23b,23cに落下すると、その硬貨が曲面部23b,23cの表面を滑落して平面部23aに導かれる。
【0016】
表示部25および操作部26は、硬貨払出口22の上方に設けられている。表示部25は、LCD(Liquid Crystal Display)やVFD(Vacuum Fluorescent Display)等のディスプレイであり、硬貨入出金装置1の各種状態表示に使用される。操作部26は、複数の操作キーにて構成され、ユーザの操作による各種指示の入力に使用される。
【0017】
電源スイッチ27は、その操作により硬貨入出金装置1への電源の投入をオン/オフするものである。
【0018】
ハウジングケース3は、内部に硬貨を1円、5円、10円、50円、100円、500円等の金種別に収納する収納部を内蔵している。入金ベルト30によって装置内部に取り込まれた硬貨は、本体ユニット2の内部に設けられた入金機構によって上記収納部の金種に対応した位置に収納される。また、上記収納部に収納された硬貨は、本体ユニット2の内部に設けられた払出機構によって硬貨払出口22から払い出される。
【0019】
上記入金機構は、例えば硬貨入出金装置1の内部に設けられた硬貨搬送路と、この搬送路上に硬貨を押し当てて搬送する搬送ベルトと、上記硬貨搬送路に設けられ、上記収納部の各硬貨の収納位置の上方においてその収納位置に対応する硬貨の幅寸法より若干大きく開口した選別穴で構成される。すなわち、上記搬送ベルトによって硬貨搬送路上を搬送される硬貨が対応する選別穴にて落下し、その硬貨の金種に応じた収納位置に収納される。
【0020】
また、上記払出機構は、例えば上記収納部に収納された硬貨を金種別に硬貨払出口22に向けて搬送する払出ベルトと、各金種の硬貨の搬送路上に設けられ、開放時に限って搬送される硬貨を通過させるシャッタとで構成される。すなわち、上記払出ベルトにて各金種の硬貨を搬送しつつ、上記シャッタにより各金種の搬送路を閉鎖あるいは開放することで所定額の硬貨が硬貨払出口22から排出される。
【0021】
図2は、本体ユニット2の一部を示す正面図である。
硬貨受皿23の内部には、硬貨受皿23内に向けて光を発する発光素子41と、この発光素子41に対向配置された受光素子42とを有する透過型センサが3組設けられている。各発光素子41は、例えば電圧が印加されたことに応じて発光する発光ダイオードであり、各受光素子42は、例えば受光した光の強度に応じたレベルの光電流(以下、受光信号と称す)を出力するフォトダイオードである。
【0022】
各発光素子41は曲面部23bと平面部23aとの間に形成された壁面の近傍に並設されており、各受光素子42は曲面部23cと平面部23aとの間に形成された壁面の近傍に並設されている。曲面部23b,23cと平面部23aとの間に形成される各壁面には、それぞれ3つのスリットが設けられている(不図示)。これら各スリットは、各組の発光素子41および受光素子42を結ぶライン上に設けられている。すなわち、平面部23a上には各組の透過型センサの光路が形成される。図2においては、この光路を各組の発光素子41および受光素子42を結ぶ破線にて示している。
【0023】
より具体的には、平面部23aの上面から上記各光路までの高さが硬貨入出金装置1で取り扱われる硬貨の最小幅を超えないように、各発光素子41および受光素子42の設置位置や上記各スリットを設ける位置が調整されている。
【0024】
次に、硬貨入出金装置1の制御回路について説明する。
図3は、硬貨入出金装置1の制御回路を示すブロック図である。
本体ユニット2は、制御部50を備えており、この制御部50に対して表示部25、操作部26、通信I/F(Interface)51、各発光素子41、各受光素子42、入金機構駆動部52、金種検知部53、および払出機構駆動部54等を接続して制御回路が構成されている。
【0025】
制御部50は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、およびRAM(Random Access Memory)503等で構成され、硬貨入出金装置1の各部を動作させるための各種処理を実行する。制御部50の処理の一部は、CPU501がROM502やRAM503に記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0026】
各発光素子41は例えばCPU501のDAポートに接続され、各受光素子42は例えばCPU501のADポートに接続されている。制御部50は、所定のタイミングで各発光素子41に電圧を印加し、各発光素子41を発光させる。また、制御部50は、各受光素子42から入力される受光信号(アナログ信号)のレベルに応じて8ビット(“0x00”〜“0xFF”)の階調値(デジタル信号)を生成する。このように生成される階調値は、各受光素子42が受光した光の強度を示すパラメータとなる。なお、階調値の生成には、CPU501が備えるAD変換機能を利用してもよいし、CPU501とは別体で設けられたAD変換器を利用してもよい。
【0027】
通信I/F51は、POS端末、ECR、あるいはセルフチェックアウト端末等の商品販売処理装置を有線または無線にて通信接続する。
入金機構駆動部52は、上記入金機構を駆動して硬貨投入口21に投入された硬貨を上記収納部に収納する。具体的には、入金機構駆動部52は、硬貨投入口21に投入された硬貨を検知する投入口センサや、入金ベルト30および上記入金機構の搬送ベルトを駆動するモータ等で構成される。
【0028】
金種検知部53は、上記収納部に収納される硬貨を金種別に検知し、検知結果を制御部50に通知する。具体的には、金種検知部53は、上記選別穴の各金種に対応する位置毎に設けられた複数のセンサ等で構成され、これらセンサにより上記収納部に落下する硬貨を金種別に検知する。制御部50は、金種検知部53から通知される検知結果に基づいて入金された硬貨の額を演算し、その演算結果を通信I/F51を介して商品販売処理装置に通知する。
【0029】
払出機構駆動部54は、上記払出機構を駆動して所定額の硬貨を硬貨払出口22から払い出す。具体的には、払出機構駆動部54は、上記払出機構が備える払出ベルトを駆動するモータやシャッタを駆動するソレノイド等で構成される。
【0030】
硬貨が硬貨払出口22から払い出された後、制御部50は、硬貨検出処理を実行する。この処理において、制御部50は、各発光素子41を発光させ、上記のように各受光素子42から出力される受光信号をAD変換して得られる各階調値を監視する。この監視を行う間、制御部50は、各階調値の少なくとも1つがROM502に予め記憶された閾値S1未満であるならば硬貨受皿23に硬貨が貯留されていると判定し、表示部25に警告メッセージを表示したり、硬貨の入金や出金に関する次の動作への移行を保留するなどのエラー処理を行う。その後、各階調値が全て上記閾値S1以上となったならば、制御部50は、硬貨受皿23の硬貨が取り除かれたと判定し、上記エラー処理を終了する。このようにエラー処理を終了した後、あるいは当初から各階調値が全て上記閾値S1以上となった場合、制御部50は、各発光素子41を消灯して次の動作を待機する状態に移行する。なお、上記閾値S1は、発光素子41からの光が受光素子42で受光されていると判断すべき場合と、そうでない場合とを隔てる閾値であり、その具体的な値は経験的、実験的、あるいは理論的に定めればよい。
【0031】
次に、各透過型センサへの外光の影響を検査する検査処理について説明する。
本実施形態における検査処理は、硬貨入出金装置1に電源が投入された直後に実施される。
【0032】
図4は、検査処理において制御部50が実行する処理のフローチャートである。
処理開始当初においては、各発光素子41は全て消灯している。この状態で制御部50は、先ず各受光素子42から出力される受光信号のレベルに応じた階調値を生成する(ステップS101)。
【0033】
次に、制御部50は、各発光素子41を発光させ(ステップS102)、この状態で各受光素子42から出力される受光信号のレベルに応じた階調値を生成する(ステップS103)。
【0034】
そして、制御部50は、ステップS101,S103にて生成した各階調値に基づき、各透過型センサの光路が正常に形成されているか否かを判定する(ステップS104)。このとき、制御部50は、ステップS101にて生成した各階調値が全て閾値S1未満であり、かつステップS103にて生成した各階調値が全て閾値S1以上であるならば各透過型センサの光路が正常に形成されていると判定し、そうでない場合には各透過型センサの光路が正常に形成されていないと判定する。
【0035】
このような判定においては、平面部23aに硬貨やその他の物が置かれ、少なくとも1つの透過型センサの光路が遮断されている場合や、各発光素子41あるいは各受光素子42の少なくとも1つが故障している場合等には、各透過型センサの光路が正常に形成されていないと判定されることになる。
【0036】
各透過型センサの光路が正常に形成されていると判定した場合(ステップS104のYes)、制御部50は、各発光素子41を消灯させ(ステップS105)、この状態で各受光素子42から出力される受光信号のレベルに応じた階調値を生成する(ステップS106)。なお、ここで生成される各階調値は、硬貨入出金装置1が設置された店舗内の照明や日光の影響を受けて変化する。
【0037】
ステップS106の後、制御部50は、生成した各階調値に基づき、外光の影響が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS107)。具体的には、制御部50は、ステップS106にて生成された各階調値とROM502に予め記憶された閾値S2とを比較し、各階調値が閾値S2未満である場合には外光の影響が許容範囲内であると判定し、各階調値が閾値S2以上である場合には外光の影響が許容範囲を超えていると判定する。この閾値S2は、各透過型センサが正常に硬貨を検出できないほど外光の影響を受けていると判断すべき場合と、そうでない場合とを隔てる閾値であり、その具体的な値は経験的、実験的、あるいは理論的に定めればよい。但し、閾値S2は、正常な硬貨検出を担保すべく、少なくとも閾値S1未満の値に設定される(S2<S1)。
【0038】
ステップS107において外光の影響が許容範囲内であると判定した場合(ステップS107のYes)、制御部50は、一連の検査処理を終了する。
【0039】
一方、ステップS107において外光の影響が許容範囲を超えると判定した場合(ステップS107のNo)、制御部50は、警告処理を行う(ステップS108)。この警告処理において、制御部50は、例えば表示部25にエラーメッセージを表示し、さらに通信I/F51を介して商品販売処理装置にエラーを通知する。この他にも、当該警告処理においてスピーカから警告音を発したり、エラーログを記録する等の処理を行うようにしてもよい。
【0040】
制御部50は、上記のような警告処理を実行している間、警告解除の指示を待つ(ステップS109のNo)。操作部26が操作されて警告解除が指示されたとき、あるいは商品販売処理装置から通信I/F51を介して警告解除の指示を受信したとき(ステップS109のYes)、制御部50は、警告処理を停止して一連の検査処理を終了する。
【0041】
また、ステップS104の処理において各透過型センサの光路が正常に形成されていないと判定した場合(ステップS104のNo)、制御部50は、上記ステップS108,S109の処理を実行し、警告解除が指示されたとき(ステップS109のYes)、警告処理を停止して一連の検査処理を終了する。
このような検査処理が実行された後、硬貨入出金装置1は、硬貨の入金や出金等の指示を受け付ける状態に移り、受け付けた指示に応じて動作する。
【0042】
以上説明したように、第1の実施形態における硬貨入出金装置1は、各発光素子41を消灯させた状態で各受光素子42から出力される受光信号で示される強度が1つでも予め定められた閾値S2を超える場合、外光の影響が許容範囲を超えるとして警告等の異常処理を実行する。このような構成であれば、硬貨受皿23に設けられた各透過型センサの検知精度の劣化をユーザが認知でき、外光を遮断するなどの対策をとることができる。
【0043】
また、上記のような検査処理においては、各受光素子42から出力される受光信号が8ビットで示される階調値にAD変換され、閾値S2と比較される。このように多段階の階調値を用いて外光の影響を判定する構成であれば、例えば1ビットで示される階調値を用いる場合に比べ、高精度の判定が可能となる。
【0044】
また、上記のような検査処理は、硬貨入出金装置1に電源が投入されたときに実行される。したがって、各透過型センサの検知精度が劣化していたとしても、硬貨入出金装置1の使用が開始された時点でユーザがそれを把握することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、硬貨入出金装置1に電源が投入されたときに上記検査処理を実行するのではなく、予め定められた検査時間が到来したときに上記検査処理を実行する点で、第1の実施形態と異なる。
第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0046】
図5は、本実施形態において制御部50が実行する処理のフローチャートである。
【0047】
硬貨入出金装置1に電源が投入された後、制御部50は、上記検査時間の到来を待つ(ステップS201のNo)。検査時間の到来を待つ間、制御部50は、操作部26の操作や通信I/F51に接続された商品販売処理装置から送信される指令等に応じて、硬貨の入金処理や出金処理などの他の処理を実行する。
【0048】
検査時間としては、例えば1時間毎のように所定の時間間隔を設定すればよい。この場合、制御部50は、硬貨入出金装置1に電源が投入された後、自身が備えるタイマによって当該時間間隔が計時されたときに検査時間が到来したと判定する。
【0049】
また、検査時間としては、9:00,12:00,15:00,18:00のように特定の時刻を設定してもよい。このような時刻は、例えばROM502に記憶しておけばよい。この場合、ステップS201において制御部50は、上記タイマによって計時される時刻と一致する時刻がROM502に記憶されているならば、検査時間が到来したと判定する。
【0050】
また、検査時間の到来は、商品販売処理装置から通知されてもよい。この場合、ステップS201において制御部50は、通信I/F51を介して商品販売処理装置から検査時間到来を知らせる通知を受信しているか否かを判定し、受信しているならば検査時間が到来したと判定する。
【0051】
ここで例示した方法、あるいは他の方法により検査時間が到来したと判定したとき(ステップS201のYes)、制御部50は、図4のフローチャートに示した検査処理を実行する(ステップS202)。検査処理を実行した後、制御部50は、ステップS201に戻り、次の検査時間の到来を待つ(ステップS201のNo)。
【0052】
以上説明したように、第2の実施形態における硬貨入出金装置1は、予め定められた時間が到来したときに上記検査処理を実行する。このような構成であれば、経時的に変化する外光の強度や向きを反映した検査結果を得ることができる。
【0053】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
本実施形態は、硬貨入出金装置1に電源が投入されたときや検査時間が到来したときに上記検査処理を実行するのではなく、硬貨払出口22から硬貨が払い出される直前に上記検査処理を実行する点で、第1,第2の実施形態と異なる。
第1,第2の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0054】
図6は、本実施形態において制御部50が実行する処理のフローチャートである。
【0055】
処理開始当初において、制御部50は、硬貨の出金指示を待つ(ステップS301のNo)。出金指示を待つ間、制御部50は、操作部26の操作や通信I/F51に接続された商品販売処理装置から送信される指令等に応じて、硬貨の入金処理や各種設定処理等の他の処理を実行する。
【0056】
やがて、操作部26の操作や商品販売処理装置との通信により所定額の硬貨の出金が指示されると、制御部50は、出金準備処理を実行する(ステップS302)。この出金準備処理においては、当該出金指示に係る出金額に応じて各種別の硬貨の払出枚数を決定する。このとき、例えば払い出す硬貨の枚数が最小となるように各種別の硬貨の払出枚数を決定する。
【0057】
このような出金準備処理の後、制御部50は、図4のフローチャートに示した検査処理を実行する(ステップS303)。
【0058】
検査処理を実行した後、制御部50は、出金処理を実行する(ステップS304)。この出金処理において、制御部50は、払出機構駆動部54に払出機構を駆動させ、上記収納部に収納された各種別の硬貨を出金準備処理にて決定した枚数だけ硬貨払出口22から排出させる。
【0059】
しかる後、制御部50は、硬貨検出処理を実行する(ステップS305)。すなわち、各発光素子41を発光させ、各受光素子42から出力される受光信号をAD変換して得られる各階調値を監視する。この監視を行う間、制御部50は、各階調値の少なくとも1つがROM502に予め記憶された閾値S1未満であるならば硬貨受皿23に硬貨が貯留されていると判定し、表示部25に警告メッセージを表示したり、硬貨の入金や出金に関する次の動作への移行を保留するなどのエラー処理を行う。その後、各階調値が全て上記閾値S1以上となったならば、制御部50は、硬貨受皿23の硬貨が取り除かれたと判定し、上記エラー処理を終了する。このようにエラー処理を終了した後、あるいは当初から各階調値が全て上記閾値S1以上となった場合、制御部50は、各発光素子41を消灯して硬貨検出処理を終了する。
【0060】
硬貨検出処理を実行した後、制御部50は、ステップS301に戻り、次の出金指示を待つ(ステップS301のNo)。
【0061】
以上説明したように、第3の実施形態における硬貨入出金装置1は、硬貨払出口22から硬貨が払い出される直前に上記検査処理を実行する。このような構成であれば、硬貨受皿23の各透過型センサによって硬貨を検知する必要が生じる度に外光の影響が許容範囲内であるか否かが判定されるので、検知精度が劣化した状態で各透過型センサが硬貨の検知に使用される事態を上記各実施形態に比べより確実に防止できる。
【0062】
(変形例)
なお、上記各実施形態にて開示した構成は、種々の態様にて変形実施可能である。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0063】
上記各実施形態では、POS端末、ECR、セルフチェックアウト端末等の商品販売処理装置に接続され、硬貨を入金する機能と、硬貨を出金する機能とを備えた硬貨入出金装置1を例示した。しかしながら、上記各実施形態にて説明した透過型センサを用いて硬貨を検知する構成や検査処理に関わる構成を、硬貨の出金に特化した硬貨処理装置に適用してもよい。
また、当該硬貨の出金に関わる構成を、POS端末、ECR、セルフチェックアウト端末、自動販売機、券売機、あるいはATM(Automatic Teller Machine)等に一体化された硬貨処理装置に対して適用してもよい。
【0064】
また、硬貨受皿23に貯留された硬貨を検知する透過型センサではなく、他の貯留部に貯留された硬貨を検知する透過型センサを対象として、上記各実施形態にて説明した検査処理を実行してもよい。例えば、硬貨入出金装置1の硬貨投入口21に投入された硬貨を検知するセンサとして透過型センサを採用し、この透過型センサを対象として上記各実施形態にて説明した検査処理を実行してもよい。
【0065】
また、透過型センサに代えて反射型センサ等の他種のフォトセンサを用いて硬貨受皿23等の貯留部に貯留された硬貨を検知する構成を採用し、このフォトセンサを対象にして上記各実施形態にて説明した検査処理を実行してもよい。
【0066】
上記実施形態では、CPU501がROM502に記憶された制御プログラムを実行することにより、硬貨入出金装置1の動作が実現されるとした。しかしながら、これに限らずプログラムを所定のネットワークから硬貨入出金装置1にダウンロードしてもよいし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものを硬貨入出金装置1にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等を利用でき、かつ硬貨入出金装置1が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であってもよい。また、このように予めインストールやダウンロードにより得る機能は硬貨入出金装置1内部のOS等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1…硬貨入出金装置、2…本体ユニット、3…ハウジングケース、22…硬貨払出口、23…硬貨受皿、25…表示部、26…操作部、27…電源スイッチ、41…発光素子、42…受光素子、50…制御部、54…払出機構駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を貯留する貯留部と、
この貯留部内に向けて光を発する発光部と、
この発光部に対向配置され、受光した光の強度に応じた受光信号を出力する受光部と、
この受光部からの出力の変化に基づいて前記貯留部に貯留された硬貨を検出する硬貨検出手段と、
前記発光部が消灯した状態で前記受光部から出力される受光信号で示される強度が予め定められた閾値を超える場合、所定の異常処理を実行する制御手段と、
を備えていることを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記受光部から出力される受光信号は、アナログ信号であり、
前記受光部から出力された受光信号に基づき、前記受光部が受光した光の強度を多段階で示すデジタル信号を生成する生成手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記発光部が消灯した状態で、前記受光部から出力される受光信号に基づき前記生成手段によって生成されたデジタル信号で示される強度が前記閾値を超える場合、前記異常処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、当該硬貨処理装置に電源が投入されたときに前記発光部を消灯させ、この状態で前記受光部から出力される受光信号で示される強度が前記閾値を超える場合、前記異常処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、予め定められた時間が到来したときに前記発光部を消灯させ、この状態で前記受光部から出力される受光信号で示される強度が前記閾値を超える場合、前記異常処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
硬貨を収納する収納部と、
この収納部に収納された硬貨を前記貯留部に払い出す硬貨払出手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記硬貨払出手段によって硬貨が払い出される直前に前記発光部を消灯させ、この状態で前記受光部から出力される受光信号で示される強度が前記閾値を超える場合、前記異常処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
前記異常処理は、操作者又は当該硬貨処理装置に接続された機器に対して異常を報知する処理であることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1に記載の硬貨処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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