説明

移動体情報計測装置及び移動体情報計測方法

【課題】複数の車両等の移動体が、道路のような移動路上を移動する際、個々の移動体の情報を正確に求めることができる移動体情報計測装置及び移動体情報計測方法を提供する。
【解決手段】移動体情報計測装置は、移動路の路面上方に設けられた第1センサを用いて、計測領域を通過する個々の移動体の通過開始時刻及び通過終了時刻を含む通過情報を検知し、さらに、前記計測領域に対して前記移動体の移動方向の上流側あるいは下流側の領域において個々の移動体の位置と移動速度を含む移動情報を、第2センサを用いて検知する。このとき移動体情報計測装置は、検知された前記移動情報から、移動体が前記計測領域を通過する、あるいは通過した通過時刻を算出し、この通過時刻を用いて、前記移動情報を前記通過情報と照合することにより、前記通過情報と前記移動情報とを関連付け、関連付けた前記通過情報と前記移動情報とを用いて個々の移動体の情報を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動体が移動路上を移動する際、個々の移動体の情報を求める移動体情報計測装置および移動体情報計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、一般道や高速道路に乗用車、トラック、バス等の種々の車両が走行している。このような車両の統計的な情報を入手して管理することが道路管理者により行われている。例えば、道路に複数の車線がある場合、各車線にどのような車両が、どのくらいの走行速度でどの程度の頻度で走行しているかの情報を取得することにより、道路の補修時期を定める。このような走行する車両の情報(以降、車両情報という)には、走行速度、加速度、車種、車長、車幅、車両の走行する車線、前後車両の車間距離、走行する単位時間当たりの台数等が含まれる。
【0003】
従来より、車両情報を得るために、複数種類のレーザレーダやレーダを用いて計測する計測装置が用いられる。さらに、路面内にループコイルを埋めて路面を通過する車両の通過情報を取得することが行われる。
【0004】
例えば、道路を走行する二輪車や四輪車の車両を検知する車種判別装置であって、路面の上方に配設され、該路面に対して光パルスを照射して車両を検知するレーザレーダと、車両から発生するスパークノイズ電波を受信するアンテナと、上記レーザレーダとアンテナからの信号に基づいて通過車両の車種を判別するデータ処理装置を備えた車種判別装置が知られている。
【0005】
また、車両の進行状況を、簡単かつ正確に把握するために、道路の側方または上方に、レーザレーダと車輌追跡処理部とから成る車輌追跡装置を配備したシステムが知られている。当該システムのレーザレーダは、所定の広がり角度を有するレーザ光を道路に向けて走査するとともに、各走査位置において、レーザ光の照射から反射光を受光するまでの時間間隔に基づき、観測位置から車両までの距離および方向を計測する。車両追跡処理部は、この計測値より車両の現在位置を算出し、この算出結果の時間的な経緯を用いて車両の走行軌跡を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3035162号公報
【特許文献2】特開平10−63991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の路面にループコイルを埋める方式では、ループコイルの埋め込みのために道路を掘り返す工事をするため車両が通過できない工事期間が発生する。また、車両がたまたまループコイルによる計測のタイミングで車線変更を行い、あるいは、車両が車線を跨いで走行する場合、車両の通過の計測が困難となる。また、乗用車とバイクのような2輪車とが並走する場合、計測において乗用車と2輪車を分離して計測することもできない。また、車両の大きさや道路の混雑の程度によって車両を検知しない場合があり、また、車両が存在しないにもかかわらず誤検知をする場合もある。
一方、上述の車種判別装置では、通過する車両の長さを求めることができないため、車両長さに依存する車種を含んだ車両情報を取得することができない場合がある。
一方、上述の車輌追跡装置を配備したシステムでは、バイクのような2輪車を計測できない場合があり、必ずしも車両情報を正しく取得することができない場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記方法とは異なる方式により、複数の車両等の移動体が、道路のような移動路上を移動する際、個々の移動体の情報を正確に求めることができる移動体情報計測装置及び移動体情報計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、複数の移動体が移動路上を移動する際、個々の移動体の情報を求める移動体情報計測装置である。当該装置は、
複数の移動体が移動する移動路の路面上方に設けられた第1センサを用いて、前記第1センサの計測領域を通過する個々の移動体の通過開始時刻及び通過終了時刻を含む通過情報を検知する第1検知ユニットと、
前記移動路のうち、前記計測領域に対して前記移動体の移動方向の上流側あるいは下流側の領域において個々の移動体の位置と移動速度の情報を含む移動体の移動情報を、前記第1センサとは別の第2センサを用いて検知する第2検知ユニットと、
前記第2検知ユニットで検知された移動体の前記移動情報から、前記移動情報が検知された移動体が前記計測領域を通過する、あるいは通過した通過時刻を算出し、算出した通過時刻を用いて、前記移動情報を前記第1検知ユニットで検知された前記通過情報と照合することにより、前記第1検知ユニットで検知された個々の移動体の前記通過情報と前記第2検知ユニットで検知された個々の移動体の前記移動情報とを関連付け、関連付けた前記通過情報と前記移動情報とを用いて個々の移動体の情報を求める処理ユニット、とを有する。
【0010】
本発明の他の一態様は、複数の移動体が移動路上を移動する際、個々の移動体の情報を求める移動体情報計測装置が行う移動体計測方法である。当該方法では、
複数の移動体が移動する移動路の路面上方に設けられた第1センサを用いて、前記第1センサの計測領域を通過する個々の移動体の通過開始時刻及び通過終了時刻を含む通過情報を検知し、
前記移動路のうち、前記計測領域に対して前記移動体の移動方向の上流側あるいは下流側の領域において個々の移動体の位置と移動速度を含む移動情報を、前記第1センサとは別の第2センサを用いて検知し、
検知された移動体の前記移動情報から、前記移動情報の検知された移動体が前記計測領域を通過する、あるいは通過した通過時刻を算出し、算出した通過時刻を用いて、前記移動情報を、前記第1検知ユニットで検知された前記通過情報と照合することにより、前記第1検知ユニットで検知された個々の移動体の前記通過情報と前記第2検知ユニットで検知された個々の移動体の前記移動情報とを関連付け、関連付けた前記通過情報と前記移動情報とを用いて個々の移動体の情報を求める。
【発明の効果】
【0011】
上述の態様の移動体情報計測装置及び移動体情報計測方法によれば、複数の移動体が移動路上を移動する際、個々の移動体の情報を正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a),(b)は、本実施形態の移動体情報計測装置を説明する概略図である。
【図2】(a)は、図1(a)に示す移動体情報計測装置に用いる第1検知ユニットの構成を示す機能ブロック図であり、(b)は、図1(b)に示す移動体情報計測装置に用いる第2検知ユニットの構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態における第1検知ユニットのレーダによる計測を説明する図である。
【図4】(a),(b)は、本実施形態における第1検知ユニットのレーダによる計測を説明する図であり、(c)は、第1検知ユニットのレーダから得られる計測データの一例を示す図である。
【図5】本実施形態における第2検知ユニットのレーダから得られる計測データの一例を示す図である。
【図6】図1(a)に示す移動体情報計測装置に用いる処理ユニットの構成を示す機能ブロック図である。
【図7】(a)は、本実施形態における第1検知ユニットで得られる通過情報を説明する図であり、(b)は、本実施形態における第2検知ユニットで得られる走行情報を説明する図である。
【図8】本実施形態における第1検知ユニットで行われる通過情報の検知のフローチャートである。
【図9】本実施形態における第2検知ユニットで行われる走行情報の検知のフローチャートである。
【図10】(a),(b)は、本実施形態における処理ユニットで行われる処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(車両情報計測装置)
以下、本発明の移動体情報計測装置について説明する。
図1(a),(b)は、本実施形態である車両情報計測装置10を説明する概略図である。車両情報計測装置(以降、装置という)10は、道路を走行する乗用車、ワンボックス型自動車、バス、トラック、二輪車等の個々の車両の情報を、レーダを用いて計測して取得する装置である。車両の情報には、例えば、個々の車両の走行速度、加速度、車種、車長、車幅、車両の走行する車線の他、前後車両の車間距離、走行する単位時間当たりの台数も含まれる。
【0014】
装置10は、ガントリ12直下を通過する個々の車両の通過開始時刻および通過終了時刻を含む車両の通過情報を、レーダを用いて検知する。又、装置10は、ガントリ12直下の計測領域の車両進行方向の上流側あるいは下流側の領域を走行する個々の車両の位置及び走行速度を、レーダを用いて時系列に検知する。装置10は、検知された個々の車両の通情報と、個々の車両の位置及び走行速度とを、関連付けて、車両の情報を求める。その際、装置10は、個々の車両の通過情報と、個々の車両の位置及び走行速度とを、ガントリ12の直下を通過する時刻情報に基づいて関連付けるので、個々の車両の長さ、車間距離等を求めることができる。以下、装置10を具体的に説明する。
【0015】
装置10は、第1検知ユニット14(図2(a)参照)と、第2検知ユニット16(図2(b)参照)と、処理ユニット18(図6参照)と、を有する。
第1検知ユニット14は、図1(a)に示すように、レーダ14a1,14a2,・・・14an(nは自然数)をガントリ12に備え、処理部14bをガントリ12の支柱に備える。
第2検知ユニット16は、図1(b)に示すように、レーダ16a1,16a2,・・・16am(mは自然数)をガントリ12に備え、処理部16bをガントリ12の支柱に備える。
処理部14b,16b及び処理ユニット18は、支柱に設けられた制御器20内に設けられている、制御器20は、処理部14b、16b及び処理ユニット18の他に、処理部14b,16b及び処理ユニット18の動作を管理、制御し、車両の情報の計測を制御する制御ユニットを含む。
【0016】
図2(a)は、第1検知ユニット14の構成を示す機能ブロック図である。
第1検知ユニット14は、レーダ14a1,14a2,・・・14anと、処理部14bを有する。以降、レーダ14a1,14a2,・・・14anを代表して説明するときレーダ14aという。
処理部14bは、CPU22とメモリ24を有し、メモリ24に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、入力部26と、車両有無判定部28と、車両検知時間計測部30と、出力部32とを形成する。すなわち、入力部26と、車両有無判定部28と、車両検知時間計測部30と、出力部32は、プログラムの実行により形成されるソフトウェアモジュールであって、実際の各機能はCPU22が実質的に担う。
【0017】
レーダ14aは、道路の路面垂直上方に、道路の幅方向に跨ったガントリ12に設けられる。レーダ14aは、高周波の電波を路面に向けて鉛直下方に照射、そのときの電波の反射を受信することにより、レーダ14aから電波が反射した路面またはガントリ12直下を通過する車両の表面までの距離を計測する。
レーダ14aの照射される電波は少なくとも道路の幅方向に、計測の空白領域が生じないように、互いの電波の計測領域が接している。また、レーダ14aの照射される電波の広がりによって、図3に示すように、乗用車V1と二輪車V2とが並走してもレーダ14a1,14a2,・・・14anによって識別できる程度に計測領域が分割されている。すなわち、第1検知ユニット14は、道路の幅を分割した複数の分割領域毎に個々の車両の通過情報を検知する。
【0018】
図4(a)〜(c)は、レーダにより車両の通過情報の検知を説明する図である。レーダ14aは、マイクロ〜ミリ波を照射する。ガントリ12を車両が通過する場合、レーダ14aから照射された電波は車両のルーフ等の表面で反射する。このため、ガントリ12を車両が通過するとき車両の表面で反射した電波の到達時間は、図4(b)に示すように、車両が通過しない場合において計測される到達時間に比べて短くなる。したがって、第1検知ユニット14で得られるレーダ14aの計測する距離のデータは、図4(c)に示すようになる。すなわち、車両がガントリ12の計測領域を通過するとき、レーザ14aにより得られる距離は小さくなる。このようなデータを用いて、第1検知ユニット14は車両の通過情報を検知する。
【0019】
入力部26は、レーダ14a1,14a2,・・・14anから順次送られる図4(c)に示すような計測データを受け入れる。
車両有無判定部28は、ガントリ12のレーダ14a1,14a2,・・・14anの計測領域を通過する車両の有無を判定する。具体的には、図4(c)に示すような計測データに対して閾値を設定し、この閾値より低下した部分が車両の通過を示すデータとする。したがって、車両有無判定部28は、閾値より低下した部分に対して車両通過フラグをONにする。
車両検知時間計測部30は、車両通過フラグONとなる開始時刻を車両の通過開始時刻とし、車両通過フラグがONからOFFとなる時刻を車両の通過終了時刻と定める。さらに、車両検知時間計測部30は、通過終了時刻と通過開始時刻の差分を求めることにより車両の通過時間を求める。求めた通過開始時刻、通過終了時刻および通過時間は、どのレーダから計測データが送られたかを識別できるレーダの識別情報と関連付けられる。
このような距離の信号は、レーダ14a1,14a2,・・・14an毎に送られるので、レーダ14a1,14a2,・・・14an毎の計測データ全てについて、上記処理が行われる。
【0020】
車両検知時間計測部30は、さらに、通過開始時刻及び通過終了時刻が所定の範囲で一致し、しかも、通過開始時刻及び通過終了時刻と関係付けられたレーダの識別情報からレーダが互いに隣接している通過開始時刻及び通過終了時刻の通過情報は1つに纏められる。すなわち、通過開始時刻および通過終了時刻と計測領域のどの範囲を通過したかに関する車両の通過情報として1つに纏められる。その際、車両検知時間計測部30は、図4(c)に示す車両の高さである車高Hを、車両通過時の計測データの最小値(レーダ14aから車両までの最短距離)から求め、この車高Hを通過情報として加える。
このように、車両検知時間計測部30は、レーダ14a1,14a2,・・・14anの計測領域の分割領域毎に検知された通過情報を、車両の通過を検知した分割領域の範囲に基づいて1つの車両の通過情報にまとめることにより、個々の車両の通過情報を検知する。通過情報には、車両の通過を検知した計測領域の範囲と、通過開始時刻、通過終了時刻および通過時間が含まれる。車両検知時間計測部30は、得られた車両の通過情報をメモリ24に記憶する。
出力部32は、車両検知時間計測部30で個々の車両の通過情報が得られるたびに、この通過情報を処理ユニット18に送る。
【0021】
図2(b)は、第2検知ユニット16の構成を示す機能ブロック図である。
第2検知ユニット16は、レーダ14aとは別のレーダ16a1,16a2,・・・16amと、処理部16bを有する。以降、レーダ16a1,16a2,・・・16amを代表して説明するときレーダ16aという。
処理部16bは、CPU34とメモリ36を有し、メモリ36に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、入力部26と、背景生成部40と、背景更新部42と、背景差分処理部44と、グループ化処理部46と、車両特定部48と、出力部50と、を形成する。すなわち、入力部26と、背景生成部40と、背景更新部42と、背景差分処理部44と、グループ化処理部46と、車両特定部48と、出力部50は、プログラムの実行により形成されるソフトウェアモジュールであって、実際の各機能はCPU34が実質的に担う。
【0022】
レーダ16aは、道路のうち、ガンドリ12直下のレーダ14aの計測領域に対して車両の走行方向の下流側の領域において車線毎に個々の車両の位置と走行速度の情報を検知するセンサである。具体的には、レーダ16aは処理部16bと共に用いて、車線毎に移動する車両をレーダ16aの計測範囲内で追跡して、個々の車両の位置に対する走行速度を時々刻々計測することができる。
具体的には、レーダ16aはマイクロ〜ミリ波を照射し、車両で反射した電波を受信することにより、車両の位置を計測するとともに、ドップラー効果を利用して車両の走行速度を計測する。
なお、本実施形態のレーダ16aは、レーダ14aの計測領域に対して車両の走行方向の下流側の領域を計測するが、レーダ14aの計測領域に対して車両の走行方向の上流側の領域を計測することもできる。この場合、車両がガンドリ12に近づいてくる車両を計測する。
【0023】
入力部38は、レーダ16a1,16a2,・・・16anから順次送られるデータを受け入れる。
背景生成部40は、CPU36の指示にしたがって、車両が走行していない状態の道路の背景データをレーダ16aから取得する。例えば、背景データは、道路が車両通行止めになって車両が走行していない状態で、レーダ16aを用いて処理部16bで得られる。背景データは背景更新部42に送られる。
背景更新部42は、得られた背景データを最新の背景データとして、メモリ36に記憶されている背景データと置換して背景データを更新する。背景データには、ガードレールや路側帯に設置された看板や標識等の最新の情報が含まれる。
【0024】
背景差分処理部44は、入力されたデータと背景データとの間で差分処理を行う。この差分処理により、入力されたデータからガードレールや看板や標識等の背景データが削除されて、走行車両のデータが残る。レーダ16aから一定の周期、例えば100m秒間隔で走行車両のデータを受けるたびに、背景差分処理部44は、レーダ16aから車両までの距離から定まる走行車両の距離及び走行速度の情報を含む走行車両のデータを生成する。背景差分処理部44は、レーダ16aで計測される走行車両それぞれのデータを得る。
グループ化処理部46は、順次送られる走行車両の計測データを同一の走行車両毎にグループ分けする。グループ化処理部46は、例えば、背景差分処理部44から順次送られる走行車両の距離が、既に得られている複数の走行車両の距離、具体的には走行車両の軌跡に滑らかに接続されるような走行車両の軌跡の1つに割り当てられる。
【0025】
図5は、横軸を時刻、縦軸をレーダ16aからの距離として定まる6台の車両の軌跡を示している。図中の領域Xには3台の走行車両の軌跡を示され、領域Yには3台の走行車両が交差点の信号機等により停止した軌跡を示している。領域Xには3台の走行車両の軌跡はレーダ16aの計測可能な領域をはずれたため終了している。一方、領域Yに位置する3台の車両は、現在もレーダ16aの計測可能な領域に存在する。
このような走行車両の軌跡に、背景差分処理部44から順次送られる走行車両のデータの位置がどの軌跡に滑らかに接続されるかを、グループ化処理部46は判別する。この場合、レーダ16aでは走行速度も得られるので、走行速度が滑らかに接続されることも、グループ分けの際の要素として用いられる。
【0026】
車両特定部48は、グループ化処理部46でグループ分けされて得られる上記軌跡に沿って走行車両のデータを1つの車両の走行データとして纏める。したがって、車両特定部48は、レーダ16aによって得られた複数の走行車両のデータを、個々の車両のデータとして纏める。
出力部32は、纏められた個々の車両のデータを処理ユニット18に送る。
なお、このような第2検知ユニット16として、例えば、特許第3520326号公報に記載されているミリ波レーダによる走行車両検出方法に用いる装置が好適に用いられる。なお、特許第3520326号公報では、レーダ16aの出力は、距離とアジマス方向(走査方向)、走行速度の情報を含む。一方、図1(b)に示すレーダ出力は距離と走行速度の情報であり、アジマス方向の情報を含まない。その代わりとして、レーダ16aは車線毎に設置される。レーダ16aは、個々の走行車両の位置と走行速度の情報を検知するために用いられ、この時の走行車両の横位置情報は、車両がどの車線を通過しているのかを把握できればよい。アジマス方向(走査方向)の情報を含まないレーダ16aであっても、個々の走行車両の走行速度をどのレーダ16aの出力から得られた情報かによって、車両の走行する車線を知ることができる。
【0027】
図6は、処理ユニット18bの構成を示す機能ブロック図である。
処理ユニット18bは、第2検知ユニット16で得られた車両の位置と走行速度の情報から、走行速度の検知された車両がガントリ12直下のレーザ14aの計測領域を通過した通過時刻を算出する。処理ユニット18bは、算出した通過時刻を用いて、走行情報を第1検知ユニット14で得られた車両のガントリ12を通過した通過情報と照合することにより、第1検知ユニット14で検知された個々の車両の通過情報と第2検知ユニット16で得られた個々の車両の位置及び走行速度の情報とを関連付ける。さらに、処理ユニット18bは、関連付けた車両の通過情報と車両の位置及び車両の走行速度の情報とを用いて個々の車両の情報、例えば、車両の長さ、車間距離、走行車線等の情報を求める。
【0028】
処理ユニット18bは、CPU52とメモリ54を有し、メモリ54に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、入力部56と、通過時刻予測部58と、照合処理部60と、車両情報算出部62と、出力部64と、を形成する。すなわち、入力部56と、通過時刻予測部58と、照合処理部60と、車両情報算出部62と、出力部64は、プログラムの実行により形成されるソフトウェアモジュールであって、実際の各機能はCPU52が実質的に担う。
【0029】
入力部56は、第1検知ユニット14から送られる個々の車両の通過情報と、第2検知ユニット16から送られる、位置および走行速度の情報を含む個々の車両のデータを受ける。
通過時刻予測部58は、第2検知ユニット16から送られる、位置および走行速度の情報を用いて、車両がガントリ12の直下を通過する通過時刻を算出する。具体的には、位置および走行速度の時系列の情報が、レーダ16aの計測可能な範囲で得られているので、この情報を用いて、時刻に対する車両の位置を式で近似しこの近似式を用いて車両がガントリ12の直下を通過する時刻を予測することができる。さらに、通過時刻予測部58は、上記近似式を用いて、ガントリ12直下の計測領域を通過するときの車両の走行速度を算出する。また時刻に対する車両の走行速度を式で近似しこの近似式を用いて車両がガントリ12の直下を通過するときの加速度を予測することができる。
【0030】
照合処理部60は、通過時刻予測部58が算出した上記通過時刻を用いて、走行情報を、第1検知ユニット14で得られた車両のガントリ12を通過した通過情報と照合する。ガントリ12を通過した車両は複数あり、それに対応して照合処理部60は複数の車両の通過情報が保持している。したがって、通過時刻予測部58が算出した上記通過時刻を用いて、複数の車両の通過情報の中から、最もマッチングする通過開始時刻及び通過終了時刻を有する通過情報を検索する。
例えば、照合処理部60は、通過時刻予測部58が算出した通過時刻が、通過開始時刻と通過終了時刻の間に含まれるか否かを判定する。照合処理部60は、通過開始時刻及び通過終了時刻の間の通過期間の範囲を予め定めた倍率で拡張し、拡張した範囲内に、通過時刻予測部58が算出した通過時刻が含まれるか否かを判定することにより、上記照合を行うこともできる。なお、検索の結果、複数の通過情報が候補として得られる場合、ガントリ12直下において車両が通過する位置(車線)の情報を用いて1つの通過情報を求めることもできる。具体的には、照合処理部60は、上記通過時刻の算出に用いた位置および走行速度の情報をどのレーダ16aから取得したものか、レーダ16aの識別情報を用いて、ガントリ12直下の計測領域内の車両の通過位置を予測する。照合処理部60は、この予測結果と、第1検知ユニット14bで得られた、車両がガントリ12直下を通過する位置とを比較することにより、1つの通過情報を求める。
これにより、照合処理部60は、第1検知ユニット14で検知された個々の車両の通過情報と第2検知ユニット16で得られた個々の車両の位置及び走行速度の情報とを関連付ける。
【0031】
図7(a)には、第1検知ユニット14で検知された個々の車両の通過情報がリスト形式で一例として示されている。図中では、具体的な数字は示されていない。ガントリ12直下の計測領域を車両が通過するときの通過開始時刻、通過終了時刻、車高、車幅が組として通過情報No.1,2,3・・・毎に纏められている。この他に、車両の通過情報に、ガントリ12直下の計測領域内の車両の通過位置の情報を含めることができる。
一方、図7(b)には、第2検知ユニット14で検知され、通過時刻予測部58で求められた車両のガントリ12直下の計測領域を通過した通過時刻(計測領域通過時刻)が走行速度及び加速度の情報とともにリスト形式でId.A.B,C、・・・毎に示されている。
照合処理部60は、図7(b)に示される計測領域通過時刻に基づいて図7(a)に示す複数の通過情報1,2,・・・の中で最も適合するものを検索する。したがって、例えば、図7(b)中のId.Aの情報が、図7(a)中の通過情報No,1と関連付けられる。
【0032】
車両情報算出部62は、関連付けた通過情報と走行速度の情報とを用いて個々の車両の情報を求める。求める車両の情報には、例えば、個々の車両の長さ、車両間距離情報、及び計測領域を通過する車両の単位時間当たりの数が含まれる。
例えば、図7(a)に示す通過情報No.1が図7(b)に示すId.Aと関連付けられた場合、通過情報No.1の通過開始時刻をT1とし、通過終了時刻をT2とし、 Id.Aの走行速度をV1としたとき、車両情報算出部62は、車両の長さを、(T2−T1)×V1に従って算出する。
【0033】
また、車両情報算出部62は、注目する車両とこの車両に後続する後続車両の車間距離を車両情報として求める。具体的には、車両のうち、注目する車両がガントリ12直下のレーダ14aの計測領域を通過する通過開始時刻T3とし、この注目する車両に対して後続する後続車両がガントリ12直下のレーダ14aの計測領域を通過する通過開始時刻T4とし、注目する車両の長さをLとし、後続車両の走行速度をV2としたとき、車両情報算出部62は、(T4−T3)×V2−Lに従って車間距離を求める。なお、後続車両の走行速度は、照合処理部60において後続車両についても通過情報と走行情報が関連付けられているので、後続車両の通過開始時刻T4と走行速度をVは既知となっている。車両の長さLも上述したように求められ得る値である。
【0034】
このように、図7(a)に示す通過情報と図7(b)に示す走行情報を関連付けることで、車両情報算出部62は、道路を走行する車両の情報を得ることができる。また、車両情報算出装置62は、求めた車両の長さから、車両の長さに応じて決定される大型車等の車種別に区分けすることができる。
図7(a)には示されていないが、通過情報には、ガントリ12直下のレーダ14aの計測領域のどの範囲を車両が通過したか、すなわち、車両の走行した車線の情報を含むので、この車線の情報を用いて、車両情報算出部62は、単位時間に、例えば1時間内に、定めた車線上を何台の車両が通過したか、集計することができる。この場合、車両の長さ、車高、車幅もわかるので、車両情報算出部62は、どのような車両、すなわちどの車種が、各車線上を単位時間に何台通過したか、車両の走行台数を求めることができる。通過情報と関連付けられた走行情報には、加速度の情報も含まれるので、車両情報算出部62は、どの程度の加速度で各車線を車両が通過したか、を求めることができる。
【0035】
(車両情報計測方法)
次に、本実施形態の車両情報の計測方法を説明する。
図8は、本実施形態の車両情報の計測方法のうち、第1検知ユニット14で行われる通過情報の検知方法を説明するフローチャートである。
レーダ14aは電波を照射して図4(c)に示すような計測データを得、この計測データを処理部14bに送る。処理部14bの入力部26は、レーダ14aから送られる計測データの入力を受ける(ステップS10)。この後、車両有無判定部28は、計測データにより定められる計測距離が路面からレーダ14aまでの距離か否かを判別する(ステップS20)。この判別は、予め設定された閾値を用いて行われる。上記判別において、計測距離が路面からレーダ14aまでの距離でない場合、車両がレーダ14aの計測領域を通過したと判別して、車両有無判定部28は、計測データに車両通過フラグONを与え、車両通過時間の計測を開始する(ステップS30)。車両通過時間の計測とは、具体的に車両通過フラグONを連続して計測データに与えつつ、車両の通過の終了時刻を得るために、車両が計測領域の通過が完了したか否かを判定することをいう。すなわち、車両有無判定部28は、計測データにより定められる計測距離が路面からレーダ14aまでの距離か否かを判別する(ステップS40)。この判定は、車両通過時間の計測開始後、計測距離が路面からレーダ14a間の距離になるまで、常時行われる。
【0036】
こうして、車両有無判定部28は、計測距離が路面からレーダ14aまでの距離に一致する場合(ステップS40においてYESの場合)、通過時間の計測は終了し、計測データに車両通過フラグOFFが付与される。こうして通過開始時刻及び通過終了時刻が得られ、通過終了時刻と通過開始時刻の差分から車両の通過時間が得られる。計測データは、レーダ14aのそれぞれについて得られるので、レーダ14aの計測データ全てについて、上記処理が行われる。したがって、レーダ14a毎に通過開始時刻及び通過終了時刻が得られる。さらに、通過検知時間計測部30は、上記通過開始時刻及び通過終了時刻を用いて計測領域を車両が通過する通過時間を1台の車両毎に算出する。このような情報は、1台の車両が計測領域を通過するとき、複数の計測データで同時に通過フラグがONとなるので、隣接するレーダ14aの計測データから得られた通過開始時刻及び通過終了時刻が許容範囲内で一致し、さらに、通過フラグがONとなるレーダ14aが隣接するとき、通過検知時間計測部30は、通過開始時刻及び通過終了時刻を1つに纏める。これにより、通過検知時間計測部30は、複数のレーダ14aが1台の車両の通過を検知しても、1つの車両の通過情報を定めることができる。その際、レーダ14aの各計測領域の幅は既知であるので、通過検知時間計測部30は、この既知の計測領域の幅と1つに纏められたレーダ14aの通過情報とを用いて、通過する車両の車幅および通過する道路の幅方向の位置、すなわち道路上の通過する車線を求めることができる。
【0037】
なお、レーダ14aの計測領域は、道路の幅方向に計測の空白領域が生じないように、互いの電波の計測領域が隣接している。さらに、レーダ14aの照射される電波の広がりによって、乗用車と二輪車とが並走してもレーダ14aによって識別できる程度に計測領域が分割されている。このため、第1検知ユニット14は、個々の車両の通過情報を正確に検知することができる。
こうして得られた個々の車両の通過情報を、出力部32は、処理ユニット18に出力する(ステップS60)。
【0038】
図9は、本実施形態の車両の計測方法のうち、第2検知ユニット16で行われる走行情報の検知方法を説明するフローチャートである。第2検知ユニット16の検知方法は、第1検知ユニット14の検知方法と同時に行われる。
【0039】
まず、入力部38は、レーダ14から送られる計測データの入力を受ける(ステップS70)。レーダ14の計測データには、ガードレール、看板あるいは標識等の背景の計測データも含まれる。したがって、車両の計測開始前に、背景生成部40は予め車両が走行していない状態での計測データを背景データとして入力部38より取り込み背景データを生成する(ステップS80)。背景データの生成は、車両の計測時常に行うわけではなく、装置10を設置した初期時に行われる。あるいは、図示されない制御ユニットの指示に基づき、背景データを定期的に生成する。この場合、背景更新部42は、生成された新規な背景データをメモリ36に記憶する。
【0040】
次に、車両の計測を行うとき、背景差分処理部44は、入力部38から送られる計測データとステップS80で生成した背景データとの差分を求める(ステップS90)。この処理により、背景の計測結果が除去されて、車両の計測データが残る。
次に、グループ化処理部46は、車両の計測データのグループ化を行い、車両特定部48は、車両の特定を行う(ステップS100)。グループ化では、走行車両の計測データを同一の走行車両毎にグループ分けする。例えば、背景差分処理部44から送られる走行車両のデータから定められる走行車両の位置および走行速度が、既に得られている複数の走行車両の位置の軌跡及び走行速度に滑らかに接続されるような走行車両の軌跡のグループに割り当てられる。車両の特定は、グループ化処理部46でグループ分けされて得られる上記軌跡に沿って走行車両の計測データを1つの車両の走行データとして纏める。すなわち、車両特定部48は、レーダ16aによって得られた複数の走行車両のデータを、個々の車両のデータとして纏める。
【0041】
このような車両の計測データは、レーダ16aによる計測によって順次生成されるため、車両特定部48では、1つに纏められた車両の位置と走行速度の計測データを、車両がレーダ16aの計測可能な範囲から外れるまで連続的に求めることで、車両の追跡を行う(ステップS120)。したがって、車両特定部48は、1つの車両として纏められた車両の位置と走行速度を組にした情報を得る。勿論、車両の位置および走行速度には、計測時刻の情報が付随している。こうして得られた追跡結果の情報を車両の走行情報として出力部50は処理ユニット18に送る(ステップS120)。
【0042】
図10(a)は、本実施形態の車両の計測方法のうち、第3検知ユニット18で行われる処理の一例のフローチャートである。処理ユニット18では、第1検知ユニット14及び第2検知ユニット16から送られた個々の車両の通過情報と個々の車両の走行情報とを関連付けることにより個々の車両の情報が求められる。図10(a)に示す例は、図1(b)に示すように、レーダ16aの計測領域が、ガントリ12直下のレーダ14aによる計測領域に対して車両の走行方向の下流側にあり、ガントリ12から車両が離れていく状態を計測する場合である。
【0043】
まず、第1検知ユニット14は通過情報を出力し、処理ユニット18の入力部56は、通過情報の入力を受けたか否かを判別する(ステップS130)。処理ユニット18は、通過情報の入力を受けるまで待機する。処理ユニット18の入力部56は通過情報の入力を受けると(ステップS130でYESの場合)、入力部56は通過情報を取り込み、車両の通過情報をメモリ54に蓄積する。さらに、第2検知ユニットは車両の走行情報を出力し、入力部56は走行情報の入力を受けたか否かを判別する(ステップS140)。処理ユニット18は、走行情報の入力を受けるまで待機する。処理ユニット18の入力部56は走行情報の入力を受けると(ステップS140でYESの場合)、入力部56は走行情報を取り込み、車両の走行情報をメモリ54に蓄積する。第2検知ユニット16は、第1検知ユニット14のレーダ14aの計測領域に対して車両の走行下流にある領域を計測するので、入力部56は、同一の車両について通過情報の入力後に走行情報の入力を受ける。入力部56は走行情報を取り込み、車両の走行情報をメモリ54に蓄積する。
なお、図10(a)は、1台の車両の通過情報および走行情報の受け取りの順序を表している。道路には複数の車両が走行するので、これに合わせて第1検知ユニット14及び第2検知ユニット16の出力は常時行われる。したがって、複数の車両の計測を対象とする全体の処理を表す場合、ステップS130の次にステップS140が行われるわけではなく、第1検知ユニット14及び第2検知ユニット16からの出力を入力部56は常時受ける。
【0044】
この後、通過時刻予測部58は、メモリ54に蓄積された車両の走行情報を用いて、この車両がガントリ12のレーダ14aの計測領域を通過した通過時刻を予測し算出する(ステップS150)。走行情報には、時刻と位置の情報が含まれているので、これらの情報から近似式を用いてガントリ12のレーダ14aの計測領域を通過した通過時刻を算出することができる。
この後、照合処理部60は、算出した通過時刻を用いて、走行情報を、第1検知ユニット14で検知された通過情報と照合する(ステップS160)。これにより、照合処理部60は、第1検知ユニット14で検知された車両の通過情報と第2検知ユニット16で検知された車両の走行情報とを関連付ける。例えば、図7(b)中のId.Aの走行情報が、図7(a)中の通過情報No.1と関連付けられる。このような処理は、第2検知ユニット16から走行情報が得られるたびに行われる。
【0045】
次に、車両情報算出部62は、車両の情報、例えば車両長さ、車間距離等の情報を算出する(ステップS170)。車両の情報の算出では、例えば計測された車両の通過開始時刻をT1とし、通過終了時刻をT2とし、 通過情報と関連付けられた走行情報から得られるガントリ12直下における走行速度をV1としたとき、車両情報算出部62は、車両の長さを、(T2−T1)×V1に従って算出する。ガントリ12直下における走行速度は、上述した通過時刻の算出の際に用いる近似式から算出することができる。注目する車両に対して後続する後続車両がガントリ12直下のレーダ14aの計測領域を通過する通過開始時刻T4とし、注目する車両の長さをLとし、後続車両の走行速度をV2としたとき、車両情報算出部62は、(T4−T3)×V2−Lに従って車間距離を求める。車両情報算出部62は、この他に、通過情報として車幅及び車両の通過する車線を求めることができる。車両がガントリ12直下の計測領域を通過するとき、第1検知ユニット14は、どのレーダ14aが車両を検知したか、検知したレーダ14aの情報を得ることができるので、検知したレーダ14aの位置と数から、車両の走行する道路上の走行位置、すなわち車線と、車幅を得ることができる。これらの情報は、メモリ54に記憶され蓄積される。
車両情報算出部62は、この他に、ガントリ12を通過する車両の情報をすべて蓄積するので、蓄積された車両の情報を用いて、単位時間当たりの車両の通過台数、車両の長さあるいは車種あるいは車幅毎の通過台数、車線毎の通過台数、車両の走行速度の分布、車線毎の走行速度の分布等、種々の統計的数字を車両の情報として算出することができる。
このように算出された車両の情報は、出力部64から、図示されない上位のコンピュータ等に送られる。
【0046】
図10(b)は、本実施形態の車両の計測方法のうち、第3検知ユニット18で行われる処理の他の例のフローチャートである。処理ユニット18では、第1検知ユニット14及び第2検知ユニット16から送られた個々の車両の通過情報と個々の車両の走行情報とを関連付けることにより個々の車両の情報が求められる。図10(b)に示す例は、図1(b)に示す例とは異なり、レーダ16aの計測領域が、ガントリ12直下のレーダ14aによる計測領域に対して車両の走行方向の上流側にあり、ガントリ12に向かって車両が近づく状態を計測する場合である。
したがって、図10(b)に示す例では、第2検知ユニット16が走行情報を出力したか否かを判定した(ステップS180でYES)後、第1検知ユニット14が通過情報を出力したか否かを判定する(ステップS200)順番となっている。このとき、第2検知ユニット16が走行情報を出力したと判定すると(ステップS180のYESの場合)、その直後に、車両がレーダ14aの計測領域を通過する通過時刻を予測する(ステップS190)。以降、ステップ210およびステップS220の処理は、図10(a)に示すステップS160およびステップS170の処理と同じであるので、その説明は省略する。図10(b)に示すフローにおいても、ステップS220における処理により、車両情報算出部62は、車両の長さ、車幅、車間距離、車両の通過する車線を算出する。車両情報算出部62は、この他、単位時間当たりの車両の通過台数、車両の長さあるいは車種あるいは車幅毎の通過台数、車線毎の通過台数、車両の走行速度の分布、車線毎の走行速度の分布等、種々の統計的数字を情報として算出することができる。
【0047】
以上のように、本実施形態の装置10では、第2検知ユニット16で検知された車両の走行情報から、この車両がガントリ12に設けられたレーダ14aの計測領域を通過する、あるいは通過した通過時刻を算出し、算出した通過時刻を用いて、検知した車両の走行情報を第1検知ユニット14で検知された通過情報と照合する。このため、装置10は、車両の通過情報と車両の走行情報とを関連付け、関連付けた通過情報と移動情報とを用いて、個々の車両の長さや車間距離等の情報を正確に求めることができる。
【0048】
第1検知ユニット14は、レーダ14aを用いて路面の幅を分割した複数の分割領域毎に個々の車両の通過情報を検知し、分割領域毎に検知された通過情報を、検知され分割領域に基づいて1つの車両の通過情報にまとめることにより、個々の車両の通過情報を求める。このため、処理ユニット18は、個々の車両毎の情報を正確に求めることができる。
【0049】
上記実施形態は、以下に示す内容を開示する。
【0050】
(付記1)
複数の移動体が移動路上を移動する際、個々の移動体の情報を求める移動体情報計測装置であって、
複数の移動体が移動する移動路の路面上方に設けられた第1センサを用いて、前記第1センサの計測領域を通過する個々の移動体の通過開始時刻及び通過終了時刻を含む通過情報を検知する第1検知ユニットと、
前記移動路のうち、前記計測領域に対して前記移動体の移動方向の上流側あるいは下流側の領域において個々の移動体の位置と移動速度の情報を含む移動体の移動情報を、前記第1センサとは別の第2センサを用いて検知する第2検知ユニットと、
前記第2検知ユニットで検知された移動体の前記移動情報から、前記移動情報が検知された移動体が前記計測領域を通過する、あるいは通過した通過時刻を算出し、算出した通過時刻を用いて、前記移動情報を前記第1検知ユニットで検知された前記通過情報と照合することにより、前記第1検知ユニットで検知された個々の移動体の前記通過情報と前記第2検知ユニットで検知された個々の移動体の前記移動情報とを関連付け、関連付けた前記通過情報と前記移動情報とを用いて個々の移動体の情報を求める処理ユニット、とを有することを特徴とする移動体情報計測装置。
【0051】
(付記2)
前記処理ユニットは、前記通過情報における前記通過終了時刻と前記通過開始時刻の差分と前記移動速度とを用いて、個々の移動体の移動方向の長さを求める、付記1に記載の移動体計測装置。
【0052】
(付記3)
前記処理ユニットは、個々の移動体のうち、先行移動体として前記計測領域を通過する通過開始時刻と、前記先行移動体に対して後続する後続移動体が前記計測領域を通過する通過開始時刻との間の差分と、前記移動情報から求まる前記後続移動体の前記計測領域を通過する移動速度とを乗算し、乗算結果から前記先行移動体の前記長さを減算することにより、前記先行移動体と前記後続移動体の移動体間距離を求める、付記2に記載の移動体計測装置。
【0053】
(付記4)
前記処理ユニットは、前記移動体の情報として、個々の移動体の移動方向の長さ、移動体間の距離情報、及び前記計測領域を通過する移動体の単位時間当たりの数の少なくとも1つを求める、付記1〜3のいずれか1項に記載の移動体計測装置。
【0054】
(付記5)
前記移動路は複数の移動体が並行して移動することのできる幅を有し、
前記第1検知ユニットは、前記第1センサを用いて前記移動路の幅を分割した複数の分割領域毎に個々の移動体の通過情報を検知し、分割領域毎に検知された通過情報を、検知され分割領域に基づいて1つの移動体の通過情報にまとめることにより、個々の移動体の通過情報を求め、
前記処理ユニットは、個々の移動体が前記計測領域を通過する前記移動路の幅方向の位置を、個々の移動体の情報として求める、付記1〜4のいずれか1項に記載の移動体計測装置。
【0055】
(付記6)
複数の移動体が移動路上を移動する際、個々の移動体の情報を求める移動体情報計測装置が行う移動体計測方法であって、
複数の移動体が移動する移動路の路面上方に設けられた第1センサを用いて、前記第1センサの計測領域を通過する個々の移動体の通過開始時刻及び通過終了時刻を含む通過情報を検知し、
前記移動路のうち、前記計測領域に対して前記移動体の移動方向の上流側あるいは下流側の領域において個々の移動体の位置と移動速度を含む移動情報を、前記第1センサとは別の第2センサを用いて検知し、
検知された移動体の前記移動情報から、前記移動情報の検知された移動体が前記計測領域を通過する、あるいは通過した通過時刻を算出し、算出した通過時刻を用いて、前記移動情報を、前記第1検知ユニットで検知された前記通過情報と照合することにより、前記第1検知ユニットで検知された個々の移動体の前記通過情報と前記第2検知ユニットで検知された個々の移動体の前記移動情報とを関連付け、関連付けた前記通過情報と前記移動情報とを用いて個々の移動体の情報を求める、ことを特徴とする移動体情報計測方法。
【0056】
(付記7)
個々の移動体の情報を求める際、前記移動体の情報として、前記通過情報における前記通過終了時刻と前記通過開始時刻の差分と前記移動速度とを用いて、個々の移動体の移動方向の長さを求める、付記6に記載の移動体計測方法。
【0057】
(付記8)
個々の移動体の情報を求める際、個々の移動体のうち先行移動体として前記計測領域を通過する通過開始時刻と、前記先行移動体に対して後続する後続移動体が前記計測領域を通過する通過開始時刻との間の差分と、前記移動情報から求まる前記後続移動体の前記計測領域を通過する移動速度とを乗算し、乗算結果から前記先行移動体の前記長さを減算することにより、前記先行移動体と前記後続移動体の移動体間距離を求める、付記7に記載の移動体計測方法。
【0058】
(付記9)
前記移動体の情報として、個々の移動体の移動方向の長さ、移動体間の距離情報、及び前記計測領域を通過する移動体の単位時間当たりの数の少なくとも1つを求める、付記6〜8のいずれか1項に記載の移動体計測方法。
【0059】
(付記10)
前記移動路は複数の移動体が並行して移動することのできる幅を有し、
前記移動体の通過開始時刻及び通過終了時刻を含む通過情報を検知するとき、前記第1センサを用いて前記移動路の幅を分割した複数の分割領域毎に個々の移動体の通過情報を検知し、分割領域毎に検知された通過情報を、検知され分割領域に基づいて1つの移動体の通過情報にまとめることにより、個々の移動体の通過情報を求め、
前記個々の移動体の情報を求めるとき、個々の移動体が前記計測領域を通過する前記移動路の幅方向の位置を、個々の移動体の情報として求める、付記6〜9のいずれか1項に記載の移動体計測方法。
【0060】
以上、本発明の移動体情報計測装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
10 車両情報計測装置
12 ガントリ
14 第1検知ユニット
14a,16a レーダ
14b,16b 処理部
16 第2検知ユニット
18 処理ユニット
20 制御器
22,34,52 CPU
24,36,54 メモリ
26,38,56 入力部
28 車両有無判定部
30 車両検知時間計測部
32,50,64 出力部
40 背景生成部
42 背景更新部
44 背景差分処理部
46 グループ化処理部
48 車両特定部
58 通過時刻予測部
60 照合処理部
62 車両情報算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体が移動路上を移動する際、個々の移動体の情報を求める移動体情報計測装置であって、
複数の移動体が移動する移動路の路面上方に設けられた第1センサを用いて、前記第1センサの計測領域を通過する個々の移動体の通過開始時刻及び通過終了時刻を含む通過情報を検知する第1検知ユニットと、
前記移動路のうち、前記計測領域に対して前記移動体の移動方向の上流側あるいは下流側の領域において個々の移動体の位置と移動速度の情報を含む移動体の移動情報を、前記第1センサとは別の第2センサを用いて検知する第2検知ユニットと、
前記第2検知ユニットで検知された移動体の前記移動情報から、前記移動情報が検知された移動体が前記計測領域を通過する、あるいは通過した通過時刻を算出し、算出した通過時刻を用いて、前記移動情報を前記第1検知ユニットで検知された前記通過情報と照合することにより、前記第1検知ユニットで検知された個々の移動体の前記通過情報と前記第2検知ユニットで検知された個々の移動体の前記移動情報とを関連付け、関連付けた前記通過情報と前記移動情報とを用いて個々の移動体の情報を求める処理ユニット、とを有することを特徴とする移動体情報計測装置。
【請求項2】
前記処理ユニットは、前記通過情報における前記通過終了時刻と前記通過開始時刻の差分と前記移動速度とを用いて、個々の移動体の移動方向の長さを求める、請求項1に記載の移動体計測装置。
【請求項3】
前記処理ユニットは、個々の移動体のうち、先行移動体として前記計測領域を通過する通過開始時刻と、前記先行移動体に対して後続する後続移動体が前記計測領域を通過する通過開始時刻との間の差分と、前記移動情報から求まる前記後続移動体の前記計測領域を通過する移動速度とを乗算し、乗算結果から前記先行移動体の前記長さを減算することにより、前記先行移動体と前記後続移動体の移動体間距離を求める、請求項2に記載の移動体計測装置。
【請求項4】
前記処理ユニットは、前記移動体の情報として、個々の移動体の移動方向の長さ、移動体間の距離情報、及び前記計測領域を通過する移動体の単位時間当たりの数の少なくとも1つを求める、請求項1〜3のいずれか1項に記載の移動体計測装置。
【請求項5】
前記移動路は複数の移動体が並行して移動することのできる幅を有し、
前記第1検知ユニットは、前記第1センサを用いて前記移動路の幅を分割した複数の分割領域毎に個々の移動体の通過情報を検知し、分割領域毎に検知された通過情報を、検知され分割領域に基づいて1つの移動体の通過情報にまとめることにより、個々の移動体の通過情報を求め、
前記処理ユニットは、個々の移動体が前記計測領域を通過する前記移動路の幅方向の位置を、個々の移動体の情報として求める、請求項1〜4のいずれか1項に記載の移動体計測装置。
【請求項6】
複数の移動体が移動路上を移動する際、個々の移動体の情報を求める移動体情報計測装置が行う移動体計測方法であって、
複数の移動体が移動する移動路の路面上方に設けられた第1センサを用いて、前記第1センサの計測領域を通過する個々の移動体の通過開始時刻及び通過終了時刻を含む通過情報を検知し、
前記移動路のうち、前記計測領域に対して前記移動体の移動方向の上流側あるいは下流側の領域において個々の移動体の位置と移動速度を含む移動情報を、前記第1センサとは別の第2センサを用いて検知し、
検知された移動体の前記移動情報から、前記移動情報の検知された移動体が前記計測領域を通過する、あるいは通過した通過時刻を算出し、算出した通過時刻を用いて、前記移動情報を、前記第1検知ユニットで検知された前記通過情報と照合することにより、前記第1検知ユニットで検知された個々の移動体の前記通過情報と前記第2検知ユニットで検知された個々の移動体の前記移動情報とを関連付け、関連付けた前記通過情報と前記移動情報とを用いて個々の移動体の情報を求める、ことを特徴とする移動体情報計測方法。
【請求項7】
個々の移動体の情報を求める際、前記移動体の情報として、前記通過情報における前記通過終了時刻と前記通過開始時刻の差分と前記移動速度とを用いて、個々の移動体の移動方向の長さを求める、請求項6に記載の移動体計測方法。
【請求項8】
個々の移動体の情報を求める際、個々の移動体のうち先行移動体として前記計測領域を通過する通過開始時刻と、前記先行移動体に対して後続する後続移動体が前記計測領域を通過する通過開始時刻との間の差分と、前記移動情報から求まる前記後続移動体の前記計測領域を通過する移動速度とを乗算し、乗算結果から前記先行移動体の前記長さを減算することにより、前記先行移動体と前記後続移動体の移動体間距離を求める、請求項7に記載の移動体計測方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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