説明

磁気ROM情報媒体

本発明は、磁性材料(18)の分離した部分(14)のパターンを持つ層(12)を備え、磁性材料が対応するパターンの局所磁場(2)を生じさせる、装置(デバイス)(10)を製造する方法に関する。磁性材料(18)は固形物質(24)において分散する粒子(22)から構成される。粒子は、磁気的に安定で、及び局所磁場(2)を生じさせるために実質整列される。本方法は次の工程を備える。すなわち、物質(32)を提供し、それが物質(32)において分散する粒子(22)を持ち、物質(32)は粒子(22)が物質(32)において動くのを可能にするための粘性を持つ工程、物質(32)の分離した部分(14)のパターンを装置(10)の層(12)において創作する工程、外的な磁場(50)を、粒子(22)を物質(32)の分離した部分(14)において実質整列させるために適用する工程、及び物質(32)を、固形物質(24)を得るために凝固する工程を備える。この方法の利益は、粒子(22)の内部の磁化を変化させる代わりに、粒子(22)を動かし、典型的に回転させ、外部に適用(印加)される磁場(50)に対して整列させることである。次いで、物質(32)の凝固は、整列された磁気的に安定な粒子(22)を固形物質(24)の内部で固定し、それは永久に磁化された磁性材料(18)を招く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所磁場の対応するパターンを生じさせる、磁性材料の分離した部分のパターンを持つ、層を備える装置(デバイス)を製造する方法に関する。
さらに本発明は装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性材料の連続的な層は典型的に、磁性材料の連続的な層の外側で延びる巨視的な磁場(磁界)を生じさせる。磁性材料の分離した部分を持つ層において、各部分が他の分離した部分から層の内側で分かれ、及び従って分離した部分の層の外側に局所的に拡がる磁場を生じさせる。分離した部分は、例えば、磁性材料の連続的な層からの突出部分によって形成されてよく、又は例えば、層の内側の磁性材料の単離された部分であってよい。
【0003】
磁気的ROM情報媒体(carrier、担体)において、単離されたビット(小片)は、情報媒体上で蓄えられる情報が分離した部分のパターンに対応する局所磁場のパターンによって表される磁性材料の分離した部分によって形成され得る。かかる磁気的ROM情報媒体は、例えば、国際公開第WO 2004/032149号パンフレットにおいて開示される。この文献において、記憶装置が開示され、情報媒体部及び読み出し部(read-out part)を具える。情報媒体部は、情報平面(information plane)を、読み出し部との協力(cooperating with)のために具える。情報平面は、ビット部位(bit locations)の配列(array)の構成要素となる電磁気材料のパターンを具える。電-磁気材料の情報平面での存在又は不存在は、論理値を表す。第1のビット部位において、材料が存在し、例えば、論理値1を指示し、及び第2のビット部位において、材料が存在せずに、例えば、論理値0を指示する。開示する情報媒体の特定の具体例において、ビットをビット部位で表す電磁気材料は、硬質(hard)磁性材料の単離されたビットである。硬質磁性材料の単離されたビットのパターンは、外的な磁場において永久に磁化され、ある磁場強度を具える同じ磁場方向を実質的に持つすべての磁化された磁性ビットのパターンを創作する。読み出し部は、電磁気センサ(感知機)素子(要素)を具え、それは前記電磁気材料の存在に感受性である。読み出しは、磁気抵抗現象に依存する抵抗測定を介して行われる。センサ素子における抵抗は、すぐ近くの磁場によって影響を及ぼされる。磁化されたビットが存在する情報媒体部のビット部位で、磁性ビットは、実質的に、磁場方向及びセンサ素子に対し磁場強度を持つ磁場を提供し、第1の感知抵抗(sensed resistance)を招く。磁性ビットが存在しない情報媒体部のビット部位では、センサ素子は、異なる磁場強度を感知し、第2の感知抵抗を招き、それは第1の感知抵抗とは異なる。センサ素子の抵抗を、ビット部位のそれぞれで測定するとき、ビット部位のそれぞれの論理値を定めることができる。
【0004】
既知の読みだけの(専用)磁気的情報媒体の障害は、硬質磁性材料のパターンが製造中に磁化されなければならず、それが典型的に強い磁場を要求することである。
【0005】
本発明の目的は、比較的容易に磁化することができる磁性材料のパターンを具える、装置を製造する方法を提供することである。
【0006】
本発明の第1の局面に従い、この目的は、冒頭部において規定されるような装置を製造する方法を用いて達成され、そこでは、磁性材料が固形物質において分散する粒子から構成され、粒子は、磁気的に安定であり、及び局所磁場を生じさせるために実質的に整列され(substantially aligned)、この方法は次の工程を備える。すなわち、物質を提供し、それがその物質において分散する粒子を持ち、その物質が粒子を物質において動かすのを許すための粘性を持つ工程、物質の分離した部分のパターンを、装置の層において創作する工程、外的な磁場を、粒子を物質の分離した部分において実質整列させるために適用する工程、及び物質を、固形物質を得るために凝固する工程を備える。
【0007】
磁性材料は実質単離された粒子から構成され、その粒子は物質において拡がる。粒子それぞれは整列される粒子磁場を生じさせる。整列のために、分離した部分の内部の粒子の粒子磁場は、分離した部分から出る局所磁場を生じさせるようにつながる(add up)。粒子は磁気的に安定であり、それは粒子内の磁化方向を確保し、及び粒子の磁化方向が無作為に変化するのを防ぐ。物質の凝固は、粒子を、分離した部分の内側(内部)の粒子の整列を維持するように確保する。
【0008】
本発明に従う措置(measures)の効果は、適用する物質が、物質において分散する粒子の移動を許す粘性を持つことである。製造する方法において、粒子は、外的な磁場を用いて整列される。粒子が物質内で動く能力のために、比較的弱い外的に適用される(applied、印加)磁場しか必要でなく、粒子を機械的に動かし、及び粒子を基材(substrate)内部で整列させる。次いで、物質の凝固は、整列される磁気的に安定な粒子を固形物質内で固定し、それが永久に磁化される磁性材料を招く。変化の代わりに、粒子の磁化は、それが典型的に比較的強い外的な適用される磁場を必要とし、粒子は機械的に物質の内部で動き、それはそれらの比較的良好な移動性に起因し、及び例えば、粒子磁場が外的な適用される磁場に対して整列するように回転する。外的な適用される磁場の強度は、粒子の整列を達成し、典型的に物質の内部の粒子の移動性に依存する。
【0009】
粒子の機械的な動きは、外的な適用される磁場のために、典型的に粒子の回転を備え、粒子を外的な適用される磁場に対して整列する。具体例においては、外的な適用される磁場が磁場の勾配を備えるが、機械的な動きがまた、勾配に沿う粒子の移動を備える。
【0010】
適用される物質は、例えば、熱溶融される固形物質であり得、粒子の増加した移動性を磁化中に得、及び次いで冷却され、整列した粒子を固形物質において固定する。代わりに、物質の化学的組成を、磁化、例えば、磁化する単量体物質の重合後に、変化させることができ、固形重合体を得る。
【0011】
本発明に従う製造の方法の追加の利益は、製造の方法が、よく知られる製造処理の使用を、分離した部分のパターンを創作するために、可能にすることである。物質に要求される粘性は、粒子が物質において動くのを許すようにするために、典型的に、分離した部分のパターンを層において創作するための型押(embossing)又は箔押(stamping)のような製造処理の使用を許容する。
【0012】
本発明は、磁性粒子の安定性が障壁(barrier)エネルギに左右されるという認識に基づく。障壁エネルギは、例えば、外的な磁場を用い、磁性ビットの磁化方向を変化させるために克服されなければならないエネルギ準位を規定する。障壁エネルギは典型的に、磁性粒子の容量に、及び磁性粒子の磁気異方性エネルギ密度に左右される。磁性粒子の容量を減らすことはまた、障壁エネルギを減らす。障壁エネルギが材料の熱エネルギに近づくとき、磁性粒子の磁化方向は不安定になり、それは磁性粒子の磁化方向の無作為な変化を招く。磁性材料から構成される磁性粒子で、比較的高い磁気異方性エネルギ密度を備えるものの適用は、磁性粒子の安定性を増加させるが、また比較的強い磁場を、磁化方向を設定するために、磁性粒子の内部で要求する。本発明に従う装置を製造する方法において、磁性材料は磁化され、それは、粒子の内部の磁化方向を変えることによってよりはむしろ、物質において分散する磁気的に安定な粒子を機械的に整列させることによってである。磁性粒子の移動性が高いとき、高い磁気異方性エネルギ密度を持つ材料を、粒子において適用することができる一方、まだ比較的弱い外的な適用される磁場は磁化にとって十分である。
【0013】
本発明の第2の局面によれば、目的は冒頭部において規定するような装置を用いて達成され、そこでは、磁性材料が、固形物質において分散される粒子から構成され、粒子は、磁気的に安定であり、及び局所磁場を生じさせるために実質的に整列される。固形物質において分散する粒子から構成される磁性材料は、典型的に、慣習的な磁性材料に比べ、製造及び処理がし易く、それは、本発明に従う磁気的な装置を、典型的に、慣習的な磁気的装置よりもあまり高価でないものにさせる。
【0014】
方法の具体例において、外的な磁場を適用する工程は、物質を凝固させる工程中に実行される。この具体例の利益は、外的な磁場が凝固中に存在することで、粒子が、各粒子磁場の寄与を局所磁場のパターンに対して最適化する物質の凝固中に、整列したままにあることを確実にすることである。
【0015】
方法の具体例において、外的な磁場を適用する工程は、空間的な磁場強度変動を外的な磁場において創作する工程を備える。空間的な磁場強度変動のために、磁場は、例えば、分離した部分で集中することがある。これは、外的な適用される磁場の全体的な場強度の更なる減少を可能にし、その一方、十分に強い磁場を、分離した部分で、粒子を整列させるために維持する。
【0016】
方法の具体例において、外的な磁場を適用する工程は、分離した部分のパターンを創作する工程中に実行し、及びそこでは、分離した部分のパターンを創作する工程が分離した部分のパターンを創作するための印(スタンプ)を利用する工程を備え、印は、空間的な磁場強度変動を創造するために、磁気的に透過性の材料を備える。磁気的な透過性物質は磁力線を集める。磁気的な透過性材料が均一な磁場においてもたらされるとき、磁力線の収集(gethering)は、磁気的な透過性材料での磁力線の増加した集中(concentration)を導入し、空間的な磁場強度変動を創作する。
【0017】
方法の具体例において、印の磁気的な透過性材料は、分離した部分のパターンに対応する印-パターンにおいて並べられる(arranged)。この具体例の利益は、外的な磁場が適用され、一方で印が分離した部分のパターンを創作するとき、磁気的な透過性材料が磁力線を集め、及び分離した部分のパターンに対応する空間的な磁場強度変動を創作し、磁場強度を分離した部分で増加させ、及び磁場強度を分離した部分の外部(外側)で減らすことである。外的な適用される磁場の全体的な場強度の減少を可能にすることの次に、これらの場強度変動は典型的に、磁場勾配を招き、それは粒子の移動を、粒子の濃度差を物質において創作する勾配に沿った結果にする。磁化される粒子は、それらの磁束を最大にし、粒子の移動性に基づいて、磁場がより一層強い領域に移動しがちである。装置における粒子の濃度差は、局所磁場の磁場強度における相違を招く。粒子の固定及び外的な磁場の除去の後、粒子の濃度変動が局所磁場の場-強度変動を装置において招く。
【0018】
方法の具体例において、印の磁気的な透過性材料は、印から出る突出部分において並べられ、及び分離した部分のパターンを創作するために、陰の(negative)印-パターンにおいて並べられる。陰の印-パターンは、印から出る突出部分のパターンであり、それは、物質に適用されるとき、分離した部分のパターンを物質において創作する。この具体例の利益は、外的な磁場を適用し、一方、印が分離した部分のパターンを創作するとき、突出部分における磁気的な透過性材料が、空間的な磁場強度変動を創作し、及び外的な磁場を分離した部分の層において集中させることである。また、この具体例において、分離した部分に向かう粒子の移動が起こり得、それは物質において分散する粒子の移動性による。
【0019】
方法の具体例において、物質を提供する工程は、物質を連続的な層において提供する工程を備え、及びそこでは、分離した部分のパターンを創作する工程が、連続的な層からの突出部分を創作する工程を備え、突出部分は、分離した部分である。この具体例の利益は、物質及び分離した部分のパターンを比較的容易に適用することができることである。物質は、例えば、回転塗布(spin-coating)によって適用することができ、及びパターンを、次いでパターンの箔押しを介して適用することができ、連続的な層からの突出部分のパターンを創作する。
【0020】
装置の具体例において、粒子は、少なくとも100キロジュール毎立方メートル、及び好ましくは400キロジュール毎立方メートルより上の磁気異方性エネルギ密度を持つ材料から構成される。100キロジュール毎立方メートルより高い磁気異方性エネルギ密度を持つ物質から構成される粒子と関連する障壁エネルギは、典型的に、大きなままであり、粒子の磁化方向の磁気的な安定性を、比較的小さな寸法(dimensions)の粒子でさえも確実にするのに足りるようである。400キロジュール毎立方メートルより高い磁気異方性エネルギ密度を持つ材料は、粒子の寸法の更なる減少を可能にする。これらの材料は非常に磁化し難いが、提案した装置は、粒子の磁化を、比較的弱い外的な適用される磁場を用いて可能にする。
【0021】
装置の具体例において、局所磁場はすべて実質的に同じ磁場方向を持つ。分離した磁性材料のパターンは典型的に、センサによって感知されることができる磁場強度変動のパターンを備える。磁場強度変動のパターンは例えば、装置上で蓄えられる情報を表し得る。
【0022】
装置の具体例において、固形物質は重合体である。重合体を用いるとき利益は、熟練した者に良く知られる製造方法の広汎な範囲を採用し得ることである。重合体を用いるときの更なる利益は、重合体が、典型的に低い粘性を持つ単量体から生産されることである。単量体において懸濁される粒子は典型的に、比較的自由に動き、及び従って比較的弱い外的な磁場を用いて整列させることができる。単量体のそれに続く重合は、好ましくは、外的に適用される磁場が存在する間に、永久に磁化される重合体を招く。
【0023】
本発明のこれらの、及び他の局面は、後述する具体例から明らかであり、及びそれを参照して明瞭にされる。図面に関する説明は、(図面の簡単な説明)の項に移す。
【0024】
図面は、純粋に図式的であり、及び縮尺に合わせて描いていない。特に明快さのために、若干の寸法は強く強調される。同様な構成要素(components)は図面において、できる限り同じ程度に、同じ参照番号によって表示する。
【0025】
図1Aから1Cまでは、本発明に従う装置10、20、30の具体例を示す。図1Aから1Cまでに示す具体例において、装置10、20、30は、磁性材料18を備え、そこでは、磁性材料18は固形物質24において分散する粒子22から構成される。装置10、20、30は磁性材料18の分離した部分14を持つ層12を備える。固形物質24における粒子22は、粒子22 の内部の矢印によって指示される方向において磁化される磁化した粒子22である。示される具体例では、粒子22は実質的に、例えば、外的に適用される磁場50、52を用いて整列される(図2C、2D、3B及び3Eを参照)。整列し磁化される粒子22のために、磁性材料18は、巨視的な(比較的弱い)磁場4を備える。層12の内部で、分離した部分14は、装置10、20、30から出る局所の(比較的強い)磁場2を生じる磁化した材料18の単離される部分である。
【0026】
装置10、20、30 の具体例では、装置10、20、30は、例えば、局所磁場2のパターンが磁気的な読み専用メモリ(Read Only Memory)装置上で蓄えられる情報を表す磁気的な読み専用メモリ装置である。各々の分離した部分14は、磁性ビットの値を表してよく、そこでは、局所磁場2を生じる分離した部分14の存在又は不存在が磁性ビットの値を表してよい。さらなる具体例において、装置10、20、30は例えば、局所磁場2のパターンを要求するバイオセンサの並びの1部分である。
【0027】
磁性材料18は固形物質24において分散する粒子22を備える。固形物質24は、粒子の磁場が、分離した部分14から出る局所磁場につながり及び生じさせるための非-透過性材料であってよい。好適例において、固形物質24は、よく知られる生産方法の広汎な範囲の使用により、装置10、20、30が製造されるのを可能にする重合体である。
【0028】
粒子22は、固形物質24において分散され、磁気的に安定である。典型的に磁気的な安定性は、障壁エネルギによって定められ、それは粒子22の磁化方向を変えるために必要なエネルギである。障壁エネルギは、粒子22の容量に、及び磁気異方性エネルギ密度と呼ばれる物質的な変数に左右される。粒子22の寸法の減少が、分離した部分14の大きさ(size)の減少を装置10、20、30において可能にすることは容易に理解することができる。特に、装置10、20、30が読み取り専用メモリ装置として使用されるとき、分離した部分14の大きさの減少は、装置10、20、30の記憶密度における増加を可能にする。しかし、粒子22の大きさの減少は障壁エネルギを減らし、及び障壁エネルギが粒子22の熱エネルギに近づくとき、それらは磁気的に不安定になり、及び無作為に磁化を変える。粒子22は、高い磁気異方性エネルギ密度を持つ材料から構成され、例えば、100キロ-ジュール毎立方メータより高い磁気異方性エネルギ密度が粒子の大きさを13ナノメータより小さいものにまで減少させるのを可能にする一方、粒子22はそれらの磁気的な安定性を何千年もの間保つ。好適例において、粒子22は、400キロ-ジュール毎立方メータより高い磁気異方性エネルギ密度を持つ材料から構成され、例えば、粒子22はサマリウムコバルト(SmCo)から構成された。サマリウムコバルトの使用は、粒子22の大きさを8.5立方ナノメータよりも小さいものにまで減らすことを可能にする一方、何百年もの間の磁気的な安定性を保つ。磁性材料18は、サマリウムコバルトを固形物質24において分散する粒子22として備え、100ギガビット毎平方インチの典型的な記憶容量を招くサブ-ミクロンの寸法を持つ分離した部分14を可能にする。
【0029】
粒子22の整列により、磁性材料18は磁化される。実質永久に磁化される磁性材料18を得るため、固形物質24において分散する粒子22の磁化方向は、固形物質24内で固定でなければならない。これを達成するために、粒子22は磁気的に安定であるように選ばれる(前の段落を参照)。しかし、磁性材料18の磁気的安定性はまた、固形物質24における粒子22の固定に左右される。例えば、粒子22が球形であるとき、固形物質24における粒子22の回転はまだ可能かもしれない。装置10、20、30の具体例では、粒子22は、固形物質24内の粒子22の整列を確保するための形状を持つ。装置10、20、30の更なる具体例においては、粒子22は、固形物質24内の粒子22の整列を確保するために、固形物質24に化学的に結合する。固形物質24における粒子22の整列の固定は、磁性材料18の磁化を確保し、及び装置10、20、30の局所磁場2のパターンを確保する。
【0030】
図1Aは、磁性材料18が連続的な層28において備わる装置10の具体例を示し、及び分離した部分14が連続的な層28からの突出する部分14によって構成される。
【0031】
図1Bは、付加的なカバー層34が適用され、分離した部分14の層12が覆われる装置20の具体例を示す。カバー層34は例えば、局所磁場2が装置20から出ることを可能にする非-磁性材料から構成される。
【0032】
図1Cは、分離した部分14のパターンが基材26に直接適用される装置30の具体例を示す。分離した部分14のパターンは例えば、液体の磁性材料18の滴下(drops)を介して適用され、そこで粒子22が整列され得る。磁性材料18の滴下のそれに続く凝固は、固形物質24において分散する粒子22の分離した部分14のパターンを招く。
【0033】
図2Aから2Eまでは、本発明に従う装置10を製造する方法の、いくつか(several、5又は6種くらい)の工程を示す。
【0034】
図2Aは、磁性材料18の層28が基材26に適用され、そこで、磁性材料18が物質32において分散する粒子22から構成されることを示す。物質32は典型的に、物質32において分散する粒子22が比較的自由に回転するのを許す粘性を持つ。図2Aはまた、印40から出る突出部分42を備える印40を示す。印40からの突出部分42は、陰の印-パターンにおいて並べられる。陰の印-パターンは、印40が磁性材料18の層28に適用されるとき、分離した部分14のパターンが磁性材料18において創作されるよう選ばれる。物質32において分散する粒子22が回るのを許す物質32の粘性は、典型的にまた、分離した部分14のパターンの創作を磁性材料18の層28において、印40を適用することによって可能にする。
【0035】
図2Bは、磁性材料18の層28に適用され、分離した部分14のパターンを持つ層12を創作する印40を示す。
【0036】
図2Cは、物質32において分散する粒子22の整列を外的な適用される磁場50を介して示す。適用される印40は例えば、外的な適用される磁場50が物質32において分散する粒子22を整列させるのを許すための非-透過性物質から構成される。具体例において、印40は、磁化された永久的な磁性材料から構成され、局所適用場のパターンを磁性材料18の層28に対して提供する。図2Cにおいて、外的な適用される磁場50は、層28に対し平行に並べられる。外的な適用される磁場50はまた、層28に垂直に又は層28に関して予め定められた角度で、本発明の範囲から逸脱することなく並べ得る。
【0037】
図2Dは、固形物質24を得るための物質32の凝固の工程を示す。図2Dにおいて示すような凝固は、物質32を、印40を通して紫外線光UVで照射することによって実行され、例えば、物質32の化学的な組成を変える。物質32は例えば、単量体であり、紫外線光UVを用いて照射されるときに重合し、重合体である固形物質24を形成する。物質32の凝固は、磁気的に整列される粒子22を、固形物質24において固定し、永久に磁化される磁性材料18を創作する。代わりに、物質32は、熱溶融される固形物質24であってよく、粒子22の増加した移動性を、印40の適用中及び粒子22の整列中に得ることができる。次いで、冷却は分離した部分14のパターンを磁性材料18において確保し、及び整列する粒子22を固形物質24において確保する。高められる温度を持つ物質32を使用するときの追加の利益は、温度における増加が粒子22の群がり(clustering)を高められた熱撹拌によって避けることである。
【0038】
図2Eは示した処理工程に従って生産されるような装置10を示す。分離した部分14が磁性材料18の連続的な層28から突出するので、局所磁場2が創作される。
【0039】
図2Aから2Eまでに示す工程の修飾は、本発明の範囲から逸脱することなく実行し得る。例えば、外的な適用される磁場は、図2Aから2Dまでに示すいずれかの1種の工程中に存在してよい。特に、外的な適用される磁場50を、凝固処理中に適用することは、粒子22の整列を凝固処理中に確かにする。別の修飾は、物質32が凝固する前に印40を除去することでよい。磁性材料18は例えば、印40が除去される時でさえ、分離した部分14のパターンが層12において存在するままの粘性を備える。この修飾の利益は、印40が紫外線光UVについて透明である必要がないことである。また、凝固の工程における修飾は、本発明の範囲から逸脱することなく、例えば、酸化、2-成分配合(ブレンド)、熱硬化、又は冷却を介する凝固が可能である。凝固の種類は用いる物質32に左右される。
【0040】
図2Cから2Eまでに示す具体例では、磁性材料18における粒子22はすべて実質的に整列される。代わりの具体例(示していない)では、粒子22の整列は、例えば、分離した部分14において、予め定める複数の磁場方向の1種であり得る。これは、局所的に固形物質24の粘性を減少させることによって、例えば、固形物質24の局所的加熱、及び必要とされる局所磁場方向に対応する外部の磁場50を適用することによって達成し得る。次いで、粘性の増加、例えば、固形物質24の冷却によって、分離した部分14の局所磁場方向を確保する。代わりに、予め定める複数の磁場方向は、局所の凝固によって達成され得る。例えば、第1のマスク(示していない)は、紫外線光UVと、紫外線光UVを予め定める分離した部分14でだけ伝える(transmits)磁性材料18との間で適用され、一方で、第1の外的な適用される磁場(示していない)が存在する。第2のマスク(示していない)は、第1のマスクを置き換え、及び紫外線光UVを代わりの分離した部分14でだけ伝え、一方第2の外的な適用される磁場(示していない)が存在する。第1の外的な適用される磁場の磁化方向は、第2の外的な適用される磁場の磁化方向と相違する。予め定める複数の磁場方向を備える局所の磁場2のパターンは、磁場方向における違いに感受性のあるセンサを使用して感知され得る。予め定める複数の磁場方向を備える装置が、読み取り専用メモリ装置として用いられるとき、センサによって感知される特定の磁場方向は、装置上に蓄えられる情報の特定の値を表し得る。
【0041】
装置10を製造する方法の代わりの具体例において、整列する粒子22を備える物質32を凝固する工程は、分離した部分14のパターンを創作する工程の前に実行される。分離した部分14のパターンは例えば、固形物質24のエッチングを介して創作される、例えば、固形物質24からの突出部分である。固形物質24の典型的なエッチングは、レジストが固形物質24に対して適用され得るよく知られた平版印刷(lithography)法を介して行うことができる。創作例えば、分離した部分14の必要なパターンに対応するレジスト-パターンのものは、固形物質24のエッチングが分離した部分14のパターンを得ることを可能にする。
【0042】
図3Aから3Dまでは、印48、49が磁気的に透過性の材料44、46のパターンを備える装置を製造することについての、印48、49の利用を示す。磁気的に透過性の材料44、46は、典型的に磁力線を集める。磁気的に透過性の材料44、46をパターンにおいて適用することは、空間的な磁場強度変動54、56を創作する。透過性材料44、46の、外的な適用される磁場50、52内でのパターンは、磁場の集中を、例えば、分離した部分14において可能にする。磁場50、52を、分離した部分14において集中させるとき、外的な適用される磁場50、52の磁場強度は、減少されることがあり、一方、まだ、磁場強度が分離した部分14で、分離した部分14における粒子22を整列させるのに十分である。外的な適用される磁場50、52を分離した部分14において集中させる付加的な利益は、これが、粒子22の濃度変動を磁性材料18において可能にすることである。磁化される粒子22は、それらの磁気-静止(magneto-static)エネルギを最小にしがちで、及び従って集中される磁場54、56を分離した部分14で引き寄せる(drawn toward)。磁化される粒子22の移動性が高いとき、磁場54、56の分離した部分14において足りる集中は、磁化される粒子22の分離した部分14の縁部(edges)での密度を増加させ、得られる局所磁場2の強度を増加させる。
【0043】
図3Aは分離した部分14のパターンの創作を示し、そこでは印48が用いられ、分離した部分14のパターンに対応する磁気的に透過性の材料44のパターンを持つ。図3Bは、外的な磁界52が適用させるときに起こる透過性材料44のパターンによる、空間的な磁場強度変動54を示す(図3Bでは、印48は空間的な場強度変動54を示すように高さで減少する)。図3Bから見ることができるように、粒子22の濃度増加は、分離した部分14で示され、集中した磁場強度変動54のために、粒子22の移動から招かれる。好ましくは、層28に垂直な透過性材料44の寸法は、層28に平行な透過性材料44の寸法よりも大きくなければならない。
【0044】
図3Cは、分離した部分14のパターンの創作を示し、そこでは印49が用いられ、印49から出る突出部分42で並べられる透過性材料46を持つ。印49の具体例において、突出部分42は、透過性材料46から十分に形成され得る。図3Dは、透過性材料46のパターンにより、空間的な磁場強度変動56を示し、それは外的な磁場50が適用されるときに起こる。この具体例において、空間的な磁場強度変動56は、外的な適用される磁場50を、分離した部分14を備える層12において集中させ、磁場の強度を分離した部分14において増加させる。図3Dにおいて示すように、集中した磁場の存在は分離した部分14を備える層12において、粒子22の増加した濃度を、基材32において、分離した部分14で、磁性材料18の残りと比較して、創作する。
【0045】
代わりとなる具体例において、透過性材料44、46のパターンは、印48、49から分けて適用され得、例えば、透過性材料44、46のパターンを持つ非-透過性材料から構成されるマスク(示していない)が用いられる。透過性材料44、46のマスクは、粒子22を整列する工程中に適用され得、例えば、印40が分離した部分14のパターンを創作するために適用された後である。
【0046】
図4A及び4Bは、本発明に従う記憶装置の2種の具体例を示す。図4Aは、読み専用磁気情報媒体10及び読み出し部(part)102である装置10を備える記憶装置100を示す。読み出し部102は、センサ104、スキャンシステム106及び入力/出力の装置108を備える。読み出し部102は、例えば、読み専用磁気情報媒体10がセンサ104を横切って回転するためのモータ、又は例えば、センサ104が読み専用磁気情報媒体10を横切ってスキャンするため横木(レール)106、又は例えば、読み専用磁気情報媒体がセンサ104を横切ってスキャンするための横木を備える。センサ104は例えば、分離した部分14の局所磁場2を、局所磁場2がセンサ104において抵抗を定める磁気-抵抗現象を通して感知する。センサ104は例えば、スキャンシステム106に沿って動き、及び局所磁場2の存在又は不存在を、読み専用磁気情報媒体10の分離した部分14を横切るスキャンによって感知する。センサ104は、例えばまた、局所磁場2の方向に感受性であってよい。図4Aで示す例では、スキャンシステム106がまた使用され、センサ104によって取り出される(retrieve)データを、入力/出力の装置108に提供する。入力/出力の装置108を介し、読み専用磁気情報媒体10から読まれるデータは、任意の他の電子機器(equipment)、そのようなもの、パーソナルコンピュータ、ビデオゲーム、移動式電話、等に提供することができる。
【0047】
図4Bは、本発明に従う記憶装置120を示し、ハードディスクドライブ120である。ハードディスクドライブ120は、複数の記憶プラタ122を、情報を蓄えるために、及び複数のアーム(腕)126を備え、各々読み-書きのヘッド124を備える。ハードディスクドライブ120は、本発明に従う装置10を備え、読み専用磁気情報媒体10である。装置10上に蓄えられる情報が局所磁場2のパターンによって表されるので、情報は、ハードディスクドライブ120の読み-書きのヘッド124によって読むことができる。
【0048】
上述の具体例が、本発明を制限するよりはむしろ、それを例証し、及びこの技術において熟練した者が多数の代わりの具体例を、添付する請求の範囲の範囲から逸脱することなく、設計することができることは、注目されるべきである。
【0049】
請求の範囲において、丸括弧の間に配置される任意の参照標示(signs)も請求項の発明を制限するものとして解釈されない。動詞“備える”及びその活用の使用は請求項において述べるもの以外の要素又は工程の存在を排除しない。要素に先行する冠詞“1つの(a)”又は“an”は複数のかかる要素の存在を排除しない。本発明は、いくつかの別個の要素を備えるハードウェアを使って実施することができる。いくつかの手段を列挙する装置の請求項の発明において、これらの手段のいくつかは、1種のもの及びハードウェアの同じ種目(アイテム)のものによって具体化され得る。一定の措置が相互に異なる従属形式請求項において引用されるという単なる事実は、これらの措置の組合せが有利に用いることができないことを指示していない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】1Aから1Cまでは本発明に従う装置の具体例を示す。
【図2】2Aから2Eまでは本発明に従う装置を製造する方法におけるいくつかの工程を示す。
【図3】3Aから3Dまでは装置を製造する方法における透過性材料を備える印の利用を示す。
【図4】4A及び4Bは本発明に従う記憶装置の2種の具体例を示す。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図4A】

【図4B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料の分離した部分のパターンを持つ層を備え、磁性材料が対応するパターンの局所磁場を生じさせる装置であり、磁性材料が固形物質において分散する粒子から構成され、粒子が磁気的に安定で、及び局所磁場を生じさせるために実質整列されるものを製造する方法であって、次の工程、すなわち、
-物質を提供し、それが物質において分散する粒子を持ち、物質は粒子が物質において動くのを許すための粘性を持つ工程、
-物質の分離した部分のパターンを、装置の層において創作する工程、
-外的な磁場を、粒子を物質の分離した部分において実質整列させるために適用する工程、
-物質を、固形物質を得るために凝固する工程
を備える、方法。
【請求項2】
外的な磁場を適用する工程が、物質を凝固する工程中に実行される、請求項1に記載の装置を製造する方法。
【請求項3】
外的な磁場を適用する工程が、空間的な磁場強度変動を外的な磁場において創作する工程を備える、請求項1又は2記載の装置を製造する方法。
【請求項4】
外的な磁場を適用する工程が、分離した部分のパターンを創作する工程中に実行され、及びそこで、分離した部分のパターンを創作する工程が、印(スタンプ)を、分離した部分のパターンを創作するために利用する工程を備え、印が、磁気的に透過性の材料を、空間的な磁場強度変動を創作するために備える、請求項3記載の装置を製造する方法。
【請求項5】
印の磁気的に透過性の材料が分離した部分のパターンに対応する印-パターンにおいて並べられる、請求項4記載の装置を製造する方法。
【請求項6】
印の磁気的に透過性の材料が印から出る突出部分において並べられ、及び陰の印-パターンにおいて分離した部分のパターンを創作するために並べられる、請求項4記載の装置を製造する方法。
【請求項7】
物質を提供する工程が、物質を連続する層において提供する工程を備え、及びそこで、分離した部分のパターンを創作する工程が、連続する層からの突出部分を創作する工程を備え、突出部分が分離した部分である、請求項1又は2記載の装置を製造する方法。
【請求項8】
物質を提供する工程が、単量体を物質として提供する工程を備え、及びそこで、物質を凝固する工程が単量体を重合し重合体を得る工程を備える、請求項1又は2記載の装置を製造する方法。
【請求項9】
磁性材料の分離した部分のパターンを持つ層を備え、磁性材料が対応するパターンの局所磁場を生じさせる装置であって、磁性材料が固形物質において分散する粒子から構成され、粒子が磁気的に安定で、及び局所磁場を生じさせるために実質整列される、装置。
【請求項10】
読み専用の磁気的情報媒体であり、そこで、局所磁場のパターンが、読み専用磁気的情報媒体上に蓄えられる情報を表す、請求項9記載の装置。
【請求項11】
粒子が、少なくとも100キロジュール毎立方メータの、及び好ましくは400キロジュール毎立方メータより高い磁気異方性エネルギ密度を持つ材料から構成される、請求項9又は10記載の装置。
【請求項12】
局所磁場が実質すべて同じ磁場方向を持つ、請求項9又は10記載の装置。
【請求項13】
固形物質が重合体である、請求項9又は10記載の装置。
【請求項14】
読み出し部を備え、読み出し部が局所磁場のパターンを感知するためのセンサを備える記憶装置である、請求項9記載の装置。

【公表番号】特表2009−502004(P2009−502004A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522128(P2008−522128)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052386
【国際公開番号】WO2007/010457
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【Fターム(参考)】