説明

移動体通信システム

【課題】ユーザに不安感等を与えることなく通信を切断でき、サービスの向上が図れる移動体通信システムを提供する。
【解決手段】移動通信端末をネットワーク1に接続された基地局3に無線接続して通信する移動体通信システムであって、基地局3は、新規の移動通信端末からの接続要求の受信に先立って、当該新規の移動通信端末に対するリソース割当の可否を判定し、リソース割当ができない場合に、現在接続中の少なくとも1つの移動通信端末に対して通信の切断予告を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体通信システムにおける基地局は、リソースが不足する輻輳時に、新規の移動通信端末からの接続要求を受け付けるか否かを判定する呼受付制御と呼ばれる機能を有している。その呼受付制御機能の一例として、移動通信端末の優先度を考慮し、優先度の高い移動通信端末からの接続要求があった場合は、優先度の低い移動通信端末の通信を切断して、優先度の高い移動通信端末からの接続要求を受け付けるように制御することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−159055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示の呼受付制御機能においては、新規の移動通信端末からの接続要求に対するリソース不足が判明した時点で、不足するリソースを補うのに必要な優先度の低い切断対象の移動通信端末を選択するようにしている。そして、選択した切断対象の移動通信端末に対して通信を切断する旨の警告を通知し、その後、当該移動通信端末との通信を切断して、優先度の高い新規の移動通信端末を接続するようにしている。そのため、優先度の高い新規の移動通信端末に対して、接続要求から接続完了までに時間がかかり、ユーザに不安感を与える等、サービスの低下を招くことが懸念される。
【0005】
また、従来の移動体通信システムにおいては、基地局の閉塞時に、既接続の移動通信端末が予告無しに強制切断される場合がある。すなわち、一般に、基地局の閉塞時には、当該基地局に接続されている移動通信端末は、強制的に隣接の基地局にハンドオーバするように制御される。しかし、隣接基地局からの電波の電界強度が弱い移動通信端末は、隣接基地局へハンドオーバできない場合がある。このような移動通信端末は、従来、予告無しの強制切断を余儀なくされていた。その結果、ユーザに不安感を与える等、サービスの低下を招くことが懸念される。
【0006】
したがって、上記の点に鑑みてなされた本発明の目的は、ユーザに不安感等を与えることなく通信を切断できると共に接続要求に応じて迅速に接続でき、サービスの向上が図れる移動体通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する第1の観点に係る移動体通信システムの発明は、
移動通信端末をネットワークに接続された基地局に無線接続して通信する移動体通信システムであって、
前記基地局は、新規の移動通信端末からの接続要求の受信に先立って、当該新規の移動通信端末に対するリソース割当の可否を判定し、次の移動通信端末の接続でリソース割当ができない場合に、現在接続中の少なくとも1つの移動通信端末に対して通信の切断予告を送信する、ことを特徴とするものである。
【0008】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る移動体通信システムにおいて、
前記基地局は、接続中の移動通信端末に対する通信の優先度を記憶し、該記憶されている優先度のなかで、相対的に優先度の低い移動通信端末に対して前記切断予告を送信する、ことを特徴とするものである。
【0009】
第3の観点に係る発明は、第2の観点に係る移動体通信システムにおいて、
前記基地局は、前記切断予告を送信した移動通信端末よりも優先度の高い新規の移動通信端末からの接続要求を受信すると、前記切断予告を送信した移動通信端末の通信を切断して、当該新規の移動通信端末の接続を開始する、ことを特徴とするものである。
【0010】
第4の観点に係る発明は、第2または3の観点に係る移動体通信システムにおいて、
前記基地局は、前記優先度を、上位の移動交換局から取得した移動通信端末に対応する端末種別、契約種別、通信種別、通信先種別の少なくとも1つを含む端末情報に基づいて算出する、ことを特徴とするものである。
【0011】
第5の観点に係る発明は、第1の観点に係る移動体通信システムにおいて、
前記基地局は、閉塞する際に、予閉塞状態で現在接続中の全ての移動通信端末に対して前記切断予告を送信する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、やむを得ない状況で通信を切断する移動通信端末に対して切断予告を送信するので、ユーザに不安感等を与えることなく通信を切断できると共に接続要求に応じて迅速に接続でき、サービスの向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る移動体通信システムのネットワーク構成を示す図である。
【図2】図1に示した移動通信端末、基地局および移動交換局の要部の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図2に示した基地局の端末優先度記憶部に記憶される優先度管理テーブルの一例を示す図である。
【図4】図1に示した移動体通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図5】移動通信端末に表示する切断予告メッセージの一例を示す図である。
【図6】図2に示した基地局による切断予告処理の要部の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施の形態に係る移動体通信システムのネットワーク構成を示す図である。
【図8】図7に示した移動通信端末および基地局の要部の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0015】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る移動体通信システムのネットワーク構成を示す図である。図1に示す移動体通信システムは、コアネットワーク等のネットワーク1に移動交換局2を介して接続された複数の基地局を備える。図1には、図面を簡略化するため1つの基地局3が図示してある。基地局3を含む複数の基地局は、保守制御局4に有線または無線を介して接続されている。そして、図1においては、複数の移動通信端末5〜9の各々が、基地局3と無線接続されることにより、基地局3を介して相手端末やサーバと通話やデータ通信が可能となっている。
【0016】
図2は、図1の移動体通信システムを構成する移動通信端末、基地局および移動交換局の要部の構成を示す機能ブロック図である。移動通信端末5〜9は、同様の構成を有しているので、図2には、代表して移動通信端末5の構成を示す。
【0017】
移動通信端末5は、送受信部11、切断予告表示部12および全体を制御する制御部13を備える。送受信部11は、基地局3と無線通信を行う。切断予告表示部12は、送受信部11が基地局3から受信した切断予告を表示する。
【0018】
基地局3は、端末送受信部21、端末優先度記憶部22、切断予告送信判定部23、移動交換局送受信部24および全体を制御する制御部25を有する。端末送受信部21は、移動通信端末と無線通信を行う。端末優先度記憶部22は、接続中の移動通信端末における通信の優先度、つまりサービスの優先度を示す優先度管理テーブルを記憶する。切断予告送信判定部23は、端末優先度記憶部22の優先度管理テーブルに記憶されている現在接続中の移動体通信端末の優先度に基づいて、切断予告の送信状態を判定する。移動交換局送受信部24は、移動交換局2と通信を行う。
【0019】
また、基地局3は、呼受付制御機能を有しており、制御部25において、新規に接続される移動通信端末やハンドオーバされてくる移動通信端末に割り当てられるリソースを管理し、呼受付条件を満たしているか否かを判断して接続を制御する。ここで、リソースは、無線リソース、基地局3の最大ユーザ収容数など、移動通信端末に割り当てられる全てのリソースを意味している。例えば、HSPA(High Speed Packet Access)やLTE(Long Term Evolution)システムの場合は、複数の移動通信端末が1つの共通チャネルを共有して通信を行うので、当該基地局で通信を行っている移動通信端末の総数や、同時に補足できる最大接続ベアラ数等に基づいて呼受付制御するのが一般的である。
【0020】
移動交換局2は、送受信部31、端末情報管理部32および全体を制御する制御部33を有する。送受信部31は、基地局3と通信を行う。端末情報管理部32は、移動通信端末の情報、例えば、端末識別番号(ネットワーク管理番号)、端末種別、契約種別、通信種別、通信先種別等、を管理する。
【0021】
基地局3は、新規の移動通信端末からの接続要求を受信すると、移動交換局2と通信して、当該移動通信端末の端末情報を端末情報管理部32から取得する。そして、取得した端末情報に含まれている上述の端末種別、契約種別、通信種別、通信先種別等の各種別の優先度に重み付け係数を加えて、当該移動通信端末の総合の優先度を算出する。その算出された優先度は、当該移動通信端末が基地局3に接続されると、端末優先度記憶部22の優先度管理テーブルに、ネットワーク管理番号とともに記憶される。なお、優先度は、端末種別、契約種別、通信種別、通信先種別の少なくとも1つに基づいて算出してもよい。
【0022】
図3は、基地局3の端末優先度記憶部22に記憶される優先度管理テーブルの一例を示す図である。図3に示すように、優先度管理テーブルには、当該基地局3に対する端末識別番号である基地局管理番号、移動交換局2から取得したネットワークに対する端末識別番号であるネットワーク管理番号、当該基地局3で算出した総合の優先度が記憶される。また、優先度管理テーブルには、後述するように切断予告の送信状態が記憶される。
【0023】
以下、本実施の形態に係る移動体通信システムの動作について、図4に示すシーケンス図を参照して説明する。なお、図4には、説明の便宜上、4つの移動通信端末5〜8を示す。
【0024】
図4において、移動通信端末5,6は、それぞれ基地局3と通信を確立しており、これらの移動通信端末5,6の端末情報および優先度は、基地局3の端末優先度記憶部22の優先度管理テーブルに記憶されている。ここで、移動通信端末5は優先度Eであり、移動通信端末6は優先度Dであり、優先度D>優先度E、の関係にあるものとする。そして、この状態では、基地局3は、リソースに余裕があるものとする。
【0025】
その後、基地局3は、移動通信端末8からの接続要求を受信すると、当該移動通信端末8に対する接続シーケンスを実行して、接続を完了させる。その際、基地局3は、移動交換局2から取得した当該移動通信端末8の端末情報に基づいて算出した総合の優先度を、当該移動通信端末8のネットワーク管理番号とともに、端末優先度記憶部22の優先度管理テーブルに記憶する。ここでは、移動通信端末8の総合の優先度がAで、優先度A>優先度D、の関係にあるものとする。
【0026】
基地局3は、移動通信端末8との接続を完了して通信を確立すると、その時点でリソースの空き状況を確認して、次の移動通信端末の接続を受付けるリソースの有無を判定する。その結果、例えば、端末収容数が限界値となり、次の移動通信端末の接続を受付けるリソースが無いと判定すると、切断予告送信判定部23により、端末優先度記憶部22の優先度管理テーブルから、切断予告を送信する最も優先度の低い移動通信端末を検索して、当該移動通信端末に対して切断予告を送信する。ここでは、優先度Eが最も低いので、当該移動通信端末5に切断予告を送信して、その切断予告表示部12に、例えば図5に示すような切断理由を含む切断予告メッセージを表示させる。
【0027】
その後、基地局3は、移動通信端末7からの接続要求を受信すると、当該移動通信端末7の端末情報を移動交換局2から取得して総合の優先度を算出し、その優先度と端末優先度記憶部22の優先度管理テーブルに記憶されている最低の優先度とを比較する。ここでは、移動通信端末7の総合の優先度がBで、優先度B>優先度D>優先度E、の関係にあるものとする。この場合、基地局3は、既に切断予告を送信した優先度Eの移動通信端末5に対して切断要求を送信して、当該移動通信端末5に対する切断シーケンスを実行し、切断を完了させる。なお、移動通信端末7の優先度Bが、通信確立中の最低の優先度Eよりも低い場合は、例えば、移動通信端末7に対して「輻輳中でつながりにくい」旨のメッセージを送信して接続を拒否する。
【0028】
その後、基地局3は、接続要求を受信した移動通信端末7に対して接続シーケンスを実行して、接続を完了させる。そして、基地局3は、移動通信端末7の接続によって、端末収容数が限界値となり、次の移動通信端末の接続を受付けるリソースが無くなったのを検知すると、同様にして、端末優先度記憶部22の優先度管理テーブルから、切断予告を送信する最も優先度の低い移動通信端末を検索して切断予告を送信する。したがって、図4の場合は、優先度Dの移動通信端末6に対して、切断予告が送信されることになる。
【0029】
以後、同様にして、基地局3において、接続要求を受付けた移動通信端末の接続が完了した時点で、リソースの空き状況を確認して次の移動通信端末の接続を受付けるリソースの有無を判定する。そして、リソースが無いと判定された場合は、接続中の移動通信端末のなかで最も優先度の低い移動通信端末に対して切断予告を送信する。その後、通信確立中の最も低い優先度よりも高い優先度の新規の移動通信端末からの接続要求を受信した場合は、切断予告を送信した移動通信端末を直ちに切断処理して、新規の移動通信端末の接続処理を実行する。なお、次の移動通信端末の接続を受付けるリソースの有無を判定するタイミングは、接続要求時など特定のタイミングには限定しない。
【0030】
図6は、基地局3による切断予告処理の要部の動作を示すフローチャートである。上述したように、基地局3は、接続要求を受けた移動通信端末の接続処理を完了すると(S601)、リソースの空き状況を確認する(S602)。そして、次の移動通信端末の接続を受付けるリソースの有無を判定する(S603)。その結果、リソースに空きがあれば、切断予告を送信することなく切断予告処理を終了する。
【0031】
これに対し、リソースに空きが無ければ、切断予告送信判定部23により、端末優先度記憶部22の優先度管理テーブルから、切断予告を送信する最も優先度の低い移動通信端末を検索して(S604)、当該移動通信端末に対して切断予告を送信済か否かを判定する(S605)。その結果、切断予告を送信済であれば、再度、切断予告を送信することなく切断予告処理を終了する。なお、このような状況は、例えば、切断予告の送信後に、既に他のリソース(例えば、バックホールの回線リソースなど)の空きが無くなっている場合に生じるものである。
【0032】
これに対し、S605において、切断予告が送信されていなければ、当該移動通信端末に対して切断予告を送信する(S606)。そして、端末優先度記憶部22の優先度管理テーブルにおける対応する移動通信端末の切断予告欄を「送信済」に設定して(S607)、切断予告処理を終了する。なお、リソースとして優先度が高いほど広帯域の無線リソースを必要とする場合は、最高の優先度の無線リソースが確保できるように、優先度の低い順から複数の移動通信端末に対して切断予告を送信する。そして、接続要求を受けた移動通信端末に要する無線リソースの帯域に応じて、当該帯域を確保できるように、切断予告した移動通信端末のなかから、優先度の低い順の移動通信端末の通信を切断する。
【0033】
以上のように、本実施の形態に係る移動体通信システムでは、基地局3において、新規の移動通信端末の接続が完了した時点で、つまり、次の新規の移動通信端末からの接続要求の受信に先立って、リソースの空き状況を確認し、その結果、次の新規の移動通信端末の接続を受付けるリソースが無い場合は、最も優先度の低い移動通信端末に切断予告を送信する。そして、その後、切断予告を送信した移動通信端末の優先度よりも高い優先度の新規の移動通信端末からの接続要求を受信した場合は、切断予告を送信した移動通信端末を直ちに切断処理して、新規の移動通信端末の接続処理を実行する。
【0034】
したがって、基地局3が輻輳中であっても、優先度の高い新規の移動通信端末を短時間で接続できるので、ユーザに不安感を与えることを回避でき、サービスの向上が図れる。また、強制切断する優先度の低い移動通信端末に対しては、事前に切断予告を送信することで、強制切断前に通話等を終了することが可能となり、これにより再度通話等をする必要がなくなるので、無駄な時間や無駄なトラフィックを削減することができる。また、切断理由を含む切断予告を送信することで、当該移動通信端末のユーザに対して基地局3のトラヒック状況を把握させることが可能となる。
【0035】
(第2実施の形態)
図7は、本発明の第2実施の形態に係る移動体通信システムのネットワーク構成を示す図である。図7に示す移動体通信システムは、基地局51と、該基地局51の周囲に、通信エリアが一部重畳するように配置された複数の基地局52〜56を有する。図7では、基地局51が移動通信端末61,62と通信を確立しており、基地局53が移動通信端末63と通信を確立しており、基地局55が移動通信端末64と通信を確立しており、基地局56が移動通信端末65と通信を確立している。なお、基地局51〜56は、保守制御局58(図8参照)に接続されて制御される。
【0036】
図8は、図7の移動体通信システムを構成する移動通信端末および基地局の要部の構成を示す機能ブロック図である。移動通信端末61〜65は、同様の構成を有しているので、図8には、代表して移動通信端末61の構成を示す。また、基地局51〜56も、同様の構成を有しているので、図8には、代表して基地局51の構成を示す。
【0037】
移動通信端末61は、送受信部71、切断予告表示部72および全体を制御する制御部73を備える。送受信部71は、基地局と無線通信を行う。切断予告表示部72は、送受信部71が基地局から受信した切断予告を表示する。
【0038】
基地局51は、端末送受信部81、切断予告送信判定部82、呼処理部83、保守制御局送受信部84および全体を制御する制御部85を有する。端末送受信部81は、移動通信端末と無線通信を行う。保守制御局送受信部84は、保守制御局58と通信を行う。呼処理部83は、端末送受信部81の受信信号や、保守制御局送受信部84の受信信号に基づいて移動通信端末からの接続要求等の呼を制御する。切断予告送信判定部82は、呼処理部83の出力から切断予告の送信を判定して、端末送受信部81を経て切断予告を送信する。
【0039】
本実施の形態に係る移動体通信システムでは、保守制御局58の制御のもとに、例えば、基地局51を閉塞する。その際、先ず、保守制御局58は、基地局51を新規の移動通信端末からの接続要求を受付けない、つまり新規の移動通信端末に対してリソースの割当てを行わない予閉塞状態とする。基地局51は、保守制御局58からの予閉塞の指示を受けると、その指示を、呼処理部83を経て切断予告送信判定部82で判定して、リソース割当ができない旨を検知する。これにより、基地局51は、端末送受信部81から接続中の移動通信端末61,62に対して切断予告を送信して、移動通信端末61,62の切断予告表示部72に切断予告のメッセージを表示させる。なお、好ましくは、移動通信端末61,62に送信する切断予告には、切断理由を含ませる。
【0040】
保守制御局58は、予閉塞開始から一定時間経過後、基地局51を閉塞する。この場合、基地局52との重複エリアに位置している移動通信端末61は、基地局52にハンドオーバされ、閉塞対象の基地局51の通信エリアのみに位置している移動通信端末62は、強制切断されることになる。
【0041】
このように、本実施の形態に係る移動体通信システムにおいては、基地局51を閉塞する際、先ず、基地局51を予閉塞し、その予閉塞状態において、当該基地局51に接続中の全ての移動通信端末61,62に切断予告を送信してその旨を表示させる。つまり、基地局51は、新規の移動通信端末からの接続要求の受信に先立って、予閉塞の指示を受けるとリソース割当ができないと判定して、当該基地局51に接続中の全ての移動通信端末61,62に切断予告を送信する。そして、基地局51は、切断予告送信後、所定時間経過してから閉塞する。したがって、移動通信端末61,62のユーザは、通信が切断される場合でも、その状況を事前に知ることができる。これにより、ユーザに対して、不安感を抱くことがなくなり、サービスの向上が図れる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、第1実施の形態に係る移動体通信システムの場合、輻輳が発生している基地局では、新規呼の要求が多く発生する可能性がある。そのため、優先度の低い複数の移動通信端末に対して、最初に切断される端末に対しては切断注意報、次に切断される端末に対しては切断予報等、切断予告にレベル(ランク)を設定することも可能である。また、切断予告は、移動通信端末に画面表示する場合に限らず、音声メッセージとして出力したり、画面表示と音声メッセージとの双方で出力したり、振動等で通知したりすることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 ネットワーク
2 移動交換局
3 基地局
4 保守制御局
5〜9 移動通信端末
11 送受信部
12 切断予告表示部
13 制御部
21 端末送受信部
22 端末優先度記憶部
23 切断予告送信判定部
24 移動交換局送受信部
25 制御部
31 送受信部
32 端末情報管理部
33 制御部
51〜56 基地局
58 保守制御局
61〜65 移動通信端末
71 送受信部
72 切断予告表示部
73 制御部
81 端末送受信部
82 切断予告送信判定部
83 呼処理部
84 保守制御局送受信部
85 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末をネットワークに接続された基地局に無線接続して通信する移動体通信システムであって、
前記基地局は、新規の移動通信端末からの接続要求の受信に先立って、当該新規の移動通信端末に対するリソース割当の可否を判定し、次の移動通信端末の接続でリソース割当ができない場合に、現在接続中の少なくとも1つの移動通信端末に対して通信の切断予告を送信する、ことを特徴とする移動体通信システム。
【請求項2】
前記基地局は、接続中の移動通信端末に対する通信の優先度を記憶し、該記憶されている優先度のなかで、相対的に優先度の低い移動通信端末に対して前記切断予告を送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の移動体通信システム。
【請求項3】
前記基地局は、前記切断予告を送信した移動通信端末よりも優先度の高い新規の移動通信端末からの接続要求を受信すると、前記切断予告を送信した移動通信端末の通信を切断して、当該新規の移動通信端末の接続を開始する、ことを特徴とする請求項2に記載の移動体通信システム。
【請求項4】
前記基地局は、前記優先度を、上位の移動交換局から取得した移動通信端末に対応する端末種別、契約種別、通信種別、通信先種別の少なくとも1つを含む端末情報に基づいて算出する、ことを特徴とする請求項2または3に記載の移動体通信システム。
【請求項5】
前記基地局は、閉塞する際に、予閉塞状態で現在接続中の全ての移動通信端末に対して前記切断予告を送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の移動体通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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