説明

磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置

【課題】フォトリソ技術を用いずに製造でき、熱揺らぎ耐性と書き込み易さとが向上した磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】基板12と、基板12上に第1磁性層22と非磁性スペーサ層24と第2磁性層26とが順次設けられ、第1磁性層22が硬磁性で、第2磁性層26が軟磁性で、第1磁性層22と第2磁性層26とが強磁性交換結合する第1の領域28と、第1磁性層22と第2磁性層26とが共に硬磁性で、第1磁性層22と第2磁性層26とが非磁性スペーサ層24を介して反強磁性交換結合する第2の領域30と、を有する。第1の領域28を記録領域として用いることで、熱揺らぎ耐性と書き込み易さとを向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置に関し、特に微細なパターンを有する磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の高度情報化社会の進展に伴い、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)等の磁気記録再生装置では大容量化が急速に進んでいる。このため、磁気記録媒体の記録密度の向上が要求されており、現状は磁性粒子を微細化させることで記録密度の向上を図っている。これにより、記録ビットサイズは、トラックピッチおよびビット長がそれぞれ百nm程度および数十nm程度と極めて微細なものになっている。今後、このような、記録ビットサイズの微細化が進展することにより、記録ビットを構成する磁性粒子の直径はますます小さくなるために、熱揺らぎによる磁化反転が生じ易くなって来る。
【0003】
従来、面内磁気記録方式の磁気記録媒体が用いられていた。しかしながら、面内磁気記録方式では、磁性粒子径が比較的大きい段階で、熱揺らぎの影響を受け易いという課題があった。そこで、近年の記録密度の向上に伴い、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体が用いられ始めている。垂直磁気記録方式は、面内磁気記録方式に比べて、磁気記録媒体表面の磁性粒子径を小さくしたまま、1ビット当りの体積を大きくすることができる。このため、熱揺らぎの影響を抑制することが可能となる。しかしながら、HDD等の磁気記録再生装置の大容量化が更に進めば、この垂直磁気記録方式の磁気記録媒体であっても、熱揺らぎの課題に直面することが十分考えられる。
【0004】
そこで提案されているのが、パターンドメディアと呼ばれる磁気記録媒体である。パターンドメディアとは、非磁性膜中に記録ビット単位となる磁性領域を孤立するようにパターン形成した磁気記録媒体である。これにより、隣接記録ビット間の磁気的な干渉による磁気情報の消失やノイズを抑制することができる。また、記録ビットとなる磁性領域をドット状にパターニングすることにより、各記録ビット内の磁壁移動抵抗が増大して磁壁のピンニング効果が大きくなるため、磁気特性が向上し、熱揺らぎ耐性が大きくなる。
【0005】
パターンドメディアを製造するためには、磁性膜をドット状の微細パターンに形成する必要がある。パターンドメディアの製造方法の1つに、フォトリソ技術とエッチング技術とを用いた方法がある。具体的には、磁性膜上にフォトリソ技術を用いてパターン化したレジスト膜を形成する。レジスト膜をマスクに磁性膜をエッチングする。そして、レジスト膜を除去した後、磁性膜間に非磁性膜を埋め込み、平坦化する方法である。
【0006】
また、非特許文献1には、イオン注入法を用いて、磁性膜の磁化方向を再配向させる技術が開示されている。この技術を用いることで、例えば、磁化方向が基板に垂直方向である領域(記録領域)がドット状に形成され、その周囲に磁化方向が基板に平行方向である領域(非記録領域)が形成されたパターンドメディアを製造することができる。
【0007】
しかしながら、非特許文献1の技術では、非記録領域は完全な非磁性領域ではないため、HDDにおける磁気ヘッドの再生素子がこの非記録領域からノイズを検出する場合が生じる。
【0008】
そこで、このような非特許文献1の課題を解決する技術が特許文献1に開示されている。特許文献1によれば、非磁性スペーサ膜を介して反強磁性交換結合をする第1硬磁性膜および第2硬磁性膜からなる記録層に対して、非磁性スペーサ膜にイオン注入を行い、非磁性スペーサ膜を実質的に破壊させる。これにより、イオン注入が行われた領域を、反強磁性交換結合から強磁性交換結合に変化させることができる。この技術を用いることで、強磁性交換結合からなる磁性領域(記録領域)がドット状に形成され、その周囲に反強磁性交換結合からなる漏洩磁界を生じさせない領域(非記録領域)が形成されたパターンドメディアを製造することができる。
【非特許文献1】Chappert et al, “Planar Patterned Magnetic Media Obtained by Ion Irradiation” Science, Vol.280, pp.1919-1922, 19.JUNE.1998
【特許文献1】特許第3706103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、磁気記録媒体の更なる高記録密度化を実現しようとすると、1ビット当りの体積はこれまで以上に小さくなる。このため、パターンドメディアを以ってしても、熱揺らぎによる磁化反転が生じる場合が考えられる。熱揺らぎは、KuV/kTの値が小さくなるほど影響を受け易くなる。ここで、Kuは磁気異方性定数、Vは1ビット当りの体積、kはボルツマン定数、Tは絶対温度である。このため、熱揺らぎによる磁化反転を回避するために、Ku(磁気異方性定数)の大きい磁性材料を記録領域に用いることが考えられる。しかしながら、Ku(磁気異方性定数)の大きい磁性材料を用いると、HDDにおける磁気ヘッドの記録素子による書き込みが困難となる課題が生じる。
【0010】
また、フォトリソ技術を用いたパターンドメディアの製造方法は、レジスト膜を除去するためのエッチングプロセス等により、磁性膜がダメージを受ける場合がある。これにより、製造歩留まりが低下するという課題が生じる。さらに、フォトリソ技術を用いた製造方法では、ドット状に形成した磁性膜間に非磁性膜を埋め込み、平坦化する工程が必要となる。このため、製造コストが高くなるという課題が生じる。
【0011】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、フォトリソ技術を用いずに製造することができ、熱揺らぎ耐性を向上させつつ、書き込み易さを維持することが可能な磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、明細書開示の磁気記録媒体は、基板と、前記基板上に第1磁性層と非磁性層と第2磁性層とが順次設けられ、前記第1磁性層および前記第2磁性層のいずれか一方は軟磁性であり、他方は硬磁性であり、前記第1磁性層と前記第2磁性層とは強磁性交換結合をしている第1の領域と、前記基板上に前記第1磁性層と前記非磁性層と前記第2磁性層とが順次設けられ、前記第1磁性層と前記第2磁性層とは共に硬磁性であり、前記第1磁性層と前記第2磁性層とは前記非磁性層を介して反強磁性交換結合をしている第2の領域と、を具備するものである。
【0013】
これによれば、第1の領域は、硬磁性である第1磁性層と軟磁性である第2磁性層とが積層し、強磁性交換結合をしている。このため、第1の領域に外部から磁界が印加されると、第1磁性層がKu(磁気異方性定数)の大きい磁性材料からなる場合でも、軟磁性である第2磁性層の影響により、第1磁性層は磁化反転が起こり易くなる。したがって、熱揺らぎ耐性を向上させるべく、Ku(磁気異方性定数)の大きい磁性材料を第1磁性層に用いた場合でも、第1磁性層への書き込み易さを向上させることができる。また、第2の領域は、反強磁性交換結合をしている。このため、第2の領域は、漏洩磁界を生じさせない。よって、このような第1の領域と第2の領域とを利用することで、熱揺らぎ耐性と書き込み易さとが向上したパターンドメディア等を得ることができる。
【0014】
また、明細書開示の磁気記録再生装置は、上記磁気記録媒体を備えるものである。
【0015】
これによれば、熱揺らぎ耐性と書き込み易さとが向上した磁気記録再生装置を得ることができる。
【0016】
また、明細書開示の磁気記録媒体の製造方法は、基板上に硬磁性である第1磁性層を形成する工程と、前記第1磁性層上に非磁性層を形成する工程と、前記非磁性層上に、硬磁性であり、前記第1磁性層と反強磁性交換結合をする第2磁性層を形成する工程と、前記第1磁性層および前記第2磁性層のいずれか一方を軟磁性に変化させ、前記第1磁性層と前記第2磁性層とが強磁性交換結合をする第1の領域を形成し、前記第1磁性層と前記第2磁性層とを硬磁性のまま残存させ、前記第1磁性層と前記第2磁性層とが前記非磁性膜を介して反強磁性交換結合する第2の領域を形成する工程と、を有するものである。
【0017】
これによれば、熱揺らぎ耐性と書き込み易さとが向上したパターンドメディア等をフォトリソ技術等を用いずに形成することができる。このため、パターンドメディア等を製造するに当たって、歩留まりの向上、低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
明細書開示の磁気記録媒体によれば、熱揺らぎ耐性と書き込み易さとが向上したパターンドメディア等を得ることができる。また、明細書開示の磁気記録再生装置によれば、上記磁気記録媒体を備えることで、熱揺らぎ耐性と書き込み易さとが向上した磁気記録再生装置を得ることができる。また、明細書開示の磁気記録媒体の製造方法によれば、熱揺らぎ耐性と書き込み易さとが向上したパターンドメディア等を、高歩留まり、且つ低コストで製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照に、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は実施例1に係る磁気記録媒体としてのパターンドメディアについての断面模式図である。図1において、実施例1に係るパターンドメディア10は、基板12上に、軟磁性裏打ち層14、シード層16、中間層18、記録層20が順次積層されている。記録層20は、中間層18側から、第1磁性層22、非磁性スペーサ層24、第2磁性層26がこの順で積層されている。記録層20は、第1の領域28と第2の領域30とを有していて、第1の領域28の周りを第2の領域30が取り囲んでいる。この第1の領域28は記録領域に相当し、第2の領域30は非記録領域に相当する。
【0021】
第1の領域28において、第1磁性層22は硬磁性であり、第2磁性層26は軟磁性である(図1中の網線部が軟磁性を表している)。つまり、第1の領域28は、硬磁性膜と軟磁性膜とが強磁性交換結合をして積層された、ECC(Exchange-Coupled Composite)構造となっている。第2の領域30において、第1磁性層22と第2磁性層26とは共に硬磁性である。このため、第1磁性層22と第2磁性層26とは非磁性スペーサ層24を介して反強磁性交換結合をしている。即ち、図1中に矢印で磁化状態を示しているが、第2の領域30においては、第1磁性層22の磁化と第2磁性層26の磁化とは反平行になっている。つまり、第2の領域30は、外部に漏洩磁界を発生させない。なお、学術的な定義は特に見当たらないが、当業者間では、軟磁性とは、例えば保磁力が1〜100Oe程度であり、硬磁性とは、例えば保磁力が1000Oe以上である材料のことをいう。
【0022】
基板12は、例えば、プラスチック基板、ガラス基板、Si基板、アルミニウム合金基板等を用いることができる。実施例1においてはガラス基板を用いている。実施例1に用いたガラス基板は、外径寸法が65mm程度であり、中心部に20mm程度の孔を有する円盤状の形状をしている。
【0023】
軟磁性裏打ち層14は、例えばFe、Co、Ni、Al、Si、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Nb、C、およびBから選択された少なくとも1種の元素を含む非晶質の軟磁性材料を用いることができる。具体的材料として、例えば、FeSi、FeAlSi、FeTaC、CoNbZr、CoCrNb、CoFeB、およびNiFeNb等を用いることができる。実施例1においてはCoNbZrを用いている。
【0024】
シード層16は、例えばTa、Ti、Mo、W、Re、Os、Hf、Mg、およびPtのうち少なくとも1種の非晶質の非磁性材料を用いることができ、実施例1においてはTaを用いている。シード層16は非晶質状態であるため、中間層18の結晶配向に影響を与えない。このため、中間層18の結晶配向性が向上する。また、シード層16は、非磁性材料であるので、軟磁性裏打ち層14と中間層18との磁気的な結合を分断する。
【0025】
中間層18は2層構造をしている。シード層16側の層(下層とする)は、例えばAl、Cu、Ni、Pt、NiFe、およびNiFeXのうちいずれか1種を用いることができる。ここで、Xは、Cr、Ru、Cu、Si、O、N、およびSiOのうち少なくとも1種からなる。記録層20側の層(上層とする)は、例えばRu、Pd、Pt、およびRu合金のうちいずれか1種の非磁性材料を用いることができる。ここで、下層は、Ni、NiFe、およびNiFeXのうちいずれか1種を用いる場合が好ましい。この場合は、上層にRuおよびRu合金のいずれかを用いた場合に、極めて良好な格子整合で上層が結晶成長する。これにより、中間層18上の記録層20の結晶性および結晶配向性が良好となる。実施例1においては、下層にNiFeCrを用い、上層にRuを用いている。
【0026】
記録層20は、第1磁性層22、非磁性スペーサ層24、第2磁性層26とがこの順で積層されている。第1磁性層22および第2磁性層26は、例えばCoCr、CoPt、CoCrTa、CoCrPt、およびSiOもしくはTiOを添加したCoCrPt等を用いることができる。実施例1ではSiOを添加したCoCrPtを用いている。非磁性スペーサ層24は、例えばRu、Cr、Rh、Ir、Cuおよびこれらの合金を用いることができ、実施例1においてはRuを用いている。
【0027】
次に、実施例1に係るパターンドメディア10の製造方法を、図2(a)から図2(c)を用いて説明する。図2(a)において、ガラス基板12上に、軟磁性裏打ち層14、シード層16、中間層18、記録層20を順次形成する。記録層20として、中間層18側から、第1磁性層22、非磁性スペーサ層24、第2磁性層26を順次形成する。第1磁性層22と第2磁性層26とは共に硬磁性であり、第1磁性層22と第2磁性層26とが非磁性スペーサ層24を介して反強磁性交換結合をするよう形成する。即ち、図2(a)中の矢印で示す磁化状態のように、第1磁性層22の磁化と第2磁性層26の磁化とが反平行になるようにする。
【0028】
軟磁性裏打ち層14、シード層16、中間層18、記録層20はそれぞれマグネトロンスパッタ装置を用いたスパッタ法により形成する。軟磁性裏打ち層14は、CoNbZr合金ターゲットを用いて、Arガス雰囲気で、圧力0.5Pa、プラズマパワー1000Wの条件により、例えば厚さが50nmになるよう、CoNbZr膜を成膜した。シード層16は、Taターゲットを用いて、Arガス雰囲気で、圧力0.5Pa、プラズマパワー400Wの条件で、例えば厚さが3nmになるよう、Ta膜を成膜した。
【0029】
中間層18は、NiFeCr合金ターゲットを用いて、Arガス雰囲気で、圧力0.5Pa、プラズマパワー100Wの条件で、例えば厚さが5nmになるよう、NiFeCr膜を成膜した後、Ruターゲットを用いて、Arガス雰囲気で、圧力4.0Pa、プラズマパワー400Wの条件で、例えば厚さが15nmになるよう、Ru膜を成膜した。
【0030】
記録層20を構成する第1磁性層22と第2磁性層26とは、CoCrPt合金とSiOとの複合ターゲットを用いて、Arガス雰囲気で、圧力4.0Pa、プラズマパワー400Wの条件で、例えば厚さが11nmになるよう、SiOが添加されたCoCrPt膜を成膜した。非磁性スペーサ層24は、Ruターゲットを用いて、Arガス雰囲気で、圧力6.0Pa、プラズマパワー100Wの条件で、例えば厚さが0.2nmになるよう、Ru膜を成膜した。なお、これら軟磁性裏打ち層14、シード層16、中間層18、記録層20の形成は、マグネトロンスパッタ装置の真空を破ることなく連続にて処理した。
【0031】
図2(b)において、第2磁性層26に接しないように配置したマスク32を介して、第2磁性層26に窒素イオンをイオン注入する。マスク32には予め、パターンドメディアの記録領域に対応する空洞部(パターン)が形成されている。
【0032】
ここで、空洞部(パターン)を有するマスク32の形成方法の一例について説明する。まず、SOI(Silicon On Insulator)基板を準備する。SOI基板は、例えば厚さ500μmのシリコン基板上に、例えば厚さ0.5μmの酸化膜と厚さ10μmのシリコン層とが順次形成されている。フォトリソ技術を用いて、シリコン層上にパターン化したレジスト膜を形成する。次に、レジスト膜をマスクに、シリコン層を例えばSFガスを用いたRIE(反応性イオンエッチング)法でエッチングする。この際、酸化膜はエッチストップ層として利用することができる。これにより、シリコン層に空洞部が形成される。その後、シリコン基板をRIE法で除去し、酸化膜をフッ酸によるウエットエッチング法で除去する。以上により、厚さ10μmのシリコン層からなり、空洞部(パターン)が形成されたマスク32を形成することができる。
【0033】
図2(b)に戻り、第2磁性層26への窒素イオンのイオン注入は、例えばドーズ量を1×1015atoms/cmで、注入エネルギーを4keVから50keVと振って行った。イオン注入後に、パターンドメディア10をSIMS分析(二次イオン質量分析)した結果、第2磁性膜26の表面から11nmの深さにまで窒素イオンが導入されていることが確認された。
【0034】
図2(c)において、窒素イオンがイオン注入され、窒素イオンの衝撃を受けた領域(第1の領域28)の第2磁性層26は、硬磁性から軟磁性へと変化する(図2(c)中の網線部が軟磁性を表している)。つまり、第1の領域28においては、第1磁性層22が硬磁性を示し、第2磁性層26が軟磁性を示し、第1磁性層22と第2磁性層26とは強磁性交換結合となる。窒素イオンの衝撃を受けなかった領域(第2の領域30)では、第2磁性層26は硬磁性を示したままである。したがって、第2の領域30においては、第1磁性層22と第2磁性層26とは共に硬磁性を示し、第1磁性層22と第2磁性層26とは非磁性スペーサ層24を介して反強磁性交換結合をする。よって、図2(c)中の矢印で示す磁化状態のように、第2の領域30においては、第1磁性層22の磁化と第2磁性層26の磁化とは反平行になる。一方、第1の領域28においては、第1磁性層22の磁化と第2磁性層26の磁化とは反平行にならない。
【0035】
次に、イオン注入を行う前(図2(a)の状態)のパターンドメディア10の記録層20のヒステリシス曲線と、イオン注入を行った後(図2(c)の状態)のパターンドメディア10の記録層20のうち、第1の領域28のヒステリシス曲線と、をAGM(Alternative Gradient Magnetometer:交番磁界勾配型磁力計)によって評価した結果を示す。図3は、イオン注入前(図2(a)の状態)におけるヒステリシス曲線であり、図4は、イオン注入後(図2(c)の状態)におけるヒステリシス曲線である。なお、図3中、A1、A2、A3およびA4状態において示した第1磁性層22および第2磁性層26における矢印の方向は、印加磁界が正の場合に上向き、印加磁界が負の場合に下向きで表すこととする。
【0036】
図3において、ヒステリシス曲線は、印加磁界を0(零)kOe→−10kOe→0(零)kOe→+10kOe→0(零)kOe→−10kOeの順に掃引した。なお、図4においても同様の測定条件で行った。まず、第1磁性層22と第2磁性層26との反強磁性交換結合に打ち勝つのに十分な大きさである−10kOeの垂直磁界を印加した。その結果、ヒステリシス曲線は、第1磁性層22と第2磁性層26とが印加磁界方向に平行に揃えられた磁気モーメントを有することを示した(図3中のA1状態)。続いて、印加磁界を0(零)kOeを通過して+10kOeに掃引する過程で、反強磁性交換結合磁界に近い磁界強度において、ヒステリシス曲線は、第1磁性層22と第2磁性層26とが反平行に揃うように、第2磁性層26が磁化方向を切り替える挙動を示した(図3中のA2状態)。さらに、印加磁界を増加させて、+10kOeの垂直磁界を印加した結果、ヒステリシス曲線は、第1磁性層22と第2磁性層26とが、印加磁界方向に平行に揃えられた磁化を示した(図3中のA3状態)。その後、印加磁界を0(零)kOeを通過して−10kOeに掃引する過程で、反強磁性交換結合磁界に近い磁界強度において、ヒステリシス曲線は、第1磁性層22と第2磁性層26とが反平行に揃うように、第2磁性層26が磁化方向を切り替える挙動を示した(図3中のA4状態)。引き続き、印加磁界を負の方向に掃引し、−10kOeの垂直磁界を印加した結果、第1磁性層22と第2磁性層26とは印加磁界方向に平行に揃えられた磁化を示した(図3中のA1状態)。
【0037】
図3に示すヒステリシス曲線の挙動から、イオン注入を行う前(図2(a)の状態)のパターンドメディア10の記録層20は、第1磁性層22と第2磁性層26とが非磁性スペーサ層24を介して反強磁性交換結合をしていることが確認された。
【0038】
次に、図4において、イオン注入を行った後(図2(c)の状態)のパターンドメディア10の記録層20のうち、第1の領域28のヒステリシス曲線は、第1磁性層22と第2磁性層26とが反強磁性交換結合であるような挙動は示さず、第2象限および第4象限において、硬磁性膜に比較して軟磁性膜の方が早く磁化反転が起こる挙動を示すECC構造に特徴的なヒステリシス曲線が得られた。したがって、イオン注入により窒素イオンの衝撃を受けた第1の領域28は、第2磁性層26が硬磁性から軟磁性に変化し、硬磁性を示す第1磁性層22と軟磁性を示す第2磁性層26とが積層された、ECC構造が形成されたことが確認された。
【0039】
実施例1のパターンドメディア10によれば、図1のように、基板12上に記録層20として、第1磁性層22と非磁性スペーサ層24と第2磁性層26とがこの順で形成されている。また、記録層20は記録領域としての第1の領域28と、非記録領域としての第2の領域30とを有していて、第1の領域28の周りを第2の領域30が取り囲んでいる。第1の領域28において、第1磁性層22は硬磁性であり、第2磁性層26は軟磁性であり、第1磁性層22と第2磁性層26とは強磁性交換結合をしている。つまり、第1の領域28は、硬磁性膜と軟磁性膜とが積層した、ECC構造をしている。一方、第2の領域30において、第1磁性層22と第2磁性層26とは共に硬磁性であり、第1磁性層22と第2磁性層26とは非磁性スペーサ層24を介して反強磁性交換結合をしている。つまり、第2の領域30は、外部に漏洩磁界を発生させない。
【0040】
このように、実施例1のパターンドメディア10は、記録領域としての第1の領域28が、漏洩磁界を発生させない第2の領域30で囲まれていることで、隣接する第1の領域28が磁気的、物理的に分離している。
【0041】
ここで、軟磁性は外部磁界に追従しやすいという性質を有する。このため、それほど大きくない外部磁界が印加された場合でも、磁化反転が生じる。一方、硬磁性は特定の磁化方向を向き易いという性質を有する。このため、磁化反転をさせるには大きな磁界を印加させなければならない。ところが、第1の領域28のように、硬磁性である第1磁性層22と軟磁性である第2磁性層26とを積層させて、強磁性交換結合とすることで、印加磁界をあまり大きくしなくとも、硬磁性である第1磁性層22の磁化反転を容易に行うことができる。
【0042】
この第1の領域28における磁化反転を具体的に説明する。外部磁界が第1の領域28に印加される。これにより、軟磁性である第2磁性層26は、印加された外部磁界に追従して、磁化反転を開始する。第1磁性層22と第2磁性層26とは、強磁性交換結合をしている。このため、第2磁性層26の磁化反転の力が、強磁性交換結合を利用して第1磁性層22に伝達される。これにより、硬磁性である第1磁性層22は磁化反転し易くなる。このように、硬磁性である第1磁性層22と軟磁性である第2磁性層26とを積層させて、強磁性交換結合とすることで、硬磁性である第1磁性層22の磁化反転を容易に行うことができる。
【0043】
したがって、この第1の領域28を記録領域として用いることで、従来のHDDの記録ヘッドでは書き込みが難しかったような、Ku(磁気異方性定数)の大きな磁性材料を第1磁性層22に用いた場合でも、書き込み易さを向上させることができる。また、発明が解決しようとする課題で述べたように、Ku(磁気異方性定数)の大きな磁性材料を用いることで、熱揺らぎの影響を抑制することができる。つまり、実施例1のパターンドメディア10によれば、熱揺らぎ耐性の向上と書き込み易さの向上とを両方達成することができる。よって、磁気記録媒体の更なる高記録密度化を実現することが可能となる。
【0044】
実施例1のパターンドメディア10の製造方法は、図2(a)のように、基板12上に、硬磁性の第1磁性層22と非磁性スペーサ層24と硬磁性の第2磁性層26とを順次形成して、第1磁性層22と第2磁性層26とが非磁性スペーサ層24を介して反強磁性交換結合になるようにする。そして、図2(b)のように、マスク32を介して、第2磁性層26に窒素イオンをイオン注入して、第2磁性層26を硬磁性から軟磁性に変化させる。
【0045】
これにより、図2(c)のように、イオン注入により窒素イオンが導入された領域(第1の領域28)は、第2磁性層26が軟磁性になり、第1磁性層22と第2磁性層26とは強磁性交換結合になる。一方、窒素イオンが導入されない領域(第2の領域30)は、第1磁性層22と第2磁性層26とは硬磁性のままである。このため、第1磁性層22と第2磁性層26とは非磁性スペーサ層24を介して反強磁性交換結合をしたままである。
【0046】
第2磁性層26を硬磁性から軟磁性に変化させる第1の領域28は、マスク32のパターンで決定することができる。よって、図2(b)のように、パターンドメディアの記録領域に対応した空洞部(パターン)を有するマスク32を用いることで、記録領域としての第1の領域28と、第1の領域28の周りを取り囲む、漏洩磁界を生じさせない第2の領域30と、からなるパターンドメディアを形成することができる。
【0047】
このように、実施例1のパターンドメディア10の製造方法によれば、フォトリソ技術やエッチング技術を用いず、イオン注入法により、硬磁性膜と軟磁性膜とが積層したECC構造の第1の領域28(記録領域)を有するパターンドメディアを形成することができる。
【0048】
したがって、実施例1のパターンドメディア10の製造方法によれば、レジスト膜を除去する工程や記録層をエッチングする工程等を行わずに済み、記録層に与えるダメージを抑制することができる。これにより、良好な歩留まりで、パターンドメディアを形成することが可能となる。また、フォトリソ技術やエッチング技術を用いたパターンドメディアの製造では、レジスト膜のパターン化、記録層のエッチング、エッチングした領域への非磁性層の埋め込み、および記録層表面の平坦化を行わなければならない。しかしながら、実施例1のパターンドメディア10の製造方法によれば、これらの工程を行わなくて済むため、低コスト化や短TAT化を図ることができる。
【0049】
図2(b)のように、第2磁性層26への窒素イオンのイオン注入は、ドーズ量1×1016atoms/cmで、注入エネルギー4keVから50keVと振って行っている。このような条件でイオン注入を行うことにより、第2磁性層26を硬磁性から軟磁性に変化させることができる。
【0050】
また、第2磁性層26に導入する不純物は窒素に限らず、例えばヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、およびキセノンの場合でもよい。これらの場合でも、第2磁性層26を硬磁性から軟磁性に変化させることができる。また、不純物にこれらヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、およびキセノンを用いた場合や、第2磁性層26の厚さや材料が実施例1と異なる場合でも、イオン注入の注入エネルギーを4keV以上、50keV以下とし、ドーズ量を1×1014atoms/cm以上、1×1017atoms/cm以下とすることで、第2磁性層26を硬磁性から軟磁性に変換させることができる。
【0051】
実施例1において、図2(a)のように、第1磁性層22と第2磁性層26とは同じ材料からなる場合を例に示しているがこれに限られない。図2(a)の状態において、第1磁性層22と第2磁性層26とが非磁性スペーサ層24を介して反強磁性交換結合をすれば、第1磁性層22と第2磁性層26とは異なる材料からなる場合でもよい。しかしながら、製造の容易性という観点から、第1磁性層22と第2磁性層26とは同じ材料である場合が好ましい。
【0052】
また、図2(b)のように、第2磁性層26に窒素イオンをイオン注入することで、第2磁性層26を硬磁性から軟磁性に変化させる場合を例に示しているがこれに限られない。イオン注入以外の方法により、第2磁性層26を硬磁性から軟磁性に変化させる場合でもよい。また、第2磁性層26は硬磁性のままにして、第1磁性層22を硬磁性から軟磁性に変化させる場合でもよい。この場合でも、第1の領域28は、硬磁性膜と軟磁性膜とが積層したECC構造となるため、熱揺らぎ耐性の向上と書き込み易さの向上とを達成できる。
【0053】
実施例1では、磁気記録媒体としてパターンドメディアの場合を例に挙げて説明したが、ディスクリートトラックメディアの場合でも同様に適用することができる。
【実施例2】
【0054】
実施例2は、実施例1に係るパターンドメディア10を用いた磁気記録再生装置についてである。図5は実施例2に係る磁気記録再生装置としてHDD50についての内部構成を示している。図5において、HDD50は、箱型の筐体52と、筐体52内部の空間(収容空間)に収容された2枚の実施例1に係るパターンドメディア10A、10B(図5では、パターンドメディア10Bはパターンドメディア10Aの裏面側に隠れた状態となっている)と、スピンドルモータ54と、ヘッドスライダ56、ヘッド・スタック・アッセンブリ58等と、を備える。なお、筐体52は、実際には、ベースと上蓋(トップ・カバー)とにより構成されているが、図5では、図示の便宜上、ベースのみを図示している。
【0055】
パターンドメディア10A、10Bは、表面と裏面とのそれぞれが記録面となっており、パターンドメディア10A、10Bは、スピンドルモータ54によって、その回転軸回りに一体となって、例えば10000rpmから15000rpmなどの高速度で回転駆動される。
【0056】
ヘッドスライダ56は、例えば、薄膜コイルパターンで生成される磁界を利用してパターンドメディア10A(又は10B)にデータを書き込む記録素子と、スピンバルブ膜やトンネル接合膜の抵抗変化を利用してパターンドメディア10A(又は10B)からデータを読み出す巨大磁気抵抗効果素子(GMR)やトンネル接合磁気抵抗効果素子(TMR)等の再生素子とから構成される記録再生ヘッドと、を有している。このヘッドスライダ56は、図5では1つしか図示していないが、実際には、パターンドメディア10Aの表面用および裏面用、パターンドメディア10Bの表面用および裏面用の合計4つのヘッドスライダ56が設けられている。
【0057】
ヘッド・スタック・アッセンブリ58は、支軸60に対して回転自在に連結され、ボイスコイルモータ62により支軸60を中心とした揺動(図5において一点鎖線で示した軌道に沿った揺動)が実現される。このヘッド・スタック・アッセンブリ58は、4つのヘッドスライダ56それぞれに対応する、4本のヘッド・アーム64と、その一端部が各ヘッド・アーム64の先端部に取り付けられた4本の弾性サスペンション66とを有している。
【0058】
実施例2のHDDによれば、実施例1に係るパターンドメディア10A、10Bを記録ディスクとして用いている。このため、熱揺らぎ耐性と書き込み易さとが向上したHDDを得ることができる。よって、HDDの大容量化を実現することが可能となる。
【0059】
実施例2において、磁気記録再生装置としてHDDの場合を例に挙げて説明したが、その他の磁気記録再生装置の場合でもよい。この場合でも、実施例1に係る磁気記録媒体を記録ディスクに用いることで、熱揺らぎ耐性と書き込み易さとが向上した磁気記録再生装置を得ることができる。
【0060】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は実施例1に係る磁気記録媒体の断面模式図である。
【図2】図2(a)から図2(c)は実施例1に係る磁気記録媒体の製造方法を示す断面模式図である。
【図3】図3はイオン注入前(図2(a)の状態)における、実施例1に係る磁気記録媒体の記録層のヒステリシス曲線である。
【図4】図4はイオン注入後(図2(c)の状態)における、実施例1に係る磁気記録媒体の記録層の第1の領域のヒステリシス曲線である。
【図5】図5は実施例2に係る磁気記録再生装置の内部構成を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10 パターンドメディア
12 基板
14 軟磁性裏打ち層
16 シード層
18 中間層
20 記録層
22 第1磁性層
24 非磁性スペーサ層
26 第2磁性層
28 第1の領域
30 第2の領域
32 マスク
50 HDD
52 筐体
54 スピンドルモータ
56 ヘッドスライダ
58 ヘッド・スタック・アッセンブリ
60 支軸
62 ボイスコイルモータ
64 ヘッド・アーム
66 弾性サスペンション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に第1磁性層と非磁性層と第2磁性層とが順次設けられ、前記第1磁性層および前記第2磁性層のいずれか一方は軟磁性であり、他方は硬磁性であり、前記第1磁性層と前記第2磁性層とは強磁性交換結合をする第1の領域と、
前記基板上に前記第1磁性層と前記非磁性層と前記第2磁性層とが順次設けられ、前記第1磁性層と前記第2磁性層とは共に硬磁性であり、前記第1磁性層と前記第2磁性層とは前記非磁性層を介して反強磁性交換結合をする第2の領域と、を具備することを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
前記第1の領域において、前記第1磁性層および前記第2磁性層のいずれか一方は、不純物が導入されていることで、軟磁性となっていることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
【請求項3】
前記不純物は、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンのいずれかであることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項4】
前記第1の領域の周りを前記第2の領域が取り囲んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の磁気記録媒体。
【請求項5】
前記第1の領域において、前記第1磁性層は硬磁性であり、前記第2磁性層は軟磁性であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の磁気記録媒体。
【請求項6】
請求項1から5に記載の磁気記録媒体を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項7】
基板上に硬磁性である第1磁性層を形成する工程と、
前記第1磁性層上に非磁性層を形成する工程と、
前記非磁性層上に、硬磁性であり、前記第1磁性層と反強磁性交換結合をする第2磁性層を形成する工程と、
前記第1磁性層および前記第2磁性層のいずれか一方を軟磁性に変化させ、前記第1磁性層と前記第2磁性層とが強磁性交換結合をする第1の領域を形成し、前記第1磁性層と前記第2磁性層とを硬磁性のまま残存させ、前記第1磁性層と前記第2磁性層とが前記非磁性層を介して反強磁性交換結合をする第2の領域を形成する工程と、を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項8】
前記第1の領域の形成は、前記第1磁性層および前記第2磁性層のいずれか一方に不純物をイオン注入することにより、前記第1磁性層および前記第2磁性層のいずれか一方を軟磁性に変化させて、前記第1の領域を形成することを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項9】
前記第1の領域の形成は、前記第2磁性層に4keV以上、50keV以下のエネルギーでイオン注入を行い、前記第2磁性層を軟磁性に変化させて、前記第1の領域を形成することを特徴とする請求項8記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項10】
前記第1の領域の形成は、前記第2磁性層に1×1014atoms/cm以上、1×1017atoms/cm以下のドーズ量でイオン注入を行い、前記第2磁性層を軟磁性に変化させて、前記第1の領域を形成することを特徴とする請求項8または9記載の磁気記録媒体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−223997(P2009−223997A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69875(P2008−69875)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】