説明

移動体通信装置間でのNFCのアプリケーションの共有または再販

送信元移動体通信装置(MOx、MO1)に保存されているアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)を送信先移動体通信装置(MO1、MOx)と共有する方法であって、アプリケーションおよび送信先移動体通信装置(MO1、MOx)についての情報を含む共有要求(SR)を送信元移動体通信装置(MOx、MO1)からトラステッドサービスマネジャ(TSM)に送信し、トラステッドサービスマネジャ(TSM)で、前記アプリケーションを提供したサービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)を検索して、クエリ(QU)を送信し、サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)で、アプリケーションの適合バージョン(APPx’)および送信元移動体通信装置(MOx、MO1)の更新命令(UPD)を含むインストール命令(INST)をトラステッドサービスマネジャ(TSM)に送信し、トラステッドサービスマネジャ(TSM)で、送信先移動体通信装置(MO1、MOx)にインストールされた適合されたアプリケーション(APPx’)を取得し、送信元移動体通信装置(MOx、MO1)を更新する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信元移動体通信装置に保存されているNFCのアプリケーションを、送信先移動体通信装置と共有したり、または送信先移動体通信装置に再販したりする方法に関する。
【0002】
本発明は、さらに少なくとも1つのサービスプロバイダ、少なくとも1つのトラステッドサービスマネジャ(Trusted Service Manager)、および複数の移動体通信装置、例えば、サービスプロバイダのNFCのアプリケーションを保存するよう装備されている、NFC携帯電話などを備える遠隔通信システムに関する。
【0003】
本発明は、さらにトラステッドサービスマネジャに関する。
【0004】
本発明は、さらにサービスプロバイダに関する。
【0005】
本発明は、さらにメモリ装置が装備されている移動体通信装置のメモリに直接ロード可能なコンピュータプログラム製品に関する。
【0006】
本発明は、さらに上記の項で言及したコンピュータプログラム製品を処理するようになされている移動体通信装置に関する。
【背景技術】
【0007】
NXP Semiconductorsにより開発され、MIFARE(R)クラシックファミリなどの固有のメモリデバイスIDを有するメモリ装置、読み取り/書き込み機能付きの13.56MHzの周波数帯で動作する非接触型のスマートカードICを含む移動体通信装置が知られている。最近、特にニアフィールドコミュニケーション(Near Field Communication)(NFC)機能を持つ携帯電話および他の移動体通信装置での使用向けに、強化されたセキュリティ機能を提供するメモリ装置である安全なメモリ要素が開発されてきている。前記安全なメモリ要素は、「スマートカード」としても知られている。このような安全なメモリ要素の代表的な主要なものの1つは、複数のインターフェースオプションの有無に関係なく、高信頼性の解決策を必要とする高セキュリティのスマートカードアプリケーション向けのNXP Semiconductorsにより設計されたSmartMX(Memory eXtension)メモリカードファミリである。主なアプリケーションは、電子政府、バンキング/金融、移動体通信、および高度な公共交通機関である。SmartMXアーキテクチャは、RSA、ECC、DES、およびAESのコプロセッサを組み合わせることで、Java(登録商標) Open PlatformおよびMULTOSを含む、オペレーティングシステムの実装を可能にしている。ユーザーオペレーティングシステムによって実装された他の非接触型伝送プロトコルと同時にMIFAREプロトコルを実行するSmartMXカードの機能によって、新しいサービスとMIFAREに基づく既存のアプリケーション(発券など)を組み合わせたものを、スマートカードに基づく単一のデュアルインターフェースコントローラで実現することができる。SmartMXカードはMIFAREクラシック装置をエミュレートできるので、このインターフェースと、インストールされた何らかのMIFAREクラシックインフラストラクチャとの間で互換性を持たせることができる。非接触型インターフェースを使用すると、何らかのプロトコル、特にMIFAREプロトコルや自己定義された非接触型伝送プロトコルを介して通信することができる。SmartMXでは、最新技術オペレーティングシステムやJCOP(Java(登録商標) Card Operating System)などのオープンプラットフォームソリューションを簡単に実装することができるので、最高レベルのセキュリティと共に最適な機能セットを提供できる。
【0008】
2007年2月に、GSM Association(GSMA)はモバイルNFC(ニアフィールドコミュニケーション)サービスの開発に関係するエコシステムパーティ向けのオペレータコミュニティガイダンスを概説するホワイトペーパーを発表した。モバイルNFCは、NFC技術に基づき、非接触型サービスとモバイルテレフォニを組み合わせたものとして定義される。ハードウェアベースのセキュリティIDトークン(UICC)を搭載した携帯電話は、NFCのアプリケーションに対して理想的な環境を提供することができる。UICCは物理カードに取って代わることができ、このようにして、サービスプロバイダのコストを最適化し、より便利なサービスをユーザーに提供することができる。モバイルNFCエコシステムには、異なる各種エンティティが関係している。これらは、以下のように定義されている:
・顧客−移動体通信およびモバイルNFCサービス用の移動体装置を使用する。顧客はMNOに加入し、モバイルNFCサービスを利用する。
・移動体ネットワーク事業者(MNO)−全範囲の移動体サービスを顧客に提供するが、特に、UICCおよびNFC端末に、Over The Air(OTA)伝送サービスを加えたものを提供する。
・サービスプロバイダ(SP)−非接触型サービスを顧客に提供する(SPは、例えば、銀行、公共交通機関の企業、ロイヤリティプログラムの所有者など)。
・小売業者/小売商−サービス依存、例えば、NFC対応の販売時点管理(POS)が可能なNFC端末を稼動する。
・トラステッドサービスマネジャ(TSM)−サービスプロバイダのサービスをMNO顧客ベースに安全に配布および管理する。
・ハンドセット、NFCチップセット、およびUICC製造業者−モバイルNFC/通信装置および関連UICCハードウェアを製造する。
・読み取り装置製造業者−NFC読み取り装置を製造する。
・アプリケーション開発者−モバイルNFCのアプリケーションを設計し開発する。
・標準化団体および業界フォーラム−NFCのグローバル規格を策定し、NFCのアプリケーションとサービスの相互運用性、下位互換性、および今後の開発を可能にする。
【0009】
前記ホワイトペーパーの重要な発見の1つは、モバイルNFCエコシステムが安定している場合に、モバイルNFCは正常に機能して、モバイルNFCエコシステム内のすべてのエンティティに値を提供し、トラステッドサービスマネジャの新しいロールを採用することにより、モバイルNFCが効果的であるということである。
【0010】
トラステッドサービスマネジャ(TSM)のロールは次のとおりである:
・サービスプロバイダがMNOにより顧客ベースにアクセスするための単一交信点を提供する。
・サービスプロバイダの代わりに、モバイルNFCのアプリケーションの安全なダウンロードおよびライフサイクルマネージメントを管理する。
【0011】
TSMは、サービスのトランザクション段階には関与しないので、サービスプロバイダの既存のビジネスモデルが妨害されるようなことはまったくない。国内市場のニーズと状況に応じて、TSMは、1つのMNO、MNOの共同事業体、または独立した信頼できる第三者機関によって管理されるようにすることができる。1つの市場で運営するTSMの数は、国内市場のニーズと環境により異なる。
【0012】
銀行、公共交通機関の企業、ロイヤリティプログラムの所有者などのサービスプロバイダは、非接触型サービスを、NFC携帯電話などの移動体通信装置でこれらのサービスを利用する加入顧客に提供する。非接触型サービスは、「アプリケーション」や「サービス」という一般用語により包含できる、交通機関用パス、映画のチケット、クーポンなどの提供などを含む。以下の説明で、「アプリケーション」という用語は、すべての非接触型サービスおよびアプリケーション、特にNFCサービスおよびアプリケーションを含む広い意味で使用される。
【0013】
顧客は、例えば、サービスプロバイダのウェブサイトからアプリケーションを申し込むことにより、サービスプロバイダからアプリケーションを購入する。購入手順の過程で、顧客は、例えばNFC携帯電話の電話番号など、自分の移動体通信装置の固有ID番号を入力し、それによって、サービスプロバイダはアプリケーションの送り先を明確に認識する。サービスプロバイダは、購入されたアプリケーションを、サービスプロバイダのアプリケーションを安全に配布および管理し、アプリケーションを移動体通信装置に送信するトラステッドサービスマネジャを介して顧客の移動体通信装置に送信する。
【0014】
アプリケーションが移動体通信装置により受信されると、アプリケーションは移動体通信装置の安全なメモリ要素に保存され、例えば、ユーザーにコンサートホールへの入場権限を付与するなど、適切な形式でアプリケーションを読み取って処理する読み取り装置の伝送範囲内に移動体通信装置を配置することによって、顧客により消費されることが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記で参照されたGSMAホワイトブックで開示されているようなトラステッドサービスマネジャ(TSM)を備えるモバイルNFCエコシステムに適用される。詳細には、サービスプロバイダがMNOにより顧客ベースにアクセスするための単一交信点として機能し、サービスプロバイダの代わりにモバイルNFCのアプリケーションの安全なダウンロードおよびライフサイクルマネージメントを管理するTSMの特定のロールを考慮に入れるものである。しかしながら、GSMAホワイトブックではTSMのロールを理論的に定義しているが、実際に首尾よく適用するためには、なお克服すべきいくつかの障害や課題がある。本発明による取り組みが必要な課題は、顧客が自分の移動体通信装置に保存しているアプリケーションを友人や親族などの他の人々と共有または再販することが望ましいということである。技術的観点からすると、このアプリケーションの共有または再販は、一方の移動体通信装置から他方の移動体通信装置に(ブルートゥース、NFC、WIFIなどを利用して)アプリケーションを送信することにより直接行うことが可能なはずであるが、そのような直接の共有は、トラステッドサービスマネジャの概念に照らすと、次の問題の原因となる。アプリケーションの共有/再販に関する1番目の課題は、サービスプロバイダから提供される(引き続き、多分、サービスプロバイダにより所有される)このアプリケーションが特定の1人の顧客またはその顧客の移動体通信装置にそれぞれ固有のものである可能性があり、そのため、他の移動体通信装置では機能しないということである。アプリケーションの共有/再販のために克服すべき2番目の課題は、サービスプロバイダとトラステッドサービスマネジャ双方が管理しているアプリケーションの共有/再販を認識している必要があるということである。サービスプロバイダ(特に、引き続きアプリケーションの所有者の場合)は、顧客がそのようにする権限を付与する必要がある。また、サービスプロバイダがアプリケーションの共有/再販の対象顧客に課金する技術的な可能性を有している必要があるということも考慮に入れられている。
【0016】
本発明の目的は、顧客の間および移動体通信装置の間それぞれで、サービスプロバイダが移動体ネットワーク事業者により顧客ベースにアクセスするための単一交信点であり、サービスプロバイダの代わりに、アプリケーションの安全なダウンロードおよびライフサイクルマネージメントを管理するトラステッドサービスマネジャの概念を侵害することなく、NFCサービスのようなアプリケーションを共有または再販するためのメカニズムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記で定義された目的を達成するために、本発明による方法で、本発明による方法が以下で定義される形式であることを特徴とできるような特徴的な要素が提供される。
【0018】
送信元移動体通信装置に保存されているアプリケーションを、送信先移動体通信装置と共有したり、または送信先移動体通信装置に再販したりする方法で、その方法は:
送信元移動体通信装置で、共有/再販されるアプリケーションおよび送信先移動体通信装置についての情報を含む共有または再販の要求をトラステッドサービスマネジャに送信することと、
トラステッドサービスマネジャで、要求から共有/再販されるアプリケーションおよび送信先移動体通信装置を抽出し、アプリケーションがインストールされている移動体通信装置、および前記アプリケーションを提供したサービスプロバイダに関連付けられたアプリケーションについての情報を含むリポジトリに接続し、リポジトリから共有/再販されるアプリケーションを提供したサービスプロバイダを検索し、アプリケーションの送信先移動体通信装置への再販または送信先移動体通信装置との共有が可能かどうかを照会するクエリを前記サービスプロバイダに送信することと、
サービスプロバイダで、アプリケーションを送信先移動体通信装置と共有したり、または送信先移動体通信装置に再販したりすることが可能かどうかを確認することにより前記クエリを処理し、肯定の場合には、共有/再販されるアプリケーションの適合バージョンを含むインストール要求をトラステッドサービスマネジャに送信し、送信元移動体通信装置で共有/再販されるアプリケーションとの進め方を指示する更新命令をトラステッドサービスマネジャに送信することと、
トラステッドサービスマネジャで、適合されたアプリケーションをセットアップメッセージにコンパイルして、送信先移動体通信装置に送信し、更新命令を送信元移動体通信装置に送信し、サービスプロバイダのインストール命令および更新命令に従ってリポジトリを更新することと、
送信先移動体通信装置で、セットアップメッセージに従ってアプリケーションをインストールすることと、
送信元移動体通信装置で、更新命令に従って保存されたアプリケーションを更新することとを含む。
【0019】
上記で定義された目的を達成するために、本発明による遠隔通信システムで、本発明による遠隔通信システムが以下で定義される形式であることを特徴とできるような特徴的な要素が提供される。
【0020】
少なくとも1つのサービスプロバイダ、少なくとも1つのトラステッドサービスマネジャ、およびサービスプロバイダによって提供されるアプリケーションを保存するよう装備されている、NFC携帯電話などの複数の移動体通信装置を備える遠隔通信システムで、サービスプロバイダ、トラステッドサービスマネジャ、および移動体通信装置が上記方法のステップを行うための計算ユニットおよびソフトウェアコード部分を備える。
【0021】
上記で定義された目的を達成するために、本発明によるトラステッドサービスマネジャで、本発明によるトラステッドサービスマネジャが以下で定義される形式であることを特徴とできるような特徴的な要素が提供される。
【0022】
トラステッドサービスマネジャは、次のようになされている:
共有/再販されるアプリケーションおよび送信先移動体通信装置についての情報を含む共有または再販の要求を送信元移動体通信装置から受信し、
要求から共有/再販されるアプリケーションおよび送信先移動体通信装置を抽出し、
アプリケーションがインストールされている移動体通信装置、および前記アプリケーションを提供したサービスプロバイダに関連付けられたアプリケーションについての情報を含むリポジトリに接続し、
リポジトリから共有/再販されるアプリケーションを提供したサービスプロバイダを検索し、
アプリケーションの送信先移動体通信装置への再販または送信先移動体通信装置との共有が可能かどうかを照会するクエリを前記サービスプロバイダに送信し、
サービスプロバイダから受信した適合されたアプリケーションをセットアップメッセージにコンパイルして、送信先移動体通信装置に送信し、
サービスプロバイダのSPxインストール命令に従って更新命令を送信元移動体通信装置に送信し、サービスプロバイダのインストール命令および更新命令に従ってリポジトリを更新する。
【0023】
上記で定義された目的を達成するために、本発明によるサービスプロバイダで、本発明によるサービスプロバイダが以下で定義される形式であることを特徴とできるような特徴的な要素が提供される。
【0024】
トラステッドサービスマネジャを介してアプリケーションを移動体通信装置に提供するようなされたサービスプロバイダで、サービスプロバイダは、さらに次のようになされている:
トラステッドサービスマネジャからアプリケーションの送信先移動体通信装置への再販または送信先移動体通信装置との共有が可能かどうかを照会するクエリを受信し、
アプリケーションを送信先移動体通信装置と共有したり、または送信先移動体通信装置に再販したりすることが可能かどうかを確認することにより前記クエリを処理し、肯定の場合には、共有/再販されるアプリケーションの適合バージョンを含むインストール要求をトラステッドサービスマネジャに送信し、送信元移動体通信装置で共有/再販されるアプリケーションとの進め方を指示する更新命令をトラステッドサービスマネジャに送信する。
【0025】
上記で定義された目的を達成するために、本発明によるコンピュータプログラム製品で、本発明によるコンピュータプログラム製品が以下で定義される形式であることを特徴とできるような特徴的な要素が提供される。
【0026】
サービスプロバイダから移動体通信装置に提供されているアプリケーションを保存するために、メモリ装置が装備されている移動体通信装置のメモリに直接ロード可能であるコンピュータプログラム製品で、そのコンピュータプログラム製品は、移動体通信装置での実行時に、次のステップを行うソフトウェアコード部分を備える:
共有/再販されるアプリケーションおよび送信先移動体通信装置についての情報を含む共有または再販の要求をトラステッドサービスマネジャに送信するステップと、
トラステッドサービスマネジャのセットアップメッセージに従ってアプリケーションをメモリ装置にインストールするステップと、
トラステッドサービスマネジャの更新命令に従って、メモリ装置に保存されているアプリケーションを更新するステップとである。
【0027】
上記で定義された目的を達成するために、本発明による移動体通信装置は算術論理演算ユニットとメモリとを備えており、上記の項に従ってコンピュータプログラム製品を処理する。
【0028】
本発明による特徴的な要素は、サービスプロバイダの顧客が自分の移動体通信装置にインストールしたNFCサービスなどのアプリケーションを、他の顧客および他の顧客の移動体通信装置それぞれと、サービスプロバイダが移動体ネットワーク事業者により顧客ベースにアクセスするための単一交信点であるというトラステッドサービスマネジャの概念を侵害することなく、共有または再販できるようにするという利点を提供する。
【0029】
請求項2、請求項3、請求項5、または請求項6で請求する方法は、それぞれ、十分定義された高度にアクセス可能なネットワークインフラストラクチャおよびサービスに依存する利点を提供する。
【0030】
上記で定義された態様および本発明の別の態様は、これ以後記述される例示的な実施形態から明らかであり、この例示的な実施形態を参照して説明される。
【0031】
本発明は、例示的な実施形態を参照して、これ以後より詳細に記述される。しかしながら、本発明はこの例示的な実施形態に限定されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明が組み込まれている遠隔通信システムおよび本発明による方法の各ステップの概略図である。
【図2】本発明による方法の各ステップが完了したときの、遠隔通信システムの状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、上記で参照されたGSMAホワイトブックで開示されているようなモバイルNFCエコシステムを図で示している。システムは、移動体ネットワーク事業者MNO、いくつかのサービスプロバイダSP1、SP2、SPx、移動体通信装置MO1、MOx、およびトラステッドサービスマネジャ TSMを含む。移動体通信装置MO1は、移動体ネットワーク事業者MNOで移動体通信装置MO1を登録している顧客CU1に割り当てられている。移動体通信装置MOxは、移動体ネットワーク事業者MNOで移動体通信装置MOxを登録している顧客CUxに割り当てられている。移動体ネットワーク事業者MNOは、全範囲の移動体サービスを顧客CU1、CUxおよび移動体通信装置MO1、MOxにそれぞれ提供するが、特に、UICCおよびNFC端末に、移動体通信装置MO1、MOx向けのOver The Air(OTA)伝送サービスを加えたものを提供する。移動体通信装置MO1、MOxには、メモリ装置MIFxにアプリケーションAPP1、APP2、APPxおよびメモリ装置MIF1にアプリケーションAPP4を安全に保存するようなされているメモリ装置MIF1、MIFxが装備されている。メモリ装置MIF1、MIFxには、有利にはMIFAREメモリカード(例えば図1で示されているようなMIFARE標準1kメモリカード)またはSmartMXカードなどのスマートカードを備える。前記メモリ装置MIF1、MIF2が装備された移動体通信装置MO1、MOxは、好ましくはNFC携帯電話として構成されている。例えば、アプリケーションAPP1はサービスプロバイダSP1から提供され、アプリケーションAPP2およびAPP4はサービスプロバイダSP2から提供され、アプリケーションAPPxはサービスプロバイダSPxから提供される。サービスプロバイダSP1、SP2、SPxは、例えば、銀行、公共交通機関の企業、ロイヤリティプログラムの所有者などである。
【0034】
トラステッドサービスマネジャ TSMは、以下でより詳細に説明するように、サービスプロバイダSP1、SP2、SPxのアプリケーションAPP1、APP2、APP4、APPxを移動体ネットワーク事業者MNOの顧客ベースに安全に配布および管理する。
【0035】
サービスプロバイダ、例えばサービスプロバイダSPxが新しいアプリケーションAPPx(チケット、入場管理、クーポンなど)を移動体通信装置MOxのメモリ装置MIFxにインストールすることを望む場合、サービスプロバイダは第1の通信チャネルC1を介してインストール要求INSTをトラステッドサービスマネジャ TSMに送信する。インストール要求INSTには、インストールされるアプリケーションAPPx、サービスプロバイダSPxのID、および割り当てられた電話番号などのターゲット移動体通信装置MOxの固有IDが含まれている。第1の通信チャネルC1は、例えば、インターネットなどのコンピュータネットワークとして構成される。本例のサービスプロバイダSPxとトラステッドサービスマネジャ TSM間の好適なデータ伝送プロトコルはHTTPSである。通常、サービスプロバイダSPxは顧客CUxから移動体通信装置MOxの固有IDを取得する。例えば、顧客CUxがサービスプロバイダSPxのウェブサイトを介してチケット(つまり、アプリケーションAPPx)を申し込み、この申し込みを完了するためには、自分の移動体通信装置MOxの電話番号をオンラインフォームに入力する必要がある。
【0036】
トラステッドサービスマネジャ TSMは、サービスプロバイダSPxからインストール要求INSTを受信すると、アプリケーションAPPxおよび移動体通信装置MOxのIDを抽出し、移動体通信装置MOxのメモリ装置MIFxがMIFAREメモリであれば、自由裁量でメモリ装置MIFxの1つ以上の送信先セクタおよび関連セクタキーを割り当てる。次に、トラステッドサービスマネジャ TSMはアプリケーションAPPx、セクタキー、および送信先セクタのセクタ番号をセットアップメッセージSUにコンパイルする。セキュリティを強化するために、トラステッドサービスマネジャ TSMはセットアップメッセージSUを暗号化することができる。次に、トラステッドサービスマネジャ TSMは、第2の通信チャネルC2、例えば、移動体ネットワーク事業者MNOのOver−the−air(OTA)サービスを介して、セットアップメッセージSUを移動体通信装置MOxに送信する。現在、好適なOTAサービスはSMSである。携帯電話MOxには、必要に応じて最初に復号化し、受信したセットアップメッセージSUから全データを抽出するよう設計され、抽出したセクタキーを使用して抽出したアプリケーションAPPxをメモリ装置MIFxの割り当てられた送信先セクタに書き込むように実行するソフトウェアアプリケーションがある。
【0037】
さらに、トラステッドサービスマネジャ TSMは、サービスプロバイダSPxからインストール要求INSTを受信し、アプリケーションAPPxおよび移動体通信装置MOxのIDを抽出すると、特定の移動体通信装置MOxと関連付けられたすべてのサービスプロバイダSPxを検索できるように、これらのデータをリポジトリREPにさらに書き込む(WRT)。図1に示されているリポジトリREPには、現在、サービスプロバイダSP2から配布され、移動体通信装置MO1に割り当てられている1つのアプリケーションAPP4、およびサービスプロバイダSP1、SP2、およびSPxからそれぞれ配布され、移動体通信装置MOxに割り当てられている3つのアプリケーションAPP1、APP2、APPxが含まれている。リポジトリREPは、例えば、データベース、ファイルシステムなどとして構成することが可能なはずである。
【0038】
本発明によると、顧客CUxは、例えば、アプリケーションAPPxを顧客CU1に対して共有または再販することを望む場合、アプリケーションAPPxおよび顧客CU1の送信先移動体通信装置MO1を選択し(例えば、一連のキーストロークを入力すること、または移動体通信装置MOxのユーザーインターフェースのメニューから選択することのいずれかで)、移動体通信装置MOxが要求SRをトラステッドサービスマネジャ TSMに送信するようにして、移動体通信装置MO1に対してアプリケーションAPPxを共有または再販する。トラステッドサービスマネジャ TSMは、アプリケーションAPPxを検索(RTR)して、提供元のサービスプロバイダを見つけ出し(現在の例では、サービスプロバイダSPx)、アプリケーションAPPxの送信先移動体通信装置MO1への再販または送信先移動体通信装置MO1との共有が可能かどうかを照会するクエリQUをサービスプロバイダSPxへ送信する。サービスプロバイダSPxが了承する場合、元のアプリケーションの適合バージョンAPPx’、固有ID(すなわちSPx)、およびターゲット移動体通信装置MO1の固有IDを含むインストール要求INSTを送信する。さらに、サービスプロバイダはトラステッドサービスマネジャ TSMに、送信元移動体通信装置MOxでのアプリケーションAPPxとの進め方の指示の更新命令UPDを送信する。更新命令は、例えば、送信元移動体通信装置MOxからアプリケーションAPPxを削除する、またはアプリケーションAPPxに含まれている値(例えば、残りのチケットの数)を更新する命令を含む。
【0039】
トラステッドサービスマネジャ TSMは、サービスプロバイダSPxの命令に従ってリポジトリREPを更新する。トラステッドサービスマネジャ TSMは、さらに適合されたアプリケーションAPPx’、および必要に応じてセクタキーとメモリ装置MIF1のターゲットのセクタ番号をセットアップメッセージSUにコンパイルして、移動体ネットワーク事業者MNOを介して送信先移動体通信装置MO1に送信する。また、トラステッドサービスマネジャ TSMは、移動体ネットワーク事業者MNOを介して更新命令UPDも送信元移動体通信装置MOxに送信する。
【0040】
図2は、共有/再販要求完了後のモバイルNFCエコシステムの状態を示している。更新命令は削除命令であるものとしている。アプリケーションAPPxが送信元移動体通信装置MOxのメモリ装置MIFxから削除され、適合されたアプリケーションAPPx’が送信先移動体通信装置MOxのメモリ装置MIF1に保存されていることを見ることができる。さらに、リポジトリの情報もそれに従って更新されている。
【0041】
上記で言及した実施形態は、本発明を限定するものではなく例証するに過ぎず、当業者ならば、添付請求項の範囲を逸脱することなく、多くの代替の実施形態を設計することが可能であることを留意すべきである。請求項で、括弧間に配置されたすべての参照記号は、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「含む(備える)」という用語は、請求項で表示されているもの以外の要素またはステップの存在を排除するものではない。要素の前の不定冠詞「a」または「an」は、そのような要素が複数存在することを排除するものではない。装置の請求項で、列挙しているいくつかの手段、これらの手段の一部は、同一のハードウェアで実現されるようにすることができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項で列挙されていることは、これらの手段の組み合わせが利点のために使用できないことを示すものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元移動体通信装置(MOx、MO1)に保存されているアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)を、送信先移動体通信装置(MO1、MOx)と共有したり、または送信先移動体通信装置(MO1、MOx)に再販したりする方法であって、
送信元移動体通信装置(MOx、MO1)で、共有/再販されるアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)および送信先移動体通信装置(MO1、MOx)についての情報を含む共有または再販の要求(SR)をトラステッドサービスマネジャ(TSM)に送信することと、
トラステッドサービスマネジャ(TSM)で、要求(SR)から共有/再販されるアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)および送信先移動体通信装置(MO1、MOx)を抽出し、アプリケーションがインストールされている移動体通信装置(MO1、MOx)、および前記アプリケーションを提供したサービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)に関連付けられたアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)についての情報を含むリポジトリ(REP)に接続し、リポジトリ(REP)から共有/再販されるアプリケーションを提供したサービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)を検索し、アプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)の送信先移動体通信装置(MO1、MOx)への再販または送信先移動体通信装置(MO1、MOx)との共有が可能かどうかを照会するクエリ(QU)を前記サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)に送信することと、
サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)で、アプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)を送信先移動体通信装置(MO1、MOx)と共有したり、または送信先移動体通信装置(MO1、MOx)に再販したりすることが可能かどうかを確認することにより前記クエリ(QU)を処理し、肯定の場合には、共有/再販されるアプリケーションの適合バージョン(APPx’)を含むインストール要求(INST)をトラステッドサービスマネジャ(TSM)に送信し、送信元移動体通信装置(MOx、MO1)で共有/再販されるアプリケーションとの進め方を指示する更新命令(UPD)をトラステッドサービスマネジャ(TSM)に送信することと、
トラステッドサービスマネジャ(TSM)で、適合されたアプリケーション(APPx’)をセットアップメッセージ(SU)にコンパイルして、送信先移動体通信装置(MO1、MOx)に送信し、更新命令(UPD)を送信元移動体通信装置(MOx、MO1)に送信し、サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)のインストール命令(INST)および更新命令(UPD)に従ってリポジトリ(REP)を更新することと、
送信先移動体通信装置(MO1、MOx)で、セットアップメッセージ(SU)に従ってアプリケーション(APPx’)をインストールすることと、
送信元移動体通信装置(MOx、MO1)で、更新命令(UPD)に従って保存されたアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)を更新することとを含む、方法。
【請求項2】
サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)とトラステッドサービスマネジャ(TSM)が互いに、インターネットなどの、コンピュータネットワークを介して通信し、好適なデータ伝送プロトコルがHTTPSである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
トラステッドサービスマネジャ(TSM)が移動体通信装置(MO1、MOx)と移動体ネットワーク事業者(MNO)のOver−The−Airサービスを介して通信し、好適なOver−The−Airサービスがショートメッセージサービスである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのサービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)と、少なくとも1つのトラステッドサービスマネジャ(TSM)と、複数の移動体通信装置(MO1、MOx)、例えば、サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)から提供されるアプリケーション(APP1、APP2、APP4、APPx)を保存するよう装備されている、NFC携帯電話とを備え、
サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)、トラステッドサービスマネジャ(TSM)、および移動体通信装置(MO1、MOx)が、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法のステップを行うための計算ユニットとソフトウェアコード部分とを備える、遠隔通信システム。
【請求項5】
サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)とトラステッドサービスマネジャ(TSM)が互いに、インターネットなどの、コンピュータネットワークを介して通信し、好適なデータ伝送プロトコルがHTTPSである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
トラステッドサービスマネジャ(TSM)が移動体通信装置(MO1、MOx)と移動体ネットワーク事業者(MNO)のOver−The−Airサービスを介して通信し、好適なOver−The−Airサービスがショートメッセージサービスである、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
送信元移動体通信装置(MOx、MO1)から、要求(SR)が共有/再販されるアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)および送信先移動体通信装置(MO1、MOx)についての情報を含む共有または再販の要求(SR)を受信し、
要求(SR)から共有/再販されるアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)および送信先移動体通信装置(MO1、MOx)を抽出し、
アプリケーションがインストールされている移動体通信装置(MO1、MOx)、および前記アプリケーションを提供したサービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)に関連付けられたアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)についての情報を含むリポジトリ(REP)に接続し、
リポジトリ(REP)から共有/再販されるアプリケーションを提供したサービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)を検索し、
アプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)の送信先移動体通信装置(MO1、MOx)への再販または送信先移動体通信装置(MO1、MOx)との共有が可能かどうかを照会するクエリ(QU)を前記サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)に送信し、
サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)から受信した適合されたアプリケーション(APPx’)をセットアップメッセージ(SU)にコンパイルして、送信先移動体通信装置(MO1、MOx)に送信し、
サービスプロバイダのSPxインストール命令(INST)に従って更新命令(UPD)を送信元移動体通信装置(MOx、MO1)に送信し、サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)のインストール命令(INST)および更新命令(UPD)に従ってリポジトリ(REP)を更新するようなされている、トラステッドサービスマネジャ(TSM)。
【請求項8】
移動体通信装置(MO1、MOx)にトラステッドサービスマネジャ(TSM)を介してアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)を提供するようなされているサービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)であって、さらに、
トラステッドサービスマネジャ(TSM)からアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)の送信先移動体通信装置(MO1、MOx)への再販または送信先移動体通信装置(MO1、MOx)との共有が可能かどうかを照会するクエリ(QU)を受信し、
アプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)を送信先移動体通信装置(MO1、MOx)と共有したり、または送信先移動体通信装置(MO1、MOx)に再販したりすることが可能かどうかを確認することにより前記クエリ(QU)を処理し、肯定の場合には、インストール要求が共有/再販されるアプリケーションの適合バージョン(APPx’)を含むインストール要求(INST)をトラステッドサービスマネジャ(TSM)に送信し、送信元移動体通信装置(MOx、MO1)で共有/再販されるアプリケーションとの進め方を指示する更新命令(UPD)をトラステッドサービスマネジャ(TSM)に送信するようになされた、サービスプロバイダ。
【請求項9】
サービスプロバイダ(SP1、SP2、SPx)から移動体通信装置(MO1、MOx)に提供されているアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)を保存するためのメモリ装置(MIF1、MIFx)が装備されている移動体通信装置(MO1、MOx)のメモリに、直接ロード可能なコンピュータプログラム製品であって、移動体通信装置(MO1、MOx)での実行時に、コンピュータプログラム製品が、
要求(SR)が共有/再販されるアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)および送信先移動体通信装置(MO1、MOx)についての情報を含む共有または再販の要求(SR)をトラステッドサービスマネジャ(TSM)に送信するステップと、
トラステッドサービスマネジャ(TSM)のセットアップメッセージ(SU)に従ってアプリケーション(APPx’)をメモリ装置(MIF1、MIFx)にインストールするステップと、
トラステッドサービスマネジャ(TSM)の更新命令(UPD)に従ってメモリ装置(MIF1、MIFx)に保存されたアプリケーション(APP1、APP2、APPx、APP4)を更新するステップとを行うためのソフトウェアコード部分を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項10】
コンピュータプログラム製品がコンピュータの読み出し可能媒体に保存されたり、または通信ネットワークを介してリモートサーバーからダウンロード可能である、請求項9に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
算術論理演算ユニットおよびメモリを備えるNFC携帯電話などの移動体通信装置で、請求項9に記載されているようなコンピュータプログラム製品を処理するようになされている、移動体通信装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−508466(P2011−508466A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531638(P2010−531638)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054613
【国際公開番号】WO2009/060393
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(508361405)
【Fターム(参考)】