説明

移動ロボット及び移動ロボットの制御方法

【課題】制御コストの低減を図ったうえで、所定の移動経路に沿って確実に往復移動し得る移動ロボット及び移動ロボットの制御方法を提供する。
【解決手段】移動ロボット本体2と、移動ロボット本体2を全方向に移動させると共に超信地旋回させる駆動機構4と、移動ロボット本体2の前部及び後部にそれぞれ配置されて、移動面に設定された移動経路Rを検出する前部センサ部5F及び後部センサ部5Rと、往路移動時において、前部センサ部5Fの3個のセンサ5Fl,5Fc,5Frと移動経路Rとの位置関係に応じて駆動機構4を制御することで、移動ロボット本体2を移動経路Rにトレースさせ、復路移動時において、後部センサ部5Rの3個のセンサ5Rl,5Rc,5Rrと移動経路Rとの位置関係に応じて駆動機構4を制御することで、移動ロボット本体2を移動経路Rにトレースさせる制御部10を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、三次元計測において、レーザ光を反射する計測用ターゲットを移動させるのに用いられる移動ロボット及び移動ロボットの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の移動ロボットとしては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この移動ロボットは、操舵機能付きの台車タイプのロボットであり、前部には、床面に設けられた移動経路表示用のテープを検出する3個のセンサが設けられている。これらの3個のセンサは、移動ロボットの機軸上及びその両側に配置されており、この移動ロボットは、機軸上に配置された中央のセンサがテープ上方に位置するようにして自律移動するものとなっている。
【0003】
この移動ロボットにおいて、復路を移動させる場合には、往路の終端で方向転換させなくてはならないことから、この方向転換の煩わしさを解消するべく、全方向移動可能で且つ超信地旋回(その場での転回)可能な移動ロボットに上記と同様のセンサを装備して、台車として用いることが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-192851号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したような全方向移動可能で且つ超信地旋回可能な移動ロボットにおいて、往路移動後に復路を後ろ向きに移動させる場合には、後退用のプログラムを必要とする分だけコスト高となり、一方、超信地旋回させたうえで復路を移動させる場合には、旋回時に位置ずれが生じると復路移動が困難になる可能性があるという問題を有しており、これらの問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0006】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、制御コストの低減を図ったうえで、所定の移動経路に沿って確実に往復移動し得る移動ロボット及び移動ロボットの制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る移動ロボットは、移動ロボット本体と、この移動ロボット本体を全方向に移動させると共に超信地旋回させる駆動機構と、前記移動ロボット本体の前部及び後部において該移動ロボットの機軸上及びその両側にそれぞれ配置されて、移動面に設定された移動経路を検出する3個のセンサと、往路移動時において、前記移動ロボット本体における前部側の3個のセンサと前記移動経路との位置関係に応じて前記駆動機構を制御して該移動ロボット本体を前記移動経路にトレースさせると共に、復路移動時において、前記移動ロボット本体における後部側の3個のセンサと前記移動経路との位置関係に応じて前記駆動機構を制御して該移動ロボット本体を前記移動経路にトレースさせる制御部を備えている構成としたことを特徴としており、この構成の移動ロボットを前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0008】
本発明に係る移動ロボットにおいて、往路移動後に復路を移動する場合には、後部側の3個のセンサと移動経路との位置関係に応じて移動ロボット本体を移動経路に沿わせるようにしているので、後退用のプログラムを必要としない分だけ制御コストの低減が図られることとなり、加えて、復路移動に際して超信地旋回する必要もないので、旋回時の位置ずれによって復路移動が困難になることも回避されることとなる。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る移動ロボットにおいて、前記制御部は、往路移動時において、前記移動ロボット本体の前部側における3個のセンサのうちの機軸上に配置された中央センサを前記移動経路の上方に位置させるべく前記駆動機構に制御信号を出力すると共に、復路移動時において、前記移動ロボット本体の後部側における3個のセンサのうちの機軸上に配置された中央センサを前記移動経路の上方に位置させるべく前記駆動機構に制御信号を出力する構成としており、この場合には、精度の高い移動経路のトレースが成されることとなる。
【0010】
さらに、本発明の請求項3に係る移動ロボットにおいて、前記制御部は、前記移動経路上に設定された停止部位において、前記移動ロボット本体の進行側に位置する3個のセンサすべてを前記停止部位上方にそれぞれ位置させると共に、前記移動ロボット本体の進行側とは反対側に位置する3個のセンサのうちの前記中央センサを前記移動経路の上方に位置させるべく前記駆動機構に制御信号を出力する構成としている。このような構成とすると、幅の狭い停止部位、例えば、幅が50mm程度の停止部位に高精度で停止し得ることとなる。
【0011】
さらにまた、本発明の請求項4に係る移動ロボットにおいて、前記制御部は、前記停止部位が複数設定された前記移動経路に沿った往復移動時において、前記停止部位をカウントしながら前記移動ロボット本体を移動させ、目標とする停止部位の手前で減速させてから該目標とする停止部位に前記移動ロボット本体の進行側に位置する3個のセンサを進入させる構成としている。この構成を採用した場合には、目標とする停止部位に高精度で停止し得ることとなる。
【0012】
さらにまた、本発明の請求項5に係る移動ロボットにおいて、前記制御部は、前記停止部位のカウント時において、前記移動ロボット本体の進行側に位置する3個のセンサすべてでオフからオン又はオンからオフになり且つ前記移動ロボット本体の進行側とは反対側に位置する3個のセンサすべてでオンからオフ又はオフからオンになる内部信号を作成して、この内部信号の立ち上がりで前記停止部位を認識する構成としており、この場合は、停止部位の誤検出を回避し得ることとなる。
【0013】
さらにまた、本発明の請求項6に係る移動ロボットにおいて、前記制御部は、前記移動経路に沿った往復移動時に該移動経路からそれた場合、又は、前記移動経路から離れた場所で移動している場合において、前記移動ロボット本体の進行側に位置する3個のセンサのうちの前記中央センサが前記移動経路上方に位置した時点で一旦停止させるべく前記駆動機構に制御信号を出力した後、前記移動ロボット本体の進行側とは反対側に位置する3個のセンサのうちの前記中央センサを前記移動経路上方に位置させるべく前記駆動機構に制御信号を出力する構成としている。この構成を採用すると、例えば、移動経路に沿った往復移動時に該移動経路からそれた場合であったとしても、確実に移動経路に復帰し得ることとなる。
【0014】
一方、本発明の請求項7に係る発明は、移動ロボット本体と、この移動ロボット本体を全方向に移動させると共に超信地旋回させる駆動機構と、前記移動ロボット本体の前部及び後部において該移動ロボットの機軸上及びその両側にそれぞれ配置されて、移動面に設定された移動経路を検出する3個のセンサを備えた移動ロボットの制御方法であって、往路移動時において、前記移動ロボット本体における前部側の3個のセンサと前記移動経路との位置関係に応じて前記駆動機構を制御して該移動ロボット本体を前記移動経路にトレースさせると共に、復路移動時において、前記移動ロボット本体における後部側の3個のセンサと前記移動経路との位置関係に応じて前記駆動機構を制御して該移動ロボット本体を前記移動経路にトレースさせる構成としたことを特徴としており、この構成の移動ロボットの制御方法を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0015】
この移動ロボットの制御方法においても、往路移動後に復路を移動する場合には、後退用のプログラムを用いたり超信地旋回したりする必要がないので、その分だけ制御コストの低減が図られることとなるうえ、復路移動が困難になることも回避されることとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る移動ロボットでは、上記した構成としているので、制御コストの低減を実現しつつ、所定の移動経路に沿って確実に往復移動することが可能になるという非常に優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る移動ロボットの 平面説明図(a),側面説明図(b),前部センサ部の拡大説明図(c)及び制御部の結線説明図(d)である。
【図2】図1に示した移動ロボットの移動経路トレース要領説明図(a)〜(f)である。
【図3】図1における移動ロボットの移動経路の一例を示す平面説明図である。
【図4】図1に示した移動ロボットのステーションにおける姿勢調整要領説明図(a)〜(e)である。
【図5】図1に示した移動ロボットのステーション移動時におけるフローチャートである。
【図6】図1に示した移動ロボットの移動経路復帰要領説明図(a)〜(f)である。
【図7】図1に示した移動ロボットのセンサにおける内部信号の立ち上がり状況説明図(a)〜(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1〜図7は本発明に係る移動ロボット及び移動ロボットの制御方法の一実施例を示しており、この実施例では、本発明に係る移動ロボット及び移動ロボットの制御方法を三次元計測に用いた場合を例に挙げて説明する。
【0019】
図1(a),(b)に示すように、移動ロボット1は、三次元計測用ターゲットを搭載可能な円盤状を成す移動ロボット本体2と、この移動ロボット本体2の機軸Lの両側にそれぞれ配置された2個のモータ3L,3Rと、これらのモータ3L,3Rからの出力により移動ロボット本体2を全方向に移動させると共に超信地旋回させる駆動機構4と、移動ロボット本体2の前部及び後部にそれぞれ配置されたセンサ部5F,5Rを備えている。
【0020】
この移動ロボット本体2の前部のセンサ部5Fは、移動ロボット本体2の機軸L上及びその両側に配置されて、この移動ロボット1の移動面に設けられた移動経路Rを検出する3個のセンサ5Fl,5Fc,5Frを具備しており、これらのセンサ5Fl,5Fc,5Frは、大小のL字金具6,7及びねじ8を介して移動ロボット本体2に取り付けられる基板5Bに、図1(c)に示すように、回路部品5P及び電源監視回路5Cfとともに配置されている。
【0021】
一方、移動ロボット本体2の後部のセンサ部5Rも、前部のセンサ部5Fと同様に、移動ロボット本体2の機軸L上及びその両側に配置されて移動経路Rを検出する3個のセンサ5Rl,5Rc,5Rrを具備しており、これらのセンサ5Rl,5Rc,5Rrも、L字金具6,7及びねじ8を介して移動ロボット本体2に取り付けられる基板5Bに配置されている。
【0022】
ここで、移動経路Rには、移動面に貼られる白色や黄色の反射テープが採用され、3個のセンサ5Fl,5Fc,5Fr(5Rl,5Rc,5Rr)の各間隔が、例えば、30mmである場合には、幅50mmの反射テープを採用することが望ましい。
【0023】
また、この移動ロボット1は、往路移動時において、前部センサ部5Fの3個のセンサ5Fl,5Fc,5Frと移動経路Rとの位置関係に応じて駆動機構4を制御することで、移動ロボット本体2を移動経路Rにトレースさせる制御部10(図1(d)参照)を有しており、この制御部10において、復路移動時には、後部センサ部5Rの3個のセンサ5Rl,5Rc,5Rrと移動経路Rとの位置関係に応じて駆動機構4を制御することで、移動ロボット本体2を移動経路Rにトレースさせるようにしている。
【0024】
具体的には、この制御部10において、図2(a)に示すように、往路移動の段階で前部センサ部5Fにおける3個のセンサ5Fl,5Fc,5Frのうちの機軸L上に配置された中央センサ5Fcを移動経路Rの上方に位置させてオンさせるべく駆動機構4のモータ3L,3Rに制御信号を出力すると共に、復路移動の段階で後部センサ部5Rにおける3個のセンサ5Rl,5Rc,5Rrのうちの機軸L上に配置された中央センサ5Rcを移動経路Rの上方に位置させてオンさせるべく駆動機構4のモータ3L,3Rに制御信号を出力するようになっている。
【0025】
この際、制御部10は、図2(b)に示すように、移動ロボット1の進路が若干左に向いている場合には、出力を絞る制御信号を右側のモータ3Rに与えて進路の補正を行い、この補正にもかかわらず、図2(c)に示すように、移動ロボット1の進路が左に向いたまま一定時間が経過した場合には、駆動機構4のモータ3L,3Rに停止信号を出力するようになっている。
【0026】
また、制御部10は、図2(d)に示すように、移動ロボット1が全体的に若干左にシフトしている場合には、上記と同じく出力を絞る制御信号を右側のモータ3Rに与えてシフトの補正を行い、このシフト補正にもかかわらず、図2(e)に示すように、移動ロボット1の進路がさらに左に向いて一定時間が経過した場合にも、駆動機構4のモータ3L,3Rに停止信号を出力するようになっている。
【0027】
一方、制御部10は、図2(f)に示すように、移動ロボット1の進路がやや大きく右に向いている場合には、出力を絞る制御信号を左側のモータ3Lに与えて進路の補正を行い、この補正にもかかわらず移動ロボット1の進路が改善されない場合にも、駆動機構4のモータ3L,3Rに停止信号を出力するようになっている。
【0028】
さらに、制御部10は、図3に示すように、移動経路R上にステーション(停止部位)Stが設定されている場合において、移動ロボット本体2の進行側に位置する3個のセンサ(往路移動の段階では前部センサ部5Fにおける3個のセンサ5Fl,5Fc,5Fr)のすべてをステーションStの上方に位置させてそれぞれオンさせると共に、移動ロボット本体2の進行側とは反対側に位置する3個のセンサ(往路移動の段階では後部センサ部5Rにおける3個のセンサ5Rl,5Rc,5Rr)のうちの中央センサ5Rcのみを移動経路Rの上方に位置させてオンさせるべく駆動機構4に制御信号を出力するようになっている。
【0029】
例えば、図4(a)に示すように、前部センサ部5Fにおける3個のセンサ5Fl,5Fc,5FrがいずれもステーションStの上方に位置してオンしているものの、移動ロボット1が左に向いている場合には、移動ロボット本体2に時計回り方向の回転(CW)を与えるべく制御信号を左右のモータ3L,3Rに出力する。
【0030】
そして、図4(b)に示すように、移動ロボット1の向きが是正されてもなお、後部センサ部5Rの中央センサ5Rc及び左側センサ5Rlが移動経路R上方でオンしている場合には、移動ロボット本体2を左側に移動させるべく制御信号を左右のモータ3L,3Rに出力して、図4(c)に示す状態にするようになっている。
【0031】
さらにまた、制御部10では、図4(d)に示すように、移動ロボット1がステーションStにおいて全体的に右に寄っている場合には、上記と同じく移動ロボット本体2を左側に移動させるべく制御信号を左右のモータ3L,3Rに出力して、図4(e)に示す状態にするようになっている。
【0032】
なお、ステーションStは移動経路Rと直交して設定され、このステーションStには、動経路Rと同じく幅50mmの白色や黄色の反射テープが採用され、その長さを150mm程度とすることが望ましい。
【0033】
この場合、制御部10では、ステーションStが複数設定された移動経路Rに沿った往復移動時において、ステーションStをカウントしながら移動ロボット本体2を移動させ、目標とするステーションStの手前で減速させてからこの目標とするステーションStに移動ロボット本体2の進行側に位置する3個のセンサ(往路移動の段階では前部センサ部5Fにおける3個のセンサ5Fl,5Fc,5Fr)を進入させるべく制御するようになっている。
【0034】
すなわち、図5に示すように、ステーションStが1m間隔で設定されている際に、ステップS1において10m往路移動コマンド(10ステーションSt移動コマンド)が出されると、移動ロボット1はステップS2において移動経路Rに沿った往路移動を実行する。
【0035】
次いで、ステップS3において9個のステーションSt分移動して目標のステーションStまでの距離が1m以下になったか否かの判定がなされ、9個のステーションSt分を移動していない(No)場合にはステップS2に戻り、9個のステーションSt分を移動している(Yes)場合にはステップS4において駆動機構4のモータ3L,3Rに減速信号が出力され、移動ロボット1は低速度で往路移動する。
【0036】
そして、ステップS5において移動ロボット1の姿勢や位置にずれが生じていないかいるかの判定がなされ、姿勢や位置にずれが生じていない(Yes)場合にはステップS6に進んで移動ロボット1は低速度での往路移動を継続し、ステップS7において前部センサ部5Fにおける3個のセンサ5Fl,5Fc,5Frが10個目の目標のステーションStを検知した段階(Yes)でステップS8に進み、このステップS8において移動ロボット1の目標ステーションStにおける上記停止ロジックが実行され、ステップS9において移動ロボット1の目標ステーションStへの移動が完了する。
【0037】
ここで、ステップS5において移動ロボット1の姿勢や位置にずれが生じている(No)場合には、ステップS10において後述する移動経路Rへの復帰ロジックが実行されて姿勢や位置のずれが是正された後、ステップS5に戻り、ステップS7において前部センサ部5Fにおける3個のセンサ5Fl,5Fc,5Frが10個目の目標のステーションStを検知していない(No)場合もステップS5に戻る。
【0038】
この移動経路Rへの復帰ロジックは、移動経路Rに沿った例えば往路移動時にこの移動経路Rからそれた場合(又は移動経路Rから離れた場所で移動している場合)に実行されるロジックであり、このような場合、制御部10は、図6(a)に示す復帰初期状態において、まず、図6(b)に示すように、移動ロボット本体2を左側に移動させるべく制御信号を左右のモータ3L,3Rに出力し、前部センサ部5Fにおける3個のセンサ5Fl,5Fc,5Frのうちの中央センサ5Fcが移動経路R上方に位置してオンした時点で一旦停止させるべく駆動機構4に制御信号を出力する。
【0039】
次いで、図6(c)に示すように、移動ロボット本体2に時計回り方向の回転(CW)を与えるべく制御信号を左右のモータ3L,3Rに出力し、この時点で、図6(d)に示すように、移動ロボット1の後部センサ部5Rの中央センサ5Rc及び左側センサ5Rlが移動経路R上方でオンしている場合には、図6(e)に示すように、移動ロボット本体2を左側に移動させるべく制御信号を左右のモータ3L,3Rに出力して、図6(f)に示すように、後部センサ部5Rの中央センサ5Rcのみを移動経路R上方に位置させてオンさせることで、移動経路Rへの復帰を完了させるようになっている。
【0040】
さらにまた、この実施例では、制御部10にプログラム可能な半導体デバイス(PLD)を採用しており、この制御部10は、上記したステーションStのカウント時において、図7(a)に示すように、往路を移動する、すなわち、前進する移動ロボット本体2の前部センサ部5Fにおける3個のセンサ5Fl,5Fc,5Frすべてでオフからオンになり且つ後部センサ部5Rにおける3個のセンサ5Rl,5Rc,5Rrすべてでオンからオフになる内部信号を作成して、この内部信号の立ち上がりでステーションStを認識するようになっている。
【0041】
つまり、移動ロボット1が高速で移動したとしても、誤ってステーションStを通過してしまうなどといった事態が生じるのを回避し得ることとなる。
【0042】
なお、図7(b)は、移動ロボット本体2が復路を移動する、すなわち、後進する際の内部信号の立ち上がりを示し、図7(c)は、移動ロボット本体2が往復移動する、すなわち、前進から後進に転じる際の内部信号の立ち上がりを示している。
【0043】
上記したように、この実施例に係る移動ロボット1において、往路移動後に復路を移動する場合には、後部センサ部5Rにおける3個のセンサ5Rl,5Rc,5Rrと移動経路Rとの位置関係に応じて移動ロボット本体2を移動経路Rに沿わせるようにしているので、後退用のプログラムを必要としない分だけ制御コストの低減が図られることとなり、加えて、復路移動に際して超信地旋回する必要もないので、旋回時の位置ずれによって復路移動が困難になることも回避されることとなる。
【0044】
また、この実施例に係る移動ロボット1では、例えば、往路移動時において、前部センサ部5Fにおける3個のセンサ5Fl,5Fc,5Frのうちの中央センサ5Fcを移動経路Rの上方に位置させてオンさせるべく制御部10から駆動機構4に制御信号を出力するようにしているので、精度の高い移動経路Rのトレースが成されることとなる。
【0045】
さらに、この実施例に係る移動ロボット1では、ステーションStにおいて、例えば、前部センサ部5Fにおける3個のセンサ5Fl,5Fc,5FrすべてをステーションStの上方に位置させてそれぞれオンさせると共に、後部センサ部5Rにおける3個のセンサ5Rl,5Rc,5Rrのうちの中央センサ5Rcを移動経路Rの上方に位置させるようにしているので、幅が50mm程度のステーションStに高精度で停止し得ることとなる。
【0046】
さらにまた、この実施例に係る移動ロボット1では、ステーションStが複数設定された移動経路Rに沿った、例えば、往路移動時において、ステーションStをカウントしながら移動ロボット本体2を移動させ、目標とするステーションStの手前で減速させてから該目標とするステーションStに進入するようにしているので、目標とする停止部位に高精度で停止し得ることとなる。
【0047】
さらにまた、この実施例に係る移動ロボット1では、移動ロボット1の姿勢や位置にずれが生じて移動経路Rからそれた場合であったとしても、移動経路Rへの復帰ロジックが実行されるので、確実に移動経路Rに復帰し得ることとなる。
【0048】
上記した実施例では、本発明に係る移動ロボット及び移動ロボットの制御方法を三次元計測に用いた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、光学機器の実験に用いることも可能である。
【0049】
また、上記した実施例では、移動ロボット1が自律移動する場合を示したが、図3に示すオペレータOpの指示でも移動する半自律移動ロボットであってもよい。
【0050】
本発明に係る移動ロボット及び移動ロボットの制御方法の構成は、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0051】
1 移動ロボット
2 移動ロボット本体
3L,3R モータ
4 駆動機構
5Cf,5Cr 電源監視回路
5F 前部センサ部
5Fl 前部左側センサ
5Fc 前部中央センサ
5Fr 前部右側センサ
5R 後部センサ部
5Rl 後部左側センサ
5Rc 後部中央センサ
5Rr 後部右側センサ
10 制御回路
L 移動ロボットの機軸
Op オペレータ
R 移動経路
St ステーション(停止部位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動ロボット本体と、
この移動ロボット本体を全方向に移動させると共に超信地旋回させる駆動機構と、
前記移動ロボット本体の前部及び後部において該移動ロボットの機軸上及びその両側にそれぞれ配置されて、移動面に設定された移動経路を検出する3個のセンサと、
往路移動時において、前記移動ロボット本体における前部側の3個のセンサと前記移動経路との位置関係に応じて前記駆動機構を制御して該移動ロボット本体を前記移動経路にトレースさせると共に、復路移動時において、前記移動ロボット本体における後部側の3個のセンサと前記移動経路との位置関係に応じて前記駆動機構を制御して該移動ロボット本体を前記移動経路にトレースさせる制御部を備えている
ことを特徴とする移動ロボット。
【請求項2】
前記制御部は、往路移動時において、前記移動ロボット本体の前部側における3個のセンサのうちの機軸上に配置された中央センサを前記移動経路の上方に位置させるべく前記駆動機構に制御信号を出力すると共に、復路移動時において、前記移動ロボット本体の後部側における3個のセンサのうちの機軸上に配置された中央センサを前記移動経路の上方に位置させるべく前記駆動機構に制御信号を出力する
請求項1に記載の移動ロボット。
【請求項3】
前記制御部は、前記移動経路上に設定された停止部位において、前記移動ロボット本体の進行側に位置する3個のセンサすべてを前記停止部位上方にそれぞれ位置させると共に、前記移動ロボット本体の進行側とは反対側に位置する3個のセンサのうちの前記中央センサを前記移動経路の上方に位置させるべく前記駆動機構に制御信号を出力する
請求項1又は2に記載の移動ロボット。
【請求項4】
前記制御部は、前記停止部位が複数設定された前記移動経路に沿った往復移動時において、前記停止部位をカウントしながら前記移動ロボット本体を移動させ、目標とする停止部位の手前で減速させてから該目標とする停止部位に前記移動ロボット本体の進行側に位置する3個のセンサを進入させる
請求項1〜3のいずれか一つの項に記載の移動ロボット。
【請求項5】
前記制御部は、前記停止部位のカウント時において、前記移動ロボット本体の進行側に位置する3個のセンサすべてでオフからオン又はオンからオフになり且つ前記移動ロボット本体の進行側とは反対側に位置する3個のセンサすべてでオンからオフ又はオフからオンになる内部信号を作成して、この内部信号の立ち上がりで前記停止部位を認識する
請求項4に記載の移動ロボット。
【請求項6】
前記制御部は、前記移動経路に沿った往復移動時に該移動経路からそれた場合、又は、前記移動経路から離れた場所で移動している場合において、前記移動ロボット本体の進行側に位置する3個のセンサのうちの前記中央センサが前記移動経路上方に位置した時点で一旦停止させるべく前記駆動機構に制御信号を出力した後、前記移動ロボット本体の進行側とは反対側に位置する3個のセンサのうちの前記中央センサを前記移動経路上方に位置させるべく前記駆動機構に制御信号を出力する
請求項1〜5のいずれか一つの項に記載の移動ロボット。
【請求項7】
移動ロボット本体と、この移動ロボット本体を全方向に移動させると共に超信地旋回させる駆動機構と、前記移動ロボット本体の前部及び後部において該移動ロボットの機軸上及びその両側にそれぞれ配置されて、移動面に設定された移動経路を検出する3個のセンサを備えた移動ロボットの制御方法であって、
往路移動時において、前記移動ロボット本体における前部側の3個のセンサと前記移動経路との位置関係に応じて前記駆動機構を制御して該移動ロボット本体を前記移動経路にトレースさせると共に、復路移動時において、前記移動ロボット本体における後部側の3個のセンサと前記移動経路との位置関係に応じて前記駆動機構を制御して該移動ロボット本体を前記移動経路にトレースさせる
ことを特徴とする移動ロボットの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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