説明

磁気記憶装置及び情報読出し位置設定方法

【課題】 磁気記録媒体のトラック間隔が狭くなっても低いエラーレートで情報の再生をする。
【解決手段】 磁気記憶装置は、ライトリードオフセット量を格納したオフセットテーブルを記憶する。このオフセットテーブルは、目標トラックに対して記録素子により情報を複数回繰り返し記録する目標トラック記録工程(S13)と、目標トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して記録素子により情報を記録する隣接トラック記録工程(S14)と、当該目標トラック内における読出素子による読出位置を変化させながら情報を再生する再生工程(S16,S17)と、当該再生工程にて再生した情報を用いてエラーレートが最も低い読出位置を求めて、当該読出位置を、目標トラックにおける情報読出位置として決定しテーブルに設定する設定工程(S18〜S21)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体に情報を記録し、当該記録された情報を磁気記録媒体から再生する磁気記憶装置及び情報読出し位置設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ディスク媒体を有する磁気記憶装置は、磁気ディスク媒体に対して磁気ヘッドを配置する構成として、一方端に磁気ヘッドが設けられ他方端に回転モータが接続された支持部材(回転アーム)を有している。この支持部材は、回転モータの駆動によって回転し、円弧状の軌跡に沿って磁気ヘッドの位置を変化させる。
【0003】
このような磁気記憶装置は、高トラック密度化によりトラック幅を狭くしても、磁気ディスク媒体に対して正確に情報の記録及び再生ができることが望まれている。このために、従来では、情報の記録時及び再生時における磁気ヘッド位置を制御することが行われている(例えば下記の特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−30853号公報
【特許文献2】特開2005−322275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した磁気記憶装置においては、磁気ディスク媒体におけるトラック間隔が狭いために、トラックに対して記録を行うと、当該記録のための磁界が、隣接するトラックに漏れてしまう。この結果、複数回に亘ってトラックに記録がなされると、当該トラックに隣接するトラックの情報が干渉を受けて再生出力が低くなってしまい、エラーレートが高くなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、磁気記録媒体のトラック間隔を狭くても低いエラーレートで情報の再生をすることができる磁気記憶装置及び情報読出し位置の設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するための情報読出し位置の設定方法は、ディスク型記録媒体のトラックに記録された情報を再生する時における読出素子の情報読出位置を決定する工程を含む。当該情報読出位置を決定する工程は、情報読出位置を決定する目標トラックに対して記録素子により情報を記録する目標トラック記録工程と、目標トラック記録工程の後に、目標トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して記録素子により情報を複数回繰り返し記録する隣接トラック記録工程と、隣接トラック記録工程の後に、当該目標トラック内における読出素子による読出位置を変化させながら情報を再生する再生工程と、再生工程の後に、当該再生工程にて再生した情報を用いてエラーレートを測定し、エラーレートが最も低い読出位置を求めて、当該読出位置を、目標トラックにおける情報読出位置として決定し、記憶手段のテーブルに設定する設定工程とを有する。
【0008】
上述の課題を解決するための磁気記憶装置は、記録素子と読出素子とを有する磁気ヘッドを支持部材の一方端に設け、当該支持部材の他方端を回転駆動して、磁気ヘッドをディスク型記録媒体に対して位置決めさせるものである。
【0009】
この磁気記憶装置は、支持部材を回転駆動させることによって記録素子を位置決めさせ、該記録素子によりディスク型記録媒体のトラックに情報を記録する記録処理手段と、読出素子によりディスク型記録媒体に記録された情報を再生する時における読出素子の情報読出位置に関する情報を含むテーブルデータを記憶する記憶手段と、支持部材を回転駆動させることによって記憶手段に記憶された情報読出位置に前記読出素子を位置決めさせ、当該読出素子によりディスク型記録媒体の当該トラックに記録された情報を再生する再生処理手段とを含み、情報読出位置に関する情報は、当該トラックに対して情報を記録した状態で当該トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して情報を複数回繰り返し記録した場合の当該トラック内でエラーレートの最も低い位置に基づいた情報を含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
上記の磁気記憶装置及び情報読出し位置の設定方法によれば、隣接トラックに対して情報を記録した場合の当該トラック内でエラーレートの最も低い位置により求められた情報読出位置の補正情報をテーブルデータに含むので、実際に隣接トラックに記録が行われても、低いエラーレートで情報の再生をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置の構成を示すブロックである。
【図2】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置の外観構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置に記憶されるオフセットテーブルを示す図である。
【図4】記録回数と、隣接トラックのエラーレートとの関係を示す図である。
【図5】記録回数と、再生出力と、オフセット量との関係を示す図である。
【図6】記録回数とオフセット量との関係を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置における磁気ディスクのトラックに対するロータリーアクチュエータの動作を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置において、トラックに対する磁気ヘッドの配置状態を示す図であり、(A)が最インナートラック付近、(B)はヨー角0度境界線付近、(C)は最アウタートラック付近、である。
【図9】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置における磁気ヘッドの構成を示す図であり、(A)は記録素子81と読出素子82とが一体となっている構成、(B)は記録素子と読出素子とが分離した構成、(C)は記録素子と読出素子がそれぞれ独立した構成、である。
【図10】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置におけるロータリーアクチュエータの動作に応じた磁気ヘッドの状態を示す図であり、(A)はロータリーアクチュエータの動作による磁気ヘッドの移動状態、(B)はヨー角θとライトリードオフセット量との関係、を示す。
【図11】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置において、記録素子と読出素子とがずれている時のロータリーアクチュエータの動作に応じた磁気ヘッドの状態を示す図であり、(A)はロータリーアクチュエータの動作による磁気ヘッドの移動状態、(B)はヨー角θとライトリードオフセット量との関係、を示す。
【図12】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置における記録素子による記録動作時の記録素子、読出素子の位置関係を示す図である。
【図13】記録素子幅、記録幅、トラックピッチの位置関係を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置における読出素子による再生動作時の記録素子、読出素子の位置関係を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置において、読出素子82をリードオフセット補正量だけずらした状態を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置によりオフセットテーブルを作成する処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置によりライトリードオフセット量を測定する処理手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置によりライトリードオフセット量を測定する他の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[磁気記憶装置10の構成]
本発明の一実施形態として示す磁気記憶装置は、例えば図1に示すような各部を有している。磁気記憶装置10は、制御ボード11と、後述する磁気ディスク等を搭載する筐体を含む磁気ディスク装置12とを有する。なお、磁気ディスク装置12は、ディスクエンクロージャとも称される部位を含んでいる。
【0013】
磁気ディスク装置12は、図1及び図2に示すように、磁気ディスク40−1,40−2(以下、総称する場合には単に「磁気ディスク40」とも呼ぶ。)を有する。また、磁気ディスク装置12は、磁気ディスク40−1,40−2に対して記録再生を行う磁気ヘッド41−1,41−2,41−3,41−4(以下、総称する場合には「磁気ヘッド41」とも呼ぶ。)及びヘッドIC42を有する。更に磁気ディスク装置12は、ロータリーアクチュエータ43と、スピンドルモータ44と、ボイスコイルモータ45と、ヨーク46と、軸部47とを有している。この磁気ディスク装置12は、図2に示すようにベース10a上に取り付けられる。
【0014】
なお、図1に示した磁気ディスク装置12は、2枚の磁気ディスク40を有し、当該磁気ディスク40の両面を記録面としている例を示している。したがって、この例には限られず、後述の動作を行うことができることは勿論である。
【0015】
スピンドルモータ44は、その回転軸に磁気ディスク40−1,40−2が装着されている。スピンドルモータ44は、回転駆動することによって、磁気ディスク40−1,40−2を所定の回転数にて回転させる。磁気ディスク40−1,40−2の回転数は、例えば4200rpm程度である。
【0016】
ロータリーアクチュエータ43は、アーム43aの一方端を回転軸として回転させ、アーム43aの他方端に設けた磁気ヘッド41を磁気ディスク40−1,40−2に対して移動させるものである。ロータリーアクチュエータ43は、アーム43aにおける一方端に設けたコイルを、永久磁石を装着したヨーク46の間に回動自在に配置している。
【0017】
ロータリーアクチュエータ43は、支持部材としてのアーム43aの先端に磁気ヘッド41−1,41−2,41−3,41−4が取り付けられる。ボイスコイルモータ45は、回転駆動することによってロータリーアクチュエータ43におけるアーム43aの先端を回転移動させる。これにより、磁気ヘッド41−1,41−2,41−3,41−4は、磁気ディスク40−1,40−2の記録面に対して位置決めされる。
【0018】
磁気ヘッド41−1,41−2,41−3,41−4は、磁気ディスク40−1,40−2に情報を記録する記録素子と、磁気ディスク40−1,40−2に記録された情報を読み出す読出素子とを有している。この磁気ヘッド41−1,41−2,41−3,41−4としては、例えば、記憶素子と読出素子とが一体化された複合型のものが使用可能である。
【0019】
磁気ディスク40が記録層と軟磁性体裏打ち層を有する垂直磁気記録型のものである場合、記録素子としては、垂直磁気記録型のものを使用する。また、読出素子としては、GMR(Giant Magneto Resistive)素子やTMR(Tunneling Magneto Resistive)素子が使用可能である。磁気ヘッド41−1,41−2,41−3,41−4は、磁気ヘッドIC42と信号線によって接続されている。
【0020】
磁気ヘッドIC42は、当該磁気記憶装置10の上位装置となるホスト20及びMPU56から供給されるコマンドに従った処理を行う。このコマンドは、磁気ディスク40に情報を記録するライトコマンド又は磁気ディスク40に記録された情報を再生するリードコマンドを含む。ヘッドIC42は、情報記録系の構成としてライトアンプを有し、情報再生系の構成としてプリアンプを有している。ヘッドIC42は、ライトコマンド又はリードコマンドに基づいて磁気ヘッド41のうちの何れかを選択する。そして、ヘッドIC42は、情報の記録時には、選択した磁気ヘッド41に対して記録素子から記録磁界を発生させる。また、情報の再生時には、選択した磁気ヘッド41の読出素子により読み取った信号を受信する。
【0021】
制御ボード11は、制御回路31と、バッファメモリ32と、不揮発メモリ33と、モータ駆動制御部34とを有する。
【0022】
制御回路31は、磁気記憶装置10の製造時において、製造・試験設備としてのホスト20と接続される。制御回路31は、例えば単一のLSI(Large Scale Integrated Circuit)回路が使用可能である。制御回路31は、当該ホスト20から送信されたコマンドを入力して、磁気ディスク装置12に対して記録再生制御をする。制御回路31は、後述のオフセットテーブル57aを作成する命令に従って、磁気ディスク装置12を制御して当該オフセットテーブル57aを作成する。
【0023】
また、磁気記憶装置10が例えばパーソナルコンピュータに内蔵された場合、等制御回路31は、ホスト20からライトコマンド及び記録情報、リードコマンドが供給される。制御回路31は、ホスト20から磁気ディスク40に記録する情報と共にライトコマンドが供給された場合、当該情報を磁気ディスク40に記録する制御をする。また、制御回路31は、ホスト20から情報を再生するリードコマンドが供給された場合、磁気ディスク40から情報を読み出す制御をする。
【0024】
バッファメモリ32は、制御回路31の制御に従って、各種情報を記憶する。例えば、磁気ディスク40に書き込むべき記録情報、磁気ディスク40から読み出された再生情報が格納される。
【0025】
不揮発メモリ33には、制御回路31における各部にて実行される制御プログラムが格納される。この不揮発メモリ33は、例えばフラッシュメモリが使用可能である。
【0026】
モータ駆動制御部34は、スピンドルモータ44及びボイスコイルモータ45と接続されている。モータ駆動制御部34は、制御回路31からの制御信号に従って、スピンドルモータ44及びボイスコイルモータ45を回転駆動させる。これにより、ロータリーアクチュエータ43におけるアーム43aが回転して、磁気ヘッド41を磁気ディスク40に対して円弧状に移動して位置決め(シーク)させる。
【0027】
制御回路31は、バス51(図示無し)と、ホストインターフェース制御部52と、バッファメモリ制御部53と、ディスクコントローラ54と、信号変復調部55と、MPU(Micro Processing Unit)56と、メモリ57とを有する。バス51には、ホストインターフェース制御部52と、バッファメモリ制御部53と、ディスクコントローラ54と、信号変復調部55と、MPU56と、メモリ57が接続されている。
【0028】
ホストインターフェース制御部52は、ホスト20に対するインターフェース回路である。ホストインターフェース制御部52は、ホスト20からライトコマンド及び記録情報、リードコマンドが供給された場合、当該コマンド及び情報を制御回路31にて処理可能な信号形態に変換する。この記録情報は、バッファメモリ制御部53に供給される。また、ホストインターフェース制御部52は、ホスト20に送信する再生情報がある場合には、当該情報をホスト20が受信可能な信号形態に変換する。再生情報は、バッファメモリ制御部53から供給される。
【0029】
バッファメモリ制御部53は、バッファメモリ32に情報を記憶及び消去させると共に、バッファメモリ32に記録されている情報を読み出す。バッファメモリ制御部53は、記録情報がホストインターフェース制御部52を介して供給されると、当該記録情報をバッファメモリ32に格納し、必要に応じて読み出す。また、バッファメモリ制御部53は、再生情報が供給されると、当該再生情報をバッファメモリ32に格納し、必要に応じて読み出す。
【0030】
ディスクコントローラ54は、バッファメモリ制御部53から記録情報が供給される。ディスクコントローラ54は、記録情報を磁気ディスク40に書き込むための所定のフォーマットに変換して、信号変復調部55に供給する。また、ディスクコントローラ54は、信号変復調部55から再生情報が供給される。ディスクコントローラ54は、供給された再生情報をホスト20に出力すべき所定のフォーマットに変換して、バッファメモリ制御部53に供給する。
【0031】
信号変復調部55は、ディスクコントローラ54から記録情報が供給される。信号変復調部55は、記録情報に対して所定の変調処理をして、ヘッドIC42に供給する。また、信号変復調部55は、ヘッドIC42から再生情報が供給される。信号変復調部55は、供給された再生情報に対して所定の復調処理をして、ディスクコントローラ54に供給する。
【0032】
メモリ57には、MPU56によって参照される制御データ及び制御プログラムが格納されている。メモリ57に格納された制御プログラムとしては、磁気ディスク40から情報を再生する時にトラックに対する磁気ヘッド41のオフセット量(位置ズレ量)を決定してオフセットテーブル57aを作成する処理を実行するためのプログラムを含む。
【0033】
また、メモリ57に格納された制御データとしては、図3に示すようなオフセットテーブル57aを表すテーブルデータが含まれる。図3に示すオフセットテーブル57aは、磁気ヘッド41を特定するヘッド番号H、同心円状の複数トラックを特定するシリンダアドレスCに対して、ライトリードオフセット量αが対応付けられて記述されている。また、磁気記憶装置10には、磁気ディスク40のトラックごとの位置情報が予め設定されている。
【0034】
ライトリードオフセット量αとは、磁気ヘッド41におけるトラックに対して記録再生を行うときの記録素子と読出素子とのずれ量である。したがって、任意のトラックに読出素子を位置させる場合には、当該トラックの位置情報に従って磁気ヘッド41を位置決めした状態で、ライトリードオフセット量αだけずらす。このことから、ライトリードオフセット量αは、情報再生時における情報読出位置を表していると言える。
【0035】
ライトリードオフセット量αは、後述するが、リードオフセット補正量βによって補正されたものである。リードオフセット補正量βは、トラックに記録された情報を最も少ないエラーレートにて読み出すためのライトリードオフセット量αに対する読出位置の補正量である。
【0036】
シリンダは、任意のトラック本数からなる磁気ディスク40内の記録領域を表す。そして、オフセットテーブル57aには、シリンダごとにライトリードオフセット量αが対応付けられている。なお、この実施形態では、シリンダごとにライトリードオフセット量αを設定しておく例を示したが、全トラックにライトリードオフセット量αを設定しても良い。また、磁気ディスク40の記録領域において、最外周トラックから最内周トラックまでを分割した複数のゾーン毎の所定のトラックにて測定しライトリードオフセット量αをゾーン毎に登録しておいても良い。この場合、ライトリードオフセット量αが登録されていないトラックについては、そのトラックが属するゾーンに対応して登録されているライトリードオフセット量αを補間して求めることができる。
【0037】
ライトリードオフセット量αをリードオフセット補正量βで補正する理由について説明する。
【0038】
図4に示すように、磁気ディスク40における任意のトラックに対して複数回に亘り情報を記録すると、その記録回数が多くなるほど、当該任意のトラックに対する隣接トラック(+1トラック、−1トラック)における再生時のエラーレートが高くなる。
【0039】
また、図5に示すように、任意のトラックに情報を記録する回数が多くなるほど、隣接するトラックにおける再生出力[ボルト]が低くなると共に、再生出力のピーク位置が、ライトリードオフセット量にて規定されている読出位置からずれる。この再生出力のピーク位置の移動に合わせて、当該隣接トラックにて最も低いエラーレートにて再生できる読出位置がずれる。このずれ量が、リードオフセット補正量βとなる。
【0040】
図4に示したように、任意のトラックにおける両側の隣接トラックが同じ割合でエラーレートは発生しない。また、図5に示したように、エラーレートが最も低くなる位置は、記録回数に応じて図中の右側(+方向=アウター側)の一方方向にずれる。
【0041】
このずれ量は、図6に示すように、任意のトラックに対する記録回数が多くなるほど、大きくなり、飽和に向かう。したがって、リードオフセット補正量βは、最も低いエラーレートにて再生するために、ずれ量が飽和する位置に読出素子を位置させる値とされることが望ましい。これにより、メモリ57は、目標トラックの両側の隣接トラックに対して情報を記録した場合でも、目標トラック内でエラーレートの最も低い位置が読出位置となるようなライトリードオフセット量αを記憶することができる。なお、このリードオフセット補正量βを測定する処理については、後述する。
【0042】
MPU56は、磁気記憶装置10における各部を制御することにより、磁気ディスク40に対する記録処理及び再生処理を制御する。MPU56は、ライトリードオフセット測定部61と、記録処理部62と、オフセット補正部63と、再生処理部64とを有する。
【0043】
記録処理部62は、ロータリーアクチュエータ43におけるアーム43aを回転駆動させることによって記録素子を走査させ、当該記録素子により磁気ディスク40に情報を記録する記録処理を行う。このために、記録処理部62は、モータ駆動制御部34に対して制御信号を供給して、スピンドルモータ44及びボイスコイルモータ45を動作させる。また、記録処理部62は、制御回路31の各部及びヘッドIC42に制御信号を供給して、磁気ヘッド41の記録素子によって情報の書き込みをさせる。
【0044】
オフセット補正部63は、磁気ディスク40の情報再生時に、目標トラックに磁気ヘッド41の読出素子を位置決めした状態で、ライトリードオフセット量αを補正する。このライトリードオフセット量αは、オフセットテーブル57aの作成時に、トラック内でエラーレートが最も低い位置が探索されるときに、補正される。
【0045】
再生処理部64は、ロータリーアクチュエータ43におけるアーム43aを回転駆動させることによって、メモリ57に記憶されたライトリードオフセット量αだけ、記録素子に対して読出素子をずらす。これにより再生処理部64は、当該読出素子により磁気ディスク40に記録された情報を再生する再生処理を行う。このために、再生処理部64は、モータ駆動制御部34に対して制御信号を供給して、スピンドルモータ44及びボイスコイルモータ45を動作させる。また、記録処理部62は、制御回路31の各部及びヘッドIC42に制御信号を供給して、磁気ヘッド41の記録素子又は再生素子によって情報の書き込み又は読出をさせる。
【0046】
ライトリードオフセット測定部61は、磁気記憶装置10の製造時において、磁気ヘッド41における記録素子と読出素子とのライトリードオフセット量αを測定して、オフセットテーブル57aに格納する。具体的には、製造・試験設備としてのホスト20を磁気記憶装置10に接続した状態で、ライトリードオフセット量αを測定する測定ファームウェア(プログラム)をメモリ57にダウンロードする。そして、MPU56は、ダウンロードした測定ファームウェアを実行することにより、ライトリードオフセット測定部61、オフセット補正部63、記録処理部62及び再生処理部64を機能として含むことができる。
【0047】
このライトリードオフセット測定部61は、詳細は後述するが、測定ファームウェアを実行することにより、MPU56に各種の手段を持たせる。MPU56は、リードオフセット補正量を規定する第1トラックに対して記録素子により情報を記録する手段、第1トラックの両側に隣接する第2トラックに対して記録素子により情報を記録する手段を含む。また、MPU56は、第1トラック内における読出素子による読出位置を走査しながら情報を再生する手段を含む。更に、MPU56は、再生した情報を用いて最もエラーレートが低い読出位置を求めて、当該読出位置を第1トラックにおけるオフセット量として決定して、当該オフセット量を記憶手段に記憶させる手段を含む。
[ライトリードオフセット量α及びリードオフセット補正量βの説明]
つぎに、上述した磁気記憶装置10において、オフセットテーブル57aに格納されるライトリードオフセット量αについて、図7乃至図15を参照して説明する。
【0048】
図7に示すように、磁気ディスク40の記録面に対して模式的に示したロータリーアクチュエータ43が軸部47を回転中心にして、位置43−1〜位置43−2に亘り回動する。これにより、ロータリーアクチュエータ43のアーム43aにおける先端の磁気ヘッド41を任意のトラック71に対向するように位置決めすることができる。
【0049】
ロータリーアクチュエータ43は、磁気ディスク40におけるトラック71の長手方向に一致するヨー角θ=0度の位置43−2である場合に、ヨー角0度境界線72とする。この場合、ヨー角θは、アウター(外周)側又はインナー(内周)側に向かうほど増加し、最アウタートラック71−1及び最インナートラック71−2にて最大となる。
【0050】
この磁気記憶装置10は、例えばヨー角θが最大となる最アウタートラック71−1を開始位置として、ヨー角θが0度のヨー角0度境界線72に隣接するトラック71−nに向けてデータを順次書き込む。次に、磁気記憶装置10は、ヨー角θが最大となる最インナートラック71−2からヨー角0度境界線72に隣接したトラック71−(n+1)に向けてデータを順次書き込む。
【0051】
図8(A)に、最インナートラック71−2n付近に対して磁気ヘッド41を対向させた時における磁気ヘッド41と最インナートラック71−2nとの位置関係を示す。図8(B)に、ヨー角0度境界線72のトラック71−n付近に磁気ヘッド41を対向させた時における磁気ヘッド41とトラック71−nとの位置関係を示す。図8(C)に、最アウタートラック71−1付近に対して磁気ヘッド41を対向させた時における磁気ヘッド41と最アウタートラック71−1との位置関係を示す。
【0052】
図8(B)に示すように、磁気ヘッド41がヨー角0度境界線72上のトラック71−nに対向している場合には、トラック71の長手方向に対して傾きが無い状態となっている。この状態では、磁気ヘッド41における記録素子は、あまりトラック71の幅方向においてはみ出していない。
【0053】
これに対し、図8(A)及び図8(C)に示すように、磁気ヘッド41が最インナートラック71−2n及び最アウタートラック71−1に対向するように位置している場合には、トラック71の長手方向に対して磁気ヘッド41が傾いた状態となっている。この状態では、磁気ヘッド41における記録素子がトラック71の幅方向においてはみ出す傾向にあり、隣接トラックに対して記録素子から発した磁界が漏れやすい。
【0054】
したがって、情報が記録されたトラック71から隣接トラックに漏れた磁界によって、当該隣接トラックに記録された情報を再生した時のエラーレートが最小となるように、当該隣接トラックでのライトリードオフセット量αをリードオフセット補正量βによって補正する必要がある。
【0055】
図9に、本実施形態における記録素子及び読出素子を含む磁気ヘッド41の構成例を示す。
【0056】
図9(A)は、軸部47を中心に回動自在なロータリーアクチュエータ43の先端に磁気ヘッド41を設けて、磁気ヘッド41の本体83に記録素子81及び読出素子82を設けた状態を示している。記録素子81は、幅方向の記録素子幅Twで磁気ディスク40に情報を記録する。また、記録素子81及び読出素子82は、ロータリーアクチュエータ43の長手方向(トラック71の略長手方向)に、間隔Lを介して配置されている。
【0057】
図9(B)は、磁気ヘッド41を簡略的に示したものであり、記録素子81と読出素子82を分離して示している。
【0058】
図9(C)は、図9(B)の記録素子81と読出素子82を個々に独立してロータリーアクチュエータ43の先端に配置した状態を示している。なお、図8においては、図9(A)に示した形態の磁気ヘッド41をトラック71に対向させた状態を示している。
【0059】
このように間隔Lを有する磁気ヘッド41を用いた時に生ずるライトリードオフセット量αを図10(A)、(B)に示す。
【0060】
先ず、ロータリーアクチュエータ43が位置43−1の状態にある場合には、ヨー角θは0度である。この場合、ロータリーアクチュエータ43の長手方向とトラック71の長手方向とは同一方向となる。記録素子81及び読出素子82の幅方向における中心位置は、トラック71の幅方向における中央位置に位置決めされる。したがって、ライトリードオフセット量αは、0となる。また、読出素子82にて当該ヨー角θのトラック71に記録された情報を読み出すときには、リードオフセット補正量βも、不要となる。
【0061】
これに対し、ヨー角θが−θmaxとなるロータリーアクチュエータ43の位置43−2である場合、磁気ヘッド41は、位置41−11に移動する。このとき、記録素子81及び読出素子82は、それぞれ位置81−1、82−1のようになり、磁気ディスク40の半径方向における距離としてのライトリードオフセット量−αmaxを生ずる状態となる。
【0062】
逆に、ヨー角θが+θmaxとなるロータリーアクチュエータ43の位置43−3である場合、磁気ヘッド41は、位置41−12に移動する。このとき、記録素子81及び読出素子82は、それぞれ位置81−2、82−2のようになり、磁気ディスク40の半径方向における距離としてのライトリードオフセット量+αmaxを生ずる状態となる。
【0063】
このようなライトリードオフセット量αは、ロータリーアクチュエータ43が回転することによりヨー角θが変化すると、図10(B)に示すように変化する。このライトリードオフセット量αは、記録素子81と読出素子82との間隔Lとヨー角θとに応じて、
α=Lsinθ
という数式にて表される。
【0064】
例えば図11(A)に示すように、磁気ヘッド41における記録素子81と読出素子82との間に、幅方向における位置ズレが製造プロセスによって発生する場合がある。この場合、ロータリーアクチュエータ43が位置43−1であっても、ライトリードオフセット量α0が生ずる。
【0065】
このように製造プロセスに起因するライトリードオフセット量αがある場合には、ヨー角θが−θmaxとなるロータリーアクチュエータ43の位置43−2となると、磁気ヘッド41は、位置41−11に移動する。このとき、記録素子81及び読出素子82は、図10(A)に示したライトリードオフセット量−αmaxよりも小さいライトリードオフセット量α02となる。
【0066】
一方、ヨー角θが+θmaxとなるロータリーアクチュエータ43の位置43−3となると、磁気ヘッド41は、位置41−12に移動する。このとき、記録素子81及び読出素子82は、図10(A)に示したライトリードオフセット量+αmaxよりも大きいライトリードオフセット量α01となる。
【0067】
このようなライトリードオフセット量α0は、ロータリーアクチュエータ43が回転することによりヨー角θが変化すると、図11(B)に示すように変化する。点線は、図10に示した製造プロセスに起因するライトリードオフセット量がない時の、ヨー角θに応じたライトリードオフセット量αの変化である。このライトリードオフセット量α0は、記録素子81と読出素子82との間隔Lとヨー角θとに応じて、
α=Lsinθ+α0cosθ
という数式にて表される。
【0068】
なお、図11には、一例として、記録素子81に対して読出素子82が左側に位置ズレした場合を示している。しかし、記録素子81に対して読出素子82が右側に位置ズレした場合には、図10に示した位置ズレがない時のライトリードオフセット量αに対して、ライトリードオフセット量α0は、マイナス側にシフトすることになる。
【0069】
このように、ロータリーアクチュエータ43を回転させることにより生ずるライトリードオフセット量αは、磁気ディスク40におけるシリンダごとに、ライトリードオフセット測定部61によって測定される。そして、測定されたライトリードオフセット量αは、オフセットテーブル57aにおけるライトリードオフセット量αとしてメモリ57に格納される。
【0070】
ロータリーアクチュエータ43によって回転移動される磁気ヘッド41は、図12に示すようにトラック71に対向して配置される。図12は、磁気ヘッド41の記録素子81−1,81−2,81−3と回転移動されることにより、記録素子81は、トラック71−11,71−12,71−13に向けてインナー側に移動して位置決めされる。
【0071】
ここで、トラック71−11に対して情報を記録する場合には、記録素子81−1の記録幅Twcは、記録素子81の記録素子幅をTw、ヨー角をθとすると、
Twc=Tw・cosθ
で表される。
【0072】
この記録幅Twcは、トラック71−11に対向して記録素子81−1が配置されていても、当該トラック71−11に隣接するトラック71−12にも及んでいる。このようなヨー角θに対応した記録素子81−1の記録幅Twcで情報が書き込まれると、トラック71−11に隣接するトラック71−12にも、記録素子81−1のはみ出し部分によって情報の書き込みが行われる。これにより、トラック71−11は、規定のトラックピッチTpとなる。
【0073】
このように形成されたトラック71に対して読出素子82が磁界を読み取って生成する再生信号の信号振幅分布及び再生信号のエラーレート分布は、図12中の下段に示すように測定されたものとする。再生信号の信号振幅分布は、トラック71のトラックピッチTpの中心位置であるトラックセンタ71aにて最大の信号振幅値Aとなる。記録幅Twcの中心位置であるライトセンタ81aにおける再生信号の信号振幅値Bは、最大の信号振幅値Aよりも小さい。再生信号のエラーレート分布は、トラックセンタ71aにて最小のエラーレート値Cとなっている。ライトセンタ81aにおける再生信号のエラーレート値Dは、最小のエラーレート値Cよりも高い。
【0074】
図13に、図12における記録素子幅Tw、記録幅Twc、トラックピッチTpの関係を示す。記録素子81は、トラック71の幅方向に対して傾いている。このため、当該記録素子81による記録幅Twcは、Tw・cosθで表現されるように、記録素子幅Twのヨー角θに対する余弦成分となる。
【0075】
このような記録幅Twcの記録領域は、隣接するトラック71に対する情報の記録が行われることにより、一部に対して重ね書きが行われる。この重ね書き幅は、記録幅Twc−トラックピッチTpとなる。これにより、記録幅Twcは、有効トラック幅としてのトラックピッチTpに修正される。
【0076】
このようなトラック71−11に記録された情報を再生する場合、読出素子82は、図14に示すように、ロータリーアクチュエータ43が位置43−11から位置43−12へと回転されたことによって、トラック71−11に向けて移動して位置決めされる。このとき、読出素子82は、記録素子81により情報を記録している時の位置82−11よりも、ライトリードオフセット量αだけアウター側に位置決めされる。
【0077】
しかし、ライトセンタ81aは、トラックセンタ71aに対して、ずれている。このために、情報記録時よりもライトリードオフセット量αだけ読出素子82をアウター側にずらしても、読出素子82の中心位置は、トラックセンタ71aに対向する位置とはならない。この状態では、再生信号の信号振幅分布における最大の信号振幅値Aよりも低い信号振幅値Bにて信号を再生することになり、最小のエラーレートにて再生を行うことができない。
【0078】
そこで、磁気記憶装置10は、図15に示すように、トラック71における再生信号のエラーレート分布から最もエラーレートが低い値にて再生を行うように、リードオフセット補正量βを求める。そして、磁気ヘッド41における間隔Lに起因するライトリードオフセット量αに対してリードオフセット補正量βを加算した値を、ライトリードオフセット量αとしてオフセットテーブル57aに格納する。
【0079】
なお、図15に示した例では、トラックピッチTpの中央が、エラーレートが最も低い位置となっている。しかし、後述するように実際に測定した結果としてエラーレートが最も低い位置が情報読出位置となるようにライトリードオフセット量αを決定することとなる。
[オフセットテーブルの作成処理]
つぎに、上述したような磁気記憶装置10により、リードオフセット補正量βを求めてライトリードオフセット量αをオフセットテーブル57aに格納する処理手順について、図16乃至図19のフローチャートを参照して、説明する。
【0080】
上述したように、磁気記憶装置10は、記録素子81と読出素子82とを有する磁気ヘッド41をアーム43aの一方端に設け、当該アーム43aの他方端を回転駆動して、磁気ヘッド41を磁気ディスク40に対して走査させるものである。そして、磁気記憶装置10は、その製造時に、ホスト20からのコマンドに従って、図16のステップS1以降の処理を開始する。
【0081】
ステップS1において、MPU56は、製造・試験設備としてのホスト20から、リードオフセット補正量βを求めた上でライトリードオフセット量αを求めてオフセットテーブル57aに格納する測定ファームウェアをダウンロードして、メモリ57に格納する。そして、MPU56は、ダウンロードした測定ファームウェアを実行する。これにより、MPU56においては、ライトリードオフセット測定部61、記録処理部62、オフセット補正部63、再生処理部64としての機能が有効となる。
【0082】
次のステップS2において、ライトリードオフセット測定部61は、ライトリードオフセット量αを測定するトラック位置を目標トラック位置Xとして取り出す。具体的には、メモリ57に格納されたオフセットテーブル57aから、ヘッド番号及びシリンダアドレスを取り出す。なお、この段階において、オフセットテーブル57aは、ヘッド番号及びシリンダアドレスのみが設定され、ライトリードオフセット量αは空き領域となっている。
【0083】
次のステップS3において、ライトリードオフセット測定部61は、ライトリードオフセット量αの測定処理をする。このとき、ライトリードオフセット測定部61は、記録処理部62、オフセット補正部63及び再生処理部64を制御する。このライトリードオフセット量αの測定処理は、磁気ディスク40のトラック71に記録された情報を再生する時におけるトラックセンタ71aに対する読出素子82のライトリードオフセット量αを決定する工程である。
【0084】
具体的には、先ず、ライトリードオフセット量αを決定する目標トラックに対して記録素子81により情報を記録する目標トラック記録工程を行う。次に、目標トラックの両側に隣接する第2トラックに対して記録素子81により情報を記録する隣接トラック記録工程を行う。次に、目標トラック内における読出素子82による読出位置を走査しながら情報を再生する再生工程を行う。次に、当該再生工程にて再生した情報を用いて最もエラーレートが低い読出位置を求めて、当該読出位置を目標トラックにおけるライトリードオフセット量αとして決定しテーブルに登録設定する設定工程を行う。なお、詳細な処理内容については後述する。
【0085】
次のステップS4において、ライトリードオフセット測定部61は、磁気ディスク40における全ての測定すべきトラック71についてライトリードオフセット量αを求めたか否かを判定する。測定すべきトラック71の全てについてライトリードオフセット量αを求めた場合にはステップS5に処理を進める。一方、測定すべきトラック71の全てについてライトリードオフセット量αを求めていない場合には、ステップS2に処理を戻す。このステップS2においては、未だライトリードオフセット量αが求められていないトラック位置を目標トラック位置Xとして取り出す。
【0086】
ステップS5において、MPU56は、は、オフセットテーブル57aを磁気ディスク40のシステム領域に保存する。なお、不揮発メモリ33に充分な容量がある場合には、オフセットテーブル57aを不揮発メモリ33に保存しても良い。
【0087】
次のステップS6において、MPU56は、ステップS1にてダウンロードした測定ファームウェアをメモリ57から削除する。
【0088】
なお、ステップS6にて測定ファームウェアの削除を行わずに、測定ファームウェアを磁気ディスク40に保存したままであっても良い。この場合、磁気記憶装置10を使用している状態でライトリードオフセット量αを用いた処理に異常が発生した時に、測定ファームウェアを実行してオフセットテーブル57aを再作成できる。
[ライトリードオフセット量αの測定処理]
つぎに、図16におけるステップS3のライトリードオフセット量αの測定処理について、図17のフローチャートを参照して説明する。
【0089】
このライトリードオフセット量αの測定処理は、先ず、ステップS11において、ライトリードオフセット測定部61は、ライトリードオフセット量αを測定するトラック位置を目標トラック位置Xとして取り出す。
【0090】
次のステップS12において、記録処理部62は、ステップS11にて取り出された目標トラック位置Xに磁気ヘッド41の記録素子81をシークさせる。このとき、記録処理部62は、目標トラック位置Xに磁気ヘッド41の記録素子81を位置させると共に所定回転数にて磁気ディスク40を回転させるように、モータ駆動制御部34に対して制御信号を出力する。
【0091】
次のステップS13において、記録処理部62は、ステップS12にてシークされた磁気ヘッド41の記録素子81により目標トラック位置Xに対して測定信号を記録させる。このとき、記録処理部62は、ヘッドIC42に対して測定信号を供給して、記録素子81から記録磁界を発生させる。
【0092】
次のステップS14において、記録処理部62は、ステップS13にて測定信号が記録された目標トラック位置Xに両側に隣接する隣接トラックに対して、複数回に亘り測定信号を記録させる。このとき、記録処理部62は、隣接トラックに磁気ヘッド41をシークさせる制御信号をモータ駆動制御部34に供給すると共にヘッドIC42に測定信号を供給して、記録素子81から記録磁界を発生させる。
【0093】
次のステップS15において、ライトリードオフセット測定部61は、ライトリードオフセット量αを、初期値−Pに設定する。この初期値−Pは、例えば、トラック71におけるインナー側の端部である。
【0094】
次のステップS16において、再生処理部64は、目標トラック位置Xにおける初期値−P(X+(−P))又は後述の更新されたライトリードオフセット量α(X+(W+δp))に、磁気ヘッド41の読出素子82をシークさせる。このとき、記録処理部62は、目標トラック位置Xにライトリードオフセット量αを加えた位置に、磁気ヘッド41の読出素子82を位置させると共に所定回転数にて磁気ディスク40を回転させるように、モータ駆動制御部34に対して制御信号を出力する。
【0095】
次のステップS17において、再生処理部64は、ステップS16にてシークした目標トラックから測定信号を再生させる。このとき、再生処理部64は、ヘッドIC42に対して、読出素子82にて読み出している信号を測定信号として取得してMPU56に出力する制御信号を供給する。再生処理部64は、例えば目標トラック位置Xの1トラック分を再生させる。これにより、MPU56は、ヘッドIC42から再生した測定信号を取得することができる。
【0096】
次のステップS18において、ライトリードオフセット測定部61は、ステップS17にて再生された測定信号から、当該測定信号の信号振幅値を用いたエラーレートを求める。このエラーレートは、ステップS13にて目標トラック位置Xに記録された測定信号が、ステップS14にて行われた隣接トラックに対する記録磁界によってどの程度の影響を受けているかの評価値となる。すなわち、エラーレートが高いほど隣接トラックからの記録磁界によって情報が消去されていることが分かる。
【0097】
次のステップS19において、オフセット補正部63は、ライトリードオフセット量αを所定のずれ量δpだけ増加させて、新たなライトリードオフセット量αに更新する。この所定のずれ量δpは、トラック71内にてエラーレートが最も低い位置を探索するために設定される。したがって、所定のずれ量δpは、高い精度でエラーレートが最も低い位置を求める場合には、小さな値に設定することが望ましい。
【0098】
次のステップS20において、ライトリードオフセット測定部61は、ステップS19にて更新したライトリードオフセット量αが、トラック71内におけるオントラック範囲の限界値である+Pに達したか否かを判定する。トラック71内におけるオントラック範囲の限界値は、−Pをインナー側の端部に設定したので、目標トラック位置Xのアウター側の端部となる。
【0099】
ライトリードオフセット量αがオントラック範囲の限界値に達していない場合にはステップS16に処理を戻す。これにより、ライトリードオフセット測定部61は、トラック71内において所定のずれ量δpごとにエラーレートを得ることができる。一方、ライトリードオフセット量αがオントラック範囲の限界値に達した場合には、ステップS21に処理を進める。
【0100】
ステップS21において、ライトリードオフセット測定部61は、所定のずれ量δpごとに算出されたエラーレートを参照して、エラーレートが最も低い位置をライトリードオフセット量αとして決定する。
【0101】
以上のように、MPU56は、磁気ディスク40のシリンダアドレスごとにライトリードオフセット量αを決定することができる。このように決定されたライトリードオフセット量αは、オフセット補正部63によって、オフセットテーブル57aに格納される。オフセット補正部63によるライトリードオフセット量αの格納タイミングは、シリンダアドレスごとにライトリードオフセット量αが決定される度であっても良く、全てのシリンダアドレスについてライトリードオフセット量αを決定した後であっても良い。
【0102】
以上詳細に説明したように、この磁気記憶装置10によれば、当該磁気記憶装置10の製造時において、読出素子82の情報読出位置としてのライトリードオフセット量αを決定する工程を含む。そして、このライトリードオフセット量αを決定する工程は、目標トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して情報を記録して、エラーレートが最も低い読出位置を求める。これにより、エラーレートが最も低い位置に基づいて、ライトリードオフセット量αを決定できる。
【0103】
これにより、オフセットテーブル57aは、トラックに対して情報を記録した状態で当該トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して情報を記録した場合の当該トラック内でエラーレートの最も低い位置を、情報読出位置として含むことになる。
【0104】
したがって、この磁気記憶装置10によれば、磁気ディスク40のトラック間距離を狭くしても低いエラーレートで情報の再生をすることができる。
[隣接トラックへの複数回記録]
上述したライトリードオフセット量αの測定処理において、ステップS14の隣接トラックに測定信号を記録する工程は、隣接トラックに対し、少なくとも目標トラック内でエラーレートの最も低い位置がずれる所定回数に亘り情報を記録することが望ましい。
【0105】
すなわち、図5に示したように、隣接トラックへの記録磁界が目標トラックに及ぶために、目標トラックの情報を消してしまう隣接トラックイレーズと称される現象は、多数回に亘って隣接トラックに記録された時に発生する。したがって、例えば、図6に示したように、少なくとも1000回程度に亘って隣接トラックに対して記録を行った後に、ライトリードオフセット量αを0.030[μm]と決定することが望ましい。
【0106】
これにより、オフセットテーブル57aは、トラックに対して情報を記録した状態で当該トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して複数回に亘り情報を記録した場合の当該トラック内でエラーレートの最も低い位置を、情報読出位置として含むことになる。
【0107】
このように複数回に亘り隣接トラックに対して記録をしてライトリードオフセット量αを決定することにより、磁気記憶装置10は、実際に目標トラックにおけるエラーレートが最も低い情報読出位置がずれても、確実に低いエラーレートで情報を再生できる。
[ライトリードオフセット量αの予測]
また、ライトリードオフセット測定部61は、ステップS21のライトリードオフセット量αの決定処理において、エラーレートの最も低い位置を予測し、当該予測された位置が情報読出位置となるようなライトリードオフセット量αを決定しても良い。
【0108】
図6に示したように、目標トラックに対する隣接トラックに10回以上の記録動作を行い、更に記録回数が多くなるほど、エラーレートが最も低くなるライトリードオフセット量αは、大きくなり、飽和に向かう。従って、ライトリードオフセット測定部61は、記録回数ごとにエラーレートが最も低くなるライトリードオフセット量αを複数個測定して、更に記録回数が増加した時にエラーレートが最も低くなるライトリードオフセット量αを予測する。
【0109】
例えば、図6に示すようにライトリードオフセット量αが変化する目標トラックのライトリードオフセット量αを予測するとする。この場合、ライトリードオフセット測定部61は、10回だけ隣接トラックに記録した時のライトリードオフセット量αと、500回だけ隣接トラックに記録した時のライトリードオフセット量αとを測定する。そして、ライトリードオフセット測定部61は、2個のライトリードオフセット量αに10000回に亘り隣接トラックに記録した時のライトリードオフセット量αを予測する。
【0110】
これにより、オフセットテーブル57aは、トラックに対して情報を記録した状態で当該トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して情報を記録した場合の当該トラック内でエラーレートの最も低いと予測された位置を、情報読出位置として含むことになる。
【0111】
このように、磁気記憶装置10によれば、多数回に亘って隣接トラックに対して記録動作を行わずに、多数回に亘って隣接トラックに対して記録動作が行われた時にエラーレートが最も低くなるライトリードオフセット量αに近い値を求めることができる。したがって、この磁気記憶装置10によれば、当該磁気記憶装置10の製造工程におけるオフセットテーブル57aの作成時間を短縮できる。
[他のライトリードオフセット量αの測定処理]
つぎに、上述したライトリードオフセット量αの測定処理とは他の処理について、図18を参照して説明する。なお、上述したライトリードオフセット量αの測定処理と同様の部分については、対応するステップ番号を示して、その詳細な説明を省略する。
【0112】
図18に示すライトリードオフセット量αの測定処理は、図6に示したように、隣接トラックに対する記録回数が増加するほど、エラーレートが最も低くなることを利用したものである。このライトリードオフセット量αの測定処理は、多数回に亘って隣接トラックに対して記録動作を行い、ライトリードオフセット量αの変化が少なくなった場合に、飽和値に近いライトリードオフセット量αを決定するものである。
【0113】
先ず、ステップS31、ステップS32、ステップS33において、MPU56は、上述のステップS11、ステップS12、ステップS13と同様の処理を行う。これにより、目標トラック位置Xの取得し、記録素子81を目標トラック位置Xにシークし、当該目標トラック位置Xに対して測定処理を記録する。
【0114】
次のステップS34において、記録処理部62は、目標トラック位置Xの両側に隣接する隣接トラックに対して所定回数Nに亘り測定信号の記録を行う。この所定回数Nは、隣接トラックに対して記録動作を行うことにより目標トラックにおけるエラーレートが最も低くなる位置がずれる回数であることが望ましい。図6に示すようにライトリードオフセット量αが変化する場合、例えば、所定回数Nは、10〜100程度に設定されることが望ましい。
【0115】
次のステップS35において、ライトリードオフセット測定部61は、ステップS15と同様に、ライトリードオフセット量αを、初期値−Pに設定する。
【0116】
次のステップS36において、再生処理部64は、ステップS16と同様に、目標トラック位置Xにおける初期値−P(X+(−P))又は後述の更新されたライトリードオフセット量α(X+(W+δp))に、磁気ヘッド41の読出素子82をシークさせる。
【0117】
次のステップS37において、再生処理部64は、ステップS17と同様に、ステップS36にてシークした目標トラックから測定信号を再生させる。
【0118】
次のステップS38において、ライトリードオフセット測定部61は、ステップS18と同様に、ステップS37にて再生された測定信号から、当該測定信号の信号振幅値を用いたエラーレートを求める。
【0119】
次のステップS39において、オフセット補正部63は、ステップS19と同様に、ライトリードオフセット量αを所定のずれ量δpだけ増加させて、新たなライトリードオフセット量αに更新する。
【0120】
次のステップS40において、ライトリードオフセット測定部61は、ステップS20と同様に、ステップS39にて更新したライトリードオフセット量αが、トラック71内におけるオントラック範囲の限界値である+Pに達したか否かを判定する。ライトリードオフセット量αがオントラック範囲の限界値に達していない場合にはステップS36に処理を戻す。一方、ライトリードオフセット量αがオントラック範囲の限界値に達した場合には、ステップS41に処理を進める。
【0121】
ステップS41において、ライトリードオフセット測定部61により、所定のずれ量δpごとに算出されたエラーレートを参照して、エラーレートが最も低い位置をライトリードオフセット量αnとして決定する。このライトリードオフセット量αnは、現段階における記録回数での値である。
【0122】
次のステップS42において、ライトリードオフセット測定部61は、ステップS41にて求めたライトリードオフセット量αnと、現段階における記録回数よりも少ない記録回数の時に求めたライトリードオフセット量αpとの差分を演算する。この差分は、隣接トラックへの記録回数が増加したことに対するライトリードオフセット量αの変化量を表す。そして、ライトリードオフセット測定部61は、当該変化量と、所定変化量αvとを比較する。ライトリードオフセット量αの変化量が所定変化量αvよりも大きい場合には、ステップS43に処理を進める。一方、ライトリードオフセット量αの変化量が所定変化量αvよりも小さい場合には、ステップS44に処理を進める。
【0123】
所定変化量αvは、隣接トラックに対する記録回数の増加に対してライトリードオフセット量αが飽和したとみなすことができる値であることが望ましい。この所定変化量αvは、例えば、図5及び図6のようにライトリードオフセット量αが0.030μmにて飽和する場合、5nmに設定される。また、所定変化量αvはライトリードオフセット量αが飽和したとみなせる値よりも大きくても良い。所定変化量αvを大きくすることにより、高い精度でエラーレートが最も低くするライトリードオフセット量αを設定できない。しかし、隣接トラックに対する記録回数を少なくして、ライトリードオフセット量αの測定時間を短縮できる。
【0124】
ステップS43において、ライトリードオフセット測定部61は、現段階における記録回数でのライトリードオフセット量αnを、現段階における記録回数よりも少ない記録回数の時に求めたライトリードオフセット量αpに設定する。そして、処理は、ステップS34に進められる。これにより、ライトリードオフセット測定部61は、再度所定回数Nに亘り隣接トラックに対して記録動作を行って、ライトリードオフセット量αの変化量を計測できる。
【0125】
ステップS44において、ライトリードオフセット測定部61は、ライトリードオフセット量αnを、エラーレートが最も低い位置をライトリードオフセット量αとして決定する。
【0126】
以上のように、この磁気記憶装置10は、ライトリードオフセット量αを決定する時に、先ず、第1所定回数だけ隣接トラックに対して情報を記録して、当該目標トラック内でエラーレートの最も低いライトリードオフセット量αp(第1情報読出位置)を決定する。次に、磁気記憶装置10は、第1所定回数より多い第2所定回数だけ隣接トラックに対して情報を記録して、目標トラック内でエラーレートの最も低いライトリードオフセット量αn(第2情報読出位置)を決定する。次に、磁気記憶装置10は、双方のライトリードオフセット量αp、αnの差が所定値αvよりも小さくなったかを判断する。そして、αp、αnの差が所定値αvよりも小さくなった場合に、当該ライトリードオフセット量αn(第2情報読出位置)を、オフセットテーブル57aに格納するライトリードオフセット量αとして決定できる。
【0127】
これにより、オフセットテーブル57aには、第1情報読出位置と第2情報読出位置との差が所定値よりも小さくなった場合の当該第2情報読出位置を、情報読出位置として含むことになる。
【0128】
したがって、この磁気記憶装置10によれば、多数回に亘って隣接トラックに対して記録動作を行わなくても、ライトリードオフセット量αの飽和を判断して、当該飽和したライトリードオフセット量αに近い値をオフセットテーブル57aに格納することができる。したがって、この磁気記憶装置10によれば、実際に目標トラックにおけるエラーレートが最も低い情報読出位置がずれても、確実に低いエラーレートで情報を再生できる。また、この磁気記憶装置10によれば、当該磁気記憶装置10の製造工程におけるオフセットテーブル57aの作成時間を短縮できる。
【0129】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0130】
10 磁気記憶装置
11 制御ボード
12 磁気ディスク装置
20 ホスト
31 制御回路
32 バッファメモリ
33 不揮発メモリ
34 モータ駆動制御部
40 磁気ディスク
41 磁気ヘッド
42 ヘッドIC
43 ロータリーアクチュエータ
43a アーム
44 スピンドルモータ
45 ボイスコイルモータ
46 ヨーク
47 軸部
51 バス
52 ホストインターフェース制御部
53 バッファメモリ制御部
54 ディスクコントローラ
55 信号変復調部
56 MPU
57 メモリ
57a オフセットテーブル
61 ライトリードオフセット測定部
62 記録処理部
63 オフセット補正部
64 再生処理部
71 トラック
71a トラックセンタ
72 ヨー角0度境界線
81 記録素子
81a ライトセンタ
82 読出素子
83 本体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録素子と読出素子とを有する磁気ヘッドを支持部材の一方端に設け、当該支持部材の他方端を回転駆動して、前記磁気ヘッドをディスク型記録媒体に対して位置決めさせる磁気記憶装置における情報読出し位置の設定方法であって、
前記ディスク型記録媒体のトラックに記録された情報を再生する時における前記読出素子の情報読出位置を決定する工程を含み、
当該情報読出位置を決定する工程は、
前記情報読出位置を決定する目標トラックに対して前記記録素子により情報を記録する目標トラック記録工程と、
前記目標トラック記録工程の後に、前記目標トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して前記記録素子により情報を複数回繰り返し記録する隣接トラック記録工程と、
前記隣接トラック記録工程の後に、当該目標トラック内における前記読出素子による読出位置を変化させながら情報を再生する再生工程と、
前記再生工程の後に、当該再生工程にて再生した情報を用いてエラーレートを測定し、エラーレートが最も低い読出位置を求めて、当該読出位置を、前記目標トラックにおける情報読出位置として決定し、記憶手段のテーブルに設定する設定工程と
を有することを特徴とする情報読出し位置の設定方法。
【請求項2】
前記隣接トラック記録工程は、前記エラーレートが最も低い読出位置の変化が飽和した又は飽和したと予測されるまで、前記隣接トラックに対し、情報を複数回繰り返し記録することを特徴とする請求項1に記載の情報読出し位置の設定方法。
【請求項3】
前記隣接トラック記録工程により第1所定回数だけ隣接トラックに対して情報を記録し、前記再生工程により前記目標トラック内における前記読出素子による読出位置を変化させながら情報を再生し、前記設定工程により前記目標トラック内でエラーレートの最も低い第1情報読出位置を決定する工程と、
前記隣接トラック記録工程により第1所定回数より多い第2所定回数だけ隣接トラックに対して情報を記録し、前記再生工程により当該目標トラック内における前記読出素子による読出位置を変化させながら情報を再生し、前記設定工程により前記目標トラック内でエラーレートの最も低い第2情報読出位置を決定する工程とを有し、
前記設定工程は、前記第1情報読出位置と前記第2情報読出位置との差が所定値よりも小さくなった場合に、当該第2情報読出位置を、前記情報読出位置として決定する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報読出し位置の設定方法。
【請求項4】
記録素子と読出素子とを有する磁気ヘッドを支持部材の一方端に設け、当該支持部材の他方端を回転駆動して、前記磁気ヘッドをディスク型記録媒体に対して位置決めさせる磁気記憶装置であって、
前記支持部材を回転駆動させることによって前記記録素子を位置決めさせ、当該記録素子によりディスク型記録媒体のトラックに情報を記録する記録処理手段と、
前記読出素子により前記ディスク型記録媒体に記録された情報を再生する時における前記読出素子の情報読出位置に関する情報を含むテーブルデータを記憶する記憶手段と、
前記支持部材を回転駆動させることによって前記記憶手段に記憶された情報読出位置に前記読出素子を位置決めさせ、当該読出素子によりディスク型記録媒体のトラックに記録された情報を再生する再生処理手段とを含み、
前記情報読出位置に関する情報は、前記トラックに対して情報を記録した状態で当該トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して情報を複数回繰り返し記録した場合の当該トラック内でエラーレートの最も低い位置に基づいた情報を含んでいること
を特徴とする磁気記憶装置。
【請求項5】
前記情報読出位置を測定する情報読出位置測定手段を更に有し、
当該情報読出位置測定手段は、
前記情報読出位置を決定する目標トラックに対して前記記録素子により情報を記録する手段と、
前記目標トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して前記記録素子により情報を複数回繰り返し記録する手段と、
前記目標トラック内における前記読出素子による読出位置を変化させながら情報を再生する手段と、
前記再生した情報を用いてエラーレートが最も低い読出位置を求め、当該読出位置を前記目標トラックにおける情報読出位置として決定して、当該情報読出位置に関する情報を前記記憶手段に記憶させる手段と
を含むことを特徴とする請求項4に記載の磁気記憶装置。
【請求項6】
前記情報読出位置に関する情報は、前記トラックに対して情報を記録した状態で当該トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して所定回数に亘り情報を記録した場合の当該トラック内でエラーレートの最も低い位置に基づいた情報を含み、
前記所定回数は、前記エラーレートが最も低い読出位置の変化が飽和した又は飽和したと予測される回数であること
を特徴とする請求項4又は請求項5に記載の磁気記憶装置。
【請求項7】
前記情報読出位置に関する情報は、前記トラックに対して情報を記録した状態で当該トラックの両側に隣接する隣接トラックに対して情報を記録した場合の当該トラック内でエラーレートの最も低いと予測された位置に基づいた情報を含むことを特徴とする請求項4乃至請求項6の何れか一項に記載の磁気記憶装置。
【請求項8】
前記情報読出位置の情報は、第1所定回数だけ隣接トラックに対して情報が記録された時における前記トラック内でエラーレートの最も低い第1情報読出位置と、前記第1所定回数より多い第2所定回数だけ隣接トラックに対して情報が記録された時における前記トラック内でエラーレートの最も低い第2情報読出位置との差が所定値よりも小さくなった場合の当該第2情報読出位置に基づいた情報を含むことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の磁気記憶装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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