説明

磁石回転型発熱装置

【課題】 高温を発生することができるとともに、永久磁石の温度上昇による磁力の低下を防止することができる磁石回転型発熱装置を提供する。
【解決手段】 ベース2に対して回転自在に支持されて、上面に複数の永久磁石4が同心円状に配置されたロータ5と、その上方に近接してベース2に対して固定支持された発熱板6との間に、遮熱板26が配置されている。遮熱板26は、発熱板6から永久磁石4側へ放射される熱を遮断するとともに、ロータ5が回転することで生じる空気流が発熱板6に当たることを妨げて、前記空気流によって発熱板6から熱が奪われることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転運動のエネルギーを熱エネルギーに変換する装置に関し、特に、永久磁石の回転運動によって導体内に渦電流を生じさせて発熱させる構造の磁石回転型発熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されているように、導体と永久磁石を対向して配置し、この導体に対して永久磁石を回転させることによって、導体内に渦電流を生じさせて発熱する構造の発熱装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−312574号公報
【特許文献2】特許第3955888号公報
【0004】
前記特許文献1に記載されている装置は、駆動モータにより永久磁石を回転させてこれに対向する導体を加熱し、当該導体側に設けられた熱媒体用流体ジャケット内を循環する熱媒体用流体を加熱するようにしたマグネット式ヒーターとして構成されている。
【0005】
また、前記特許文献2に記載されている装置は、風力によって永久磁石が取り付けられたロータを回転させて、その磁界中に配置された導電材料を含む加熱部を加熱し、当該加熱部に熱的に接続された流体回路を通過する流体を加熱するようにした永久磁石式渦電流加熱装置として構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような、永久磁石を回転させることによって導体内に渦電流を発生させる構造の従来の発熱装置においては、導体に近接して配置されている永久磁石が、当該導体から放射される熱に長時間に晒されていると、永久磁石が高温になってその磁力が弱まってしまう問題があった。
【0007】
また、永久磁石が回転することによって、周囲の空気が引きずられて空気流が生じ、これが導体表面に当たると導体から熱が奪われてしまうため、導体を高温に加熱することが困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、前述したような従来の発熱装置の問題点を解消し、高温を発生することができるとともに、永久磁石の温度上昇による磁力の低下を防止することができる磁石回転型発熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的のために提供される本発明の磁石回転型発熱装置は、ベースと、前記ベースに対して回転自在に支持された入力軸と、前記入力軸の一端に中心位置を固定され、当該入力軸側と反対側の面に、複数の同形の磁石保持穴が前記中心位置に対して同心円上に等間隔で複数形成された、非磁性材料からなるロータと、前記それぞれの磁石保持穴内に埋設固定され、それぞれが前記ロータの軸方向に着磁され且つ当該ロータの周方向に隣合うものどうし互いに磁極が反対向きに着磁された、複数の永久磁石と、非磁性金属材料で形成され、前記ロータの磁石保持穴が形成されている側の面と近接して対向するように、電気絶縁体を介して前記ベースに対して固定支持された発熱板と、前記発熱板と前記ロータとの間の定位置に配置され、非磁性、電気絶縁性、耐熱性、及び断熱性を具備した材料で形成されて、当該発熱板とロータとの間の熱の移動を抑止する遮熱板とを備えたものである。
【0010】
本発明の磁石回転型発熱装置においては、ロータを回転駆動する可変速モータが内蔵され、前記モータの出力軸によって入力軸が兼用されていることが望ましい。また、入力軸が風車又は水車により回転駆動されることも望ましい。さらに、入力軸が増速機構を介して人力により回転駆動されることも望ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された発明に係る磁石回転型発熱装置によれば、発熱板とロータに設けられた永久磁石との間に遮熱板が配置されているため、高温の発熱板から放射される熱が遮熱板に遮られて、永久磁石の温度上昇による磁力の低下を防ぐことができる。
【0012】
また、ロータが高速で回転する際に、周囲の空気を巻き込んで生じる空気流が遮熱板で遮られて発熱板には当たらないため、発熱板が空気流に当たって冷やされることが防止され、高温を発生することができる。
【0013】
また、請求項2に記載された発明に係る磁石回転型発熱装置によれば、請求項1に記載された発明の効果に加え、さらに、入力軸を、装置に内蔵した可変速モータの出力軸で兼用しているため、部品点数を少なく且つ装置全体をコンパクトに構成することができるとともに、ロータの回転速度を変えることによって、発熱板の発熱量を容易に調整することができる。
【0014】
請求項3に記載された発明に係る磁石回転型発熱装置によれば、請求項1に記載された発明の効果に加え、さらに、発熱のための燃料や電力が不要になり、且つ、地球温暖化の原因と言われているCOを発生させずに発熱することが可能になるので、省エネルギーや環境負荷の低減に貢献することができる。
【0015】
請求項4に記載された発明に係る磁石回転型発熱装置によれば、前記請求項3に記載された発明の効果に加え、さらに、電源や燃料が確保できないキャンプ地や地震等の非常時において、調理や暖房等のための熱源として効果的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の磁石回転型発熱装置の1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の磁石回転型発熱装置の1実施形態を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の磁石回転型発熱装置の1実施形態におけるベースの平面図である。
【図4】本発明の磁石回転型発熱装置の1実施形態におけるロータの平面図である。
【図5】図4のX−X断面を示す部分断面図である。
【図6】本発明の磁石回転型発熱装置の1実施形態における支柱保持板の平面図である。
【図7】本発明の磁石回転型発熱装置の1実施形態における発熱板と遮熱板を示す斜視図である。
【図8】本発明の磁石回転型発熱装置の1実施形態における発熱板下面への遮熱板の取付構造を示す部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の磁石回転型発熱装置(以下、単に発熱装置という)の1実施形態を示す縦断面図、また図2は、その分解斜視図(一部の部品は図示を省略)であって、これらの図に示すように、本発明の発熱装置1は、ベース2上に設けられた可変速モータ3によって回転駆動される、上面に多数の永久磁石4(図2中では図示を省略)が埋設固定されたアルミニウム製のロータ5を備えている。
【0018】
また、ロータ5の上方には、アルミニウム製の発熱板6が配置されていて、モータ3によってロータ5を回転させると、発熱板6を貫通する永久磁石4の磁束がロータ5とともに回転移動することで発熱板6内に渦電流が生じ、その際、発熱板6内部の電気抵抗によって発熱板6自体が発熱して、上面に載せた被加熱体Vを加熱する構造になっている。
【0019】
ベース2は、図3に示すように平面視が正方形状であって、その4隅近傍に形成されているねじ孔2Aにそれぞれ、ゴム製の防振パッド7の調整ねじ7Aが螺着されており、これらの防振パッド7を介して床や台のような支持面A上に支持されている。
【0020】
これらの防振パッド7は、ベース2が支持面A上で水平になるように、対応するねじ孔2Aに対して調整ねじ7Aの螺合位置を回転させて調整し、ロックナット8で固定できるようにしてある。また、ベース2の対角線上の中央部周辺にはモータ支柱取付孔2Bが4箇所形成されている。なお、この実施形態におけるベース2は軽量化のためアルミニウム製の厚板で製作されている。
【0021】
これらのモータ支柱取付孔2Bにはそれぞれ、ベース2の下面側から固定ボルト9が差し込まれ、当該ベース2の上面に立設される4本のアルミニウム製のモータ支柱10の下端面に形成されたねじ穴10A(図1参照)に螺合されることで、これらのモータ支柱10がベース2の上面に垂直に固定されるようになっている。
【0022】
図2に示すように、これらのモータ支柱10の上端面には、下端面のねじ穴10Aと同様なねじ穴10Bが形成されていて、モータ3の取付フランジ3Aの4箇所に設けられたボルト孔3Bにそれぞれ固定ボルト11を通して、これらのねじ穴10Bに螺合することで、モータ3を上向きの状態でベース2上に固定してある。
【0023】
取付フランジ3Aから上方に突出するモータ3の出力軸3Cには、弾性変形可能に周面の一部に軸方向のスリ割り(図示せず)が形成された環状のスペーサ12が外嵌されており、さらにその外周を包囲するように、固定リング13が装着されている。
【0024】
前記固定リング13は、弾性変形可能に、周面の一部に軸方向のスリ割り13Aが形成されているとともに、軸方向に貫通する取付孔13Bが、出力軸3Bと同心の円周上3箇所に形成されている。
【0025】
また、図示していないが、固定リング13には、スリ割り13Aを横断するように締結ねじが装着されていて、この締結ねじを締め込むことによってスリ割り13Aの隙間が狭まり、固定リング13がスペーサ12を介して出力軸3Cの外周面を締め付けて、これに摩擦固定されるようになっている。
【0026】
一方、ロータ5の中心部には、モータ3の出力軸3Cの上端が嵌合される軸孔5Aが形成されているとともに、その周囲には、前記3つの取付孔13Bと中心がそれぞれ重なる位置にねじ孔5Bが貫通形成されている。
【0027】
固定リング13の取付孔13Bには、下方から固定ボルト14が差し込まれて、ロータ5のねじ孔5Bに螺着されており、固定リング13を介してモータ3の出力軸3Cとロータ5とが一体に連結固定されている。
【0028】
図4は、ロータ5の平面図、図5は、図4におけるX−X断面を示す部分断面図であって、図4に示すように、本実施形態のものにおいては、ロータ5の上面には、軸孔5Aの中心に対して、内外2つの同心円上に、円筒状の磁石収容穴5Cがそれぞれ12個ずつ形成されている。
【0029】
それぞれの磁石収容穴5C内には、その内径と深さに適合するサイズの円筒状で且つ軸方向に着磁された永久磁石4が嵌め込まれている。図5に示すように、これらの永久磁石4には軸方向に貫通する貫通孔4Aが形成されていて、皿ねじ15を貫通孔4Aに通して磁石収容孔5Cの底の中心部に形成されたねじ孔5Dに螺着することで、それぞれの永久磁石4が磁石収容穴内に埋設固定されている。
【0030】
また、ロータ5の円周方向に隣合う永久磁石4どうしは、N磁極とS磁極の向きが交互に反対になるように配置されており、また、図4に示すように、外側の円周上に配置されている12個の永久磁石4と、内側の円周上に配置されている12個の永久磁石4とは、互いに中心角で15度位相を異ならせて配置されている。なお、本実施形態のものにおいては、これらの永久磁石4には、現在流通している永久磁石の中で磁力が最も強力なネオジム磁石を用いている。
【0031】
図1に示すように、ベース2の上面に重ねてアルミニウム製の支柱保持板16が設けられている。図6に示すように、この支柱保持板16は、平面視で正方形状に形成されており、その中央部には4本のモータ支柱10を配置するために、大径の孔16Aが開口されている。
【0032】
また、支柱保持板16の4隅の近傍にはそれぞれ、支柱貫通孔16Bが形成されているとともに、各辺に沿った方向に隣合う2つの支柱貫通孔16Bの間にはそれぞれ、2つずつボルト孔16Cが並べて形成されている。また、それぞれの支柱貫通孔16Bの周囲には、4つの小径のねじ孔16Dが貫通形成されている。
【0033】
一方、図3に示すように、ベース2側には、支柱保持板16の4つの支柱貫通孔16Bと平面視においてそれぞれ重なる位置に、支柱貫通孔2Cが形成されているとともに、各ボルト孔16Cの直下に対向する位置には、それぞれねじ孔2Dが形成されている。
【0034】
支柱保持板16は、これらのボルト孔16Cに上方から固定ボルト17(図2に1箇所のみ図示)を挿入して、対向するベース2側のそれぞれのねじ孔2Dに螺着することによりベース2に固定されている。
【0035】
図1に示すように、ベース2と支柱保持板16の4隅近傍位置で上下に重なって配置されている支柱貫通孔2Cと支柱貫通孔16Bのそれぞれには、支柱18の下端近傍部分が嵌合されている。
【0036】
これらの支柱18は、本実施形態のものにおいては、アルミニウム製の丸棒材で製作されており、支柱保持板16上面に、4箇所の支柱貫通孔16Bのそれぞれと、同軸に配置された固定具19を介して支柱保持板16に固定されている。
【0037】
これらの固定具19は、中央に支柱18が貫通する貫通孔19Aを有しており、その下端に形成されているフランジのボルト孔19Bに上方から固定ボルト20を通し、支柱保持板16の各支柱貫通孔16Bの周囲に形成されているねじ孔16Dに螺着することで、支柱保持板16に固定されている。
【0038】
また、これらの固定具19の上半部分は、前述した固定リング13と同様に、スリ割り構造によって弾性変形可能になっていて、締結ねじ21(図2参照)の締め付けによって貫通孔19Aの上半部分の内周面を縮径させて、支柱18の外周面を固定している。
【0039】
それぞれの支柱18の上端近傍部分は、発熱板6の4隅近傍に形成された貫通孔6Aに嵌挿されている。これらの貫通孔6Aの内径は、支柱18の外径よりも大きく形成されていて、これらの径差で生じる環状の隙間内に、発熱板6の下面側から鍔付きの断熱カラー22を嵌入し、また上面側には断熱ワッシャ23を配置してあり、断熱カラー22の下面と断熱ワッシャ上面にそれぞれ固定リング24、25を当接させて、発熱板6を支柱18に固定してある。
【0040】
これらの断熱カラー22と断熱ワッシャは、本実施形態のものにおいてはセラミック製のものが用いられており、発熱板6と支柱18の間を熱的及び電気的に絶縁している。また、これらの固定リング24、25は、前述した固定リング13や固定具19と同様に、スリ割りを横断する締付ねじを締め付けて支柱18の外周面に固定する構造のものを用いている。
【0041】
図7に示すように、発熱板6の下面には、略正方形状のグラスウール製の遮熱板26がその4隅の近傍で固定ねじ27によって取り付けられている。遮熱板26の4隅部分は、前述した断熱カラー22や固定リング24との干渉を避けるために、角を落として凹んだ円弧状に加工されている。なお、遮熱板26の素材はグラスウールに限定するものではなく、非磁性、電気絶縁性、耐熱性、及び断熱性がこれと同等以上のものであればよい。
【0042】
また、それぞれの固定ねじ27は、図8に示すように、遮熱板26の下方からワッシャ28を介して取付孔26Aに通し、さらにスペーサ29を介して発熱板6下面に形成されているねじ穴6Bに螺着されており、スペーサ29によって発熱板6と遮熱板26間に隙間Sを生じさせることにより発熱板6と遮熱板26間で熱が伝わり難くしてある。
【0043】
次に、前述したように構成されている発熱装置1の動作について説明する。発熱装置1を使用する際には、図1に示すように、ベース2の底部4隅に取り付けられているそれぞれの防振パッド7が支持面Aに対して密着し、且つ、ベース2が水平になるように、各防振パッド7の雄ねじ7Aのベース2のねじ孔2Aに対する螺合位置を調整した後、調整位置がずれないように、ロックナット8を締めて固定しておく。
【0044】
次いで、発熱板6の上に、例えば、鍋のような被加熱体Vを載せてモータ3に通電し、これを起動する。モータ3の出力軸3Cが回転すると、この出力軸3Cに固定されているロータ5も一緒に回転する。
【0045】
一方、ロータ6の上面に磁極NSの向きを交互に反対にして円周方向に配置されているそれそれの永久磁石4の間からは、磁束がロータ6の上方へアーチ状に拡がっており、この磁束はロータ6の上面に配置されている磁性を持たないグラスウール製の遮熱板26を透過して、その上方のアルミニウム製の発熱板6の内部に入り込んでいる。
【0046】
そして、ロータ5が回転に伴って、永久磁石4から出た磁束は発熱板6の中を回転方向に移動し、その結果、導体である発熱板6内部には渦電流が生じる。その際、発熱板6自体の電気抵抗によってジュール熱が発生して発熱板6が高温になり、発熱板6の上面に載せてある被加熱体Vが加熱される。
【0047】
本実施形態の発熱装置1においては、モータ3に可変速モータを用いているため、ロータ5の回転速度を変えることによって、発熱板6の発熱量を容易且つ安定して調整することができる。
【0048】
なお、発熱板6にサーミスタ等の温度センサを取り付けてその温度を検出し、その温度情報に基づいて、モータ3の出力軸3Cの回転数を制御して、発熱板6の温度を所望の値に自動調整できる構造にしてもよい。
【0049】
ここで、ロータ5に取り付けられている永久磁石4は、熱に弱く、高温に晒されると磁性が弱められてしまう問題があるが、発熱板6と永久磁石4との間はグラスウール製の遮熱板26によって隔絶されているため、これらの永久磁石4は、高温の発熱板6から放射される熱の影響を回避することができる。
【0050】
一方、ロータ5は高速に回転することによって、周囲の空気を巻き込んで空気流を生じるが、こうして生じた空気流は遮熱板26によって遮られて発熱板6には当たらないため、発熱板6が空気流によって冷やされてしまう虞が無く、発熱板6を高温に維持することができる。
【0051】
なお、前述した実施形態の発熱装置1は、ロータ5をモータ3の出力軸3Cに直接取り付けているが、ロータをベースに対して回転自在に支持させた入力軸に固定し、この入力軸をモータの出力軸に軸継手等を介して駆動連結するようにしてもよく、前述した実施形態の発熱装置1は、この入力軸を、モータ3の出力軸3Cによって兼用した形態となっている。
【0052】
また、前述した実施形態の発熱装置1においては、図4に示すように、ロータ5上面の外側の円周上に12個の永久磁石4を配置し、内側の円周上に12個の永久磁石4を配置し、さらに外側の円周上の永久磁石4と内側の円周上の永久磁石4との間で、互いに中心角で15度位相を異ならせているが、ロータ上の永久磁石の配置は、この実施形態に限定するものではなく、例えば、単一の円周上や3つ以上の同心の円周上に配置してもよい。
【0053】
また、前述した実施形態の発熱装置1においては、ベース2を正方形板状とし、この上に支柱18やモータ支柱10を介して発熱板6やモータ3を取り付けているが、ベースの構造は、本実施形態のものに限定する必要はなく、例えば、枠状に形成したベースに直接発熱板やモータを取り付けてもよい。
【0054】
また、本実施形態の発熱装置1においては、装置全体の軽量化のためにベース2や支柱18等にアルミニウム材を多用しているが、これに限定するものではなく、同等以上の強度や耐熱性を有する他の素材を用いて製作してもよい。
【0055】
また、前述した実施形態の発熱装置1においては、発熱板1の上面に鍋のような被加熱体Vを載せてこれを加熱する場合について説明しているが、本発明の発熱装置は、被加熱体を加熱する用途のみに限定するものではなく、例えば、発熱板に放熱フィン等を設けて熱を直接室内に放散したり、あるいは、発熱板に熱媒体となる流体の通路を設けて当該流体と熱交換し、この流体を介して間接的に室内に熱を放散することで、暖房の用途にも使用可能である。
【0056】
さらに、入力軸を発熱装置の外部の回転駆動源に駆動連結して回転させることも可能である。外部の回転駆動源としては、ガソリンエンジン等の内燃機関や風車や水車等様々なものを利用することが可能である。
【0057】
特に、入力軸を駆動するための回転駆動源として、風力や水力等の自然エネルギーで回転される風車や水車を利用した場合には、熱を発生させるための燃料や電力が一切不要になり、且つ、地球温暖化の原因と言われているCOを発生させずに発熱することが可能になるので、省エネルギーや環境負荷の低減に貢献することができる。
【0058】
また、発熱装置は、入力軸を周知の歯車等を用いた増速機構を介して人力により、手動ハンドルや足踏みペダル等で回転させる構造にしてもよく、この場合には、電源や燃料が確保できないキャンプ地や地震等の非常時において、調理や暖房等のための熱源として効果的に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 発熱装置
2 ベース
2A ねじ孔
2B モータ支柱取付孔
2C 支柱貫通孔
2D ねじ孔
3 モータ
3A 取付フランジ
3B ボルト孔
3C 出力軸(兼入力軸)
4 永久磁石
4A 貫通孔
5 ロータ
5A 軸孔
5B ねじ孔
5C 磁石収容孔
5D ねじ孔
6 発熱板
6A 貫通孔
6B ねじ穴
7 防振パッド
7A 調整ねじ
8 ロックナット
9 固定ボルト
10 モータ支柱
10A ねじ穴
10B ねじ穴
11 固定ボルト
12 スペーサ
13 固定リング
13A スリ割り
13B 取付孔
14 固定ボルト
15 皿ねじ
16 支柱保持板
16A 孔
16B 支柱貫通孔
16C ボルト孔
16D ねじ孔
17 固定ボルト
18 支柱
19 固定具
19A 貫通孔
19B ボルト孔
20 固定ボルト
21 締結ねじ
22 断熱カラー
23 断熱ワッシャ
24、25 固定リング
26 遮熱板
27 固定ねじ
28 ワッシャ
29 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに対して回転自在に支持された入力軸と、
前記入力軸の一端に中心位置を固定され、当該入力軸側と反対側の面に、複数の同形の磁石保持穴が前記中心位置に対して同心円上に等間隔で複数形成された、非磁性材料からなるロータと、
前記それぞれの磁石保持穴内に埋設固定され、それぞれが前記ロータの軸方向に着磁され且つ当該ロータの周方向に隣合うものどうし互いに磁極が反対向きに着磁された、複数の永久磁石と、
非磁性金属材料で形成され、前記ロータの磁石保持穴が形成されている側の面と近接して対向するように、電気絶縁体を介して前記ベースに対して固定支持された発熱板と、
前記発熱板と前記ロータとの間の定位置に配置され、非磁性、電気絶縁性、耐熱性、及び断熱性を具備した材料で形成されて、当該発熱板とロータとの間の熱の移動を抑止する遮熱板とを備えたことを特徴とする磁石回転型発熱装置。
【請求項2】
ロータを回転駆動する可変速モータが内蔵され、前記モータの出力軸によって入力軸が兼用されていることを特徴とする請求項1記載の磁石回転型発熱装置。
【請求項3】
入力軸が風車又は水車により回転駆動されることを特徴とする請求項1記載の磁石回転型発熱装置。
【請求項4】
入力軸が増速機構を介して人力により回転駆動されることを特徴とする請求項1記載の磁石回転型発熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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