説明

磁気的ホットスポットの形成の防止方法、垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法、ならびに垂直磁気記録ヘッド

【課題】シールド型の磁気記録ヘッドにおける遠方トラックの意図しない情報消去の問題を解決する。
【解決手段】垂直磁気記録ヘッドを製造するために、物理的な界面を有しない第1および第2トレーリングシールドの形成プロセス(およびそれにより生じる構造)を説明する。フォトレジストモールドを用いて上部ヨークを鍍金形成すると共に、そのフォトレジストモールドを剥離したのち、犠牲層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直磁気記録ヘッドの一般的分野に関し、特に、第1および第2トレーリングシールドの形成に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直磁気記録(PMR:perpendicular magnetic recording)において、オントラックの磁界勾配を増大させることにより、高線形密度、高トラック密度におけるフリンジ磁界の減少、および良好なSN(signal-noise)比を実現するために、サイドシールドおよびリーディングシールドと共にトレーリングシールドが用いられている。
【0003】
図1は、従来の磁気記録ヘッドの構成を表している。図1に示したように、第1トレーリングシールド12と第2トレーリングシールド13との間に界面11が存在している。この他、図1には、リーディングシールド14、主磁極15、上部ヨーク16および磁界コイル17が示されている。
【0004】
図2a〜図2cは、3種類のシールドの構成を表しており、いずれも図1に示したエアベアリング面(ABS:air bearing surface )を見た図である。3つの図面において、対角線上に位置する2つの矢印1の間には物理的界面(図1に示した界面11など)が存在しており、破線は異なる機能を有する2つの領域の境界(例えば、図2aに示したサイドシールド21と第1トレーリングシールド13との間)を表している。3つの図面では、物理的界面の存在に注目すべきである。具体的な図面はないが、図2a〜図2cに示した構成と類似する構成を有しているがサイドシールドを備えていない他の磁気記録ヘッドも用いられる場合がある。
【0005】
先行技術調査の結果、以下で説明する興味深い先行技術が発見された。Guthrie 等は、唯一のトレーリングシールドを示している(例えば、特許文献1参照。)。ただし、第1および第2トレーリングシールドを教示する先行技術は発見されず、トレーリングシールドの形成工程において犠牲材料を使用する先行技術も発見されなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7477481号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
残念ながら、図1および図2に示した構成を有するシールドを用いた場合には、そのシールドの形状および配置に大きく依存して、意図しない情報の消去がしばしば生じてしまう。そこで、本発明では、意図しない情報消去の原因を解明すると共に、その問題を如何にして克服したかについて説明する。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、シールド型の磁気記録ヘッドにおける遠方トラックの意図しない情報消去の問題を解決することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、シールド間の界面における磁壁衝突を排除して、遠方トラックにおける情報消去の原因であるホットスポットの形成を防止することである。
【0010】
また、本発明のさらに他の目的は、継ぎ目がない単一構造体であるトレーリングシールドを提供して、複数のシールド間における界面を排除することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の磁気的ホットスポットの形成の防止方法は、磁気的ホットスポットに起因する意図しない情報の消去を防止するために、垂直磁気記録ヘッドの第1および第2トレーリングシールドにおける磁気的ホットスポットの形成を防止する方法であって、単一工程において第1および第2トレーリングシールドの双方を形成して、その第1および第2トレーリングシールドの間に物理的界面を生じさせないことにより、磁気的ホットスポットの形成を防止するものである。
【0012】
本発明の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法は、磁界コイルを備えた垂直磁気記録ヘッドにおける、継ぎ目がないように連結された第1および第2トレーリングシールドを形成する方法であって、水平な上側部と、傾斜部と、その傾斜部から一端部において終端するまで延在する水平な下側部とからなる上面を有する主磁極を形成し、下側部と傾斜部と上側部の一部とに隣接された非磁性の記録ギャップ層を形成し、記録ギャップ層とその記録ギャップ層により被覆されていない主磁極の全部分とに隣接されたシード層を形成し、フォトレジストモールドを用いてシード層の上に上部ヨークを電気鍍金により形成したのち、そのフォトレジストモールドを除去し、シード層の上に犠牲層を形成したのち、上部ヨークから第1距離における上側部の上方の位置まで延在するように犠牲層をパターニングすることにより、その犠牲層により第1トレーリングシールドの寸法および形状を規定し、犠牲層により被覆されていないシード層を除去し、少なくとも犠牲層と同じ厚さを有する第1絶縁層を形成したのち、上部ヨークおよび犠牲層の上に存在しなくなるまで第1絶縁層を平坦化し、上部ヨークおよび第1絶縁層に隣接された第2絶縁層を形成したのち、その第2絶縁層の一部を除去することにより、犠牲層から第2距離の範囲において第1絶縁層の上に傾斜端縁を形成し、上部ヨークの上方における第2絶縁層の上に磁界コイルの一部を形成したのち、シード層により記録ギャップ層を破損しないように保護しながら犠牲層を除去し、磁界コイルの一部および第2絶縁層を被覆する第3絶縁層を形成し、レンチキュラー形状となるように第3絶縁層を軟化し、レンチキュラー形状を保ちながら第3絶縁層を硬化し、シード層と第1、第2および第3絶縁層とに隣接された磁性層を形成することにより、継ぎ目がないように連結された第1および第2トレーリングシールドを形成するものである。
【0013】
本発明の垂直磁気記録ヘッドは、継ぎ目がないように連結された第1および第2トレーリングシールドを備えた垂直磁気記録ヘッドであって、水平な上側部と、傾斜部と、その傾斜部から一端部において終端するまで延在する水平な下側部とからなる上面を有する主磁極と、下側部と傾斜部と上側部の一部とに隣接された非磁性の記録ギャップ層と、記録ギャップ層とその記録ギャップ層により被覆されていない主磁極の全部分とに隣接されたシード層と、シード層の上において、記録ギャップ層から第1の距離に位置すると共に第1厚さを有する上部ヨークと、第1厚さと同じ厚さを有すると共に、上部ヨークに隣接する第1垂直側壁および記録ギャップ層に隣接する第2垂直側壁を有し、上側部の一部と記録ギャップ層の一部とに隣接された第1絶縁層と、上部ヨークおよび第1絶縁層に隣接されると共に、第2垂直側壁から第2距離の範囲における第1絶縁層の上に傾斜端縁を有する第2絶縁層と、上部ヨークの上方における第2絶縁層の上の磁界コイルの一部と、磁界コイルの一部を被覆する第3レンチキュラー絶縁層と、シード層と傾斜端縁と第1および第2絶縁層と第3レンチキュラー絶縁層とを被覆する単一の磁性層とを備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の磁気的ホットスポットの形成の防止方法によれば、単一工程において第1および第2トレーリングシールドの双方を形成して、その第1および第2トレーリングシールドの間に物理的界面を生じさせないようしたので、シールド間の界面における磁壁衝突が排除される。よって、遠方トラックにおける情報消去の原因であるホットスポットの形成を防止することができる。
【0015】
本発明の垂直磁気記録ヘッドまたはそれにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法によれば、単一の磁性層を形成することにより、継ぎ目がないように連結された第1および第2トレーリングシールドを形成しているので、継ぎ目がない単一構造体であるトレーリングシールドを提供して、複数のシールド間における界面を排除することができる。また、シールド型の磁気記録ヘッドに関する遠方トラックの意図しない情報消去の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の垂直磁気記録ヘッドの構成を表す図である。
【図2a】3種類のシールドの構成のうちの第1構成をABSから見た図である。
【図2b】3種類のシールドの構成のうちの第2構成をABSから見た図である。
【図2c】3種類のシールドの構成のうちの第3構成をABSから見た図である。
【図3】垂直磁気記録ヘッドの製造方法に関する開始時の初期構造を説明する図である。
【図4】第1および第2トレーリングシールドの形状および寸法を規定する犠牲層の導入を説明する図である。
【図5】主磁極からシールドを分離する絶縁層の形成を説明する図である。
【図6】犠牲層の除去および磁界コイルの形成を説明する図である。
【図7】犠牲層の除去および磁界コイルの形成を説明する他の図である。
【図8】コイルハウジングの形成および単一工程における第1および第2トレーリングシールドの形成を説明する図である。
【図9】垂直磁気記録ヘッドの製造方法に関する最終構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
本発明の一実施形態における垂直磁気記録ヘッドの製造方法は、磁気的ホットスポットに起因する意図しない情報の消去を防止するために、垂直磁気記録ヘッドの第1および第2トレーリングシールドにおける磁気的ホットスポットの形成を防止することを実現可能な方法である。より具体的には、単一工程において第1および第2トレーリングシールドの双方を形成して、その第1および第2トレーリングシールドの間に物理的界面を生じさせないことにより、磁気的ホットスポットの形成を防止している。
【0019】
この垂直磁気記録ヘッドの製造方法は、図3に示したように、上面を有する主磁極15の形成から開始する。この主磁極15の上面は、水平な上側部と、傾斜部と、その傾斜部から一端部において終端するまで延在する水平な下側部とからなり、その上側部および下側部は傾斜部に連結されている。なお、傾斜部のおおよそ中心を通る破線は、ABSとなる位置を示している。
【0020】
続いて、主磁極15における下側部と傾斜部と上側部の一部とに隣接された非磁性の記録ギャップ層31を形成したのち、記録ギャップ層31とその記録ギャップ層31により被覆されていない主磁極15の全部分とに隣接されたシード層32を形成する。このシード層32は、NiFe、CoFeおよびCoNiFeからなる群から選択される磁性合金である。
【0021】
続いて、一般的なフォトリソグラフィ技術を用いてシード層32の上にフォトレジストモールド33を形成したのち、そのフォトレジストモールド33を用いてシード層32の上に上部ヨーク16を電気鍍金により形成する。こののち、一般的な方法を用いてフォトレジストモールド33を剥離除去する。
【0022】
続いて、シード層32の上に犠牲層43を形成したのち、図4に示したように、上部ヨーク16から第1距離における上側部の上方の位置まで延在するように犠牲層43をパターニングする。この場合には、犠牲層43が傾斜部を約2μm越えて終端すると共に、記録ギャップ層31が上部ヨーク16と犠牲層43とを分離するスペース41の中間まで延在するようにする。上部ヨーク16から犠牲層43までの第1距離は、0.5μmよりも大きいと共に3μm以下の範囲、または0.5μmよりも大きいと共に3μmよりも小さい範囲である。この犠牲層43により、後工程において形成される第1トレーリングシールドの寸法および形状が規定される。
【0023】
犠牲層43は、フォトレジストでもよいし、後工程において選択的に除去可能であれば他の材料でもよい。このような他の材料は、NiFe、CoNiFe、SiN、SiO2 およびCuを含むが、これらに限定されない。犠牲層43がフォトレジストである場合には、酸素ベースの反応性イオンエッチング(RIE:reactive ion etching)法を用いて犠牲層43をパターニングする。一方、犠牲層43がNiFe等である場合には、ウェット化学エッチング法または反応性イオンエッチング法を用いて犠牲層43をパターニングする。犠牲層43をパターニングする場合には、その犠牲層43の一部が除去されると共に、イオンビームエッチング法を用いて犠牲層43および上部ヨーク16により被覆されていないシード層32の一部(露光部分)を除去する。
【0024】
上記したように、犠牲層43としては、後工程において除去するためにダミーのフォトレジストを用いるが、他の材料、例えばAl2 3 および磁性金属に対して選択的に除去されるSiNなどを用いてもよい。この場合における犠牲層43のパターニング方法は、フォトレジストである場合とは異なり、例えばRIE法である。この他、犠牲層43は金属材料でもよく、その場合における犠牲層43のパターニング方法はウェット化学エッチング法である。
【0025】
続いて、図5に示したように、スペース41に、少なくとも犠牲層43と同じ厚さ、例えば犠牲層43の厚さを上回る初期厚さを有する第1絶縁層51を形成する。この第1絶縁層51は、上部ヨーク16に隣接する第1垂直側壁および犠牲層43に隣接する第2垂直側壁を有する。続いて、上部ヨーク16および犠牲層43の上に第1絶縁層51が存在しなくなるまで、その第1絶縁層51を含む全体を平坦化する。第1絶縁層51は、アルミナを含むが、これに限定されず、その厚さは、0.3μmよりも大きいと共に1.5μmよりも小さい範囲である。
【0026】
続いて、図6に示したように、上部ヨーク16および第1絶縁層51に隣接された第2絶縁層61を形成する。第2絶縁層61は、アルミナを含むが、これに限定されず、その厚さは、0.05μmよりも大きいと共に0.5μmよりも小さい範囲である。
【0027】
続いて、イオンビームミリング法またはリフトオフプロセスを用いて、第2絶縁層61の一部を除去することにより、犠牲層43(第2垂直側壁)から第2距離の範囲において第1絶縁層51の上に傾斜端縁(ベベルエッジ)62を形成する。犠牲層43から傾斜端縁62までの第2距離は、0.2μmより大きいと共に2μmより小さい範囲である。
【0028】
続いて、上部ヨーク16の上方における第2絶縁層61の上に、磁界コイル17の一部を形成したのち、図7に示したように、シード層32により記録ギャップ層31を破損しないように保護しながら犠牲層43を除去する。
【0029】
続いて、図8に示したように、磁界コイル17の一部および第2絶縁層61を被覆するように第3絶縁層82を形成する。続いて、レンチキュラー形状(レンズ状)となるように第3絶縁層82を十分に軟化させたのち、そのレンチキュラー形状を保ちながら第3絶縁層82を硬化させる。
【0030】
この場合には、第3絶縁層82の形成材料の融点(または軟化点)が約200℃よりも低い場合には、レンチキュラー形状となるように軟化する(または化学的手段により軟化される)まで第3絶縁層82を加熱する。また、必要に応じて冷却方法または他の方法を用いて、第3絶縁層段82を硬化させる。
【0031】
最後に、シード層32、第1絶縁層51、第2絶縁層61および第3絶縁層82に隣接された磁性層81を形成する。これにより、継ぎ目がないように連結された第1および第2トレーリングシールドが形成されるため、図9に示した垂直磁気記録ヘッドが完成する。図9に示した垂直磁気記録ヘッドは、第1および第2トレーリングシールドの間に物理的界面が存在しないことを除き、図1に示した垂直磁気記録ヘッドと同様の構成を有している。
【0032】
なお、第1および第2トレーリングシールドである磁性層81の他に、追加シールドとしてリーディングシールドと2つのサイドシールド(いずれも図示せず)とを追加してもよい。この場合には、第1および第2トレーリングシールドとリーディングシールドと2つのサイドシールドとを継ぎ目がない単一の構造体となるように形成することが好ましい。
【0033】
この垂直磁気記録ヘッドの製造方法では、上部ヨーク16を電気鍍金により形成すると共にフォトレジストモールド33を除去したのち、直ちに犠牲層43を形成している。この犠牲層43により、磁性層81の一部(第1トレーリングシールド)の形状および寸法が規定されるため、その犠牲層43を除去したのち、単一工程において磁性層81(第1および第2トレーリングシールド)を容易に形成できる。
【0034】
この場合には、シード層32が上部ヨーク16を電気鍍金により形成可能とする初期の目的を果たしたのち、イオンミリング法またはリフトオフ法を用いてシード層32の一部を除去している。よって、犠牲層43を除去する際に、記録ギャップ層31に破損などのダメージが及ばないように、その記録ギャップ層31をシード層32の残存部分により保護することができる。
【0035】
この製造方法では、リーディングシールドおよびサイドシールド、サイドシールドおよび第1トレーリングシールド、またはリーディングシールド、サイドシールドおよび第1トレーリングシールドを単一工程において形成してもよい。しかしながら、従来のいずれの製造方法においても、共通して、第1および第2トレーリングシールドを分離形成していた。具体的には、第1トレーリングシールドを形成してから平坦化したのち、その第1トレーリングシールドの上に第2トレーリングシールドを形成していた。このため、必然的に、第1および第2のトレーリングシールドの間に物理的な界面が形成されてしまう。
【0036】
シールド間の物理的界面と、そのシールドに起因する意図しない情報消去との関係については、ABSにおける2つの磁気記録ヘッドに関する磁気力顕微鏡(MFM:magnet force microscope )の観察画像を用いて既に研究されている。2つの磁気記録ヘッドは、サイドシールドだけでなく、第1および第2トレーリングシールドを備えている。2つの磁気記録ヘッドにおいて、主磁極の近くで配向された磁壁は、第1および第2トレーリングシールドの間の界面において、それらが衝突するまで水平な磁壁を生じさせる。
【0037】
さらなる研究により、遠方トラックにおける意図しない情報消去の原因が磁壁衝突であることを解明した。このため、遠方トラックの情報消去を誘発する上記原因を排除できれば、シールド間に生じる磁壁衝突の可能性も除去できることが明らかになった。これを実現する最良の方法は、第1および第2トレーリングシールドの間の物理的不連続により生じる水平な磁壁の形成を回避することである。
【0038】
上記したように、トレーリングシールドを継ぎ目がない単一の構造体として、第1および第2トレーリングシールドの間に物理的界面が形成する可能性を排除することは、本発明において、単一工程において第1および第2トレーリングシールドの双方を形成することにより達成される。
【0039】
なお、追加シールドを用いる場合には、リーディングシールドとサイドシールドとの界面、およびサイドシールドと第1トレーリングシールドとの界面を排除するために、それらを単一工程において継ぎ目がない単一の構造体となるように形成することが好ましい。もちろん、全てのシールド、すなわちリーディングシールド、第1トレーリングおよび第2トレーリングを単一工程において継ぎ目がない単一の構造体となるように形成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
15…主磁極、16…上部ヨーク、17…磁界コイル、31…記録ギャップ層、32…シード層、33…フォトレジストモールド、43…犠牲層、51…第1絶縁層、61…第2絶縁層、62…ベベルエッジ、81…磁性層、82…第3絶縁層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気的ホットスポットに起因する意図しない情報の消去を防止するために、垂直磁気記録ヘッドの第1および第2トレーリングシールドにおける磁気的ホットスポットの形成を防止する方法であって、
単一工程において前記第1および第2トレーリングシールドの双方を形成して、その第1および第2トレーリングシールドの間に物理的界面を生じさせないことにより、前記磁気的ホットスポットの形成を防止する、
磁気的ホットスポットの形成の防止方法。
【請求項2】
磁界コイルを備えた垂直磁気記録ヘッドにおける、継ぎ目がないように連結された第1および第2トレーリングシールドを形成する方法であって、
水平な上側部と、傾斜部と、その傾斜部から一端部において終端するまで延在する水平な下側部とからなる上面を有する主磁極を形成し、
前記下側部と前記傾斜部と前記上側部の一部とに隣接された非磁性の記録ギャップ層を形成し、
前記記録ギャップ層とその記録ギャップ層により被覆されていない前記主磁極の全部分とに隣接されたシード層を形成し、
フォトレジストモールドを用いて前記シード層の上に上部ヨークを電気鍍金により形成したのち、そのフォトレジストモールドを除去し、
前記シード層の上に犠牲層を形成したのち、前記上部ヨークから第1距離における前記上側部の上方の位置まで延在するように前記犠牲層をパターニングすることにより、その犠牲層により前記第1トレーリングシールドの寸法および形状を規定し、
前記犠牲層により被覆されていない前記シード層を除去し、
少なくとも前記犠牲層と同じ厚さを有する第1絶縁層を形成したのち、前記上部ヨークおよび前記犠牲層の上に存在しなくなるまで前記第1絶縁層を平坦化し、
前記上部ヨークおよび前記第1絶縁層に隣接された第2絶縁層を形成したのち、その第2絶縁層の一部を除去することにより、前記犠牲層から第2距離の範囲において前記第1絶縁層の上に傾斜端縁を形成し、
前記上部ヨークの上方における前記第2絶縁層の上に前記磁界コイルの一部を形成したのち、前記シード層により前記記録ギャップ層を破損しないように保護しながら前記犠牲層を除去し、
前記磁界コイルの一部および前記第2絶縁層を被覆する第3絶縁層を形成し、
レンチキュラー形状となるように前記第3絶縁層を軟化し、
レンチキュラー形状を保ちながら前記第3絶縁層を硬化し、
前記シード層と前記第1、第2および第3絶縁層とに隣接された磁性層を形成することにより、前記継ぎ目がないように連結された第1および第2トレーリングシールドを形成する、
垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項3】
前記犠牲層はフォトレジストである、請求項2記載の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項4】
前記シード層はNiFe、CoFeおよびCoNiFeからなる群から選択される磁性合金である、請求項2記載の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項5】
前記犠牲層は酸素ベースの反応性イオンエッチングによりパターニングされる、請求項3記載の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項6】
前記犠牲層はNiFe、CoNiFe、SiN、SiO2 およびCuからなる群から選択される、請求項2記載の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項7】
前記犠牲層はウェット化学的エッチングまたは反応性イオンエッチングによりパターニングされる、請求項6記載の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項8】
前記上部ヨークから前記犠牲層までの前記第1距離は0.5μmよりも大きいと共に3μmよりも小さい範囲である、請求項2記載の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項9】
前記犠牲層から前記傾斜端縁までの前記第2距離は0.2μmよりも大きいと共に2μmよりも小さい範囲である、請求項2記載の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項10】
前記第1絶縁層はアルミナであると共に、0.3μmよりも大きいと共に1.5μmよりも小さい範囲の厚さとなるように形成されている、請求項2記載の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項11】
前記第2絶縁層はアルミナであると共に、0.05μmよりも大きいと共に0.5μmよりも小さい範囲の厚さとなるように形成されている、請求項2記載の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項12】
前記第2絶縁層の一部の除去および前記傾斜端縁の形成はイオンビームミリングまたはリフトオフプロセスにより行われる、請求項2記載の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項13】
前記第1および第2トレーリングシールドに追加シールドとしてリーディングシールドと2つのサイドシールドを追加し、前記第1および第2トレーリングシールドと前記リーディングシールドと前記2つのサイドシールドとを継ぎ目がない単一の構造体となるように形成する、請求項2記載の垂直磁気記録ヘッドにおける第1および第2トレーリングシールドの形成方法。
【請求項14】
継ぎ目がないように連結された第1および第2トレーリングシールドを備えた垂直磁気記録ヘッドであって、
水平な上側部と、傾斜部と、その傾斜部から一端部において終端するまで延在する水平な下側部とからなる上面を有する主磁極と、
前記下側部と前記傾斜部と前記上側部の一部とに隣接された非磁性の記録ギャップ層と、
前記記録ギャップ層とその記録ギャップ層により被覆されていない前記主磁極の全部分とに隣接されたシード層と、
前記シード層の上において、前記記録ギャップ層から第1の距離に位置すると共に第1厚さを有する上部ヨークと、
前記第1厚さと同じ厚さを有すると共に、前記上部ヨークに隣接する第1垂直側壁および前記記録ギャップ層に隣接する第2垂直側壁を有し、前記上側部の一部と前記記録ギャップ層の一部とに隣接された第1絶縁層と、
前記上部ヨークおよび前記第1絶縁層に隣接されると共に、前記第2垂直側壁から第2距離の範囲における前記第1絶縁層の上に傾斜端縁を有する第2絶縁層と、
前記上部ヨークの上方における前記第2絶縁層の上の磁界コイルの一部と、
前記磁界コイルの一部を被覆する第3レンチキュラー絶縁層と、
前記シード層と前記傾斜端縁と前記第1および第2絶縁層と前記第3レンチキュラー絶縁層とを被覆する単一の磁性層とを備えた、
垂直磁気記録ヘッド。
【請求項15】
前記上部ヨークから前記記録ギャップ層までの前記第1距離は3μm以下である、請求項14記載の垂直磁気記録ヘッド。
【請求項16】
前記傾斜端縁から前記第2垂直側壁までの前記第2距離は0.2μmよりも大きいと共に2μmよりも小さい範囲である、請求項14記載の垂直磁気記録ヘッド。
【請求項17】
前記第1絶縁層はアルミナであると共に、0.3μmよりも大きいと共に1.5μmよりも小さい範囲の厚さを有する、請求項14記載の垂直磁気記録ヘッド。
【請求項18】
前記第2絶縁層はアルミナであると共に、0.05μmよりも大きいと共に0.5μmよりも小さい範囲の厚さを有する、請求項14記載の垂直磁気記録ヘッド。
【請求項19】
追加シールドとしてリーディングシールドおよび2つのサイドシールドを備え、前記第1および第2トレーリングシールドとリーディングシールドと2つのサイドシールドとは継ぎ目がない単一の構造体である、請求項14記載の垂直磁気記録ヘッド。
【請求項20】
前記シード層はNiFe、CoFeおよびCoNiFeからなる群から選択される磁性合金である、請求項14記載の垂直磁気記録ヘッド。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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