説明

磁気式スイッチ装置

【課題】接点部の摩耗等で長寿命化を図るのが難しい接触式のスイッチに対して、長寿命化が可能で操作体の2方向の動作を検出できる磁気式スイッチ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】回動操作される操作体11に設けられた磁石13と磁石13からの磁界の向きの変化を検出する磁気センサ15とを備え、磁石13は操作体11の回動軸線Kjを挟んで操作部11tとは反対側に設けられるとともに操作部の突出方向に沿って異なる磁極となるように着磁され、磁気センサ15は磁石13を介して回動軸線Kjと対向した位置に配設されている。操作体11の回動動作の中立位置において磁気センサ15の配設位置での磁界の向きは、回動する操作体11の径方向に沿った方向であり、中立位置から操作体11が回動操作された際には、一方側と他方側への回動操作とで磁気センサ15の配設位置での磁界の向きが径方向を挟んで相反する方向となるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に使用され、様々なメカニズムの動作検出等に用いられる検出用のスイッチ装置に係わり、特に、磁気センサを用いた磁気式スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器に使用され、様々なメカニズムの動作検出等に用いられる検出用のスイッチとしては、弾性金属薄板製の可動接点と固定接点を組み合わせた、レバースイッチが広く知られている。
【0003】
特許文献1では、図17に示すように、弾性金属薄板製の可動接点915と固定接点913、固定接点914とを組み合わせた接触式のレバースイッチ901が提案されている。図17に示すレバースイッチ901は、ケース911と、ケース911の内底面911d中央に設けた共通接点912と、ケース911の対向する両内側壁に各々植設された固定接点913,固定接点914と、この共通接点912に常時弾接させた略M字状の弾性金属製の可動接点915と、レバー916と、レバー916の回動によって摺動する摺動体917と、から構成されている。そして、レバー916の回動によって摺動した摺動体917が、ケース911の内上面911uを摺動するとともに、可動接点915を左右の方向に押圧している。つまり、図17の右方向にレバー916が押圧されレバー916が回動されると、左方向に移動した摺動体917によって可動接点915のアーム部915dが変形し、可動接点915の接点部915aが下方向に移動するとともに固定接点913と接する。そして、常時弾接している可動接点915の接点部915cと可動接点915を介して、共通接点912と固定接点913とが導通するようになる。同様にして、図17の左方向にレバー916が押圧されレバー916が回動されると、右方向に移動した摺動体917によって可動接点915のアーム部915eが変形し、可動接点915の接点部915bが固定接点914と接し、共通接点912と固定接点914とが導通するようになる。このようにして、2方向の動作を検出できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−132765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来例のような構成では、レバー916の回動操作にともなって、可動接点915が弾性変形し、接点部915aが固定接点913と、接点部915bが固定接点914と接触あるいは離間してスイッチングが行われる接触式であるため、各接点部と各固定接点及び共通接点とが、擦れて摩耗し、導通が不安定になると言う問題があった。また、可動接点915が、弾性変形を繰り返すことで疲労破壊すると言う問題もあった。このため、このような接触式のレバースイッチでは、数万回の動作が限界であり、長寿命化を図るのが難しいと言う課題があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するもので、長寿命化が可能で、操作体の2方向の動作を検出できる磁気式スイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明の磁気式スイッチ装置は、回動操作される操作部を有する操作体と、前記操作部を突出させる開口部を有するとともに前記操作体を回動可能に保持するハウジングと、前記操作体に設けられた磁石と、前記操作体の回動操作に伴って前記磁石からの磁界の向きの変化を検出する磁気センサと、を備え、前記磁石は、前記操作体の回動軸線を挟んで前記操作部とは反対側に設けられているとともに、前記操作部の突出方向に沿って異なる磁極となるように着磁されており、前記磁気センサは、前記磁石を介して前記回動軸線と対向した位置に配設されており、前記操作体の回動動作の中立位置において、前記磁気センサの配設位置での磁界の向きは、回動する前記操作体の径方向に沿った方向であり、前記中立位置から前記操作体が回動操作された際には、一方側への回動操作と他方側への回動操作とで、前記磁気センサの配設位置での磁界の向きが前記径方向を挟んで相反する方向となるように構成したことを特徴としている。
【0008】
これによれば、本発明の磁気式スイッチ装置は、操作体が回動動作の中立位置から回動操作された際に、一方側へ回動操作された際と、他方側へ回動操作された際とで、磁気センサの配設位置での磁界の向きが相反する方向となるように構成されているので、異なる2方向の回動操作を、磁界の向きの変化を検出する磁気センサにより検出することができる。このことにより、磁石と磁気センサよる非接触の検出手段なので、従来の接触による検出手段と比較して、接触による部材間の摩耗が生じることなく、2方向の動作を検出できるスイッチ装置の長寿命化が図られる。
【0009】
また、本発明の磁気式スイッチ装置は、前記磁石が、前記操作体の回動方向に沿った円弧状の形状をしているとともに、内周側と外周側とで異なる磁極となるように着磁されていることを特徴としている。
【0010】
これによれば、磁石が操作体の回動方向に沿った円弧状をしているので、操作体が回動操作されて磁石が回動した場合でも、磁石と磁気センサとの距離の変化を少なくすることができる。このため、磁石と磁気センサとをより近づけることができることから、2方向の動作検出精度を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の磁気式スイッチ装置は、磁界の向きでスイッチング動作する複数の磁気検出素子を有し、前記複数の磁気検出素子の少なくとも2つが互いに異なる磁界の向きでスイッチング動作することを特徴としている。
【0012】
これによれば、2つ以上の磁気検出素子を用いて、スイッチング動作する磁界の向きが互いに異なるようにしているので、異なる2つの磁界を検出することが可能であり、操作体を一方側に傾倒させたときの磁界の変化と、他方側に傾倒したときの磁界の変化を個別に検出することができる。このことにより、2方向の磁界の方向を確実に検出することができるとともに、2方向のスイッチング動作が行えるスイッチ装置を提供できる。
【0013】
また、本発明の磁気式スイッチ装置は、前記操作体の前記中立位置近傍に、前記磁気センサがスイッチング動作しない不感領域を設けたことを特徴としている。
【0014】
これによれば、操作体の中立位置近傍に磁気センサでスイッチング動作しない不感領域を設けているため、操作体が、中立位置近傍で多少動いても、その動きが磁気センサで検出されるのを防ぐことができる。このことにより、2方向の検出の信頼性をより高めることができ、2方向のスイッチング動作が確実に行えるスイッチ装置を提供できる。
【0015】
本発明の磁気式スイッチ装置は、前記磁石の前記外周側の中央部に平坦部あるいは平坦面よりも窪んだ凹部を形成したことを特徴としている。
【0016】
これによれば、磁石の外周側の中央部に平坦部或いは平坦面よりも窪んだ凹部を形成することにより、磁気センサのスイッチング動作しない不感領域を広げることができる。このため、異なる磁界の向きでスイッチング動作する複数の磁気検出素子を有した1つの磁気センサを用いた場合、スイッチング動作する操作体の回動範囲を広くすることができる。このことにより、1つの磁気センサで操作体の回動範囲の広い2方向のスイッチング動作が行えるスイッチ装置を提供できる。
【0017】
本発明の磁気式スイッチ装置は、回動操作されない際に、前記操作体を前記中立位置に復帰させる復帰部材を設けたことを特徴としている。
【0018】
これによれば、回動操作されない非操作時に、復帰部材が、初期位置である中立位置に操作体を自動的に復帰させるので、操作体の回動操作をしないときには、中立位置に戻すことができる。このことにより、操作体の非操作状態時に、不所望な信号が出力しないようにすることができる。
【0019】
本発明の磁気式スイッチ装置は、前記復帰部材が、巻回部と一対の腕部とを有したねじりコイルばねからなり、前記ねじりコイルばねは、前記巻回部が前記操作体の回動軸部に挿通されているとともに、前記一対の腕部が前記操作体と前記ハウジングとに係止されており、前記操作体の前記中立位置への復帰動作の際に、前記ねじりコイルばねによる前記操作体の復帰動作に制動をかける制動手段が設けられていることを特徴としている。
【0020】
これによれば、ねじりコイルばねの巻回部が操作体との回動軸部に挿通されていて、一対の腕部が操作体とハウジングに係止された構造なので、簡単な構造のねじりコイルばねで確実に操作体を中立位置に復帰させることができる。このことにより、簡単な機構で操作体を中立位置に戻すことができる2方向の動作を検出できるスイッチ装置が得られる。また、前記ねじりコイルばねによる前記操作体の復帰動作に制動をかける制動手段が設けられているので、操作体の中立位置への復帰動作の際に、操作体が大きく中立位置を通り過ぎることを防止することができる。このことにより、中立位置に戻した際の反動による誤検知を確実に防ぐことができ、2方向の動作検出精度を向上させることができる。
【0021】
本発明の磁気式スイッチ装置は、前記ハウジングが、前記一対の腕部が前記ハウジングに係止される係止部分近傍に傾斜部を有し、前記操作体の前記中立位置への復帰動作の際に、前記腕部を前記傾斜部に摺動させることにより、前記傾斜部を前記制動手段としたことを特徴としている。
【0022】
これによれば、腕部をハウジングに設けた傾斜部に摺動させることにより、傾斜部を操作体の復帰動作に制動をかける制動手段としたので、操作体の中立位置への復帰動作の際に、操作体の戻る勢いが徐々に減じられ、操作体が大きく中立位置を通り過ぎることを防止することができる。このことにより、中立位置に戻した際の反動による誤検知をより確実に防ぐことができ、2方向の動作検出精度をより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の磁気式スイッチ装置は、操作体が回動動作の中立位置から回動操作された際に、一方側へ回動操作された際と、他方側へ回動操作された際とで、磁気センサの配設位置での磁界の向きが相反する方向となるように構成されているので、操作体の異なる2方向の回動操作を、磁界の向きの変化を検出する磁気センサにより検出することができる。このことにより、磁石と磁気センサよる非接触の検出手段なので、従来の接触による検出手段と比較して、接触による部材間の摩耗が生じることなく、2方向の動作を検出できるスイッチ装置の長寿命化が図られる。
【0024】
したがって、本発明によれば、長寿命化が可能で、操作体の2方向の動作を検出できる磁気式スイッチ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置を説明する斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置を説明する分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置を説明する図であって、図1に示すY1側から見た磁気式スイッチ装置の正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置を説明する図であって、図1に示すX2側から見た磁気式スイッチ装置の側面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置における磁界の向きを示した説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置の回動動作を説明する正面図であって、図6(a)は、操作体が操作体の回動動作の中立位置にある状態を示し、図6(b)は、操作体が左側に回動動作され終点位置にある状態を示し、図6(c)は、操作体が右側に回動動作され終点位置にある状態を示している。
【図7】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置の操作体の回動動作に伴う磁束密度の変化を示したグラフである。
【図8】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置で用いた磁気センサのスイッチング動作を説明する図であって、図8(a)は、一方の磁気検出素子であって、磁界がプラスの場合にスイッチング動作する出力電圧変化を示し、図8(b)は、他方の磁気検出素子であって、磁界がマイナスの場合にスイッチング動作する出力電圧変化を示している。
【図9】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置を説明する図であって、図1に示すZ1側から見たハウジングの上面斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置を説明する図であって、図1に示すY1側から見たハウジング及び復帰部材の正面図であり、図10(a)は、操作体が右側に回動動作された状態を示し、図10(b)は、操作体が操作体の回動動作の中立位置にある状態を示している。
【図11】本発明の第2実施形態に係る磁気式スイッチ装置を説明する構成図であって、その正面図である。
【図12】図11に示す磁石を用いた際の操作体の回動動作に伴う磁束密度の変化を示したグラフである。
【図13】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置の変形例1を説明する図であって、図13(a)は、磁石の形状を変えた一例であって、図13(b)は、磁石の形状を変えた他の一例である。
【図14】本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置の変形例2を説明する図であって、変形例2における磁界の方向を示した構成図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る磁気式スイッチ装置の変形例4を説明する図であって、磁束密度の変化を示したグラフである。
【図16】本発明の第2実施形態に係る磁気式スイッチ装置の変形例5を説明する正面図である。
【図17】従来例における接触式のレバースイッチを説明する図であって、その断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101を説明する斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101を説明する分解斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101を説明する構成図であって、図3(a)は、図1に示すY1側から見た磁気式スイッチ装置101の正面図であり、図3(b)は、説明を容易にするため、図3(a)のハウジング12のケース12Bを省略した正面図である。図4は、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101を説明する構成図であって、図4(a)は、図1に示すX2側から見た磁気式スイッチ装置101の側面図で、図4(b)は、説明を容易にするため、図4(a)のハウジング12を省略した図である。なお、図1ないし図4における操作体11は、操作体11の回動動作Kdの中立位置にある状態を示している。
【0028】
本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101は、図1、図2、図3及び図4に示すように、回動操作される操作体11と、操作体11を回動可能に保持するハウジング12と、操作体11に設けられた磁石13と、磁石13からの磁界の向きMDの変化を検出する磁気センサ15と、を備えて主に構成されている。
【0029】
操作体11は、例えば、合成樹脂材料で成形され、図2及び図4に示すように、回動操作がされる操作部11tを有し、後述するハウジング12に形成されている孔12a、孔12bと遊嵌される回動軸部11j、保持軸部11hを有している。また、後述する復帰部材18を係止するための突起部11a及び突起部11bが、回動軸部11jの左右に形成されている。
【0030】
ハウジング12は、例えば、合成樹脂材料を用い、図1、図2及び図3に示すように、ケース12Aとケース12Bとを組み合わせて形成されている。また、ハウジング12には、操作部11tを突出させる開口部12kを有するとともに、操作体11を回動可能に保持するためのケース12Aに設けられた孔12aとケース12Bに設けられた孔12bとが形成されている。そして、ハウジング12は、操作体11の回動軸部11jをケース12Aの孔12aで遊嵌し、操作体11の保持軸部11hをケース12Bの孔12bで遊嵌して、操作体11の一部を収納するようにしている。
【0031】
磁石13は、例えば、鉄合金を用い、図2、図3及び図4に示すように、操作体11の回動軸線Kjを挟んで操作部11tとは反対側に設けられており、操作体11の凹部に嵌合させて、操作体11と一体となって回動されるように構成している。また、磁石13は、正面視して、操作体11の回動方向Dkに沿った円弧状の形状をしているとともに、磁石13の外周側の中央部に内周側方向に向けた曲面状の凹部13rが形成されている。
【0032】
磁気センサ15は、例えば、巨大磁気抵抗効果を用いた磁気検出素子(GMR(Giant Magneto Resistive)素子と言う)を用い、図2、図3及び図4に示すように、操作体11の回動動作Kdの中立位置において、磁石13を介して回動軸線Kjと対向した位置に配設されている。つまり、磁気センサ15は、操作体11の回動動作Kdの中立位置において、磁石13の凹部13rと対向している。また、磁気センサ15は、GMR素子をシリコン基板上に作製し、熱硬化性の合成樹脂でパッケージングしている。
【0033】
また、GMR素子は、例えば、反強磁性層がα−Fe層、ピン層がNiFe層、中間層がCu層、フリー層がNiFe層から形成されている。但し、これらのものに限定されるものではなく、巨大磁気抵抗効果を発揮するものであれば、いずれのものであってもよい。また、GMR素子は、反強磁性層で磁化され磁化方向が特定方向に固定(ピン止め)されたピン層の磁化方向に対して、フリー層が、外部からの磁場の向き変化により、磁化方向が変化することにより、電気抵抗値が変化するようになっている。そして、この電気抵抗値の変化を出力信号として出力させることにより、GMR素子をセンサとして利用している。
【0034】
図5は、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101における磁界の方向を示した説明図である。なお、図5は、図1に示すY2側から見た磁気式スイッチ装置101の正面図であり、説明を容易にするため、ハウジング12及び後述する復帰部材18を省略している。図6は、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101の回動動作Kdを説明する正面図であって、図6(a)は、操作体11が操作体11の回動動作Kdの中立位置にある状態を示し、図6(b)は、操作体11が左側に回動動作Kdされ、終点位置にある状態を示し、図6(c)は、操作体11が右側に回動動作Kdされ、終点位置にある状態を示している。なお、図6は、説明を容易にするため、ハウジング12のケース12Aを省略している。図7は、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101の操作体11の回動動作Kdに伴う磁束密度の変化を示したグラフであって、磁気センサ15の配設位置での水平成分の磁束密度をシミュレーションした結果ある。
【0035】
磁石13は、図3及び図5に示すように、内周側と外周側とで異なる磁極となるように着磁されているとともに、磁石13での磁界の向きMDが操作部11tの突出方向Dtに沿っている。また、磁気センサ15の配設位置(磁気センサ15の中央部)での磁界の向きMDは、図3及び図5に示すように、操作体11の回動動作Kdの中立位置において、回動する操作体11の径方向に沿った方向、すなわち、回動軸線Kjから磁気センサ15に向かった方向になっている。
【0036】
そして、図5及び図6(a)に示す操作体11の回動動作Kdの中立位置において、磁気センサ15の位置での磁束密度の水平成分は、ほぼ0になっており、例えば、図6(b)に示す左方向に操作体11が回動操作された際には、図7に示すように、磁束密度の水平成分Aは、操作体11の回転角度が大きく(マイナス方向)なるにしたがって徐々に大きくなっていく。逆に、図6(c)に示す右方向に操作体11が回動操作された際には、図7に示すように、磁束密度の水平成分Bは、水平成分Aとは逆向きの成分として、操作体11の回転角度が大きく(プラス方向)なるにしたがって徐々に大きくなっていく。このように、一方側への回動操作と他方側への回動操作とで、磁気センサ15の配設位置での磁界の向きMDが径方向を挟んで相反する方向となるように構成している。
【0037】
これにより、本発明の磁気式スイッチ装置101は、操作体11が回動動作Kdの中立位置から回動操作された際に、一方側へ回動操作された際と、他方側へ回動操作された際とで、磁気センサ15の配設位置での磁界の向きMDが相反する方向となるように構成されているので、異なる2方向の回動操作を、磁界の向きMDの変化を検出する磁気センサ15により検出することができる。このことにより、磁石13と磁気センサ15よる非接触の検出手段なので、従来の接触による検出手段と比較して、接触による部材間の摩耗が生じることなく、2方向の動作を検出できるスイッチ装置の長寿命化が図られる。
【0038】
また、図3(b)に示すように、磁石13が操作体11の回動方向Dkに沿った円弧状をしているので、操作体11が回動操作されて磁石13が回動した場合でも、磁石13と磁気センサ15との距離の変化を少なくすることができる。このため、最小の距離に磁石13と磁気センサ15とを配置すると、最大の距離での磁石13と磁気センサ15とをより近づけることができる。このことにより、2方向の動作検出精度を向上させることができる。
【0039】
次に、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101のスイッチング動作について説明する。図8は、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101で用いた磁気センサ15のスイッチング動作を説明する図であって、図8(a)は、一方の磁気検出素子であって、磁界がプラスの場合にスイッチング動作する出力電圧変化を示し、図8(b)は、他方の磁気検出素子であって、磁界がマイナスの場合にスイッチング動作する出力電圧変化を示している。また、図11は、後述する、本発明の第2実施形態に係る磁気式スイッチ装置201を説明する正面図である。図15は、後述する、本発明の第2実施形態に係る磁気式スイッチ装置201の変形例4を説明する図であって、図11に示す磁石23を用いた際の操作体11の回動動作Kdに伴う磁束密度の変化をシミュレーションした結果のグラフである。
【0040】
図3及び図5に示す磁石13のような形状では、図7に示すように、操作体11の回動動作Kdが左右約60deg近傍で、磁束密度の水平成分の絶対値は最大になっており、用いる磁石13の形状や配置位置等で、その結果は異なる。例えば、図11に示すように、磁石23が凹部を有していなく円弧状の形状をしている場合、図15に示すように、操作体11の回動動作Kdが左右約50deg近傍で、磁束密度の水平成分の絶対値は最大になっており、その磁束密度の水平成分の変化は、操作体11の回転角に対して、直線状に変化している。
【0041】
次に、図7に示す磁界において、例えば、磁気センサ15に、双極2出力タイプの磁気式センサ(アルプス電気株式会社製、品番HGDEDM033A)を用いた場合について説明する。
双極2出力タイプの磁気センサ15は、スイッチング動作する磁界の向きMDが互いに異なる(相反する)2つの磁気検出素子(GMR素子)を有している。このGMR素子は、磁界の向きMDを検知し、ある磁界の強さになると急激に電気抵抗が変化するという特性を持った素子である。この急激な電気抵抗の変化をスイッチング動作に用いている。
【0042】
磁気センサ15の一方のGMR素子は、図8(a)に示すように、磁界がプラスのときに出力電圧が変化してスイッチング動作し、磁気センサ15の他方のGMR素子は、図8(b)に示すように、磁界がマイナスのときに出力電圧が変化してスイッチング動作する。つまり、操作体11の回動動作Kdの中立位置から、図6(b)に示すように、左方向に操作体11を回動操作された際には、図8(a)に示すように、磁界のプラス側で出力電圧の変化が起こり、ON或いはOFFのスイッチ動作が行われる。具体的には、上記双極2出力タイプの磁気式センサの場合、磁界が0.003(mT)に達した際に出力電圧が下がり、磁界が0.0022(mT)に戻された際に出力電圧が上がり、ON或いはOFFのスイッチ動作が行われる。同様にして、操作体11の中立位置から、図6(c)に示す右方向に操作体11を回動操作された際には、図8(b)に示すように、磁界のマイナス側で出力電圧の変化が起こり、ON或いはOFFのスイッチ動作が行われ、具体的には、磁界が−0.003(mT)で出力電圧が下がり、磁界が−0.0022(mT)で出力電圧が上がり、ON或いはOFFのスイッチ動作が行われる。なお、磁界がプラス或いはマイナスとは、便宜的な表現であり、本実施形態においては、磁気センサ15の配設位置において、磁束密度の水平成分が、図5や図6の左向きであるときをプラス、右向きである場合にはマイナスとしている。
【0043】
これによれば、2つの磁気検出素子(GMR素子)を用いて、スイッチング動作する磁界の向きMDが互いに異なるようにしているので、異なる2つの磁界を検出することが可能であり、操作体11を一方側に傾倒させたときの磁界の変化と、他方側に傾倒したときの磁界の変化を個別に検出することができる。このことにより、2方向の磁界の方向を確実に検出することができるとともに、2方向のスイッチング動作が行えるスイッチ装置を提供できる。
【0044】
また、図8に示すようなスイッチ動作をする双極2出力タイプの磁気式センサの場合、図7に示すシミュレーション結果のように、操作体11の中立位置近傍に、磁気センサ15のスイッチング動作しない不感領域NC1が存在し、回動動作Kdによる操作体11の回転角が約±20deg近傍で、ON或いはOFFのスイッチ動作が行われる。同様にして、後述する、図11に示すような凹部を有していない磁石23を用いた場合、図15に示すシミュレーション結果のように、操作体11の中立位置近傍に、磁気センサ15のスイッチング動作しない不感領域NC2が存在し、回動動作Kdによる操作体11の回転角が約±7deg近傍で、ON或いはOFFのスイッチ動作が行われるようになる。
【0045】
上記不感領域NC2より不感領域NC1が広がっているのは、磁石13の外周側の中央部に平坦面よりも窪んだ凹部13rを形成したためである。これにより、磁気センサ15のスイッチング動作しない不感領域NCを広げたため、異なる磁界の向きMDでスイッチング動作する複数の磁気検出素子を有した1つの磁気センサ15を用いた場合、スイッチング動作する操作体11の回動範囲を広くすることができる。このことにより、1つの磁気センサ15で操作体11の回動範囲の広い2方向のスイッチング動作が行えるスイッチ装置を提供できる。
【0046】
また、スイッチング動作しない不感領域NCを広げたことにより、図3(b)に示す磁気センサ15の配設位置でありながら、スイッチ動作が行われる操作体11の回転角を大きくすることができる。このため、磁気センサ15の2つのGMR素子を隣接させて配置することができ、1つのパッケージングに収めることができる。このことにより、1つの磁気検出素子を有する磁気センサを2つ用いる場合と比較して、磁気式スイッチ装置101を、組立が容易で、かつ安価に製造することができる。
【0047】
次に、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101を構成している復帰部材18について説明する。図9は、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101を説明する図であって、図1に示すZ1側から見たケース12Aの上面斜視図である。図10は、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101を説明する図であって、図1に示すY1側から見たケース12A及び復帰部材18の正面図であり、図10(a)は、操作体11が同図に示す右側に回動動作された状態を示し、図10(b)は、操作体11が操作体11の回動動作の中立位置にある状態を示している。なお、図10(a)の右側への回動動作は、図6とは見る方向が逆なので、図6(b)の左側への回動動作Kdと同じである。
【0048】
本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101は、回動操作されない際に、操作体11を中立位置に復帰させる復帰部材18を設けている。この復帰部材18には、図2、図4(b)、図6及び図10に示すように、ねじりコイルばね19を用いており、ねじりコイルばね19は、巻回部19cと一対の腕部19a及び19bとを有している。また、ねじりコイルばね19の巻回部19cは、操作体11の回動軸部11jに挿通されているとともに、一対の腕部19a及び19bが操作体11の突起部11a、突起部11bとで係止されている。
【0049】
また、ハウジング12に操作体11が装着された際に、ねじりコイルばね19は、図9に示すように、ケース12Aの窪み12rに収まるようになる。ねじりコイルばね19が窪み12rに収納されたら、図2及び図9に示すように、ケース12Aの傾斜部12sの近傍に、腕部19aが当接しているとともに、ケース12Bの傾斜部12qの近傍に、腕部19bが当接するようになる。また、ねじりコイルばね19の巻回部19cが逆巻きの場合は、ケース12Aの傾斜部12pの近傍に腕部19aが当接し、ケース12Bの傾斜部12tの近傍に腕部19bが当接して係止されるようになる。つまり、ケース12Aには、操作体11の非操作時にねじりコイルばね19の腕部19aと当接して係止する係止部12eが突起部11aに対応して設けられているとともに、腕部19bと当接して係止する係止部12fが突起部11bに対応して設けられている。この係止部12e及び係止部12fは、傾斜部12s及び傾斜部12pの端部に位置し、これら傾斜部12s及び傾斜部12pと交差する互いに対向した壁部により構成されている。
【0050】
これにより、回動操作されない非操作時に、復帰部材18が、初期位置である中立位置に操作体11を自動的に復帰させるので、操作体11の回動操作をしないときには、中立位置に戻すことができる。このことにより、操作体11の非操作状態時に、不所望な信号が出力しないようにすることができる。また、復帰部材18としてねじりコイルばね19を用いたことにより、ねじりコイルばね19の巻回部19cが操作体11の回動軸部11jに挿通されていて、一対の腕部19a及び19bが操作体11とハウジング12とに係止された構造としたので、簡単な構造のねじりコイルばね19で確実に操作体11を中立位置に復帰させることができる。
【0051】
また、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101は、操作体11の中立位置への復帰動作の際に、ねじりコイルばね19による操作体11の復帰動作に制動をかける制動手段が設けられている。この制動の手段は、図10(a)の操作体11が右側に回動動作された状態から、図10(b)の操作体11が中立位置に戻る状態になる際に、腕部19aがケース12Aに係止される係止部12eの近傍にある、ケース12Aの傾斜部12sに、腕部19aを摺動させることで達成している。逆に、操作体11が左側に回動動作された状態から中立位置に戻る状態になる際には、腕部19bをケース12Bの傾斜部12qに摺動させること達成している(図示していない)。
【0052】
これにより、ねじりコイルばね19による操作体11の復帰動作に制動をかける制動手段が設けられているので、操作体11の中立位置への復帰動作の際に、操作体11が大きく中立位置を通り過ぎることを防止することができる。このことにより、中立位置に戻した際の反動による誤検知を確実に防ぐことができ、2方向の動作検出精度を向上させることができる。また、腕部19aまたは腕部19bをハウジング12に設けた傾斜部12sまたは傾斜部12qに摺動させることにより、傾斜部12s及び傾斜部12qを操作体11の復帰動作に制動をかける制動手段としたので、操作体11の中立位置への復帰動作の際に、操作体11の戻る勢いが徐々に減じられ、操作体11が大きく中立位置を通り過ぎることを防止することができる。このことにより、中立位置に戻した際の反動による誤検知をより確実に防ぐことができ、2方向の動作検出精度をより一層向上させることができる。
【0053】
以上により、本発明の磁気式スイッチ装置101は、操作体11が回動動作Kdの中立位置から回動操作された際に、一方側へ回動操作された際と、他方側へ回動操作された際とで、磁気センサ15の配設位置での磁界の向きMDが相反する方向となるように構成されているので、異なる2方向の回動操作を、磁界の向きMDの変化を検出する磁気センサ15により検出することができる。このことにより、磁石13と磁気センサ15よる非接触の検出手段なので、従来の接触による検出手段と比較して、接触による部材間の摩耗が生じることなく、2方向の動作を検出できるスイッチ装置の長寿命化が図られる。
【0054】
また、2つの磁気検出素子(GMR素子)を用いて、スイッチング動作する磁界の向きMDが互いに異なるようにしているので、異なる2つの磁界を検出することが可能であり、操作体11を一方側に傾倒させたときの磁界の変化と、他方側に傾倒したときの磁界の変化を個別に検出することができる。このことにより、2方向の磁界の方向を確実に検出することができるとともに、2方向のスイッチング動作が行えるスイッチ装置を提供できる。
【0055】
また、磁石13が操作体11の回動方向Dkに沿った円弧状をしているので、操作体11が回動操作されて磁石13が回動した場合でも、磁石13と磁気センサ15との距離の変化を少なくすることができる。このため、最小の距離に磁石13と磁気センサ15とを配置すると、最大の距離での磁石13と磁気センサ15とをより近づけることができる。このことにより、2方向の動作検出精度を向上させることができる。
【0056】
また、磁石13の外周側の中央部に平坦面よりも窪んだ凹部13rを形成することにより、磁気センサ15のスイッチング動作しない不感領域NCを広げることができる。このため、異なる磁界の向きMDでスイッチング動作する複数の磁気検出素子を有した1つの磁気センサ15を用いた場合、スイッチング動作する操作体11の回動範囲を広くすることができる。このことにより、1つの磁気センサ15で操作体11の回動範囲の広い2方向のスイッチング動作が行えるスイッチ装置を提供できる。
【0057】
また、回動操作されない非操作時に、復帰部材18が、初期位置である中立位置に操作体11を自動的に復帰させるので、操作体11の回動操作をしないときには、中立位置に戻すことができる。このことにより、操作体11の非操作状態時に、不所望な信号が出力しないようにすることができる。さらに、復帰部材18としてねじりコイルばね19を用いたことにより、ねじりコイルばね19の巻回部19cが操作体11との回動軸部11jに挿通されていて、一対の腕部19a及び19bが操作体11とハウジング12とに係止された構造としたので、簡単な構造のねじりコイルばね19で確実に操作体11を中立位置に復帰させることができる。
【0058】
また、ねじりコイルばね19による操作体11の復帰動作に制動をかける制動手段が設けられているので、操作体11の中立位置への復帰動作の際に、操作体11が大きく中立位置を通り過ぎることを防止することができる。このことにより、中立位置に戻した際の反動による誤検知を確実に防ぐことができ、2方向の動作検出精度を向上させることができる。また、腕部19aまたは腕部19bをハウジング12に設けた傾斜部12sまたは傾斜部12qに摺動させることにより、傾斜部12s及び傾斜部12qを操作体11の復帰動作に制動をかける制動手段としたので、操作体11の中立位置への復帰動作の際に、操作体11の戻る勢いが徐々に減じられ、操作体11が大きく中立位置を通り過ぎることを防止することができる。このことにより、中立位置に戻した際の反動による誤検知をより確実に防ぐことができ、2方向の動作検出精度をより一層向上させることができる。
【0059】
[第2実施形態]
図11は、本発明の第2実施形態に係る磁気式スイッチ装置201を説明する構成図であって、その正面図である。なお、説明を容易にするため、ケース12Aを省略している。図12は、図11に示す磁石23を用いた際の操作体11の回動動作Kdに伴う磁束密度の変化を示したグラフであって、磁気センサ25の配設位置での水平成分の磁束密度をシミュレーションした結果である。なお、第1実施形態と同じ部材は同じ符号を付しており、説明を省略する。
【0060】
本発明の第2実施形態の磁気式スイッチ装置201は、図11に示すように、本発明の第1実施形態の磁気式スイッチ装置101に対して、磁石23が凹部を有していなく円弧状の形状をしていることと、磁気センサ25が磁界の向きMDの変化を検出する磁気検出素子(GMR素子)を1つ有しているところが異なる。
【0061】
磁石23が凹部を有していなく円弧状の形状をしているため、図12に示すように、その磁束密度の変化は、操作体11の回転角に対して、ほぼ直線状に変化している。つまり、操作体11の回動動作Kdの中立位置での磁束密度の水平成分は、ほぼ0になっていて、左方向に操作体11が回動操作された際には、磁束密度の水平成分Cは、操作体11の回転角度が大きく(マイナス方向)なるにしたがって徐々に大きくなっていき、操作体11の回動動作Kdが約−50deg近傍で、磁束密度の水平成分Cは最大になっている。逆に、右方向に操作体11が回動操作された際には、磁束密度の水平成分Dは、水平成分Cとは逆向きの成分として、操作体11の回転角度が大きく(プラス方向)なるにしたがって徐々に大きくなっていき、操作体11の回動動作Kdが約50deg近傍で、磁束密度の水平成分Dは最大になっている。
【0062】
また、磁気センサ25が磁界の向きMDの変化を検出する磁気検出素子(GMR素子)を1つ有していて、操作体11が回動動作Kdの中立位置から回動操作された際に、一方側へ回動操作された際と、他方側へ回動操作された際とで、磁気センサ25の配設位置での磁界の向きMDが相反する方向を検出できるように構成されている。このため、異なる2方向の回動操作を、磁界の向きMDの変化を検出する磁気センサ25により検出することができる。このことにより、磁石23と磁気センサ25よる非接触の検出手段なので、従来の接触による検出手段と比較して、接触による部材間の摩耗が生じることなく、2方向の動作を検出できるスイッチ装置の長寿命化が図られる。
【0063】
また、図11に示すように、磁石23が操作体11の回動方向Dkに沿った円弧状をしているので、操作体11が回動操作されて磁石23が回動した場合でも、磁石23と磁気センサ25との距離の変化を少なくすることができる。このため、最小の距離に磁石23と磁気センサ25とを配置すると、最大の距離での磁石23と磁気センサ25とをより近づけることができる。このことにより、2方向の動作検出精度を向上させることができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0065】
<変形例1>
上記第1実施形態では、磁石13の凹部13rの形状が、磁石13の外周側の中央部に内周側に向いた曲面状に形成されていたが、図13(a)に示すように、磁石33の形状は、磁石33の外周側の中央部に平面状の平坦部33hであっても良い。これにより、磁石33の外周側の中央部に平面状の平坦部33hを形成し、磁気センサ15のスイッチング動作しない不感領域NCを広げたので、異なる磁界の向きMDでスイッチング動作する複数の磁気検出素子を有した1つの磁気センサ15を用いた場合、スイッチング動作する操作体11の回動範囲を広くすることができる。このことにより、1つの磁気センサ15で操作体11の回動範囲の広い2方向のスイッチング動作が行えるスイッチ装置を提供できる。
【0066】
また、図13(b)に示すように、磁石43の形状は、磁石43の外周側の中央部に内周側に向いた矩形状の凹部43kであっても良い。
【0067】
<変形例2>
また、上記第1実施形態では、磁石13での磁界の向きMDが操作部11tの突出方向Dtに沿っていたが、図14に示すように、磁石13の長手方向全域にわたって、回動する操作体11の径方向に沿った方向であっても良いし、その径方向に沿った方向に着磁されていた方がより好ましい。
【0068】
<変形例3>
上記第1実施形態では、磁気センサ15が、磁気検出素子として、巨大磁気抵抗効果を用いた磁気検出素子(GMR素子)を用いたが、磁気の方向を検知できる磁気検出素子であれば良く、MR(Magneto Resistive)素子、AMR(Anisotropic Magneto Resistive)素子、TMR(Tunnel Magneto Resistive)素子であっても良い。
【0069】
<変形例4>
上記第2実施形態では、磁界の向きMDの変化を検出する磁気検出素子(GMR素子)を1つ有している磁気センサ25を1個用いたが、上記第1実施形態で用いた磁気センサ15を用いても良い。図15は、本発明の第2実施形態に係る磁気式スイッチ装置201の変形例4を説明する図であって、磁束密度の変化を示したグラフである。
【0070】
図15に示すシミュレーション結果のように、操作体11の中立位置近傍に、磁気センサ15のスイッチング動作しない不感領域NC2が存在し、回動動作Kdによる操作体11の回転角が約±7deg近傍で、ON或いはOFFのスイッチ動作が行われるようになる。これにより、操作体11の中立位置近傍に磁気センサ15でスイッチング動作しない不感領域NC2を設けているので、操作体11を一方側に傾倒させたときと他方側に傾倒したときのスイッチング動作を個別に検出することができる。このことにより、2方向の磁界の方向を確実に検出することができるとともに、2方向のスイッチング動作が行えるスイッチ装置を提供できる。
【0071】
<変形例5>
図16は、本発明の第2実施形態に係る磁気式スイッチ装置201の変形例5を示し、磁気式スイッチ装置301を説明する正面図である。なお、説明を容易にするため、ケース12Aを省略している。
【0072】
上記第2実施形態では、磁界の向きMDの変化を検出する磁気検出素子(GMR素子)を1つ有している磁気センサ25を1個用いたが、この変形例5では、図16に示すように、2個の単極1出力タイプの磁気センサ45a、磁気センサ45bを用いた構成にしている。これにより、2つの磁気検出素子(GMR素子)を用いて、スイッチング動作する磁界の向きMDが互いに異なるようにしているので、異なる2つの磁界を検出することが可能であり、操作体11を一方側に傾倒させたときの磁界の変化と、他方側に傾倒したときの磁界の変化を個別に検出することができる。このことにより、2方向の磁界の方向を確実に検出することができるとともに、2方向のスイッチング動作が行えるスイッチ装置を提供できる。
【0073】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。例えば、上述した第1実施形態においては、磁気センサ15として、相反する磁界の向きでスイッチング動作する2つの磁気検出素子(GMR素子)を備えたもので説明したが、磁気センサはこれに限られない。すなわち、磁気センサが3つ以上の磁気検出素子を有しており、このうち、少なくとも2つの磁気検出素子が相反するような互いに異なる磁界の向きでスイッチング動作するものであれば良い。
【符号の説明】
【0074】
11 操作体
11t 操作部
11j 回動軸部
12 ハウジング
12k 開口部
12p、12q、12s、12t 傾斜部
13、23、33、43 磁石
13r、43k 凹部
15、25、45a、45b 磁気センサ
18 復帰部材
19 ねじりコイルばね
19c 巻回部
19a、19b 腕部
101、201、301 磁気式スイッチ装置
Kd 回動動作
Kj 回動軸線
Dk 回動方向
Dt 突出方向
NC、NC1、NC2 不感領域
MD 磁界の向き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動操作される操作部を有する操作体と、前記操作部を突出させる開口部を有するとともに前記操作体を回動可能に保持するハウジングと、前記操作体に設けられた磁石と、前記操作体の回動操作に伴って前記磁石からの磁界の向きの変化を検出する磁気センサと、を備え、
前記磁石は、前記操作体の回動軸線を挟んで前記操作部とは反対側に設けられているとともに、前記操作部の突出方向に沿って異なる磁極となるように着磁されており、
前記磁気センサは、前記磁石を介して前記回動軸線と対向した位置に配設されており、前記操作体の回動動作の中立位置において、前記磁気センサの配設位置での磁界の向きは、回動する前記操作体の径方向に沿った方向であり、
前記中立位置から前記操作体が回動操作された際には、一方側への回動操作と他方側への回動操作とで、前記磁気センサの配設位置での磁界の向きが前記径方向を挟んで相反する方向となるように構成したことを特徴とする磁気式スイッチ装置。
【請求項2】
前記磁石は、前記操作体の回動方向に沿った円弧状の形状をしているとともに、内周側と外周側とで異なる磁極となるように着磁されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気式スイッチ装置。
【請求項3】
前記磁気センサは、磁界の向きでスイッチング動作する複数の磁気検出素子を有し、前記複数の磁気検出素子の少なくとも2つが互いに異なる磁界の向きでスイッチング動作することを特徴とする請求項2に記載の磁気式スイッチ装置。
【請求項4】
前記操作体の前記中立位置近傍に、前記磁気センサがスイッチング動作しない不感領域を設けたことを特徴とする請求項3に記載の磁気式スイッチ装置。
【請求項5】
前記磁石の前記外周側の中央部に平坦部あるいは平坦面よりも窪んだ凹部を形成したことを特徴とする請求項4に記載の磁気式スイッチ装置。
【請求項6】
回動操作されない際に、前記操作体を前記中立位置に復帰させる復帰部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の磁気式スイッチ装置。
【請求項7】
前記復帰部材は、巻回部と一対の腕部とを有したねじりコイルばねからなり、
前記ねじりコイルばねは、前記巻回部が前記操作体の回動軸部に挿通されているとともに、前記一対の腕部が前記操作体と前記ハウジングとに係止されており、
前記操作体の前記中立位置への復帰動作の際に、前記ねじりコイルばねによる前記操作体の復帰動作に制動をかける制動手段が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の磁気式スイッチ装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記一対の腕部が前記ハウジングに係止される係止部分近傍に傾斜部を有し、前記操作体の前記中立位置への復帰動作の際に、前記腕部を前記傾斜部に摺動させることにより、前記傾斜部を前記制動手段としたことを特徴とする請求項7に記載の磁気式スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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