移動体検知装置及び移動体検知方法
【課題】検知エリアの明るさに左右されることなく、検知エリア内を移動する移動体の移動を自動検知し得る移動体検知装置を提供する。
【解決手段】本発明の移動体検知装置1は、検知エリア7に超音波信号を送信する送波器2と、検知エリア7内で反射した超音波信号を受信する受波器3と、送波器2から送信される超音波信号に対応して受波器3で取得される反射波データから移動体6の三次元位置を演算する位置演算手段4と、位置演算手段4によって、ある瞬間に取得される反射波データから演算される移動体6の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得される反射波データから演算される移動体6の三次元位置を対象位置として、基準位置から対象位置までの移動ベクトルを演算し、移動ベクトルの大きさが所定値以下となる場合に、基準位置から対象位置に移動体6が移動したと判断する移動判断手段5とを備える。
【解決手段】本発明の移動体検知装置1は、検知エリア7に超音波信号を送信する送波器2と、検知エリア7内で反射した超音波信号を受信する受波器3と、送波器2から送信される超音波信号に対応して受波器3で取得される反射波データから移動体6の三次元位置を演算する位置演算手段4と、位置演算手段4によって、ある瞬間に取得される反射波データから演算される移動体6の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得される反射波データから演算される移動体6の三次元位置を対象位置として、基準位置から対象位置までの移動ベクトルを演算し、移動ベクトルの大きさが所定値以下となる場合に、基準位置から対象位置に移動体6が移動したと判断する移動判断手段5とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知エリア内を移動する移動体の位置を検知する移動体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の検知エリア内を移動する移動体(例えば、人)の位置を検知する検知装置として、CCDカメラを搭載した監視カメラが広く利用されている(例えば、下記の特許文献1)。
【特許文献1】実開平8−001617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の監視カメラによって検知エリア内の移動体を監視する手法では、監視者が監視映像を見て移動体を追跡しなければならないことから、常に監視者が監視映像を注視し続けなければならず、面倒且つ煩雑な作業を強いられることになる。
【0004】
また、検知エリアが暗い場合には、監視映像から移動体を確認することができず、移動体の追跡が実質的に不可能となる場合も生じ得る。すなわち、移動体の追跡が検知エリアの明るさに大きく左右されるという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の実情に鑑み、検知エリアの明るさに左右されることなく、検知エリア内を移動する移動体の移動を自動検知し得る移動体検知装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、検知エリア内を移動する移動体の位置を検知する移動体検知装置であって、前記検知エリアに超音波信号を継続的に送信する送波器と、前記検知エリア内で反射した前記超音波信号を受信する受波器と、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応して前記受波器で所定時間毎に取得される反射波データから移動体の三次元位置を時々刻々演算する位置演算手段と、該位置演算手段によって、ある瞬間に取得される反射波データから演算される移動体の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得される反射波データから演算される移動体の三次元位置を対象位置として、前記基準位置から前記対象位置までの移動ベクトルを演算し、該移動ベクトルのうちその大きさが移動体の種類に基づいて定められた第1所定値以下となる場合を実報とし、この実報に基づいて前記基準位置から前記対象位置に移動体が移動したと判断する移動判断手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
以上の構成によれば、位置演算手段で時々刻々演算される移動体の個々の三次元位置を、移動判断手段によって移動ベクトルの大きさに基づいて時系列で関連付けることにより、移動体の移動を自動検知することが可能となる。さらに、超音波を利用していることから、検知エリアの明るさに左右されることなく、移動体の移動を自動検知することができる。また、超音波の利用にしているので、移動体が人体である場合にも、監視カメラ等を利用した場合に比して、プライバシー侵害性の低い装置構成とすることが容易となる。
【0008】
上記の構成において、前記移動判断手段は、前記実報が連続的に得られない検知時間に対応して、前記第1所定値を増大するように構成されていることが好ましい。なお、ここでいう検知時間とは、基準位置となる三次元位置が演算された反射波データが取得されてから、対象位置となる三次元位置が演算された反射波データが取得されるまでの時間を意味する。
【0009】
このようにすれば、例えば移動体からの反射波強度が微弱であったり、或いは突発的なノイズの影響などによって、反射波データから移動体の三次元位置が演算できない場合が生じたとしても、その検知時間に対応して第1所定値が増大されるので、移動体の捕捉率の低下を招くことなく、移動体の移動を自動検知を確実に続行することが可能となる。
【0010】
上記の構成において、前記位置演算手段は、1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合にこれらを暫定三次元位置とすると共に、該暫定三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から前記変位ベクトルの大きさが第2所定値以下となる暫定三次元位置を選択し、この選択した暫定三次元位置に基づいて移動体の三次元位置を設定するように構成されていることが好ましい。
【0011】
送波器から振幅減衰時間(振幅減衰開始の時刻(最大振幅の時刻)から振幅減衰終了の時刻までの時間)のない理想的なパルス波として超音波を送信することは困難であることから、実用上は所定の振幅減衰時間を有する超音波信号を送信する場合が多い。この場合には、送信する超音波信号の振幅減衰時間との関係から、同じ移動体の同一部位で反射した超音波信号が時間的に幅をもって受波器に受信されることがある。そのため、1つの反射波データから同一の移動体を示す三次元位置が複数箇所検出される場合がある。そこで、上記の構成では、1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合に、これらを一旦暫定三次元位置として、暫定三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算する。そして、演算した変位ベクトルの大きさに基づいて1又は複数の暫定三次元位置を選択する。これにより、複数の暫定三次元位置の中から同一の移動体を捉えたと推定される暫定三次元位置を選択できる。そして、選択した暫定三次元位置に基づいて移動体の三次元位置を設定することにより、演算処理の簡素化を好適に実現することができる。なお、上記の第2所定値は、例えば送波器から送信される超音波信号の振幅減衰時間に基づいて設定される。
【0012】
この場合、前記位置演算手段は、前記選択した暫定三次元位置のうち、前記受波器に最も近い暫定三次元位置を移動体の三次元位置に設定するように構成されていてもよい。
【0013】
また、前記位置演算手段は、前記選択した暫定三次元位置の重心位置を、移動体の三次元位置に設定するように構成されていてもよい。
【0014】
前記受波器は、複数の受波素子を配列したアレイセンサであることが好ましい。
【0015】
このようにすれば、受波器を回動させる等して機械的に走査することなく、電子的走査のみで検知エリアで反射した超音波信号を受信することが可能となる。
【0016】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、検知エリア内を移動する移動体の位置を検知する移動体検知装置であって、送波器から前記検知エリアに超音波信号を継続的に送信すると共に、受波器で前記検知エリア内で反射した前記超音波信号を受信して、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程と、該反射波データ取得工程で取得された反射波データから移動体の三次元位置を時々刻々演算する位置演算工程と、該位置演算工程によって、ある瞬間に取得された反射波データから演算される移動体の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得された反射波データから演算される移動体の三次元位置を対象位置として、前記基準位置から前記対象位置までの移動ベクトルを演算し、該移動ベクトルのうちその大きさが移動体の種類に基づいて定められた第1所定値以下となる場合を実報とし、この実報に基づいて前記基準位置から前記対象位置に移動体が移動したと判断する移動判断工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
このような方法によれば、既に述べた段落[0007]に記載の事項と同様の作用効果を享受することができる。
【0018】
上記の方法において、前記移動判断工程で、前記実報が連続的に得られない検知時間に対応して、前記第1所定値を増大することが好ましい。
【0019】
このようにすれば、既に述べた段落[0009]に記載の事項と同様の作用効果を享受することができる。
【0020】
上記の方法において、前記位置演算工程は、1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合にこれらを暫定三次元位置とすると共に、該暫定三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から前記変位ベクトルの大きさが第2所定値以下となる暫定三次元位置を選択し、この選択した暫定三次元位置に基づいて移動体の三次元位置を設定することが好ましい。
【0021】
このようにすれば、既に述べた段落[0011]に記載の事項と同様の作用効果を享受することができる。
【0022】
この場合、前記位置演算工程で、前記選択した暫定三次元位置のうち、前記受波器に最も近い暫定三次元位置を移動体の三次元位置に設定するようにしてもよい。
【0023】
また、前記位置演算工程で、前記選択した暫定三次元位置の重心位置を、移動体の三次元位置に設定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、位置演算手段で時々刻々演算される移動体の個々の三次元位置を、移動判断手段によって移動ベクトルの大きさに基づいて時系列で関連付けることにより、移動体の移動を自動検知することが可能となる。さらに、超音波を利用していることから、検知エリアの明るさに左右されることなく、移動体の移動を自動検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る移動体検知装置を模式的に示すブロック図であり、図2はその取り付け態様を模式的に示す側面図である。図に示すように、移動体検知装置1は、送波器2と、受波器3と、位置演算手段4と、移動判断手段5とを備えている。
【0027】
送波器2は、天井等の静止系に取り付けられた状態で、移動体6が移動する検知エリア7に超音波信号を所定の間隔を空けて継続的に送信するように構成される。受波器3は、同じく天井等の静止系に取り付けられた状態で検知エリア7内で反射した超音波信号を受信するように構成される。送波器2と受波器3とでセンサユニット8が構成される。
【0028】
この実施形態では、送波器2は、超音波信号を検知エリア7内に拡散させて送信するように構成される。一方、受波器3は、複数の受波素子を配列したアレイセンサで構成される。例えば、このアレイセンサの一例としては次のような構成が挙げられる。すなわち、アレイセンサ3としては、図3(a),(b)に示すように、複数の受波素子3aを単一の平面(基板3b)上に、例えば格子状や十字状等に配列し、各受波素子3aで得られた信号を、検知エリア7内で反射した超音波信号の入射角度および各受波素子3aの位置に対応した時間分だけ遅延させた後に加算することで、電子的走査によって三次元反射波データを取得するように構成されたものが挙げられる。さらに、この場合、隣接する受波素子3aの中心間距離Xは、送波器2から送信される超音波信号の半波長以下に設定することが好ましい。このようにすれば、複数の受波素子3aで得られた信号を遅延加算して得られる三次元反射波データに、誤差の要因となる所謂ゴースト成分が発生するという事態を好適に低減することができる。
【0029】
位置演算手段4は、送波器2から送信される超音波信号に対応して受波器3で所定時間毎に取得される反射波データから移動体6の三次元位置を時々刻々演算するように構成される。
【0030】
移動判断手段5は、位置演算手段4によって、ある瞬間に取得される反射波データから演算される移動体6の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得される反射波データから演算される移動体6の三次元位置を対象位置として、基準位置から対象位置までの移動ベクトルを演算し、移動ベクトルのうちその大きさが移動体6の種類に基づいて定められた移動判定閾値(第1所定値以下)となる場合を実報とし、この実報に基づいて基準位置から対象位置に移動体6が移動したと判断するように構成される。
【0031】
次に、このように構成された移動体検知装置1による移動体検知手順を説明する。
【0032】
図4は、移動体検知手順を示すフローチャートである。同図に示すように、この移動体検知手順は、送波器2から検知エリア7に超音波信号を所定の間隔を空けて継続的に送信すると共に、受波器3により検知エリア7内で反射した超音波信号を受信して、送波器2から送信される超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程S10と、反射波データ取得工程S10で取得された反射波データから移動体6の三次元位置を時々刻々演算する位置演算工程S20と、位置演算工程S20によって、ある瞬間に取得された反射波データから演算される移動体6の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得された反射波データから演算される移動体6の三次元位置を対象位置として、基準位置から対象位置までの移動ベクトルを演算し、移動ベクトルのうちその大きさが移動体6の種類に基づいて定められた移動判定閾値(第1所定値)以下となる場合を実報とし、この実報に基づいて基準位置から対象位置に移動体6が移動したと判断する移動判断工程S30とを含む。この実施形態では、受波器3で反射波データ取得工程S10が実行される。また、位置演算手段4によって位置演算工程S20が実行される。さらに、移動判断手段5によって移動判断工程S30が実行される。
【0033】
反射波データ取得工程S10では、送波器2から超音波信号を送信するごとに、受波器3で受信される超音波信号から三次元反射波データを取得する。この反射波データは、検知エリア7を高さ方向に複数の平面に分割した平面データから構成されており、それぞれの平面データには、反射波の信号強度分布が記録される。
【0034】
位置演算工程S20は、差分処理工程S40と、ピーク演算工程S50と、グルーピング工程S60とに大別される。
【0035】
差分処理工程S40では、上記の反射波データ取得工程S10で取得された反射波データから、予め計測しておいた移動体6が存在しない状態における検知エリア7の反射波データを減算する。これにより、反射波データに含まれる静止体がデータ上削除され、静止体と移動体6とを明確に区別することが可能となる。
【0036】
移動体6を捉えた反射波データを構成する平面データでは、縦軸に信号強度をとると、例えば図5に示すように、移動体6を捉えた部分が凸部となって現れる。そのため、ピーク演算工程S50では、差分処理工程S40後の反射波データを構成する複数の平面データのそれぞれにつき、信号強度のピーク値と、その位置を演算する。そして、その演算したピーク値の信号強度が、所定のピーク判定閾値を超えるものを移動体6の三次元位置として記憶する。このようにすれば、移動体6の三次元位置をポイントで定義することができるので、移動体6の三次元位置を信号強度の凸部全体で定義する場合に比して、演算処理の簡素化を図ることができる。なお、この記憶された移動体6の三次元位置は、受波器3(センサユニット8)に近いものから順に配列された状態で移動体位置データとして記憶される。
【0037】
本実施形態では、上記のピーク演算工程S50で演算された移動体6の三次元位置が同一の移動体6を捉えたものであるか否かを判断するために、グルーピング工程S60が実行される。これは、次のような理由による。一般に、空気中を伝搬する超音波が物体に当たった場合には、直進することなく、その物体の表面で反射して戻ってくる。しかし、送信する超音波信号を、振幅減衰時間(振幅減衰開始の時刻(最大振幅の時刻)から振幅減衰終了の時刻までの時間)のない理想的なパルス波として送信することは困難であり、実用上は、図6に示すように、所定の振幅減衰時間ΔTを有する超音波信号を送信する場合が多い。そのため、送信する超音波信号の減衰時間ΔTとの関係から、同じ物体の同一部位で反射した超音波信号が時間的に幅をもって検出される場合がある。この場合には、上記の反射波データを構成する複数の平面データのうち、連続する数枚の平面データに同じ物体による複数のピーク値が検出されることになる。したがって、演算処理の簡素化の観点からも、複数のピーク値のうち、どのピーク値が同一の移動体6を捉えたものであるのかを判断する必要がある。
【0038】
そこで、グルーピング工程S60では、上記のピーク演算工程S50で1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合に、これらを一旦暫定的な三次元位置として、その三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から変位ベクトルの大きさがグルーピング閾値(第2所定値)以下となる三次元位置を選択する。この際、選択された三次元位置は、同一の移動体6を捉えたものと判断する。そして、選択した三次元位置に基づいて移動体6の三次元位置(代表位置)を改めて設定する。
【0039】
このグルーピング工程S60は、図7に示す手順で実行される。同図に示すように、グルーピング工程S60では、まず、上記のピーク演算工程S50で記憶された移動体位置データのうち、センサユニット8に最も近い先頭の移動体6の三次元位置(暫定三次元位置)を基準位置に設定すると共に、その三次元位置を代表位置とした新規グループを登録し且つその新規グループを対象グループに設定する(ステップS61)。その後、移動体位置データの中に、次の移動体6の三次元位置(暫定三次元位置)が存在するか否かを判断する(ステップS62)。
【0040】
その結果、次の移動体6の三次元位置が存在する場合には、その三次元位置を対象位置に設定する(ステップS63)。そして、基準位置から対象位置までの変位ベクトルを演算する(ステップS64)と共に、その変位ベクトルの大きさがグルーピング閾値以下であるか否かを判断する(ステップS65)。
【0041】
その結果、グルーピング閾値以下である場合には、対象位置を新たな基準位置とすると共に、対象グループに追加登録(ステップS66)し、上記のステップS62に戻る。
【0042】
一方、ステップS65で、グルーピング閾値を超えていると判断された場合には、対象位置を新たな基準位置とすると共に、次の三次元位置を代表位置とした新規グループを登録し且つその新規グループを新たな対象グループに設定(ステップS67)し、上記のステップS62に戻る。以後、上記のステップS62で次の三次元位置が存在しないと判断されるまで、上記のステップを繰り返し、ピーク演算工程S50で記憶された全ての三次元位置を所定のグループに分類すると共に、グループごとに代表位置を設定する。
【0043】
ここで、上記のグルーピング閾値は、送信する超音波信号の振幅減衰時間ΔTに基づいて設定される。これは、振幅減衰時間ΔTから予め同じ移動体6の同一部位を捉えた信号がどの程度の範囲で検出されるかを予測することが可能であるためである。
【0044】
上記のグルーピング工程S60では、センサユニット8に近い順に移動体6の三次元位置が配列された移動体位置データのうち、先頭の移動体6の三次元位置から順に処理されるので、分類されたグループごとにセンサユニット8に最も近い移動体6の三次元位置が代表位置として設定される。したがって、時間的に最初に移動体6で反射したものを、各グループの代表位置として設定することができる。すなわち、センサユニット8から所定の振幅減衰時間を有する超音波信号を送信した場合であっても、振幅減衰時間のない理想的なパルス波を送信した場合と同様の結果を得ることができる。
【0045】
このようにして処理されたグルーピング工程S60の処理結果を図8に概念的に示す。図示例は、ピーク演算工程S50で6つの移動体6の三次元位置a1,a2,a3,b1,b2,b3が検出され、グルーピング工程S60の結果、移動体6の三次元位置a1〜a3からなるグループAと、移動体6の三次元位置b1〜b3からなるグループBに分類された場合を例示するものである。この場合、各グループA,Bの代表位置は、センサユニット8に最も近い移動体位置a1,b1にそれぞれ設定される。なお、グループの代表位置は、センサユニット8に最も近い移動体6の三次元位置に設定するものに限らず、例えば、移動体位置データに含まれる全ての移動体6の三次元位置を所定のグループに分類した後、各グループに属する移動体6の三次元位置の重心位置を演算し、その重心位置を代表位置に設定するようにしてもよい。
【0046】
移動判断工程S30では、既に得られた一の反射波データから検出されたグループの代表位置と、新たに得られた他の反射波データから検出されるグループの代表位置との移動ベクトルを演算し、その移動ベクトルの大きさに基づいて、移動体6の三次元位置の移動を追跡検知する。すなわち、上記のグルーピング工程S60は、同一の反射波データ内における処理であるが、この移動判断工程S30は、異なる2つの反射波データ(例えば前回の反射波データと今回の反射波データ)を比較して処理するものである。
【0047】
この移動判断工程S30は、図9に示す手順で実行される。同図に示すように、移動判断工程S30では、まず、上記のグルーピング工程S60で検出されたグループが存在するか否かを判断する(ステップS31)。その結果、グループが存在する場合には、そのグループの代表位置を取得して対象位置とする(ステップS32)。そして、前回の反射波データにおいて既に追跡済みグループが存在するか否かを判断する(ステップS33)。その結果、存在する場合には、その追跡済みグループの代表位置を取得して基準位置に設定する(ステップS34)。その後、基準位置から対象位置までの移動ベクトルを演算する(ステップS35)と共に、この移動ベクトルの大きさが移動判定閾値以下であるか否かを判断する(ステップS36)。その結果、移動判定閾値以内である場合には実報とし、対象位置を、基準位置とした追跡済みグループの新しい代表位置とする(ステップS37)と共に、上記のステップS31に戻る。すなわち、この場合には、代表位置(移動体6の三次元位置)が、基準位置から対象位置に移動したものと判断する。一方、移動判定閾値を超える場合には、代表位置が基準位置から対象位置に移動したものと判断せずに、ステップS31に戻る。
【0048】
また、上記のステップS33で、追跡済みグループが存在しないと判断された場合には、対象位置を、新規追跡済みグループの新しい代表位置とする(ステップS38)と共に、ステップS31に戻る。
【0049】
そして、ステップ31で、次のグループが存在しないと判断されるまで、以上のステップを繰り返し、各グループの代表位置の移動を追跡検知する。
【0050】
なお、上記の移動判定閾値は、移動体6の種類を反映した移動体6の移動速度に基づいて設定される。具体的には、移動判定閾値は、前回の反射波データが取得されてから今回の反射波データが取得されるまでの時間の間に、移動体6が実際に移動できる最大推定移動量に基づいて設定される。
【0051】
また、移動体6で反射した超音波信号の信号強度が微弱であったり、或いはノイズが発生した場合には、ピーク演算工程S50で移動体6の三次元位置を検出できないことがある。そのため、グループごとに移動体6の三次元位置が検出できなかった検知時間を計測し、その検知時間に応じて、移動判定閾値を増大するようになっている。具体的には、例えば、上記の検知時間を反射波データの計測数で検出する。そして、時系列で連続する2つの反射波データ間で使用する移動判定閾値をαとし、検出できなかった反射波データの計測数をnとした場合、移動判定閾値を例えばα×(n+1)に設定するようになっている。
【0052】
このようにして処理された移動判断工程S30の処理結果を、図10に概念的に示す。図示例は、前回の反射波データに対するグルーピング工程S60で代表位置A1,B1が検出されると共に、今回の反射波データに対するグルーピング工程S60で、代表位置A2,B2が検出された状態を示している。そして、移動判断工程S30によって、前回の反射波データで検出された代表位置A1が、今回の反射波データで検出された代表位置A2に移動し、前回の反射波データで検出された代表位置B1が、今回の反射波データで検出された代表位置B2に移動したと判断された状態を示している。
【0053】
また、図11に示すように、今回の反射波データで得られた代表位置C2が、前回の反射波データで得られた代表位置A1,B1の双方に対して、移動ベクトルの大きさが移動判定閾値以内にあることも想定される。そこで、本実施形態では、移動ベクトルの大きさが小さい方、すなわち実距離が近い方が移動したものとして処理するようになっている。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る移動体検知装置1によれば、位置演算手段4で時々刻々演算される移動体6の個々の三次元位置を、移動判断手段5によって移動ベクトルの大きさに基づいて時系列で関連付けることにより、移動体6の移動を自動的に追跡検知することが可能となる。さらに、超音波信号を利用していることから、検知エリア7の明るさに左右されることなく、移動体6の移動を追跡検知できる。
【0055】
なお、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施することができる。例えば、上記の移動体検知装置1は、移動体6を人体とした人体検知装置として好適に利用することができる。すなわち、上記の移動体検知装置1であれば、人体の移動をポイント(例えば頭部位置)で追跡することができるため、その追跡状況を所定の表示部に表示させたとしても、人体の顔などの詳細情報が表示されることがないので、プライバシー侵害性が極めて低い装置となる。したがって、病室、トイレ、浴室などのプライバシーエリアを検知エリア7とする場合に有用である。
【0056】
具体的には、病室を検知エリア7とする場合には、ベッド上における人体(患者)の姿勢の時間的な変化を追跡検知することができるので、患者のベッドからの離床を早期に検出することが可能となる。また、トイレや浴室を検知エリア7とする場合であっても、検知エリア7内における人体の姿勢の時間的な変化を追跡検知することにより、検知エリア7内で人体が倒れるなどの異常が生じた場合であっても、かかる異常を早期に検出することが可能となる。なお、人体の移動を追跡検知する場合には、人体の頭部位置を追跡検知するようにすることが好ましい。これは、人体の頭部位置は、通常最も高い位置にあり、姿勢の変化に対応してその高さや位置が変化するためである。
【0057】
また、上記の実施形態では、一つの検知エリア7を一つのセンサユニット8で検知する場合を例示したが、一つの検知エリア7を複数のセンサユニット8で検知するようにしてもよい。この場合、各センサユニット8から送信される超音波信号が、別のセンサユニット8から送信される超音波信号と干渉しないようにすることが好ましい。この対策としては、例えば、各センサユニット8から送信される超音波信号が干渉しないように所定の時間差を明けて各センサユニット8から順次超音波信号を送信することが挙げられる。また別の対策として、例えば、各センサユニット8から送信される超音波信号の波長を変え、受信した超音波信号をフィルタリング処理して各センサユニット8から送信された超音波信号の波長成分ごとに分離して計測することが挙げられる。
【0058】
また、移動体6の検知開始タイミングは、手動に限らず、自動で行ってもよい。自動的で開始する場合、例えば、別途赤外線センサを天井等の静止系に取り付ける。この赤外線センサによって、検知エリア7内における人体等の移動体6が発する特定波長の赤外線を検出する。赤外線が所定時間に亘って検出された場合に、赤外線センサから移動判断手段5に信号を出力することにより、移動体6の位置検知を自動的に開始する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係る移動体検知装置を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る移動体検知装置の取り付け態様を模式的に示す側面図である。
【図3】(a)は本実施形態に係る移動体検知装置に利用される受波器の一例を模式的に示す平面図であって、(b)は受波器の他の一例を模式的に示す平面図である。
【図4】本実施形態に係る移動体検知装置による移動体検知手順を示すフローチャートである。
【図5】反射波データの一例を示すグラフである。
【図6】送信する超音波信号の波形の一例を模式的に示すグラフである。
【図7】図3の移動体検知手順に含まれるグルーピング工程を示すフローチャートである。
【図8】グルーピング工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図9】図3の移動体検知手順に含まれる移動判断工程を示すフローチャートである。
【図10】移動判断工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図11】移動判断工程の処理結果を概念的に示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 移動体検知装置
2 送波器
3 受波器
4 位置演算手段
5 移動判断手段
6 移動体
7 検知エリア
S10 反射波データ取得工程
S20 位置演算工程
S30 移動判断工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知エリア内を移動する移動体の位置を検知する移動体検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の検知エリア内を移動する移動体(例えば、人)の位置を検知する検知装置として、CCDカメラを搭載した監視カメラが広く利用されている(例えば、下記の特許文献1)。
【特許文献1】実開平8−001617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の監視カメラによって検知エリア内の移動体を監視する手法では、監視者が監視映像を見て移動体を追跡しなければならないことから、常に監視者が監視映像を注視し続けなければならず、面倒且つ煩雑な作業を強いられることになる。
【0004】
また、検知エリアが暗い場合には、監視映像から移動体を確認することができず、移動体の追跡が実質的に不可能となる場合も生じ得る。すなわち、移動体の追跡が検知エリアの明るさに大きく左右されるという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の実情に鑑み、検知エリアの明るさに左右されることなく、検知エリア内を移動する移動体の移動を自動検知し得る移動体検知装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、検知エリア内を移動する移動体の位置を検知する移動体検知装置であって、前記検知エリアに超音波信号を継続的に送信する送波器と、前記検知エリア内で反射した前記超音波信号を受信する受波器と、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応して前記受波器で所定時間毎に取得される反射波データから移動体の三次元位置を時々刻々演算する位置演算手段と、該位置演算手段によって、ある瞬間に取得される反射波データから演算される移動体の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得される反射波データから演算される移動体の三次元位置を対象位置として、前記基準位置から前記対象位置までの移動ベクトルを演算し、該移動ベクトルのうちその大きさが移動体の種類に基づいて定められた第1所定値以下となる場合を実報とし、この実報に基づいて前記基準位置から前記対象位置に移動体が移動したと判断する移動判断手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
以上の構成によれば、位置演算手段で時々刻々演算される移動体の個々の三次元位置を、移動判断手段によって移動ベクトルの大きさに基づいて時系列で関連付けることにより、移動体の移動を自動検知することが可能となる。さらに、超音波を利用していることから、検知エリアの明るさに左右されることなく、移動体の移動を自動検知することができる。また、超音波の利用にしているので、移動体が人体である場合にも、監視カメラ等を利用した場合に比して、プライバシー侵害性の低い装置構成とすることが容易となる。
【0008】
上記の構成において、前記移動判断手段は、前記実報が連続的に得られない検知時間に対応して、前記第1所定値を増大するように構成されていることが好ましい。なお、ここでいう検知時間とは、基準位置となる三次元位置が演算された反射波データが取得されてから、対象位置となる三次元位置が演算された反射波データが取得されるまでの時間を意味する。
【0009】
このようにすれば、例えば移動体からの反射波強度が微弱であったり、或いは突発的なノイズの影響などによって、反射波データから移動体の三次元位置が演算できない場合が生じたとしても、その検知時間に対応して第1所定値が増大されるので、移動体の捕捉率の低下を招くことなく、移動体の移動を自動検知を確実に続行することが可能となる。
【0010】
上記の構成において、前記位置演算手段は、1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合にこれらを暫定三次元位置とすると共に、該暫定三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から前記変位ベクトルの大きさが第2所定値以下となる暫定三次元位置を選択し、この選択した暫定三次元位置に基づいて移動体の三次元位置を設定するように構成されていることが好ましい。
【0011】
送波器から振幅減衰時間(振幅減衰開始の時刻(最大振幅の時刻)から振幅減衰終了の時刻までの時間)のない理想的なパルス波として超音波を送信することは困難であることから、実用上は所定の振幅減衰時間を有する超音波信号を送信する場合が多い。この場合には、送信する超音波信号の振幅減衰時間との関係から、同じ移動体の同一部位で反射した超音波信号が時間的に幅をもって受波器に受信されることがある。そのため、1つの反射波データから同一の移動体を示す三次元位置が複数箇所検出される場合がある。そこで、上記の構成では、1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合に、これらを一旦暫定三次元位置として、暫定三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算する。そして、演算した変位ベクトルの大きさに基づいて1又は複数の暫定三次元位置を選択する。これにより、複数の暫定三次元位置の中から同一の移動体を捉えたと推定される暫定三次元位置を選択できる。そして、選択した暫定三次元位置に基づいて移動体の三次元位置を設定することにより、演算処理の簡素化を好適に実現することができる。なお、上記の第2所定値は、例えば送波器から送信される超音波信号の振幅減衰時間に基づいて設定される。
【0012】
この場合、前記位置演算手段は、前記選択した暫定三次元位置のうち、前記受波器に最も近い暫定三次元位置を移動体の三次元位置に設定するように構成されていてもよい。
【0013】
また、前記位置演算手段は、前記選択した暫定三次元位置の重心位置を、移動体の三次元位置に設定するように構成されていてもよい。
【0014】
前記受波器は、複数の受波素子を配列したアレイセンサであることが好ましい。
【0015】
このようにすれば、受波器を回動させる等して機械的に走査することなく、電子的走査のみで検知エリアで反射した超音波信号を受信することが可能となる。
【0016】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、検知エリア内を移動する移動体の位置を検知する移動体検知装置であって、送波器から前記検知エリアに超音波信号を継続的に送信すると共に、受波器で前記検知エリア内で反射した前記超音波信号を受信して、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程と、該反射波データ取得工程で取得された反射波データから移動体の三次元位置を時々刻々演算する位置演算工程と、該位置演算工程によって、ある瞬間に取得された反射波データから演算される移動体の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得された反射波データから演算される移動体の三次元位置を対象位置として、前記基準位置から前記対象位置までの移動ベクトルを演算し、該移動ベクトルのうちその大きさが移動体の種類に基づいて定められた第1所定値以下となる場合を実報とし、この実報に基づいて前記基準位置から前記対象位置に移動体が移動したと判断する移動判断工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
このような方法によれば、既に述べた段落[0007]に記載の事項と同様の作用効果を享受することができる。
【0018】
上記の方法において、前記移動判断工程で、前記実報が連続的に得られない検知時間に対応して、前記第1所定値を増大することが好ましい。
【0019】
このようにすれば、既に述べた段落[0009]に記載の事項と同様の作用効果を享受することができる。
【0020】
上記の方法において、前記位置演算工程は、1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合にこれらを暫定三次元位置とすると共に、該暫定三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から前記変位ベクトルの大きさが第2所定値以下となる暫定三次元位置を選択し、この選択した暫定三次元位置に基づいて移動体の三次元位置を設定することが好ましい。
【0021】
このようにすれば、既に述べた段落[0011]に記載の事項と同様の作用効果を享受することができる。
【0022】
この場合、前記位置演算工程で、前記選択した暫定三次元位置のうち、前記受波器に最も近い暫定三次元位置を移動体の三次元位置に設定するようにしてもよい。
【0023】
また、前記位置演算工程で、前記選択した暫定三次元位置の重心位置を、移動体の三次元位置に設定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によれば、位置演算手段で時々刻々演算される移動体の個々の三次元位置を、移動判断手段によって移動ベクトルの大きさに基づいて時系列で関連付けることにより、移動体の移動を自動検知することが可能となる。さらに、超音波を利用していることから、検知エリアの明るさに左右されることなく、移動体の移動を自動検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る移動体検知装置を模式的に示すブロック図であり、図2はその取り付け態様を模式的に示す側面図である。図に示すように、移動体検知装置1は、送波器2と、受波器3と、位置演算手段4と、移動判断手段5とを備えている。
【0027】
送波器2は、天井等の静止系に取り付けられた状態で、移動体6が移動する検知エリア7に超音波信号を所定の間隔を空けて継続的に送信するように構成される。受波器3は、同じく天井等の静止系に取り付けられた状態で検知エリア7内で反射した超音波信号を受信するように構成される。送波器2と受波器3とでセンサユニット8が構成される。
【0028】
この実施形態では、送波器2は、超音波信号を検知エリア7内に拡散させて送信するように構成される。一方、受波器3は、複数の受波素子を配列したアレイセンサで構成される。例えば、このアレイセンサの一例としては次のような構成が挙げられる。すなわち、アレイセンサ3としては、図3(a),(b)に示すように、複数の受波素子3aを単一の平面(基板3b)上に、例えば格子状や十字状等に配列し、各受波素子3aで得られた信号を、検知エリア7内で反射した超音波信号の入射角度および各受波素子3aの位置に対応した時間分だけ遅延させた後に加算することで、電子的走査によって三次元反射波データを取得するように構成されたものが挙げられる。さらに、この場合、隣接する受波素子3aの中心間距離Xは、送波器2から送信される超音波信号の半波長以下に設定することが好ましい。このようにすれば、複数の受波素子3aで得られた信号を遅延加算して得られる三次元反射波データに、誤差の要因となる所謂ゴースト成分が発生するという事態を好適に低減することができる。
【0029】
位置演算手段4は、送波器2から送信される超音波信号に対応して受波器3で所定時間毎に取得される反射波データから移動体6の三次元位置を時々刻々演算するように構成される。
【0030】
移動判断手段5は、位置演算手段4によって、ある瞬間に取得される反射波データから演算される移動体6の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得される反射波データから演算される移動体6の三次元位置を対象位置として、基準位置から対象位置までの移動ベクトルを演算し、移動ベクトルのうちその大きさが移動体6の種類に基づいて定められた移動判定閾値(第1所定値以下)となる場合を実報とし、この実報に基づいて基準位置から対象位置に移動体6が移動したと判断するように構成される。
【0031】
次に、このように構成された移動体検知装置1による移動体検知手順を説明する。
【0032】
図4は、移動体検知手順を示すフローチャートである。同図に示すように、この移動体検知手順は、送波器2から検知エリア7に超音波信号を所定の間隔を空けて継続的に送信すると共に、受波器3により検知エリア7内で反射した超音波信号を受信して、送波器2から送信される超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程S10と、反射波データ取得工程S10で取得された反射波データから移動体6の三次元位置を時々刻々演算する位置演算工程S20と、位置演算工程S20によって、ある瞬間に取得された反射波データから演算される移動体6の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得された反射波データから演算される移動体6の三次元位置を対象位置として、基準位置から対象位置までの移動ベクトルを演算し、移動ベクトルのうちその大きさが移動体6の種類に基づいて定められた移動判定閾値(第1所定値)以下となる場合を実報とし、この実報に基づいて基準位置から対象位置に移動体6が移動したと判断する移動判断工程S30とを含む。この実施形態では、受波器3で反射波データ取得工程S10が実行される。また、位置演算手段4によって位置演算工程S20が実行される。さらに、移動判断手段5によって移動判断工程S30が実行される。
【0033】
反射波データ取得工程S10では、送波器2から超音波信号を送信するごとに、受波器3で受信される超音波信号から三次元反射波データを取得する。この反射波データは、検知エリア7を高さ方向に複数の平面に分割した平面データから構成されており、それぞれの平面データには、反射波の信号強度分布が記録される。
【0034】
位置演算工程S20は、差分処理工程S40と、ピーク演算工程S50と、グルーピング工程S60とに大別される。
【0035】
差分処理工程S40では、上記の反射波データ取得工程S10で取得された反射波データから、予め計測しておいた移動体6が存在しない状態における検知エリア7の反射波データを減算する。これにより、反射波データに含まれる静止体がデータ上削除され、静止体と移動体6とを明確に区別することが可能となる。
【0036】
移動体6を捉えた反射波データを構成する平面データでは、縦軸に信号強度をとると、例えば図5に示すように、移動体6を捉えた部分が凸部となって現れる。そのため、ピーク演算工程S50では、差分処理工程S40後の反射波データを構成する複数の平面データのそれぞれにつき、信号強度のピーク値と、その位置を演算する。そして、その演算したピーク値の信号強度が、所定のピーク判定閾値を超えるものを移動体6の三次元位置として記憶する。このようにすれば、移動体6の三次元位置をポイントで定義することができるので、移動体6の三次元位置を信号強度の凸部全体で定義する場合に比して、演算処理の簡素化を図ることができる。なお、この記憶された移動体6の三次元位置は、受波器3(センサユニット8)に近いものから順に配列された状態で移動体位置データとして記憶される。
【0037】
本実施形態では、上記のピーク演算工程S50で演算された移動体6の三次元位置が同一の移動体6を捉えたものであるか否かを判断するために、グルーピング工程S60が実行される。これは、次のような理由による。一般に、空気中を伝搬する超音波が物体に当たった場合には、直進することなく、その物体の表面で反射して戻ってくる。しかし、送信する超音波信号を、振幅減衰時間(振幅減衰開始の時刻(最大振幅の時刻)から振幅減衰終了の時刻までの時間)のない理想的なパルス波として送信することは困難であり、実用上は、図6に示すように、所定の振幅減衰時間ΔTを有する超音波信号を送信する場合が多い。そのため、送信する超音波信号の減衰時間ΔTとの関係から、同じ物体の同一部位で反射した超音波信号が時間的に幅をもって検出される場合がある。この場合には、上記の反射波データを構成する複数の平面データのうち、連続する数枚の平面データに同じ物体による複数のピーク値が検出されることになる。したがって、演算処理の簡素化の観点からも、複数のピーク値のうち、どのピーク値が同一の移動体6を捉えたものであるのかを判断する必要がある。
【0038】
そこで、グルーピング工程S60では、上記のピーク演算工程S50で1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合に、これらを一旦暫定的な三次元位置として、その三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から変位ベクトルの大きさがグルーピング閾値(第2所定値)以下となる三次元位置を選択する。この際、選択された三次元位置は、同一の移動体6を捉えたものと判断する。そして、選択した三次元位置に基づいて移動体6の三次元位置(代表位置)を改めて設定する。
【0039】
このグルーピング工程S60は、図7に示す手順で実行される。同図に示すように、グルーピング工程S60では、まず、上記のピーク演算工程S50で記憶された移動体位置データのうち、センサユニット8に最も近い先頭の移動体6の三次元位置(暫定三次元位置)を基準位置に設定すると共に、その三次元位置を代表位置とした新規グループを登録し且つその新規グループを対象グループに設定する(ステップS61)。その後、移動体位置データの中に、次の移動体6の三次元位置(暫定三次元位置)が存在するか否かを判断する(ステップS62)。
【0040】
その結果、次の移動体6の三次元位置が存在する場合には、その三次元位置を対象位置に設定する(ステップS63)。そして、基準位置から対象位置までの変位ベクトルを演算する(ステップS64)と共に、その変位ベクトルの大きさがグルーピング閾値以下であるか否かを判断する(ステップS65)。
【0041】
その結果、グルーピング閾値以下である場合には、対象位置を新たな基準位置とすると共に、対象グループに追加登録(ステップS66)し、上記のステップS62に戻る。
【0042】
一方、ステップS65で、グルーピング閾値を超えていると判断された場合には、対象位置を新たな基準位置とすると共に、次の三次元位置を代表位置とした新規グループを登録し且つその新規グループを新たな対象グループに設定(ステップS67)し、上記のステップS62に戻る。以後、上記のステップS62で次の三次元位置が存在しないと判断されるまで、上記のステップを繰り返し、ピーク演算工程S50で記憶された全ての三次元位置を所定のグループに分類すると共に、グループごとに代表位置を設定する。
【0043】
ここで、上記のグルーピング閾値は、送信する超音波信号の振幅減衰時間ΔTに基づいて設定される。これは、振幅減衰時間ΔTから予め同じ移動体6の同一部位を捉えた信号がどの程度の範囲で検出されるかを予測することが可能であるためである。
【0044】
上記のグルーピング工程S60では、センサユニット8に近い順に移動体6の三次元位置が配列された移動体位置データのうち、先頭の移動体6の三次元位置から順に処理されるので、分類されたグループごとにセンサユニット8に最も近い移動体6の三次元位置が代表位置として設定される。したがって、時間的に最初に移動体6で反射したものを、各グループの代表位置として設定することができる。すなわち、センサユニット8から所定の振幅減衰時間を有する超音波信号を送信した場合であっても、振幅減衰時間のない理想的なパルス波を送信した場合と同様の結果を得ることができる。
【0045】
このようにして処理されたグルーピング工程S60の処理結果を図8に概念的に示す。図示例は、ピーク演算工程S50で6つの移動体6の三次元位置a1,a2,a3,b1,b2,b3が検出され、グルーピング工程S60の結果、移動体6の三次元位置a1〜a3からなるグループAと、移動体6の三次元位置b1〜b3からなるグループBに分類された場合を例示するものである。この場合、各グループA,Bの代表位置は、センサユニット8に最も近い移動体位置a1,b1にそれぞれ設定される。なお、グループの代表位置は、センサユニット8に最も近い移動体6の三次元位置に設定するものに限らず、例えば、移動体位置データに含まれる全ての移動体6の三次元位置を所定のグループに分類した後、各グループに属する移動体6の三次元位置の重心位置を演算し、その重心位置を代表位置に設定するようにしてもよい。
【0046】
移動判断工程S30では、既に得られた一の反射波データから検出されたグループの代表位置と、新たに得られた他の反射波データから検出されるグループの代表位置との移動ベクトルを演算し、その移動ベクトルの大きさに基づいて、移動体6の三次元位置の移動を追跡検知する。すなわち、上記のグルーピング工程S60は、同一の反射波データ内における処理であるが、この移動判断工程S30は、異なる2つの反射波データ(例えば前回の反射波データと今回の反射波データ)を比較して処理するものである。
【0047】
この移動判断工程S30は、図9に示す手順で実行される。同図に示すように、移動判断工程S30では、まず、上記のグルーピング工程S60で検出されたグループが存在するか否かを判断する(ステップS31)。その結果、グループが存在する場合には、そのグループの代表位置を取得して対象位置とする(ステップS32)。そして、前回の反射波データにおいて既に追跡済みグループが存在するか否かを判断する(ステップS33)。その結果、存在する場合には、その追跡済みグループの代表位置を取得して基準位置に設定する(ステップS34)。その後、基準位置から対象位置までの移動ベクトルを演算する(ステップS35)と共に、この移動ベクトルの大きさが移動判定閾値以下であるか否かを判断する(ステップS36)。その結果、移動判定閾値以内である場合には実報とし、対象位置を、基準位置とした追跡済みグループの新しい代表位置とする(ステップS37)と共に、上記のステップS31に戻る。すなわち、この場合には、代表位置(移動体6の三次元位置)が、基準位置から対象位置に移動したものと判断する。一方、移動判定閾値を超える場合には、代表位置が基準位置から対象位置に移動したものと判断せずに、ステップS31に戻る。
【0048】
また、上記のステップS33で、追跡済みグループが存在しないと判断された場合には、対象位置を、新規追跡済みグループの新しい代表位置とする(ステップS38)と共に、ステップS31に戻る。
【0049】
そして、ステップ31で、次のグループが存在しないと判断されるまで、以上のステップを繰り返し、各グループの代表位置の移動を追跡検知する。
【0050】
なお、上記の移動判定閾値は、移動体6の種類を反映した移動体6の移動速度に基づいて設定される。具体的には、移動判定閾値は、前回の反射波データが取得されてから今回の反射波データが取得されるまでの時間の間に、移動体6が実際に移動できる最大推定移動量に基づいて設定される。
【0051】
また、移動体6で反射した超音波信号の信号強度が微弱であったり、或いはノイズが発生した場合には、ピーク演算工程S50で移動体6の三次元位置を検出できないことがある。そのため、グループごとに移動体6の三次元位置が検出できなかった検知時間を計測し、その検知時間に応じて、移動判定閾値を増大するようになっている。具体的には、例えば、上記の検知時間を反射波データの計測数で検出する。そして、時系列で連続する2つの反射波データ間で使用する移動判定閾値をαとし、検出できなかった反射波データの計測数をnとした場合、移動判定閾値を例えばα×(n+1)に設定するようになっている。
【0052】
このようにして処理された移動判断工程S30の処理結果を、図10に概念的に示す。図示例は、前回の反射波データに対するグルーピング工程S60で代表位置A1,B1が検出されると共に、今回の反射波データに対するグルーピング工程S60で、代表位置A2,B2が検出された状態を示している。そして、移動判断工程S30によって、前回の反射波データで検出された代表位置A1が、今回の反射波データで検出された代表位置A2に移動し、前回の反射波データで検出された代表位置B1が、今回の反射波データで検出された代表位置B2に移動したと判断された状態を示している。
【0053】
また、図11に示すように、今回の反射波データで得られた代表位置C2が、前回の反射波データで得られた代表位置A1,B1の双方に対して、移動ベクトルの大きさが移動判定閾値以内にあることも想定される。そこで、本実施形態では、移動ベクトルの大きさが小さい方、すなわち実距離が近い方が移動したものとして処理するようになっている。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る移動体検知装置1によれば、位置演算手段4で時々刻々演算される移動体6の個々の三次元位置を、移動判断手段5によって移動ベクトルの大きさに基づいて時系列で関連付けることにより、移動体6の移動を自動的に追跡検知することが可能となる。さらに、超音波信号を利用していることから、検知エリア7の明るさに左右されることなく、移動体6の移動を追跡検知できる。
【0055】
なお、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施することができる。例えば、上記の移動体検知装置1は、移動体6を人体とした人体検知装置として好適に利用することができる。すなわち、上記の移動体検知装置1であれば、人体の移動をポイント(例えば頭部位置)で追跡することができるため、その追跡状況を所定の表示部に表示させたとしても、人体の顔などの詳細情報が表示されることがないので、プライバシー侵害性が極めて低い装置となる。したがって、病室、トイレ、浴室などのプライバシーエリアを検知エリア7とする場合に有用である。
【0056】
具体的には、病室を検知エリア7とする場合には、ベッド上における人体(患者)の姿勢の時間的な変化を追跡検知することができるので、患者のベッドからの離床を早期に検出することが可能となる。また、トイレや浴室を検知エリア7とする場合であっても、検知エリア7内における人体の姿勢の時間的な変化を追跡検知することにより、検知エリア7内で人体が倒れるなどの異常が生じた場合であっても、かかる異常を早期に検出することが可能となる。なお、人体の移動を追跡検知する場合には、人体の頭部位置を追跡検知するようにすることが好ましい。これは、人体の頭部位置は、通常最も高い位置にあり、姿勢の変化に対応してその高さや位置が変化するためである。
【0057】
また、上記の実施形態では、一つの検知エリア7を一つのセンサユニット8で検知する場合を例示したが、一つの検知エリア7を複数のセンサユニット8で検知するようにしてもよい。この場合、各センサユニット8から送信される超音波信号が、別のセンサユニット8から送信される超音波信号と干渉しないようにすることが好ましい。この対策としては、例えば、各センサユニット8から送信される超音波信号が干渉しないように所定の時間差を明けて各センサユニット8から順次超音波信号を送信することが挙げられる。また別の対策として、例えば、各センサユニット8から送信される超音波信号の波長を変え、受信した超音波信号をフィルタリング処理して各センサユニット8から送信された超音波信号の波長成分ごとに分離して計測することが挙げられる。
【0058】
また、移動体6の検知開始タイミングは、手動に限らず、自動で行ってもよい。自動的で開始する場合、例えば、別途赤外線センサを天井等の静止系に取り付ける。この赤外線センサによって、検知エリア7内における人体等の移動体6が発する特定波長の赤外線を検出する。赤外線が所定時間に亘って検出された場合に、赤外線センサから移動判断手段5に信号を出力することにより、移動体6の位置検知を自動的に開始する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係る移動体検知装置を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る移動体検知装置の取り付け態様を模式的に示す側面図である。
【図3】(a)は本実施形態に係る移動体検知装置に利用される受波器の一例を模式的に示す平面図であって、(b)は受波器の他の一例を模式的に示す平面図である。
【図4】本実施形態に係る移動体検知装置による移動体検知手順を示すフローチャートである。
【図5】反射波データの一例を示すグラフである。
【図6】送信する超音波信号の波形の一例を模式的に示すグラフである。
【図7】図3の移動体検知手順に含まれるグルーピング工程を示すフローチャートである。
【図8】グルーピング工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図9】図3の移動体検知手順に含まれる移動判断工程を示すフローチャートである。
【図10】移動判断工程の処理結果を概念的に示す図である。
【図11】移動判断工程の処理結果を概念的に示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1 移動体検知装置
2 送波器
3 受波器
4 位置演算手段
5 移動判断手段
6 移動体
7 検知エリア
S10 反射波データ取得工程
S20 位置演算工程
S30 移動判断工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知エリア内を移動する移動体の位置を検知する移動体検知装置であって、
前記検知エリアに超音波信号を継続的に送信する送波器と、
前記検知エリア内で反射した前記超音波信号を受信する受波器と、
前記送波器から送信される前記超音波信号に対応して前記受波器で所定時間毎に取得される反射波データから移動体の三次元位置を時々刻々演算する位置演算手段と、
該位置演算手段によって、ある瞬間に取得される反射波データから演算される移動体の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得される反射波データから演算される移動体の三次元位置を対象位置として、前記基準位置から前記対象位置までの移動ベクトルを演算し、該移動ベクトルのうちその大きさが移動体の種類に基づいて定められた第1所定値以下となる場合を実報とし、この実報に基づいて前記基準位置から前記対象位置に移動体が移動したと判断する移動判断手段とを備えていることを特徴とする移動体検知装置。
【請求項2】
前記移動判断手段は、前記実報が連続的に得られない検知時間に対応して、前記第1所定値を増大するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動体検知装置。
【請求項3】
前記位置演算手段は、1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合にこれらを暫定三次元位置とすると共に、該暫定三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から前記変位ベクトルの大きさが第2所定値以下となる暫定三次元位置を選択し、この選択した暫定三次元位置に基づいて移動体の三次元位置を設定するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体検知装置。
【請求項4】
前記位置演算手段は、前記選択した暫定三次元位置のうち、前記受波器に最も近い暫定三次元位置を移動体の三次元位置に設定するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の移動体検知装置。
【請求項5】
前記位置演算手段は、前記選択した暫定三次元位置の重心位置を、移動体の三次元位置に設定するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の移動体検知装置。
【請求項6】
前記受波器が、複数の受波素子を配列したアレイセンサであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の移動体検知装置。
【請求項7】
検知エリア内を移動する移動体の位置を検知する移動体検知装置であって、
送波器から前記検知エリアに超音波信号を継続的に送信すると共に、受波器で前記検知エリア内で反射した前記超音波信号を受信して、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程と、
該反射波データ取得工程で取得された反射波データから移動体の三次元位置を時々刻々演算する位置演算工程と、
該位置演算工程によって、ある瞬間に取得された反射波データから演算される移動体の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得された反射波データから演算される移動体の三次元位置を対象位置として、前記基準位置から前記対象位置までの移動ベクトルを演算し、該移動ベクトルのうちその大きさが移動体の種類に基づいて定められた第1所定値以下となる場合を実報とし、この実報に基づいて前記基準位置から前記対象位置に移動体が移動したと判断する移動判断工程とを含むことを特徴とする移動体検知方法。
【請求項8】
前記移動判断工程は、前記実報が連続的に得られない検知時間に対応して、前記第1所定値を増大することを特徴とする請求項7に記載の移動体検知方法。
【請求項9】
前記位置演算工程は、1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合にこれらを暫定三次元位置とすると共に、該暫定三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から前記変位ベクトルの大きさが第2所定値以下となる暫定三次元位置を選択し、この選択した暫定三次元位置に基づいて移動体の三次元位置を設定することを特徴とする請求項7又は8に記載の移動体検知方法。
【請求項10】
前記位置演算工程で、前記選択した暫定三次元位置のうち、前記受波器に最も近い暫定三次元位置を移動体の三次元位置に設定することを特徴とする請求項9に記載の移動体検知方法。
【請求項11】
前記位置演算工程で、前記選択した暫定三次元位置の重心位置を、移動体の三次元位置に設定することを特徴とする請求項9に記載の移動体検知方法。
【請求項1】
検知エリア内を移動する移動体の位置を検知する移動体検知装置であって、
前記検知エリアに超音波信号を継続的に送信する送波器と、
前記検知エリア内で反射した前記超音波信号を受信する受波器と、
前記送波器から送信される前記超音波信号に対応して前記受波器で所定時間毎に取得される反射波データから移動体の三次元位置を時々刻々演算する位置演算手段と、
該位置演算手段によって、ある瞬間に取得される反射波データから演算される移動体の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得される反射波データから演算される移動体の三次元位置を対象位置として、前記基準位置から前記対象位置までの移動ベクトルを演算し、該移動ベクトルのうちその大きさが移動体の種類に基づいて定められた第1所定値以下となる場合を実報とし、この実報に基づいて前記基準位置から前記対象位置に移動体が移動したと判断する移動判断手段とを備えていることを特徴とする移動体検知装置。
【請求項2】
前記移動判断手段は、前記実報が連続的に得られない検知時間に対応して、前記第1所定値を増大するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の移動体検知装置。
【請求項3】
前記位置演算手段は、1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合にこれらを暫定三次元位置とすると共に、該暫定三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から前記変位ベクトルの大きさが第2所定値以下となる暫定三次元位置を選択し、この選択した暫定三次元位置に基づいて移動体の三次元位置を設定するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体検知装置。
【請求項4】
前記位置演算手段は、前記選択した暫定三次元位置のうち、前記受波器に最も近い暫定三次元位置を移動体の三次元位置に設定するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の移動体検知装置。
【請求項5】
前記位置演算手段は、前記選択した暫定三次元位置の重心位置を、移動体の三次元位置に設定するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の移動体検知装置。
【請求項6】
前記受波器が、複数の受波素子を配列したアレイセンサであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の移動体検知装置。
【請求項7】
検知エリア内を移動する移動体の位置を検知する移動体検知装置であって、
送波器から前記検知エリアに超音波信号を継続的に送信すると共に、受波器で前記検知エリア内で反射した前記超音波信号を受信して、前記送波器から送信される前記超音波信号に対応した反射波データを所定時間毎に取得する反射波データ取得工程と、
該反射波データ取得工程で取得された反射波データから移動体の三次元位置を時々刻々演算する位置演算工程と、
該位置演算工程によって、ある瞬間に取得された反射波データから演算される移動体の三次元位置を基準位置とすると共に、直後に取得された反射波データから演算される移動体の三次元位置を対象位置として、前記基準位置から前記対象位置までの移動ベクトルを演算し、該移動ベクトルのうちその大きさが移動体の種類に基づいて定められた第1所定値以下となる場合を実報とし、この実報に基づいて前記基準位置から前記対象位置に移動体が移動したと判断する移動判断工程とを含むことを特徴とする移動体検知方法。
【請求項8】
前記移動判断工程は、前記実報が連続的に得られない検知時間に対応して、前記第1所定値を増大することを特徴とする請求項7に記載の移動体検知方法。
【請求項9】
前記位置演算工程は、1つの反射波データから複数の三次元位置が演算された場合にこれらを暫定三次元位置とすると共に、該暫定三次元位置の相互間の変位ベクトルを演算し、この中から前記変位ベクトルの大きさが第2所定値以下となる暫定三次元位置を選択し、この選択した暫定三次元位置に基づいて移動体の三次元位置を設定することを特徴とする請求項7又は8に記載の移動体検知方法。
【請求項10】
前記位置演算工程で、前記選択した暫定三次元位置のうち、前記受波器に最も近い暫定三次元位置を移動体の三次元位置に設定することを特徴とする請求項9に記載の移動体検知方法。
【請求項11】
前記位置演算工程で、前記選択した暫定三次元位置の重心位置を、移動体の三次元位置に設定することを特徴とする請求項9に記載の移動体検知方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−281531(P2008−281531A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128311(P2007−128311)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(304030497)株式会社プロアシスト (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(304030497)株式会社プロアシスト (22)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]