説明

磁気記録媒体の製造方法

【課題】少ない熱量で基材に磁気記録層を埋め込むことのできる磁気記録媒体の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】コア基材とコア基材の表裏に外装基材を備え、コア基材と外装基材を貼り合せる工程、少なくとも一方の外装基材に磁気記録層を埋設する工程、を有する磁気記録媒体の製造方法において、外装基材のうち、少なくとも一方の外装材が多孔質基材からなり、外装基材に磁気記録層を埋設する工程が、磁気記録層を加圧または加熱加圧により該多孔質基材に埋設することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ISO/IEC7810で規定されるID−1カード等の磁気記録層を有する媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャッシュカードなどの一般的な磁気カードは、コア基材とコア基材の表裏にオーバーシートを有し、オーバーシートに時期ストライプを埋設させた構成が知られている(特許文献1参照)。
コアシートは塩化ビニルシート基材や非晶質ポリエチレンテレフタレート基材等の熱可塑性樹脂基材からなり、オーバーシートは塩化ビニルシート基材や非晶質ポリエチレンテレフタレート基材等の熱可塑性樹脂基材からなる。
このような磁気カードは、コアシートとオーバーシートを積層した後、磁気ストライプを仮張りし、上下からSUS板等の加熱板で挟み加熱加圧することでオーバーシートを磁気ストライプの体積分だけ変形させ磁気ストライプを埋め込む方法を行う。
【0003】
この方法ではオーバーシートを加熱加圧により変形させ磁気ストライプを押し込むため比較的大きな熱量を要する。また、絵柄層などを設けている場合、絵柄層が歪むことがある。また、この方法ではオーバーシートに用いることのできる基材は加熱により軟化しやすい熱可塑性基材に限られ、耐熱性の高い基材等は用いることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−270176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、上記問題を解決するためことを課題とする。すなわち、少ない熱量で基材に磁気記録層を埋め込むことのできる磁気記録媒体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コア基材と該コア基材の表裏に外装基材を備え、少なくとも一方の外装基材に磁気記録層を埋設してなる磁気記録媒体の製造方法であって、該外装基材のうち、少なくとも一方の外装基材が多孔質基材からなり、コア基材と外装基材を貼り合せる工程、多孔質基材からなる外装基材に磁気記録層を埋設する工程、を有し、該外装基材に磁気記録層を埋設する工程が、加圧または加熱加圧により埋設することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法とする。
【0007】
また、前記コア基材の表裏の外装基材の双方が多孔質基材からなることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法とする。
【0008】
また、前記外装基材に磁気記録層を埋設する工程が、線で加熱加圧することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体の製造方法とする。
【0009】
また、前記線で加熱加圧する工程が、外装基材または外装基材とコア基材をローラーで挟むことにより加圧または加熱加圧することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法とする。
【0010】
また、前記外装基材に磁気記録層を埋設する工程の後にコア基材と外装基材を貼り合せる工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法とする。
【0011】
また、前記多孔質基材の空隙率が10〜80%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、磁気記録層を埋設させる基材として多孔質の基材を用いるため、従来の方法に比べ、少ない熱量で基材に磁気記録層を埋設させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の磁気記録媒体の製法の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の製法の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体の製法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図面を参照して説明する。
図1は本発明の磁気記録媒体の製法の一例を示す説明図である。図1(a)において、コア基材1の両面に接着剤4を介し、外装材2が張り合わされている。ここで、外装材2は多孔質基材からなる。外装材2の表面には磁気記録層3が仮止めしてある。そして加圧または加熱加圧することにより図1(b)にあるように外装材に磁気記録層が埋設された磁気記録媒体とすることができる。
【0015】
本発明に用いるコア基材としては特に限定するものではないが、塩化ビニルや塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、テレフタル酸とシクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールとの共重合体、テレフタル酸とイソフタル酸及びエチレングリコールとの共重合体、またはこれらの共重合体とポリカーボネート及び/又はポリアリレートとのポリマーアロイからなる非晶質ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、非晶質ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリ乳酸、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、紙、含浸紙等の材料を用いることができる。
中でも生分解性を有するポリオレフィン、ポリ乳酸、紙、含浸紙やポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、非晶質ポリエチレンテレフタレート等を好適に用いることができる。
コア基材の厚みは一般的に0.4〜0.7mmであるがこれに限るものではない。
【0016】
本発明で用いる外装基材はコア基材の表裏に貼り合せてなり、一方又は双方の外装基材に磁気記録層を埋設してなる。磁気記録層を埋設する外装基材には多孔質基材を用いる。磁気記録層を双方に設ける場合、外装基材は両方とも多孔質基材を用いる。
従来の熱可塑性樹脂からなる基材を用いる方法は、比較的多量の熱を加え、熱可塑性樹脂を流動させることにより磁気記録層が収容されるスペースを確保する必要があったが、本発明では多孔質基材を用いることにより、空隙をつぶしてスペースを確保できるため、圧力だけまたは少ない熱量を伴った熱圧で磁気記録層を埋設させることができる。
【0017】
外装基材とコア基材の貼り合せは接着剤を用いて貼り合せることができる。接着剤としては一般的に用いられているものであれば特に制限はなく、ホットメルト系接着剤や塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ニトロセルロース等からなる接着剤、またはこれらの共重合体やポリマーアロイ等からなる接着剤を用いることができる。中でも生分解性を有するポリエステル系やポリビニルアルコール系の接着剤を好適に用いることができる。
また、コア基材は複数の基材を積層したものを用いてもかまわない。
【0018】
外装基材とコア基材の貼り合せは加圧により貼り合せることができる。また必要に応じて加熱を伴った加圧により貼り合せてもよい。
加圧は後述の面圧方式または線圧方式を用いることができる。
加圧する圧力は0.5〜5.0MPaの範囲内であることが好ましく、特に0.1〜3.5MPaの範囲内であることが好ましい。
また加熱する温度は80〜160℃の範囲内であることが好ましく、特に100〜140℃の範囲内であることが好ましい。
【0019】
多孔質基材としては、加圧もしくは少ない熱量による加熱加圧により磁気記録層を埋設するスペースを形成できるものであればどのような基材を用いてもかまわない。例えば空隙率が10〜80%の範囲内である基材を用いることができる。この範囲内であれば多孔質基材に磁気記録層を加圧または加熱加圧により埋設する際に、空隙がつぶれることにより磁気記録層が納まるスペースができ、容易に磁気記録層を埋設することができる。
このような多孔質基材としては、例えばteslin(登録商標:PPGインダストリーズ製)やユポ(登録商標:ユポ・コーポレーション製)等のポリオレフィン系多孔質基材やその他発泡プラスチックフィルムや生分解が可能な紙基材やポリ乳酸などの生分解製樹脂からなる多孔質基材が挙げられる。紙基材としては木材パルプ、木綿パルプ等の天然繊維からなるものを用いることができる。
またこれらの基材を複数積層したものを用いてもよい。
【0020】
また、多孔質基材の厚みとしては特に限定をするものではないが0.05〜2.0mmの範囲内のものを用いることができる。後の工程で空隙を全てつぶす場合、最終的な厚みは元の厚さ×(100−空隙率)/100となる。
一般的なストライプ状磁気記録層の厚みは0.02mmであるため、空隙をつぶすことにより減少する厚みがこの厚み以上あればよい。
【0021】
また、磁気記録層を一方の面にのみ設ける場合、磁気記録層を設けない方の外装基材は多孔質でなくともよい。このような外装基材としては塩化ビニルシート基材や非晶質ポリエチレンテレフタレート、生分解性樹脂等の材料を用いることができるが特に廃棄の際に有毒ガス非晶質ポリエチレンテレフタレートや生分解性樹脂材料からなるものを好適に用いることができる。
【0022】
磁気記録層の外装基材への埋設は、外装基材にストライプ状の磁気記録層を配置し、加圧または加熱加圧により外装基材に埋め込むことで形成する。
なお磁記録層を外装基材に配置する際、接着剤などにより仮止めをしてもよい。
【0023】
加圧または加熱加圧は面圧方式により行ってもよいし、線圧方式で行ってもよい。加圧のみよりはある程度熱をかけた状態で加圧した方が効率的でかつ表面平滑性に優れたものとなるので好ましい。また加熱加圧する場合、線圧方式で行った方が少ない熱で効率的に磁気ストライプを埋設することができる。
【0024】
面圧方式では、例えばコア基材と外装基材が貼り合せた積層体の外装基材上に磁気記録層を配置し、上下にこの積層体より積層体の厚みに相当するスペーサーを介して金属板、等の板材で挟み込むことで面で圧力をかける方式である。この時かける圧力としては0.2〜5.0MPaであることが好ましい。また、基材の性質に応じて加熱しながら加圧してもかまわない。加熱温度としては60〜150℃程度が好ましい。磁記録層を仮止めする接着剤が熱可塑性接着剤や熱硬化性接着剤である場合や、外装基材が熱可塑性材料からなる場合は加熱を伴った加圧をかけることが好ましい。
また、スペーサーの高さ、加える圧力などにより多孔質基材の圧縮率を調整できる。
【0025】
線圧方式は、例えば図2に示すように、コア基材と外装基材が貼り合せた積層体の外装基材上に磁気記録層を配置し、上下からローラー材で挟み、積層体とローラーを相対的に移動させることにより、積層体に線で順次圧力をかける方式である。
この時かける圧力としては0.01〜2.0kN/cmであることが好ましい。また、基材の性質に応じて加熱しながら加圧してもかまわない。加熱温度としては60〜150℃程度が好ましい。磁記録層を仮止めする接着剤が熱可塑性接着剤や熱硬化性接着剤である場合や、外装基材が熱可塑性材料からなる場合は加熱を伴った加圧をかけることが好ましい。
また、ローラー材の材質は金属やセラミック等、硬質のものであればかまわない。
なお、図2においては上下からローラーで挟んで各々のローラーから圧力をかけているが、一方を金属板等の板材を用いた片側からローラーで加圧してもよい。
また、基材の両端にスペーサーを配置してもよい。
スペーサーの高さ、加える圧力などにより多孔質基材の圧縮率を調整できる。
線圧方式は比較的基材に加える熱量を少なくできるため好ましい。
【0026】
また、外装基材を圧縮して薄膜化してもよい。圧縮は、加圧または加熱加圧により行うことができ、前述の磁気記録層を埋設する際に同時に行ってもよいし、空隙を残したまま磁気記録層を埋設させた後に全体に加圧または加熱加圧を行ってもよい。
空隙は一部のこしてつぶしてもよいが、全てつぶして表面を平滑にすることが好ましい。
【0027】
外装基材へは印刷層を形成してもよい。印刷層はオフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等を用いて形成することができる。インキはUV硬化性インキ、油性インキ、水性インキ等を用いることができるがこの限りではない。
【0028】
また、本発明では、外装基材に磁気記録層を埋設した後にコア基材と貼り合せてもよい。
この方法では、外装基材と磁気記録層をともにウェッブ状としておくことで、加熱したローラー等で連続で磁気記録層を埋設することができるので、高い生産性を得られる。
外装基材に磁気記録層を埋設する方法としては前述の面圧方式、線圧方式を用いることができる。
磁気記録層を埋設した外装基材とコア基材を貼り合せる方法としては前述の外装基材とコア基材を貼り合せる方法と同じ方法を用いることができる。
【0029】
外装基材に磁気記録層を埋設した後にコア基材と貼り合せる場合、外装基材を圧縮して薄膜化してもよい。外装基材の空隙を全てつぶして圧縮してもよいし、空隙の一部を残して圧縮してもよい。
一部を残す場合、コア基材と外装基材を貼り合せる工程で、コア基材の凹凸を外装基材の空隙で吸収でき、表面を平滑にできるため好ましい。表面を平滑にするためには、圧縮される膜厚が、コア基材の表面凹凸の最大高さRmax(JIS0601−1976)より厚くなるように空隙を残しておくとが好ましい。
【0030】
外装基材に磁気記録層を埋設した後にコア基材と貼り合せる場合、外装基材とコア基材を貼り合せる前に外装基材上に印刷層を形成してもよいし、貼り合せた後に印刷層を形成してもよい。
【0031】
本発明では、磁気記録層を埋設した外装基材とコア基材を積層したシートを作成し、打ち抜き加工によりカードサイズに個片化してもよいし、予め個片化した基材を用いて積層してもよい。
個片化の方法としては雄雌型のパンチや刃などにより切り出す方法を用いることができる。
【0032】
コア基材として非接触型のICインレットを有する基材を用いて非接触ICカードとしてもよい。また、コア基材と外装材を貼り合せた後にザグリ加工を施し外部端子付ICモジュールを埋設し接触式ICカードとしてもよい。さらに、ICインレットと外部端子付ICモジュールを用いてハイブリットICカード、デュアルインターフェースICカードとしてもよい。ここでハイブリットICカードは接触用、非接触用のICチップをそれぞれ有するもので、デュアルインターフェースICカード接触用、非接触用のICチップを1のICチップ兼ねるものである。
【0033】
また、後加工として、エンボス加工、ホログラム加工などを施してもよい。
【実施例】
【0034】
<実施例1>
コア基材として厚み0.6mmのバルカナイズドファイバー基材(北越製紙製)を用い、コア基材の両面に貼り合せる外装基材として厚さ0.5mm、空隙率80%、の多孔性の発泡性紙基材フワットライトN720100(王子製紙製)を用い、磁気記録層として厚さ20μmの接着層を有する磁気ストライプ(トッパン・TDKレーベル社製)を用いた。
まず、外装基材の表面に磁気ストライプを熱転写法(温度150℃、圧力0.15N/cm、速度4m/min)により仮止めし、その後、厚さ0.2mmのスペーサーを介して平滑な金属板で挟みこみ面圧方式により磁気ストライプを外装基材に埋設すると共に外装基材の圧縮をした。このときの温度は常温で圧力は2MPa、時間は30分とした。また、得られた外装基材の厚みは0.2mmで空隙が部分的に残っている状態あった。
得られた外装基材の磁気ストライプを埋設した面にスクリーン印刷により絵柄層を設け、さらにオフセット印刷により保護層を形成した。そして反対の面にポリエステル系の接着剤を設けた。
この外装基材を2枚用いコア基材の両面に丁合し仮止めした。その後、平滑な金属板で挟みこみ面圧方式にてラミネートプレスを行い、空隙を全てつぶし、厚さ0.8mmの一体化した積層体を得た。なお、このときの温度は120℃で圧力は20MPa、時間は30分とした。
【0035】
<実施例2>
外装基材への磁気ストライプの埋設の条件を120℃、2MPa、時間は30分で行った以外は実施例1と同様に行った。
【0036】
<実施例3>
外装基材への磁気ストライプ埋設を、線圧方式で行った以外は実施例1と同様に行った。具体的には厚さ0.2mmのスペーサーを介して、磁気ストライプを仮止めした外装基材の両面からローラーで挟みこみ、外装基材とローラーを相対的に移動させることで磁気ストライプを外装基材に埋設すると共に外装基材の圧縮をした。このときの温度は120℃で圧力は2MPa、時間は30分とした。また、得られた外装基材の厚みは0.2mmで空隙が部分的に残っている状態あった。
【0037】
<実施例4>
外装基材を厚さ0.15mm、空隙率35%の多孔性のポリオレフィンを主成分とする合成紙teslin(登録商標:PPGインダストリーズ製)を用い、スペーサーの厚みを0.125mmとした以外は実施例3と同様に行った。
【0038】
<比較例1>
外装基材を厚さ0.1mm、ガラス転移点60〜70度のポリ塩化ビニル(三菱樹脂製)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0039】
<比較例2>
外装基材を厚さ0.1mm、ガラス転移点60〜70度のポリ塩化ビニル(三菱樹脂製)を用いた以外は実施例2と同様に行った。
【0040】
<比較例3>
外装基材を厚さ0.1mm、ガラス転移点60〜70度のポリ塩化ビニル(三菱樹脂製)を用いた以外は実施例3と同様に行った。
<比較例4>
外装基材を厚さ0.1mm、ガラス転移点約−20度のポリプロピレン(三菱樹脂製)を用いた以外は実施例2と同様に行った。
【0041】
<評価>
1)磁気記録層部の厚み
外装基材に磁気記録層を埋設し、コア基材とラミネートプレスを行う前の状態で、磁気記録層がある部分とない部分の厚みの差をマイクロメータで測定した。
結果を表1に示す。
2)基材の変形(収縮率)
外装基材に磁気記録層を埋設し、コア基材とラミネートプレスを行う前の状態で、磁気記録層埋設前後の基材の収縮率を測定した。
結果を表2に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例1、比較例1は共に磁気記録層を常温で埋設しているが、実施例1で磁気記録層がほぼ埋設できているのに対し、比較例1は全く埋設できていなかった。これは比較例に用いた基材では加える熱量が少なかったため、磁気記録層を埋設するスペースの確保ができなかったためと思われる。
実施例2〜4、比較例2〜4は共に磁気記録層を120℃30分で埋設しているが、実施例2〜4で磁気記録層がほぼ埋設できているのに対し、比較例3は全く埋設できておらず、比較例2はある程度埋設しているものの、段差が大きいものとなった。
これも比較例に用いた基材では加える熱量が少なかったため、磁気記録層を埋設するスペースの確保ができなかったためと思われる。
比較例4は比較的軟化しやすいガラス転移点の低い材料を用いているため実施例と同じ条件で埋設ができていると思われる。
【0044】
【表2】

【0045】
実施例1〜3は用いた外装基材が常温〜120℃では軟化・分解等熱的な劣化のない紙基材であり、収縮は発生しなかった。
実施例4は、用いた外装基材がポリオレフィン材料から構成されるため、熱による変形は発生するが、収縮率が0.3%と小さく許容範囲ないであった。
比較例1は、磁気記録層の埋設を常温で行ったため、基材の変形は殆どなかったが上述したように磁気記録層は全く埋設できなかった。
比較例2は、収縮率が0.4%であり、比較的小さかったが、上述したように磁気記録層はあまり埋設していないものとなった。
比較例4は、収縮率が1.0%と変形が大きいものとなった。
【符号の説明】
【0046】
1・・・コア基材
2・・・外装基材
3・・・磁気記録層
4・・・接着層
5・・・ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア基材と該コア基材の表裏に外装基材を備え、少なくとも一方の外装基材に磁気記録層を埋設してなる磁気記録媒体の製造方法であって、
該外装基材のうち、少なくとも一方の外装基材が多孔質基材からなり、
コア基材と外装基材を貼り合せる工程、
多孔質基材からなる外装基材に磁気記録層を埋設する工程、を有し、
該外装基材に磁気記録層を埋設する工程が、加圧または加熱加圧により埋設することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項2】
前記コア基材の表裏の外装基材の双方が多孔質基材からなることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項3】
前記外装基材に磁気記録層を埋設する工程が、線で加熱加圧することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項4】
前記線で加熱加圧する工程が、外装基材または外装基材とコア基材をローラーで挟むことにより加圧または加熱加圧することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項5】
前記外装基材に磁気記録層を埋設する工程の後にコア基材と外装基材を貼り合せる工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項6】
前記多孔質基材の空隙率が10〜80%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−123942(P2011−123942A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280199(P2009−280199)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】