磁気記録再生装置及びその制御方法、磁気記録媒体、磁気記録媒体製造用スタンパ
【課題】位置制御信号の出力を増大し、磁気ヘッドの位置決め制御を高精度で行うことができる磁気記録再生装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、バースト信号グループに相当する再生信号を面積積分するゲート回路12及び積分器14と、を有する磁気記録再生装置とした。
【解決手段】複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、バースト信号グループに相当する再生信号を面積積分するゲート回路12及び積分器14と、を有する磁気記録再生装置とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクリートトラック媒体やパターンド媒体等の磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置及びその制御方法、磁気記録媒体、磁気記録媒体製造用スタンパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ヘッドの位置決め制御に用いられる位置情報が記録された磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置が広く知られている。
【0003】
図19に、このような従来公知の磁気記録再生装置が備える磁気記録媒体の一例を示す。
【0004】
図19に示される磁気記録媒体100には、磁性層で形成された凹凸パターンによって複数のサーボ領域102が放射状に所定の間隔で形成されている。このサーボ領域102には、図20に拡大して示されるように、プリアンブル部104と、サーボマーク部106と、アドレス情報が記録されたアドレス部108と、位置情報が記録されたバースト部110を含んでなるサーボ情報が記録されている。なお、図中の符号112はユーザデータを記録するためのデータトラックである。
【0005】
このサーボ領域102のバースト部110には、位置情報として4種類のバースト信号グループ110A、110B、110C、110Dからなるバーストパターンが形成されている。なお、バースト信号グループ110A及び110Bは、一対の位置情報としてデータトラック112の中心線に対して等しく跨るように配置されている一方で、バースト信号グループ110C及び110Dは、一対の位置情報としてバースト信号グループ110A及び110Bに対し半トラックピッチだけずれた位置に配置されている。
【0006】
図21に、バースト信号グループ110Aの拡大図を示す。なお、他のバースト信号グループ110B、110C、110Dも同一の構造である。
【0007】
図21に示されるように、バースト信号グループ110A(110B、110C、110D)は、磁性層(磁性材料)からなる凸部(図21において黒く塗りつぶされた部分)を周方向に複数(一般には10〜30個程度)配設して構成されている。凸部の周方向長さはBL1、凹部の周方向長さはBL2、凸部の径方向幅はBW1である。なお、一般に、磁気記録再生装置では磁気記録媒体100を角速度一定で回転させるため、凸部の周方向長さBL1及び凹部の周方向長さBL2は磁気記録媒体100における径方向位置によって異なり、内周部から外周部に向かって凸部の周方向長さBL1及び凹部の周方向長さBL2が長くなるように凹凸パターンが形成される。
【0008】
バースト部110のバーストパターンは、各バースト信号グループ(110A、110B、110C、110D)を図22に示されるように、幅BW2の間隔で径方向に複数配設して構成される。
【0009】
このようなバーストパターンは、例えば、図23に示されるような位置制御回路130によって再生される。この位置制御回路130は、磁気ヘッド114によって読み出された再生信号を増幅するアンプ116と、再生信号を微分する微分器118と、ゼロクロス検出器120と、所定のゲートパルス信号を生成するコンパレータ122と、再生信号の最大出力(ピーク出力)を検出して位置制御信号を生成するピーク検出器124と、位置制御信号を保持するサンプルホールド器126と、差動アンプ回路128と、によって構成されており、いわゆるピークディテクト方式の位置制御に用いられる回路となっている。
【0010】
ゼロクロス検出器120は、微分器118によって微分された信号の大きさが0の間、所定の信号を発生する回路であり、例えば、磁気ヘッド114によって読み出された再生出力の最大値(ピーク値)が存在する場合に、所定の信号を発生する。
【0011】
コンパレータ122は、再生出力が、ある一定出力以上の場合にゲートパルス信号を出力するように構成されている。ゼロクロス検出器120では再生出力が0の場合でも所定の信号を発生することになるため、ゲートパルス信号によってゼロクロス検出器120から発生する不要な信号を取り除く。
【0012】
磁気記録媒体100に記録されたバーストパターンは磁気ヘッド114によって読み出された後、バーストパターンの再生信号はアンプ116によって増幅され、微分器118に入力される。微分器118によって微分された再生信号は、ゼロクロス検出器120を通過した後、ピーク検出器124に入力される。その後、ピーク検出器124において、コンパレータ122からのゲートパルス信号とゼロクロス検出器120からの信号が共に存在する位置が検出され、その位置におけるアンプ116からの再生出力が最大出力(ピーク出力)となる。この最大出力が、位置制御信号としてサンプルホールド器126に出力される。そして、サンプルホールド器126で保持されたバースト信号グループ110Aの位置制御信号とバースト信号グループ110Bの位置制御信号との出力差、又は、バースト信号グループ110Cの位置制御信号とバースト信号グループ110Dの位置制御信号との出力差を差動アンプ回路128で求めることによって磁気ヘッド114の位置情報を取得し、磁気ヘッド114の位置決め(トラッキング)制御が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
【特許文献1】特開2003−323772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、例えばディスクリートトラック媒体やパターンド媒体等の、磁性層で形成された凹凸パターンによってバーストパターン(位置情報)が記録された磁気記録媒体では、凹凸パターンの磁化信号は一方向の極性を持って記録されるため、凹凸パターンの再生信号は図24に示すような波形となる。なお、図24において黒く塗りつぶされた部分は凹凸パターンの凸部の平面を模式的に示したものであり、凹凸パターンの再生信号波形は、磁性層が垂直磁気記録層である場合の例である。
【0015】
このように、磁性層で形成された凹凸パターンによってバーストパターンが記録された磁気記録媒体では、バーストパターンの磁化信号が二方向の極性を持って記録される他の従来例の連続膜媒体に比べ、磁気ヘッドの位置決め制御に用いられる位置制御信号の出力が半分程度となり、磁気ヘッドの位置決め精度の向上には限界があった。
【0016】
しかも、位置制御信号は凹凸パターンの形状や配置の誤差などによって大きな影響を受けるため、正確な位置制御信号を得るためには、凹凸パターンを高い精度で加工する必要があり、製造負担や製造コストが増大してしまうといった問題点もあった。
【0017】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に、位置制御信号の出力を増大し、磁気ヘッドの位置決め制御を高精度で行うことができる磁気記録再生装置及びその制御方法を提供すると共に、これに用いられる磁気記録媒体と、この磁気記録媒体を製造するために用いられる磁気記録媒体製造用スタンパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の発明者は、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に、位置制御信号の出力を増大し、磁気ヘッドの位置決め制御を高精度で行うことができる次のような磁気記録再生装置及びその制御方法、磁気記録媒体、磁気記録媒体製造用スタンパを見出した。
【0019】
即ち、次のような本発明により、上記目的を達成することができる。
【0020】
(1)複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分する信号積分手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0021】
(2)前記信号積分手段は、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号の端部の信号を除去して前記各再生信号の一部を抽出する抽出手段と、抽出後の各再生信号を面積積分する積分手段と、を有してなることを特徴とする前記(1)記載の磁気記録再生装置。
【0022】
(3)前記抽出手段は、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅のゲートパルス信号を生成し、該ゲートパルス信号によって前記各再生信号の一部を抽出するように構成されていることを特徴とする前記(2)記載の磁気記録再生装置。
【0023】
(4)複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0024】
(5)複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの凹部及び凸部からなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方に相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0025】
(6)複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる位置情報における前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分して位置制御信号を生成し、該位置制御信号に基づいて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【0026】
(7)前記各バースト信号グループに相当する再生信号を面積積分する際に、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号の端部の信号を除去して前記各再生信号の一部を抽出し、抽出後の各再生信号を面積積分することを特徴とする前記(6)記載の磁気記録再生装置の制御方法。
【0027】
(8)前記各バースト信号グループに相当する各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅のゲートパルス信号を生成し、該ゲートパルス信号によって前記各再生信号の一部を抽出することを特徴とする前記(7)記載の磁気記録再生装置の制御方法。
【0028】
(9)複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる位置情報における前記各バースト信号グループに相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成すると共に、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出し、該抽出した部分を用いて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【0029】
(10)複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの凹部及び凸部からなる位置情報における、前記各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方に相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成すると共に、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出し、該抽出した部分を用いて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【0030】
(11)複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなることを特徴とする磁気記録媒体。
【0031】
(12)前記(11)に記載の磁気記録媒体における前記凹凸パターンの凹凸形状に相当する凹凸形状の凹凸パターンが形成されていることを特徴とする磁気記録媒体製造用スタンパ。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る磁気記録再生装置及びその制御方法は、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に、位置制御信号の出力を増大し、磁気ヘッドの位置決め制御を高精度で行うことができるという優れた効果を有する。
【0033】
又、本発明に係る磁気記録媒体は、製造負担や製造コストの低減が可能であり、位置制御信号の出力を増大し、磁気ヘッドの位置決め制御を高精度で行うことができる磁気記録再生装置を提供可能であるという優れた効果を有する。
【0034】
更に、本発明に係る磁気記録媒体製造用スタンパは、製造負担や製造コストの低減が可能な磁気記録媒体を製造できるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明に係る磁気記録再生装置は、複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部の一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分する信号積分手段と、を有してなることによって、上記課題を解決したものである。
【0036】
又、本発明に係る磁気記録再生装置は、複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることによって、上記同様の課題を解決したものである。
【0037】
又、本発明に係る磁気記録再生装置は、複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの凹部及び凸部からなる磁気記録媒体と、各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方に相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることによって、上記同様の課題を解決したものである。
【0038】
尚、本発明における「位置情報」とは、磁気ヘッドの位置決め(トラッキング)制御に用いられる情報をいい、一般には、サーボ領域のバースト部に記録されるバーストパターンが該当する。
【0039】
更に、本発明における「再生信号」には、凹凸パターンの磁化信号を磁気ヘッドで再生した際に出力される信号の他、この信号を増幅して得られた信号も含まれる。
【0040】
又、本発明における「バースト信号グループに相当する再生信号」とは、上述の「再生信号」のうち、バースト信号グループを構成する凹部又は凸部に基づいて生成される再生信号をいい、バースト信号グループのみによって生成される再生信号の他、バースト信号グループと他の凹部又は凸部によって生成される再生信号も含まれる。
【0041】
又、本発明における「磁気記録媒体における凹凸パターンの凹凸形状に相当する凹凸形状」とは、磁気記録媒体における凹凸パターンの凹凸形状と凹凸位置関係が反対の凹凸形状及び磁気記録媒体における凹凸パターンの凹凸形状と凹凸位置関係が一致する凹凸形状双方を含む意義で用いることとする。
【0042】
以下、図面を用いて、本発明の実施例1に係る磁気記録再生装置及びその制御方法、磁気記録媒体、磁気記録媒体製造用スタンパと、実施例2に係る磁気記録再生装置及びその制御方法について説明する。
【実施例1】
【0043】
本実施例1に係る磁気記録再生装置(図示省略)は、図1に示されるようなディスク形状からなる磁気記録媒体2を備えており、この磁気記録媒体2上には、複数のサーボ領域4とユーザデータ領域6が周方向に交互に並んで形成されている。
【0044】
サーボ領域4には、図2に拡大して示されるように、バースト信号グループ8A(8B、8C、8D)を径方向に複数配設してなるバーストパターン(位置情報)が記録されている。バースト信号グループの配置自体は、上記従来の磁気記録媒体100のバーストパターンにおけるバースト信号グループの配置と同一である。なお、図中の符号112はユーザデータを記録するためのデータトラックを示している。
【0045】
図3は、サーボ領域4に形成されたバーストパターンの一部(バースト信号グループ8Aの全体と、バースト信号グループ8Bの一部)を拡大して示したものであり、上記図22に対応する図面である。なお、図3には、バースト信号グループ8Aの全体と、バースト信号グループ8Bの一部のみを図示したが、他のバースト信号グループ8C、8Dも径方向の位置が異なるだけで構造自体は同一である。以下、符号8は、4種類のバースト信号グループ8A、8B、8C、8Dを示すものとして説明する。
【0046】
磁気記録媒体2のバーストパターンにおける各バースト信号グループ8は、1つの凹部又は1つの凸部(本実施例1では凸部)によって構成される。なお、この凹凸パターンは、例えば、図4に示されるように、ガラス基板、下地層、軟磁性層、配向層などからなる基板150上に、磁性層からなる凸部152を設けることによって形成することができ、凹部154にはSiO2などからなる充填材を充填してもよい。
【0047】
一方、ユーザデータ領域6には、磁性層で形成された所定の凹凸パターンの凸部により略同心円状の記録トラックが複数形成されており、これら各記録トラックは凹凸パターンの凹部により略同心円状に形成された複数の溝によって磁気的に分離されている。このユーザデータ領域6には、磁化情報としてユーザデータが記録される。
【0048】
この磁気記録媒体2の凹凸パターンは、図5(A)に示されるような磁気記録媒体製造用スタンパ30を用いて、以下に説明するような手順で磁気記録媒体2上に形成(記録)される。なお、磁気記録媒体製造用スタンパ30には、予め、磁気記録媒体2の凹凸パターンの凹凸形状に相当する凹凸形状の凹凸パターンが形成されており、磁気記録媒体製造用スタンパ30の凸部が磁気記録媒体2の凹部に対応し、磁気記録媒体製造用スタンパ30の凹部が磁気記録媒体2の凸部に対応するようになっている。
【0049】
まず、図5(A)に示される被加工体32の加工出発体を用意する。なお、被加工体32の加工出発体は、例えば、ガラス基板に下地層、軟磁性層、配向層、連続記録層、マスク層をこの順でスパッタリング法により形成してなる板状体32Aに、更にレジスト層32Bをスピンコート法で塗付することによって得ることができる。
【0050】
次に、図5(B)に示されるように、磁気記録媒体製造用スタンパ30を用いて、被加工体32の加工出発体のレジスト層32Bに凹凸パターンを、例えばナノ・インプリント法によって形成する。そして、凹部底部のレジスト層32Bを除去してから、板状体32Aのマスク層、連続記録層を、例えばエッチングによって除去し、板状体32Aに、図5(C)に示されるような凹凸パターンを形成する。
【0051】
磁気記録媒体2のバースト信号グループ8は、以下に説明する磁気記録再生装置によって再生される。
【0052】
図6は、本発明の実施例1に係る磁気記録再生装置(図示省略)が備える位置制御回路10のブロック図を示したものであり、上記図23に示した従来の位置制御回路130に対応するものである。なお、本実施例1に係る磁気記録再生装置の構成は、磁気記録媒体2及び位置制御回路10を除き、上記従来の磁気記録再生装置と同じであるため、同一部分については図中において同一の符号を付すと共に、その説明を省略する(以下の実施例についても同様)。
【0053】
以下、本発明の特徴的部分である位置制御回路10について詳細に説明する。
【0054】
図6に示されるように、位置制御回路10は、アンプ116と、磁気記録媒体2に記録された各バースト信号グループ8に相当する各再生信号の端部の信号を除去して再生信号の一部を抽出するゲート回路(抽出手段)12と、このゲート回路12によって抽出された信号を面積積分する積分器(積分手段)14と、サンプルホールド器126と、差動アンプ回路128と、を有して構成されている(ゲート回路12及び積分器14は信号積分手段を構成する)。
【0055】
ゲート回路12は、バーストパターンの開始位置を示すサーボマークを検出すると共に、このサーボマークを基準として、図7に示されるようなゲートパルス信号S2を生成する。なお、図7は、本実施例1に係る磁気再生記録装置の磁気記録媒体2におけるバースト信号グループ8の平面、バースト信号グループ8に相当する再生信号S1、ゲートパルス信号S2、及び位置制御信号S3をそれぞれ模式的に示したものである。
【0056】
ゲートパルス信号S2は、矩形波からなるゲートパルスによって構成されている。このゲートパルス信号のパルス幅W2は、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1のパルス幅W1よりも小さくなるように設定され、各ゲートパルス信号S2は、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1から端部の信号を除去して各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1の一部を抽出するために用いられる。なお、各バースト信号グループに相当する各再生信号のパルス幅とは、「各バースト信号グループを構成する凸部(又は凹部)の周方向長さ」を「磁気記録媒体の周速度」で除した値のことである。
【0057】
次に、本実施例1に係る磁気再生記録装置の作用について説明する。
【0058】
磁気ヘッド114によって読み出されたバースト信号グループ8に相当する再生信号S1は、アンプ116によって増幅された後、ゲート回路12を介して積分器14に入力される。積分器14に入力された各再生信号S1は、ゲート回路12によって各再生信号S1毎に生成される各ゲートパルス信号S2が出力されている期間だけ積分器14によって面積積分される。この面積積分後の信号は位置制御信号S3としてサンプルホールド器126に出力される。そして、サンプルホールド器126で保持されたバースト信号グループ8Aの位置制御信号S3とバースト信号グループ8Bの位置制御信号S3との出力差、又は、バースト信号グループ8Cの位置制御信号S3とバースト信号グループ8Dの位置制御信号S3との出力差を差動アンプ回路128で求めることによって磁気ヘッド114の位置情報を取得し、磁気ヘッド114の位置決め(トラッキング)制御が行われる。
【0059】
本実施例1に係る磁気記録再生装置によれば、磁性層で形成される所定の凹凸パターンの1つの凹部又は1つの凸部からなるバースト信号グループ(本実施例1では凸部からなるバースト信号グループ8)によって位置情報が記録された磁気記録媒体2と、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1を面積積分する信号積分手段(本実施例1ではゲート回路12及び積分器14)と、を有してなるため、位置制御信号の出力を増大し、精度の高い位置決め制御を行うことができる。
【0060】
又、本実施例1に係る磁気記録再生装置の制御方法によれば、磁性層で形成される所定の凹凸パターンの1つの凹部又は1つの凸部からなるバースト信号グループ(本実施例1では凸部からなるバースト信号グループ8)によって磁気記録媒体2上に記録された位置情報における各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1を面積積分して位置制御信号を生成し、該位置制御信号に基づいて磁気ヘッドの位置決め制御を行うため、本実施例1に係る磁気記録再生装置と同様に、位置制御信号の出力を増大し、精度の高い位置決め制御を行うことができる。
【0061】
更に、信号積分手段は、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1の端部の信号を除去して各再生信号S1の一部を抽出する抽出手段(本実施例1ではゲート回路12)と、抽出後の各再生信号を面積積分する積分手段(本実施例1では積分器14)と、を有してなるため、各バースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する各再生信号のノイズを除去することができ、位置制御信号の安定化を図ることができる。特に、抽出手段は、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1のパルス幅W1よりも小さいパルス幅W2のゲートパルス信号を生成し、このゲートパルス信号によって各再生信号の一部を抽出するように構成されているため、簡易な構造でありながら、各再生信号のノイズを容易に除去することができる。
【0062】
又、本実施例1に係る磁気記録媒体2によれば、複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる(本実施例1ではバースト信号グループ8は1つの凸部からなる)ため、製造負担や製造コストの低減が可能であり、位置制御信号の出力を増大し、磁気ヘッドの位置決め制御を高精度で行うことができる磁気記録再生装置(例えば、本実施例1に係る磁気記録再生装置)を提供可能である。しかも、凸部及び凹部によってバースト信号グループが構成されている従来の磁気記録媒体に比べ、各バースト信号グループにおける信号を出力する部分の面積が大きくなり、出力が増大可能な上に、凸部の数が少なく、各バースト信号グループの形状や配置のばらつき自体を小さくすることができる。
【0063】
更に、本実施例1に係る磁気記録媒体製造用スタンパ30によれば、製造負担や製造コストの低減が可能な磁気記録媒体(例えば、本実施例1に係る磁気記録媒体2)を製造することができる。
【0064】
本発明の発明者は、本実施例1に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、位置制御信号の出力を測定した。
【0065】
なお、本実験においては、バースト信号グループ8の周方向長さ(上記図3のBL1)を8μmとし、バースト信号グループ8の周方向の間隔(上記図3のBL3)を1μmとし、バースト信号グループ8の径方向幅(上記図3のBW1)、バースト信号グループ8の径方向の間隔(上記図3のBW2)はそれぞれ200nmとした。なお、バースト信号グループ8の周方向長さとバースト信号グループ8の周方向の間隔は、それぞれ2.5インチディスクの半径位置20mmの位置における値である。又、データトラックのトラックピッチは200nm(127kTPI)、データトラックの幅は120nmとした。
【0066】
更に、記録層(磁性層)は厚さ15nmの垂直磁気記録層であり、バースト信号グループ8の凸部をこの垂直磁気記録層で形成すると共に、この垂直磁気記録層を磁化してサーボ信号磁界を発生させるための処理を行った。具体的には、1.2×106 A/mの直流磁界が発生する電磁石の磁極間をディスク面が磁極面に平行になるように設定した後、サーボ領域の垂直磁気記録層を一括して着磁させてサーボ情報を記録した。なお、試料振動型磁力計(VSM)を用いて垂直磁気記録層の磁気特性を測定したところ、飽和磁化Bsが0.44T、残留飽和磁化Brが0.43Tであった。
【0067】
このような磁気記録媒体を用いて、ディスク回転数4200rpmで回転させると共に、2.5インチディスクの半径位置20mm近傍において磁気ヘッドを11nm浮上させ、書き込み幅200nmの磁気ヘッドでデータトラックに信号の記録を行った後、読み込み幅120nmのGMR磁気ヘッドでバーストパターンを再生し、本実施例1及び従来の磁気記録再生装置の位置制御信号の出力を測定した。
【0068】
この測定結果を図8に示す。なお、図8は、磁気ヘッド位置とバースト信号グループ8Aの位置制御信号の出力との関係を示すグラフであり、実線は本実施例1に係る磁気記録再生装置の出力を、又、点線は従来の磁気記録再生装置の出力を示している。又、横軸の磁気ヘッド位置は、図9に示されるように、バースト信号グループ8Aの左端と磁気ヘッドの右端との距離を示している。更に、縦軸の出力の値については、実施例1の磁気ヘッド位置160nmにおける出力の値を1として規格化を行った。
【0069】
図8に示されるように、本実施例1に係る磁気記録再生装置では、データを採取した全ての範囲(磁気ヘッド位置が60〜160nmの範囲)において、比較例である従来の磁気記録再生装置に比べ位置制御信号の出力が大きくなっていることが分かる。
【0070】
更に、本発明の発明者は、本実施例1に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、磁気ヘッド位置に対する位置誤差信号(PES:Position Error Signal)を測定した。
【0071】
より具体的には、図10に示されるように、位置情報として4種類のバースト信号グループ8A、8B、8C、8Dを磁気記録媒体に形成し、磁気ヘッドを移動させた場合にバースト信号グループ8A及び8Bによって得られる位置誤差信号Sabと、バースト信号グループ8C及び8Dによって得られる位置誤差信号Scdをそれぞれ測定した。ここで、位置誤差信号Sabは、バースト信号グループ8Aの位置制御信号の出力をSa、バースト信号グループ8Bの位置制御信号の出力をSbとした場合に(Sa−Sb)/(Sa+Sb)で与えられる。又、位置誤差信号Scdは、バースト信号グループ8Cの位置制御信号の出力をSc、バースト信号グループ8Dの位置制御信号の出力をSdとした場合に(Sc−Sd)/(Sc+Sd)で与えられる。
【0072】
図10のグラフは、磁気ヘッド位置と実施例1及び比較例における位置誤差信号Sab及びScdとの関係を示したものである。なお、図10のグラフに示される右上がりの線(磁気ヘッド位置10nm〜110nm)が位置誤差信号Sabを、右下がりの線(磁気ヘッド位置110nm〜210nm)が位置誤差信号Scdをそれぞれ示している。又、実線が本実施例1に係る磁気記録再生装置の位置誤差信号Sab及びScdを、又、点線(実線と殆ど一致している)が従来の磁気記録再生装置の位置誤差信号Sab及びScdを示している。
【0073】
図10のグラフに示されるように、本実施例1に係る磁気記録再生装置の位置誤差信号は、従来の磁気記録再生装置の位置誤差信号と変わりない直線性が維持されていることが確認された。
【0074】
このように、本実施例1に係る磁気記録再生装置及びその制御方法によれば、位置誤差信号の直線性を維持しつつ、位置制御信号の出力を増大し、精度の高い位置決め制御を行うことができる。
【0075】
なお、本発明の発明者は、本実施例1に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、10トラック分のトラック1周あたりのトラックアドレス読み取りエラー個数と、ユーザデータのビットエラーレートについても測定を行った。その結果、従来の磁気記録再生装置では、トラック毎のトラックアドレス読み取りエラーの個数は0〜15(1トラック平均3.5個)、トラック毎のビットエラーレートは2.6×10−6〜1.0×10−7であったのに対して、本実施例1の磁気記録再生装置のトラックアドレス読み取りエラーの個数は全10トラックで0、ビットエラーレートは全10トラックで1.0×10−7以下であった。
【0076】
このように、従来の磁気記録再生装置に比べ、トラック毎のトラックアドレス読み取りエラーの個数と、トラック毎のビットエラーレートを低減することができたのは、位置誤差信号の直線性を維持しつつ、位置制御信号の出力を増大すると共に、バースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する再生信号のノイズを除去できたことが要因であると考えられる。
【実施例2】
【0077】
図11は、本発明の実施例2に係る磁気記録再生装置(図示省略)が備える位置制御回路20のブロック図を示したものである。
【0078】
本実施例2に係る磁気記録再生装置は、上記実施例1の位置制御回路10に代えて、位置制御回路20を備えている。他の構成は上記実施例1と同様である。
【0079】
この位置制御回路20は、上記図23に示した従来の位置制御回路130におけるアンプ116と微分器118との間に、ゲート回路22(抽出手段)を配設したものである。
【0080】
ゲート回路22は、バーストパターンの開始位置を示すサーボマークを検出すると共に、このサーボマークを基準として、各バースト信号グループ8毎に図12に示されるような複数のゲートパルス信号S4を生成する。これらのゲートパルス信号S4は、従来の磁気記録媒体100におけるバースト信号グループを構成する複数の凸部又は複数の凹部のパターンに対応している。なお、図12は、本実施例2に係る磁気再生記録装置の磁気記録媒体2における1つのバースト信号グループ8の平面、1つのバースト信号グループ8に相当する再生信号S1、ゲートパルス信号S4、及び、これら再生信号S1とゲートパルス信号S4によって生成された信号S5をそれぞれ模式的に示したものである。
【0081】
本実施例2に係る磁気再生記録装置では、ゲート回路22によって、各再生信号S1の1つのパルスに対して複数のゲートパルス信号S4を発生させる。そして、これら複数のゲートパルス信号S4によって1つのバースト信号グループ8に相当する再生信号S1の複数の部分を抽出し、信号S5を生成する。
【0082】
磁気ヘッド114によって読み出された各バースト信号グループ8に相当する再生信号S1は、アンプ116によって増幅された後、ゲート回路22によって生成される各ゲートパルス信号S4が出力されている期間だけゲート回路22から出力され、信号S5として抽出される。
【0083】
このゲート回路22によって抽出された信号S5は、微分器118に入力される。微分器118によって微分された再生信号は、ゼロクロス検出器120を通過した後、ピーク検出器124に入力される。その後、ピーク検出器124において、コンパレータ122からのゲートパルス信号とゼロクロス検出器120からの信号が共に存在する位置が検出され、その位置におけるアンプ116からの再生出力が最大出力(ピーク出力)となる。この最大出力が、位置制御信号としてサンプルホールド器126に出力される。そして、サンプルホールド器126で保持されたバースト信号グループ8Aとバースト信号グループ8Bとの位置制御信号の出力差、又は、バースト信号グループ8Cとバースト信号グループ8Dとの位置制御信号の出力差を差動アンプ回路128で求めることによって磁気ヘッド114の位置情報を取得し、磁気ヘッド114の位置決め制御が行われる。
【0084】
本実施例2に係る磁気記録再生装置によれば、複数のバースト信号グループ(本実施例2では凸部からなるバースト信号グループ8)によって位置情報が記録され、各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる(本実施例2ではバースト信号グループ8は1つの凸部からなる)磁気記録媒体2と、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1のパルス幅W1よりも小さいパルス幅W3の複数のゲートパルス信号S4を生成し、これらの複数のゲートパルス信号S4によって各再生信号S1の複数の部分を抽出する信号抽出手段(本実施例2ではゲート回路22)を有してなるため、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に、位置制御回路20の大部分を従来の位置制御回路130の構成要素を用いて構成することができ、上記実施例1に係る磁気記録再生装置に比べ、低コスト化や開発期間の短縮化を図ることができる。
【0085】
更に、バースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する再生信号のノイズを除去することができ、位置制御信号の安定化を図ることができる。
【0086】
又、本実施例2に係る磁気記録再生装置の制御方法によれば、磁性層で形成される所定の凹凸パターンの1つの凹部又は1つの凸部のいずれか一方のみからなるバースト信号グループ(本実施例2では1つの凸部からなるバースト信号グループ8)によって磁気記録媒体2上に記録された位置情報における各バースト信号グループに相当する各再生信号S1のパルス幅W1よりも小さいパルス幅W3の複数のゲートパルス信号S4を生成すると共に、これらの複数のゲートパルス信号S4によって抽出した再生信号S5を用いて磁気ヘッドの位置決め制御を行うため、本実施例2に係る磁気記録再生装置と同様に、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に低コスト化や開発期間の短縮化を図ることができる。
【0087】
本発明の発明者は、上記実施例1と同一の条件下において、本実施例2に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、位置制御信号の出力を測定した。
【0088】
この測定結果を図13に示す。なお、図13は、磁気ヘッド位置とバースト信号グループ8Aの位置制御信号の出力との関係を示すグラフであり、実線は本実施例2に係る磁気記録再生装置の出力を、又、点線は従来の磁気記録再生装置の出力を示している。更に、縦軸の出力の値については、実施例2の磁気ヘッド位置160nmにおける出力の値を1として規格化を行った。
【0089】
図13に示されるように、本実施例2に係る磁気記録再生装置では、データを採取した全ての範囲(磁気ヘッド位置が60〜160nmの範囲)において、比較例である従来の磁気記録再生装置に比べ位置制御信号の再生出力が大きくなっていることが分かる。
【0090】
これは、磁性層の凸部又は凹部の側壁には反磁界が発生するが、各バースト信号グループ8は1つの凸部によって構成されているため、側壁の反磁界の影響が少なくなったためだと考えられる。
【0091】
更に、本発明の発明者は、本実施例2に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、磁気ヘッド位置に対する位置誤差信号を測定した。
【0092】
この結果、図14のグラフに示されるように、本実施例2に係る磁気記録再生装置の位置誤差信号は、従来の磁気記録再生装置の位置誤差信号と変わりない直線性を維持していることが確認された。なお、図14において、実線が本実施例2に係る磁気記録再生装置の位置誤差信号を、点線(実線と殆ど一致している)が従来の磁気記録再生装置の位置誤差信号を示している。
【0093】
更に、本発明の発明者は、本実施例2に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、10トラック分のトラック1周あたりのトラックアドレス読み取りエラー個数と、ユーザデータのビットエラーレートについても測定を行った。その結果、従来の磁気記録再生装置では、トラック毎のトラックアドレス読み取りエラーの個数は0〜15(1トラック平均3.5個)、トラック毎のビットエラーレートは2.6×10−6〜1.0×10−7であったのに対して、本実施例2の磁気記録再生装置のトラックアドレス読み取りエラーの個数は全10トラックで0、ビットエラーレートは全10トラックで1.0×10−7以下であった。
【0094】
このように、従来の磁気記録再生装置に比べ、トラック毎のトラックアドレス読み取りエラーの個数と、トラック毎のビットエラーレートを低減することができたのは、位置誤差信号の直線性を維持しつつ、位置制御信号の出力を増大すると共に、バースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する再生信号のノイズを除去できたことが要因であると考えられる。
【実施例3】
【0095】
図25は、本発明の実施例3に係る磁気記録再生装置(図示省略)の磁気記録媒体における1つのバースト信号グループの平面、1つのバースト信号グループに相当する再生信号S1、ゲートパルス信号S4、及び、これら再生信号S1とゲートパルス信号S4によって生成された信号S5を模式的に示したものである。
【0096】
本実施例3に係る磁気記録再生装置は、各バースト信号グループが2つの凸部と1つの凹部とからなる構成である。他の構成は上記実施例2と同様である。
【0097】
本実施例3に係る磁気再生記録装置では、ゲート回路22によって、各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び凸部のいずれか一方(本実施例3では1つの凸部)に相当する各再生信号S1毎に各再生信号S1の1つのパルスに対して複数のゲートパルス信号S4を発生させる。そして、このゲートパルス信号S4によって1つの凹部及び凸部のいずれか一方に相当する再生信号S1の複数の部分を抽出し、信号S5を生成する。
【0098】
従って、本実施例3も上記実施例2と同様に、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に、位置制御回路20の大部分を従来の位置制御回路130の構成要素を用いて構成することができ、上記実施例1に係る磁気記録再生装置に比べ、低コスト化や開発期間の短縮化を図ることができる。
【0099】
更に、バースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する再生信号のノイズを除去することができ、位置制御信号の安定化を図ることができる。
【0100】
尚、各バースト信号グループは1つの凸部又は1つの凹部のいずれか一方だけからなる構成ではないが、10〜30個程度の凸部又は凹部によって各バースト信号グループが構成されている磁気記録媒体を用いる従来の磁気記録再生装置に対し、凸部や凹部の数を少なくすることで、各バースト信号グループにおける信号を出力する部分の面積が大きくなり、出力が増大可能な上に、凸部又は凹部の数が少なく、各バースト信号グループの形状や配置のばらつき自体を小さくすることができる。
【0101】
なお、本発明に係る磁気記録再生装置及びその制御方法は、上記実施例1−3に係る磁気記録再生装置及びその制御方法に限定されるものではない。
【0102】
従って、例えば、上記実施例1における位置制御回路10はゲート回路12を備えているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、位置情報のバースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する再生信号のノイズが少ないような場合には、ゲート回路12を備えていなくてもよい。即ち、本発明に係る信号積分手段は、バースト信号グループに相当する再生信号を面積積分するものであればよい。
【0103】
又、上記実施例1においては、1つのゲートパルス信号S2によって再生信号S1の一部を抽出しているが、複数のゲートパルス信号によって再生信号S1の一部を抽出してもよい。
【0104】
又、本発明に係る「凹凸パターン」は、上記実施例1に示した凹凸パターンの構成に限定されるものではなく、例えば、図15に示される凹凸パターン40のように、基板42に形成した凹凸パターンを覆うようにして磁性層44を積層し、凸部40Aのみならず凹部40Bの底部を含めて磁性層44で凹凸パターンを形成してもよく、又、図16に示される凹凸パターン50のように、凸部50Aのみならず、凹部50Bの底部を含めて磁性層52で凹凸パターンを形成してもよい。
【0105】
又、本発明に係る「バースト信号グループ」は、上記実施例1−3に示したバースト信号グループの構成に限定されるものではなく、図17に示されるように、上記図3に示される凸部の部分(図3における黒の塗り潰し部分)を凹凸パターンの凹部(図17における白抜きの部分)によって構成してもよい。なお、この場合、上記図3において凹部であった部分が磁性層からなる凸部によって構成されるため、バーストパターン(凹凸パターン)の再生信号は、図18に示されるような波形となるが、本発明に係る抽出手段によって、凹部からなるバースト信号グループに相当する再生信号から端部の信号を除去して再生信号の一部を抽出すれば、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。実施例2についても同様である。
【0106】
更に、上記実施例1−3においては、磁気記録媒体の一例として、磁性層で形成された凸部により同心円状の記録トラックが形成されると共に、各記録トラックは同心円状に形成した複数の溝(凹凸パターンの凹部)によって磁気的に分離されているユーザデータ領域を有するディスクリートトラック媒体を適用したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0107】
従って、例えば、磁性層をメッシュ状またはドット状に区切って(各記録トラックをその周方向においても磁気的に複数に分離させて)形成した凸部が島状(アイランド状)に孤立している、いわゆるパターンド媒体にも本発明は適用可能である。又、ユーザデータ領域の磁性層は、凹凸パターンが形成されていない連続磁性層によって形成されていてもよい。
【0108】
更に、磁気記録媒体における位置情報として4種類のバースト信号グループ8A、8B、8C、8Dを形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一対のバースト信号グループ8A及び8Bのみを形成してもよい。また、バースト信号グループのデータトラックに対する配置についても特に限定されず、例えば、一対の位置情報としてのバースト信号グループ8A及び8Bと、バースト信号グループ8C及び8Dとが互いに1/3・トラックピッチだけずれた位置に配置されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、ディスクリートトラック媒体やパターンド媒体等の磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置及びその制御方法、磁気記録媒体、磁気記録媒体製造用スタンパに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施例1に係る磁気記録再生装置における磁気記録媒体の略示平面図
【図2】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のサーボ領域におけるバーストパターン周辺を拡大して示す略示部分拡大図
【図3】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のサーボ領域におけるバーストパターンの一部を拡大して示す略示部分拡大図
【図4】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体の一例を示す略示側断面図
【図5】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体の凹凸パターンの形成手順を模式的に示した図
【図6】同磁気記録再生装置における位置制御回路のブロック図
【図7】同磁気記録再生装置の磁気記録媒体におけるバースト信号グループの平面、バースト信号グループに相当する再生信号、ゲートパルス信号、及び位置制御信号を模式的に示した模式図
【図8】同磁気記録再生装置における磁気ヘッド位置と位置制御信号の出力との関係を示したグラフ
【図9】各グラフにおける磁気ヘッド位置の定義を説明するための図
【図10】本発明の実施例1に係る磁気記録再生装置の磁気記録媒体におけるデータトラック、バースト信号グループ及び磁気ヘッドの位置関係を模式的に示した図と、同図における磁気ヘッドの位置と位置誤差信号との関係を示したグラフ
【図11】本発明の実施例2に係る磁気記録再生装置における位置制御回路のブロック図
【図12】同磁気記録再生装置の磁気記録媒体におけるバースト信号グループの平面、バースト信号グループに相当する再生信号、ゲートパルス信号、及び、これら再生信号とゲートパルス信号によって生成された信号を模式的に示した模式図
【図13】同磁気記録再生装置における磁気ヘッド位置と位置制御信号の出力との関係を示したグラフ
【図14】本発明の実施例2に係る磁気記録再生装置の磁気記録媒体におけるデータトラック、バースト信号グループ及び磁気ヘッドの位置関係を模式的に示した図と、同図における磁気ヘッドの位置と位置誤差信号との関係を示したグラフ
【図15】本発明に係る磁気記録媒体のサーボ領域における凹凸パターンの第2の例を示した略示側断面図
【図16】本発明に係る磁気記録媒体のサーボ領域における凹凸パターンの第3の例を示した略示側断面図
【図17】本発明に係る磁気記録媒体のサーボ領域におけるバースト信号グループの他の例を示した略示平面図
【図18】同磁気記録媒体における凹凸パターンの再生信号波形を模式的に示した図
【図19】従来の磁気記録再生装置における磁気記録媒体の略示平面図
【図20】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のサーボ領域周辺を拡大して示す略示部分拡大図
【図21】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のサーボ領域におけるバースト信号グループを拡大して示す略示部分拡大図
【図22】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のサーボ領域におけるバーストパターンの一部を拡大して示す略示部分拡大図
【図23】同磁気記録再生装置における位置制御回路のブロック図
【図24】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のバースト信号グループの平面と、凹凸パターンの再生信号を模式的に示した図
【図25】本発明の実施例3に係る同磁気記録再生装置の磁気記録媒体におけるバースト信号グループの平面、バースト信号グループに相当する再生信号、ゲートパルス信号、及び、これら再生信号とゲートパルス信号によって生成された信号を模式的に示した模式図
【符号の説明】
【0111】
2、100…磁気記録媒体
4、102…サーボ領域
8…バースト信号グループ
10、20、130…位置制御回路
12、22…ゲート回路
14…積分器
30…磁気記録媒体製造用スタンパ
32…被加工体
110…バースト部
110A、110B、110C、110D…バースト信号グループ
114…磁気ヘッド
116…アンプ
118…微分器
120…ゼロクロス検出器
122…コンパレータ
124…ピーク検出器
126…サンプルホールド器
128…差動アンプ回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクリートトラック媒体やパターンド媒体等の磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置及びその制御方法、磁気記録媒体、磁気記録媒体製造用スタンパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ヘッドの位置決め制御に用いられる位置情報が記録された磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置が広く知られている。
【0003】
図19に、このような従来公知の磁気記録再生装置が備える磁気記録媒体の一例を示す。
【0004】
図19に示される磁気記録媒体100には、磁性層で形成された凹凸パターンによって複数のサーボ領域102が放射状に所定の間隔で形成されている。このサーボ領域102には、図20に拡大して示されるように、プリアンブル部104と、サーボマーク部106と、アドレス情報が記録されたアドレス部108と、位置情報が記録されたバースト部110を含んでなるサーボ情報が記録されている。なお、図中の符号112はユーザデータを記録するためのデータトラックである。
【0005】
このサーボ領域102のバースト部110には、位置情報として4種類のバースト信号グループ110A、110B、110C、110Dからなるバーストパターンが形成されている。なお、バースト信号グループ110A及び110Bは、一対の位置情報としてデータトラック112の中心線に対して等しく跨るように配置されている一方で、バースト信号グループ110C及び110Dは、一対の位置情報としてバースト信号グループ110A及び110Bに対し半トラックピッチだけずれた位置に配置されている。
【0006】
図21に、バースト信号グループ110Aの拡大図を示す。なお、他のバースト信号グループ110B、110C、110Dも同一の構造である。
【0007】
図21に示されるように、バースト信号グループ110A(110B、110C、110D)は、磁性層(磁性材料)からなる凸部(図21において黒く塗りつぶされた部分)を周方向に複数(一般には10〜30個程度)配設して構成されている。凸部の周方向長さはBL1、凹部の周方向長さはBL2、凸部の径方向幅はBW1である。なお、一般に、磁気記録再生装置では磁気記録媒体100を角速度一定で回転させるため、凸部の周方向長さBL1及び凹部の周方向長さBL2は磁気記録媒体100における径方向位置によって異なり、内周部から外周部に向かって凸部の周方向長さBL1及び凹部の周方向長さBL2が長くなるように凹凸パターンが形成される。
【0008】
バースト部110のバーストパターンは、各バースト信号グループ(110A、110B、110C、110D)を図22に示されるように、幅BW2の間隔で径方向に複数配設して構成される。
【0009】
このようなバーストパターンは、例えば、図23に示されるような位置制御回路130によって再生される。この位置制御回路130は、磁気ヘッド114によって読み出された再生信号を増幅するアンプ116と、再生信号を微分する微分器118と、ゼロクロス検出器120と、所定のゲートパルス信号を生成するコンパレータ122と、再生信号の最大出力(ピーク出力)を検出して位置制御信号を生成するピーク検出器124と、位置制御信号を保持するサンプルホールド器126と、差動アンプ回路128と、によって構成されており、いわゆるピークディテクト方式の位置制御に用いられる回路となっている。
【0010】
ゼロクロス検出器120は、微分器118によって微分された信号の大きさが0の間、所定の信号を発生する回路であり、例えば、磁気ヘッド114によって読み出された再生出力の最大値(ピーク値)が存在する場合に、所定の信号を発生する。
【0011】
コンパレータ122は、再生出力が、ある一定出力以上の場合にゲートパルス信号を出力するように構成されている。ゼロクロス検出器120では再生出力が0の場合でも所定の信号を発生することになるため、ゲートパルス信号によってゼロクロス検出器120から発生する不要な信号を取り除く。
【0012】
磁気記録媒体100に記録されたバーストパターンは磁気ヘッド114によって読み出された後、バーストパターンの再生信号はアンプ116によって増幅され、微分器118に入力される。微分器118によって微分された再生信号は、ゼロクロス検出器120を通過した後、ピーク検出器124に入力される。その後、ピーク検出器124において、コンパレータ122からのゲートパルス信号とゼロクロス検出器120からの信号が共に存在する位置が検出され、その位置におけるアンプ116からの再生出力が最大出力(ピーク出力)となる。この最大出力が、位置制御信号としてサンプルホールド器126に出力される。そして、サンプルホールド器126で保持されたバースト信号グループ110Aの位置制御信号とバースト信号グループ110Bの位置制御信号との出力差、又は、バースト信号グループ110Cの位置制御信号とバースト信号グループ110Dの位置制御信号との出力差を差動アンプ回路128で求めることによって磁気ヘッド114の位置情報を取得し、磁気ヘッド114の位置決め(トラッキング)制御が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
【特許文献1】特開2003−323772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、例えばディスクリートトラック媒体やパターンド媒体等の、磁性層で形成された凹凸パターンによってバーストパターン(位置情報)が記録された磁気記録媒体では、凹凸パターンの磁化信号は一方向の極性を持って記録されるため、凹凸パターンの再生信号は図24に示すような波形となる。なお、図24において黒く塗りつぶされた部分は凹凸パターンの凸部の平面を模式的に示したものであり、凹凸パターンの再生信号波形は、磁性層が垂直磁気記録層である場合の例である。
【0015】
このように、磁性層で形成された凹凸パターンによってバーストパターンが記録された磁気記録媒体では、バーストパターンの磁化信号が二方向の極性を持って記録される他の従来例の連続膜媒体に比べ、磁気ヘッドの位置決め制御に用いられる位置制御信号の出力が半分程度となり、磁気ヘッドの位置決め精度の向上には限界があった。
【0016】
しかも、位置制御信号は凹凸パターンの形状や配置の誤差などによって大きな影響を受けるため、正確な位置制御信号を得るためには、凹凸パターンを高い精度で加工する必要があり、製造負担や製造コストが増大してしまうといった問題点もあった。
【0017】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に、位置制御信号の出力を増大し、磁気ヘッドの位置決め制御を高精度で行うことができる磁気記録再生装置及びその制御方法を提供すると共に、これに用いられる磁気記録媒体と、この磁気記録媒体を製造するために用いられる磁気記録媒体製造用スタンパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の発明者は、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に、位置制御信号の出力を増大し、磁気ヘッドの位置決め制御を高精度で行うことができる次のような磁気記録再生装置及びその制御方法、磁気記録媒体、磁気記録媒体製造用スタンパを見出した。
【0019】
即ち、次のような本発明により、上記目的を達成することができる。
【0020】
(1)複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分する信号積分手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0021】
(2)前記信号積分手段は、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号の端部の信号を除去して前記各再生信号の一部を抽出する抽出手段と、抽出後の各再生信号を面積積分する積分手段と、を有してなることを特徴とする前記(1)記載の磁気記録再生装置。
【0022】
(3)前記抽出手段は、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅のゲートパルス信号を生成し、該ゲートパルス信号によって前記各再生信号の一部を抽出するように構成されていることを特徴とする前記(2)記載の磁気記録再生装置。
【0023】
(4)複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0024】
(5)複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの凹部及び凸部からなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方に相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0025】
(6)複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる位置情報における前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分して位置制御信号を生成し、該位置制御信号に基づいて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【0026】
(7)前記各バースト信号グループに相当する再生信号を面積積分する際に、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号の端部の信号を除去して前記各再生信号の一部を抽出し、抽出後の各再生信号を面積積分することを特徴とする前記(6)記載の磁気記録再生装置の制御方法。
【0027】
(8)前記各バースト信号グループに相当する各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅のゲートパルス信号を生成し、該ゲートパルス信号によって前記各再生信号の一部を抽出することを特徴とする前記(7)記載の磁気記録再生装置の制御方法。
【0028】
(9)複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる位置情報における前記各バースト信号グループに相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成すると共に、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出し、該抽出した部分を用いて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【0029】
(10)複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの凹部及び凸部からなる位置情報における、前記各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方に相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成すると共に、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出し、該抽出した部分を用いて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【0030】
(11)複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなることを特徴とする磁気記録媒体。
【0031】
(12)前記(11)に記載の磁気記録媒体における前記凹凸パターンの凹凸形状に相当する凹凸形状の凹凸パターンが形成されていることを特徴とする磁気記録媒体製造用スタンパ。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る磁気記録再生装置及びその制御方法は、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に、位置制御信号の出力を増大し、磁気ヘッドの位置決め制御を高精度で行うことができるという優れた効果を有する。
【0033】
又、本発明に係る磁気記録媒体は、製造負担や製造コストの低減が可能であり、位置制御信号の出力を増大し、磁気ヘッドの位置決め制御を高精度で行うことができる磁気記録再生装置を提供可能であるという優れた効果を有する。
【0034】
更に、本発明に係る磁気記録媒体製造用スタンパは、製造負担や製造コストの低減が可能な磁気記録媒体を製造できるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明に係る磁気記録再生装置は、複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部の一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分する信号積分手段と、を有してなることによって、上記課題を解決したものである。
【0036】
又、本発明に係る磁気記録再生装置は、複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることによって、上記同様の課題を解決したものである。
【0037】
又、本発明に係る磁気記録再生装置は、複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの凹部及び凸部からなる磁気記録媒体と、各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方に相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることによって、上記同様の課題を解決したものである。
【0038】
尚、本発明における「位置情報」とは、磁気ヘッドの位置決め(トラッキング)制御に用いられる情報をいい、一般には、サーボ領域のバースト部に記録されるバーストパターンが該当する。
【0039】
更に、本発明における「再生信号」には、凹凸パターンの磁化信号を磁気ヘッドで再生した際に出力される信号の他、この信号を増幅して得られた信号も含まれる。
【0040】
又、本発明における「バースト信号グループに相当する再生信号」とは、上述の「再生信号」のうち、バースト信号グループを構成する凹部又は凸部に基づいて生成される再生信号をいい、バースト信号グループのみによって生成される再生信号の他、バースト信号グループと他の凹部又は凸部によって生成される再生信号も含まれる。
【0041】
又、本発明における「磁気記録媒体における凹凸パターンの凹凸形状に相当する凹凸形状」とは、磁気記録媒体における凹凸パターンの凹凸形状と凹凸位置関係が反対の凹凸形状及び磁気記録媒体における凹凸パターンの凹凸形状と凹凸位置関係が一致する凹凸形状双方を含む意義で用いることとする。
【0042】
以下、図面を用いて、本発明の実施例1に係る磁気記録再生装置及びその制御方法、磁気記録媒体、磁気記録媒体製造用スタンパと、実施例2に係る磁気記録再生装置及びその制御方法について説明する。
【実施例1】
【0043】
本実施例1に係る磁気記録再生装置(図示省略)は、図1に示されるようなディスク形状からなる磁気記録媒体2を備えており、この磁気記録媒体2上には、複数のサーボ領域4とユーザデータ領域6が周方向に交互に並んで形成されている。
【0044】
サーボ領域4には、図2に拡大して示されるように、バースト信号グループ8A(8B、8C、8D)を径方向に複数配設してなるバーストパターン(位置情報)が記録されている。バースト信号グループの配置自体は、上記従来の磁気記録媒体100のバーストパターンにおけるバースト信号グループの配置と同一である。なお、図中の符号112はユーザデータを記録するためのデータトラックを示している。
【0045】
図3は、サーボ領域4に形成されたバーストパターンの一部(バースト信号グループ8Aの全体と、バースト信号グループ8Bの一部)を拡大して示したものであり、上記図22に対応する図面である。なお、図3には、バースト信号グループ8Aの全体と、バースト信号グループ8Bの一部のみを図示したが、他のバースト信号グループ8C、8Dも径方向の位置が異なるだけで構造自体は同一である。以下、符号8は、4種類のバースト信号グループ8A、8B、8C、8Dを示すものとして説明する。
【0046】
磁気記録媒体2のバーストパターンにおける各バースト信号グループ8は、1つの凹部又は1つの凸部(本実施例1では凸部)によって構成される。なお、この凹凸パターンは、例えば、図4に示されるように、ガラス基板、下地層、軟磁性層、配向層などからなる基板150上に、磁性層からなる凸部152を設けることによって形成することができ、凹部154にはSiO2などからなる充填材を充填してもよい。
【0047】
一方、ユーザデータ領域6には、磁性層で形成された所定の凹凸パターンの凸部により略同心円状の記録トラックが複数形成されており、これら各記録トラックは凹凸パターンの凹部により略同心円状に形成された複数の溝によって磁気的に分離されている。このユーザデータ領域6には、磁化情報としてユーザデータが記録される。
【0048】
この磁気記録媒体2の凹凸パターンは、図5(A)に示されるような磁気記録媒体製造用スタンパ30を用いて、以下に説明するような手順で磁気記録媒体2上に形成(記録)される。なお、磁気記録媒体製造用スタンパ30には、予め、磁気記録媒体2の凹凸パターンの凹凸形状に相当する凹凸形状の凹凸パターンが形成されており、磁気記録媒体製造用スタンパ30の凸部が磁気記録媒体2の凹部に対応し、磁気記録媒体製造用スタンパ30の凹部が磁気記録媒体2の凸部に対応するようになっている。
【0049】
まず、図5(A)に示される被加工体32の加工出発体を用意する。なお、被加工体32の加工出発体は、例えば、ガラス基板に下地層、軟磁性層、配向層、連続記録層、マスク層をこの順でスパッタリング法により形成してなる板状体32Aに、更にレジスト層32Bをスピンコート法で塗付することによって得ることができる。
【0050】
次に、図5(B)に示されるように、磁気記録媒体製造用スタンパ30を用いて、被加工体32の加工出発体のレジスト層32Bに凹凸パターンを、例えばナノ・インプリント法によって形成する。そして、凹部底部のレジスト層32Bを除去してから、板状体32Aのマスク層、連続記録層を、例えばエッチングによって除去し、板状体32Aに、図5(C)に示されるような凹凸パターンを形成する。
【0051】
磁気記録媒体2のバースト信号グループ8は、以下に説明する磁気記録再生装置によって再生される。
【0052】
図6は、本発明の実施例1に係る磁気記録再生装置(図示省略)が備える位置制御回路10のブロック図を示したものであり、上記図23に示した従来の位置制御回路130に対応するものである。なお、本実施例1に係る磁気記録再生装置の構成は、磁気記録媒体2及び位置制御回路10を除き、上記従来の磁気記録再生装置と同じであるため、同一部分については図中において同一の符号を付すと共に、その説明を省略する(以下の実施例についても同様)。
【0053】
以下、本発明の特徴的部分である位置制御回路10について詳細に説明する。
【0054】
図6に示されるように、位置制御回路10は、アンプ116と、磁気記録媒体2に記録された各バースト信号グループ8に相当する各再生信号の端部の信号を除去して再生信号の一部を抽出するゲート回路(抽出手段)12と、このゲート回路12によって抽出された信号を面積積分する積分器(積分手段)14と、サンプルホールド器126と、差動アンプ回路128と、を有して構成されている(ゲート回路12及び積分器14は信号積分手段を構成する)。
【0055】
ゲート回路12は、バーストパターンの開始位置を示すサーボマークを検出すると共に、このサーボマークを基準として、図7に示されるようなゲートパルス信号S2を生成する。なお、図7は、本実施例1に係る磁気再生記録装置の磁気記録媒体2におけるバースト信号グループ8の平面、バースト信号グループ8に相当する再生信号S1、ゲートパルス信号S2、及び位置制御信号S3をそれぞれ模式的に示したものである。
【0056】
ゲートパルス信号S2は、矩形波からなるゲートパルスによって構成されている。このゲートパルス信号のパルス幅W2は、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1のパルス幅W1よりも小さくなるように設定され、各ゲートパルス信号S2は、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1から端部の信号を除去して各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1の一部を抽出するために用いられる。なお、各バースト信号グループに相当する各再生信号のパルス幅とは、「各バースト信号グループを構成する凸部(又は凹部)の周方向長さ」を「磁気記録媒体の周速度」で除した値のことである。
【0057】
次に、本実施例1に係る磁気再生記録装置の作用について説明する。
【0058】
磁気ヘッド114によって読み出されたバースト信号グループ8に相当する再生信号S1は、アンプ116によって増幅された後、ゲート回路12を介して積分器14に入力される。積分器14に入力された各再生信号S1は、ゲート回路12によって各再生信号S1毎に生成される各ゲートパルス信号S2が出力されている期間だけ積分器14によって面積積分される。この面積積分後の信号は位置制御信号S3としてサンプルホールド器126に出力される。そして、サンプルホールド器126で保持されたバースト信号グループ8Aの位置制御信号S3とバースト信号グループ8Bの位置制御信号S3との出力差、又は、バースト信号グループ8Cの位置制御信号S3とバースト信号グループ8Dの位置制御信号S3との出力差を差動アンプ回路128で求めることによって磁気ヘッド114の位置情報を取得し、磁気ヘッド114の位置決め(トラッキング)制御が行われる。
【0059】
本実施例1に係る磁気記録再生装置によれば、磁性層で形成される所定の凹凸パターンの1つの凹部又は1つの凸部からなるバースト信号グループ(本実施例1では凸部からなるバースト信号グループ8)によって位置情報が記録された磁気記録媒体2と、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1を面積積分する信号積分手段(本実施例1ではゲート回路12及び積分器14)と、を有してなるため、位置制御信号の出力を増大し、精度の高い位置決め制御を行うことができる。
【0060】
又、本実施例1に係る磁気記録再生装置の制御方法によれば、磁性層で形成される所定の凹凸パターンの1つの凹部又は1つの凸部からなるバースト信号グループ(本実施例1では凸部からなるバースト信号グループ8)によって磁気記録媒体2上に記録された位置情報における各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1を面積積分して位置制御信号を生成し、該位置制御信号に基づいて磁気ヘッドの位置決め制御を行うため、本実施例1に係る磁気記録再生装置と同様に、位置制御信号の出力を増大し、精度の高い位置決め制御を行うことができる。
【0061】
更に、信号積分手段は、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1の端部の信号を除去して各再生信号S1の一部を抽出する抽出手段(本実施例1ではゲート回路12)と、抽出後の各再生信号を面積積分する積分手段(本実施例1では積分器14)と、を有してなるため、各バースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する各再生信号のノイズを除去することができ、位置制御信号の安定化を図ることができる。特に、抽出手段は、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1のパルス幅W1よりも小さいパルス幅W2のゲートパルス信号を生成し、このゲートパルス信号によって各再生信号の一部を抽出するように構成されているため、簡易な構造でありながら、各再生信号のノイズを容易に除去することができる。
【0062】
又、本実施例1に係る磁気記録媒体2によれば、複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる(本実施例1ではバースト信号グループ8は1つの凸部からなる)ため、製造負担や製造コストの低減が可能であり、位置制御信号の出力を増大し、磁気ヘッドの位置決め制御を高精度で行うことができる磁気記録再生装置(例えば、本実施例1に係る磁気記録再生装置)を提供可能である。しかも、凸部及び凹部によってバースト信号グループが構成されている従来の磁気記録媒体に比べ、各バースト信号グループにおける信号を出力する部分の面積が大きくなり、出力が増大可能な上に、凸部の数が少なく、各バースト信号グループの形状や配置のばらつき自体を小さくすることができる。
【0063】
更に、本実施例1に係る磁気記録媒体製造用スタンパ30によれば、製造負担や製造コストの低減が可能な磁気記録媒体(例えば、本実施例1に係る磁気記録媒体2)を製造することができる。
【0064】
本発明の発明者は、本実施例1に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、位置制御信号の出力を測定した。
【0065】
なお、本実験においては、バースト信号グループ8の周方向長さ(上記図3のBL1)を8μmとし、バースト信号グループ8の周方向の間隔(上記図3のBL3)を1μmとし、バースト信号グループ8の径方向幅(上記図3のBW1)、バースト信号グループ8の径方向の間隔(上記図3のBW2)はそれぞれ200nmとした。なお、バースト信号グループ8の周方向長さとバースト信号グループ8の周方向の間隔は、それぞれ2.5インチディスクの半径位置20mmの位置における値である。又、データトラックのトラックピッチは200nm(127kTPI)、データトラックの幅は120nmとした。
【0066】
更に、記録層(磁性層)は厚さ15nmの垂直磁気記録層であり、バースト信号グループ8の凸部をこの垂直磁気記録層で形成すると共に、この垂直磁気記録層を磁化してサーボ信号磁界を発生させるための処理を行った。具体的には、1.2×106 A/mの直流磁界が発生する電磁石の磁極間をディスク面が磁極面に平行になるように設定した後、サーボ領域の垂直磁気記録層を一括して着磁させてサーボ情報を記録した。なお、試料振動型磁力計(VSM)を用いて垂直磁気記録層の磁気特性を測定したところ、飽和磁化Bsが0.44T、残留飽和磁化Brが0.43Tであった。
【0067】
このような磁気記録媒体を用いて、ディスク回転数4200rpmで回転させると共に、2.5インチディスクの半径位置20mm近傍において磁気ヘッドを11nm浮上させ、書き込み幅200nmの磁気ヘッドでデータトラックに信号の記録を行った後、読み込み幅120nmのGMR磁気ヘッドでバーストパターンを再生し、本実施例1及び従来の磁気記録再生装置の位置制御信号の出力を測定した。
【0068】
この測定結果を図8に示す。なお、図8は、磁気ヘッド位置とバースト信号グループ8Aの位置制御信号の出力との関係を示すグラフであり、実線は本実施例1に係る磁気記録再生装置の出力を、又、点線は従来の磁気記録再生装置の出力を示している。又、横軸の磁気ヘッド位置は、図9に示されるように、バースト信号グループ8Aの左端と磁気ヘッドの右端との距離を示している。更に、縦軸の出力の値については、実施例1の磁気ヘッド位置160nmにおける出力の値を1として規格化を行った。
【0069】
図8に示されるように、本実施例1に係る磁気記録再生装置では、データを採取した全ての範囲(磁気ヘッド位置が60〜160nmの範囲)において、比較例である従来の磁気記録再生装置に比べ位置制御信号の出力が大きくなっていることが分かる。
【0070】
更に、本発明の発明者は、本実施例1に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、磁気ヘッド位置に対する位置誤差信号(PES:Position Error Signal)を測定した。
【0071】
より具体的には、図10に示されるように、位置情報として4種類のバースト信号グループ8A、8B、8C、8Dを磁気記録媒体に形成し、磁気ヘッドを移動させた場合にバースト信号グループ8A及び8Bによって得られる位置誤差信号Sabと、バースト信号グループ8C及び8Dによって得られる位置誤差信号Scdをそれぞれ測定した。ここで、位置誤差信号Sabは、バースト信号グループ8Aの位置制御信号の出力をSa、バースト信号グループ8Bの位置制御信号の出力をSbとした場合に(Sa−Sb)/(Sa+Sb)で与えられる。又、位置誤差信号Scdは、バースト信号グループ8Cの位置制御信号の出力をSc、バースト信号グループ8Dの位置制御信号の出力をSdとした場合に(Sc−Sd)/(Sc+Sd)で与えられる。
【0072】
図10のグラフは、磁気ヘッド位置と実施例1及び比較例における位置誤差信号Sab及びScdとの関係を示したものである。なお、図10のグラフに示される右上がりの線(磁気ヘッド位置10nm〜110nm)が位置誤差信号Sabを、右下がりの線(磁気ヘッド位置110nm〜210nm)が位置誤差信号Scdをそれぞれ示している。又、実線が本実施例1に係る磁気記録再生装置の位置誤差信号Sab及びScdを、又、点線(実線と殆ど一致している)が従来の磁気記録再生装置の位置誤差信号Sab及びScdを示している。
【0073】
図10のグラフに示されるように、本実施例1に係る磁気記録再生装置の位置誤差信号は、従来の磁気記録再生装置の位置誤差信号と変わりない直線性が維持されていることが確認された。
【0074】
このように、本実施例1に係る磁気記録再生装置及びその制御方法によれば、位置誤差信号の直線性を維持しつつ、位置制御信号の出力を増大し、精度の高い位置決め制御を行うことができる。
【0075】
なお、本発明の発明者は、本実施例1に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、10トラック分のトラック1周あたりのトラックアドレス読み取りエラー個数と、ユーザデータのビットエラーレートについても測定を行った。その結果、従来の磁気記録再生装置では、トラック毎のトラックアドレス読み取りエラーの個数は0〜15(1トラック平均3.5個)、トラック毎のビットエラーレートは2.6×10−6〜1.0×10−7であったのに対して、本実施例1の磁気記録再生装置のトラックアドレス読み取りエラーの個数は全10トラックで0、ビットエラーレートは全10トラックで1.0×10−7以下であった。
【0076】
このように、従来の磁気記録再生装置に比べ、トラック毎のトラックアドレス読み取りエラーの個数と、トラック毎のビットエラーレートを低減することができたのは、位置誤差信号の直線性を維持しつつ、位置制御信号の出力を増大すると共に、バースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する再生信号のノイズを除去できたことが要因であると考えられる。
【実施例2】
【0077】
図11は、本発明の実施例2に係る磁気記録再生装置(図示省略)が備える位置制御回路20のブロック図を示したものである。
【0078】
本実施例2に係る磁気記録再生装置は、上記実施例1の位置制御回路10に代えて、位置制御回路20を備えている。他の構成は上記実施例1と同様である。
【0079】
この位置制御回路20は、上記図23に示した従来の位置制御回路130におけるアンプ116と微分器118との間に、ゲート回路22(抽出手段)を配設したものである。
【0080】
ゲート回路22は、バーストパターンの開始位置を示すサーボマークを検出すると共に、このサーボマークを基準として、各バースト信号グループ8毎に図12に示されるような複数のゲートパルス信号S4を生成する。これらのゲートパルス信号S4は、従来の磁気記録媒体100におけるバースト信号グループを構成する複数の凸部又は複数の凹部のパターンに対応している。なお、図12は、本実施例2に係る磁気再生記録装置の磁気記録媒体2における1つのバースト信号グループ8の平面、1つのバースト信号グループ8に相当する再生信号S1、ゲートパルス信号S4、及び、これら再生信号S1とゲートパルス信号S4によって生成された信号S5をそれぞれ模式的に示したものである。
【0081】
本実施例2に係る磁気再生記録装置では、ゲート回路22によって、各再生信号S1の1つのパルスに対して複数のゲートパルス信号S4を発生させる。そして、これら複数のゲートパルス信号S4によって1つのバースト信号グループ8に相当する再生信号S1の複数の部分を抽出し、信号S5を生成する。
【0082】
磁気ヘッド114によって読み出された各バースト信号グループ8に相当する再生信号S1は、アンプ116によって増幅された後、ゲート回路22によって生成される各ゲートパルス信号S4が出力されている期間だけゲート回路22から出力され、信号S5として抽出される。
【0083】
このゲート回路22によって抽出された信号S5は、微分器118に入力される。微分器118によって微分された再生信号は、ゼロクロス検出器120を通過した後、ピーク検出器124に入力される。その後、ピーク検出器124において、コンパレータ122からのゲートパルス信号とゼロクロス検出器120からの信号が共に存在する位置が検出され、その位置におけるアンプ116からの再生出力が最大出力(ピーク出力)となる。この最大出力が、位置制御信号としてサンプルホールド器126に出力される。そして、サンプルホールド器126で保持されたバースト信号グループ8Aとバースト信号グループ8Bとの位置制御信号の出力差、又は、バースト信号グループ8Cとバースト信号グループ8Dとの位置制御信号の出力差を差動アンプ回路128で求めることによって磁気ヘッド114の位置情報を取得し、磁気ヘッド114の位置決め制御が行われる。
【0084】
本実施例2に係る磁気記録再生装置によれば、複数のバースト信号グループ(本実施例2では凸部からなるバースト信号グループ8)によって位置情報が記録され、各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる(本実施例2ではバースト信号グループ8は1つの凸部からなる)磁気記録媒体2と、各バースト信号グループ8に相当する各再生信号S1のパルス幅W1よりも小さいパルス幅W3の複数のゲートパルス信号S4を生成し、これらの複数のゲートパルス信号S4によって各再生信号S1の複数の部分を抽出する信号抽出手段(本実施例2ではゲート回路22)を有してなるため、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に、位置制御回路20の大部分を従来の位置制御回路130の構成要素を用いて構成することができ、上記実施例1に係る磁気記録再生装置に比べ、低コスト化や開発期間の短縮化を図ることができる。
【0085】
更に、バースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する再生信号のノイズを除去することができ、位置制御信号の安定化を図ることができる。
【0086】
又、本実施例2に係る磁気記録再生装置の制御方法によれば、磁性層で形成される所定の凹凸パターンの1つの凹部又は1つの凸部のいずれか一方のみからなるバースト信号グループ(本実施例2では1つの凸部からなるバースト信号グループ8)によって磁気記録媒体2上に記録された位置情報における各バースト信号グループに相当する各再生信号S1のパルス幅W1よりも小さいパルス幅W3の複数のゲートパルス信号S4を生成すると共に、これらの複数のゲートパルス信号S4によって抽出した再生信号S5を用いて磁気ヘッドの位置決め制御を行うため、本実施例2に係る磁気記録再生装置と同様に、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に低コスト化や開発期間の短縮化を図ることができる。
【0087】
本発明の発明者は、上記実施例1と同一の条件下において、本実施例2に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、位置制御信号の出力を測定した。
【0088】
この測定結果を図13に示す。なお、図13は、磁気ヘッド位置とバースト信号グループ8Aの位置制御信号の出力との関係を示すグラフであり、実線は本実施例2に係る磁気記録再生装置の出力を、又、点線は従来の磁気記録再生装置の出力を示している。更に、縦軸の出力の値については、実施例2の磁気ヘッド位置160nmにおける出力の値を1として規格化を行った。
【0089】
図13に示されるように、本実施例2に係る磁気記録再生装置では、データを採取した全ての範囲(磁気ヘッド位置が60〜160nmの範囲)において、比較例である従来の磁気記録再生装置に比べ位置制御信号の再生出力が大きくなっていることが分かる。
【0090】
これは、磁性層の凸部又は凹部の側壁には反磁界が発生するが、各バースト信号グループ8は1つの凸部によって構成されているため、側壁の反磁界の影響が少なくなったためだと考えられる。
【0091】
更に、本発明の発明者は、本実施例2に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、磁気ヘッド位置に対する位置誤差信号を測定した。
【0092】
この結果、図14のグラフに示されるように、本実施例2に係る磁気記録再生装置の位置誤差信号は、従来の磁気記録再生装置の位置誤差信号と変わりない直線性を維持していることが確認された。なお、図14において、実線が本実施例2に係る磁気記録再生装置の位置誤差信号を、点線(実線と殆ど一致している)が従来の磁気記録再生装置の位置誤差信号を示している。
【0093】
更に、本発明の発明者は、本実施例2に係る磁気記録再生装置及び従来の磁気記録再生装置を用いて、10トラック分のトラック1周あたりのトラックアドレス読み取りエラー個数と、ユーザデータのビットエラーレートについても測定を行った。その結果、従来の磁気記録再生装置では、トラック毎のトラックアドレス読み取りエラーの個数は0〜15(1トラック平均3.5個)、トラック毎のビットエラーレートは2.6×10−6〜1.0×10−7であったのに対して、本実施例2の磁気記録再生装置のトラックアドレス読み取りエラーの個数は全10トラックで0、ビットエラーレートは全10トラックで1.0×10−7以下であった。
【0094】
このように、従来の磁気記録再生装置に比べ、トラック毎のトラックアドレス読み取りエラーの個数と、トラック毎のビットエラーレートを低減することができたのは、位置誤差信号の直線性を維持しつつ、位置制御信号の出力を増大すると共に、バースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する再生信号のノイズを除去できたことが要因であると考えられる。
【実施例3】
【0095】
図25は、本発明の実施例3に係る磁気記録再生装置(図示省略)の磁気記録媒体における1つのバースト信号グループの平面、1つのバースト信号グループに相当する再生信号S1、ゲートパルス信号S4、及び、これら再生信号S1とゲートパルス信号S4によって生成された信号S5を模式的に示したものである。
【0096】
本実施例3に係る磁気記録再生装置は、各バースト信号グループが2つの凸部と1つの凹部とからなる構成である。他の構成は上記実施例2と同様である。
【0097】
本実施例3に係る磁気再生記録装置では、ゲート回路22によって、各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び凸部のいずれか一方(本実施例3では1つの凸部)に相当する各再生信号S1毎に各再生信号S1の1つのパルスに対して複数のゲートパルス信号S4を発生させる。そして、このゲートパルス信号S4によって1つの凹部及び凸部のいずれか一方に相当する再生信号S1の複数の部分を抽出し、信号S5を生成する。
【0098】
従って、本実施例3も上記実施例2と同様に、製造負担や製造コストの低減が可能でありながら、同時に、位置制御回路20の大部分を従来の位置制御回路130の構成要素を用いて構成することができ、上記実施例1に係る磁気記録再生装置に比べ、低コスト化や開発期間の短縮化を図ることができる。
【0099】
更に、バースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する再生信号のノイズを除去することができ、位置制御信号の安定化を図ることができる。
【0100】
尚、各バースト信号グループは1つの凸部又は1つの凹部のいずれか一方だけからなる構成ではないが、10〜30個程度の凸部又は凹部によって各バースト信号グループが構成されている磁気記録媒体を用いる従来の磁気記録再生装置に対し、凸部や凹部の数を少なくすることで、各バースト信号グループにおける信号を出力する部分の面積が大きくなり、出力が増大可能な上に、凸部又は凹部の数が少なく、各バースト信号グループの形状や配置のばらつき自体を小さくすることができる。
【0101】
なお、本発明に係る磁気記録再生装置及びその制御方法は、上記実施例1−3に係る磁気記録再生装置及びその制御方法に限定されるものではない。
【0102】
従って、例えば、上記実施例1における位置制御回路10はゲート回路12を備えているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、位置情報のバースト信号グループの形状や配置のばらつきに起因する再生信号のノイズが少ないような場合には、ゲート回路12を備えていなくてもよい。即ち、本発明に係る信号積分手段は、バースト信号グループに相当する再生信号を面積積分するものであればよい。
【0103】
又、上記実施例1においては、1つのゲートパルス信号S2によって再生信号S1の一部を抽出しているが、複数のゲートパルス信号によって再生信号S1の一部を抽出してもよい。
【0104】
又、本発明に係る「凹凸パターン」は、上記実施例1に示した凹凸パターンの構成に限定されるものではなく、例えば、図15に示される凹凸パターン40のように、基板42に形成した凹凸パターンを覆うようにして磁性層44を積層し、凸部40Aのみならず凹部40Bの底部を含めて磁性層44で凹凸パターンを形成してもよく、又、図16に示される凹凸パターン50のように、凸部50Aのみならず、凹部50Bの底部を含めて磁性層52で凹凸パターンを形成してもよい。
【0105】
又、本発明に係る「バースト信号グループ」は、上記実施例1−3に示したバースト信号グループの構成に限定されるものではなく、図17に示されるように、上記図3に示される凸部の部分(図3における黒の塗り潰し部分)を凹凸パターンの凹部(図17における白抜きの部分)によって構成してもよい。なお、この場合、上記図3において凹部であった部分が磁性層からなる凸部によって構成されるため、バーストパターン(凹凸パターン)の再生信号は、図18に示されるような波形となるが、本発明に係る抽出手段によって、凹部からなるバースト信号グループに相当する再生信号から端部の信号を除去して再生信号の一部を抽出すれば、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。実施例2についても同様である。
【0106】
更に、上記実施例1−3においては、磁気記録媒体の一例として、磁性層で形成された凸部により同心円状の記録トラックが形成されると共に、各記録トラックは同心円状に形成した複数の溝(凹凸パターンの凹部)によって磁気的に分離されているユーザデータ領域を有するディスクリートトラック媒体を適用したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0107】
従って、例えば、磁性層をメッシュ状またはドット状に区切って(各記録トラックをその周方向においても磁気的に複数に分離させて)形成した凸部が島状(アイランド状)に孤立している、いわゆるパターンド媒体にも本発明は適用可能である。又、ユーザデータ領域の磁性層は、凹凸パターンが形成されていない連続磁性層によって形成されていてもよい。
【0108】
更に、磁気記録媒体における位置情報として4種類のバースト信号グループ8A、8B、8C、8Dを形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一対のバースト信号グループ8A及び8Bのみを形成してもよい。また、バースト信号グループのデータトラックに対する配置についても特に限定されず、例えば、一対の位置情報としてのバースト信号グループ8A及び8Bと、バースト信号グループ8C及び8Dとが互いに1/3・トラックピッチだけずれた位置に配置されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、ディスクリートトラック媒体やパターンド媒体等の磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置及びその制御方法、磁気記録媒体、磁気記録媒体製造用スタンパに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施例1に係る磁気記録再生装置における磁気記録媒体の略示平面図
【図2】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のサーボ領域におけるバーストパターン周辺を拡大して示す略示部分拡大図
【図3】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のサーボ領域におけるバーストパターンの一部を拡大して示す略示部分拡大図
【図4】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体の一例を示す略示側断面図
【図5】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体の凹凸パターンの形成手順を模式的に示した図
【図6】同磁気記録再生装置における位置制御回路のブロック図
【図7】同磁気記録再生装置の磁気記録媒体におけるバースト信号グループの平面、バースト信号グループに相当する再生信号、ゲートパルス信号、及び位置制御信号を模式的に示した模式図
【図8】同磁気記録再生装置における磁気ヘッド位置と位置制御信号の出力との関係を示したグラフ
【図9】各グラフにおける磁気ヘッド位置の定義を説明するための図
【図10】本発明の実施例1に係る磁気記録再生装置の磁気記録媒体におけるデータトラック、バースト信号グループ及び磁気ヘッドの位置関係を模式的に示した図と、同図における磁気ヘッドの位置と位置誤差信号との関係を示したグラフ
【図11】本発明の実施例2に係る磁気記録再生装置における位置制御回路のブロック図
【図12】同磁気記録再生装置の磁気記録媒体におけるバースト信号グループの平面、バースト信号グループに相当する再生信号、ゲートパルス信号、及び、これら再生信号とゲートパルス信号によって生成された信号を模式的に示した模式図
【図13】同磁気記録再生装置における磁気ヘッド位置と位置制御信号の出力との関係を示したグラフ
【図14】本発明の実施例2に係る磁気記録再生装置の磁気記録媒体におけるデータトラック、バースト信号グループ及び磁気ヘッドの位置関係を模式的に示した図と、同図における磁気ヘッドの位置と位置誤差信号との関係を示したグラフ
【図15】本発明に係る磁気記録媒体のサーボ領域における凹凸パターンの第2の例を示した略示側断面図
【図16】本発明に係る磁気記録媒体のサーボ領域における凹凸パターンの第3の例を示した略示側断面図
【図17】本発明に係る磁気記録媒体のサーボ領域におけるバースト信号グループの他の例を示した略示平面図
【図18】同磁気記録媒体における凹凸パターンの再生信号波形を模式的に示した図
【図19】従来の磁気記録再生装置における磁気記録媒体の略示平面図
【図20】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のサーボ領域周辺を拡大して示す略示部分拡大図
【図21】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のサーボ領域におけるバースト信号グループを拡大して示す略示部分拡大図
【図22】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のサーボ領域におけるバーストパターンの一部を拡大して示す略示部分拡大図
【図23】同磁気記録再生装置における位置制御回路のブロック図
【図24】同磁気記録再生装置における磁気記録媒体のバースト信号グループの平面と、凹凸パターンの再生信号を模式的に示した図
【図25】本発明の実施例3に係る同磁気記録再生装置の磁気記録媒体におけるバースト信号グループの平面、バースト信号グループに相当する再生信号、ゲートパルス信号、及び、これら再生信号とゲートパルス信号によって生成された信号を模式的に示した模式図
【符号の説明】
【0111】
2、100…磁気記録媒体
4、102…サーボ領域
8…バースト信号グループ
10、20、130…位置制御回路
12、22…ゲート回路
14…積分器
30…磁気記録媒体製造用スタンパ
32…被加工体
110…バースト部
110A、110B、110C、110D…バースト信号グループ
114…磁気ヘッド
116…アンプ
118…微分器
120…ゼロクロス検出器
122…コンパレータ
124…ピーク検出器
126…サンプルホールド器
128…差動アンプ回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分する信号積分手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記信号積分手段は、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号の端部の信号を除去して前記各再生信号の一部を抽出する抽出手段と、抽出後の各再生信号を面積積分する積分手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記抽出手段は、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅のゲートパルス信号を生成し、該ゲートパルス信号によって前記各再生信号の一部を抽出するように構成されていることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項4】
複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項5】
複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの凹部及び凸部からなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方に相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項6】
複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる位置情報における前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分して位置制御信号を生成し、該位置制御信号に基づいて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分する際に、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号の端部の信号を除去して前記各再生信号の一部を抽出し、抽出後の各再生信号を面積積分することを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記各バースト信号グループに相当する各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅のゲートパルス信号を生成し、該ゲートパルス信号によって前記各再生信号の一部を抽出することを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【請求項9】
複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる位置情報における前記各バースト信号グループに相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成すると共に、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出し、該抽出した部分を用いて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【請求項10】
複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの凹部及び凸部からなる位置情報における、前記各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方に相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成すると共に、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出し、該抽出した部分を用いて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【請求項11】
複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項12】
請求項11に記載の磁気記録媒体における前記凹凸パターンの凹凸形状に相当する凹凸形状の凹凸パターンが形成されていることを特徴とする磁気記録媒体製造用スタンパ。
【請求項1】
複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分する信号積分手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記信号積分手段は、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号の端部の信号を除去して前記各再生信号の一部を抽出する抽出手段と、抽出後の各再生信号を面積積分する積分手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記抽出手段は、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅のゲートパルス信号を生成し、該ゲートパルス信号によって前記各再生信号の一部を抽出するように構成されていることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項4】
複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項5】
複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの凹部及び凸部からなる磁気記録媒体と、前記各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方に相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成し、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出する信号抽出手段と、を有してなることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項6】
複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる位置情報における前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分して位置制御信号を生成し、該位置制御信号に基づいて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記各バースト信号グループに相当する各再生信号を面積積分する際に、前記各バースト信号グループに相当する各再生信号の端部の信号を除去して前記各再生信号の一部を抽出し、抽出後の各再生信号を面積積分することを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記各バースト信号グループに相当する各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅のゲートパルス信号を生成し、該ゲートパルス信号によって前記各再生信号の一部を抽出することを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【請求項9】
複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなる位置情報における前記各バースト信号グループに相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成すると共に、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出し、該抽出した部分を用いて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【請求項10】
複数のバースト信号グループによって磁気記録媒体上に記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの凹部及び凸部からなる位置情報における、前記各バースト信号グループに含まれる1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方に相当する各再生信号毎に該各再生信号のパルス幅よりも小さいパルス幅の複数のゲートパルス信号を生成すると共に、該複数のゲートパルス信号によって前記各再生信号の複数の部分を抽出し、該抽出した部分を用いて磁気ヘッドの位置決め制御を行うことを特徴とする磁気記録再生装置の制御方法。
【請求項11】
複数のバースト信号グループによって位置情報が記録され、前記各バースト信号グループは磁性層で形成される凹凸パターンの1つの凹部及び1つの凸部のいずれか一方のみからなることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項12】
請求項11に記載の磁気記録媒体における前記凹凸パターンの凹凸形状に相当する凹凸形状の凹凸パターンが形成されていることを特徴とする磁気記録媒体製造用スタンパ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図9】
【図2】
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【図6】
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【図8】
【図10】
【図11】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図9】
【公開番号】特開2006−302492(P2006−302492A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77670(P2006−77670)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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