説明

神経新生及び/又は神経再生促進剤

【課題】神経の新生、再生剤、新生促進及び再生促進剤、並びにその医薬組成物の提供。
【解決手段】式(1)


(式中、Rは水素原子、又は水酸基を表す)で示される化合物、又はその酸付加塩、もしくはそれらの水和物を有効成分とする剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経新生作用、神経再生作用、神経新生促進作用、及び神経再生促進作用からなる群から選ばれる1又は2以上の作用を有する剤、並びにその医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
脳や脊髄の外傷、脳血管障害、神経変性疾患などで、神経の軸索が損傷したり、神経が脱落したりすると、治癒することは困難である。神経系、特に中枢神経系では、一旦軸索が損傷したり、神経細胞死が生じたりした場合、神経が再生もしくは新生しないと考えられてきた。近年、中枢神経系でも神経を再生もしくは新生させることの可能性があることが明らかとされつつある。しかし、神経新生もしくは神経再生を、医療技術として使用する為の満足いく治療方法は現在無い。従って、安全性の高い神経新生及び/又は神経再生促進剤の開発が望まれている。
【0003】
一方、一般式(I)で示される化合物は、Rhoキナーゼ、ミオシン軽鎖リン酸化酵素、プロテインキナーゼCといったキナーゼ阻害活性を有し、血管平滑筋弛緩作用、血流増加作用、血圧低下作用、脳、心臓保護作用等を示し、血管拡張剤(特に、狭心症治療剤)、高血圧治療剤、脳、心臓保護剤、動脈硬化症治療剤等において有効な物質であることは、既に公知である(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、又は非特許文献4参照)。しかし、一般式(I)で示される化合物が、神経の新生及び/又は再生に有用である旨、或いはそれを示唆する記載は認められない。
【特許文献1】特開昭61−152658号公報
【特許文献2】特開昭61−227581号公報
【特許文献3】特開平2−256617号公報
【特許文献4】特開平4−264030号公報
【特許文献5】特開平6−056668号公報
【特許文献6】特開平6−080569号公報
【特許文献7】特開平7−80854号公報
【特許文献8】WO98/06433
【特許文献9】WO00/03746
【非特許文献1】Br. J. Pharmacol., 98, 1091 (1989)
【非特許文献2】J. Pharmacol. Exp. Ther., 259, 738 (1991)
【非特許文献3】Circulation, 96, 4357 (1997)
【非特許文献4】Cardiovasc. Res., 43, 1029 (1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、神経を新生及び/又は再生する医薬を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、一般式(I)で示される化合物、又はその酸付加塩、もしくはそれらの水和物が、上記血管平滑筋弛緩作用、血流増加作用、血圧低下作用、脳、心臓保護作用など、従来知られている作用からは全く予期できない神経の新生及び/又は再生に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
(1)下記一般式(I)
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Rは水素原子、又は水酸基を表す)で示される化合物、又はその酸付加塩、もしくはそれらの水和物を有効成分とする神経新生作用、神経再生作用、神経新生促進作用、及び神経再生促進作用からなる群から選ばれる1又は2以上の作用を有する剤。
【0008】
(2)幹細胞、神経前駆細胞、又は神経細胞からなる群から選ばれる細胞を神経細胞として有効に機能させる為の剤であって、該前駆細胞の生着段階、分化段階、及び増殖段階からなる群から選ばれる1つ以上の段階の進行又は進行の促進をするか、或いは機能発現を促進することを特徴とする上記(1)記載の剤。
(3)幹細胞が、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、又は神経幹細胞である上記(2)記載の剤。
(4)幹細胞、神経前駆細胞、又は神経細胞が、内在性細胞である上記(2)記載の剤。
(5)幹細胞、神経前駆細胞、又は神経細胞が、移植細胞である上記(2)記載の剤。
(6)神経が、中枢神経である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の剤。
(7)神経が、末梢神経である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の剤。
(8)機能発現の促進が、神経細胞の神経突起成長促進、又は退縮抑制である上記(2)記載の剤。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の剤を含有する中枢及び/又は末梢神経系疾患の予防及び/又は治療剤。
【0009】
(10)中枢及び/又は末梢神経系疾患が、神経変性疾患、認知又は記憶障害、血管障害、或いは外傷である上記(9)記載の予防及び/又は治療剤。
(11)神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、又はハンチントン病である上記(10)記載の予防及び/又は治療剤。
(12)少なくとも下記の(a)に記載の化合物と(b)に記載の薬とを組み合わせてなる神経新生及び/又は神経再生促進剤;
(a)一般式(I)(式中、Rは水素原子、又は水酸基を表す)で示される化合物、又はその酸付加塩、もしくはそれらの水和物、
(b)神経成長因子、脳機能賦活薬、抗うつ薬、及び抗不安薬からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の薬。
(13)神経再生剤である、上記(6)に記載の剤。
(14)神経再生促進剤である、上記(7)に記載の剤。
(15)神経新生剤、又は神経新生促進剤である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、神経新生作用、神経再生作用、神経新生促進作用、及び神経再生促進作用からなる群から選ばれる1又は2以上の作用を有する剤、並びにその医薬組成物が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明における神経としては、神経細胞体、中枢神経、末梢神経等が挙げられる。
本発明における神経新生としては、例えば、神経細胞以外の細胞、又は別の機能を有する神経細胞(これらを前駆細胞と呼ぶことがある)が所望の機能を有する神経細胞に変わり、最終的に「所望の神経細胞としての所望の機能を果たす」状態にまで成熟することが挙げられる。神経細胞以外の細胞としては、所望の神経細胞に変化し得る細胞であれば何ら限定されないが、例えば、幹細胞、又は神経前駆細胞等が挙げられる。幹細胞としては、例えば、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、又は神経幹細胞等が挙げられる。
【0012】
幹細胞、神経前駆細胞、又は神経細胞からなる群から選ばれる細胞としては、内在性細胞であってもよいし、移植細胞等の外来性細胞であってもよいが、移植細胞であることが好ましい。
例えば、他から神経細胞以外の細胞を移植した場合における神経新生を考えてみると、該細胞が生着し、移植細胞が神経細胞に分化し、分化した神経細胞が増殖できるのであれば増殖し、最終的に「神経細胞としての機能を果たす」状態になることが挙げられる。
本発明における神経新生促進としては、例えば、前記神経新生の速度を促進する作用等が挙げられる。
本発明における神経再生としては、例えば、軸索が損傷した場合、軸索を再生して最終的に「神経細胞としての機能を果たす」状態になることが挙げられる。
本発明における神経再生促進としては、例えば、前記神経再生の速度を促進する作用等が挙げられる。
本発明における神経細胞の機能発現の促進としては、「神経細胞としての機能を果たす」状態になることを促進することが挙げられ、例えば、神経細胞の神経突起成長促進、又は神経突起退縮抑制等が挙げられる。
本発明における神経新生作用、神経再生作用、神経新生促進作用、及び神経再生促進作用からなる群から選ばれる1又は2以上の作用を有する化合物としては、例えば、前記一般式(I)で示される化合物が挙げられる。
【0013】
本発明における神経新生作用、神経再生作用、神経新生促進作用、及び神経再生促進作用からなる群から選ばれる1又は2以上の作用を有する医薬組成物としては、少なくとも本発明における神経新生作用、神経再生作用、神経新生促進作用、及び神経再生促進作用からなる群から選ばれる1又は2以上の作用を有する化合物を有効成分として含有していれればよい。
少なくとも下記の(a)に記載の化合物と(b)に記載の薬とを組み合わせてなる神経新生及び/又は神経再生促進剤も、本発明の範囲に含まれる。
(a)一般式(I)(式中、Rは水素原子、又は水酸基を表す)で示される化合物、又はその酸付加塩、もしくはそれらの水和物、
(b)神経成長因子、脳機能賦活薬、抗うつ薬、及び抗不安薬からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の薬。
【0014】
神経成長因子、脳機能賦活薬、抗うつ薬、抗不安薬としては、公知のものを用いることができるが、当該作用を有する化合物/薬であれば特に限定されない。
本発明における神経新生作用、神経再生作用、神経新生促進作用、及び神経再生促進作用からなる群から選ばれる1又は2以上の作用を有する化合物が有効に作用する適応症としては、中枢及び/又は末梢神経系疾患が挙げられ、中枢神経系疾患が好ましい適応症である。また、末梢神経系疾患が好ましい別の態様もある。
中枢及び/又は末梢神経系疾患としては、神経変性疾患、認知又は記憶障害、血管障害、或いは外傷等が挙げられる。
【0015】
神経変性疾患としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、又はハンチントン病等が挙げられる。
本発明の一般式(I)で示される化合物は、公知の方法、例えば、Chem. Pharam. Bull., 40, (3) 770-773 (1992)、特開昭61−152658号公報等に記載されている方法に従って合成することができる。また、その酸付加塩は、薬学上許容される非毒性の塩が好ましく、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸等の無機酸、および酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸等の有機酸の塩を挙げることができる。
【0016】
本発明の、神経新生及び/又は神経再生促進剤を、投与に適した形の製剤として調整するのに際しては、上述の一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物と、公知の医薬上許容される担体とを混合すればよい。この担体としては、例えば、ゼラチン;乳糖、グルコース等の糖類;小麦、米、とうもろこし澱粉等の澱粉類;ステアリン酸等の脂肪酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸塩;タルク;植物油;ステアリンアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール;ガム;ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
また、液状担体としては、一般に水、生理食塩液、デキストロースまたは類似の糖溶液、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンルリコール等のグルコール類が挙げられる。カプセル剤となす場合には、通常ゼラチンを用いてカプセルを調整することが好ましい。
以上のような担体と一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物よりなる本発明の神経新生及び/又は神経再生促進剤中には、通常0.01重量%以上、また80重量%以下、好ましくは60重量%以下の有効成分を含む例が挙げられる。
【0017】
投与方法は、経口投与や非経口投与が挙げられる。経口投与に適した剤形としては、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、液剤、エリキシル剤等が挙げられ、非経口投与に適した剤形としては、液剤が挙げられる。
非経口的に筋肉内注射、静脈内注射、皮下注射で投与する場合、一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物を等張にするために、食塩または、グルコース等の他の溶質を添加した無菌溶液として投与される。
注射により投与する場合には、滅菌水、塩酸リドカイン溶液(筋肉内注射用)、生理食塩液、ブドウ糖、静脈内注射用溶液、電解質溶液(静脈内注射用)等で溶解することも好ましい。このようにして溶解した場合には、通常0.01重量%以上、また20重量%以下、好ましくは0.1重量%以上、また10重量%以下の有効成分を含むように調整されることがある。経口投与の液剤の場合、0.01-20重量%の有効成分を含む懸濁液またはシロップが好ましい例として挙げられる。この場合における担体としては、香料、シロップ、製剤的ミセル体等の水様賦形剤が挙げられる。
【0018】
本発明の神経新生及び/又は神経再生促進剤の投与量は、被投与者の年齢、健康状態、体重、症状の程度、同時処置があるならばその種類、処置頻度、所望の効果の性質、あるいは投与経路や投与計画などによって異なるが、一般には、非経口投与で0.01-20mg/kg・日、経口投与で0.02-100mg/kg・日が挙げられる。
【実施例】
【0019】
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明の範囲は以下の例に限定されることはない。
【0020】
[実施例1]N1E-115神経芽細胞腫細胞における神経突起退縮に対する作用
N1E-115神経芽細胞腫細胞を増殖培地(10% Fetal Bovine Serum 添加 Dulbecco’s Modified Eagle Medium (DMEM))で培養した。N1E-115神経芽細胞腫細胞の培地を増殖培地から分化培地(DMEM)に交換し、24時間培養した。一般式(I)(式中Rは水素原子または水酸基)で示される化合物を、最終濃度 0.1, 0.3, 1, 3, 10 mM で添加し、30分間プレインキュベートした。リゾフォスファチジン酸(LPA)を最終濃度 1 mM で添加し、室温で10分間放置した。Basal control では、LPA の代わりに生理食塩液を添加し、Positive control では、一般式(I)(式中Rは水素原子または水酸基)で示される化合物の代わりに生理食塩液を添加した。Glutaraldehyde で細胞を固定し、位相差顕微鏡下、任意の5視野を撮影した。神経突起の消失した完全に丸い細胞(rounded cells: RC)数と総細胞数を数えた。
【0021】
神経突起退縮の阻害率は、
阻害率(%)=100−{(化合物投与時のRC数―Basal controlのRC数)/(Positive controlのRC数―Basal controlのRC数)}x100
で算出し、IC50値を求めた。
一般式(I)(式中Rは水素原子または水酸基)で示される化合物は、用量依存的に神経突起退縮を阻害した。IC50値を以下に示す。
化合物(一般式I) n数 神経突起退縮阻害作用(IC50)
=H (n=4) 1.7 mM
=OH (n=4) 1.6 mM
【0022】
[実施例2]急性毒性試験
本発明の化合物の急性毒性試験を、ラット(Jcl:Wistar,5週齢)およびマウス(Slc:ddY,5週齢)を用いて実施した結果、低毒性であることが確認された。その結果を以下に示す。
化合物 動物種 投与経路 性別 成績
(一般式I) LD50(mg/kg)
=H ラット 静脈内 オス 59.9
メス 63.9
経口 オス 335.0
メス 348.0
皮下 オス 123.2
メス 128.3
=H マウス 静脈内 オス 63.7
=OH マウス 静脈内 オス 119.3
【0023】
[実施例3]製剤例(無菌注射剤)
下記の成分を注射用蒸留水に溶解し、その後、注射用蒸留水を添加し、必要な最終重量とし、この溶液2mlをアンプルに密封し、加熱滅菌した。
成分 量
10mg製剤 一般式(I)塩酸塩 10mg
(式中Rは水素原子)
塩化ナトリウム16mg
蒸留水 適量
全量2mlとした

30mg製剤 一般式(I)塩酸塩 30mg
(式中Rは水素原子)
塩化ナトリウム 16mg
蒸留水 適量
全量2mlとした

60mg製剤 一般式(I)塩酸塩 60mg
(式中Rは水素原子)
塩化ナトリウム 16mg
蒸留水 適量
全量2mlとした

10mg製剤 一般式(I)塩酸塩 10mg
(式中Rは水酸基)
塩化ナトリウム 16mg
蒸留水 適量
全量2mlとした

30mg製剤 一般式(I)塩酸塩 30mg
(式中Rは水酸基)
塩化ナトリウム 16mg
蒸留水 適量
全量2mlとした

60mg製剤 一般式(I)塩酸塩 60mg
(式中Rは水酸基)
塩化ナトリウム 16mg
蒸留水 適量
全量2mlとした
【0024】
[実施例4]製剤例(錠剤)
下記の成分を含む錠剤を常法により調整した。
成分 量
10mg製剤 一般式(I)塩酸塩 10.0mg
(式中Rは水素原子)
結晶セルロース 25.0mg
乳糖 108.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0mg
合計 150.0mg

20mg製剤 一般式(I)塩酸塩 20.0mg
(式中Rは水素原子)
結晶セルロース 25.0mg
乳糖 98.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0mg
合計 150.0mg

10mg製剤 一般式(I)塩酸塩 10.0mg
(式中Rは水酸基)
結晶セルロース 25.0mg
乳糖 108.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0mg
合計 150.0mg

20mg製剤 一般式(I)塩酸塩 20.0mg
(式中Rは水酸基)
結晶セルロース 25.0mg
乳糖 98.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0mg
合計 150.0mg
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明により優れた神経新生剤、神経再生剤、神経新生促進剤、及び神経再生促進剤からなる群から選ばれる剤、並びにその医薬組成物の提供が可能となった。本発明の剤は、中枢及び/又は末梢神経系疾患の予防及び/又は治療に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)
【化1】

(式中、Rは水素原子、又は水酸基を表す)で示される化合物、又はその酸付加塩、もしくはそれらの水和物を有効成分とする神経新生作用、神経再生作用、神経新生促進作用、及び神経再生促進作用からなる群から選ばれる1又は2以上の作用を有する剤。
【請求項2】
幹細胞、神経前駆細胞、又は神経細胞からなる群から選ばれる細胞を神経細胞として有効に機能させる為の剤であって、該前駆細胞の生着段階、分化段階、及び増殖段階からなる群から選ばれる1つ以上の段階の進行又は進行の促進をするか、或いは機能発現を促進することを特徴とする請求項1記載の剤。
【請求項3】
幹細胞が、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、又は神経幹細胞である請求項2記載の剤。
【請求項4】
幹細胞、神経前駆細胞、又は神経細胞が、内在性細胞である請求項2記載の剤。
【請求項5】
幹細胞、神経前駆細胞、又は神経細胞が、移植細胞である請求項2記載の剤。
【請求項6】
神経が、中枢神経である請求項1記載の剤。
【請求項7】
神経が、末梢神経である請求項1記載の剤。
【請求項8】
機能発現の促進が、神経細胞の神経突起成長促進、又は退縮抑制である請求項2記載の剤。
【請求項9】
請求項1記載の剤を含有する中枢及び/又は末梢神経系疾患の予防及び/又は治療剤。
【請求項10】
中枢及び/又は末梢神経系疾患が、神経変性疾患、認知又は記憶障害、血管障害、或いは外傷である請求項9記載の予防及び/又は治療剤。
【請求項11】
神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、又はハンチントン病である請求項10記載の予防及び/又は治療剤。
【請求項12】
少なくとも下記の(a)に記載の化合物と(b)に記載の薬とを組み合わせてなる神経新生及び/又は神経再生促進剤;
(a)一般式(I)(式中、Rは水素原子、又は水酸基を表す)で示される化合物、又はその酸付加塩、もしくはそれらの水和物、
(b)神経成長因子、脳機能賦活薬、抗うつ薬、及び抗不安薬からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の薬。

【公開番号】特開2009−292782(P2009−292782A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149241(P2008−149241)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(303046299)旭化成ファーマ株式会社 (105)
【Fターム(参考)】