説明

磁性レオロジー流体組成物及びそれを利用した人工膝

本発明は、1つの実施態様において、一般に人工関節において利用される磁性レオロジー流体に関し、特に、人工膝関節用のための制御可能な制動システムにおいて利用される磁性レオロジー流体に関する。本発明の好ましい磁性レオロジー流体は、分極性鉄粒子、キャリア流体及び必要に応じて添加剤を含む。好ましい実施態様は、誘導体化フルオロポリマーと同様、官能化キャリア流体を包含するが、これに限定されない。好ましいキャリア流体は、ペルフッ素化ポリエーテルを包含するが、これに限定されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの実施態様において、一般に人工関節において利用される磁性レオロジー流体、特に、人工膝関節のための制御可能な制動システムにおいて利用される磁性レオロジー流体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、(i)さまざまな力で一方の材料表面と他方の表面とがこすれる乾燥摩擦ブレーキ、(ii)さまざまなサイズの開口部又はフロー制限プレートを通じて圧縮された作動流体を使用する粘性トルクブレーキ、及び(iii)流体の粘度が印加磁場に応じて変化する、MR流体(流体中に懸濁した鉄微粒子を含む)が固定された開口部又はフロー制限プレートを通じて圧縮される磁性レオロジー(MR)ブレーキ又はダンパーの3種類の可変トルクブレーキが人工膝に採用されていた。これらの技術はそれぞれ、補綴学の分野において従来実践されているものであり、いくつかの欠点が見られる。
【0003】
乾燥摩擦ブレーキは一般に、そのサイズに対し、かなりのトルク範囲を持つが、制御が困難な場合が多いという点で望ましくない。摩擦パッドは、長時間使用した後、磨耗しがちであり、そのため、所定の強制されたトルクに対するブレーキとトルク応答の摩擦特性が変わる。このため、ダンピング性能が信頼できないものとなり、肢切断患者の歩行に悪影響を及ぼし、肢切断患者が不快な思いをすることになるという欠点がある。従って、乾燥摩擦ブレーキは、頻繁な整備及び/又は交換を必要とし、これは望ましくないコスト増につながる。
【0004】
高負荷状態では、粘性トルクブレーキは作動液の漏れの影響を受けやすく、場合によっては、過剰な圧力上昇による損傷を受けることもある。その結果、一度ブレーキ装置が過負荷になると普通の状態に戻らないため不可逆状態を生じる可能性があるという欠点がある。従って、人工関節に使用するこのような粘性トルクブレーキは致命的な故障を発生しがちであり、従って、肢切断患者の安全性の面で信頼性が低く、有害であり得る。
【0005】
特定のMRブレーキ及びダンパーにおいて、MR流体と装置の相互作用は、増加された圧力、シール(seal)劣化又はこれら2つの組み合わせを引き起こす。これらの弊害の可能性のある他の原因は、MR流体の分解である。ひとたびシールが機能しなくなり、又はMR流体が分解されれば、人工膝は、もはや使用に適さない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
好ましい実施態様によれば、分極性粒子、キャリア流体、及び必要に応じて添加剤を含む磁性レオロジー流体(MR流体)が提供される。1つの実施態様において、分極性粒子は、約0.1〜約100ミクロン、好ましくは約0.2〜約50ミクロン、約0.4〜約10ミクロン、又は約0.5〜約9ミクロンのサイズの範囲のみならず、約0.3、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、60、70、80、及び90ミクロン、ならびにそのようなサイズをも包含する範囲の鉄粒子を含む。ある実施態様においては、MR流体の総体積の約1〜約60%(v/v)、好ましくは約10〜約50%(v/v)、約20〜約40%(v/v)のみならず、約5、15、25、30、35、45及び55%(v/v)、ならびにそのようなパーセンテージを包含する範囲の鉄粒子を含む。
【0007】
好適なキャリア流体の候補は、シリコン、炭化水素、エステル類、エーテル類、フッ素化エステル類、フッ素化エーテル類、鉱油、不飽和炭化水素、及び水ベース流体を含むが、これに限定されない。1つの実施態様において、好ましいキャリア流体は、脂肪族炭化水素を含む。他の実施態様においては、好ましいキャリア流体は、ペルフッ素化ポリエーテル(“PFPE”)を含む。
【0008】
1つの実施態様において、好ましい添加剤は、パラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体を含むがこれに限定されない、官能化フルオロポリマーを含む。他の実施態様において、好ましい添加剤は、官能化キャリア流体を含む。単官能化PFPEキャリア流体誘導体の好適な候補は、シラン、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボン酸、アルコール及びアミン官能基を含むが、これに限定されない。二官能化PFPEキャリア流体誘導体の好適な候補は、ジヒドロキシル、エトキシエーテル、イソシアネート、芳香族、エステル及びアルコール官能基を含むが、これに限定されない。1つの実施態様において、好ましい官能化PFPEキャリア流体は、末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)を含む。1つの実施態様において、キャリア流体の約0.1〜約20%(v/v)、好ましくは約1〜約15%(v/v)、又は約2〜約10%(v/v)のみならず、約2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、11、12、13、14、16、17、18及び19%(v/v)、ならびにそのようなパーセンテージを包含する範囲の添加剤を含む。
【0009】
1つの実施態様において、好ましいMR流体は、約28%(v/v)の粒子、ならびに約72%(v/v)の流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)の末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。他の実施態様において、好ましいMR流体は、約32%(v/v)の粒子、ならびに約68%(v/v)流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)の末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。他の実施態様において、好ましいMR流体は、約28%(v/v)の粒子、ならびに約72%(v/v)の流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)のパラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。他の実施態様において、好ましいMR流体は、約32%(v/v)の粒子、ならびに約68%(v/v)流体成分を含み、前記流体成分は、約5%(v/v)のパラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。PFPEオイルを含有する実施態様においては、PFPEオイルは、実質的に全て1種のPFPEオイル又は1種以上PFPEオイルの混合物を含み得る。
【0010】
1つの実施形態において、MR流体は、特に、剪断モード装置において使用されるようにデザインされる。そのような装置に対しては、機械的に硬い粒子が望ましい。また、キャリア流体は、他の流体に比べ、温度変化によって粘度が大幅に変化しないものが望ましい。これは、より高い粘度指数を有する好ましいキャリア流体を用い、粘度指数(試験方法ASTM D−2270)について計測され得る。1つの実施態様において、好ましいキャリア流体は、好ましくは、104及び212°Fにおける動粘度(kinematic viscosity)に基づいて、約100〜約340、約120〜約320、約140〜約300の粘度指数のみならず、160、180、200、220、240、255、260、280、ならびにこれらの量を包含する範囲に及ぶ、粘度指数を有する。これを達成する1つの実施態様は、1種以上のPFPEオイルを含むキャリア流体を含む。例えば、好ましいPFPE流体、UNIFLORTM8510は、粘度指数255を有する。いかなる理論にも束縛されないが、ある実施態様の好ましいPFPEオイルは、狭い分子量の分布のため、望ましい粘度指数を示すと考えられる。また、MR流体は、装置の機能に干渉する、密閉されたチャンバー(chamber)中で大量の蒸気を発生させないことが望ましい。1つの実施態様において、PFPEオイルキャリア流体及び官能化フルオロポリマー添加剤を含む流体成分は、この特性を提供する。いかなる理論にも束縛されないが、ある実施態様の好ましいPFPEオイルは、それらが、より大きい分子量(例えば、約2,000〜約15,000)を有し、従って、大量の蒸気を生じないことから、他のオイルよりも揮発性が低い(すなわち、蒸気圧が低い)と考えられる。
【0011】
加えて、剪断モード装置は、例えば、1つの実施形態におけるトルク発生が、約0.1〜約200ニュートンメーター、より好ましくは約0.3〜約150ニュートンメーター、さらに好ましくは約0.5〜約100ニュートンメーターである可能性があるのみならず、約0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50及び75ニュートンメーターをも含む、十分なトルクを提供すべきである。1つの実施態様において、MR流体に対する、鉄粒子等の粒子の十分な比率を維持することは、これを提供する。1つの実施態様において、好適な比率は、鉄粒子を、MR流体の総体積の約1〜約60%(v/v)、好ましくは約10〜約50%(v/v)、より好ましくは約20〜約40%(v/v)を含むのみならず、約5、15、25、30、35、45及び55%(v/v)、ならびにこれらのパーセンテージを包含する範囲をも含む場合に、達成される。
【0012】
好ましい実施態様により、分極性粒子、キャリア流体、及び必要に応じて添加剤を含む、人工膝、例えば、U.S.特許公開2001/0029400A1に記載される膝に使用される、MR流体が提供される。1つの実施態様において、人工膝は、互いに関連した剪断動作に適合された近接する少なくとも2つの表面を含み、ここで、MR流体は、前記近接した表面間に含まれる。1つの実施態様において、膝と組み合わせて使用されるMR流体は、PFPEオイルキャリア流体及び上記の分極性粒子等の粒子を含む。1つの実施態様において、分極性粒子は、約0.1〜約100ミクロン、好ましくは約0.2から約50ミクロン、より好ましくは0.4〜約10ミクロン、さらに好ましくは約0.5〜約9ミクロンのサイズのみならず、約0.3、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、60、70、80及び90ミクロン、ならびにこれらのサイズを包含する範囲の鉄粒子を含む。ある実施態様において、鉄粒子はMR流体の総体積の約1〜60%(v/v)、好ましくは約10〜約50%(v/v)、より好ましくは約20〜約40%(v/v)含むのみならず、約5、15、25、30、35、45及び55%(v/v)、ならびにそのようなパーセンテージを包含する範囲で含む。
【0013】
他の実施態様において、必要に応じて人工膝と組み合わせて使用されるMR流体は、添加剤を含む。1つの実施態様において、好ましい添加剤は、官能化フルオロポリマー、より好ましくはパラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体を含む。他の実施態様において、好ましい添加剤は、官能化キャリア流体を含む。単官能化PFPEキャリア流体誘導体の好適な候補は、シラン、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボン酸、アルコール及びアミン官能基を含むが、これに限定されない。二官能化PFPEキャリア流体誘導体の好適な候補は、ジヒドロキシル、エトキシエーテル、イソシアネート、芳香族、エステル及びアルコール官能基を含むが、これに限定されない。1つの実施態様において、好ましい官能化PFPEオイルは、末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)を含む。1つの実施態様においては、キャリア流体の約0.1〜約20%(v/v)、好ましくは約1〜約15%(v/v)、より好ましくは約2〜約10%(v/v)を含むのみならず、約2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、11、12、13、14、16、17、18及び19%(v/v)、ならびにこれらの量を包含する範囲の添加剤を含む。
【0014】
他の実施態様において、MR流体を保持する膝の通路(passage)又はキャビティ(cavity)は、約1〜約10ml、好ましくは約2〜約9ml、より好ましくは約3〜約8mlの体積を含むのみならず、約4、5、6及び7ml、ならびにこれらの体積を包含する範囲の体積をも含む。1つの実施態様において、MR流体は、キャビティの最大容積(capacity)の約70%を満たすが、約50〜約100%、同様に約55、60、65、75、80、85、90及び90%の範囲を満たし、これらの量を包含する範囲も許容できる。
【0015】
他の実施態様において、1つの実施態様において剪断モードの人工膝と組み合わせて使用されるMR流体は、約10〜約115°Fのみならず、約20、30、40、50、60、70、80、90、100及び110°Fも含む温度範囲に亘って、操作可能なMR流体を利用する。1つの実施態様における操作性は、粘度に依存し、ここで、キャリア流体は、望ましくは、104°Fにて、約10〜100cSt(センチストークス)、より好ましくは約30〜約80cSt、さらに好ましくは約50〜約70cStのみならず、約10、20、25、35、40、45、55、60、65、75、85、90及び95cStをも含む粘度を有する。
【0016】
望ましくは、1つの実施態様における剪断モードの人工膝の操作は、好ましくは約−70〜−40℃、約−65〜約−45℃のみならず、約−50℃、−55℃、及び−60℃、ならびにこれらの温度を包含する範囲の流動点(pour point)を有するキャリア流体を、好ましく利用する。他の実施態様において、剪断モードの人工膝の操作は、好ましくは121℃にて約0.01%〜約20%、約0.02%〜約15%、0.03%〜約12%のみならず、約0.05%、0.08%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.7%、0.9%、1%、3%、5%、7%、9%、17%、ならびにこれらのパーセンテージを包含する範囲のパーセント揮発度を有するキャリア流体を、好ましく利用する。
【0017】
1つの実施態様において、剪断モードの人工膝と組み合わせて使用される好ましいMR流体は、約28%(v/v)の粒子、及び約72%(v/v)の流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)の末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。他の実施態様において、剪断モードの人工膝と組み合わせて使用される好ましいMR流体は、約32%(v/v)の粒子、ならびに約68%(v/v)流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)の末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。他の実施態様において、剪断モードの人工膝と組み合わせて使用される好ましいMR流体は、約28%(v/v)の粒子、ならびに約72%(v/v)の流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)のパラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。他の実施態様において、好ましいMR流体は、約32%(v/v)の粒子、ならびに約68%(v/v)流体成分を含み、ここで前記流体成分は、約5%(v/v)のパラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。PFPEオイルを含有する実施態様においては、PFPEオイルは、実質的に全て1種のPFPEオイル又は1種以上PFPEオイルの混合物を含み得る。
【0018】
これら全ての実施態様は、ここに開示される本発明の範囲内にあると意図される。本発明のこれら及び他の実施態様は、下記の添付の図面を参照する好ましい実施態様の詳細な説明から、当業者に容易に明らかとなり、本発明は、開示されるいかなる特定の好ましい実施態様に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ここに開示されるのは、磁性レオロジー膝ブレーキ又はアクチュエーターにおける使用に好適な磁性レオロジー流体(MR流体)である。より詳しくは、開示されるMR流体は、例えば、MR流体が平行プレート間又は内シリンダー及び外シリンダー間の環状(annular)スペース等の近接する表面間に提供される、剪断モードで操作される人工膝関節に適用され得る。ここに記載されるMR流体を適用し得る磁性レオロジー膝ブレーキ又はアクチュエーターのある実施態様は、U.S.特許公開2001/0029400A1(出願番号第09/767,367)、出願日2001年1月22日、発明の名称“電子制御人工膝”に記載され、その開示の全てが、ここに参考として援用される。U.S.特許公開2001/0029400A1の図4及び5に対応する図1及び2もまた、ここに記載されるMR流体を使用し得る磁性レオロジー膝ブレーキ又はアクチュエーターのある実施態様を図示する。磁性レオロジー膝ブレーキ又はアクチュエーターの制御スキーム及びシステムのある実施態様は、同時係属U.S.特許公開2002/0052663A1(出願番号09/823,931)、出願日2001年3月29日、発明の名称“速度適合性及び患者適合性人工膝”に記載され、その開示の全てが、ここに参考として援用される。しかしながら、ここに記載されるMR流体は、他の剪断モードで操作される装置を含む(ただしこれに限定されない)、MR流体を利用する他の装置、に適用し得ることが、理解される。
【0020】
1つの実施例において、磁性レオロジー流体は、好ましくは流体中に懸濁された複数の鉄、第一鉄(ferrous)又は磁性粒子を含む。これらの懸濁された粒子は、印加磁場に応じて、トルクを発生する鎖(chain)を形成する。従って、磁性レオロジー(MR)流体は、印加磁場の大きさに依存する、レオロジーあるいは粘度変化又は変動を受ける。言い換えると、バルク流体粘度(bulk fluid viscosity)におけるこの変動により、発生した剪断力/応力又はトルクの大きさが測定され、従って、人工膝又は他の装置によって提供されたダンピング又は制動のレベルが決まる。通常、MR流体のバルク粘度は、印加磁場(field)の強度の増加に伴って増加する。この磁場の大きさを制御することによって、義肢の回転運動が、迅速かつ正確に調整及び/又は制御され、例えば、振れ及び姿勢フェーズでの屈曲及び伸長が制御され、肢切断患者がより自然で安全に歩行できる。好ましくは、MR流体は、1以上の以下の特性:高い磁性フラックスキャパシティ(magnetic flux capacity)及び低い残留磁気(magnetic remanence)及び低い粘度、他方大きな磁場が剪断ストレスを誘発させ、その結果有利にも、1つの実施態様における人工膝が、幅広い動的トルク範囲(dynamic torque range)を提供する。
【0021】
1つの実施態様において、MR流体は、好ましくは、分極性第一鉄(ferrous)又は鉄粒子を有するキャリア流体を含む。ここで使用されるように、用語キャリア流体は、通常の意味において使用される広義の用語であり、以下に記載される特定のキャリア流体が主成分である実施態様、ならびに該キャリア流体が下記の添加剤と同様にこれらの特定の流体を含む実施態様を含む。加えて、下記の添加剤が、主要なキャリア流体である実施態様をも意図される。US2001/0029400A1のロータ−ステータ表面間に使用される場合のように、1つの実施態様において、これらの粒子は1ミクロン又は数ミクロンオーダーのサイズを有する。理想的には、剪断速度が増加するに伴ってMR流体粘度が減少する場合に、MR流体は、剪断速度低下挙動(shear rate thinning behavior)を呈する。これは、有利に、ゼロ磁場条件下における各ロータ−ステータペア間のMR流体の剪断による粘性トルクを最小化し(すなわち、電磁石が活動されていない場合)、それ故に、より大きな操作トルク範囲(operating torque range)を可能にする。さらに、1つの実施態様において、望ましくは、人工膝と組み合わせて使用されるMR流体は、低いオフ状態(off-state)粘度を呈し、従って、トルクとしての低いオフ状態トルクは、MR流体粘度に比例する。ある実施態様における好ましいMR流体の粘度は、1以上の以下:粒子添加量(particle loading)の増加又は減少、添加剤を含有させること、キャリア流体の変化、又は2以上のキャリア流体の混合、によって変化され得る。
【0022】
キャリア流体の好適な候補は、シリコン、炭化水素、エステル類、エーテル類、フッ素化エステル類、フッ素化エーテル類、鉱油、不飽和炭化水素、及び水ベース流体を含むが、これに限定されない。1つの実施態様において、キャリア流体は、実質的に全て1種の流体を含む。他の実施態様において、キャリア流体は、1以上のキャリア流体の混合物である。1つの実施態様において、キャリア流体は、好ましくは、脂肪族炭化水素を含む。他の実施態様において、キャリア流体は、好ましくは、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロアルキルエーテル又はペルフルオロポリアルキルエーテル流体としても知られる、ペルフルオロポリエーテル(PFPE)流体を含む。特定の実施態様において、好ましいPFPEオイルは、以下の化学構造を有するヘキサフルオロプロピレンエポキシドのフッ素エンドキャップド分岐鎖ホモポリマーを含む:
【0023】
【化1】

【0024】
他の実施態様において、好ましいPFPEオイルは、以下の構造を有するペンダントトリフルオロメチル基、(−CF)を含む分岐鎖PFPEを含む:
【0025】
CFCF2CF2O-[CF(CF)CF2-O-]nCF2CF
式中、n=5〜65
他の実施態様において、好ましいPFPEオイルは、以下の構造を有する直鎖PFPEを含む:
【0026】
CFO-[CF2CF2-O-]z [CF2-O-]pCF
式中z:pの比は、約0.5:1〜2:1、及びz+pは、約40〜約180である。他の実施態様において、好ましいPFPEオイルは、以下の構造を有する直鎖PFPEを含む:
【0027】
CFCF2CF2O-[ CF2CF2CF2-O-]nCF2CF
式中、n=10〜50
【0028】
他の実施態様において、好ましいPFPEオイルは、ペルフルオロプロピルポリエーテルを含む。現在意図されているように、好ましいペルフッ素化ポリエーテルは、Nye Lubricants(Fairhaven, MA, USA)から購入でき、UNIFLORTM8510、UNIFLORTM8130、UNIFLORTM8140、UNIFLORTM8730及びUNIFLORTM8970を含むが、これに限定されない。好適なペルフッ素化ポリエーテルは、E.I. du Pnt de Nemours and Company, (Wilmington, DE, USA)からも入手することが可能であり、Krytox(登録商標)GPL-103、Krytox(登録商標)L-65オイル、Krytox(登録商標)XP 1A4オイル、Krytox(登録商標)L-100、Krytox(登録商標)1525、Krytox(登録商標)1525S及びKrytox(登録商標)1531を含むが、これに限定されない。
【0029】
好ましいキャリア流体の性能特性を向上させるために、好ましい実施態様のキャリア流体に、必要に応じて、他の成分を加えることができる。いくつかの実施態様において、好ましい添加剤は、官能化キャリア流体を含み得るが、これに限定されない。ペルフッ素化ポリエーテルを含む実施態様において、望ましい添加剤は、誘導体化されたフルオロポリマーと同様に、官能化PFPEオイルをも含むが、これに限定されない。モノ官能化PFPE誘導体の好適な候補は、シラン、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボン酸、アルコール及びアミン官能基を含むが、これに限定されない。二官能化PFPE誘導体の好適な候補は、ジヒドロキシル、エトキシエーテル、イソシアネート、芳香族、エステル及びアルコール官能基を含むが、これに限定されない。より詳しくは、ペルフッ素化ポリエーテルを含む1つの実施態様において、好ましい官能化PFPEオイルは、末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)を含む。現在意図されているように、好ましい官能化PFPEオイルは、E.I. du Pnt de Nemours and Company, (Wilmington, DE, USA)から入手可能な、Krytox(登録商標)157FSL及びKrytox(登録商標)157FSMである。他の実施態様において、好ましいフルオロポリマーは、パラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体を含む。現在意図されているように、好ましいパラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体添加剤は、Solvay Solexis (Thorofare, NJ, USA) から入手可能なFOMBLIN DA 306である。
【0030】
分極性第一鉄(ferrous)又は鉄粒子の好適な候補は、約0.1〜約100ミクロン、好ましくは約0.2〜約50ミクロン、より好ましくは約0.4〜約10ミクロン、さらに好ましくは約0.5〜約9ミクロンのみならず、約0.3、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、60、70、80、及び90ミクロン、ならびにこれらのサイズを包含する範囲のサイズの粒子を含むが、これに限定されない。ある実施態様において、好ましい粒子は、機械的に硬い。現在意図されているように、好ましい鉄粒子は、BASF AG (Ludwigshafen, Germany)から入手可能であり、BASF Carbonyl Iron Powder OM、BASF Carbonyl Iron Powder HQ、BASF Carbonyl Iron Powder HS、BASF Carbonyl Iron Powder EW、BASF Carbonyl Iron Powder HS-I及びBASF Carbonyl Iron Powder HL-Iを含むが、これに限定されない。他の好適な鉄粒子は、ISP Corporation (Wayne, NJ, USA)からも入手可能である。当業者に周知の他の好適な第一鉄(ferrous)又は鉄粒子を、使用することもできる。関連する実施態様において、鉄以外の磁性又は強磁性材料含む粒子を、単独又は鉄ベースの粒子と組み合わせて使用することができる。
【0031】
好ましい実施態様によれば、MR流体組成物は、分極性鉄粒子、PFPEキャリア流体及び添加剤を含む。1つの実施態様においては、MR流体の総体積の約1〜約60%(v/v)、好ましくは約10〜約50%(v/v)、より好ましくは約20〜約40%(v/v)含むのみならず、約5、15、25、30、35、45及び55%(v/v)、ならびにそのようなパーセンテージを包含する範囲の鉄粒子を含む。適切な%(v/v)を達成するために必要な粒子の重量を測定するため、必要な体積を、粒子の密度で乗じた。1つの実施態様においては、キャリア流体の約0.1〜約20%(v/v)、好ましくは約1〜約15%(v/v)、より好ましくは約2〜約10%(v/v)を含むのみならず、約2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、11、12、13、14、16、17、18及び19%(v/v)、ならびにそのようなパーセンテージを包含する範囲の添加剤を含む。例えば、1つの実施態様において、好ましいMR流体は、約28%(v/v)の鉄粒子、ならびに約72%(v/v)の流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)のパラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体添加剤及び約95%(v/v)のPFPEキャリア流体を含む。他の実施態様において、好ましいMR流体は、約32%(v/v)の粒子、ならびに約68%(v/v)流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)のパラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。他の実施態様において、好ましいMR流体は、約28%(v/v)の粒子、ならびに約72%(v/v)の流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)の末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。他の実施態様において、好ましいMR流体は、約32%(v/v)の粒子、ならびに約68%(v/v)流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)の末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。PFPEオイルを含有する実施態様においては、PFPEオイルは、実質的に全て1種のPFPEオイル又は1種以上PFPEオイルの混合物を含み得る。
【0032】
MR流体成分は、任意の順序および攪拌、かき混ぜ(agitation)、超音波処理(sonification)又は混和を含むが、これに限定されない任意の好適な手段で混合することが可能である。好ましい実施態様によれば、添加剤は、最初にキャリア流体と混合され、そして攪拌される。キャリア流体は、鉄粒子に添加され、そして成分が攪拌される。その後、粒子は、超音波処理によって分散される。結果として得られたMR流体を、その後加熱する。詳細な実施例は、下記の実施例の欄において提供される。
【0033】
ここに記載されるMR流体が、例えば、U.S.特許公開2001/0029400A1において記載される膝のように人工膝と組み合わせて使用される場合、膝と同様に流体の特定の特徴が、所望され得る。1つの実施態様において、U.S.特許公開2001/0029400A1の図4及び図5に示されるように、膝は複数のロータ及びステータ間にMR流体を保持するためのキャビティ及び通路を含み得る。ある実施態様におけるロータ及びステータの数は、膝と組み合わせて使用されるMR流体のオフ状態又はローエンド(low-end)トルク特性を修正するために、増加又は減少され得る。1つの実施態様において、好ましくは、ロータ及びステータの数は、約50〜90、好ましくは約55〜約70に及ぶのみならず、約57、59、61、63、65、67、ならびにこれらの量を包含する範囲をも含む。膝のキャビティは、約1〜約10ml、好ましくは約2〜約9ml、より好ましくは約3〜約8mlの体積を含むのみならず、約4、5、6及び7mlの体積をも含み得る。1つの実施態様において、MR流体は、このキャビティの総体積の約70%を満たすが、約50〜約100%、同様に約55、60、65、75、80、85、90及び90%の範囲であってもよい。MR流体は、有利に、1以上の以下:比較的低い揮発度、安定な粘度、熱安定性及び安定な組成を示す。加えて、ある実施態様において、MR流体を含有するキャビティ又は通路は、望ましくない圧力レベルを呈さないことが望ましい。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、好ましくない流体は、人工膝内における圧力を望ましくないレベルにまで増加する原因となる、ガスを放出するか又は揮発する可能性があると考えられる。圧力が高すぎると、人工膝シールの完全性が、危うくなり(compromised)得る。ある実施態様において、MR流体を利用する人工膝は、約0.1〜約200ニュートンメーター、より好ましくは約0.3〜約150ニュートンメーター、さらに好ましくは約0.5〜約100ニュートンメーターのみならず、約0.8、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50及び75ニュートンメーターをも含む、トルクを生み出すことが望ましい。
【0034】
望ましくは、1つの実施態様における剪断モードの人工膝の操作は、約10〜約115°Fのみならず、約20、30、40、50、60、70、80、90、100及び110°Fも含む温度範囲に亘って、操作可能なMR流体を利用する。1つの実施態様における操作性は粘度に依存し、ここで、キャリア流体は、望ましくは、104°F(40℃)にて、約10〜約100cStの粘度、より好ましくは約30〜80cStの粘度、さらに好ましくは約50〜約70cStの粘度のみならず、約10、20、25、35、40、45、55、60、65、75、85、90及び95cStをも含む粘度を有する。ある実施態様における好ましいMR流体の粘度は、1以上の以下:粒子添加量の増加又は減少、添加剤を含有させること、キャリアオイルの変化、又は2以上のキャリアオイルの混合、によって修正され得る。
【0035】
1つの実施形態において、MR流体は、特に、剪断モード装置における使用のためにデザインされる。そのような装置に対しては、機械的に硬い粒子が望ましい。また、キャリア流体は、他の流体に比べ、温度変化によって粘度が大幅に変化しないものが望ましい。これは、より高い粘度指数を有する好ましいキャリア流体を用いて、粘度指数(試験方法ASTM D−2270)について計測され得る。1つの実施態様において、好ましいキャリア流体は、好ましくは、104及び212°Fにおける動粘度(kinematic viscosity)に基づいて、約100〜約340、約120〜約320、約140〜約300の粘度指数のみならず、160、180、200、220、240、255、260、280、ならびにこれらの量を包含する範囲の粘度指数を有する。これを達成する1つの実施態様は、1種以上のPFPEオイルを含むキャリア流体を含む。例えば、好ましいPFPE流体、UNIFLORTM8510は、粘度指数255を有する。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、ある実施態様の好ましいPFPEオイルは、狭い分子量分布のため、望ましい粘度指数を示すと考えられる。また、MR流体は、装置の機能と干渉するような、密閉されたチャンバー(chamber)中で大量の蒸気を発生させないことが望ましい。1つの実施態様において、PFPEオイルキャリア流体及びフルオロポリマー添加剤を含む流体成分は、この特性を提供する。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、ある実施態様の好ましいPFPEオイルは、それらが、より大きい分子量(例えば、約2,000〜約15,000)を有し、従って、大量の蒸気を生じないことから、他のオイルよりも揮発性が低い(すなわち、蒸気圧が低い)と考えられる。
【0036】
望ましくは、1つの実施態様における剪断モードの人工膝の操作は、好ましくは約−70〜−約40℃、約−65℃〜約−45℃のみならず、約−50℃、−55℃、−60℃、ならびにこれらの温度を包含する範囲の流動点(pour point)(試験方法ASTM D−97)を有するキャリア流体を、好ましく利用する。ASTM D−97法は、オイルの動きが観察される最低の温度として、“流動点(pour point)”を定義する。他の実施態様において、剪断モードの人工膝の操作は、好ましくは121℃にて(試験方法ASTM D−972)約0.01%〜約20%、約0.02%〜約15%、約0.03%〜約12%のみならず、約0.05%、0.08%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.7%、0.9%、1%、3%、5%、7%、9%、17%、ならびにこれらのパーセンテージを包含する範囲の、パーセント揮発度を有するキャリア流体を、好ましく利用する。
【0037】
より詳しくは、前記の人工膝と組み合わせて使用される場合、ある実施態様における使用のための望ましいMR流体は、キャリア流体及び分極性粒子を含む。より詳しくは、人工膝と組み合わせて使用される1つの実施態様において、MR流体は、1以上のPFPEオイルキャリア流体及び分極性粒子を含む。1つの実施態様において、鉄粒子を、MR流体の総体積の約1〜約60%(v/v)、好ましくは約10〜約50%(v/v)、より好ましくは約20〜約40%(v/v)含むのみならず、約5、15、25、30、35、45及び55%(v/v)、ならびにこれらのパーセンテージを包含する範囲をも含む。
【0038】
他の実施態様において、人工膝と組み合わせて使用されるMR流体は、必要に応じて添加剤を含み得る。好適な添加剤は、フルオロポリマーと同様に、官能化キャリア流体を含むが、これに限定されない。1つの実施態様において、MR流体の総体積の約1〜約60%(v/v)、好ましくは約10〜約50%(v/v)、より好ましくは約20〜約40%(v/v)含むのみならず、約5、15、25、30、35、45及び55%(v/v)、ならびにこれらの量を包含する範囲の鉄粒子を含む。1つの実施態様において、キャリア流体の約0.1〜約20%(v/v)、好ましくは約1〜約15%(v/v)、より好ましくは約2〜約10%(v/v)を含むのみならず、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、11、12、13、14、16、17、18及び19%(v/v)の添加剤を含む。例えば、1つの実施態様において、剪断モードの人工膝と組み合わせて使用される好ましいMR流体は、約32%(v/v)の粒子、ならびに約68%(v/v)流体成分を含み、前記流体成分は、約5%(v/v)のパラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体添加剤及び約95%(v/v)のペルフッ素化ポリエーテルキャリア流体を含む。他の実施態様において、剪断モードの人工膝と組み合わせて使用される好ましいMR流体は、約28%(v/v)の粒子、ならびに約72%(v/v)の流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)のパラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体添加剤及び約95%(v/v)のペルフッ素化ポリエーテルキャリア流体を含む。他の実施態様において、剪断モードの人工膝と組み合わせて使用される好ましいMR流体は、約32%(v/v)の粒子、ならびに約68%(v/v)流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)の末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。他の実施態様において、剪断モードの人工膝と組み合わせて使用される好ましいMR流体は、約28%(v/v)の粒子、及び約72%(v/v)の流体成分を含み、ここで、前記流体成分は、約5%(v/v)の末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有するポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)添加剤及び約95%(v/v)のPFPEオイルキャリア流体を含む。PFPEオイルを含有する実施態様においては、PFPEオイルは、実質的に全て1種のPFPEオイル又は1種以上PFPEオイルの混合物を含み得る。
【0039】
成分は、任意の順序で混合され、攪拌、かき混ぜ(agitation)、混和又は超音波処理(sonification)を含むが、これに限定されない、あらゆる好適な方法によって混合され得る。好ましい実施態様によれば、MR流体は、上記のように調製される。人工膝に充填される前に、MR流体は、あらゆる溶解したガスを除去するために高速攪拌器を用いて真空下で攪拌される。好ましい実施態様において、MR流体は、人工膝に充填される前に、真空下で、約90〜約160°F、より好ましくは約100〜150°F、さらに好ましくは約110〜130°Fのみならず、約95、105、115、120、122、125、135、140、145及び155°Fまで加熱される。
【0040】
他の実施態様において、MR流体は、真空下に置かれる前に、周囲圧力(ambient pressure)にて加熱される。真空下の間、MR流体のかき混ぜ又は攪拌は、好ましいが必要ではない。真空下からMR流体を解放した後、MR流体は、人工膝内に充填される。人工膝の装入は、MR流体を膝に添加することを必要とし、その後、膝を真空下に置く。真空下の間、必要に応じて膝を揺り動かす。真空圧力を減少するため、真空チャンバー内に不活性ガスを添加する。ひとたび真空から完全に解放されれば、人工膝を除き、閉じられる。真空充満工程は、流出する空気が漏斗から十分なMR流体を吹き出させ、流体体積補充(fluid volume replenishment)を必要とするため、注意深くモニターされるべきである。
【実施例】
【0041】
実施例1−MR流体の調製
MR流体を調製するために、添加剤を、キャリア流体と混合し、攪拌した。キャリア流体を、鉄粒子に添加し、成分を攪拌した。Brason Digital Sonifier, Model 450を、キャリア流体中に鉄粒子を分散させるために使用した。その後、MR流体を、プローブの大部分が、混合ジャー(mixture jar)の底に接触せずにMR流体中に浸漬されるように、プローブを調整し、ソニファイアー(sonifier)テーブル上に置いた。その後、MR流体を、ソニファイアーテーブルを回転させながら、50%強度にて1.5分間、超音波処理した。混合物が熱くなりすぎないことを確実にするため、MR流体を、定期的にチェックした。MR流体を冷却するために、ファンを用いた。一度このサイクルが完了した際、ジャーの壁に付着したあらゆる粒子を洗い流すために、ジャーを回転させた。その後、超音波破砕工程を、さらに2度繰り返した。完了後、MR流体をソニファイアーから移動させ、MR流体中に凝集塊がないことを確実にするため、MR流体の最後の攪拌を行った。その後、MR流体を、50℃(122°F)にて2時間、オーブン中に置いた。
【0042】
実施例2−人工膝へのMR流体の充填
MR流体を調製後、あらゆる小さな凝集体を破砕するため攪拌した。その後、MR流体を、真空チャンバー攪拌器のもとに置き、ベルジャー(bell jar)を流体及び攪拌器上に置いた。攪拌器のスイッチを入れ、残存する空気を抜き出すため、30分間、29.4”Hgにて真空(vacuum)が適用された。流体を、泡がなくなるまで攪拌した。その後、攪拌器及び真空器のスイッチを切り、圧力を徐々に上げた。その後、容器を真空チャンバーから取り除いた。
【0043】
次いで、MR流体の計測された体積を、人工膝アクチュエーター中に挿入された漏斗に移した。この膝を、真空チャンバー中に置き、チャンバーをベルジャーで密閉した。真空を、徐々に28”Hgに下げた。この作業の間、膝を、定期的に揺り動かした。
【0044】
真空チャンバーを、真空を除くために徐々に窒素ガスで満たした。真空を、10秒毎に約2”Hgにて、徐々に解放した。膝の中に流体を通すのを促進するために、膝を揺り動かした。ゲージがゼロを示したときに、真空チャンバーから窒素の接続を断った。その後、真空チャンバーの封を切り、膝を取り除いた。その後、漏斗を膝から取り外した。この工程の間、膝を傾けないように注意した(これは、窒素ヘッド(nitrogen head)の放出を引き起こす可能性がある)。適当なセットスクリュー(set screw)を挿入し、約2.5Nmのトルクをスクリューに適用することによって、膝を閉じた。
【0045】
実施例3−MR流体沈降試験
沈降試験を、13の異なるMR流体に対して行った。沈降速度は、大きく異なり、鉄粒子サイズ、添加剤の使用及び流体の粘度の関数であることがわかった。
【0046】
沈降試験の手順
MR流体を、キャリアオイルと、添加剤あり又は添加剤なしで、カルボニル鉄粒子の計量されたアリコートを含むジャーに添加することによって配合した。添加剤を含む配合物に対しては、鉄粒子と混合する前に、添加剤をキャリアオイルと混和(blend)させた。この成分を、手で数分間混合し、その後、Branson Digital Sonifier, Model 450によって供給された高周波数超音波エネルギーを使用して、鉄粒子を分散させた。流体は、各サイクルが1.5分の持続時間を有し、約50%の力の大きさ(power amplitude)を有する、2〜3サイクルの超音波エネルギーを受けた。その後、流体を、完全な鉄粒子の分散を確実にするために、再度、手で混合した。沈降試験の開始前に、流体は、脱気されていない。
【0047】
よく混合されたそれぞれのMR流体の約8mLを、10mLの目盛り付きシリンダーに移した。各シリンダーの首の中に、すりガラスストッパーを置くことによって、シリンダーを閉じた。
【0048】
MR流体の初期体積を記録し、21日間の規則的間隔で、沈降材料の体積を読み、記録した。MR流体から分離され、MR流体の上部に浮いている、キャリアオイルの体積を初期流体体積で割ったものとして、沈降の画分を定義した。
【0049】
【表1】

【0050】
結果
一般に、最も大きな鉄粒子、OMグレード(grade)が(特に、配合物中にDupont 157 FSL添加剤を包含することによって流体の粘度が低減された場合)、最も速く沈降した。しかしながら、より大きなOMグレード粒子の沈降曲線は、最初は急であり、その後、10〜14日後に水平になった。より小さい鉄粒子(HS及びHQグレード)の沈降速度は、21日間の試験期間を通して、ほぼ直線状であった。
【0051】
全体的に、低い沈降速度を有するMR流体は、後の人工膝におけるベンチテストの間、より長い寿命とより優れた耐久性を示した。高い沈降速度を有するMR流体は、硬い固まった鉄粒子を生じた。これらの流体は、後の人工膝におけるベンチテストにおいて成績が劣っていた。低い沈降速度を有するMR流体は、軟らかい沈降した鉄粒子を生じた。一般に、これらの流体は、後の人工膝ベンチテストにおいて、成績が良かった。
【0052】
実施例4−粘度及び剪断速度試験
3つの混合キャリアオイル及び混合キャリアオイルから作製された6つのMR流体の動的粘度(dynamic viscosity)を剪断速度の関数として計測した。粘度測定を、平行プレートサンプルセルを用いてRheometric Scientific (TA Instruments) RFS-IIレオメーターを使用し、周囲温度(22℃)にておこなった。全ての試料を、約1ccの試料で2回試験した。試料のうち5つを、最初の試料の混合が不完全であったことから、2日目に2回の再試験(rerun)を行った。
【0053】
混合キャリア流体を含有するMR流体と同様に、混合キャリア流体の試料を、試験した。試料及び粘度測定は、以下の通りである:
【0054】
【表2】

【0055】
上記の試料に対して、周囲温度(22℃)で計測された動的粘度曲線は、図3、4及び5において図示される。図3は、3種の混合キャリアオイル、A〜C、及び100%((v/v))Nye 8510オイルの試料に対する剪断速度曲線に対する粘度、ηを表す。全ての混合キャリアオイルは、Nye 8510よりも低い粘度を有する。典型的なNye 8510オイルの粘度規格値は、40℃にて65cSTであるのに対し、Dupont GPL-103オイルは、40℃にて30cSTの粘度を有する。
【0056】
図4は、32%((v/v))のHS鉄粒子を含有する3つの混合キャリアオイルMR流体及び100%Nye 8150キャリアオイル及び32%((v/v))のHS鉄を含有するMR流体の剪断速度曲線に対する、粘度、ηを表す。混合キャリアオイルMR流体の粘度は、Nye 8150のみを含有するMR流体よりも小さかった。このデータは、キャリアオイルの粘度を低減させることによって、MR流体の粘度を小さくすることが可能であることを示した。混合キャリアオイルMR流体の粘度は、キャリアオイルに添加されるGPL-103の量に比例して低下した。3つの混合MR流体は、これらの流体の粘度が剪断速度に伴って継続的に変化するにつれ、非ニュートン挙動(Non-Newton behavior)を呈した。これらの流体の粘度は、100s−1の剪断速度における対応するキャリアオイルの約6倍であった。
【0057】
図5は、40%((v/v))のHS鉄粒子を含有する3つの混合(mix)キャリアオイルMR流体の剪断速度曲線に対する、粘度、ηを表す。これらの流体の粘度は、32%((v/v))鉄を含有するMR流体の粘度よりも大幅に大きかった。40%((v/v))の鉄を含有する、混合キャリアオイルMR流体の粘度は、大量のGPL-103を含む流体に対して低かったが、B-40の粘度曲線は、予想よりも高かった。この明らかな例外(anomaly)は、粘度計測の前の粘性のある40%((v/v))鉄MR流体の不完全な混合によって引き起こされた可能性が最も高い。3つのMR流体は、これらの流体の粘度が剪断速度に伴って継続的に変化するにつれ、非ニュートン挙動を呈した。これらの流体の粘度は、100s−1の剪断速度における対応するキャリアオイルの約12倍であった。
【0058】
図6は、3つの混合キャリアオイルの粘度とNye 8510の比較、及び6つの混合キャリアオイルMR流体の粘度とNye 8510のみを含有するMR流体の粘度の比較を要約する。Nye 8510は、100s−1において240cPの粘度を有したのに対し、3つの混合キャリアオイルは、200cPを十分に下回った。Nye 8510及び32%((v/v))鉄のみ、すなわちHS8510FS5-32、を含有するMR流体は、100s−1において1,100cPの粘度を有するのに対し、混合キャリアオイル及び32%((v/v))鉄を含有するMR流体は、50、67及び75%の((v/v))Nye 8510を含有する流体に対して、それぞれ、100s−1において680、780及び917cPの粘度を有した。32%((v/v))鉄を含有するMR流体の粘度は、より粘性のNye 8510の増量に伴って、増加した。40%((v/v))鉄を含有するMR流体の粘度も、Nye 8510の増量に伴って増加した。
【0059】
結果は、3つのキャリアオイルは、近いニュートン挙動を呈するのに対し、6つのMR流体は、全て非ニュートン挙動を呈したことを示唆する。MR流体の粘度は、鉄配合(loading)及びキャリアオイル粘度の関数として示された。32%((v/v))の鉄配合を有するMR流体について、粘度は、対応するキャリア流体の粘度の約6倍であった。40%((v/v))の鉄配合を有するMR流体について、粘度は、対応するキャリア流体の粘度の約12倍であった。全てのMR流体は、シニング(thinning)、すなわち、特に低い剪断速度における、剪断速度の関数としての粘度の減少、を示す。
【0060】
実施例5−人工膝試験
剪断モードで操作される多数の人工膝を、様々なMR流体で満たし、流体性能(fluid performance)、ローエンドトルク、キャビティ圧(cavity pressure)及び全体的な膝の耐久性について試験した。試験は、肢切断患者による膝の使用をシミュレートするために行われた。特別注文の試験ベンチとLabVIEWデータ取得ソフトウェア(National Instruments)を連結させて用い、膝を試験した。試験機械は、加速された膝の使用をシミュレートするために、1日に32,000サイクルの割合で人工膝を回転させた。様々に変化する形態の人工膝が、多数のMR流体組成物と共に使用された。目標は、膝が故障することなく三百万サイクルを達成することであった。装置が制限されていたため、いくつかの膝のテストは、他の流体及び/又は膝の形状を試験するために、短縮された。以下の表は、いくつかの試験を示すものである。
【0061】
【表3】

【0062】
上記の様々な方法及び技術は、本発明を実施するための多くの方法を提供する。もちろん、ここに記載されるどの特定の実施態様によっても、記載される全ての課題又は効果が必ずしも達成される必要がないことが理解される。従って、例えば、当業者は、ここに教示又は示唆され得るような他の課題又は効果を必ずしも達成せずに、ここに教示される1つの効果又は一群の効果を達成又は最適化する方法で、組成物が作製され得、方法が実施され得ることを認識するであろう。
【0063】
さらに、当業者は、異なる実施態様に由来する様々な特徴の互換性を認識するであろう。同様に、上記に論じられた様々な特徴及び手段は、それぞれのその様な特徴又は手段として公知の他の同等物と同様、ここに記載される原理による方法を実施するため、当業者によって混合及び適合され得る。
【0064】
本発明は、特定の実施態様及び実施例に照らして開示されてきたが、本発明は、具体的に開示された実施例を、他の代替の実施態様及び/又は使用、ならびにその自明な改良及び同等物にまで拡大されることが、当業者によって理解されるであろう。従って、本発明は、本明細書中の特定の好ましい実施態様の特定の開示によって限定されることを意図するものではないが、本明細書に添付の請求項を参照することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1及び図2は、好ましい実施態様における使用に好適な人工膝の1つの実施態様を図示する。図1及び2は、U.S.特許公開2001/0029400A1(出願番号第09/767,367)、出願日2001年1月22日、発明の名称“電子制御人工膝”の図4及び5にそれぞれ対応し、この開示の全てが、ここに参考として援用される。より詳しくは、図面中の記載及び図面中に示されるアイテム番号の記載は、上記参照される特許公報において詳細に記載される。
【図2】図1及び図2は、好ましい実施態様における使用に好適な人工膝の1つの実施態様を図示する。図1及び2は、U.S.特許公開2001/0029400A1(出願番号第09/767,367)、出願日2001年1月22日、発明の名称“電子制御人工膝”の図4及び5にそれぞれ対応し、この開示の全てが、ここに参考として援用される。より詳しくは、図面中の記載及び図面中に示されるアイテム番号の記載は、上記参照される特許公報において詳細に記載される。
【図3】図3〜5は、様々なキャリアオイル及びMR流体試料の動的粘度曲線を図示する。
【図4】図3〜5は、様々なキャリアオイル及びMR流体試料の動的粘度曲線を図示する。
【図5】図3〜5は、様々なキャリアオイル及びMR流体試料の動的粘度曲線を図示する。
【図6】図6は、様々なキャリアオイル及びMR流体の粘度の比較を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄粒子及び流体成分を含む磁性レオロジー流体であって、
該流体成分が、キャリア流体及び添加剤を含み;
該添加剤が、パラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体及び/又は官能化ペルフッ素化ポリエーテル流体を含む、磁性レオロジー流体。
【請求項2】
鉄粒子が、約0.2〜約50ミクロンのサイズである、請求項1に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項3】
鉄粒子が、約0.4〜約10ミクロンのサイズである、請求項2に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項4】
鉄粒子が、約0.5〜約9ミクロンのサイズである、請求項3に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項5】
鉄粒子を、磁性レオロジー流体の総体積の約1〜約60%(v/v)含む、請求項1に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項6】
鉄粒子を、磁性レオロジー流体の総体積の約10〜約50%(v/v)含む、請求項5に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項7】
鉄粒子を、より好ましくは、磁性レオロジー流体の総体積の約20〜約40%(v/v)含む、請求項6に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項8】
キャリア流体が、シリコン、炭化水素、エステル、エーテル、フッ素化エステル、フッ素化エーテル、鉱油、不飽和炭化水素、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項9】
キャリア流体が、1以上のペルフッ素化ポリエーテルを含む、請求項8に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項10】
添加剤が、パラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体を含む、請求項1に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項11】
添加剤が、官能化ペルフッ素化ポリエーテル流体を含む、請求項1に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項12】
官能化ペルフッ素化ポリエーテル流体添加剤が、シラン、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボン酸、ジヒドロキシルアミン(amine dihydroxyl)、エトキシエーテル、イソシアネート、芳香族、エステル、及びアルコール官能基(alcohol function)からなる群より選択される1以上の官能基を含む、請求項11に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項13】
官能化ペルフッ素化ポリエーテル流体添加剤が、末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有する、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)を含む、請求項11に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項14】
添加剤を、流体成分の約0.1〜約20%(v/v)含む、請求項1に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項15】
添加剤を、流体成分の約1〜約15%(v/v)含む、請求項14に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項16】
添加剤を、流体成分の約2〜約10%(v/v)含む、請求項15に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項17】
請求項1に記載の磁性レオロジー流体であって、以下:
約28%(v/v)の鉄粒子;及び
約72%(v/v)の流体成分;
(前記流体成分が、約5%(v/v)の添加剤及び約95%(v/v)のペルフッ素化ポリエーテルキャリア流体を含む)を含む、磁性レオロジー流体。
【請求項18】
添加剤が、末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有する、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)を含む、請求項17に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項19】
添加剤が、パラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体を含む、請求項17に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項20】
人工膝と組み合わせて使用される、鉄粒子及び流体成分を含む磁性レオロジー流体であって;
該流体成分が、キャリア流体及び添加剤を含み;
該添加剤が、パラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体及び/又は官能化ペルフッ素化ポリエーテル流体を含む、磁性レオロジー流体。
【請求項21】
人工膝が、剪断モード(shear mode)で作動する、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項22】
鉄粒子が、約0.2〜約50ミクロンのサイズである、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項23】
鉄粒子が、約0.4〜約10ミクロンのサイズである、請求項21に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項24】
鉄粒子が、約0.5〜約9ミクロンの範囲である、請求項22に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項25】
鉄粒子を、磁性レオロジー流体の総体積の約1〜約60%(v/v)含む、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項26】
鉄粒子を、磁性レオロジー流体の総体積の約10〜約50%(v/v)含む、請求項25に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項27】
鉄粒子を、より好ましくは、磁性レオロジー流体の総体積の約20〜約40%(v/v)含む。請求項26に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項28】
キャリア流体が、シリコン、炭化水素、エステル、エーテル、フッ素化エステル、フッ素化エーテル、鉱油、不飽和炭化水素、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項29】
キャリア流体が、1以上のペルフッ素化ポリエーテルを含む、請求項28に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項30】
添加剤が、パラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体を含む、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項31】
添加剤が、官能化ペルフッ素化ポリエーテルを含む、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項32】
官能化ペルフッ素化ポリエーテル流体添加剤が、シラン、ホスフェート、ヒドロキシル、カルボン酸、ジヒドロキシルアミン(amine dihydroxyl)、エトキシエーテル、イソシアネート、芳香族、エステル、及びアルコール官能基(alcohol function)からなる群より選択される1以上の官能基を含む、請求項31に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項33】
官能化ペルフッ素化ポリエーテル流体添加剤が、末端フルオロメチレン基上に位置するカルボン酸を有する、ポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)を含む、請求項32に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項34】
添加剤を、流体成分の約0.1〜約20%(v/v)含む、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項35】
添加剤を、流体成分の約1〜約15%(v/v)含む、請求項34に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項36】
添加剤を、流体成分の約2〜約10%(v/v)含む、請求項35に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項37】
請求項20に記載の磁性レオロジー流体であって、以下:
約28%(v/v)の鉄粒子;及び
約72%(v/v)の流体成分;
(前記流体成分が、末端フルオロメチレン基上に位置する付加カルボン酸を有する、約5%(v/v)のポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)添加剤、及び約95%(v/v)ペルフッ素化ポリエーテルキャリア流体を含む)を含む、磁性レオロジー流体。
【請求項38】
請求項20に記載の磁性レオロジー流体であって、以下:
約28%(v/v)の鉄粒子;及び
約72%(v/v)の流体成分;
(前記流体成分が、約5%(v/v)のパラフルオロプロペン及び酸素重合アミド誘導体添加剤、及び約95%(v/v)ペルフッ素化ポリエーテルキャリア流体を含む)を含む、磁性レオロジー流体。
【請求項39】
磁性レオロジー流体が、約10〜115°Fの温度範囲で操作可能である、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項40】
キャリア流体が、104°Fにおいて、約10〜約100cStの粘度を有する、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項41】
キャリア流体が、104°Fにおいて、約30〜約80cStの粘度を有する、請求項40に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項42】
キャリア流体が、104°Fにおいて、約50〜約70cStの粘度を有する、請求項41に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項43】
キャリア流体が、104及び212°Fにおける動粘度(kinematic viscosity)に基づいて、約100〜約340の粘度指数を有する、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項44】
キャリア流体が、104及び212°Fにおける動粘度(kinematic viscosity)に基づいて、約120〜約320の粘度指数を有する、請求項43に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項45】
キャリア流体が、約−70℃〜約−40℃の範囲の流動点(pour point)を有する、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。
【請求項46】
キャリア流体が、121℃にて約0.01%〜約20%のパーセント揮発度を有する、請求項20に記載の磁性レオロジー流体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−525650(P2006−525650A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−571721(P2004−571721)
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2003/037848
【国際公開番号】WO2004/100191
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(505009759)オサール エンジニアリング インコーポレイティッド (2)
【Fターム(参考)】