説明

磁気的な負荷軽減手段を備えた機械テーブル用の軸受装置

【課題】固定子01と、これに対して可動な回転子03とを備えた機械テーブル用の軸受装置で、転がり軸受05と、磁気的な反発力によって前記転がり軸受を負荷軽減する磁気軸受07とを有し、前記磁気軸受が、前記固定子に配置された固定子永久磁石グループと、これに向き合って前記回転子に配置された回転子永久磁石グループとを有し、互いに向き合う2つの前記永久磁石グループ11,19,23が、エアギャップ09によって間隔を保たれていて、互いに向き合う側に同じ磁極を有している形式のものを改良して、固定子と回転子との間に発生する磁気的な停止モーメントを十分に避けることができるようなものを提供する。
【解決手段】互いに向き合う前記永久磁石グループ間で、回転子03の運動時に発生する磁界的な磁界変動を補償する磁界強度平滑化手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載した形式の、機械テーブル用の軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による機械テーブルは、固定子と、この固定子に対して相対的に移動可能に支承された回転子とを有している。冒頭に述べた形式の軸受装置は、転がり軸受と、磁気的な反発力によって転がり軸受を負荷軽減する磁気軸受とを有しており、この場合、前記磁気軸受が、前記固定子に配置された少なくとも1つの固定子永久磁石グループと、この固定子永久磁石グループに向き合って前記回転子に配置された少なくとも1つの回転子永久磁石グループとを有している。互いに向き合う2つの前記永久磁石グループは、エアギャップによって間隔を保たれていて、互いに向き合う側に同じ磁極を有している。
【0003】
このような形式の軸受装置は、特に磁気的な負荷軽減手段が組み込まれている回転テーブル軸受として構成されている。その他の可能な使用分野は、反発するパッシブな磁石によって重力及び静的な作業力の補償手段を備えた回転テーブル並びに支持軸受又は非常用軸受を備えたパッシブな磁気軸受である。しかしながら本発明による軸受装置は、有利な形式で、リニア機械テーブル(linearer Maschinentisch)においても使用することができる。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許公開第102006053041号明細書によれば、固定子と、この固定子に対して相対的可動に支承された回転子とを備えている、特に工作機械用の軸受装置が公知である。この軸受装置は、転がり軸受と磁気軸受とを有している。磁気軸受は、複数の永久磁石を有しており、これらの永久磁石は、互いに間隔を保って固定子若しくは回転子に結合されていて、エアギャップによって分離されており、この場合、互いに相対的に可動に支承された、互いに向き合う永久磁石は、その互いに向き合う側に常に同じ極を有している。永久磁石は、有利な形式で平行6面体又は方形に構成されている。このような永久磁石の欠点は、回転子が固定子に対して相対的に運動する際に、永久磁石間の隙間によって、磁気的な停止モーメントが発生する、という点にある。磁気的な停止モーメントの発生は、電気機械の物理学によって一般的に公知であり、電気機械の固定子と回転子との間のエアギャップ内の磁気的な磁束の非均一性を生ぜしめる原因となる。この公知の明細書により公知の軸受の有利な実施例によれば、転がり軸受と磁気軸受とが回転軸受として構成されており、この場合、磁気軸受がリングセグメント状の永久磁石を有しており、この永久磁石は、軸受の回転軸線に対して同心的な全部で少なくとも1つのリングを描く。個別の永久磁石のセグメント状の形状によって、この永久磁石は、事実上中間室なしで配置することができ、これによって、固定子と回転子との間に作用する停止モーメントを減少することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第102006053041号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドイツ連邦共和国特許公開第102006053041号明細書のものから出発して、本発明の課題は、固定子と回転子との間に発生する磁気的な停止モーメントを十分に避けることができるような、磁気軸受の永久磁石の形状及び/又は配置を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は本発明によれば、請求項1の特徴に記載した軸受装置によって解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の軸受装置によれば、互いに向き合う前記永久磁石グループ間で、回転子の運動時に発生する磁気的な磁界変動を補償する磁界強度平滑化手段が設けられている。磁界強度平滑化手段は、種々異なる手段によって、特に磁界強度を平滑化する付加的な素子、及び/又は永久磁石の特別な配置、及び/又は永久磁石の特別な形状付与によって、実現される。
【0009】
軸受装置の転がり軸受及び磁気軸受は、有利には回転軸受として構成されている。以下の本発明による軸受装置の有利な実施例の説明は、もっぱら回転軸受に関してのものであるが、本発明の実施例は、リニア軸受にも同様に当てはまる。
【0010】
本発明による軸受装置の第1実施例によれば、磁気軸受の前記固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループがそれぞれ、一体的に構成され、かつ固定子若しくは回転子に左右対称に配置された、それぞれ少なくとも1つの永久磁石によって構成されている。これによって、磁界強度平滑化手段は、互いに向き合う永久磁石の一体的な構造形式によって形成される。
【0011】
所定の磁気的な反発力を調節するために、一体的に構成された複数の個別の永久磁石が、半径方向で互いに間隔を保って、左右対称に固定子若しくは回転子上に配置されている。転がり軸受及び磁気軸受が回転軸受として構成されている場合、一体的に構成された個別の永久磁石は、完全なマグネットリングとして構成されており、この場合、マグネットリングは、互いに間隔を保って同心的に前記固定子若しくは回転子上に配置されている。固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループのこのような構成及び配置によって、固定子永久磁石グループと回転子永久磁石グループとの間のエアギャップ内に十分に均一な磁界が形成され、これによって、不都合な停止モーメントは部分的に又は完全に無くなる。磁界強度平滑化手段は、この場合、複数の永久磁石の形状及び配置によって形成される。
【0012】
本発明の軸受装置の第2実施例によれば、前記磁気軸受の前記固定子永久磁石グループと回転子永久磁石グループと、少なくとも直列に配置された複数の個別の永久磁石によって構成されており、この場合、所定の磁気的な反発力を調節するために、互いに間隔保った複数の列状に、固定子若しくは回転子上に配置されている。この場合、磁界強度平滑化手段は、永久磁石の複数の列の特別な配置(以下に詳しく説明されている)によって形成されている。
【0013】
転がり軸受及び磁気軸受がリニア軸受として構成されている場合、少なくとも1列に配置された個別の永久磁石は、ひし形又は平行四辺形状に構成された、並びに間隔無しに一列に互いに隣接し、かつ垂直な磁化方向(つまり永久磁石グループの互いに向き合う面に対して垂直方向)を有して、固定子若しくは回転子上に配置されている。
【0014】
転がり軸受及び磁気軸受が回転軸受として構成されている場合、少なくとも一列に配置された個別の永久磁石がリングセグメント状に構成され、並びにこの列内で間隔無しに隣接して、垂直な磁化方向を有して配置されており、この場合、リングセグメントの互いに向き合った側面ラインが、リングセグメントを側方で仕切っている半径方向線(これらの半径方向線の延長戦がリングの回転中心点と交差する)に対して傾いている。
【0015】
また、固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループは、有利には左右対称である。固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループの不均一な分割を配置も可能である。この場合、固定子及び回転子上の列は、個別の永久磁石の異なる数を有しており、これによって、固定子に対する回転子の相対運動時に発生する、磁力に起因するリップル(Kraftrippel:力の脈動)が最小にされる。
【0016】
この実施例による軸受装置の固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループの形状及び配置によれば、回転子が固定子に対して相対的に運動する際に、境界面は連続的に、比較的鋭角の角度で次第に重なっていく。これによって、磁気軸受のエアギャップ内に形成される磁界の不均一性が減少され、これによって、磁気的な停止モーメントの発生が十分に減少される。
【0017】
本発明による軸受装置の第3実施例によれば、固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループが、磁界強度平滑化手段としての強磁性の金属薄板エレメントを備えており、この金属薄板エレメントは、少なくとも一列に配置された個別の永久磁石上に設けられている。これによって、磁気的な磁束内における非均一性が補償され、ひいては磁気的な停止モーメントの発生が避けられる。また、永久磁石グループにだけ金属薄板エレメントを設けてもよい。この金属薄板エレメントは、その永久磁石グループ間の位置(つまりエアギャップ内)に基づいて磁界強さを平滑化する。
【0018】
本発明による軸受装置の別の実施例によれば、磁気軸受の固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループが、少なくとも一列に配置された複数の個別の永久磁石によって形成されており、この場合、所定の磁気的な反発力を調節するために、固定子若しくは回転子上に互いに間隔を保って複数の列が配置されている。磁気軸受の固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループは、左右対称である。少なくとも一列に配置された個別の永久磁石は、平行6面体又は方形に構成されていて、互いに同じ間隔を保って一列に、水平な磁化方向(つまり永久磁石グループの互いに向き合う面に対して平行に)、固定子若しくは回転子上に配置されている。付加的に、少なくとも2つの強磁性の分割エレメントが、半径方向に互いに間隔を保って固定子若しくは回転子上に配置され、これらの分割エレメント間に、直列に配置された永久磁石が位置決めされており、この場合、外側の分割エレメントが、その他の分割エレメントよりも小さい幅を有している。この実施例では、磁界強度平滑化手段として水平な磁化方向を有する分割エレメントが協働する。
【0019】
最後に記載した実施例に基づく、固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループの永久磁石の形状及び配置は、強磁性の分割エレメント内に閉じこめられた水平方向に延びる磁束によって、磁気軸受のエアギャップ内で磁界を均一化するように働く。所望の反発力は、固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループの永久磁石の互いに向き合う側を同一の極にすることによって得られる。これによって、磁気的な停止モーメントを減少させることができ、ひいては回転子のねじれ変動が避けられ、軸受装置のより高い回転数が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】a)は第1実施例による、機械テーブル用の軸受装置の断面図、b)は回転子永久磁石グループの平面図である。
【図2】a)は第2実施例による、機械テーブル用の軸受装置の断面図、b)及びc)は固定子及び回転子永久磁石グループの2つの平面図である。
【図3】a)は第3実施例による、機械テーブル用の軸受装置の断面図、b)は回転子永久磁石グループの平面図である。
【図4】a)は第4実施例による、機械テーブル用の軸受装置の断面図、b)は回転子永久磁石グループ上の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1のa)は、固定子01と、この固定子01に対して相対的に可動に支承された回転子03とを備えた機械テーブル用の軸受装置の第1実施例の横断面図を示す。軸受装置は、転がり軸受5と、磁気的な反発力によって転がり軸受05を負荷軽減する磁気軸受07とによって形成されている。2つの部分軸受は、回転軸受として構成されており、この場合、転がり軸受05として2列のアンギュラボールベアリングが設けられている。選択的に、回転テーブルボールベアリング又はラジアル/アキシャルローラ型回転テーブルも考えられる。
【0022】
回転子03は、転がり軸受05によって固定子01に対して可動に支承されている。磁気軸受07は、転がり軸受05の半径方向外側に配置されていて、固定子に固定された固定子永久磁石グループと、この固定子永久磁石グループに向き合って回転子に固定された回転子永久磁石グループとを有しており、この固定子永久磁石グループと回転子永久磁石グループとは、エアギャップ09によって間隔を保たれていて、互いに向き合った側に同じ磁極を備えている。前記エアギャップは、有利な形式で0.5mm〜5mmの幅を備えている。これによって固定子固定子永久磁石グループと回転子永久磁石グループとは互いに反発し合うので、上方に向けられたプリロード(予備荷重)力が回転子03及び転がり軸受05に作用する。これによって、機械テーブル若しくはその回転子03に上方から下方に向かって軸方向に作用する力が、部分的に又は完全に補償され、またこれによって転がり軸受05の完全な又は部分的な負荷軽減が得られ、ひいては、耐用年数及び/又はその他の性能データが延長され得る。
【0023】
この実施例によれば、固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループは、完全に構成された又は一体的に構成された2つの磁石リング11によって構成されており、これらの2つの磁石リング11は、同心的に及び互いに間隔を保って左右対称に固定子01若しくは回転子03上に配置されている。回転子03上における磁石リング11の配置は、図1のb)に示した回転子永久磁石グループの詳しい平面図により明らかである。磁石リング11は、プラスチックによって結合された磁石材料より射出成形によって製作されている。2つの磁石リング11は、固定子01若しくは回転子03を備えた支持体15によって、垂直方向の磁化方向13で結合されている。支持体15は、プラスチック又はセラミックより製作されていてよい。選択的に、この支持体15は、強磁性材料より成っており、この場合、磁石リング11は、引き付け力によって支持体15に固定される。固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループは、接着剤によって支持体15に取り付けてもよい。さらに、支持体15は、磁石リング11の遠心力をセンタリング及び受容するための段部1を有している。
【0024】
固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループを、軸受装置の磁界強度を平滑化する手段として構成及び配置することによって、均一な又は十分に均一な磁界がエアギャップ内に生ぜしめられる。何故ならば、永久磁石は一体的に構成された磁石リング11として構成されていて、それによって磁気的な停止モーメントを生ぜしめる間隔が、複数の個別の永久磁石を使用することによって避けられるからである。
【0025】
図2のa)は、固定子01と、この固定子01に対して相対的に可動に支承された回転子03とを備えた機械テーブル用の軸受装置の第2実施例の横断面図を示す。軸受装置は、図1に示した実施例の主要な特徴を有しているが、磁石軸受07の磁界平滑化手段は相違している。この磁界平滑化手段は、複数の個別のリングセグメント状の永久磁石19によって形成されており、2列の永久磁石19は、互いに間隔を保つことなく隣り合って配置されていて、垂直な磁化方向13を有している。この場合、リングセグメント状の個別の永久磁石19のそれぞれの互いに向き合う側面は、リングセグメントの側方を仕切る半径方向線(これらの半径方向線の延長線がリングの回転中心点と交差する)に対して傾いている。各永久磁石19の側面は、曲率半径線に対して平行ではなく、接線に対して平行である。永久磁石19の列は、半径方向で互いに間隔を保って固定子01若しくは回転子03上に配置されている。
【0026】
固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループは、互いに左右対称に構成されている。固定子01及び回転子03の複数の列は、それぞれ異なる数のセグメント状の永久磁石19を有しているか、又はこれらの永久磁石19の周方向長さは異なっている。これによって、固定子01に対して回転子03が相対的に運動する際に発生する、磁力に起因するリップル(力の脈動)が最小にされる。個別のセグメント状の永久磁石19は、例えばプレス又は焼結によって成形可能な、それぞれ公知の磁石材料より構成されている。さらに、これらの永久磁石19は、プラスチックによって結合された磁石材料より成っていてよい。
【0027】
固定子01及び回転子03上に、リングセグメント状の個別の永久磁石19を配置及び構成したことによって、これらの永久磁石19の側面が、回転子03の回転時に「不意に」接近し、所定の瞬間に完全に合致することは、避けられる。その代わり、互いに向き合う側面は、斜めに配置されていることによって、鋭角を成しており、それによって、磁気的な停止モーメントが著しく減少される。側面の互いに逆向きの傾斜位置は、鏡像対称的に相並んで示された図2のb)及びc)に示されている。図2のb)及びc)は、固定子永久磁石グループ若しくは回転子永久磁石グループの平面図の詳細を示す。
【0028】
図3のa)は、固定子01と、この固定子01に対して相対的に可動に支承された回転子03とを備えた、機械テーブル用の軸受装置の第3実施例を示す。軸受装置は、図2に示した軸受装置に相当しており、この場合、図2との相違点は、固定子永久磁石グループ若しくは回転子永久磁石グループの、2列に配置されたリングセグメント状の複数の永久磁石19上に2つの強磁性の金属薄板エレメント21が取り付けられている、という点にある。強磁性の金属薄板エレメント2の配置は、回転子永久磁石グループの平面図の詳細を示す図3のb)に示されている。
【0029】
強磁性の金属薄板エレメント21は、載設又は接着によって取り付けられており、有利には0.2mm乃至0.5mmの厚さを有している。この場合、強磁性の金属薄板エレメント21は、磁界強度平滑化手段を形成し、磁束密度における周方向の磁界強度変動平滑化し、これによって均一な磁束密度及び低い停止モーメントが得られる。
【0030】
図4のa)は、固定子01と、この固定子01に対して相対的に可動に支承された回転子03とを備えた機械テーブル用の軸受装置の第4実施例の横断面図を示す。軸受装置は、図1に示した軸受装置の主な特徴を有しているが、やはり、磁界強度平滑化手段の構成が異なっている。磁界強度平滑化手段は、複数の個別の方形の永久磁石23によって形成されており、これらの永久磁石23は、一様な間隔を保って2列に配置されていて、水平な磁化方向13を有している。この場合、一様な角度分割を得るために、スペーサホルダ25が使用される。付加的に、固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループは、3つの強磁性の分割エレメント27を有しており、これらの分割エレメント27は、同心的なリングとして構成されている。2列に配置された、方形に構成された永久磁石23は、強磁性の分割エレメント27間の隙間内に挿入されており、この場合、中央の分割エレメントは、外側の2つの分割エレメントよりも幅広く構成されている。強磁性の分割エレメント27は、有利には鋼より製造される。この分割エレメント27は、有利な歯溝29によって支持体15上に固定されている。固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループは、左右対称に構成されている。分割エレメント27及び方形に構成された永久磁石23の配置は、回転子永久磁石グループの平面図の詳細を示す図4のb)に示されている。
【0031】
固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループの選択的な構成及び配置は、磁界強度平滑化手段として働き、方形に構成された個別の永久磁石23の、強磁性の分割エレメント内に閉じこめられた、水平に延びる磁束によって、十分に均一な磁界を生ぜしめることができる。これによって、回転子03が固定子01に対して相対的に運動せしめられる際に発生する磁気的な停止モーメントの減少が得られる。
【0032】
以上の異なる実施例を互いに組み合わせることができることは、当業者にとって自明のことであるので、以上説明した複数の磁界強度平滑化手段を、同時に使用することも可能である。これによって、得ようとする効果をさらに改善することができる。
【符号の説明】
【0033】
01 固定子、 03 回転子、 05 転がり軸受、 07 磁気軸受、 09 エアギャップ、 11 マグネットリング、 13 磁化方向、 15 支持体、 17 段部、 19 永久磁石、 21 金属薄板エレメント、 23 永久磁石、 25 スペーサホルダ、 27 分割エレメント、 29 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子(01)と、この固定子(01)に対して可動に支承された回転子(03)とを備えた機械テーブル用の軸受装置であって、該軸受装置が、転がり軸受(05)と、磁気的な反発力によって前記転がり軸受を負荷軽減する磁気軸受(07)とを有しており、前記磁気軸受(07)が、前記固定子(01)に配置された固定子永久磁石グループと、この固定子永久磁石グループに向き合って前記回転子(03)に配置された回転子永久磁石グループとを有しており、互いに向き合う2つの前記永久磁石グループ(11,19,23)が、エアギャップ(09)によって互いに間隔を保たれていて、互いに向き合う側に同じ磁極を有している形式のものにおいて、
互いに向き合う前記永久磁石グループ間で、回転子(03)の運動時に発生する磁気的な磁界変動を補償する磁界強度平滑化手段が設けられていることを特徴とする、磁気的な負荷軽減手段を備えた機械テーブル用の軸受装置。
【請求項2】
前記転がり軸受(05)と磁気軸受(07)とがリニア軸受として構成されている、請求項1記載の軸受装置。
【請求項3】
前記転がり軸受(05)と前記磁気軸受(07)とが、回転軸受として構成されている、請求項1記載の軸受装置。
【請求項4】
前記磁気軸受(07)の前記固定子永久磁石グループ及び回転子永久磁石グループがそれぞれ、一体的に構成されたそれぞれ少なくとも1つの永久磁石(11)によって構成されている、請求項2又は3記載の軸受装置。
【請求項5】
前記磁気軸受(07)の前記固定子永久磁石グループと回転子永久磁石グループとがそれぞれ、複数の完全なマグネットリング(11)によって構成されており、これらのマグネットリング(11)が、互いに間隔を保って同心的に前記固定子若しくは回転子上に配置されている、請求項4記載の軸受装置。
【請求項6】
前記磁気軸受(07)の前記固定子永久磁石グループと回転子永久磁石グループとがそれぞれ、直列に配置された複数の平行四辺形状の永久磁石(19)によって構成されていて、永久磁石グループの互いに向き合う面に対して垂直な磁化方向を有している、請求項2又は3記載の軸受装置。
【請求項7】
隣接し合う永久磁石(19)の互いに向き合う側面が、曲率半径線に対して平行ではない、請求項6記載の軸受装置。
【請求項8】
前記磁気軸受(07)の前記固定子永久磁石グループと回転子永久磁石グループとが、少なくとも強磁性の金属薄板エレメント(21)によって覆われており、該金属薄板エレメント(21)が、互いに向き合う永久磁石グループ間に設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の軸受装置。
【請求項9】
前記磁気軸受(07)の前記固定子永久磁石グループと回転子永久磁石グループとがそれぞれ、前記固定子(01)若しくは回転子(03)上に互いに間隔保って配置された、少なくとも2つの強磁性の分割エレメント(27)を有しており、これらの分割エレメント(27)間に、永久磁石(23)が設けられており、前記永久磁石(23)が、前記永久磁石グループの互いに向き合う面に対して平行な磁化方向(13)を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の軸受装置。
【請求項10】
前記永久磁石(23)の2つ列が、2つの外側の分割エレメントと中央の分割エレメント(27)との間に配置されており、外側の2つの分割エレメントが、中央の分割エレメント(27)よりも広い幅を有している、請求項9記載の軸受装置。
【請求項11】
前記磁気軸受(07)の前記固定子永久磁石グループと回転子永久磁石グループとが、互いに左右対称に構成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の軸受装置。
【請求項12】
支持体(15)が設けられており、該支持体(15)が、前記固定子(01)若しくは前記回転子(03)と結合されていて、前記固定子永久磁石グループ若しくは回転子永久磁石グループを支持している、請求項1から11までのいずれか1項記載の軸受装置。
【請求項13】
前記支持体(15)が、プラスチック、セラミック又は強磁性の材料より構成されている、請求項12記載の軸受装置。
【請求項14】
前記磁気軸受(07)の前記固定子永久磁石グループと回転子永久磁石グループとが、前記支持体(15)上に接着によって、又は磁気的な引き付け力を用いて設けられている、請求項12又は13記載の軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−43741(P2010−43741A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187934(P2009−187934)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(390009623)シエツフレル コマンディートゲゼルシャフト (99)
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1−3, D−91074 Herzogenaurach, Germany
【Fターム(参考)】