説明

碍子運搬用マット

【課題】サイズの異なる碍子でも、共用の運搬用マットで保管するとともに、その保管場所から設置場所まで運搬できるようにして、煩雑な作業を行うことなく、碍子の設置作業を行うことを実現する碍子運搬用マットを提供すること。
【解決手段】大径部と小径部が交互に連続する碍子を損傷なく搬送可能に包む碍子運搬用マット10であって、前記碍子の両端部を覆う状態にしつつ前記大径部に巻付可能な寸法に作製されているマット本体11と、前記碍子に巻き付けた前記マット本体の両端辺11a側を閉じた状態に基材13a、13b毎のエレメントを噛み合わせることにより保持する線ファスナと、を備えており、前記線ファスナは、前記碍子のサイズに応じて対向あるいは重なる前記マット本体の両端辺同士が離隔しないように一方の端辺側に基材13aが、他方の端辺側の複数箇所に基材13bが固設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、碍子運搬用マットに関し、詳しくは、大径部と小径部の連続する碍子を、そのサイズが異なる場合でも共用して、例えば、碍子メーカから搬入する際や、設置場所に搬送する際や、その設置場所の鉄塔などに吊上げる場合などでも、そのまま利用することのできるものに関する。
【背景技術】
【0002】
陶磁器製の碍子は、衝撃などにより簡単に破損してしまうことから、例えば、その外形形状に一致する空間を内部に形成されている碍子用保護カバーを準備して搬送することが行われている(例えば、特許文献1参照)。また、碍子の小径部を枠形状により保持させて背負子により容易に運搬することを可能にしているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−72939号公報
【特許文献2】実開平6−27657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような碍子の運搬用機材は、碍子の形状毎に対応するように作製・準備しなければならず、高コストになってしまう、という課題があった。また、碍子は、単体で用いるものばかりではなく、例えば、鉄塔の送電線を吊り下げる懸垂碍子は、複数個を連結する構造になっている。この懸垂碍子は、全体としては、ある程度の自由度を持って撓んだ状態に変形する形状であることから、図7に示すように、碍子メーカからは連結金具103、104(連結金具103は図7には不図示)により連結されて梱包用の木枠110に入れられた状態で搬入される。そして、この懸垂碍子100は、鉄塔などの上部に設置する際には、設置する裸の状態で単なるシート状の保護用マットに包んで吊り上げる作業などを行っていた。このため、荷解き、荷造りを繰り返すなど作業効率が悪く、保護用マットも別途設置場所に運ばなければならないという煩雑さがあった。
【0004】
そこで、本発明は、大径部と小径部の連続するサイズの異なる碍子でも、共用の運搬用マットで保管するとともに、その保管場所から設置場所まで運搬できるようにして、煩雑な作業を行うことなく、碍子の設置作業を行うことを実現する碍子運搬用マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する碍子運搬用マットの第1の発明は、大径部と小径部が交互に連続する碍子を損傷なく搬送可能に包む碍子運搬用マットであって、前記碍子の両端部を覆う状態にしつつ前記大径部に巻付可能な寸法に作製されているマット本体と、前記碍子に巻き付けた前記マット本体の両端辺間を閉じた状態に保持する巻付状態保持手段と、を備えており、前記マット本体は、搬送対象の最大サイズの前記碍子に巻付可能な寸法に設定されているとともに、前記巻付状態保持手段は、前記碍子のサイズに応じて対向あるいは重なる前記マット本体の両端辺同士が離隔しないように連結することを特徴とするものである。
【0006】
この発明では、巻付対象の碍子を、巻付状態保持手段により閉じた状態にされる端辺と平行になるように、また、その端部がはみ出ないように、マット本体の上に載置してそのマット本体を巻き付けると、その碍子の大径部のサイズに応じてマット本体の両端辺を重ねた状態あるいは突き合わせた状態にして閉じることができる。したがって、サイズの異なる碍子であっても、外部からの衝撃から保護することができ、そのまま保管・搬送することができる。
【0007】
上記課題を解決する碍子運搬用マットの第2の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記巻付状態保持手段として、前記マット本体の閉じた状態にする端辺間の複数箇所に、前記碍子の大径部と小径部の連続する方向に延在するファスナが配設されていることを特徴とするものである。
【0008】
この発明では、巻き付けた碍子のサイズに応じて重ねた状態あるいは突き合わせた状態になるマット本体の両端辺を、近接するファスナで連結することにより、閉じた状態にすることができる。したがって、ベルトや紐などで巻付緊締などすることによりマット本体の両端辺を閉じた状態にするのではなく、噛み合い係合する線ファスナやループにフックを引っ掛ける面ファスナにより、筒状に閉じた状態にすることができる。なお、広い領域に面ファスナを設けることによりフリーサイズで閉じた状態にすることもできる。
【0009】
上記課題を解決する碍子運搬用マットの第3の発明は、上記第1または第2の発明の特定事項に加え、前記マット本体の前記碍子に接する内面側には、該碍子の大径部と小径部の連続する方向の複数箇所に断面突起形状部を配設したことを特徴とするものである。
【0010】
この発明では、碍子にマット本体を巻き付けたとき、その碍子の少なくとも大径部の間に断面突起形状部を位置させることができる。したがって、碍子がマット本体の内部で開口側に移動しようとしたとしても、断面突起形状部が大径部を衝止して外部に露出・脱落してしまうことを制限することができる。なお、この断面突起形状部は、大径部の周方向に延在するリブ形状でもよく、あるいは、単なる突起でもよい。
【0011】
上記課題を解決する碍子運搬用マットの第4の発明は、上記第1、第2または第3の発明の特定事項に加え、前記マット本体の前記碍子に接しない外面側には、該碍子の大径部と小径部の連続する方向に延在する、あるいは、同方向の複数箇所に連続する、所望の強度の断面突起形状部が、該マット本体の載置面に接触する両側で同方向の2列になるように固設されていることを特徴とするものである。
【0012】
この発明では、碍子にマット本体を巻き付けたとき、そのマット本体の外面側で2列に連続する断面突起形状部をマット本体の載置面に当接する状態に載置することができる。したがって、碍子の大径部がマット本体を介して載置面に当接して転動しようとしても、断面突起形状部がその載置面に突き当たってその転動を制限することができる。また、この断面突起形状部が大径部と小径部の連続する方向に所望の強度で延在することにより、複数個の碍子を連結した形状であるために撓もうとするのを制限することができ、略直線状の姿勢を保持した状態を維持して保管・運搬することができる。
【0013】
上記課題を解決する碍子運搬用マットの第5の発明は、上記第1から第4の何れか一つの発明の特定事項に加え、前記マット本体の前記碍子に接しない外面側には、該碍子に巻き付けた状態で該マット本体の両端辺の外側に、一対の吊り下げ用の取っ手が固設されていることを特徴とするものである。
【0014】
この発明では、碍子に巻き付けたマット本体の閉じられている両端辺の外側に位置する取っ手を用いて高所などに吊り上げることができる。したがって、閉じた状態を維持する両端辺側には吊り下げによる負荷を与えることなく、その閉じた状態を維持したまま保管場所から高所の設置場所まで運搬することができる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、大径部と小径部の連続するサイズの異なる碍子でも、共通使用して、外部からの衝撃から保護することができ、損傷させることなく、保管・搬送することができる。したがって、荷解き、荷造りなどの煩雑な作業を行うことなく、保管場所から設置場所までそのまま運搬することができ、容易に碍子を保管・管理・運搬して設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図4は本発明に係る碍子運搬用マットの第1実施形態を示す図である。
【0017】
図1において、碍子運搬用マット10は、図2に示す懸垂碍子100を連結金具103、104により連結した状態のまま損傷なく搬送可能にマット本体11により包むものである。マット本体11は、搬送時における通常の衝撃を加えても内部の懸垂碍子100が損傷しない程度に、例えば、学校の体育の授業で使用するような、1cm程度の合繊フェルトと5cm程度の合成スポンジを帆布間に挟み込んでいるマットにより作製されている。また、このマット本体11は、搬送対象のうちの最大(例えば、直径320mm)の懸垂碍子100に巻付可能にその外周長よりも長めの幅Waで、その懸垂碍子100の連結個数を2個多くした連結長程度の長さLを有するように形成されている。
【0018】
ここで、懸垂碍子100は、図2に示すように、大径部101の中心に小径部102を連設するとともに、その大径部101の下面側の中心に連結金具103を突設する一方、小径部102の先端側に連結金具104を配設している。この懸垂碍子100は、連結金具103、104同士を連結することにより大径部101と小径部102が交互に連続する形態にして鉄塔などで送電線を支持するように使用される。なお、この懸垂碍子100は、大径部101の連結金具103が板状に形成されて連結穴103aが開口する一方、小径部102の連結金具104はその連結金具103を挟み込むように一対の板形状に形成されてそれぞれに連結穴104aが開口しており、連結金具104の間に連結金具103を挿し込んで連結穴103a、104aに連結ピン105を差し込むことにより連結状態を維持するようになっている。この連結ピン105は、懸垂碍子100の連結金具103、104の連結穴103a、104aに差し込んで一端側に開口する係止穴105a内に不図示の割りピンなどを差し込むことにより脱落しないように固定することができる。また、この懸垂碍子100は、連結金具103、104の間には碍子材料が介在して絶縁性が確保されているとともに、大径部101の下面側が波紋形状(同心円状に波面が連続する形状)に形成されて導体間の絶縁物の表面に沿う最短距離、所謂、沿面距離を長くして高い絶縁性を確保している。
【0019】
そして、マット本体11は、懸垂碍子100に巻き付けたときに近接する幅方向両端側の端辺11aの表面側(図1の紙面の裏側)に、線ファスナ12を構成するテープ状の基材13a、13bがそれぞれ強固に縫い付けられている、この線ファスナ12は、図3に示すように、その基材13a、13bのそれぞれにエレメント14が並列状態に固設されており、このエレメント14がスライダ15の上下動に応じて噛み合い係合することにより開閉するようになっている。なお、この線ファスナ12は、基材13a、13bをマット本体11と同様に強度のある帆布で作製する一方、エレメント14とスライダ15は金属製でもよいが懸垂碍子100の表面を傷つけてしまわないように樹脂製のものを採用してもよい。
【0020】
また、マット本体11は、例えば、大径部101の直径が254mm、280mm、320mmの懸垂碍子100を搬送対象として設計されている。具体的には、マット本体11は、最大の直径320mmの懸垂碍子100に合わせて幅Waが設定されて線ファスナ12の基材13a、13bが両端辺11aに配設されているのと同様に、直径280mmの懸垂碍子100の外周長に対応する幅Wbの位置と、直径254mmの懸垂碍子100の外周長に対応する幅Wcの位置と、にも線ファスナ12の基材13bが強固に縫い付けられている。すなわち、この線ファスナ12の基材13bのエレメント14には、反対側の端辺11aの線ファスナ12の基材13aのエレメント14を予め内装する状態のスライダ15を上下動させることにより噛み合い係合させることができるように準備されている。なお、幅Wb、Wcの位置に配設される線ファスナ12の基材13bのエレメント14は、マット本体11の端辺11aの厚さを越えて相手側の基材13aのエレメント14に噛み合い係合する必要があることから、その基材13bがより幅広に作製されている。また、ここでは、大径部101の直径が254mm、280mm、320mmの懸垂碍子100を搬送対象する場合を一例として説明するが、これに限るものではなく、より小さい、あるいは、より大きい懸垂碍子100を搬送対象としてもよく、また、より多くの異なるサイズの懸垂碍子100を搬送対象としてもよいことはいうまでもない。
【0021】
これにより、このマット本体11は、例えば、大径部101の直径が320mmの懸垂碍子100を搬送対象とする場合には、図4に示すように、複数個を連結させている懸垂碍子100の大径部101の外周を1周させて、その端辺11a同士を突き合わせた状態に巻き付けることができ、その両端辺11aの外側となる表面側の線ファスナ12を閉じて離隔しないように連結することにより、その線ファスナ12が直接接触することなく、複数個の懸垂碍子100の全体を覆うように巻き付けた状態を維持することができる。また、大径部101の直径が280mm、254mmの懸垂碍子100を搬送対象とする場合には、端辺11a側を重ねる状態にして巻き付けることができ、その端辺11aと内側の幅Wb、Wcに対応する箇所の表面側で線ファスナ12を閉じることにより、同様に、その線ファスナ12が直接接触することなく、複数個の懸垂碍子100の全体を覆うように巻き付けた状態を維持することができる。
【0022】
また、このマット本体11は、内面側(図1の紙面の表側)の懸垂碍子100の大径部101の連続方向の複数箇所とその巻付方向(幅方向)の複数箇所に突起リブ16が配設されている。この突起リブ16は、断面形状がマット本体11の内面側から突出する突起形状に形成されて幅方向に延在している。また、この突起リブ16は、マット本体11の内面に密接するように屈曲させるには大きな力を必要とするが長さ方向に、言い換えると、巻付方向には小さな力で湾曲させることができるように、ある程度の強度を有するとともに可撓性を有する樹脂材料により作製されている。
【0023】
これにより、この突起リブ16は、複数個を連結状態にした懸垂碍子100にマット本体11を巻き付けた場合には、その大径部101の間に位置して長さ方向にスライドしようとするのを衝止することができ、例えば、後述する搬送時や吊り下げ時に、懸垂碍子100が外部に露出・落下してしまうことを制限することができる。すなわち、この突起リブ16は、内面側の断面突起形状部を構成する。なお、ここでは、長尺な突起リブ16を一例にして説明するが、単なる突起でも同様の作用効果を得ることができることはいうまでもない。
【0024】
さらに、マット本体11は、表面側の端辺11a間の中央付近に一対のクサビリブ17が平行に配設されており、このクサビリブ17は、図4に示すように、断面形状を互いの近接方向を鋭角にするクサビ形状(突起形状)に形成されている。また、このクサビリブ17は、複数個を連結する懸垂碍子100に巻き付けた状態で吊り下げられたマット本体11の形状を大きく崩れないように保持することができるように、ある程度の強度を有する硬質の樹脂材料により作製されている。なお、マット本体11も、厚い合繊フェルトや合成スポンジを帆布間に挟み込む状態に作製されていることから、自身でもその形状をある程度保持することができる。
【0025】
これにより、このクサビリブ17は、複数個を連結状態にした懸垂碍子100にマット本体11を巻き付けた場合には、その外面側で載置面に当接する状態になって、例えば、碍子メーカから搬送する時点から懸垂碍子100にマット本体11を巻き付けた状態にして運搬することができる。詳細には、このときに、クサビリブ17は、懸垂碍子100が転動しようとしたとしても、乗り越える程の力が加えられない限り、トラックなどの載置面に突き当たって転動を制限することができるとともに、例えば、鉄塔の上部などに吊り上げる時には、マット本体11と共に大きく撓んでしまうことを制限して概略直線状態となる姿勢を保持して吊り下げることができる。すなわち、このクサビリブ17は、表面側(外面側)の断面突起形状部を構成する。
【0026】
また、マット本体11は、表面側のクサビリブ17から離隔する外方に、言い換えると、幅方向両端側の端辺11aの内側に一対の取っ手18が配設されており、この取っ手18は、図4に示すように、懸垂碍子100に巻き付けてクサビリブ17により安定した状態で載置するときに、上方に向う姿勢になるように強度のある帆布を強固に縫い付けるなどして作製されている。
【0027】
これにより、この取っ手18は、懸垂碍子100を碍子メーカから搬出して倉庫に搬入する際や鉄塔の上部に吊り上げる際に、不図示のフックなどを引っ掛けて容易に吊り下げることができ、マット本体11を懸垂碍子100に巻き付けた状態に維持する線ファスナ12に吊り下げによる負荷を与えて損傷させてしまうことなく、所望の場所まで運搬・吊上などすることができる。
【0028】
このように本実施形態においては、マット本体11に線ファスナ12、突起リブ16、クサビリブ17、取っ手18を取り付けるだけの簡易な構造の碍子運搬用マット10を準備するだけで、複数個を連結した懸垂碍子100に巻き付ける簡易な作業により、荷解きや荷造りなどの煩雑な作業を都度行うことなく、また、懸垂碍子100を損傷させてしまうことなく、例えば、懸垂碍子100を碍子メーカから直接倉庫に搬入して保管するとともにそのまま鉄塔などの設置場所まで運搬して吊り上げることができる。また、サイズの異なる懸垂碍子100であっても、碍子運搬用マット10を共通使用することができる。
【0029】
次に、図5は本発明に係る碍子運搬用マットの第2実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述実施形態と略同様に構成されていることから、同様の構成には、同一の符号を付して特徴部分を説明する(以下で説明する他の実施形態においても同様)。
【0030】
図5において、碍子運搬用マット10のマット本体21は、幅方向両端側の端辺11a側を重ねることができるように上述実施形態のマット本体11よりも幅広に作製されている。このマット本体21には、突起リブ16、クサビリブ17、取っ手18が固設される一方、線ファスナ12に代えて、一方の端辺11a側の表面(外面)には大面積の面ファスナ22のフック23側が強固に縫い付けられる一方、他方の端辺11a側の内面側にはその面ファスナ22の相手側となるループ24側が大面積かつ強固に縫い付けられている。
【0031】
これにより、この面ファスナ22は、複数個を連結させている懸垂碍子100にマット本体21を巻き付けてその端辺11a同士を重ねた状態にしたときに、その両端辺11aの面ファスナ22のフック23とループ24を面接触させて係合・連結させることができ、そのマット本体21の巻き付けた状態を維持することができる。この面ファスナ22は、マット本体21の両端辺11a側で大面積に設けられていることから、巻付対象の懸垂碍子100の大径部101の直径に合わせることなく、フリーサイズとして直径の異なる懸垂碍子100に用いることができる。なお、この面ファスナ22は、懸垂碍子100への巻付に必要な強度に応じてフック23とループ24の一方の幅を狭くしてもよい。
【0032】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、巻付対象とする懸垂碍子100のサイズを気にすることなく、碍子運搬用マット10を準備して利用することができる。
【0033】
次に、図6は本発明に係る碍子運搬用マットの第3実施形態を示す図である。
図6において、碍子運搬用マット10のマット本体11は、長さ方向両端側の端辺11bを延長するように延長布31が設けられており、この延長布31は、ある程度の強度を有する帆布により作製されて強固に縫い付けられている。この延長布31は、その端辺側を折り返すことにより筒形状部31aが形成されており、その筒形状部31a内に紐32が挿通されている。
【0034】
これにより、この延長布31は、複数個を連結状態にした懸垂碍子100にマット本体11を巻き付けた後に、その紐32の両端32a側を筒形状部31aから引き出して縛ることにより、そのマット本体11の端部の開口面積を絞ることができる。
【0035】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、碍子運搬用マット10が突発的な事故などにより鉛直姿勢に立ってしまうような場合に、突起リブ16を乗り越えてきた懸垂碍子100がそれ以上移動することを制限して落下してしまうことを未然に防止することができる。
【0036】
ここで、本実施形態では、上述第1実施形態に適用した場合を一例に説明するが、これに限るものではなく、上述第2実施形態に適用することもできることは言うまでもない。
【0037】
また、上述実施形態では、巻付状態保持手段の一例として、線ファスナ12や面ファスナ22を用いてマット本体11、21を懸垂碍子100に巻き付けた状態に維持する場合を説明するが、これに限るものではなく、例えば、ベルトや紐であってもよいことはいうまでもない。さらに、懸垂碍子100を碍子の一例として説明するがこれに限るものではなく、一体成型されて連続する大径部と小径部が一体となっている碍子でも利用することができることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る碍子運搬用マットの第1実施形態を示す図であり、その概略全体構成を示す平面図である。
【図2】その巻付対象の碍子を示す図であり、(a)はその正面図、(b)はその連結部の構造を示す側面図である。
【図3】その要部構成を示す一部拡大平面図である。
【図4】その巻き付けた状態を示す側面立面図である。
【図5】本発明に係る碍子運搬用マットの第2実施形態を示す図であり、その要部構成を示す一部拡大立面図である。
【図6】本発明に係る碍子運搬用マットの第3実施形態を示す図であり、その要部構成を示す斜視図である。
【図7】その碍子の梱包状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
10……碍子運搬用マット 11、21……マット本体 12……線ファスナ 16……突起リブ 17……クサビリブ 18……取っ手 22……面ファスナ 31……延長布 32……紐 100……懸垂碍子 101……大径部 102……小径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径部と小径部が交互に連続する碍子を損傷なく搬送可能に包む碍子運搬用マットであって、
前記碍子の両端部を覆う状態にしつつ前記大径部に巻付可能な寸法に作製されているマット本体と、
前記碍子に巻き付けた前記マット本体の両端辺間を閉じた状態に保持する巻付状態保持手段と、を備えており、
前記マット本体は、搬送対象の最大サイズの前記碍子に巻付可能な寸法に設定されているとともに、
前記巻付状態保持手段は、前記碍子のサイズに応じて対向あるいは重なる前記マット本体の両端辺同士が離隔しないように連結することを特徴とする碍子運搬用マット。
【請求項2】
前記巻付状態保持手段として、前記マット本体の閉じた状態にする端辺間の複数箇所に、前記碍子の大径部と小径部の連続する方向に延在するファスナが配設されていることを特徴とする請求項1に記載の碍子運搬用マット。
【請求項3】
前記マット本体の前記碍子に接する内面側には、該碍子の大径部と小径部の連続する方向の複数箇所に断面突起形状部を配設したことを特徴とする請求項1または2に記載の碍子運搬用マット。
【請求項4】
前記マット本体の前記碍子に接しない外面側には、該碍子の大径部と小径部の連続する方向に延在する、あるいは、同方向の複数箇所に連続する、所望の強度の断面突起形状部が、該マット本体の載置面に接触する両側で同方向の2列になるように固設されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の碍子運搬用マット。
【請求項5】
前記マット本体の前記碍子に接しない外面側には、該碍子に巻き付けた状態で該マット本体の両端辺の外側に、一対の吊り下げ用の取っ手が固設されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の碍子運搬用マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−137875(P2010−137875A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313872(P2008−313872)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】