説明

福祉車両

【課題】本発明は、三点式シートベルト用の支柱の強度を低減できるようにして、前記支柱の軽量化、コストダウンを図ることを目的とする。
【解決手段】本発明に係る福祉車両は、プラットホーム20と、プラットホーム20を車室内の格納位置と車室外の車椅子乗降位置との間で移動させる移動機構30,40と、プラットホーム20上で三点式シートベルト50のショルダベルト53を吊り支持するための支柱25とを備える福祉車両であって、支柱25の上部にはショルダベルト53を吊るための吊り下げ具55がショルダアンカ27により固定されており、ショルダアンカ27には、係合部が設けられており、後部ピラーCpの上部にはプラットホーム20が格納位置にある状態でショルダアンカ27にシートベルト荷重が加わった場合に、そのショルダアンカ27の係合部が係合できるように構成されたアンカ受け部材60が固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子を載せて固定できるように構成されており、車室内に格納可能なプラットホームと、前記プラットホームを水平に保持した状態で車室内の格納位置と車室外の車椅子乗降位置との間で移動させる移動機構と、前記プラットホーム上の端部に立設されており、三点式シートベルトのショルダベルトを吊り支持するための支柱とを備える福祉車両に関する。
【背景技術】
【0002】
要介護者が車椅子に着座した状態で乗降できるように、車椅子用のプラットホームと、そのプラットホームを車室内の格納位置と車室外の車椅子乗降位置との間で移動させる移動機構とを備える福祉車両が知られている。このような福祉車両では、車椅子乗降位置にあるプラットホーム上で介助者が車椅子上の要介護者に対して三点式シートベルトをセットできるようにするため、前記プラットホーム上に三点式シートベルト支持用の支柱が立設されている。
前記支柱は、例えば、図2に示すように、プラットホーム101の端部に立設されており、その支柱102の下部にラップベルト103用のリトラクタ104とショルダベルト105用のリトラクタ106とが固定されている。また、支柱102の上部には、ショルダベルト105を吊るための吊り下げ具107がショルダアンカ108により固定されている。
このように、支柱102の上部にショルダアンカ108が固定されているため、車両衝突時等におけるシートベルト荷重がショルダアンカ108を介して支柱102の上部に集中して加わるようになる。したがって、前記支柱102はシートベルト荷重に十分耐えられる強度で構成されている。
【0003】
しかし、前記シートベルト荷重を全て支柱102で受ける構成にすると、支柱102の強度を大きくする必要があり、支柱102が大型化して重量が大きくなるとともに、コスト高となる。
この点を改善するために、プラットホーム101が車室内の格納位置に到達した段階で、支柱102の高さ方向略中央位置を移動機構のリンクと係合させて、前記支柱102を前記リンクで補強できるようにした技術が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−229723号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記移動機構のリンクにより支柱102の高さ方向略中央位置を支える構成では、ショルダアンカ108を介して支柱102の上部に加わるシートベルト荷重を前記リンクにより効率的に受けることはできない。このため、支柱102の強度が低いと、その支柱102が前記シートベルト荷重により前記リンクとの連結部分で曲がることがある。したがって、前記支柱102の強度を希望する程度にまで下げるのは難しい。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、従来よりも支柱の強度を低減できるようにして、前記支柱の軽量化、コストダウンを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、車椅子を載せて固定できるように構成されており、車室内に格納可能なプラットホームと、前記プラットホームを水平に保持した状態で車室内の格納位置と車室外の車椅子乗降位置との間で移動させる移動機構と、前記プラットホーム上の端部に立設されており、三点式シートベルトのショルダベルトを吊り支持するための支柱とを備える福祉車両であって、前記支柱の上部には、前記ショルダベルトを吊るための吊り下げ具がショルダアンカにより固定されており、前記ショルダアンカには、係合部が設けられており、前記車室を構成するピラーの上部には、前記プラットホームが前記車室内の格納位置にある状態で前記支柱のショルダアンカにシートベルト荷重が加わった場合に、そのショルダアンカの係合部が係合できるように構成されたアンカ受け部材が固定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によると、プラットホームが格納位置にある状態で支柱のショルダアンカにシートベルト荷重が加わった場合に、そのショルダアンカの係合部が車室のピラーのアンカ受け部材と係合する。即ち、シートベルト荷重(ショルダベルトに加わる荷重)は支柱と車室のピラーとによって受けられる。このため、支柱の上部に加わる前記シートベルト荷重をその支柱だけで受ける従来の方式と比較して、前記支柱の強度を下げることが可能になる。これにより、前記支柱の軽量化を図れるとともに、コスト低減を図ることができる。
【0009】
請求項2の発明によると、ショルダアンカの係合部は軸状に構成されて、その係合部が前記支柱の側面から車幅方向に突出しており、アンカ受け部材には、プラットホームが格納位置まで移動する過程で、前記ショルダアンカの係合部が半径方向から挿入されるように構成された切欠き部が設けられており、前記ショルダアンカの係合部は、その係合部が前記切欠き部に挿入された状態で、前記ショルダアンカに前記シートベルト荷重が加わることで、前記アンカ受け部材と係合するように構成されていることを特徴とする。
このように、プラットホームが格納位置まで移動する過程で、自動的にショルダアンカの係合部がピラーのアンカ受け部材と係合可能な状態になるため、前記ショルダアンカとアンカ受け部材とを手動で係合可能状態にする必要がなくなる。
【0010】
請求項3の発明によると、ショルダアンカの係合部の突出端面には、アンカ受け部材の切欠き部よりも幅広に形成された頭部が設けられていることを特徴とする。
このため、プラットホームが格納位置にある状態、即ち、ショルダアンカの係合部がアンカ受け部材の切欠き部に挿入された状態で、前記ショルダアンカが軸方向の荷重を受けた場合でも、前記ショルダアンカの係合部がアンカ受け部材から外れることがない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、支柱の強度を従来よりも低減できるため、前記支柱の軽量化、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の本実施形態1に係る福祉車両の後部を表す模式斜視図である。
【図2】前記福祉車両におけるプラットホームの三点式シートベルト及び支柱を表す分解斜視図である。
【図3】前記福祉車両の移動機構等を表す側面図である。
【図4】前記福祉車両で使用される支柱のショルダアンカとピラーのアンカ受け部材とを表す分解斜視図である。
【図5】前記福祉車両で使用される支柱のショルダアンカとピラーのアンカ受け部材とを表す側面図である。
【図6】図1、図5のVI−VI矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態1]
以下、図1から図6に基づいて本発明の実施形態1に係る福祉車両について説明する。
ここで、図中における前後左右及び上下は福祉車両の前後左右及び上下に対応している。
【0014】
<福祉車両の概要ついて>
本実施形態に係る福祉車両Cは、図1等に示すように、ワンボックスタイプの車両で後側開口部Hを備えており、その後側開口部Hが上下回動式のバックドア(図示省略)によって開閉可能に構成されている。そして、前記福祉車両Cの後部に、要介護者を車椅子Kで後側開口部Hから乗降させるための車椅子用リヤリフタ10が設けられている。
車椅子用リヤリフタ10は、車椅子Kが載せられるプラットホーム20と、そのプラットホーム20を前後スライドさせる左右一対の前後スライド機構30と、前記プラットホーム20を水平に昇降させる左右一対の昇降リンク機構40とから構成されている。
【0015】
<昇降リンク機構40、前後スライド機構30の概要ついて>
昇降リンク機構40は、図1、図3に示すように、車室フロアFLの後部両端に設けられた固定金具41と、前記固定金具41に上下回動可能な状態で連結された四節リンク部43と、その四節リンク部43の先端部に同じく上下回動可能な状態で連結された起立状態の第2リンク44と、前記四節リンク部43を上下回動させる駆動部(図示省略)とから構成されている。そして、第2リンク44の基端部(下端部)に前後スライド機構30を介してプラットホーム20が水平に保持された状態で連結されている。
前後スライド機構30は、プラットホーム20の左右側面に設けられたスライドレール35と、前記スライドレール35を車両前後方向にスライドさせるスライド機構本体部33とから構成されている。
【0016】
図3に示すように、プラットホーム20が車椅子乗降位置にある状態で昇降リンク機構40の駆動部が動作し、左右の四節リンク部43が固定金具41に対して上方に回動すると、それらの四節リンク部43によって左右の第2リンク44が上方に引き上げられる。これにより、左右の第2リンク44に対して前後スライド機構30を介して連結されたプラットホーム20が水平に保持された状態で上昇する。そして、四節リンク部43が起立する位置まで回動した段階で、第2リンク44が四節リンク部43に重なる位置まで到達し、四節リンク部43、第2リンク44及び前後スライド機構本体部33が車室内に格納される。次に、昇降リンク機構40の駆動部が停止し、前後スライド機構本体部33が動作することでプラットホーム20が前進し、車室内に格納される。
また、車室内の格納位置にあるプラットホーム20が車椅子乗降位置まで移動する際には、上記順序と逆の順序で前後スライド機構30、昇降リンク機構40が動作する。
即ち、上記した前後スライド機構30及び昇降リンク機構40が本発明の移動機構に相当する。
【0017】
<プラットホーム20について>
プラットホーム20は、図1に示すように、前後に長い長方形状に形成されており、そのプラットホーム20の後端部分にスロープ板21が上下回動可能な状態で連結されている。また、プラットホーム20の前端縁には、角筒状の車椅子ストッパ22が設けられている。さらに、プラットホーム20には、そのプラットホーム20上を車椅子ストッパ22の位置まで前進した車椅子Kをその位置に固定する固縛装置(図示省略)が設けられている。また、プラットホーム20の後部右側には、車椅子用の三点式シートベルト50を支持する支柱25が立設されている。
【0018】
<三点式シートベルト50について>
三点式シートベルト50は、図2、図3等に示すように、要介護者の腰回りを拘束するラップベルト51と、要介護者の上半身を拘束するショルダベルト53とを備えている。ラップベルト51とショルダベルト53の基端部は、それぞれリトラクタ51r,53rに連結されており、各リトラクタ51r,53rにより巻き取り可能に構成されている。そして、ラップベルト51とショルダベルト53のリトラクタ51r,53rが支持板25sを介して支柱25の下部に固定されている。さらに、ラップベルト51とショルダベルト53の先端側には、係止金具51t,53tが取付けられている。また、支柱25の上部には、ショルダベルト53の途中部分を吊るための吊り下げ具55がショルダアンカ27によって連結されている。
プラットホーム20の後部左側には、支柱25と対向する位置に支持部材24が立設されており、その支持部材24に上部ステー57と下部ステー58の基端部がそれぞれ連結されている。そして、下部ステー58の先端に、ラップベルト51の係止金具51tが係合可能なバックル58bが固定されている。また、上部ステー57の先端に、ショルダベルト53の係止金具53tが係合可能なバックル57bが固定されている。
【0019】
<ショルダアンカ27について>
ショルダアンカ27は、前述のように、ショルダベルト53を吊る吊り下げ具55を支柱25の上部に連結するための軸状体であり、図2、図4等に示すように、支柱25の上部を車幅方向(左右方向)に貫通した状態でその支柱25に溶接されている。ショルダアンカ27は、支柱25の側面から車幅方向内側(左方向)に突出する雄ネジ部27mを備えており、その雄ネジ部27mが吊り下げ具55のボルト孔55bに挿通されるように構成されている。そして、吊り下げ具55のボルト孔55bに挿通されたショルダアンカ27の雄ネジ部27mに対してナット27zが締付けられる。これにより、吊り下げ具55は支柱25の上部に連結される。
また、ショルダアンカ27は、支柱25の側面から車幅方向外側(右方向)に突出する係合軸部27jを備えており、その係合軸部27jの突出端に円板状の頭部27hが同軸に固定されている。即ち、ショルダアンカ27の係合軸部27j及び頭部27hが本発明のショルダアンカの係合部に相当する。
【0020】
<アンカ受け部材60について>
福祉車両Cの車室を構成する後部ピラーCpの上部には、図1に示すように、アンカ受け部材60が固定されている。アンカ受け部材60は、プラットホーム20が車室内の格納位置まで前進した段階で、支柱25のショルダアンカ27の係合軸部27jが嵌め込まれるように構成されている。アンカ受け部材60は、図4〜図6に示すように、後部ピラーCpの表面にボルト止めされる固定板部64と、その固定板部64に連結される係合板部62とから構成されている。固定板部64は、図4等に示すように、縦板部64tと上下板部64u,64dとにより側面略C字形に構成されており、その縦板部64tの中央にボルト65が通されるボルト孔64xが形成されている。また、上板部64uと下板部64dの中央には連結ピン63が挿通されるピン孔64yが形成されている。
【0021】
係合板部62は、縦板部62tと上下板部62u,62dとにより側面略C字形に構成されており、その上板部62uと下板部62dとにより、図6に示すように、固定板部64の上下板部64u,64dを上下から挟めるように構成されている。そして、係合板部62の上板部62uと下板部62dとに連結ピン63が挿通されるピン孔62yが形成されている。また、係合板部62の縦板部62tには、図4、図5に示すように、ショルダアンカ27の係合軸部27jが後方から嵌合できるように構成された長孔状の切欠き部67が前後方向に延びるように形成されている。なお、切欠き部67の開口部分(後端部分)には、図5に示すように、ショルダアンカ27の係合軸部27jが後方から嵌合し易くなるように傾斜面による拡開部67wが設けられている。
ここで、切欠き部67の幅寸法は、ショルダアンカ27の係合軸部27jの外径寸法より若干大きく、ショルダアンカ27の頭部27hの外径寸法より十分小さな値に設定されている。
【0022】
アンカ受け部材60を後部ピラーCpの上部に固定するには、図6に示すように、固定板部64のボルト孔64xを後部ピラーCpの取付け孔Cphに位置合わせする。ここで、後部ピラーCpの取付け孔Cphの裏側にはボルト孔を備えるブラケットNbが予め固定されており、そのブラケットNbにナットNtが取付けられている。このため、固定板部64のボルト孔64xを後部ピラーCpの取付け孔Cphに位置合わせしてボルト65をナットNtに螺合させることで、その固定板部64を後部ピラーCpの上部に固定することができる。次に、固定板部64の上下板部64u,64dを係合板部62の上下板部62u,62dで挟んだ状態でピン孔62y,64yに連結ピン63を挿通させる。この状態で、連結ピン63の先端をかしめることで、アンカ受け部材60の取付けが完了する。
【0023】
<福祉車両Cの動作について>
上記した福祉車両Cにおいて要介護者を車椅子Kで乗車させる場合には、先ず、図1に示す状態で介助者が車椅子Kをプラットホーム20上の前進限位置まで移動させて、前記車椅子Kを固縛装置によりプラットホーム20に固定する。次に、介助者が三点式シートベルト50により、要介護者の腰回りと上半身を拘束する。このように、介助者が車室外で三点式シートベルト50を取り扱えるため、車室内で三点式シートベルト50を取り扱う場合と比較して作業性が向上する。
次に、介助者が車椅子用リヤリフタ10の乗車スイッチ(図示省略)を操作する。乗車スイッチが操作されると、昇降リンク機構40の駆動部が動作して左右の四節リンク部43が起立方向に回動する。これにより、左右の第2リンク44が起立した状態で引き上げられ、プラットホーム20が水平に上昇しつつ、車室側(前方)に移動する。そして、左右の四節リンク部43、第2リンク44及び前後スライド機構30のスライド機構本体部33が車室内に格納された状態で、昇降リンク機構40の駆動部が停止する。
【0024】
次に、前後スライド機構30のスライド機構本体部33が動作してプラットホーム20が前方にスライドし、車室内に格納される。そして、プラットホーム20が前進する過程で、図5に示すように、支柱25に固定されたショルダアンカ27の係合軸部27jが後部ピラーCpの上部に固定されたアンカ受け部材60の切欠き部67に後方から嵌合する。このとき、ショルダアンカ27の頭部27hはアンカ受け部材60の係合板部62と固定板部64との間に挿入される(図5参照)。このようにして、プラットホーム20が格納位置まで前進すると、前後スライド機構30が停止して要介護者の乗車が完了する。
また、要介護者を降車させる場合には、介助者が車椅子用リヤリフタ10の降車スイッチ(図示省略)を操作することで、上記した順番と逆の順番で前後スライド機構30と昇降リンク機構40とが動作する。
ここで、プラットホーム20が格納位置にある状態では、前述のように、ショルダアンカ27の係合軸部27jが後部ピラーCpのアンカ受け部材60に嵌合している。このため、例えば、車両衝突時のシートベルト荷重がショルダアンカ27に加わると、そのシートベルト荷重はショルダアンカ27を介して支柱25で受けられるとともに、前記ショルダアンカ27、アンカ受け部材60を介して後部ピラーCpで受けられるようになる。
【0025】
<本実施形態に係る福祉車両Cの長所について>
本実施形態に係る福祉車両Cによると、プラットホーム20が格納位置にある状態で支柱25のショルダアンカ27にシートベルト荷重が加わると、そのショルダアンカ27の係合軸部27jが車室内の後部ピラーCpのアンカ受け部材60と係合する。即ち、シートベルト荷重(ショルダベルト53に加わる荷重)は支柱25と後部ピラーCpとによって受けられる。このため、支柱25の上部に加わる前記シートベルト荷重をその支柱25だけで受ける従来の方式と比較して、支柱25の強度を下げることが可能になる。これにより、前記支柱25の軽量化を図れるとともに、コスト低減を図ることができる。また、支柱25を軽量化できることによりプラットホーム20の幅方向における重量のアンバランスを軽減でき、車両走行中におけるプラットホーム20の振動を抑制できる。
また、プラットホーム20が格納位置まで移動する過程で、自動的に支柱25のショルダアンカ27が後部ピラーCpのアンカ受け部材60と嵌合する(係合可能な状態になる)ため、ショルダアンカ27とアンカ受け部材60とを手動で嵌合させる必要がなくなる。
また、ショルダアンカ27には頭部27hが設けられているため、ショルダアンカ27の係合軸部27jがアンカ受け部材60の切欠き部67に挿入された状態で、そのショルダアンカ27が軸方向の荷重を受けた場合でもショルダアンカ27がアンカ受け部材60から外れることがない。
【0026】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、支柱25の上部を角筒状に形成してショルダアンカ27を車幅方向に貫通させる例を示したが、支柱25を厚板状あるいはパイプ状に形成してショルダアンカ27を車幅方向に貫通させる構成でも可能である。
また、本実施形態では、アンカ受け部材60に切欠き部67を構成し、プラットホーム20が格納位置まで移動する過程で支柱25のショルダアンカ27の係合軸部27jが前記切欠き部67に嵌合する例を示した。しかし、プラットホーム20が格納位置にある状態で、ショルダアンカ27の係合軸部27jがアンカ受け部材60の切欠き部67と非接触状態であっても(嵌合状態でなくても)、シートベルト荷重を受けたときに両者27,60が係合できれば良い。また、アンカ受け部材60を、例えば、鉤状に形成し、プラットホーム20が格納位置まで移動する過程で、前記鉤状のアンカ受け部材がショルダアンカ27の係合軸部27jに掛かるようにする構成でも良い。
【符号の説明】
【0027】
20・・・・プラットホーム
25・・・・支柱
27・・・・ショルダアンカ
27j・・・係合軸部(係合部)
27h・・・頭部(係合部)
30・・・・前後スライド機構(移動機構)
40・・・・昇降リンク機構(移動機構)
50・・・・三点式シートベルト
53・・・・ショルダベルト
55・・・・吊り下げ具
60・・・・アンカ受け部材
Cp・・・・後部ピラー(ピラー)
K・・・・・車椅子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子を載せて固定できるように構成されており、車室内に格納可能なプラットホームと、前記プラットホームを水平に保持した状態で車室内の格納位置と車室外の車椅子乗降位置との間で移動させる移動機構と、前記プラットホーム上の端部に立設されており、三点式シートベルトのショルダベルトを吊り支持するための支柱とを備える福祉車両であって、
前記支柱の上部には、前記ショルダベルトを吊るための吊り下げ具がショルダアンカにより固定されており、
前記ショルダアンカには、係合部が設けられており、
前記車室を構成するピラーの上部には、前記プラットホームが前記車室内の格納位置にある状態で前記支柱のショルダアンカにシートベルト荷重が加わった場合に、そのショルダアンカの係合部が係合できるように構成されたアンカ受け部材が固定されていることを特徴とする福祉車両。
【請求項2】
請求項1に記載された福祉車両であって、
前記ショルダアンカの係合部は軸状に構成されて、その係合部が前記支柱の側面から車幅方向に突出しており、
前記アンカ受け部材には、前記プラットホームが格納位置まで移動する過程で、前記ショルダアンカの係合部が半径方向から挿入されるように構成された切欠き部が設けられており、
前記ショルダアンカの係合部は、その係合部が前記切欠き部に挿入された状態で、前記ショルダアンカに前記シートベルト荷重が加わることで、前記アンカ受け部材と係合するように構成されていることを特徴とする福祉車両。
【請求項3】
請求項2に記載された福祉車両であって、
前記ショルダアンカの係合部の突出端面には、前記アンカ受け部材の切欠き部よりも幅広に形成された頭部が設けられていることを特徴とする福祉車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−173355(P2010−173355A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15332(P2009−15332)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】