説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】チャネルの選択を支援することを課題とする。
【解決手段】MRI装置100は、位置決め画像撮像時、複数の要素コイルそれぞれにて受信されたNMR信号データを、要素コイルに割り当てられたチャネル単位で収集し、記憶部14に格納する。そして、MRI装置100は、位置決め画像撮像時に選択されたチャネルについて記憶部14を参照し、記憶部14に記憶されたNMR信号データから画像を再構成し、再構成した画像を表示する。また、MRI装置100は、チャネル選択の変更を受け付ける。そして、MRI装置100は、チャネル選択の変更が受け付けられると、変更後のチャネルについて記憶部14を参照し、記憶部14に記憶されたNMR信号データを用いて画像を補正し、補正された画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置という)による撮像は、例えば以下の手順に従って行われる。まず、静磁場と傾斜磁場との重畳からなる磁場中心に撮像対象部位が配置されるように、MRI装置に被検体が設置される。次に、MRI装置において位置決め画像の撮像が実行され、位置決め画像がMRI装置の表示部に表示される。すると、例えば技師などの操作者が、表示された位置決め画像を用いて関心領域(以下、ROI(Region Of Interest)という)の指定を行う。続いて、MRI装置において本撮像(以下、本スキャンという)が実行され、MRI装置は、指定されたROIに従い医用画像を再構成する。
【0003】
ところで、MRI装置による撮像においては、マルチコイルを用いる場合がある。マルチコイルとは、被検体から放射された磁気共鳴信号(以下、NMR(Nuclear Magnetic Resonance)信号という)を受信する要素コイルを複数有する受信コイルのことである。マルチコイルを用いる場合、NMR信号は、要素コイルに割り当てられたチャネル単位で収集される。このため、撮像に適したチャネルでNMR信号を収集することを目的として、撮像に用いる要素コイルを自動的に選択する技術がある。例えば、MRI装置は、磁場中心に重なる要素コイルを特定し、特定した要素コイルを撮像に用いる要素コイルとして選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−179551号公報
【特許文献2】米国特許第6794872号明細書
【特許文献3】特開2008−29834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の技術では、技師などの操作者にとって、チャネルの選択が適切になされているか否かの判断が難しいという課題があった。例えば、被検体が適切に設置されず、そもそも撮像対象部位が磁場中心からずれてしまう場合や、磁場中心に重なる要素コイルを選択することが必ずしも撮像に適したチャネルを選択することにならない場合などがある。ところが、どのチャネルを選択することが適切であるかを位置決め画像から判断することは難しい。このため、操作者は、チャネルの選択に疑義がある場合には、例えば位置決め画像の撮像をやり直していた。また、チャネルの選択が適切でなかったことが看過され、本スキャンまで実行されてしまった場合には、例えば本スキャンをやり直していた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操作者によるチャネル選択を支援することが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、位置決め画像撮像時、複数の要素コイルそれぞれにて受信された磁気共鳴信号データを、要素コイルに割り当てられたチャネル単位で収集し、収集した磁気共鳴信号データをチャネル単位で記憶部に格納する収集部と、位置決め画像撮像時に選択されたチャネルについて前記記憶部を参照し、当該記憶部に記憶された磁気共鳴信号データから画像を再構成する再構成部と、前記再構成部によって再構成された画像を表示する表示部と、チャネル選択の変更を受け付ける受付部と、前記受付部によって変更が受け付けられると、変更後のチャネルについて前記記憶部を参照し、当該記憶部に記憶された磁気共鳴信号データを用いて前記再構成部によって再構成された画像を補正する補正部と、前記補正部によって補正された画像に関する情報を表示する変更後表示部とを備える。
【0008】
また、本発明は、位置決め画像撮像時、複数の要素コイルそれぞれにて受信された磁気共鳴信号データを、要素コイルに割り当てられたチャネル単位で収集し、収集した磁気共鳴信号データをチャネル単位で記憶部に格納する収集部と、位置決め画像撮像時に選択されたチャネルについて前記記憶部を参照し、当該記憶部に記憶された磁気共鳴信号データから画像を再構成する再構成部と、前記再構成部によって再構成された画像を表示する表示部と、チャネル選択の変更を受け付ける受付部と、前記受付部によって変更が受け付けられると、変更後のチャネルについて前記記憶部を参照し、当該記憶部に記憶された磁気共鳴信号データから画像を再構成する変更後再構成部と、前記変更後再構成部によって再構成された画像に関する情報を表示する変更後表示部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作者によるチャネル選択を支援することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例1に係るMRI装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、受信コイルを説明するための図である。
【図3】図3は、位置決め画像の表示を説明するための図である。
【図4】図4は、チャネル選択のための画面を説明するための図である。
【図5】図5は、記憶部及び制御部の詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【図6】図6は、プロファイルデータを説明するための図である。
【図7A】図7Aは、位置決め画像データ及び感度マップ用データを説明するための図である。
【図7B】図7Bは、位置決め画像データ及び感度マップ用データを説明するための図である。
【図8】図8は、チャネル選択の変更後の画面を説明するための図である。
【図9】図9は、位置決め画像データの補正を説明するための図である。
【図10】図10は、チャネル選択の変更後の位置決め画像の表示を説明するための図である。
【図11】図11は、実施例1に係るMRI装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、実施例2における頭部用の受信コイルを説明するための図である。
【図13】図13は、再構成された画像を説明するための図である。
【図14】図14は、FOV指定の変更を説明するための図である。
【図15】図15は、折り返しアーチファクトの警告を説明するための図である。
【図16】図16は、実施例4に係るスティッチング画像を説明するための図である。
【図17】図17は、実施例4に係るチャネル選択のための画面を説明するための図である。
【図18】図18は、実施例4に係るMRI装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図19】図19は、実施例4に係るチャネル選択のための画面を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施例を説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
[MRI装置の構成]
まず、図1〜図10を用いて、実施例1に係るMRI装置の構成を説明する。図1は、実施例1に係るMRI装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、実施例1に係るMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、送信コイル6、送信部7、受信コイル8a〜8e、受信部9、及び計算機システム10を備える。
【0014】
静磁場磁石1は、中空の円筒形状に形成され、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石1は、例えば、永久磁石、超伝導磁石などである。
【0015】
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状に形成され、内部の空間に傾斜磁場を発生する。具体的には、傾斜磁場コイル2は、静磁場磁石1の内側に配置され、傾斜磁場電源3から電流の供給を受けて傾斜磁場を発生する。また、傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX、Y、Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わせて形成され、3つのコイルは、傾斜磁場電源3から個別に電流の供給を受けて、X、Y、Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。
【0016】
ここで、傾斜磁場コイル2によって発生するX、Y、Zの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge及びリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応している。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてNMR信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてNMR信号の周波数を変化させるために利用される。
【0017】
傾斜磁場電源3は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに従って、傾斜磁場コイル2に電流を供給する。
【0018】
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備え、天板4aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル2の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。
【0019】
寝台制御部5は、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0020】
送信コイル6は、高周波磁場を発生する。具体的には、送信コイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、送信部7から高周波パルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0021】
送信部7は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに従って、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信コイル6に送信する。
【0022】
受信コイル8a〜8eは、NMR信号を受信する。具体的には、受信コイル8a〜8eは、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから放射されるNMR信号を受信する。また、受信コイル8a〜8eは、受信したNMR信号を受信部9に出力する。
【0023】
ここで、図2を用いて、受信コイル8a〜8eを説明する。図2は、受信コイルを説明するための図である。具体的には、図2に例示するように、受信コイル8b及び8cは、それぞれ、被検体Pの背中と天板4aとの間に配置される脊椎用の受信コイルであり、いずれも、NMR信号を受信する要素コイルを複数有するマルチコイルである。図2に示す例では、受信コイル8b及び8cは、それぞれ、4つの要素コイルを有する。また、受信コイル8d及び8eは、それぞれ、被検体の腹側に装着される腹部用の受信コイルであり、いずれも、NMR信号を受信する要素コイルを複数有するマルチコイルである。図2に示す例では、受信コイル8d及び8eは、それぞれ、4つの要素コイルを有する。
【0024】
また、受信コイル8aは、被検体Pの頭部に装着される頭部用の受信コイルであり、NMR信号を受信する要素コイルを複数有するマルチコイルである。図2に示す例では、受信コイル8aは、3つの要素コイルを有する。ここで、チャネルには、一つまたは複数の要素コイルが割り当てられるが、実施例1においては、説明の便宜上、一つのチャネルに一つの要素コイルが割り当てられるものとして説明する。従って、図2に示す例では、3つの要素コイルに、それぞれ、『1ch』、『2ch』、『3ch』のチャネルが割り当てられる。
【0025】
図1に戻り、受信部9は、計算機システム10から送られるパルスシーケンス実行データに従って、受信コイル8a〜8eから出力されるNMR信号に基づきNMR信号データを生成する。具体的には、受信部9は、受信コイル8a〜8eから出力されるNMR信号をデジタル変換することによってNMR信号データを生成し、生成したNMR信号データを計算機システム10に送信する。
【0026】
ここで、実施例1に係るMRI装置100は、本スキャンを実行する前に、プロファイルデータの収集、位置決め画像データの収集、及び感度マップ用データの収集をそれぞれ行う。このため、受信部9は、プロファイルデータの収集段階、位置決め画像データの収集段階、感度マップ用データの収集段階、及び本スキャンのデータの収集段階ごとに、受信コイル8a〜8eから出力されるNMR信号に基づきNMR信号データを生成する。なお、受信部9は、受信コイル8a〜8eが有する要素コイルとチャネルとの割り当て関係を記憶しており、チャネル単位でNMR信号データを生成する。
【0027】
計算機システム10は、MRI装置100の全体制御や、NMR信号データの収集、画像の再構成などを行う。計算機システム10は、インタフェース部11、データ収集部12、制御部13、記憶部14、表示部15、及び入力部16を有する。
【0028】
インタフェース部11は、傾斜磁場電源3、寝台制御部5、送信部7及び受信部9と接続され、接続された各部と計算機システム10との間で授受されるデータの入出力を制御する。
【0029】
データ収集部12は、受信部9から送信されるチャネル単位のNMR信号データを収集する。データ収集部12は、NMR信号データを収集すると、収集したNMR信号データをチャネル単位で記憶部14に格納する。
【0030】
記憶部14は、データ収集部12によって収集されたNMR信号データをチャネル単位で記憶する。また、記憶部14は、後述する画像再構成補正部13eによって生成された画像データを被検体P単位で記憶する。例えば、記憶部14は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどである。なお、記憶部14については、後に詳細に説明する。
【0031】
表示部15は、後述する画像再構成補正部13eによって生成された画像や、チャネル選択のための画面などを表示する。例えば、表示部15は、液晶表示器などの表示デバイスである。
【0032】
例えば、表示部15は、図3に例示するように、位置決め画像を表示する。図3は、位置決め画像の表示を説明するための図である。例えば、表示部15は、一つのウィンドウ内に、実施例1において位置決め画像であるサジタル画像を表示するウィンドウを左側に表示し、実施例1において本スキャンの画像であるアキシャル画像を表示するウィンドウを右側に表示する。サジタル画像とは、被検体Pを側面からみた縦断面の画像である。また、アキシャル画像とは、被検体Pを体軸方向からみた横断面の画像である。なお、表示部15は、ウィンドウの右下に、『OK』ボタンと『Cancel』ボタンとを表示する。後述するように、『OK』ボタン及び『Cancel』ボタンは、チャネル選択の変更時及び確定時に用いられる。
【0033】
また、例えば、表示部15は、図4に例示するように、チャネル選択のための画面を表示する。図4は、チャネル選択のための画面を説明するための図である。例えば、表示部15は、受信コイル8a〜8eが有する要素コイルに割り当てられるチャネルを実際の配列に従って表示する。例えば実施例1における受信コイル8aは、3つの要素コイルを有するので、表示部15は、図4に例示するように、3つのチャネル(『頭部1ch』、『頭部2ch』、『頭部3ch』)を表示する。なお、表示部15は、ウィンドウの右下に、『OK』ボタンと『Cancel』ボタンとを表示する。後述するように、『OK』ボタン及び『Cancel』ボタンは、チャネル選択の変更時に用いられる。
【0034】
図1に戻り、入力部16は、操作者から各種操作や情報入力を受け付ける。例えば、入力部16は、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。
【0035】
制御部13は、上記した各部を制御することによってMRI装置100を総括的に制御する。例えば、制御部13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。なお、制御部13については、以下に詳細に説明する。
【0036】
次に、図5を用いて、記憶部14及び制御部13の詳細な構成を説明する。図5は、記憶部及び制御部の詳細な構成を示す機能ブロック図である。図5に示すように、記憶部14は、画像データ記憶部14aと、プロファイルデータ記憶部14bと、位置決め画像データ記憶部14cと、感度マップ用データ記憶部14dと、本スキャンデータ記憶部14eとを有する。
【0037】
画像データ記憶部14aは、データ収集部12と画像再構成補正部13eと接続され、データ収集部12によって収集されたNMR信号データをチャネル単位で記憶する。また、画像データ記憶部14aが記憶するNMR信号データは、画像再構成補正部13eによる処理に用いられる。
【0038】
ここで、上述したように、実施例1に係るMRI装置100は、本スキャンを実行する前に、プロファイルデータの収集、位置決め画像データの収集、及び感度マップ用データの収集をそれぞれ行う。このため、画像データ記憶部14aは、プロファイルデータの収集段階、位置決め画像データの収集段階、感度マップ用データの収集段階、及び本スキャンのデータの収集段階ごとに、データ収集部12によってNMR信号データを格納され、各段階ごとにNMR信号データを記憶する。
【0039】
プロファイルデータ記憶部14bは、画像再構成補正部13eとチャネル自動選択部13bと接続され、プロファイルデータを記憶する。具体的には、プロファイルデータ記憶部14bは、画像再構成補正部13eによって生成されたプロファイルデータをチャネル単位で記憶する。また、プロファイルデータ記憶部14bが記憶するプロファイルデータは、チャネル自動選択部13bによる処理に用いられる。
【0040】
ここで、プロファイルデータは、要素コイルごとの感度を示し、要素コイルの配列方向の感度を示す。例えば、スキャン制御部13aが、プロファイルデータの収集段階において、要素コイルの配列方向、すなわちZ軸方向に傾斜磁場を印加するように各部を制御し、データ収集部12が、例えば1エンコード分のNMR信号データをチャネル単位で収集する。すると、画像再構成補正部13eが、NMR信号データから投影データを生成し、プロファイルデータ記憶部14bに格納する。図6は、プロファイルデータを説明するための図である。例えば、『頭部1ch』、『頭部2ch』、『頭部3ch』が、撮影範囲内の要素コイルに割り当てられたチャネルである場合、プロファイルデータは、チャネル単位で図6に例示するような感度を示す。なお、プロファイルデータは、通常、要素コイルの位置の判定などに用いられる。
【0041】
位置決め画像データ記憶部14cは、画像再構成補正部13eと接続され、位置決め画像データを記憶する。具体的には、位置決め画像データ記憶部14cは、画像再構成補正部13eによって生成された位置決め画像データを記憶する。また、位置決め画像データ記憶部14cが記憶する位置決め画像データは、表示部15によって表示される。
【0042】
図7A及び7Bは、位置決め画像データ及び感度マップ用データを説明するための図である。図7Aは、位置決め画像データを例示し、図7Bは、感度マップ用データを例示する。例えば、チャネル自動選択部13bによって『頭部2ch』が選択されると、スキャン制御部13aは、位置決め画像データの収集段階において、『頭部2ch』の要素コイルを用いるように各部を制御し、データ収集部12が、NMR信号データを収集する。すると、画像再構成補正部13eが、NMR信号データから位置決め画像データを生成し、位置決め画像データ記憶部14cに格納する。位置決め画像データ記憶部14cは、例えば、図7Aに例示する位置決め画像データを記憶する。
【0043】
感度マップ用データ記憶部14dは、画像再構成補正部13eと接続され、感度マップ用データを記憶する。具体的には、感度マップ用データ記憶部14dは、画像再構成補正部13eによって生成された感度マップ用データをチャネル単位で記憶する。また、感度マップ用データ記憶部14dが記憶する感度マップ用データは、画像再構成補正部13eによる処理に用いられる。
【0044】
ここで、感度マップ用データは、要素コイルごとの感度を示し、感度の空間的分布を示す。例えば、スキャン制御部13aは、感度マップ用データの収集段階において、全身用の受信コイル(図示を省略)及び感度マップ用データを収集する対象となる要素コイルそれぞれを用いて同一スライスを撮像するように各部を制御し、データ収集部12が、例えば32エンコード分のNMR信号データをチャネル単位で収集する。すると、画像再構成補正部13eが、受信コイルで受信したNMR信号データからレファレンス(reference)画像を作成し、要素コイルで受信したNMR信号データから計測画像を作成する。そして、画像再構成補正部13eは、レファレンス画像と計測画像との比をピクセルごとに求めることにより感度マップ用データをチャネル単位で生成し、感度マップ用データ記憶部14dに格納する。例えば、感度マップ用データ記憶部14dは、図7Bに例示する感度マップ用データを記憶する。
【0045】
図7Bに例示する感度マップ用データは、左から順に、『頭部1ch』が割り当てられた要素コイルの感度マップ用データ、『頭部2ch』が割り当てられた要素コイルの感度マップ用データ、『頭部3ch』が割り当てられた要素コイルの感度マップ用データである。『頭部1ch』が割り当てられた要素コイルは、図2に例示したように、被検体Pの頭頂部側に位置する。このため、頭部のサジタル画像を撮影範囲とする場合には、図7Bに例示するように、頭頂部側かつ下側の輝度が高くなり、反対に、体側かつ上側の輝度が低くなる。
【0046】
『頭部2ch』が割り当てられた要素コイルは、図2に例示したように、被検体Pの頭部中央に位置する。このため、頭部のサジタル画像を撮影範囲とする場合には、図7Bに例示するように、下側の輝度が高くなり、反対に、上側の輝度が低くなる。『頭部3ch』が割り当てられた要素コイルは、図2に例示したように、被検体Pの体側に位置する。このため、頭部のサジタル画像を撮影範囲とする場合には、図7Bに例示するように、体側かつ下側の輝度が高くなり、反対に、頭頂部側かつ上側の輝度が低くなる。このように、要素コイルごとに感度マップ用データの特性は異なる。なお、上述した感度マップ用データの特性はあくまで一例に過ぎず、要素コイルの配置などによって変化するものである。
【0047】
本スキャンデータ記憶部14eは、画像再構成補正部13eと接続され、本スキャンのデータを記憶する。具体的には、本スキャンデータ記憶部14eは、画像再構成補正部13eによって生成された本スキャンの画像データを被検体P単位で記憶する。また、本スキャンデータ記憶部14eが記憶する本スキャンの画像データは、表示部15によって表示される。
【0048】
図5に戻り、制御部13は、スキャン制御部13aと、チャネル自動選択部13bと、チャネル選択変更受付部13cと、ROI指定受付部13dと、画像再構成補正部13eとを有する。
【0049】
スキャン制御部13aは、チャネル自動選択部13bと、チャネル選択変更受付部13cと、ROI指定受付部13dと接続され、スキャンを制御する。具体的には、スキャン制御部13aは、インタフェース部11を介して傾斜磁場電源3、寝台制御部5、送信部7及び受信部9などの各部との間で情報を送受信しながら、予め設定された撮像条件などにも従い、プロファイルデータの収集、位置決め画像データの収集、感度マップ用データの収集、及び本スキャンのデータの収集を制御する。
【0050】
例えば、スキャン制御部13aは、位置決め画像データの収集段階において、チャネル自動選択部13bからチャネルの識別情報を受け取ると、識別情報によって識別されるチャネルが割り当てられた要素コイルを用いるように各部を制御する。また、スキャン制御部13aは、本スキャンのデータの収集段階において、チャネル選択変更受付部13cからチャネルの識別情報を受け取り、ROI指定受付部13dからROIの指定を受け取ると、識別情報によって識別されるチャネルが割り当てられた要素コイルを用いて指定されたROIを撮像するように各部を制御する。
【0051】
チャネル自動選択部13bは、プロファイルデータ記憶部14bと、スキャン制御部13aと接続され、撮像に用いるチャネルを自動的に選択する。具体的には、チャネル自動選択部13bは、プロファイルデータ記憶部14bを参照し、チャネル単位で記憶されたプロファイルデータに基づき磁場中心に重なるチャネルを特定し、特定したチャネルを撮像に用いるチャネルとして選択する。すなわち、MRI装置100は、磁場中心の位置情報を有しているので、チャネル自動選択部13bは、例えば、磁場中心においてプロファイルデータの感度が最も強いチャネルを選択する。例えば、チャネル自動選択部13bは、『頭部2ch』を選択する。なお、上述したように、チャネルには要素コイルが割り当てられているので、チャネル自動選択部13bがチャネルを選択すると、撮像に用いる要素コイルを選択していることになる。そして、チャネル自動選択部13bは、選択したチャネルの識別情報をスキャン制御部13aに送る。
【0052】
チャネル選択変更受付部13cは、入力部16と、画像再構成補正部13eと、スキャン制御部13aと接続され、操作者によるチャネル選択の変更を受け付ける。例えば、図3に例示する画面において『Cancel』ボタンが押下されると、図4に例示するチャネル選択のための画面に切り替えて表示されるものとする。図4では、受信コイル8aの内、チャネル自動選択部13bによって『頭部2ch』が選択されているものとする。すると、操作者は、例えば、選択したいと考えるチャネルを示すアイコンを押下することで、チャネル選択を変更する。すると、例えば図8に例示するように、既に選択されている『頭部2ch』の替わりに、『頭部1ch』が選択されるように変更される。図8は、チャネル選択の変更後の画面を説明するための図である。すると、チャネル選択変更受付部13cは、入力部16を介して受け付けたチャネルの識別情報を画像再構成補正部13eに送信する。
【0053】
また、チャネル選択変更受付部13cは、操作者によるチャネル確定を受け付ける。例えば、図8に例示する画面において『OK』ボタンが押下され、図3に例示する画面に戻り、図3に例示する画面において再び『OK』ボタンが押下されると、チャネル選択変更受付部13cは、その時選択されていたチャネルの識別情報をスキャン制御部13aに送る。
【0054】
ROI指定受付部13dは、入力部16と、スキャン制御部13aと接続され、操作者によるROIの指定を受け付ける。例えば、図3に例示するように、左側のウィンドウに、実施例1において位置決め画像であるサジタル画像が表示されていたとする。すると、操作者は、例えばサジタル画像に対してマウスなどの入力部16を用いてドラッグ操作を行うことで、ROIの指定を行う。すると、ROI指定受付部13dは、入力部16を介して受け付けたROIの情報をスキャン制御部13aに送信する。なお、実施例1において、本スキャンが実行される前には、右側のウィンドウのアキシャル画像は表示されない。ROIが指定されてスキャン制御部13aによる本スキャンが実行され、画像再構成補正部13eによって本スキャンの画像データが再構成されると、右側のウィンドウにアキシャル画像が表示される。
【0055】
画像再構成補正部13eは、プロファイルデータ記憶部14bと、位置決め画像データ記憶部14cと、感度マップ用データ記憶部14dと、本スキャンデータ記憶部14eと、画像データ記憶部14aと接続される。
【0056】
画像再構成補正部13eは、プロファイルデータの収集段階においては、画像データ記憶部14aを参照し、画像データ記憶部14aに記憶されたチャネル単位のNMR信号データからプロファイルデータを生成する。そして、画像再構成補正部13eは、生成したチャネル単位のプロファイルデータをプロファイルデータ記憶部14bに格納する。
【0057】
また、画像再構成補正部13eは、位置決め画像データの収集段階においては、画像データ記憶部14aを参照し、画像データ記憶部14aに記憶された所定チャネルのNMR信号データから位置決め画像データを生成する。例えば、画像再構成補正部13eは、『頭部2ch』を用いて収集されたNMR信号データから位置決め画像データを生成する。そして、画像再構成補正部13eは、生成した位置決め画像データを位置決め画像データ記憶部14cに格納する。
【0058】
また、画像再構成補正部13eは、感度マップ用データの収集段階においては、画像データ記憶部14aを参照し、画像データ記憶部14aに記憶されたチャネル単位のNMR信号データから感度マップ用データを生成する。そして、画像再構成補正部13eは、生成したチャネル単位の感度マップ用データを感度マップ用データ記憶部14dに格納する。
【0059】
また、画像再構成補正部13eは、チャネル選択変更受付部13cからチャネルの識別情報を受け取ると、感度マップ用データ記憶部14dを参照し、識別情報によって識別されるチャネルの感度マップ用データを読み出す。また、画像再構成補正部13eは、位置決め画像データ記憶部14cを参照し、位置決め画像データを読み出す。そして、画像再構成補正部13eは、読み出した位置決め画像データを、読み出した感度マップ用データを用いて補正し、補正した位置決め画像データを表示部15に表示する。
【0060】
例えば、図8に例示したように、チャネル選択変更受付部13cによって『頭部1ch』が選択されるようにチャネル選択の変更が受け付けられたとする。すると、画像再構成補正部13eは、感度マップ用データ記憶部14dを参照し、『頭部1ch』の感度マップ用データを読み出す。また、画像再構成補正部13eは、位置決め画像データ記憶部14cを参照し、『頭部2ch』の要素コイルを用いて収集された位置決め画像データを読み出す。そして、画像再構成補正部13eは、図9に例示するように、読み出した位置決め画像データの輝度を、読み出した感度マップ用データを用いて補正する。図9は、位置決め画像データの補正を説明するための図である。
【0061】
すなわち、読み出した位置決め画像データは、『頭部2ch』の要素コイルを用いて収集されたNMR信号データから生成されているので、図7Bに例示したように、画像上方向の輝度が低く、下方向の輝度が高い画像データとなる。一方、補正後の位置決め画像データは、『頭部1ch』の感度マップ用データを用いて補正されている。ここで、『頭部1ch』の感度マップ用データは、図7Bに例示したように、右上方向の輝度が低く、左下方向の輝度が高い。このため、補正後の位置決め画像データは、図9に例示するように、右上方向の輝度が低く、左下方向の輝度が高い画像データとなる。こうして、画像再構成補正部13eは、例えば図10の左側に例示するようなサジタル画像を表示部15に出力する。図10は、チャネル選択の変更後の位置決め画像の表示を説明するための図である。
【0062】
ここで、画像再構成補正部13eがチャネル選択変更受付部13cから受け取ったチャネルは、チャネル自動選択部13bによって自動的に選択されたチャネルではなく、操作者によって選択されたチャネルである。従って、画像再構成補正部13eは、感度マップ用データを用いて位置決め画像データを補正し、表示部15に出力することで、操作者に、「チャネル選択を変更した場合に、画像にどのような違いが現れるか」といった判断材料を提供していることになる。
【0063】
例えば、患部が被検体Pの頭部中央付近に存在する場合には、図9に例示したように、『頭部2ch』が選択されるよりも『頭部1ch』が選択される方が望ましい場合がある(図3の右側に例示する本スキャンのデータ(アキシャル画像)、図10の右側に例示する本スキャンのデータ(アキシャル画像)を参照)。操作者は、位置決め画像に対してROIの指定を行うので、表示部15に出力された位置決め画像をみた時に、指定しようとするROIの輝度が低い場合には、本スキャンのデータにおいても輝度が低くなるであろうことを想定することができる。このため、操作者は、本スキャンのデータの輝度を向上させるべく、位置決め画像においてROIに該当する領域の輝度が高くなるように、チャネル選択を変更すると考えられる。実施例1に係るMRI装置100は、このような場合に、操作者に対して判断材料を提供することができる。
【0064】
なお、画像再構成補正部13eは、本スキャンのデータの収集段階においては、画像データ記憶部14aを参照し、画像データ記憶部14aに記憶された所定チャネルのNMR信号データから画像データを再構成する。そして、画像再構成補正部13eは、再構成した画像データを本スキャンデータ記憶部14eに格納する。
【0065】
[MRI装置による処理手順]
次に、図11を用いて、実施例1に係るMRI装置による処理手順を説明する。図11は、実施例1に係るMRI装置による処理手順を示すフローチャートである。
【0066】
図11に示すように、まず、スキャン制御部13aの制御によりプロファイルデータの収集が行われる(ステップS101)。具体的には、画像再構成補正部13eによってプロファイルデータが生成され、生成されたプロファイルデータがプロファイルデータ記憶部14bに格納される。
【0067】
次に、チャネル自動選択部13bが、磁場中心に基づきチャネルを選択する(ステップS102)。具体的には、チャネル自動選択部13bは、プロファイルデータ記憶部14bを参照し、例えば、磁場中心においてプロファイルデータの感度が最も強いチャネルを選択する。例えば、受信コイル8aの『頭部2ch』を選択する。
【0068】
そして、スキャン制御部13aの制御により位置決め画像データの収集が行われ(ステップS103)、続いて、感度マップ用データの収集が行われる(ステップS104)。次に、画像再構成補正部13eが、位置決め画像データ記憶部14cを参照し、位置決め画像データを再構成し、表示部15に表示させる(ステップS105)。例えば、図3に示す左側のウィンドウのようにサジタル画像を表示させる。
【0069】
ここで、MRI装置100は、チャネル選択変更受付部13cにおいてチャネル選択の変更を受け付けるか、あるいはチャネル確定を受け付けるかを待機しながら判定している(ステップS106)。
【0070】
チャネル選択変更受付部13cにおいてチャネル選択の変更を受け付けると、画像再構成補正部13eは、変更後のチャネルに対応する感度マップ用データを用いてサジタル画像を補正し、表示部15に表示させる(ステップS107)。すなわち、画像再構成補正部13eは、チャネル選択変更受付部13cからチャネルの識別情報を受け取ると、感度マップ用データ記憶部14dを参照し、識別情報によって識別されるチャネルの感度マップ用データを読み出す。また、画像再構成補正部13eは、位置決め画像データ記憶部14cから位置決め画像データを読み出し、読み出した感度マップ用データを用いて、読み出した位置決め画像データの輝度を補正し、表示部15に表示させる。例えば、受信コイル8aの『頭部1ch』が選択されるようにチャネル選択の変更が受け付けられ、図10に例示する左側のウィンドウのようにサジタル画像を表示させる。
【0071】
すると、MRI装置100は、チャネル選択の変更を受け付けるか、あるいはチャネル確定を受け付けるかを再び待機し(ステップS106)、チャネル確定を受け付けた場合には、ROI指定受付部13dによるROI指定へと移行する(ステップS108)。
【0072】
そして、ROI指定受付部13dがROIの指定を受け付けると(ステップS108肯定)、スキャン制御部13aによる本スキャンへと移行する(ステップS109)。なお、画像再構成補正部13eは、本スキャンによって収集されたNMR信号データから画像データを再構成し、表示部15に表示させる。すなわち、画像再構成補正部13eは、ROI指定受付部13dからROIの指定を受け取ると、画像データ記憶部14aを参照し、ROIに従って画像データを再構成し、表示部15に表示させる。例えば、図10に例示する右側のウィンドウのようにアキシャル画像を表示させる。
【0073】
なお、実施例1に係るMRI装置100は、上記処理手順に従って処理を実行したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、位置決め画像データの収集(ステップS103)と感度マップ用データの収集(ステップS104)とが反対の順で実行されてもよい。また、実施例1においては、MRI装置100が、プロファイルデータの収集、位置決め画像データの収集、及び感度マップ用データの収集をそれぞれ行う手法を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、収集した感度マップ用データからプロファイルデータを作成する手法など、収集したデータから他のデータを作成することができる場合には、必要なデータを適宜作成する手法でもよい。この場合には、上記処理手順も手法に応じて変更される。
【0074】
[実施例1の効果]
上記してきたように、実施例1に係るMRI装置100において、スキャン制御部13aの制御によりデータ収集部12が、位置決め画像撮像時、複数の要素コイルそれぞれにて受信されたNMR信号データを、要素コイルに割り当てられたチャネル単位で収集する。そして、データ収集部12は、収集したNMR信号データをチャネル単位で記憶部14に格納する。また、画像再構成補正部13eが、位置決め画像撮像時に選択されたチャネルについて記憶部14を参照し、記憶部14に記憶されたNMR信号データから位置決め画像を再構成する。また、表示部15が、再構成された位置決め画像を表示する。また、チャネル選択変更受付部13cが、チャネル選択の変更を受け付ける。そして、画像再構成補正部13eは、チャネル選択変更受付部13cによって変更が受け付けられると、変更後のチャネルについて記憶部14を参照し、記憶部14に記憶されたNMR信号データを用いて位置決め画像を補正する。また、表示部15が、補正された位置決め画像に関する情報を表示する。
【0075】
このようなことから、実施例1によれば、チャネル選択を変更した場合に画像にどのような違いが現れるかを示す情報が表示部15に表示されるので、操作者は、その情報に基づいてどのチャネルの選択することが適切であるかを判断することが可能になる。また、表示部15に表示される情報は、最初の位置決め画像撮像時に収集されたNMR信号データを用いて生成される情報であるので、位置決め画像の撮像をやり直す必要もない。結果として、撮像時間は短縮され、患者の負荷も減少することになる。
【実施例2】
【0076】
実施例1においては、チャネル選択の変更時に、感度マップ用データを用いて位置決め画像を補正する手法を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、チャネル選択の変更時に、位置決め画像を再構成する手法でもよい。以下、実施例2として、位置決め画像を再構成する手法を説明する。
【0077】
実施例2における受信コイル8aは、実施例1と同様、被検体Pの頭部に装着される頭部用の受信コイルであり、NMR信号を受信する要素コイルを複数有するマルチコイルである。実施例2において、被検体Pの頭部と受信コイル8aのチャネルとの関係は、例えば図12に例示するようになる。また、実施例2において、位置決め画像は、図12に例示するようなアキシャル画像であるとする。なお、図12は、実施例2における頭部用の受信コイルを説明するための図である。
【0078】
また、実施例2におけるスキャン制御部13aは、位置決め画像データの収集段階において、チャネル自動選択部13bから選択されたチャネルが割り当てられた要素コイルを用いて位置決め画像データを収集するだけでなく、全ての要素コイルについて位置決め画像データを収集するように各部を制御する。このため、画像再構成補正部13eは、位置決め画像データの収集段階において、画像データ記憶部14aを参照し、画像データ記憶部14aに記憶された全てのチャネルのNMR信号データから位置決め画像データをチャネル単位で生成する。また、位置決め画像データ記憶部14cは、全てのチャネルの位置決め画像データを記憶する。
【0079】
このような構成のもと、例えば、受信コイル8aの内、チャネル自動選択部13bによって『頭部3ch』が選択されているとする。そして、操作者は、既に選択されている『頭部3ch』の他に、『頭部1ch』及び『頭部2ch』が選択されるように、チャネル選択のための画面上でアイコンを押下したとする。すると、チャネル選択変更受付部13cは、入力部16を介して受け付けたチャネルの識別情報を画像再構成補正部13eに送信する。
【0080】
一方、画像再構成補正部13eは、チャネル選択変更受付部13cからチャネルの識別情報を受け取ると、位置決め画像データ記憶部14cを参照し、位置決め画像データを読み出す。例えば、画像再構成補正部13eは、チャネル選択変更受付部13cから、『頭部1ch』、『頭部2ch』、及び『頭部3ch』を識別する識別情報を受け取ると、位置決め画像データ記憶部14cから、『頭部1ch』、『頭部2ch』、及び『頭部3ch』それぞれの位置決め画像データを読み出す。そして、画像再構成補正部13eは、読み出した位置決め画像データから合成画像(Sum Of Squares)を再構成し、再構成した合成画像を表示部15に表示する。
【0081】
図13は、再構成された画像を説明するための図である。再構成された画像は、図13に例示するように、画像全体の輝度が向上し、明るくなると考えられる。すなわち、『頭部1ch』、『頭部2ch』及び『頭部3ch』全てが選択された場合の合成画像のある点の画像信号Sは、『頭部1ch』のある点の画像信号をS1、『頭部2ch』のある点の画像信号をS2、『頭部3ch』のある点の画像信号をS3とすると、「S=S1*S1+S2*S2+S3*S3」の計算式(『*』は掛け算を示す、場合により右辺全体のルート)で計算される。こうして、太線の丸で示した患部付近の輝度も強まり、医用画像の画質も向上している。
【0082】
なお、実施例2において、例えば『頭部3ch』から『頭部1ch』にチャネル選択の変更が行われた場合には、画像再構成補正部13eは、チャネル選択変更受付部13cから『頭部1ch』を識別する識別情報を受け取ると、位置決め画像データ記憶部14cから『頭部1ch』の位置決め画像データを読み出す。そして、画像再構成補正部13eは、読み出した位置決め画像データを表示部15に表示すればよい。
【0083】
[実施例2の効果]
上記してきたように、実施例2に係るMRI装置100において、スキャン制御部13aの制御によりデータ収集部12が、位置決め画像撮像時、複数の要素コイルそれぞれにて受信されたNMR信号データを、要素コイルに割り当てられたチャネル単位で収集する。そして、データ収集部12は、収集したNMR信号データをチャネル単位で記憶部14に格納する。また、画像再構成補正部13eが、位置決め画像撮像時に選択されたチャネルについて記憶部14を参照し、記憶部14に記憶されたNMR信号データから位置決め画像を再構成する。また、表示部15が、再構成された位置決め画像を表示する。また、チャネル選択変更受付部13cが、チャネル選択の変更を受け付ける。そして、画像再構成補正部13eは、チャネル選択変更受付部13cによって変更が受け付けられると、変更後のチャネルについて記憶部14を参照し、記憶部14に記憶されたNMR信号データから位置決め画像を再構成する。また、表示部15が、再構成された位置決め画像に関する情報を表示する。
【0084】
このようなことから、実施例2によれば、実施例1と同様、チャネル選択を変更した場合に画像にどのような違いが現れるかを示す情報が表示部15に表示されるので、操作者は、その情報に基づいてどのチャネルの選択することが適切であるかを判断することが可能になる。また、表示部15に表示される情報は、最初の位置決め画像撮像時に収集されたNMR信号データを用いて生成される情報であるので、位置決め画像の撮像をやり直す必要もない。結果として、撮像時間は短縮され、患者の負荷も減少することになる。
【実施例3】
【0085】
さて、実施例1や実施例2においては、操作者からチャネル選択の変更を受け付けた場合に、変更後の位置決め画像を表示部15に表示することで、「チャネル選択を変更した場合に、画像にどのような違いが現れるか」といった判断材料を操作者に提供する事例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、操作者からFOV(Field Of View)指定の変更をさらに受け付けた場合に、変更後の画像を表示部15に表示することで、「FOVを変更した場合に、画像にどのような違いが現れるか」といった判断材料を操作者にさらに提供してもよい。
【0086】
例えば、MRI装置100が、『50×50』から『20×20』にFOV指定を変更する指示を操作者から受け付けたとする。すると、画像再構成補正部13eは、位置決め画像データ記憶部14cを参照し、位置決め画像データを読み出して、『20×20』のFOV指定に従って画像を補正もしくは再構成し、表示部15に表示する。例えば、画像再構成補正部13eは、図14に例示するように、符号aに示すアキシャル画像に替え、符号bに示すアキシャル画像を表示する。あるいは、画像再構成補正部13eは、符号cに示すように、『20×20』のFOV指定に従って切り出した画像に拡大処理を施して表示してもよい。なお、図14は、FOV指定の変更を説明するための図である。
【0087】
また、例えば、FOV指定の変更により折返しアーチファクトが発生する場合に、その画像や警告を表示してもよい。
【0088】
ここで、折り返しアーチファクトについて簡単に説明する。MRIの分野においては、パラレルイメージング法と呼ばれる高速撮像法が知られている。パラレルイメージング法は、マルチコイルを用いるとともに位相エンコードをスキップさせることで、画像の再構成に必要な位相エンコード数を要素コイル数分の1に減らす手法である。例えば、要素コイルを3つ有する頭部コイルの場合、各要素コイルは1/3の位相エンコード数でNMR信号を収集すればよいので、撮像時間は短縮され、撮像の高速化を図ることができる。
【0089】
ここで、各要素コイルから収集したNMR信号を再構成した画像には、その画像の端に折り返しが生じる。このため、パラレルイメージング法では、各要素コイルの感度が異なることを利用して各要素コイルに対応して得られた画像それぞれを展開する展開処理を行い、展開処理が行われた画像それぞれを合成することで、折り返しの無い画像を得る。
【0090】
もっとも、被検体の実在領域が撮像条件で指定されたFOVの中に納まらない限り、折り返しアーチファクトが生じてしまう。例えば、倍速率が2倍速の場合、折り返しは高々2点の重なりに留まり、2点の重なりを前提とした展開処理を行えば、折り返しの無い画像が得られるはずである。しかしながら、被検体の実在領域が納まらないFOVを指定してしまうと、例えば一部に3点の重なりが生じるといった事態になり、2点の重なりを前提とした展開処理を行ったとしても、折り返しは無くならない。
【0091】
そこで、例えば、MRI装置100が、『50×50』から『20×20』にFOV指定を変更する指示を操作者から受け付けたとする。すると、画像再構成補正部13eは、位置決め画像データ記憶部14cを参照し、位置決め画像データを読み出して、『20×20』のFOV指定に従って画像を補正もしくは再構成し、表示部15に表示する。例えば、画像再構成補正部13eは、図15に例示するように、符号aに示すアキシャル画像に替え、符号bに示すアキシャル画像を表示する。符号bのアキシャル画像では、折り返しアーチファクトが生じている。あるいは、画像再構成補正部13eは、NMR信号データを再構成して被検体の実在領域を解析し、指定されたFOVの中に納まらないことを判定すると、符号cに示すように、「折り返しアーチファクトが発生します!」といった警告情報を表示してもよい。なお、図15は、折り返しアーチファクトの警告を説明するための図である。
【0092】
なお、実施例3においては、FOV指定の変更を受け付けた場合に変更後の画像を表示する手法や、FOV指定の変更により折返しアーチファクトが発生する場合にその画像や警告を表示する手法を説明した。これらの手法は、必ずしも実施例1や実施例2において説明した手法を前提とするものではない。すなわち、実施例3において説明したこれらの手法は、チャネル選択の変更に伴い画像を補正したり再構成する手法とは別に、それぞれ単独で実施することも可能である。
【0093】
例えば、データ収集部12が、位置決め撮像時、NMR信号データを収集して記憶部14に格納する。また、画像再構成補正部13eが、記憶部14に記憶されたNMR信号データから画像(位置決め画像、又は、本スキャンを実行した結果取得されると予測される画像を模式的に示す模式画像など)を再構成する。また、表示部15が、再構成された画像(例えば、図14の符号aの画像、図15の符号aの画像など)を表示する。また、スキャン制御部13aが、FOV指定の変更を受け付け、これを画像再構成補正部13eに通知する。そして、画像再構成補正部13eが、変更後のFOVとなるように、表示部15に表示中の画像を記憶部14に記憶されたNMR信号データを用いて補正もしくは再構成し、表示部15が、補正もしくは再構成された画像(例えば、図14の符号bの画像、符号cの画像、図15の符号bの画像など)や、補正もしくは再構成された画像に生じる変化を通知するための情報(例えば、図15の符号cの情報など)を表示する。
【実施例4】
【0094】
続いて、実施例4を説明する。実施例4においては、撮像の対象画像が「スティッチング画像」である場合を説明する。
【0095】
MRI装置による撮像においては、被検体の複数部位にまたがる広い範囲を撮像する場合に、被検体が載せられた天板を移動しながら部分的に重複した複数の画像を撮像し、撮像した画像をつなぎ合わせて1枚の画像に合成する手法が用いられる。このように、複数の画像をつなぎ合わせて1枚の画像に合成する処理を「スティッチング処理」と呼び、スティッチング処理によって得られる合成画像を「スティッチング画像」と呼ぶ。
【0096】
図16は、実施例4に係るスティッチング画像を説明するための図である。例えば、実施例4に係るMRI装置100は、本スキャンを実行した結果として、図16に例示する「スティッチング画像」を収集するものとする。なお、以下では、天板を移動しながら行われる1回の撮像を「ステージ(stage)」と呼ぶ。図16に例示する「スティッチング画像」は、3ステージの撮像によって収集された3枚の画像(符号aの画像、符号bの画像、及び符号cの画像)をつなぎ合わせたものである。
【0097】
さて、例えば上述した実施例1に係るMRI装置100は、感度マップ用データを用いて位置決め画像データを補正し、表示部15に出力することで、操作者に、「チャネル選択を変更した場合に、画像にどのような違いが現れるか」といった判断材料を提供した。この点、実施例4に係るMRI装置100も、補正後の位置決め画像データを表示部15に出力し、判断材料を操作者に提供する点で、同様である。もっとも、実施例4に係るMRI装置100は、撮像の対象画像が「スティッチング画像」であることをさらに考慮する。
【0098】
図17は、実施例4に係るチャネル選択のための画面を説明するための図である。図17に例示するように、実施例4に係る表示部15は、位置決め画像として、スティッチング処理が施されたスティッチング画像を表示する。図16において、撮像の対象画像であるコロナル(coronal)画像を例示したが、これに対応する位置決め画像が、図17に例示するサジタル画像である。
【0099】
撮像の対象画像がスティッチング画像である場合、操作者において、例えば「スティッチング画像の境界領域における輝度変化が滑らかな画像を収集したい」といった要望がある。ステージ毎の位置決め画像それぞれが個別に表示されたとしても、操作者は、スティッチング画像の境界領域における輝度変化が滑らかであるか否かを判断することは難しい。これに対し、位置決め画像としてスティッチング処理が施されたスティッチング画像が表示されていれば、操作者は、スティッチング画像の境界領域における輝度変化が滑らかであるか否かを判断することが容易である。
【0100】
例えば、操作者は、図17に例示する画面に表示された位置決め画像をみた時に、例えば符号aの画像と符号bの画像との境界領域において、符号a側の輝度は高いが、符号b側の輝度が低いため、その輝度変化が滑らかではなく、スティッチング画像として不自然である、と考えたとする。このような不自然さは、本スキャンによって収集されるコロナル画像においても同様に出現するであろうことも予想される。このため、操作者は、少なくとも位置決め画像としてのスティッチング画像の境界領域における輝度変化が滑らかになるように、チャネル選択を変更する。
【0101】
なお、図17の例では、チャネル選択のための画面と同じ画面上にスティッチング画像を表示する。被検体とチャネルとの相対的な位置関係を操作者に対して提示することで、チャネル選択の変更をより簡単に行わせることができるという効果を奏する。なお、チャネル選択のための画面と位置決め画像とを同じ画面上に表示する手法は、実施例1や実施例2においても同様に適用できる。
【0102】
次に、図18を用いて、実施例4に係るMRI装置による処理手順を説明する。図18は、実施例4に係るMRI装置による処理手順を示すフローチャートである。
【0103】
図18に示すように、まず、スキャン制御部13aは、撮像条件の一つとして、例えばFOVの指定を受け付ける(ステップS201)。なお、FOVの指定に限られるものではなく、例えば、複数の関心部位がマウスによる操作によって指定される場合や、「頚椎の5番目」といった名前が複数指定される場合などでもよい。
【0104】
次に、スキャン制御部13aは、ステージ数を決定する(ステップS202)。例えば、スキャン制御部13aは、ステップS201におけるFOVの指定が広範囲であることに基づいて、「3ステージ」と決定する。
【0105】
そして、ステージ毎に、以下ステップS203〜S206の処理が行われる。
【0106】
まず、スキャン制御部13aの制御によりプロファイルデータの収集が行われる(ステップS203)。具体的には、画像再構成補正部13eによってプロファイルデータが生成され、生成されたプロファイルデータがプロファイルデータ記憶部14bに格納される。
【0107】
次に、チャネル自動選択部13bが、磁場中心に基づきチャネルを選択する(ステップS204)。具体的には、チャネル自動選択部13bは、プロファイルデータ記憶部14bを参照し、例えば、磁場中心においてプロファイルデータの感度が最も強いチャネルを選択する。
【0108】
そして、スキャン制御部13aの制御により位置決め画像データの収集が行われ(ステップS205)、続いて、感度マップ用データの収集が行われる(ステップS206)。
【0109】
ここで、スキャン制御部13aは、ステップS202において決定した全ステージについて処理を完了したかを判定し(ステップS207)、完了していないと判定した場合には(ステップS207否定)、再び、ステップS203の処理に戻る。
【0110】
一方、例えば3ステージの処理が完了し、スキャン制御部13aが、全ステージについて処理を完了したと判定した場合には(ステップS207肯定)、続いて、画像再構成補正部13eが、位置決め画像データを再構成し、表示部15に表示させる(ステップS208)。
【0111】
この時、画像再構成補正部13eは、位置決め画像データ記憶部14cを参照し、ステージ毎に収集された位置決め画像データそれぞれから、3枚の位置決め画像を再構成し、再構成した位置決め画像に対してスティッチング処理を施して、スティッチング画像を生成する。そして、画像再構成補正部13eは、スティッチング画像を表示部15に表示させる(ステップS208)。例えば、図17に示すように、スティッチング処理が施されたサジタル画像を表示させる。
【0112】
次に、MRI装置100は、チャネル選択変更受付部13cにおいてチャネル選択の変更を受け付けるか、あるいはチャネル確定を受け付けるかを待機しながら判定している(ステップS209)。
【0113】
チャネル選択変更受付部13cにおいてチャネル選択の変更を受け付けると、画像再構成補正部13eは、変更後のチャネルに対応する感度マップ用データを用いてサジタル画像を補正し、表示部15に表示させる(ステップS210)。
【0114】
すなわち、画像再構成補正部13eは、チャネル選択変更受付部13cからチャネルの識別情報を受け取ると、感度マップ用データ記憶部14dを参照し、識別情報によって識別されるチャネルの感度マップ用データを読み出す。また、画像再構成補正部13eは、位置決め画像データ記憶部14cから位置決め画像データを読み出し、読み出した感度マップ用データを用いて、読み出した位置決め画像データの輝度を補正し、表示部15に表示させる。
【0115】
ここで、画像再構成補正部13eは、このような補正処理を、スティッチング処理が施される前の個別の位置決め画像に対して行うことになるが、その後、補正後の位置決め画像を用いて再びスティッチング処理を施し、新たなスティッチング画像を表示部15に表示させる。
【0116】
すると、MRI装置100は、チャネル選択の変更を受け付けるか、あるいはチャネル確定を受け付けるかを再び待機し(ステップS209)、チャネル確定を受け付けた場合には、ROI指定受付部13dによるROI指定へと移行する(ステップS211)。
【0117】
そして、ROI指定受付部13dがROIの指定を受け付けると(ステップS211肯定)、スキャン制御部13aによる本スキャンへと移行する(ステップS212)。なお、画像再構成補正部13eは、本スキャンによって収集されたNMR信号データから画像データを再構成し、表示部15に表示させる。なお、上記処理手順を任意に変更してよい点などは、実施例1や実施例2と同様である。
【0118】
なお、図17の例では、位置決め画像としてスティッチング処理が施されたスティッチング画像を表示する手法を説明したが、必ずしもスティッチング画像を表示しなくても、例えば図19に例示するように、個別の位置決め画像を並べて表示する手法でもよい。図19は、実施例4に係るチャネル選択のための画面を説明するための図である。
【0119】
図19に示す場合にも、操作者は、スティッチング画像の境界領域における輝度変化が滑らかであるか否かを、ある程度判断することが可能である。例えば、操作者は、図19に例示する画面に表示された位置決め画像をみた時に、例えば符号aの画像における符号b側の輝度と、符号bの画像における符号a側の輝度とを見比べて、前者の輝度は高いが、後者の輝度は低いため、その輝度変化が滑らかではなく、スティッチング画像として不自然になるのではないか、と予測したとする。このような不自然さは、本スキャンによって収集されるコロナル画像においても同様に出現するであろうことも予想される。このため、操作者は、個別の位置決め画像を見比べながら、境界領域における輝度変化が滑らかになるように、チャネル選択を変更する。
【0120】
なお、実施例4においては、感度マップ用データを用いて位置決め画像データを補正する手法を例に挙げて、撮像の対象画像が「スティッチング画像」である場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。実施例2のように、チャネル選択の変更時に位置決め画像を再構成する手法においても、撮像の対象画像が「スティッチング画像」である場合を同様に適用することができる。
【実施例5】
【0121】
その他、本発明は、上記した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0122】
例えば、実施例1や実施例2では、チャネル選択の変更を操作者から受け付けると、変更後の位置決め画像(サジタル画像やアキシャル画像)を表示部15に表示する手法を説明した。しかしながら本発明はこれに限られるものではない。例えば、MRI装置100は、変更後のサジタル画像やアキシャル画像の輝度がどのように変化するかを通知する情報を表示してもよい。例えば、チャネル選択の変更前にサジタル画像やアキシャル画像上でROIが指定されている場合には、MRI装置100は、サジタル画像やアキシャル画像上のROIの位置を把握しているはずである。そこで、MRI装置100は、「ROIの輝度が著しく低下します。」といった警告情報を表示してもよい。
【0123】
また、例えば、MRI装置100が、チャネル選択の変更を操作者から受け付けたとする。すると、MRI装置100は、本スキャンにおける再構成時間を推測して計算し、計算した再構成時間を表示部15に表示してもよい。また、例えば、MRI装置100が、倍速率の変更を操作者から受け付けたとする。すると、MRI装置100は、例えば高い倍速率に変更された場合には、感度を低下させた位置決め画像を生成し、表示部15に表示してもよい。また、撮像条件に関するその他の条件を入力し、入力された条件に従って生成されたり計算される変更後の情報を表示部15に表示してもよい。
【0124】
また、上記の実施例では、位置決め画像撮像時に自動的にチャネルを選択する機能を用いる手法を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。位置決め画像撮像時に操作者がチャネルを選択した場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0125】
また、上記の実施例1においては、説明の便宜上、要素コイルごとの感度の特性が横方向に異なる例を用いて説明したが、これに限られるものではない。例えば、要素コイルごとの感度の特性が頭部周方向に異なる場合に、要素コイルごとの感度の空間的分布に応じて位置決め画像の輝度を補正するなどしてもよい。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0127】
100 MRI装置
13 制御部
13a スキャン制御部
13b チャネル自動選択部
13c チャネル選択変更受付部
13d ROI指定受付部
13e 画像再構成補正部
14 記憶部
14a 画像データ記憶部
14b プロファイルデータ記憶部
14c 位置決め画像データ記憶部
14d 感度マップ用データ記憶部
14e 本スキャンデータ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決め画像撮像時、複数の要素コイルそれぞれにて受信された磁気共鳴信号データを、要素コイルに割り当てられたチャネル単位で収集し、収集した磁気共鳴信号データをチャネル単位で記憶部に格納する収集部と、
位置決め画像撮像時に選択されたチャネルについて前記記憶部を参照し、当該記憶部に記憶された磁気共鳴信号データから画像を再構成する再構成部と、
前記再構成部によって再構成された画像を表示する表示部と、
チャネル選択の変更を受け付ける受付部と、
前記受付部によって変更が受け付けられると、変更後のチャネルについて前記記憶部を参照し、当該記憶部に記憶された磁気共鳴信号データを用いて前記再構成部によって再構成された画像を補正する補正部と、
前記補正部によって補正された画像に関する情報を表示する変更後表示部と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
撮像野指定の変更を受け付ける撮像野受付部をさらに備え、
前記補正部は、前記撮像野受付部によって変更が受け付けられると、変更後の撮像野となるように、前記記憶部に記憶された磁気共鳴信号データを用いて前記画像を補正する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記変更後表示部は、補正された画像を表示する、請求項1または2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記変更後表示部は、補正された画像に生じる変化を通知するための情報を表示する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記磁気共鳴イメージング装置により行われる撮像は、複数の画像に対してスティッチング処理が施されたスティッチング画像を出力するものであって、
前記再構成部は、再構成された複数の画像に対してスティッチング処理を行うことでスティッチング画像を生成し、
前記表示部は、前記再構成部によって生成されたスティッチング画像を表示し、
前記補正部は、補正された画像を用いてさらにスティッチング処理を行うことで補正後のスティッチング画像を生成し、
前記変更後表示部は、前記補正された画像に関する情報として、前記補正後のスティッチング画像を表示する、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
位置決め画像撮像時、複数の要素コイルそれぞれにて受信された磁気共鳴信号データを、要素コイルに割り当てられたチャネル単位で収集し、収集した磁気共鳴信号データをチャネル単位で記憶部に格納する収集部と、
位置決め画像撮像時に選択されたチャネルについて前記記憶部を参照し、当該記憶部に記憶された磁気共鳴信号データから画像を再構成する再構成部と、
前記再構成部によって再構成された画像を表示する表示部と、
チャネル選択の変更を受け付ける受付部と、
前記受付部によって変更が受け付けられると、変更後のチャネルについて前記記憶部を参照し、当該記憶部に記憶された磁気共鳴信号データから画像を再構成する変更後再構成部と、
前記変更後再構成部によって再構成された画像に関する情報を表示する変更後表示部と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記磁気共鳴イメージング装置により行われる撮像は、複数の画像に対してスティッチング処理が施されたスティッチング画像を出力するものであって、
前記再構成部は、再構成された複数の画像に対してスティッチング処理を行うことでスティッチング画像を生成し、
前記表示部は、前記再構成部によって生成されたスティッチング画像を表示し、
前記変更後再構成部は、再構成されたチャネル変更後の画像を用いてさらにスティッチング処理を行うことでチャネル変更後のスティッチング画像を生成し、
前記変更後表示部は、前記再構成された画像に関する情報として、前記チャネル変更後のスティッチング画像を表示する、請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
位置決め画像撮像時、磁気共鳴信号データを収集し、収集した磁気共鳴信号データを記憶部に格納する収集部と、
前記記憶部を参照し、当該記憶部に記憶された磁気共鳴信号データから画像を再構成する再構成部と、
前記再構成部によって再構成された画像を表示する表示部と、
撮像野指定の変更を受け付ける撮像野受付部と、
前記撮像野受付部によって変更が受け付けられると、変更後の撮像野となるように、前記記憶部に記憶された磁気共鳴信号データを用いて前記画像を補正する補正部と、
前記補正部によって補正された画像を表示する変更後表示部と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
位置決め画像撮像時、磁気共鳴信号データを収集し、収集した磁気共鳴信号データを記憶部に格納する収集部と、
前記記憶部を参照し、当該記憶部に記憶された磁気共鳴信号データから画像を再構成する再構成部と、
前記再構成部によって再構成された画像を表示する表示部と、
撮像野指定の変更を受け付ける撮像野受付部と、
前記撮像野受付部によって変更が受け付けられると、変更後の撮像野となるように、前記記憶部に記憶された磁気共鳴信号データを用いて前記画像を補正する補正部と、
前記補正部によって補正された画像に生じる変化を通知するための情報を表示する変更後表示部と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−115561(P2011−115561A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217656(P2010−217656)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】