磁気ヘッドの静止姿勢角修正方法及び装置
【課題】HSAにおいても、姿勢角を、自動的に修正できる磁気ヘッドの姿勢角修正方法及び装置を提供すること。
【解決手段】磁気ヘッド2の姿勢角を、第1〜第3の撮像装置A〜Cで撮像する。その測定値をコンピュータシステム94に供給し、測定値に対応する修正条件に基づいて、修正装置92により、可撓体12に姿勢角修正のための曲げを加える。そして、可撓体12の曲げを生じる領域にレーザを照射する。
【解決手段】磁気ヘッド2の姿勢角を、第1〜第3の撮像装置A〜Cで撮像する。その測定値をコンピュータシステム94に供給し、測定値に対応する修正条件に基づいて、修正装置92により、可撓体12に姿勢角修正のための曲げを加える。そして、可撓体12の曲げを生じる領域にレーザを照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ヘッドの静止姿勢角修正方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浮上型の磁気ヘッド装置では、高密度記録再生を達成するため、ヘッド支持装置によって支持された磁気ヘッドの静止姿勢角が高精度に保持されていることが基本的な要求事項となる。磁気ヘッド装置の静止姿勢角には、ピッチ角と、ロール角とが含まれる。
【0003】
ところが、磁気ヘッド装置は、ヘッド支持装置(サスペンション)の一端に磁気ヘッドを接着剤によって接着した構造になっているから、この接着構造のために、静止姿勢角が所定の角度からずれを生じることがある。
【0004】
磁気ヘッド装置は、複雑なプロセスを経て製造された高価な磁気ヘッドを、高精度で高価なヘッド支持装置に取り付けて構成されており、磁気ヘッド装置の段階で、静止姿勢角が所定の角度内にないとして、不良品扱いにすることは、許されない。
【0005】
静止姿勢角ずれを修正するための修正手段としては、押圧治具を用いた機械的押圧による修正手段が知られている。この押圧治具を用いた静止姿勢角修正方法では、磁気ヘッドを取り付けた可撓体(フレクシャ)を押圧することによって、可撓体を曲げ、それによって磁気ヘッドの静止姿勢角を修正する。
【0006】
しかしながら、機械的押圧により、可撓体に大きな曲げ変位を与えても、可撓体の有する復元力のために、曲げが元に戻る。このことは、所定の静止姿勢角を与える曲げ変位よりも、著しく大きな曲げ変位で、可撓体を曲げなければならないことを意味する。
【0007】
可撓体に大きな曲げ変位を与えると、ロードビームから可撓体に荷重を加える突起部(ディンプル)と、可撓体との間に隙間を生じ、いわゆるディンプル浮きが発生することがある。ディンプル浮きが発生すると、ロードビームから可撓体に荷重を与えることができなくなり、所定の磁気ヘッド浮上特性を確保することができなくなる。
【0008】
更に、磁気ヘッドの支持機構として、磁気ヘッドをジンバルに取り付けたヘッド.ジンバル組立体(Head Gimbal Assembly, 以下HGAと称する)、HGAをアームに取り付けたヘッド.アーム組立体(Head Arm Assembly, 以下HAAと称する)及び複数のHAAがスタックされたヘッド.スタック組立体(Head Stack Assembly, 以下HSAと称する)が知られている。
【0009】
このうち、HSAは、2枚1組のHAAを、磁気ヘッドが互いに向き合うようにして組み立てられているため、磁気ヘッドがジンバルの内側に入ってしまい、磁気ヘッドの姿勢角の検出及びレーザ照射が難しくなる。
【0010】
上述した問題点を解決する手段として、特許文献1、2は、可撓体に静止姿勢角修正のための曲げを加え、曲げ領域にレーザを照射して、応力を開放することにより、加えられた曲げ角度に近い角度で曲げる技術を開示している。
【0011】
確かに、この先行技術によれば、ヘッド支持装置を、小さな曲げ角度で曲げるだけで、大きな静止姿勢角変化量を確保することができるという優れた効果を得ることができる。
しかし、HSAに固有の問題点を解決する手段を、明確には開示していない。
【特許文献1】特開2001−357644号公報
【特許文献2】特開2001−357645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、上述した先行技術に更に改良を加え、HSAにおいても、静止姿勢角を、自動的に修正できる磁気ヘッドの静止姿勢角修正方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明に係る静止姿勢角修正方法は、ヘッド支持体の長手方向の一端側である自由端側に備えられた可撓体に取り付けられた磁気ヘッドの静止姿勢角を修正するに当たり、まず、前記磁気ヘッドを、少なくとも2つの撮像装置を用いて撮像して得られた画像信号を解析して修正条件を生成する。そして、前記修正条件に基づいて、前記可撓体に静止姿勢角修正のための曲げを加え、前記可撓体の曲げを生じる領域にレーザを照射する。
【0014】
上述したように、本発明に係る静止姿勢角制御方法では、まず、前記磁気ヘッドを、少なくとも2つの撮像装置を用いて撮像して得られた画像信号を解析して修正条件を生成する。磁気ヘッドを撮像して画像信号を得ることの利点は、CCDカメラなどの撮像手段を用い、検出対象の磁気ヘッドを、任意の方向から撮像して、その姿勢角に関する情報を得ることができる点にある。即ち、検出対象となる磁気ヘッドがジンバルの内側に隠れてしまうHSAにおいても、CCDカメラを、HSAの側方や前方など、任意の方向に配置して磁気ヘッドの画像信号を生成し、それを解析して、姿勢角の情報を得ることができるのである。CCDカメラに代えてレーザオートコリメータを用いることも考えられるが、レーザオートコリメータの場合は、反射光を捉えることになるので、CCDカメラほどには、設置位置の自由度は高くない。
【0015】
そして、上述のようにして得られた画像信号を解析して修正条件を生成し、修正条件に基づいて、可撓体に静止姿勢角修正のための曲げを加え、可撓体の曲げを生じる領域にレーザを照射する。
【0016】
可撓体に静止姿勢角修正のための曲げを加えた場合、可撓体には曲げに応じた応力が発生する。本発明では、可撓体の曲げを生じる領域にレーザを照射する。これにより、レーザを照射された曲げを生じる領域における応力が、レーザの照射に伴う熱により、開放される。このため、このレーザ照射を受けた領域では、可撓体の復元量が小さくなり、加えられた曲げ角度に近い角度で曲ることになる。このことは、可撓体に与えられる曲げ変化量が小さくとも、可撓体に対し、大きな曲げ角度を付与できることを意味する。よって、可撓体を、小さな曲げ角度で曲げるだけで、大きな静止姿勢角変化量を確保することができる。
【0017】
姿勢角修正の基礎となる磁気ヘッドの撮像方法としては、次の手法が考えられる。
(a)ヘッド支持体の長手方向にとられた自由端の前方から前記磁気ヘッドを撮像するとともに、長手方向とは、略90度異なる側方から磁気ヘッドを撮像し、両撮像による画像信号を解析して、修正条件を生成する。
(b)ヘッド支持体の長手方向にとられた自由端の前方から前記磁気ヘッドを撮像するとともに、長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を解析して、修正条件を生成する。
(c)ヘッド支持体の長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を解析して、修正条件を生成する。
【0018】
また、姿勢角の判定方法として、画像信号上、磁気ヘッドの空気ベアリング面(以下、ABS面と称する)の傾斜角が零であるとして想定された基準線に対し、ABS面の成す角から姿勢角を特定する方法が有効である。具体的には、基準線と、ABS面の稜線との成す角から姿勢角を特定する。
【0019】
上述した静止姿勢角修正方法は、本発明が開示する磁気ヘッド静止姿勢角修正装置によって実施される。この磁気ヘッド静止姿勢角修正装置は、修正装置と、レーザ発振装置と、撮像装置と、コンピュータシステムとを含む。前記修正装置は、前記可撓体に曲げを加える。前記レーザ発振装置は、曲げ領域にレーザを照射する。前記撮像装置は、前記磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を生成する。前記コンピュータシステムは、前記撮像装置から供給された画像信号を解析して、修正条件を生成する。前記修正装置は、前記コンピュータシステムから供給された修正条件に基づき、前記可撓体に曲げを加える。
【0020】
上述した静止姿勢角修正装置によれば、本発明に係る静止姿勢角修正方法を、自動的に実行できることは明らかであるが、更に、この装置に含まれる構成要素について、好ましい態様を示すと次のとおりである。
【0021】
まず、撮像装置は、第1の撮像装置と、第2の撮像装置とを含むことができる。前記第1の撮像装置は、前記長手方向にとられた自由端の前方から前記磁気ヘッドを撮像し、前記第2の撮像装置は、前記長手方向とは、略90度異なる側方から前記磁気ヘッドを撮像する。
【0022】
撮像装置の上記配置によれば、第1の撮像装置によって、磁気ヘッドのロール角に関する情報を得ることができ、第2の撮像装置によってピッチ角の情報を得ることができる。従って、撮像装置によって得られた画像信号を、ロール角及びピッチ角の修正に利用することができる。
【0023】
撮像装置は、更に、第3の撮像装置を含むことができる。第3の撮像装置は、前記第2の撮像装置と対向する側方から前記磁気ヘッドを撮像する。この構成によれば、ピッチ角の情報を、第2の撮像装置及び第2の撮像装置の両者から得ることができ、精度の高いピッチ角修正を実行することが可能になる。
【0024】
更に別の態様として、2つの撮像装置により、前記長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から前記磁気ヘッドを撮像する構成であってもよい。
【0025】
次に、コンピュータシステムは、1つの好ましい態様として、CPUと、前記磁気ヘッドの静止姿勢角の値に対する修正条件をランク付けして予め記憶した記憶部とを有する。前記CPUは、前記測定装置から供給された測定値に対応する前記修正条件を前記記憶部から読み出し、読み出された修正条件を前記修正装置に供給する。
【0026】
このようなコンピュータシステムによれば、CPUを中心とした磁気ヘッド静止姿勢角修正システムを構築し、磁気ヘッドの静止姿勢角を、自動的に、再現性よく、修正することができることは明らかである。
【0027】
前記コンピュータシステムにおける姿勢角特定に当たっては、前記画像信号上、前記磁気ヘッドのABS面の傾斜角が零であるとして想定された基準線に対し、前記ABS面の成す角から姿勢角を特定する手法を採用することができる。
【0028】
より具体的には、前記コンピュータシステムは、前記空気ベアリング面の2つの稜線から前記基準線までの距離の差からロール角を特定する。
【0029】
前記修正装置は、先端を前記可撓体の表面に押圧し得る複数の可動性修正ピンを有することができる。この修正装置によれば、修正ピンの配置、修正ピンの押込み量によって、ピッチ角及びロール角を容易に調整することができる。なお、前記修正条件は、前記可撓体に対する前記修正ピンの当接位置と、前記修正ピンの押込み量と、レーザ照射位置との条件を含むことができる。
【0030】
前記修正ピンは、好ましくは、前記可撓体の表面に対して所定の角度をもって傾斜して配置される。この配置によれば、HSAにおいても、可撓体に修正ピンを当接させ、曲げを加えることができる。また、小型化された磁気ヘッド及び可撓体に対しても、複数備えられる修正ピン相互の接触、重なりなどの相互干渉を回避することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上述べたように、本発明によれば、HSAにおいても、静止姿勢角を、自動的に修正し得る磁気ヘッドの静止姿勢角修正方法及び装置を提供することができる。
【0032】
本発明の他の目的、構成及び効果については、実施の形態である添付図を参照して詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は本発明に係る静止姿勢角(以下、姿勢角と称する)修正方法の実施に直接に用いられる姿勢角修正装置の構成を示す図、図2は本発明に係る姿勢角修正方法が適用される磁気ヘッド装置の平面図である。図示された姿勢角修正装置は、HSAにおける姿勢角修正に適用されるものである。
【0034】
HSA95は、2つのHAA951、952をスタックしたもので、HAA951、952のそれぞれは、ヘッド支持装置1と、磁気ヘッド2とを含む。ヘッド支持装置1は、ロードビーム11と、可撓体12、アーム13とを含む。ロードビーム11は、中央を通る長手方向軸線Lの自由端近傍に突起部111を有する。図示されたロードビーム11は、幅方向の両側に折り曲げ部118(図1参照)を有しており、この折り曲げ部118により、剛性を増加させてある。
【0035】
可撓体12は薄いバネ板材で構成され、一方の面がロードビーム11の突起部111を有する側の面に取り付けられ、突起部111から押圧荷重を受けている。可撓体12の他方の面には、磁気ヘッド2が取り付けられている。可撓体12は、ロードビーム11の突起部111を有する側に、スポット溶着等の手段により貼り合わされている。スポット溶着の代わりに、カシメ等の手段を用いてもよい。可撓体12は、中央に舌状部120を有する。舌状部120は、一端が可撓体12の横枠部121に結合されている。可撓体12の横枠部121は両端が外枠部123、124に連なっている。外枠部123、124と舌状部120との間には、舌状部120の周りに、溝122が形成されている。舌状部120の一面には磁気ヘッド2が接着剤などで取り付けられ、突起部111の先端がバネ接触している。
【0036】
HAA951、952は、磁気ヘッド2のABS面が互いに向き合うようにして、結合部材953によってスタックされている。HSA95は、その複数個が、例えば、ワークパレット971などの上に間隔を隔てて配置され、ワークパレット971は搬送冶具973の上に搭載され、押さえ冶具972により搬送冶具973の上に押し付けられている。
【0037】
図1に図示された姿勢角修正装置は、上述したHSAにおける磁気ヘッド2の姿勢角を修正するために用いられる。姿勢角には、ピッチ角及びロール角が含まれる。ピッチ角は、ロードビーム11の長手方向軸線L(図2参照)の方向にとられた基準線と交差する角度であり、ロール角は長手方向軸線Lの周りにとられた角度である。姿勢角はヘッド支持装置1に対する磁気ヘッド2の組立状態、ヘッド支持装置1の曲り等の影響を受けて、さまざまに変化する。本発明に係る姿勢角修正方法及び修正装置は、この姿勢角を、要求される値に設定するために用いられる。
【0038】
その手段として、本発明に係る姿勢角修正装置は、撮像装置A〜Cと、修正装置92と、レーザ発振装置911、912と、コンピュータシステム94とを含む。次に、これの構成及び機能について説明する。
【0039】
まず、撮像装置A〜Cは、第1の撮像装置Aと、第2の撮像装置Bと、第3の撮像装置Cを含む。図3〜図5は、第1の撮像装置A、第2の撮像装置B及び第3の撮像装置Cの見え方を、模式的に示す図である。図2の配置状態を念頭に置きながら、これらの図を見ると、まず、第1の撮像装置Aは、図2に図示するように、長手軸線方向Lにとられた自由端の前方から磁気ヘッド2を撮像し、図3に図示するような画像を得る。画像には、画像信号上、磁気ヘッド2のABS面のロール角が零であるとして想定された基準線LA0が設定される。
【0040】
第2の撮像装置Bは、図2に図示するように、長手軸線方向Lとは、略90度異なる側方から磁気ヘッド2を撮像し、図4に図示するような画像を得る。画像には、画像信号上、磁気ヘッド2のABS面のピッチ角が零であるとして想定された基準線LB0が設定される。
【0041】
第3の撮像装置Cは、図2に図示するように、第2の撮像装置Bとは反対の方向から磁気ヘッド2を撮像し、図5に図示するように、第2の撮像装置Bとは左右反対の画像を得る。画像には、画像信号上、磁気ヘッド2のABS面のロール角が零であるとして想定された基準線LC0が設定される。
【0042】
撮像装置A〜Cの上記配置によれば、第1の撮像装置Aによって、磁気ヘッド2のロール角に関する情報を得ることができ、第2の撮像装置B及び第3の撮像装置Cによってピッチ角の情報を得ることができる。従って、撮像装置によって得られた画像信号を、ロール角及びピッチ角の修正に利用することができる。
【0043】
ピッチ角は、最低限、第2の撮像装置Bがあれば、検出することができるが、図示では、第2の撮像装置Bのほかに、第3の撮像装置Cを含んでいる。この構成によれば、ピッチ角の情報を、第2の撮像装置B及び第3の撮像装置Cの両者から得ることができ、精度の高いピッチ角修正を実行することが可能になる。
【0044】
更に、別の態様として、ロール角の情報を、磁気ヘッドの稜線の位置を第2の撮像装置B及び第3の撮像装置Cの両者から得ることによって、ロール角を算出することができる。
【0045】
この場合は、ロール角測定用の第1の撮像装置Aを省略してもよい。
【0046】
<修正装置>
図6は修正装置92を示す図である。図6を参照すると、修正装置92は、先端を可撓体12の表面に押圧し得る複数の可動性修正ピン922〜925を有する。この実施例では、修正装置92は、4つの修正ピン922〜925と、駆動部932〜935を有する。修正ピン922〜925は、何れも、駆動部932〜935によって直線的に送られる可動ピンであり、先端部が可撓体12の外枠部123、124に接触できる位置に配置されている。修正ピン922、924は、可撓体12の一面側(磁気ヘッド2を取り付けた面側)に配置され、修正ピン923、925は可撓体12の他面側に配置されている。図示では、修正ピン922と修正ピン923とが対向し、修正ピン924と修正ピン925とが対向しているが、対向していなくてもよい。即ち、互いに異なる位置に配置してもよい。
【0047】
修正ピン922〜925は、好ましくは、可撓体12の表面に対して所定の角度をもって傾斜して配置される。この配置によれば、HSAにおいても、可撓体12に修正ピン922〜925を当接させ、曲げを加えることができる。また、小型化された磁気ヘッド2及び可撓体12に対しても、複数備えられる駆動部932〜935の相互の接触、重なりなどの相互干渉を回避することができる。
【0048】
<レーザ発振装置>
図7はレーザ発振装置の配置状態を示す図である。レーザ発振装置911、912は、可撓体12の領域にレーザLA(図1参照)を照射する。レーザ発振装置911、912は、YAGレーザを含め、各種のものを用いることができる。図示されたレーザ発振装置911、912は、可撓体12において、曲げられる部分に向けられている。図示の実施例では、2つのレーザ発振装置911、912が備えられているが、その個数は任意である。また、実施例では、レーザ発振装置911、912は、可撓体12の表面に対して所定の角度をもって傾斜して配置される。この傾斜配置によれば、HSAにおいても、他のHAAによって妨げられることなく、可撓体12の必要な箇所に、斜め方向からレーザを照射することができる。
【0049】
<コンピュータシステム>
コンピュータシステム94は、CPU941と、磁気ヘッド2の姿勢角の値に対する修正条件をランク付けして予め記憶した記憶部942(例えばROM)942とを有する。CPU941は、撮像装置A〜Cから供給された測定値に対応する修正条件を記憶部942から読み出し、読み出された修正条件を修正装置92に供給する。修正装置92は、コンピュータシステム94から供給された修正条件に基づき、可撓体1212に曲げを加える。コンピュータシステム94は、CPU941及びメモリ装置を含むプログラム実行装置であり、パソコンやマイコン以外にも、例えばシーケンサユニットと称されるものなども含まれるものとする。
【0050】
次に、先に挙げた図、特に図1とともに、図8を参照し、本発明に係る姿勢角修正方法について説明する。図8は本発明に係る姿勢角修正方法のフローチャートである。
【0051】
まず、ワークパレット971のセット、運転開始、ワークパレット搬入、ワーク固定などの準備段階を経ることにより、図1に図示したように、HSA95及びワークパレット971が搬送冶具973の上に搭載され、押さえ冶具972により押し付けられている。
【0052】
この状態で、撮像装置A〜Cによって、磁気ヘッド2の姿勢角を検出する。次に図9〜図12を参照して、撮像装置A〜Cによる磁気ヘッド2の姿勢角検出手法について説明する。第1〜第3の撮像装置A〜Cによって得られた画像信号は、コンピュータシステム94に供給され、解析される。そして、ロール角及びピッチ角が検出される。
【0053】
まず、ロール角の検出手法について、図9を参照して説明する。ロール角は第1の撮像装置Aの画像信号を解析することよって特定される。ロール角は、基本的には、画像信号上、磁気ヘッド2のABS面のロール角が零であるとして想定された基準線LA0に対し、ABS面の成す角として特定される。具体的には、図9に図示するように、第1の撮像装置Aの画像信号を解析して、ABS面の2つの稜線LA1,LA2から基準線LA0までの距離ΔA1、ΔA2の差(ΔA1−ΔA2)を検出し、ロール角を特定することができる。
【0054】
ピッチ角は、第2の撮像装置B、第3の撮像装置Cの画像信号を解析することよって特定される。ピッチ角は、画像信号上、磁気ヘッド2のABS面のピッチ角が零であるとして想定された基準線LB0、LC0に対し、ABS面の成す角として特定される。具体的には、第2の撮像装置Bの場合は、図10に示すように、ABS面の2つの稜線LB1,LB2から基準線LB0までの距離ΔB1、ΔB2の差(ΔB1−ΔB2)から、ピッチ角を特定することができる。第3の撮像装置Bの場合は、図11に示すように、ABS面の2つの稜線LC1,LC2から基準線LC0までの距離ΔC1、ΔC2の差(ΔC1−ΔC2)から、ピッチ角を特定することができる。
【0055】
ロール角は、第2の撮像装置B、第3の撮像装置Cの画像信号を解析することよっても特定可能である。図12はその具体例を示す図である。図12を参照すると、ロール角は、第2の撮像装置B、第3の撮像装置Cの各々の校正された原点を結んだ基準線LA0に対し、ABS面の成す角として特定される。具体的には、第2の撮像装置B、第3の撮像装置Cの校正基準線LA0からABS面の2つの稜線LA1,LA2の距離ΔA3、ΔA4の差(ΔA3−ΔA4)から、ロール角を特定することができる。
【0056】
コンピュータシステム94のCPU941は、第1〜第3の撮像装置A〜Cの画像信号を解析して得られたロール角((ΔA1−ΔA2)、及び、ピッチ角(ΔB1−ΔB2)、(ΔC1−ΔC2)の測定値に対応する修正条件を、記憶部942から読み出し、読み出された修正条件を修正装置92に供給する。修正装置92では、コンピュータシステム94から供給された修正条件に基づき、修正ピン922〜925に修正移動動作が与えられ、それによって可撓体12に曲げを加える。修正条件は、可撓体12に対する修正ピン922〜925の当接位置、修正ピン922〜925の押込み量と、レーザ照射位置の条件を含む。更に、修正条件は、レーザLAの照射時間を含むことができる。
【0057】
次に、コンピュータシステム94による修正条件の設定、及び、修正ピン922〜925の移動制御について説明する。既に述べたように、姿勢角には、ピッチ角及びロール角が含まれており、姿勢角はヘッド支持装置1に対する磁気ヘッド2の組立状態、ヘッド支持装置1の曲り等の影響を受けて、さまざまに変化する。しかも、ピッチ角及びロール角は、水平位置を基準値0として、正、及び、負の値をとる。したがって、ピッチ角及びロール角は、正又は負の所定値に設定しなければならない。
【0058】
その手段として、磁気ヘッド2の姿勢角の値に対する修正条件をランク付けし、これをて予め記憶部942に記憶しておく。図13はその概念を表わすグラフで、縦軸にピッチ角の測定値に対する修正条件を、正側ランク(m1〜m9)及び負側ランク(−m1〜−m9)のようにランク付けしておく。また、横軸では、ロール角の測定値に対する修正条件を、正側ランク(n1〜n9)及び負側ランク(−n1〜−n9)のようにランク付けしておく。これらは、予め記憶部942に記憶しておく。もっとも、ランク数は任意である。そして、第1〜第3の撮像装置A〜Cから姿勢角の信号が供給されたとき、CPU941により、供給された測定値に対応する修正条件を、記憶部942から読み出し、読み出された修正条件を修正装置92に供給する。
【0059】
例えば、図13に示す場合、ロール角の測定値に対する修正条件が、正側ランク(n2)であり、ピッチ角の測定値に対する修正条件が負側ランク(−m4)であり、これらが、記憶部942から読み出される。
【0060】
修正装置92は、コンピュータシステム94から供給された修正条件に基づき、磁気ヘッド2を支持する可撓体12に曲げを加える。このとき加えられる曲げは、ロール角に関しては、正側ランク(n2)を、図13のグラフ上で、原点OKに戻す方向であり、ピッチ角に関しては、負側ランク(−m4)を原点OKに戻す方向である。そのような修正条件が、コンピュータシステム94から修正装置92に供給され,修正装置92において,修正ピン922〜925の移動制御が実行される。
【0061】
次に、修正ピン922〜925を用いた姿勢角修正方法について、具体的に説明する。図14、図15は、図6に示した修正装置92によるピッチ角修正方法を示す図である。まず、図14に示すように、修正ピン923、925を方向P1に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部123、124を押すことにより、ピッチ角を修正することができる。この場合のピッチ角の修正方向P1を正方向とする。
【0062】
図15は、ピッチ角を負方向P2に修正する場合を示し、修正ピン922、924を方向P2に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部123、124を押す。これにより、ピッチ角を負方向P2に修正することができる。
【0063】
図16、図17は、図6に示した修正装置92によるロール角修正方法を示す図である。まず、図16に示すように、修正ピン923を、方向P1に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部123を押すと同時に、修正ピン924を方向P2に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部124を押す。これにより、ロール角を方向R1に修正することができる。この場合のロール角の修正方向R1を正方向とする。
【0064】
図17は、ロール角を負方向R2に修正する場合を示し、修正ピン922を方向P2に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部123を押すと同時に、修正ピン925を方向P1に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部124を押す。これにより、ロール角を負方向R2に修正することができる。
【0065】
図14〜図17に示したピッチ角及びロール角の修正プロセス中に、レーザ発振装置911、912から可撓体12の表面にレーザLAが照射される。レーザLAは、図18に示すように、可撓体12の曲げを生じる領域6に照射される。レーザLAの照射は、一点ではなく、ある長さで、間隔をおいて複数のポイント(例えば10ポイント)に実行する。レーザLAは、可撓体12の裏面に照射してもよい。
【0066】
図14〜図17に図示し、説明した操作によって、可撓体12に機械的な曲げを加えた場合、可撓体12には曲げに応じた応力が発生する。本発明において、可撓体12の曲げを生じる領域6にレーザLAを照射するので、レーザLAを照射された領域6における応力が、レーザLAの照射に伴う熱により、開放される。このため、このレーザLAの照射を受けた領域6では、可撓体12の復元量が小さくなり、加えられた曲げ角度に近い角度で曲ることになる。このことは、可撓体12に与えられる曲げ変化量が小さくとも、可撓体12に対し、大きな曲げ角度を付与できることを意味する。レーザLAは、可撓体12の照射を受ける領域6がステンレススチールで構成されている場合、その表面温度が、例えば、N2を吹き付けた状態で、300〜400℃となるように照射するのが好ましい。
【0067】
上記プロセスにより、可撓体12の小さな曲げ角度で、大きな姿勢角変化量を確保することができる。上述した姿勢角修正装置によれば、CPU941を中心とした姿勢角修正システムを構築し、磁気ヘッド2の姿勢角を、自動的に、確実に、修正することができる。
【0068】
上述のようにして、磁気ヘッド2の姿勢角を修正した後、再度、第1〜第3の撮像装置A〜Cによって、磁気ヘッド2の姿勢角を検出し、検出された姿勢角が許容される角度範囲内(図13の原点OK)であるかどうかを、コンピュータシステム94のCPU941で判断する。判断の結果、検出された姿勢角が、許容される角度範囲内にないときは、コンピュータシステム94のCPU941は、修正装置92に修正条件を再度供給する。修正装置92は、コンピュータシステム94から供給された修正条件に基づき、修正ピン922〜925に修正移動動作を与え、それによって可撓体12に曲げが加えられる。そして、レーザ発振装置911、912により、可撓体12の曲げ部分にレーザLAが照射される。
【0069】
上述した姿勢角の検出、修正ピン移動、レーザ照射の各プロセスを、ロール角およびピッチ角の修正条件が、図13の原点OKに到るまで繰り返される。そして、検出された姿勢角が許容される角度範囲内(図13の原点OK)にあると判断されたときは、修正完了とし、次のワーク(HSA95)の処理に移り、当該ワークに対して、上述したプロセスが実行される。用意された全ワークの処理が終了した後は、ワークパレットを排出し、運転が終了され、ワークパレットが取り出される。
【0070】
図19は本発明に係る姿勢角修正装置の具体的な構造を示す平面図、図20は図19に示した姿勢角修正装置の具体的な構造を示す正面図、図21は図19及び図20に示した姿勢角修正装置の側面図である。これらの図は、機械的部分のみを抽出して示したものである。図において、先に示した図面に現れた構成部分に相当する部分については、同一の参照符号を付してある。
【0071】
レーザ発振装置911、912は、直交3軸X,Y,Zで見て、X軸(横方向)及びY軸(奥行き方向)の2軸方向に移動しえるXYテーブルを備えている。
【0072】
修正装置92は、4つの修正ピン922〜925と、駆動部932〜935を有する。修正ピン922〜925は、何れも、斜めに配置され、斜めの状態を保って、駆動部932〜935により、Y軸及びZ軸の方向に駆動される。
【0073】
第1〜第3の撮像装置A〜Cは、CCDカメラで構成され、X軸、Y軸、Z軸、X軸周りθX、及び、Y軸周りθYの各方向に可動であり、それによって位置調整ができるように配置されている。
【0074】
ワークであるHSA95は、ワークパレット971、押さえ冶具972及び搬送冶具973により支持(図1参照)され、磁気ヘッド2が、修正ピン922〜925により押される位置、レーザ発振装置911、912によるレーザ照射を受けうる位置、及び、第1〜第3の撮像装置A〜Cによる姿勢角測定を受ける位置に搬入される。
【0075】
図19〜図21に示した姿勢角修正装置によれば、図1〜図18を参照して説明した姿勢角修正を、自動的に、効率よく実行することができる。
【0076】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。例えば、修正装置92はピンタイプに限らず、可撓体12を挟み込んで曲げるタイプのものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る姿勢角修正方法の実施に直接に用いられる姿勢角修正装置の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る姿勢角修正装置適用される撮像装置配置を示す図である。
【図3】第1の撮像装置による画像を示す図である。
【図4】第2の撮像装置による画像を示す図である。
【図5】第3の撮像装置による画像を示す図である。
【図6】本発明に係る姿勢角修正装置に含まれる修正装置のピン配置を示す図である。
【図7】本発明に係る姿勢角修正装置に含まれるレーザ発振装置の配置を示す図である。
【図8】本発明に係る姿勢角修正方法のフローチャートである。
【図9】第1の撮像装置によって撮像される画像とそれを利用したロール角修正方法を説明する図である。
【図10】第2の撮像装置によって撮像される画像とそれを利用したピッチ角修正方法を説明する図である。
【図11】第3の撮像装置によって撮像される画像とそれを利用したピッチ角修正方法を説明する図である。
【図12】第2の撮像装置及び第3の撮像装置によるロール角検出方法を説明する図である。
【図13】姿勢角の検出値に対する修正条件のランク付けについて説明するグラフである。
【図14】修正装置によるピッチ角調整方法を説明する図である。
【図15】修正装置によるもう一つのピッチ角調整方法を説明する図である。
【図16】修正装置によるロール角調整方法を説明する図である。
【図17】修正装置によるもう一つのロール角調整方法を説明する図である。
【図18】可撓体に対するレーザ照射位置を示す図である。
【図19】本発明に係る姿勢角修正装置の具体的な構造を示す平面図である。
【図20】図19に示した姿勢角修正装置の正面図である。
【図21】図19、図20に示した姿勢角修正装置の側面図である。
【符号の説明】
【0078】
2 磁気ヘッド
12 可撓体
91 レーザ発振装置
92 修正装置
93 測定装置
94 コンピュータシステム
A〜C 第1〜第3の撮像装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ヘッドの静止姿勢角修正方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浮上型の磁気ヘッド装置では、高密度記録再生を達成するため、ヘッド支持装置によって支持された磁気ヘッドの静止姿勢角が高精度に保持されていることが基本的な要求事項となる。磁気ヘッド装置の静止姿勢角には、ピッチ角と、ロール角とが含まれる。
【0003】
ところが、磁気ヘッド装置は、ヘッド支持装置(サスペンション)の一端に磁気ヘッドを接着剤によって接着した構造になっているから、この接着構造のために、静止姿勢角が所定の角度からずれを生じることがある。
【0004】
磁気ヘッド装置は、複雑なプロセスを経て製造された高価な磁気ヘッドを、高精度で高価なヘッド支持装置に取り付けて構成されており、磁気ヘッド装置の段階で、静止姿勢角が所定の角度内にないとして、不良品扱いにすることは、許されない。
【0005】
静止姿勢角ずれを修正するための修正手段としては、押圧治具を用いた機械的押圧による修正手段が知られている。この押圧治具を用いた静止姿勢角修正方法では、磁気ヘッドを取り付けた可撓体(フレクシャ)を押圧することによって、可撓体を曲げ、それによって磁気ヘッドの静止姿勢角を修正する。
【0006】
しかしながら、機械的押圧により、可撓体に大きな曲げ変位を与えても、可撓体の有する復元力のために、曲げが元に戻る。このことは、所定の静止姿勢角を与える曲げ変位よりも、著しく大きな曲げ変位で、可撓体を曲げなければならないことを意味する。
【0007】
可撓体に大きな曲げ変位を与えると、ロードビームから可撓体に荷重を加える突起部(ディンプル)と、可撓体との間に隙間を生じ、いわゆるディンプル浮きが発生することがある。ディンプル浮きが発生すると、ロードビームから可撓体に荷重を与えることができなくなり、所定の磁気ヘッド浮上特性を確保することができなくなる。
【0008】
更に、磁気ヘッドの支持機構として、磁気ヘッドをジンバルに取り付けたヘッド.ジンバル組立体(Head Gimbal Assembly, 以下HGAと称する)、HGAをアームに取り付けたヘッド.アーム組立体(Head Arm Assembly, 以下HAAと称する)及び複数のHAAがスタックされたヘッド.スタック組立体(Head Stack Assembly, 以下HSAと称する)が知られている。
【0009】
このうち、HSAは、2枚1組のHAAを、磁気ヘッドが互いに向き合うようにして組み立てられているため、磁気ヘッドがジンバルの内側に入ってしまい、磁気ヘッドの姿勢角の検出及びレーザ照射が難しくなる。
【0010】
上述した問題点を解決する手段として、特許文献1、2は、可撓体に静止姿勢角修正のための曲げを加え、曲げ領域にレーザを照射して、応力を開放することにより、加えられた曲げ角度に近い角度で曲げる技術を開示している。
【0011】
確かに、この先行技術によれば、ヘッド支持装置を、小さな曲げ角度で曲げるだけで、大きな静止姿勢角変化量を確保することができるという優れた効果を得ることができる。
しかし、HSAに固有の問題点を解決する手段を、明確には開示していない。
【特許文献1】特開2001−357644号公報
【特許文献2】特開2001−357645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、上述した先行技術に更に改良を加え、HSAにおいても、静止姿勢角を、自動的に修正できる磁気ヘッドの静止姿勢角修正方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明に係る静止姿勢角修正方法は、ヘッド支持体の長手方向の一端側である自由端側に備えられた可撓体に取り付けられた磁気ヘッドの静止姿勢角を修正するに当たり、まず、前記磁気ヘッドを、少なくとも2つの撮像装置を用いて撮像して得られた画像信号を解析して修正条件を生成する。そして、前記修正条件に基づいて、前記可撓体に静止姿勢角修正のための曲げを加え、前記可撓体の曲げを生じる領域にレーザを照射する。
【0014】
上述したように、本発明に係る静止姿勢角制御方法では、まず、前記磁気ヘッドを、少なくとも2つの撮像装置を用いて撮像して得られた画像信号を解析して修正条件を生成する。磁気ヘッドを撮像して画像信号を得ることの利点は、CCDカメラなどの撮像手段を用い、検出対象の磁気ヘッドを、任意の方向から撮像して、その姿勢角に関する情報を得ることができる点にある。即ち、検出対象となる磁気ヘッドがジンバルの内側に隠れてしまうHSAにおいても、CCDカメラを、HSAの側方や前方など、任意の方向に配置して磁気ヘッドの画像信号を生成し、それを解析して、姿勢角の情報を得ることができるのである。CCDカメラに代えてレーザオートコリメータを用いることも考えられるが、レーザオートコリメータの場合は、反射光を捉えることになるので、CCDカメラほどには、設置位置の自由度は高くない。
【0015】
そして、上述のようにして得られた画像信号を解析して修正条件を生成し、修正条件に基づいて、可撓体に静止姿勢角修正のための曲げを加え、可撓体の曲げを生じる領域にレーザを照射する。
【0016】
可撓体に静止姿勢角修正のための曲げを加えた場合、可撓体には曲げに応じた応力が発生する。本発明では、可撓体の曲げを生じる領域にレーザを照射する。これにより、レーザを照射された曲げを生じる領域における応力が、レーザの照射に伴う熱により、開放される。このため、このレーザ照射を受けた領域では、可撓体の復元量が小さくなり、加えられた曲げ角度に近い角度で曲ることになる。このことは、可撓体に与えられる曲げ変化量が小さくとも、可撓体に対し、大きな曲げ角度を付与できることを意味する。よって、可撓体を、小さな曲げ角度で曲げるだけで、大きな静止姿勢角変化量を確保することができる。
【0017】
姿勢角修正の基礎となる磁気ヘッドの撮像方法としては、次の手法が考えられる。
(a)ヘッド支持体の長手方向にとられた自由端の前方から前記磁気ヘッドを撮像するとともに、長手方向とは、略90度異なる側方から磁気ヘッドを撮像し、両撮像による画像信号を解析して、修正条件を生成する。
(b)ヘッド支持体の長手方向にとられた自由端の前方から前記磁気ヘッドを撮像するとともに、長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を解析して、修正条件を生成する。
(c)ヘッド支持体の長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を解析して、修正条件を生成する。
【0018】
また、姿勢角の判定方法として、画像信号上、磁気ヘッドの空気ベアリング面(以下、ABS面と称する)の傾斜角が零であるとして想定された基準線に対し、ABS面の成す角から姿勢角を特定する方法が有効である。具体的には、基準線と、ABS面の稜線との成す角から姿勢角を特定する。
【0019】
上述した静止姿勢角修正方法は、本発明が開示する磁気ヘッド静止姿勢角修正装置によって実施される。この磁気ヘッド静止姿勢角修正装置は、修正装置と、レーザ発振装置と、撮像装置と、コンピュータシステムとを含む。前記修正装置は、前記可撓体に曲げを加える。前記レーザ発振装置は、曲げ領域にレーザを照射する。前記撮像装置は、前記磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を生成する。前記コンピュータシステムは、前記撮像装置から供給された画像信号を解析して、修正条件を生成する。前記修正装置は、前記コンピュータシステムから供給された修正条件に基づき、前記可撓体に曲げを加える。
【0020】
上述した静止姿勢角修正装置によれば、本発明に係る静止姿勢角修正方法を、自動的に実行できることは明らかであるが、更に、この装置に含まれる構成要素について、好ましい態様を示すと次のとおりである。
【0021】
まず、撮像装置は、第1の撮像装置と、第2の撮像装置とを含むことができる。前記第1の撮像装置は、前記長手方向にとられた自由端の前方から前記磁気ヘッドを撮像し、前記第2の撮像装置は、前記長手方向とは、略90度異なる側方から前記磁気ヘッドを撮像する。
【0022】
撮像装置の上記配置によれば、第1の撮像装置によって、磁気ヘッドのロール角に関する情報を得ることができ、第2の撮像装置によってピッチ角の情報を得ることができる。従って、撮像装置によって得られた画像信号を、ロール角及びピッチ角の修正に利用することができる。
【0023】
撮像装置は、更に、第3の撮像装置を含むことができる。第3の撮像装置は、前記第2の撮像装置と対向する側方から前記磁気ヘッドを撮像する。この構成によれば、ピッチ角の情報を、第2の撮像装置及び第2の撮像装置の両者から得ることができ、精度の高いピッチ角修正を実行することが可能になる。
【0024】
更に別の態様として、2つの撮像装置により、前記長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から前記磁気ヘッドを撮像する構成であってもよい。
【0025】
次に、コンピュータシステムは、1つの好ましい態様として、CPUと、前記磁気ヘッドの静止姿勢角の値に対する修正条件をランク付けして予め記憶した記憶部とを有する。前記CPUは、前記測定装置から供給された測定値に対応する前記修正条件を前記記憶部から読み出し、読み出された修正条件を前記修正装置に供給する。
【0026】
このようなコンピュータシステムによれば、CPUを中心とした磁気ヘッド静止姿勢角修正システムを構築し、磁気ヘッドの静止姿勢角を、自動的に、再現性よく、修正することができることは明らかである。
【0027】
前記コンピュータシステムにおける姿勢角特定に当たっては、前記画像信号上、前記磁気ヘッドのABS面の傾斜角が零であるとして想定された基準線に対し、前記ABS面の成す角から姿勢角を特定する手法を採用することができる。
【0028】
より具体的には、前記コンピュータシステムは、前記空気ベアリング面の2つの稜線から前記基準線までの距離の差からロール角を特定する。
【0029】
前記修正装置は、先端を前記可撓体の表面に押圧し得る複数の可動性修正ピンを有することができる。この修正装置によれば、修正ピンの配置、修正ピンの押込み量によって、ピッチ角及びロール角を容易に調整することができる。なお、前記修正条件は、前記可撓体に対する前記修正ピンの当接位置と、前記修正ピンの押込み量と、レーザ照射位置との条件を含むことができる。
【0030】
前記修正ピンは、好ましくは、前記可撓体の表面に対して所定の角度をもって傾斜して配置される。この配置によれば、HSAにおいても、可撓体に修正ピンを当接させ、曲げを加えることができる。また、小型化された磁気ヘッド及び可撓体に対しても、複数備えられる修正ピン相互の接触、重なりなどの相互干渉を回避することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上述べたように、本発明によれば、HSAにおいても、静止姿勢角を、自動的に修正し得る磁気ヘッドの静止姿勢角修正方法及び装置を提供することができる。
【0032】
本発明の他の目的、構成及び効果については、実施の形態である添付図を参照して詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は本発明に係る静止姿勢角(以下、姿勢角と称する)修正方法の実施に直接に用いられる姿勢角修正装置の構成を示す図、図2は本発明に係る姿勢角修正方法が適用される磁気ヘッド装置の平面図である。図示された姿勢角修正装置は、HSAにおける姿勢角修正に適用されるものである。
【0034】
HSA95は、2つのHAA951、952をスタックしたもので、HAA951、952のそれぞれは、ヘッド支持装置1と、磁気ヘッド2とを含む。ヘッド支持装置1は、ロードビーム11と、可撓体12、アーム13とを含む。ロードビーム11は、中央を通る長手方向軸線Lの自由端近傍に突起部111を有する。図示されたロードビーム11は、幅方向の両側に折り曲げ部118(図1参照)を有しており、この折り曲げ部118により、剛性を増加させてある。
【0035】
可撓体12は薄いバネ板材で構成され、一方の面がロードビーム11の突起部111を有する側の面に取り付けられ、突起部111から押圧荷重を受けている。可撓体12の他方の面には、磁気ヘッド2が取り付けられている。可撓体12は、ロードビーム11の突起部111を有する側に、スポット溶着等の手段により貼り合わされている。スポット溶着の代わりに、カシメ等の手段を用いてもよい。可撓体12は、中央に舌状部120を有する。舌状部120は、一端が可撓体12の横枠部121に結合されている。可撓体12の横枠部121は両端が外枠部123、124に連なっている。外枠部123、124と舌状部120との間には、舌状部120の周りに、溝122が形成されている。舌状部120の一面には磁気ヘッド2が接着剤などで取り付けられ、突起部111の先端がバネ接触している。
【0036】
HAA951、952は、磁気ヘッド2のABS面が互いに向き合うようにして、結合部材953によってスタックされている。HSA95は、その複数個が、例えば、ワークパレット971などの上に間隔を隔てて配置され、ワークパレット971は搬送冶具973の上に搭載され、押さえ冶具972により搬送冶具973の上に押し付けられている。
【0037】
図1に図示された姿勢角修正装置は、上述したHSAにおける磁気ヘッド2の姿勢角を修正するために用いられる。姿勢角には、ピッチ角及びロール角が含まれる。ピッチ角は、ロードビーム11の長手方向軸線L(図2参照)の方向にとられた基準線と交差する角度であり、ロール角は長手方向軸線Lの周りにとられた角度である。姿勢角はヘッド支持装置1に対する磁気ヘッド2の組立状態、ヘッド支持装置1の曲り等の影響を受けて、さまざまに変化する。本発明に係る姿勢角修正方法及び修正装置は、この姿勢角を、要求される値に設定するために用いられる。
【0038】
その手段として、本発明に係る姿勢角修正装置は、撮像装置A〜Cと、修正装置92と、レーザ発振装置911、912と、コンピュータシステム94とを含む。次に、これの構成及び機能について説明する。
【0039】
まず、撮像装置A〜Cは、第1の撮像装置Aと、第2の撮像装置Bと、第3の撮像装置Cを含む。図3〜図5は、第1の撮像装置A、第2の撮像装置B及び第3の撮像装置Cの見え方を、模式的に示す図である。図2の配置状態を念頭に置きながら、これらの図を見ると、まず、第1の撮像装置Aは、図2に図示するように、長手軸線方向Lにとられた自由端の前方から磁気ヘッド2を撮像し、図3に図示するような画像を得る。画像には、画像信号上、磁気ヘッド2のABS面のロール角が零であるとして想定された基準線LA0が設定される。
【0040】
第2の撮像装置Bは、図2に図示するように、長手軸線方向Lとは、略90度異なる側方から磁気ヘッド2を撮像し、図4に図示するような画像を得る。画像には、画像信号上、磁気ヘッド2のABS面のピッチ角が零であるとして想定された基準線LB0が設定される。
【0041】
第3の撮像装置Cは、図2に図示するように、第2の撮像装置Bとは反対の方向から磁気ヘッド2を撮像し、図5に図示するように、第2の撮像装置Bとは左右反対の画像を得る。画像には、画像信号上、磁気ヘッド2のABS面のロール角が零であるとして想定された基準線LC0が設定される。
【0042】
撮像装置A〜Cの上記配置によれば、第1の撮像装置Aによって、磁気ヘッド2のロール角に関する情報を得ることができ、第2の撮像装置B及び第3の撮像装置Cによってピッチ角の情報を得ることができる。従って、撮像装置によって得られた画像信号を、ロール角及びピッチ角の修正に利用することができる。
【0043】
ピッチ角は、最低限、第2の撮像装置Bがあれば、検出することができるが、図示では、第2の撮像装置Bのほかに、第3の撮像装置Cを含んでいる。この構成によれば、ピッチ角の情報を、第2の撮像装置B及び第3の撮像装置Cの両者から得ることができ、精度の高いピッチ角修正を実行することが可能になる。
【0044】
更に、別の態様として、ロール角の情報を、磁気ヘッドの稜線の位置を第2の撮像装置B及び第3の撮像装置Cの両者から得ることによって、ロール角を算出することができる。
【0045】
この場合は、ロール角測定用の第1の撮像装置Aを省略してもよい。
【0046】
<修正装置>
図6は修正装置92を示す図である。図6を参照すると、修正装置92は、先端を可撓体12の表面に押圧し得る複数の可動性修正ピン922〜925を有する。この実施例では、修正装置92は、4つの修正ピン922〜925と、駆動部932〜935を有する。修正ピン922〜925は、何れも、駆動部932〜935によって直線的に送られる可動ピンであり、先端部が可撓体12の外枠部123、124に接触できる位置に配置されている。修正ピン922、924は、可撓体12の一面側(磁気ヘッド2を取り付けた面側)に配置され、修正ピン923、925は可撓体12の他面側に配置されている。図示では、修正ピン922と修正ピン923とが対向し、修正ピン924と修正ピン925とが対向しているが、対向していなくてもよい。即ち、互いに異なる位置に配置してもよい。
【0047】
修正ピン922〜925は、好ましくは、可撓体12の表面に対して所定の角度をもって傾斜して配置される。この配置によれば、HSAにおいても、可撓体12に修正ピン922〜925を当接させ、曲げを加えることができる。また、小型化された磁気ヘッド2及び可撓体12に対しても、複数備えられる駆動部932〜935の相互の接触、重なりなどの相互干渉を回避することができる。
【0048】
<レーザ発振装置>
図7はレーザ発振装置の配置状態を示す図である。レーザ発振装置911、912は、可撓体12の領域にレーザLA(図1参照)を照射する。レーザ発振装置911、912は、YAGレーザを含め、各種のものを用いることができる。図示されたレーザ発振装置911、912は、可撓体12において、曲げられる部分に向けられている。図示の実施例では、2つのレーザ発振装置911、912が備えられているが、その個数は任意である。また、実施例では、レーザ発振装置911、912は、可撓体12の表面に対して所定の角度をもって傾斜して配置される。この傾斜配置によれば、HSAにおいても、他のHAAによって妨げられることなく、可撓体12の必要な箇所に、斜め方向からレーザを照射することができる。
【0049】
<コンピュータシステム>
コンピュータシステム94は、CPU941と、磁気ヘッド2の姿勢角の値に対する修正条件をランク付けして予め記憶した記憶部942(例えばROM)942とを有する。CPU941は、撮像装置A〜Cから供給された測定値に対応する修正条件を記憶部942から読み出し、読み出された修正条件を修正装置92に供給する。修正装置92は、コンピュータシステム94から供給された修正条件に基づき、可撓体1212に曲げを加える。コンピュータシステム94は、CPU941及びメモリ装置を含むプログラム実行装置であり、パソコンやマイコン以外にも、例えばシーケンサユニットと称されるものなども含まれるものとする。
【0050】
次に、先に挙げた図、特に図1とともに、図8を参照し、本発明に係る姿勢角修正方法について説明する。図8は本発明に係る姿勢角修正方法のフローチャートである。
【0051】
まず、ワークパレット971のセット、運転開始、ワークパレット搬入、ワーク固定などの準備段階を経ることにより、図1に図示したように、HSA95及びワークパレット971が搬送冶具973の上に搭載され、押さえ冶具972により押し付けられている。
【0052】
この状態で、撮像装置A〜Cによって、磁気ヘッド2の姿勢角を検出する。次に図9〜図12を参照して、撮像装置A〜Cによる磁気ヘッド2の姿勢角検出手法について説明する。第1〜第3の撮像装置A〜Cによって得られた画像信号は、コンピュータシステム94に供給され、解析される。そして、ロール角及びピッチ角が検出される。
【0053】
まず、ロール角の検出手法について、図9を参照して説明する。ロール角は第1の撮像装置Aの画像信号を解析することよって特定される。ロール角は、基本的には、画像信号上、磁気ヘッド2のABS面のロール角が零であるとして想定された基準線LA0に対し、ABS面の成す角として特定される。具体的には、図9に図示するように、第1の撮像装置Aの画像信号を解析して、ABS面の2つの稜線LA1,LA2から基準線LA0までの距離ΔA1、ΔA2の差(ΔA1−ΔA2)を検出し、ロール角を特定することができる。
【0054】
ピッチ角は、第2の撮像装置B、第3の撮像装置Cの画像信号を解析することよって特定される。ピッチ角は、画像信号上、磁気ヘッド2のABS面のピッチ角が零であるとして想定された基準線LB0、LC0に対し、ABS面の成す角として特定される。具体的には、第2の撮像装置Bの場合は、図10に示すように、ABS面の2つの稜線LB1,LB2から基準線LB0までの距離ΔB1、ΔB2の差(ΔB1−ΔB2)から、ピッチ角を特定することができる。第3の撮像装置Bの場合は、図11に示すように、ABS面の2つの稜線LC1,LC2から基準線LC0までの距離ΔC1、ΔC2の差(ΔC1−ΔC2)から、ピッチ角を特定することができる。
【0055】
ロール角は、第2の撮像装置B、第3の撮像装置Cの画像信号を解析することよっても特定可能である。図12はその具体例を示す図である。図12を参照すると、ロール角は、第2の撮像装置B、第3の撮像装置Cの各々の校正された原点を結んだ基準線LA0に対し、ABS面の成す角として特定される。具体的には、第2の撮像装置B、第3の撮像装置Cの校正基準線LA0からABS面の2つの稜線LA1,LA2の距離ΔA3、ΔA4の差(ΔA3−ΔA4)から、ロール角を特定することができる。
【0056】
コンピュータシステム94のCPU941は、第1〜第3の撮像装置A〜Cの画像信号を解析して得られたロール角((ΔA1−ΔA2)、及び、ピッチ角(ΔB1−ΔB2)、(ΔC1−ΔC2)の測定値に対応する修正条件を、記憶部942から読み出し、読み出された修正条件を修正装置92に供給する。修正装置92では、コンピュータシステム94から供給された修正条件に基づき、修正ピン922〜925に修正移動動作が与えられ、それによって可撓体12に曲げを加える。修正条件は、可撓体12に対する修正ピン922〜925の当接位置、修正ピン922〜925の押込み量と、レーザ照射位置の条件を含む。更に、修正条件は、レーザLAの照射時間を含むことができる。
【0057】
次に、コンピュータシステム94による修正条件の設定、及び、修正ピン922〜925の移動制御について説明する。既に述べたように、姿勢角には、ピッチ角及びロール角が含まれており、姿勢角はヘッド支持装置1に対する磁気ヘッド2の組立状態、ヘッド支持装置1の曲り等の影響を受けて、さまざまに変化する。しかも、ピッチ角及びロール角は、水平位置を基準値0として、正、及び、負の値をとる。したがって、ピッチ角及びロール角は、正又は負の所定値に設定しなければならない。
【0058】
その手段として、磁気ヘッド2の姿勢角の値に対する修正条件をランク付けし、これをて予め記憶部942に記憶しておく。図13はその概念を表わすグラフで、縦軸にピッチ角の測定値に対する修正条件を、正側ランク(m1〜m9)及び負側ランク(−m1〜−m9)のようにランク付けしておく。また、横軸では、ロール角の測定値に対する修正条件を、正側ランク(n1〜n9)及び負側ランク(−n1〜−n9)のようにランク付けしておく。これらは、予め記憶部942に記憶しておく。もっとも、ランク数は任意である。そして、第1〜第3の撮像装置A〜Cから姿勢角の信号が供給されたとき、CPU941により、供給された測定値に対応する修正条件を、記憶部942から読み出し、読み出された修正条件を修正装置92に供給する。
【0059】
例えば、図13に示す場合、ロール角の測定値に対する修正条件が、正側ランク(n2)であり、ピッチ角の測定値に対する修正条件が負側ランク(−m4)であり、これらが、記憶部942から読み出される。
【0060】
修正装置92は、コンピュータシステム94から供給された修正条件に基づき、磁気ヘッド2を支持する可撓体12に曲げを加える。このとき加えられる曲げは、ロール角に関しては、正側ランク(n2)を、図13のグラフ上で、原点OKに戻す方向であり、ピッチ角に関しては、負側ランク(−m4)を原点OKに戻す方向である。そのような修正条件が、コンピュータシステム94から修正装置92に供給され,修正装置92において,修正ピン922〜925の移動制御が実行される。
【0061】
次に、修正ピン922〜925を用いた姿勢角修正方法について、具体的に説明する。図14、図15は、図6に示した修正装置92によるピッチ角修正方法を示す図である。まず、図14に示すように、修正ピン923、925を方向P1に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部123、124を押すことにより、ピッチ角を修正することができる。この場合のピッチ角の修正方向P1を正方向とする。
【0062】
図15は、ピッチ角を負方向P2に修正する場合を示し、修正ピン922、924を方向P2に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部123、124を押す。これにより、ピッチ角を負方向P2に修正することができる。
【0063】
図16、図17は、図6に示した修正装置92によるロール角修正方法を示す図である。まず、図16に示すように、修正ピン923を、方向P1に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部123を押すと同時に、修正ピン924を方向P2に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部124を押す。これにより、ロール角を方向R1に修正することができる。この場合のロール角の修正方向R1を正方向とする。
【0064】
図17は、ロール角を負方向R2に修正する場合を示し、修正ピン922を方向P2に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部123を押すと同時に、修正ピン925を方向P1に直線的に移動させ、その先端で、可撓体12の外枠部124を押す。これにより、ロール角を負方向R2に修正することができる。
【0065】
図14〜図17に示したピッチ角及びロール角の修正プロセス中に、レーザ発振装置911、912から可撓体12の表面にレーザLAが照射される。レーザLAは、図18に示すように、可撓体12の曲げを生じる領域6に照射される。レーザLAの照射は、一点ではなく、ある長さで、間隔をおいて複数のポイント(例えば10ポイント)に実行する。レーザLAは、可撓体12の裏面に照射してもよい。
【0066】
図14〜図17に図示し、説明した操作によって、可撓体12に機械的な曲げを加えた場合、可撓体12には曲げに応じた応力が発生する。本発明において、可撓体12の曲げを生じる領域6にレーザLAを照射するので、レーザLAを照射された領域6における応力が、レーザLAの照射に伴う熱により、開放される。このため、このレーザLAの照射を受けた領域6では、可撓体12の復元量が小さくなり、加えられた曲げ角度に近い角度で曲ることになる。このことは、可撓体12に与えられる曲げ変化量が小さくとも、可撓体12に対し、大きな曲げ角度を付与できることを意味する。レーザLAは、可撓体12の照射を受ける領域6がステンレススチールで構成されている場合、その表面温度が、例えば、N2を吹き付けた状態で、300〜400℃となるように照射するのが好ましい。
【0067】
上記プロセスにより、可撓体12の小さな曲げ角度で、大きな姿勢角変化量を確保することができる。上述した姿勢角修正装置によれば、CPU941を中心とした姿勢角修正システムを構築し、磁気ヘッド2の姿勢角を、自動的に、確実に、修正することができる。
【0068】
上述のようにして、磁気ヘッド2の姿勢角を修正した後、再度、第1〜第3の撮像装置A〜Cによって、磁気ヘッド2の姿勢角を検出し、検出された姿勢角が許容される角度範囲内(図13の原点OK)であるかどうかを、コンピュータシステム94のCPU941で判断する。判断の結果、検出された姿勢角が、許容される角度範囲内にないときは、コンピュータシステム94のCPU941は、修正装置92に修正条件を再度供給する。修正装置92は、コンピュータシステム94から供給された修正条件に基づき、修正ピン922〜925に修正移動動作を与え、それによって可撓体12に曲げが加えられる。そして、レーザ発振装置911、912により、可撓体12の曲げ部分にレーザLAが照射される。
【0069】
上述した姿勢角の検出、修正ピン移動、レーザ照射の各プロセスを、ロール角およびピッチ角の修正条件が、図13の原点OKに到るまで繰り返される。そして、検出された姿勢角が許容される角度範囲内(図13の原点OK)にあると判断されたときは、修正完了とし、次のワーク(HSA95)の処理に移り、当該ワークに対して、上述したプロセスが実行される。用意された全ワークの処理が終了した後は、ワークパレットを排出し、運転が終了され、ワークパレットが取り出される。
【0070】
図19は本発明に係る姿勢角修正装置の具体的な構造を示す平面図、図20は図19に示した姿勢角修正装置の具体的な構造を示す正面図、図21は図19及び図20に示した姿勢角修正装置の側面図である。これらの図は、機械的部分のみを抽出して示したものである。図において、先に示した図面に現れた構成部分に相当する部分については、同一の参照符号を付してある。
【0071】
レーザ発振装置911、912は、直交3軸X,Y,Zで見て、X軸(横方向)及びY軸(奥行き方向)の2軸方向に移動しえるXYテーブルを備えている。
【0072】
修正装置92は、4つの修正ピン922〜925と、駆動部932〜935を有する。修正ピン922〜925は、何れも、斜めに配置され、斜めの状態を保って、駆動部932〜935により、Y軸及びZ軸の方向に駆動される。
【0073】
第1〜第3の撮像装置A〜Cは、CCDカメラで構成され、X軸、Y軸、Z軸、X軸周りθX、及び、Y軸周りθYの各方向に可動であり、それによって位置調整ができるように配置されている。
【0074】
ワークであるHSA95は、ワークパレット971、押さえ冶具972及び搬送冶具973により支持(図1参照)され、磁気ヘッド2が、修正ピン922〜925により押される位置、レーザ発振装置911、912によるレーザ照射を受けうる位置、及び、第1〜第3の撮像装置A〜Cによる姿勢角測定を受ける位置に搬入される。
【0075】
図19〜図21に示した姿勢角修正装置によれば、図1〜図18を参照して説明した姿勢角修正を、自動的に、効率よく実行することができる。
【0076】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。例えば、修正装置92はピンタイプに限らず、可撓体12を挟み込んで曲げるタイプのものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る姿勢角修正方法の実施に直接に用いられる姿勢角修正装置の構成を示す図である。
【図2】本発明に係る姿勢角修正装置適用される撮像装置配置を示す図である。
【図3】第1の撮像装置による画像を示す図である。
【図4】第2の撮像装置による画像を示す図である。
【図5】第3の撮像装置による画像を示す図である。
【図6】本発明に係る姿勢角修正装置に含まれる修正装置のピン配置を示す図である。
【図7】本発明に係る姿勢角修正装置に含まれるレーザ発振装置の配置を示す図である。
【図8】本発明に係る姿勢角修正方法のフローチャートである。
【図9】第1の撮像装置によって撮像される画像とそれを利用したロール角修正方法を説明する図である。
【図10】第2の撮像装置によって撮像される画像とそれを利用したピッチ角修正方法を説明する図である。
【図11】第3の撮像装置によって撮像される画像とそれを利用したピッチ角修正方法を説明する図である。
【図12】第2の撮像装置及び第3の撮像装置によるロール角検出方法を説明する図である。
【図13】姿勢角の検出値に対する修正条件のランク付けについて説明するグラフである。
【図14】修正装置によるピッチ角調整方法を説明する図である。
【図15】修正装置によるもう一つのピッチ角調整方法を説明する図である。
【図16】修正装置によるロール角調整方法を説明する図である。
【図17】修正装置によるもう一つのロール角調整方法を説明する図である。
【図18】可撓体に対するレーザ照射位置を示す図である。
【図19】本発明に係る姿勢角修正装置の具体的な構造を示す平面図である。
【図20】図19に示した姿勢角修正装置の正面図である。
【図21】図19、図20に示した姿勢角修正装置の側面図である。
【符号の説明】
【0078】
2 磁気ヘッド
12 可撓体
91 レーザ発振装置
92 修正装置
93 測定装置
94 コンピュータシステム
A〜C 第1〜第3の撮像装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド支持体の長手方向の一端側である自由端側に備えられた可撓体に取り付けられた磁気ヘッドの静止姿勢角を修正する方法であって、
前記磁気ヘッドを少なくとも2つの撮像装置を用いて撮像して得られた画像信号を解析して修正条件を生成し、
前記修正条件に基づいて、前記可撓体に静止姿勢角修正のための曲げを加え、
前記可撓体の曲げを生じる領域にレーザを照射する、
ステップを含む静止姿勢角修正方法。
【請求項2】
請求項1に記載された方法であって、
前記長手方向にとられた自由端の前方から前記磁気ヘッドを撮像し、
前記長手方向とは、略90度異なる側方から前記磁気ヘッドを撮像し、
両撮像による画像信号を解析して、修正条件を生成する
方法。
【請求項3】
請求項2に記載された方法であって、前記長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から前記磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を解析して、修正条件を生成する方法。
【請求項4】
請求項1に記載された方法であって、
前記長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から前記磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を解析して、修正条件を生成する方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載された方法であって、前記画像信号上、前記磁気ヘッドの空気ベアリング面の傾斜角が零であるとして想定された基準線に対し、前記空気ベアリング面の成す角から姿勢角を特定する方法。
【請求項6】
請求項5に記載された方法であって、前記空気ベアリング面の2つの稜線から前記基準線までの距離の差からロール角を特定する、方法。
【請求項7】
修正装置と、レーザ発振装置と、少なくとも2つの撮像装置と、コンピュータシステムとを含み、ヘッドアーム組立体の可撓体に取り付けられた磁気ヘッドの静止姿勢角を修正する装置であって、
前記修正装置は、前記可撓体に曲げを加えるものであり、
前記レーザ発振装置は、曲げ領域にレーザを照射するものであり、
前記撮像装置は、前記磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を生成するものであり、
前記コンピュータシステムは、前記撮像装置から供給された画像信号を解析して、修正条件を生成し、
前記修正装置は、前記コンピュータシステムから供給された修正条件に基づき、前記可撓体に曲げを加える、
静止姿勢角修正装置。
【請求項8】
請求項7に記載された装置であって、前記撮像装置は、第1の撮像装置と、第2の撮像装置とを含んでおり、
前記第1の撮像装置は、前記長手方向にとられた自由端の前方から前記磁気ヘッドを撮像し、
前記第2の撮像装置は、前記長手方向とは、略90度異なる側方から前記磁気ヘッドを撮像する、
装置。
【請求項9】
請求項8に記載された装置であって、更に、第3の撮像装置を含み、前記第3の撮像装置は、前記第2の撮像装置と対向する側方から前記磁気ヘッドを撮像する装置。
【請求項10】
請求項7に記載された装置であって、前記撮像装置は、2つの撮像装置を含んでおり、前記2つの撮像装置は、前記長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から前記磁気ヘッドを撮像する装置。
【請求項11】
請求項7乃至10の何れかに記載された装置であって、前記コンピュータシステムは、CPUと、前記磁気ヘッドの静止姿勢角の値に対する修正条件をランク付けして予め記憶した記憶部とを有し、前記CPUは、前記測定装置から供給された測定値に対応する前記修正条件を前記記憶部から読み出し、読み出された修正条件を前記修正装置に供給する、
静止姿勢角修正装置。
【請求項12】
請求項7乃至11の何れかに記載された装置であって、前記コンピュータシステムは、前記画像信号上、前記磁気ヘッドの空気ベアリング面の傾斜角が零であるとして想定された基準線に対し、前記空気ベアリング面の成す角から姿勢角を特定する装置。
【請求項13】
請求項12に記載された装置であって、前記コンピュータシステムは、前記基準線と、前記空気ベアリング面の稜線との成す角から前記姿勢角を特定する装置。
【請求項14】
請求項7乃至13の何れかに記載された静止姿勢角修正装置であって、
前記修正装置は、先端を前記可撓体の表面に押圧し得る複数の可動性修正ピンを有し、
前記修正条件は、前記可撓体に対する前記修正ピンの当接位置と、前記修正ピンの押込み量と、レーザ照射位置との条件を含む、
静止姿勢角修正装置。
【請求項15】
請求項14に記載された磁気ヘッド静止姿勢角修正装置であって、前記修正ピンは、前記可撓体の表面に対して所定の角度をもって配置されている、
静止姿勢角修正装置。
【請求項1】
ヘッド支持体の長手方向の一端側である自由端側に備えられた可撓体に取り付けられた磁気ヘッドの静止姿勢角を修正する方法であって、
前記磁気ヘッドを少なくとも2つの撮像装置を用いて撮像して得られた画像信号を解析して修正条件を生成し、
前記修正条件に基づいて、前記可撓体に静止姿勢角修正のための曲げを加え、
前記可撓体の曲げを生じる領域にレーザを照射する、
ステップを含む静止姿勢角修正方法。
【請求項2】
請求項1に記載された方法であって、
前記長手方向にとられた自由端の前方から前記磁気ヘッドを撮像し、
前記長手方向とは、略90度異なる側方から前記磁気ヘッドを撮像し、
両撮像による画像信号を解析して、修正条件を生成する
方法。
【請求項3】
請求項2に記載された方法であって、前記長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から前記磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を解析して、修正条件を生成する方法。
【請求項4】
請求項1に記載された方法であって、
前記長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から前記磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を解析して、修正条件を生成する方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載された方法であって、前記画像信号上、前記磁気ヘッドの空気ベアリング面の傾斜角が零であるとして想定された基準線に対し、前記空気ベアリング面の成す角から姿勢角を特定する方法。
【請求項6】
請求項5に記載された方法であって、前記空気ベアリング面の2つの稜線から前記基準線までの距離の差からロール角を特定する、方法。
【請求項7】
修正装置と、レーザ発振装置と、少なくとも2つの撮像装置と、コンピュータシステムとを含み、ヘッドアーム組立体の可撓体に取り付けられた磁気ヘッドの静止姿勢角を修正する装置であって、
前記修正装置は、前記可撓体に曲げを加えるものであり、
前記レーザ発振装置は、曲げ領域にレーザを照射するものであり、
前記撮像装置は、前記磁気ヘッドを撮像し、その画像信号を生成するものであり、
前記コンピュータシステムは、前記撮像装置から供給された画像信号を解析して、修正条件を生成し、
前記修正装置は、前記コンピュータシステムから供給された修正条件に基づき、前記可撓体に曲げを加える、
静止姿勢角修正装置。
【請求項8】
請求項7に記載された装置であって、前記撮像装置は、第1の撮像装置と、第2の撮像装置とを含んでおり、
前記第1の撮像装置は、前記長手方向にとられた自由端の前方から前記磁気ヘッドを撮像し、
前記第2の撮像装置は、前記長手方向とは、略90度異なる側方から前記磁気ヘッドを撮像する、
装置。
【請求項9】
請求項8に記載された装置であって、更に、第3の撮像装置を含み、前記第3の撮像装置は、前記第2の撮像装置と対向する側方から前記磁気ヘッドを撮像する装置。
【請求項10】
請求項7に記載された装置であって、前記撮像装置は、2つの撮像装置を含んでおり、前記2つの撮像装置は、前記長手方向とは、方向が略90度異なる両側方から前記磁気ヘッドを撮像する装置。
【請求項11】
請求項7乃至10の何れかに記載された装置であって、前記コンピュータシステムは、CPUと、前記磁気ヘッドの静止姿勢角の値に対する修正条件をランク付けして予め記憶した記憶部とを有し、前記CPUは、前記測定装置から供給された測定値に対応する前記修正条件を前記記憶部から読み出し、読み出された修正条件を前記修正装置に供給する、
静止姿勢角修正装置。
【請求項12】
請求項7乃至11の何れかに記載された装置であって、前記コンピュータシステムは、前記画像信号上、前記磁気ヘッドの空気ベアリング面の傾斜角が零であるとして想定された基準線に対し、前記空気ベアリング面の成す角から姿勢角を特定する装置。
【請求項13】
請求項12に記載された装置であって、前記コンピュータシステムは、前記基準線と、前記空気ベアリング面の稜線との成す角から前記姿勢角を特定する装置。
【請求項14】
請求項7乃至13の何れかに記載された静止姿勢角修正装置であって、
前記修正装置は、先端を前記可撓体の表面に押圧し得る複数の可動性修正ピンを有し、
前記修正条件は、前記可撓体に対する前記修正ピンの当接位置と、前記修正ピンの押込み量と、レーザ照射位置との条件を含む、
静止姿勢角修正装置。
【請求項15】
請求項14に記載された磁気ヘッド静止姿勢角修正装置であって、前記修正ピンは、前記可撓体の表面に対して所定の角度をもって配置されている、
静止姿勢角修正装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−102943(P2007−102943A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292994(P2005−292994)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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