説明

神経腫、神経絞扼、および他の状態と関連する疼痛を処置する方法

本開示は、神経絞扼の疼痛;神経腫の疼痛;神経痛に関連する頭痛;たとえば、腸脛靭帯の疼痛、血管の疼痛、腱障害の疼痛、脛骨過労性骨膜炎の疼痛、滑液包炎等の結合組織の疼痛;変形性関節症の疼痛もしくは関節リウマチの疼痛などの関節炎の疼痛;骨折、切断、破壊、捻挫、挫傷、断裂、ポイントの疼痛、(たとえば、発痛点の疼痛またはヒットポイントの疼痛)、限局性の疼痛もしくは打撲傷などの傷害に関連する疼痛;またはこれらの疼痛の組み合わせを処置する方法に関する。具体的には、様々な種類の疼痛を処置する方法は、疼痛のある被験体の皮膚表面に鎮痛系を適用することと、鎮痛系を皮膚表面に少なくとも30分間の期間維持することとを含む。皮膚表面に適用される鎮痛系は、加温要素と、少なくとも1種の局所麻酔薬を含む局所麻酔薬処方物とを含んでもよい。加温要素は、皮膚表面を36℃〜42℃の温度に加温することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
神経絞扼および神経腫などの神経状態に関連する疼痛には、多くの人が悩まされている。これらの疼痛および類似の疼痛の例として、ポイントの疼痛、神経絞扼の疼痛(手根管症候群、尺骨神経障害、陰部神経絞扼)、限局性の疼痛、腸脛靭帯(IT band)の疼痛、発痛点に関連する疼痛、後頭神経痛、発痛点の疼痛に関連する頭痛、関節炎に関連する疼痛、傷害に関連する疼痛、および筋肉または関節の酷使による疼痛が挙げられる。
【0002】
これらの疼痛は、オピオイドおよび非オピオイド鎮痛薬を経口送達または注射により送達して処置する場合が多い。残念ながら、これらの処置選択肢には、様々な欠点および望ましくない副作用がある。こうした望ましくない副作用は、それらの全身送達による場合が多い。このため、これらの疼痛を改善する代替方法に関する研究が続いている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の特定の実施形態を開示し記載する前に、本発明は、本明細書に開示される特定のプロセスおよび材料に限定されるものではなく、したがって、ある程度異なってもよいことを理解されたい。さらに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ規定されるため、本明細書に使用される用語は、個々の実施形態を記載する目的のみのために使用されるもので、限定的であることを意図するものではないことも理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、様々な種類の疼痛の処置に使用することができるパッチ形態の例示的な鎮痛系の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明を説明し、特許請求するに当たり、以下の用語を使用する。
【0006】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、複数の意味を含む。したがって、たとえば、「局所麻酔薬(a local anesthetic)」という場合、こうした組成物の1つ以上に関する言及を含む。
【0007】
「皮膚」とは、ヒト皮膚(正常な、病変の、潰瘍性または破壊された)と、唇、生殖器粘膜および肛門粘膜、ならびに鼻粘膜および口腔粘膜など、通常少なくとも一部が外気に触れている粘膜表面とを含むものと定義される。
【0008】
さらに、適切な処方物の「局所麻酔薬」は、針刺しによって起こる疼痛を予防するなど、医学的定義により、疼痛が起こる前に疼痛を予防することを意味する「麻酔」を皮膚にかけるために使用することができる点も留意されたい。一方、本開示は、「痛覚消失」を与える局所麻酔薬処方物の使用方法に関する。「痛覚消失」は、医学的定義により、既にある疼痛、たとえば、神経絞扼の疼痛;神経腫の疼痛;後頭神経痛もしくは三叉神経痛などの神経痛に関連する頭痛;たとえば、腸脛靭帯の疼痛、血管の疼痛、腱障害の疼痛、脛骨過労性骨膜炎の疼痛、滑液包炎等の結合組織の疼痛;変形性関節症の疼痛もしくは関節リウマチの疼痛などの関節炎の疼痛;骨折、切断、破壊、捻挫、挫傷、断裂、ポイントの疼痛(たとえば、発痛点の疼痛またはヒットポイントの疼痛)、限局性の疼痛もしくは打撲傷などの傷害に関連する疼痛;またはこれらの疼痛の組み合わせを緩和または解消することを意味する。
【0009】
「加温の制御」および「熱の制御」という用語は、皮膚表面を所定の期間にわたり所定の狭い温度範囲に加温できる熱の適用と定義される。本開示の系および方法に従い使用できる加温制御デバイスは、活性時にすぐに発熱するように構成されていてもよい。加温の制御は、加温要素の特別な設計により達成してもよい。たとえば、加温の制御は、発熱性の化学組成物を含む、適切に構成された加温エレメント(単数または複数)の使用により達成してもよい。
【0010】
発熱性の加温要素を用いて熱の制御を構築する際に考慮すべき点として、適切な比率および使用する発熱性の化学組成物のほか、発熱性の化学組成物にかかる物理的制約、たとえば、気流または酸素接触の制限、個々の加温エレメントの空間的配置、発熱性の化学組成物と併用する材料の伝導率等が挙げられる。一実施形態では、加温要素は体温を超える温度であるけれども、不可逆的な皮膚の損傷、たとえば、皮膚の熱傷を引き起こすと考えられる温度未満で熱を供給できる。使用のために実施できる例示的な温度範囲は、約35℃〜約47℃であってもよい。一実施形態では、別の温度範囲は、約36℃〜42℃であってもよい。他の所望の温度範囲として、約38℃〜42℃または36℃〜40℃が挙げられる。
【0011】
本開示における「神経絞扼」の疼痛とは、現代の医学で一般に使用されるものと同じである。この種の疼痛は、圧迫下または圧力下にあるか、または他の方法で狭窄される神経に関連する。多くの場合、こうした病気は、神経(単数または複数)の慢性的な圧迫に起因する。こうした疼痛として、手根管症候群、尺骨神経障害、陰部神経絞扼、肘部管症候群、Guyon管症候群、後骨間神経症候群、肩甲上神経絞扼(supracapular nerve entrapment)、外側大腿皮神経絞扼、および足根管症候群に関連する疼痛が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0012】
本開示において「神経腫」に関連する疼痛に言及する場合、この疼痛は、外傷性神経腫(多くの場合、手術による)およびモートン神経腫(足の単神経障害)など新生物腫瘍または神経傷害に関連する疼痛を含む。
【0013】
本開示における「後頭神経痛」に関連する頭痛または疼痛は、現代の医学で定義されるものと同じ意味を持つ。後頭神経痛は、首上部、後頭部および耳後部、通常は頭の片側に刺すような痛み、ズキズキする痛み、または電気ショックに似た慢性的な痛みを伴う特徴的な種類の頭痛を引き起こすことが多い。ときに、疼痛は、頭皮、前頭部および眼後部に現れることもある。この疼痛は、脊柱上部から首および後頭部の頭皮に至る大および小後頭神経に関連している。この疼痛は、後頭部の外傷、過度に硬くなった頸筋による神経の締め付け、変形性関節症により神経が脊柱から離れるような神経の圧迫、または首の腫瘍もしくは他の種類の病変の結果であり得る、神経に対する刺激または傷害によって起こることがある。他の原因および症状も考えられる。
【0014】
「結合組織」という用語は全般的に、本明細書で使用する場合、骨、軟骨および血液を除いた本来の結合組織をいう。結合組織は、輪紋状(または疎性)結合組織、脂肪性結合組織、線維性(または密性)結合組織、弾性結合組織、および細網結合組織であってもよい。本明細書における結合組織の具体的な例として、腱、靭帯、腸脛靭帯、血管等が挙げられる。
【0015】
本開示における「腸脛靭帯の疼痛」という語句は、腸脛靭帯症候群に関連する疼痛を意味する。脚の外側に走行する線維組織の厚い帯である腸脛靭帯の炎症が、この疼痛を引き起こす。
【0016】
本開示における関節の「酷使」に関連する疼痛として、滑液包炎;腱症(tendonosis)、腱炎もしくは「テニス肘」、膝蓋腱炎、鎖骨の腱炎などの腱障害、脛骨過労性骨膜炎、限局性の疼痛、ポイントの疼痛(たとえば、発痛点の疼痛またはヒットポイントの疼痛)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0017】
本開示における関節の「損傷」または「傷害」に関連する疼痛として、組織の捻挫、骨折、断裂および打撲傷、たとえば、ハムストリングの傷害、足首の捻挫、ヒップポインターの打撲傷等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0018】
本開示における「関節炎」に関連する疼痛は、変形性関節症および関節リウマチなどの関節炎に関連する疼痛に関する。
【0019】
本明細書で使用する場合、「約(about)」という用語は、対象となるある値が端点「を少し超える」か、または「少し下回って」もよいことを規定することにより、数値範囲の端点に柔軟性を与えるために使用する。この用語に関する柔軟性の程度は、個々の変数により左右されることがあり、経験および本明細書の関連説明に基づき決定する当業者の知識の範囲内である。
【0020】
本明細書で使用する場合、複数の局所麻酔薬、化合物、および/または加温機械装置は便宜上、共通のリストで提示してもよい。しかしながら、こうしたリストは、リストの各構成要素があたかも別々で独自の構成要素として個々に特定されていると解釈すべきである。したがって、異なる記載がない限り、こうしたリストの個々の構成要素は、共通の群に提示されていることのみによって、同じリストの任意の他の構成要素と事実上の等価物であると解釈してはならない。
【0021】
本明細書では、濃度、量および他の数値データを、範囲形式で表示または提示することがある。こうした範囲形式は、あくまで便宜上、簡潔であるため使用するものであり、したがって、範囲の上下限として明示的に記載された数値を含むだけでなく、数値および下位の範囲(sub−range)がそれぞれ明示的に記載されているかのように、その範囲内に包含される個々の数値または下位の範囲もすべて含むものと柔軟に解釈すべきであることを理解すべきである。例示として、「約0.01〜2.0mm」という数値範囲は、約0.01mm〜約2.0mmという明示的に記載された値を含むだけでなく、表記の範囲内にある個々の値および下位の範囲も含むものと解釈すべきである。このため、この数値範囲には、0.5、0.7および1.5などの個々の値、ならびに0.5〜1.7、0.7〜1.5および1.0〜1.5等の下位の範囲が含まれる。さらに、こうした解釈は、記載する範囲の幅または特徴にかかわらず、適用すべきである。加えて、他に記載がない限り、全ての百分率は、重量百分率である点にも留意されたい。
【0022】
こうした背景を念頭に置いて、本開示は、神経絞扼の疼痛;神経腫の疼痛;後頭神経痛もしくは三叉神経痛などの神経痛に関連する頭痛;たとえば、腸脛靭帯の疼痛、血管の疼痛、腱障害の疼痛、脛骨過労性骨膜炎の疼痛、滑液包炎等の結合組織の疼痛;変形性関節症の疼痛もしくは関節リウマチの疼痛などの関節炎の疼痛;骨折、切断、破壊、捻挫、挫傷、断裂、傷害による限局性の疼痛、傷害によるポイントの疼痛(たとえば、発痛点の疼痛もしくはヒットポイントの疼痛)もしくは打撲傷などの傷害に関連する疼痛;またはこれらの疼痛の組み合わせを処置する方法に関する。具体的には、上記の疼痛を処置する方法は、疼痛のある被験体の皮膚表面に鎮痛系を適用することと、鎮痛系を皮膚表面に少なくとも30分間の期間維持することとを含む。適用部位は通常、疼痛を覆う皮膚領域であってもよく、1つ以上の発痛点を覆う皮膚領域であってもよい。皮膚表面に適用される鎮痛系は、加温要素と、少なくとも1種の局所麻酔薬を含む局所麻酔薬処方物とを含んでもよい。加温要素は、皮膚表面を36℃〜42℃の温度に加温し、この狭い温度範囲内を一定期間持続させることができる。
【0023】
本開示の方法は、局所麻酔薬の送達の増加と加温の治療効果との2つの利点を利用することができる。さらに、いくつかの実施形態では、熱の使用により、熱を適用せずに同じ処方物を使用した場合と比較して、局所麻酔薬(単数または複数)の浸透性および効果を向上させることができる。別の言い方をすれば、本出願の方法は、加温制御の使用、および熱自体がもたらす追加効果により、局所麻酔薬の経皮送達を改良することができる。皮膚を加温すると、局所麻酔薬の薬剤に対する皮膚の透過性を高めることができる。加えて、皮膚自体の加温も、既にある疼痛を軽減すると考えられる。したがって、局所麻酔薬処方物からの局所麻酔薬の経皮送達を、加温要素からの熱と組み合わせると、薬剤単独または熱単独いずれの場合より、疼痛の軽減をより効率的なものにする、すなわち、より速く、かつより効果的なものにすることができる。
【0024】
上記のような、本開示の方法に使用する鎮痛系は、2種の主要な要素、すなわち制御された加温要素、および局所麻酔薬処方物を含んでもよい。局所麻酔薬処方物は、パッチ内に組み入れてもよい。局所麻酔薬処方物は、加温要素を使って、既にある疼痛を軽減または解消する局所麻酔薬の十分な経皮送達を提供する量の局所麻酔薬を含んでもよい。局所麻酔薬の十分な経皮送達とは、平均的な患者の疼痛強度(疼痛強度に関する患者報告により判定される)を少なくとも20%、多くの場合少なくとも30%、またはさらに50%低下させるのに十分な送達速度と定義される。一部の患者、および一部の条件では、完全な疼痛緩和を達成することができる。加温デバイスは、パッチおよびヒト皮膚部位を覆って適用できるように構成してもよい。加えて、加温デバイスは、適用する皮膚部位を、約36℃〜約42℃など治療効果を与える温度に加温するように構成してもよい。加温デバイスはさらに、皮膚を上記の温度範囲内に少なくとも30分間の期間、または他の実施形態では、少なくとも1時間の期間維持できてもよい。
【0025】
前述の通り、本開示の鎮痛系は、局所麻酔薬処方物、および加温要素を含んでもよい。局所麻酔薬処方物は、少なくとも1種の局所麻酔薬を経皮送達するように設計してもよい。局所麻酔薬は一般に、当該技術分野において公知のどのような局所麻酔薬であってもよい。一実施形態では、局所麻酔薬は、テトラカイン、リドカイン、プリロカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、ベンゾカイン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。別の実施形態では、局所麻酔薬処方物は、リドカイン塩基を含んでもよい。別の実施形態では、局所麻酔薬処方物は、テトラカイン塩基を含んでもよい。なおさらなる実施形態では、局所麻酔薬処方物は、リドカイン塩基とテトラカイン塩基との共融混合物を含んでもよい。別の実施形態では、局所麻酔薬処方物は、少なくとも30wt%(単独または組み合わせて)の総局所麻酔薬、たとえば、リドカインとテトラカインと(組み合わせて)の少なくとも30wt%の1:1(重量で)の共融混合物、または少なくとも30wt%のリドカインまたは他の局所麻酔薬塩基(単独)を含んでもよい。なお他の実施形態では、より低濃度の局所麻酔薬、たとえば、少なくとも15wt%の局所麻酔薬、少なくとも20wt%の局所麻酔薬、または少なくとも25wt%の局所麻酔薬を使用してもよい。たとえば、リドカインを単独で使用する場合、他の処方物成分によって、20wt%の単独のリドカインが、30wt%の単独のリドカインを含む処方物と同様の有効性を与えることもある。このため、本明細書に記載の重量百分率のガイドラインは、所望の治療効果を達成するために変更してもよい。
【0026】
局所麻酔薬処方物は、他の成分および賦形剤、たとえばポリマー、乳化剤、化学的浸透増強剤、水、または他の溶媒および防腐剤をさらに含んでもよい。一実施形態では、局所麻酔薬処方物は、ポリビニルアルコールなどの凝固ポリマーを含んでもよい。別の実施形態では、局所麻酔薬処方物は、皮膚に接着することが可能な接着性ポリマーを含んでもよい。
【0027】
鎮痛系の局所麻酔薬処方物の構成部分は、局所麻酔薬処方物が皮膚表面に接触する皮膚接触領域を有していてもよい。皮膚接触面積の大きさは、被験体の身体の標的領域および処置対象の疼痛の性質に応じて変動してもよい。たとえば、ある種の実施形態では、皮膚接触領域の面積は、2cm〜200cmであっても、7cm〜150cmであっても、または8cm〜15cmであってもよい。他の種々の実施形態では、他の大きさの範囲が適切である場合もある。たとえば、皮膚接触領域の面積は、3cm〜150cmであっても、5cm〜130cmであっても、6cm〜100cmであっても、7cm〜80cmであっても、8cm〜40cmであっても、または8〜約13cm等であってもよい。本開示の一態様では、系を皮膚に貼るため、接触範囲の外側の鎮痛薬に、および/または皮膚と局所麻酔薬処方物との間に、接着剤の層をコーティングしてもよい。
【0028】
本出願の方法に使用される鎮痛系の加温要素は、鎮痛系を適用する皮膚表面の温度を、(その部位に熱を供給するため、および/または薬物送達を増強させるため)治療上有効な温度、たとえば、約36℃〜約42℃に上昇させるように構成してもよい。加温要素はさらに、皮膚表面の温度を少なくとも30分間の期間上記の範囲に維持するように構成してもよい。一実施形態では、加温要素は、皮膚表面を少なくとも60分の時間上述の温度範囲に維持するように構成してもよい。なお他の実施形態では、加温要素は、皮膚表面を少なくとも2時間、4時間、6時間、8時間または12時間の期間、上記の温度範囲に維持するように構成してもよい。
【0029】
加温の期間にかかわらず、本開示の方法に使用される鎮痛系は、神経絞扼の疼痛;神経腫の疼痛;後頭神経痛もしくは三叉神経痛などの神経痛に関連する頭痛;たとえば、腸脛靭帯の疼痛、血管の疼痛、腱障害の疼痛(腱症および/または腱炎)、脛骨過労性骨膜炎の疼痛、滑液包炎等の結合組織の疼痛;変形性関節症の疼痛もしくは関節リウマチの疼痛などの関節炎の疼痛;組織の骨折、切断、破壊、捻挫、挫傷、断裂、傷害によるポイントの疼痛(たとえば、発痛点またはヒットポイントの疼痛)、傷害による限局性の疼痛、もしくは打撲傷などの傷害に関連する疼痛;またはこれらの疼痛の組み合わせを軽減するように構成してもよい点に留意されたい。これらの疼痛については、加温要素が加温する、および/または鎮痛系が皮膚表面に維持される期間を超える期間軽減することができる。一実施形態では、本開示の方法は、既にある疼痛を少なくとも4時間の期間軽減することができる。別の実施形態では、疼痛の軽減は、少なくとも6時間の期間であってもよい。別の実施形態では、疼痛の軽減は、少なくとも12時間の期間であってもよい。
【0030】
なお別の実施形態では、この系を長期にわたり使用してもよい(少なくとも2週間持続する期間の日数の少なくとも75%で少なくとも1日1回)。さらなる実施形態では、この系を1日1回よりも多く使用してもよい。本開示のデバイスはさらに、急性疼痛に使用してもよい。
【0031】
本開示の方法に使用される鎮痛系の加温要素は、いくつかの機械装置または手段により発熱することができる。一実施形態では、加温要素は、化学物質を用いた発熱反応により発熱することができる。過飽和溶液の相転移(酢酸ナトリウム溶液の相転移など)、照射(たとえばマイクロ波または赤外線)、電気抵抗器、それらの組み合わせ、および/または他の加温源により加温するなど、他の加温機械装置を使用してもよい。一実施形態では、加温要素は、電熱デバイスであってもよい。こうした電熱デバイスは、様々な電源、たとえば、電池および/または交流電流を動力源としてもよい。電気デバイスは、所定の加温プロファイルを与えるように構成して、電気デバイスを係合するか、またはオンにした後、たとえば、タイマー、プログラムされた電力供給、有限の電池力(finite batter power)等を使用して、加温プロファイルを自動的に満たすようにしてもよい。あるいは、加温プロファイルは、単に適切な温度で熱を供給し、指定の期間後に加温デバイスを除去するように使用者に指示することにより満たしてもよい。
【0032】
一実施形態では、加温要素は、発熱性の酸化化学反応により発熱することができる。この化学物質を用いた発熱性の酸化反応は、酸化材料、たとえば鉄を周囲空気と接触させることにより発熱することができる。その全体を参照によって本明細書に援用する米国特許第6,756,053号には、発熱性の加温要素およびデバイスの例が記載されている。
【0033】
加温要素中の発熱性の化学組成物の量は、加温する所望の期間、および加温要素の大きさに応じて異なってもよい。大量の発熱性の化学組成物を用いると、加温要素が過度に大きくなるか、または扱いにくくなり、使用するには非実用的であるため、加温要素中の発熱性の化学組成物の量を限定すると有利である場合がある。一態様では、加温デバイスは、最大2グラムの発熱性の化学組成物を含んでもよく、約8cmを超える面積の皮膚を加温するように構成してもよい。
【0034】
発熱性の加温組成物は、酸化し得る要素以外に、活性炭、塩(塩化ナトリウムなど)、および水をさらに含んでもよい。一態様では、加温要素に、バーミキュライトまたは木粉などの保水物質をさらに含めてもよい。
【0035】
加温デバイスの構成によっては、長期間にわたって保存する場合、発熱性の加温要素は、ガス(メタンおよび水素と考えられる)を発生することがある。それにより、発熱性の加温要素が存在する包装が膨れる可能性があり、保存および輸送が複雑化し、問題になる恐れがある。硫黄元素、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化塩、またはチオ硫酸塩など、一定量の硫黄含有化合物またはその塩を付加すると、包装に入れるとき、こうしたガス発生問題が軽減または解消され得ることが発見されている。
【0036】
発熱性の化学組成物の含水量は、加温デバイスの加温温度プロファイルに影響を与えることがある。発熱性の加温要素中の水の残りの成分に対する重量比は、約1:2.6〜約1:5.0の範囲であってもよい。
【0037】
一態様では、加温要素の発熱性の化学組成物は、空気不透過性材料から作られるカバーの孔を通じてのみ周囲の酸素と接触できるような形で製造してもよい。このように、周囲空気から発熱性の化学組成物への酸素の流量が、言い換えると、加温要素が発生する熱の量および速度、ならびに鎮痛系を適用する皮膚表面の温度に影響し得る要因である。加温要素の温度および熱の発生に影響し得る他の要因は、加温要素の大きさ、加温要素中の発熱性の化学組成物の量、加温要素の空気不透過性のカバー材料における孔の数および構成等であり得る。
【0038】
例示として、図1は、本出願の方法に従い使用し得る鎮痛系の一実施形態の模式図である。この鎮痛系は、加温要素34および局所麻酔薬処方物30を含む。加温要素は、中に複数の孔36を持つ空気不透過性上部カバーフィルム20を含む。周囲空気にさらされると、この孔は、空気不透過性の上部カバーフィルムから発熱性の化学組成物22への周囲空気の通過を許容する。発熱性の化学組成物の層は、空気不透過性の上部カバーフィルムと接着フィルム層24との間に配置される。接着フィルム層は、発熱性の化学組成物の層および局所麻酔薬処方物の層の外周を超えて広がっており、少なくとも一部が、鎮痛系を皮膚表面に接着する働きをすることができる。ヒートシール可能なフィルム層26は、接着フィルム層の下にあり、局所麻酔薬処方物の層と発熱性の化学組成物の層との間の物質、特に水分の移行を妨害する働きをする。ヒートシール可能なフィルム層の下の、ホウ酸ナトリウムをコーティングした不織フィルム層28は、製造中に局所麻酔薬処方物のゲル化を補助する働きをする。鎮痛系全体は、保存中に局所麻酔薬処方物を保持する、空気および水分不透過性の包装トレー32に接着されている。
【実施例】
【0039】
以下の例は、現在最もよく知られた、本開示の実施形態を説明するものである。しかしながら、以下は、本開示の原理の応用を例示または説明するものにすぎないことを理解すべきである。当業者は、本開示の精神および範囲を逸脱しない範囲で多くの修正、ならびに代替の組成物、方法および系を工夫し得る。添付の特許請求の範囲は、そうした修正および構成(arrangement)を包含することを意図している。したがって、本開示について詳細に上述してきたが、以下の例は、現在のところ本開示の最も実用的で好ましい実施形態であるとみなされるものに関してさらに詳細を提供するものである。
【0040】
(実施例1)
疼痛を処置するための系
本明細書に記載の鎮痛系は、2つの要素、すなわち薬剤要素(パッチ中の薬剤処方組成物)および加温要素を有する。表1は、薬剤処方物における例示的な成分を示す。表2は、熱生成媒体の例示的な成分を示す。この系の薬剤処方物の皮膚接触面積は、約10cmである。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
図1に、薬剤要素および加温要素の物理的配置と、それらを統合したものを模式的に示す。図1に示すように、熱生成媒体は、閉鎖空間に封入されており、空気不透過性カバーの6つの孔を通じてのみ外部環境に接触できる。各孔の直径は、1インチの約1/16である。この熱生成媒体は、一定期間持続して36〜42℃で熱の制御を行うことができる。
【0044】
(実施例2)
疼痛を処置するための系
皮膚接触面積がそれぞれ2cm、3cm、6cmおよび8cmになるようにパッチの大きさを変える以外は、実施例1に記載した小型の鎮痛系を4つ調製する。このため、薬剤処方物(表1)と熱生成媒体(表2)の重量百分率はどちらも同じであるが、しかし、パッチの大きさがより小さくなるため、各成分の合計量は、比例的に減少させる。孔の数または孔の大きさも修正して、たとえば、類似の、または若干異なる大きさの1〜6個の孔など、孔の総面積(各孔の表面積に孔の数を掛けた値)を比例的に調整することにより、パッチの大きさに対して同様の加温プロファイルを達成する。
【0045】
(実施例3)
疼痛を処置するための系
皮膚接触面積がそれぞれ40cm、60cm、120cm、180cmになるようにパッチの大きさを変える以外は、実施例1に記載した大型の鎮痛系を4つ調製する。このため、薬剤処方物(表1)と熱生成媒体(表2)の重量百分率はどちらも同じであるが、しかし、パッチの大きさがかなり大きくなるため、各成分の合計量は、比例的に増加させる。孔の数または孔の大きさも比例的に調節することにより、パッチの大きさに対して同様の加温プロファイルを達成する。孔の数または孔の大きさも修正して、たとえば、類似の、または若干異なる大きさの12〜100個の孔など、孔の総面積(各孔の表面積に孔の数を掛けた値)を比例的に調整することにより、パッチの大きさに対して同様の加温プロファイルを達成する。
【0046】
(実施例4)
疼痛を処置するための系
40wt%のリドカインおよびテトラカイン塩基の共融混合物ではなく、40wt%のリドカイン塩基を使用する以外は、実施例1に記載した鎮痛系を調製する。また、パッチの大きさも120cmに修正する。このため、薬剤処方物(表1)と熱生成媒体(表2)の重量百分率はどちらも同じであるが、しかし、パッチの大きさがより大きくなるため、各成分の合計量は、比例的に増加させる。孔の数または孔の大きさも修正して、たとえば、類似の、または若干異なる大きさの40〜80個の孔など、孔の総面積(各孔の表面積に孔の数を掛けた値)を比例的に調整することにより、パッチの大きさに対して同様の加温プロファイルを達成する。
【0047】
(実施例5)
疼痛を処置するための系
40wt%のリドカインおよびテトラカイン塩基の共融混合物ではなく、40wt%のロピバカイン塩基を使用する以外は、実施例1に記載した鎮痛系を調製する。また、パッチの大きさも120cmに修正する。このため、薬剤処方物(表1)と熱生成媒体(表2)の重量百分率はどちらも同じであるが、しかし、パッチの大きさがより大きくなるため、各成分の合計量は、比例的に増加させる。孔の数または孔の大きさを修正して、たとえば、類似の、または若干異なる大きさの40〜80個の孔など、孔の総面積(各孔の表面積に孔の数を掛けた値)を比例的に調整することにより、パッチの大きさに応じて同様の加温プロファイルを達成する。
【0048】
(実施例6)
疼痛を処置するための系
熱生成媒体を電熱デバイス由来のものとし、パッチの大きさを120cmに修正する以外は、実施例1に記載した鎮痛系を調製する。このため、重量百分率は、薬剤処方物(表1)と同じであるが、しかし、パッチの大きさがより大きくなるため、各成分の合計量は、比例的に増加させる。
【0049】
(実施例7)
頭痛−後頭神経痛の処置
患者は、重度の頭痛に苦しんでおり、後頭神経痛と診断されている。頭痛の疼痛を制御するためオピオイドなど複数の経口薬の服用後、実施例1に記載したものと同様の鎮痛系を1日2回首に適用し、それにより疼痛が軽減され、該患者は経口鎮痛剤を中止することができる。
【0050】
(実施例8)
神経腫の処置
手術で起こった神経腫による疼痛のある、ACL断裂がありおよび膝関節鏡視下手術を受けた患者を、実施例1に記載したものと同様の鎮痛系で処置する。鎮痛系を両方の膝に適用する(合計2パッチ)。適用から30分後に疼痛緩和が得られ、10〜12時間持続する。
【0051】
(実施例9)
神経絞扼の処置
疼痛のある手根管症候群の患者を、実施例1に記載したものと同様の鎮痛系で処置する。鎮痛系を患者の手首に適用する。適用から30分後に疼痛緩和が得られ、10〜12時間持続する。
【0052】
(実施例10)
限局性の足の疼痛の処置
患者は、バレリーナとして反復使用したため限局性の足の疼痛に苦しんでいる。実施例1に記載したものと同様の系を、疼痛領域を覆う皮膚に適用する。疼痛緩和が適用から30分後に達成され、8時間にわたって持続する。この鎮痛系は、30分後に剥離しても、疼痛緩和が一定の時間持続し得るため、他の局所処置剤よりも好ましい可能性がある。これは、患者が「見た目のよくない」パッチが足にあるのを好まない場合、有用である。
【0053】
(実施例11)
足部痛を処置するための鎮痛系およびその使用
足の手術後に足の反射性交感神経性ジストロフィーの慢性疼痛に苦しんでいる患者が、疼痛を制御するため、オピオイドを含んだ薬(時々)、経口NSAIDS、ガバペンチンおよび他の薬を服用する。実施例1に記載したものなど3つのパッチをその部位に4日にわたって連続的に適用し、それぞれ皮膚に9〜14時間貼っておくと、25分でほぼ完全ないし完全な疼痛緩和が得られる。この患者は、経口鎮痛剤をすべて中止することができる。
【0054】
(実施例12)
重度の後頭神経痛の処置
患者は、頭痛に苦しんでおり、重度の後頭神経痛と診断されている。実施例3に記載したものと同様の2つの鎮痛系(40cm)を、頸筋を覆う皮膚に1日2回適用し、それにより疼痛が軽減され、該患者は経口鎮痛剤を中止することができる。あるいは、鎮痛系を、患者のそれぞれのこめかみに1日2回適用する。貼る位置を組み合わせて実施することにより、最大の疼痛緩和を達成することができる。
【0055】
(実施例13)
結合組織の疼痛の処置
患者は、肩の結合組織の疼痛に苦しんでいる。実施例1に記載したものと同様の鎮痛系を肩領域に1日2回適用し、それにより疼痛が軽減される。
【0056】
(実施例14)
変形性関節症による関節炎の疼痛の処置
患者は、両膝における変形性関節症に関連する疼痛に苦しんでいる。実施例3に記載したものと同様の鎮痛系(120cm)を1日2回(12時間毎に)2時間それぞれの膝に適用し、それにより疼痛が著しく軽減される。
【0057】
(実施例15)
関節リウマチの疼痛の処置
患者は、両膝における関節リウマチに関連する疼痛に苦しんでいる。実施例3に記載したものと同様の鎮痛系(120cm)を1日2回(12時間毎に)1時間それぞれの膝に適用し、それにより疼痛が著しく軽減される。
【0058】
(実施例16)
足首の捻挫に関連する疼痛の処置
バスケットボール選手が、バスケットボールをしている最中に足首を捻挫し、その傷害に関連する疼痛に苦しんでいる。実施例3に記載したものと同様の鎮痛系(40cm)を1日2回(12時間毎に)1時間足首に適用し、それにより疼痛が著しく軽減される。
【0059】
(実施例17)
骨折した骨に関連する疼痛の処置
フットボール選手が、練習中に鎖骨を軽く骨折し、その傷害に関連する疼痛に苦しんでいる。実施例3に記載したものと同様の鎮痛系(60cm)を、骨折部を覆う皮膚領域に1日2回(12時間毎に)1時間適用し、それにより疼痛が著しく軽減される。
【0060】
(実施例18)
関節の脱臼に関連する疼痛の処置
フットボール選手が、練習中に右肩の関節を脱臼する。脱臼は、医師により処置された。しかし、患者はなお、この傷害に関連する疼痛に苦しんでいる。実施例3に記載したものと同様の鎮痛系(120cm)を肩領域に1日2回(12時間毎に)1時間適用し、それにより疼痛が著しく軽減される。
【0061】
(実施例19)
関節の脱臼に関連する疼痛の処置
短距離走者が、練習中にハムストリング腱を傷害し、その傷害に関連する疼痛に苦しんでいる。実施例3に記載したものと同様の鎮痛系(180cm)を、疼痛部を覆う皮膚領域に1日1回(12時間毎に)2時間適用し、それにより疼痛が著しく軽減される。
【0062】
(実施例20)
変形性関節症による関節炎の疼痛の処置
患者は、両膝の変形性関節症に関連する疼痛に苦しんでいる。実施例4に記載したものと同様の鎮痛系(120cm)をそれぞれの膝に1日2回(12時間毎に)2時間適用し、それにより疼痛が著しく軽減される。
【0063】
(実施例21)
変形性関節症による関節炎の疼痛の処置
患者は、両膝の変形性関節症に関連する疼痛に苦しんでいる。実施例5に記載したものと同様の鎮痛系(120cm)を1日2回(12時間毎に)2時間それぞれの膝に適用し、それにより疼痛が著しく軽減される。
【0064】
(実施例22)
変形性関節症による関節炎の疼痛の処置
患者は、両膝の変形性関節症に関連する疼痛に苦しんでいる。実施例6に記載したものと同様の鎮痛系(120cm)をそれぞれの膝に1日2回(12時間毎に)2時間適用し、それにより疼痛が著しく軽減される。
【0065】
(実施例23)
神経絞扼の処置
疼痛のある手根管症候群の患者を、実施例2に記載したものと同様の鎮痛系(3cm)で処置する。鎮痛系を患者の手首に適用する。適用から30分後に疼痛緩和が得られ、10〜12時間持続する。
【0066】
(実施例24)
腸脛靭帯の疼痛に関連する疼痛の処置
マラソン選手が、マラソン大会の前に腸脛靭帯の疼痛に苦しんでおり、処置を受けなれば、走っている最中に疼痛が増すことが予想される。実施例3に記載したものと同様の鎮痛系(180cm)を、疼痛部を覆う皮膚領域に1時間適用し、走り出す前に剥離する。疼痛は、走り出す前に著しく軽減し、走っている最中の激痛がはるかに少ない。
【0067】
上記の例では、様々な皮膚接触面積の大きさ、薬剤の選択、個別の状態を処置する方法等を、例示のみを目的として提示している点に注意されたい。本明細書に記載した範囲および選択肢には、被験体の処置のために選択すべき適切な範囲をより正確に反映させる。したがって、本発明について、特定の実施形態を参照しながら記載してきたが、当業者は、本発明の精神を逸脱しない範囲で様々な修正、変更、省略および代用をなし得ることを理解するであろう。故に、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲によってのみ限定されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経絞扼の疼痛を処置する方法であって:
a)神経絞扼の疼痛のある被験体の皮膚表面に、以下:
i)該皮膚表面を36℃〜42℃の温度に加温することができる加温要素、および
ii)少なくとも1種の局所麻酔薬を含む局所麻酔薬処方物、を含む鎮痛系を適用する工程;ならびに
b)該鎮痛系を該皮膚表面に少なくとも30分間の期間維持する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記加温要素は、前記鎮痛系が前記皮膚表面に適用されるのとほぼ同時に加温を開始する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記局所麻酔薬はテトラカイン、リドカイン、プリロカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、ベンゾカインおよびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記局所麻酔薬処方物はリドカイン塩基またはテトラカイン塩基の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記局所麻酔薬はリドカイン塩基とテトラカイン塩基との共融混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記共融混合物の重量百分率は前記局所麻酔薬処方物の少なくとも30wt%である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも60分間の期間維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも2時間の期間維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記局所麻酔薬処方物は2cm〜200cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記局所麻酔薬処方物は7cm〜150cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記局所麻酔薬処方物は8cm〜15cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記局所麻酔薬処方物は、前記神経絞扼の疼痛の部位を直接覆う前記皮膚表面に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記神経絞扼の疼痛は手根管症候群によって起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記神経絞扼の疼痛は尺骨神経障害によって起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記神経絞扼の疼痛は陰部神経絞扼によって起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
神経腫に関連する疼痛を処置する方法であって:
a)神経腫の疼痛のある被験体の皮膚表面に、以下:
i)該皮膚表面を36℃〜42℃の温度に加温することができる加温要素、および
ii)少なくとも1種の局所麻酔薬を含む局所麻酔薬処方物、を含む鎮痛系を適用する工程;ならびに
b)該鎮痛系を該皮膚表面に少なくとも30分間の期間維持する工程
を含む、方法
【請求項17】
前記加温要素は、前記鎮痛系が前記皮膚表面に適用されるのとほぼ同時に加温を開始する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記局所麻酔薬はテトラカイン、リドカイン、プリロカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、ベンゾカインおよびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記局所麻酔薬処方物はリドカイン塩基またはテトラカイン塩基の少なくとも1種を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記局所麻酔薬はリドカイン塩基とテトラカイン塩基との共融混合物である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記共融混合物の重量百分率は前記局所麻酔薬処方物の少なくとも30wt%である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも60分間の期間維持される、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも2時間の期間維持される、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記局所麻酔薬処方物は2cm〜200cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記局所麻酔薬処方物は7cm〜150cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記局所麻酔薬処方物は8cm〜15cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記局所麻酔薬処方物は、前記神経腫の疼痛の部位を直接覆う前記皮膚表面に適用される、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
前記神経腫の疼痛は新生物腫瘍によって起こる、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
前記神経腫の疼痛は神経傷害によって起こる、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
前記神経腫の疼痛は手術によって起こる、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
前記神経腫の疼痛はモートン神経腫である、請求項16に記載の方法。
【請求項32】
頭痛を処置する方法であって:
a)頭痛のある被験体の皮膚表面に、以下:
i)該皮膚表面を36℃〜42℃の温度に加温することができる加温要素、および
ii)少なくとも1種の局所麻酔薬を含む局所麻酔薬処方物、を含む鎮痛系を適用する工程;ならびに
b)該鎮痛系を該皮膚表面に少なくとも30分間の期間維持する工程
を含む、方法。
【請求項33】
前記加温要素は、前記鎮痛系が前記皮膚表面に適用されるのとほぼ同時に加温を開始する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記局所麻酔薬はテトラカイン、リドカイン、プリロカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、ベンゾカインおよびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記局所麻酔薬処方物はリドカイン塩基またはテトラカイン塩基の少なくとも1種を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記局所麻酔薬はリドカイン塩基とテトラカイン塩基との共融混合物である、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記共融混合物の重量百分率は前記局所麻酔薬処方物の少なくとも30wt%である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも60分間の期間維持される、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも2時間の期間維持される、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記局所麻酔薬処方物は2cm〜200cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記局所麻酔薬処方物は7cm〜150cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記局所麻酔薬処方物は8cm〜15cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項43】
前記局所麻酔薬処方物は、頸筋を覆う皮膚表面または頭部の皮膚表面に適用される、請求項32に記載の方法。
【請求項44】
前記頭痛は三叉神経痛に由来する、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
前記頭痛は後頭神経痛に由来する、請求項32に記載の方法。
【請求項46】
結合組織の疼痛を処置する方法であって:
a)結合組織の疼痛のある被験体の皮膚表面に、以下:
i)該皮膚表面を36℃〜42℃の温度に加温することができる加温要素、および
ii)少なくとも1種の局所麻酔薬を含む局所麻酔薬処方物、を含む鎮痛系を適用する工程;ならびに
b)該鎮痛系を該皮膚表面に少なくとも30分間の期間維持する工程
を含む、方法。
【請求項47】
前記加温要素は、前記鎮痛系が前記皮膚表面に適用されるのとほぼ同時に加温を開始する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記局所麻酔薬はテトラカイン、リドカイン、プリロカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、ベンゾカインおよびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記局所麻酔薬処方物はリドカイン塩基またはテトラカイン塩基の少なくとも1種を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記局所麻酔薬はリドカイン塩基とテトラカイン塩基との共融混合物である、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記共融混合物の重量百分率は前記局所麻酔薬処方物の少なくとも30wt%である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも60分間の期間維持される、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも2時間の期間維持される、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
前記局所麻酔薬処方物は2cm〜200cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記局所麻酔薬処方物は7cm〜150cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項56】
前記局所麻酔薬処方物は8cm〜15cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記局所麻酔薬処方物は前記結合組織の疼痛を直接覆う前記皮膚表面に適用される、請求項46に記載の方法。
【請求項58】
前記結合組織の疼痛は靭帯の疼痛である、請求項46に記載の方法。
【請求項59】
前記結合組織の疼痛は腱の疼痛である、請求項46に記載の方法。
【請求項60】
前記結合組織の疼痛は腸脛靭帯の疼痛である、請求項46に記載の方法。
【請求項61】
前記結合組織の疼痛は血管に関連する、請求項46に記載の方法。
【請求項62】
前記結合組織の疼痛は腱障害によって起こる、請求項46に記載の方法。
【請求項63】
前記腱障害は鎖骨の腱炎である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記腱障害はテニス肘である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記腱障害は脛骨過労性骨膜炎である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記結合組織の疼痛は滑液包炎である、請求項46に記載の方法。
【請求項67】
骨折、切断、破壊、捻挫、挫傷、断裂または打撲傷により損傷した組織に起因する疼痛を処置する方法であって:
a)組織の骨折、切断、破壊、捻挫、挫傷、断裂、打撲傷に関連する疼痛、限局性の疼痛、ポイントの疼痛のある被験体の皮膚表面に、以下:
i)該皮膚表面を36℃〜42℃の温度に加温することができる加温要素、および
ii)少なくとも1種の局所麻酔薬を含む局所麻酔薬処方物、を含む鎮痛系を適用する工程;ならびに
b)該鎮痛系を該皮膚表面に少なくとも30分間の期間維持する工程
を含む、方法。
【請求項68】
前記加温要素は、前記鎮痛系が前記皮膚表面に適用されるのとほぼ同時に加温を開始する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記局所麻酔薬はテトラカイン、リドカイン、プリロカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、ベンゾカインおよびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記局所麻酔薬処方物はリドカイン塩基またはテトラカイン塩基の少なくとも1種を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記局所麻酔薬はリドカイン塩基とテトラカイン塩基との共融混合物である、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記共融混合物の重量百分率は前記局所麻酔薬処方物の少なくとも30wt%である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも60分間の期間維持される、請求項67に記載の方法。
【請求項74】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも2時間の期間維持される、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
前記局所麻酔薬処方物は2cm〜200cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項67に記載の方法。
【請求項76】
前記局所麻酔薬処方物は7cm〜150cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項67に記載の方法。
【請求項77】
前記局所麻酔薬処方物は8cm〜15cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項67に記載の方法。
【請求項78】
前記局所麻酔薬処方物は前記疼痛を直接覆う前記皮膚表面に適用される、請求項67に記載の方法。
【請求項79】
前記疼痛は骨折に由来する、請求項67に記載の方法。
【請求項80】
前記疼痛は手術で起こった組織の切断に由来する、請求項67に記載の方法。
【請求項81】
前記疼痛は骨組織または軟骨組織の破壊に由来する、請求項67に記載の方法。
【請求項82】
前記疼痛は関節の捻挫または関節の挫傷に由来する、請求項67に記載の方法。
【請求項83】
前記疼痛は組織の断裂に由来する、請求項67に記載の方法。
【請求項84】
前記疼痛は打撲傷に由来する、請求項67に記載の方法。
【請求項85】
前記疼痛は限局性の疼痛である、請求項67に記載の方法。
【請求項86】
前記疼痛はポイントの疼痛である、請求項67に記載の方法。
【請求項87】
前記疼痛は発痛点の疼痛である、請求項67に記載の方法。
【請求項88】
関節炎に関連する疼痛を処置する方法であって:
a)関節炎の疼痛のある被験体の皮膚表面に、以下:
i)該皮膚表面を36℃〜42℃の温度に加温することができる加温要素、および
ii)少なくとも1種の局所麻酔薬を含む局所麻酔薬処方物、を含む鎮痛系を適用する工程;ならびに
b)該鎮痛系を該皮膚表面に少なくとも30分間の期間維持する工程
を含む、方法。
【請求項89】
前記加温要素は、前記鎮痛系が前記皮膚表面に適用されるのとほぼ同時に加温を開始する、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記局所麻酔薬はテトラカイン、リドカイン、プリロカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、ベンゾカインおよびそれらの組み合わせの群から選択される、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記局所麻酔薬処方物はリドカイン塩基またはテトラカイン塩基の少なくとも1種を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
前記局所麻酔薬はリドカイン塩基とテトラカイン塩基との共融混合物である、請求項88に記載の方法。
【請求項93】
前記共融混合物の重量百分率は前記局所麻酔薬処方物の重量の30%を超える、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも60分間の期間維持される、請求項88に記載の方法。
【請求項95】
前記鎮痛系は前記皮膚表面に少なくとも2時間の期間維持される、請求項88に記載の方法。
【請求項96】
前記局所麻酔薬処方物は2cm〜200cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項88に記載の方法。
【請求項97】
前記局所麻酔薬処方物は7cm〜150cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項88に記載の方法。
【請求項98】
前記局所麻酔薬処方物は8cm〜15cmの面積がある皮膚接触領域を有する、請求項88に記載の方法。
【請求項99】
前記局所麻酔薬処方物は、前記関節炎の疼痛の部位を直接覆う前記皮膚表面に適用される、請求項88に記載の方法。
【請求項100】
前記関節炎の疼痛は関節リウマチに由来する、請求項88に記載の方法。
【請求項101】
前記関節炎の疼痛は変形性関節症に由来する、請求項88に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−525867(P2012−525867A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508825(P2012−508825)
【出願日】平成22年5月4日(2010.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/033538
【国際公開番号】WO2010/129542
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511206663)ザース ファーマ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】