説明

磁気記録媒体、磁気記録再生装置、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体の検査方法

【課題】基板の両面に凹凸パターンの記録層が形成され、一方側の面と他方側の面とを容易に識別できる磁気記録媒体及びこれを備える磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】磁気記録媒体12は、円板形状の垂直記録型のディスクリートトラックメディアであり、基板22と、基板22の一方の第1面12Aの側に第1凹凸パターンで形成された第1記録層24と、基板22の第1面12Aと反対側の第2面12Bの側に第2凹凸パターンで形成された第2記録層26と、を含み、第1面12Aと第2面12Bとを識別可能な識別要素28を備え、識別要素28の少なくとも一部が記録領域Arの径方向の内側及び外側の少なくとも一方に隣接する非記録領域Anrに設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の両面に凹凸パターンの記録層が形成された磁気記録媒体、これを備える磁気記録再生装置、磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスク等の、基板の両面に記録層を備えている磁気記録媒体が広く用いられている。このような磁気記録媒体は、データ領域とサーボ領域とに区別されて用いられ、サーボ領域には磁気ヘッドの位置決め等のためのサーボ情報が記録される。サーボ領域は、周方向に適宜な間隔で放射状に設定される。磁気ヘッドは、磁気記録媒体の表面に近接して磁気記録媒体の径方向に沿って円弧軌道で可動であるように設置されており、個々のサーボ領域は、磁気ヘッドの円弧軌道に相当する円弧軌道で設定される。基板の両面に記録層を備えている磁気記録媒体の場合、一方の面の記録層のための磁気ヘッドと他方の面の記録層のための磁気ヘッドとが同軸的な中心軸周りに可動であるように設置されるため、一方の面の記録層のサーボ領域の形状と他方の面の記録層のサーボ領域の形状は鏡面対称の関係であり同じ形状ではない。
【0003】
サーボ情報は、1ビットの情報に相当する各磁区に0又は1の情報を所定のサーボパターンで記録したものである。従来の面内記録媒体では各磁区を周方向の一方の向き又は逆の向きに磁化することで0又は1の情報が記録される。又、近年普及しつつある垂直記録媒体では各磁区を表面に垂直な方向の一方の向き又は逆の向きに磁化することで0又は1の情報が記録される。
【0004】
このようなサーボ情報の記録工程は、各磁気記録媒体毎に0の情報及び1の情報に応じて磁区を順次磁化させていくものであり、生産性が低いという問題があった。特に近年、面記録密度の向上及びこれに伴うヘッドの浮上高さの低下のため、サーボ情報についても高密度で、高精度な記録が要求されるようになっており、サーボ情報の記録の効率改善に対するニーズが高まっている。
【0005】
これに対し、サーボ領域において記録層を0の情報を記録するための領域及び1の情報を記録するための領域のいずれか一方だけに形成し、記録層をサーボパターンの形状で形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようにすれば、磁気記録媒体に一様に直流磁場を印加することにより、記録層がサーボパターンどおりに磁化されるので、サーボ情報の記録効率を大幅に向上させることができる。
【0006】
又、磁気記録媒体は、記録層を構成する磁性粒子の微細化、材料の変更、ヘッド加工の微細化等の改良により著しい面記録密度の向上が図られており、今後も一層の面記録密度の向上が期待されているが、磁気ヘッドの加工限界、磁気ヘッドの記録磁界の広がりに起因する記録対象のトラックに隣り合う他のトラックへの誤った情報の記録、再生時のクロストークなどの問題が顕在化し、これら従来の改良手法による面記録密度の向上は限界にきている。
【0007】
そこで、一層の面記録密度の向上を実現可能である磁気記録媒体の候補として、記録層がデータ領域においてトラックのパターンに相当する凹凸パターンで形成されたディスクリートトラックメディアや、記録層がトラックを周方向に分割した形状に相当する凹凸パターンで形成されたパターンドメディアが提案されている。
【0008】
ディスクリートトラックメディアや、パターンドメディアを製造する場合、データ領域において記録層をトラック等の形状に相当する凹凸パターンに加工する工程において記録層をサーボ領域にサーボパターンに相当する凹凸パターンに加工することも可能であり、生産性という点で好都合である。
【0009】
半導体の製造工程で用いられるリソグラフィやドライエッチングの手法を利用することで、記録層をトラックやサーボパターンに相当する凹凸パターンに加工することができる。
【0010】
【特許文献1】特開2006―31855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、磁気記録媒体の一方の面と他方の面とは同様の形態に見えるため、製造工程において不便なことがあった。
【0012】
例えば、記録層がトラックのパターンやサーボパターンに相当する凹凸パターンで形成され連続膜ではない磁気記録媒体の製造には高い加工精度が要求されるため、磁気記録媒体を構成する各層の成膜精度やエッチング精度を磁気記録媒体の一方の面と他方の面とで個別に管理できることが好ましいが、磁気記録媒体の一方の面と他方の面とが同様の形態に見えるため、各層の成膜精度やエッチング精度を磁気記録媒体の一方側の面と他方側の面とで個別に管理することが困難であった。
【0013】
又、上記のように、一方側の記録層のサーボ領域の形状と他方側の記録層のサーボ領域の形状は鏡面対称の関係で同じではないため、磁気記録媒体を磁気記録再生装置に組み付ける際に磁気記録媒体の一方の面と他方の面とを確実に区別して組み付ける必要があるが、磁気記録媒体の一方の面と他方の面とが同様の形態に見えるため、この作業も容易ではなかった。
【0014】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであって、基板の両面に凹凸パターンの記録層が形成され、一方側の面と他方側の面とを容易に識別できる磁気記録媒体、これを備える磁気記録再生装置、これを製造する磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、基板と、該基板の一方の第1面の側に第1凹凸パターンで形成された第1記録層と、基板の第1面と反対側の第2面の側に第2凹凸パターンで形成された第2記録層と、を含み、第1面と第2面とを識別可能な識別要素を備え、該識別要素の少なくとも一部が記録領域の径方向の内側及び外側の少なくとも一方に隣接する非記録領域に設置された磁気記録媒体により上記目的を達成するものである。
【0016】
このように識別要素を備えることで第1面と第2面とを確実に区別することができる。又、識別要素の少なくとも一部が記録領域の径方向の内側及び外側の少なくとも一方に隣接する非記録領域に設置されるので識別要素の形態の選択の自由度が高い。従って、確認しやすい形態の識別要素を設置することができる。
【0017】
識別要素は全周に亘って設置されることが好ましい。このように識別要素が全周に亘って設置されることで、識別要素を迅速、且つ、確実に確認することができる。
【0018】
又、第1記録層の第1凹凸パターン及び第2記録層の第2凹凸パターンの径方向の最も内側の凸部は円に沿う形状であり、且つ、内周端の形態が相互に異なり、該凸部の内周端の形態が識別要素を構成していることが好ましい。
【0019】
このように、第1記録層及び第2記録層の径方向の最も内側の凸部の内周端の形態が相互に異なり該凸部の内周端の形態が識別要素を構成していれば、例えば、中心孔を基準に磁気記録媒体を保持する検査器を用いることで、凸部の内周端の形態が構成する識別要素を自動的、且つ、確実に検出することができる。
【0020】
即ち、次のような本発明により、上記目的を達成することができる。
【0021】
(1)基板と、該基板の一方の第1面の側に第1凹凸パターンで形成された第1記録層と、前記基板の前記第1面と反対側の第2面の側に第2凹凸パターンで形成された第2記録層と、を含み、前記第1面と前記第2面とを識別可能な識別要素を備え、該識別要素の少なくとも一部が記録領域の径方向の内側及び外側の少なくとも一方に隣接する非記録領域に設置されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【0022】
(2) (1)において、前記識別要素が全周に亘って設置されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【0023】
(3) (2)において、前記第1記録層及び前記第2記録層の径方向の最も内側の凸部は円に沿う形状であり、且つ、該凸部の内周端の形態が相互に異なり、該凸部の内周端の形態が前記識別要素を構成していることを特徴とする磁気記録媒体。
【0024】
(4) (3)において、前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も内側の凸部は内周端の半径が相互に異なることを特徴とする磁気記録媒体。
【0025】
(5) (3)において、前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も内側の凸部は内周端の形状が相互に異なることを特徴とする磁気記録媒体。
【0026】
(6) (5)において、前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も内側の凸部の一方の内周端は半径が実質的に一定の形状であり、他方の内周端は半径が周方向の位置により波状に増減する形状であることを特徴とする磁気記録媒体。
【0027】
(7) (2)において、前記第1記録層及び前記第2記録層の径方向の最も外側の凸部は円に沿う形状であり、且つ、該凸部の外周端の形態が相互に異なり、該凸部の外周端の形態が前記識別要素を構成していることを特徴とする磁気記録媒体。
【0028】
(8) (7)において、前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も外側の凸部は外周端の半径が相互に異なることを特徴とする磁気記録媒体。
【0029】
(9) (7)において、前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も外側の凸部は外周端の形状が相互に異なることを特徴とする磁気記録媒体。
【0030】
(10) (9)において、前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も外側の凸部の一方の外周端は半径が実質的に一定の形状であり、他方の外周端は半径が周方向の位置により波状に増減する形状であることを特徴とする磁気記録媒体。
【0031】
(11) (3)乃至(10)のいずれかにおいて、前記第1凹凸パターンの凹部を充填する第1充填材と、前記第2凹凸パターンの凹部を充填する第2充填材と、前記第1記録層及び前記第1充填材を被覆する第1保護層と、前記第2記録層及び前記第2充填材を被覆する第2保護層と、を更に備え、前記第1充填材は前記第1記録層の前記径方向の最も内側の凸部の内側及び前記径方向の最も外側の凸部の外側の少なくとも一方にも形成され、前記第2充填材は前記第2記録層の前記径方向の最も内側の凸部の内側及び前記径方向の最も外側の凸部の外側の少なくとも一方にも形成されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【0032】
(12) (1)乃至(11)のいずれかに記載の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体の第1面に対してデータの記録/再生を行うための第1磁気ヘッドと、前記磁気記録媒体の第2面に対してデータの記録/再生を行うための第2磁気ヘッドと、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0033】
(13)基板と該基板の一方側の第1面の側に形成された第1連続記録層と前記基板の前記第1面と反対側の第2面の側に形成された第2連続記録層とを含む被加工体の前記第1連続記録層の上にスピンコート法により第1樹脂層を径方向の中心部を除いて塗布すると共に前記第2連続記録層の上にスピンコート法により第2樹脂層を径方向の中心部を除いて、且つ、内周端の形態が前記第1樹脂層の内周端の形態と異なるように塗布する樹脂層塗布工程と、前記第1樹脂層を第1凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工すると共に前記第2樹脂層を第2凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工する樹脂層加工工程と、前記第1樹脂層に基づいて前記第1連続記録層をエッチングして前記第1凹凸パターンの第1記録層を形成すると共に前記第2樹脂層に基づいて前記第2連続記録層をエッチングして、内周端の形態が前記第1記録層の内周端の形態と異なる、前記第2凹凸パターンの第2記録層を形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0034】
(14) (13)において、前記樹脂層塗布工程において前記第1連続記録層の上に前記第1樹脂層を塗布するための第1ノズルの径方向の位置と前記第2連続記録層の上に前記第2樹脂層を塗布するための第2ノズルの径方向の位置とが異なるようにこれら第1ノズル及び第2ノズルを設置して前記第1樹脂層の内周端の半径と前記第2樹脂層の内周端の半径とが異なるようにこれら第1樹脂層及び第2樹脂層を塗布することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0035】
(15) (13)において、前記樹脂層塗布工程において前記第1連続記録層の上に前記第1樹脂層を塗布するための第1ノズル及び前記第2連続記録層の上に前記第2樹脂層を塗布するための第2ノズルの一方からの樹脂の吐出量を略一定に保持し他方からの樹脂の吐出量を変動させて前記第1樹脂層の内周端及び前記第2樹脂層の内周端の一方の半径が実質的に一定で他方の半径が周方向の位置により波状に増減するようにこれら第1樹脂層及び第2樹脂層を塗布することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0036】
(16)基板と該基板の一方側の第1面の側に形成された第1連続記録層と該基板の前記第1面と反対側の第2面の側に形成された第2連続記録層と前記第1連続記録層の上に塗布された第1樹脂層と前記第2連続記録層の上に塗布された第2樹脂層とを含む被加工体の前記第1樹脂層を第1凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工すると共に前記第2樹脂層を第2凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工し、且つ、これら第1樹脂層及び第2樹脂層における記録領域よりも径方向の内側及び外側の少なくとも一部を相互に異なる形態に加工する樹脂層加工工程と、前記第1樹脂層に基づいて前記第1連続記録層をエッチングして前記第1凹凸パターンの第1記録層を形成すると共に前記第2樹脂層に基づいて前記第2連続記録層をエッチングして、前記記録領域の径方向の内側及び外側の少なくとも一方に隣接する非記録領域の少なくとも一部の形態が前記第1記録層と異なる、前記第2凹凸パターンの第2記録層を形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【0037】
(17)基板と、該基板の一方側の第1面の側に第1凹凸パターンで形成された第1記録層と、前記基板の前記第1面と反対側の第2面の側に第2凹凸パターンで形成された第2記録層と、を含み、前記第1面と前記第2面とを識別可能な識別要素を備え、該識別要素の少なくとも一部が記録領域の径方向の内側及び外側の少なくとも一方に隣接する非記録領域に設置された被検査体を準備する準備工程と、前記識別要素に基づいて前記被検査体の前記第1面と前記第2面とを識別する識別工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の検査方法。
【0038】
尚、本出願において、「第1凹凸パターンで形成された第1記録層」とは、連続記録層が所定のパターンで多数の記録要素に分割された記録層の他、例えばトラックの形状の記録要素同士が端部で連続する記録層や記録要素が螺旋状の渦巻き形状である記録層のように基板上に部分的に形成される記録層、凹部が厚さ方向の途中まで形成され基板側の面が連続した記録層、凹凸パターンの基板や下層の表面に倣って形成された連続した記録層、凹凸パターンの基板や下層の凸部の上面及び凹部の底面に分割されて形成された記録層も含む意義で用いることとする。「第2凹凸パターンで形成された第2記録層」についても同様である。
【0039】
又、本出願において「識別要素の少なくとも一部が記録領域の径方向の内側及び外側の少なくとも一方に隣接する非記録領域に設置された」とは、識別要素の一部又は全部が非記録領域に設置されている場合の他、識別要素の一部又は全部が非記録領域と記録領域との境界に設置されている場合も含む意義で用いることとする。
【0040】
又、本出願において「円に沿う形状」とは、半径が一定の連続した円形状、半径が周方向の位置により波状に増減する連続した環形状、半径が一定の断続的な円形状、半径が周方向の位置により波状に増減する断続的な環形状を含む意義で用いることとする。
【0041】
又、本出願において「磁気記録媒体」という用語は、情報の記録、読み取りに磁気のみを用いるハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等に限定されず、磁気と光を併用するMO(Magneto Optical)等の光磁気記録媒体、磁気と熱を併用する熱アシスト型の記録媒体も含む意義で用いることとする。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、基板の両面に凹凸パターンの記録層が形成され、一方側の面と他方側の面とを容易に識別できる磁気記録媒体を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0044】
図1及び図2に示されるように、本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置10は、磁気記録媒体12と、磁気記録媒体12に対してデータの記録/再生を行うために磁気記録媒体12の第1面12Aの側に設置された第1磁気ヘッド14と、磁気記録媒体12の第2面12Bの側に設置された第2磁気ヘッド15と、を備え、磁気記録媒体12の構成に特徴を有している。他の構成については本第1実施形態の理解のために特に必要とは思われないため、説明を適宜省略することとする。
【0045】
尚、磁気記録媒体12は中心孔12Cを有し、中心孔12Cにおいてチャック16に固定され、該チャック16と共に回転自在とされている。又、第1磁気ヘッド14は第1アーム18の先端近傍に装着され、第2磁気ヘッド15は第2アーム19の先端近傍に装着されている。これら第1アーム18及び第2アーム19は同軸的な中心軸周りに可動であるようにベース20に取付けられている。これにより、第1磁気ヘッド14及び第2磁気ヘッド15は磁気記録媒体12の表面に近接して浮上しつつ磁気記録媒体12の径方向に沿う同軸的な円弧軌道で可動とされている。
【0046】
磁気記録媒体12は、円板形状の垂直記録型のディスクリートトラックメディアであり、図3に示されるように、基板22と、基板22の一方の第1面12Aの側に第1凹凸パターンで形成された第1記録層24と、基板22の第1面12Aと反対側の第2面12Bの側に第2凹凸パターンで形成された第2記録層26と、を含み、第1面12Aと第2面12Bとを識別可能な識別要素28を備え、識別要素28が記録領域Arの径方向の内側に隣接する非記録領域Anrに設置されている。又、識別要素28は全周に亘って設置されている。尚、記録領域Arの径方向の外側にも非記録領域Anrが設けられている。
【0047】
基板22は、両面が鏡面研磨されている。基板22の材料としては、ガラス、NiPで被覆したAl合金、Si、Al等の非磁性材料を用いることができる。
【0048】
第1記録層24及び第2記録層26は、厚さが5〜30nmである。第1記録層24及び第2記録層26の材料としては、CoCrPt合金等のCoCr系合金、FePt系合金、これらの積層体、SiO等の酸化物材料の中にCoPt等の強磁性粒子をマトリックス状に含ませた材料等を用いることができる。
【0049】
第1記録層24及び第2記録層26は、記録領域Arの中のデータ領域Adにおいて同心円状のトラックの形状で径方向に微細な間隔で形成されており、図3はこれを図示したものである。又、第1記録層24及び第2記録層26は、記録領域Arの中のサーボ領域Asにおいて所定のサーボパターンで形成されている(図示省略)。図4(A)及び(B)に示されるように、第1面12Aのサーボ領域Asの形状と第2面12Bのサーボ領域Asの形状は、第1磁気ヘッド14及び第2磁気ヘッド15の円弧軌道に対応する円弧形状であり、鏡面対称的な関係になっている。
【0050】
第1記録層24の凸部30のうち径方向の最も内側の凸部30Aは中心孔12Cと同心の円に沿う形状であり、第2記録層26の第2凹凸パターンの凸部32のうち径方向の最も内側の凸部32Aも中心孔12Cと同心の円に沿う形状であり、これら第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端の形態は相互に異なり、該凸部30A、32Aの内周端の形態が識別要素28を構成している。
【0051】
より詳細には、本第1実施形態では、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端の半径が相互に異なっている。凸部30A、32Aの内周端の半径の差は100μm〜数mm程度であることが好ましい。
【0052】
第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端は、記録領域Arの径方向の内側に隣接する非記録領域Anrに配置されている。図4(A)及び(B)は、記録領域Arに対する第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端の位置及びサーボ領域As、データ領域Adを模式的に示したものである。
【0053】
磁気記録媒体12は、第1記録層24の第1凹凸パターンの凹部34を充填する第1充填材36と、第2記録層26の第2凹凸パターンの凹部38を充填する第2充填材40と、第1記録層24及び第1充填材36を被覆する第1保護層42と、第2記録層26及び第2充填材40を被覆する第2保護層44と、を更に備えている。
【0054】
第1充填材36は第1記録層24の径方向の最も内側の凸部30Aの内側にも形成され、第2充填材40は第2記録層26の径方向の最も内側の凸部32Aの内側にも形成されている。
【0055】
第1充填材36及び第2充填材40の材料としては、SiOを主成分とする酸化ケイ素、Al、TiO、フェライト等の酸化物、AlN等の窒化物、SiC等の炭化物、C(炭素)、CuやCrのような非磁性の金属、樹脂材料等を用いることができる。
【0056】
第1保護層42及び第2保護層44は、厚さが1〜5nmである。第1保護層42及び第2保護層44の材料としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボンと呼称される硬質炭素膜等を用いることができる。尚、第1保護層42及び第2保護層44の上には図示しない潤滑層が塗布されている。潤滑層の厚さは1〜2nmである。潤滑層の材料としては、PFPE(パーフロロポリエーテル)等を用いることができる。
【0057】
又、基板22及び第1記録層24の間には、第1軟磁性層46、第1記録層24に厚さ方向(表面に垂直な方向)の磁気異方性を付与するための第1配向層48が形成されている。基板22及び第2記録層26の間にも、第2軟磁性層50、第2記録層26に厚さ方向の磁気異方性を付与するための第2配向層52が形成されている。
【0058】
第1軟磁性層46及び第2軟磁性層50は、厚さが50〜300nmである。第1軟磁性層46及び第2軟磁性層50の材料としては、Fe合金、Coアモルファス合金、フェライト等を用いることができる。尚、第1軟磁性層46及び第2軟磁性層50は、軟磁性を有する層と、非磁性層と、の積層構造であってもよい。
【0059】
第1配向層48及び第2配向層52は、厚さが2〜40nmである。第1配向層48及び第2配向層52の材料としては、非磁性のCoCr合金、Ti、Ru、RuとTaの積層体、MgO等を用いることができる。
【0060】
次に、磁気記録媒体12の作用について説明する。
【0061】
磁気記録媒体12は、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端が構成する識別要素28を備えているので、第1面12Aと第2面12Bとを容易に識別することができる。
【0062】
より詳細には、識別要素28を構成する第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端よりも径方向の外側の領域には第1記録層24及び第2記録層26の凸部30、32と第1充填材36、第2充填材40と、が数十nmのピッチで混在して設置されており、凸部30A、32Aの内周端よりも内側の領域には第1充填材36、第2充填材40だけが設置されているので、凸部30A、32Aの内周端よりも内側の領域と外側の領域とは色や反射率等が異なる。従って、図4(A)及び(B)に示されるように、これらの領域の境界である凸部30A、32Aの内周端を光学的に確認することができ、これらの半径の差異も確認することができる。
【0063】
又、識別要素28が全周に亘って設置されているので、識別要素28を迅速、且つ、確実に確認することができる。
【0064】
例えば磁気記録媒体12の各層の成膜精度やエッチング精度等に問題が生じた場合でも、図5のフローチャートに示されるように、識別要素28を備える磁気記録媒体(被検査体)12を用意し(S102)、識別要素28に基づいて第1面12Aと第2面12Bとを識別する(S104)ことで、各層の成膜精度やエッチング精度を磁気記録媒体12の第1面12Aと第2面12Bとで個別に確認することができる。
【0065】
又、磁気記録媒体12の第1面12Aのサーボ領域Asの形状と第2面12Bのサーボ領域Asの形状は鏡面対称の関係で同じではないため、磁気記録媒体12を磁気記録再生装置10に組み付ける際に磁気記録媒体12の第1面12Aと第2面12Bとを確実に区別して組み付ける必要があるが、識別要素28に基づいて第1面12Aと第2面12Bとを識別できるので、この作業も容易である。
【0066】
尚、識別要素28は作業者が目視で確認してもよく、検査器で自動的に確認してもよい。第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端が識別要素28を構成しているので、例えば、図6に示されるような、中心孔12Cを基準に磁気記録媒体12を保持する検査器54を用いることで、識別要素28(凸部30A、32Aの内周端の形態)を自動的、且つ、確実に検出することができる。尚、検査器54は、中心孔12Cにおいて磁気記録媒体12を保持する保持器54Aと、凸部30A、32Aの内周端の位置を検知するための検知器54Bと、を備えている。検知器54Bは、凸部30A、32Aの内周端の半径を、例えばその径方向の内側の領域と外側の領域との色や反射率の差異に基づいて識別する構成とすればよい。
【0067】
次に、図7に示されるフローチャートに沿って磁気記録媒体12の製造方法について説明する。
【0068】
まず、図8に示されるような、基板22、基板22の第1面12Aの側に形成された第1軟磁性層46、第1配向層48、第1連続記録層56、第1主マスク層62、第1副マスク層64、基板22の第2面12Bの側に形成された第2軟磁性層50、第2配向層52、第2連続記録層58、第2主マスク層66、第2副マスク層68、を含む被加工体70の出発体を用意する(S202)。被加工体70の出発体は、各層を基板22の上にメッキやスパッタリング等で成膜することにより作製する。尚、第1主マスク層62、第2主マスク層66の材料としてはC(炭素)等を用いることができる。又、第1副マスク層64、第2副マスク層68の材料としてはNi等を用いることができる。
【0069】
次に、図9(A)に示されるように(第1連続記録層の56の上の)第1副マスク層64の上にスピンコートにより第1樹脂層72を径方向の中心部を除いて環状に塗布すると共に図9(B)に示されるように(第2連続記録層58の上の)第2副マスク層68の上にもスピンコートにより第2樹脂層74を径方向の中心部を除いて環状に、且つ、内周端の形態が第1樹脂層72の内周端の形態と異なるように塗布する(S204)。第1樹脂層72、第2樹脂層74の材料としては、例えば紫外線等のエネルギー線が照射されることで硬化する性質を有するアクリル系やエポキシ系のエネルギー線硬化性樹脂を用いることができる。
【0070】
より詳細には、(第1連続記録層の56の上の)第1副マスク層64の上に第1樹脂層72を塗布するための第1ノズル76の径方向の位置と(第2連続記録層58の上の)第2副マスク層68の上に第2樹脂層74を塗布するための第2ノズル78の径方向の位置とが異なるように第1ノズル76及び第2ノズル78を設置して、被加工体70を回転させながら第1樹脂層72の内周端の半径と第2樹脂層74の内周端の半径とが異なるようにこれら第1樹脂層72及び第2樹脂層74を塗布する。
【0071】
次に、図10に示されるように、インプリント法により第1スタンパ80を押し付けることによって第1樹脂層72に第1凹凸パターンに相当する凹凸パターンを転写すると共に第2スタンパ82を押し付けることによって第2樹脂層74に第2凹凸パターンに相当する凹凸パターンを転写する(S206)。尚、第1スタンパ80及び第2スタンパ82は透光性である。これら第1スタンパ80及び第2スタンパ82を介して第1樹脂層72及び第2樹脂層74に紫外線等のエネルギー線を照射し、これら第1樹脂層72及び第2樹脂層74を硬化させてから第1スタンパ80及び第2スタンパ82を第1樹脂層72及び第2樹脂層74から剥離する。次に例えば酸素ガスを用いたRIE(反応性イオンエッチング)により凹部の底部に残存する樹脂層を除去する。
【0072】
次に、例えば、Arガスを用いたIBE(イオンビームエッチング)等のドライエッチングにより凹部の底部の第1副マスク層64、第2副マスク層68を除去し、更に、例えばSFガスを用いたRIEにより凹部の底部の第1主マスク層62、第2主マスク層66を除去し、更に、例えばArガスを用いたIBE等により、図11に示されるように、凹部の底部の第1連続記録層56を除去すると共に凹部の底部の第2連続記録層58を除去する(S208)。これにより、第1凹凸パターンの第1記録層24及び第2凹凸パターンの第2記録層26が形成される。又、第1記録層24及び第2記録層26は、径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端の半径が相互に異なる形状に加工される。尚、第1記録層24の上に残存する第1主マスク層62、第2記録層26の上に残存する第2主マスク層66は、SFガスを用いたRIE等により除去する。
【0073】
次に、図12に示されるように、バイアススパッタリング法等により第1記録層24の上に第1充填材36を成膜して第1記録層24の凹部34を第1充填材36で充填し、第2記録層26の上に第2充填材40を成膜して第2記録層26の凹部38を第2充填材40で充填する(S210)。第1充填材36は第1記録層24の径方向の最も内側の凸部30Aの内側にも形成され、第2充填材40は第2記録層26の径方向の最も内側の凸部32Aの内側にも形成される。尚、第1充填材36、第2充填材40の材料として樹脂材料を用いる場合は、スピンコート法により第1充填材36、第2充填材40を成膜してもよい。
【0074】
次に、図13に示されるように、被加工体70を回転させながらAr等の希ガスを用いたIBEにより第1記録層24及び第2記録層26の上の余剰の第1充填材36及び第2充填材40を除去し、平坦化する(S212)。尚、図13における矢印は、加工用ガスの照射方向を模式的に示したものである。
【0075】
次に、CVD法により第1記録層24及び第1充填材36の上に第1保護層42を成膜し、第2記録層26及び第2充填材40の上に第2保護層44を成膜する(S214)。この際、被加工体70を中心孔12Cにおいて治具等で保持することが好ましい。被加工体70における治具等で保持される部位には第1保護層42、第2保護層44が成膜されなかったり第1保護層42、第2保護層44の膜厚が他の部位よりも薄くなってしまうことがあるが、第1充填材36が第1記録層24の径方向の最も内側の凸部30Aの内側にも形成され、第2充填材40が第2記録層26の径方向の最も内側の凸部32Aの内側にも形成されているので、仮に第1保護層42、第2保護層44が成膜されなかったり第1保護層42、第2保護層44の膜厚が他の部位よりも薄くなってしまう部位が生じても、その部位は第1記録層24や第2記録層26ではなく第1充填材36や第2充填材40の一部である。従って、第1記録層24は第1保護層42で確実に保護され、第2記録層26も第2保護層44で確実に保護される。
【0076】
次に、ディッピング法により、第1保護層42及び第2保護層44の上に潤滑層を塗布する(S216)。これにより磁気記録媒体12が完成する。
【0077】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0078】
前記第1実施形態では、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端の半径が相互に異なっているのに対し、本第2実施形態では図14(A)及び(B)に示されるように、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端の形状が相互に異なっており、これら形状が異なる第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端が識別要素28を構成している。
【0079】
より詳細には、第1記録層24の径方向の最も内側の凸部30Aの内周端は半径が実質的に一定の形状であるのに対し、第2記録層26の径方向の最も内側の凸部32Aの内周端は半径が周方向の位置により波状に増減する形状である。他の構成については前記第1実施形態と同様であるので同様の構成については図1〜4等と同一符号を用いることとして説明を省略する。
【0080】
このように、形状が異なる第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端が識別要素28を構成している場合も、第1面12Aと第2面12Bとを容易に識別することができる。
【0081】
又、識別要素28が全周に亘って設置されているので、識別要素28を迅速、且つ、確実に確認することができる。
【0082】
次に、第2記録層26の径方向の最も内側の凸部32Aの内周端を半径が周方向の位置により波状に増減する形状に成形する手法について説明する。尚、この手法は前記第1実施形態に対し樹脂層塗布工程(S204)だけが異なっており、他の工程は前記第1実施形態と同様であるので他の工程の説明は適宜省略する。
【0083】
本第2実施形態では、樹脂層塗布工程(S204)において第1樹脂層72を塗布するための第1ノズル76からの樹脂の吐出量を略一定に保持する一方、図15に示されるように、第2樹脂層74を塗布するための第2ノズル78からの樹脂の吐出量を変動させて第2樹脂層74の内周の半径が周方向の位置により波状に増減するように第2樹脂層74を塗布する。尚、本出願において「樹脂の吐出量」とは、単位時間当たりにノズルから吐出される樹脂の量という意義で用いる。この第2樹脂層74に基づいて第2記録層26をエッチングすることで、第2記録層26の径方向の最も内側の凸部32Aの内周を半径が周方向の位置により波状に増減する環形状に成形することができる。
【0084】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0085】
前記第1実施形態では、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端の半径が相互に異なっており、これら半径が異なる第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端が識別要素28を構成しているのに対し、本第3実施形態では図16(A)に示されるように、前記第1実施形態における第1面12Aの第1記録層24の径方向の最も内側の凸部30Aよりも径方向の更に内側に、第1記録層24が凸部を備え、この凸部が識別要素28を構成している。尚、この識別要素28を構成する第1記録層24の凸部は周方向の一部に設置されている。
【0086】
一方、図16(B)に示されるように、第2面12Bについては識別要素は設置されていない。他の構成については前記第1実施形態と同様であるので同様の構成については図1〜4等と同一符号を用いることとして説明を省略する。
【0087】
このように、識別要素28を構成する第1記録層24の凸部が周方向の一部に設置され、識別要素28が片面だけに設置されている場合も、第1面12Aと第2面12Bとを容易に識別することができる。
【0088】
次に、識別要素28を構成する第1記録層24の凸部を周方向の一部に形成する手法について説明する。尚、この手法は前記第1実施形態に対し樹脂層塗布工程(S204)、樹脂層加工工程(S206)が異なっており、他の工程は前記第1実施形態と同様であるので他の工程の説明は適宜省略する。
【0089】
樹脂層塗布工程(S204)では、第1樹脂層72を前記第1実施形態における第1面12Aの第1記録層24の径方向の最も内側の凸部30Aよりも径方向の内側から塗布する。
【0090】
樹脂層加工工程(S206)では、識別要素28を構成する第1記録層24の凸部に相当する凹部及びその周囲の凹部に相当する凸部が形成された第1スタンパ80を用いて、第1樹脂層72を第1凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工する。これにより、第1樹脂層72には、識別要素28を構成する第1記録層24の凸部に相当する凸部が形成される。この第1樹脂層72に基づいて第1記録層24をエッチングすることで、第1記録層24の周方向の一部に識別要素28を構成する凸部を成形することができる。尚、樹脂層塗布工程(S204)は、前記第1実施形態と同様に第1樹脂層72と第2樹脂層74とを内周端の半径が異なる形状に塗布してもよく、内周端の半径が等しい形状に塗布してもよい。
【0091】
第1凹凸パターンと第2凹凸パターンはサーボ領域Asの形状等が異なっていることがあるが、このように識別要素を構成する記録層の凸部に相当する凹部及びその周囲の凹部に相当する凸部をスタンパに形成しておくことで、各記録層の識別要素を構成する部分の形態と凹凸パターンとを確実に一致させることができる。
【0092】
尚、前記第1及び第2実施形態では、スタンパによらず、第1樹脂層72、第2樹脂層74を内周端が異なる形態に塗布することで識別要素を形成しているが、第1樹脂層72、第2樹脂層74の内周端を識別要素として被加工体70の第1面12Aと第2面12Bとを識別できるので、この場合も各記録層の識別要素を構成する部分と凹凸パターンとを一致させることができる。
【0093】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0094】
前記第1実施形態では、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端の半径が相互に異なっており、これら半径が異なる第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端が識別要素28を構成しているのに対し、本第4実施形態では図17、図18(A)及び(B)に示されるように、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も外側の凸部30B、32Bの外周端の半径が相互に異なっており、これら半径が異なる第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も外側の凸部30B、32Bの外周端が識別要素28を構成している。凸部30B、32Bの外周端の半径の差は100μm〜数mm程度であることが好ましい。第1充填材36は第1記録層24の径方向の最も外側の凸部30Bの外側にも形成され、第2充填材40も第2記録層26の径方向の最も外側の凸部32Bの外側にも形成されている。又、記録領域Arは磁気記録媒体12の外周近傍及び内周近傍を除いて設定されており、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も外側の凸部30B、32Bの外周は、記録領域Arの径方向の外側に隣接する非記録領域Anrに設置されている。他の構成については前記第1実施形態と同様であるので同様の構成については図1〜4等と同一符号を用いることとして説明を省略する。
【0095】
このように、半径が異なる第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も外側の凸部30B、32Bの外周端が識別要素28を構成している場合も、第1面12Aと第2面12Bとを容易に識別することができる。
【0096】
又、識別要素28が全周に亘って設置されているので、識別要素28を迅速、且つ、確実に確認することができる。
【0097】
第1記録層24及び第2記録層26に外周端の半径が異なる径方向の最も外側の凸部30B、32Bを形成する手法としては、前記第3実施形態と同様に、これら径方向の最も外側の凸部30B、32B及びそれらの外側の凹部に相当する凹凸パターンが形成されたスタンパを用いる手法を挙げることができる。
【0098】
尚、本第4実施形態では、保護層成膜工程(S214)において、被加工体70を外周において治具等で保持してもよい。上述のように被加工体70における治具等で保持される部位には第1保護層42、第2保護層44が成膜されなかったり第1保護層42、第2保護層44の膜厚が他の部位よりも薄くなってしまうことがあるが、第1充填材36が第1記録層24の径方向の最も外側の凸部30Bの外側にも形成され、第2充填材40が第2記録層26の径方向の最も外側の凸部32Bの外側にも形成されているので、仮に第1保護層42、第2保護層44が成膜されなかったり第1保護層42、第2保護層44の膜厚が他の部位よりも薄くなってしまう部位が生じても、その部位は第1記録層24や第2記録層26ではなく第1充填材36や第2充填材40の一部である。従って、第1記録層24は第1保護層42で確実に保護され、第2記録層26も第2保護層44で確実に保護される。
【0099】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
【0100】
前記第4実施形態では、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も外側の凸部30B、32Bの外周端の半径が相互に異なっているのに対し、本第5実施形態では図19(A)及び(B)に示されるように、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も外側の凸部の外周端の形状が相互に異なっており、これら形状が異なる第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も外側の凸部30B、32Bの外周端が識別要素28を構成している。
【0101】
より詳細には、第1記録層24の径方向の最も外側の凸部の外周端は半径が実質的に一定の形状であるのに対し、第2記録層26の径方向の最も外側の凸部の外周端は半径が周方向の位置により波状に増減する形状である。他の構成については前記第4実施形態と同様であるので同様の構成については図17、18(A)及び(B)等と同一符号を用いることとして説明を省略する。
【0102】
このように、形状が異なる第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も外側の凸部30B、32Bの外周端が識別要素28を構成している場合も、第1面12Aと第2面12Bとを容易に識別することができる。
【0103】
又、識別要素28が全周に亘って設置されているので、識別要素28を迅速、且つ、確実に確認することができる。
【0104】
第1記録層24及び第2記録層26に外周端の形状が異なる径方向の最も外側の凸部30B、32Bを形成する手法としては、前記第3実施形態と同様に、これら径方向の最も外側の凸部30B、32B及びそれらの外側の凹部に相当する凹凸パターンが形成されたスタンパを用いる手法を挙げることができる。
【0105】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
【0106】
前記第4実施形態では、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も外側の凸部30B、32Bの外周端の半径が相互に異なっており、第1充填材36は第1記録層24の径方向の最も外側の凸部の外側にも形成され、第2充填材40も第2記録層26の径方向の最も外側の凸部32Bの外側にも形成されているのに対し、本第6実施形態では図20(B)に示されるように、第2記録層26の径方向の最も外側の凸部32Bの外周端は磁気記録媒体12の外周と一致しており第2充填材40は第2記録層26の径方向の最も外側の凸部32Bの外側には形成されていない。一方、第1記録層24の径方向の最も外側の凸部30Bの外周端は、前記第4実施形態と同様に磁気記録媒体12の外周よりも小さく、図20(A)に示されるように、第1充填材36は第1記録層24の径方向の最も外側の凸部の外側にも形成されており、第1面12Aの第1記録層24の径方向の最も外側の凸部30Bの外周端だけが識別要素28を構成している。他の構成については前記第4実施形態と同様であるので同様の構成については図17、18(A)及び(B)等と同一符号を用いることとして説明を省略する。
【0107】
このように、識別要素28が片面だけに設置されている場合も、第1面12Aと第2面12Bとを容易に識別することができる。
【0108】
又、識別要素28が全周に亘って設置されているので、識別要素28を迅速、且つ、確実に確認することができる。
【0109】
尚、識別要素の形態は前記第1〜第6実施形態に示された形態に限定されない。例えば、前記第1、第2実施形態において識別要素28が第1面、第2面の双方の面における記録領域Arの径方向の内側に隣接する非記録領域Anrに設置されているが、識別要素28が第1面、第2面の一方の面だけにおける記録領域Arの径方向の内側に隣接する非記録領域Anrに設置されていてもよい。例えば第1、第2実施形態において第1記録層の径方向の最も内側の凸部の内周端が磁気記録媒体の内周端と一致していてもよい。又、前記第3実施形態において周方向の一部にのみ設置された識別要素28を構成する第1記録層24の凸部は図16(A)に示されるように略円形であるが、三角形や四角形等の多角形や星形等の識別要素を設置してもよい。
【0110】
又、前記第1及び第2実施形態において、スピンコート法により第1樹脂層及び第2樹脂層を内周端の形態が異なるように塗布することで、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端を異なる形態に加工して、これら凸部30A、32Aの内周端が構成する識別要素28を形成しているが、前記第4〜第6実施形態のように、第1スタンパにより第1樹脂層に第1凹凸パターンに相当する凹凸パターンを転写し、第2スタンパにより第2樹脂層に第2凹凸パターンに相当する凹凸パターンを転写する際に、第1樹脂層及び第2樹脂層に転写される凹凸パターンの径方向の最も内側の凸部の内周端の形態が異なるように第1樹脂層及び第2樹脂層を加工することで、第1記録層24及び第2記録層26の径方向の最も内側の凸部30A、32Aの内周端を異なる形態に加工して、これら凸部30A、32Aの内周端が構成する識別要素28を形成してもよい。
【0111】
又、前記第1実施形態において、第1連続記録層56の上に第1主マスク層62、第1副マスク層64を介して第1樹脂層72を形成し、第2連続記録層58の上に第2主マスク層66、第2副マスク層68を介して第2樹脂層74を形成し、第1樹脂層72、第2樹脂層74に基づいて、第1連続記録層56、第2連続記録層58を3工程でエッチングしているが、記録層を高精度で加工できれば、樹脂層、マスク層の材料、積層数、厚さ、ドライエッチングの種類等は特に限定されない。例えば、第1連続記録層56の上に第1樹脂層72を直接成膜し、第2連続記録層58の上にも第2樹脂層74を直接成膜し、第1樹脂層72、第2樹脂層74に基づいて、第1連続記録層56、第2連続記録層58を1工程でエッチングしてもよい。
【0112】
又、前記第1〜第6実施形態において、第1樹脂層72、第2樹脂層74の材料としてエネルギー線硬化性樹脂を用い、樹脂層加工工程(S206)においてエネルギー線の照射により第1樹脂層72、第2樹脂層74を硬化させているが、第1樹脂層72、第2樹脂層74の材料として熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用い、樹脂層加工工程(S206)において加熱や冷却により第1樹脂層72、第2樹脂層74を硬化させてもよい。
【0113】
又、前記第1〜第6実施形態において、第1記録層24、第2記録層26を完全に分割しているが、第1連続記録層62、第2連続記録層64を厚さ方向の途中まで加工し、凹部の下で連続した凹凸パターンの記録層を形成してもよい。
【0114】
又、前記第1〜第6実施形態において、第1連続記録層62、第2連続記録層64をドライエッチングで凹凸パターンに加工し、第1凹凸パターンの第1記録層24、第2凹凸パターンの第2記録層26を形成し、これらの上に第1充填材36、第2充填材40を成膜して凹部34、38を第1充填材36、第2充填材40で充填し、ドライエッチングで余剰の第1充填材36、第2充填材40を除去して平坦化しているが、連続膜の充填材をドライエッチングで凹凸パターンに加工し、凹凸パターンの充填材の上に記録層を成膜して凹部を記録層で充填し、ドライエッチングで余剰の記録層を除去して平坦化することで、基板の両面に凹凸パターンで形成された記録層と、記録層の凹部に充填された充填材と、を含む磁気記録媒体を製造してもよい。
【0115】
又、基板の表面を凹凸パターンに加工し、この凹凸パターンに倣って記録層等を成膜することで、凹凸パターンで形成された記録層を形成してもよい。尚、この場合、記録層はその上面及び下面が凹凸パターンの連続膜となる。
【0116】
又、前記第1〜第6実施形態において、第1記録要素24の上に第1保護層42及び潤滑層が形成され、第2記録要素26の上にも第2保護層44及び潤滑層が形成されているが、要求される性能に応じて保護層及び潤滑層の一方又は両方を省略してもよい。
【0117】
又、前記第1〜第6実施形態において、第1記録層24と基板22との間に第1軟磁性層46、第1配向層48が形成され、第2記録層26と基板22との間に第2軟磁性層50、第2配向層52が形成されているが、第1記録層24と基板22との間、第2記録層26と基板22との間の層の構成は、磁気記録媒体の種類に応じて適宜変更すればよい。例えば、第1軟磁性層46と基板22との間、第2軟磁性層50と基板22との間に反強磁性層や下地層を形成してもよい。又、第1軟磁性層46、第2軟磁性層50、第1配向層48、第2配向層52のいずれかを省略してもよい。又、基板22の上に第1記録層24、第2記録層26を直接形成してもよい。
【0118】
又、前記第1〜第6実施形態において、磁気記録媒体12は、垂直記録型の磁気ディスクであるが、面内記録型の磁気ディスクについても本発明は適用可能である。
【0119】
又、前記第1〜第6実施形態において、磁気記録媒体12は、中心孔12Cを有しているが、中心孔がない磁気記録媒体についても本発明は適用可能である。
【0120】
又、前記第1〜第6実施形態において、第1記録層24及び第2記録層26は、記録領域Arの中のデータ領域Adにおいて同心円状のトラックの形状で径方向に微細な間隔で形成され、記録領域Arの中のサーボ領域Asにおいて所定のサーボパターンで形成されているが、第1記録層24及び第2記録層26は記録領域Arの径方向の内側や外側に隣接する非記録領域Anrにおいてもトラックの形状やサーボパターンと同様の凹凸パターンで形成されていてもよい。尚、本出願における記録領域Arとは、第1記録層24及び第2記録層26におけるデータやサーボ情報の記録のために実際に用いられる部分が設置されている部分という意味であり、第1記録層24及び第2記録層26における非記録領域Anrに凹凸パターンで形成された部分はデータやサーボ情報の記録のためには用いられない。
【0121】
又、前記第1〜第6実施形態において、磁気記録媒体12はディスクリートトラックメディアであるが、例えば、パターンドメディアや、トラックが螺旋形状をなす磁気ディスクについても本発明は当然適用可能である。又、MO等の光磁気ディスク、磁気と熱を併用する熱アシスト型の磁気ディスクに対しても本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、基板の両面に凹凸パターンの記録層が形成された磁気記録媒体、これを備える磁気記録再生装置及び磁気記録媒体の製造、検査に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第1実施形態に係る磁気記録再生装置の要部の概略構造を模式的に示す斜視図である。
【図2】同側面図である。
【図3】同磁気記録再生装置の磁気記録媒体の構造を模式的に示す径方向に沿う断面図である。
【図4】(A)は同磁気記録媒体の第1面の構造を模式的に示す平面図、(B)は第2面の構造を模式的に示す平面図である。
【図5】同磁気記録媒体の検査工程の概要を示すフローチャートである。
【図6】同磁気記録媒体の識別要素の自動検査器の構造の一例を模式的に示す側面図である。
【図7】同磁気記録媒体の製造工程の概要を示すフローチャートである。
【図8】同磁気記録媒体の製造工程における被加工体の出発体の構造を模式的に示す径方向に沿う断面図である。
【図9】(A)は同被加工体の第1面に樹脂層を塗布する工程を模式的に示す径方向に沿う断面図、(B)は第2面に樹脂層を塗布する工程を模式的に示す径方向に沿う断面図である。
【図10】同被加工体の樹脂層を凹凸パターンに加工する工程を模式的に示す径方向に沿う断面図である。
【図11】同樹脂層に基づいて連続記録層を凹凸パターンに加工する工程を模式的に示す径方向に沿う断面図である。
【図12】同凹凸パターンの記録層の上に充填材が成膜された同被加工体を示す径方向に沿う断面図である。
【図13】平坦化工程において余剰の充填材が除去された同被加工体を示す径方向に沿う断面図である。
【図14】(A)は本発明の第2実施形態に係る磁気記録媒体の第1面の構造を模式的に示す平面図、(B)は第2面の構造を模式的に示す平面図である。
【図15】同磁気記録媒体の製造工程における被加工体の第2面に樹脂層を塗布する工程を模式的に示す径方向に沿う断面図である。
【図16】(A)は本発明の第3実施形態に係る磁気記録媒体の第1面の構造を模式的に示す平面図、(B)は第2面の構造を模式的に示す平面図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係る磁気記録媒体の構造を模式的に示す径方向に沿う断面図である。
【図18】(A)は同磁気記録媒体の第1面の構造を模式的に示す平面図、(B)は第2面の構造を模式的に示す平面図である。
【図19】(A)は本発明の第5実施形態に係る磁気記録媒体の第1面の構造を模式的に示す平面図、(B)は第2面の構造を模式的に示す平面図である。
【図20】(A)は本発明の第6実施形態に係る磁気記録媒体の第1面の構造を模式的に示す平面図、(B)は第2面の構造を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0124】
10…磁気記録再生装置
12…磁気記録媒体
12A…第1面
12B…第2面
12C…中心孔
14…第1磁気ヘッド
15…第2磁気ヘッド
16…チャック
18…第1アーム
19…第2アーム
20…ベース
22…基板
24…第1記録層
26…第2記録層
28…識別要素
30、32…凸部
34、38…凹部
36…第1充填材
40…第2充填材
42…第1保護層
44…第2保護層
46…第1軟磁性層
48…第1配向層
50…第2軟磁性層
52…第2配向層
54…検査器
56…第1連続記録層
58…第2連続記録層
62…第1主マスク層
64…第1副マスク層
66…第2主マスク層
68…第2副マスク層
70…被加工体
72…第1樹脂層
74…第2樹脂層
76…第1ノズル
78…第2ノズル
80…第1スタンパ
82…第2スタンパ
Ad…データ領域
As…サーボ領域
Ar…記録領域
Anr…非記録領域
S102…準備工程
S104…識別工程
S202…被加工体の出発体準備工程
S204…樹脂層塗布工程
S206…樹脂層加工工程
S208…エッチング工程
S210…充填材成膜工程
S212…平坦化工程
S214…保護層成膜工程
S216…潤滑層成膜工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板の一方側の第1面の側に第1凹凸パターンで形成された第1記録層と、前記基板の前記第1面と反対側の第2面の側に第2凹凸パターンで形成された第2記録層と、を含み、前記第1面と前記第2面とを識別可能な識別要素を備え、該識別要素の少なくとも一部が記録領域の径方向の内側及び外側の少なくとも一方に隣接する非記録領域に設置されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
請求項1において、
前記識別要素が全周に亘って設置されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1記録層及び前記第2記録層の径方向の最も内側の凸部は円に沿う形状であり、且つ、該凸部の内周端の形態が相互に異なり、該凸部の内周端の形態が前記識別要素を構成していることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も内側の凸部は内周端の半径が相互に異なることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項5】
請求項3において、
前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も内側の凸部は内周端の形状が相互に異なることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も内側の凸部の一方の内周端は半径が実質的に一定の形状であり、他方の内周端は半径が周方向の位置により波状に増減する形状であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項7】
請求項2において、
前記第1記録層及び前記第2記録層の径方向の最も外側の凸部は円に沿う形状であり、且つ、該凸部の外周端の形態が相互に異なり、該凸部の外周端の形態が前記識別要素を構成していることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項8】
請求項7において、
前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も外側の凸部は外周端の半径が相互に異なることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項9】
請求項7において、
前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も外側の凸部は外周端の形状が相互に異なることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1記録層及び前記第2記録層の前記径方向の最も外側の凸部の一方の外周端は半径が実質的に一定の形状であり、他方の外周端は半径が周方向の位置により波状に増減する形状であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項11】
請求項3乃至10のいずれかにおいて、
前記第1凹凸パターンの凹部を充填する第1充填材と、前記第2凹凸パターンの凹部を充填する第2充填材と、前記第1記録層及び前記第1充填材を被覆する第1保護層と、前記第2記録層及び前記第2充填材を被覆する第2保護層と、を更に備え、前記第1充填材は前記第1記録層の前記径方向の最も内側の凸部の内側及び前記径方向の最も外側の凸部の外側の少なくとも一方にも形成され、前記第2充填材は前記第2記録層の前記径方向の最も内側の凸部の内側及び前記径方向の最も外側の凸部の外側の少なくとも一方にも形成されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体の第1面に対してデータの記録/再生を行うための第1磁気ヘッドと、前記磁気記録媒体の第2面に対してデータの記録/再生を行うための第2磁気ヘッドと、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
【請求項13】
基板と該基板の一方側の第1面の側に形成された第1連続記録層と前記基板の前記第1面と反対側の第2面の側に形成された第2連続記録層とを含む被加工体の前記第1連続記録層の上にスピンコート法により第1樹脂層を径方向の中心部を除いて塗布すると共に前記第2連続記録層の上にスピンコート法により第2樹脂層を径方向の中心部を除いて、且つ、内周端の形態が前記第1樹脂層の内周端の形態と異なるように塗布する樹脂層塗布工程と、前記第1樹脂層を第1凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工すると共に前記第2樹脂層を第2凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工する樹脂層加工工程と、前記第1樹脂層に基づいて前記第1連続記録層をエッチングして前記第1凹凸パターンの第1記録層を形成すると共に前記第2樹脂層に基づいて前記第2連続記録層をエッチングして、内周端の形態が前記第1記録層の内周端の形態と異なる、前記第2凹凸パターンの第2記録層を形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記樹脂層塗布工程において前記第1連続記録層の上に前記第1樹脂層を塗布するための第1ノズルの径方向の位置と前記第2連続記録層の上に前記第2樹脂層を塗布するための第2ノズルの径方向の位置とが異なるようにこれら第1ノズル及び第2ノズルを設置して前記第1樹脂層の内周端の半径と前記第2樹脂層の内周端の半径とが異なるようにこれら第1樹脂層及び第2樹脂層を塗布することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項15】
請求項13において、
前記樹脂層塗布工程において前記第1連続記録層の上に前記第1樹脂層を塗布するための第1ノズル及び前記第2連続記録層の上に前記第2樹脂層を塗布するための第2ノズルの一方からの樹脂の吐出量を略一定に保持し他方からの樹脂の吐出量を変動させて前記第1樹脂層の内周端及び前記第2樹脂層の内周端の一方の半径が実質的に一定で他方の半径が周方向の位置により波状に増減するようにこれら第1樹脂層及び第2樹脂層を塗布することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項16】
基板と該基板の一方側の第1面の側に形成された第1連続記録層と該基板の前記第1面と反対側の第2面の側に形成された第2連続記録層と前記第1連続記録層の上に塗布された第1樹脂層と前記第2連続記録層の上に塗布された第2樹脂層とを含む被加工体の前記第1樹脂層を第1凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工すると共に前記第2樹脂層を第2凹凸パターンに相当する凹凸パターンに加工し、且つ、これら第1樹脂層及び第2樹脂層における記録領域よりも径方向の内側及び外側の少なくとも一部を相互に異なる形態に加工する樹脂層加工工程と、前記第1樹脂層に基づいて前記第1連続記録層をエッチングして前記第1凹凸パターンの第1記録層を形成すると共に前記第2樹脂層に基づいて前記第2連続記録層をエッチングして、前記記録領域の径方向の内側及び外側の少なくとも一方に隣接する非記録領域の少なくとも一部の形態が前記第1記録層と異なる、前記第2凹凸パターンの第2記録層を形成するエッチング工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項17】
基板と、該基板の一方側の第1面の側に第1凹凸パターンで形成された第1記録層と、前記基板の前記第1面と反対側の第2面の側に第2凹凸パターンで形成された第2記録層と、を含み、前記第1面と前記第2面とを識別可能な識別要素を備え、該識別要素の少なくとも一部が記録領域の径方向の内側及び外側の少なくとも一方に隣接する非記録領域に設置された被検査体を準備する準備工程と、前記識別要素に基づいて前記被検査体の前記第1面と前記第2面とを識別する識別工程と、を含むことを特徴とする磁気記録媒体の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−176835(P2008−176835A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7462(P2007−7462)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】