移動するシート材料のミクロクレーピング
ワンロールミクロクレーパ部材の固定作用表面は、低摩耗特性及び低摩擦特性を有するプラスチック樹脂製である。集中的な力を受ける基本押圧部材として、これは0.040インチの厚さである。ブレードミクロクレーパの一方又は両方の対向するリターダ部材は、プラスチック製である。磨耗及び摩擦限界に応じた熱可塑性樹脂、例えば超高密度ポリエチレンが用いられる。開口、スロット、又は孔を場合によっては有する基本延長部が、処理済み材料に係合するフレキシブルリターダとしての役割を果たす。荷重分散表面により、熱可塑性基本部材は歪みなく拘束される。この表面が直線状であることにより、基本部材は取り付け台に摺動可能に挿入される。この表面がロール軸と平行であることにより、基本部材は横方向熱膨張が可能である。図示の基本部材は、シート形態であり、一方が拘束表面を有するシート金属部材間に取り付けられる。ポリオレフィン、木材パルプ等のシート材料が、商業的速度でドライミクロクレープを施される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動するフレキシブルなシート材料のミクロクレーピングに関する。本発明は、例えば加熱問題又は汚染問題に起因して商業ベースでのミクロクレーピングが困難であったフレキシブルなシート材料のミクロクレーピング、及びこれまで達成可能であったよりも高速で又は少ない機械構成部品磨耗でのフレキシブルなシート材料のミクロクレーピングの両方に関する。
【0002】
[関連出願]
米国特許法第119条(e)項(1)の下で、本願は、2006年1月6日に出願された先行の米国仮出願第60/756,793号の利益を主張する。この先行出願の全開示が、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
「ミクロクレーピング」は、「ドライミクロクレーピング」と呼ばれることがあり、移動するフレキシブルなシート材料を駆動ロールに対して押圧することによって駆動力を発生させる実質的に乾燥した条件下でのシート材料の長手方向処理を指す。これは、狭い減速通路に材料を積極的に押し通し、駆動領域と減速領域との間の遷移部でシート材料に対するミクロクレーピング作用が生じる。このようなミクロクレーピングは、駆動表面へのシート材料の接着にも材料の湿潤状態にも依存しないため、特に広範囲の特性を得ることができる(注:ここで説明するドライミクロクレーピングは、例えばヤンキードライヤで行われるウェットクレーピング又は接着に基づいたクレーピングと混同されてはならない。こうしたプロセスも「ミクロクレーピング」と呼ばれる例もあったが、全く異なるプロセスであり、「ドライミクロクレーピング」で達成可能な結果を得ることはできない。)
【0004】
「ワンロールミクロクレーピング」、すなわちワンロールドライミクロクレーピングは、シート材料の内面を機械的に把持することが可能な表面を有する1つの駆動ロールに依存するミクロクレーピングを指す。係合する材料の外面に対して自由に滑動可能な(すなわち、滑らかに連続的に滑動可能な)面を有する固定押圧部材によって、シート材料の走行長がかなりの力で面方向にこの移動表面に対して押圧される。このような構成で可能になる処理領域の可変形状により、特に広範囲の処理が可能である。
【0005】
「ブレードミクロクレーパ」又はドライミクロクレーパは、対向するリターダ表面間での処理済み材料の押し出しに依存して減速を行い、ロール側のリターダがブレードの形態である、ワンロールミクロクレーパを指す。
【0006】
「ブレードレスミクロクレーパ」又はドライミクロクレーパは、そのようなブレードを有さないワンロールミクロクレーパを指す。
【0007】
フレキシブルなシート材料の性質及びワンロールミクロクレーパでのミクロクレーピングによる処理の条件に応じて、シートの一体部分を残したままシート材料の個々の繊維を捲縮することができ、シート材料全体に細かいクレープ又は粗いクレープを形成することができ、シート材料の構成繊維間で所望の程度の結合破壊を発生させることができ、且つ軟化、ドレープ性、及び伸長性を生み出すか又は高めることができる。熱可塑性成分を有するウェブ材料の処理の場合、ヒートセットが通常は用いられる。
【0008】
このような方法で、移動するフレキシブルなシート材料を軟化するか又は永久弾性にすることができ、その外観及び触感をより布に近付けることができ、シート材料の吸収性を高めることができ、シート材料が物体を覆う又は物体になじむ能力を高めることができ、他の有用な品質を与えることができる。
【0009】
このようなミクロクレーピングは、広範囲の材料で有用である。例えば、天然繊維、合成繊維、又は単層若しくは多層のこれら2種類の繊維のブレンドから成る不織布シート材料のミクロクレーピング、プラスチックフィルム又はより厚みのあるプラスチックシート、及びプラスチックフィルム又は金属コーティング若しくはラミネートを有する不織布又は繊維シートのミクロクレーピング、紙シート材料及びパルプから作製された他のシート製品のミクロクレーピング等を行うことができる。
【0010】
ワンロールミクロクレーパ(ドライミクロクレーパ)の実用的開発は、Richard R. Walton及び共同発明者に遡る。例えば、1966年7月12日に発行された米国特許第3,260,778号には、ブレードワンロールミクロクレーパが記載されている。材料制限(material-confining)リターダ通路が、材料の片側の傾斜ブレード形態のリターダと反対側のフレキシブルリターダ部材との間に画定される。処理済み材料は、連続的に自由に滑動してリターダ表面を通過しながら、押し出し作用でこれらのリターダ間から外方に移動させられる。1974年5月14日に発行された米国特許第3,810,280号には、駆動ロール表面とその上の固定リターダ部材との間にリターダ通路を画定するブレードレスワンロールミクロクレーパが記載されており、固定リターダ部材は、材料を自由に滑動させるのではなく、(ブレードミクロクレーパで得られるような自由に滑動可能な表面間で材料を押さえて押し出すことによる減速とは対照的に)機械的な表面減速効果によって材料に係合して材料を強制的に減速させる。長年にわたり、多様なワンロールミクロクレーパが開発されてきた。1978年5月23日に発行された米国特許第4,090,385号には、コームロールミクロクレーパが示されており、1990年1月16日に発行された米国特許第4,894,196号には、接線押し出しを用いるブレードミクロクレーパが示されている。システムを改良する努力は、長年にわたって続けられてきた。例えば、1988年1月5日に発行された米国特許第4,717,329号及び1991年10月29日に発行された第5,060,349号は、ミクロクレーパの固定部材の交換可能な組み立て済みシステムに関し、1997年9月16日に発行された米国特許第5,666,703号及び1997年10月21日に発行された米国特許第5,678,288号は、ブレードレスミクロクレーパの改良に関する。これらの特許のそれぞれを参照されたく、可能な管轄において(in jurisdictions where it is possible)、ミクロクレーパを改良する何十年にもわたる努力及び可能な多種多様なワンロールミクロクレーパ構成を説明するために、それぞれが参照により本明細書に援用される。
【0011】
この長期にわたる開発において、ワンロールミクロクレーパ(ドライミクロクレーパ)処理は、幾何学的変数及び他の変数に非常に敏感であることが分かった。特に、機械の幅寸法及び長さ寸法が経時的に安定しており均一である機械要素を用いることが極めて重要であると判断された。重要な駆動領域及び減速領域において材料に係合する固定表面の曲げ又は座屈、反り又は皺、長さ方向の変位又は他の幾何学的変動は許されなかった。
【0012】
これに関して、ワンロールミクロクレーパに関する基本的所見の1つは、ウェブ材料を従動ロールに対して押圧してシート材料を前方に駆動するために、接触又は「基本(primary)」部材としてばね鋼等の固定硬質金属部材を用いる必要があることであった。基本部材の表面は、金属部材に施される低摩擦の耐熱コーティング、典型的にはDuPontのTeflonによって形成されたものであり、この金属の強度及び寸法安定性によって作用表面が臨界幾何公差内で維持されるかが決まる。この基本部材は、その面の狭い面積をフレキシブルなシート材料の外面に制御された圧力で押し付けて自由に滑動可能な関係にすることができるように、しっかりと保持された。これにより、材料の内面は移動ロール表面の把持表面に対して押圧された。これにより得られるロール面との強力な係合により、フレキシブルなシート材料をその平面上で積極的に機械的に前方駆動することができ、フレキシブルなシート材料は、滑動及び停止を繰り返すことなく連続的な動きで、すなわち自由に、固定基本部材の下で前方に滑動した。固定基本部材が主に金属製であることにより、基本部材を機械的に安定させることができる、すなわち、処理に不均一性をもたらすような曲げ又は座屈を伴わないことが分かった。
【0013】
同様に、ブレードミクロクレーパ構成の場合、固定リターダ部材も同じく、鋼又は同様の特性を有する他の金属で形成すべきであることも分かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
これらの条件を見ると、多くのシート材料に関して、実際の駆動構成部品及び減速構成部品と、動作速度と、加熱と、構成部品の磨耗率と、移動する材料の幅及び長さ全体にわたる処理領域の一定の幾何学的形状の必要性との間で、許容可能なバランスを得ることができることが分かった。しかしながら、プロセスの使用に大きな制限があることも分かった。所望される高い生産率では、固定の自由に滑動可能な表面における摩擦熱が、多くの種類のフレキシブルなシート材料に悪影響を及ぼすか、又は駆動領域及び減速領域を形成する部品の熱変形で処理の均一性を損なわせることが分かった。多くの種類の材料を処理すると、固定の滑動可能な表面には過度の磨耗が生じる。過熱及び過度の磨耗のような問題により、処理できる材料の種類、得ることができる処理の種類、及び最大加工速度に関して、商業的使用に大きな制限がつきまとうと考えられた。多くの場合、このような生産上の問題がミクロクレーピングを高価なものにしており、場合によってはミクロクレーピングが全く実用的ではないように思われた。
【0015】
一例として、商業的に許容可能な速度では、ポリマーの摩擦熱から高い局部温度が生じることでそれらの領域が過度に変形又は溶融したポリマー状態になるため、多くのポリマー繊維のウェブ材料は、所望の終端効果を得るために商業的にミクロクレープを施すことができなかった。例えば、これが材料の表面における材料の起伏を鋭角にすることで、手触りが粗くなった。これは特に、低コストで使い捨ておむつ、パーソナルケア製品等の製造に広く好まれる、ポリプロピレン又はポリエチレン等のポリオレフィン繊維の不織布材料の場合に当てはまった。同じく、ポリプロピレン又はポリエチレンのフィルムを含むプレーンフィルム及びラミネートにミクロクレープを施すと、ポリマー溶融に起因して表面に鋭く研磨性のある(abrasive:ざらついた)クレープ縁ができ、これは多くの場合に許容不可能である。
【0016】
別の例として、木材パルプで形成されたシート材料のミクロクレーピングは、プロセスが所望の高速で実施されるときに固定基本表面が破壊されるため制限されていた。これは、クラフト紙等の木材パルプで作製された製品、及び木材パルプ含有量が多い不織布ワイプ製品の場合に当てはまった。研磨性のある微粉を含有するリサイクル木材パルプで形成された製品のミクロクレーピングを試みると、基本部材、すなわちその低摩擦コーティングが、また間もなくその下の鋼表面自体が、短期間の動作を経て破壊された。
【0017】
インク等の移動性物質が処理中の材料から転写される傾向があることで、処理を妨害してコストのかかるなくすべきダウンタイムを伴う処理表面上の付着堆積物の蓄積が生じることにより、ミクロクレーピングには他の困難も生じていた。別の問題は、プロセスで本質的にバリア層にピンホールができてしまうと思われるバリアコーティングに関するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
材料上を自由に滑動する固定部材を画定するためには、鋼又は同様の金属構成部品が必要であるという考えが一般的に古くからあるにも関わらず、その代わりに本発明者らは、処理される特定の材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにそれぞれの機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択されたプラスチック製の別個に形成された部材によって、表面を形成することが可能であることを見出した。これに関して特に重要なのは、ワンロールミクロクレーパの固定基本押圧表面をこのようなプラスチックで形成することである。好ましい場合、プラスチック部材は別個のシート形態のプラスチック製である。
【0019】
基本押圧部材に関して、駆動領域及び減速領域で安定した幾何学的形状を維持することができるように、集中的な押圧力及び引きずり力(drag force)が分散される質量を提供するには約0.04インチ以上の押圧部材の厚さが適していることが分かっている。
【0020】
他の特徴は、プラスチックに好ましい磨耗及び摩擦特性限界、或る特定の熱可塑性樹脂の適性の発見、インク等の移動性物質が転写されないようにするための特殊プラスチックの使用に関する。繊維強化材を含まないプラスチックは、バリアフィルムのピンホール等の問題に対処することが分かっている。基本部材及び一体型延長部の好ましい形態には、プラスチック延長部のスロット又は孔等の開口が含まれる。約220F未満の温度で動作するために、超高密度ポリエチレンが基本押圧部材及び固定減速部材に好ましい熱可塑性材料であることが分かっている。
【0021】
横方向に配置されて前進方向に向いた延長荷重分散表面をプラスチック基本部材に画定させることにより、基本部材の作用表面を歪ませる荷重集中を伴わずにこの部材を拘束できることも明らかとなった。この表面を直線的な摺動可能に係合する表面として形成することにより、組み立て時にプラスチック基本部材をその取り付け台に摺動可能に挿入することができる。摺動可能な表面をロールの軸と平行にすることにより、プラスチックから成る基本部材の横方向の熱膨張が可能になる。好ましい取り付けシステムは、構成しやすく、既存のミクロクレーパ機で用いることができる。例えば、基本部材は、シート形態で、少なくとも一方が基本部材の壁に係合する拘束構造部を有する2つの取り付け部材間に保持され得る。壁は、プラスチック部材の溝の後壁であってもよく、拘束構造部は、取り付け部材に担持されて溝に挿入される棒であってもよい。したがって、重要なこととして、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び木材パルプのシート材料にミクロクレープを施すことができることが望ましい。
【0022】
したがって、本発明の2つの特定の態様は、実質幅を有する選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置及び当該装置を使用して材料を処理する方法であって、当該装置は、材料が実質的に乾燥した非接着状態であるときに材料の第1の面に機械的に係合するように構成される把持表面を有する駆動ロールと、駆動領域で一面が材料の反対側の第2の面に滑動可能に係合して面方向に押し当たり、材料の第1の面をロールの把持表面に押し付けて材料を積極的に前進させることができるように構成され取り付けられる固定押圧部材と、減速領域で前進する材料の一面に係合して前進する材料を減速させ、且つ駆動領域と減速領域との間の遷移区間で材料の圧縮処理を行わせるように構成され取り付けられる少なくとも1つの固定減速部材とを備え、
固定部材の少なくとも一方は、移動する材料を前進又は減速させるために、表面の一方を材料の面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせる位置に保持される、プラスチック製の別個の磨耗部材であり、プラスチック部材は、処理される選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成る、実質幅を有する選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置及び当該装置を使用して材料を処理する方法を提供する。
【0023】
これらの態様の好適な実施態様は以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する。
【0024】
プラスチック製の少なくとも一方の固定部材は、駆動領域の押圧部材であり、好ましい形態では、押圧部材は、約0.040インチを超える厚さのシート形態の基本部材であり、シート形態の基本部材は、駆動領域に先行する支持領域で片持ち梁として支持され、圧力デバイスに関連付けられ、圧力デバイスは、駆動領域で、シート形態の基本部材の外方に露出した側に実質的に集中的な幅方向に延びる線状の調整可能な圧力を加えて、基本部材の反対面に移動する材料を駆動ロールの把持表面に対して押圧させて材料を積極的に前進させるように構成され、プラスチック基本部材の厚さは、圧力デバイスの集中的な圧力下での有害な変形を防止する。
【0025】
減速領域は、2つの協働する固定減速部材によって画定される減速通路を備え、2つの協働する固定減速部材は、部材間から処理済み材料が突き出るときに減速力を加えるように前進するシート材料の両側に連続的に滑動可能に係合するように配置される。好ましくは、減速部材の少なくとも一方は、その表面の一方を前進する材料の面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて材料の減速を促す位置に保持される、プラスチック製のシート形態又はプレート形態の磨耗部材である。
【0026】
減速部材の一方は、材料のうち駆動ロールと同じ側に位置付けられ、且つ前進する材料の移動方向を変えるように実質的な角度を付けて位置決めされた材料係合方向転換表面を有する、プレート形態のリターダ部材であり、協働するリターダ部材は、材料の移動方向に押圧部材から前方に延びる片持ち梁制限部材であり、プレート形態のリターダ部材の方向転換表面と互いに収束してからこれと実質的に平行に延びて、処理済み材料が押し出される際に通る押し出し通路を形成するように曲げられるか又は曲げられることが可能である。好ましい形態では、協働するリターダ部材は、その表面の一方を前進する材料の面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて材料の減速を促す位置に保持される、プラスチック製のシート形態の磨耗部材であり、特定の好ましい形態では、プラスチック製の協働するリターダ部材は、厚さが約0.005インチ〜0.015インチであり、支持部材が、協働する部材の外側に支持を与えるように配置される。
【0027】
ブレードミクロクレーパの形態の場合、プラスチック製の協働するリターダ部材は、固定押圧部材とは独立して形成されるシート形態の部材であり、協働する減速部材は、支持のために押圧部材の外向き表面に対して保持される後方周辺部を有する。好ましくは、シート形態の支持部材が、協働するリターダ部材の外向き表面に係合する。
【0028】
一方又は両方のリターダ部材がプラスチック製である装置において、好ましくは、協働する押圧部材は、プラスチック製のシート形態の磨耗部材であり、その表面の一方を移動する材料の面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて材料の前進を促す位置に保持され、プラスチック押圧部材は、選択された処理される材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成り、場合によっては、協働する部材は、押圧部材の一体延長部であり、押圧部材と共にプラスチックから成る単一部品を形成し、協働する部材は、所望される処理に応じて基本部材と同じ厚さであるか又は基本部材よりも薄い厚さである。場合によっては、いずれの形態でも、協働する部材は、移動する材料の幅にわたって延びる一連の開口、例えば孔又はスロットを材料係合表面に有する。
【0029】
ブレード型のミクロクレーパでは、プレート形態のリターダ部材(プレート形態のリターダ部材の方向転換表面と協働するリターダ部材とが互いに収束してから実質的に平行に延びて、処理済み材料が押し出される際に通る押し出し通路を形成する)は、その表面の一方を前進する材料の面に連続的に滑動可能に係合させて材料の減速を促す位置に保持される、プラスチック製の磨耗部材である。
【0030】
本発明の好ましい態様は、選択される特定のプラスチックにも関する。これらの態様には以下が含まれる。
【0031】
固定材料係合表面の1つ又は複数は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、並びに上記の1つ又は複数を成分とするコポリマー及び相溶性ブレンドから成る群より選択されるプラスチック樹脂から実質的に成るプラスチックによって、実質的に画定される。
【0032】
固定表面の1つ又は複数は、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有するプラスチックによって画定される。
【0033】
プラスチック製の固定表面の1つ又は複数は、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する。
【0034】
所定の処理温度を有する所定のフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、プラスチック製の1つ又は複数の固定部材のプラスチックは、温度で安定し、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有し、且つ試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有するように選択される。
【0035】
ポリオレフィン樹脂から成るフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、固定部材の少なくとも1つは、選択されたポリオレフィン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成り、好ましくは、選択されたプラスチック樹脂は、超高分子量ポリエチレン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る。
【0036】
約220F未満の処理温度で材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、少なくとも1つの固定部材は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る。
【0037】
約220Fよりも高い処理温度で材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、固定部材は、ナイロン6,6、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る。
【0038】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、固定部材のプラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有するように選択され、好ましい形態では、プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する。
【0039】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、固定部材は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る。
【0040】
プラスチック固定部材に移動しやすい物質を保持する選択された材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、部材は、移動性物質の付着に抵抗又は干渉するように選択されるプラスチックから成る。好ましい実施態様は以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する。プラスチックは、移動性物質の付着に抵抗又は干渉する物質を含むプラスチック樹脂であり、プラスチックは油入りプラスチックであり、処理される選択された材料は、ポリエチレン、又はポリエチレンが実質的成分であるコポリマー若しくはブレンドから成り、移動性物質はインクであり、固定部材のプラスチックは、油入りナイロンから実質的に成る。バリア層又は不透水フィルム若しくは層を有するフレキシブルな材料を処理するようにプロセスを適合させるために、繊維強化材を含まないプラスチックが使用される。
【0041】
本発明の他の態様は、シート形態のプラスチック基本押圧部材の取り付け台に関する。これらは以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する。
【0042】
装置は、駆動領域にあるプラスチック製の基本押圧部材と、プラスチック製の基本部材よりも実質的に小さな熱膨張係数を有する少なくとも1つの支持部材とを含む、材料係合デバイスを有し、材料係合デバイスは、小さな熱膨張係数を有する支持部材に対するその自由な横方向熱膨張を許すように構成される、基本部材の取り付け台を含む。好ましい形態は以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する。プラスチック製の基本部材は、横方向に配置されて移動する材料の前進方向に向いた少なくとも1つの延長荷重分散表面を画定し、取り付け台が、移動する材料が基本部材に加える引きずり力に抵抗するように荷重分散表面に係合する対応する拘束表面を含み、好ましくは、プラスチック基本部材の荷重分散表面及び対応する拘束表面は、組み立て時に摺動可能に係合するように構成及び配置される直線表面であり、好ましくは、延長荷重分散表面は、駆動ロールの軸と平行に配置される直線表面であり、拘束表面は、それに対応して直線状であり、荷重分散表面に摺動可能に係合してプラスチック製の基本部材の自由な横方向の熱膨張を許し、好ましくは、荷重分散表面は、基本部材の壁構造部によって提供され、例えば壁は、基本部材のプラスチック本体に形成される溝に隣接する。
【0043】
装置において、基本部材は好ましくは、アセンブリの一部を形成する上側取り付け部材と下側取り付け部材との間に保持され、取り付け部材の少なくとも一方は、移動する材料が基本部材に加える引きずり力に抵抗するように荷重分散表面に係合する上記拘束表面を提供する。この場合、実施態様は好ましくは以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する。取り付け部材は、基本部材の上面の上で押圧デバイスの作用線よりも前方にある端まで前方に延び、下側取り付け部材は、押圧デバイスの後部に位置付けられる端まで前方に延び、基本部材の直線荷重分散表面が、基本部材の上面又は下面に形成される溝の前向き後壁であり、直線拘束表面は、対応する取り付け部材によって提供される構造部の後向き表面によって画定される。
【0044】
好ましい形態では、アセンブリの各部分が、ホルダの対応する溝内に保持される横方向に並んだ一連のファスナによって基本部材の後部に接合される。
【0045】
本発明の別の重要な態様は、上記特徴のうちの1つ又は複数を有する装置を提供する方法、及び本発明の特徴に関して上述した様々なシート材料及び本明細書の他の箇所で述べられる他の材料をこの装置で加工する方法に関する。
【0046】
本発明の別の態様は、本質的に、材料を前進させる駆動ロールと、ロールによって前方に駆動される材料と係合可能な少なくとも1つのリターダと、材料がリターダに係合する前に駆動領域で材料を駆動ロールの表面に対して押圧し、材料に連続的に滑動可能に係合し且つ駆動ロール上の材料の幅にわたって横方向に延びる材料係合表面を画定する、基本押圧部材と、基本部材に調整可能な圧力を加えて、基本部材に押圧領域で材料の幅にわたって移動する材料を駆動ロールの表面に対して押圧させる押圧デバイスとを有する、選択された移動するフレキシブルなシート材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置で用いられるように構成される、基本押圧部材であって、
基本部材のうち少なくとも押圧領域で移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、移動する材料に連続的に滑動可能に係合することが可能なプラスチックを含む磨耗部材であり、プラスチック磨耗部材は、処理される選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成る、選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置で用いられるように構成される基本押圧部材に関する。
【0047】
この態様の好ましい実施態様は、本装置の固定部材に関して概ね上述した、又は本装置の駆動領域で用いられる押圧部材又は基本押圧部材に関して具体的に述べた特徴のうちの1つ又は複数を有する。
【0048】
1つ又は複数の実施態様の詳細は、添付図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面と特許請求の範囲とから明らかになるであろう。
【0049】
種々の図面において同じ参照符号は同じ要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
図1は、リターダブレードを用いるタイプの標準ワンロールミクロクレーパ機を示す。機械は、その標準基本押圧・フレキシブルリターダセンブリを取り外した状態で図示されている。このミクロクレーパは、Micrex Corporation(Walpole, Massachusetts, USA)から市販されている。これは、米国特許第4,717,329号に示されている機械のバージョンと同様であるが、米国特許第5,666,703号に従って基本アセンブリの後方周辺部を端から滑り込ませる基本・リターダ押圧アセンブリ用のホルダを有する。このタイプのミクロクレーパのオリジナルバージョンは、米国特許第3,260,778号に示されている。図1の標準ミクロクレーパと同様でもあるが、これは、基本押圧アセンブリの後方周辺部を固定するために圧力クランプを用いていた。これらの特許のそれぞれを参照されたく、認められた管轄において(in jurisdictions where permitted)、基本押圧・減速アセンブリの構造及び動作に関してそれぞれが参照により本明細書に援用される。
【0051】
本発明の図1を参照すると、横方向の長さが72インチの従動ロール10が、処理されるフレキシブルなウェブ材料の表面と機械的に係合するための外側円筒形把持表面10a(図2)を有する。例えば、把持表面10aは、プラズマコーティングによって鋼ロールに施された細かい炭化ケイ素粒子によって画定され得る。この把持表面は、最大72インチの選択幅を有する連続長の所定のフレキシブルなシート材料(ウェブ材料)Mを受け取る。ミクロクレーピングに続いて、処理済み材料M’が機械から引き離される。基本押圧アセンブリ用のホルダ14が、支持部材16に担持される。ホルダは、下側部材42及び上側部材44それぞれから構成される。これらは、横方向に、すなわち機械の幅にわたって延びる。基本押圧・フレキシブルリターダセンブリの後方周辺部は、部材42と44との間に保持されるように構成される。基本押圧・リターダアセンブリは、このとき、材料Mの移動方向に片持ち式に圧力デバイス18の下の位置まで突出する。圧力デバイス18は、シュー20に下向きの力を加えるように構成される。シューはさらに、アセンブリの基本部材の全動作幅にわたって狭い領域に矢印Pの下向きの力を加える。リターダブレード部材30も、全動作幅にわたって延びる。これは、材料Mを挟んで反対側にあるシート形態の制限部材24(「フレキシブルリターダ」)と協働して処理済み材料用の押し出し通路を画定しながら、駆動される材料Mの前方推力に対抗するように位置決めされる(図2)。リターダブレード30及び対向する制限減速部材24は、材料Mの両面に連続的に滑動可能に、すなわち自由に係合する。材料は、基本部材の端における遷移区間で押さえられる。ミクロクレープを施された材料M’の移動は、材料の両側に滑動可能に押し当たる減速及び制限表面の協働による押し出し作用によって減速される。ワンロールミクロクレーパで標準的であるように、ロール10の把持表面によって(ロールに接着することなく)前方に駆動される材料Mは、圧力シュー20とリターダ部材30及び24によって画定される押し出し通路との間の小さな遷移区間でミクロクレープ(ドライミクロクレープ)を施される。ミクロクレーピングの動作の下限温度は、ミクロクレープを施された材料のヒートセットに必要な温度レベル(すなわち、材料の冷却時に材料から古い記憶を除去
して新たなミクロクレープ構成を材料に保持させるのに必要な温度)に応じて変わる。望まれない溶融若しくは粗い触感の発生等、又は機械の過度の磨耗を伴わずに、所望の処理結果を依然として得ることができる最高温度は、ウェブ材料の特徴及び所望の処理の性質に応じて変わる。例えば、ポリオレフィン繊維の表面繊維の望ましくない溶融は、ナイロンの表面繊維よりも低温で生じる。繊維の溶融及び再整形は、材料に望まれない剛性を与え得る。最高動作速度は通常、ウェブが機械を通る速度に伴って通常は上昇する機械表面の摩擦熱のレベルによって、このような材料に対して設定される。(また、実際には材料の摩擦熱及び加工の結果として700°Fもの高さの非常に高温になり得ることが、従来の鋼部品を用いた通常のミクロクレーピングで記録されている。)
【0052】
図2及び残りの図は、特殊プラスチック、好ましくは熱可塑性樹脂で全体又は一部が形成された、新たなミクロクレーピングキャビティの例を示す。
【0053】
図2及び図2A〜図2Cの例は、米国特許第3,260,778号のオリジナルのミクロクレーパで用いられる技法と同様の締め付け機構によって保持されたシート形態の押圧部材を用いる。残りの図の例は、基本押圧アセンブリを端から滑り込ませる図1のホルダを用いる。
【0054】
図2及び図2Aを参照すると、重要な特徴は、シュー20の直下にある基本部材22のプラスチック部分である。その下面は、シュー20が加える圧力Pの集中線に応じて移動する材料Mの外面(図2A)に対して押圧される。これにより、材料Mの内面が押圧されてロール10の把持表面と駆動係合する。基本部材22用のプラスチックは、所定のウェブMの表面と摩擦適合性及び磨耗適合性があるように、且つ部材の機能を果たすように選択された所定の動作条件下で物理的に安定するように選択される。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有する(Teflonコーティングで見られたような過度の磨耗を回避する)。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する。好ましくは、プラスチックは、これらの特性の全てを有する熱可塑性樹脂である。目下好ましい形態では、基本部材22のプラスチックは、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は超高分子量から実質的に成る。他の樹脂で形成された別個の部材も、使用条件に応じて動作可能である。比較的低摩滅の用途での候補材料の例は、例えば自立形シート又はプレートの形態の、自立性グレード(self-supporting grades)のエチレン及びテトラフルオロエチレンのコポリマーである。ポリエチレン並びに上記の1つ又は複数を成分とするコポリマー及び相溶性ブレンドが要素である。
【0055】
図2及び図2Aの例では、目下好ましい実施態様でプラスチック基本部材である熱可塑性基本部材は、広げたシートの形態であり、その上にある冷間圧延鋼の裏当て部材26によって同一範囲にわたって裏打ちされる(支持される)。両方が機械の動作幅にわたって延び、それらの後方周辺部が固定保持される。この例では、プラスチック基本部材の厚さは、好ましくは約0.040インチよりも厚く、好ましくは厚さが約1/16〜1/8インチ(0.0625インチ〜0.125インチ)である。対応する範囲のシート部材の横方向後方周辺部は、概略的に示す固定クランプ14aによって互いに把持されて固定される。クランプ14Aは、図示されていない空気圧ピストンによって矢印Cの方向に作動される。後方周辺部を堅固に締め付けることにより、基本部材22及び裏当て部材26は、基本部材がその下で滑動する移動する材料によって前方引きずり力を受けたときに固定されたままである。基本部材は、移動するシート材料の引きずりが加える長手方向張力及び押圧デバイスが加える面方向の直交圧縮が歪みを引き起こす傾向に逆らう。このプラスチック基本部材の厚さ、好ましくは大抵の使用条件下では約0.40インチを超える厚さによって提供される駆動領域の質量は、プラスチックが横方向に反ったり座屈したりすることも、圧力シュー20の下で歪んだりその下から前方に突き出たりすることもないように、力を吸収及び拡散させる。したがって、一定の温度及び速度条件下では、機械の幅全体及びフレキシブルなシート材料Mの供給ロールの加工全体を通して処理形状が一定であり得ることが分かる。
【0056】
図2及び図2Aの例では、フレキシブルなシート制限部材(フレキシブルリターダ)24の後方周辺部は、プラスチック基本部材22及びその上の裏当て部材26の前方周辺部間に挿入される。続いて、部材24は、リターダブレード部材30によって図示の上方に傾斜した形態に逸らされる位置に前方に延びる。所定位置で、部材24は材料のうち基本部材22の下から出る側に押し当たって係合し、リターダブレード30は材料の反対側に滑動可能に係合して、押し出し作用による減速の条件を整える。
【0057】
プラスチック基本部材22及びそれに関連する金属部品の熱膨張差に関して、その作用に適応して幾何学的歪みのない動作性を保証する特別な措置があることが分かる。
【0058】
プラスチック基本部材及びそれが締着される裏当て部材24の熱膨張係数の大きな差は、処理表面に反り及び凹凸が生じる危険性があることで適切な動作を妨げるように当業者には思われるかもしれないが、本明細書で後述する特別な措置を講じることで対処されることが分かる。
【0059】
プラスチックの選択に関して、ミクロクレープを施される移動するシート材料Mが実質的にポリオレフィンから成る特殊な場合、場合によっては基本磨耗部材22もポリオレフィンから実質的に成ることが有利であることが分かる。超高分子量ポリエチレンが好ましい。
【0060】
実際には大抵のフレキシブルなシート材料に関して、所定の処理条件が約220F未満の温度で磨耗部材の形態の基本部材を動作させることを含む場合、樹脂は超高分子量ポリエチレンであることが目下好ましい。約220Fを超える処理温度では、高温でその形態を保つことができる熱可塑性樹脂が適している。例えば、高温ナイロンで形成された材料を処理するためには、基本部材の熱可塑性樹脂はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であり得る。低温ナイロンのミクロクレーピングの場合、基本部材はナイロン6,6であり得る。
【0061】
材料Mへの付着が不十分な(does not adhere well:着肉性が低い)インク印刷又は他の物質が材料Mの外面に乗っており、物質が移動(転写)するような場合、基本部材22のプラスチックは、移動性物質に関して耐転写性を有するように選択される。好ましくは、このような移動性材料が乗っている材料Mを処理するためには、磨耗部材は、移動性物質の付着に抵抗するように選択された耐付着性充填材が充填されたプラスチックである。重要な例では、プラスチックは、充填材入りプラスチックベアリング材料の範疇から選択される。例えば、材料Mは、付着が不十分なインク印刷が乗ったポリエチレンシート材料であり、プラスチックは、油入りナイロンである。移動性インク印刷が乗った建築用ラップ材料の処理の一例では、米国特許第4,090,385号に実質的に従ったコームロールバージョンのミクロクレーパで油入りナイロンを用いることが有用であることが分かった。
【0062】
重要なこととして、木材パルプから成るフレキシブルなシート材料は、係合表面が過度に磨耗することなく所望の速度で処理できることも分かる。こうした場合、磨耗部材の熱可塑性樹脂は、超高分子量ポリエチレンであることが好ましい。これは特に、リサイクル木材パルプの場合のように木材パルプが研磨微粉を含有する場合に当てはまる。いくつかの重要な場合では、最高約800フィート/分以上の速度を得ることができる。ナイロン、特にナイロン6,6、又はポリエーテルエーテルケトンは、動作温度が約220Fを超える場合にも有用であり得る。
【0063】
多くの場合、プラスチック製の基本部材は、処理される材料の幅よりも大きな横方向範囲を有していてもよいことが分かる。超高分子量ポリエチレン製の部材とロール表面との接触は、いずれの部材にもほとんど磨耗を与えないことが分かっており、これは、Teflonコーティングの有無を問わず鋼で形成された以前の基本部材とは全く異なる結果である。その結果、基本部材の横方向長さを処理される材料の幅と正確に一致させる必要がなくなる。これにより、機械の立ち上げが単純に、且つ以前に必要とされていたよりも低い技能しか備えない作業者によって行うことが可能になる。
【0064】
或る場合では、初期立ち上げ時に、プラスチック基本部材を有する機械及び基本アセンブリが運転温度に温められた後で基本アセンブリの最終締め付けが行われる。例えば、生産操業を開始するとき、機械を低速で運転した後で速度を上げ、多くの場合はさらに速度を上げるのが一般的である。基本部材で発生する摩擦熱の量は、材料が機械を通過する速度に応じて変わる。速度上昇の後、基本部材の温度が上昇する。この条件下では、機械を停止させ、締め付け圧力を解放して加熱された基本部材を膨張させ、再び締め付けてできる限り早く運転を再開することが有用であると分かっている。機械が動作温度に達するまで、段階的に速度を上げながらこの手順が繰り返され得る。
【0065】
設置前に、オーブン内で、又は加熱された駆動ロール等の加熱された物体の付近に配置することによって、基本部材及びその裏当て部材を予熱して、熱膨張差を与えることが有利であることも分かる。まだ熱いうちに、アセンブリを機械の運転位置に取り付けて締め付ける。続いて、機械をこの温度で動作させてそのミクロクレーピングを行わせる。
【0066】
熱膨張の自動適応を可能にする別の技法を、プラスチック基本部材の耐膨張性の摺動可能な取り付け台(expansion-tolerant slideable mounting)に関して本明細書で後述する。
【0067】
図2Bの例は、ばね鋼製のフレキシブルな制限部材24の代わりにプラスチック基本部材22’の前方延長部24’が裏当て部材26の前縁を越えて延びるという点で、図2及び図2Aの例とは異なる。前方延長部24’は、リターダ部材30によって示す位置に逸らされる。動作期間後、この位置に逸らされているうちに、この形状に近い曲げ癖を得ることができる。この形状で、制限部材24’は、遷移区間で材料Mを押さえ、ミクロクレープを施された材料M’がミクロクレーピング領域を離れるときにリターダブレード30と協働して押し出し作用による減速力を材料M’に加える。
【0068】
具体的には、延長部24’は、ブレード30と互いに収束してからこれと平行になり、処理済み材料が押し出される際に通る長手方向リターダ通路を形成する。基本部材用に選択されるプラスチック樹脂がリターダ延長部24’として働くことができることが分かる。図2、図3では基本部材の全厚で示しているが、概念はそれに限定されない。より微妙な減速圧力が望まれる場合、又はその遷移区間で大きな処理空間が望まれる場合、例えば適宜上側又は下側から材料を省くことによって延長部24’の厚さを減らしてもよい。
【0069】
図2Cの実施態様は、図2Aの基本部材22に関して前述した特性に対応する特性を有するように選択されたプラスチック製の基本部材22を用いるが、シート形態の制限部材24’’も、所定のウェブMの表面と摩擦適合性及び磨耗適合性があるように、且つ部材の機能を果たすように選択された所定の動作条件下で物理的に安定するように選択されるプラスチックである。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有する(Teflanコーティングで見られたような過度の磨耗を回避する)。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する。好ましくは、プラスチックは、これらの特性の全てを有する熱可塑性樹脂である。目下好ましい形態では、基本部材22のプラスチックは、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は超高分子量から実質的に成る。他の樹脂で形成された別個の部材も、使用条件に応じて動作可能である。比較的低摩滅の用途での候補材料の例は、例えば自立形シート又はプレートの形態の、自立性グレードのエチレン及びテトラフルオロエチレン(tetrafluoruoethylene)のコポリマーである。ポリエチレン並びに上記の1つ又は複数を成分とするコポリマー及び相溶性ブレンドが要素である。この場合、プラスチック樹脂は、基本部材22に用いられる樹脂とは異なる場合があり、その物理的寸法が異なっていてもよい。例えば、図示のように、制限部材24’’は、基本部材よりも実質的に薄くしてもよく、妥当な場合はそれに係合するさらなる部材によって支持されてもよい。図2Cの実施態様では、プラスチック部材24’’は、部材24’’と同一範囲にわたる薄い裏当て部材32によって支持され、これらの材料後方周辺部において基本部材22とその裏当て26との間で裏当て部材32によって把持される。有用な実施態様では、制限部材24’’の厚さは、約0.005インチ〜0.015インチである。
【0070】
減速押し出し通路の反対側を形成するブレード部材30も、所定のウェブMの表面と摩擦適合性及び磨耗適合性があるように、且つ部材の機能を果たすように選択された所定の動作条件下で物理的に安定するように選択されるプラスチック製のプレート部材として形成されることが有利であり得る。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有する(Teflanコーティングで見られたような過度の磨耗を回避する)。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する。好ましくは、プラスチックは、これらの特性の全てを有する熱可塑性樹脂である。目下好ましい形態では、基本部材22のプラスチックは、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は超高分子量から実質的に成る。他の樹脂で形成された別個の部材も、使用条件に応じて動作可能である。比較的低摩滅の用途での候補材料の例は、例えば自立形シート又はプレートの形態の、自立性グレードのエチレン及びテトラフルオロエチレンのコポリマー、及びそのコポリマー(copolymenr)を成分とする相溶性ブレンドである。処理される材料が、(例えば液体バリアとして)完全性が重要である薄いコーティング又はフィルムを有する場合、樹脂内の繊維強化材がピンホール損傷を引き起こし得ること、及び繊維強化材を含まない樹脂、例えば超高分子量ポリエチレンを用いることが有利であることが分かっているが、プラスチックは、粉状充填材、例えば黒鉛微粉充填材を含有していてもよい。
【0071】
最近の実証では、ブレードミクロクレーパキャビティを画定する3つの固定表面全てを上述のように選択されたプラスチック製の別個の部品として形成して、ミクロクレーピングを開始した。時間を経て、プラスチック基本部材及びプラスチックリターダブレードを取り外し、プラスチック製の制限(containing)フレキシブルリターダ部材24Aのみを残して金属部品に取り替えた(図2Cを参照)。全金属製部品によって形成されるミクロクレーピングキャビティで通常得られるよりも高い速度で、ポリプロピレン繊維のウェブに対するミクロクレーピングプロセスを申し分なく実行することが依然として可能であることが分かった。
【0072】
この動作の改善は、以下のように説明可能であると考えられる。制限部材2Aに対する圧力は基本部材22に対する圧力よりもはるかに低いが、基本部材の場合よりも表面係合面積ははるかに大きく、ウェブ材料の加熱時間ははるかに長い。したがって、制限部材は、摩擦による発熱区域を提供する。
【0073】
概して、ウェブ材料の摩擦加熱は付加的な現象である。フレキシブルリターダ部材24Aの領域に加わる熱を減らすことにより、部材24Aが金属製である場合よりも材料全体の加熱が少なくなる。
【0074】
さらに、金属基本部材22の圧力領域にわたって後方周辺部が挟まれている、すなわち金属基本部材と密接に対面熱接触しているフレキシブルリターダ部材24Aは、金属製である場合、基本部材からフレキシブルリターダの延長区域への熱導体として働くことができ、係合領域において、部材24Aの材料が遠隔熱源からの伝導によってウェブの加熱を引き起こし得る。しかしながら、前述の実証で見られるように、摩擦熱を発生する金属製の基本部材22を用いても、制限部材24Aを金属よりもはるかに熱伝導率が低いプラスチック製にすることによって、基本部材熱源からの熱がはるかに長い長さにわたって伝達されて材料を加熱することができなくなる。換言すれば、プラスチックフレキシブルリターダ部材24Aは、移動するウェブ材料の重なり部分(increment)が高温に曝される持続時間を短縮するため、そのウェブの重なり部分に伝達される総熱量が少なくなる。これらの理由から、制限部材24’’のみをプラスチックとした場合、全金属製処理キャビティの場合よりも高速で運転することが可能であることが分かる。したがって、押圧アセンブリでプラスチックを用いるという概念は、より広い態様では、基本部材がプラスチック製である必要に限定されず、広い見方をすれば、基本部材がプラスチックであるか又はリターダ部材の一方若しくは両方がプラスチック製である状況を含む。これらの状況の全てにおいて、全金属製キャビティと比較して加熱経路が経たれることで所与の速度でウェブ材料に伝達される総熱量を減らし、したがって許容可能な製品を得つつもより高速で、したがってより経済的な速度で材料を進めることができる。強調すると、(1)機械の任意所与の立ち上げ速度を速くすることで、ミクロクレーピング中の摩擦加熱が大きくなる。基本部材がプラスチックで形成され、金属制限部材又はプラスチック制限部材を用いる場合、単位面積当たりの摩擦加熱が最大である主要な圧力集中ラインにおける熱産生が減る。これは、単位速度当たりでウェブ材料に伝達される総熱量を減らし、したがって、許容可能な製品を得つつも全金属製ミクロクレーピングキャビティと比較して高速の動作を可能にする。(2)他方、リターダ部材の一方又は両方がプラスチック製で、基本部材が金属製又は適当なプラスチック製である場合、(a)押し出し減速通路において摩
擦加熱によって発生する熱は低く(材料の面における圧力は基本部材よりもはるかに低いが、摩擦熱を材料に与えるために移動するウェブ材料に曝される持続時間がはるかに長い)、(b)プラスチック製のフレキシブルリターダ部材の場合、基本領域から減速部材によって伝達される熱は全くないか又は少ない。その理由は、基本部材もプラスチック製である場合、基本部材においてあまり熱が発生していないから、又は基本部材が金属製である場合、高温の金属基本部材からのフレキシブル減速部材の熱伝導率が低いからである。また、制限部材で減速部材の一方又は両方がプラスチック製である場合、単位速度当たりでウェブ材料に伝達される熱が減るため、許容可能な製品を得つつも全金属製ミクロクレーパキャビティと比較して処理速度を高めることができる。上述の条件の中でも特に、図2B及び図2Cに示すように、フレキシブルリターダ部材24A及び基本部材22の両方がプラスチック製である場合に最高速度を得ることができるのが普通である。押し出し減速通路の両側がプラスチック製となるようにリターダブレード30もプラスチック製にすることによって、重要な場合にさらに大きな速度上昇を得ることができる。
【0075】
摩擦及び磨耗に関するプラスチック樹脂の選択
プラスチック部材を処理される所与のフレキシブルなシート材料に対して摩擦適合性及び磨耗適合性にするのに最適な樹脂を選択するために、ミクロクレーパ機でその材料に対して一連の簡単な試行を実施することができる。処理効果、所望の処理効果を得つつも達成可能な最高速度、摩擦加熱による温度上昇、及び経時的に摩滅する基本部材の物質量を、観察して比較すべきである。しかしながら、プラスチック樹脂に関して公開済みの磨耗、摩擦、及び温度データを参照するだけでも、本開示に照らしてプラスチック樹脂に適した選択を通常は行うことができ、又は少数の有力候補を公開済みのデータに従い、そこから簡単な比較試行によって有用な材料を選択することができる。
【0076】
付着が不十分なインク又は他の物質が乗った材料の処理に関する熱可塑性樹脂の選択
問題の有無に関する試験を、単に試運転によって行うことができる。
【0077】
例えば、ポリエチレン(PE)製のDuPontの商標であるTyvek等の建築用材料は、印刷が施されている。ポリエチレンはインクが付着しにくい。例えば、サンプルをナイフで引っ掻くことで、インクの付着が不十分であることが示される。印刷が行われる場所と一致したキャビティ表面上の付着インク堆積領域を、蓄積が引き起こすプロセスへの干渉と同様に見ることができる。
【0078】
圧縮処理されるウェブの移動性成分がキャビティ部分に蓄積しないようにするために、又は表面を清掃しやすくするために、ミクロクレーパキャビティの部品にプラスチックが選択され得る。概して、プラスチックは、処理されるウェブに乗った特定の移動性成分に関して、この成分がミクロクレーパキャビティの表面に付着する傾向を減らすように選択されて、移動性成分の付着を減らすべきである。特に、充填材入りナイロン等、軸受用に通常販売されているプラスチック材料が有用であることが分かる。1つの実施態様モードは、充填材入りプラスチックを用いることであり、充填材は印刷されたインクが付着及び堆積しないようにするのに効果的である。例えばポリエチレン上のいくつかのインクに関しては、充填材入りナイロン66が適している。最も適当な候補を選択するために、選択された候補材料で実施される試行を実施することができる。
【0079】
例えば、これにより、建築用ラップ材料Tyvek(商標)等のインクマーキングが乗ったポリエチレン材料、又は他のポリエチレンウェブ材料、一例として高品質のショッピングバッグ材料にミクロクレープを施すときのインクの堆積を減らすのに適した、ミクロクレーパキャビティプラスチック部品(基本、フレキシブル、又はリターダブレード)用の充填材入りプラスチックが判明する。
【0080】
ii.ポリオレフィンの処理
商業的にミクロプレープを施しやすいポリオレフィンの材料の範囲を広げるために、同じくポリオレフィン製の基本部材を用いることが考えられる。このような同種材料は、互いに対する動摩擦係数が小さく、したがって処理される材料を過熱することがない。特に、高分子量の樹脂は、有用な耐摩耗性を有するため好ましいと考えられる。超高分子量ポリオレフィンの樹脂が目下好ましい。
【0081】
目下最適であると考えられている超高分子量ポリエチレン樹脂は、Tivar H.O.T.という商標(Poly Hi Solidur, Inc., Fort Wayne Indiana, USA.の商標)で入手可能なものである。Crown Plasticsが発表しているように(www.crownplastics.com/tivar-hot-specs.htm.)、この材料は、試験ASTM G−65で乾燥砂ホイール磨耗値が90(鋼の値は100)、試験ASTM D−1894で動摩擦が0.12、最高動作温度が275F(135C)である。ASTM D−696でのその熱膨張係数は、0.00011/度F(0.0002/℃)である。
【0082】
ポリプロピレン及びポリエチレンの複数の移動するフレキシブルなシート材料の試験で、この超高分子量ポリエチレンから成る基本部材を用いた。これは、その異常に高い靭性度がポリプロピレン及びポリエチレンシート材料に対するその低摩擦性と組み合わさることによって優れた結果をもたらすことが分かった。多くのミクロクレープ処理に適した圧力及び生産速度での移動するシート材料に対する基本部材の下向き圧力は、移動するシート材料に処理温度範囲を超える摩擦熱を加えることがないことが分かった。基本部材の材料の軟化温度は比較的低いが、発生する少量の摩擦熱がそれに悪影響を及ぼすことはなかった。したがって、超高分子量ポリエチレンは、ポリプロピレン及びポリエチレン等の低温繊維及びフィルム形成樹脂に対して有効であることが確認される。
【0083】
一例では、フッ化炭素でコーティングされた鋼の基本部材とTyvar H.O.T.熱可塑性基本部材との比較試行で、小規模研究室ミクロクレーパを用いた。試行において、ポリプロピレンスパンボンド不織布にミクロクレープを施した。所与の処理に関して、鋼基本部材を用いると、布は約100フィート/分を超える速度では適切に加工できなかったが、熱可塑性基本部材では、140〜150フィート/分の速度を用いて成功し、用いはしなかったがより速い速度も容易に可能であると思われた。熱可塑性基本部材に目立った磨耗はなかった。このようにして生産性が40%以上向上することが極めて重要である。
【0084】
ミクロクレーピングによってポリプロピレンのウェブに高度の長手方向圧密化(例えば60%)を与える、他の比較を行った。処理済み製品の許容不可能な溶融又は硬化が生じる前に達成可能な最高速度は、フッ化炭素(DupontのTeflon)でコーティングされた鋼製の基本部材を用いたときよりも、Tivar H.O.T.超高分子量ポリエチレン製の基本部材を用いたときに、多くの場合は100%、200%、又はそれよりもはるかに高いことが観察された。
【0085】
Tyvar H.O.T.基本部材及び図1のフルサイズ生産ミクロクレーパを用いて、生産実演も行った。軟らかさを維持しつつ(手触りの「堅さ」又は粗さを有さずに)高度の長手方向圧密化及び伸縮性を得るために、様々な重量及び幅のポリプロピレン製のスパンボンド不織布ウェブにミクロクレープを施した。ミクロクレーピングの実施は、0.062インチ厚のTyvar H.O.T.超高分子量ポリエチレン製の基本部材を用いて、最高200フィート/分の速度で成功した。圧力シュー長さ1インチ当たり10〜40ポンドの圧力Pを用いた。機械の全幅に延びる基本部材を用いることで、処理される材料によっては幅が基本部材の幅よりも短いものがあった。したがって、基本部材の端部分がロールの把持表面上に乗る場合があった。同じ基本部材を用いて、所望の特性を有する様々な幅のポリプロピレン材料の大きなロールを生産した。この場合も、熱可塑性基本部材に目立った磨耗はなかった。
【0086】
木材パルプの製品
紙、すなわち鉱物質微粉を本質的に有する木材パルプでできたクラフト紙、ひいては付加的な研磨性汚染物(abrasive contaminates)を有するリサイクルクラフト紙の場合、ウェブは、完全に合成樹脂で形成された織布又は不織布ウェブ又はフィルム材料の場合よりも通常ははるかに研磨性が高い。或る程度までは、木材パルプ含有量がかなり多い他のフレキシブルなシート形態の材料でも紙と同様の研磨性が見られる。一例は、構造強度を与えるために合成繊維を含む複合材中に、吸収性を与えるために木材パルプを含有する不織布ワイプ材料である。多くの場合、フッ化炭素コーティングの有無を問わず、インバー等の硬化鋼、ブルースプリング鋼(blue spring steel)、ステンレス鋼のいずれも、このような材料の許容可能な商業的ミクロクレーピングを可能にするのに十分なほど高い耐摩滅性がないことが分かっている。
【0087】
木材パルプから成るシート材料の処理の多くの場合で、超高分子量ポリエチレンで形成された基本部材が有用であり得ることが分かる。これは、溶融温度が低いにも関わらず、摩擦加熱が低いため比較的高速で動作可能であることが分かり、長い磨耗寿命を実証する。これは、動作温度が低いため、温度が上昇しすぎた場合に損傷を受ける可能性がある熱可塑性樹脂でコーティングされた紙のミクロクレーピング、及び木材パルプ繊維だけでなくポリオレフィン繊維を含有する複合不織布のミクロクレーピングにも有用である。
【0088】
一例として、ポリエチレンコーティングを有するクラフト紙にミクロクレープを施して、材料に伸縮性を与えて包まれる物体の周りになじみ易くした。Tivar H.O.T.超高分子量ポリエチレン製の基本部材を用いた。紙側を上にして複合材料を進め、最高200フィート/分の速度を用いて基本部材に係合させた。前述のように、機械の全幅に延びる基本部材を用いることで、処理される材料によっては幅が基本部材の幅よりも短いものがあったため、基本部材の端部分がロールの把持表面上に乗る場合があった。数日間の運転で、基本部材の長い寿命を確認した。
【0089】
他の場合では、超高分子量熱可塑性樹脂製の基本部材をはるかに高速の800フィート/分以上で用いることができることが意図され、この速度は、使い捨てワイプの形成用のフレキシブルな材料等の木製パルプで形成された多くの製品で経済的に実行可能であることが望まれる速度である。
【0090】
基本部材用の他の熱可塑性材料
超高分子量ポリエチレンが基本部材に目下最も好ましい材料であるが、他の熱可塑性樹脂も、耐摩耗性の向上と十分に低い摩擦特性とを組み合わせる最低要件を満たす。これらは、動作温度がTyvar H.O.T.の動作限界を超える場合に用いるのに適している。この範疇にある2つの材料は、ナイロン6,6及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)である。
【0091】
MatWeb Material Property Data(www.matweb.com)によれば、ナイロン6,6は、磨耗指数(K)が180、摩擦係数が0.09、融点が412〜509F(211〜265C)の範囲である。したがって、これは高温低摩擦材料である。これは、一部のフッ化炭素コーティングほどではないがそれでもなおフッ化炭素コーティングよりもはるかに優れた磨耗特性を有し、ここで説明したように、ミクロクレーパ基本部材として用いるのに必要な少なくとも0.040インチの厚さの耐久性のあるシート形態で提供することができる。
【0092】
供給業者のVictrex plc(www.vitrex.com)によるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)に関しては、磨耗指数が約200、摩擦係数が0.25、融点が644Fであり、長期使用温度が480Fである。ミクロクレーピングプロセスを非常に高い温度で実施しなければならない場合、基本部材用の熱可塑性材料としてこれを用いることができる。
【0093】
繊維形成樹脂の高温ミクロクレーピング
前述のように、高温処理の場合、高温でその形態を保持することが可能な熱可塑性樹脂が必要である。高温ナイロンのミクロクレーピングに関しては、例えば、熱可塑性基本部材として目下最善の選択肢はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)であると思われるが、より低い温度グレードのナイロンのミクロクレーピングに関しては、最善の選択肢はナイロン6,6であると思われ、この場合も同じナイロン範疇の部材間の低摩擦係数を利用する。肝心な情報として、高温樹脂から成るシート材料のミクロクレーピングで、例えば効果をヒートセットするためにミクロクレーピング中に材料を加熱することが望まれる場合、具体的な問題が他の処理の場合とは異なることに留意されたい。ヒートセット範囲内にするためにシート材料を或る程度加熱することが必要であり、或る程度はその熱に摩擦加熱が寄与し得るため、低摩擦特性が非常に低い必要はないことが分かる。そのような場合、例えばポリエステルのシートに関して、鋼基本部材を用いて良好な効果を得ることができることが多い。その代わりに熱可塑性樹脂製の基本部材を用いることが望まれる場合、基本部材の樹脂は、処理温度に耐えるためにPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)又はナイロン6,6とすることができる。
【0094】
部品の他のプラスチック/厚さ
ここで示す大まかな概念は、低摩擦で耐摩耗性の高いプラスチック部品を用いることであり、部品は、使用条件に耐えるのに十分な剛性を有するように選択される。例えば、ミクロクレープを施される典型的な材料に対して、Mylarは摩擦が大きくDelryn及び炭素入りエポキシは摩耗が大きいため、通常は適していない。
【0095】
プラスチック基本部材が0.0125インチもの薄さであり得る条件がいくつかある。多くの場合は0.040インチが厚さの下限であり、上述のような適当な摩擦及び磨耗特性、使用条件下で安定する(すなわち、突き出ない)ように選択される材料に関する最も広い概念である。最も広い概念によれば、最小厚さが0.040インチであれば、部品が「熱可塑性」である必要はない(すなわち、場合によっては熱可塑性であるが全ての場合にそうである必要はなく、熱硬化性樹脂が用いられる場合がある)。
【0096】
概括
様々な動作温度で、Teflonコーティングよりも優れた耐摩耗性を実証し、且つ少なくとも0.040インチ厚の基本部材及び上述のような他の固定部材に形成されたときにミクロクレーピングで有用であるのに十分なほど良好な摩擦品質を依然として有する、熱可塑性樹脂があることが分かる。本明細書で好ましい熱可塑性樹脂を明記するにあたり、本発明者らは、ブレンド、コポリマー、及び強化材を含む部材の形でのこれらの樹脂を包含することを意図する。
【0097】
プラスチック基本部材の熱膨張の悪影響を回避する特別な措置に関して、支持部材に対するプラスチック基本部材の自由な横方向熱膨張を許すと共に、プラスチック基本部材への効果的な荷重分散及びプラスチック基本部材の取り付け台への摺動可能な組み付けを可能にする、部材の取り付け台を構成できることが認識される。記載する技法は、以下の実施態様の説明で用いられる熱可塑性樹脂でできた基本部材で有用である。
【0098】
特に、熱可塑性基本部材の自由な熱膨張を可能にするように機械を構成することには、大きな利点がある。これは、高い技能を必要とせずに機械の迅速で簡単な立ち上げを可能にし、基本部材の反り又は座屈を引き起こす速度変化に関連する摩擦熱を高めることなく、確実な方法で機械の速度を最高実動作速度まで徐々に上昇させることを可能にする。
【0099】
以下の実施形態を参照すると、プラスチック製の基本部材は、約0.040インチよりも厚い。好ましくは、これは、約1/16〜1/8インチ(0.0625インチ〜0.125インチ)の均一な厚さの連続シートである。熱可塑性樹脂は、前述のように、所定の移動するフレキシブルなシート材料の表面と摩擦適合性及び磨耗適合性があるように選択される。
【0100】
熱可塑性基本部材の幾何学的形状を乱さずにその容易な組み立て及び熱膨張を可能にするために、基本部材は、横方向に延びてフレキシブルなシート材料Mの移動方向に向いた直線荷重分散表面を画定する。この表面は、拘束部材の対応部分に係合して、基本部材の下の移動する材料が加える前方引きずり力に抵抗する抵抗力を受けて分散させるように構成される。図示のように、その形態は、基本部材の横方向熱膨張を可能にしつつ基本部材を他の部品と摺動式に組み立てるための摺動可能なガイドを提供する。
【0101】
図3〜図3C及び図4の例では、熱可塑性基本部材22aの本体の上面に横方向溝28が形成され、溝の後壁が直線荷重分散表面28aを画定する。平行な表面28bが、溝の前側を画定する。溝28は、深さDを有し、その底部には壁28cがあり、シート部材22aの残りの厚さを構成する。好ましい形態では、深さDは約0.050インチ以上である。基本部材と同様の熱膨張係数を有する二次部材23が、基本部材22aの後方部分でその底部に接合される(図3A)。これにより厚さが増すことで、取り付け及び補強が容易になる。例えば、二次部材23も、基本部材22aと同じ熱可塑性樹脂の全体的シート形態であり、2つの部材の境界面全体に延びる接着剤によって基本部材22aの下側に強力に接合される。図3Bを参照すると、このように、部材23は、前方部分における引きずり力DFによって一方向に発生する引張荷重と、基本部材の後方部分に加わる逆向きの拘束力RFとの両方を受ける。部材23は、基本部材の押圧作用に干渉しないように前方領域が短縮される。
【0102】
この基本部材用の取り付け台は、横方向に延びて熱可塑性部材22aの溝の荷重分散表面28aに係合する荷重分散拘束表面を提供する。これは、基本部材の下面が前方に引きずられ、集中的な垂直圧力P(図2A)がこの比較的軟らかい熱可塑性部材の厚さに加わるにも関わらず、基本部材の歪みのない動作を可能にする。係合表面が直線状であることにより、組み立て時に熱可塑性部材をその取り付け台に滑り込ませることが可能である。直線表面がロール軸と平行であることにより、取り付け台は、熱可塑性基本部材を挟む部材に対する熱可塑性基本部材の横方向クリープを可能にし、制約のない基本部材の熱膨張及び熱収縮を可能にする。したがって、ミクロクレーピングプロセスの高速立ち上げを可能にする構成で熱可塑性材料にかなりの熱膨張が生じるにも関わらず、熱可塑性材料の反り又は他の歪みが回避される。
【0103】
図3、図3C、及び図4の例では、取り付けアセンブリの荷重分散、摺動組み立て、及び熱膨張の特徴は、それぞれが例えば厚さ約1/16〜1/8インチ(0.0625インチ〜0.125インチ)の冷間圧延鋼製である、基本部材22aに対応する横方向範囲の下側シート金属取り付け部材25及び上側シート金属取り付け部材26によって提供される。
【0104】
取り付け部材の後方部分である領域A(図3A)は、横方向に並んだ一連のファスナ27(図3C)、例えばボルト27a及び係合するねじナット27bによって対面保持される。ファスナ27は、材料Mが基本部材の下で摺動するときにアセンブリを前方移動させないように、ホルダ14の合わせ部材42及び44によって画定されるスロット56に滑り込むサイズになっている。ホルダ14を越えて領域Bにおいて、取り付け部材25及び26の前方部分は、基本部材22a及び二次部材23を受け入れる均一な距離Sだけ離間している。図3及び図3Aに示す例では、上側取り付け部材26は領域A及びBにおいて連続平面形態である。下側取り付け部材25は、曲がり領域Rにおいてそれぞれ逆方向に向いた連続的な直角ベンドを有するため、領域Bにおいて下側部材25は上側部材26と平行であるが均一な距離Sだけ離間している。下側部材25は、シュー20の前で領域Bの終端で終わるが、上側部材26は、領域Cを通ってシュー20の圧力点Pのわずかに前方の前端まで延びる。好ましい一形態では、領域A、B、及びCの寸法はそれぞれ、縦方向に約2インチ、1 1/8インチ(1.125インチ)、及び1インチである。
【0105】
この例では、直線拘束表面29aを画定するために、鋼棒部材29が機械の幅にわたって延びる。これは、縦方向に矩形の断面を有し、スポット溶接等によって上側部材26の下面に接合される。これは、溝28の深さDよりもわずかに浅い深さを有し、溝の幅よりもわずかに狭い幅を有する。
【0106】
図3A及び図3Cに示すように、組み立てられて図4のホルダ14に挿入されると、ファスナ27は上側及び下側の金属部材を対面保持する。熱可塑性シート部材22a及び二次部材23は、金属部材25、26間の空間に端から摺動可能に挿入され、熱可塑性基本部材の溝が棒29の周りに係合し、基本部材22aの上面が上側部材26の下面に対して隙間を残して係合し、したがって二次部材23の下面が下側取り付け部材25の上面に緩く係合する。熱可塑性部材の後端と金属部材との間に隙間空間CSが設けられる。棒29の後向きの直線拘束表面29aは、熱可塑性溝の前向き表面28aに摺動可能に係合するように露出している。したがって、これは、移動するフレキシブルなシート材料が熱可塑性基本部材に加える前方引きずりに抵抗するが、基本部材の横方向の独立した熱膨張及び熱収縮は許す。
【0107】
ここでも同じく、圧力領域における比較的軟らかい熱可塑性基本部材22Aの厚さが約0.040インチよりも厚ければ、移動する材料の引きずりが加える張力及び押圧デバイスが加える面方向の直交圧縮が歪みを引き起こす傾向に逆らうことが分かる。したがって、駆動領域及び処理領域の臨界形状を機械の幅全体で動作期間にわたって一定に維持することができる。
【0108】
図3A〜図3C及び図4の例では、上側部材26の縦方向範囲は4.125インチとすることができ、他の寸法は、図3Cに比例的に示す通りである。
【0109】
図5、図5A、及び図6の例は、フレキシブル部材リターダ24の代わりにプラスチック基本部材22aの前方延長部24’が鋼裏当て部材26の前縁を越えて延びて、リターダ部材30によって図示の位置に逸らされるという点で、図3〜図3C及び図4の例とは異なる。この位置に逸らされている動作期間後、この形状に近い曲げ癖を得ることができる。
【0110】
図5Bの例は、図5の基本部材22a及び二次部材23の外形が熱可塑性樹脂製の単一部材33で得られ得ることを示す。これは、例えば、比較的厚いシート素材のシートをフライス加工することによって、又は射出成形等の他の手段によって実現することができる。
【0111】
図7及び図7Aの例は、シート形態の熱可塑性基本部材を取り付けるためのいくつかの代替的な構造を示す。図7では、一対の溝28’及び28’’が熱可塑性部材22bの厚さに形成され、それぞれが基本部材の横方向範囲全体に延びる。先行の図のように、溝28’は、熱可塑性樹脂の上面に形成され、上側鋼部材26’によって担持される拘束部材29’がその中に係合する。第2の溝28’’は、第1の溝から縦方向にずれた位置で基本部材の下面に形成される。これに、下側鋼取り付け部材25’によって担持される第2の拘束部材29’’が係合する。図7の例では、移動するフレキシブルなシート材料の引きずりが加える荷重は、両方の溝の後面間で共有されるため、溝が1つしか用いられなかった場合よりも各溝の深さ及び基本部材の全厚をそれに応じて減らすことができる。
【0112】
図7Aでは、下側鋼部材25’’が、耐曲げ性保持リップ31の形態の前端を有する。これは、基本部材の横方向範囲にわたって上方且つ横方向に延びる。これは、例えば深さ約0.050インチの適当な深さの拘束表面を提供し、これに対して、基本部材の適当な厚さの下側部分の端にある対応する深さの前向き表面又は壁が機械の幅にわたって係合する。この場合も、これにより、横方向熱膨張を可能にしつつも移動するフレキシブルなシート材料の引きずり作用に対する基本部材の荷重分散拘束が提供される。
【0113】
図8では、図2Bの基本部材22と同様であるが薄くした延長部24dを有する熱可塑性基本部材22dが示されている。この延長部の上面は、部材22dの本体の表面と一続きであるが、これと平行な下面は、基本部材22dの本体の下面に対して所定量nだけ上昇している。図8Aに示すように、機械に設置されると、これは、推進された材料Mが入る所定のキャビティ深さnを加える。この深さの選択で、移動するフレキシブルな材料に対する処理の効果を所望に応じて制御することができる。例えば、n=0.005インチの場合、n=0.010インチの場合よりも細かいミクロクレープをフレキシブルな材料Mにおいて得ることができ、n=0.010インチの場合はさらにn=0.015インチの段の場合よりも細かい処理を行うことができる。延長部24dは、その厚さが薄くなっていることにより、延長部が本体と同じ厚さである場合よりもフレキシブルである。条件的に必要な場合は、例えばばね鋼製のフレキシブルな支持部材32が、基本部材22dの前方周辺部とその上方の部材との間に挟まれる。部材32の前方延長部が、延長部24dに弾性支持を加える。他方、図8Bの例では、基本部材22eの厚さtbは図8の基本部材22dの厚さtaよりも厚いが、ノッチの深さnは同じままであり得る。前方延長部24eの厚さが増したことで、所望され得るように延長部により高い剛性が与えられ、さらなる支持のための部材24bを省くことができる。
【0114】
図9の基本部材22fは、縦方向に延びる一連の狭い離間した平行スロット35がその前方延長部24fにあるという点を除いて、図2Bのものと同じである。例えば、スロットは、横方向寸法が0.020インチ、離間距離が0.040インチ、縦方向長さが0.75インチであり得る。これらのスロット間に残っている基本部材の材料は、移動するフレキシブルな材料の前進に個別に応じることができる縦方向フィンガ37を画定する。1つの望ましい効果は、図9Aで示唆するように処理キャビティに、したがって処理の性質に規則的な変化パターンを与えて、開放空間におけるよりもフィンガの下の方が細かく処理されるようにすることである。1つの達成可能な効果は、例えば、処理される材料の全幅にわたって連続した、したがって堅いクレープの形成を防止することである。したがって、開口は、処理済み材料に所望の横方向フレキシビリティを与えると共にその外観に望ましい効果を与えることができる。開口は、加熱されたロールの作用によって基本部材の下で発生する蒸気のベント通路としての役割も果たして、材料に移って汚れを発生させるおそれのある機械表面上での凝縮を回避することができる。
【0115】
図10の例では、開口が基本部材の延長部の厚さを貫通するスロットである代わりに、部材22gの厚さを貫通した一連の孔によって開口が形成される。これらは、移動する材料が前進させられるときに一時的に膨張することができる一連の空間を提供することで、幅方向に変化する効果を処理に与えることができる。孔は、ベント通路としての役割も果たすことができる。孔は、所望の効果に応じて直径約1/8インチ〜1/2インチで、対応する距離だけ離間し得る。この場合の前方延長部24gは、処理済み材料に減速力を加えるのを助けるために連続的な構成である。
【0116】
プラスチック部品及びそれらの取り付けの複数の実施態様を説明した。しかしながら、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに変更を行うことができることが理解されるであろう。特に、少なくとも0.040インチの厚さの基本部材は、図示された連続シートの一部として以外の形態で駆動領域に位置決めすることができる。例えば、熱可塑性樹脂製の横方向に延びる棒を用いて、シート材料を駆動ロールに対して押圧してもよい。これは、協働する取り付け部材の拘束表面による拘束力を受けるための前向き直線荷重分散表面を画定する形状であり得る。この取り付けは、挿入及び熱膨張への対応のための軸方向の摺動を可能にすることができる。したがって、他の実施形態も添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】基本アセンブリが所定位置にない、従来技術の標準ミクロクレーパ機の側面図である。
【図2】熱可塑性基本部材を有し圧力クランプの形態のホルダによって保持された基本アセンブリを用いる、ミクロクレーパの動作部品の概略拡大図である。
【図2A】いくつかの部品を断面で示し、説明を容易にするために部分的に破断した、図2の機械の動作部分の拡大概略斜視図である。
【図2B】ミクロクレーパ処理キャビティに隣接する他のプラスチック部材を用いた、図2Aと同様の概略斜視図である。
【図2C】ミクロクレーパ処理キャビティに隣接する他のプラスチック部材を用いた、図2Aと同様の概略斜視図である。
【図3】この場合はアセンブリを図1のホルダに端から滑り込ませることが可能である、別の基本アセンブリの部品の断面の拡大図である。
【図3A】組み立てられた部品の側面図である。
【図3B】図3の円で示す部分の大きく拡大した図である。
【図3C】この新たな基本アセンブリの断面斜視図である。
【図4】図3〜図3Cの基本アセンブリを所定位置に有する図1のミクロクレーパの動作部品の拡大図である。
【図4A】いくつかの部品を断面で示し、部分的に破断した、図4の機械の動作部分の拡大概略斜視図である。
【図5】別の熱可塑性基本部材を特徴とする基本アセンブリの部品の図3と同様の分解図である。
【図5A】アセンブリの側面図である。
【図5B】図5Aのものと同様の方法で機能することができる別の基本部材の断面図である。
【図6】図4Aと同様であるが図5A及び図5Bの動作部品を有する概略斜視図である。
【図7】上側取り付け部材と下側取り付け部材との間に保持された基本部材の代替物の拡大断面図である。
【図7A】上側取り付け部材と下側取り付け部材との間に保持された基本部材の代替物の拡大断面図である。
【図8】下流の延長部で段を画定し厚さを薄くした別の基本部材の側断面図である。
【図8A】ステップによって形成されたキャビティ内で材料が処理されている、図8の基本部材を所定位置で示す。
【図8B】図8Aで示すように用いるためのものであるが、フレキシブルな部材による裏当てを有さない、厚さを増した基本部材の図8と同様の図である。
【図9】下流の延長部でフィンガを画定している別の基本部材の断面斜視図である。
【図9A】機械で使用中の基本部材を示す斜視図である。
【図10】一連の開口が遷移領域で基本部材の厚さを貫通して形成される、別の基本部材の断面図である。
【図10A】機械で使用中の基本部材を示す斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動するフレキシブルなシート材料のミクロクレーピングに関する。本発明は、例えば加熱問題又は汚染問題に起因して商業ベースでのミクロクレーピングが困難であったフレキシブルなシート材料のミクロクレーピング、及びこれまで達成可能であったよりも高速で又は少ない機械構成部品磨耗でのフレキシブルなシート材料のミクロクレーピングの両方に関する。
【0002】
[関連出願]
米国特許法第119条(e)項(1)の下で、本願は、2006年1月6日に出願された先行の米国仮出願第60/756,793号の利益を主張する。この先行出願の全開示が、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
「ミクロクレーピング」は、「ドライミクロクレーピング」と呼ばれることがあり、移動するフレキシブルなシート材料を駆動ロールに対して押圧することによって駆動力を発生させる実質的に乾燥した条件下でのシート材料の長手方向処理を指す。これは、狭い減速通路に材料を積極的に押し通し、駆動領域と減速領域との間の遷移部でシート材料に対するミクロクレーピング作用が生じる。このようなミクロクレーピングは、駆動表面へのシート材料の接着にも材料の湿潤状態にも依存しないため、特に広範囲の特性を得ることができる(注:ここで説明するドライミクロクレーピングは、例えばヤンキードライヤで行われるウェットクレーピング又は接着に基づいたクレーピングと混同されてはならない。こうしたプロセスも「ミクロクレーピング」と呼ばれる例もあったが、全く異なるプロセスであり、「ドライミクロクレーピング」で達成可能な結果を得ることはできない。)
【0004】
「ワンロールミクロクレーピング」、すなわちワンロールドライミクロクレーピングは、シート材料の内面を機械的に把持することが可能な表面を有する1つの駆動ロールに依存するミクロクレーピングを指す。係合する材料の外面に対して自由に滑動可能な(すなわち、滑らかに連続的に滑動可能な)面を有する固定押圧部材によって、シート材料の走行長がかなりの力で面方向にこの移動表面に対して押圧される。このような構成で可能になる処理領域の可変形状により、特に広範囲の処理が可能である。
【0005】
「ブレードミクロクレーパ」又はドライミクロクレーパは、対向するリターダ表面間での処理済み材料の押し出しに依存して減速を行い、ロール側のリターダがブレードの形態である、ワンロールミクロクレーパを指す。
【0006】
「ブレードレスミクロクレーパ」又はドライミクロクレーパは、そのようなブレードを有さないワンロールミクロクレーパを指す。
【0007】
フレキシブルなシート材料の性質及びワンロールミクロクレーパでのミクロクレーピングによる処理の条件に応じて、シートの一体部分を残したままシート材料の個々の繊維を捲縮することができ、シート材料全体に細かいクレープ又は粗いクレープを形成することができ、シート材料の構成繊維間で所望の程度の結合破壊を発生させることができ、且つ軟化、ドレープ性、及び伸長性を生み出すか又は高めることができる。熱可塑性成分を有するウェブ材料の処理の場合、ヒートセットが通常は用いられる。
【0008】
このような方法で、移動するフレキシブルなシート材料を軟化するか又は永久弾性にすることができ、その外観及び触感をより布に近付けることができ、シート材料の吸収性を高めることができ、シート材料が物体を覆う又は物体になじむ能力を高めることができ、他の有用な品質を与えることができる。
【0009】
このようなミクロクレーピングは、広範囲の材料で有用である。例えば、天然繊維、合成繊維、又は単層若しくは多層のこれら2種類の繊維のブレンドから成る不織布シート材料のミクロクレーピング、プラスチックフィルム又はより厚みのあるプラスチックシート、及びプラスチックフィルム又は金属コーティング若しくはラミネートを有する不織布又は繊維シートのミクロクレーピング、紙シート材料及びパルプから作製された他のシート製品のミクロクレーピング等を行うことができる。
【0010】
ワンロールミクロクレーパ(ドライミクロクレーパ)の実用的開発は、Richard R. Walton及び共同発明者に遡る。例えば、1966年7月12日に発行された米国特許第3,260,778号には、ブレードワンロールミクロクレーパが記載されている。材料制限(material-confining)リターダ通路が、材料の片側の傾斜ブレード形態のリターダと反対側のフレキシブルリターダ部材との間に画定される。処理済み材料は、連続的に自由に滑動してリターダ表面を通過しながら、押し出し作用でこれらのリターダ間から外方に移動させられる。1974年5月14日に発行された米国特許第3,810,280号には、駆動ロール表面とその上の固定リターダ部材との間にリターダ通路を画定するブレードレスワンロールミクロクレーパが記載されており、固定リターダ部材は、材料を自由に滑動させるのではなく、(ブレードミクロクレーパで得られるような自由に滑動可能な表面間で材料を押さえて押し出すことによる減速とは対照的に)機械的な表面減速効果によって材料に係合して材料を強制的に減速させる。長年にわたり、多様なワンロールミクロクレーパが開発されてきた。1978年5月23日に発行された米国特許第4,090,385号には、コームロールミクロクレーパが示されており、1990年1月16日に発行された米国特許第4,894,196号には、接線押し出しを用いるブレードミクロクレーパが示されている。システムを改良する努力は、長年にわたって続けられてきた。例えば、1988年1月5日に発行された米国特許第4,717,329号及び1991年10月29日に発行された第5,060,349号は、ミクロクレーパの固定部材の交換可能な組み立て済みシステムに関し、1997年9月16日に発行された米国特許第5,666,703号及び1997年10月21日に発行された米国特許第5,678,288号は、ブレードレスミクロクレーパの改良に関する。これらの特許のそれぞれを参照されたく、可能な管轄において(in jurisdictions where it is possible)、ミクロクレーパを改良する何十年にもわたる努力及び可能な多種多様なワンロールミクロクレーパ構成を説明するために、それぞれが参照により本明細書に援用される。
【0011】
この長期にわたる開発において、ワンロールミクロクレーパ(ドライミクロクレーパ)処理は、幾何学的変数及び他の変数に非常に敏感であることが分かった。特に、機械の幅寸法及び長さ寸法が経時的に安定しており均一である機械要素を用いることが極めて重要であると判断された。重要な駆動領域及び減速領域において材料に係合する固定表面の曲げ又は座屈、反り又は皺、長さ方向の変位又は他の幾何学的変動は許されなかった。
【0012】
これに関して、ワンロールミクロクレーパに関する基本的所見の1つは、ウェブ材料を従動ロールに対して押圧してシート材料を前方に駆動するために、接触又は「基本(primary)」部材としてばね鋼等の固定硬質金属部材を用いる必要があることであった。基本部材の表面は、金属部材に施される低摩擦の耐熱コーティング、典型的にはDuPontのTeflonによって形成されたものであり、この金属の強度及び寸法安定性によって作用表面が臨界幾何公差内で維持されるかが決まる。この基本部材は、その面の狭い面積をフレキシブルなシート材料の外面に制御された圧力で押し付けて自由に滑動可能な関係にすることができるように、しっかりと保持された。これにより、材料の内面は移動ロール表面の把持表面に対して押圧された。これにより得られるロール面との強力な係合により、フレキシブルなシート材料をその平面上で積極的に機械的に前方駆動することができ、フレキシブルなシート材料は、滑動及び停止を繰り返すことなく連続的な動きで、すなわち自由に、固定基本部材の下で前方に滑動した。固定基本部材が主に金属製であることにより、基本部材を機械的に安定させることができる、すなわち、処理に不均一性をもたらすような曲げ又は座屈を伴わないことが分かった。
【0013】
同様に、ブレードミクロクレーパ構成の場合、固定リターダ部材も同じく、鋼又は同様の特性を有する他の金属で形成すべきであることも分かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
これらの条件を見ると、多くのシート材料に関して、実際の駆動構成部品及び減速構成部品と、動作速度と、加熱と、構成部品の磨耗率と、移動する材料の幅及び長さ全体にわたる処理領域の一定の幾何学的形状の必要性との間で、許容可能なバランスを得ることができることが分かった。しかしながら、プロセスの使用に大きな制限があることも分かった。所望される高い生産率では、固定の自由に滑動可能な表面における摩擦熱が、多くの種類のフレキシブルなシート材料に悪影響を及ぼすか、又は駆動領域及び減速領域を形成する部品の熱変形で処理の均一性を損なわせることが分かった。多くの種類の材料を処理すると、固定の滑動可能な表面には過度の磨耗が生じる。過熱及び過度の磨耗のような問題により、処理できる材料の種類、得ることができる処理の種類、及び最大加工速度に関して、商業的使用に大きな制限がつきまとうと考えられた。多くの場合、このような生産上の問題がミクロクレーピングを高価なものにしており、場合によってはミクロクレーピングが全く実用的ではないように思われた。
【0015】
一例として、商業的に許容可能な速度では、ポリマーの摩擦熱から高い局部温度が生じることでそれらの領域が過度に変形又は溶融したポリマー状態になるため、多くのポリマー繊維のウェブ材料は、所望の終端効果を得るために商業的にミクロクレープを施すことができなかった。例えば、これが材料の表面における材料の起伏を鋭角にすることで、手触りが粗くなった。これは特に、低コストで使い捨ておむつ、パーソナルケア製品等の製造に広く好まれる、ポリプロピレン又はポリエチレン等のポリオレフィン繊維の不織布材料の場合に当てはまった。同じく、ポリプロピレン又はポリエチレンのフィルムを含むプレーンフィルム及びラミネートにミクロクレープを施すと、ポリマー溶融に起因して表面に鋭く研磨性のある(abrasive:ざらついた)クレープ縁ができ、これは多くの場合に許容不可能である。
【0016】
別の例として、木材パルプで形成されたシート材料のミクロクレーピングは、プロセスが所望の高速で実施されるときに固定基本表面が破壊されるため制限されていた。これは、クラフト紙等の木材パルプで作製された製品、及び木材パルプ含有量が多い不織布ワイプ製品の場合に当てはまった。研磨性のある微粉を含有するリサイクル木材パルプで形成された製品のミクロクレーピングを試みると、基本部材、すなわちその低摩擦コーティングが、また間もなくその下の鋼表面自体が、短期間の動作を経て破壊された。
【0017】
インク等の移動性物質が処理中の材料から転写される傾向があることで、処理を妨害してコストのかかるなくすべきダウンタイムを伴う処理表面上の付着堆積物の蓄積が生じることにより、ミクロクレーピングには他の困難も生じていた。別の問題は、プロセスで本質的にバリア層にピンホールができてしまうと思われるバリアコーティングに関するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
材料上を自由に滑動する固定部材を画定するためには、鋼又は同様の金属構成部品が必要であるという考えが一般的に古くからあるにも関わらず、その代わりに本発明者らは、処理される特定の材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにそれぞれの機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択されたプラスチック製の別個に形成された部材によって、表面を形成することが可能であることを見出した。これに関して特に重要なのは、ワンロールミクロクレーパの固定基本押圧表面をこのようなプラスチックで形成することである。好ましい場合、プラスチック部材は別個のシート形態のプラスチック製である。
【0019】
基本押圧部材に関して、駆動領域及び減速領域で安定した幾何学的形状を維持することができるように、集中的な押圧力及び引きずり力(drag force)が分散される質量を提供するには約0.04インチ以上の押圧部材の厚さが適していることが分かっている。
【0020】
他の特徴は、プラスチックに好ましい磨耗及び摩擦特性限界、或る特定の熱可塑性樹脂の適性の発見、インク等の移動性物質が転写されないようにするための特殊プラスチックの使用に関する。繊維強化材を含まないプラスチックは、バリアフィルムのピンホール等の問題に対処することが分かっている。基本部材及び一体型延長部の好ましい形態には、プラスチック延長部のスロット又は孔等の開口が含まれる。約220F未満の温度で動作するために、超高密度ポリエチレンが基本押圧部材及び固定減速部材に好ましい熱可塑性材料であることが分かっている。
【0021】
横方向に配置されて前進方向に向いた延長荷重分散表面をプラスチック基本部材に画定させることにより、基本部材の作用表面を歪ませる荷重集中を伴わずにこの部材を拘束できることも明らかとなった。この表面を直線的な摺動可能に係合する表面として形成することにより、組み立て時にプラスチック基本部材をその取り付け台に摺動可能に挿入することができる。摺動可能な表面をロールの軸と平行にすることにより、プラスチックから成る基本部材の横方向の熱膨張が可能になる。好ましい取り付けシステムは、構成しやすく、既存のミクロクレーパ機で用いることができる。例えば、基本部材は、シート形態で、少なくとも一方が基本部材の壁に係合する拘束構造部を有する2つの取り付け部材間に保持され得る。壁は、プラスチック部材の溝の後壁であってもよく、拘束構造部は、取り付け部材に担持されて溝に挿入される棒であってもよい。したがって、重要なこととして、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び木材パルプのシート材料にミクロクレープを施すことができることが望ましい。
【0022】
したがって、本発明の2つの特定の態様は、実質幅を有する選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置及び当該装置を使用して材料を処理する方法であって、当該装置は、材料が実質的に乾燥した非接着状態であるときに材料の第1の面に機械的に係合するように構成される把持表面を有する駆動ロールと、駆動領域で一面が材料の反対側の第2の面に滑動可能に係合して面方向に押し当たり、材料の第1の面をロールの把持表面に押し付けて材料を積極的に前進させることができるように構成され取り付けられる固定押圧部材と、減速領域で前進する材料の一面に係合して前進する材料を減速させ、且つ駆動領域と減速領域との間の遷移区間で材料の圧縮処理を行わせるように構成され取り付けられる少なくとも1つの固定減速部材とを備え、
固定部材の少なくとも一方は、移動する材料を前進又は減速させるために、表面の一方を材料の面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせる位置に保持される、プラスチック製の別個の磨耗部材であり、プラスチック部材は、処理される選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成る、実質幅を有する選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置及び当該装置を使用して材料を処理する方法を提供する。
【0023】
これらの態様の好適な実施態様は以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する。
【0024】
プラスチック製の少なくとも一方の固定部材は、駆動領域の押圧部材であり、好ましい形態では、押圧部材は、約0.040インチを超える厚さのシート形態の基本部材であり、シート形態の基本部材は、駆動領域に先行する支持領域で片持ち梁として支持され、圧力デバイスに関連付けられ、圧力デバイスは、駆動領域で、シート形態の基本部材の外方に露出した側に実質的に集中的な幅方向に延びる線状の調整可能な圧力を加えて、基本部材の反対面に移動する材料を駆動ロールの把持表面に対して押圧させて材料を積極的に前進させるように構成され、プラスチック基本部材の厚さは、圧力デバイスの集中的な圧力下での有害な変形を防止する。
【0025】
減速領域は、2つの協働する固定減速部材によって画定される減速通路を備え、2つの協働する固定減速部材は、部材間から処理済み材料が突き出るときに減速力を加えるように前進するシート材料の両側に連続的に滑動可能に係合するように配置される。好ましくは、減速部材の少なくとも一方は、その表面の一方を前進する材料の面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて材料の減速を促す位置に保持される、プラスチック製のシート形態又はプレート形態の磨耗部材である。
【0026】
減速部材の一方は、材料のうち駆動ロールと同じ側に位置付けられ、且つ前進する材料の移動方向を変えるように実質的な角度を付けて位置決めされた材料係合方向転換表面を有する、プレート形態のリターダ部材であり、協働するリターダ部材は、材料の移動方向に押圧部材から前方に延びる片持ち梁制限部材であり、プレート形態のリターダ部材の方向転換表面と互いに収束してからこれと実質的に平行に延びて、処理済み材料が押し出される際に通る押し出し通路を形成するように曲げられるか又は曲げられることが可能である。好ましい形態では、協働するリターダ部材は、その表面の一方を前進する材料の面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて材料の減速を促す位置に保持される、プラスチック製のシート形態の磨耗部材であり、特定の好ましい形態では、プラスチック製の協働するリターダ部材は、厚さが約0.005インチ〜0.015インチであり、支持部材が、協働する部材の外側に支持を与えるように配置される。
【0027】
ブレードミクロクレーパの形態の場合、プラスチック製の協働するリターダ部材は、固定押圧部材とは独立して形成されるシート形態の部材であり、協働する減速部材は、支持のために押圧部材の外向き表面に対して保持される後方周辺部を有する。好ましくは、シート形態の支持部材が、協働するリターダ部材の外向き表面に係合する。
【0028】
一方又は両方のリターダ部材がプラスチック製である装置において、好ましくは、協働する押圧部材は、プラスチック製のシート形態の磨耗部材であり、その表面の一方を移動する材料の面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて材料の前進を促す位置に保持され、プラスチック押圧部材は、選択された処理される材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成り、場合によっては、協働する部材は、押圧部材の一体延長部であり、押圧部材と共にプラスチックから成る単一部品を形成し、協働する部材は、所望される処理に応じて基本部材と同じ厚さであるか又は基本部材よりも薄い厚さである。場合によっては、いずれの形態でも、協働する部材は、移動する材料の幅にわたって延びる一連の開口、例えば孔又はスロットを材料係合表面に有する。
【0029】
ブレード型のミクロクレーパでは、プレート形態のリターダ部材(プレート形態のリターダ部材の方向転換表面と協働するリターダ部材とが互いに収束してから実質的に平行に延びて、処理済み材料が押し出される際に通る押し出し通路を形成する)は、その表面の一方を前進する材料の面に連続的に滑動可能に係合させて材料の減速を促す位置に保持される、プラスチック製の磨耗部材である。
【0030】
本発明の好ましい態様は、選択される特定のプラスチックにも関する。これらの態様には以下が含まれる。
【0031】
固定材料係合表面の1つ又は複数は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、並びに上記の1つ又は複数を成分とするコポリマー及び相溶性ブレンドから成る群より選択されるプラスチック樹脂から実質的に成るプラスチックによって、実質的に画定される。
【0032】
固定表面の1つ又は複数は、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有するプラスチックによって画定される。
【0033】
プラスチック製の固定表面の1つ又は複数は、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する。
【0034】
所定の処理温度を有する所定のフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、プラスチック製の1つ又は複数の固定部材のプラスチックは、温度で安定し、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有し、且つ試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有するように選択される。
【0035】
ポリオレフィン樹脂から成るフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、固定部材の少なくとも1つは、選択されたポリオレフィン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成り、好ましくは、選択されたプラスチック樹脂は、超高分子量ポリエチレン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る。
【0036】
約220F未満の処理温度で材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、少なくとも1つの固定部材は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る。
【0037】
約220Fよりも高い処理温度で材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、固定部材は、ナイロン6,6、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る。
【0038】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、固定部材のプラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有するように選択され、好ましい形態では、プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する。
【0039】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、固定部材は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る。
【0040】
プラスチック固定部材に移動しやすい物質を保持する選択された材料を長手方向に圧縮処理するように装置を適合させるために、部材は、移動性物質の付着に抵抗又は干渉するように選択されるプラスチックから成る。好ましい実施態様は以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する。プラスチックは、移動性物質の付着に抵抗又は干渉する物質を含むプラスチック樹脂であり、プラスチックは油入りプラスチックであり、処理される選択された材料は、ポリエチレン、又はポリエチレンが実質的成分であるコポリマー若しくはブレンドから成り、移動性物質はインクであり、固定部材のプラスチックは、油入りナイロンから実質的に成る。バリア層又は不透水フィルム若しくは層を有するフレキシブルな材料を処理するようにプロセスを適合させるために、繊維強化材を含まないプラスチックが使用される。
【0041】
本発明の他の態様は、シート形態のプラスチック基本押圧部材の取り付け台に関する。これらは以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する。
【0042】
装置は、駆動領域にあるプラスチック製の基本押圧部材と、プラスチック製の基本部材よりも実質的に小さな熱膨張係数を有する少なくとも1つの支持部材とを含む、材料係合デバイスを有し、材料係合デバイスは、小さな熱膨張係数を有する支持部材に対するその自由な横方向熱膨張を許すように構成される、基本部材の取り付け台を含む。好ましい形態は以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する。プラスチック製の基本部材は、横方向に配置されて移動する材料の前進方向に向いた少なくとも1つの延長荷重分散表面を画定し、取り付け台が、移動する材料が基本部材に加える引きずり力に抵抗するように荷重分散表面に係合する対応する拘束表面を含み、好ましくは、プラスチック基本部材の荷重分散表面及び対応する拘束表面は、組み立て時に摺動可能に係合するように構成及び配置される直線表面であり、好ましくは、延長荷重分散表面は、駆動ロールの軸と平行に配置される直線表面であり、拘束表面は、それに対応して直線状であり、荷重分散表面に摺動可能に係合してプラスチック製の基本部材の自由な横方向の熱膨張を許し、好ましくは、荷重分散表面は、基本部材の壁構造部によって提供され、例えば壁は、基本部材のプラスチック本体に形成される溝に隣接する。
【0043】
装置において、基本部材は好ましくは、アセンブリの一部を形成する上側取り付け部材と下側取り付け部材との間に保持され、取り付け部材の少なくとも一方は、移動する材料が基本部材に加える引きずり力に抵抗するように荷重分散表面に係合する上記拘束表面を提供する。この場合、実施態様は好ましくは以下の特徴のうちの1つ又は複数を有する。取り付け部材は、基本部材の上面の上で押圧デバイスの作用線よりも前方にある端まで前方に延び、下側取り付け部材は、押圧デバイスの後部に位置付けられる端まで前方に延び、基本部材の直線荷重分散表面が、基本部材の上面又は下面に形成される溝の前向き後壁であり、直線拘束表面は、対応する取り付け部材によって提供される構造部の後向き表面によって画定される。
【0044】
好ましい形態では、アセンブリの各部分が、ホルダの対応する溝内に保持される横方向に並んだ一連のファスナによって基本部材の後部に接合される。
【0045】
本発明の別の重要な態様は、上記特徴のうちの1つ又は複数を有する装置を提供する方法、及び本発明の特徴に関して上述した様々なシート材料及び本明細書の他の箇所で述べられる他の材料をこの装置で加工する方法に関する。
【0046】
本発明の別の態様は、本質的に、材料を前進させる駆動ロールと、ロールによって前方に駆動される材料と係合可能な少なくとも1つのリターダと、材料がリターダに係合する前に駆動領域で材料を駆動ロールの表面に対して押圧し、材料に連続的に滑動可能に係合し且つ駆動ロール上の材料の幅にわたって横方向に延びる材料係合表面を画定する、基本押圧部材と、基本部材に調整可能な圧力を加えて、基本部材に押圧領域で材料の幅にわたって移動する材料を駆動ロールの表面に対して押圧させる押圧デバイスとを有する、選択された移動するフレキシブルなシート材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置で用いられるように構成される、基本押圧部材であって、
基本部材のうち少なくとも押圧領域で移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、移動する材料に連続的に滑動可能に係合することが可能なプラスチックを含む磨耗部材であり、プラスチック磨耗部材は、処理される選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成る、選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置で用いられるように構成される基本押圧部材に関する。
【0047】
この態様の好ましい実施態様は、本装置の固定部材に関して概ね上述した、又は本装置の駆動領域で用いられる押圧部材又は基本押圧部材に関して具体的に述べた特徴のうちの1つ又は複数を有する。
【0048】
1つ又は複数の実施態様の詳細は、添付図面及び以下の説明に記載されている。他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面と特許請求の範囲とから明らかになるであろう。
【0049】
種々の図面において同じ参照符号は同じ要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
図1は、リターダブレードを用いるタイプの標準ワンロールミクロクレーパ機を示す。機械は、その標準基本押圧・フレキシブルリターダセンブリを取り外した状態で図示されている。このミクロクレーパは、Micrex Corporation(Walpole, Massachusetts, USA)から市販されている。これは、米国特許第4,717,329号に示されている機械のバージョンと同様であるが、米国特許第5,666,703号に従って基本アセンブリの後方周辺部を端から滑り込ませる基本・リターダ押圧アセンブリ用のホルダを有する。このタイプのミクロクレーパのオリジナルバージョンは、米国特許第3,260,778号に示されている。図1の標準ミクロクレーパと同様でもあるが、これは、基本押圧アセンブリの後方周辺部を固定するために圧力クランプを用いていた。これらの特許のそれぞれを参照されたく、認められた管轄において(in jurisdictions where permitted)、基本押圧・減速アセンブリの構造及び動作に関してそれぞれが参照により本明細書に援用される。
【0051】
本発明の図1を参照すると、横方向の長さが72インチの従動ロール10が、処理されるフレキシブルなウェブ材料の表面と機械的に係合するための外側円筒形把持表面10a(図2)を有する。例えば、把持表面10aは、プラズマコーティングによって鋼ロールに施された細かい炭化ケイ素粒子によって画定され得る。この把持表面は、最大72インチの選択幅を有する連続長の所定のフレキシブルなシート材料(ウェブ材料)Mを受け取る。ミクロクレーピングに続いて、処理済み材料M’が機械から引き離される。基本押圧アセンブリ用のホルダ14が、支持部材16に担持される。ホルダは、下側部材42及び上側部材44それぞれから構成される。これらは、横方向に、すなわち機械の幅にわたって延びる。基本押圧・フレキシブルリターダセンブリの後方周辺部は、部材42と44との間に保持されるように構成される。基本押圧・リターダアセンブリは、このとき、材料Mの移動方向に片持ち式に圧力デバイス18の下の位置まで突出する。圧力デバイス18は、シュー20に下向きの力を加えるように構成される。シューはさらに、アセンブリの基本部材の全動作幅にわたって狭い領域に矢印Pの下向きの力を加える。リターダブレード部材30も、全動作幅にわたって延びる。これは、材料Mを挟んで反対側にあるシート形態の制限部材24(「フレキシブルリターダ」)と協働して処理済み材料用の押し出し通路を画定しながら、駆動される材料Mの前方推力に対抗するように位置決めされる(図2)。リターダブレード30及び対向する制限減速部材24は、材料Mの両面に連続的に滑動可能に、すなわち自由に係合する。材料は、基本部材の端における遷移区間で押さえられる。ミクロクレープを施された材料M’の移動は、材料の両側に滑動可能に押し当たる減速及び制限表面の協働による押し出し作用によって減速される。ワンロールミクロクレーパで標準的であるように、ロール10の把持表面によって(ロールに接着することなく)前方に駆動される材料Mは、圧力シュー20とリターダ部材30及び24によって画定される押し出し通路との間の小さな遷移区間でミクロクレープ(ドライミクロクレープ)を施される。ミクロクレーピングの動作の下限温度は、ミクロクレープを施された材料のヒートセットに必要な温度レベル(すなわち、材料の冷却時に材料から古い記憶を除去
して新たなミクロクレープ構成を材料に保持させるのに必要な温度)に応じて変わる。望まれない溶融若しくは粗い触感の発生等、又は機械の過度の磨耗を伴わずに、所望の処理結果を依然として得ることができる最高温度は、ウェブ材料の特徴及び所望の処理の性質に応じて変わる。例えば、ポリオレフィン繊維の表面繊維の望ましくない溶融は、ナイロンの表面繊維よりも低温で生じる。繊維の溶融及び再整形は、材料に望まれない剛性を与え得る。最高動作速度は通常、ウェブが機械を通る速度に伴って通常は上昇する機械表面の摩擦熱のレベルによって、このような材料に対して設定される。(また、実際には材料の摩擦熱及び加工の結果として700°Fもの高さの非常に高温になり得ることが、従来の鋼部品を用いた通常のミクロクレーピングで記録されている。)
【0052】
図2及び残りの図は、特殊プラスチック、好ましくは熱可塑性樹脂で全体又は一部が形成された、新たなミクロクレーピングキャビティの例を示す。
【0053】
図2及び図2A〜図2Cの例は、米国特許第3,260,778号のオリジナルのミクロクレーパで用いられる技法と同様の締め付け機構によって保持されたシート形態の押圧部材を用いる。残りの図の例は、基本押圧アセンブリを端から滑り込ませる図1のホルダを用いる。
【0054】
図2及び図2Aを参照すると、重要な特徴は、シュー20の直下にある基本部材22のプラスチック部分である。その下面は、シュー20が加える圧力Pの集中線に応じて移動する材料Mの外面(図2A)に対して押圧される。これにより、材料Mの内面が押圧されてロール10の把持表面と駆動係合する。基本部材22用のプラスチックは、所定のウェブMの表面と摩擦適合性及び磨耗適合性があるように、且つ部材の機能を果たすように選択された所定の動作条件下で物理的に安定するように選択される。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有する(Teflonコーティングで見られたような過度の磨耗を回避する)。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する。好ましくは、プラスチックは、これらの特性の全てを有する熱可塑性樹脂である。目下好ましい形態では、基本部材22のプラスチックは、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は超高分子量から実質的に成る。他の樹脂で形成された別個の部材も、使用条件に応じて動作可能である。比較的低摩滅の用途での候補材料の例は、例えば自立形シート又はプレートの形態の、自立性グレード(self-supporting grades)のエチレン及びテトラフルオロエチレンのコポリマーである。ポリエチレン並びに上記の1つ又は複数を成分とするコポリマー及び相溶性ブレンドが要素である。
【0055】
図2及び図2Aの例では、目下好ましい実施態様でプラスチック基本部材である熱可塑性基本部材は、広げたシートの形態であり、その上にある冷間圧延鋼の裏当て部材26によって同一範囲にわたって裏打ちされる(支持される)。両方が機械の動作幅にわたって延び、それらの後方周辺部が固定保持される。この例では、プラスチック基本部材の厚さは、好ましくは約0.040インチよりも厚く、好ましくは厚さが約1/16〜1/8インチ(0.0625インチ〜0.125インチ)である。対応する範囲のシート部材の横方向後方周辺部は、概略的に示す固定クランプ14aによって互いに把持されて固定される。クランプ14Aは、図示されていない空気圧ピストンによって矢印Cの方向に作動される。後方周辺部を堅固に締め付けることにより、基本部材22及び裏当て部材26は、基本部材がその下で滑動する移動する材料によって前方引きずり力を受けたときに固定されたままである。基本部材は、移動するシート材料の引きずりが加える長手方向張力及び押圧デバイスが加える面方向の直交圧縮が歪みを引き起こす傾向に逆らう。このプラスチック基本部材の厚さ、好ましくは大抵の使用条件下では約0.40インチを超える厚さによって提供される駆動領域の質量は、プラスチックが横方向に反ったり座屈したりすることも、圧力シュー20の下で歪んだりその下から前方に突き出たりすることもないように、力を吸収及び拡散させる。したがって、一定の温度及び速度条件下では、機械の幅全体及びフレキシブルなシート材料Mの供給ロールの加工全体を通して処理形状が一定であり得ることが分かる。
【0056】
図2及び図2Aの例では、フレキシブルなシート制限部材(フレキシブルリターダ)24の後方周辺部は、プラスチック基本部材22及びその上の裏当て部材26の前方周辺部間に挿入される。続いて、部材24は、リターダブレード部材30によって図示の上方に傾斜した形態に逸らされる位置に前方に延びる。所定位置で、部材24は材料のうち基本部材22の下から出る側に押し当たって係合し、リターダブレード30は材料の反対側に滑動可能に係合して、押し出し作用による減速の条件を整える。
【0057】
プラスチック基本部材22及びそれに関連する金属部品の熱膨張差に関して、その作用に適応して幾何学的歪みのない動作性を保証する特別な措置があることが分かる。
【0058】
プラスチック基本部材及びそれが締着される裏当て部材24の熱膨張係数の大きな差は、処理表面に反り及び凹凸が生じる危険性があることで適切な動作を妨げるように当業者には思われるかもしれないが、本明細書で後述する特別な措置を講じることで対処されることが分かる。
【0059】
プラスチックの選択に関して、ミクロクレープを施される移動するシート材料Mが実質的にポリオレフィンから成る特殊な場合、場合によっては基本磨耗部材22もポリオレフィンから実質的に成ることが有利であることが分かる。超高分子量ポリエチレンが好ましい。
【0060】
実際には大抵のフレキシブルなシート材料に関して、所定の処理条件が約220F未満の温度で磨耗部材の形態の基本部材を動作させることを含む場合、樹脂は超高分子量ポリエチレンであることが目下好ましい。約220Fを超える処理温度では、高温でその形態を保つことができる熱可塑性樹脂が適している。例えば、高温ナイロンで形成された材料を処理するためには、基本部材の熱可塑性樹脂はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であり得る。低温ナイロンのミクロクレーピングの場合、基本部材はナイロン6,6であり得る。
【0061】
材料Mへの付着が不十分な(does not adhere well:着肉性が低い)インク印刷又は他の物質が材料Mの外面に乗っており、物質が移動(転写)するような場合、基本部材22のプラスチックは、移動性物質に関して耐転写性を有するように選択される。好ましくは、このような移動性材料が乗っている材料Mを処理するためには、磨耗部材は、移動性物質の付着に抵抗するように選択された耐付着性充填材が充填されたプラスチックである。重要な例では、プラスチックは、充填材入りプラスチックベアリング材料の範疇から選択される。例えば、材料Mは、付着が不十分なインク印刷が乗ったポリエチレンシート材料であり、プラスチックは、油入りナイロンである。移動性インク印刷が乗った建築用ラップ材料の処理の一例では、米国特許第4,090,385号に実質的に従ったコームロールバージョンのミクロクレーパで油入りナイロンを用いることが有用であることが分かった。
【0062】
重要なこととして、木材パルプから成るフレキシブルなシート材料は、係合表面が過度に磨耗することなく所望の速度で処理できることも分かる。こうした場合、磨耗部材の熱可塑性樹脂は、超高分子量ポリエチレンであることが好ましい。これは特に、リサイクル木材パルプの場合のように木材パルプが研磨微粉を含有する場合に当てはまる。いくつかの重要な場合では、最高約800フィート/分以上の速度を得ることができる。ナイロン、特にナイロン6,6、又はポリエーテルエーテルケトンは、動作温度が約220Fを超える場合にも有用であり得る。
【0063】
多くの場合、プラスチック製の基本部材は、処理される材料の幅よりも大きな横方向範囲を有していてもよいことが分かる。超高分子量ポリエチレン製の部材とロール表面との接触は、いずれの部材にもほとんど磨耗を与えないことが分かっており、これは、Teflonコーティングの有無を問わず鋼で形成された以前の基本部材とは全く異なる結果である。その結果、基本部材の横方向長さを処理される材料の幅と正確に一致させる必要がなくなる。これにより、機械の立ち上げが単純に、且つ以前に必要とされていたよりも低い技能しか備えない作業者によって行うことが可能になる。
【0064】
或る場合では、初期立ち上げ時に、プラスチック基本部材を有する機械及び基本アセンブリが運転温度に温められた後で基本アセンブリの最終締め付けが行われる。例えば、生産操業を開始するとき、機械を低速で運転した後で速度を上げ、多くの場合はさらに速度を上げるのが一般的である。基本部材で発生する摩擦熱の量は、材料が機械を通過する速度に応じて変わる。速度上昇の後、基本部材の温度が上昇する。この条件下では、機械を停止させ、締め付け圧力を解放して加熱された基本部材を膨張させ、再び締め付けてできる限り早く運転を再開することが有用であると分かっている。機械が動作温度に達するまで、段階的に速度を上げながらこの手順が繰り返され得る。
【0065】
設置前に、オーブン内で、又は加熱された駆動ロール等の加熱された物体の付近に配置することによって、基本部材及びその裏当て部材を予熱して、熱膨張差を与えることが有利であることも分かる。まだ熱いうちに、アセンブリを機械の運転位置に取り付けて締め付ける。続いて、機械をこの温度で動作させてそのミクロクレーピングを行わせる。
【0066】
熱膨張の自動適応を可能にする別の技法を、プラスチック基本部材の耐膨張性の摺動可能な取り付け台(expansion-tolerant slideable mounting)に関して本明細書で後述する。
【0067】
図2Bの例は、ばね鋼製のフレキシブルな制限部材24の代わりにプラスチック基本部材22’の前方延長部24’が裏当て部材26の前縁を越えて延びるという点で、図2及び図2Aの例とは異なる。前方延長部24’は、リターダ部材30によって示す位置に逸らされる。動作期間後、この位置に逸らされているうちに、この形状に近い曲げ癖を得ることができる。この形状で、制限部材24’は、遷移区間で材料Mを押さえ、ミクロクレープを施された材料M’がミクロクレーピング領域を離れるときにリターダブレード30と協働して押し出し作用による減速力を材料M’に加える。
【0068】
具体的には、延長部24’は、ブレード30と互いに収束してからこれと平行になり、処理済み材料が押し出される際に通る長手方向リターダ通路を形成する。基本部材用に選択されるプラスチック樹脂がリターダ延長部24’として働くことができることが分かる。図2、図3では基本部材の全厚で示しているが、概念はそれに限定されない。より微妙な減速圧力が望まれる場合、又はその遷移区間で大きな処理空間が望まれる場合、例えば適宜上側又は下側から材料を省くことによって延長部24’の厚さを減らしてもよい。
【0069】
図2Cの実施態様は、図2Aの基本部材22に関して前述した特性に対応する特性を有するように選択されたプラスチック製の基本部材22を用いるが、シート形態の制限部材24’’も、所定のウェブMの表面と摩擦適合性及び磨耗適合性があるように、且つ部材の機能を果たすように選択された所定の動作条件下で物理的に安定するように選択されるプラスチックである。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有する(Teflanコーティングで見られたような過度の磨耗を回避する)。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する。好ましくは、プラスチックは、これらの特性の全てを有する熱可塑性樹脂である。目下好ましい形態では、基本部材22のプラスチックは、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は超高分子量から実質的に成る。他の樹脂で形成された別個の部材も、使用条件に応じて動作可能である。比較的低摩滅の用途での候補材料の例は、例えば自立形シート又はプレートの形態の、自立性グレードのエチレン及びテトラフルオロエチレン(tetrafluoruoethylene)のコポリマーである。ポリエチレン並びに上記の1つ又は複数を成分とするコポリマー及び相溶性ブレンドが要素である。この場合、プラスチック樹脂は、基本部材22に用いられる樹脂とは異なる場合があり、その物理的寸法が異なっていてもよい。例えば、図示のように、制限部材24’’は、基本部材よりも実質的に薄くしてもよく、妥当な場合はそれに係合するさらなる部材によって支持されてもよい。図2Cの実施態様では、プラスチック部材24’’は、部材24’’と同一範囲にわたる薄い裏当て部材32によって支持され、これらの材料後方周辺部において基本部材22とその裏当て26との間で裏当て部材32によって把持される。有用な実施態様では、制限部材24’’の厚さは、約0.005インチ〜0.015インチである。
【0070】
減速押し出し通路の反対側を形成するブレード部材30も、所定のウェブMの表面と摩擦適合性及び磨耗適合性があるように、且つ部材の機能を果たすように選択された所定の動作条件下で物理的に安定するように選択されるプラスチック製のプレート部材として形成されることが有利であり得る。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有する(Teflanコーティングで見られたような過度の磨耗を回避する)。好ましくは、プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する。好ましくは、プラスチックは、これらの特性の全てを有する熱可塑性樹脂である。目下好ましい形態では、基本部材22のプラスチックは、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又は超高分子量から実質的に成る。他の樹脂で形成された別個の部材も、使用条件に応じて動作可能である。比較的低摩滅の用途での候補材料の例は、例えば自立形シート又はプレートの形態の、自立性グレードのエチレン及びテトラフルオロエチレンのコポリマー、及びそのコポリマー(copolymenr)を成分とする相溶性ブレンドである。処理される材料が、(例えば液体バリアとして)完全性が重要である薄いコーティング又はフィルムを有する場合、樹脂内の繊維強化材がピンホール損傷を引き起こし得ること、及び繊維強化材を含まない樹脂、例えば超高分子量ポリエチレンを用いることが有利であることが分かっているが、プラスチックは、粉状充填材、例えば黒鉛微粉充填材を含有していてもよい。
【0071】
最近の実証では、ブレードミクロクレーパキャビティを画定する3つの固定表面全てを上述のように選択されたプラスチック製の別個の部品として形成して、ミクロクレーピングを開始した。時間を経て、プラスチック基本部材及びプラスチックリターダブレードを取り外し、プラスチック製の制限(containing)フレキシブルリターダ部材24Aのみを残して金属部品に取り替えた(図2Cを参照)。全金属製部品によって形成されるミクロクレーピングキャビティで通常得られるよりも高い速度で、ポリプロピレン繊維のウェブに対するミクロクレーピングプロセスを申し分なく実行することが依然として可能であることが分かった。
【0072】
この動作の改善は、以下のように説明可能であると考えられる。制限部材2Aに対する圧力は基本部材22に対する圧力よりもはるかに低いが、基本部材の場合よりも表面係合面積ははるかに大きく、ウェブ材料の加熱時間ははるかに長い。したがって、制限部材は、摩擦による発熱区域を提供する。
【0073】
概して、ウェブ材料の摩擦加熱は付加的な現象である。フレキシブルリターダ部材24Aの領域に加わる熱を減らすことにより、部材24Aが金属製である場合よりも材料全体の加熱が少なくなる。
【0074】
さらに、金属基本部材22の圧力領域にわたって後方周辺部が挟まれている、すなわち金属基本部材と密接に対面熱接触しているフレキシブルリターダ部材24Aは、金属製である場合、基本部材からフレキシブルリターダの延長区域への熱導体として働くことができ、係合領域において、部材24Aの材料が遠隔熱源からの伝導によってウェブの加熱を引き起こし得る。しかしながら、前述の実証で見られるように、摩擦熱を発生する金属製の基本部材22を用いても、制限部材24Aを金属よりもはるかに熱伝導率が低いプラスチック製にすることによって、基本部材熱源からの熱がはるかに長い長さにわたって伝達されて材料を加熱することができなくなる。換言すれば、プラスチックフレキシブルリターダ部材24Aは、移動するウェブ材料の重なり部分(increment)が高温に曝される持続時間を短縮するため、そのウェブの重なり部分に伝達される総熱量が少なくなる。これらの理由から、制限部材24’’のみをプラスチックとした場合、全金属製処理キャビティの場合よりも高速で運転することが可能であることが分かる。したがって、押圧アセンブリでプラスチックを用いるという概念は、より広い態様では、基本部材がプラスチック製である必要に限定されず、広い見方をすれば、基本部材がプラスチックであるか又はリターダ部材の一方若しくは両方がプラスチック製である状況を含む。これらの状況の全てにおいて、全金属製キャビティと比較して加熱経路が経たれることで所与の速度でウェブ材料に伝達される総熱量を減らし、したがって許容可能な製品を得つつもより高速で、したがってより経済的な速度で材料を進めることができる。強調すると、(1)機械の任意所与の立ち上げ速度を速くすることで、ミクロクレーピング中の摩擦加熱が大きくなる。基本部材がプラスチックで形成され、金属制限部材又はプラスチック制限部材を用いる場合、単位面積当たりの摩擦加熱が最大である主要な圧力集中ラインにおける熱産生が減る。これは、単位速度当たりでウェブ材料に伝達される総熱量を減らし、したがって、許容可能な製品を得つつも全金属製ミクロクレーピングキャビティと比較して高速の動作を可能にする。(2)他方、リターダ部材の一方又は両方がプラスチック製で、基本部材が金属製又は適当なプラスチック製である場合、(a)押し出し減速通路において摩
擦加熱によって発生する熱は低く(材料の面における圧力は基本部材よりもはるかに低いが、摩擦熱を材料に与えるために移動するウェブ材料に曝される持続時間がはるかに長い)、(b)プラスチック製のフレキシブルリターダ部材の場合、基本領域から減速部材によって伝達される熱は全くないか又は少ない。その理由は、基本部材もプラスチック製である場合、基本部材においてあまり熱が発生していないから、又は基本部材が金属製である場合、高温の金属基本部材からのフレキシブル減速部材の熱伝導率が低いからである。また、制限部材で減速部材の一方又は両方がプラスチック製である場合、単位速度当たりでウェブ材料に伝達される熱が減るため、許容可能な製品を得つつも全金属製ミクロクレーパキャビティと比較して処理速度を高めることができる。上述の条件の中でも特に、図2B及び図2Cに示すように、フレキシブルリターダ部材24A及び基本部材22の両方がプラスチック製である場合に最高速度を得ることができるのが普通である。押し出し減速通路の両側がプラスチック製となるようにリターダブレード30もプラスチック製にすることによって、重要な場合にさらに大きな速度上昇を得ることができる。
【0075】
摩擦及び磨耗に関するプラスチック樹脂の選択
プラスチック部材を処理される所与のフレキシブルなシート材料に対して摩擦適合性及び磨耗適合性にするのに最適な樹脂を選択するために、ミクロクレーパ機でその材料に対して一連の簡単な試行を実施することができる。処理効果、所望の処理効果を得つつも達成可能な最高速度、摩擦加熱による温度上昇、及び経時的に摩滅する基本部材の物質量を、観察して比較すべきである。しかしながら、プラスチック樹脂に関して公開済みの磨耗、摩擦、及び温度データを参照するだけでも、本開示に照らしてプラスチック樹脂に適した選択を通常は行うことができ、又は少数の有力候補を公開済みのデータに従い、そこから簡単な比較試行によって有用な材料を選択することができる。
【0076】
付着が不十分なインク又は他の物質が乗った材料の処理に関する熱可塑性樹脂の選択
問題の有無に関する試験を、単に試運転によって行うことができる。
【0077】
例えば、ポリエチレン(PE)製のDuPontの商標であるTyvek等の建築用材料は、印刷が施されている。ポリエチレンはインクが付着しにくい。例えば、サンプルをナイフで引っ掻くことで、インクの付着が不十分であることが示される。印刷が行われる場所と一致したキャビティ表面上の付着インク堆積領域を、蓄積が引き起こすプロセスへの干渉と同様に見ることができる。
【0078】
圧縮処理されるウェブの移動性成分がキャビティ部分に蓄積しないようにするために、又は表面を清掃しやすくするために、ミクロクレーパキャビティの部品にプラスチックが選択され得る。概して、プラスチックは、処理されるウェブに乗った特定の移動性成分に関して、この成分がミクロクレーパキャビティの表面に付着する傾向を減らすように選択されて、移動性成分の付着を減らすべきである。特に、充填材入りナイロン等、軸受用に通常販売されているプラスチック材料が有用であることが分かる。1つの実施態様モードは、充填材入りプラスチックを用いることであり、充填材は印刷されたインクが付着及び堆積しないようにするのに効果的である。例えばポリエチレン上のいくつかのインクに関しては、充填材入りナイロン66が適している。最も適当な候補を選択するために、選択された候補材料で実施される試行を実施することができる。
【0079】
例えば、これにより、建築用ラップ材料Tyvek(商標)等のインクマーキングが乗ったポリエチレン材料、又は他のポリエチレンウェブ材料、一例として高品質のショッピングバッグ材料にミクロクレープを施すときのインクの堆積を減らすのに適した、ミクロクレーパキャビティプラスチック部品(基本、フレキシブル、又はリターダブレード)用の充填材入りプラスチックが判明する。
【0080】
ii.ポリオレフィンの処理
商業的にミクロプレープを施しやすいポリオレフィンの材料の範囲を広げるために、同じくポリオレフィン製の基本部材を用いることが考えられる。このような同種材料は、互いに対する動摩擦係数が小さく、したがって処理される材料を過熱することがない。特に、高分子量の樹脂は、有用な耐摩耗性を有するため好ましいと考えられる。超高分子量ポリオレフィンの樹脂が目下好ましい。
【0081】
目下最適であると考えられている超高分子量ポリエチレン樹脂は、Tivar H.O.T.という商標(Poly Hi Solidur, Inc., Fort Wayne Indiana, USA.の商標)で入手可能なものである。Crown Plasticsが発表しているように(www.crownplastics.com/tivar-hot-specs.htm.)、この材料は、試験ASTM G−65で乾燥砂ホイール磨耗値が90(鋼の値は100)、試験ASTM D−1894で動摩擦が0.12、最高動作温度が275F(135C)である。ASTM D−696でのその熱膨張係数は、0.00011/度F(0.0002/℃)である。
【0082】
ポリプロピレン及びポリエチレンの複数の移動するフレキシブルなシート材料の試験で、この超高分子量ポリエチレンから成る基本部材を用いた。これは、その異常に高い靭性度がポリプロピレン及びポリエチレンシート材料に対するその低摩擦性と組み合わさることによって優れた結果をもたらすことが分かった。多くのミクロクレープ処理に適した圧力及び生産速度での移動するシート材料に対する基本部材の下向き圧力は、移動するシート材料に処理温度範囲を超える摩擦熱を加えることがないことが分かった。基本部材の材料の軟化温度は比較的低いが、発生する少量の摩擦熱がそれに悪影響を及ぼすことはなかった。したがって、超高分子量ポリエチレンは、ポリプロピレン及びポリエチレン等の低温繊維及びフィルム形成樹脂に対して有効であることが確認される。
【0083】
一例では、フッ化炭素でコーティングされた鋼の基本部材とTyvar H.O.T.熱可塑性基本部材との比較試行で、小規模研究室ミクロクレーパを用いた。試行において、ポリプロピレンスパンボンド不織布にミクロクレープを施した。所与の処理に関して、鋼基本部材を用いると、布は約100フィート/分を超える速度では適切に加工できなかったが、熱可塑性基本部材では、140〜150フィート/分の速度を用いて成功し、用いはしなかったがより速い速度も容易に可能であると思われた。熱可塑性基本部材に目立った磨耗はなかった。このようにして生産性が40%以上向上することが極めて重要である。
【0084】
ミクロクレーピングによってポリプロピレンのウェブに高度の長手方向圧密化(例えば60%)を与える、他の比較を行った。処理済み製品の許容不可能な溶融又は硬化が生じる前に達成可能な最高速度は、フッ化炭素(DupontのTeflon)でコーティングされた鋼製の基本部材を用いたときよりも、Tivar H.O.T.超高分子量ポリエチレン製の基本部材を用いたときに、多くの場合は100%、200%、又はそれよりもはるかに高いことが観察された。
【0085】
Tyvar H.O.T.基本部材及び図1のフルサイズ生産ミクロクレーパを用いて、生産実演も行った。軟らかさを維持しつつ(手触りの「堅さ」又は粗さを有さずに)高度の長手方向圧密化及び伸縮性を得るために、様々な重量及び幅のポリプロピレン製のスパンボンド不織布ウェブにミクロクレープを施した。ミクロクレーピングの実施は、0.062インチ厚のTyvar H.O.T.超高分子量ポリエチレン製の基本部材を用いて、最高200フィート/分の速度で成功した。圧力シュー長さ1インチ当たり10〜40ポンドの圧力Pを用いた。機械の全幅に延びる基本部材を用いることで、処理される材料によっては幅が基本部材の幅よりも短いものがあった。したがって、基本部材の端部分がロールの把持表面上に乗る場合があった。同じ基本部材を用いて、所望の特性を有する様々な幅のポリプロピレン材料の大きなロールを生産した。この場合も、熱可塑性基本部材に目立った磨耗はなかった。
【0086】
木材パルプの製品
紙、すなわち鉱物質微粉を本質的に有する木材パルプでできたクラフト紙、ひいては付加的な研磨性汚染物(abrasive contaminates)を有するリサイクルクラフト紙の場合、ウェブは、完全に合成樹脂で形成された織布又は不織布ウェブ又はフィルム材料の場合よりも通常ははるかに研磨性が高い。或る程度までは、木材パルプ含有量がかなり多い他のフレキシブルなシート形態の材料でも紙と同様の研磨性が見られる。一例は、構造強度を与えるために合成繊維を含む複合材中に、吸収性を与えるために木材パルプを含有する不織布ワイプ材料である。多くの場合、フッ化炭素コーティングの有無を問わず、インバー等の硬化鋼、ブルースプリング鋼(blue spring steel)、ステンレス鋼のいずれも、このような材料の許容可能な商業的ミクロクレーピングを可能にするのに十分なほど高い耐摩滅性がないことが分かっている。
【0087】
木材パルプから成るシート材料の処理の多くの場合で、超高分子量ポリエチレンで形成された基本部材が有用であり得ることが分かる。これは、溶融温度が低いにも関わらず、摩擦加熱が低いため比較的高速で動作可能であることが分かり、長い磨耗寿命を実証する。これは、動作温度が低いため、温度が上昇しすぎた場合に損傷を受ける可能性がある熱可塑性樹脂でコーティングされた紙のミクロクレーピング、及び木材パルプ繊維だけでなくポリオレフィン繊維を含有する複合不織布のミクロクレーピングにも有用である。
【0088】
一例として、ポリエチレンコーティングを有するクラフト紙にミクロクレープを施して、材料に伸縮性を与えて包まれる物体の周りになじみ易くした。Tivar H.O.T.超高分子量ポリエチレン製の基本部材を用いた。紙側を上にして複合材料を進め、最高200フィート/分の速度を用いて基本部材に係合させた。前述のように、機械の全幅に延びる基本部材を用いることで、処理される材料によっては幅が基本部材の幅よりも短いものがあったため、基本部材の端部分がロールの把持表面上に乗る場合があった。数日間の運転で、基本部材の長い寿命を確認した。
【0089】
他の場合では、超高分子量熱可塑性樹脂製の基本部材をはるかに高速の800フィート/分以上で用いることができることが意図され、この速度は、使い捨てワイプの形成用のフレキシブルな材料等の木製パルプで形成された多くの製品で経済的に実行可能であることが望まれる速度である。
【0090】
基本部材用の他の熱可塑性材料
超高分子量ポリエチレンが基本部材に目下最も好ましい材料であるが、他の熱可塑性樹脂も、耐摩耗性の向上と十分に低い摩擦特性とを組み合わせる最低要件を満たす。これらは、動作温度がTyvar H.O.T.の動作限界を超える場合に用いるのに適している。この範疇にある2つの材料は、ナイロン6,6及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)である。
【0091】
MatWeb Material Property Data(www.matweb.com)によれば、ナイロン6,6は、磨耗指数(K)が180、摩擦係数が0.09、融点が412〜509F(211〜265C)の範囲である。したがって、これは高温低摩擦材料である。これは、一部のフッ化炭素コーティングほどではないがそれでもなおフッ化炭素コーティングよりもはるかに優れた磨耗特性を有し、ここで説明したように、ミクロクレーパ基本部材として用いるのに必要な少なくとも0.040インチの厚さの耐久性のあるシート形態で提供することができる。
【0092】
供給業者のVictrex plc(www.vitrex.com)によるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)に関しては、磨耗指数が約200、摩擦係数が0.25、融点が644Fであり、長期使用温度が480Fである。ミクロクレーピングプロセスを非常に高い温度で実施しなければならない場合、基本部材用の熱可塑性材料としてこれを用いることができる。
【0093】
繊維形成樹脂の高温ミクロクレーピング
前述のように、高温処理の場合、高温でその形態を保持することが可能な熱可塑性樹脂が必要である。高温ナイロンのミクロクレーピングに関しては、例えば、熱可塑性基本部材として目下最善の選択肢はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)であると思われるが、より低い温度グレードのナイロンのミクロクレーピングに関しては、最善の選択肢はナイロン6,6であると思われ、この場合も同じナイロン範疇の部材間の低摩擦係数を利用する。肝心な情報として、高温樹脂から成るシート材料のミクロクレーピングで、例えば効果をヒートセットするためにミクロクレーピング中に材料を加熱することが望まれる場合、具体的な問題が他の処理の場合とは異なることに留意されたい。ヒートセット範囲内にするためにシート材料を或る程度加熱することが必要であり、或る程度はその熱に摩擦加熱が寄与し得るため、低摩擦特性が非常に低い必要はないことが分かる。そのような場合、例えばポリエステルのシートに関して、鋼基本部材を用いて良好な効果を得ることができることが多い。その代わりに熱可塑性樹脂製の基本部材を用いることが望まれる場合、基本部材の樹脂は、処理温度に耐えるためにPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)又はナイロン6,6とすることができる。
【0094】
部品の他のプラスチック/厚さ
ここで示す大まかな概念は、低摩擦で耐摩耗性の高いプラスチック部品を用いることであり、部品は、使用条件に耐えるのに十分な剛性を有するように選択される。例えば、ミクロクレープを施される典型的な材料に対して、Mylarは摩擦が大きくDelryn及び炭素入りエポキシは摩耗が大きいため、通常は適していない。
【0095】
プラスチック基本部材が0.0125インチもの薄さであり得る条件がいくつかある。多くの場合は0.040インチが厚さの下限であり、上述のような適当な摩擦及び磨耗特性、使用条件下で安定する(すなわち、突き出ない)ように選択される材料に関する最も広い概念である。最も広い概念によれば、最小厚さが0.040インチであれば、部品が「熱可塑性」である必要はない(すなわち、場合によっては熱可塑性であるが全ての場合にそうである必要はなく、熱硬化性樹脂が用いられる場合がある)。
【0096】
概括
様々な動作温度で、Teflonコーティングよりも優れた耐摩耗性を実証し、且つ少なくとも0.040インチ厚の基本部材及び上述のような他の固定部材に形成されたときにミクロクレーピングで有用であるのに十分なほど良好な摩擦品質を依然として有する、熱可塑性樹脂があることが分かる。本明細書で好ましい熱可塑性樹脂を明記するにあたり、本発明者らは、ブレンド、コポリマー、及び強化材を含む部材の形でのこれらの樹脂を包含することを意図する。
【0097】
プラスチック基本部材の熱膨張の悪影響を回避する特別な措置に関して、支持部材に対するプラスチック基本部材の自由な横方向熱膨張を許すと共に、プラスチック基本部材への効果的な荷重分散及びプラスチック基本部材の取り付け台への摺動可能な組み付けを可能にする、部材の取り付け台を構成できることが認識される。記載する技法は、以下の実施態様の説明で用いられる熱可塑性樹脂でできた基本部材で有用である。
【0098】
特に、熱可塑性基本部材の自由な熱膨張を可能にするように機械を構成することには、大きな利点がある。これは、高い技能を必要とせずに機械の迅速で簡単な立ち上げを可能にし、基本部材の反り又は座屈を引き起こす速度変化に関連する摩擦熱を高めることなく、確実な方法で機械の速度を最高実動作速度まで徐々に上昇させることを可能にする。
【0099】
以下の実施形態を参照すると、プラスチック製の基本部材は、約0.040インチよりも厚い。好ましくは、これは、約1/16〜1/8インチ(0.0625インチ〜0.125インチ)の均一な厚さの連続シートである。熱可塑性樹脂は、前述のように、所定の移動するフレキシブルなシート材料の表面と摩擦適合性及び磨耗適合性があるように選択される。
【0100】
熱可塑性基本部材の幾何学的形状を乱さずにその容易な組み立て及び熱膨張を可能にするために、基本部材は、横方向に延びてフレキシブルなシート材料Mの移動方向に向いた直線荷重分散表面を画定する。この表面は、拘束部材の対応部分に係合して、基本部材の下の移動する材料が加える前方引きずり力に抵抗する抵抗力を受けて分散させるように構成される。図示のように、その形態は、基本部材の横方向熱膨張を可能にしつつ基本部材を他の部品と摺動式に組み立てるための摺動可能なガイドを提供する。
【0101】
図3〜図3C及び図4の例では、熱可塑性基本部材22aの本体の上面に横方向溝28が形成され、溝の後壁が直線荷重分散表面28aを画定する。平行な表面28bが、溝の前側を画定する。溝28は、深さDを有し、その底部には壁28cがあり、シート部材22aの残りの厚さを構成する。好ましい形態では、深さDは約0.050インチ以上である。基本部材と同様の熱膨張係数を有する二次部材23が、基本部材22aの後方部分でその底部に接合される(図3A)。これにより厚さが増すことで、取り付け及び補強が容易になる。例えば、二次部材23も、基本部材22aと同じ熱可塑性樹脂の全体的シート形態であり、2つの部材の境界面全体に延びる接着剤によって基本部材22aの下側に強力に接合される。図3Bを参照すると、このように、部材23は、前方部分における引きずり力DFによって一方向に発生する引張荷重と、基本部材の後方部分に加わる逆向きの拘束力RFとの両方を受ける。部材23は、基本部材の押圧作用に干渉しないように前方領域が短縮される。
【0102】
この基本部材用の取り付け台は、横方向に延びて熱可塑性部材22aの溝の荷重分散表面28aに係合する荷重分散拘束表面を提供する。これは、基本部材の下面が前方に引きずられ、集中的な垂直圧力P(図2A)がこの比較的軟らかい熱可塑性部材の厚さに加わるにも関わらず、基本部材の歪みのない動作を可能にする。係合表面が直線状であることにより、組み立て時に熱可塑性部材をその取り付け台に滑り込ませることが可能である。直線表面がロール軸と平行であることにより、取り付け台は、熱可塑性基本部材を挟む部材に対する熱可塑性基本部材の横方向クリープを可能にし、制約のない基本部材の熱膨張及び熱収縮を可能にする。したがって、ミクロクレーピングプロセスの高速立ち上げを可能にする構成で熱可塑性材料にかなりの熱膨張が生じるにも関わらず、熱可塑性材料の反り又は他の歪みが回避される。
【0103】
図3、図3C、及び図4の例では、取り付けアセンブリの荷重分散、摺動組み立て、及び熱膨張の特徴は、それぞれが例えば厚さ約1/16〜1/8インチ(0.0625インチ〜0.125インチ)の冷間圧延鋼製である、基本部材22aに対応する横方向範囲の下側シート金属取り付け部材25及び上側シート金属取り付け部材26によって提供される。
【0104】
取り付け部材の後方部分である領域A(図3A)は、横方向に並んだ一連のファスナ27(図3C)、例えばボルト27a及び係合するねじナット27bによって対面保持される。ファスナ27は、材料Mが基本部材の下で摺動するときにアセンブリを前方移動させないように、ホルダ14の合わせ部材42及び44によって画定されるスロット56に滑り込むサイズになっている。ホルダ14を越えて領域Bにおいて、取り付け部材25及び26の前方部分は、基本部材22a及び二次部材23を受け入れる均一な距離Sだけ離間している。図3及び図3Aに示す例では、上側取り付け部材26は領域A及びBにおいて連続平面形態である。下側取り付け部材25は、曲がり領域Rにおいてそれぞれ逆方向に向いた連続的な直角ベンドを有するため、領域Bにおいて下側部材25は上側部材26と平行であるが均一な距離Sだけ離間している。下側部材25は、シュー20の前で領域Bの終端で終わるが、上側部材26は、領域Cを通ってシュー20の圧力点Pのわずかに前方の前端まで延びる。好ましい一形態では、領域A、B、及びCの寸法はそれぞれ、縦方向に約2インチ、1 1/8インチ(1.125インチ)、及び1インチである。
【0105】
この例では、直線拘束表面29aを画定するために、鋼棒部材29が機械の幅にわたって延びる。これは、縦方向に矩形の断面を有し、スポット溶接等によって上側部材26の下面に接合される。これは、溝28の深さDよりもわずかに浅い深さを有し、溝の幅よりもわずかに狭い幅を有する。
【0106】
図3A及び図3Cに示すように、組み立てられて図4のホルダ14に挿入されると、ファスナ27は上側及び下側の金属部材を対面保持する。熱可塑性シート部材22a及び二次部材23は、金属部材25、26間の空間に端から摺動可能に挿入され、熱可塑性基本部材の溝が棒29の周りに係合し、基本部材22aの上面が上側部材26の下面に対して隙間を残して係合し、したがって二次部材23の下面が下側取り付け部材25の上面に緩く係合する。熱可塑性部材の後端と金属部材との間に隙間空間CSが設けられる。棒29の後向きの直線拘束表面29aは、熱可塑性溝の前向き表面28aに摺動可能に係合するように露出している。したがって、これは、移動するフレキシブルなシート材料が熱可塑性基本部材に加える前方引きずりに抵抗するが、基本部材の横方向の独立した熱膨張及び熱収縮は許す。
【0107】
ここでも同じく、圧力領域における比較的軟らかい熱可塑性基本部材22Aの厚さが約0.040インチよりも厚ければ、移動する材料の引きずりが加える張力及び押圧デバイスが加える面方向の直交圧縮が歪みを引き起こす傾向に逆らうことが分かる。したがって、駆動領域及び処理領域の臨界形状を機械の幅全体で動作期間にわたって一定に維持することができる。
【0108】
図3A〜図3C及び図4の例では、上側部材26の縦方向範囲は4.125インチとすることができ、他の寸法は、図3Cに比例的に示す通りである。
【0109】
図5、図5A、及び図6の例は、フレキシブル部材リターダ24の代わりにプラスチック基本部材22aの前方延長部24’が鋼裏当て部材26の前縁を越えて延びて、リターダ部材30によって図示の位置に逸らされるという点で、図3〜図3C及び図4の例とは異なる。この位置に逸らされている動作期間後、この形状に近い曲げ癖を得ることができる。
【0110】
図5Bの例は、図5の基本部材22a及び二次部材23の外形が熱可塑性樹脂製の単一部材33で得られ得ることを示す。これは、例えば、比較的厚いシート素材のシートをフライス加工することによって、又は射出成形等の他の手段によって実現することができる。
【0111】
図7及び図7Aの例は、シート形態の熱可塑性基本部材を取り付けるためのいくつかの代替的な構造を示す。図7では、一対の溝28’及び28’’が熱可塑性部材22bの厚さに形成され、それぞれが基本部材の横方向範囲全体に延びる。先行の図のように、溝28’は、熱可塑性樹脂の上面に形成され、上側鋼部材26’によって担持される拘束部材29’がその中に係合する。第2の溝28’’は、第1の溝から縦方向にずれた位置で基本部材の下面に形成される。これに、下側鋼取り付け部材25’によって担持される第2の拘束部材29’’が係合する。図7の例では、移動するフレキシブルなシート材料の引きずりが加える荷重は、両方の溝の後面間で共有されるため、溝が1つしか用いられなかった場合よりも各溝の深さ及び基本部材の全厚をそれに応じて減らすことができる。
【0112】
図7Aでは、下側鋼部材25’’が、耐曲げ性保持リップ31の形態の前端を有する。これは、基本部材の横方向範囲にわたって上方且つ横方向に延びる。これは、例えば深さ約0.050インチの適当な深さの拘束表面を提供し、これに対して、基本部材の適当な厚さの下側部分の端にある対応する深さの前向き表面又は壁が機械の幅にわたって係合する。この場合も、これにより、横方向熱膨張を可能にしつつも移動するフレキシブルなシート材料の引きずり作用に対する基本部材の荷重分散拘束が提供される。
【0113】
図8では、図2Bの基本部材22と同様であるが薄くした延長部24dを有する熱可塑性基本部材22dが示されている。この延長部の上面は、部材22dの本体の表面と一続きであるが、これと平行な下面は、基本部材22dの本体の下面に対して所定量nだけ上昇している。図8Aに示すように、機械に設置されると、これは、推進された材料Mが入る所定のキャビティ深さnを加える。この深さの選択で、移動するフレキシブルな材料に対する処理の効果を所望に応じて制御することができる。例えば、n=0.005インチの場合、n=0.010インチの場合よりも細かいミクロクレープをフレキシブルな材料Mにおいて得ることができ、n=0.010インチの場合はさらにn=0.015インチの段の場合よりも細かい処理を行うことができる。延長部24dは、その厚さが薄くなっていることにより、延長部が本体と同じ厚さである場合よりもフレキシブルである。条件的に必要な場合は、例えばばね鋼製のフレキシブルな支持部材32が、基本部材22dの前方周辺部とその上方の部材との間に挟まれる。部材32の前方延長部が、延長部24dに弾性支持を加える。他方、図8Bの例では、基本部材22eの厚さtbは図8の基本部材22dの厚さtaよりも厚いが、ノッチの深さnは同じままであり得る。前方延長部24eの厚さが増したことで、所望され得るように延長部により高い剛性が与えられ、さらなる支持のための部材24bを省くことができる。
【0114】
図9の基本部材22fは、縦方向に延びる一連の狭い離間した平行スロット35がその前方延長部24fにあるという点を除いて、図2Bのものと同じである。例えば、スロットは、横方向寸法が0.020インチ、離間距離が0.040インチ、縦方向長さが0.75インチであり得る。これらのスロット間に残っている基本部材の材料は、移動するフレキシブルな材料の前進に個別に応じることができる縦方向フィンガ37を画定する。1つの望ましい効果は、図9Aで示唆するように処理キャビティに、したがって処理の性質に規則的な変化パターンを与えて、開放空間におけるよりもフィンガの下の方が細かく処理されるようにすることである。1つの達成可能な効果は、例えば、処理される材料の全幅にわたって連続した、したがって堅いクレープの形成を防止することである。したがって、開口は、処理済み材料に所望の横方向フレキシビリティを与えると共にその外観に望ましい効果を与えることができる。開口は、加熱されたロールの作用によって基本部材の下で発生する蒸気のベント通路としての役割も果たして、材料に移って汚れを発生させるおそれのある機械表面上での凝縮を回避することができる。
【0115】
図10の例では、開口が基本部材の延長部の厚さを貫通するスロットである代わりに、部材22gの厚さを貫通した一連の孔によって開口が形成される。これらは、移動する材料が前進させられるときに一時的に膨張することができる一連の空間を提供することで、幅方向に変化する効果を処理に与えることができる。孔は、ベント通路としての役割も果たすことができる。孔は、所望の効果に応じて直径約1/8インチ〜1/2インチで、対応する距離だけ離間し得る。この場合の前方延長部24gは、処理済み材料に減速力を加えるのを助けるために連続的な構成である。
【0116】
プラスチック部品及びそれらの取り付けの複数の実施態様を説明した。しかしながら、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに変更を行うことができることが理解されるであろう。特に、少なくとも0.040インチの厚さの基本部材は、図示された連続シートの一部として以外の形態で駆動領域に位置決めすることができる。例えば、熱可塑性樹脂製の横方向に延びる棒を用いて、シート材料を駆動ロールに対して押圧してもよい。これは、協働する取り付け部材の拘束表面による拘束力を受けるための前向き直線荷重分散表面を画定する形状であり得る。この取り付けは、挿入及び熱膨張への対応のための軸方向の摺動を可能にすることができる。したがって、他の実施形態も添付の特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】基本アセンブリが所定位置にない、従来技術の標準ミクロクレーパ機の側面図である。
【図2】熱可塑性基本部材を有し圧力クランプの形態のホルダによって保持された基本アセンブリを用いる、ミクロクレーパの動作部品の概略拡大図である。
【図2A】いくつかの部品を断面で示し、説明を容易にするために部分的に破断した、図2の機械の動作部分の拡大概略斜視図である。
【図2B】ミクロクレーパ処理キャビティに隣接する他のプラスチック部材を用いた、図2Aと同様の概略斜視図である。
【図2C】ミクロクレーパ処理キャビティに隣接する他のプラスチック部材を用いた、図2Aと同様の概略斜視図である。
【図3】この場合はアセンブリを図1のホルダに端から滑り込ませることが可能である、別の基本アセンブリの部品の断面の拡大図である。
【図3A】組み立てられた部品の側面図である。
【図3B】図3の円で示す部分の大きく拡大した図である。
【図3C】この新たな基本アセンブリの断面斜視図である。
【図4】図3〜図3Cの基本アセンブリを所定位置に有する図1のミクロクレーパの動作部品の拡大図である。
【図4A】いくつかの部品を断面で示し、部分的に破断した、図4の機械の動作部分の拡大概略斜視図である。
【図5】別の熱可塑性基本部材を特徴とする基本アセンブリの部品の図3と同様の分解図である。
【図5A】アセンブリの側面図である。
【図5B】図5Aのものと同様の方法で機能することができる別の基本部材の断面図である。
【図6】図4Aと同様であるが図5A及び図5Bの動作部品を有する概略斜視図である。
【図7】上側取り付け部材と下側取り付け部材との間に保持された基本部材の代替物の拡大断面図である。
【図7A】上側取り付け部材と下側取り付け部材との間に保持された基本部材の代替物の拡大断面図である。
【図8】下流の延長部で段を画定し厚さを薄くした別の基本部材の側断面図である。
【図8A】ステップによって形成されたキャビティ内で材料が処理されている、図8の基本部材を所定位置で示す。
【図8B】図8Aで示すように用いるためのものであるが、フレキシブルな部材による裏当てを有さない、厚さを増した基本部材の図8と同様の図である。
【図9】下流の延長部でフィンガを画定している別の基本部材の断面斜視図である。
【図9A】機械で使用中の基本部材を示す斜視図である。
【図10】一連の開口が遷移領域で基本部材の厚さを貫通して形成される、別の基本部材の断面図である。
【図10A】機械で使用中の基本部材を示す斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質幅を有する選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置であって、前記材料が実質的に乾燥した非接着状態であるときに該材料の第1の面に機械的に係合するように構成される把持表面を有する駆動ロールと、駆動領域で一面が前記材料の反対側の第2の面に滑動可能に係合して面方向に押し当たり、前記材料の前記第1の面を前記ロールの前記把持表面に押し付けて前記材料を積極的に前進させることができるように構成され取り付けられる固定押圧部材と、減速領域で前進する前記材料の一面に係合して該前進する材料を減速させ、且つ前記駆動領域と前記減速領域との間の遷移区間で前記材料の圧縮処理を行わせるように構成され取り付けられる少なくとも1つの固定減速部材とを備え、
前記固定部材の少なくとも一方は、前記移動する材料を前進又は減速させるために、表面の一方を前記材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせる位置に保持される、プラスチック製の別個の磨耗部材であり、該プラスチック部材は、処理される前記選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成る、実質幅を有する選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置。
【請求項2】
前記プラスチック製の前記少なくとも一方の固定部材は、前記駆動領域の前記押圧部材である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、約0.040インチを超える厚さのシート形態の基本部材であり、該シート形態の基本部材は、前記駆動領域に先行する支持領域で片持ち梁として支持され、圧力デバイスに関連付けられ、該圧力デバイスは、前記駆動領域で、前記シート形態の基本部材の外方に露出した側に実質的に集中的な幅方向に延びる線状の調整可能な圧力を加えて、前記基本部材の反対面に前記移動する材料を前記駆動ロールの前記把持表面に対して押圧させて前記材料を積極的に前進させるように構成され、前記プラスチック基本部材の前記厚さは、前記圧力デバイスの前記集中的な圧力下での有害な変形を防止する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記減速領域は、2つの協働する固定減速部材によって画定される減速通路を備え、該2つの協働する固定減速部材は、該部材間から処理済み材料が突き出るときに減速力を加えるように前記前進するシート材料の両側に連続的に滑動可能に係合するように配置される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記減速部材の少なくとも一方は、その表面の一方を前記前進する材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて前記材料の減速を促す位置に保持される、前記プラスチック製のシート形態又はプレート形態の磨耗部材である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記減速部材の一方は、前記材料のうち前記駆動ロールと同じ側に位置付けられ、且つ前記前進する材料の移動方向を変えるように実質的な角度を付けて位置決めされた材料係合方向転換表面を有する、プレート形態のリターダ部材であり、協働するリターダ部材は、前記材料の移動方向に前記押圧部材から前方に延びる片持ち梁制限部材であり、前記プレート形態のリターダ部材の前記方向転換表面と互いに収束してからこれと実質的に平行に延びて、前記処理済み材料が押し出される際に通る押し出し通路を形成するように曲げられるか又は曲げられることが可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記協働するリターダ部材は、その表面の一方を前記前進する材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて該材料の減速を促す位置に保持される、前記プラスチック製のシート形態の磨耗部材である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プラスチック製の前記協働するリターダ部材は、厚さが約0.005インチ〜0.015インチであり、支持部材が、前記協働する部材の外側に支持を与えるように配置される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記プラスチック製の前記協働するリターダ部材は、前記固定押圧部材とは独立して形成されるシート形態の部材であり、前記協働する減速部材は、支持のために前記押圧部材の外向き表面に対して保持される後方周辺部を有する、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
シート形態の支持部材が、前記協働するリターダ部材の外向き表面に係合する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記押圧部材も、その表面の一方を前記移動する材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて前記材料の前進を促す位置に保持される、プラスチック製のシート形態の磨耗部材であり、該プラスチック押圧部材は、処理される前記選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成る、請求項7ないし10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記押圧部材も、その表面の一方を前記移動する材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて前記材料の前進を促す位置に保持される、プラスチック製のシート形態の磨耗部材であり、該プラスチック押圧部材は、処理される前記選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成り、前記協働するリターダ部材は前記押圧部材の一体的延長部であり、該押圧部材と共にプラスチックから成る単一部品を形成する、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項13】
前記一体的延長部は、前記プラスチック押圧部材と実質的に同じ厚さである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記協働するリターダ部材の前記材料係合表面に一連の開口があり、該一連の開口は、前記移動する材料の幅にわたって延びる、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記開口は、前記フレキシブルな材料の移動方向に延びる平行なスロットを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記プレート形態のリターダ部材(該プレート形態のリターダ部材の前記方向転換表面と前記協働するリターダ部材とが互いに収束してから実質的に平行に延びて、前記処理済み材料が押し出される際に通る押し出し通路を形成する)は、その表面の一方を前記前進する材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて前記材料の減速を促す位置に保持される、前記プラスチック製の磨耗部材である、請求項6ないし15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記固定材料係合表面の1つ又は複数は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、並びに上記の1つ又は複数を成分とするコポリマー及び相溶性ブレンドから成る群より選択されるプラスチック樹脂から実質的に成るプラスチックによって、実質的に画定される、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記固定表面の1つ又は複数は、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有するプラスチックによって画定される、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
プラスチック製の前記固定表面の1つ又は複数は、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
所定の処理温度を有する所定のフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記プラスチック製の1つ又は複数の固定部材のプラスチックは、前記温度で安定し、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有し、且つ試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有するように選択される、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
ポリオレフィン樹脂から成るフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記固定部材の少なくとも1つは、選択されたポリオレフィン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記選択されたプラスチック樹脂は、超高分子量ポリエチレン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
約220F未満の処理温度で前記材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記少なくとも1つの固定部材は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
約220Fよりも高い処理温度で前記材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記固定部材は、ナイロン6,6、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記固定部材の前記プラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有するように選択される、請求項1ないし20に記載の装置。
【請求項26】
前記プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記固定部材は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項1ないし26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
処理される前記選択された材料は、プラスチック固定部材に移動しやすい物質を保持し、該部材は、前記移動性物質の付着に抵抗又は干渉するように選択されるプラスチックから成る、請求項1ないし27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記プラスチックは、前記移動性物質の付着に抵抗又は干渉する物質の充填材を含むプラスチック樹脂である、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記プラスチックは油入りプラスチック(oil-filled plastic)である、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
処理される前記選択された材料は、ポリエチレン、又はポリエチレンが実質的成分であるコポリマー若しくはブレンドから成り、前記移動性物質はインクであり、前記固定部材の前記プラスチックは、油入りナイロン(oil-filled nylon)から実質的に成る、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記駆動領域にある前記プラスチック製の基本押圧部材と、該プラスチック製の基本部材よりも実質的に小さな熱膨張係数を有する少なくとも1つの支持部材とを含む、材料係合デバイスを有し、該材料係合デバイスは、前記小さな熱膨張係数を有する前記支持部材に対するその自由な横方向(cross-machine)熱膨張を許すように構成される、前記基本部材の取り付け台(mounting)を含む、請求項1ないし31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
前記プラスチック製の基本部材は、横方向に配置されて前記移動する材料の前進方向に向いた少なくとも1つの延長荷重分散表面を画定し、前記取り付け台が、前記移動する材料が前記基本部材に加える引きずり力に抵抗するように前記荷重分散表面に係合する対応する拘束表面を含む、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記プラスチック基本部材の前記荷重分散表面及び前記対応する拘束表面は、組み立て時に摺動可能に係合するように構成及び配置される直線表面である、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記延長荷重分散表面は、前記駆動ロールの軸と平行に配置される直線表面であり、前記拘束表面は、それに対応して直線状であり、前記荷重分散表面に摺動可能に係合して前記プラスチック製の基本部材の自由な横方向の熱膨張を許す、請求項33又は34に記載の装置。
【請求項36】
前記荷重分散表面は、前記基本部材の壁構造部(formation)によって提供される、請求項33、34、又は35に記載の装置。
【請求項37】
前記壁は、前記基本部材のプラスチック本体に形成される溝に隣接する(bounds)、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記基本部材は、アセンブリの一部を形成する上側取り付け部材と下側取り付け部材との間に保持され、前記取り付け部材の少なくとも一方は、前記移動する材料が前記基本部材に加える引きずり力に抵抗するように前記荷重分散表面に係合する前記拘束表面を提供する、請求項33ないし37のいずれか1項に記載の装置。
【請求項39】
前記取り付け部材は、前記基本部材の上面の上で前記押圧デバイスの作用線よりも前方にある端まで前方に延び、前記下側取り付け部材は、前記押圧デバイスの後部に位置付けられる端まで前方に延びる、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記基本部材の直線荷重分散表面が、該基本部材の上面又は下面に形成される溝の前向き後壁であり、前記直線拘束表面は、対応する取り付け部材によって提供される構造部の後向き表面によって画定される、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記アセンブリの各部分が、ホルダの対応する溝内に保持される横方向に並んだ一連のファスナによって前記基本部材の後部に接合される、請求項33ないし40のいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
請求項1ないし41のいずれか1項に記載の装置を設けること、及び該装置で所定のフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理することを含む、方法。
【請求項43】
材料を前進させる駆動ロールと、該ロールによって前方に駆動される前記材料と係合可能な少なくとも1つのリターダと、前記材料が前記リターダに係合する前に駆動領域で前記材料を前記駆動ロールの表面に対して押圧し、前記材料に連続的に滑動可能に係合し且つ前記駆動ロール上の前記材料の幅にわたって横方向に延びる材料係合表面を画定する、基本押圧部材と、該基本部材に調整可能な圧力を加えて、該基本部材に押圧領域で前記材料の幅にわたって前記移動する材料を前記駆動ロールの表面に対して押圧させる押圧デバイスとを有する、選択された移動するフレキシブルなシート材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置で用いられるように構成される、基本押圧部材であって、
該基本部材のうち少なくとも前記押圧領域で前記移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、前記移動する材料に連続的に滑動可能に係合することが可能なプラスチックを含む磨耗部材であり、該プラスチック磨耗部材は、処理される前記選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成る、選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置で用いられるように構成される基本押圧部材。
【請求項44】
約0.040インチを超える厚さのシート形態であり、該シート形態の基本部材は、前記装置の前記駆動領域に先行する支持領域で片持ち梁として支持されるように構成され、圧力デバイスに関連付けられるように構成され、該圧力デバイスは、前記駆動領域で、前記シート形態の基本部材の外方に露出した側に実質的に集中的な幅方向に延びる線状の調整可能な圧力を加えて、前記基本部材の反対面に前記移動する材料を前記駆動ロールの前記把持表面に対して押圧させて前記材料を積極的に前進させるように構成され、前記プラスチック基本部材の前記厚さは、前記圧力デバイスの前記集中的な圧力下での有害な変形を防止する、請求項43に記載の基本部材。
【請求項45】
前記基本部材のうち前記押圧領域で前記移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、並びに上記の1つ又は複数を成分とするコポリマー及び相溶性ブレンドから成る群より選択されるプラスチック樹脂から実質的に成る、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項46】
前記基本部材のうち前記押圧領域で前記移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有する、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項47】
前記基本部材のうち前記押圧領域で前記移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項48】
所定の処理温度を有する所定のフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記基本部材のうち前記押圧領域で前記移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、前記温度で安定し、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有し、且つ試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有するように選択される、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項49】
ポリオレフィン樹脂から成るフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、選択されたポリオレフィン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項50】
前記プラスチック樹脂は、超高分子量ポリエチレン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項51】
約220F未満の処理温度で前記材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、且つ前記プラスチック基本部材は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項52】
約220Fよりも高い処理温度で前記材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、ナイロン6,6、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項53】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記基本部材の前記プラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有するように選択される、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項54】
前記プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する、請求項53に記載の基本装置。
【請求項54】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから成る、請求項52又は53に記載の基本部材。
【請求項55】
処理される前記選択された材料は、前記基本部材に移動しやすい物質を保持し、該部材は、前記移動性物質の付着に抵抗又は干渉するように選択されるプラスチックから成る、請求項43ないし54のいずれか1項に記載の基本部材。
【請求項56】
前記プラスチックは、前記移動性物質の付着に抵抗又は干渉する物質を含む、請求項55に記載の基本部材。
【請求項57】
前記プラスチックは油入りプラスチックである、請求項56に記載の基本部材。
【請求項58】
処理される前記選択された材料は、ポリエチレン、又はポリエチレンが実質的成分であるコポリマー若しくはブレンドから成り、前記移動性物質はインクであり、前記プラスチックは、油入りナイロンである、請求項57に記載の基本部材。
【請求項59】
前記材料係合デバイスが、熱可塑性樹脂製の前記基本部材よりも実質的に小さな熱膨張係数を有する少なくとも1つの取り付け部材を含み、該基本部材が、前記取り付け部材に対する該基本部材の自由な横方向熱膨張を許すように該取り付け部材に対して摺動するように構成される細長い摺動表面を画定する場合に使用される、請求項43ないし58のいずれか1項に記載の基本部材。
【請求項60】
前記リターダが、前記シート材料が前記駆動ロールを離れた後で該シート材料の被駆動側に係合するように配置される減速ブレードである装置で用いられ、前記移動するシート材料が前記減速ブレードに沿って移動するときに該移動するシート材料の反対側に連続的に滑動可能に係合するように前記押圧領域を越えて延びるように構成される前記プラスチック製の延長部を有する、請求項59に記載の基本部材。
【請求項60】
前記延長部は、前記基本部材の下面の後方部分よりも上に段差のついた、前記シート材料と係合するように配置された下面を有する、請求項59に記載の基本部材。
【請求項61】
前記延長部は、横方向に並んだ一連の開口を画定する、請求項59に記載の基本部材。
【請求項62】
前記開口は一連のスロットを含む、請求項61に記載の基本部材。
【請求項63】
前記スロットは、互いの間に縦方向フィンガを画定する貫通スロットである、請求項62に記載の基本部材。
【請求項64】
前記開口は、前記基本部材を貫通する孔によって画定される、請求項61に記載の基本部材。
【請求項65】
シート形態であり、対面接合される共通の領域を有する一対のシート形態の取り付け部材を備える取り付けアセンブリに配置され、前記取り付け部材は、前記プラスチック製の前記基本部材を間に保持する領域で互いに離れて前方に延び、上側の前記シート形態部材は、前記プラスチック基本部材の裏当てとして、下向き圧力を受けて該圧力を該プラスチック基本部材に伝達して該基本部材の面を前記移動するシート材料の対応する面に係合させることができる押圧領域まで前方に延び、下側の前記取り付け部材は、前記基本部材のうち前記シート材料に係合するように露出した部分を残して終わる、請求項43ないし64のいずれか1項に記載の基本部材。
【請求項66】
処理される所定のフレキシブルなシート材料の対応する幅を実質的に越える横方向範囲の下向き圧力伝達面を有し、前記基本部材の横方向端部分は、前記所定の材料の対応する縁を越えて延びる、請求項43ないし54のいずれか1項に記載の基本部材。
【請求項1】
実質幅を有する選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置であって、前記材料が実質的に乾燥した非接着状態であるときに該材料の第1の面に機械的に係合するように構成される把持表面を有する駆動ロールと、駆動領域で一面が前記材料の反対側の第2の面に滑動可能に係合して面方向に押し当たり、前記材料の前記第1の面を前記ロールの前記把持表面に押し付けて前記材料を積極的に前進させることができるように構成され取り付けられる固定押圧部材と、減速領域で前進する前記材料の一面に係合して該前進する材料を減速させ、且つ前記駆動領域と前記減速領域との間の遷移区間で前記材料の圧縮処理を行わせるように構成され取り付けられる少なくとも1つの固定減速部材とを備え、
前記固定部材の少なくとも一方は、前記移動する材料を前進又は減速させるために、表面の一方を前記材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせる位置に保持される、プラスチック製の別個の磨耗部材であり、該プラスチック部材は、処理される前記選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成る、実質幅を有する選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置。
【請求項2】
前記プラスチック製の前記少なくとも一方の固定部材は、前記駆動領域の前記押圧部材である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、約0.040インチを超える厚さのシート形態の基本部材であり、該シート形態の基本部材は、前記駆動領域に先行する支持領域で片持ち梁として支持され、圧力デバイスに関連付けられ、該圧力デバイスは、前記駆動領域で、前記シート形態の基本部材の外方に露出した側に実質的に集中的な幅方向に延びる線状の調整可能な圧力を加えて、前記基本部材の反対面に前記移動する材料を前記駆動ロールの前記把持表面に対して押圧させて前記材料を積極的に前進させるように構成され、前記プラスチック基本部材の前記厚さは、前記圧力デバイスの前記集中的な圧力下での有害な変形を防止する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記減速領域は、2つの協働する固定減速部材によって画定される減速通路を備え、該2つの協働する固定減速部材は、該部材間から処理済み材料が突き出るときに減速力を加えるように前記前進するシート材料の両側に連続的に滑動可能に係合するように配置される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記減速部材の少なくとも一方は、その表面の一方を前記前進する材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて前記材料の減速を促す位置に保持される、前記プラスチック製のシート形態又はプレート形態の磨耗部材である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記減速部材の一方は、前記材料のうち前記駆動ロールと同じ側に位置付けられ、且つ前記前進する材料の移動方向を変えるように実質的な角度を付けて位置決めされた材料係合方向転換表面を有する、プレート形態のリターダ部材であり、協働するリターダ部材は、前記材料の移動方向に前記押圧部材から前方に延びる片持ち梁制限部材であり、前記プレート形態のリターダ部材の前記方向転換表面と互いに収束してからこれと実質的に平行に延びて、前記処理済み材料が押し出される際に通る押し出し通路を形成するように曲げられるか又は曲げられることが可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記協働するリターダ部材は、その表面の一方を前記前進する材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて該材料の減速を促す位置に保持される、前記プラスチック製のシート形態の磨耗部材である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プラスチック製の前記協働するリターダ部材は、厚さが約0.005インチ〜0.015インチであり、支持部材が、前記協働する部材の外側に支持を与えるように配置される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記プラスチック製の前記協働するリターダ部材は、前記固定押圧部材とは独立して形成されるシート形態の部材であり、前記協働する減速部材は、支持のために前記押圧部材の外向き表面に対して保持される後方周辺部を有する、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
シート形態の支持部材が、前記協働するリターダ部材の外向き表面に係合する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記押圧部材も、その表面の一方を前記移動する材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて前記材料の前進を促す位置に保持される、プラスチック製のシート形態の磨耗部材であり、該プラスチック押圧部材は、処理される前記選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成る、請求項7ないし10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記押圧部材も、その表面の一方を前記移動する材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて圧力を加えさせて前記材料の前進を促す位置に保持される、プラスチック製のシート形態の磨耗部材であり、該プラスチック押圧部材は、処理される前記選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成り、前記協働するリターダ部材は前記押圧部材の一体的延長部であり、該押圧部材と共にプラスチックから成る単一部品を形成する、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項13】
前記一体的延長部は、前記プラスチック押圧部材と実質的に同じ厚さである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記協働するリターダ部材の前記材料係合表面に一連の開口があり、該一連の開口は、前記移動する材料の幅にわたって延びる、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記開口は、前記フレキシブルな材料の移動方向に延びる平行なスロットを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記プレート形態のリターダ部材(該プレート形態のリターダ部材の前記方向転換表面と前記協働するリターダ部材とが互いに収束してから実質的に平行に延びて、前記処理済み材料が押し出される際に通る押し出し通路を形成する)は、その表面の一方を前記前進する材料の前記面に連続的に滑動可能に係合させて前記材料の減速を促す位置に保持される、前記プラスチック製の磨耗部材である、請求項6ないし15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記固定材料係合表面の1つ又は複数は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、並びに上記の1つ又は複数を成分とするコポリマー及び相溶性ブレンドから成る群より選択されるプラスチック樹脂から実質的に成るプラスチックによって、実質的に画定される、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記固定表面の1つ又は複数は、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有するプラスチックによって画定される、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
プラスチック製の前記固定表面の1つ又は複数は、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する、請求項1ないし18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
所定の処理温度を有する所定のフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記プラスチック製の1つ又は複数の固定部材のプラスチックは、前記温度で安定し、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有し、且つ試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有するように選択される、請求項1ないし19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
ポリオレフィン樹脂から成るフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記固定部材の少なくとも1つは、選択されたポリオレフィン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記選択されたプラスチック樹脂は、超高分子量ポリエチレン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
約220F未満の処理温度で前記材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記少なくとも1つの固定部材は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
約220Fよりも高い処理温度で前記材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記固定部材は、ナイロン6,6、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項1ないし20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記固定部材の前記プラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有するように選択される、請求項1ないし20に記載の装置。
【請求項26】
前記プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記固定部材は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項1ないし26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
処理される前記選択された材料は、プラスチック固定部材に移動しやすい物質を保持し、該部材は、前記移動性物質の付着に抵抗又は干渉するように選択されるプラスチックから成る、請求項1ないし27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記プラスチックは、前記移動性物質の付着に抵抗又は干渉する物質の充填材を含むプラスチック樹脂である、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記プラスチックは油入りプラスチック(oil-filled plastic)である、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
処理される前記選択された材料は、ポリエチレン、又はポリエチレンが実質的成分であるコポリマー若しくはブレンドから成り、前記移動性物質はインクであり、前記固定部材の前記プラスチックは、油入りナイロン(oil-filled nylon)から実質的に成る、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記駆動領域にある前記プラスチック製の基本押圧部材と、該プラスチック製の基本部材よりも実質的に小さな熱膨張係数を有する少なくとも1つの支持部材とを含む、材料係合デバイスを有し、該材料係合デバイスは、前記小さな熱膨張係数を有する前記支持部材に対するその自由な横方向(cross-machine)熱膨張を許すように構成される、前記基本部材の取り付け台(mounting)を含む、請求項1ないし31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
前記プラスチック製の基本部材は、横方向に配置されて前記移動する材料の前進方向に向いた少なくとも1つの延長荷重分散表面を画定し、前記取り付け台が、前記移動する材料が前記基本部材に加える引きずり力に抵抗するように前記荷重分散表面に係合する対応する拘束表面を含む、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記プラスチック基本部材の前記荷重分散表面及び前記対応する拘束表面は、組み立て時に摺動可能に係合するように構成及び配置される直線表面である、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記延長荷重分散表面は、前記駆動ロールの軸と平行に配置される直線表面であり、前記拘束表面は、それに対応して直線状であり、前記荷重分散表面に摺動可能に係合して前記プラスチック製の基本部材の自由な横方向の熱膨張を許す、請求項33又は34に記載の装置。
【請求項36】
前記荷重分散表面は、前記基本部材の壁構造部(formation)によって提供される、請求項33、34、又は35に記載の装置。
【請求項37】
前記壁は、前記基本部材のプラスチック本体に形成される溝に隣接する(bounds)、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記基本部材は、アセンブリの一部を形成する上側取り付け部材と下側取り付け部材との間に保持され、前記取り付け部材の少なくとも一方は、前記移動する材料が前記基本部材に加える引きずり力に抵抗するように前記荷重分散表面に係合する前記拘束表面を提供する、請求項33ないし37のいずれか1項に記載の装置。
【請求項39】
前記取り付け部材は、前記基本部材の上面の上で前記押圧デバイスの作用線よりも前方にある端まで前方に延び、前記下側取り付け部材は、前記押圧デバイスの後部に位置付けられる端まで前方に延びる、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記基本部材の直線荷重分散表面が、該基本部材の上面又は下面に形成される溝の前向き後壁であり、前記直線拘束表面は、対応する取り付け部材によって提供される構造部の後向き表面によって画定される、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記アセンブリの各部分が、ホルダの対応する溝内に保持される横方向に並んだ一連のファスナによって前記基本部材の後部に接合される、請求項33ないし40のいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
請求項1ないし41のいずれか1項に記載の装置を設けること、及び該装置で所定のフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理することを含む、方法。
【請求項43】
材料を前進させる駆動ロールと、該ロールによって前方に駆動される前記材料と係合可能な少なくとも1つのリターダと、前記材料が前記リターダに係合する前に駆動領域で前記材料を前記駆動ロールの表面に対して押圧し、前記材料に連続的に滑動可能に係合し且つ前記駆動ロール上の前記材料の幅にわたって横方向に延びる材料係合表面を画定する、基本押圧部材と、該基本部材に調整可能な圧力を加えて、該基本部材に押圧領域で前記材料の幅にわたって前記移動する材料を前記駆動ロールの表面に対して押圧させる押圧デバイスとを有する、選択された移動するフレキシブルなシート材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置で用いられるように構成される、基本押圧部材であって、
該基本部材のうち少なくとも前記押圧領域で前記移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、前記移動する材料に連続的に滑動可能に係合することが可能なプラスチックを含む磨耗部材であり、該プラスチック磨耗部材は、処理される前記選択された材料に関して、過度の摩擦、磨耗、又は歪みを伴わずにその機能を果たすことが可能な物理的完全性を有するように選択される寸法を有し且つそのように選択される物質から成る、選択された移動するフレキシブルな材料の実質的に平面上を長手方向に圧縮処理する装置で用いられるように構成される基本押圧部材。
【請求項44】
約0.040インチを超える厚さのシート形態であり、該シート形態の基本部材は、前記装置の前記駆動領域に先行する支持領域で片持ち梁として支持されるように構成され、圧力デバイスに関連付けられるように構成され、該圧力デバイスは、前記駆動領域で、前記シート形態の基本部材の外方に露出した側に実質的に集中的な幅方向に延びる線状の調整可能な圧力を加えて、前記基本部材の反対面に前記移動する材料を前記駆動ロールの前記把持表面に対して押圧させて前記材料を積極的に前進させるように構成され、前記プラスチック基本部材の前記厚さは、前記圧力デバイスの前記集中的な圧力下での有害な変形を防止する、請求項43に記載の基本部材。
【請求項45】
前記基本部材のうち前記押圧領域で前記移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、並びに上記の1つ又は複数を成分とするコポリマー及び相溶性ブレンドから成る群より選択されるプラスチック樹脂から実質的に成る、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項46】
前記基本部材のうち前記押圧領域で前記移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有する、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項47】
前記基本部材のうち前記押圧領域で前記移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項48】
所定の処理温度を有する所定のフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記基本部材のうち前記押圧領域で前記移動するフレキシブルなシート材料に係合するように構成される部分は、前記温度で安定し、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有し、且つ試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有するように選択される、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項49】
ポリオレフィン樹脂から成るフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、選択されたポリオレフィン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項50】
前記プラスチック樹脂は、超高分子量ポリエチレン、又はそれを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項51】
約220F未満の処理温度で前記材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、且つ前記プラスチック基本部材は、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項52】
約220Fよりも高い処理温度で前記材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、ナイロン6,6、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから実質的に成る、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項53】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、前記基本部材の前記プラスチックは、試験ASTM G−65で約100未満の磨耗係数を有するように選択される、請求項43又は44に記載の基本部材。
【請求項54】
前記プラスチックは、試験ASTM D−1894で約0.15以下の摩擦係数を有する、請求項53に記載の基本装置。
【請求項54】
約800フィート/分以上の動作速度で木材パルプから成る実質的に乾燥したフレキシブルなシート材料を長手方向に圧縮処理するようになっており、超高分子量ポリエチレン、ナイロン、又はポリエーテルエーテルケトン、又は上記の1つを成分とするコポリマー若しくは相溶性ブレンドから成る、請求項52又は53に記載の基本部材。
【請求項55】
処理される前記選択された材料は、前記基本部材に移動しやすい物質を保持し、該部材は、前記移動性物質の付着に抵抗又は干渉するように選択されるプラスチックから成る、請求項43ないし54のいずれか1項に記載の基本部材。
【請求項56】
前記プラスチックは、前記移動性物質の付着に抵抗又は干渉する物質を含む、請求項55に記載の基本部材。
【請求項57】
前記プラスチックは油入りプラスチックである、請求項56に記載の基本部材。
【請求項58】
処理される前記選択された材料は、ポリエチレン、又はポリエチレンが実質的成分であるコポリマー若しくはブレンドから成り、前記移動性物質はインクであり、前記プラスチックは、油入りナイロンである、請求項57に記載の基本部材。
【請求項59】
前記材料係合デバイスが、熱可塑性樹脂製の前記基本部材よりも実質的に小さな熱膨張係数を有する少なくとも1つの取り付け部材を含み、該基本部材が、前記取り付け部材に対する該基本部材の自由な横方向熱膨張を許すように該取り付け部材に対して摺動するように構成される細長い摺動表面を画定する場合に使用される、請求項43ないし58のいずれか1項に記載の基本部材。
【請求項60】
前記リターダが、前記シート材料が前記駆動ロールを離れた後で該シート材料の被駆動側に係合するように配置される減速ブレードである装置で用いられ、前記移動するシート材料が前記減速ブレードに沿って移動するときに該移動するシート材料の反対側に連続的に滑動可能に係合するように前記押圧領域を越えて延びるように構成される前記プラスチック製の延長部を有する、請求項59に記載の基本部材。
【請求項60】
前記延長部は、前記基本部材の下面の後方部分よりも上に段差のついた、前記シート材料と係合するように配置された下面を有する、請求項59に記載の基本部材。
【請求項61】
前記延長部は、横方向に並んだ一連の開口を画定する、請求項59に記載の基本部材。
【請求項62】
前記開口は一連のスロットを含む、請求項61に記載の基本部材。
【請求項63】
前記スロットは、互いの間に縦方向フィンガを画定する貫通スロットである、請求項62に記載の基本部材。
【請求項64】
前記開口は、前記基本部材を貫通する孔によって画定される、請求項61に記載の基本部材。
【請求項65】
シート形態であり、対面接合される共通の領域を有する一対のシート形態の取り付け部材を備える取り付けアセンブリに配置され、前記取り付け部材は、前記プラスチック製の前記基本部材を間に保持する領域で互いに離れて前方に延び、上側の前記シート形態部材は、前記プラスチック基本部材の裏当てとして、下向き圧力を受けて該圧力を該プラスチック基本部材に伝達して該基本部材の面を前記移動するシート材料の対応する面に係合させることができる押圧領域まで前方に延び、下側の前記取り付け部材は、前記基本部材のうち前記シート材料に係合するように露出した部分を残して終わる、請求項43ないし64のいずれか1項に記載の基本部材。
【請求項66】
処理される所定のフレキシブルなシート材料の対応する幅を実質的に越える横方向範囲の下向き圧力伝達面を有し、前記基本部材の横方向端部分は、前記所定の材料の対応する縁を越えて延びる、請求項43ないし54のいずれか1項に記載の基本部材。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図9A】
【図10】
【図10A】
【図2】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図9A】
【図10】
【図10A】
【公表番号】特表2009−522466(P2009−522466A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549678(P2008−549678)
【出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/060246
【国際公開番号】WO2007/079502
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(503351445)マイクレックス コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/060246
【国際公開番号】WO2007/079502
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(503351445)マイクレックス コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
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