説明

磁気共鳴イメージング装置および画像診断装置

【課題】磁気共鳴イメージング装置によるMRI撮影の効率を向上させる。
【解決手段】MRI撮影により得られたデータに対して画像再構成処理を行う画像再構成部と、これを制御する制御部とを備えており、制御部が、第1のMRI撮影Sc(A,S1)により得られたデータに対する画像再構成処理R(A,S1)を、少なくとも画像の確認に必要な所定分量Athの処理が終わるまで、最も高い優先度で行い、その後は、第1のMRI撮影Sc(A,S1)より後に実施された第2のMRI撮影Sc(A,S2)によるデータが得られた場合、または既に得られている場合に、第2のMRI撮影のデータに対する画像再構成処理R(A,S2)を最も高い優先度で行うよう、画像再構成部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像再構成処理を行う磁気共鳴イメージング(imaging)装置および画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気共鳴イメージング装置やその撮影方法の改良が日々進められている。
【0003】
磁気共鳴イメージング装置としては、撮影で得られたデータの画像再構成処理を実行しながら、次の撮影を行うことができるようになっており、これにより、効率的な撮影が可能になる。例えば、病院等のMRI(Magnetic Resonance Imaging)検査において、ある患者の撮影が終わったら、その撮影の画像再構成処理を開始するが、その途中、再構成された数枚の画像を確認し、問題がなければ画像再構成処理の終了を待たずに次の患者の撮影を開始する、といったことが可能になる。
【0004】
また、撮影方法としては、パラレルイメージング(parallel imaging)法など、従来よりも撮影時間を短くできる撮影方法が開発され、今ではこの撮影方法が主流となっている(特許文献1参照)。これにより、患者の体動による画像のアーチファクト(artifact)を抑えた撮影が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−344183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、パラレルイメージング法のように撮影時間を短縮化した撮影方法では、画像再構成のアルゴリズム(algorism)が複雑となり、画像再構成処理に多くの時間を要する。
【0007】
また、画像再構成処理は、通常、一度再構成が始まると、全部の画像が再構成されるまで終了しない。そのため、実行中の画像再構成処理が終了しないと、次の撮影による画像を再構成することができない。
【0008】
したがって、例えば、ある患者Aの最後の撮影の画像再構成処理に時間が掛かる場合、次の患者Bの位置決め用撮影を行っても、その位置決め用の画像に対する画像再構成処理が直ぐに行われず、撮影計画を立てることができない。また、例えば、画像枚数が非常に多い撮影が行われると、その後に撮影した画像に対する画像再構成処理がなかなか実行されず、再撮影の要否を判断するために画像を表示して不具合を確認する作業も遅くなり、さらに次の撮影の開始も遅くなる。
【0009】
このような事情により、撮影の効率を向上させることができる磁気共鳴イメージング装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の観点の発明は、被検体のMRI撮影を行う撮影手段と、前記撮影手段によるMRI撮影によって得られたデータ(data)に対する画像再構成処理を行う再構成手段と、第1のMRI撮影により得られたデータに対する画像再構成処理を、少なくとも該画像再構成処理の所定分量の処理が終わるまで、最も高い優先度で行い、その後は、前記第1のMRI撮影より後に実施された第2のMRI撮影によるデータが得られた場合、または既に得られている場合に、前記第2のMRI撮影のデータに対する画像再構成処理を最も高い優先度で行うよう、前記再構成手段を制御する制御手段とを備えている磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【0011】
第2の観点の発明は、前記優先度が、画像再構成処理を行う順番に対する優先度である上記第1の観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【0012】
第3の観点の発明は、前記優先度が、画像再構成処理に用いる前記再構成手段の処理能力の割合に対する優先度である上記第1の観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【0013】
第4の観点の発明は、前記所定分量が、所定の画像数分、画像再構成処理の全処理量に対する所定の割合分、または所定の処理時間分に相当する上記第1の観点から第3の観点のいずれか一つの観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【0014】
第5の観点の発明は、MRI撮影の種類毎に、該種類と分量とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記第1のMRI撮影と同じ種類に対応付けて記憶されている分量を、前記所定分量として設定する分量設定手段とをさらに備えている上記第4の観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【0015】
第6の観点の発明は、前記MRI撮影の種類が、位置決め用撮影、ディフュージョン(diffusion)、FLAIR(Fluid Attenuated Inversion
Recovery)、T1強調、およびT2強調の少なくとも1つを含んでいる上記第5の観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。なお、前記MRI撮影の種類は、位置決め用撮影と、それ以外の撮影のうち少なくとも1つとを含んでいることが好ましい。
【0016】
第7の観点の発明は、前記再構成手段が画像再構成処理を行う際に再構成する画像の前記被検体での位置の順序を設定する順序設定手段をさらに備えている上記第1の観点から第6の観点のいずれか一つの観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【0017】
第8の観点の発明は、前記第1および第2のMRI撮影が、被検体が互いに異なる撮影である上記第1の観点から第7の観点のいずれか一つの観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【0018】
第9の観点の発明は、前記第1および第2のMRI撮影が、被検体が同一であり、撮影の種類が互いに異なる撮影である上記第1の観点から第7の観点のいずれか一つの観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【0019】
第10の観点の発明は、前記第1および第2のMRI撮影が、被検体が同一であり、一方が非造影撮影、他方が造影撮影である上記第1の観点から第7の観点のいずれか一つの観点の磁気共鳴イメージング装置を提供する。
【0020】
第11の観点の発明は、被検体の撮影を行う撮影手段と、前記撮影手段による撮影によって得られたデータに対する画像再構成処理を行う再構成手段と、第1の撮影により得られたデータに対する画像再構成処理を、少なくとも該画像再構成処理の所定分量の処理が終わるまで、最も高い優先度で行い、その後は、前記第1の撮影より後に実施された第2の撮影によるデータが得られた場合、または既に得られている場合に、前記第2の撮影のデータに対する画像再構成処理を最も高い優先度で行うよう、前記再構成手段を制御する制御手段とを備えている画像診断装置を提供する。
【発明の効果】
【0021】
上記観点の発明によれば、ある撮影の画像再構成処理が実行中であっても、その撮影の不具合の確認に必要な分だけの画像が再構成されていれば、次の撮影の画像再構成処理が優先的に開始されるので、オペレータ(operator)は、実行中の画像再構成処理の完了を待たずに、次の撮影で得られた画像をその分だけ早く見ることができ、撮影作業を長時間待つことなく進めることができる。これにより、撮影の効率を向上させることができる。
【0022】
また、上記の画像再構成処理の制御は、制御手段が行うので、オペレータによる操作等は不要であるから、オペレータに負担を強いることもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】撮影の種類毎に設定される必要最小処理量の一例を示す図である。
【図3】再構成する画像の位置の順序を決めるパターン(pattern)の一例を示す図である。
【図4】制御部による画像再構成部の制御処理を示すフロー(flow)図である。
【図5】第1の事例における磁気共鳴イメージング装置による各処理のタイムチャート(time chart)の比較参考例を示す図である。
【図6】第2の事例における第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置による各処理のタイムチャートを示す図である。
【図7】第2の事例における磁気共鳴イメージング装置による各処理のタイムチャートの比較参考例を示す図である。
【図8】第2の事例における第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置による各処理のタイムチャートを示す図である。
【図9】第3の事例における磁気共鳴イメージング装置による各処理のタイムチャートの比較参考例を示す図である。
【図10】第3の事例における第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置による各処理のタイムチャートを示す図である。
【図11】第4の事例における第2実施形態の磁気共鳴イメージング装置による各処理のタイムチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明の実施形態について説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置の構成を概略的に示す図である。
【0026】
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置1は、静磁場マグネット(magnet)部12、勾配コイル(coil)部13、RF(Radio Frequency)コイル部14、RF駆動部22、勾配駆動部23、データ収集部24、被検体搬送部25、制御部30、記憶部31、操作部32、画像再構成部33、および表示部34を有している。
【0027】
なお、静磁場マグネット部12、勾配コイル部13、RFコイル部14、RF駆動部22、勾配駆動部23、データ収集部24、被検体搬送部25、および制御部30は、発明における撮影手段の一例である。また、制御部30は、発明における制御手段、分量設定手段、および順序設定手段の一例である。記憶部31は、発明における記憶手段の一例である。画像再構成部33は、発明における再構成手段の一例である。
【0028】
RF駆動部22は、制御部30からの制御信号を基にRFコイル部14を駆動して、静磁場空間11内に高周波磁場を発生する。
【0029】
勾配駆動部23は、制御部30からの制御信号を基に勾配コイル部13を駆動して、静磁場空間11内に勾配磁場を発生させる。
【0030】
データ収集部24は、RF駆動部22の出力を参照信号に用いて、RFコイル部14が受信した磁気共鳴信号を位相検波し、AD(Analog-Digital)変換して磁気共鳴信号データを生成する。磁気共鳴信号データは、記憶部31に出力される。
【0031】
なお、被検体40が搬送された静磁場空間11内に勾配磁場と高周波磁場を発生させて、磁気共鳴信号データを収集することを、MRI撮影といい、本文では、MRI撮影を単に撮影という。
【0032】
制御部30は、操作部32からの操作信号を基に、RF駆動部22、勾配駆動部23、データ収集部24、被検体搬送部25の各部に制御信号を送って制御する。また、制御部30は、所望の画像を得るために、操作部32からの操作信号を基に、または自動で、画像再構成部33を制御する。
【0033】
記憶部31は、データ収集部24により収集された磁気共鳴信号データや、画像再構成部33により画像再構成処理して得られた画像データ等を記憶する。
【0034】
画像再構成部33は、制御部30からの制御により、記憶部31から磁気共鳴信号データを読み出し、その磁気共鳴信号データに対して画像再構成処理を行って画像データを生成する。画像データは、記憶部31に出力される。
【0035】
表示部34は、操作部32の操作に必要な情報や、画像データが表す画像などを表示する。
【0036】
制御部30、記憶部31、画像再構成部33は、例えばコンピュータ(computer)により構成される。
【0037】
なお、磁気共鳴イメージング装置1は、MRI撮影と、画像再構成処理と、画像表示とを並行して実行することができるよう設計されている。
【0038】
ここで、制御部30による制御について詳しく説明する。
【0039】
制御部30は、ある第1のMRI撮影により磁気共鳴信号データが得られると、その磁気共鳴信号データに対する画像再構成処理を、少なくともその画像再構成処理の所定分量の処理が終わるまで最も優先的な順序で行うよう、再構成部33を制御する。そして、その後は、第1のMRI撮影よりも後に実施された第2のMRI撮影により磁気共鳴信号データが得られた場合、または既に得られている場合に、第1のMRI撮影の磁気共鳴信号データに対する画像再構成処理の優先順位を下げ、第2のMRI撮影の磁気共鳴信号データに対する画像再構成処理を最も優先的な順序で行うよう、再構成部33を制御する。
【0040】
このような制御により、ある撮影の画像再構成処理を実行する際に、撮影に問題がなかったかを確認するために必要な分だけの画像が再構成されたら、実行中の画像再構成処理を一時中断して、直ぐに次の撮影の画像再構成処理を実行し、中断された残りの処理を後回しにすることができる。そのため、完了するまでに多くの時間を要するような画像再構成処理が実行されても、その完了を待たずに次の撮影の画像を再構成して確認することができる。また、この制御は、制御部30によりほとんど自動で行われるので、オペレータが画像再構成処理を中断するための操作などを逐次する必要がない。これにより、オペレータに負担を強いることなく、撮影の効率を向上させることができる。
【0041】
また、制御部30は、オペレータからの操作に応じて、上記の所定分量を設定する。この所定分量としては、例えば、所定の画像数分、所定の処理時間分に相当する分量等、種々考えることができるが、ここでは、画像再構成処理の全処理量に対する所定の割合分に相当する分量とし、これを「必要最小処理量」と呼ぶことにする。また、ここでは、オペレータが、MRI撮影の種類毎に所定の分量を入力し、撮影の種類と所定の分量とを対応付けて記憶部31に記憶させておく。例えば、図2に示すように、位置決め用に対して30〔%〕、FLAIRに対して10〔%〕、ディフュージョンに対して20〔%〕、T1強調に対して20〔%〕、T2強調に対して20〔%〕などと対応付けて記憶させる。そして、制御部30は、再構成処理部33により画像再構成処理が実行される都度、その画像再構成処理に対応するMRI撮影と同じ撮影の種類に対応付けて記憶されている分量を、上記の所定分量、すなわち必要最小処理量として設定する。
【0042】
これにより、撮影に問題がなかったかを確認するのに必要な画像の数が、MRI撮影の種類によって異なる場合にも、対応することができる。
【0043】
また、制御部30は、オペレータからの操作に応じて、画像再構成部33が画像再構成処理を行う際に再構成する画像の被検体40での位置の順序を設定する。ここでは、図3(a)〜(c)に示すように、再構成する画像の位置の順序を決めるパターンを幾つか用意し、記憶部31に記憶させておく。例えば、図3(a)に示すような、再構成する画像の位置を撮影範囲SRの中央から両端へ徐々に移動させるパターン、図3(b)に示すような、再構成する画像の位置を撮影範囲SRの一端から他端へ徐々に移動させるパターン、図3(c)に示すような、再構成する画像の位置を撮影範囲SRの中央寄り、一端寄り、他端寄りと繰り返し移動させるパターンなどを記憶させておく。そして、制御部30は、オペレータの操作に応じて、これらのパターンの中から1つを選択して設定する。再構成処理部33は、画像再構成処理を実行する際に、設定されたパターンによる位置の順序で画像を再構成する。なお、制御部30は、オペレータからの操作に応じて、撮影する被検体40のスライス位置の順序を設定するようにしてもよい。
【0044】
これにより、撮影に問題がなかったかを確認するのに用いる画像の位置として適した位置が、撮影の目的や撮影部位によって変化する場合にも、対応することができる。
【0045】
図4は、制御部30による画像再構成部33の制御処理を示すフロー図である。
【0046】
制御部30は、例えば、図4に示すようなフローにしたがって画像再構成部33の制御処理を行う。ただし、制御部30は、磁気共鳴信号データに対する画像再構成処理を、優先順位(優先度)を付けてリスト(list)に登録する。そして、リストに登録された画像再構成処理を、その優先順位に応じた順番で行うよう、画像再構成部33を制御する。
【0047】
ステップ(step)S1では、画像再構成処理のリストへの新規登録および優先順位の整理を必要に応じて行う。画像再構成処理の優先順位は、高いグループ(group)順に、(1)実行中であって、その処理済量Adone<その必要最小処理量Athであるもの、(2)未着手のもの、(3)未着手のものがない場合に、実行中であって、その処理済量Adone≧その必要最小処理量Athであるもの、(4)着手済みであって、実行中でないもの、となるようにする。また、同じグループ内では、登録時期が若いほど優先順位を高くする。なお、この優先順位の付け方は一例であり、例えば、(3)と(4)の順位を入れ換えてもよい。
【0048】
ステップS2では、リストに登録されている画像再構成処理の有無を判定する。有る場合には、ステップS3に進み、無い場合には、ステップS1に戻る。
【0049】
ステップS3では、リストに登録されている画像再構成処理の中で、優先順位が1位の画像再構成処理を実行する。
【0050】
ステップS4では、実行中の画像再構成処理において、すべての画像が再構成されたか、すなわち完了したかを判定する。完了した場合には、ステップS5に進み、完了していない場合には、ステップS1に戻る。
【0051】
ステップS5では、完了した画像再構成処理をリストから外す。そして、ステップS1に戻る。
【0052】
これより、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置1による処理の流れを、事例を基に説明する。
【0053】
図5および図6は、第1の事例における磁気共鳴イメージング装置による各処理のタイムチャートを示す図であり、図5は、発明の実施形態による効果を理解し易くするための比較参考例、図6は、第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置によるものである。また、タイムチャートは、撮影、画像再構成処理、および画像表示(再撮影の要否判断を含む)の各処理を示している。
【0054】
第1の事例は、被検体である患者Aの最後の撮影を行って、画像に問題がないかを確認し、問題がない場合には、撮影する患者を次の患者Bに入れ換える。そして、患者Bの位置決め用撮影を行って、撮影した画像を参照しながら撮影計画を立て、本撮影を開始する、という場面を想定したものである。なおここでは、いずれの患者に対しても、位置決め用撮影、ディフュージョン撮影(以下、第1撮影という)、T1強調撮影(以下、第2撮影という)、およびT2強調撮影(以下、第3撮影という)をこの順で行うものとする。また、説明を簡単にするため、患者Aの第3撮影を開始する際には、患者Aの第2撮影までの画像再構成処理はすべて完了しているものとする。また、確認に必要な画像の枚数は、位置決め用撮影に対して全体の30%、その他の通常の撮影に対して全体の20%であるものとする。したがって、必要最小処理量Athは、位置決め用に対して30〔%〕、第1撮影であるディフュージョンに対して20〔%〕、第2撮影であるT1強調に対して20〔%〕、第3撮影であるT2強調に対して20〔%〕を設定する。
【0055】
第1の事例における本実施形態の磁気共鳴イメージング装置による各処理の流れは、概ね以下の通りである。
【0056】
時刻t1にて、患者Aの第3撮影Sc(A,S3)が開始される。
【0057】
時刻t2にて、患者Aの第3撮影Sc(A,S3)が終了し、その磁気共鳴信号データが得られる。すると、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が優先順位1位でリストに登録され、その画像再構成処理R(A,S3)が開始される。そして、再構成された画像を順次表示する画像表示D(A,S3)が行われる。なお、画像再構成処理により再構成される画像の被検体40における位置の順番は、予め設定されているパターンに従い、また、画像再構成処理の処理済量Adoneの表示は、再構成された画像の画像表示と共に行われる(画像再構成処理を行うときは以下、同様)。
【0058】
時刻t3にて、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)の処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の20%に達し、オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認して、再撮影の要否判断を行う。
【0059】
時刻t4にて、撮影する患者を、患者Aから患者Bに入れ換える。
【0060】
時刻t5にて、患者Bの位置決め用撮影Sc(B,L)が開始される。
【0061】
時刻t6にて、患者Bの位置決め用撮影Sc(B,L)が終了し、新たな磁気共鳴信号データが得られる。この時点で、実行中である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)における処理済量Adoneは、その必要最小処理量Athである全体の20%以上である。つまり、患者Bの位置決め用撮影の画像再構成処理R(B,L)は上記(2)に該当し、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)は上記(4)に該当する。そのため、患者Bの位置決め用撮影の画像再構成処理R(B,L)が優先順位1位でリストに登録され、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)は優先順位2位となる。そして、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)は一時中断され、優先順位が1位である患者Bの位置決め用撮影の画像再構成処理R(B,L)が開始される。そして、再構成された画像を順次表示する画像表示D(B,L)が行われる。
【0062】
時刻t7にて、実行中である患者Bの位置決め用撮影の画像再構成処理R(B,L)における処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の30%に達し、オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認する。
【0063】
時刻t8にて、表示された画像を参照して、撮影計画を立てる。
【0064】
時刻t9にて、患者Bの第1撮影Sc(B,S1)が開始される。
【0065】
時刻t10にて、実行中である患者Bの位置決め用撮影の画像再構成処理R(B,L)が完了する。ここで、患者Bの位置決め用撮影の画像再構成処理R(B,L)はリストから外され、優先順位2位であった患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が優先順位1位に繰り上がる。そして、中断されていた患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が再開される。
【0066】
時刻t11にて、再開した患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が完了する。この時点でリストには登録されている画像再構成処理がないので、画像再構成部33は、リストに新たな画像再構成処理が登録されるまで待機する。
【0067】
時刻t12にて、患者Bの第1撮影Sc(B,S1)が終了し、その磁気共鳴信号データが得られる。すると、その患者Bの第1撮影の画像再構成処理R(B,S1)が優先順位1位でリストに登録され、患者Bの第1撮影の画像再構成処理R(B,S1)が開始される。そして、再構成された画像を順次表示する画像表示D(B,S1)が行われる。
【0068】
時刻t13にて、患者Bの第1撮影の画像再構成処理R(B,S1)における処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の20%に達し、オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認する。
【0069】
時刻t14にて、実行中であった患者Bの第1撮影の画像再構成処理R(B,S1)が完了する。
【0070】
比較参考例と第1実施形態の例とは、共に、撮影、画像再構成処理、および画像表示を並行して行うことができる。そのため、共通して、患者Aの最後の撮影が終了した直後に画像再構成処理R(A,S3)が開始され、それらの画像表示D(A,S3)を行い、確認に必要な枚数の画像が得られた時点で、オペレータが画像に問題がないかを確認することができる。そして、問題がなければ、撮影する患者を次の患者Bに入れ換えて、画像再構成処理を実行しながら患者Bの位置決め用撮影Sc(B,L)を行うことができる。
【0071】
しかし、比較参考例では、いずれの撮影の画像再構成処理であっても、すべての画像が再構成されるまで処理を終了しない。また、画像再構成処理は、一度に1つの処理しか実行されない。そのため、患者Bの位置決め用撮影Sc(B,L)が終了しても、患者Aの最後の撮影である第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が終了するまで、患者Bの位置決め用撮影の画像再構成処理R(B,L)が開始されない。つまり、オペレータは、患者Bの撮影計画で足止めを受け、それ以降の作業を直ぐに行うことができない。
【0072】
一方、本実施形態の例では、ある撮影の画像再構成処理の実行中であっても、その処理済量Adoneが必要最小処理量Ath以上であれば、次の撮影の磁気共鳴信号データが新たに得られた場合に、実行中の画像再構成処理を一時中断し、その次の撮影の画像再構成処理が開始される。そのため、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が実行中であっても、その処理済量Adoneが必要最小処理量Ath以上であれば、患者Bの位置決め用撮影Sc(B,L)が終了した後、その位置決め用撮影の画像再構成処理R(B,L)が開始される。オペレータは、位置決め用撮影で得られた画像をその分だけ早く参照することができ、患者Bの撮影計画以降の作業を長時間待つことなく進めることができる。
【0073】
図7および図8は、第2の事例における磁気共鳴イメージング装置による各処理のタイムチャートを示す図であり、図7は、比較参考例、図8は、第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置によるものである。
【0074】
第2の事例は、患者Aの第1〜第3撮影を行って、それぞれの撮影の画像に問題がないかを確認し、問題がない場合には、撮影する患者を次の患者Bに入れ換える、という場面を想定したものである。ただし、第2〜第3撮影は、その前回の撮影に関し、確認に必要な枚数の画像が再構成されるのを待ってから行われる。その他は、第1の事例と同様である。なお、第1撮影と第2撮影、または第2撮影と第3撮影は、それぞれ、非造影撮影と造影撮影であってもよい。
【0075】
第2の事例における本実施形態の磁気共鳴イメージング装置による各処理の流れは、概ね以下の通りである。
【0076】
時刻t1にて、患者Aの第1撮影Sc(A,S1)が開始される。
【0077】
時刻t2にて、患者Aの第1撮影Sc(A,S1)が終了し、その磁気共鳴信号データが得られる。すると、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が優先順位1位でリストに登録され、その画像再構成処理R(A,S1)が開始される。そして、再構成された画像を順次表示する画像表示D(A,S1)が行われる。
【0078】
時刻t3にて、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)の処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の20%に達すると、オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認する。
【0079】
時刻t4にて、患者Aの第2撮影Sc(A,S2)が開始される。
【0080】
時刻t5にて、患者Aの第2撮影Sc(A,S2)が終了し、新たな磁気共鳴信号データが得られる。この時点で、実行中である患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)における処理済量Adoneは、その必要最小処理量Athである全体の20%以上である。つまり、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は上記(2)に該当し、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は上記(4)に該当する。そのため、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が優先順位1位でリストに登録され、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は優先順位2位となる。そして、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は一時中断され、優先順位が1位である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が開始される。そして、再構成された画像を順次表示する画像表示D(A,S2)が行われる。
【0081】
時刻t6にて、実行中である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)における処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の20%に達し、オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認する。
【0082】
時刻t7にて、患者Aの第3撮影Sc(A,S3)が開始される。
【0083】
時刻t8にて、患者Aの第3撮影Sc(A,S3)が終了し、新たな磁気共鳴信号データが得られる。この時点で、実行中である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)における処理済量Adoneは、その必要最小処理量Athである全体の20%以上である。つまり、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)は上記(2)に該当し、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)と、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)とが、上記(4)に該当する。ただし、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)の方が、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)より、登録時期が若い。そのため、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が優先順位1位でリストに登録され、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が優先順位2位となり、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が優先順位3位となる。そして、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は一時中断され、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が開始される。そして、再構成された画像を順次表示する画像表示D(A,S3)が行われる。
【0084】
時刻t9にて、実行中である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)における処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の20%に達し、オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認する。この時点で、未着手の画像再構成処理はリストに登録されていないので、実行中である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が上記(3)に該当し、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)と、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)とが、上記(4)に該当する。そのため、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が優先順位1位のままとなり、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が優先順位2位のまま、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が優先順位3位のままとなる。
【0085】
時刻t10からt11にて、撮影する患者を、患者Aから患者Bに入れ換える。
【0086】
時刻t12にて、実行中である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が完了する。すると、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)がリストから外れ、優先順位2位であった患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が、優先順位1位へ繰り上がり、優先順位3位であった患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が、優先順位2位へ繰り上がる。そして、中断されていた患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が再開される。
【0087】
時刻t13にて、実行中である患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が完了する。すると、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)がリストから外れ、優先順位2位であった患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が、優先順位1位へ繰り上がる。そして、中断されていた患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が再開される。
【0088】
時刻t14にて、実行中である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が完了する。
【0089】
比較参考例と第1実施形態の例とは、共通して、患者Aの第1撮影が終了した直後に画像再構成処理が開始され、それらの画像表示を行い、確認に必要な枚数の画像が得られた時点で、オペレータが画像に問題がないかを確認することができる。そして、問題がなければ、画像再構成処理を実行しながら、患者Aの次の撮影すなわち第2撮影を行うことができる。
【0090】
しかし、比較参考例では、患者Aの第2撮影が終了しても、患者Aの第1撮影の画像再構成処理が終了するまで、患者Aの第2撮影の画像再構成処理が開始されず、オペレータは、患者Aの第2撮影の画像を確認するところで足止めを受け、それ以降の作業を行うことができない。
【0091】
一方、本実施形態の例では、患者Aの第1撮影の画像再構成処理が実行中であっても、その処理済量Adoneが必要最小処理量Ath以上であれば、患者Aの第2撮影が終了した後、その第2撮影の画像再構成処理が開始される。オペレータは、第2撮影で得られた画像をその分だけ早く参照することができ、続く第3撮影以降の作業を長時間待つことなく進めることができる。また、複数の撮影を、画像を確認しながら比較的短い時間間隔で行うことができ、途中、撮影に問題があっても比較的早い段階で再撮影を行うことができる。 なお、図8の例では、第1撮影の画像再構成処理の実行中と、第2撮影の画像再構成処理の実行中に、それぞれ次の撮影が終了し、新たな磁気共鳴信号データが得られて、処理を一時中断している。この場合、これらの残りの処理は、第3の撮影の画像再構成処理が終了した後、順次行われることになる。
【0092】
図9および図10は、第3の事例における磁気共鳴イメージング装置による各処理のタイムチャートを示す図であり、図9は、比較参考例、図10は、第1実施形態の磁気共鳴イメージング装置によるものである。
【0093】
第3の事例は、第2の事例と同様に、患者Aの第1〜第3撮影を行って、それぞれの撮影の画像に問題がないかを確認し、問題がない場合には、撮影する患者を次の患者Bに入れ換える、という場面を想定したものである。ただし、第1〜第3撮影は、確認に必要な枚数の画像が再構成されるのを待つことなく、非常に短い時間間隔で順次撮影を行う。そして、それぞれの撮影の画像再構成処理において、確認に必要な枚数の画像が再構成された時点で、画像を表示させ、画像の確認を逐次行う。また、いずれの撮影に対しても必要最小処理量を全体の70%と比較的大きめにする。これにより、画像再構成処理の実行中に次の撮影を開始しても、画像再構成処理の処理済量Adoneが必要最小処理量Athに達する前に、その撮影が終了するような場合を想定する。その他は、第1の事例と同様である。
【0094】
第3の事例における本実施形態の磁気共鳴イメージング装置による各処理の流れは、概ね以下の通りである。
【0095】
時刻t1にて、患者Aの第1撮影Sc(A,S1)が開始される。
【0096】
時刻t2にて、患者Aの第1撮影Sc(A,S1)が終了し、その磁気共鳴信号データが得られる。すると、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が優先順位1位でリストに登録され、その画像再構成処理R(A,S1)が開始される。そして、再構成された画像を順次表示する画像表示D(A,S1)が行われる。
【0097】
時刻t3にて、患者Aの第2撮影Sc(A,S2)が開始される。
【0098】
時刻t4にて、患者Aの第2撮影Sc(A,S2)が終了し、その磁気共鳴信号データが得られる。しかし、この時点で、実行中である患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)における処理済量Adoneは、その必要最小処理量Athである全体の70%に達していない。つまり、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は、上記(1)に該当し、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、上記(2)に該当する。そのため、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は、優先順位1位のままとなり、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、優先順位2位でリストに登録される。そして、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は、実行が継続される。
【0099】
時刻t5にて、患者Aの第3撮影Sc(A,S3)が開始される。
【0100】
時刻t6にて、実行中である患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)における処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の70%に達し、オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認する。この時点で、未着手の画像再構成処理がリストに登録されているので、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は、上記(4)に該当し、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、上記(2)に該当する。そのため、優先順位が2位であった患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が優先順位1位に上がり、実行中であった患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が優先順位1位から2位へ下がる。そして、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が開始され、また、再構成された画像を順次表示する画像表示D(A,S2)が行われる。
【0101】
時刻t7にて、患者Aの第3撮影Sc(A,S3)が終了し、新たな磁気共鳴信号データが得られる。しかし、この時点で、実行中である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)における処理済量Adoneは、その必要最小処理量Athである全体の70%に達していない。つまり、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、上記(1)に該当し、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)は、上記(2)に該当し、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は、上記(4)に該当する。そのため、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、優先順位1位のままとなり、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)は、優先順位2位でリストに登録される。また、優先順位2位であった患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は、優先順位3位に下がる。そして、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、実行が継続される。
【0102】
時刻t8にて、実行中である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)における処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の70%に達し、オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認する。この時点で、実行中である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)と、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)とは、上記(4)に該当し、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)は上記(2)に該当する。そのため、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)は優先順位1位に上がり、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は優先順位2位に上がり、実行中であった患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が優先順位1位から3位へ下がる。そして、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が開始され、また、再構成された画像を順次表示する画像表示D(A,S3)が行われる。
【0103】
時刻t9にて、実行中である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)における処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の70%に達し、オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認する。この時点で、未着手の画像再構成処理はリストに登録されていないので、実行中である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が上記(3)に該当し、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)と、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)とが、上記(4)に該当する。そのため、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が優先順位1位のままとなり、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が優先順位2位のまま、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が優先順位3位のままとなる。
【0104】
時刻t10からt11にて、撮影する患者を、患者Aから患者Bに入れ換える。
【0105】
また、時刻t11にて、実行中である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が完了する。すると、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)がリストから外れ、優先順位2位であった患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が、優先順位1位へ繰り上がり、優先順位3位であった患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が、優先順位2位へ繰り上がる。そして、中断されていた患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が再開される。
【0106】
時刻t12にて、実行中である患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が完了する。すると、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)がリストから外れ、優先順位2位であった患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が、優先順位1位へ繰り上がる。そして、中断されていた患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が再開される。
【0107】
時刻t13にて、実行中である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が完了する。
【0108】
比較参考例と第1実施形態の例とは、共通して、患者Aの第1〜第3撮影は、非常に短い時間間隔で行うことができる。
【0109】
しかし、比較参考例では、画像再構成処理は、すべての画像が再構成されるまで終了しないので、途中、確認に必要な枚数の画像が得られても、次の画像再構成処理が開始されず、オペレータは、第2撮影以降の各撮影の画像を確認するところで足止めを受ける。
【0110】
一方、本実施形態の例では、画像再構成処理は、その処理済量が必要最小処理量に達すると、一時中断し、次の画像再構成処理を開始するので、そのような足止めを受けることがない。また、画像再構成処理の実行中に並行していた撮影が終了し、新たな磁気共鳴信号データが得られても、直ぐに画像再構成処理を中断するのではなく、その処理済量が必要最小処理量に達するまでは、画像再構成処理の実行が継続されるので、確認に必要な枚数の画像が足りずに画像の確認が不十分になることもない。また、複数の撮影を、非常に短い時間間隔で行いつつ、各撮影の画像の確認もできるだけ早く行うことができ、途中、撮影に問題があっても直ぐに再撮影を行うことができる。
【0111】
(第2実施形態)
本実施形態では、制御部30は、リストに登録された画像再構成処理を、画像再構成部33の処理能力のうち優先順位に応じた割合を用いて行うよう、画像再構成部33を制御する。ここでは、一例として、優先順位1位の画像再構成処理だけがリストに登録されている場合には、その画像再構成処理を、画像再構成部33の処理能力全体の100%を用いて行う。それ以外では、優先順位1位の画像再構成処理に対して処理能力全体の75%、優先順位2位の画像再構成処理に対して処理能力全体の25%を割り当て、優先順位3位以降の画像再構成処理に対しては0%にする。
【0112】
図11は、第4の事例における本実施形態の磁気共鳴イメージング装置による各処理のタイムチャートを示す図である。
【0113】
第4の事例は、第2の事例と同様に、患者Aの第1〜第3撮影を行って、それぞれの撮影の画像に問題がないかを確認し、問題がない場合には、撮影する患者を次の患者Bに入れ換える、という場面を想定したものである。ただし、第2〜第3撮影は、その前回の撮影に関し、確認に必要な枚数の画像が再構成されるのを待ってから行われる。
【0114】
第4の事例における本実施形態の磁気共鳴イメージング装置による各処理の流れは、概ね以下の通りである。
【0115】
時刻t1にて、患者Aの第1撮影Sc(A,S1)が開始される。
【0116】
時刻t2にて、患者Aの第1撮影Sc(A,S1)が終了し、その磁気共鳴信号データが得られる。すると、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が優先順位1位でリストに登録され、その画像再構成処理R(A,S1)が、画像再構成部33の処理能力100%を用いて開始される。
【0117】
時刻t3にて、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)の処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の20%に達すると、それまでに再構成された画像の画像表示D(A,S1)が行われる。オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認する。
【0118】
時刻t4にて、患者Aの第2撮影Sc(A,S2)が開始される。
【0119】
時刻t5にて、患者Aの第2撮影Sc(A,S2)が終了し、新たな磁気共鳴信号データが得られる。この時点で、実行中である患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)における処理済量Adoneは、その必要最小処理量Athである全体の20%以上である。つまり、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は上記(2)に該当し、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は上記(4)に該当する。そのため、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が優先順位1位でリストに登録され、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は優先順位2位となる。そして、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は、画像再構成部33の処理能力を100%から25%に減らして実行が継続され、優先順位が1位である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、画像再構成部33の処理能力75%を用いて開始される。
【0120】
時刻t6にて、実行中である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)における処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の20%に達し、それまでに再構成された画像の画像表示D(A,S2)が行われる。オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認する。
【0121】
時刻t7にて、患者Aの第3撮影Sc(A,S3)が開始される。
【0122】
時刻t8にて、患者Aの第3撮影Sc(A,S3)が終了し、新たな磁気共鳴信号データが得られる。この時点で、実行中である患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)における処理済量Adoneは、その必要最小処理量Athである全体の20%以上である。また、実行中である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)における処理済量Adoneも、その必要最小処理量Athである全体の20%以上である。つまり、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)は上記(2)に該当し、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)と、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)とが、上記(4)に該当する。そのため、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が優先順位1位でリストに登録され、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が優先順位2位となり、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が優先順位3位となる。そして、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)は、画像再構成部33の処理能力25%を用いて実行が継続され、優先順位が1位である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、画像再構成部33の処理能力75%を用いて開始される。患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、一時中断される。
【0123】
時刻t9にて、実行中である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)における処理済量Adoneが、その必要最小処理量Athである全体の20%に達し、それまでに再構成された画像の画像表示D(A,S3)が行われる。オペレータは、表示された画像を見て画像に問題がないことを確認する。この時点で、未着手の画像再構成処理はリストに登録されていないので、実行中である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が上記(3)に該当し、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)と、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)とが、上記(4)に該当する。そのため、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が優先順位1位のままとなり、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が優先順位2位のまま、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が優先順位3位のままとなる。
【0124】
時刻t10からt12にて、撮影する患者を、患者Aから患者Bに入れ換える。
【0125】
時刻t11にて、実行中である患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)が完了する。すると、患者Aの第1撮影の画像再構成処理R(A,S1)がリストから外れ、実行中である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)は、上記(3)に該当し、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、上記(4)に該当する。そのため、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が優先順位1位のままとなり、患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が優先順位2位に上がる。そして、優先順位が1位である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)は、画像再構成部33の処理能力75%を用いてそのまま継続され、中断されていた患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、画像再構成部33の処理能力25%を用いて再開される。
【0126】
時刻t13にて、実行中である患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)が完了する。すると、患者Aの第3撮影の画像再構成処理R(A,S3)がリストから外れ、優先順位2位であった患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が、優先順位1位へ繰り上がる。そして、優先順位が1位である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)は、画像再構成部33の処理能力を75%から100%に引き上げて、そのまま継続される。
【0127】
時刻t14にて、実行中である患者Aの第2撮影の画像再構成処理R(A,S2)が完了する。
【0128】
本実施形態の例では、ある撮影の画像再構成処理の実行中であっても、その処理済量Adoneが必要最小処理量Ath以上であれば、次の撮影の磁気共鳴信号データが新たに得られた場合に、実行中の画像再構成処理に割く処理能力を小さくし、その次の撮影の画像再構成処理により大きな処理能力を割いて開始される。そのため、オペレータは、第2撮影で得られた画像をその分だけ早く参照することができ、続く第3撮影以降の作業を長時間待つことなく進めることができる。また、複数の撮影を、画像を確認しながら比較的短い時間間隔で行うことができ、途中、撮影に問題があっても比較的早い段階で再撮影を行うことができる。
【0129】
なお、上記の各実施形態における画像再構成処理は、その準備段階の処理などに相当する前処理や、再構成後のフィルタ処理などに相当する後処理を含むものとしてもよい。
【0130】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明の実施形態は、上記したものに限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、追加等を行うことができる。
【0131】
例えば、上記の実施形態は、発明を磁気共鳴イメージング装置に適用した例であるが、X線CT装置など、撮影によって得られたデータに対して画像再構成処理を行う他の画像診断装置にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 磁気共鳴イメージング装置
12 静磁場マグネット部
13 勾配コイル部
14 RFコイル部
22 RF駆動部
23 勾配駆動部
24 データ収集部
25 被検体搬送部
30 制御部
31 記憶部
32 操作部
33 画像再構成部
34 表示部
40 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体のMRI撮影を行う撮影手段と、
前記撮影手段によるMRI撮影によって得られたデータに対する画像再構成処理を行う再構成手段と、
第1のMRI撮影により得られたデータに対する画像再構成処理を、少なくとも該画像再構成処理の所定分量の処理が終わるまで、最も高い優先度で行い、
その後は、前記第1のMRI撮影より後に実施された第2のMRI撮影によるデータが得られた場合、または既に得られている場合に、前記第2のMRI撮影のデータに対する画像再構成処理を最も高い優先度で行うよう、前記再構成手段を制御する制御手段とを備えている磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記優先度は、画像再構成処理を行う順番に対する優先度である請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記優先度は、画像再構成処理に用いる前記再構成手段の処理能力の割合に対する優先度である請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記所定分量は、所定の画像数分、画像再構成処理の全処理量に対する所定の割合分、または所定の処理時間分に相当する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
MRI撮影の種類毎に、該種類と分量とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記第1のMRI撮影と同じ種類に対応付けて記憶されている分量を、前記所定分量として設定する分量設定手段とをさらに備えている請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記MRI撮影の種類は、位置決め用撮影、ディフュージョン、FLAIR、T1強調、およびT2強調の少なくとも1つを含んでいる請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記再構成手段が画像再構成処理を行う際に再構成する画像の前記被検体での位置の順序を設定する順序設定手段をさらに備えている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記第1および第2のMRI撮影は、被検体が互いに異なる撮影である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記第1および第2のMRI撮影は、被検体が同一であり、撮影の種類が互いに異なる撮影である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記第1および第2のMRI撮影は、被検体が同一であり、一方が非造影撮影、他方が造影撮影である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
被検体の撮影を行う撮影手段と、
前記撮影手段による撮影によって得られたデータに対する画像再構成処理を行う再構成手段と、
第1の撮影により得られたデータに対する画像再構成処理を、少なくとも該画像再構成処理の所定分量の処理が終わるまで、最も高い優先度で行い、
その後は、前記第1の撮影より後に実施された第2の撮影によるデータが得られた場合、または既に得られている場合に、前記第2の撮影のデータに対する画像再構成処理を最も高い優先度で行うよう、前記再構成手段を制御する制御手段とを備えている画像診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−172887(P2011−172887A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41159(P2010−41159)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】