説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】被検体からECG信号を取得することなく心周期の時相情報を得ることが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供することである。
【解決手段】磁気共鳴イメージング装置は、心電情報取得手段および画像データ生成手段を備える。心電情報取得手段は、被検体から取得した心電信号以外の拍動を表す生体信号に同期して前記被検体の心電信号を推定するための磁気共鳴信号を収集し、収集した前記磁気共鳴信号から推定した前記心電信号の基準波の位置と、前記生体信号の同期位置との時間差を求める。画像データ生成手段は、前記生体信号に同期して、特定の心時相に対応するイメージング用の磁気共鳴信号を前記時間差に基づいて収集し、収集した前記イメージング用の磁気共鳴信号から前記特定の心時相に対応する画像データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の原子核スピンをラーモア周波数の高周波(RF: radio frequency)信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する核磁気共鳴(NMR: nuclear magnetic resonance)信号から画像を再構成する磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)装置に係り、特に、脈波情報等の心電図(ECG: electro cardiogram)以外の生体情報を利用して心周期の時相情報を得ることが可能な磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数のRF信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するMR信号から画像を再構成する撮像法である。
【0003】
MRI装置を用いて心周期の特定の時相における画像を得るためには、患者となる被検体から得られるECG波形と同期して所定のタイミングでパルスシーケンスを実行し、収集されたエコー信号の画像再構成を行う必要がある。
【0004】
しかしながら、ECG波形を得るためには、イメージングに先立って、被検体にECG信号の検出用の電極を装着することが必要となり労力を要する。しかも、被検体によっては適切なECG信号を収集するために電極の装着位置を修正することが必要となるという問題がある。さらに、イメージングの際における傾斜磁場スイッチングの影響によりECG波形にノイズが誘導され、ECG同期イメージングを適切に行うことができない場合や、イメージングを行うことができたとしても画質が低下する場合がある。また、ECG同期イメージングでは、被検体に電極を装着した状態でイメージング用のRFパルスが印加される。このため、電極、ECG波形を伝送するための信号線および人体によって形成されるループにRFパルスが誘導され、被検体が火傷する危険性がある。このような問題は、RFパルスの電力が大きい高磁場MRI装置において特に顕著となる。
【0005】
このような背景から、被検体からECG信号を検出する代わりに指、つま先、耳朶等の被検体の部位に装着したセンサにより被検体の脈波信号を検出し、脈波信号に同期させてイメージングする脈波同期(PPG: peripheral pulse gating)法が考案されている(例えば非特許文献1参照)。このPPG法によれば、ECG電極を被検体に取り付ける手間を省くことが可能となり、かつ傾斜磁場中におけるECG波形の乱れに起因して適切な同期が困難になるという問題も解決することができる。さらに、高磁場MRI装置において電極の発熱を防止することもできる。
【0006】
しかしながら、PPGによるイメージングは心拍に同期したイメージングではあるものの、脈波信号には検出位置の心臓からの距離や血管の硬さ等の条件に依存する心拍動からの遅延時間が存在する。このため、拍動に起因するアーティファクトを低減させることはできるが心周期の時相を特定して画像を得ることができない。すなわち、イメージング前に心周期の特定の時相においてデータを収集するための撮影条件を設定することや、イメージング後において得られた画像が心周期のどの時相に相当するのかを特定することができない。
【0007】
そこで、被検体からECG信号とPPG信号の双方を取得してPPG信号のECG信号に対する遅れ時間を計測し、計測した遅れ時間に基づいてPPG信号から心時相を特定する方法が考案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2−224740号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Handbook of MRI Pulse Sequences: Matt A. Bernstein et al.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、被検体からECG信号とPPG信号の双方を取得する方法では、ECG信号とPPG信号の対応付けを行うことはできるが、依然としてECG信号の取得が必要である。このため、被検体にECG信号の検出用の電極を装着する手間が発生するという問題が依然として残る。また、電極、ECG波形の伝送用の信号線および人体により形成されるループにRFパルスが誘導されることにより被検体が火傷する恐れがあるという危険性を回避することができない。
【0011】
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、被検体からECG信号を取得することなく心周期の時相情報を得ることが可能な磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、上述の目的を達成するために、被検体から取得した心電信号以外の拍動を表す生体信号に同期して前記被検体の心電信号を推定するための磁気共鳴信号を収集し、収集した前記磁気共鳴信号から推定した前記心電信号の基準波の位置と、前記生体信号の同期位置との時間差を求める心電情報取得手段と、前記生体信号に同期して、特定の心時相に対応するイメージング用の磁気共鳴信号を前記時間差に基づいて収集し、収集した前記イメージング用の磁気共鳴信号から前記特定の心時相に対応する画像データを生成する画像データ生成手段と、を備える。
【0013】
また、本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、上述の目的を達成するために、被検体から取得した心電信号以外の拍動を表す生体信号に同期して前記被検体の心電信号を推定するための磁気共鳴信号を収集し、収集した前記磁気共鳴信号から推定した前記心電信号の基準波の位置と、前記生体信号の同期位置との時間差を求める心電情報取得手段と、前記生体信号に同期して、イメージング用の磁気共鳴信号を収集し、収集した前記イメージング用の磁気共鳴信号から特定の心時相に対応する磁気共鳴信号を前記時間差に基づいて抽出し、抽出した前記磁気共鳴信号から前記特定の心時相に対応する画像データを生成する画像データ生成手段と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置においては、被検体からECG信号を取得することなく心周期の時相情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態を示す構成図。
【図2】図1に示すコンピュータの機能ブロック図。
【図3】図3は、図1に示す磁気共鳴イメージング装置において、被検体Pから取得したPPG信号を利用して心周期の時相情報を取得し、特定の心時相における画像を収集する際の流れを示すフローチャート。
【図4】図2に示すコンピュータにおいて実行される血流速の時間変化の算出方法およびPPG信号からの遅延時間の決定方法を説明する図。
【図5】図1に示す表示装置に表示されるPPGイメージング用のR波からの遅延時間の設定画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0017】
(構成および機能)
図1は本発明に係る磁気共鳴イメージング装置の実施の形態を示す構成図である。
【0018】
磁気共鳴イメージング装置20は、静磁場を形成する筒状の静磁場用磁石21、この静磁場用磁石21の内部に設けられたシムコイル22、傾斜磁場コイル23およびRFコイル24を備えている。
【0019】
また、磁気共鳴イメージング装置20には、制御系25が備えられる。制御系25は、静磁場電源26、傾斜磁場電源27、シムコイル電源28、送信器29、受信器30、シーケンスコントローラ31およびコンピュータ32を具備している。制御系25の傾斜磁場電源27は、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zで構成される。また、コンピュータ32には、入力装置33、表示装置34、演算装置35および記憶装置36が備えられる。
【0020】
静磁場用磁石21は静磁場電源26と接続され、静磁場電源26から供給された電流により撮像領域に静磁場を形成させる機能を有する。尚、静磁場用磁石21は超伝導コイルで構成される場合が多く、励磁の際に静磁場電源26と接続されて電流が供給されるが、一旦励磁された後は非接続状態とされるのが一般的である。また、静磁場用磁石21を永久磁石で構成し、静磁場電源26が設けられない場合もある。
【0021】
また、静磁場用磁石21の内側には、同軸上に筒状のシムコイル22が設けられる。シムコイル22はシムコイル電源28と接続され、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて静磁場が均一化されるように構成される。
【0022】
傾斜磁場コイル23は、X軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zで構成され、静磁場用磁石21の内部において筒状に形成される。傾斜磁場コイル23の内側には寝台37が設けられて撮像領域とされ、寝台37には被検体Pがセットされる。RFコイル24にはガントリに内蔵されたRF信号の送受信用の全身用コイル(WBC: whole body coil)や寝台37や被検体P近傍に設けられるRF信号の受信用の局所コイルなどがある。
【0023】
また、傾斜磁場コイル23は、傾斜磁場電源27と接続される。傾斜磁場コイル23のX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zはそれぞれ、傾斜磁場電源27のX軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zと接続される。
【0024】
そして、X軸傾斜磁場電源27x、Y軸傾斜磁場電源27yおよびZ軸傾斜磁場電源27zからそれぞれX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23yおよびZ軸傾斜磁場コイル23zに供給された電流により、撮像領域にそれぞれX軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzを形成することができるように構成される。
【0025】
RFコイル24は、送信器29および/または受信器30と接続される。送信用のRFコイル24は、送信器29からRF信号を受けて被検体Pに送信する機能を有し、受信用のRFコイル24は、被検体P内部の原子核スピンのRF信号による励起に伴って発生したNMR信号を受信して受信器30に与える機能を有する。
【0026】
一方、制御系25のシーケンスコントローラ31は、傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30と接続される。シーケンスコントローラ31は傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源27に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報を記憶する機能と、記憶した所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させることによりX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場GzおよびRF信号を発生させる機能を有する。
【0027】
また、シーケンスコントローラ31は、受信器30におけるNMR信号の検波およびA/D (analog to digital)変換により得られた複素データである生データ(raw data)を受けてコンピュータ32に与えるように構成される。
【0028】
このため、送信器29には、シーケンスコントローラ31から受けた制御情報に基づいてRF信号をRFコイル24に与える機能が備えられる一方、受信器30には、RFコイル24から受けたNMR信号を検波して所要の信号処理を実行するとともにA/D変換することにより、デジタル化された複素データである生データを生成する機能と生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える機能とが備えられる。
【0029】
さらに、磁気共鳴イメージング装置20には、被検体Pの拍動を表す信号の一例としてのPPG信号を取得する脈波センサ38が備えられる。PPG信号は、心周期に応じた血流量の変化を示す同期用の脈波信号である。脈波は、例えば指先、つま先、耳朶等の被検体Pの部位から光信号として検出される。従って、脈波センサ38は、指先、つま先、耳朶等の被検体Pの任意の部位に装着される。脈波センサ38は、皮膚の上から赤外光を照射して得られる反射光を検出し、検出した反射光を電気信号に変換してPPG信号としてシーケンスコントローラ31を介してコンピュータ32に出力する機能を有する。
【0030】
また、コンピュータ32の記憶装置36に保存されたプログラムを演算装置35で実行することにより、コンピュータ32には各種機能が備えられる。ただし、プログラムによらず、各種機能を有する特定の回路を磁気共鳴イメージング装置20に設けてもよい。
【0031】
図2は、図1に示すコンピュータ32の機能ブロック図である。
【0032】
コンピュータ32は、プログラムにより撮影条件設定部40、シーケンスコントローラ制御部41、k空間データベース42、画像再構成部43、画像データベース44、画像処理部45および心時相情報取得部46として機能する。
【0033】
撮影条件設定部40は、入力装置33からの情報に基づいてパルスシーケンスを含む撮影条件を設定し、設定した撮影条件をシーケンスコントローラ制御部41に与える機能を有する。特に、撮影条件設定部40は、PPG信号に同期した血流速の測定用のパルスシーケンスを設定する機能およびPPG信号に同期したイメージングを実行するためにECG信号のR波等の基準波に対する遅延時間を撮影条件として設定するための設定画面を表示装置34に表示させる機能を備えている。
【0034】
シーケンスコントローラ制御部41は、入力装置33からスキャン開始指示情報を受けた場合に、パルスシーケンスを含む撮影条件をシーケンスコントローラ31に与えることにより駆動制御させる機能と、シーケンスコントローラ31から生データを受けてk空間データベース42に形成されたk空間に配置する機能とを有する。
【0035】
画像再構成部43は、k空間データベース42からk空間データを取り込んでフーリエ変換(FT: Fourier transform)を含む画像再構成処理を施すことにより画像データを再構成する機能と、再構成して得られた画像データを画像データベース44に書き込む機能を有する。
【0036】
画像処理部45は、画像データベース44から画像データを取り込んで必要な画像処理を行って表示用の2次元の画像データを生成する機能と、生成した表示用の画像データを表示装置34に表示させる機能を有する。
【0037】
心時相情報取得部46は、画像データベース44から血流速の測定用のパルスシーケンスによって収集された位相画像データを取得し、位相画像データに基づいて血流速度の時間変化を算出する機能と、算出した血流速度の時間変化とPPG信号とに基づいてPPG信号上の基準点とECG信号上の基準点との間における相対的な時間差を算出する機能、PPG信号または血流速度の時間変化に基づいてECG信号の隣接するR波等の基準波間における時間を算出する機能、算出した時間差および基準波間における時間を撮影条件設定部40に与える機能を有する。
【0038】
(動作および作用)
次に磁気共鳴イメージング装置20の動作および作用について説明する。
【0039】
図3は、図1に示す磁気共鳴イメージング装置20において、被検体Pから取得したPPG信号を利用して心周期の時相情報を取得し、特定の心時相における画像を収集する際の流れを示すフローチャートである。
【0040】
まずステップS1においてPPG信号が収集され、PPG信号による同期下において血流速測定用のパルスシーケンスが実行される。そして、血流速測定用のパルスシーケンスで収集されたエコーデータに基づいて血流速度の時間変化が求められる。
【0041】
そのために撮影条件設定部40において、血流速測定用のパルスシーケンスを含む撮影条件が設定される。血流速測定用のパルスシーケンスとしては、セグメントk-space法(segment k-space method)によりセグメント分割したデータをPC (Phase Contrast)法により高速シネ撮像するためのシーケンスが短時間でデータ収集を実行する観点から好適である。セグメントk-space法は、k空間をいくつかの領域に分割することによってセグメント化し、セグメントごとに順次k空間データを取り込んでいく高速撮像法である。また、PC法は、スピンの位相差情報を利用して血流速度を計測する手法である。
【0042】
具体的には、撮影条件設定部40において、極性を変えたフローエンコード傾斜磁場パルスを交互に血流速度の測定方向に印加し、心周期内の複数の時相に対応するエコーデータを収集するシーケンスとPPG信号の収集指示情報が撮影条件として設定される。血流速度の測定方向は流速の大きい被検体Pの頭尾方向に設定し、血管を横切る横断面を撮像断面にすることが血流速度を高精度で計測するために適切である。撮像断面の位置の設定は、予め位置決め用画像として収集された被検体Pの冠状断面上において心臓を確認できるため、容易に行うことができる。そして、設定された撮影条件は撮影条件設定部40からシーケンスコントローラ制御部41に与えられる。
【0043】
一方、予め寝台37に被検体Pがセットされ、静磁場電源26により励磁された静磁場用磁石21(超伝導磁石)の撮像領域に静磁場が形成される。また、シムコイル電源28からシムコイル22に電流が供給されて撮像領域に形成された静磁場が均一化される。
【0044】
そして、入力装置33からシーケンスコントローラ制御部41にスキャン開始指示が与えられると、シーケンスコントローラ制御部41はパルスシーケンスを含む撮影条件をシーケンスコントローラ31に与える。シーケンスコントローラ31は、パルスシーケンスに従って傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を駆動させることにより被検体Pがセットされた撮像領域に傾斜磁場を形成させるとともに、RFコイル24からRF信号を発生させる。
【0045】
このため、被検体Pの内部における核磁気共鳴により生じたNMR信号が、RFコイル24により受信されて受信器30に与えられる。受信器30は、RFコイル24からNMR信号を受けて、生データを生成する。受信器30は、生成した生データをシーケンスコントローラ31に与える。シーケンスコントローラ31は、生データをシーケンスコントローラ制御部41に与え、シーケンスコントローラ制御部41はk空間データベース42に形成されたk空間に生データをk空間データとして配置する。
【0046】
一方、シーケンスコントローラ31の制御下においてデータの収集中に脈波センサ38においてPPG信号が取得される。そして、上述したようなパルスシーケンスの実行によるk空間データの収集および配置は、PPG信号に基づくレトロスペクティブ同期下において行われる。すなわち、シーケンスコントローラ制御部41はPPG信号に基づいて異なる複数の心時相に対応するk空間データのセットを作成し、作成したk空間データのセットをk空間データベース42に形成されたk空間に配置する。
【0047】
次に、画像再構成部43は、k空間データベース42から血流速測定用のパルスシーケンスの実行によって収集された心時相ごとのk空間データを取得し、異なる複数の心時相に対応する位相画像データを再構成する。再構成された位相画像データは画像データベース44に書き込まれる。
【0048】
次に、心時相情報取得部46は、画像データベース44から異なる心時相に対応する位相画像データを取得し、位相画像データに基づいて血流速度の時間変化を算出する。そして、血流速の時間変化が得られると、後述するように特定の心時相に対応するデータを収集するために適切なPPG信号からデータ収集タイミングまでの遅延時間を決定することができるようになる。
【0049】
図4は、図2に示すコンピュータ32において実行される血流速の時間変化の算出方法およびPPG信号からの遅延時間の決定方法を説明する図である。尚、図4において横軸は時間を示す。
【0050】
図4(A)は、PPG信号を示す。PPG信号に閾値を設定することにより、閾値を超えるタイミングで図4(B)に示すようなトリガ信号をデータ収集の同期用に生成することができる。また、図4(C)は、想定されるECG信号を示す。PPG信号は、検出位置の心臓からの距離や血管の硬さ等の条件に依存して心室の収縮から遅れて伝播する。一方、PPG信号の周期TrrはECG信号のR-R間と同等であるとみなすことができる。従って、PPG信号は、想定されるECG信号よりも遅延時間Tpだけ遅延する。従って、遅延時間Tpが推定できれば、PPG信号から生成されたトリガ信号からの遅延時間を特定の心時相と対応付けることが可能となる。
【0051】
そこで、ECG信号を収集せずにPPG信号のECG信号からの遅延時間Tpを推定するために、例えば、左室近傍の上行大動脈における血流速の時間変化が以下のように算出される。
【0052】
図4(D)は、血流速の測定用のパルスシーケンスを示す。血流速の測定用のパルスシーケンスは、PPG信号から生成されたトリガ信号に同期して繰り返し実行される。具体的には、トリガ信号が検出される度に位相エンコード量が順次更新される。この結果、隣接するトリガ信号間において、1心周期中の互に異なる複数の心時相に対応し、かつ同一の位相エンコード量に対応する複数のデータが収集される。さらに、複数の心時相に対応するデータの収集は、k空間を埋めるための全ての位相エンコード量に対応するデータが収集されるまで繰り返し実行される。つまり、全ての位相エンコード量に対応するデータが収集されるまで位相エンコード量が順次更新される。
【0053】
そして、全ての位相エンコード量に対応するデータが収集されると、シーケンスコントローラ制御部41によるk空間データの並べ替えによって、同一の心時相に対応し、異なる位相エンコード量で収集された複数のk空間データのセットが心時相ごとに得られる。
【0054】
さらに、画像再構成部43による心時相ごとのk空間データの画像再構成処理によって図4(E)に示すような心時相ごとの位相画像データが得られる。具体的には、フローエンコード傾斜磁場の極性を変えたデータ収集が同じ位相エンコード量で同じ心時相において実行されるため、2つの複素データがk空間データとして収集される。そして、複素データの差分を計算し位相を算出する処理を行うことによって位相データが得られる。さらに位相データにFTを含む処理を施すことによって位相画像データを得ることができる。
【0055】
このように生成された位相画像データにおける画素値は、対応するピクセルの速度を示す。従って、各心時相に対応する複数の位相画像データは、それぞれ対応する心時相における速度マップとなる。ここで血管以外の組織は血管に比べて動きが小さいため画素値も小さくなる。さらに、被検体Pのアキシャル断面において被検体Pの足から頭に向かう速度が最大となるのは上行大動脈であり、かつ1心周期内において速度変化も最も大きい箇所も上行大動脈である。従って、閾値処理、最大値抽出処理或いは微分処理等の処理によって上行大動脈の位置および範囲を容易に特定することができる。
【0056】
そこで、心時相情報取得部46において上行大動脈の範囲の検出処理が実行される。さらに、心時相情報取得部46において上行大動脈の内部に含まれる複数のピクセルの画素値に相当する血流速の平均値を算出し、算出した平均血流速を心時相方向にプロットすると図4(F)に示すような血流速の時間変化(cm/s)が得られる。ここで、被検体の心臓近傍に存在する上行大動脈における血流速は、心臓の拍動に遅延なく同期していると考えられる。従って、血流速がゼロとみなせる値から立ち上がる変化点をECG信号のR波のタイミングとみなすことができる。
【0057】
次に、ステップS2において、心時相情報取得部46においてR-R間隔およびPPG信号から生成されたトリガ信号のR波からの遅延時間Tpが測定される。R-R間隔は、トリガ信号または血流速の時間変化に基づいて測定することができる。すなわち隣接するトリガ信号間Trrの時間を計測することによって高精度かつ簡易な処理でR-R間隔を測定することができる。ただし、血流速の時間変化から周期的な特徴点を抽出し、隣接する特徴点間における時間を計測することによってもR-R間隔を算出することができる。
【0058】
尚、隣接するトリガ信号間Trrの時間の平均値を算出すれば、平均のR-R間隔を計測することができる。従って、隣接するトリガ信号間Trrの時間の平均値をR-R間隔の測定値とすれば安定的な値が得られる。
【0059】
さらに、上行大動脈の血流速の変化において、上述したように血流速が正方向に最も大きく変化する時点をR波のタイミングとして、R波から次のPPGトリガ信号までの時間を計測することにより、PPGトリガ信号のR波からの遅延時間Tpを求めることができる。
【0060】
尚、R波からのPPGトリガ信号の遅延時間Tpは、R波からPPG信号の信号値が閾値を超えてトリガ信号を発生させるまでの時間であり、R波からのPPG信号のピークまでの時間Tp0と必ずしも同じ値ではない。
【0061】
そして、このように算出されたR-R間隔およびPPGトリガ信号のR波からの遅延時間Tpは心時相情報取得部46から撮影条件設定部40に与えられる。
【0062】
次に、ステップS3において、撮影条件設定部40により、PPG信号を用いた同期イメージングによって心周期の特定の時相の画像を収集するための撮影条件が設定される。そのために、撮影条件設定部40は、撮影条件の設定画面を表示装置34に表示させる。
【0063】
図5は、図1に示す表示装置34に表示されるPPGイメージング用のR波からの遅延時間の設定画面の一例を示す図である。
【0064】
図5に示すようなユーザインターフェースを介して、R波からの遅延時間TdとしてPPGイメージングにおけるデータ収集タイミングを設定することができる。すなわち、設定画面には、参照情報として、算出されたR-R間隔に対応する仮想のECG波形およびパルスシーケンスにおけるデータ収集期間を示すタイミングチャートが表示される。また、設定画面には、算出されたR-R間隔の時間を数値表示させることもできる。
【0065】
このため、ユーザは、通常のECG同期撮像用の設定画面に対する操作と同様な操作で、特定の心時相に対応するR波からの遅延時間Tdを設定することができる。例えば、ユーザは、入力装置33の操作による数値入力やスライダの移動によりR波からの遅延時間Tdを入力することができる。
【0066】
次に、ステップS4において、撮影条件設定部40は、入力されたR波からの遅延時間TdとPPGトリガ信号のR波からの遅延時間Tpとに基づいて実際の撮像におけるPPGトリガ信号からのデータ収集タイミングの遅延時間Td’を計算する。すなわち、R波からの遅延時間Tdに相当するPPGトリガ信号からのデータ収集タイミングの遅延時間Td’が計算される。
【0067】
ユーザにより入力されたR波からの遅延時間TdがPPGトリガ信号のR波からの遅延時間Tpよりも長い(Td>Tp)場合には、PPGトリガ信号からのデータ収集タイミングの遅延時間Td’は、式(1)により計算することができる。
[数1]
Td’ = Td-Tp (1)
【0068】
すなわち、図4(G)に示すようにPPGトリガ信号がR波から遅延時間Tpだけ遅れているため、PPGトリガ信号からのデータ収集タイミングの遅延時間Td’は、入力されたR波からの遅延時間TdからPPGトリガ信号のR波からの遅延時間Tp分だけ減じた時間となる。
【0069】
一方、ユーザにより入力されたR波からの遅延時間TdがPPGトリガ信号のR波からの遅延時間Tpよりも短い(Td<Tp)場合には、PPGトリガ信号からのデータ収集タイミングの遅延時間Td’は、式(2)により計算することができる。
[数2]
Td’ = Td-Tp+Trr (2)
【0070】
すなわち、図4(H)に示すようにPPGトリガ信号が生成された心周期の次の心周期においてデータが収集されるようにPPGトリガ信号からのデータ収集タイミングの遅延時間Td’を決定すればよい。
【0071】
次に、ステップS5において、撮影条件設定部40において計算されたPPGトリガ信号からのデータ収集タイミングの遅延時間Td’を制御条件としてPPG信号による同期下においてイメージングスキャンが実行される。
【0072】
すなわち撮影条件設定部40において設定されたイメージングスキャン用のパルスシーケンスとともにPPGトリガ信号からのデータ収集タイミングの遅延時間Td’が制御条件としてシーケンスコントローラ制御部41を通じてシーケンスコントローラ31に出力される。シーケンスコントローラ31では、脈波センサ38において取得されたPPG信号が閾値を超えたタイミングでPPGトリガ信号が同期用信号として生成される。そして、シーケンスコントローラ31は、PPGトリガ信号から遅延時間Td’後にデータ収集が行われるように傾斜磁場電源27、送信器29および受信器30を制御する。
【0073】
このデータ収集は、R波からの遅延時間Td後におけるデータ収集に相当する。そして、血流速測定用のパルスシーケンスの実行によりデータ収集と同様な流れで、イメージング用のシーケンスに従って収集されたk空間データがk空間データベース42内のk空間に配置される。
【0074】
次に、ステップS6において、画像再構成部43は、k空間データベース42からk空間データを取得して画像データを再構成する。再構成された画像データは画像データベース44に書き込まれる。
【0075】
次に、ステップS7において、画像処理部45は、画像データベース44から画像データを取り込んで必要な画像処理を行って表示用の2次元の画像データを生成し、生成した表示用の画像データを表示装置34に表示させる。このとき、撮影条件設定部40は、表示された画像に対応するR波からの遅延時間Tdを画像付帯情報として表示装置34に表示する。この画像付帯情報は、画像データに関連付けて画像データベース44に保存することもできる。
【0076】
このためユーザは、被検体PからECG信号を取得することなくECG信号のR波等の基準波に対する遅延時間としてデータ収集タイミングを設定し、所望の心時相に対応する画像データを参照することができる。
【0077】
つまり以上のような磁気共鳴イメージング装置20は、PPG信号による同期下において血流速測定用のパルスシーケンスを実行することによって得られる血流速の時間変化とPPG信号とに基づいてECG信号上の基準点とPPG信号上の基準点との間における時間差を求めるようにしたものである。さらに、PPG信号または血流速の時間変化から得られるR-R間等の基準波間隔とECG信号上の基準位置とPPG信号上の基準位置との間の時間差とを用いることによってPPGイメージングによって収集される画像データの心時相を特定できるようにしたものである。
【0078】
上述したステップS5でのイメージング用のデータ収集は、PPGトリガ信号から遅延時間Td’後に行われるものであり、所謂プロスペクティブなデータ収集方法である。これに対して、PPG信号に基づくレトロスペクティブなデータ収集を行ってもよい。この場合、ステップS5では、PPG信号に基づいて総ての心時相に対応する複数のk空間データのセットを収集しておくことになる。そして、ステップS6では、PPGトリガ信号から遅延時間Td’後における特定の心時相に対応するk空間データを、収集した複数のk空間データのセットの中から抽出し、抽出したk空間データを用いて画像再構成を行うことになる。
【0079】
(効果)
上述したように、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置20によれば、被検体からECG信号を取得することなく心周期の所望の時相に対応する画像を収集することができる。従って、ECG電極を被検体に取り付ける手間や傾斜磁場の印加に起因するECG信号の乱れによる不適切な同期も回避できる。また、高磁場MRI装置におけるECG電極の発熱という問題もない。
【0080】
さらに、ECG同期撮像用の撮影条件設定と同様にECG信号のR波等の基準波からの遅延時間としてデータ収集タイミングを設定することができる。
【0081】
(変形例)
上述した実施形態では、ECG信号上の基準波の位置を推定するために上行大動脈の血流速の時間変化を計測する例を示したが、ECG信号上の基準波の位置を推定できれば他の生体情報を取得するようにしてもよい。
【0082】
ECG信号上の基準波の位置を推定するための他の生体情報の例としては、位相エンコードをかけないで収集した大動脈を含む断面の血流速投影データ、心室断面積、心室形状の投影データが挙げられる。
【0083】
ただし、上行大動脈の血流速の時間変化を計測するようにすれば、位相画像データの撮像断面の位置決めおよび血管の抽出が容易であり、かつ心拍動からの遅延の少ない情報を得ることができる。このため、上行大動脈の血流速の時間変化を計測するようにすれば、ECG信号上の基準波の位置の推定のための処理が簡易となる。
【0084】
また、PPG信号に限らず、ECG信号以外の拍動を表す任意の生体信号、例えば心音信号や心拍による振動信号、であってもPPG信号と同様に同期用に用いることができる。
【0085】
さらに、PPG信号上の基準点に対する遅延時間をデータ収集タイミングとして設定して収集された画像データに付帯情報として対応する心時相を付加することもできる。すなわち、心時相情報取得部46において計測されるPPGトリガ信号のR波からの遅延時間Tpを参照することにより、心時相を示す情報であるR波からの遅延時間Tdを求めて画像データに付帯情報として付加することができる。そして、画像データを表示する際に、付帯情報を利用して対応する心時相も表示させれば、ユーザは画像データが対応する心時相を確認することができる。また、複数の心時相に対応する画像データが画像データベース44に保存されている場合には、付帯情報を利用して所望の心時相に対応する画像データを選択表示させることもできる。
【符号の説明】
【0086】
20 磁気共鳴イメージング装置
21 静磁場用磁石
22 シムコイル
23 傾斜磁場コイル
24 RFコイル
25 制御系
26 静磁場電源
27 傾斜磁場電源
28 シムコイル電源
29 送信器
30 受信器
31 シーケンスコントローラ
32 コンピュータ
33 入力装置
34 表示装置
35 演算装置
36 記憶装置
37 寝台
38 脈波センサ
40 撮影条件設定部
41 シーケンスコントローラ制御部
42 k空間データベース
43 画像再構成部
44 画像データベース
45 画像処理部
46 心時相情報取得部
P 被検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から取得した心電信号以外の拍動を表す生体信号に同期して前記被検体の心電信号を推定するための磁気共鳴信号を収集し、収集した前記磁気共鳴信号から推定した前記心電信号の基準波の位置と、前記生体信号の同期位置との時間差を求める心電情報取得手段と、
前記生体信号に同期して、特定の心時相に対応するイメージング用の磁気共鳴信号を前記時間差に基づいて収集し、収集した前記イメージング用の磁気共鳴信号から前記特定の心時相に対応する画像データを生成する画像データ生成手段と、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記生体信号は、脈波信号である、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記心電情報取得手段は、前記被検体の心電信号を推定するための磁気共鳴信号をフェイズコントラスト法を用いて収集して大動脈の血流速データを求め、前記血流速データから前記心電信号の基準波の位置をさらに求め、求めた前記心電信号の基準波の位置と前記脈波信号の同期位置とから前記時間差を求める、
ことを特徴とする請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記画像データ生成手段は、撮影条件として設定された前記心電信号の基準波からの遅延時間を前記時間差に基づいて前記脈波信号の同期位置からの遅延時間に換算し、前記脈波信号の同期位置からの遅延時間後に前記イメージング用の磁気共鳴信号を収集する、
ことを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記心電情報取得手段は、前記脈波信号から前記心電信号上の基準波の間隔をさらに求め、
前記心電信号の基準波からの遅延時間を前記撮影条件として設定するための参照情報として、前記心電信号上の基準波の間隔を表示させる参照情報表示手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記心電情報取得手段は、前記被検体の心電信号を推定するための磁気共鳴信号から前記心電信号上の基準波の間隔をさらに求め、
前記心電信号の基準波からの遅延時間を前記撮影条件として設定するための参照情報として、前記心電信号上の基準波の間隔を表示させる参照情報表示手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記画像データ生成手段は、前記特定の心時相に対応する画像データに、その特定の心時相を示す情報を付帯情報として付加する、
ことを特徴とする請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
被検体から取得した心電信号以外の拍動を表す生体信号に同期して前記被検体の心電信号を推定するための磁気共鳴信号を収集し、収集した前記磁気共鳴信号から推定した前記心電信号の基準波の位置と、前記生体信号の同期位置との時間差を求める心電情報取得手段と、
前記生体信号に同期して、イメージング用の磁気共鳴信号を収集し、収集した前記イメージング用の磁気共鳴信号から特定の心時相に対応する磁気共鳴信号を前記時間差に基づいて抽出し、抽出した前記磁気共鳴信号から前記特定の心時相に対応する画像データを生成する画像データ生成手段と、
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記生体信号は、脈波信号である、
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
被検体から取得した拍動を表す第1の信号に同期して、前記被検体の拍動を表す第2の信号の基準点を推定するための磁気共鳴信号を収集し、収集した前記磁気共鳴信号から推定した前記第2の基準点の位置と、前記第1の基準点の同期位置との時間差を求める拍動情報取得手段と、
前記第1の信号に同期して、前記第2の信号の特定の時相に対応するイメージング用の磁気共鳴信号を前記時間差に基づいて収集し、収集した前記イメージング用の磁気共鳴信号から前記第2の信号の前記特定の時相に対応する画像データを生成する画像データ生成手段と、
を備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−15951(P2011−15951A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70753(P2010−70753)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】