説明

磁気共鳴イメージング装置および画像補正評価方法

【課題】撮影領域に形成される静磁場の誤差分布が適切に推定されて静磁場の不均一性による画像歪みの補正が適切に行われたか否かを評価することが可能な磁気共鳴イメージング装置および画像補正評価方法である。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置20は、異なる複数の撮影条件を設定する撮影条件設定手段46と、複数の撮影条件に従って撮影領域から磁気共鳴信号を受信する受信手段と、磁気共鳴信号に基づいて複数の撮影条件に対応する複数の画像データを再構成する画像再構成手段42と、撮影領域の磁場分布に基づいて複数の画像データの歪みを補正する画像歪み補正手段45と、補正後の複数の画像データに基づいて少なくとも1つの画像データの補正が適切に行われたか否かを評価する画像補正評価手段47、48とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の原子核スピンをラーモア周波数のRF信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号から画像を再構成する磁気共鳴イメージング装置および画像補正評価方法に係り、特に磁場の不均一性による画像歪みの補正が適切に行われたか否かを評価することが可能な磁気共鳴イメージング装置および画像補正評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場におけるモニタリング装置として、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置が利用される。
【0003】
MRI装置は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石内部にセットされた被検体の撮像領域に傾斜磁場コイルでX軸、Y軸、Z軸方向の傾斜磁場を形成するとともにRF(Radio Frequency)コイルから高周波(RF)信号を送信することにより被検体内の原子核スピンを磁気的に共鳴させ、励起により生じた核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)信号を利用して被検体の画像を再構成する装置である。
【0004】
このようなMRI装置では、静磁場を形成する静磁場用磁石の性能限界や磁場中に被検体が入ることによる磁化率の変動によって、局所的に静磁場強度の均一性が乱されるという問題がある。静磁場強度の均一性が乱されると、再構成された画像に歪みが生じることが知られている。
【0005】
静磁場強度の不均一性の影響を特に強く受けるケースとしては、EPI(echo planar imaging)法による撮像を行う場合が挙げられる。EPI法は、一回の励起パルスで画像再構成のためのすべてのデータを取得する超高速スキャン法であり、シングルショットEPI法とも呼ばれる。EPI法による撮像は、例えば被検体の頭部の検査における脳梗塞などの描出の際に、被検体の体動や拍動の影響を避けるために行われるが、EPI法によって撮像された拡散強調画像は静磁場強度の不均一性の影響を強く受け、静磁場強度が十分に均一でないと再構成された画像に歪みが生じる。
【0006】
そこで、静磁場強度の不均一性による問題を解決する方法として、従来、静磁場強度の分布を推定し、推定して得られた静磁場強度の分布をもとに再構成された画像の位置および画像値を補正するという方法がとられている(例えば非特許文献1参照)。
【0007】
静磁場強度の均一性を乱し、再構成された画像に歪みをもたらす要因としては、傾斜磁場の誤差、静磁場用磁石単体による静磁場誤差および被検体が静磁場内に入ることによる静磁場の誤差の3つの要因がある。このため、静磁場の誤差は、傾斜磁場の誤差、静磁場用磁石単体による静磁場誤差および被検体が静磁場内に入ることによる静磁場の誤差の総和で定義することができる。
【0008】
さらに、静磁場の誤差から画像データの歪み量が画像空間の位置ごとに求められ、求められた画像データの歪み量に基づいて画像空間の位置ごとに画像値が補正される。すなわち、まず画像空間において、画像値が得られている3次元状の位置が、歪みがなかった場合の位置にシフトされる。しかし、シフトされた位置は、必ずしも本来あるべき格子点上とならないため、シフト後の各位置における複数の画像値から補間によって格子点上の画像値が求められる。
【非特許文献1】J.MICHIELS ET AL. "Geometric distortion in MRI for stereotactic neurosurgery" Magnetic Resonance Imaging, Volume 12,Nimber 5,1994,p.749-765
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来行われる静磁場強度の不均一性による画像歪みの補正においては、静磁場の各誤差要因に応じて静磁場の歪み量の分布を推定することが精度上重要である。特に静磁場内に入ることによる静磁場の誤差については、被検体が動くことによって変動するので、静磁場の誤差分布の推定値が誤差を持つ可能性がある。
【0010】
そして、静磁場の誤差分布が精度よく推定されないまま、静磁場の誤差分布に基づいて画像の補正が行われると、適切に画像歪みが改善されない恐れがある。このため、静磁場の誤差分布が精度よく推定されているか否か、あるいは静磁場の不均一性による画像歪みの補正が適切に行われたか否かを評価する技術の開発が望まれる。
【0011】
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、撮影領域に形成される静磁場の誤差分布が適切に推定されて静磁場の不均一性による画像歪みの補正が適切に行われたか否かを評価することが可能な磁気共鳴イメージング装置および画像補正評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、異なる複数の撮影条件を設定する撮影条件設定手段と、前記複数の撮影条件に従って撮影領域から磁気共鳴信号を受信する受信手段と、前記磁気共鳴信号に基づいて前記複数の撮影条件に対応する複数の画像データを再構成する画像再構成手段と、前記撮影領域の磁場分布に基づいて前記複数の画像データの歪みを補正する画像歪み補正手段と、補正後の複数の画像データに基づいて少なくとも1つの前記画像データの補正が適切に行われたか否かを評価する画像補正評価手段とを備えることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明に係る画像補正評価方法は、上述の目的を達成するために、請求項14に記載したように、異なる複数の撮影条件を設定するステップと、前記複数の撮影条件に従って撮影領域から磁気共鳴信号を受信するステップと、前記磁気共鳴信号に基づいて前記複数の撮影条件に対応する複数の画像データを再構成するステップと、前記撮影領域の磁場分布に基づいて前記複数の画像データの歪みを補正するステップと、補正後の複数の画像データに基づいて少なくとも1つの前記画像データの補正が適切に行われたか否かを評価するステップとを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置および画像補正評価方法においては、撮影領域に形成される静磁場の誤差分布が適切に推定されて静磁場の不均一性による画像歪みの補正が適切に行われたか否かを評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置および画像補正評価方法の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態を示す構成図である。
【0017】
磁気共鳴イメージング装置20は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石21、この静磁場用磁石21の内部に設けられたシムコイル22、傾斜磁場コイルユニット23およびRFコイル24を図示しないガントリに内蔵した構成である。
【0018】
また、磁気共鳴イメージング装置20には、制御系25が備えられる。制御系25は、静磁場電源26、傾斜磁場電源27、シムコイル電源28、送信器29、受信器30、シーケンスコントローラ31およびコンピュータ32を具備している。制御系25の傾斜磁場電源27は、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zで構成される。また、コンピュータ32には、入力装置33、表示装置34、演算装置35および記憶装置36が備えられる。
【0019】
静磁場用磁石21は静磁場電源26と接続され、静磁場電源26から供給された電流により撮像領域に静磁場を形成させる機能を有する。尚、静磁場用磁石21は超伝導コイルで構成される場合が多く、励磁の際に静磁場電源26と接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。また、静磁場用磁石21を永久磁石で構成し、静磁場電源26が設けられない場合もある。
【0020】
また、静磁場用磁石21の内側には、同軸上に筒状のシムコイル22が設けられる。シムコイル22はシムコイル電源28と接続され、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて静磁場が均一化されるように構成される。
【0021】
傾斜磁場コイルユニット23は、X軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zで構成され、静磁場用磁石21の内部において筒状に形成される。傾斜磁場コイルユニット23の内側には寝台37が設けられて撮像領域とされ、寝台37には被検体Pがセットされる。RFコイル24はガントリに内蔵されず、寝台37や被検体P近傍に設けられる場合もある。
【0022】
また、傾斜磁場コイルユニット23は、傾斜磁場電源27と接続される。傾斜磁場コイルユニット23のX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zはそれぞれ、傾斜磁場電源27のX軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zと接続される。
【0023】
そして、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zからそれぞれX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zに供給された電流により、撮像領域にそれぞれX軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzを形成することができるように構成される。
【0024】
RFコイル24は、送信器29および受信器30と接続される。RFコイル24は、送信器29からRF信号を受けて被検体Pに送信する機能と、被検体P内部の原子核スピンのRF信号による励起に伴って発生したMR信号を受信して受信器30に与える機能を有する。
【0025】
一方、制御系25のシーケンスコントローラ31は、傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30と接続される。シーケンスコントローラ31は傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源27に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したパルスシーケンスを記憶する機能と、記憶した所定のパルスシーケンスで規定される撮影条件に従って傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させることによりX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場GzおよびRF信号を発生させる機能を有する。
【0026】
また、シーケンスコントローラ31は、受信器30におけるMR信号の検波およびA/D変換により得られた複素データである生データ(raw data)を受けてコンピュータ32に与えるように構成される。
【0027】
このため、送信器29には、シーケンスコントローラ31から受けた制御情報に基づいてRF信号をRFコイル24に与える機能が備えられる一方、受信器30には、RFコイル24から受けたMR信号を検波して所要の信号処理を実行するとともにA/D変換することにより、デジタル化された複素データである生データを生成する機能と生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える機能とが備えられる。
【0028】
すなわち、静磁場用磁石21、シムコイル22、傾斜磁場コイルユニット23、RFコイル24並びに制御系25の各構成要素により、磁気共鳴イメージング装置20は、パルスシーケンスとして設定された各撮影条件に従って、静磁場中の被検体Pに対して傾斜磁場の印加およびRF信号の送信を行なう一方、被検体P内部におけるRF信号による原子核の核磁気共鳴に伴って発生したMR信号を受信し、デジタル化することにより生データを生成する。
【0029】
また、コンピュータ32の記憶装置36に保存されたプログラムを演算装置35で実行することにより、コンピュータ32には各種機能が備えられる。ただし、プログラムによらず、特定の回路を設けてコンピュータ32を構成してもよい。
【0030】
図2は、図1に示す磁気共鳴イメージング装置20におけるコンピュータ32の機能ブロック図である。
【0031】
コンピュータ32は、画像補正評価プログラムによりシーケンスコントローラ制御部40、生データデータベース41、画像再構成部42、画像データデータベース43、静磁場分布データベース44、画像歪み補正部45、撮影条件設定部46、画像補正評価手段の一例としての相互相関計算部47、画像補正評価手段の一例としての信号強度比較部48、磁場分布計算部49およびフィードバック部50として機能する。フィードバック部50は、近似曲線次数変更部50A、再補正指示部50Bおよびシミング実行部50Cを備えている。
【0032】
シーケンスコントローラ制御部40は、入力装置33またはその他の構成要素からの情報に基づいてシーケンスコントローラ31に所要のパルスシーケンスを与えることにより駆動制御させる機能と、シーケンスコントローラ31から生データを受けて生データデータベース41に形成されたk空間(フーリエ空間)に配置する機能とを有する。
【0033】
撮影条件設定部46は、パルスシーケンスを生成することにより撮影条件を設定する機能と、生成したパルスシーケンスをシーケンスコントローラ制御部40に与える機能とを有する。ここで、撮影条件設定部46には、静磁場分布測定用のプリスキャンの実行のためのパルスシーケンスを生成する他、位相エンコード(PE)方向、リードアウト(RO)方向およびスライスエンコード(SE)方向の少なくとも1方向の傾斜磁場の極性を反転させて、複数通りの撮影条件によりスキャンが実行されるように複数通りのパルスシーケンスを生成する機能が備えられる。
【0034】
つまり、撮影条件設定部46は、画素値(または信号強度。以下同様。)の値の差が十分に得られるような複数の画像を撮影するための画像収集(イメージング)用の撮影条件を設定することができるように構成される。ここで、画素値(または信号強度)の差とは、複数の画像間で対応する位置における差である。十分な画素値の差を有する複数の画像を撮影するための撮影条件は、傾斜磁場の極性を反転させることにより容易に設定することができる。
【0035】
この他、T1(縦)緩和時間やT2(横)緩和時間等の緩和時間Tが異なる複数の撮影条件や、FE(field echo)法やSE(spin echo)法等のイメージング法が異なる複数の撮影条件を設定することによっても、対応する位置において十分な画素値や信号値の差を得ることができる。
【0036】
従って、十分な画素値の差を有する複数の画像を撮影するための撮影条件が設定されれば、傾斜磁場の極性を反転させる方法以外の方法により撮影条件を設定することも可能であるが、以下では、傾斜磁場の極性を反転させて複数の撮影条件を設定する場合について説明する。
【0037】
尚、撮影条件として設定される画像収集用のパルスシーケンスとしては、例えばEPIシーケンスが挙げられる。EPIシーケンスによる撮影では、静磁場強度の不均一性の影響を特に強く受けることが知られている。
【0038】
このため、生データデータベース41には、撮影条件設定部46により設定された複数通りの撮影条件のスキャンの実行によって受信器30において生成された各生データが保存され、生データデータベース41に形成されたk空間に各生データがそれぞれ撮影条件ごとに配置される。また、静磁場分布測定用のプリスキャンが実行された場合には、静磁場分布測定用の生データが保存される。
【0039】
画像再構成部42は、生データデータベース41から生データを取り込んでフーリエ変換処理や最大値投影処理等の所定の画像再構成処理を施すことにより、被検体Pの画像データを再構成する機能と、得られた画像データを画像データデータベース43に書き込む機能とを有する。ただし、診断時以外には、被検体P以外の例えばファントムの画像データを再構成するようにしてもよい。
【0040】
このため、画像データデータベース43には、撮影条件ごとの被検体Pやファントムの画像データが保存される。
【0041】
静磁場分布データベース44には、予め静磁場分布が計測あるいは求められて保存される。静磁場分布データベース44には、磁場分布計算部49によって求められた静磁場分布を保存することもできる。
【0042】
画像歪み補正部45は、画像データデータベース43に保存された撮影条件ごとの被検体Pやファントムの画像データの歪みを静磁場分布データベース44から読み込んだ静磁場分布に基づいてそれぞれ補正する機能と、補正後の各画像データを相互相関計算部47および信号強度比較部48にそれぞれ与える機能とを有する。
【0043】
相互相関計算部47は、複数通りの撮影条件によって得られた補正後の画像データを画像歪み補正部45から受けて、複数の画像データ間の相互相関係数を求める機能と、求められた相互相関係数に基づいて画像データの補正が適切に行われたか否かを評価する画像補正評価手段としての機能とを有する。また、必要に応じて相互相関計算部47には、求められた複数の画像データ間の相互相関係数や画像データの補正が適切に行われたか否かの評価結果を表示装置34に与えることにより表示させる機能が備えられる。
【0044】
補正が適切であるか否かの評価方法としては、例えば、画像データ間の相互相関係数を予め設定された相互相関係数の閾値と比較し、相互相関係数が閾値以上または閾値を超える値である場合には補正が適切に行われたと評価する一方、相互相関係数が閾値未満または閾値以下である場合には補正が適切に行われていないと評価する方法が挙げられる。
【0045】
そして、相互相関計算部47は、補正が適切でないと判定した場合には、フィードバック部50に補正を適正化するようにフィードバック指示を与えるように構成される。このとき、補正が適切でないと判定される領域が局所的である場合には、補正が適切でないと判定される領域も相互相関計算部47からフィードバック部50に通知されるように構成される。また、必要に応じて相互相関係数の閾値からの乖離量も相互相関計算部47からフィードバック部50に通知されるように構成される。
【0046】
信号強度比較部48は、複数通りの撮影条件によって得られた補正後の画像データを画像歪み補正部45から受けて、複数の画像データ間でピクセルごとに信号強度を比較する機能と、信号強度の比較結果にに基づいて画像データの補正が適切に行われたか否かを評価する画像補正評価手段としての機能とを有する。また、必要に応じて信号強度比較部48には、複数の画像データ間における信号強度の比較結果や画像データの補正が適切に行われたか否かの評価結果を表示装置34に与えることにより表示させる機能が備えられる。
【0047】
補正が適切であるか否かの評価方法としては、例えば、画像データ間の信号強度の差分値を予め設定された信号強度の差分値の閾値と比較し、信号強度の差分値が閾値以上または閾値を超える値である場合には補正が適切に行われていないと評価する一方、信号強度の差分値が閾値未満または閾値以下である場合には補正が適切に行われたと評価する方法が挙げられる。
【0048】
そして、信号強度比較部48は、補正が適切でないと判定した場合には、フィードバック部50に補正を適正化するようにフィードバック指示を与えるように構成される。このとき、補正が適切でないと判定される領域が局所的である場合には、補正が適切でないと判定される領域も信号強度比較部48からフィードバック部50に通知されるように構成される。また、必要に応じて信号強度の差分値の閾値からの乖離量も信号強度比較部48からフィードバック部50に通知されるように構成される。
【0049】
磁場分布計算部49は、任意の方法により静磁場の分布を推定する機能と、推定して得られた静磁場分布データを静磁場分布データベース44に書き込む機能とを有する。静磁場の分布の推定には、必要に応じて生データデータベース41に保存された静磁場分布測定用の生データが参照される。さらに、傾斜磁場を測定するための傾斜磁場測定コイル51を撮影領域近傍に設けて、傾斜磁場測定コイル51による傾斜磁場の測定結果を読み込んで参照するように構成することもできる。
【0050】
磁場分布計算部49により推定される静磁場分布データは、望ましくは、位置ごとの静磁場の値に基づいて位置と静磁場の値を関連付けた任意の次数の近似曲線として求められる。近似曲線を求める際には、測定あるいは設計シミュレーションにより求められた静磁場の誤差データが参照される。このように、静磁場分布データを近似曲線で表せば、補正すべき点がいかなる位置であってもその点の誤差を求めることができる。
【0051】
ただし、磁場分布計算部49により推定される静磁場分布データを近似曲線とせずに、位置ごとの静磁場の値としてもよい。
【0052】
フィードバック部50は、相互相関計算部47および信号強度比較部48による補正の評価結果を任意の方法でフィードバックさせる機能を有する。すなわち、フィードバック部50は、相互相関計算部47または信号強度比較部48からフィードバック指示を受けた場合に、近似曲線次数変更部50A、再補正指示部50Bおよびシミング実行部50Cの少なくとも1つを用いて、補正を適正化させるように構成される。
【0053】
近似曲線次数変更部50Aは、相互相関計算部47または信号強度比較部48からフィードバック指示を受けた場合に、静磁場分布データとして静磁場分布データベース44に保存された近似曲線の次数を増加させる指示を磁場分布計算部49に与える機能と、磁場分布計算部49により新たに得られた静磁場分布データを用いて画像データの補正を実行するように画像歪み補正部45に指示を与える機能とを有する。つまり、静磁場分布データの近似曲線の次数を増加させると、静磁場分布の近似精度が向上し、その結果、静磁場分布データに基づく画像の歪み補正の精度が向上すると考えられる。
【0054】
そこで、近似曲線次数変更部50Aは、磁場分布計算部49に近似曲線の次数を増加させる指示を与えることにより、静磁場分布データの再計算を行わせ、静磁場分布データベース44に保存される静磁場分布データの精度を向上させる。そして、近似曲線次数変更部50Aは、精度が向上された静磁場分布を用いて再度、画像データの歪み補正を実施するように画像歪み補正部45に指示を与えるように構成される。
【0055】
ただし、画像データの歪み補正が適切でないと判定される領域が局所的である場合には、処理量を低減させるために、画像データの歪み補正が適切でないと判定された領域に限定して静磁場分布データの精度を向上させるようにすることもできる。
【0056】
再補正指示部50Bは、相互相関計算部47または信号強度比較部48からフィードバック指示を受けた場合に、画像歪み補正部45に補正に用いた静磁場分布データの値をある方向に変化させて再度画像データの補正を行うように指示する機能と、静磁場分布データを変化させる方向が、補正が改善される方向であるか否かを判定する機能を有する。
【0057】
静磁場分布データを変化させる方向が、補正が改善される方向であるか否かの判定は、画像歪み補正部45による再補正により、相互相関係数または信号強度の差分値のそれぞれの閾値に対する乖離量が低減されたか否かを判定することにより行うことができる。そして、乖離量が低減されていれば、再度静磁場分布データを同じ方向に変化させる一方、乖離量が増加していれば静磁場分布データを逆方向に変化させて再度画像データの補正を行うように画像歪み補正部45に指示することができる。また、再度静磁場分布データを変化させる量を次第に小さくしていくことで、静磁場分布データを最適化することができる。
【0058】
つまり、静磁場分布データをある方向に変化させて再度画像データの補正を実施し、補正の評価結果が改善されるようであれば、補正が適切であると判定されるまで繰り返し、静磁場分布データの変化および画像データの補正を行うという収束計算により、画像データの補正適正化を図ることができる。また、再補正の評価結果が改善されない場合には、静磁場分布データの変化方向を逆方向に変えて、再補正の評価が試みられる。そして、このような集束方向の判定および集束計算を繰返し行えば、相互相関係数または信号強度の差分値が閾値内となり、補正が適切に行われたと判定されるものと考えられる。
【0059】
ただし、画像データの歪み補正が適切でないと判定される領域が局所的である場合には、処理量を低減させるために、画像データの歪み補正が適切でないと判定された領域に限定して静磁場分布データを変化させるようにすることもできる。
【0060】
シミング実行部50Cは、相互相関計算部47または信号強度比較部48からフィードバック指示を受けた場合に、シムコイル電源28に制御信号を与えることにより、シミングを実施させる機能を有する。すなわち、シムコイル電源28からシムコイル22に出力される電流または電圧を制御することにより、シミング条件を変化させ、静磁場分布の均一性を向上させることができる。
【0061】
静磁場分布の均一性が向上すると、画像データの補正精度も向上するため、補正の適切化を図ることができる。尚、シミング条件の調整の際には、予めシミング条件と静磁場分布の均一性を関連付けたシミング条件テーブルを参照することができる。このシミング条件テーブルは、必要に応じてシミング実行部50Cに保存されるか参照できるように構成される。
【0062】
次に磁気共鳴イメージング装置20の動作について説明する。
【0063】
図3は、図1に示す磁気共鳴イメージング装置20により、静磁場の不均一性による画像歪みの補正が適切に行われたか否かを評価する際の流れの一例を示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0064】
まずステップS1において、予め任意の方法により静磁場の誤差分布が推定されて静磁場分布データベース44に保存される。静磁場の誤差分布は計測してもよい。
【0065】
静磁場の誤差分布の推定手法の一例としては、静磁場の誤差の発生要因を傾斜磁場の誤差、静磁場用磁石21単体による静磁場誤差および被検体Pが静磁場内に入ることによる静磁場の誤差の3つの要因に分類し、各要因による静磁場の誤差をそれぞれ推定した後、加算する方法がある。
【0066】
第1の要因である傾斜磁場の誤差は、理想的には線形であるべき傾斜磁場の線形からの誤差により生じるものである。傾斜磁場の誤差に基づく静磁場の歪み量は、傾斜磁場の強度とは独立して決定される。
【0067】
撮影領域におけるガントリ座標系の任意の点の座標をx、y、zとすると、傾斜磁場の誤差は、x,y,z方向の各チャンネルにおいて勾配を有する3次元状の分布となる。そして、理想的な線形の傾斜磁場の強度をGx,Gy,Gzとして、x,y,z方向の各チャンネルにおける傾斜磁場の誤差の割合GxErrorRatio(x,y,z)、GyErrorRatio(x,y,z)、GzErrorRatio(x,y,z)を、式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)のように表すと、ΔGx(x,y,z)、ΔGy(x,y,z)、ΔGz(x,y,z)は、x,y,z方向の各チャンネルにおける傾斜磁場の誤差量を意味することになる。
【0068】
[数1]
GxErrorRatio(x,y,z)=ΔGx(x,y,z)/Gx…(1−1)
GyErrorRatio(x,y,z)=ΔGy(x,y,z)/Gy…(1−2)
GzErrorRatio(x,y,z)=ΔGz(x,y,z)/Gz…(1−3)
【0069】
さらに、傾斜磁場の誤差量ΔGx(x,y,z)、ΔGy(x,y,z)、ΔGz(x,y,z)と、ガントリ座標系の座標x、y、zとからx,y,z方向の各チャンネルにおける傾斜磁場の誤差に起因する静磁場の誤差分布ΔBgradx(x,y,z)、ΔBgrady(x,y,z)、ΔBgradz(x,y,z)を式(2−1)、式(2−2)、式(2−3)のように推定することができる。
【0070】
[数2]
ΔBgradx(x,y,z)=ΔGx(x,y,z)×x …(2−1)
ΔBgrady(x,y,z)=ΔGy(x,y,z)×y …(2−2)
ΔBgradz(x,y,z)=ΔGz(x,y,z)×z …(2−3)
【0071】
また、第2の要因である静磁場用磁石21単体による静磁場誤差は、理想的な静磁場の強度からの実際の静磁場の強度の誤差により生じるものである。静磁場用磁石21単体による静磁場誤差は、撮像視野(FOV:field of view)が大きくなると急激に悪化するという性質がある。また、静磁場用磁石21単体による静磁場誤差は、傾斜磁場の強度に依存する一方、静磁場中における被検体Pの形状や有無からは独立している。
【0072】
また、第3の要因である被検体Pが静磁場内に入ることによる静磁場の誤差は、被検体Pが静磁場内に入ることで磁化率に違いが生じた結果、生じる静磁場の誤差分である。被検体Pが静磁場内に入ることによる静磁場の誤差は、傾斜磁場の強度に依存し、かつ静磁場中における被検体Pの形状や有無にも依存する。
【0073】
そして、静磁場の誤差分布は、第1、第2、第3の各要因による静磁場の誤差成分の和として定義することができる。すなわち、ガントリ座標系の座標x、y、zにおける静磁場の誤差をΔBox(x,y,z)、ΔBoy(x,y,z)、ΔBoz(x,y,z)、傾斜磁場に起因する誤差成分をΔBgradx(x,y,z)、ΔBgrady(x,y,z)、ΔBgradz(x,y,z)、静磁場用磁石21単体による静磁場誤差をΔBmag(x,y,z)、被検体Pが静磁場内に入ることによる静磁場の誤差をΔBobj(x,y,z)とすると、式(3−1)、式(3−2)、式(3−3)のように表すことができる。
【0074】
[数3]
ΔBox(x,y,z)=ΔBgradx(x,y,z)+ΔBmag(x,y,z)+ΔBobj(x,y,z) …(3−1)
ΔBoy(x,y,z)=ΔBgrady(x,y,z)+ΔBmag(x,y,z)+ΔBobj(x,y,z) …(3−2)
ΔBoz(x,y,z)=ΔBgradz(x,y,z)+ΔBmag(x,y,z)+ΔBobj(x,y,z) …(3−3)
【0075】
従って、式(3−1)、式(3−2)、式(3−3)からガントリ座標系のx、y、z方向の静磁場の歪み量ΔX、ΔY,ΔZは、式(4−1)、式(4−2)、式(4−3)のように求めることができる。
【0076】
[数4]
ΔX=ΔBox(x,y,z)/Gx
=GxErrorRatio(x,y,z)×x+{ΔBmag(x,y,z)+ΔBobj(x,y,z)}/Gx …(4−1)
ΔY=ΔBoy(x,y,z)/Gy
=GyErrorRatio(x,y,z)×y+{ΔBmag(x,y,z)+ΔBobj(x,y,z)}/Gy …(4−2)
ΔZ=ΔBoz(x,y,z)/Gz
=GzErrorRatio(x,y,z)×z+{ΔBmag(x,y,z)+ΔBobj(x,y,z)}/Gz …(4−3)
【0077】
式(4−1)、式(4−2)、式(4−3)において、{ΔBmag(x,y,z)+ΔBobj(x,y,z)}の値は、イメージング用のスキャンに先立って静磁場分布測定用のプリスキャンを実行することにより求めることができる。イメージング用のスキャンがEPIシーケンスによるスキャンである場合には、静磁場分布測定用のプリスキャンをEPIシーケンスの受信ゲイン調整や傾斜磁場の遅れ時間調整のためのプリスキャンとともに実行することができる。
【0078】
すなわち、静磁場分布測定用のプリスキャンの実行により設定されたスライス面内の静磁場分布(中心周波数からのずれを位相で表した分布図)を測定するためのデータを収集することができる。この場合、静磁場分布測定用のプリスキャンの実行の際における面内分解能はイメージング用のスキャンの実行の際における面内分解能よりも粗くすることができる。
【0079】
静磁場分布測定用のプリスキャンの一例としては、FieldEcho法によりエコー時間(TE:echo time)を変えて2つの画像データを収集するものが挙げられる。そして、式(5)に示すように、静磁場分布測定用のプリスキャンにより収集された各画像データのピクセルごとの位相差Δθ(x,y,z)から{ΔBmag(x,y,z)+ΔBobj(x,y,z)}の値を求めることができる。
【0080】
[数5]
Δθ(x,y,z)=(TE1−TE2)×{ΔBmag(x,y,z)+ΔBobj(x,y,z)} …(5)
但し、式(5)において、TE1、TE2は、それぞれ互いに異なるTEである。
【0081】
つまり、TEを変えて収集された画像データを差分することで、静磁場の誤差ΔBox(x,y,z)、ΔBoy(x,y,z)、ΔBoz(x,y,z)のうちΔBgradx(x,y,z)、ΔBgrady(x,y,z)、ΔBgradz(x,y,z)の項がキャンセルされる。
【0082】
従って、傾斜磁場の誤差に起因する静磁場の誤差分布ΔBgrad.x(x,y,z)、ΔBgrad.y(x,y,z)、ΔBgrad.z(x,y,z)を求めることができれば、式(3−1),式(3−2)、式(3−3)および式(4−1),式(4−2)、式(4−3)から静磁場の誤差ΔBox(x,y,z)、ΔBoy(x,y,z)、ΔBoz(x,y,z)および静磁場の歪み量ΔX、ΔY,ΔZを求めることができる。
【0083】
傾斜磁場の誤差に起因する静磁場の誤差分布ΔBgrad.x(x,y,z)、ΔBgrad.y(x,y,z)、ΔBgrad.z(x,y,z)は、例えば傾斜磁場測定コイル51により測定することができる。
【0084】
そこで、傾斜磁場の誤差に起因する静磁場の誤差分布ΔBgrad.x(x,y,z)、ΔBgrad.y(x,y,z)、ΔBgrad.z(x,y,z)が傾斜磁場測定コイル51により測定されて磁場分布計算部49に与えられる。
【0085】
一方、撮影条件設定部46により静磁場分布測定用のプリスキャンのためのパルスシーケンスが生成されてシーケンスコントローラ制御部40に与えられる。このため、シーケンスコントローラ制御部40は、入力装置33またはその他の構成要素からの情報に基づいてシーケンスコントローラ31に静磁場分布測定用のパルスシーケンスを与えることにより静磁場分布測定用のプリスキャンを実行させる。
【0086】
すなわち、予め寝台37に被検体Pあるいはファントムがセットされ、静磁場電源26により励磁された静磁場用磁石21(超伝導磁石)の撮像領域に静磁場が形成される。また、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて撮像領域に形成された静磁場が均一化される。
【0087】
さらに、シーケンスコントローラ31は、シーケンスコントローラ制御部40から受けた静磁場分布測定用のパルスシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させることにより被検体Pあるいはファントムがセットされた撮像領域にX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場Gzを形成させるとともに、RF信号を発生させる。
【0088】
このため、送信器29からパルスシーケンスに応じてRFコイル24にRF信号が与えられ、RFコイル24から被検体PにRF信号が送信される。RF信号が被検体Pに送信されると、被検体Pの内部において原子核の核磁気共鳴により生じたMR信号が、RFコイル24により受信されて受信器30に与えられる。受信器30は、RFコイル24からMR信号を受けて、前置増幅、中間周波変換、位相検波、低周波増幅、フィルタリング等の各種信号処理を実行する。さらに、受信器30は、MR信号をA/D変換することにより、デジタルデータのMR信号である生データを生成する。そして、受信器30は、生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える。
【0089】
シーケンスコントローラ31は、受信器30から受けた生データをシーケンスコントローラ制御部40に与え、シーケンスコントローラ制御部40は生データデータベース41に生データを入力する。このようにして、例えばTEを変えたFieldEcho法による2回に亘る静磁場分布測定用のプリスキャンが実行され、生データデータベース41には、静磁場分布測定用のプリスキャンにより収集された生データが蓄積される。
【0090】
そして、磁場分布計算部49は、静磁場分布測定用のプリスキャンの実行により収集された生データを生データデータベース41から読み込む一方、傾斜磁場測定コイル51から傾斜磁場の誤差に起因する静磁場の誤差分布ΔBgrad.x(x,y,z)、ΔBgrad.y(x,y,z)、ΔBgrad.z(x,y,z)を受けて、例えば式(3−1),式(3−2)、式(3−3)、式(4−1),式(4−2)、式(4−3)および式(5)により静磁場の誤差ΔBox(x,y,z)、ΔBoy(x,y,z)、ΔBoz(x,y,z)および静磁場の歪み量ΔX、ΔY,ΔZを求める。
【0091】
さらに、磁場分布計算部49は、求められた静磁場の歪み量ΔX、ΔY,ΔZを静磁場分布データとして静磁場分布データベース44に書き込む。
【0092】
尚、傾斜磁場の誤差に起因する静磁場の誤差分布ΔBgrad.x(x,y,z)、ΔBgrad.y(x,y,z)、ΔBgrad.z(x,y,z)は、傾斜磁場測定コイル51による測定の他、例えば系を模擬した磁場モデルを用いてシミュレーションによる計算で求めることもできる。
【0093】
次に、ステップS2において、撮影条件設定部46により被検体Pの画像収集用のパルスシーケンスが生成されることにより、撮影条件が設定される。このとき、生成される画像収集用のパルスシーケンスは、PE方向、RO方向およびSE方向の少なくとも1方向の傾斜磁場の極性を反転させて、例えば2通りの撮影条件によりスキャンが実行されるような2通りのパルスシーケンスとされる。
【0094】
生成される画像収集用のパルスシーケンスの例としては、前述のようにEPIシーケンスが挙げられる。
【0095】
図4は、図1に示す磁気共鳴イメージング装置20により静磁場の不均一性による画像歪みの補正が適切に行われたか否かを評価するために生成されるパルスシーケンスの一例を示す図である。
【0096】
図4において、SE1、RO1、PE1は、それぞれSE方向、RO方向およびPE方向の傾斜磁場を規定する第1のパルスシーケンスであり、SE2、RO2、PE2は、それぞれSE方向、RO方向およびPE方向の傾斜磁場を規定する第2のパルスシーケンスである。図4に示すように、例えばPE方向およびRO方向の2方向の傾斜磁場の極性を互いに反転させて、2通りの撮影条件によりスキャンが実行されるような第1、第2の2通りのパルスシーケンスが撮影条件設定部46により生成される。
【0097】
そして、撮影条件設定部46により生成された2通りのパルスシーケンスは、シーケンスコントローラ制御部40に与える。
【0098】
次に、ステップS3において、撮影条件設定部46により設定された2つの撮影条件に従ってスキャンが実行され、画像データが再構成される。すなわち、シーケンスコントローラ制御部40は、入力装置33またはその他の構成要素からの情報に基づいてシーケンスコントローラ31に画像収集用の2つのパルスシーケンスを与えることにより画像収集用のスキャンを実行させる。
【0099】
この結果、傾斜磁場の極性を互いに反転させて得られた各生データが、生データデータベース41に形成されたk空間に撮影条件ごとにそれぞれ配置される。
【0100】
さらに、画像再構成部42は、生データデータベース41から各生データを取り込んでフーリエ変換処理等の所定の画像再構成処理をそれぞれ施すことにより、2つの画像データを再構成する。このようにして得られた各画像データは、傾斜磁場を反転させて収集された生データから再構成されたため、互いに歪み方が異なる画像データとなる。そして、各画像データは画像データデータベース43に書き込まれて保存される。
【0101】
次に、ステップS4において、画像データデータベース43に保存された歪み方の異なる各画像データが画像歪み補正部45に読み込まれて、それぞれ静磁場分布データベース44に保存された静磁場分布に基づく各画像データの歪みの補正が行われる。
【0102】
図5は、図1に示す磁気共鳴イメージング装置20により静磁場分布に基づいて画像データを補正する際の方法の一例を示す説明図である。
【0103】
まず、静磁場分布から各画像データの歪み量が画像空間の位置ごとに求められる。例えばx方向のみに無視できない歪が存在する場合には、x方向の歪み量Δxが求められる。そして、歪み量Δxに基づいて、例えば歪み後の2点の座標(X,Y,Z)、(X,Y,Z)におけるそれぞれの画像値P(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)が歪み前における各座標(X’,Y’,Z’)、(X’,Y’,Z’)における画像値P(X’,Y’,Z’)、P(X’,Y’,Z’)とされる。つまり、x方向に歪み量Δxだけ画像値P(X,Y,Z)、P(X,Y,Z)の位置(X,Y,Z)、(X,Y,Z)がシフトされる。
【0104】
さらに、本来あるべき格子点の座標(x,y,z)における画像値P(x,y,z)が、格子点の座標(x,y,z)近傍の位置(X’,Y’,Z’)、(X’,Y’,Z’)における画像値P(X’,Y’,Z’)、P(X’,Y’,Z’)から補間によって画像空間の位置ごとに求められる。このとき通常、補間にはcubic spline以上の関数が用いられ、Linearではボケが大きく不十分であると考えられる。
【0105】
そして、このようにして画像歪み補正部45により得られた補正後の2つの各画像データは相互相関計算部47および信号強度比較部48にそれぞれ与えられる。
【0106】
次に、ステップS5において、相互相関計算部47は、傾斜磁場を反転させた2つの撮影条件によって得られた補正後の画像データ間の相互相関係数を求め、求められた相互相関係数に基づいて画像データの補正が適切に行われたか否かを評価する。
【0107】
つまり、2つの画像データの収集条件は、傾斜磁場の極性の向きが互いに反転していることを除けば実質的に同一であるため、画像データの歪みの補正が適切に行われている程、より各画像データ上の物体の形状が一致し、2つの画像データ間における相互相関が強くなって相互相関係数が大きくなると考えられる。逆に、画像データの歪みの補正が適切に行われていない場合には、2つの画像データ間における相互相関が弱くなって相互相関係数が小さくなると考えられる。
【0108】
そこで、相互相関計算部47は、2つの画像データ間の相互相関係数を予め設定された閾値と比較し、相互相関係数が閾値以上または閾値を超える値である場合には補正が適切に行われたと評価する一方、相互相関係数が閾値未満または閾値以下である場合には補正が適切に行われていないと評価する。
【0109】
また、必要に応じて相互相関計算部47は、求められた2つの画像データ間の相互相関係数や画像データの補正が適切に行われたか否かの評価結果を表示装置34に与えて表示させる。このため、ユーザは、画像データの補正が適切に行われたか否かを容易に把握することができる。
【0110】
また、ステップS6において、信号強度比較部48は、傾斜磁場を反転させた2つの撮影条件によって得られた補正後の画像データ間でピクセルごとに信号強度を比較し、信号強度の比較結果に基づいて画像データの補正が適切に行われたか否かを評価する。
【0111】
つまり、前述のように2つの画像データの収集条件は、傾斜磁場の極性の向きが互いに反転していることを除けば実質的に同一であるため、画像データの歪みの補正が適切に行われている程、より各画像データ上の物体の形状が一致し、2つの画像データ間における信号強度の差分が小さくなると考えられる。逆に、画像データの歪みの補正が適切に行われていない場合には、2つの画像データ間における信号強度の差分が大きくなると考えられる。
【0112】
そこで、信号強度比較部48は、2つの画像データ間の信号強度の差分値を予め設定された閾値と比較し、信号強度の差分値が閾値以上または閾値を超える値である場合には補正が適切に行われていないと評価する一方、信号強度の差分値が閾値未満または閾値以下である場合には補正が適切に行われたと評価する。
【0113】
また、必要に応じて信号強度比較部48は、求められた2つの画像データ間の信号強度の差分値や画像データの補正が適切に行われたか否かの評価結果を表示装置34に与えて表示させる。このため、ユーザは、画像データの補正が適切に行われたか否かを容易に把握することができる。
【0114】
次に、ステップS7において、画像データの補正が適切に行われていないと相互相関計算部47および信号強度比較部48の少なくとも一方により判定されると、相互相関計算部47および/または信号強度比較部48から、フィードバック部50に補正を適正化するようにフィードバック指示が与えられる。
【0115】
このとき、補正が適切でないと判定される領域が局所的である場合には、補正が適切でないと判定される領域も相互相関計算部47および/または信号強度比較部48からフィードバック部50に通知される。また、必要に応じて相互相関係数の閾値からの乖離量が相互相関計算部47からフィードバック部50に通知され、信号強度の差分値の閾値からの乖離量が信号強度比較部48からフィードバック部50に通知される。
【0116】
そうすると、ステップS8において、予め指定された任意の方法で補正のフィードバック処理が行われる。ここでは、フィードバック部50において、静磁場分布データベース44に静磁場分布データとして保存された近似曲線の次数を増加させる方法、静磁場分布データの値をある方向に変化させて再度画像データの補正を行う方法およびシミング条件を変化させ、静磁場分布の均一性を向上させた後に再度データ収集を行う方法のいずれかがフィードバック処理として指定されている場合について説明する。
【0117】
静磁場分布データを示す近似曲線の次数を増加させる方法が選択されている場合には、相互相関計算部47または信号強度比較部48からフィードバック指示が近似曲線次数変更部50Aに与えられる。
【0118】
そうすると、ステップS8Aにおいて、近似曲線次数変更部50Aは、静磁場分布データとして静磁場分布データベース44に保存された近似曲線の次数を増加させる指示を磁場分布計算部49に与える一方、磁場分布計算部49により新たに得られた静磁場分布データを用いて画像データの補正を実行するように画像歪み補正部45に指示を与える。このため、磁場分布計算部49は、近似曲線の次数を増加させて再度、静磁場分布データを計算する。
【0119】
そして、再びステップS4において、画像歪み補正部45は、新たに得られた静磁場分布データを用いて画像データの補正を実行する。このとき、静磁場分布データの近似曲線の次数が増加されたため、静磁場分布の近似精度が向上している。従って、静磁場分布データに基づく画像の歪み補正の精度が向上する。
【0120】
ただし、画像データの歪み補正が適切でないと判定される領域が局所的である場合には、近似曲線次数変更部50Aから画像データの歪み補正が適切でないと判定された領域が磁場分布計算部49および/または画像歪み補正部45に通知されるようにし、磁場分布計算部49および/または画像歪み補正部45が当該領域に限定して静磁場分布データの計算および/または画像データの補正処理を行うようにしてもよい。このような領域限定により処理量を低減させることができる。
【0121】
次に、同様にステップS5およびステップS6において、相互相関計算部47および信号強度比較部48により画像データの補正が適切であるか否かが判定される。そして、ステップS7において、画像データの補正が適切であると判定されるまで、同様なフィードバック処理が繰返し実行される。
【0122】
一方、フィードバック処理として、静磁場分布データの値をある方向に変化させて再度画像データの補正を行う方法が選択されている場合には、相互相関計算部47または信号強度比較部48からフィードバック指示が再補正指示部50Bに与えられる。このとき、相互相関係数および/または信号強度の差分値のそれぞれの閾値に対する乖離量が相互相関計算部47および/または信号強度比較部48から再補正指示部50Bに通知される。
【0123】
そうすると、ステップS8Bにおいて、再補正指示部50Bは、画像歪み補正部45に補正に用いた静磁場分布データの値をある方向に変化させて再度画像データの補正を行うように指示する。
【0124】
このため、再びステップS4において再補正指示部50Bは、静磁場分布データの値をある方向に変化させて再度画像データの補正を行う。そして、ステップS5およびステップS6において、相互相関計算部47および信号強度比較部48により画像データの補正が適切であるか否かが判定される。
【0125】
ここで、静磁場分布データを変化させる方向が適切でない場合には、相互相関係数または信号強度の差分値のそれぞれの閾値に対する乖離量が増加するため、ステップS7において、相互相関計算部47および信号強度比較部48により画像データの補正が適切でないと判定されることとなる。
【0126】
このような場合には、ステップS8Bにおいて、再補正指示部50Bが、相互相関係数または信号強度の差分値のそれぞれの閾値に対する乖離量が増加し、静磁場分布データを変化させる方向が、補正が改善される方向でないと判定する。そして、再補正指示部50Bは、静磁場分布データを逆方向に変化させて再度画像データの補正を行うように画像歪み補正部45に指示する。
【0127】
逆に、静磁場分布データを変化させる方向が適切であり、相互相関係数または信号強度の差分値のそれぞれの閾値に対する乖離量が減少した場合であっても、未だ相互相関係数または信号強度の差分値がそれぞれの閾値の範囲内とならない場合がある。このような場合にも、ステップS7において、相互相関計算部47および信号強度比較部48により画像データの補正が適切でないと判定されることとなる。
【0128】
このような場合には、ステップS8Bにおいて、再補正指示部50Bが、相互相関係数または信号強度の差分値のそれぞれの閾値に対する乖離量が減少し、静磁場分布データを変化させる方向が、補正が改善される方向であると判定する。そして、再補正指示部50Bは、再度静磁場分布データを同じ方向に変化させて画像データの補正を行うように画像歪み補正部45に指示する。
【0129】
そして、ステップS7において、画像データの補正が適切であると判定されるまで、同様なフィードバック処理が繰返し実行される。ここで、静磁場分布データの変化を繰り返した結果、静磁場分布データを変化させる方向が、補正が改善される方向から補正が改善されない方向に変わった場合には、静磁場分布データの最適値が変化前後の値の間にあると考えられる。従って、このような場合には、再補正指示部50Bにより静磁場分布データの変化方向が逆方向とされるとともに変化量が小さく設定される。
【0130】
また、画像データの歪み補正が適切でないと判定される領域が局所的である場合には、再補正指示部50Bから画像データの歪み補正が適切でないと判定された領域が画像歪み補正部45に通知されるようにし、画像歪み補正部45が当該領域に限定して画像データの補正処理を行うようにしてもよい。このような領域限定により処理量を低減させることができる。
【0131】
一方、フィードバック処理として、シミング条件を変化させ、静磁場分布の均一性を向上させた後に再度データ収集を行う方法が選択されている場合には、相互相関計算部47または信号強度比較部48からフィードバック指示がシミング実行部50Cに与えられる。
【0132】
そうすると、ステップS8Cにおいて、シミング実行部50Cは、予めシミング条件と静磁場分布の均一性を関連付けたシミング条件テーブルを参照し、静磁場分布の均一性が向上するように、シミング条件を設定する。そして、シミング実行部50Cは、設定したシミング条件に従ってシムコイル電源28に制御信号を与えることにより、シムコイル電源28からシムコイル22に出力される電流または電圧を制御する。これにより、再設定されたシミング条件に従ったシミングが実施され、静磁場分布の均一性が向上する。
【0133】
このため、再度スキャンを実行すれば、より均一な静磁場分布下において、画像データを収集することが可能となるのみならず、補正に用いる静磁場分布データもより均一となる。この結果、画像データの補正精度を向上させることができる。
【0134】
そして、ステップS7において、画像データの補正が適切であると判定されるまで、ステップS1からステップS6までの処理やスキャン、さらには同様なフィードバック処理が繰返し実行される。
【0135】
このようにして、ステップS7において、画像データの補正が適切に行われたと相互相関計算部47および信号強度比較部48により判定された場合には、画像データ補正のフィードバックは行われず、良好に歪みが補正された画像データが表示装置34に表示される。このため、ユーザは、適切に歪みが補正された画像データを参照して診断を行うことができる。
【0136】
尚、上述の例では、単一の方法によるフィードバック処理が指定された場合について説明したが、複数の方法によるフィードバック処理を指定された優先順位で併用してもよい。例えば、静磁場分布データにおける近似曲線の次数の増加および静磁場分布データのある方向への変化を一定数回繰り返しても依然画像データが適切に補正されない場合に、シミングを実施して再びデータ収集するようにしてもよい。
【0137】
つまり以上のような磁気共鳴イメージング装置20は、傾斜磁場を反転させて2つの画像データを作成し、歪み補正後の2つの画像データの相関係数や信号強度の比較結果に基づいて補正の適否を評価するものである。
【0138】
また、補正が適切でないとの評価が得られた場合には、適切な補正が実施されるようにフィードバック処理を行うものである。
【0139】
このため、磁気共鳴イメージング装置20によれば、撮影領域に形成される静磁場の誤差分布が適切に推定されて静磁場の不均一性による画像歪みの補正が適切に行われたか否かを評価することができる。
【0140】
特に、静磁場強度の不均一性の影響を特に強く受けるEPIシーケンスによる撮影では、画像歪みの補正が適切に行われていない恐れがあるが、磁気共鳴イメージング装置20によれば、画像歪みの補正が適切に行われたか否かを評価することができる。
【0141】
また、画像歪みの補正が適切に行われない場合でも、フィードバック処理により最終的により適切に補正された画像データを得ることができる。
【0142】
尚、磁気共鳴イメージング装置20の一部の機能や処理を省略してもよく、処理順序を変更してもよい。また、撮影条件は2通りに限らず、例えば、基準となる撮影条件、SE方向のみの傾斜磁場を反転させた撮影条件、RO方向のみの傾斜磁場を反転させた撮影条件の3通りの撮影条件とする場合のように、3つ以上の撮影条件としてもよい。
【0143】
また、上述の実施形態では、静磁場強度の不均一性に起因する画像歪みの補正について評価を行う場合について説明したが、静磁場に限らず傾斜磁場強度の不均一性に起因する画像歪みの補正についても同様な原理に基づいて画像歪みの補正結果を評価することができる。すなわち、異なる撮影条件により得られ、かつ傾斜磁場分布の不均一性に応じて歪みが補正された複数の画像間の相互相関や信号強度の相異に基づいて、傾斜磁場強度分布に応じた画像歪みの補正結果を評価することができる。
【0144】
さらに、画像歪みの補正が適切でないと評価された場合には、フィードバック処理により、適切に補正された画像データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態を示す構成図。
【図2】図1に示す磁気共鳴イメージング装置におけるコンピュータの機能ブロック図。
【図3】図1に示す磁気共鳴イメージング装置により、静磁場の不均一性による画像歪みの補正が適切に行われたか否かを評価する際の流れの一例を示すフローチャート。
【図4】図1に示す磁気共鳴イメージング装置により静磁場の不均一性による画像歪みの補正が適切に行われたか否かを評価するために生成されるパルスシーケンスの一例を示す図。
【図5】図1に示す磁気共鳴イメージング装置により静磁場分布に基づいて画像データを補正する際の方法の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0146】
20 磁気共鳴イメージング装置
21 静磁場用磁石
22 シムコイル
23 傾斜磁場コイルユニット
24 RFコイル
25 制御系
26 静磁場電源
27 傾斜磁場電源
28 シムコイル電源
29 送信器
30 受信器
31 シーケンスコントローラ
32 コンピュータ
33 入力装置
34 表示装置
35 演算装置
36 記憶装置
37 寝台
40 シーケンスコントローラ制御部
41 生データデータベース
42 画像再構成部
43 画像データデータベース
44 静磁場分布データベース
45 画像歪み補正部
46 撮影条件設定部
47 相互相関計算部
48 信号強度比較部
49 磁場分布計算部
50 フィードバック部
50A 近似曲線次数変更部
50B 再補正指示部
50C シミング実行部
51 傾斜磁場測定コイル
P 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる複数の撮影条件を設定する撮影条件設定手段と、
前記複数の撮影条件に従って撮影領域から磁気共鳴信号を受信する受信手段と、
前記磁気共鳴信号に基づいて前記複数の撮影条件に対応する複数の画像データを再構成する画像再構成手段と、
前記撮影領域の磁場分布に基づいて前記複数の画像データの歪みを補正する画像歪み補正手段と、
補正後の複数の画像データに基づいて少なくとも1つの前記画像データの補正が適切に行われたか否かを評価する画像補正評価手段と、
を備えることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記撮影条件設定手段は、位相エンコード方向、リードアウト方向およびスライスエンコード方向の少なくとも1方向の傾斜磁場の極性が反転した複数の撮影条件を設定するように構成されることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記画像補正評価手段は、前記補正後の複数の画像データ間における相互相関係数を求め、得られた相互相関係数に基づいて前記少なくとも1つの前記画像データの補正が適切に行われたか否かを評価するように構成されることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記画像補正評価手段は、前記補正後の複数の画像データ間でピクセルごとに信号強度を比較することにより前記少なくとも1つの前記画像データの補正が適切に行われたか否かを評価するように構成されることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記画像歪み補正手段は、前記撮影領域の静磁場分布に基づいて前記複数の画像データの歪みを補正するように構成されることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記画像歪み補正手段は、前記撮影領域の傾斜磁場分布に基づいて前記複数の画像データの歪みを補正するように構成されることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記撮影条件設定手段は、画素値および信号値のいずれかに十分な差を有する前記複数の画像データが得られるような複数の撮影条件を設定するように構成されることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記撮影条件設定手段は、EPI法による複数の撮影条件を設定するように構成されることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記画像補正評価手段による評価結果を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記画像補正評価手段による評価結果をフィードバックするフィードバック手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
前記フィードバック手段は、前記磁場分布を変化させて前記画像歪み補正手段に前記複数の画像データの歪みを補正させるように構成されることを特徴とする請求項10記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
前記フィードバック手段は、前記磁場分布を表す近似曲線の次数を増加させて前記画像歪み補正手段に前記複数の画像データの歪みを補正させるように構成されることを特徴とする請求項10記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記フィードバック手段は、シミング後に受信された磁気共鳴信号に基づいて再構成された複数の画像データの歪みを前記画像歪み補正手段に補正させるように構成されることを特徴とする請求項10記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
異なる複数の撮影条件を設定するステップと、
前記複数の撮影条件に従って撮影領域から磁気共鳴信号を受信するステップと、
前記磁気共鳴信号に基づいて前記複数の撮影条件に対応する複数の画像データを再構成するステップと、
前記撮影領域の磁場分布に基づいて前記複数の画像データの歪みを補正するステップと、
補正後の複数の画像データに基づいて少なくとも1つの前記画像データの補正が適切に行われたか否かを評価するステップと、
を有することを特徴とする画像補正評価方法。
【請求項15】
位相エンコード方向、リードアウト方向およびスライスエンコード方向の少なくとも1方向の傾斜磁場の極性が反転した複数の撮影条件を設定することを特徴とする請求項14記載の画像補正評価方法。
【請求項16】
前記補正後の複数の画像データ間における相互相関係数を求め、得られた相互相関係数に基づいて前記少なくとも1つの前記画像データの補正が適切に行われたか否かを評価することを特徴とする請求項14記載の画像補正評価方法。
【請求項17】
前記補正後の複数の画像データ間でピクセルごとに信号強度を比較することにより前記少なくとも1つの前記画像データの補正が適切に行われたか否かを評価することを特徴とする請求項14記載の画像補正評価方法。
【請求項18】
前記撮影領域の静磁場分布に基づいて前記複数の画像データの歪みを補正することを特徴とする請求項14記載の画像補正評価方法。
【請求項19】
前記撮影領域の傾斜磁場分布に基づいて前記複数の画像データの歪みを補正するように構成されることを特徴とする請求項14記載の画像補正評価方法。
【請求項20】
画素値および信号値のいずれかに十分な差を有する複数の画像データが得られるような複数の撮影条件を設定することを特徴とする請求項14記載の画像補正評価方法。
【請求項21】
EPI法による複数の撮影条件を設定することを特徴とする請求項14記載の画像補正評価方法。
【請求項22】
前記補正が適切に行われたか否かを示す評価結果を表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項14記載の画像補正評価方法。
【請求項23】
前記補正が適切に行われたか否かを示す評価結果をフィードバックするステップをさらに有することを特徴とする請求項14記載の画像補正評価方法。
【請求項24】
前記磁場分布を変化させて前記複数の画像データの歪みを補正することを特徴とする請求項23記載の画像補正評価方法。
【請求項25】
前記磁場分布を表す近似曲線の次数を増加させて前記複数の画像データの歪みを補正することを特徴とする請求項23記載の画像補正評価方法。
【請求項26】
シミング後に受信された磁気共鳴信号に基づいて再構成された複数の画像データの歪みを補正することを特徴とする請求項23記載の画像補正評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−159718(P2007−159718A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357967(P2005−357967)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】