磁場分布可変型電磁石システム
【課題】荷電粒子の軌道を調整する磁力線の磁場分布を変化させ、各種偏向機能、各種収束機能、他の機能などを持たせることにより、荷電粒子加速器のリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成する。
【解決手段】励磁電源4によって、第1励磁ユニット2の励磁方向、励磁量、第2励磁ユニット3の励磁方向、励磁量を各々、制御させて、第1励磁ユニット2に、指定された磁場分布パターンの第1ギャップ内磁力線16を生成させるとともに、第2励磁ユニット3に、指定された磁場分布パターンの第2ギャップ内磁力線17を生成させ、指定された磁場分布パターンのギャップ内磁力線18を生成させる。
【解決手段】励磁電源4によって、第1励磁ユニット2の励磁方向、励磁量、第2励磁ユニット3の励磁方向、励磁量を各々、制御させて、第1励磁ユニット2に、指定された磁場分布パターンの第1ギャップ内磁力線16を生成させるとともに、第2励磁ユニット3に、指定された磁場分布パターンの第2ギャップ内磁力線17を生成させ、指定された磁場分布パターンのギャップ内磁力線18を生成させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子線加速器などで使用される電磁石システムに関し、特に、磁場分布を変更し得るようにした磁場分布可変型電磁石システムに関する。
【背景技術】
【0002】
陽子などの粒子を加速するシンクロトロン系の粒子線加速器では、リンクを構成する真空チャンバ(真空空洞パイプ)に沿って複数の加速機器、複数の偏向電磁石、複数の収束電磁石などを配置し、これら各加速機器、各偏向電磁石、各収束電磁石などを動作させて、入射路側からリングの真空チャンバ内に導かれた荷電粒子を加速させている。
【0003】
図10は、このような従来の粒子線加速器で使用される偏向電磁石の正面側断面図を示すものである。
【0004】
図10に示す偏向電磁石101は、窓枠状に形成された磁性材料などによって構成される磁性体102と、磁性体102に形成されたギャップ(空隙)103内に配置された往路側励磁コイル104、復路側励磁コイル106によって構成される偏向励磁コイル109とを備えている。
【0005】
そして、加速器制御装置(図示は省略する)からの指示に対応して、励磁電源(図示は省略する)から励磁電流が供給されているとき、往路側励磁コイル104によって、磁性体102内に磁力線105を発生させるとともに、復路側励磁コイル106によって、磁性体102内に磁力線107を発生させる。
【0006】
これによって、図11に示す如くギャップ103内にフラットな磁場分布特性を持つギャップ内磁力線(偏向磁力線)108が発生し、ギャップ103内に配置された真空チャンバ(図示は省略する)内を通過する荷電粒子が水平方向に偏向させられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このような粒子線加速器で使用される従来の偏向電磁石101では、荷電粒子を偏向させるという1つの機能しか持っていないことから、リングを構成する真空チャンバに沿って、多数の偏向電磁石、多数の収束電磁石、多数の加速機器などを配置するのに必要なスペースを確保しなければならない。このため、リング自体が大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑み、請求項1では、荷電粒子の軌道を調整する磁力線の磁場分布を変化させて、各種偏向機能、各種収束機能、他の機能などを持たせることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができ、さらに応答速度を2倍以上、高速化させることができる磁場分布可変型電磁石システムを提供することを目的としている。
【0009】
また、請求項2では、2つのC型励磁ユニットを組み合わせて、これらC型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させることにより、各C型励磁ユニットによって画成されるギャップ内の磁場分布を変化させることができ、これによって偏向機能のほか、収束機能、他の機能などを持たせて、リングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる磁場分布可変型電磁石システムを提供することを目的としている。
【0010】
また、請求項3では、2つのC型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させ、各C型励磁ユニットによって画成されるギャップ内に2極励磁パターン、4極励磁パターン、または機能結合パターンのいずれかに対応する磁力線を生成させることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる磁場分布可変型電磁石システムを提供することを目的としている。
【0011】
また、請求項4では、複数の円弧型励磁ユニットを組み合わせて、これら円弧型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させることにより、各円弧型励磁ユニットによって画成される空間内の磁場分布を変化させることができ、これによって収束機能などを調整自在にさせて、リングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる磁場分布可変型電磁石システムを提供することを目的としている。
【0012】
そして、請求項5では、複数の円弧型励磁ユニットを組み合わせて、これら円弧型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させ、各円弧型励磁ユニットによって画成される空間内に8極励磁パターン、または4極励磁パターンのいずれかに対応する磁力線を生成させることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる磁場分布可変型電磁石システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために本発明は、請求項1の磁場分布可変型電磁石システムでは、磁力線を発生して、荷電粒子の軌道を制御する電磁石システムにおいて、荷電粒子の通路となる真空チャンバを囲むように配置される複数の励磁ユニットと、これら各励磁ユニット毎に、指定された電流方向、電流値の励磁電流を生成して、前記各励磁ユニットを各々、励磁させる励磁電源とを備えたことを特徴としている。
【0014】
また、請求項2では、請求項1に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、前記各励磁ユニットは各々、C字形状の磁性体、前記励磁電源から励磁電流が供給されたとき、前記磁性体内に磁力線を発生させる励磁コイルを備え、前記真空チャンバを囲むように、一方の前記励磁ユニット端部と、他方の前記励磁ユニット端部と対向配置させ、前記励磁電源から一方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流、他方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流を各々、制御させて、一方の前記励磁ユニット、他方の前記励磁ユニットによって生成されるギャップ内磁力線の磁場分布を制御させることを特徴としている。
【0015】
また、請求項3では、請求項2に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、前記励磁電源は、一方の前記励磁ユニット、他方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流の電流方向、電流値を各々、調整し、前記各励磁ユニットのギャップ内に、2極磁場分布特性、4極磁場分布特性、または機能結合磁場分布特性のいずれかに対応する磁力線を生成させることを特徴としている。
【0016】
また、請求項4では、請求項1に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、前記各励磁ユニットは各々、内面側に2つの突起が形成される円弧形状の磁性体、前記各突起に対し、“8”字状に巻き付けられ、前記励磁電源から励磁電流が供給されたとき、前記各突起、前記磁性体内に磁力線を発生させる励磁コイルを備え、前記真空チャンバを囲むように、かつ前記各励磁ユニットの各端部のうち、隣り合う端部同士が密着、または近接するように、前記各励磁ユニットを円形に配置し、前記励磁電源から前記各励磁ユニットに供給する励磁電流を各々、制御させて、前記各励磁ユニットによって画成される円形空間内に生成される磁力線の磁場分布を制御させることを特徴としている。
【0017】
そして、請求項5では、請求項4に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、前記励磁電源は、前記各励磁ユニットに供給する励磁電流の電流方向、電流値を各々、調整し、前記各励磁ユニットによって画成される前記円形空間内に、8極磁場分布特性、または4極磁場分布特性のいずれかに対応する磁力線を生成させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明による、請求項1の磁場分布可変型電磁石システムでは、荷電粒子の軌道を調整する磁力線の磁場分布を変化させて、各種偏向機能、各種収束機能、他の機能などを持たせることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができ、さらに応答速度を2倍以上、高速化させることができる。
【0019】
また、請求項2の磁場分布可変型電磁石システムでは、2つのC型励磁ユニットを組み合わせて、これらC型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させることにより、各C型励磁ユニットによって画成されるギャップ内の磁場分布を変化させることができ、これによって偏向機能のほか、収束機能、他の機能などを持たせて、リングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる。
【0020】
また、請求項3の磁場分布可変型電磁石システムでは、2つのC型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させ、各C型励磁ユニットによって画成されるギャップ内に2極励磁パターン、4極励磁パターン、または機能結合パターンのいずれかに対応する磁力線を生成させることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる。
【0021】
また、請求項4の磁場分布可変型電磁石システムでは、複数の円弧型励磁ユニットを組み合わせて、これら円弧型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させることにより、各円弧型励磁ユニットによって画成される空間内の磁場分布を変化させることができ、これによって収束機能などを調整自在にさせて、リングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる。
【0022】
そして、請求項5の磁場分布可変型電磁石システムでは、複数の円弧型励磁ユニットを組み合わせて、これら円弧型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させ、各円弧型励磁ユニットによって画成される空間内に8極励磁パターン、または4極励磁パターンのいずれかに対応する磁力線を生成させることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による磁場分布可変型電磁石システムの第1形態を示す正面側断面図である。
【図2】図1に示す磁場分布可変型電磁石システムの設置例を示す正面側断面図である。
【図3】図1に示す磁場分布可変型電磁石システムを2極偏向電磁石として使用するときの励磁例を示す模式図である。
【図4】図1に示す磁場分布可変型電磁石システムを4極電磁石として使用するときの励磁例を示す模式図である。
【図5】図1に示す磁場分布可変型電磁石システムを機能結合型電磁石として使用するときの励磁例を示す模式図である。
【図6】本発明による磁場分布可変型電磁石システムの第2形態を示す正面側断面図である。
【図7】図6に示す第1電磁石ユニット〜第4電磁石ユニットの詳細な構成例を示す正面側断面図である。
【図8】図6に示す磁場分布可変型電磁石システムを8極電磁石として使用するときの励磁例を示す模式図である。
【図9】図6に示す磁場分布可変型電磁石システムを4極電磁石として使用するときの励磁例を示す模式図である。
【図10】従来から知られている偏向電磁石の一例を示す正面側断面図である。
【図11】図10に示す偏向電磁石のギャップ内磁場分布パターン例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
A.本発明の第1の実施形態
図1は、本発明による磁場分布可変型電磁石システムの第1実施形態を示す正面側断面図である。
【0025】
図1に示す磁場分布可変型電磁石システム1は、リングを構成する真空チャンバ15(図2参照)の一側面側に配置されるC型の第1励磁ユニット2と、真空チャンバ15の他側面側に配置されるC型の第2励磁ユニット3と、これら第1励磁ユニット2、第2励磁ユニット3を各々、励磁する励磁電源4とを備えており、励磁電源4によって、第1励磁ユニット2の励磁方向、励磁量、第2励磁ユニット3の励磁方向、励磁量を各々、制御させて、第1励磁ユニット2に、指定された磁場分布特性を持つ第1ギャップ内磁力線16(図3〜図5参照)を生成させるとともに、第2励磁ユニット3に、指定された磁場分布特性を持つ第2ギャップ内磁力線17(図3〜図5参照)を生成させることにより、ギャップ6、12内に、指定された磁場分布特性を持つギャップ内磁力線18(図3〜図5参照)を生成させる。
【0026】
第1励磁ユニット2は、所定の磁気特性を持ち、断面がC型形状になるように加工された長手磁性材料などによって構成される第1磁性体5と、第1磁性体5の上部、下部間に形成されたギャップ6内に配置された厚板状の往路側励磁コイル7、第1磁性体5の内面以外の面に密着するように配置された薄板状の復路側励磁コイル8によって構成される第1励磁コイル9とを備えており、励磁電源4から第1励磁電流が供給されているとき、第1励磁コイル9を励磁させて、第1磁性体5内に、第1励磁電流の電流方向、電流値に応じた方向、強さの磁力線を生成させて、ギャップ6内に、第1ギャップ内磁力線16を生成させる。
【0027】
また、第2励磁ユニット3は、所定の磁気特性を持ち、第1磁性体5と同一形状、同一サイズとなるように、かつ断面がC型形状になるように加工された長手磁性材料などによって構成される第2磁性体10と、第2磁性体10の内面以外の面に密着するように配置された薄板状の往路側励磁コイル11、第2磁性体10の上部、下部間に形成されたギャップ12内に配置された厚板状の復路側励磁コイル13によって構成される第2励磁コイル14とを備えており、励磁電源4から第2励磁電流が供給されているとき、第2励磁コイル14を励磁させて、第2磁性体10内に、第2励磁電流の電流方向、電流値に応じた方向、強さの磁力線を生成させて、ギャップ12内に、第2ギャップ内磁力線17を生成させる。
【0028】
また、励磁電源4は、リング制御装置(図示は省略する)からの指示に対応した電流方向、電流値の第1励磁電流を発生して、第1励磁コイル9を励磁させ、ギャップ6内に指定された磁束密度、磁場分布を持つ第1ギャップ内磁力線16を生成させるとともに、リング制御装置からの指示に対応した第2励磁電流を発生して、第2励磁コイル14を励磁させ、ギャップ12内に指定された磁束密度、磁場分布を持つ第2ギャップ内磁力線17を生成させる。
【0029】
次に、図2に示す正面側断面図、図3乃至5を参照しながら、磁場分布可変型電磁石システム1の動作を説明する。
【0030】
まず、図2に示す如く第1励磁ユニット2の各端面と、第2励磁ユニット3の各端面とが密に接合させられ、これら第1励磁ユニット2、第2励磁ユニット3が機械的に一体化させられるとともに、第1励磁ユニット2のギャップ6内、第2励磁ユニット3のギャップ12内に真空チャンバ15が挿通される。
【0031】
この後、2極偏向電磁石として使用するときには、励磁電源4によって、励磁方向をプラス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第1励磁電流が生成されて、第1励磁ユニット2の第1励磁コイル9が励磁される。これにより、図3に示す如くギャップ6内に第1ギャップ内磁場分布特性を持つ第1ギャップ内磁力線16が生成される。
【0032】
また、この動作と並行し、励磁電源4によって、励磁方向をプラス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第2励磁電流が生成されて、第2励磁ユニット3の第2励磁コイル14が励磁される。これにより、ギャップ12内に第2ギャップ内磁場分布特性を持つ第2ギャップ内磁力線17が生成される。
【0033】
この結果、機械的に一体化された第1励磁ユニット2のギャップ6内に生成された第1ギャップ内磁力線16と、第2励磁ユニット3のギャップ12内に生成された第2ギャップ内磁力線17とが合成されて、図3に示す如く通常の2極偏向電磁石と同様に、均一な磁場分布特性を持つギャップ内磁力線18が生成され、第1励磁ユニット2のギャップ6内、第2励磁ユニット3のギャップ12内に配置された、真空チャンバ15内を通過する荷電粒子が右方向(または、左方向)に偏向される。
【0034】
また、4極励磁電磁石として使用するときには、励磁電源4によって、励磁方向をプラス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第1励磁電流が生成されて、第1励磁ユニット2の第1励磁コイル9が励磁される。これにより、図4に示す如くギャップ6内に第1ギャップ内磁場分布特性を持つ第1ギャップ内磁力線16が生成される。
【0035】
また、この動作と並行し、励磁電源4によって、励磁方向をマイナス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第2励磁電流が生成されて、第2励磁ユニット3の第2励磁コイル14が励磁される。これにより、ギャップ12内に第2ギャップ内磁場分布特性を持つ第2ギャップ内磁力線17が生成される。
【0036】
この結果、機械的に一体化された第1励磁ユニット2のギャップ6内に生成された第1ギャップ内磁力線16と、第2励磁ユニット3のギャップ12内に生成された第2ギャップ内磁力線17とが合成されて、図4に示す如く通常の4極電磁石と同様に、4極成分となる斜め勾配磁場分布特性を持つギャップ内磁力線18が生成され、第1励磁ユニット2のギャップ6内、第2励磁ユニット3のギャップ12内に配置された、真空チャンバ15内を通過する荷電粒子が中心方向に収束する。
【0037】
また、機能結合型電磁石として使用するときには、励磁電源4によって、励磁方向をプラス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第1励磁電流が生成されて、第1励磁ユニット2の第1励磁コイル9が励磁される。これにより、図5に示す如くギャップ6内に第1ギャップ内磁場分布特性を持つ第1ギャップ内磁力線16を生成させる。
【0038】
また、この動作と並行し、励磁電源4によって、励磁方向をプラス側にし、励磁量を50%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第2励磁電流が生成されて、第2励磁ユニット3の第2励磁コイル14が励磁される。これにより、ギャップ12内に第2ギャップ内磁場分布特性を持つ第2ギャップ内磁力線17を生成させる。
【0039】
この結果、機械的に一体化された第1励磁ユニット2のギャップ6内に生成された第1ギャップ内磁力線16と、第2励磁ユニット3のギャップ12内に生成された第2ギャップ内磁力線17とが合成されて、図5に示すような通常の2極偏向電磁石と、4極電磁石とを合わせた機能結合型電磁石と同様に、斜め勾配磁場分布特性を持つギャップ内磁力線18が生成され、第1励磁ユニット2のギャップ6内、第2励磁ユニット3のギャップ12内に配置された、真空チャンバ15内を通過する荷電粒子が右方向に偏向させられながら、収束させられる。
【0040】
このように、この第1形態では、励磁電源4によって、第1励磁ユニット2の励磁方向、励磁量、第2励磁ユニット3の励磁方向、励磁量を各々、制御させて、第1励磁ユニット2に、指定された磁場分布特性を持つ第1ギャップ内磁力線16を生成させるとともに、第2励磁ユニット3に、指定された磁場分布特性を持つ第2ギャップ内磁力線17を生成させ、ギャップ6、12内に、指定された磁場分布特性を持つギャップ内磁力線18を生成させるようにしているので、荷電粒子の軌道を調整する磁力線の磁場分布を変化させて、各種偏向機能、各種収束機能、他の機能などを持たせることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる(請求項1、2及び3に記載の発明の効果)。
【0041】
また、この第1形態では、第1励磁ユニット2の第1励磁コイル9と、第2励磁ユニット3の第2励磁コイル14とによって、1つのギャップ内磁力線18を生成させるようにしているので、従来の偏向電磁石に設けられている励磁コイルに比べ、第1励磁コイル9、第2励磁コイル14のインダクタンスを半減させることができ、これによって応答速度を1マイクロ秒以下にさせることができる。
【0042】
さらに、この第1形態では、第1磁性体5、第2磁性体10などの鉄心の制約に起因する最大加速エネルギーLの制約を無くすことができ、これによってシンクロトロン等の高エネルギー粒子線加速器の機能を維持しつつ、加速器本体をコンパクト化させることができるとともに、運転中においても、磁場分布を変更させることができる。
【0043】
2.本発明の第2の実施形態
図6は、本発明による磁場分布可変型電磁石システムの第2形態を示す正面側断面図である。
【0044】
図6に示す磁場分布可変型電磁石システム21は、1/4円弧状に形成される第1電磁石ユニット22、第2電磁石ユニット23、第3電磁石ユニット24、第4電磁石ユニット25と、第1〜第4電磁石ユニット22〜25を個別に励磁する励磁電源26とを備えており、加速器制御装置からの指示信号に応じて、励磁電源26から第1〜第4電磁石ユニット22〜25に励磁電流を供給させて、通常の8極電磁石と同じ磁場分布特性の磁力線35(図8参照)、または4極電磁石と同じ磁場分布特性の磁力線35(図9参照)を生成させ、内部に配置された真空チャンバ27内を通る荷電粒子を収束させる。
【0045】
第1乃至第4電磁石ユニット22−25は各々、図7に示すように内面側に2つの平面部28、29が形成され、外面側が1/4円弧形状にされた長手磁性材料などによって構成されるベース磁性体30と、所定の磁気特性を持つ長板形状の磁性材料などによって構成され、外面側がベース磁性体30の平面部28と密着させられる第1磁性体31と、所定の磁気特性を持つ長板形状の磁性材料などによって構成され、外面側がベース磁性体30の平面部29と密着させられる第2磁性体32と、第1磁性体31の各側面、第2磁性体32の各3側面を順次、経由するように、第1磁性体31、第2磁性体32に巻き付けられて形成される“8”字状の励磁コイル33と、を備えている。
【0046】
そして、8極電磁石として使用するときには、励磁電源26によって、励磁方向をマイナス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ4つの励磁電流が生成されて、第1電磁石ユニット22〜第4電磁石ユニット25が各々、励磁される。これにより、図8に示す如く第1電磁石ユニット22〜第4電磁石ユニット25間で、隣り合う磁力線が分岐させられて、空洞34内に、通常の8極電磁石と同じ磁場分布特性を持つ磁力線35が生成され、真空チャンバ27内を通る荷電粒子を収束させる。
【0047】
また、4極電磁石として使用するときには、励磁電源26によって、励磁方向をマイナス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ2つの励磁電流が生成されて、第1電磁石ユニット22、第3電磁石ユニット24が励磁させられるとともに、励磁方向をプラス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ2つの励磁電流が生成されて、第2電磁石ユニット23、第4電磁石ユニット25が励磁される。これにより、図9に示す如く第1電磁石ユニット22〜第4電磁石ユニット25毎に磁力線が独立させられて、空洞34内に、通常の4極電磁石と同じ磁場分布特性の磁力線35が生成され、真空チャンバ27内を通る荷電粒子を収束させる。
【0048】
このように、この第2形態では、加速器制御装置からの指示信号に応じて、励磁電源26から第1〜第4電磁石ユニット22〜25に励磁電流を各々、供給させて、通常の8極電磁石と同じ磁場分布特性の磁力線35、または4極電磁石と同じ磁場分布特性の磁力線35を生成させるようにしているので、加速対象となっている荷電粒子の種類、目標速度などに応じて、最適な磁場分布特性の磁力線35を生成させることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる(請求項1、4及び5に記載の発明の効果)。
【0049】
また、この第2形態では、第1電磁石ユニット22の励磁コイル33〜第4電磁石ユニット22の励磁コイル33を個別に励磁させて、空洞34内に4極、または8極の磁力線35を生成させるようにしているので、従来の収束電磁石に設けられている励磁コイルに比べ、各励磁コイル33のインダクタンスを1/4以下にさせることができ、これによって応答速度を4倍以上、高速化させることができる。
【0050】
さらに、この第2形態では、第1〜第4電磁石ユニット22〜25の各ベース磁性体30、各第1磁性体31、各第2磁性体32などの鉄心の制約に起因する最大加速エネルギーLの制約を無くすことができ、これによってシンクロトロン等の高エネルギー粒子線加速器の機能を維持しつつ加速器本体をコンパクト化させることができるとともに、運転中においても、磁場分布を変更させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、粒子線加速器などで使用される電磁石システムに関するものであり、特に、素粒子実験、原子核実験、医学利用(放射線治療)等を目的とした高エネルギー粒子線加速器の多機能化を可能とし、バルク加工を対象にしたナノ材料の量産化への一歩である重イオン加速器に貢献するものであって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0052】
1:磁場分布可変型電磁石システム
2:第1励磁ユニット(励磁ユニット)
3:第2励磁ユニット(励磁ユニット)
4:励磁電源
5:第1磁性体(C字形状の磁性体)
6:ギャップ
7:往路側励磁コイル
8:復路側励磁コイル
9:第1励磁コイル(励磁コイル)
10:第2磁性体(C字形状の磁性体)
11:往路側励磁コイル
12:ギャップ
13:復路側励磁コイル
14:第2励磁コイル(励磁コイル)
15:真空チャンバ
16:第1ギャップ内磁力線
17:第2ギャップ内磁力線
18:ギャップ内磁力線
21:磁場分布可変型電磁石システム
22:第1電磁石ユニット(励磁ユニット)
23:第2電磁石ユニット(励磁ユニット)
24:第3電磁石ユニット(励磁ユニット)
25:第4電磁石ユニット(励磁ユニット)
26:励磁電源
27:真空チャンバ
28:平面部
29:平面部
30:ベース磁性体(円弧形状の磁性体)
31:第1磁性体(円弧形状の磁性体)
32:第2磁性体(円弧形状の磁性体)
33:励磁コイル
34:空洞(円形空間)
35:磁力線
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子線加速器などで使用される電磁石システムに関し、特に、磁場分布を変更し得るようにした磁場分布可変型電磁石システムに関する。
【背景技術】
【0002】
陽子などの粒子を加速するシンクロトロン系の粒子線加速器では、リンクを構成する真空チャンバ(真空空洞パイプ)に沿って複数の加速機器、複数の偏向電磁石、複数の収束電磁石などを配置し、これら各加速機器、各偏向電磁石、各収束電磁石などを動作させて、入射路側からリングの真空チャンバ内に導かれた荷電粒子を加速させている。
【0003】
図10は、このような従来の粒子線加速器で使用される偏向電磁石の正面側断面図を示すものである。
【0004】
図10に示す偏向電磁石101は、窓枠状に形成された磁性材料などによって構成される磁性体102と、磁性体102に形成されたギャップ(空隙)103内に配置された往路側励磁コイル104、復路側励磁コイル106によって構成される偏向励磁コイル109とを備えている。
【0005】
そして、加速器制御装置(図示は省略する)からの指示に対応して、励磁電源(図示は省略する)から励磁電流が供給されているとき、往路側励磁コイル104によって、磁性体102内に磁力線105を発生させるとともに、復路側励磁コイル106によって、磁性体102内に磁力線107を発生させる。
【0006】
これによって、図11に示す如くギャップ103内にフラットな磁場分布特性を持つギャップ内磁力線(偏向磁力線)108が発生し、ギャップ103内に配置された真空チャンバ(図示は省略する)内を通過する荷電粒子が水平方向に偏向させられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このような粒子線加速器で使用される従来の偏向電磁石101では、荷電粒子を偏向させるという1つの機能しか持っていないことから、リングを構成する真空チャンバに沿って、多数の偏向電磁石、多数の収束電磁石、多数の加速機器などを配置するのに必要なスペースを確保しなければならない。このため、リング自体が大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑み、請求項1では、荷電粒子の軌道を調整する磁力線の磁場分布を変化させて、各種偏向機能、各種収束機能、他の機能などを持たせることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができ、さらに応答速度を2倍以上、高速化させることができる磁場分布可変型電磁石システムを提供することを目的としている。
【0009】
また、請求項2では、2つのC型励磁ユニットを組み合わせて、これらC型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させることにより、各C型励磁ユニットによって画成されるギャップ内の磁場分布を変化させることができ、これによって偏向機能のほか、収束機能、他の機能などを持たせて、リングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる磁場分布可変型電磁石システムを提供することを目的としている。
【0010】
また、請求項3では、2つのC型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させ、各C型励磁ユニットによって画成されるギャップ内に2極励磁パターン、4極励磁パターン、または機能結合パターンのいずれかに対応する磁力線を生成させることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる磁場分布可変型電磁石システムを提供することを目的としている。
【0011】
また、請求項4では、複数の円弧型励磁ユニットを組み合わせて、これら円弧型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させることにより、各円弧型励磁ユニットによって画成される空間内の磁場分布を変化させることができ、これによって収束機能などを調整自在にさせて、リングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる磁場分布可変型電磁石システムを提供することを目的としている。
【0012】
そして、請求項5では、複数の円弧型励磁ユニットを組み合わせて、これら円弧型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させ、各円弧型励磁ユニットによって画成される空間内に8極励磁パターン、または4極励磁パターンのいずれかに対応する磁力線を生成させることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる磁場分布可変型電磁石システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために本発明は、請求項1の磁場分布可変型電磁石システムでは、磁力線を発生して、荷電粒子の軌道を制御する電磁石システムにおいて、荷電粒子の通路となる真空チャンバを囲むように配置される複数の励磁ユニットと、これら各励磁ユニット毎に、指定された電流方向、電流値の励磁電流を生成して、前記各励磁ユニットを各々、励磁させる励磁電源とを備えたことを特徴としている。
【0014】
また、請求項2では、請求項1に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、前記各励磁ユニットは各々、C字形状の磁性体、前記励磁電源から励磁電流が供給されたとき、前記磁性体内に磁力線を発生させる励磁コイルを備え、前記真空チャンバを囲むように、一方の前記励磁ユニット端部と、他方の前記励磁ユニット端部と対向配置させ、前記励磁電源から一方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流、他方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流を各々、制御させて、一方の前記励磁ユニット、他方の前記励磁ユニットによって生成されるギャップ内磁力線の磁場分布を制御させることを特徴としている。
【0015】
また、請求項3では、請求項2に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、前記励磁電源は、一方の前記励磁ユニット、他方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流の電流方向、電流値を各々、調整し、前記各励磁ユニットのギャップ内に、2極磁場分布特性、4極磁場分布特性、または機能結合磁場分布特性のいずれかに対応する磁力線を生成させることを特徴としている。
【0016】
また、請求項4では、請求項1に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、前記各励磁ユニットは各々、内面側に2つの突起が形成される円弧形状の磁性体、前記各突起に対し、“8”字状に巻き付けられ、前記励磁電源から励磁電流が供給されたとき、前記各突起、前記磁性体内に磁力線を発生させる励磁コイルを備え、前記真空チャンバを囲むように、かつ前記各励磁ユニットの各端部のうち、隣り合う端部同士が密着、または近接するように、前記各励磁ユニットを円形に配置し、前記励磁電源から前記各励磁ユニットに供給する励磁電流を各々、制御させて、前記各励磁ユニットによって画成される円形空間内に生成される磁力線の磁場分布を制御させることを特徴としている。
【0017】
そして、請求項5では、請求項4に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、前記励磁電源は、前記各励磁ユニットに供給する励磁電流の電流方向、電流値を各々、調整し、前記各励磁ユニットによって画成される前記円形空間内に、8極磁場分布特性、または4極磁場分布特性のいずれかに対応する磁力線を生成させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明による、請求項1の磁場分布可変型電磁石システムでは、荷電粒子の軌道を調整する磁力線の磁場分布を変化させて、各種偏向機能、各種収束機能、他の機能などを持たせることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができ、さらに応答速度を2倍以上、高速化させることができる。
【0019】
また、請求項2の磁場分布可変型電磁石システムでは、2つのC型励磁ユニットを組み合わせて、これらC型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させることにより、各C型励磁ユニットによって画成されるギャップ内の磁場分布を変化させることができ、これによって偏向機能のほか、収束機能、他の機能などを持たせて、リングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる。
【0020】
また、請求項3の磁場分布可変型電磁石システムでは、2つのC型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させ、各C型励磁ユニットによって画成されるギャップ内に2極励磁パターン、4極励磁パターン、または機能結合パターンのいずれかに対応する磁力線を生成させることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる。
【0021】
また、請求項4の磁場分布可変型電磁石システムでは、複数の円弧型励磁ユニットを組み合わせて、これら円弧型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させることにより、各円弧型励磁ユニットによって画成される空間内の磁場分布を変化させることができ、これによって収束機能などを調整自在にさせて、リングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる。
【0022】
そして、請求項5の磁場分布可変型電磁石システムでは、複数の円弧型励磁ユニットを組み合わせて、これら円弧型励磁ユニットを各々、独立させて励磁させ、各円弧型励磁ユニットによって画成される空間内に8極励磁パターン、または4極励磁パターンのいずれかに対応する磁力線を生成させることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による磁場分布可変型電磁石システムの第1形態を示す正面側断面図である。
【図2】図1に示す磁場分布可変型電磁石システムの設置例を示す正面側断面図である。
【図3】図1に示す磁場分布可変型電磁石システムを2極偏向電磁石として使用するときの励磁例を示す模式図である。
【図4】図1に示す磁場分布可変型電磁石システムを4極電磁石として使用するときの励磁例を示す模式図である。
【図5】図1に示す磁場分布可変型電磁石システムを機能結合型電磁石として使用するときの励磁例を示す模式図である。
【図6】本発明による磁場分布可変型電磁石システムの第2形態を示す正面側断面図である。
【図7】図6に示す第1電磁石ユニット〜第4電磁石ユニットの詳細な構成例を示す正面側断面図である。
【図8】図6に示す磁場分布可変型電磁石システムを8極電磁石として使用するときの励磁例を示す模式図である。
【図9】図6に示す磁場分布可変型電磁石システムを4極電磁石として使用するときの励磁例を示す模式図である。
【図10】従来から知られている偏向電磁石の一例を示す正面側断面図である。
【図11】図10に示す偏向電磁石のギャップ内磁場分布パターン例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
A.本発明の第1の実施形態
図1は、本発明による磁場分布可変型電磁石システムの第1実施形態を示す正面側断面図である。
【0025】
図1に示す磁場分布可変型電磁石システム1は、リングを構成する真空チャンバ15(図2参照)の一側面側に配置されるC型の第1励磁ユニット2と、真空チャンバ15の他側面側に配置されるC型の第2励磁ユニット3と、これら第1励磁ユニット2、第2励磁ユニット3を各々、励磁する励磁電源4とを備えており、励磁電源4によって、第1励磁ユニット2の励磁方向、励磁量、第2励磁ユニット3の励磁方向、励磁量を各々、制御させて、第1励磁ユニット2に、指定された磁場分布特性を持つ第1ギャップ内磁力線16(図3〜図5参照)を生成させるとともに、第2励磁ユニット3に、指定された磁場分布特性を持つ第2ギャップ内磁力線17(図3〜図5参照)を生成させることにより、ギャップ6、12内に、指定された磁場分布特性を持つギャップ内磁力線18(図3〜図5参照)を生成させる。
【0026】
第1励磁ユニット2は、所定の磁気特性を持ち、断面がC型形状になるように加工された長手磁性材料などによって構成される第1磁性体5と、第1磁性体5の上部、下部間に形成されたギャップ6内に配置された厚板状の往路側励磁コイル7、第1磁性体5の内面以外の面に密着するように配置された薄板状の復路側励磁コイル8によって構成される第1励磁コイル9とを備えており、励磁電源4から第1励磁電流が供給されているとき、第1励磁コイル9を励磁させて、第1磁性体5内に、第1励磁電流の電流方向、電流値に応じた方向、強さの磁力線を生成させて、ギャップ6内に、第1ギャップ内磁力線16を生成させる。
【0027】
また、第2励磁ユニット3は、所定の磁気特性を持ち、第1磁性体5と同一形状、同一サイズとなるように、かつ断面がC型形状になるように加工された長手磁性材料などによって構成される第2磁性体10と、第2磁性体10の内面以外の面に密着するように配置された薄板状の往路側励磁コイル11、第2磁性体10の上部、下部間に形成されたギャップ12内に配置された厚板状の復路側励磁コイル13によって構成される第2励磁コイル14とを備えており、励磁電源4から第2励磁電流が供給されているとき、第2励磁コイル14を励磁させて、第2磁性体10内に、第2励磁電流の電流方向、電流値に応じた方向、強さの磁力線を生成させて、ギャップ12内に、第2ギャップ内磁力線17を生成させる。
【0028】
また、励磁電源4は、リング制御装置(図示は省略する)からの指示に対応した電流方向、電流値の第1励磁電流を発生して、第1励磁コイル9を励磁させ、ギャップ6内に指定された磁束密度、磁場分布を持つ第1ギャップ内磁力線16を生成させるとともに、リング制御装置からの指示に対応した第2励磁電流を発生して、第2励磁コイル14を励磁させ、ギャップ12内に指定された磁束密度、磁場分布を持つ第2ギャップ内磁力線17を生成させる。
【0029】
次に、図2に示す正面側断面図、図3乃至5を参照しながら、磁場分布可変型電磁石システム1の動作を説明する。
【0030】
まず、図2に示す如く第1励磁ユニット2の各端面と、第2励磁ユニット3の各端面とが密に接合させられ、これら第1励磁ユニット2、第2励磁ユニット3が機械的に一体化させられるとともに、第1励磁ユニット2のギャップ6内、第2励磁ユニット3のギャップ12内に真空チャンバ15が挿通される。
【0031】
この後、2極偏向電磁石として使用するときには、励磁電源4によって、励磁方向をプラス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第1励磁電流が生成されて、第1励磁ユニット2の第1励磁コイル9が励磁される。これにより、図3に示す如くギャップ6内に第1ギャップ内磁場分布特性を持つ第1ギャップ内磁力線16が生成される。
【0032】
また、この動作と並行し、励磁電源4によって、励磁方向をプラス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第2励磁電流が生成されて、第2励磁ユニット3の第2励磁コイル14が励磁される。これにより、ギャップ12内に第2ギャップ内磁場分布特性を持つ第2ギャップ内磁力線17が生成される。
【0033】
この結果、機械的に一体化された第1励磁ユニット2のギャップ6内に生成された第1ギャップ内磁力線16と、第2励磁ユニット3のギャップ12内に生成された第2ギャップ内磁力線17とが合成されて、図3に示す如く通常の2極偏向電磁石と同様に、均一な磁場分布特性を持つギャップ内磁力線18が生成され、第1励磁ユニット2のギャップ6内、第2励磁ユニット3のギャップ12内に配置された、真空チャンバ15内を通過する荷電粒子が右方向(または、左方向)に偏向される。
【0034】
また、4極励磁電磁石として使用するときには、励磁電源4によって、励磁方向をプラス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第1励磁電流が生成されて、第1励磁ユニット2の第1励磁コイル9が励磁される。これにより、図4に示す如くギャップ6内に第1ギャップ内磁場分布特性を持つ第1ギャップ内磁力線16が生成される。
【0035】
また、この動作と並行し、励磁電源4によって、励磁方向をマイナス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第2励磁電流が生成されて、第2励磁ユニット3の第2励磁コイル14が励磁される。これにより、ギャップ12内に第2ギャップ内磁場分布特性を持つ第2ギャップ内磁力線17が生成される。
【0036】
この結果、機械的に一体化された第1励磁ユニット2のギャップ6内に生成された第1ギャップ内磁力線16と、第2励磁ユニット3のギャップ12内に生成された第2ギャップ内磁力線17とが合成されて、図4に示す如く通常の4極電磁石と同様に、4極成分となる斜め勾配磁場分布特性を持つギャップ内磁力線18が生成され、第1励磁ユニット2のギャップ6内、第2励磁ユニット3のギャップ12内に配置された、真空チャンバ15内を通過する荷電粒子が中心方向に収束する。
【0037】
また、機能結合型電磁石として使用するときには、励磁電源4によって、励磁方向をプラス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第1励磁電流が生成されて、第1励磁ユニット2の第1励磁コイル9が励磁される。これにより、図5に示す如くギャップ6内に第1ギャップ内磁場分布特性を持つ第1ギャップ内磁力線16を生成させる。
【0038】
また、この動作と並行し、励磁電源4によって、励磁方向をプラス側にし、励磁量を50%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ第2励磁電流が生成されて、第2励磁ユニット3の第2励磁コイル14が励磁される。これにより、ギャップ12内に第2ギャップ内磁場分布特性を持つ第2ギャップ内磁力線17を生成させる。
【0039】
この結果、機械的に一体化された第1励磁ユニット2のギャップ6内に生成された第1ギャップ内磁力線16と、第2励磁ユニット3のギャップ12内に生成された第2ギャップ内磁力線17とが合成されて、図5に示すような通常の2極偏向電磁石と、4極電磁石とを合わせた機能結合型電磁石と同様に、斜め勾配磁場分布特性を持つギャップ内磁力線18が生成され、第1励磁ユニット2のギャップ6内、第2励磁ユニット3のギャップ12内に配置された、真空チャンバ15内を通過する荷電粒子が右方向に偏向させられながら、収束させられる。
【0040】
このように、この第1形態では、励磁電源4によって、第1励磁ユニット2の励磁方向、励磁量、第2励磁ユニット3の励磁方向、励磁量を各々、制御させて、第1励磁ユニット2に、指定された磁場分布特性を持つ第1ギャップ内磁力線16を生成させるとともに、第2励磁ユニット3に、指定された磁場分布特性を持つ第2ギャップ内磁力線17を生成させ、ギャップ6、12内に、指定された磁場分布特性を持つギャップ内磁力線18を生成させるようにしているので、荷電粒子の軌道を調整する磁力線の磁場分布を変化させて、各種偏向機能、各種収束機能、他の機能などを持たせることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる(請求項1、2及び3に記載の発明の効果)。
【0041】
また、この第1形態では、第1励磁ユニット2の第1励磁コイル9と、第2励磁ユニット3の第2励磁コイル14とによって、1つのギャップ内磁力線18を生成させるようにしているので、従来の偏向電磁石に設けられている励磁コイルに比べ、第1励磁コイル9、第2励磁コイル14のインダクタンスを半減させることができ、これによって応答速度を1マイクロ秒以下にさせることができる。
【0042】
さらに、この第1形態では、第1磁性体5、第2磁性体10などの鉄心の制約に起因する最大加速エネルギーLの制約を無くすことができ、これによってシンクロトロン等の高エネルギー粒子線加速器の機能を維持しつつ、加速器本体をコンパクト化させることができるとともに、運転中においても、磁場分布を変更させることができる。
【0043】
2.本発明の第2の実施形態
図6は、本発明による磁場分布可変型電磁石システムの第2形態を示す正面側断面図である。
【0044】
図6に示す磁場分布可変型電磁石システム21は、1/4円弧状に形成される第1電磁石ユニット22、第2電磁石ユニット23、第3電磁石ユニット24、第4電磁石ユニット25と、第1〜第4電磁石ユニット22〜25を個別に励磁する励磁電源26とを備えており、加速器制御装置からの指示信号に応じて、励磁電源26から第1〜第4電磁石ユニット22〜25に励磁電流を供給させて、通常の8極電磁石と同じ磁場分布特性の磁力線35(図8参照)、または4極電磁石と同じ磁場分布特性の磁力線35(図9参照)を生成させ、内部に配置された真空チャンバ27内を通る荷電粒子を収束させる。
【0045】
第1乃至第4電磁石ユニット22−25は各々、図7に示すように内面側に2つの平面部28、29が形成され、外面側が1/4円弧形状にされた長手磁性材料などによって構成されるベース磁性体30と、所定の磁気特性を持つ長板形状の磁性材料などによって構成され、外面側がベース磁性体30の平面部28と密着させられる第1磁性体31と、所定の磁気特性を持つ長板形状の磁性材料などによって構成され、外面側がベース磁性体30の平面部29と密着させられる第2磁性体32と、第1磁性体31の各側面、第2磁性体32の各3側面を順次、経由するように、第1磁性体31、第2磁性体32に巻き付けられて形成される“8”字状の励磁コイル33と、を備えている。
【0046】
そして、8極電磁石として使用するときには、励磁電源26によって、励磁方向をマイナス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ4つの励磁電流が生成されて、第1電磁石ユニット22〜第4電磁石ユニット25が各々、励磁される。これにより、図8に示す如く第1電磁石ユニット22〜第4電磁石ユニット25間で、隣り合う磁力線が分岐させられて、空洞34内に、通常の8極電磁石と同じ磁場分布特性を持つ磁力線35が生成され、真空チャンバ27内を通る荷電粒子を収束させる。
【0047】
また、4極電磁石として使用するときには、励磁電源26によって、励磁方向をマイナス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ2つの励磁電流が生成されて、第1電磁石ユニット22、第3電磁石ユニット24が励磁させられるとともに、励磁方向をプラス側にし、励磁量を100%にするのに必要な電流方向、電流値を持つ2つの励磁電流が生成されて、第2電磁石ユニット23、第4電磁石ユニット25が励磁される。これにより、図9に示す如く第1電磁石ユニット22〜第4電磁石ユニット25毎に磁力線が独立させられて、空洞34内に、通常の4極電磁石と同じ磁場分布特性の磁力線35が生成され、真空チャンバ27内を通る荷電粒子を収束させる。
【0048】
このように、この第2形態では、加速器制御装置からの指示信号に応じて、励磁電源26から第1〜第4電磁石ユニット22〜25に励磁電流を各々、供給させて、通常の8極電磁石と同じ磁場分布特性の磁力線35、または4極電磁石と同じ磁場分布特性の磁力線35を生成させるようにしているので、加速対象となっている荷電粒子の種類、目標速度などに応じて、最適な磁場分布特性の磁力線35を生成させることができ、これによってリングで使用される電磁石の種類数を大幅に低減させ、加速器の低価格化、小型化を達成させることができる(請求項1、4及び5に記載の発明の効果)。
【0049】
また、この第2形態では、第1電磁石ユニット22の励磁コイル33〜第4電磁石ユニット22の励磁コイル33を個別に励磁させて、空洞34内に4極、または8極の磁力線35を生成させるようにしているので、従来の収束電磁石に設けられている励磁コイルに比べ、各励磁コイル33のインダクタンスを1/4以下にさせることができ、これによって応答速度を4倍以上、高速化させることができる。
【0050】
さらに、この第2形態では、第1〜第4電磁石ユニット22〜25の各ベース磁性体30、各第1磁性体31、各第2磁性体32などの鉄心の制約に起因する最大加速エネルギーLの制約を無くすことができ、これによってシンクロトロン等の高エネルギー粒子線加速器の機能を維持しつつ加速器本体をコンパクト化させることができるとともに、運転中においても、磁場分布を変更させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、粒子線加速器などで使用される電磁石システムに関するものであり、特に、素粒子実験、原子核実験、医学利用(放射線治療)等を目的とした高エネルギー粒子線加速器の多機能化を可能とし、バルク加工を対象にしたナノ材料の量産化への一歩である重イオン加速器に貢献するものであって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0052】
1:磁場分布可変型電磁石システム
2:第1励磁ユニット(励磁ユニット)
3:第2励磁ユニット(励磁ユニット)
4:励磁電源
5:第1磁性体(C字形状の磁性体)
6:ギャップ
7:往路側励磁コイル
8:復路側励磁コイル
9:第1励磁コイル(励磁コイル)
10:第2磁性体(C字形状の磁性体)
11:往路側励磁コイル
12:ギャップ
13:復路側励磁コイル
14:第2励磁コイル(励磁コイル)
15:真空チャンバ
16:第1ギャップ内磁力線
17:第2ギャップ内磁力線
18:ギャップ内磁力線
21:磁場分布可変型電磁石システム
22:第1電磁石ユニット(励磁ユニット)
23:第2電磁石ユニット(励磁ユニット)
24:第3電磁石ユニット(励磁ユニット)
25:第4電磁石ユニット(励磁ユニット)
26:励磁電源
27:真空チャンバ
28:平面部
29:平面部
30:ベース磁性体(円弧形状の磁性体)
31:第1磁性体(円弧形状の磁性体)
32:第2磁性体(円弧形状の磁性体)
33:励磁コイル
34:空洞(円形空間)
35:磁力線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁力線を発生して、荷電粒子の軌道を制御する電磁石システムにおいて、
荷電粒子の通路となる真空チャンバを囲むように配置される複数の励磁ユニットと、
これら各励磁ユニット毎に、指定された電流方向、電流値の励磁電流を生成して、前記各励磁ユニットを各々、励磁させる励磁電源と、
を備えたことを特徴とする磁場分布可変型電磁石システム。
【請求項2】
請求項1に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、
前記各励磁ユニットは各々、C字形状の磁性体、前記励磁電源から励磁電流が供給されたとき、前記磁性体内に磁力線を発生させる励磁コイルを備え、
前記真空チャンバを囲むように、一方の前記励磁ユニット端部と、他方の前記励磁ユニット端部と対向配置させ、
前記励磁電源から一方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流、他方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流を各々、制御させて、一方の前記励磁ユニット、他方の前記励磁ユニットによって生成されるギャップ内磁力線の磁場分布を制御させる、ことを特徴とする磁場分布可変型電磁石システム。
【請求項3】
請求項2に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、
前記励磁電源は、一方の前記励磁ユニット、他方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流の電流方向、電流値を各々、調整し、前記各励磁ユニットのギャップ内に、2極磁場分布特性、4極磁場分布特性、または機能結合磁場分布特性のいずれかに対応する磁力線を生成させる、ことを特徴とする磁場分布可変型電磁石システム。
【請求項4】
請求項1に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、
前記各励磁ユニットは各々、内面側に2つの突起が形成される円弧形状の磁性体、前記各突起に対し、“8”字状に巻き付けられ、前記励磁電源から励磁電流が供給されたとき、前記各突起、前記磁性体内に磁力線を発生させる励磁コイルを備え、
前記真空チャンバを囲むように、かつ前記各励磁ユニットの各端部のうち、隣り合う端部同士が密着、または近接するように、前記各励磁ユニットを円形に配置し、
前記励磁電源から前記各励磁ユニットに供給する励磁電流を各々、制御させて、前記各励磁ユニットによって画成される円形空間内に生成される磁力線の磁場分布を制御させる、ことを特徴とする磁場分布可変型電磁石システム。
【請求項5】
請求項4に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、
前記励磁電源は、前記各励磁ユニットに供給する励磁電流の電流方向、電流値を各々、調整し、前記各励磁ユニットによって画成される前記円形空間内に、8極磁場分布特性、または4極磁場分布特性のいずれかに対応する磁力線を生成させる、ことを特徴とする磁場分布可変型電磁石システム。
【請求項1】
磁力線を発生して、荷電粒子の軌道を制御する電磁石システムにおいて、
荷電粒子の通路となる真空チャンバを囲むように配置される複数の励磁ユニットと、
これら各励磁ユニット毎に、指定された電流方向、電流値の励磁電流を生成して、前記各励磁ユニットを各々、励磁させる励磁電源と、
を備えたことを特徴とする磁場分布可変型電磁石システム。
【請求項2】
請求項1に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、
前記各励磁ユニットは各々、C字形状の磁性体、前記励磁電源から励磁電流が供給されたとき、前記磁性体内に磁力線を発生させる励磁コイルを備え、
前記真空チャンバを囲むように、一方の前記励磁ユニット端部と、他方の前記励磁ユニット端部と対向配置させ、
前記励磁電源から一方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流、他方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流を各々、制御させて、一方の前記励磁ユニット、他方の前記励磁ユニットによって生成されるギャップ内磁力線の磁場分布を制御させる、ことを特徴とする磁場分布可変型電磁石システム。
【請求項3】
請求項2に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、
前記励磁電源は、一方の前記励磁ユニット、他方の前記励磁ユニットに供給する励磁電流の電流方向、電流値を各々、調整し、前記各励磁ユニットのギャップ内に、2極磁場分布特性、4極磁場分布特性、または機能結合磁場分布特性のいずれかに対応する磁力線を生成させる、ことを特徴とする磁場分布可変型電磁石システム。
【請求項4】
請求項1に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、
前記各励磁ユニットは各々、内面側に2つの突起が形成される円弧形状の磁性体、前記各突起に対し、“8”字状に巻き付けられ、前記励磁電源から励磁電流が供給されたとき、前記各突起、前記磁性体内に磁力線を発生させる励磁コイルを備え、
前記真空チャンバを囲むように、かつ前記各励磁ユニットの各端部のうち、隣り合う端部同士が密着、または近接するように、前記各励磁ユニットを円形に配置し、
前記励磁電源から前記各励磁ユニットに供給する励磁電流を各々、制御させて、前記各励磁ユニットによって画成される円形空間内に生成される磁力線の磁場分布を制御させる、ことを特徴とする磁場分布可変型電磁石システム。
【請求項5】
請求項4に記載の磁場分布可変型電磁石システムにおいて、
前記励磁電源は、前記各励磁ユニットに供給する励磁電流の電流方向、電流値を各々、調整し、前記各励磁ユニットによって画成される前記円形空間内に、8極磁場分布特性、または4極磁場分布特性のいずれかに対応する磁力線を生成させる、ことを特徴とする磁場分布可変型電磁石システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−210561(P2011−210561A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77620(P2010−77620)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(504151365)大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(504151365)大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 (125)
【Fターム(参考)】
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