説明

磁気アンカー遠隔誘導システム

【課題】寝台や磁力発生装置の周囲に位置する磁性部材が磁力発生装置側に引き寄せられても、内視鏡的切除術を円滑に行えるようにした磁気アンカー遠隔誘導システムを得る。
【解決手段】寝台51と、該寝台の上方に位置する上方支持部材56と、寝台に載った対象物の内部の対象部位に止着した止着部材15に連結した磁性材料からなる磁気アンカー22に、上記対象物外部から磁力を及ぼすことにより上記磁気アンカーに動力を与える磁力発生装置57と、を備え、寝台の側部と上方支持部材とに跨る防護部材60、63を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡観察下で病変部を切除する際に、磁界によって誘導可能な磁気アンカーを用いて、患者の病変部を持ち上げることが可能な磁気アンカー遠隔誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、寝台に載った患者の体内の対象部位(例えば胃などの臓器)の患部に止着したクリップに磁性材料からなる磁気アンカーを連結し、かつ患者の体外に配設した磁力発生装置から磁気アンカーに磁力を及ぼすことにより磁気アンカーを移動させ、クリップによって患部を持ち上げる処置方法を提案している(特許文献1)。このように患部を持ち上げれば、処置具によって患部を簡単に切除できるようになる。
【特許文献1】特開2004−105247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
磁力発生装置が発生する磁力は大きいので、寝台や磁力発生装置の周囲にある小さな磁性部材が磁力発生装置に引き寄せられ、一度電源を切らないと磁性部材と磁力発生装置の吸着状態を解除できなくなるおそれがあった。このような事態になると、術者が内視鏡的切除術に集中しづらくなり、患者は不快な思いをすることになるため、内視鏡的切除術を円滑に行えなくなってしまう。
【0004】
本発明は、寝台や磁力発生装置の周囲に位置する磁性部材が磁力発生装置側に引き寄せられても、内視鏡的切除術を円滑に行えるようにした磁気アンカー遠隔誘導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の磁気アンカー遠隔誘導システムは、第1の態様によると、寝台と、該寝台の上方に位置する上方支持部材と、該寝台に載った対象物の内部の対象部位に止着した止着部材に連結した磁性材料からなる磁気アンカーに、上記対象物外部から磁力を及ぼすことにより上記磁気アンカーに動力を与える磁力発生装置と、を備える磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、上記寝台の側部と上記上方支持部材とに跨る防護部材を備えることを特徴としている。
【0006】
上記防護部材が、上記寝台の側部と上記上方支持部材の間を開閉可能であるのが好ましい。
【0007】
上記防護部材は、例えば、その上端部と下端部の一方を、上記上方支持部材と寝台の一方に上記寝台の長手方向に延びる回転軸回りに回転可能として取り付けた回転式防護部材として実施可能である。
【0008】
また、上記防護部材が、上記上方支持部材から上記寝台側に延びる上側布製防護部材と、上記寝台から上記上方支持部材側に延びる下側布製防護部材と、を備え、上記上側布製防護部材の下縁部と上記下側布製防護部材の上縁部の間に線ファスナを設てもよい。
【0009】
上記防護部材を、その上端と下端の一方が上記上方支持部材と寝台の一方に設けた略水平な巻取軸によって巻き取り可能に支持され、その上端と下端の他方に設けた係止部材が上記上方支持部材と寝台の他方に設けた被係止部材と係脱可能な布製防護部材としてもよい。
【0010】
上記防護部材が、上記上方支持部材に略水平な回転軸回りに回転可能として支持した上側回転式防護部材と、上記寝台に略水平な回転軸回りに回転可能として支持した下側回転式防護部材と、を備え、上記上側回転式防護部材の下端部と下側回転式防護部材の上端部の一方に、上側回転式防護部材の下端部と下側回転式防護部材の上端部が対向したときに上側回転式防護部材の下端部と下側回転式防護部材の上端部の他方に設けた被ロック部材をロックするロック装置を設けてもよい。
【0011】
上記防護部材を、上記上方支持部材から上記寝台側に延び、かつ、上下方向にスライドすることにより下端部が上記寝台に接離するスライド式防護部材として実施することも可能である。
【0012】
上記防護部材を、上記上方支持部材と上記寝台の一方から他方に向かって延びる筒状をなし、かつ、下縁部に上記寝台に載った上記対象物を避けるための凹部を形成した蛇腹式防護部材としてもよい。
【0013】
上記防護部材が上記寝台の側部と上記上方支持部材の間を閉じたときに上記磁力発生装置を動作可能とし、上記防護部材が上記寝台の側部と上記上方支持部材の間を開放したときに上記磁力発生装置の動作を不能にする制御手段を備えるのが好ましい。
【0014】
さらに、上記上方支持部材を囲む支持部材用防護部材を設けるのが好ましい。
この場合は、上記防護部材と上記支持部材用防護部材とを一体化してもよいし、また、上記防護部材と上記支持部材用防護部材を別部材とし、かつ両者を分離してもよい。
【0015】
本発明の磁気アンカー遠隔誘導システムは、第2の態様によると、寝台と、該寝台に載った対象物の内部の対象部位に止着した止着部材に連結した磁性材料からなる磁気アンカーに、上記対象物外部から磁力を及ぼすことにより上記磁気アンカーに動力を与える磁力発生装置と、を備える磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、上記寝台に、該寝台の側部から上方に向かって突出し、かつ上記寝台からの突出量を調整可能なスライド式防護部材であることを特徴としている。
【0016】
この態様の場合は、上記出没式防護部材の突出量が最大となったときに上記磁力発生装置を動作可能とし、上記突出量が最大より小さいときは上記磁力発生装置の動作を不能にする制御手段を備えるのがよい。
【0017】
いずれの態様においても、上記防護部材が非磁性体とすることが可能である。
【0018】
また、いずれの態様においても、上記防護部材が網材からなっていてもよい。
さらに、この場合は、上記防護部材における上記寝台側と反対側の表面を磁性体によって構成するのが好ましい。
【0019】
本発明の磁気アンカー遠隔誘導システムは、第3の態様によると、床面上に載置した寝台と、該寝台に載った対象物の内部の対象部位に止着した止着部材に連結した磁性材料からなる磁気アンカーに、上記対象物外部から磁力を及ぼすことにより上記磁気アンカーに動力を与える磁力発生装置と、を備える磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、上記床面に、上記寝台及び上記磁力発生装置の前後左右及び上部を囲む形状の防護部材を載置したことを特徴としている。
【0020】
この態様の場合は、上記防護部材が網材からなるのがよい。
【0021】
さらに、上記防護部材の側面に開口部を設け、該開口部に該開口部と略同じ形状のドアを開閉自在に取り付けるのがよい。
【0022】
さらに、上記ドアが閉じたときに上記磁力発生装置を動作可能とし、上記ドアが開いたときは上記磁力発生装置の動作を不能にする制御手段を備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、寝台や磁力発生装置の周囲に位置する磁性部材が磁力発生装置側に引き寄せられても、寝台の側部と上方支持部材とに跨る防護部材(請求項1)や寝台の側部から上方に向かって突出する防護部材(請求項10)によって、磁性部材が寝台に載っている対象物に向かうのを防ぐので、内視鏡的切除術を円滑に行える。
また、請求項15のように、上方支持部材を囲む支持部材用防護部材を設ければ、磁力発生装置の磁力により上方支持部材が磁化された場合でも、周囲の磁性部材を上方支持部材に引き寄せてしまうことを防止できる。
さらに、請求項18のように、防護部材を床面に載置した寝台及び磁力発生装置の前後左右及び上部を囲む形状のものとすれば、この防護部材の外側にある磁性部材が防護部材の内側に引き寄せられるのを完全に防止できるので、より効果的である。
【0024】
請求項2のように防護部材を開閉可能にすれば、寝台に対象物を載せやすくなる。
【0025】
請求項9、14及び21のような制御手段を設ければ、防護部材が開いているとき(請求項9、14)やドアが開いているとき(請求項21)に磁力発生装置が磁力を発生することがない。そのため、磁性部材が寝台に載っている対象物に向かったり(請求項9、14)、防護部材の外側にある磁性部材が防護部材の内側に入るおそれをより小さくできる。
【0026】
請求項15のように防護部材を非磁性体により構成すれば、磁性部材を有する物体が防護部材に引き寄せられ難くなる。
【0027】
請求項16及び請求項19のように防護部材を網材により構成すれば、防護部材の外側から防護部材の内側を観察できるので、内視鏡術をより安全に行えるようになる。
また、防護部材を軽量化できる。
【0028】
請求項16のように防護部材を網材にしたときは、網材の網目より小さい磁性部材が網目をすり抜けてしまうおそれがある。
しかし、請求項17のように防護部材の寝台と反対側の表面を磁性体により構成すれば、このような小さい部材が防護部材の表面に吸着する可能性が高いので、このような小さい部材が網目をすり抜けるおそれを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の磁気アンカー遠隔誘導システムについて添付図面を利用しながら説明する。
まずは、磁気アンカー遠隔誘導システムの詳細な説明をする前に、磁気アンカー遠隔誘導システムを用いて行う内視鏡的切除術の概要について図1〜図6を参照しながら説明する。
【0030】
この内視鏡的切除術を行うには、まず図示するように患者の口から患者の体内に可撓性材料からなるオーバチューブOTを挿入し、その先端部を患者の対象部位(例えば胃A1)に挿入しておく。そして、内視鏡10に形成した処置具用チャンネル12に可撓性材料からなるクリップ挿入用チューブ13を挿入し、クリップ挿入用チューブ13の先端開口部でクリップ15を嵌合保持する。クリップ15は金属等の弾性を有する線材を略U字形に曲げ加工し、その一対の開閉片16の中間部にラチェット部材17を設けたものである。ラチェット部材17は、一対の開閉片16の間隔を狭めるときは開閉片16の動作を妨げずかつ調整した間隔を保持する機能を有している。一方、ラチェット部材17のラチェット歯同士の係合状態を解除すれば、一対の開閉片16の間隔を広げることが可能になる。
内視鏡10の挿入部11の先端部をオーバチューブOTを通して胃A1の内部に挿入し、クリップ挿入用チューブ13の内部に予め挿入しておいたプッシングロッド(図示略)の基端部(患者の体外に位置している)を操作して、プッシングロッドの先端部によってクリップ15をクリップ挿入用チューブ13の先端開口部から押出し、クリップ15を胃A1の内部に配置する。
次いで、クリップ挿入用チューブ13を処置具用チャンネル12から取り出し、処置具用チャンネル12に把持鉗子19を挿入し、図2に示すように把持鉗子19の先端部に設けた一対の開閉片20を利用して胃A1に配置しておいたクリップ15の一対の開閉片16を把持し、一対の開閉片16の先端部を閉じることにより一対の開閉片16の先端部で胃A1の患部Bを把持する(一対の開閉片16同士の間隔はラチェット部材17によって保持される)。
次に、内視鏡10を患者の体外に引き出して把持鉗子19の開閉片20で強磁性体(純鉄、鉄合金、プラチナマグネット、希土類磁石、テルビウム・ディスプロシウム・鉄合金などの磁石)からなる磁気アンカー22の突片23を把持し(突片23に形成した係止孔24に開閉片20の先端部を係合する)、図2に示すように挿入部11の先端部をオーバチューブOTを介して再度胃A1に挿入する。そして、磁力発生装置57の電磁石58を作動させることにより磁界を発生させ、その磁力によって磁気アンカー22を胃A1の内壁面に吸着させておく(図3参照)。
【0031】
次に、内視鏡10の処置具用チャンネル12から把持鉗子19を引き抜き、先端に注射針を具備する処置具(図示略)を処置具用チャンネル12に挿入して、該処置具により患部Bの周辺部である粘膜下層Cに生理食塩水を注入して、患部Bを固有筋層Dから浮き上がらせておく。
さらに、内視鏡10を患者の体外に取り出して処置具用チャンネル12から該処置具を引き抜いた後に把持鉗子19を処置具用チャンネル12に再び挿入し、把持鉗子19の開閉片20で連結具25(図4参照)を把持する。そして、図4に示すように挿入部11の先端部をオーバチューブOTを介して再度胃A1の内部に挿入する。
図示するように連結具25は柔軟なひも26の両端部にフック27とフック28を固定した部材である。胃A1の内部に挿入した連結具25は、図5に示すように、電磁石58による磁界の強さを弱めた状態で把持鉗子19によって一方のフック27を磁気アンカー22の係止孔24に係合し、その後に他方のフック28をクリップ15に係合する。
このように連結具25によってクリップ15と磁気アンカー22を連結したら、電磁石58による磁界の強さを再度強めて、図5に示すように磁気アンカー22を上方に移動させる。すると、連結具25のひも26が緊張するので、クリップ15によって胃A1の患部Bが持ち上げられる。
このようにして患部Bを持ち上げたら、内視鏡10の処置具用チャンネル12から把持鉗子19を取り出して、処置具用チャンネル12に高周波メス30を挿入する。そして、高周波メス30によって患部Bを粘膜とともに切除する(図6参照)。患部Bを持ち上げると患部Bと正常組織との境界部に切除する部分を十分に形成できるので、患部Bが偏平な形状であっても高周波メス30によってこの境界部を簡単に切除できる。
【0032】
患部Bの切除作業が完了したら、電磁石58の作動を停止させ(磁界を消失させる)、高周波メス30の代わりに把持鉗子19を再度処置具用チャンネル12に挿入する。そして、把持鉗子19の開閉片20によって連結具25を把持した後に、内視鏡10の挿入部11をオーバチューブOTに沿ってクリップ15、磁気アンカー22、連結具25、及び切り取った患部Bと一緒に患者の体外に取り出す。そして、その後に胃A1の患部Bを切除した部分の縫合や消毒などを行う。
【0033】
続いて以上説明した内視鏡術において胃A1内に配置した磁気アンカー22に磁力を及ぼすための磁気アンカー遠隔誘導システムについて説明する。
まず、図7及び図8を用いて第1の実施形態について説明する。
手術室の床面Fには前後方向に長い形状の寝台51が固定してある。図示するように寝台51の上面には断面略半円状の凹溝52が寝台51の全長に渡って凹設してある。
床面Fにおける磁気アンカー遠隔誘導システム50の側方には基台54が固定してあり、この基台54から上方に向かって正面視倒立L字形をなす支持部材55が延びている。支持部材55の先端部には凹溝52の直上に位置する上方支持部材56が固定してあり、上方支持部材56の下部には、鉄心にコイルを巻いた構造の電磁石58を有する磁力発生装置57が設けてある。
上方支持部材56の一方の側部には寝台51より前後長が短い板材からなる防護部材60の上端部が固定してあり、防護部材60の下端部は寝台51の上面の支持部材55側の側縁部に固定してある。防護部材60は、非磁性材料(例えば、チタン等の金属材や超高強力ポリエチレン繊維など)によって構成してある。
また、上方支持部材56の他方の側部には前後方向に延びる回転軸回りに回転可能な蝶番62の一方の回動片が固定してあり、蝶番62の他方の回動片には防護部材60とほぼ同じ形状(略左右対称形状)で同じ材質からなる回転式防護部材63の上端部が固定してある。回転式防護部材63の外側面の下端部近傍には取手64が固定してある。図示するように、回転式防護部材63は図7及び図8に実線で示す閉位置(回転式防護部材63の下端部が寝台51の上面の側縁部に接触する位置)と、上方に跳ね上がる開位置(図7の仮想線の位置)との間を回転可能である。
さらに、回転式防護部材63の内側面と上方支持部材56とには、ガススプリング65の両端部がそれぞれ前後方向に延びる回転軸回りに回転可能として接続してあり、このガススプリング65によって回転式防護部材63は常に開方向に回転付勢されている。さらに、回転式防護部材63の下端面には、回転式防護部材63が閉位置に位置するときに寝台51に設けた被ロック部材(図示略)と係合して回転式防護部材63の閉状態を保持するロック装置66が設けてある。
【0034】
また、上方支持部材56には接点装置68が設けてある。この接点装置68は固定接点と可動接点を備えており、可動接点には固定接点から離間する方向の付勢力が常に掛かっている。回転式防護部材63が閉位置に位置するときは可動接点が回転式防護部材63の上端部によって押されることにより固定接点と接触し、回転式防護部材63が開くと回転式防護部材63の上端部が可動接点から離間するので可動接点が固定接点から離れる。
図示するように基台54、支持部材55及び上方支持部材56の内部には電線L1が配設してある。この電線L1は図示を省略した電源と磁力発生装置57と接点装置68(可動接点と固定接点)に接続しており、電源、磁力発生装置57及び接点装置68と共に一つの回路を形成している。
【0035】
さらに、上方支持部材56の上面には側面視略T字形をなす固定部材56aが固定してあり、この固定部材56aに、上方支持部材56の上部及び支持部材55の水平部の先端部の周囲を囲む箱状形状でかつ防護部材60と同じ材質の支持部材用防護部材69が固定してある。支持部材用防護部材69の底部における上方支持部材56の回転式防護部材63側の側面より支持部材55側に位置する部分は(上方支持部材56及び支持部材55が位置する部分を除いて)塞がれているが、支持部材用防護部材69の底部における上方支持部材56の当該側面より回転式防護部材63側に位置する部分は開口している。さらに、支持部材用防護部材69における回転式防護部材63側の側面部は、その上縁部(前後方向に延びている)を中心に天井部に対して回転可能な開閉部69aとなっている。そのため、回転式防護部材63が閉位置に位置するときは開閉部69aは略垂直状態となり支持部材用防護部材69の回転式防護部材63側の側面を塞ぐが、回転式防護部材63が開位置まで回転すると開閉部69aは回転式防護部材63によって上方に跳ね上げられる(図7の仮想線参照)。
【0036】
以上構成の磁気アンカー遠隔誘導システム50を用いて上述の内視鏡的切除術を行うには、ロック装置66によるロックを解除することにより回転式防護部材63を開位置に位置させておき、回転式防護部材63と寝台51の間に出来た空間から患者Aを寝台51の上面に移動させる。
患者Aが凹溝52に横たわったら(図8に示すように枕Pを用いても良い)、回転式防護部材63をガススプリング65の付勢力に抗して閉位置まで回転させてロック装置66により上記被ロック部材を利用して回転式防護部材63をロックする。すると、接点装置68の可動接点が固定接点と接触するので、上記電源から電線L1(回路)に電流が流れ電磁石58が作動可能になる。従って、電磁石58作動用のスイッチ(図示略)を操作すれば、電磁石58が磁界を発生する。すると、電磁石58で発生した磁界(磁力)が凹溝52に横たわっている患者Aの胃A1に及ぶので、上述した磁気アンカー22を利用した内視鏡的切除術を行えるようになる。
【0037】
磁力発生装置57が発生する磁界(磁力)はかなり大きいので、この磁界が胃A1内に配設した磁気アンカー22だけでなく、磁気アンカー遠隔誘導システム50の周囲に位置する小さな磁性部材(例えば、止血クリップや把持鉗子にも及び、この磁性部材が電磁石58に引き寄せられてしまうことがある。しかし、本実施形態では患者Aの両側部を防護部材60と回転式防護部材63で塞いでいるので、電磁石58に引き寄せられた磁性部材が患者Aに向かうのを防止できる。そのため、上述の内視鏡的切除術を円滑に行うことが可能である。
さらに、支持部材55及び上方支持部材56が磁性材料からなる場合は、上方支持部材56や支持部材55の先端部が電磁石58が発生する磁界によって磁化されてしまい、その結果、上方支持部材56や支持部材55の先端部に上記磁性部材が引き寄せられるおそれもある。しかし、本実施形態では上方支持部材56や支持部材55の先端部を支持部材用防護部材69で覆っているので、そのようなおそれをなくすことが可能である。
【0038】
なお、防護部材60と回転式防護部材63を目の細かい網状のものとして実施してもよい。このようにすれば、防護部材60や回転式防護部材63の外側から防護部材60と回転式防護部材63の内側を見通せるだけでなく、防護部材60と回転式防護部材63の軽量化を達成できる。
さらに、防護部材60と回転式防護部材63を網状の部材として実施する場合は、防護部材60と回転式防護部材63の表面(少なくとも外側面)を電磁石58が作る磁界よりも強い磁界を発生する磁性材料によって構成してもよい。このようにすれば、電磁石58が作りだす磁界によって磁気アンカー遠隔誘導システム50の周囲に位置している防護部材60及び回転式防護部材63の網目より小さい磁性部材が引き寄せられても、この磁性部材は防護部材60や回転式防護部材63の外側面に吸着するので、防護部材60や回転式防護部材63の網目を通り抜けることがない。
【0039】
また、寝台51を床面Fに対して移動したり、あるいは上下方向に高さを変えられるものとしてもよい。
さらに、蝶番62の一方の回動片を寝台51に固定し、他方の回動片を回転式防護部材63の下端部に固定し、回転式防護部材63の上端部に上方支持部材56に設けた被ロック部材をロック可能なロック装置66を設けてもよい。
また、回転式防護部材63側に被ロック部材を設けて寝台51(または上方支持部材56)にロック装置66を設けてもよい。
なお、支持部材用防護部材69は、その下部を下方に延ばすことにより防護部材60や回転式防護部材63と重なるように設けても良いし、防護部材60や回転式防護部材63と一体的に設けても良い。
【0040】
続いて、本発明の第2の実施形態について図9〜図11を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システム70の上方支持部材56は、防護部材60と反対側の側面に同一形状の水平板71、水平板72を上下一対として備えている。水平板71及び水平板72の端面には共に前後方向に延びる回転軸回りに回転可能な前後一対の蝶番73と蝶番74の一方の回動片が固定してある。蝶番73の他方の回動片には水平板71と同幅の開閉板75の上端部が固定してあり、蝶番74の他方の回動片には開閉板75と同形状かつ開閉板75と平行な開閉板76の上端部が固定してある。さらに、開閉板75と開閉板76の下端部には共に前後方向に延びる回転軸回りに回転可能な前後一対の蝶番77と蝶番78の一方の回動片が固定してあり、蝶番77及び蝶番78の他方の回動片は開閉板75及び開閉板76と同幅でかつ開閉板75及び開閉板76より短寸の端部板79に固定してある。図示するように、端部板79には取手64とロック装置66が設けてある。
水平板71、水平板72、蝶番73、蝶番74、開閉板75、開閉板76、蝶番77、蝶番78及び端部板79は平行リンク式防護部材80の構成要素である。また、水平板71、水平板72、開閉板75、開閉板76及び端部板79は防護部材60及び回転式防護部材63と同じ材質として実施可能である(網状としたり、表面を磁性材料で構成することも可)。
【0041】
平行リンク式防護部材80は、図9の実線及び図10に示す閉位置(端部板79の下端部が寝台51の上面の側縁部に接触する位置)と、上方に跳ね上がる開位置(図9の仮想線及び図11の位置)との間を移動可能である。そして、平行リンク式防護部材80が閉位置に移動すると、端部板79に設けたロック装置66が寝台51に設けた被ロック部材と係合することにより平行リンク式防護部材80を閉位置にロックする。
さらに、水平板71には電線L1と接続しかつ蝶番73の近傍に位置する接点装置68と同じ構造の接点装置(図示略。制御手段)が設けてある。この接点装置は、平行リンク式防護部材80が開位置に位置するときは可動接点と固定接点が離れ、平行リンク式防護部材80が閉位置に位置するときは開閉板75の上端部によって押された可動接点が固定接点と接触する。従って、本実施形態でも平行リンク式防護部材80が閉位置に位置すると電磁石58が作動可能になり(電磁石58作動用のスイッチ(図示略)の操作が有効な状態になる)、平行リンク式防護部材80が開位置に位置するときは電磁石58は作動不能になる。
【0042】
また、本実施形態の平行リンク式防護部材80が開位置と閉位置の間を移動するときの端部板79(取手64)の左右方向の移動量は小さいので、手術室のスペースを有効利用することが可能である。
なお、平行リンク式防護部材80の上下を逆にし(水平板71及び水平板72を寝台51側に固定し、端部板79を上側に位置させる)、上方支持部材56にロック装置66と係合可能な被ロック部材を設けてもよい。
また、端部板79側に被ロック部材を設けて寝台51(または上方支持部材56)にロック装置66を設けてもよい。
また、上方支持部材56の上部及び支持部材55の水平部の先端部の周囲を囲む、支持部材用防護部材69に相当する部材を設けても良い。
【0043】
続いて、本発明の第3の実施形態について図12及び図13を用いて説明する。なお、従前の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システム90では支持部材55の先端部で上方支持部材91を支持しており、上方支持部材91の下部に磁力発生装置57を固定している。さらに、床面Fには上方支持部材91の直下に位置する寝台92が載置してある。
上方支持部材91の支持部材55側の側部には、機械的に強度の強い非磁性材料製の繊維からなり、かつ側面視台形をなす布製防護部材93の上端部が固着してあり、布製防護部材93の下端部は寝台92の支持部材55側の側部に固着してある。
上方支持部材91の支持部材55と反対側の側部には、布製防護部材93と同じ材質でかつ布製防護部材93の上端部と同じ形状(台形形状)である上側布製防護部材95の上端部が固着してある。また、寝台92の支持部材55と反対側の側部には、布製防護部材93と同じ材質でかつ布製防護部材93の下部と同じ形状(台形形状)の下側布製防護部材96の下端部が固着してある。さらに、上側布製防護部材95の下縁部と下側布製防護部材96の上縁部には線ファスナが設けてある。具体的には、上側布製防護部材95の下縁部に務歯97(スライダ99を有する)を縫いつけ、下側布製防護部材96の上縁部に務歯97と同じ長さの務歯98を縫いつけている。
さらに、下側布製防護部材96には切れ目を入れることにより周辺部に対して捲り上げることが可能な開閉窓部100が形成してある。そして、開閉窓部100の周縁部には務歯101(スライダ103を有する)が縫いつけてあり、孔の縁部には務歯101と同じ長さの務歯102が縫いつけてある。
さらに、上側布製防護部材95には接点装置68と同じ構造の接点装置(図示略。制御手段。電線L1と接続している)が設けてある(務歯97、務歯98が完全に閉じたときに、スライダ99が可動接点を固定接点に接触するまで押圧し、少しでも開いたときはスライダ99が可動接点から離れることにより可動接点が固定接点から離間する)。
【0044】
本実施形態では、上側布製防護部材95の下縁部と下側布製防護部材96の上縁部を対向させた状態でスライダ99を図13の右端部までスライドさせると、務歯97と務歯98が完全に閉じるので、寝台92に横たわっている患者Aの両側部を布製防護部材93、上側布製防護部材95、及び下側布製防護部材96で防護できる。
そして、務歯97と務歯98が完全に閉じると上記接点装置が閉じるので、電磁石58が作動可能になる。
一方、スライダ99を図13の左端までスライドさせれば上側布製防護部材95と下側布製防護部材96が分離する。そして、務歯97と務歯98が少しでも離れると上記接点装置が開くので、電磁石58は作動不能になる。
なお、本実施形態において寝台92に、下側布製防護部材96を上側布製防護部材95から分離した(開いた)際に下側布製防護部材96を収納するための収納部材を設けても良い。また、寝台92を床面Fに対して移動したり、あるいは上下方向に高さを変えられるものとしてもよい。
さらに、上方支持部材91の左右幅を寝台92と同幅にしたり、寝台92より広幅としてもよい。
また、上方支持部材56の上部及び支持部材55の水平部の先端部の周囲を囲む、支持部材用防護部材69に相当する部材を設けても良い。
【0045】
続いて、本発明の第4の実施形態について図14及び図15を用いて説明する。なお、従前の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システム110では、上方支持部材56の支持部材55側の側面に支持部材55側に向かって延びる支持板111の一方の端部を固定している。支持板111の支持部材55側の側縁部には、その他の部分に比べて上下寸法が大きい被係止部材112が設けてある。被係止部材112には、接点装置68と同じ構造の接点装置115(電線L1に接続している)が設けてある。
さらに、上方支持部材56の支持部材55と反対側の端部には支持板111と略左右対称形状をなす支持板113の一方の端部が固定してあり、支持板113の支持部材55と反対側の縁部は被係止部材112と同形状の被係止部材114が設けてある。また、被係止部材114にも接点装置115(電線L1に接続している)が設けてある。
【0046】
寝台92の支持部材55側の側部の下面には、前後方向(寝台92の長手方向)に延びかつ自身の軸線回りに回転可能な巻取軸(図示略)を内蔵する巻取収納部材117が設けてあり、該巻取軸に布製防護部材93と同じ材質の布製防護部材118の下端部が固着してある。巻取軸には布製防護部材118を巻き取る方向に回転付勢するばねが設けてあるので、布製防護部材118には常に巻き取り方向の力が掛かっている。さらに、布製防護部材118の上端部には係止部材119が固着してあるので、布製防護部材118を上方に引き上げて係止部材119を被係止部材112に係止すれば、布製防護部材118によって寝台92の支持部材55側の側部と支持板111との間を塞ぐことができる。
一方、寝台92の支持部材55と反対側の側部の下面には、巻取収納部材117と同じ構造の巻取収納部材120が設けてあり、巻取収納部材120の巻取軸には布製防護部材93と同じ材質かつ同じ形状の布製防護部材121の下端部が固着してある。布製防護部材121の上端部には係止部材122が固着してあるので、巻取収納部材120を上方に引き上げて係止部材122を支持板113の被係止部材114に係止すれば、布製防護部材121によって寝台92の支持部材55と反対側の側部と支持板113との間を塞ぐことができる。
そして、このように寝台92に横たわっている患者Aの両側部を布製防護部材118と布製防護部材121とで塞げば、患者Aの両側部を布製防護部材118と布製防護部材121とで防護できる。
【0047】
本実施形態では、係止部材119を支持板111の被係止部材112に係止し(布製防護部材118によって寝台92と支持板111の間を塞ぎ)、かつ、係止部材122を支持板113の被係止部材114に係止すると(布製防護部材121によって寝台92と支持板113の間を塞ぐと)、係止部材119及び係止部材122が対応する接点装置115の可動接点を固定接点に接触するまで押すので、電磁石58が作動可能になる。
一方、係止部材119と係止部材122の少なくとも一方を対応する被係止部材112、114から外すと、対応する接点装置115の可動接点が固定接点から離れるので電磁石58は作動不能になる。
なお、巻取収納部材117と巻取収納部材120をそれぞれ支持板111と支持板113に設け、かつ布製防護部材118と布製防護部材121の下端部に寝台92に設けた被係止部材と係合可能な係止部材を設けても良い。
また、上方支持部材56の上部及び支持部材55の水平部の先端部の周囲を囲む、支持部材用防護部材69に相当する部材を設けても良い。
さらに、係止部材119及び係止部材122とは別に、係止部材119と係止部材122が対応する被係止部材112、114に係合したときに、布製防護部材118と布製防護部材121が対応する巻取収納部材117、120に巻き取られるのを防止するための補助係止手段(図示略)を設けても良い。
【0048】
続いて、本発明の第5の実施形態について図16及び図17を用いて説明する。なお、従前の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システム130では、寝台92の長手方向の中央部の支持部材55側の側部に下側防護部材131を固定している。一方、寝台92の長手方向の中央部の支持部材55と反対側の側部には下側防護部材131より低寸の部材である下側防護部材132を固定している。下側防護部材132の上端部には前後方向に延びる回転軸を有する蝶番133の一方の回動片が固定してあり、蝶番133の他方の回動片には下側回転式防護部材134が固定してある。
支持部材55の水平部には、上方支持部材56の下半部及び磁力発生装置57(電磁石58)を囲む箱型の上側防護部材136が固定してある。上側防護部材136の支持部材55の垂直部側の下端部は下側防護部材131の上端部に接触する突部となっている。一方、上側防護部材136の支持部材55と反対側の下端部には、前後方向に延びる回転軸を有する蝶番137の一方の回動片が固定してあり、蝶番137の他方の回動片には下側回転式防護部材134と略上下対称形状をなす上側回転式防護部材138が固定してある。さらに、上側回転式防護部材138の先端部には下側回転式防護部材134に設けた被ロック部材と係合可能なロック装置139が設けてある。
さらに、上側回転式防護部材138にはロック装置139が下側回転式防護部材134の被ロック部材と係合したときに、その可動接点が固定接点と接触し、非係合状態のときは可動接点が固定接点から離間する、接点装置68と同じ構造(電線L1に接続する)の接点装置140が固定してある。
【0049】
本実施形態では、下側回転式防護部材134と上側回転式防護部材138を互いに接近する方向に回転させて、上側回転式防護部材138のロック装置139を下側回転式防護部材134の被ロック部材に係合(ロック)すれば、寝台92に横たわっている患者Aの両側部を下側防護部材131、上側防護部材136、下側回転式防護部材134及び上側回転式防護部材138によって防護できる。さらに、このようにロック装置139を下側回転式防護部材134の被ロック部材に係合(ロック)すると、接点装置140が閉じるので、電磁石58が作動可能になる。
一方、上側回転式防護部材138のロック装置139と下側回転式防護部材134の被ロック部材との係合(ロック)を解除し、下側回転式防護部材134と上側回転式防護部材138を互いに遠ざかる方向に回転させれば、寝台92の支持部材55と反対側の側部が開放される。さらに、接点装置140が開くので電磁石58が作動不能になる。
【0050】
本実施形態の下側回転式防護部材134と上側回転式防護部材138は、第1の実施形態の防護部材60及び回転式防護部材63と同様に、網状としたり、表面を磁性材料で構成することが可能である。
また、下側回転式防護部材134側にロック装置139や接点装置140を設けて、上側回転式防護部材138側に被ロック部材を設けてもよい。
また、上方支持部材56の上部及び支持部材55の水平部の先端部の周囲を囲む、支持部材用防護部材69に相当する部材を設けても良い。
【0051】
続いて、本発明の第6の実施形態について図18〜図20を用いて説明する。なお、従前の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システム150では、基台54に中空かつ上端が開口する支持支柱151が固定してあり、支持支柱151の内部には正面視倒立L字形をなすスライド支柱152の垂直部が上下方向にスライド可能に挿入してある。スライド支柱152の先端部には上方支持部材153が固定してあり、上方支持部材153の下部には磁力発生装置57(電磁石58)が固定してある。
上方支持部材153には左右両端部が中央部に比べて下方に突出し、かつ上方支持部材153の下半部及び磁力発生装置57(電磁石58)を囲む箱型の上側スライド式防護部材154が固定してある。
図20に示すように、上側スライド式防護部材154の側面にはシーソー式の開閉スイッチ155が設けてある。この開閉スイッチ155は支持支柱151の内部に設けたモータ(図示略)と電気的に接続しており、開閉スイッチ155の一方の端部を押すとモータの動力によってスライド支柱152が支持支柱151に対して上昇し、開閉スイッチ155の他方の端部を押すとモータの動力によってスライド支柱152が支持支柱151に対して下降する。
さらに、上側スライド式防護部材154の下端面には押されることにより可動接点が固定接点と接触し、可動接点が押されないときは可動接点と固定接点が離間する、接点装置68と同じ構造の接点装置156(電線L1に接続する)が固定してある。
【0052】
本実施形態の寝台158は、床面Fに固定した支持支柱159と、支持支柱159に対して上下方向にスライド可能なスライド部160と、を具備している。
スライド部160の長手方向の中央部の両側部には左右一対の下側スライド式防護部材161が設けてある。下側スライド式防護部材161における支持支柱151と反対側の側面にはシーソー式の開閉スイッチ162が設けてある(図20参照)。この開閉スイッチ162は支持支柱159の内部に設けたモータ(図示略)と電気的に接続しており、開閉スイッチ162の一方の端部を押すとこのモータの動力によってスライド部160が支持支柱159に対して上昇し、開閉スイッチ162の他方の端部を押すとモータの動力によってスライド部160が支持支柱159に対して下降する。
【0053】
本実施形態では、開閉スイッチ155と開閉スイッチ162を操作して、上側スライド式防護部材154と下側スライド式防護部材161を互いに接近させることにより上側スライド式防護部材154の下端面と下側スライド式防護部材161の上端面を接触させれば、寝台92に横たわっている患者Aの両側部を上側スライド式防護部材154と下側スライド式防護部材161とで防護できる。さらに、このように上側スライド式防護部材154の下端面と下側スライド式防護部材161の上端面を接触すると、接点装置156の可動接点が下側スライド式防護部材161の上端面によって押圧され固定接点と接触するので、電磁石58が作動可能になる。
一方、開閉スイッチ155と開閉スイッチ162を操作して、上側スライド式防護部材154と下側スライド式防護部材161を互いに離れる方向に移動させれば、寝台92に横たわっている患者Aの両側部を開放できる。さらに、下側スライド式防護部材161の上端面が接点装置156の可動接点から離れ可動接点が固定接点から離間するので、電磁石58が作動不能になる。
【0054】
本実施形態でも寝台158を床面Fに対して移動可能とすることが可能である。また、上側スライド式防護部材154及び下側スライド式防護部材161を、第1の実施形態の防護部材60及び回転式防護部材63と同様に、網状としたり、表面を磁性材料で構成することが可能である。
また、上方支持部材153の上部及びスライド支柱152の水平部の先端部の周囲を囲む、支持部材用防護部材69に相当する部材を設けても良い。
【0055】
続いて、本発明の第7の実施形態について図21及び図22を用いて説明する。なお、従前の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システム170では、上方支持部材56に、上下方向の軸線を有する円筒形状をなしかつ上下方向に伸縮自在な蛇腹式防護部材171の上端部を支持させている。蛇腹式防護部材171は透明なビニール製なので外部から中の様子を視認可能である。
図示するように、蛇腹式防護部材171の側面には取手172が固定してある。従って、取手172を把持して蛇腹式防護部材171を上昇させれば寝台92に横たわっている患者Aの両側部を開放できる。一方、蛇腹式防護部材171を下降させて蛇腹式防護部材171の底面を寝台51の上面に接触させれば患者Aの両側部を防護できる。なお、蛇腹式防護部材171の底面が寝台51の上面に接触すると、このときの衝撃を蛇腹式防護部材171全体で吸収するので、蛇腹式防護部材171に大きな負荷が掛かることはない。
また、蛇腹式防護部材171の下端部には前後一対の凹部173が形成してある。この凹部173は、図示のように蛇腹式防護部材171の底面を寝台51の上面に接触させたときに患者Aを避けるためのものである。なお、蛇腹式防護部材171は柔軟なビニール製なので、仮に凹部173が患者Aに接触しても患者Aは痛みを感じることはない。
図示は省略してあるが、蛇腹式防護部材171の底面には接点装置68と同じ構造の接点装置(制御手段。電線L1と接続している)が設けてある。従って、蛇腹式防護部材171の底面が寝台51の上面に接触すると、寝台51の上面によって接点装置の可動接点が固定接点に接触し、電磁石58が作動可能になる。一方、蛇腹式防護部材171を上昇させると、可動接点が固定接点から離れるので電磁石58が作動不能になる。
【0056】
なお、蛇腹式防護部材171の下端部を寝台51の上面に固定し、かつ蛇腹式防護部材171の上端部を上方支持部材56に対して接離可能とし、蛇腹式防護部材171の上端部に上方支持部材56に設けた被ロック部材とロック可能なロック装置を設けても良い。
また、蛇腹式防護部材171側に被ロック部材を設けて、寝台51(または上方支持部材56)側にロック装置を設けても良い。
また、上方支持部材56の上部及び支持部材55の水平部の先端部の周囲を囲む、支持部材用防護部材69に相当する部材を設けても良い。
【0057】
続いて、本発明の第8の実施形態について図23及び図24を用いて説明する。なお、従前の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システム180の寝台181は、その長手方向の中央部の両側部に一対の支持突部182を一体的に備えている。さらに、寝台181の内部には正面視略半円形状をなし、その両端部が左右の支持突部182の上端面において開口する収納凹部183が形成してある。
収納凹部183には、断面形状が収納凹部183と同一曲率の円弧形状をなす左右一対のスライド式防護部材184、スライド式防護部材185がスライド自在に挿入してある。寝台181の内部にはスライド式防護部材184及びスライド式防護部材185をスライドさせるためのモータ186が設けてあり、支持突部182の側面にはこのモータ186を操作するためのシーソー式の開閉スイッチ187が設けてある。さらに、スライド式防護部材184のスライド式防護部材185との対向端面には、接点装置68と同じ構造の接点装置(電線L1と接続している)が設けてある。
【0058】
本実施形態では、開閉スイッチ187を操作してモータ186の動力によりスライド式防護部材184及びスライド式防護部材185を上方にスライドさせて両者の端面を接触させれば、寝台181に横たわっている患者Aの両側部をスライド式防護部材184とスライド式防護部材185とで防護できる。さらに、このようにスライド式防護部材184とスライド式防護部材185の端面同士が接触すると、上記接点装置の可動接点が固定接点と接触するので、電磁石58が作動可能になる。
一方、開閉スイッチ187を操作してスライド式防護部材184及びスライド式防護部材185を下方にスライドさせて、スライド式防護部材184とスライド式防護部材185を収納凹部183の内部に完全に収納すれば、寝台181に横たわっている患者Aの両側部を開放できる。さらに、スライド式防護部材184の端面が上記接点装置の可動接点から離間するので、電磁石58が作動不能になる。
【0059】
本実施形態でも、寝台181を床面Fに対して移動可能とすることが可能である。また、スライド式防護部材184及びスライド式防護部材185を、第1の実施形態の防護部材60及び回転式防護部材63と同様に、網状としたり、表面を磁性材料で構成することが可能である。
また、上方支持部材56の上部及び支持部材55の水平部の先端部の周囲を囲む、支持部材用防護部材69に相当する部材を設けても良い。
【0060】
最後に本発明の第9の実施形態について図25〜図30を用いて説明する。なお、従前の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システム190では、床面F上に寝台92の左右両側に位置させて左右一対の支持台191を固定している。左右の支持台191の上面には、正面視下向きU字形をなすスライド式支持レール192の両端部が、寝台92の長手方向(前後方向)に対してスライド自在に支持してある。スライド式支持レール192には、スライド式支持レール192に対してスライド自在な磁力発生装置支持部材194が取り付けてあり、磁力発生装置支持部材194の内側端部に磁力発生装置57(電磁石58)を設けている。
スライド式支持レール192は図示を省略したモータの動力によって前後方向にスライド可能であり、磁力発生装置支持部材194は図示を省略した別のモータの動力によってスライド式支持レール192に沿ってスライド可能であり、上記両モータはともに電線L1と接続している。従って、図示を省略した操作盤を操作することによりこれらのモータを制御すれば、磁力発生装置57(電磁石58)の寝台92に対する前後方向位置とスライド式支持レール192に対する相対位置を制御できる。
【0061】
床面Fには寝台92、支持台191及びスライド式支持レール192の周囲を覆う小屋型防護部材195が載置してある。
この小屋型防護部材195は、正面視下向U字形をなす複数の金属製(例えば、チタン)のフレーム部材196と、側面視下向U字形をなす複数の金属製(例えば、チタン)のフレーム部材197と、各フレーム部材196及びフレーム部材197の周面を囲む平面視略矩形の複数の金属製(例えば、チタン)のフレーム部材198と、を溶接により互いに接合し、さらにその表面全体を非磁性材料(例えば、超高強力ポリエチレン繊維など)からなる目の細かい網状被覆部材199(図28参照)によって覆ったものである。さらに、図示するように、磁気アンカー遠隔誘導システム190の前面の左側部近傍には縦長矩形の開口部200が形成してあり、開口部200には下向U字形の開口フレーム部材201が嵌合固定してある。さらに、開口フレーム部材201には上下方向の軸回りに回転可能な蝶番202の一方の回動片が固定してあり、蝶番202の他方の回動片には開口フレーム部材201と略同形状のドア203の側縁部が固定してある(ドア203の両面には取手204と取手205が設けてある)。
さらに、図29及び図30に示すように開口フレーム部材201とドア203の対向部分にはそれぞれ固定接点207と可動接点208が固定してある。固定接点207と可動接点208は電線L1と接続しているので、図29に示すようにドア203を閉めると固定接点207と可動接点208が接触することにより電線L1に電流が流れ、図30に示すようにドア203を開けると固定接点207と可動接点208が離れるので電線L1には電流は流れない。
【0062】
このような本実施形態では、寝台92、支持台191及びスライド式支持レール192の周囲を小屋型防護部材195で囲んでいるので、ドア203を閉めていれば電磁石58が強い磁界を発生しても小屋型防護部材195の外側に位置する磁性部材が小屋型防護部材195の内側に入ることがない。また、ドア203が閉じて固定接点207と可動接点208が接触したときのみ電線L1に電流が流れて電磁石58が動作可能になるので、ドア203が開いた状態で電磁石58が動作することにより、開口フレーム部材201とドア203の隙間から小屋型防護部材195の外側にある磁性部材が小屋型防護部材195の内側に侵入することはない。従って、従前の実施形態に比べて内視鏡的切除術をより円滑に行える。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の磁気アンカー遠隔誘導システムを用いた内視鏡術を説明するための図であり、内視鏡によってクリップを胃の内部に運んだ状態を示す図である。
【図2】同じく、内視鏡によって磁気アンカーを胃の内部に運んだ状態を示す図である。
【図3】同じく、磁力発生装置の磁力を利用して磁気アンカーを胃の壁面に吸着させた状態を示す図である。
【図4】同じく、内視鏡によって連結ひもを胃の内部に運んだ状態を示す図である。
【図5】同じく、連結ひもによって磁気アンカーとクリップを連結し、磁力発生装置の磁力を利用して磁気アンカーを引っ張った状態を示す図である。
【図6】同じく、磁気アンカーの動力によって持ち上げられた患部を処置具で切除する状態を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システムの正面図である。
【図8】同じく磁気アンカー遠隔誘導システムの側面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システムの正面図である。
【図10】同じく、平行リンク式防護部材が閉じたときの磁気アンカー遠隔誘導システムの側面図である。
【図11】同じく、平行リンク式防護部材が開いたときの磁気アンカー遠隔誘導システムの側面図である。
【図12】本発明の第3の実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システムの正面図である。
【図13】同じく、磁気アンカー遠隔誘導システムの側面図である。
【図14】本発明の第4の実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システムの正面図である。
【図15】同じく、磁気アンカー遠隔誘導システムの側面図である。
【図16】本発明の第5の実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システムの正面図である。
【図17】同じく、磁気アンカー遠隔誘導システムの側面図である。
【図18】本発明の第6の実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システムの上側スライド式防護部材と下側スライド式防護部材が閉じたときの正面図である。
【図19】同じく、上側スライド式防護部材と下側スライド式防護部材が開いたときの正面図である。
【図20】同じく、磁気アンカー遠隔誘導システムの側面図である。
【図21】本発明の第7の実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システムの正面図である。
【図22】同じく、磁気アンカー遠隔誘導システムの側面図である。
【図23】本発明の第8の実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システムの正面図である。
【図24】同じく、磁気アンカー遠隔誘導システムの側面図である。
【図25】本発明の第9の実施形態の磁気アンカー遠隔誘導システムの小屋型防護部材の側面図である。
【図26】同じく、小屋型防護部材の一部を破断して示す磁気アンカー遠隔誘導システムの正面図である。
【図27】同じく、小屋型防護部材の一部を破断して示す磁気アンカー遠隔誘導システムの側面図である。
【図28】同じく、小屋型防護部材の部分拡大図である。
【図29】図25のXXIX−XXIX矢線に沿う断面図である。
【図30】ドアが開いたときの図29と同様の断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10 内視鏡
11 挿入部
12 処置具用チャンネル
13 クリップ挿入用チューブ
15 クリップ(止着部材)
16 開閉片
17 ラチェット部材
19 把持鉗子
20 開閉片
22 磁気アンカー
23 突片
24 係止孔
25 連結具
26 ひも
27 28 フック
30 高周波メス
50 磁気アンカー遠隔誘導システム
51 寝台
52 凹溝
54 基台
55 支持部材
56 上方支持部材
56a 固定部材
57 磁力発生装置
58 電磁石
60 防護部材
62 蝶番
63 回転式防護部材
64 取手
65 ガススプリング
66 ロック装置
68 接点装置(制御手段)
69 支持部材用防護部材
69a 開閉部
70 磁気アンカー遠隔誘導システム
71 72 水平板
73 74 蝶番
75 76 開閉板
77 78 蝶番
79 端部板
80 平行リンク式防護部材(回転式防護部材)
90 磁気アンカー遠隔誘導システム
91 上方支持部材
92 寝台
93 布製防護部材
95 上側布製防護部材
96 下側布製防護部材
97 98 務歯(エレメント)
99 スライダ
100 開閉窓部
101 102 務歯(エレメント)
103 スライダ
110 磁気アンカー遠隔誘導システム
111 113 支持板
112 114 被係止部材
115 接点装置(制御手段)
117 120 巻取収納部材
118 121 布製防護部材
119 122 係止部材
130 磁気アンカー遠隔誘導システム
131 132 下側防護部材
133 蝶番
134 下側回転式防護部材
136 上側防護部材
137 蝶番
138 上側回転式防護部材
139 ロック装置
140 接点装置(制御手段)
150 磁気アンカー遠隔誘導システム
151 支持支柱
152 スライド支柱
153 上方支持部材
154 上側スライド式防護部材(スライド式防護部材)
155 開閉スイッチ
156 接点装置(制御手段)
158 寝台
159 支持支柱
160 スライド部
161 下側スライド式防護部材
162 開閉スイッチ
170 磁気アンカー遠隔誘導システム
171 蛇腹式防護部材
172 取手
173 凹部
180 磁気アンカー遠隔誘導システム
181 寝台
182 支持突部
183 収納凹部
184 185 スライド式防護部材
186 モータ
187 開閉スイッチ
190 磁気アンカー遠隔誘導システム
191 支持台
192 スライド式支持レール
194 磁力発生装置支持部材
195 小屋型防護部材
196 197 198 フレーム部材
199 網状被覆部材
200 開口部
201 開口フレーム部材
202 蝶番
203 ドア
204 205 取手
207 固定接点(制御手段)
208 可動接点(制御手段)
A 患者(対象物)
A1 胃(対象部位)
B 患部
C 粘膜下層
D 固有筋層
F 手術室の床面
L1 電線
OT オーバーチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝台と、
該寝台の上方に位置する上方支持部材と、
該寝台に載った対象物の内部の対象部位に止着した止着部材に連結した磁性材料からなる磁気アンカーに、上記対象物外部から磁力を及ぼすことにより上記磁気アンカーに動力を与える磁力発生装置と、
を備える磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記寝台の側部と上記上方支持部材とに跨る防護部材を備えることを特徴とする磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項2】
請求項1記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材が、上記寝台の側部と上記上方支持部材の間を開閉可能である磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項3】
請求項2記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材が、その上端部と下端部の一方を、上記上方支持部材と寝台の一方に上記寝台の長手方向に延びる回転軸回りに回転可能として取り付けた回転式防護部材である磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項4】
請求項2記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材が、上記上方支持部材から上記寝台側に延びる上側布製防護部材と、上記寝台から上記上方支持部材側に延びる下側布製防護部材と、を備え、
上記上側布製防護部材の下縁部と上記下側布製防護部材の上縁部の間に線ファスナを設けた磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項5】
請求項2記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材が、その上端と下端の一方が上記上方支持部材と寝台の一方に設けた略水平な巻取軸によって巻き取り可能に支持され、その上端と下端の他方に設けた係止部材が上記上方支持部材と寝台の他方に設けた被係止部材と係脱可能な布製防護部材である磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項6】
請求項2記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材が、上記上方支持部材に略水平な回転軸回りに回転可能として支持した上側回転式防護部材と、上記寝台に略水平な回転軸回りに回転可能として支持した下側回転式防護部材と、を備え、
上記上側回転式防護部材の下端部と下側回転式防護部材の上端部の一方に、上側回転式防護部材の下端部と下側回転式防護部材の上端部が対向したときに上側回転式防護部材の下端部と下側回転式防護部材の上端部の他方に設けた被ロック部材をロックするロック装置を設けた磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項7】
請求項2記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材が、上記上方支持部材から上記寝台側に延び、かつ、上下方向にスライドすることにより下端部が上記寝台に接離するスライド式防護部材である磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項8】
請求項2記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材が、上記上方支持部材と上記寝台の一方から他方に向かって延びる筒状をなし、かつ、下縁部に上記寝台に載った上記対象物を避けるための凹部を形成した蛇腹式防護部材である磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項9】
請求項2から8のいずれか1項記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材が上記寝台の側部と上記上方支持部材の間を閉じたときに上記磁力発生装置を動作可能とし、上記防護部材が上記寝台の側部と上記上方支持部材の間を開放したときに上記磁力発生装置の動作を不能にする制御手段を備える磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記上方支持部材を囲む支持部材用防護部材を設けた磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項11】
請求項10記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材と上記支持部材用防護部材とを一体化した磁気アンカー遠隔誘導システム
【請求項12】
請求項10記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材と上記支持部材用防護部材を別部材とし、かつ両者を分離した磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項13】
寝台と、
該寝台に載った対象物の内部の対象部位に止着した止着部材に連結した磁性材料からなる磁気アンカーに、上記対象物外部から磁力を及ぼすことにより上記磁気アンカーに動力を与える磁力発生装置と、
を備える磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記寝台に、該寝台の側部から上方に向かって突出し、かつ上記寝台からの突出量を調整可能なスライド式防護部材であることを特徴とする磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項14】
請求項13記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記出没式防護部材の突出量が最大となったときに上記磁力発生装置を動作可能とし、上記突出量が最大より小さいときは上記磁力発生装置の動作を不能にする制御手段を備える磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項15】
請求項1から14記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材が非磁性体からなる磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項16】
請求項1から15記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材が網材からなる磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項17】
請求項16記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材における上記寝台側と反対側の表面を磁性体によって構成した磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項18】
床面上に載置した寝台と、
該寝台に載った対象物の内部の対象部位に止着した止着部材に連結した磁性材料からなる磁気アンカーに、上記対象物外部から磁力を及ぼすことにより上記磁気アンカーに動力を与える磁力発生装置と、
を備える磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記床面に、上記寝台及び上記磁力発生装置の前後左右及び上部を囲む形状の防護部材を載置したことを特徴とする磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項19】
請求項18記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材が網材からなる磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項20】
請求項18または19記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記防護部材の側面に開口部を設け、該開口部に該開口部と略同じ形状のドアを開閉自在に取り付けた磁気アンカー遠隔誘導システム。
【請求項21】
請求項20記載の磁気アンカー遠隔誘導システムにおいて、
上記ドアが閉じたときに上記磁力発生装置を動作可能とし、上記ドアが開いたときは上記磁力発生装置の動作を不能にする制御手段を備える磁気アンカー遠隔誘導システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−178267(P2009−178267A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18338(P2008−18338)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(590001452)国立がんセンター総長 (80)
【出願人】(502336117)株式会社玉川製作所 (10)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】