磁気ヘッドサスペンションおよび製造方法
【課題】金属支持体上に絶縁層を介して積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、導体接続材が配線層の表面よりも突き出す高さを低減し、磁気ヘッド実装での問題を解消した磁気ヘッドサスペンションとその製造方法を提供することを主目的にする。
【解決手段】金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、該磁気ヘッドサスペンション用基板は前記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、該開口により露出する前記金属支持体の表面部と、前記配線層の前記開口内面部を接続し、前記配線層の層表面に接続部を持たない導体接続材を設けたサスペンション用基板を用いる。
【解決手段】金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、該磁気ヘッドサスペンション用基板は前記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、該開口により露出する前記金属支持体の表面部と、前記配線層の前記開口内面部を接続し、前記配線層の層表面に接続部を持たない導体接続材を設けたサスペンション用基板を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)に用いられる磁気ヘッドサスペンション組立体の技術分野に属し、特に、磁気ヘッドと制御回路基板とを接続するための配線が一体的に形成されてなるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブ、及びサスペンション用基板の製造方法に関するものである。また、本発明は、ビア端子による素子への悪影響を防止できる回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及等によりパーソナルコンピュータの情報処理量の増大や情報処理速度の高速化が要求されてきており、それに伴って、パーソナルコンピュータに組み込まれているハードディスクドライブ(HDD)も大容量化や情報伝達速度の高速化が必要となってきている。そして、このHDDに用いられる磁気ヘッドを支持している磁気ヘッドサスペンションと呼ばれる部品も、従来の金ワイヤ等の信号線を接続するタイプから、ステンレスのばねに直接銅配線等の信号線が形成されている、いわゆるワイヤレスサスペンションと呼ばれる配線一体型のものに移行している。
【0003】
このような配線一体型サスペンションの製造方法の一つとして、〔特許文献1〕には、ステンレス(SUS)等のばね性金属層/絶縁層/導電層からなる積層板を用い、ばね性金属層と導電層に所定のパターンを施した後、絶縁層の一部をプラズマエッチングにより除去する方法が記載されている。これにより、ばね性を有する金属薄板上に磁気ヘッドと制御回路基板を接続するための複数本の配線が絶縁層を介して一体的に形成された磁気ヘッドサスペンションが得られる。
【0004】
上記したように、磁気ヘッドサスペンションは、ばね性を有する金属薄板上に磁気ヘッドと制御回路基板とを接続するための複数本の配線が絶縁層を介して一体的に形成された構造をしている。そして、サスペンション(フレクシャ)の基材を構成する金属薄板は、使用時にばねとしての機能を発揮するように可撓性のあるSUS等の金属が用いられている。ところが、金属薄板はベースであると同時にばねとしての機能を発揮するものであるが、それ以外には特別な役目を果たしてはいない。したがって、金属薄板に磁気ヘッドサスペンションに何らかの付加的な機能を持たせることができれば好都合であり、しかもそれが簡単に出来るのであればなおさら好都合である。
【0005】
上記を目的にして、〔特許文献2〕には、バネ性を有する金属薄板上に磁気ヘッドと制御回路基板とを接続するための複数本の配線が絶縁層を介して一体的に形成されてなる磁気ヘッドサスペンションにおいて、配線と同じ金属層からなる金属パッドを配線とは独立して形成し、その金属パッドの一部から絶縁層を貫通して金属薄板に至る開孔を設け、その開孔に金属メッキによる導通部分を設けることにより、金属パッドと金属薄板とを電気的に接続したことを特徴とする磁気ヘッドサスペンションが記載されている。
しかし、この方法では、金属パッドの開孔部に金属接続層を電解メッキする際に、金属支持体から金属導体層までメッキが成長した時点で、開孔部以外の露出している金属導体層表面からもメッキが成長するため、レジストを剥離すると金属導体層表面よりもメッキにより形成された金属接続層が突き出た形状となり、磁気ヘッドの実装において支障をきたすという問題があった。
【0006】
また、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)に用いられる回路基板として、磁気ヘッドスライダ等の素子を実装するサスペンション用基板が知られている。サスペンション用基板は、通常、第一金属層(例えばSUS)、絶縁層(例えばポリイミド)、第二金属層(例えばCu)がこの順に積層された基本構造を有し、通常は、一方の先端に素子を実装するための素子実装領域を有し、他方の先端に他の回路基板との接続を行うための接続領域を有する。
【0007】
一方、静電気による素子の特性変化を抑制することや、電気信号のノイズを低減すること等を目的として、サスペンション用基板の素子実装領域の近傍に、第一金属層の一部を構成する第一金属部と、第二金属層の一部を構成する第二金属部とを電気的に接続するビア端子を設けることが知られている。例えば、特許文献2の図1においては、金属パッド6を素子の搭載部5の近傍に設け、金属パッド(第二金属部)6および金属薄板(第一金属部)1を、絶縁層2の開口8を介して、めっきからなるビア端子により電気的に接続した磁気ヘッドサスペンションが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−180353
【特許文献2】特開2006−202359
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
金属支持体上に絶縁層を介して積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、導体接続材が配線層の表面よりも突き出す高さを低減し、磁気ヘッド実装での問題を解消した磁気ヘッドサスペンションとその製造方法を提供することを主目的にする。
【0010】
また、特許文献2のように、めっき法によりビア端子を形成すると、通常、ビア端子の頂部の位置が、第二金属部(またはカバー部)の頂部の位置よりも高くなり、ビア端子が突出した形状となる(後述する図14(b)、図22参照)。このような場合であっても、特許文献2のように、ビア端子が、素子実装領域内ではなく、素子と接触しない程度に離れた位置にある場合は、大きな問題は生じない。
【0011】
これに対して、回路基板の高機能化を目的とした場合、デザイン上、ビア端子を、素子実装領域内に配置せざるを得ない場合がある。このような場合に、ビア端子が突出していると、回路基板に素子を実装した場合に、素子が傾き、素子と回路基板との接続が良好に行えないという問題がある。さらに、ビア端子と素子とが点接触しているため、点接触の箇所に応力集中が生じた場合に、素子にダメージが生じるという可能性もある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ビア端子による素子への悪影響を防止できる回路基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第1は、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、該磁気ヘッドサスペンション用基板は上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、該開口により露出する上記金属支持体の表面部と、上記配線層の上記開口内面部を接続し、上記配線層の層表面に接続部を持たない導体接続材を設けたことを特徴とするサスペンション用基板である。
【0014】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第2は、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、該磁気ヘッドサスペンション用基板は上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、該開口に接する配線層には他の配線層の表面より低く形成された開口周辺部を有し、上記開口により露出する上記金属支持体の表面部と、上記配線層を接続する導体接続材を設けたことを特徴とするサスペンション用基板である。
【0015】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第3は、上記開口周辺部は、エッチングにより他の配線層の表面より低く形成されることを特徴とする要旨の第2に記載のサスペンション用基板である。
【0016】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第4は、上記配線層が2層の導体層により構成され、上記絶縁層と配線層を貫通する開口の配線層の開口は、上記2層の導体層の下層の開口と、該下層の開口より大きい上層の開口により形成されることにより、上記開口周辺部が他の配線層の表面より低く形成されることを特徴とする要旨の第2に記載のサスペンション用基板である。
【0017】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第5は、上記導体接続材の高さは、上記配線層の層表面と同一もしくはそれ以下であることを特徴とする要旨の第1又は2に記載のサスペンション用基板である。
【0018】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第6は、上記導体接続材と上記配線層の接続は、配線層の層表面より低い部分のみで行われていることを特徴とする要旨の第1乃至5のいずれかに記載のサスペンション用基板である。
【0019】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第7は、上記導体接続材が金属メッキにより形成されていることを特徴とする要旨の第1乃至6のいずれかに記載のサスペンション用基板である。
【0020】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第8は、上記金属メッキがニッケルメッキであることを特徴とする要旨の第7に記載のサスペンション用基板である。
【0021】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第9は、上記導体接続材がグランド端子又は信号伝送端子であることを特徴とする要旨の第1乃至8のいずれかに記載のサスペンション基板である。
【0022】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第10は、本発明の要旨の第1乃至9のいずれかに記載のサスペンション用基板を用いたことを特徴とするサスペンションである。
【0023】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第11は、本発明の要旨の第10に記載のサスペンションと、該サスペンション上に搭載された磁気ヘッドスライダーを有することを特徴とするヘッド付サスペンションである。
【0024】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第12は、本発明の要旨の第11に記載のヘッド付サスペンションを用いたことを特徴とするハードディスクドライブである。
【0025】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第13は、
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された基材において、
該絶縁層と配線層を貫通する開口を形成し金属支持体表面を露出させる工程と、
上記配線層の層表面を露出させずに上記配線層の開口部を露出させるレジスト層を形成する工程と、
上記金属支持体から給電して金属メッキし、導体接続材を形成する工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法である。
【0026】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第14は、
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層され、該絶縁層と配線層を開口し金属支持体表面を露出するように開口部を形成した配線付き基材を準備する工程と、
上記配線層の上記開口部周辺の高さを他の配線層よりも低くなるように形成する工程と、
上記開口及び開口周辺部に金属メッキすることで、金属支持体層と配線層を接続する導体接続材を形成する工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法である。
【0027】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第15は、
上記開口部周辺の配線層の高さを他の配線層よりも低く形成する工程は、
上記配線層の開口部及び上記開口部周辺を除いてドライフィルムレジストを形成し、エッチングすることにより形成することを特徴とする要旨の第14に記載のサスペンション用基板の製造方法である
【0028】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第16は、
上記導体接続材を形成する工程は、上記配線層の層表面を露出させずに上記配線層の開口部及び開口周辺部を露出させるレジスト層を形成するとともに、金属メッキを上記開口部及び配線層の開口周辺部まで形成することで、上記導体接続材の高さを配線層の高さと同一もしくはそれ以下になるように形成することを特徴とする要旨の第13乃至15のいずれかに記載のサスペンション用基板の製造方法である。
【0029】
上記要旨の第1乃至第6の発明によれば、導体接続材に突出部がないため磁気ヘッドスライダーを精度良く接続することができ、接続不良による歩留まりの低下を防ぐことができる。このため、磁気スライダー等、本発明のサスペンション用基板上に搭載される部品との接続を容易なものとすることができる。
また、上記導体接続材に突出部がないため、磁気ヘッドスライダーの金属支持体に対する平行性を保持し実装することができ、
本発明のサスペンション用基板をハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0030】
上記要旨の第7の発明によれば、微細な開口内において金属支持体層と配線層を電気的に確実に接続することができ、要旨の第8の発明によれば、ニッケル(Ni)を用いるため、導電性に優れ、かつ安価であり、さらに耐腐食性に優れた材料特性を有する。
【0031】
上記要旨の第9の発明によれば、上記導体接続材が磁気ヘッドスライダーに溜まる電荷を金属支持体に逃し静電気を除去する機能、信号用配線に含まれるノイズを抑制する機能、電気信号を伝送する機能を有するため、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0032】
上記要旨の第10の発明によれば、上記サスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンションを提供する。本発明によれば、上記サスペンションをハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0033】
上記要旨の第11の発明によれば、上記サスペンションと、上記サスペンション上に搭載された磁気ヘッドスライダーとを有することを特徴とするヘッド付サスペンションを提供する。本発明によれば、上記ヘッド付サスペンションをハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0034】
上記要旨の第12の発明によれば、上記ヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。本発明によれば、上記ヘッド付サスペンションを含むハードディスクドライブであるため、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができ、その結果、データ信頼性等に優れたものとすることができる。
【0035】
上記要旨の第13乃至第16の発明によれば、要旨の第1乃至第9の発明の特徴を備えたサスペンション用基板を製造することができる。
【0036】
また、上記課題を解決するために、本発明においては、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、上記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、上記絶縁層の一部を構成し、上記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、上記第二金属層の一部を構成し、上記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、上記絶縁層開口部および上記第二金属層開口部を介して、上記第一金属部および上記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、上記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板であって、上記第二金属部は上記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部を有し、上記薄肉部の頂部表面は上記ビア端子により覆われ、上記ビア端子が、上記ビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状であることを特徴とする回路基板を提供する。
【0037】
本発明によれば、ビア端子がビア部から突出しない形状であることから、回路基板に素子を実装した場合に、素子が傾くことを防止することができる。これにより、素子と回路基板との接続を良好に行うことができる。
【0038】
上記発明においては、上記ビア部は、上記第二金属部上に、上記ビア端子が露出するように形成された開口部を有するカバー部を備えていることが好ましい。カバー部の厚さがビア部の厚さとして加わることで、ビア部から突出しない形状を有するビア端子を形成しやすくなるからである。
【0039】
上記発明においては、上記カバー部の開口部の端部は、上記薄肉部により形成される外側端部よりも内側に位置していることが好ましい。これにより、カバー部に突起部が形成され、突起部によるめっき厚の制御ができるからである。
【0040】
また、本発明においては、上述した回路基板であることを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0041】
本発明によれば、上述した回路基板をサスペンション用基板として用いることで、素子を実装した場合に、素子の傾きを防止でき、素子とサスペンション用基板との接続を良好に行うことができる。
【0042】
また、本発明においては、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンションを提供する。
【0043】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、素子との接続性が良好なサスペンションとすることができる。
【0044】
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンションを提供する。
【0045】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、素子とサスペンションとの接続性が良好な素子付サスペンションとすることができる。
【0046】
また、本発明においては、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【0047】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【0048】
また、本発明においては、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、上記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、上記絶縁層の一部を構成し、上記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、上記第二金属層の一部を構成し、上記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、上記絶縁層開口部および上記第二金属層開口部を介して、上記第一金属部および上記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、上記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板の製造方法であって、上記第一金属部、上記絶縁部および上記第二金属部を有し、上記第二金属部には上記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部が形成され、上記第二金属部上に上記ビア部を形成する際のめっきをマスクするマスク部を有するビア設置部を備えた被めっき部材を形成する被めっき部材形成工程と、上記被めっき部材の第一金属部からの給電によってめっきを成長させることにより、上記ビア端子を形成するめっき工程と、を有し、上記めっき工程の際に、上記薄肉部の頂部表面を上記ビア端子により覆い、かつ、上記ビア端子を上記ビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状とすることを特徴とする回路基板の製造方法を提供する。
【0049】
本発明によれば、薄肉部を有する被めっき部材を用いることにより、ビア部から突出しない形状のビア端子を容易に形成することができる。その結果、回路基板に素子を実装した場合に、素子が傾くことを防止することができ、素子と回路基板との接続を良好に行うことができる。
【0050】
上記発明においては、上記マスク部が、カバー部またはドライフィルムレジスト部であることが好ましい。従来の製造方法を大幅に変更することなく、所望の回路基板を得ることができるからである。
【発明の効果】
【0051】
本発明では導体接続材形成の形状や製法を上記のように規定することで、導体接続材の高さが、配線層の表面に対して同一もしくはそれ以下の位置にある導体接続材を形成することができ、これにより磁気ヘッドスライダーを実装するエリアにおいて、導体接続材が磁気ヘッドスライダー実装の妨げにならないようにできる。このため、磁気ヘッドスライダーを任意の位置に配置することが可能となるなど、配線のデザイン自由度が高くなることで高密度実装が可能となり、装置の小型化や低コスト化、データ信頼性の向上などの利点が得られる。
【0052】
また、本発明においては、ビア端子による素子への悪影響を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第1態様の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第2態様の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第2態様の開口部の例を説明する断面図である。
【図4】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第1形態の製造方法の一例を説明する工程図である。
【図5】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第2形態の製造方法の一例を説明する工程図である。
【図6】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第1の実施例を説明する図である。
【図7】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第2の実施例を説明する図である。
【図8】本発明のサスペンションの一例を示す概略図である。
【図9】本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略図である。
【図10】本発明のハードディスクドライブの内部構造の一例を示す概略図である。
【図11】従来の磁気ヘッドサスペンション用基板の一例を示す断面図である。
【図12】本発明の回路基板の一例を示す概略平面図である。
【図13】図12の素子実装領域201の近傍を示す拡大図である。
【図14】本発明におけるビア部と、従来におけるビア部とを比較する概略断面図である。
【図15】本発明の効果を説明する概略断面図である。
【図16】本発明における薄肉部を説明する概略断面図である。
【図17】本発明におけるビア部を説明する概略断面図である。
【図18】本発明におけるビア部を説明する概略断面図である。
【図19】本発明の回路基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図20】本発明の回路基板の製造方法の他の例を示す概略断面図である。
【図21】本発明におけるビア設置部を説明する概略断面図である。
【図22】従来における回路基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図23】本発明における被めっき部材形成工程を説明する概略断面図である。
【図24】本発明における被めっき部材形成工程を説明する概略断面図である。
【図25】薄肉部を形成する前の被めっき部材を説明する概略断面図である。
【図26】薄肉部を有する被めっき部材を説明する概略断面図である。
【図27】本発明におけるビア部を説明する概略断面図である。
【図28】実施例3で得られたビア部の断面写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
本発明は、サスペンション用基板、これを用いたサスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブに関するものである。以下、これらについて詳細に説明する。さらに、本発明の回路基板、回路基板の製造方法、サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、およびハードディスクドライブについても詳細に説明する。
【0055】
A.サスペンション用基板
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。本発明のサスペンション用基板は、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層されており、上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、上記開口により露出する金属支持体の表面部と、上記配線層の上記開口内面部を接続し、上記配線層の層表面に接続部を持たない導体接続材を設けたことを特徴とする態様(第1態様)と、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層されており、上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、上記開口に接する配線層には他の配線層の表面より低く形成された開口周辺部を有し、上記開口により露出する上記金属支持体の表面部と、上記配線層を接続する導体接続材を設けたことを特徴とする態様(第2態様)に分けることができる。以下、本発明のサスペンション用基板を各態様に分けて説明する。
【0056】
1.第1態様
まず、本発明のサスペンション用基板の第1態様について説明する。本態様のサスペンション用基板は、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層されており、上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、上記開口により露出する金属支持体の表面部と、上記配線層の上記開口内面部を接続し、上記配線層の層表面に接続部を持たない導体接続材を設けたことを特徴とする態様である。
【0057】
このような本態様のサスペンション用基板を、図1を参照しながら説明する。図1は本態様のサスペンション用基板の一例を示す断面図である。本態様のサスペンション用基板は、金属支持体1と上記支持体1上に形成された絶縁層2と、上記絶縁層2を介して積層された配線層3と、上記金属支持体1と配線層3を接続する導体接続材4を有するものである。ここで、本態様のサスペンション用基板は、導体接続材4が開口部7により露出する金属支持体1の表面部62と上記配線層3の上記開口内面部61を接続し、上記配線層3の層表面5に接続部を持たないように形成されている。
【0058】
上記導体接続材4の高さは、上記配線層3の層表面5と同一もしくはそれ以下であるように形成されている。ここで、同一もしくはそれ以下であるように形成されているとは、図1より上記配線層3の厚みをX3、上記絶縁層2の厚みをX2とし、金属支持体の表面部62から導体接続材4の接続材表面6までの導体接続材4の高さをYとすると、X2<Y≦X
2+X3の範囲を満たす高さで形成されていることを示している。なかでもX2+(X3)/2≦Y≦X2+X3の範囲を満たす高さで導体接続材4が形成されていることが好ましい。なぜなら、上記範囲の高さで、導体接続材4を形成すれば、より接続信頼性が向上するからである。
【0059】
上記導体接続材4が上記の高さで形成されることにより、上記導体接続材4と上記配線層3との接続は、上記配線層3の層表面5には接続部を持たず、上記配線層3の層表面5より低い部分のみで行なわれている。
【0060】
従来のサスペンション用基板は、図11に例示する断面図のように、金属支持体1上に絶縁層72を介して配線層73が積層されており、上記絶縁層72と配線層73を貫通する開口77を有し、上記開口77により露出する金属支持体71の表面部762と、上記配線層73の上記開口内面部761を接続し、上記配線層73の層表面75にも導体接続材74が形成されている。このため、磁気ヘッドスライダー位置に導体接続材74が形成される場合に、導体接続材74の表面76が配線層73の層表面75よりも突き出た形状となり、磁気ヘッドスライダーの実装において支障をきたすという問題があった。
【0061】
一方、本態様によれば、上記導体接続材4が上記配線層3の層表面5に接続部を持たないように形成されているため、導体接続材4が突き出た形状とならず、磁気ヘッドスライダーを精度良く実装でき、接続不良による歩留まりの低下を防ぐことができる。
【0062】
本態様のサスペンション用基板は、金属支持体、絶縁層、配線、および導体接続材を少なくとも有するものである。以下、本態様のサスペンション用基板の各構成について説明する。
【0063】
(1)配線
本態様に用いられる配線層は、絶縁層上に形成されるものである。本発明のサスペンション用基板をハードディスクドライブに用いた場合に、上記配線層は、スライダーを介してディスクに書き込まれるデータや、ディスクから読み出されたデータを、電気信号として伝送するための信号用配線層であり、磁気ヘッドスライダーに溜まる電荷を金属支持体に逃すほか、上記信号用配線に含まれるノイズを低減させるための接地用配線層である。
【0064】
本発明に用いられる配線層の材料としては、例えば銅(Cu)などを挙げることができる。
【0065】
本発明に用いられる配線層の厚みとしては、所望の導電性を発揮することができれば、特に限定されるものではないが、通常、4μm〜18μmの範囲内であることが好ましく、なかでも5μm〜14μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲であることにより、本発明のサスペンション用基板に、スライダー等の部品を搭載する際に障害とならないものとすることができるからである。
【0066】
本発明に用いられる配線層の線幅としては、所望の導電性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、なかでも15μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲であることにより、上記配線層が、高密度化によりピッチが狭く形成される場合であっても、安定的に形成することができるからである。
【0067】
本発明に用いられる配線層のピッチ幅としては、最も狭い箇所において、30μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、なかでも30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
【0068】
本発明に用いられる配線層は、通常、その表面にニッケル(Ni)や、金(Au)による保護めっき層が形成されていることが好ましい。配線層を腐食に強いものとすることができるからである。
また、上記保護めっき層の膜厚としては、耐食性を確保できれば限定されるものではないが、5μm以下であることが好ましく、なかでも1μm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
また、上記配線層は、上記保護めっき層に比べ絶縁信頼性により優れたカバーレイにより部分的に被覆されるものとしても良い。
【0069】
(2)導体接続材
本態様に用いられる導体接続材は、金属支持体の表面と上記配線層を接続するものである。上記導体接続材は、グランド端子であることのほか、信号伝送用端子であることを特徴とする。
【0070】
上記導体接続材が、上記接地用配線と接続する場合、グランド端子としての機能を有する。ここで、グランド端子の主たる機能は、上記サスペンション用基板の磁気ヘッドスライダー設置位置内に形成される場合には、磁気ヘッドスライダーに溜まる電荷を金属支持体に逃すための静電気除去機能であり、また、上記サスペンション用基板の先端部に形成される場合、および、サスペンション用基板の先端部以外の信号用配線間に形成され、磁気ヘッドスライダーと接続されない位置に形成される場合には、上記信号用配線に含まれるノイズを低減させるためのノイズ抑制機能である。
【0071】
上記導体接続材が、上記信号用配線と接続する場合、信号伝送用端子としての機能を有する。信号伝送用端子の主たる機能は、磁気ヘッドスライダーを介してディスクに書き込まれるデータや、ディスクから読み出されたデータを電気信号として、金属支持体と信号用配線を接続し伝送する機能である。
【0072】
本発明に用いられる導体接続材を形成する導体接続材用金属は、導電性を有する金属であれば、特に限定されるものではないが、金属支持体との密着性に優れた金属であることが好ましい。具体的には、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等を用いることができ、なかでも銅(Cu)、ニッケル(Ni)を好ましく用いることができ、特にニッケル(Ni)を好ましく用いることができる。導電性に優れ、かつ安価だからである。また、耐腐食性に優れた材料だからである。
なお、これらの材料は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)により同定することができる。
これにより接続不良による歩留まりの低下を防ぐことができ、ハードディスクドライブ等に用いた場合には、上記スライダーを介したデータの読み取り等を安定的に行うことができるものとすることができる。
【0073】
また、上記導体接続材用金属としてニッケルを用い、後述する製造方法に示すような電解めっき法により導体接続材を形成する場合、電解Niめっき液としては、所望の形状に導体接続材を形成することができるものであれば良いが、ワット浴、スルファミン酸浴等を用いることができる。また、めっき浴には、適宜、添加剤を入れることにより、光沢度や皮膜応力を調整することが可能である。
【0074】
(3)絶縁層
本発明に用いられる絶縁層は、金属支持体上に形成されるものである。
【0075】
上記絶縁層の材料としては、例えばポリイミド(PI)等を挙げることができる。
【0076】
上記絶縁層の厚みとしては、所望の絶縁性を発揮することができれば、特に限定されるものではないが、通常5μm〜30μm程度である。
【0077】
(4)金属支持体
本発明に用いられる金属支持体は、導電性を有し、さらにサスペンション用途に用いられるため、通常、適度なばね性を有するものである。
【0078】
上記金属支持体の材料としては、例えば、SUS等を挙げることができる。
【0079】
本発明においては、上記金属支持体が、導体接続材が形成される表面側に、導電層を有していることが好ましい。導電層を設けることにより、導体接続材による導通がより効率的になるからである。上記導電層の材料としては、具体的には、銅(Cu)等を挙げることができる。上記導電層は、例えばめっき法等により形成することができる。
【0080】
上記金属支持体の厚さとしては、所望のばね特性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではなく、金属支持体の材料等により異なるものであるが、通常、10μm〜30μmの範囲内であるが、なかでも15μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
【0081】
次に、本態様のサスペンション用基板の製造方法の一例について図4を参照しながら説明する。上記サスペンション用基板の各構成を所望の位置に精度良く配置することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、図4(a)に示すように、金属支持体1と、上記金属支持体1上に形成され、絶縁層を構成する材料からなる絶縁層2および信号用配線および接地用配線を構成する材料からなる配線層3とを有する積層体を形成する。次いで、上記積層体にDFRなどのフォトレジスト8bを設け、所定の形状にパターニングする(図4(b))。その後、上記配線層3をエッチングによりパターニングし、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、開口部7を有する接地用配線と信号用配線を形成する(図4(c))。その後、DFRなどのフォトレジスト8bを設け、所定の形状にパターニング(図4(d))し、次いで上記絶縁層2をエッチングによりパターニングし、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、上記絶縁層2と上記配線層3を貫通する開口部7を有し、上記金属支持体1の表面部62が露出する絶縁層2を形成する(図4(e))。
【0082】
続いて、DFRなどのフォトレジスト8bを設け、上記配線層3の層表面5を露出させずに、上記配線層の開口部7を露出させるようにパターニングする(図4(f))。次いで、上記金属支持体1を給電層として用いて、上記グランド端子もしくは信号伝送用端子として金属めっきにより配線層3の層表面5と同一もしくはそれ以下の高さで導体接続材4を形成する。次いで、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、本態様のサスペンションを作製することができる(図4(g))。
【0083】
2.第2態様
次に、本発明のサスペンション用基板の第2態様について説明する。本態様のサスペンション用基板は、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層されており、上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、上記開口に接する配線層には他の配線層の表面より低く形成された開口周辺部を有し、上記開口により露出する上記金属支持体の表面部と、上記配線層を接続する導体接続材を設けたことを特徴とする態様である。
【0084】
このような本態様のサスペンション用基板を、図2を参照しながら説明する。図2は本発明の磁気ヘッドサスペンション基板の導体接続材の一例を示す断面図である。金属支持体1と上記支持体1上に形成された絶縁層2と、上記絶縁層2を介して積層された配線層3と、上記金属支持体1と配線層3を接続する導体接続材4を有するものである。ここで、本態様のサスペンション用基板は、導体接続材4が開口部7に接する配線層3の層表面5より低い開口周辺部60と、開口部7により露出する金属支持体1の表面部62を接続し、上記配線層3の層表面5に接続部を持たないように形成されている。
【0085】
ここで、本態様のサスペンション基板は、上記開口周辺部60が、エッチングにより配線層3の表面5より低く形成されていることを特徴とする。ここで、上記配線層3の厚みをX3とし、配線層の層表面5とエッチングにより形成された開口周辺部60の中で最も低い位置にある開口周辺底部63までの深さをZとすると、0<Z<X3の範囲を満たす深さで配線層3の層表面5より低い開口周辺部60が形成されていることが好ましい。なかでも(X3)/6≦Z≦5(X3)/6の範囲を満たす深さで形成されていることが好ましい。なぜなら、上記範囲の深さで、配線層表面5より低い開口周辺部60を形成すれば、導体接続材4が配線層3の内面部61に接続する面積が大きくなり、接続信頼性が向上するからである。
【0086】
また、図3は、エッチングにより開口周辺部が他の配線層の表面より低く形成されている上記図2以外の例として説明する断面図であり、第2の態様は本形態であっても良い。図3(a)は配線層3が金属3aと金属3bの2層で構成され、上層の金属3bの開口7周囲に配線層の層表面より低い開口周辺部60が形成されている。図3(b)は配線層3が金属3aと金属3bの2層で構成され、上層の金属3bの開口径が下層の金属3aの開口径より大きく設定され、この開口径の差により開口7周囲に配線層の層表面より低い開口周辺部60が形成されている。図3(c)は配線層3の開口部7周囲がテーパー形状の例、図3(d)は配線層3の開口部7周囲が深さの異なる段差のある凹部が形成されている例を示す。上記の何れの開口部の例も、レジストパターン形成とエッチング加工やメッキ加工の組み合わせで形状を形成することができる。
【0087】
上記導体接続材4の高さは、上記配線層3の層表面5と同一もしくはそれ以下であるように形成されている。ここで、同一もしくはそれ以下であるように形成されているとは、図2より上記配線層3の厚みをX3、上記絶縁層2の厚みをX2とし、金属支持体の表面部62から導体接続材4の接続材表面6までの導体接続材4の高さをYとすると、X2<Y≦X2+X3の範囲を満たす高さで形成されていることを示している。なかでもX2+(X3)/2≦Y≦X2+X3の範囲を満たす高さで導体接続材4が形成されていることが好ましい。なぜなら、上記範囲の高さで、導体接続材4を形成すれば、より接続信頼性が向上するからである。
【0088】
上記導体接続材4が上記の高さで形成されることにより、上記導体接続材4と上記配線層3との接続は、配線層3の層表面5には接続部を持たず、配線層3の層表面5より低い部分のみで行なわれている。
【0089】
従来のサスペンション用基板は、上記「1.第1態様」の項に記載したように、磁気ヘッドスライダー位置に導体接続材が形成される場合に、導体接続材が配線層表面よりも突き出た形状となり、磁気ヘッドスライダーの実装において支障をきたすという問題があった。
【0090】
本態様においても、上記「1.第1態様」の項に記載したように、上記導体接続材が上記配線層の層表面に接続部を持たないように形成されているため、導体層が突き出た形状とならず、磁気ヘッドスライダーを精度良く実装でき、接続不良による歩留まりの低下を防ぐことができる。
【0091】
本態様のサスペンション基板は、金属基板、絶縁層、配線、および導体接続材を少なくとも有するものであり、上記「1.第1態様」の項に記載したものと同様の内容であるので、ここでの記載は省略する。
【0092】
次に、本態様のサスペンション基板の製造方法の一例について図5を参照しながら説明する。上記サスペンション用基板の各構成を所望の位置に精度良く配置することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、図5(a)に示すように、金属支持体1と、上記金属支持体1上に形成され、絶縁層を構成する材料からなる絶縁層2および信号用配線および接地用配線を構成する材料からなる配線層3とを有する積層体を形成する。次いで、上記積層体にDFRなどのフォトレジスト8bを設け、所定の形状にパターニングする(図5(b))。その後、上記配線層3をエッチングによりパターニングし、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、開口部7を有する接地用配線と信号用配線を形成する(図5(c))。
【0093】
その後、DFRなどのフォトレジスト8bを設け、上記配線層の開口7および上記開口部周辺60を除くようにパターニング(図5(d))する。次いで、化学エッチングや電解エッチング処理、もしくは電解エッチング処理にともなって発生するバイポーラ現象により、配線層の開口周辺部60の高さを配線層3よりも低くなるように形成する(図5(e))。次いで、上記絶縁層2をエッチングによりパターニングし、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、上記開口部7において、上記絶縁層2と上記配線層3を貫通する開口部7を有し、上記金属支持体1の表面部62が露出する絶縁層2を形成する(図5(f))。
【0094】
続いて、DFRなどのフォトレジスト8bを設け、上記配線層3の層表面5を露出させずに上記配線層3の開口部7および開口周辺部60を露出させるようにパターニング(図5(g))し、次いで、上記金属支持体1を給電層として用いて、上記グランド端子もしくは信号伝送用端子として金属めっきにより上記開口部7および配線層3の開口周辺部60まで形成することで、配線層3の層表面5と同一もしくはそれ以下の高さで導体接続材4を形成する。次いで、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、本態様のサスペンションを作製することができる(図5(h))。
【0095】
B.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上記サスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
【0096】
このような本発明のサスペンションを図を参照して説明する。図8は、本発明のサスペンションの一例を示す概略図である。図8に例示するように、本発明のサスペンション30は、上記サスペンション用基板10と、ロードビーム31とを有するものであり、ロードビーム31は上記サスペンション基板10のうち磁気ヘッドスライダーが設置されるスライダー設置位置20が形成されていない側の表面に接着されている。
ここで、上記サスペンション用基板は、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載のサスペンション用基板である。
【0097】
本発明によれば、上記サスペンション用基板を含むものであるため、ハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0098】
本発明のサスペンションは、上記サスペンション用基板を少なくとも有するものである。このようなサスペンション用基板としては、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0099】
本発明のサスペンションは、上記サスペンション用基板を少なくとも有するものであるが、通常、ロードビームを有するものである。このようなロードビームとしては、本発明のサスペンションをハードディスクドライブに用いた際に、上記サスペンションに所望の剛性を付与することができるものであれば良く、ハードディスクドライブに一般的に使用されるものを用いることができる。
【0100】
本発明のサスペンションの用途としては、ハードディスクドライブのヘッド付サスペンションを挙げることができ、なかでも、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いことを要求されるヘッド付サスペンションに好適に用いられる。
【0101】
C.ヘッド付サスペンション
次に、本発明のヘッド付サスペンションについて説明する。本発明のヘッド付サスペンションは、上記サスペンションと、上記サスペンション上に搭載された磁気ヘッドスライダーとを有することを特徴とするものである。
【0102】
このような本発明のヘッド付サスペンションを図を参照して説明する。図9は、本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略図である。図9に例示するように、本発明のヘッド付サスペンション40は、上記サスペンション30と、上記サスペンション30上のスライダー設置位置上に搭載された磁気ヘッドスライダー41とを有するものである。
ここで、上記サスペンションは、上記「B.サスペンション」の項に記載のサスペンションである。
なお、図9中の符号については、図8のものと同一のものである。
【0103】
本発明によれば、上記サスペンションを含むものであるため、ハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0104】
本発明のヘッド付サスペンションは、上記サスペンションおよび磁気ヘッドスライダーを少なくとも有するものである。
上記サスペンションとしては、上記「B.サスペンション」の項に記載の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0105】
本発明に用いられる磁気ヘッドスライダーとしては、本発明のヘッド付サスペンションをハードディスクドライブに用いた際に、ディスク上へのデータの書き込みおよび読み込みを行なえるものであれば良く、ハードディスクドライブに一般的に使用されるものを用いることができる。
【0106】
本発明のヘッド付サスペンションの用途としては、ハードディスクドライブを挙げることができ、なかでも、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いことが要求されるハードディスクドライブに好適に用いられる。
【0107】
D.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上記ヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0108】
このような本発明のハードディスクドライブを図を参照して説明する。図10は、本発明のハードディスクドライブの内部構造の一例を示す概略平面図である。図10に例示するように、本発明のハードディスクドライブ50は、上記ヘッド付サスペンション40と、上記ヘッド付サスペンション40にデータの書き込みおよび読み込みがされるディスク51と、上記ディスク51を回転させるスピンドルモータ52と、上記ヘッド付サスペンション40に接続されたアーム53と、上記アーム53を移動することにより上記ヘッド付サスペンション40のスライダーを、上記ディスク51上の所望の位置に移動させるボイスコイルモータ54と、上記各構成を密閉するケース55とを有するものである。
ここで、上記ヘッド付サスペンションは、上記「C.ヘッド付サスペンション」の項に記載のサスペンションである。
【0109】
本発明によれば、上記ヘッド付サスペンションを含むものであるため、ハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。その結果、データ信頼性等に優れたものとすることができる。
【0110】
本発明のハードディスクドライブは、上記ヘッド付サスペンションを少なくとも有するものである。
このようなヘッド付サスペンションとしては、上記「C.ヘッド付サスペンション」の項に記載の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0111】
本発明のハードディスクドライブは、上記ヘッド付サスペンションを少なくとも有するものであるが、通常、ディスク、スピンドルモータ、アーム、およびボイスコイルモータを有するものである。このようなディスク、スピンドルモータ、アーム、およびボイスコイルモータとしては、ハードディスクドライブに一般的に使用されるものを用いることができる。
【0112】
E.回路基板
次に、本発明の回路基板について説明する。本発明の回路基板は、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、上記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、上記絶縁層の一部を構成し、上記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、上記第二金属層の一部を構成し、上記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、上記絶縁層開口部および上記第二金属層開口部を介して、上記第一金属部および上記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、上記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板であって、上記第二金属部は上記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部を有し、上記薄肉部の頂部表面は上記ビア端子により覆われ、上記ビア端子が、上記ビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状であることを特徴とするものである。
【0113】
本発明によれば、ビア端子がビア部から突出しない形状であることから、回路基板に素子を実装した場合に、素子が傾くことを防止することができる。これにより、素子と回路基板との接続を良好に行うことができる。また、ビア端子が突出しない形状であることから、ビア端子と素子とは点接触せず、応力集中による素子のダメージを防止することができる。また、本発明によれば、ビア部が薄肉部を有していることから、ビア端子が突出しない形状であっても、第一金属部と第二金属部とを確実に接続することができる。
【0114】
図12は、本発明の回路基板の一例を示す概略平面図である。より具体的には、HDDに用いられるサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。なお、便宜上、カバー層の記載は省略している。図12に示されるサスペンション用基板210は、一方の先端には、素子を実装するための素子実装領域201を有し、他方の先端には、他の回路基板との接続を行うための接続領域202を有する。さらに、サスペンション用基板210は、素子実装領域201および接続領域202を接続するための配線203(配線203a〜203d)を有する。配線203aおよび203b、並びに、配線203cおよび203dはそれぞれ配線対を形成し、一方が記録用であり、他方が再生用である。図13に示すように、本発明においては、ビア部110のビア端子104が、素子実装領域201の領域内(またはその近傍)に形成されていることを一つの特徴とする。
【0115】
図14は、本発明におけるビア部と、従来におけるビア部とを比較する概略断面図である。また、図14は図13のA−A´断面に対応する断面図である。図14(a)に示すように、本発明におけるビア部110は、第一金属部101と、第一金属部101が露出するように形成された絶縁層開口部102aを有する絶縁部102と、絶縁層開口部102aから第一金属部101が露出するように形成された第二金属層開口部103aを有する第二金属部103と、絶縁層開口部102aおよび第二金属層開口部103aを介して、第一金属部101および第二金属部103を電気的に接続するめっきからなるビア端子104とを有するものである。また、第二金属部103は第二金属層開口部103aの端部に沿って薄肉部105を有し、薄肉部105の頂部表面はビア端子104により覆われている。さらに、ビア端子104が、ビア部110(ビア端子104を除く)から突出しない形状であることを一つの特徴とする。その場合、ビア端子104の厚さXは、ビア端子104および第一金属部101を除くビア部110の厚さY以下になる。なお、図14(a)においては、XおよびYの値が同一であるが、後述するように、第二金属部103上にカバー部等が設けられると、Xの値は、Yの値よりも小さくなる。
【0116】
上記のように、本発明においては、ビア端子104が、ビア部110(ビア端子104を除く)から突出しない形状であることを一つの特徴とする。ビア部110からビア端子104を除く理由は、ビア端子104自体がビア部110の構成要素だからである。すなわち、ビア端子104が第二金属部103等から突出した形状であっても、ビア端子104自体がビア部110の構成要素なので、ビア端子104の頂部と、ビア部110の頂部とは必ず一致し、ビア端子104がビア部110から突出することは有り得ない。図14(a)においては、ビア端子104の頂部が、第二金属部103の頂部(ビア部110からビア端子104を除いた部材の頂部)よりも低い形状になる。また、図示しないが、第二金属部103上に後述するカバー部が形成されている場合には、ビア部がカバー部を有する構成になることから、ビア端子104の頂部が、カバー部の頂部(ビア部110からビア端子104を除いた部材の頂部)よりも低い形状になる。
【0117】
一方、図14(b)に示すように、従来におけるビア部110は、第二金属部103が薄肉部105を有しないため、ビア端子104が、ビア部110(ビア端子104を除く)から突出した形状になる。具体的には、ビア端子104の頂部が、第二金属部103の頂部(ビア部110からビア端子104を除いた部材の頂部)よりも高い形状になる。また、ビア端子104の厚さXは、ビア端子104および第一金属部101を除くビア部110の厚さYよりも大きくなる。なお、従来のビア部の形成方法については、後述する図22で説明する。
【0118】
次に、図15を用いて本発明の効果について説明する。図15は、ビア部110を有する素子実装領域201に、素子120を実装させた場合の概略断面図である。図15(a)は、素子実装領域201に、従来のビア部110と、配線部111とが形成された態様である。この場合、ビア部110においては、ビア端子104が突出した形状となっており、その頂部の位置は、配線部111の第二金属部103よりも高くなる。そのため、素子実装領域201に接着部115を介して素子120を実装すると、素子120に傾きが生じる。その結果、素子120と回路基板との接続を良好に行えないという問題がある。さらに、ビア端子104と素子120とが点接触しているため、点接触の箇所に応力集中が生じた場合に、素子120にダメージが生じるという可能性もある。
【0119】
また、図15(b)は、素子実装領域201に、2つの従来のビア部110が形成された態様である。回路基板の高機能化に伴い、素子実装領域201に、複数のビア部110が形成される場合がある。この場合、2つのビア部110は、共にビア端子104が突出した形状となっている。ビア端子104の厚さは、通常、めっきの際に露出する金属部の面積に大きく依存する。そして、露出する金属部の面積は、ドライフィルムレジスト等のパターニングの精度に依存する。また、ビア端子104の厚さは、ビア部を形成するめっき時の電気抵抗値にも依存する。以上の要因から、複数のビア部110を形成する場合、それぞれのビア端子の高さには、多少のバラつきが生じ、その結果、上記図15(a)と同様に、素子120に傾きが生じる等の問題がある。
【0120】
これに対して、図15(c)に示すように、本発明におけるビア部110は、薄肉部105を有し、ビア端子104が突出しない形状であるため、素子120の傾きを防止することができ、素子120と回路基板との接続を良好に行うことができるのである。
以下、本発明の回路基板について、回路基板の部材と、回路基板の構成とに分けて説明する。
【0121】
1.回路基板の部材
まず、本発明の回路基板の部材について説明する。本発明の回路基板は、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を有するものである。さらに、本発明の回路基板は、第一金属部、絶縁部、第二金属部、ビア端子を少なくとも有するビア部を備えるものである。
【0122】
(1)第一金属層および第二金属層
本発明における第一金属層および第二金属層は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、回路基板の種類に応じて適宜選択されるものである。なお、本発明においては、第一金属層の中でも、ビア部を構成する部分を第一金属部と称する。同様に、第二金属層の中でも、ビア部を構成する部分を第二金属部と称する。
【0123】
例えば、本発明の回路基板がサスペンション用基板である場合、第一金属層は、通常、支持基板としての機能を有する。さらに、このような支持基板は所定のばね性を有するものである。第一金属層の材料としては、例えばSUS等を挙げることができる。また、第一金属層の厚さとしては、その材料等により異なるが、通常10μm〜20μmの範囲内である。また、本発明の回路基板がサスペンション用基板である場合、第二金属層は、通常、配線としての機能を有する。第二金属層の材料としては、例えば銅(Cu)等を挙げることができる。また、第二金属層の厚さとしては、例えば5μm〜18μmの範囲内であり、中でも9μm〜12μmの範囲内であることが好ましい。
【0124】
本発明において、第二金属層の一部を配線として用いる場合、その表面に金めっき層が形成されていることが好ましい。配線の腐食を抑制することができるからである。金めっき層の厚さは、例えば0.1μm〜4.0μmの範囲内である。また、本発明においては、配線および金めっき層の間に、Niめっき層を有していても良い。
【0125】
(2)絶縁層
本発明における絶縁層は、第一金属層および第二金属層の間に形成されるものである。絶縁層の材料としては、所望の絶縁性を発揮することができれば特に限定されるものではない。例えば、本発明の回路基板がサスペンション用基板である場合、絶縁層の材料として、例えばポリイミド(PI)等を用いることができる。また、絶縁層の厚さは、例えば5μm〜10μmの範囲内である。
【0126】
(3)ビア端子
本発明におけるビア端子は、ビア部において、第一金属部および第二金属部を電気的に接続するめっきからなるものである。ビア端子の材料としては、例えばニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)および銅(Cu)等を挙げることができ、中でもニッケル(Ni)が好ましい。導電性および耐腐食性に優れ、かつ、安価だからである。特にニッケルを用いて、電解めっき法によりビア端子を形成する場合、用いられる電解Niめっき浴としては、例えば、ワット浴およびスルファミン酸浴等を挙げることができる。なお、これらのめっき浴には、適宜、添加剤を用いることにより、光沢度や皮膜応力を調整することができる。
【0127】
(4)カバー層
また、本発明の回路基板は、第二金属層上に、カバー層を有していても良い。カバー層を設けることで、露出する絶縁層や第二金属層を保護することができる。カバー層の材料としては、例えばポリイミド等を挙げることができる。また、カバー層の材料は、感光性樹脂であっても良く、非感光性樹脂であっても良い。カバー層の厚さとしては、例えば2μm〜30μmの範囲内であり、中でも4μm〜15μmの範囲内であることが好ましい。なお、本発明においては、カバー層の中でも、ビア部を構成する部分をカバー部と称する。
【0128】
2.回路基板の構成
次に、本発明の回路基板の構成について説明する。本発明の回路基板は、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を有する。さらに、上述したように、第二金属層上に、カバー層が形成されていても良い。また、第一金属層および第二金属層の間には、少なくとも絶縁層が一層形成されていれば良い。そのため、第一金属層および第二金属層の間は、絶縁層のみを有する単層構造であっても良く、絶縁層とその他の金属層とを有する複層構造であっても良い。なお、後者の場合は、通常、複数の絶縁層を有する。
【0129】
また、本発明におけるビア端子は、素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成される。ここで、本発明における「素子実装領域」とは、平面視上、素子が実装される領域と一致する回路基板の領域をいう(図13の点線部分)。また、「素子実装領域の近傍」とは、素子実装領域の領域外であって、ビア端子が実装される素子と接触可能な位置をいう。例えば、回路基板がばね性を有する場合、ビア部が素子実装領域外に形成されていても、回路基板が撓むことにより、ビア端子と素子とが接触する場合がある。また、実際に素子を実装する際に、実装される位置に微少なズレ(誤差)が生じる場合がある。このような場合であっても、本発明の回路基板を用いることで、ビア端子が素子に悪影響を与えることを防止することができる。また、ビア端子が素子実装領域の近傍にある場合、ビア端子と素子実装領域との平面視上の最短距離は、例えば100μm以下であることが好ましい。
【0130】
次に、本発明におけるビア部について、上記図14(a)を参照しながら説明する。本発明にビア部110は、第一金属部101上に絶縁部102を有する。さらに、絶縁部102は第一金属部101が露出するように形成された絶縁層開口部102aを有する。絶縁層開口部102aの平面視形状は、所定のビア端子を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、円状;楕円状;四角形、五角形等の任意の多角形状、櫛状、十字状および棒状等を挙げることができる。なお、絶縁層開口部の形状としては円状が一般的であり、その場合、直径は例えば30μm〜200μmの範囲内である。
【0131】
また、本発明におけるビア部110は、絶縁部102上に第二金属部103を有する。さらに、第二金属部103は、絶縁層開口部102aから第一金属部101が露出するように形成された第二金属層開口部103aを有する。第二金属層開口部103aの平面視形状については、上述した絶縁層開口部102aと同様である。また、第二金属層開口部103aの径についても、第一金属部101が露出すれば特に限定されるものではない。
【0132】
ここで、絶縁層開口部102aを化学エッチングにより形成する時、エッチング条件によっては、第二金属層開口部103aの開口よりも大きい範囲で絶縁部102がエッチングされ、絶縁層開口部102aの径が第二金属層開口部103aの径よりも大きくなる。すなわち、第二金属層開口部103aの端部が、絶縁層開口部102aの端部よりも内側に位置するようになり、第二金属部103に突起部が形成される(図14(b)参照)。従来におけるビア部110は、図14(b)に示すように、第二金属部103の突起部が形成されるが、本発明におけるビア部110は、後述する図23および図24で説明するように、薄肉部を形成する際に、第二金属部103の突起部が消失するため、通常、このような突起部を有しない。その結果、本発明における第二金属層開口部103aの径は、通常、絶縁層開口部102aの径と同じかそれよりも大きくなる。
【0133】
また、第二金属部103は、第二金属層開口部103aの端部に沿って薄肉部105を有する。薄肉部105は、通常の第二金属部103よりも薄い部分である。この薄肉部105を形成することにより、ビア端子104の突出を防止するとともに、良好な接続性を有するビア端子104を得ることができる。薄肉部105は、後述するように、第二金属部103を化学エッチングすることにより形成することができる。ここで、図16に示すように、第二金属部103の厚さをT、薄肉部105を形成するためにエッチングされた厚さをT1とすると、T1/Tの値は、例えば0.3〜0.8の範囲内、中でも0.4〜0.7の範囲内、特に0.4〜0.6の範囲内であることが好ましい。T1/Tの値が小さすぎると、ビア端子がビア部(ビア端子を除く)から突出しない形状を形成するように、めっきを制御することが困難になる可能性があり、T1/Tの値が大きすぎると、薄肉部の機械的強度が低くなり、薄肉部の破損が生じる可能性があるからである。また、T1の値は、第二金属部103の厚さによって異なるものであるが、例えば4μm〜10μmの範囲内、中でも5μm〜8μmの範囲内であることが好ましい。一方、図16に示すように、薄肉部105の幅をWとすると、Wの値は、例えば3μm〜30μmの範囲内、中でも4μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。なお、薄肉部105は、第二金属層開口部103aの端部に沿って形成されるものであり、その端部の周囲に対して少なくとも一部に形成されていれば良く、中でも端部の全周にわたって形成されていることが好ましい。めっき厚の制御がさらに容易になるからである。
【0134】
また、本発明におけるビア部110は、第二金属部103上に、ビア端子104が露出するように形成された開口部を有するカバー部を有していることが好ましい。このようなカバー部を有するビア部110の一例を図17に示す。図17においては、第二金属部103上に、ビア端子104が露出するように形成された開口部106aを有するカバー部106が形成されている。開口部106aの平面視形状については、上述した絶縁層開口部102aと同様である。また、本発明においては、図17に示すように、カバー部106の開口部106aの端部は、薄肉部105により形成される外側端部105aよりも内側に位置していることが好ましい。これにより、カバー部106に突起部が形成され、突起部によるめっき厚の制御ができるからである。突起部によるめっき厚の制御については、後述する「F.回路基板の製造方法」で説明する。ここで、図17に示すように、カバー部106の突起部の幅をZとすると、Zの値は、例えば3μm以上であり、中でも4μm〜8μmの範囲内であることが好ましい。Zの値が小さすぎると、突起部によるめっき厚の制御が困難になる可能性があり、Zの値が大きすぎると、めっき(ビア端子)とカバー層との密着性が低下する可能性があるからである。
【0135】
また、本発明においては、ビア端子104の厚さXは、ビア端子104および第一金属部101を除くビア部110の厚さY以下になる。上記図17のように、第二金属部103上にカバー部106が形成されている場合は、厚さYは、絶縁部102、第二金属部103およびカバー部106の厚さの合計になる。このように、ビア部の構成によって、厚さYは変化するものである。また、本発明においては、図18に示すように、ビア端子104の表面に金めっき部107を有していても良い。この場合におけるビア端子104の厚さXは、金めっき部107の厚さを含むものとする。
【0136】
3.回路基板
本発明の回路基板は、上述した部材および構成を有するものである。さらに、上記のように、本発明の回路基板は、素子実装領域を有する。素子実装領域に実装される素子としては、例えば、磁気ヘッドスライダ、アクチュエータ、半導体等を挙げることができる。また、上記アクチュエータは、磁気ヘッドを有するものであっても良く、磁気ヘッドを有しないものであっても良い。
【0137】
本発明の回路基板は、可撓性を有するフレキシブル基板であることが好ましい。また、回路基板の用途としては、具体的には、HDD等に用いられるサスペンション用基板(フレキシャー)、半導体パッケージ基板、フレキシブルプリント基板等を挙げることができる。
【0138】
F.回路基板の製造方法
次に、本発明の回路基板の製造方法について説明する。本発明の回路基板の製造方法は、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、上記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、上記絶縁層の一部を構成し、上記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、上記第二金属層の一部を構成し、上記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、上記絶縁層開口部および上記第二金属層開口部を介して、上記第一金属部および上記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、上記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板の製造方法であって、上記第一金属部、上記絶縁部および上記第二金属部を有し、上記第二金属部には上記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部が形成され、上記第二金属部上に上記ビア部を形成する際のめっきをマスクするマスク部を有するビア設置部を備えた被めっき部材を形成する被めっき部材形成工程と、上記被めっき部材の第一金属部からの給電によってめっきを成長させることにより、上記ビア端子を形成するめっき工程と、を有し、上記めっき工程の際に、上記薄肉部の頂部表面を上記ビア端子により覆い、かつ、上記ビア端子を上記ビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状とすることを特徴とするものである。
【0139】
本発明によれば、薄肉部を有する被めっき部材を用いることにより、ビア部から突出しない形状のビア端子を容易に形成することができる。その結果、回路基板に素子を実装した場合に、素子が傾くことを防止することができ、素子と回路基板との接続を良好に行うことができる。また、ビア端子が突出しない形状であることから、ビア端子と素子とは点接触せず、応力集中による素子のダメージを防止することができる。
【0140】
図19は、本発明の回路基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。なお、図19は、マスク部がカバー部106である態様である。図19においては、まず、第一金属部101と、第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部102aを有する絶縁部102と、絶縁層開口部102aから第一金属部101が露出するように形成された第二金属層開口部103aを有する第二金属部103とを有し、かつ、第二金属部103は第二金属層開口部103aの端部に沿って薄肉部105を有するビア設置部110aを備えた被めっき部材210aを形成する(図19(a))。特に図19(a)においては、第二金属部103上に開口部106aを有するカバー部106がマスク部として形成されている。
【0141】
次に、被めっき部材210aの第一金属部101からの給電によってめっきを成長させる。めっき開始時には、絶縁層開口部102aを埋めるようにめっきが形成される。その後、成長しためっき部104aが第二金属部103に接触した瞬間に、第一金属部101および第二金属部103が導通する(図19(b))。その結果、第二金属部103のめっきが開始され、薄肉部105の頂部表面がめっき部104aで覆われる(図19(c))。その後、めっきをさらに成長させることにより、ビア部110から突出しない形状を有するビア端子104を備えた回路基板が得られる(図19(d))。
【0142】
図20は、本発明の回路基板の製造方法の他の例を示す概略断面図である。なお、図20は、マスク部がドライフィルムレジスト部(DFR部)131である態様である。図20においては、まず、上記図19(a)と同様の被めっき部材210aを形成する(図20(a))。ただし、図20(a)においては、第二金属部103上に、カバー部106ではなく、開口部131aを有するDFR部131がマスク部として形成されている。
【0143】
次に、被めっき部材210aの第一金属部101からの給電によってめっきを成長させる。めっき開始時には、絶縁層開口部102aを埋めるようにめっきが形成される。その後、成長しためっき部104aが第二金属部103に接触した瞬間に、第一金属部101および第二金属部103が導通する(図20(b))。その結果、第二金属部103のめっきが開始され、薄肉部105の頂部表面がめっき部104aで覆われる(図20(c))。その後、めっきをさらに成長させることにより、ビア端子104が得られ(図20(d))、最後にDFR部を剥離することにより、ビア部110から突出しない形状を有するビア端子104を備えた回路基板が得られる(図20(e))。
【0144】
なお、図20(a)には、カバー部を有しない被めっき部材210aが示されているが、本発明においては、図21に示すように、ビア設置部110aが、第二金属部103とDFR部131との間にカバー部106を有していても良い。
【0145】
これに対して、図22は、従来における回路基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。図22においては、まず、上記図20(a)と同様の被めっき部材210aを形成する(図22(a))。ただし、図22(a)において、第二金属部103は薄肉部105を有しないものである。次に、被めっき部材210aの第一金属部101からの給電によってめっきを成長させる。めっき開始時には、絶縁層開口部102aを埋めるようにめっきが形成される。その後、成長しためっき部104aが第二金属部103に接触した瞬間に、第一金属部101および第二金属部103が導通する(図22(b))。その結果、第二金属部103のめっきが開始される(図22(c))。その後、めっきをさらに成長させることにより、ビア端子104が得られ(図22(d))、最後にDFR部を剥離することにより、回路基板が得られる(図22(e))。従来の製造方法により得られた回路基板は、ビア部110が薄肉部105を有していないため、ビア端子104が第二金属部103上に形成され、ビア部110から突出した形状になる。以上のように、本発明においては、ビア部110が薄肉部105を有することで、ビア部110から突出しない形状を有するビア端子104を得ることができるのである。
以下、本発明の回路基板の製造方法について、工程毎に説明する。
【0146】
1.被めっき部材形成工程
まず、本発明における被めっき部材形成工程について説明する。本工程は、上記第一金属部、上記絶縁部および上記第二金属部を有し、上記第二金属部には上記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部が形成され、上記第二金属部上に上記ビア部を形成する際のめっきをマスクするマスク部を有するビア設置部を備えた被めっき部材を形成する工程である。
【0147】
本発明における被めっき部材は、上述した第一金属部、絶縁部、第二金属部、薄肉部およびマスク部を有するものであれば特に限定されるものではない。これらの部材の中で、マスク部以外の部材については、上記「E.回路基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0148】
また、本発明におけるマスク部は、第二金属部上に形成され、ビア端子を形成する場所以外の第二金属部の表面をマスクするものである。このようなマスク部としては、具体的にはカバー部およびドライフィルムレジスト部を挙げることができる。以下、被めっき部材の形成方法について、マスク部の態様ごとに説明する。
【0149】
(1)マスク部がカバー部である態様
この場合における被めっき部材形成工程の一例としては、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された積層体を用意する工程と、上記第二金属層のエッチングを行い、第二金属層開口部を有する第二金属部を形成する工程と、上記第二金属部上に、薄肉部を形成するための上記第二金属部の表面が露出する開口部を有するカバー部を形成する工程と、上記第二金属層開口部から露出する絶縁層のエッチングを行い、絶縁層開口部を有する絶縁部を形成する工程と、上記カバー部から露出する上記第二金属部のエッチングを行い、上記薄肉部を形成する工程と、を有するものを挙げることができる。
【0150】
このような被めっき部材形成工程を、図23を参照しながら説明する。図23においては、まず、第一金属層101b、絶縁層102bおよび第二金属層103bがこの順に積層された積層体を用意する(図23(a))。次に、第二金属層103bの表面にドライフィルムレジストをラミネートし、露光現像を行うことにより、第二金属部を形成するためのレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンから露出する第二金属層103bをエッチング液によりエッチングし、レジストパターンを剥離することにより、第二金属層開口部103aを有する第二金属部103を形成する(図23(b))。また、図示しないが、第一金属層101bの表面にもレジストパターンを設けることで、第二金属部103と同時に第一金属部101を形成することができる。エッチング液の種類は、第一金属層101bおよび第二金属層103bの材料に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、第一金属層101bの材料がSUSであり、第二金属層103bの材料がCuである場合は、エッチング液として、塩化鉄系エッチング液等を用いることができる。
【0151】
次に、第二金属部103を覆うように、感光性のカバー部形成材料(例えば感光性ポリイミド)を塗工し、露光現像を行うことにより、カバー部106を形成する(図23(c))。この際、薄肉部を形成するための第二金属部の表面が露出する開口部106aを有するように、カバー部106を形成する。また、本発明においては、カバー部106の形成に、非感光性のカバー部形成材料を用いても良い。この場合は、通常、ドライフィルムレジストおよびエッチング液によるパターニングによりカバー部106を形成する。
【0152】
次に、第二金属部103およびカバー部106を覆うように、ドライフィルムレジストをラミネートし、露光現像を行うことにより、絶縁部を形成するためのレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンから露出する絶縁層102bをエッチング液によりエッチングし、レジストパターンを剥離することにより、絶縁層開口部102aを有する絶縁部102を形成する(図23(d))。エッチング液の種類は、絶縁層102bの種類に応じて適宜選択することが好ましい。
【0153】
次に、カバー部106から露出する第二金属部103の表面をエッチング液によりエッチングし、薄肉部105を形成する(図23(e))。この際、上述した第二金属部103の突起部は、通常、消失する。これにより、カバー部106をマスク部とした被めっき部材210aを得ることができる。本発明においては、薄肉部105を形成する際に、通常、第一金属部101をエッチングせず、第二金属部103をエッチングする選択性エッチング液を用いる。選択性エッチング液の種類は、第一金属部101および第二金属部103の種類に応じて、適宜選択することが好ましい。例えば、第一金属部101がSUSであり、第二金属部103の材料がCuである場合は、選択性エッチング液として、過酸化水素および硫酸の混合溶液、硫酸水素カリウム系溶液、過硫酸ナトリウム系溶液、過硫酸カリウム系溶液、過硫酸アンモニウム系溶液、塩化アンモニウム系溶液等を用いることができる。また、めっきの前処理(例えば電解脱脂)により、第二絶縁部の膜減りが生じる可能性があるため、薄肉部を形成する際のエッチング量は、膜減り等を考慮して設定することが好ましい。
【0154】
次に、上記方法により得られる被めっき部材について説明する。上記方法により得られる被めっき部材(図23(e)に示される被めっき部材210a)は、上記図17と同様に、カバー部106の開口部106aの端部が、薄肉部105により形成される外側端部105aよりも内側に位置することとなる(カバー部106をマスクとしてハーフエッチングする場合、サイドエッチが入るため、通常は内側に位置することとなる)。これにより、カバー部106に突起部が形成され、突起部によるめっき厚の制御ができるからである。より具体的には、上記図19(d)に示すように、カバー部106の突起部が、めっきが成長する際のストッパーとして機能することで、めっき厚の制御が容易になる。また、カバー部106の突起部の形成方法としては、例えば、薄肉部105を形成する際のエッチング条件を適宜選択し、サイドエッチングを生じさせる方法を挙げることができる。
【0155】
(2)マスク部がドライフィルムレジスト部である態様
この場合における被めっき部材形成工程の一例としては、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された積層体を用意する工程と、上記第二金属層のエッチングを行い、第二金属層開口部を有する第二金属部を形成する工程と、上記第二金属層開口部から露出する絶縁層のエッチングを行い、絶縁層開口部を有する絶縁部を形成する工程と、薄肉部を形成するための上記第二金属部の表面が露出する開口部を有するレジストパターンを形成し、露出する上記第二金属部のエッチングを行い、薄肉部を形成する工程と、上記薄肉部以外の上記第二金属部の表面上に、ドライフィルムレジスト部を形成する工程と、を有するものを挙げることができる。
【0156】
このような被めっき部材形成工程を、図24を参照しながら説明する。図24においては、まず、第一金属層101b、絶縁層102bおよび第二金属層103bがこの順に積層された積層体を用意する(図24(a))。次に、第二金属層103bの表面にドライフィルムレジストをラミネートし、露光現像を行うことにより、第二金属部を形成するためのレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンから露出する第二金属層103bをエッチング液によりエッチングし、レジストパターンを剥離することにより、第二金属層開口部103aを有する第二金属部103を形成する(図24(b))。また、図示しないが、第一金属層101bの表面にもレジストパターンを設けることで、第二金属部103と同時に第一金属部101を形成することができる。
【0157】
なお、図24では、カバー部を有しない被めっき部材を例示しているが、通常は、被めっき部材のビア設置部以外の場所にカバー層を形成する必要があるため、上記図23(c)と同様にして、パターニングされたカバー層を形成する。また、カバー部を有するビア設置部を備えた被めっき部を形成する場合は、第一金属部101および第二金属部102を形成した後、上記図23(c)と同様にして、カバー部を形成することができる。この場合は、上記図21に示すような被めっき部材を得ることができる。
【0158】
次に、第二金属部103を覆うように、ドライフィルムレジストをラミネートし、露光現像を行うことにより、絶縁部を形成するためのレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンから露出する絶縁層102bをエッチング液によりエッチングし、レジストパターンを剥離することにより、絶縁層開口部102aを有する絶縁部102を形成する(図24(c))。
【0159】
次に、絶縁部102および第二金属部103を覆うように、ドライフィルムレジストをラミネートし、露光現像を行うことにより、薄肉部を形成するためのDFR部131を形成する(図24(d))。その後、DFR部131から露出する第二金属部103の表面をエッチング液によりエッチングし、薄肉部105を形成する(図24(e))。この際、上述した第二金属部103の突起部は、通常、消失する。これにより、DFR部131をマスク部とした被めっき部材210aを得ることができる。本発明においては、薄肉部105を形成する際に、通常、第一金属部101をエッチングせず、第二金属部103をエッチングする選択性エッチング液を用いる。選択性エッチング液については、上述した通りである。
【0160】
次に、上記方法により得られる被めっき部材について説明する。上記方法により得られる被めっき部材(図24(e)に示される被めっき部材210a)は、DFR部131の開口部131aの端部が、薄肉部105により形成される外側端部105aよりも内側に位置することとなる。これにより、DFR部131に突起部が形成され、突起部によるめっき厚の制御ができるからである。より具体的には、上記図20(d)に示すように、DFR部131の突起部が、めっきが成長する際のストッパーとして機能することで、めっき厚の制御が容易になる。また、DFR部131の突起部の形成方法としては、例えば、ドライフィルムレジストの露光現像条件を適宜する方法を挙げることができる。また、DFR部131の突起部の幅は、上記図17に示すカバー部106の突起部の幅Zと同様であることが好ましい。
【0161】
2.めっき工程
次に、本発明におけるめっき工程について説明する。本工程は、上記被めっき部材の第一金属部からの給電によってめっきを成長させることにより、上記ビア端子を形成する工程である。さらに、本発明においては、めっき工程の際に、上記薄肉部の頂部表面を上記ビア端子により覆い、かつ、上記ビア端子を上記ビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状とすることを一つの特徴とする。
【0162】
めっき浴の種類は、上記「E.回路基板」に記載した金属の種類に応じて、適宜選択することが好ましい。例えば、Niめっきからなるビア端子を形成する場合、用いられる電解Niめっき浴としては、例えば、ワット浴およびスルファミン酸浴等を挙げることができる。また、ビア端子をビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状とするためには、通常、めっき条件(例えばめっき時間や印加電圧)を調整する必要がある。所望のめっき条件は、予備試験を繰り返すことにより、設定することができる。
【0163】
3.その他の工程
本発明において、上述したDFR部をマスク部として用いた場合、上述した被めっき部材形成工程およびめっき工程の後に、通常DFR部を剥離するDFR部剥離工程を有する。また、本発明においては、金めっき部形成工程等を有していても良く、その際、ビア端子の表面に金めっき部を形成しても良い。また、ビア部以外の回路基板の製造方法については、一般的な回路基板の製造方法と同様である。
【0164】
G.サスペンション用基板
次に、本発明のサスペンション用基板について説明する。本発明のサスペンション用基板は、上述した回路基板であることを特徴とするものである。
【0165】
本発明によれば、上述した回路基板をサスペンション用基板として用いることで、素子を実装した場合に、素子の傾きを防止でき、素子とサスペンション用基板との接続を良好に行うことができる。
【0166】
本発明のサスペンション用基板は、上記「E.回路基板」に記載した特徴を有し、所定のばね性を有するものであれば特に限定されるものではない。本発明のサスペンション用基板は、第一金属層がSUSであることが好ましく、絶縁層がポリイミド(PI)であることが好ましく、第二金属層がCuであることが好ましい。また、本発明のサスペンション用基板は、上述した素子を、素子実装領域に実装したものであっても良い。
【0167】
H.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
【0168】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、素子との接続性が良好なサスペンションとすることができる。
【0169】
本発明のサスペンションの具体例については、上述した図8に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、サスペンション用基板については、上記「G.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0170】
I.素子付サスペンション
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とするものである。
【0171】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、素子とサスペンションとの接続性が良好な素子付サスペンションとすることができる。
【0172】
本発明の素子付サスペンションの具体例については、磁気ヘッドを素子に変更したこと以外は、上述した図9に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、サスペンションについては、上記「H.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、素子については、上記「E.回路基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0173】
また、上記図15で説明したように、サスペンションおよび素子は、接着部を介して接着剤を用いて接着することができる。本発明に用いられる接着剤は、導電性接着剤であっても良く、非導電性接着剤であっても良いが、導電性接着剤であることが好ましい。また、本発明に用いられる接着剤は、熱硬化性接着剤であっても良い。
【0174】
J.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0175】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【0176】
本発明のサスペンションの具体例については、上述した図10に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、素子付サスペンションについては、上記「I.素子付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0177】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様
な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0178】
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0179】
[実施例1]
図6は本発明の磁気ヘッドサスペンションの第1の実施例を説明する説明図である。
図6(a)は本発明で使用するCu(銅)/PI(ポリイミド)/SUS(ステンレススチール)の3層材を示す。金属支持体1は厚み20μmのSUS304材、絶縁層2は厚さ10μmのポリイミド、配線層3は厚み9μmの電解銅であり、この順に積層された積層体を用いた。
図6(b)は配線層3上にDFR(ドライフィルムレジスト)8aを製版した状態を示す。DFRの標準的な条件でパターン露光、現像処理を行い、導体接続材を形成する開口の径が約70μmとなる様パターニングする。
図6(c)は塩化鉄エッチング液で配線層3をエッチングして開口を形成した状態を示す。
図6(d)は水酸化ナトリウム溶液にてDFRを剥膜した状態を示す。
図6(e)は配線層3上に2回目のDFR8aを製版した状態を示す。DFRの開口径は配線層3に形成した開口径より20um大きく設定する。
図6(f)は2回目のエッチングをした状態を示す。DFR製版で露出した開口周辺部
を硫酸と過酸化水素水を含むエッチング液で4.5μmの深さでエッチングし、凹部を形成する。エッチングは等方的に進行するためサイドエッチングが入って凹部が形成され、DFR開口の周囲はオーバーハング状態となる。
図6(g)は配線層3をマスクにして絶縁層2をエッチングして開口部7を形成した状態を示す。これにより金属支持体1の表面を露出した開口が得られる。
図6(h)はDFRを剥膜した状態を示す。
【0180】
図6(i)は配線層3にAuメッキ層9を形成した状態を示す。図3(h)の配線層3のみに給電して下地にNiメッキをした後、Auメッキ9で配線層を被覆する。次工程以降はAuメッキ層9も配線層3に含める。
図6(j)は導体接続材4となるNiメッキをするためにDFRを製版した状態を示す。DFRの開口は配線層表面5が露出しないよう開口内周が配線層3の凹部に位置するよう設定する。これにより導体接続材4は配線層表面5には接続せず配線層3の開口周辺部60と接続する。
図6(k)は導体接続材4をNiメッキで形成した状態を示す。Niメッキは金属支持体1に給電して行う。Niメッキは開口部7で露出した金属支持体1の表面に析出し、厚さが絶縁層2と等しくなった時点で配線層3と導通し、配線層3の露出面にもメッキが成長する。メッキの厚さは導体接続材表面6の高さが配線層表面5と等しくなるように設定する。
図6(l)はDFRを剥膜し導体接続材4の形成が完成した状態を示す。
【0181】
[実施例2]
図7は本発明の磁気ヘッドサスペンションの第2の実施例を説明する説明図である。
図7(a)は図6(h)と同じ状態の基材を示す。
図7(b)は導体接続材4となるCuメッキをするためにDFR8aを製版した状態を示す。DFRの開口は配線層表面5が露出しないよう開口内周が配線層3の凹部に位置するよう設定する。これにより導体接続材4は配線層表面5には接続せず配線層3の開口周辺部60と接続する。
図7(c)は導体接続材4をCuメッキで形成した状態を示す。Cuメッキは金属支持体1に給電して行う。Cuメッキは開口部7で露出した金属支持体1の表面に析出し、厚さが絶縁層2と等しくなった時点で配線層3と導通し、配線層3の露出面にもメッキが成長する。メッキの厚さは導体接続材表面6の高さが配線層表面5と等しくなるように設定する。
図7(d)はDFRを剥膜した状態を示す。
図7(e)は金属支持体1の下面にDFRによるマスキングをした状態を示す。
図7(f)は配線層3に金メッキ層9形成した状態を示す。
図7(g)はDFRによるマスキングを剥膜しCuメッキによる導体接続材4の形成が完成した状態を示す。
【0182】
[製造例]
まず、図23(a)に示す3層材を用意した。ここで、第一金属層101bは厚さ20μmのSUS304であり、絶縁層102bは厚さ10μmのポリイミド層であり、第二金属層103bは厚さ12μmの電解銅箔である。次に、図23(b)〜(d)に示すように、第二金属層103bのエッチング、ポリイミドからなるカバー部106の形成、絶縁層102bのエッチングを行い、図25に示すように、薄肉部を形成する前の被めっき部材201bを得た。絶縁層開口部102a、第二金属層開口部103a、開口部106aは、いずれも平面形状が円状の開口部であり、開口径は、それぞれ70μm、70μm、95μmであった。
【0183】
次に、薄肉部を形成する前の被めっき部材201bを用いて、薄肉部の形成を行った。具体的には、図23(d)に示すように、カバー部106から露出する第二金属部103を、下記条件でエッチングすることにより、薄肉部105を形成した。その結果を表1に示す。
<エッチング条件>
・処理液 :硫酸水素カリウム系溶液(150g/l)
:硫酸(10ml/l)
・液温 :30℃、25℃
・処理時間:1分、2分、3分、5分
【0184】
【表1】
【0185】
表1におけるt1は、図26に示すように、カバー部106の頂部から薄肉部105の頂部までの距離をいう。なお、薄肉部105の頂部には、最もエッチングされた部分の頂部を選択した。また、0分におけるt1はカバー部の厚さに相当する。さらに、1分、2分、3分、5分におけるt1の値と、0分におけるt1の値との差分から第二金属部103のエッチング量が算出され、そのエッチング量を処理時間で除することで、エッチング速度が算出される。表1に示されるように、30℃でのエッチング速度の平均値は1.73μm/minであり、25℃でのエッチング速度の平均値は0.77μm/minであった。このように、処理温度および処理時間を調整することで、所望の厚さを有する薄肉部を形成できることが確認された。
【0186】
[実施例3]
製造例に記載した処理温度30℃、処理時間2分の条件で薄肉部を形成した被めっき部材に、Niめっきからなるビア端子(グランド端子)を形成した。Niめっきは下記条件で行った。
<めっき条件>
・めっき浴:スルファミン酸Niめっき浴
・めっき方法:電解浸漬めっき(0.2A、14分)
【0187】
ビア端子を形成した後、図27に示すように、カバー部106の頂部からビア端子104の頂部までの距離t2を測定した。なお、ビア端子104の頂部には、最も厚い部分の頂部を選択した。24個のサンプルにおいて、t2の値を測定したところ、最大は6.94μmであり、最小は1.90μmであり、平均は4.07μmであった。いずれの場合においても、t2の値が負になること(ビア端子が突出すること)はなかった。
【0188】
また、得られたビア部の断面写真を図28に示す。図28に示すように、得られたビア部は、第一金属部と、絶縁部と、薄肉部を有する第二金属部と、カバー部と、ビア端子とを有している。さらに、ビア端子は、ビア部(ビア端子を除く)から突出しない形状であることが確認された。また、カバー部106が突起部を有することにより、ビア端子の厚さが制御されていることが確認された。
【符号の説明】
【0189】
1…金属支持体、2…絶縁層、3…配線層、3a、3b…金属層、4…導体接続材、5…配線層表面、6…導体接続材表面、7…開口部、8a…DFR、8b…フォトレジスト、9…金メッキ層、10…サスペンション基板、20…スライダー設置位置、30…サスペンション、31…ロードビーム、40…ヘッド付サスペンション、41…磁気ヘッドスライダー、50…ハードディスクドライブ、51…ディスク、52…スピンドルモータ、53…アーム、54…ボイスコイルモータ、55…密閉ケース、60…開口周辺部、61…開口内面部、62…開口により露出する金属支持体表面、63…開口周辺底部、X2…絶縁層2の厚み、X3…配線層3の厚み、Y…金属支持体の表面部62から導体接続材4の接続材表面6までの導体接続材の高さ、Z…配線層の層表面5と開口周辺底部63までの深さ、101…第一金属部、101b…第一金属層、102…絶縁部、102a…絶縁層開口部、102b…絶縁層、103…第二金属部、103a…第二金属層開口部、103b…第二金属層、104…ビア端子、105…薄肉部、105a…薄肉部の外側端部、106…カバー部、106a…カバー部の開口部、107…金めっき部、110…ビア部、110a…ビア設置部、111…配線部、115…接着部、120…素子、131…ドライフィルムレジスト部、131a…ドライフィルムレジスト部の開口部、201…素子実装領域、202…接続領域、203…配線、210…回路基板、210a…被めっき部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)に用いられる磁気ヘッドサスペンション組立体の技術分野に属し、特に、磁気ヘッドと制御回路基板とを接続するための配線が一体的に形成されてなるサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブ、及びサスペンション用基板の製造方法に関するものである。また、本発明は、ビア端子による素子への悪影響を防止できる回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及等によりパーソナルコンピュータの情報処理量の増大や情報処理速度の高速化が要求されてきており、それに伴って、パーソナルコンピュータに組み込まれているハードディスクドライブ(HDD)も大容量化や情報伝達速度の高速化が必要となってきている。そして、このHDDに用いられる磁気ヘッドを支持している磁気ヘッドサスペンションと呼ばれる部品も、従来の金ワイヤ等の信号線を接続するタイプから、ステンレスのばねに直接銅配線等の信号線が形成されている、いわゆるワイヤレスサスペンションと呼ばれる配線一体型のものに移行している。
【0003】
このような配線一体型サスペンションの製造方法の一つとして、〔特許文献1〕には、ステンレス(SUS)等のばね性金属層/絶縁層/導電層からなる積層板を用い、ばね性金属層と導電層に所定のパターンを施した後、絶縁層の一部をプラズマエッチングにより除去する方法が記載されている。これにより、ばね性を有する金属薄板上に磁気ヘッドと制御回路基板を接続するための複数本の配線が絶縁層を介して一体的に形成された磁気ヘッドサスペンションが得られる。
【0004】
上記したように、磁気ヘッドサスペンションは、ばね性を有する金属薄板上に磁気ヘッドと制御回路基板とを接続するための複数本の配線が絶縁層を介して一体的に形成された構造をしている。そして、サスペンション(フレクシャ)の基材を構成する金属薄板は、使用時にばねとしての機能を発揮するように可撓性のあるSUS等の金属が用いられている。ところが、金属薄板はベースであると同時にばねとしての機能を発揮するものであるが、それ以外には特別な役目を果たしてはいない。したがって、金属薄板に磁気ヘッドサスペンションに何らかの付加的な機能を持たせることができれば好都合であり、しかもそれが簡単に出来るのであればなおさら好都合である。
【0005】
上記を目的にして、〔特許文献2〕には、バネ性を有する金属薄板上に磁気ヘッドと制御回路基板とを接続するための複数本の配線が絶縁層を介して一体的に形成されてなる磁気ヘッドサスペンションにおいて、配線と同じ金属層からなる金属パッドを配線とは独立して形成し、その金属パッドの一部から絶縁層を貫通して金属薄板に至る開孔を設け、その開孔に金属メッキによる導通部分を設けることにより、金属パッドと金属薄板とを電気的に接続したことを特徴とする磁気ヘッドサスペンションが記載されている。
しかし、この方法では、金属パッドの開孔部に金属接続層を電解メッキする際に、金属支持体から金属導体層までメッキが成長した時点で、開孔部以外の露出している金属導体層表面からもメッキが成長するため、レジストを剥離すると金属導体層表面よりもメッキにより形成された金属接続層が突き出た形状となり、磁気ヘッドの実装において支障をきたすという問題があった。
【0006】
また、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)に用いられる回路基板として、磁気ヘッドスライダ等の素子を実装するサスペンション用基板が知られている。サスペンション用基板は、通常、第一金属層(例えばSUS)、絶縁層(例えばポリイミド)、第二金属層(例えばCu)がこの順に積層された基本構造を有し、通常は、一方の先端に素子を実装するための素子実装領域を有し、他方の先端に他の回路基板との接続を行うための接続領域を有する。
【0007】
一方、静電気による素子の特性変化を抑制することや、電気信号のノイズを低減すること等を目的として、サスペンション用基板の素子実装領域の近傍に、第一金属層の一部を構成する第一金属部と、第二金属層の一部を構成する第二金属部とを電気的に接続するビア端子を設けることが知られている。例えば、特許文献2の図1においては、金属パッド6を素子の搭載部5の近傍に設け、金属パッド(第二金属部)6および金属薄板(第一金属部)1を、絶縁層2の開口8を介して、めっきからなるビア端子により電気的に接続した磁気ヘッドサスペンションが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−180353
【特許文献2】特開2006−202359
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
金属支持体上に絶縁層を介して積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、導体接続材が配線層の表面よりも突き出す高さを低減し、磁気ヘッド実装での問題を解消した磁気ヘッドサスペンションとその製造方法を提供することを主目的にする。
【0010】
また、特許文献2のように、めっき法によりビア端子を形成すると、通常、ビア端子の頂部の位置が、第二金属部(またはカバー部)の頂部の位置よりも高くなり、ビア端子が突出した形状となる(後述する図14(b)、図22参照)。このような場合であっても、特許文献2のように、ビア端子が、素子実装領域内ではなく、素子と接触しない程度に離れた位置にある場合は、大きな問題は生じない。
【0011】
これに対して、回路基板の高機能化を目的とした場合、デザイン上、ビア端子を、素子実装領域内に配置せざるを得ない場合がある。このような場合に、ビア端子が突出していると、回路基板に素子を実装した場合に、素子が傾き、素子と回路基板との接続が良好に行えないという問題がある。さらに、ビア端子と素子とが点接触しているため、点接触の箇所に応力集中が生じた場合に、素子にダメージが生じるという可能性もある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ビア端子による素子への悪影響を防止できる回路基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第1は、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、該磁気ヘッドサスペンション用基板は上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、該開口により露出する上記金属支持体の表面部と、上記配線層の上記開口内面部を接続し、上記配線層の層表面に接続部を持たない導体接続材を設けたことを特徴とするサスペンション用基板である。
【0014】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第2は、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、該磁気ヘッドサスペンション用基板は上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、該開口に接する配線層には他の配線層の表面より低く形成された開口周辺部を有し、上記開口により露出する上記金属支持体の表面部と、上記配線層を接続する導体接続材を設けたことを特徴とするサスペンション用基板である。
【0015】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第3は、上記開口周辺部は、エッチングにより他の配線層の表面より低く形成されることを特徴とする要旨の第2に記載のサスペンション用基板である。
【0016】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第4は、上記配線層が2層の導体層により構成され、上記絶縁層と配線層を貫通する開口の配線層の開口は、上記2層の導体層の下層の開口と、該下層の開口より大きい上層の開口により形成されることにより、上記開口周辺部が他の配線層の表面より低く形成されることを特徴とする要旨の第2に記載のサスペンション用基板である。
【0017】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第5は、上記導体接続材の高さは、上記配線層の層表面と同一もしくはそれ以下であることを特徴とする要旨の第1又は2に記載のサスペンション用基板である。
【0018】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第6は、上記導体接続材と上記配線層の接続は、配線層の層表面より低い部分のみで行われていることを特徴とする要旨の第1乃至5のいずれかに記載のサスペンション用基板である。
【0019】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第7は、上記導体接続材が金属メッキにより形成されていることを特徴とする要旨の第1乃至6のいずれかに記載のサスペンション用基板である。
【0020】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第8は、上記金属メッキがニッケルメッキであることを特徴とする要旨の第7に記載のサスペンション用基板である。
【0021】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第9は、上記導体接続材がグランド端子又は信号伝送端子であることを特徴とする要旨の第1乃至8のいずれかに記載のサスペンション基板である。
【0022】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第10は、本発明の要旨の第1乃至9のいずれかに記載のサスペンション用基板を用いたことを特徴とするサスペンションである。
【0023】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第11は、本発明の要旨の第10に記載のサスペンションと、該サスペンション上に搭載された磁気ヘッドスライダーを有することを特徴とするヘッド付サスペンションである。
【0024】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第12は、本発明の要旨の第11に記載のヘッド付サスペンションを用いたことを特徴とするハードディスクドライブである。
【0025】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第13は、
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された基材において、
該絶縁層と配線層を貫通する開口を形成し金属支持体表面を露出させる工程と、
上記配線層の層表面を露出させずに上記配線層の開口部を露出させるレジスト層を形成する工程と、
上記金属支持体から給電して金属メッキし、導体接続材を形成する工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法である。
【0026】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第14は、
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層され、該絶縁層と配線層を開口し金属支持体表面を露出するように開口部を形成した配線付き基材を準備する工程と、
上記配線層の上記開口部周辺の高さを他の配線層よりも低くなるように形成する工程と、
上記開口及び開口周辺部に金属メッキすることで、金属支持体層と配線層を接続する導体接続材を形成する工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法である。
【0027】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第15は、
上記開口部周辺の配線層の高さを他の配線層よりも低く形成する工程は、
上記配線層の開口部及び上記開口部周辺を除いてドライフィルムレジストを形成し、エッチングすることにより形成することを特徴とする要旨の第14に記載のサスペンション用基板の製造方法である
【0028】
上記課題を解決するための本発明の要旨の第16は、
上記導体接続材を形成する工程は、上記配線層の層表面を露出させずに上記配線層の開口部及び開口周辺部を露出させるレジスト層を形成するとともに、金属メッキを上記開口部及び配線層の開口周辺部まで形成することで、上記導体接続材の高さを配線層の高さと同一もしくはそれ以下になるように形成することを特徴とする要旨の第13乃至15のいずれかに記載のサスペンション用基板の製造方法である。
【0029】
上記要旨の第1乃至第6の発明によれば、導体接続材に突出部がないため磁気ヘッドスライダーを精度良く接続することができ、接続不良による歩留まりの低下を防ぐことができる。このため、磁気スライダー等、本発明のサスペンション用基板上に搭載される部品との接続を容易なものとすることができる。
また、上記導体接続材に突出部がないため、磁気ヘッドスライダーの金属支持体に対する平行性を保持し実装することができ、
本発明のサスペンション用基板をハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0030】
上記要旨の第7の発明によれば、微細な開口内において金属支持体層と配線層を電気的に確実に接続することができ、要旨の第8の発明によれば、ニッケル(Ni)を用いるため、導電性に優れ、かつ安価であり、さらに耐腐食性に優れた材料特性を有する。
【0031】
上記要旨の第9の発明によれば、上記導体接続材が磁気ヘッドスライダーに溜まる電荷を金属支持体に逃し静電気を除去する機能、信号用配線に含まれるノイズを抑制する機能、電気信号を伝送する機能を有するため、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0032】
上記要旨の第10の発明によれば、上記サスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンションを提供する。本発明によれば、上記サスペンションをハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0033】
上記要旨の第11の発明によれば、上記サスペンションと、上記サスペンション上に搭載された磁気ヘッドスライダーとを有することを特徴とするヘッド付サスペンションを提供する。本発明によれば、上記ヘッド付サスペンションをハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0034】
上記要旨の第12の発明によれば、上記ヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。本発明によれば、上記ヘッド付サスペンションを含むハードディスクドライブであるため、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができ、その結果、データ信頼性等に優れたものとすることができる。
【0035】
上記要旨の第13乃至第16の発明によれば、要旨の第1乃至第9の発明の特徴を備えたサスペンション用基板を製造することができる。
【0036】
また、上記課題を解決するために、本発明においては、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、上記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、上記絶縁層の一部を構成し、上記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、上記第二金属層の一部を構成し、上記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、上記絶縁層開口部および上記第二金属層開口部を介して、上記第一金属部および上記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、上記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板であって、上記第二金属部は上記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部を有し、上記薄肉部の頂部表面は上記ビア端子により覆われ、上記ビア端子が、上記ビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状であることを特徴とする回路基板を提供する。
【0037】
本発明によれば、ビア端子がビア部から突出しない形状であることから、回路基板に素子を実装した場合に、素子が傾くことを防止することができる。これにより、素子と回路基板との接続を良好に行うことができる。
【0038】
上記発明においては、上記ビア部は、上記第二金属部上に、上記ビア端子が露出するように形成された開口部を有するカバー部を備えていることが好ましい。カバー部の厚さがビア部の厚さとして加わることで、ビア部から突出しない形状を有するビア端子を形成しやすくなるからである。
【0039】
上記発明においては、上記カバー部の開口部の端部は、上記薄肉部により形成される外側端部よりも内側に位置していることが好ましい。これにより、カバー部に突起部が形成され、突起部によるめっき厚の制御ができるからである。
【0040】
また、本発明においては、上述した回路基板であることを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0041】
本発明によれば、上述した回路基板をサスペンション用基板として用いることで、素子を実装した場合に、素子の傾きを防止でき、素子とサスペンション用基板との接続を良好に行うことができる。
【0042】
また、本発明においては、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンションを提供する。
【0043】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、素子との接続性が良好なサスペンションとすることができる。
【0044】
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンションを提供する。
【0045】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、素子とサスペンションとの接続性が良好な素子付サスペンションとすることができる。
【0046】
また、本発明においては、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【0047】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【0048】
また、本発明においては、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、上記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、上記絶縁層の一部を構成し、上記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、上記第二金属層の一部を構成し、上記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、上記絶縁層開口部および上記第二金属層開口部を介して、上記第一金属部および上記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、上記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板の製造方法であって、上記第一金属部、上記絶縁部および上記第二金属部を有し、上記第二金属部には上記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部が形成され、上記第二金属部上に上記ビア部を形成する際のめっきをマスクするマスク部を有するビア設置部を備えた被めっき部材を形成する被めっき部材形成工程と、上記被めっき部材の第一金属部からの給電によってめっきを成長させることにより、上記ビア端子を形成するめっき工程と、を有し、上記めっき工程の際に、上記薄肉部の頂部表面を上記ビア端子により覆い、かつ、上記ビア端子を上記ビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状とすることを特徴とする回路基板の製造方法を提供する。
【0049】
本発明によれば、薄肉部を有する被めっき部材を用いることにより、ビア部から突出しない形状のビア端子を容易に形成することができる。その結果、回路基板に素子を実装した場合に、素子が傾くことを防止することができ、素子と回路基板との接続を良好に行うことができる。
【0050】
上記発明においては、上記マスク部が、カバー部またはドライフィルムレジスト部であることが好ましい。従来の製造方法を大幅に変更することなく、所望の回路基板を得ることができるからである。
【発明の効果】
【0051】
本発明では導体接続材形成の形状や製法を上記のように規定することで、導体接続材の高さが、配線層の表面に対して同一もしくはそれ以下の位置にある導体接続材を形成することができ、これにより磁気ヘッドスライダーを実装するエリアにおいて、導体接続材が磁気ヘッドスライダー実装の妨げにならないようにできる。このため、磁気ヘッドスライダーを任意の位置に配置することが可能となるなど、配線のデザイン自由度が高くなることで高密度実装が可能となり、装置の小型化や低コスト化、データ信頼性の向上などの利点が得られる。
【0052】
また、本発明においては、ビア端子による素子への悪影響を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第1態様の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第2態様の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第2態様の開口部の例を説明する断面図である。
【図4】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第1形態の製造方法の一例を説明する工程図である。
【図5】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第2形態の製造方法の一例を説明する工程図である。
【図6】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第1の実施例を説明する図である。
【図7】本発明の磁気ヘッドサスペンション用基板の第2の実施例を説明する図である。
【図8】本発明のサスペンションの一例を示す概略図である。
【図9】本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略図である。
【図10】本発明のハードディスクドライブの内部構造の一例を示す概略図である。
【図11】従来の磁気ヘッドサスペンション用基板の一例を示す断面図である。
【図12】本発明の回路基板の一例を示す概略平面図である。
【図13】図12の素子実装領域201の近傍を示す拡大図である。
【図14】本発明におけるビア部と、従来におけるビア部とを比較する概略断面図である。
【図15】本発明の効果を説明する概略断面図である。
【図16】本発明における薄肉部を説明する概略断面図である。
【図17】本発明におけるビア部を説明する概略断面図である。
【図18】本発明におけるビア部を説明する概略断面図である。
【図19】本発明の回路基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図20】本発明の回路基板の製造方法の他の例を示す概略断面図である。
【図21】本発明におけるビア設置部を説明する概略断面図である。
【図22】従来における回路基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。
【図23】本発明における被めっき部材形成工程を説明する概略断面図である。
【図24】本発明における被めっき部材形成工程を説明する概略断面図である。
【図25】薄肉部を形成する前の被めっき部材を説明する概略断面図である。
【図26】薄肉部を有する被めっき部材を説明する概略断面図である。
【図27】本発明におけるビア部を説明する概略断面図である。
【図28】実施例3で得られたビア部の断面写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
本発明は、サスペンション用基板、これを用いたサスペンション、ヘッド付サスペンション、およびハードディスクドライブに関するものである。以下、これらについて詳細に説明する。さらに、本発明の回路基板、回路基板の製造方法、サスペンション用基板、サスペンション、素子付サスペンション、およびハードディスクドライブについても詳細に説明する。
【0055】
A.サスペンション用基板
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。本発明のサスペンション用基板は、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層されており、上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、上記開口により露出する金属支持体の表面部と、上記配線層の上記開口内面部を接続し、上記配線層の層表面に接続部を持たない導体接続材を設けたことを特徴とする態様(第1態様)と、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層されており、上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、上記開口に接する配線層には他の配線層の表面より低く形成された開口周辺部を有し、上記開口により露出する上記金属支持体の表面部と、上記配線層を接続する導体接続材を設けたことを特徴とする態様(第2態様)に分けることができる。以下、本発明のサスペンション用基板を各態様に分けて説明する。
【0056】
1.第1態様
まず、本発明のサスペンション用基板の第1態様について説明する。本態様のサスペンション用基板は、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層されており、上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、上記開口により露出する金属支持体の表面部と、上記配線層の上記開口内面部を接続し、上記配線層の層表面に接続部を持たない導体接続材を設けたことを特徴とする態様である。
【0057】
このような本態様のサスペンション用基板を、図1を参照しながら説明する。図1は本態様のサスペンション用基板の一例を示す断面図である。本態様のサスペンション用基板は、金属支持体1と上記支持体1上に形成された絶縁層2と、上記絶縁層2を介して積層された配線層3と、上記金属支持体1と配線層3を接続する導体接続材4を有するものである。ここで、本態様のサスペンション用基板は、導体接続材4が開口部7により露出する金属支持体1の表面部62と上記配線層3の上記開口内面部61を接続し、上記配線層3の層表面5に接続部を持たないように形成されている。
【0058】
上記導体接続材4の高さは、上記配線層3の層表面5と同一もしくはそれ以下であるように形成されている。ここで、同一もしくはそれ以下であるように形成されているとは、図1より上記配線層3の厚みをX3、上記絶縁層2の厚みをX2とし、金属支持体の表面部62から導体接続材4の接続材表面6までの導体接続材4の高さをYとすると、X2<Y≦X
2+X3の範囲を満たす高さで形成されていることを示している。なかでもX2+(X3)/2≦Y≦X2+X3の範囲を満たす高さで導体接続材4が形成されていることが好ましい。なぜなら、上記範囲の高さで、導体接続材4を形成すれば、より接続信頼性が向上するからである。
【0059】
上記導体接続材4が上記の高さで形成されることにより、上記導体接続材4と上記配線層3との接続は、上記配線層3の層表面5には接続部を持たず、上記配線層3の層表面5より低い部分のみで行なわれている。
【0060】
従来のサスペンション用基板は、図11に例示する断面図のように、金属支持体1上に絶縁層72を介して配線層73が積層されており、上記絶縁層72と配線層73を貫通する開口77を有し、上記開口77により露出する金属支持体71の表面部762と、上記配線層73の上記開口内面部761を接続し、上記配線層73の層表面75にも導体接続材74が形成されている。このため、磁気ヘッドスライダー位置に導体接続材74が形成される場合に、導体接続材74の表面76が配線層73の層表面75よりも突き出た形状となり、磁気ヘッドスライダーの実装において支障をきたすという問題があった。
【0061】
一方、本態様によれば、上記導体接続材4が上記配線層3の層表面5に接続部を持たないように形成されているため、導体接続材4が突き出た形状とならず、磁気ヘッドスライダーを精度良く実装でき、接続不良による歩留まりの低下を防ぐことができる。
【0062】
本態様のサスペンション用基板は、金属支持体、絶縁層、配線、および導体接続材を少なくとも有するものである。以下、本態様のサスペンション用基板の各構成について説明する。
【0063】
(1)配線
本態様に用いられる配線層は、絶縁層上に形成されるものである。本発明のサスペンション用基板をハードディスクドライブに用いた場合に、上記配線層は、スライダーを介してディスクに書き込まれるデータや、ディスクから読み出されたデータを、電気信号として伝送するための信号用配線層であり、磁気ヘッドスライダーに溜まる電荷を金属支持体に逃すほか、上記信号用配線に含まれるノイズを低減させるための接地用配線層である。
【0064】
本発明に用いられる配線層の材料としては、例えば銅(Cu)などを挙げることができる。
【0065】
本発明に用いられる配線層の厚みとしては、所望の導電性を発揮することができれば、特に限定されるものではないが、通常、4μm〜18μmの範囲内であることが好ましく、なかでも5μm〜14μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲であることにより、本発明のサスペンション用基板に、スライダー等の部品を搭載する際に障害とならないものとすることができるからである。
【0066】
本発明に用いられる配線層の線幅としては、所望の導電性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、なかでも15μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲であることにより、上記配線層が、高密度化によりピッチが狭く形成される場合であっても、安定的に形成することができるからである。
【0067】
本発明に用いられる配線層のピッチ幅としては、最も狭い箇所において、30μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、なかでも30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
【0068】
本発明に用いられる配線層は、通常、その表面にニッケル(Ni)や、金(Au)による保護めっき層が形成されていることが好ましい。配線層を腐食に強いものとすることができるからである。
また、上記保護めっき層の膜厚としては、耐食性を確保できれば限定されるものではないが、5μm以下であることが好ましく、なかでも1μm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
また、上記配線層は、上記保護めっき層に比べ絶縁信頼性により優れたカバーレイにより部分的に被覆されるものとしても良い。
【0069】
(2)導体接続材
本態様に用いられる導体接続材は、金属支持体の表面と上記配線層を接続するものである。上記導体接続材は、グランド端子であることのほか、信号伝送用端子であることを特徴とする。
【0070】
上記導体接続材が、上記接地用配線と接続する場合、グランド端子としての機能を有する。ここで、グランド端子の主たる機能は、上記サスペンション用基板の磁気ヘッドスライダー設置位置内に形成される場合には、磁気ヘッドスライダーに溜まる電荷を金属支持体に逃すための静電気除去機能であり、また、上記サスペンション用基板の先端部に形成される場合、および、サスペンション用基板の先端部以外の信号用配線間に形成され、磁気ヘッドスライダーと接続されない位置に形成される場合には、上記信号用配線に含まれるノイズを低減させるためのノイズ抑制機能である。
【0071】
上記導体接続材が、上記信号用配線と接続する場合、信号伝送用端子としての機能を有する。信号伝送用端子の主たる機能は、磁気ヘッドスライダーを介してディスクに書き込まれるデータや、ディスクから読み出されたデータを電気信号として、金属支持体と信号用配線を接続し伝送する機能である。
【0072】
本発明に用いられる導体接続材を形成する導体接続材用金属は、導電性を有する金属であれば、特に限定されるものではないが、金属支持体との密着性に優れた金属であることが好ましい。具体的には、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等を用いることができ、なかでも銅(Cu)、ニッケル(Ni)を好ましく用いることができ、特にニッケル(Ni)を好ましく用いることができる。導電性に優れ、かつ安価だからである。また、耐腐食性に優れた材料だからである。
なお、これらの材料は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)により同定することができる。
これにより接続不良による歩留まりの低下を防ぐことができ、ハードディスクドライブ等に用いた場合には、上記スライダーを介したデータの読み取り等を安定的に行うことができるものとすることができる。
【0073】
また、上記導体接続材用金属としてニッケルを用い、後述する製造方法に示すような電解めっき法により導体接続材を形成する場合、電解Niめっき液としては、所望の形状に導体接続材を形成することができるものであれば良いが、ワット浴、スルファミン酸浴等を用いることができる。また、めっき浴には、適宜、添加剤を入れることにより、光沢度や皮膜応力を調整することが可能である。
【0074】
(3)絶縁層
本発明に用いられる絶縁層は、金属支持体上に形成されるものである。
【0075】
上記絶縁層の材料としては、例えばポリイミド(PI)等を挙げることができる。
【0076】
上記絶縁層の厚みとしては、所望の絶縁性を発揮することができれば、特に限定されるものではないが、通常5μm〜30μm程度である。
【0077】
(4)金属支持体
本発明に用いられる金属支持体は、導電性を有し、さらにサスペンション用途に用いられるため、通常、適度なばね性を有するものである。
【0078】
上記金属支持体の材料としては、例えば、SUS等を挙げることができる。
【0079】
本発明においては、上記金属支持体が、導体接続材が形成される表面側に、導電層を有していることが好ましい。導電層を設けることにより、導体接続材による導通がより効率的になるからである。上記導電層の材料としては、具体的には、銅(Cu)等を挙げることができる。上記導電層は、例えばめっき法等により形成することができる。
【0080】
上記金属支持体の厚さとしては、所望のばね特性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではなく、金属支持体の材料等により異なるものであるが、通常、10μm〜30μmの範囲内であるが、なかでも15μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
【0081】
次に、本態様のサスペンション用基板の製造方法の一例について図4を参照しながら説明する。上記サスペンション用基板の各構成を所望の位置に精度良く配置することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、図4(a)に示すように、金属支持体1と、上記金属支持体1上に形成され、絶縁層を構成する材料からなる絶縁層2および信号用配線および接地用配線を構成する材料からなる配線層3とを有する積層体を形成する。次いで、上記積層体にDFRなどのフォトレジスト8bを設け、所定の形状にパターニングする(図4(b))。その後、上記配線層3をエッチングによりパターニングし、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、開口部7を有する接地用配線と信号用配線を形成する(図4(c))。その後、DFRなどのフォトレジスト8bを設け、所定の形状にパターニング(図4(d))し、次いで上記絶縁層2をエッチングによりパターニングし、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、上記絶縁層2と上記配線層3を貫通する開口部7を有し、上記金属支持体1の表面部62が露出する絶縁層2を形成する(図4(e))。
【0082】
続いて、DFRなどのフォトレジスト8bを設け、上記配線層3の層表面5を露出させずに、上記配線層の開口部7を露出させるようにパターニングする(図4(f))。次いで、上記金属支持体1を給電層として用いて、上記グランド端子もしくは信号伝送用端子として金属めっきにより配線層3の層表面5と同一もしくはそれ以下の高さで導体接続材4を形成する。次いで、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、本態様のサスペンションを作製することができる(図4(g))。
【0083】
2.第2態様
次に、本発明のサスペンション用基板の第2態様について説明する。本態様のサスペンション用基板は、金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層されており、上記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、上記開口に接する配線層には他の配線層の表面より低く形成された開口周辺部を有し、上記開口により露出する上記金属支持体の表面部と、上記配線層を接続する導体接続材を設けたことを特徴とする態様である。
【0084】
このような本態様のサスペンション用基板を、図2を参照しながら説明する。図2は本発明の磁気ヘッドサスペンション基板の導体接続材の一例を示す断面図である。金属支持体1と上記支持体1上に形成された絶縁層2と、上記絶縁層2を介して積層された配線層3と、上記金属支持体1と配線層3を接続する導体接続材4を有するものである。ここで、本態様のサスペンション用基板は、導体接続材4が開口部7に接する配線層3の層表面5より低い開口周辺部60と、開口部7により露出する金属支持体1の表面部62を接続し、上記配線層3の層表面5に接続部を持たないように形成されている。
【0085】
ここで、本態様のサスペンション基板は、上記開口周辺部60が、エッチングにより配線層3の表面5より低く形成されていることを特徴とする。ここで、上記配線層3の厚みをX3とし、配線層の層表面5とエッチングにより形成された開口周辺部60の中で最も低い位置にある開口周辺底部63までの深さをZとすると、0<Z<X3の範囲を満たす深さで配線層3の層表面5より低い開口周辺部60が形成されていることが好ましい。なかでも(X3)/6≦Z≦5(X3)/6の範囲を満たす深さで形成されていることが好ましい。なぜなら、上記範囲の深さで、配線層表面5より低い開口周辺部60を形成すれば、導体接続材4が配線層3の内面部61に接続する面積が大きくなり、接続信頼性が向上するからである。
【0086】
また、図3は、エッチングにより開口周辺部が他の配線層の表面より低く形成されている上記図2以外の例として説明する断面図であり、第2の態様は本形態であっても良い。図3(a)は配線層3が金属3aと金属3bの2層で構成され、上層の金属3bの開口7周囲に配線層の層表面より低い開口周辺部60が形成されている。図3(b)は配線層3が金属3aと金属3bの2層で構成され、上層の金属3bの開口径が下層の金属3aの開口径より大きく設定され、この開口径の差により開口7周囲に配線層の層表面より低い開口周辺部60が形成されている。図3(c)は配線層3の開口部7周囲がテーパー形状の例、図3(d)は配線層3の開口部7周囲が深さの異なる段差のある凹部が形成されている例を示す。上記の何れの開口部の例も、レジストパターン形成とエッチング加工やメッキ加工の組み合わせで形状を形成することができる。
【0087】
上記導体接続材4の高さは、上記配線層3の層表面5と同一もしくはそれ以下であるように形成されている。ここで、同一もしくはそれ以下であるように形成されているとは、図2より上記配線層3の厚みをX3、上記絶縁層2の厚みをX2とし、金属支持体の表面部62から導体接続材4の接続材表面6までの導体接続材4の高さをYとすると、X2<Y≦X2+X3の範囲を満たす高さで形成されていることを示している。なかでもX2+(X3)/2≦Y≦X2+X3の範囲を満たす高さで導体接続材4が形成されていることが好ましい。なぜなら、上記範囲の高さで、導体接続材4を形成すれば、より接続信頼性が向上するからである。
【0088】
上記導体接続材4が上記の高さで形成されることにより、上記導体接続材4と上記配線層3との接続は、配線層3の層表面5には接続部を持たず、配線層3の層表面5より低い部分のみで行なわれている。
【0089】
従来のサスペンション用基板は、上記「1.第1態様」の項に記載したように、磁気ヘッドスライダー位置に導体接続材が形成される場合に、導体接続材が配線層表面よりも突き出た形状となり、磁気ヘッドスライダーの実装において支障をきたすという問題があった。
【0090】
本態様においても、上記「1.第1態様」の項に記載したように、上記導体接続材が上記配線層の層表面に接続部を持たないように形成されているため、導体層が突き出た形状とならず、磁気ヘッドスライダーを精度良く実装でき、接続不良による歩留まりの低下を防ぐことができる。
【0091】
本態様のサスペンション基板は、金属基板、絶縁層、配線、および導体接続材を少なくとも有するものであり、上記「1.第1態様」の項に記載したものと同様の内容であるので、ここでの記載は省略する。
【0092】
次に、本態様のサスペンション基板の製造方法の一例について図5を参照しながら説明する。上記サスペンション用基板の各構成を所望の位置に精度良く配置することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、図5(a)に示すように、金属支持体1と、上記金属支持体1上に形成され、絶縁層を構成する材料からなる絶縁層2および信号用配線および接地用配線を構成する材料からなる配線層3とを有する積層体を形成する。次いで、上記積層体にDFRなどのフォトレジスト8bを設け、所定の形状にパターニングする(図5(b))。その後、上記配線層3をエッチングによりパターニングし、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、開口部7を有する接地用配線と信号用配線を形成する(図5(c))。
【0093】
その後、DFRなどのフォトレジスト8bを設け、上記配線層の開口7および上記開口部周辺60を除くようにパターニング(図5(d))する。次いで、化学エッチングや電解エッチング処理、もしくは電解エッチング処理にともなって発生するバイポーラ現象により、配線層の開口周辺部60の高さを配線層3よりも低くなるように形成する(図5(e))。次いで、上記絶縁層2をエッチングによりパターニングし、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、上記開口部7において、上記絶縁層2と上記配線層3を貫通する開口部7を有し、上記金属支持体1の表面部62が露出する絶縁層2を形成する(図5(f))。
【0094】
続いて、DFRなどのフォトレジスト8bを設け、上記配線層3の層表面5を露出させずに上記配線層3の開口部7および開口周辺部60を露出させるようにパターニング(図5(g))し、次いで、上記金属支持体1を給電層として用いて、上記グランド端子もしくは信号伝送用端子として金属めっきにより上記開口部7および配線層3の開口周辺部60まで形成することで、配線層3の層表面5と同一もしくはそれ以下の高さで導体接続材4を形成する。次いで、上記フォトレジスト8bを剥離することにより、本態様のサスペンションを作製することができる(図5(h))。
【0095】
B.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上記サスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
【0096】
このような本発明のサスペンションを図を参照して説明する。図8は、本発明のサスペンションの一例を示す概略図である。図8に例示するように、本発明のサスペンション30は、上記サスペンション用基板10と、ロードビーム31とを有するものであり、ロードビーム31は上記サスペンション基板10のうち磁気ヘッドスライダーが設置されるスライダー設置位置20が形成されていない側の表面に接着されている。
ここで、上記サスペンション用基板は、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載のサスペンション用基板である。
【0097】
本発明によれば、上記サスペンション用基板を含むものであるため、ハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0098】
本発明のサスペンションは、上記サスペンション用基板を少なくとも有するものである。このようなサスペンション用基板としては、上記「A.サスペンション用基板」の項に記載の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0099】
本発明のサスペンションは、上記サスペンション用基板を少なくとも有するものであるが、通常、ロードビームを有するものである。このようなロードビームとしては、本発明のサスペンションをハードディスクドライブに用いた際に、上記サスペンションに所望の剛性を付与することができるものであれば良く、ハードディスクドライブに一般的に使用されるものを用いることができる。
【0100】
本発明のサスペンションの用途としては、ハードディスクドライブのヘッド付サスペンションを挙げることができ、なかでも、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いことを要求されるヘッド付サスペンションに好適に用いられる。
【0101】
C.ヘッド付サスペンション
次に、本発明のヘッド付サスペンションについて説明する。本発明のヘッド付サスペンションは、上記サスペンションと、上記サスペンション上に搭載された磁気ヘッドスライダーとを有することを特徴とするものである。
【0102】
このような本発明のヘッド付サスペンションを図を参照して説明する。図9は、本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略図である。図9に例示するように、本発明のヘッド付サスペンション40は、上記サスペンション30と、上記サスペンション30上のスライダー設置位置上に搭載された磁気ヘッドスライダー41とを有するものである。
ここで、上記サスペンションは、上記「B.サスペンション」の項に記載のサスペンションである。
なお、図9中の符号については、図8のものと同一のものである。
【0103】
本発明によれば、上記サスペンションを含むものであるため、ハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。
【0104】
本発明のヘッド付サスペンションは、上記サスペンションおよび磁気ヘッドスライダーを少なくとも有するものである。
上記サスペンションとしては、上記「B.サスペンション」の項に記載の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0105】
本発明に用いられる磁気ヘッドスライダーとしては、本発明のヘッド付サスペンションをハードディスクドライブに用いた際に、ディスク上へのデータの書き込みおよび読み込みを行なえるものであれば良く、ハードディスクドライブに一般的に使用されるものを用いることができる。
【0106】
本発明のヘッド付サスペンションの用途としては、ハードディスクドライブを挙げることができ、なかでも、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いことが要求されるハードディスクドライブに好適に用いられる。
【0107】
D.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上記ヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0108】
このような本発明のハードディスクドライブを図を参照して説明する。図10は、本発明のハードディスクドライブの内部構造の一例を示す概略平面図である。図10に例示するように、本発明のハードディスクドライブ50は、上記ヘッド付サスペンション40と、上記ヘッド付サスペンション40にデータの書き込みおよび読み込みがされるディスク51と、上記ディスク51を回転させるスピンドルモータ52と、上記ヘッド付サスペンション40に接続されたアーム53と、上記アーム53を移動することにより上記ヘッド付サスペンション40のスライダーを、上記ディスク51上の所望の位置に移動させるボイスコイルモータ54と、上記各構成を密閉するケース55とを有するものである。
ここで、上記ヘッド付サスペンションは、上記「C.ヘッド付サスペンション」の項に記載のサスペンションである。
【0109】
本発明によれば、上記ヘッド付サスペンションを含むものであるため、ハードディスクドライブに用いた場合、データの読み取りおよび書き込みの精度が高いものとすることができる。その結果、データ信頼性等に優れたものとすることができる。
【0110】
本発明のハードディスクドライブは、上記ヘッド付サスペンションを少なくとも有するものである。
このようなヘッド付サスペンションとしては、上記「C.ヘッド付サスペンション」の項に記載の内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0111】
本発明のハードディスクドライブは、上記ヘッド付サスペンションを少なくとも有するものであるが、通常、ディスク、スピンドルモータ、アーム、およびボイスコイルモータを有するものである。このようなディスク、スピンドルモータ、アーム、およびボイスコイルモータとしては、ハードディスクドライブに一般的に使用されるものを用いることができる。
【0112】
E.回路基板
次に、本発明の回路基板について説明する。本発明の回路基板は、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、上記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、上記絶縁層の一部を構成し、上記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、上記第二金属層の一部を構成し、上記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、上記絶縁層開口部および上記第二金属層開口部を介して、上記第一金属部および上記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、上記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板であって、上記第二金属部は上記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部を有し、上記薄肉部の頂部表面は上記ビア端子により覆われ、上記ビア端子が、上記ビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状であることを特徴とするものである。
【0113】
本発明によれば、ビア端子がビア部から突出しない形状であることから、回路基板に素子を実装した場合に、素子が傾くことを防止することができる。これにより、素子と回路基板との接続を良好に行うことができる。また、ビア端子が突出しない形状であることから、ビア端子と素子とは点接触せず、応力集中による素子のダメージを防止することができる。また、本発明によれば、ビア部が薄肉部を有していることから、ビア端子が突出しない形状であっても、第一金属部と第二金属部とを確実に接続することができる。
【0114】
図12は、本発明の回路基板の一例を示す概略平面図である。より具体的には、HDDに用いられるサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。なお、便宜上、カバー層の記載は省略している。図12に示されるサスペンション用基板210は、一方の先端には、素子を実装するための素子実装領域201を有し、他方の先端には、他の回路基板との接続を行うための接続領域202を有する。さらに、サスペンション用基板210は、素子実装領域201および接続領域202を接続するための配線203(配線203a〜203d)を有する。配線203aおよび203b、並びに、配線203cおよび203dはそれぞれ配線対を形成し、一方が記録用であり、他方が再生用である。図13に示すように、本発明においては、ビア部110のビア端子104が、素子実装領域201の領域内(またはその近傍)に形成されていることを一つの特徴とする。
【0115】
図14は、本発明におけるビア部と、従来におけるビア部とを比較する概略断面図である。また、図14は図13のA−A´断面に対応する断面図である。図14(a)に示すように、本発明におけるビア部110は、第一金属部101と、第一金属部101が露出するように形成された絶縁層開口部102aを有する絶縁部102と、絶縁層開口部102aから第一金属部101が露出するように形成された第二金属層開口部103aを有する第二金属部103と、絶縁層開口部102aおよび第二金属層開口部103aを介して、第一金属部101および第二金属部103を電気的に接続するめっきからなるビア端子104とを有するものである。また、第二金属部103は第二金属層開口部103aの端部に沿って薄肉部105を有し、薄肉部105の頂部表面はビア端子104により覆われている。さらに、ビア端子104が、ビア部110(ビア端子104を除く)から突出しない形状であることを一つの特徴とする。その場合、ビア端子104の厚さXは、ビア端子104および第一金属部101を除くビア部110の厚さY以下になる。なお、図14(a)においては、XおよびYの値が同一であるが、後述するように、第二金属部103上にカバー部等が設けられると、Xの値は、Yの値よりも小さくなる。
【0116】
上記のように、本発明においては、ビア端子104が、ビア部110(ビア端子104を除く)から突出しない形状であることを一つの特徴とする。ビア部110からビア端子104を除く理由は、ビア端子104自体がビア部110の構成要素だからである。すなわち、ビア端子104が第二金属部103等から突出した形状であっても、ビア端子104自体がビア部110の構成要素なので、ビア端子104の頂部と、ビア部110の頂部とは必ず一致し、ビア端子104がビア部110から突出することは有り得ない。図14(a)においては、ビア端子104の頂部が、第二金属部103の頂部(ビア部110からビア端子104を除いた部材の頂部)よりも低い形状になる。また、図示しないが、第二金属部103上に後述するカバー部が形成されている場合には、ビア部がカバー部を有する構成になることから、ビア端子104の頂部が、カバー部の頂部(ビア部110からビア端子104を除いた部材の頂部)よりも低い形状になる。
【0117】
一方、図14(b)に示すように、従来におけるビア部110は、第二金属部103が薄肉部105を有しないため、ビア端子104が、ビア部110(ビア端子104を除く)から突出した形状になる。具体的には、ビア端子104の頂部が、第二金属部103の頂部(ビア部110からビア端子104を除いた部材の頂部)よりも高い形状になる。また、ビア端子104の厚さXは、ビア端子104および第一金属部101を除くビア部110の厚さYよりも大きくなる。なお、従来のビア部の形成方法については、後述する図22で説明する。
【0118】
次に、図15を用いて本発明の効果について説明する。図15は、ビア部110を有する素子実装領域201に、素子120を実装させた場合の概略断面図である。図15(a)は、素子実装領域201に、従来のビア部110と、配線部111とが形成された態様である。この場合、ビア部110においては、ビア端子104が突出した形状となっており、その頂部の位置は、配線部111の第二金属部103よりも高くなる。そのため、素子実装領域201に接着部115を介して素子120を実装すると、素子120に傾きが生じる。その結果、素子120と回路基板との接続を良好に行えないという問題がある。さらに、ビア端子104と素子120とが点接触しているため、点接触の箇所に応力集中が生じた場合に、素子120にダメージが生じるという可能性もある。
【0119】
また、図15(b)は、素子実装領域201に、2つの従来のビア部110が形成された態様である。回路基板の高機能化に伴い、素子実装領域201に、複数のビア部110が形成される場合がある。この場合、2つのビア部110は、共にビア端子104が突出した形状となっている。ビア端子104の厚さは、通常、めっきの際に露出する金属部の面積に大きく依存する。そして、露出する金属部の面積は、ドライフィルムレジスト等のパターニングの精度に依存する。また、ビア端子104の厚さは、ビア部を形成するめっき時の電気抵抗値にも依存する。以上の要因から、複数のビア部110を形成する場合、それぞれのビア端子の高さには、多少のバラつきが生じ、その結果、上記図15(a)と同様に、素子120に傾きが生じる等の問題がある。
【0120】
これに対して、図15(c)に示すように、本発明におけるビア部110は、薄肉部105を有し、ビア端子104が突出しない形状であるため、素子120の傾きを防止することができ、素子120と回路基板との接続を良好に行うことができるのである。
以下、本発明の回路基板について、回路基板の部材と、回路基板の構成とに分けて説明する。
【0121】
1.回路基板の部材
まず、本発明の回路基板の部材について説明する。本発明の回路基板は、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を有するものである。さらに、本発明の回路基板は、第一金属部、絶縁部、第二金属部、ビア端子を少なくとも有するビア部を備えるものである。
【0122】
(1)第一金属層および第二金属層
本発明における第一金属層および第二金属層は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、回路基板の種類に応じて適宜選択されるものである。なお、本発明においては、第一金属層の中でも、ビア部を構成する部分を第一金属部と称する。同様に、第二金属層の中でも、ビア部を構成する部分を第二金属部と称する。
【0123】
例えば、本発明の回路基板がサスペンション用基板である場合、第一金属層は、通常、支持基板としての機能を有する。さらに、このような支持基板は所定のばね性を有するものである。第一金属層の材料としては、例えばSUS等を挙げることができる。また、第一金属層の厚さとしては、その材料等により異なるが、通常10μm〜20μmの範囲内である。また、本発明の回路基板がサスペンション用基板である場合、第二金属層は、通常、配線としての機能を有する。第二金属層の材料としては、例えば銅(Cu)等を挙げることができる。また、第二金属層の厚さとしては、例えば5μm〜18μmの範囲内であり、中でも9μm〜12μmの範囲内であることが好ましい。
【0124】
本発明において、第二金属層の一部を配線として用いる場合、その表面に金めっき層が形成されていることが好ましい。配線の腐食を抑制することができるからである。金めっき層の厚さは、例えば0.1μm〜4.0μmの範囲内である。また、本発明においては、配線および金めっき層の間に、Niめっき層を有していても良い。
【0125】
(2)絶縁層
本発明における絶縁層は、第一金属層および第二金属層の間に形成されるものである。絶縁層の材料としては、所望の絶縁性を発揮することができれば特に限定されるものではない。例えば、本発明の回路基板がサスペンション用基板である場合、絶縁層の材料として、例えばポリイミド(PI)等を用いることができる。また、絶縁層の厚さは、例えば5μm〜10μmの範囲内である。
【0126】
(3)ビア端子
本発明におけるビア端子は、ビア部において、第一金属部および第二金属部を電気的に接続するめっきからなるものである。ビア端子の材料としては、例えばニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)および銅(Cu)等を挙げることができ、中でもニッケル(Ni)が好ましい。導電性および耐腐食性に優れ、かつ、安価だからである。特にニッケルを用いて、電解めっき法によりビア端子を形成する場合、用いられる電解Niめっき浴としては、例えば、ワット浴およびスルファミン酸浴等を挙げることができる。なお、これらのめっき浴には、適宜、添加剤を用いることにより、光沢度や皮膜応力を調整することができる。
【0127】
(4)カバー層
また、本発明の回路基板は、第二金属層上に、カバー層を有していても良い。カバー層を設けることで、露出する絶縁層や第二金属層を保護することができる。カバー層の材料としては、例えばポリイミド等を挙げることができる。また、カバー層の材料は、感光性樹脂であっても良く、非感光性樹脂であっても良い。カバー層の厚さとしては、例えば2μm〜30μmの範囲内であり、中でも4μm〜15μmの範囲内であることが好ましい。なお、本発明においては、カバー層の中でも、ビア部を構成する部分をカバー部と称する。
【0128】
2.回路基板の構成
次に、本発明の回路基板の構成について説明する。本発明の回路基板は、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を有する。さらに、上述したように、第二金属層上に、カバー層が形成されていても良い。また、第一金属層および第二金属層の間には、少なくとも絶縁層が一層形成されていれば良い。そのため、第一金属層および第二金属層の間は、絶縁層のみを有する単層構造であっても良く、絶縁層とその他の金属層とを有する複層構造であっても良い。なお、後者の場合は、通常、複数の絶縁層を有する。
【0129】
また、本発明におけるビア端子は、素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成される。ここで、本発明における「素子実装領域」とは、平面視上、素子が実装される領域と一致する回路基板の領域をいう(図13の点線部分)。また、「素子実装領域の近傍」とは、素子実装領域の領域外であって、ビア端子が実装される素子と接触可能な位置をいう。例えば、回路基板がばね性を有する場合、ビア部が素子実装領域外に形成されていても、回路基板が撓むことにより、ビア端子と素子とが接触する場合がある。また、実際に素子を実装する際に、実装される位置に微少なズレ(誤差)が生じる場合がある。このような場合であっても、本発明の回路基板を用いることで、ビア端子が素子に悪影響を与えることを防止することができる。また、ビア端子が素子実装領域の近傍にある場合、ビア端子と素子実装領域との平面視上の最短距離は、例えば100μm以下であることが好ましい。
【0130】
次に、本発明におけるビア部について、上記図14(a)を参照しながら説明する。本発明にビア部110は、第一金属部101上に絶縁部102を有する。さらに、絶縁部102は第一金属部101が露出するように形成された絶縁層開口部102aを有する。絶縁層開口部102aの平面視形状は、所定のビア端子を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、円状;楕円状;四角形、五角形等の任意の多角形状、櫛状、十字状および棒状等を挙げることができる。なお、絶縁層開口部の形状としては円状が一般的であり、その場合、直径は例えば30μm〜200μmの範囲内である。
【0131】
また、本発明におけるビア部110は、絶縁部102上に第二金属部103を有する。さらに、第二金属部103は、絶縁層開口部102aから第一金属部101が露出するように形成された第二金属層開口部103aを有する。第二金属層開口部103aの平面視形状については、上述した絶縁層開口部102aと同様である。また、第二金属層開口部103aの径についても、第一金属部101が露出すれば特に限定されるものではない。
【0132】
ここで、絶縁層開口部102aを化学エッチングにより形成する時、エッチング条件によっては、第二金属層開口部103aの開口よりも大きい範囲で絶縁部102がエッチングされ、絶縁層開口部102aの径が第二金属層開口部103aの径よりも大きくなる。すなわち、第二金属層開口部103aの端部が、絶縁層開口部102aの端部よりも内側に位置するようになり、第二金属部103に突起部が形成される(図14(b)参照)。従来におけるビア部110は、図14(b)に示すように、第二金属部103の突起部が形成されるが、本発明におけるビア部110は、後述する図23および図24で説明するように、薄肉部を形成する際に、第二金属部103の突起部が消失するため、通常、このような突起部を有しない。その結果、本発明における第二金属層開口部103aの径は、通常、絶縁層開口部102aの径と同じかそれよりも大きくなる。
【0133】
また、第二金属部103は、第二金属層開口部103aの端部に沿って薄肉部105を有する。薄肉部105は、通常の第二金属部103よりも薄い部分である。この薄肉部105を形成することにより、ビア端子104の突出を防止するとともに、良好な接続性を有するビア端子104を得ることができる。薄肉部105は、後述するように、第二金属部103を化学エッチングすることにより形成することができる。ここで、図16に示すように、第二金属部103の厚さをT、薄肉部105を形成するためにエッチングされた厚さをT1とすると、T1/Tの値は、例えば0.3〜0.8の範囲内、中でも0.4〜0.7の範囲内、特に0.4〜0.6の範囲内であることが好ましい。T1/Tの値が小さすぎると、ビア端子がビア部(ビア端子を除く)から突出しない形状を形成するように、めっきを制御することが困難になる可能性があり、T1/Tの値が大きすぎると、薄肉部の機械的強度が低くなり、薄肉部の破損が生じる可能性があるからである。また、T1の値は、第二金属部103の厚さによって異なるものであるが、例えば4μm〜10μmの範囲内、中でも5μm〜8μmの範囲内であることが好ましい。一方、図16に示すように、薄肉部105の幅をWとすると、Wの値は、例えば3μm〜30μmの範囲内、中でも4μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。なお、薄肉部105は、第二金属層開口部103aの端部に沿って形成されるものであり、その端部の周囲に対して少なくとも一部に形成されていれば良く、中でも端部の全周にわたって形成されていることが好ましい。めっき厚の制御がさらに容易になるからである。
【0134】
また、本発明におけるビア部110は、第二金属部103上に、ビア端子104が露出するように形成された開口部を有するカバー部を有していることが好ましい。このようなカバー部を有するビア部110の一例を図17に示す。図17においては、第二金属部103上に、ビア端子104が露出するように形成された開口部106aを有するカバー部106が形成されている。開口部106aの平面視形状については、上述した絶縁層開口部102aと同様である。また、本発明においては、図17に示すように、カバー部106の開口部106aの端部は、薄肉部105により形成される外側端部105aよりも内側に位置していることが好ましい。これにより、カバー部106に突起部が形成され、突起部によるめっき厚の制御ができるからである。突起部によるめっき厚の制御については、後述する「F.回路基板の製造方法」で説明する。ここで、図17に示すように、カバー部106の突起部の幅をZとすると、Zの値は、例えば3μm以上であり、中でも4μm〜8μmの範囲内であることが好ましい。Zの値が小さすぎると、突起部によるめっき厚の制御が困難になる可能性があり、Zの値が大きすぎると、めっき(ビア端子)とカバー層との密着性が低下する可能性があるからである。
【0135】
また、本発明においては、ビア端子104の厚さXは、ビア端子104および第一金属部101を除くビア部110の厚さY以下になる。上記図17のように、第二金属部103上にカバー部106が形成されている場合は、厚さYは、絶縁部102、第二金属部103およびカバー部106の厚さの合計になる。このように、ビア部の構成によって、厚さYは変化するものである。また、本発明においては、図18に示すように、ビア端子104の表面に金めっき部107を有していても良い。この場合におけるビア端子104の厚さXは、金めっき部107の厚さを含むものとする。
【0136】
3.回路基板
本発明の回路基板は、上述した部材および構成を有するものである。さらに、上記のように、本発明の回路基板は、素子実装領域を有する。素子実装領域に実装される素子としては、例えば、磁気ヘッドスライダ、アクチュエータ、半導体等を挙げることができる。また、上記アクチュエータは、磁気ヘッドを有するものであっても良く、磁気ヘッドを有しないものであっても良い。
【0137】
本発明の回路基板は、可撓性を有するフレキシブル基板であることが好ましい。また、回路基板の用途としては、具体的には、HDD等に用いられるサスペンション用基板(フレキシャー)、半導体パッケージ基板、フレキシブルプリント基板等を挙げることができる。
【0138】
F.回路基板の製造方法
次に、本発明の回路基板の製造方法について説明する。本発明の回路基板の製造方法は、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、上記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、上記絶縁層の一部を構成し、上記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、上記第二金属層の一部を構成し、上記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、上記絶縁層開口部および上記第二金属層開口部を介して、上記第一金属部および上記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、上記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板の製造方法であって、上記第一金属部、上記絶縁部および上記第二金属部を有し、上記第二金属部には上記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部が形成され、上記第二金属部上に上記ビア部を形成する際のめっきをマスクするマスク部を有するビア設置部を備えた被めっき部材を形成する被めっき部材形成工程と、上記被めっき部材の第一金属部からの給電によってめっきを成長させることにより、上記ビア端子を形成するめっき工程と、を有し、上記めっき工程の際に、上記薄肉部の頂部表面を上記ビア端子により覆い、かつ、上記ビア端子を上記ビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状とすることを特徴とするものである。
【0139】
本発明によれば、薄肉部を有する被めっき部材を用いることにより、ビア部から突出しない形状のビア端子を容易に形成することができる。その結果、回路基板に素子を実装した場合に、素子が傾くことを防止することができ、素子と回路基板との接続を良好に行うことができる。また、ビア端子が突出しない形状であることから、ビア端子と素子とは点接触せず、応力集中による素子のダメージを防止することができる。
【0140】
図19は、本発明の回路基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。なお、図19は、マスク部がカバー部106である態様である。図19においては、まず、第一金属部101と、第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部102aを有する絶縁部102と、絶縁層開口部102aから第一金属部101が露出するように形成された第二金属層開口部103aを有する第二金属部103とを有し、かつ、第二金属部103は第二金属層開口部103aの端部に沿って薄肉部105を有するビア設置部110aを備えた被めっき部材210aを形成する(図19(a))。特に図19(a)においては、第二金属部103上に開口部106aを有するカバー部106がマスク部として形成されている。
【0141】
次に、被めっき部材210aの第一金属部101からの給電によってめっきを成長させる。めっき開始時には、絶縁層開口部102aを埋めるようにめっきが形成される。その後、成長しためっき部104aが第二金属部103に接触した瞬間に、第一金属部101および第二金属部103が導通する(図19(b))。その結果、第二金属部103のめっきが開始され、薄肉部105の頂部表面がめっき部104aで覆われる(図19(c))。その後、めっきをさらに成長させることにより、ビア部110から突出しない形状を有するビア端子104を備えた回路基板が得られる(図19(d))。
【0142】
図20は、本発明の回路基板の製造方法の他の例を示す概略断面図である。なお、図20は、マスク部がドライフィルムレジスト部(DFR部)131である態様である。図20においては、まず、上記図19(a)と同様の被めっき部材210aを形成する(図20(a))。ただし、図20(a)においては、第二金属部103上に、カバー部106ではなく、開口部131aを有するDFR部131がマスク部として形成されている。
【0143】
次に、被めっき部材210aの第一金属部101からの給電によってめっきを成長させる。めっき開始時には、絶縁層開口部102aを埋めるようにめっきが形成される。その後、成長しためっき部104aが第二金属部103に接触した瞬間に、第一金属部101および第二金属部103が導通する(図20(b))。その結果、第二金属部103のめっきが開始され、薄肉部105の頂部表面がめっき部104aで覆われる(図20(c))。その後、めっきをさらに成長させることにより、ビア端子104が得られ(図20(d))、最後にDFR部を剥離することにより、ビア部110から突出しない形状を有するビア端子104を備えた回路基板が得られる(図20(e))。
【0144】
なお、図20(a)には、カバー部を有しない被めっき部材210aが示されているが、本発明においては、図21に示すように、ビア設置部110aが、第二金属部103とDFR部131との間にカバー部106を有していても良い。
【0145】
これに対して、図22は、従来における回路基板の製造方法の一例を示す概略断面図である。図22においては、まず、上記図20(a)と同様の被めっき部材210aを形成する(図22(a))。ただし、図22(a)において、第二金属部103は薄肉部105を有しないものである。次に、被めっき部材210aの第一金属部101からの給電によってめっきを成長させる。めっき開始時には、絶縁層開口部102aを埋めるようにめっきが形成される。その後、成長しためっき部104aが第二金属部103に接触した瞬間に、第一金属部101および第二金属部103が導通する(図22(b))。その結果、第二金属部103のめっきが開始される(図22(c))。その後、めっきをさらに成長させることにより、ビア端子104が得られ(図22(d))、最後にDFR部を剥離することにより、回路基板が得られる(図22(e))。従来の製造方法により得られた回路基板は、ビア部110が薄肉部105を有していないため、ビア端子104が第二金属部103上に形成され、ビア部110から突出した形状になる。以上のように、本発明においては、ビア部110が薄肉部105を有することで、ビア部110から突出しない形状を有するビア端子104を得ることができるのである。
以下、本発明の回路基板の製造方法について、工程毎に説明する。
【0146】
1.被めっき部材形成工程
まず、本発明における被めっき部材形成工程について説明する。本工程は、上記第一金属部、上記絶縁部および上記第二金属部を有し、上記第二金属部には上記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部が形成され、上記第二金属部上に上記ビア部を形成する際のめっきをマスクするマスク部を有するビア設置部を備えた被めっき部材を形成する工程である。
【0147】
本発明における被めっき部材は、上述した第一金属部、絶縁部、第二金属部、薄肉部およびマスク部を有するものであれば特に限定されるものではない。これらの部材の中で、マスク部以外の部材については、上記「E.回路基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0148】
また、本発明におけるマスク部は、第二金属部上に形成され、ビア端子を形成する場所以外の第二金属部の表面をマスクするものである。このようなマスク部としては、具体的にはカバー部およびドライフィルムレジスト部を挙げることができる。以下、被めっき部材の形成方法について、マスク部の態様ごとに説明する。
【0149】
(1)マスク部がカバー部である態様
この場合における被めっき部材形成工程の一例としては、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された積層体を用意する工程と、上記第二金属層のエッチングを行い、第二金属層開口部を有する第二金属部を形成する工程と、上記第二金属部上に、薄肉部を形成するための上記第二金属部の表面が露出する開口部を有するカバー部を形成する工程と、上記第二金属層開口部から露出する絶縁層のエッチングを行い、絶縁層開口部を有する絶縁部を形成する工程と、上記カバー部から露出する上記第二金属部のエッチングを行い、上記薄肉部を形成する工程と、を有するものを挙げることができる。
【0150】
このような被めっき部材形成工程を、図23を参照しながら説明する。図23においては、まず、第一金属層101b、絶縁層102bおよび第二金属層103bがこの順に積層された積層体を用意する(図23(a))。次に、第二金属層103bの表面にドライフィルムレジストをラミネートし、露光現像を行うことにより、第二金属部を形成するためのレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンから露出する第二金属層103bをエッチング液によりエッチングし、レジストパターンを剥離することにより、第二金属層開口部103aを有する第二金属部103を形成する(図23(b))。また、図示しないが、第一金属層101bの表面にもレジストパターンを設けることで、第二金属部103と同時に第一金属部101を形成することができる。エッチング液の種類は、第一金属層101bおよび第二金属層103bの材料に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、第一金属層101bの材料がSUSであり、第二金属層103bの材料がCuである場合は、エッチング液として、塩化鉄系エッチング液等を用いることができる。
【0151】
次に、第二金属部103を覆うように、感光性のカバー部形成材料(例えば感光性ポリイミド)を塗工し、露光現像を行うことにより、カバー部106を形成する(図23(c))。この際、薄肉部を形成するための第二金属部の表面が露出する開口部106aを有するように、カバー部106を形成する。また、本発明においては、カバー部106の形成に、非感光性のカバー部形成材料を用いても良い。この場合は、通常、ドライフィルムレジストおよびエッチング液によるパターニングによりカバー部106を形成する。
【0152】
次に、第二金属部103およびカバー部106を覆うように、ドライフィルムレジストをラミネートし、露光現像を行うことにより、絶縁部を形成するためのレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンから露出する絶縁層102bをエッチング液によりエッチングし、レジストパターンを剥離することにより、絶縁層開口部102aを有する絶縁部102を形成する(図23(d))。エッチング液の種類は、絶縁層102bの種類に応じて適宜選択することが好ましい。
【0153】
次に、カバー部106から露出する第二金属部103の表面をエッチング液によりエッチングし、薄肉部105を形成する(図23(e))。この際、上述した第二金属部103の突起部は、通常、消失する。これにより、カバー部106をマスク部とした被めっき部材210aを得ることができる。本発明においては、薄肉部105を形成する際に、通常、第一金属部101をエッチングせず、第二金属部103をエッチングする選択性エッチング液を用いる。選択性エッチング液の種類は、第一金属部101および第二金属部103の種類に応じて、適宜選択することが好ましい。例えば、第一金属部101がSUSであり、第二金属部103の材料がCuである場合は、選択性エッチング液として、過酸化水素および硫酸の混合溶液、硫酸水素カリウム系溶液、過硫酸ナトリウム系溶液、過硫酸カリウム系溶液、過硫酸アンモニウム系溶液、塩化アンモニウム系溶液等を用いることができる。また、めっきの前処理(例えば電解脱脂)により、第二絶縁部の膜減りが生じる可能性があるため、薄肉部を形成する際のエッチング量は、膜減り等を考慮して設定することが好ましい。
【0154】
次に、上記方法により得られる被めっき部材について説明する。上記方法により得られる被めっき部材(図23(e)に示される被めっき部材210a)は、上記図17と同様に、カバー部106の開口部106aの端部が、薄肉部105により形成される外側端部105aよりも内側に位置することとなる(カバー部106をマスクとしてハーフエッチングする場合、サイドエッチが入るため、通常は内側に位置することとなる)。これにより、カバー部106に突起部が形成され、突起部によるめっき厚の制御ができるからである。より具体的には、上記図19(d)に示すように、カバー部106の突起部が、めっきが成長する際のストッパーとして機能することで、めっき厚の制御が容易になる。また、カバー部106の突起部の形成方法としては、例えば、薄肉部105を形成する際のエッチング条件を適宜選択し、サイドエッチングを生じさせる方法を挙げることができる。
【0155】
(2)マスク部がドライフィルムレジスト部である態様
この場合における被めっき部材形成工程の一例としては、第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された積層体を用意する工程と、上記第二金属層のエッチングを行い、第二金属層開口部を有する第二金属部を形成する工程と、上記第二金属層開口部から露出する絶縁層のエッチングを行い、絶縁層開口部を有する絶縁部を形成する工程と、薄肉部を形成するための上記第二金属部の表面が露出する開口部を有するレジストパターンを形成し、露出する上記第二金属部のエッチングを行い、薄肉部を形成する工程と、上記薄肉部以外の上記第二金属部の表面上に、ドライフィルムレジスト部を形成する工程と、を有するものを挙げることができる。
【0156】
このような被めっき部材形成工程を、図24を参照しながら説明する。図24においては、まず、第一金属層101b、絶縁層102bおよび第二金属層103bがこの順に積層された積層体を用意する(図24(a))。次に、第二金属層103bの表面にドライフィルムレジストをラミネートし、露光現像を行うことにより、第二金属部を形成するためのレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンから露出する第二金属層103bをエッチング液によりエッチングし、レジストパターンを剥離することにより、第二金属層開口部103aを有する第二金属部103を形成する(図24(b))。また、図示しないが、第一金属層101bの表面にもレジストパターンを設けることで、第二金属部103と同時に第一金属部101を形成することができる。
【0157】
なお、図24では、カバー部を有しない被めっき部材を例示しているが、通常は、被めっき部材のビア設置部以外の場所にカバー層を形成する必要があるため、上記図23(c)と同様にして、パターニングされたカバー層を形成する。また、カバー部を有するビア設置部を備えた被めっき部を形成する場合は、第一金属部101および第二金属部102を形成した後、上記図23(c)と同様にして、カバー部を形成することができる。この場合は、上記図21に示すような被めっき部材を得ることができる。
【0158】
次に、第二金属部103を覆うように、ドライフィルムレジストをラミネートし、露光現像を行うことにより、絶縁部を形成するためのレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンから露出する絶縁層102bをエッチング液によりエッチングし、レジストパターンを剥離することにより、絶縁層開口部102aを有する絶縁部102を形成する(図24(c))。
【0159】
次に、絶縁部102および第二金属部103を覆うように、ドライフィルムレジストをラミネートし、露光現像を行うことにより、薄肉部を形成するためのDFR部131を形成する(図24(d))。その後、DFR部131から露出する第二金属部103の表面をエッチング液によりエッチングし、薄肉部105を形成する(図24(e))。この際、上述した第二金属部103の突起部は、通常、消失する。これにより、DFR部131をマスク部とした被めっき部材210aを得ることができる。本発明においては、薄肉部105を形成する際に、通常、第一金属部101をエッチングせず、第二金属部103をエッチングする選択性エッチング液を用いる。選択性エッチング液については、上述した通りである。
【0160】
次に、上記方法により得られる被めっき部材について説明する。上記方法により得られる被めっき部材(図24(e)に示される被めっき部材210a)は、DFR部131の開口部131aの端部が、薄肉部105により形成される外側端部105aよりも内側に位置することとなる。これにより、DFR部131に突起部が形成され、突起部によるめっき厚の制御ができるからである。より具体的には、上記図20(d)に示すように、DFR部131の突起部が、めっきが成長する際のストッパーとして機能することで、めっき厚の制御が容易になる。また、DFR部131の突起部の形成方法としては、例えば、ドライフィルムレジストの露光現像条件を適宜する方法を挙げることができる。また、DFR部131の突起部の幅は、上記図17に示すカバー部106の突起部の幅Zと同様であることが好ましい。
【0161】
2.めっき工程
次に、本発明におけるめっき工程について説明する。本工程は、上記被めっき部材の第一金属部からの給電によってめっきを成長させることにより、上記ビア端子を形成する工程である。さらに、本発明においては、めっき工程の際に、上記薄肉部の頂部表面を上記ビア端子により覆い、かつ、上記ビア端子を上記ビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状とすることを一つの特徴とする。
【0162】
めっき浴の種類は、上記「E.回路基板」に記載した金属の種類に応じて、適宜選択することが好ましい。例えば、Niめっきからなるビア端子を形成する場合、用いられる電解Niめっき浴としては、例えば、ワット浴およびスルファミン酸浴等を挙げることができる。また、ビア端子をビア部(上記ビア端子を除く)から突出しない形状とするためには、通常、めっき条件(例えばめっき時間や印加電圧)を調整する必要がある。所望のめっき条件は、予備試験を繰り返すことにより、設定することができる。
【0163】
3.その他の工程
本発明において、上述したDFR部をマスク部として用いた場合、上述した被めっき部材形成工程およびめっき工程の後に、通常DFR部を剥離するDFR部剥離工程を有する。また、本発明においては、金めっき部形成工程等を有していても良く、その際、ビア端子の表面に金めっき部を形成しても良い。また、ビア部以外の回路基板の製造方法については、一般的な回路基板の製造方法と同様である。
【0164】
G.サスペンション用基板
次に、本発明のサスペンション用基板について説明する。本発明のサスペンション用基板は、上述した回路基板であることを特徴とするものである。
【0165】
本発明によれば、上述した回路基板をサスペンション用基板として用いることで、素子を実装した場合に、素子の傾きを防止でき、素子とサスペンション用基板との接続を良好に行うことができる。
【0166】
本発明のサスペンション用基板は、上記「E.回路基板」に記載した特徴を有し、所定のばね性を有するものであれば特に限定されるものではない。本発明のサスペンション用基板は、第一金属層がSUSであることが好ましく、絶縁層がポリイミド(PI)であることが好ましく、第二金属層がCuであることが好ましい。また、本発明のサスペンション用基板は、上述した素子を、素子実装領域に実装したものであっても良い。
【0167】
H.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
【0168】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、素子との接続性が良好なサスペンションとすることができる。
【0169】
本発明のサスペンションの具体例については、上述した図8に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、サスペンション用基板については、上記「G.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0170】
I.素子付サスペンション
次に、本発明の素子付サスペンションについて説明する。本発明の素子付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とするものである。
【0171】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、素子とサスペンションとの接続性が良好な素子付サスペンションとすることができる。
【0172】
本発明の素子付サスペンションの具体例については、磁気ヘッドを素子に変更したこと以外は、上述した図9に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、サスペンションについては、上記「H.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、素子については、上記「E.回路基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
【0173】
また、上記図15で説明したように、サスペンションおよび素子は、接着部を介して接着剤を用いて接着することができる。本発明に用いられる接着剤は、導電性接着剤であっても良く、非導電性接着剤であっても良いが、導電性接着剤であることが好ましい。また、本発明に用いられる接着剤は、熱硬化性接着剤であっても良い。
【0174】
J.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述した素子付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0175】
本発明によれば、上述した素子付サスペンションを用いることで、より高機能化されたハードディスクドライブとすることができる。
【0176】
本発明のサスペンションの具体例については、上述した図10に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、素子付サスペンションについては、上記「I.素子付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0177】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様
な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0178】
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0179】
[実施例1]
図6は本発明の磁気ヘッドサスペンションの第1の実施例を説明する説明図である。
図6(a)は本発明で使用するCu(銅)/PI(ポリイミド)/SUS(ステンレススチール)の3層材を示す。金属支持体1は厚み20μmのSUS304材、絶縁層2は厚さ10μmのポリイミド、配線層3は厚み9μmの電解銅であり、この順に積層された積層体を用いた。
図6(b)は配線層3上にDFR(ドライフィルムレジスト)8aを製版した状態を示す。DFRの標準的な条件でパターン露光、現像処理を行い、導体接続材を形成する開口の径が約70μmとなる様パターニングする。
図6(c)は塩化鉄エッチング液で配線層3をエッチングして開口を形成した状態を示す。
図6(d)は水酸化ナトリウム溶液にてDFRを剥膜した状態を示す。
図6(e)は配線層3上に2回目のDFR8aを製版した状態を示す。DFRの開口径は配線層3に形成した開口径より20um大きく設定する。
図6(f)は2回目のエッチングをした状態を示す。DFR製版で露出した開口周辺部
を硫酸と過酸化水素水を含むエッチング液で4.5μmの深さでエッチングし、凹部を形成する。エッチングは等方的に進行するためサイドエッチングが入って凹部が形成され、DFR開口の周囲はオーバーハング状態となる。
図6(g)は配線層3をマスクにして絶縁層2をエッチングして開口部7を形成した状態を示す。これにより金属支持体1の表面を露出した開口が得られる。
図6(h)はDFRを剥膜した状態を示す。
【0180】
図6(i)は配線層3にAuメッキ層9を形成した状態を示す。図3(h)の配線層3のみに給電して下地にNiメッキをした後、Auメッキ9で配線層を被覆する。次工程以降はAuメッキ層9も配線層3に含める。
図6(j)は導体接続材4となるNiメッキをするためにDFRを製版した状態を示す。DFRの開口は配線層表面5が露出しないよう開口内周が配線層3の凹部に位置するよう設定する。これにより導体接続材4は配線層表面5には接続せず配線層3の開口周辺部60と接続する。
図6(k)は導体接続材4をNiメッキで形成した状態を示す。Niメッキは金属支持体1に給電して行う。Niメッキは開口部7で露出した金属支持体1の表面に析出し、厚さが絶縁層2と等しくなった時点で配線層3と導通し、配線層3の露出面にもメッキが成長する。メッキの厚さは導体接続材表面6の高さが配線層表面5と等しくなるように設定する。
図6(l)はDFRを剥膜し導体接続材4の形成が完成した状態を示す。
【0181】
[実施例2]
図7は本発明の磁気ヘッドサスペンションの第2の実施例を説明する説明図である。
図7(a)は図6(h)と同じ状態の基材を示す。
図7(b)は導体接続材4となるCuメッキをするためにDFR8aを製版した状態を示す。DFRの開口は配線層表面5が露出しないよう開口内周が配線層3の凹部に位置するよう設定する。これにより導体接続材4は配線層表面5には接続せず配線層3の開口周辺部60と接続する。
図7(c)は導体接続材4をCuメッキで形成した状態を示す。Cuメッキは金属支持体1に給電して行う。Cuメッキは開口部7で露出した金属支持体1の表面に析出し、厚さが絶縁層2と等しくなった時点で配線層3と導通し、配線層3の露出面にもメッキが成長する。メッキの厚さは導体接続材表面6の高さが配線層表面5と等しくなるように設定する。
図7(d)はDFRを剥膜した状態を示す。
図7(e)は金属支持体1の下面にDFRによるマスキングをした状態を示す。
図7(f)は配線層3に金メッキ層9形成した状態を示す。
図7(g)はDFRによるマスキングを剥膜しCuメッキによる導体接続材4の形成が完成した状態を示す。
【0182】
[製造例]
まず、図23(a)に示す3層材を用意した。ここで、第一金属層101bは厚さ20μmのSUS304であり、絶縁層102bは厚さ10μmのポリイミド層であり、第二金属層103bは厚さ12μmの電解銅箔である。次に、図23(b)〜(d)に示すように、第二金属層103bのエッチング、ポリイミドからなるカバー部106の形成、絶縁層102bのエッチングを行い、図25に示すように、薄肉部を形成する前の被めっき部材201bを得た。絶縁層開口部102a、第二金属層開口部103a、開口部106aは、いずれも平面形状が円状の開口部であり、開口径は、それぞれ70μm、70μm、95μmであった。
【0183】
次に、薄肉部を形成する前の被めっき部材201bを用いて、薄肉部の形成を行った。具体的には、図23(d)に示すように、カバー部106から露出する第二金属部103を、下記条件でエッチングすることにより、薄肉部105を形成した。その結果を表1に示す。
<エッチング条件>
・処理液 :硫酸水素カリウム系溶液(150g/l)
:硫酸(10ml/l)
・液温 :30℃、25℃
・処理時間:1分、2分、3分、5分
【0184】
【表1】
【0185】
表1におけるt1は、図26に示すように、カバー部106の頂部から薄肉部105の頂部までの距離をいう。なお、薄肉部105の頂部には、最もエッチングされた部分の頂部を選択した。また、0分におけるt1はカバー部の厚さに相当する。さらに、1分、2分、3分、5分におけるt1の値と、0分におけるt1の値との差分から第二金属部103のエッチング量が算出され、そのエッチング量を処理時間で除することで、エッチング速度が算出される。表1に示されるように、30℃でのエッチング速度の平均値は1.73μm/minであり、25℃でのエッチング速度の平均値は0.77μm/minであった。このように、処理温度および処理時間を調整することで、所望の厚さを有する薄肉部を形成できることが確認された。
【0186】
[実施例3]
製造例に記載した処理温度30℃、処理時間2分の条件で薄肉部を形成した被めっき部材に、Niめっきからなるビア端子(グランド端子)を形成した。Niめっきは下記条件で行った。
<めっき条件>
・めっき浴:スルファミン酸Niめっき浴
・めっき方法:電解浸漬めっき(0.2A、14分)
【0187】
ビア端子を形成した後、図27に示すように、カバー部106の頂部からビア端子104の頂部までの距離t2を測定した。なお、ビア端子104の頂部には、最も厚い部分の頂部を選択した。24個のサンプルにおいて、t2の値を測定したところ、最大は6.94μmであり、最小は1.90μmであり、平均は4.07μmであった。いずれの場合においても、t2の値が負になること(ビア端子が突出すること)はなかった。
【0188】
また、得られたビア部の断面写真を図28に示す。図28に示すように、得られたビア部は、第一金属部と、絶縁部と、薄肉部を有する第二金属部と、カバー部と、ビア端子とを有している。さらに、ビア端子は、ビア部(ビア端子を除く)から突出しない形状であることが確認された。また、カバー部106が突起部を有することにより、ビア端子の厚さが制御されていることが確認された。
【符号の説明】
【0189】
1…金属支持体、2…絶縁層、3…配線層、3a、3b…金属層、4…導体接続材、5…配線層表面、6…導体接続材表面、7…開口部、8a…DFR、8b…フォトレジスト、9…金メッキ層、10…サスペンション基板、20…スライダー設置位置、30…サスペンション、31…ロードビーム、40…ヘッド付サスペンション、41…磁気ヘッドスライダー、50…ハードディスクドライブ、51…ディスク、52…スピンドルモータ、53…アーム、54…ボイスコイルモータ、55…密閉ケース、60…開口周辺部、61…開口内面部、62…開口により露出する金属支持体表面、63…開口周辺底部、X2…絶縁層2の厚み、X3…配線層3の厚み、Y…金属支持体の表面部62から導体接続材4の接続材表面6までの導体接続材の高さ、Z…配線層の層表面5と開口周辺底部63までの深さ、101…第一金属部、101b…第一金属層、102…絶縁部、102a…絶縁層開口部、102b…絶縁層、103…第二金属部、103a…第二金属層開口部、103b…第二金属層、104…ビア端子、105…薄肉部、105a…薄肉部の外側端部、106…カバー部、106a…カバー部の開口部、107…金めっき部、110…ビア部、110a…ビア設置部、111…配線部、115…接着部、120…素子、131…ドライフィルムレジスト部、131a…ドライフィルムレジスト部の開口部、201…素子実装領域、202…接続領域、203…配線、210…回路基板、210a…被めっき部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、該磁気ヘッドサスペンション用基板は前記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、該開口により露出する前記金属支持体の表面部と、前記配線層の前記開口内面部を接続し、前記配線層の層表面に接続部を持たない導体接続材を設けたことを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、該磁気ヘッドサスペンション用基板は前記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、該開口に接する配線層には他の配線層の表面より低く形成された開口周辺部を有し、前記開口により露出する前記金属支持体の表面部と、前記配線層を接続する導体接続材を設けたことを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項3】
前記開口周辺部は、エッチングにより他の配線層の表面より低く形成されることを特徴とする請求項2記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
前記配線層が2層の導体層により構成され、前記絶縁層と配線層を貫通する開口の配線層の開口は、前記2層の導体層の下層の開口と、該下層の開口より大きい上層の開口により形成されることにより、前記開口周辺部が他の配線層の表面より低く形成されることを特徴とする請求項2記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
前記導体接続材の高さは、前記配線層の層表面と同一もしくはそれ以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のサスペンション用基板。
【請求項6】
前記導体接続材と前記配線層の接続は、配線層の層表面より低い部分のみで行われていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項7】
前記導体接続材が金属メッキにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項8】
前記金属メッキがニッケルメッキであることを特徴とする請求項7記載のサスペンション用基板。
【請求項9】
前記導体接続材がグランド端子又は信号伝送端子であることを特徴とする請求項1乃至8記載のサスペンション用基板。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかの請求項に記載のサスペンション基板を用いたことを特徴とするサスペンション。
【請求項11】
請求項10に記載のサスペンションと、該サスペンション上に搭載された磁気ヘッドスライダーを有することを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項12】
請求項11記載のヘッド付サスペンションを用いたことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項13】
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された基材において、
該絶縁層と配線層を貫通する開口を形成し金属支持体表面を露出させる工程と、
前記配線層の層表面を露出させずに前記配線層の開口部を露出させるレジスト層を形成する工程と、
前記金属支持体から給電して金属メッキし、導体接続材を形成する工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【請求項14】
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層され、該絶縁層と配線層を開口し金属支持体表面を露出するように開口部を形成した配線付き基材を準備する工程と、
前記配線層の前記開口部周辺の高さを他の配線層よりも低くなるように形成する工程と、
前記開口及び開口周辺部に金属メッキすることで、金属支持体層と配線層を接続する導体接続材を形成する工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【請求項15】
前記開口部周辺の配線層の高さを他の配線層よりも低く形成する工程は、
前記配線層の開口部及び前記開口部周辺を除いてドライフィルムレジストを形成し、エッチングすることにより形成することを特徴とする請求項14記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項16】
前記導体接続材を形成する工程は、前記配線層の層表面を露出させずに前記配線層の開口部及び開口周辺部を露出させるレジスト層を形成するとともに、金属メッキを前記開口部及び配線層の開口周辺部まで形成することで、前記導体接続材の高さを配線層の高さと同一もしくはそれ以下になるように形成することを特徴とする請求項13乃至15いずれかに記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項17】
第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、
前記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、前記絶縁層の一部を構成し、前記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、前記第二金属層の一部を構成し、前記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、前記絶縁層開口部および前記第二金属層開口部を介して、前記第一金属部および前記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、
前記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板であって、
前記第二金属部は前記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部を有し、前記薄肉部の頂部表面は前記ビア端子により覆われ、
前記ビア端子が、前記ビア部(前記ビア端子を除く)から突出しない形状であることを特徴とする回路基板。
【請求項18】
前記ビア部は、前記第二金属部上に、前記ビア端子が露出するように形成された開口部を有するカバー部を備えていることを特徴とする請求項17に記載の回路基板。
【請求項19】
前記カバー部の開口部の端部は、前記薄肉部により形成される外側端部よりも内側に位置していることを特徴とする請求項18に記載の回路基板。
【請求項20】
請求項17から請求項19までのいずれかの請求項に記載の回路基板であることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項21】
請求項20に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
【請求項22】
請求項21に記載のサスペンションと、前記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
【請求項23】
請求項22に記載の素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項24】
第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、
前記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、前記絶縁層の一部を構成し、前記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、前記第二金属層の一部を構成し、前記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、前記絶縁層開口部および前記第二金属層開口部を介して、前記第一金属部および前記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、
前記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板の製造方法であって、
前記第一金属部、前記絶縁部および前記第二金属部を有し、前記第二金属部には前記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部が形成され、前記第二金属部上に前記ビア部を形成する際のめっきをマスクするマスク部を有するビア設置部を備えた被めっき部材を形成する被めっき部材形成工程と、
前記被めっき部材の第一金属部からの給電によってめっきを成長させることにより、前記ビア端子を形成するめっき工程と、を有し、
前記めっき工程の際に、前記薄肉部の頂部表面を前記ビア端子により覆い、かつ、前記ビア端子を前記ビア部(前記ビア端子を除く)から突出しない形状とすることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項25】
前記マスク部が、カバー部であることを特徴とする請求項24に記載の回路基板の製造方法。
【請求項26】
前記マスク部が、ドライフィルムレジスト部であることを特徴とする請求項24に記載の回路基板の製造方法。
【請求項1】
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、該磁気ヘッドサスペンション用基板は前記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、該開口により露出する前記金属支持体の表面部と、前記配線層の前記開口内面部を接続し、前記配線層の層表面に接続部を持たない導体接続材を設けたことを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された磁気ヘッドサスペンション用基板において、該磁気ヘッドサスペンション用基板は前記絶縁層と配線層を貫通する開口を有し、該開口に接する配線層には他の配線層の表面より低く形成された開口周辺部を有し、前記開口により露出する前記金属支持体の表面部と、前記配線層を接続する導体接続材を設けたことを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項3】
前記開口周辺部は、エッチングにより他の配線層の表面より低く形成されることを特徴とする請求項2記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
前記配線層が2層の導体層により構成され、前記絶縁層と配線層を貫通する開口の配線層の開口は、前記2層の導体層の下層の開口と、該下層の開口より大きい上層の開口により形成されることにより、前記開口周辺部が他の配線層の表面より低く形成されることを特徴とする請求項2記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
前記導体接続材の高さは、前記配線層の層表面と同一もしくはそれ以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のサスペンション用基板。
【請求項6】
前記導体接続材と前記配線層の接続は、配線層の層表面より低い部分のみで行われていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項7】
前記導体接続材が金属メッキにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のサスペンション用基板。
【請求項8】
前記金属メッキがニッケルメッキであることを特徴とする請求項7記載のサスペンション用基板。
【請求項9】
前記導体接続材がグランド端子又は信号伝送端子であることを特徴とする請求項1乃至8記載のサスペンション用基板。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかの請求項に記載のサスペンション基板を用いたことを特徴とするサスペンション。
【請求項11】
請求項10に記載のサスペンションと、該サスペンション上に搭載された磁気ヘッドスライダーを有することを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項12】
請求項11記載のヘッド付サスペンションを用いたことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項13】
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層された基材において、
該絶縁層と配線層を貫通する開口を形成し金属支持体表面を露出させる工程と、
前記配線層の層表面を露出させずに前記配線層の開口部を露出させるレジスト層を形成する工程と、
前記金属支持体から給電して金属メッキし、導体接続材を形成する工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【請求項14】
金属支持体上に絶縁層を介して配線層が積層され、該絶縁層と配線層を開口し金属支持体表面を露出するように開口部を形成した配線付き基材を準備する工程と、
前記配線層の前記開口部周辺の高さを他の配線層よりも低くなるように形成する工程と、
前記開口及び開口周辺部に金属メッキすることで、金属支持体層と配線層を接続する導体接続材を形成する工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【請求項15】
前記開口部周辺の配線層の高さを他の配線層よりも低く形成する工程は、
前記配線層の開口部及び前記開口部周辺を除いてドライフィルムレジストを形成し、エッチングすることにより形成することを特徴とする請求項14記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項16】
前記導体接続材を形成する工程は、前記配線層の層表面を露出させずに前記配線層の開口部及び開口周辺部を露出させるレジスト層を形成するとともに、金属メッキを前記開口部及び配線層の開口周辺部まで形成することで、前記導体接続材の高さを配線層の高さと同一もしくはそれ以下になるように形成することを特徴とする請求項13乃至15いずれかに記載のサスペンション用基板の製造方法。
【請求項17】
第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、
前記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、前記絶縁層の一部を構成し、前記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、前記第二金属層の一部を構成し、前記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、前記絶縁層開口部および前記第二金属層開口部を介して、前記第一金属部および前記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、
前記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板であって、
前記第二金属部は前記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部を有し、前記薄肉部の頂部表面は前記ビア端子により覆われ、
前記ビア端子が、前記ビア部(前記ビア端子を除く)から突出しない形状であることを特徴とする回路基板。
【請求項18】
前記ビア部は、前記第二金属部上に、前記ビア端子が露出するように形成された開口部を有するカバー部を備えていることを特徴とする請求項17に記載の回路基板。
【請求項19】
前記カバー部の開口部の端部は、前記薄肉部により形成される外側端部よりも内側に位置していることを特徴とする請求項18に記載の回路基板。
【請求項20】
請求項17から請求項19までのいずれかの請求項に記載の回路基板であることを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項21】
請求項20に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
【請求項22】
請求項21に記載のサスペンションと、前記サスペンションの素子実装領域に実装された素子と、を有することを特徴とする素子付サスペンション。
【請求項23】
請求項22に記載の素子付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項24】
第一金属層、絶縁層および第二金属層がこの順に積層された基本構造を備え、
前記第一金属層の一部を構成する第一金属部と、前記絶縁層の一部を構成し、前記第一金属部が露出するように形成された絶縁層開口部を有する絶縁部と、前記第二金属層の一部を構成し、前記絶縁層開口部から第一金属部が露出するように形成された第二金属層開口部を有する第二金属部と、前記絶縁層開口部および前記第二金属層開口部を介して、前記第一金属部および前記第二金属部を電気的に接続するめっきからなるビア端子とを有するビア部を備え、
前記ビア端子が素子を実装するための素子実装領域内またはその近傍に形成された回路基板の製造方法であって、
前記第一金属部、前記絶縁部および前記第二金属部を有し、前記第二金属部には前記第二金属層開口部の端部に沿って薄肉部が形成され、前記第二金属部上に前記ビア部を形成する際のめっきをマスクするマスク部を有するビア設置部を備えた被めっき部材を形成する被めっき部材形成工程と、
前記被めっき部材の第一金属部からの給電によってめっきを成長させることにより、前記ビア端子を形成するめっき工程と、を有し、
前記めっき工程の際に、前記薄肉部の頂部表面を前記ビア端子により覆い、かつ、前記ビア端子を前記ビア部(前記ビア端子を除く)から突出しない形状とすることを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項25】
前記マスク部が、カバー部であることを特徴とする請求項24に記載の回路基板の製造方法。
【請求項26】
前記マスク部が、ドライフィルムレジスト部であることを特徴とする請求項24に記載の回路基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2011−28829(P2011−28829A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134933(P2010−134933)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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