説明

移動可能な側面パネル部材を備えた乗客コンベア

乗客コンベア10が、継目なし踏板バンド、少なくとも1つの継目なし駆動チェーン26および少なくとも1つのパネル部材12を備えている。継目なし踏板バンドは、複数の踏板24を備えている。駆動チェーン26は、駆動装置によって第1の旋回部14および第2の旋回部14の周囲で駆動される。駆動チェーン26は、複数の駆動チェーンリンク18を備えており、該駆動チェーンリンク18の各々は、各駆動チェーンローラ30と関連している。連続した駆動チェーンリンク18は、駆動チェーンローラ30によって接続されている。複数の踏板24は、駆動チェーン26に接続されている。少なくとも1つのパネル部材12は、踏板24に対して移動可能となるように踏板24の側面に配置されている。少なくとも1つのパネル部材12は、駆動チェーンリンク18の1つに対して静止したままとなるように支持される。踏板24の各々は、複数の連続したパネル部材12と関連している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアは、例えば、エスカレータや動く歩道である。エスカレータは、一般に、異なる高さの乗り場の間で乗客を運ぶ乗客コンベアである。動く歩道は、水平に延びる高さ、または僅かな傾斜のみを有する高さに沿って乗客を運ぶように用いられることが多い。
【0003】
上記乗客コンベアは、一般に、フレームと、移動可能な手すりを有した欄干と、継目なし輸送バンドまたは踏板バンド(例えば、踏段バンドまたはパレットバンド)と、駆動システムと、踏板バンドを推進するための輸送チェーンつまり駆動チェーンとを備えている。駆動チェーンは、上流側の乗り場および下流側の乗り場の各々に配置されたシーブまたはスプロケットの間の継目なし経路を移動する。駆動チェーンは、複数の駆動チェーンリンクを備えており、駆動チェーンリンクの各々は、各駆動チェーンローラと関連している。連続した駆動チェーンリンクは、各駆動チェーンローラによって接続されている。駆動チェーンは、フレームに固定された駆動チェーンガイドによって案内される。駆動チェーンガイドは、例えば、駆動チェーンローラと相互作用することができる。フレームは、その左側および右側の双方にトラス部を備えている。各トラス部は、乗り場を形成する2つの端部を備えており、これらの端部は、傾斜した中央部、または動く歩道の場合には水平の中央部によって互いに接続されている。乗り場の1つは、トラスの間に配置された乗客コンベアの駆動システムまたは駆動機械を収容していることが多い。
【0004】
本発明は、(例えば、踏段またはパレットの形態の)数個の輸送エレメントまたは踏板から構成される継目なし踏板バンドを有してなる乗客コンベアに特に関連している。踏板は、前面、後面および2つの側面によって画定された踏板面を備えており、例えば、駆動チェーン駆動軸および駆動チェーンローラによって、(踏段チェーンまたはパレットチェーンと呼ばれることが多い)少なくとも1つの駆動チェーンに接続されている。多くの場合には、継目なし経路に沿って平行に移動する2つの側面移動チェーンが提供される。
【0005】
十分に傾斜することなく、上流側の乗り場と下流側の乗り場との間を移動する動く歩道の場合には、駆動チェーンが上流側の旋回部および下流側の旋回部の周囲で駆動されることをより適切に説明することができる。エスカレータの場合には、一般に、旋回部は、下方の旋回部および上方の旋回部として示される。
【0006】
乗客コンベアの駆動システムは、一般に、駆動チェーンと、(例えば、スプロケットまたは歯付きホイールの形態の)駆動チェーン用駆動ホイールと、駆動軸と、駆動モータとを備えている。駆動チェーンは、一方の乗り場から他方の乗り場へと進み、そして戻るように形成された連続的な閉ループを移動する。駆動チェーンは、例えば、駆動チェーンの駆動チェーンローラを支持する駆動チェーンローラ駆動軸によって各踏板を回転可能に支持することにより、踏板に駆動可能に接続される。駆動モータは、直接にまたは追加の変速機を介して、駆動チェーンに駆動可能に接続された駆動シーブを駆動する。一般に、最後の駆動装置は、旋回領域に配置された1つまたは一対のチェーン旋回駆動ホイールとして実現される。駆動ホイールは、踏板および駆動チェーンの大きさに基づいて形成されており、一例として、一般に、多くのエスカレータシステムで750mmの直径で形成される。駆動チェーンは、各駆動ホイールの周囲で案内されるとともに駆動される。
【0007】
また、駆動チェーンの推進が旋回部の近傍では生じることがなく、むしろ、例えば、中央部(負荷部または戻り部)で生じる乗客コンベアも存在する。この形式の乗客コンベアにおいては、駆動チェーンローラが旋回プレートまたは実質的に半円の案内面によって画定された通路に追従するように、旋回プレートまたは実質的に半円の案内面がチェーン旋回ホイールの代わりに設けられ得る。駆動チェーンローラは、旋回プレートまたは案内面において、乗客コンベアの負荷部から戻り部へと反転する。この点においては、「旋回部」という用語は、全ての形式の構造、例えば、チェーン旋回ホイール、旋回案内面または旋回プレートを包含することを意図している。
【0008】
乗客コンベア、例えば、エスカレータまたは動く歩道の踏板は、一般に、実質的にボックス状のエレメントを備えており、該ボックス状エレメントは、踏板面と、エスカレータの傾斜領域において露出し、「ライザ」と呼ばれる前面とを備えている。動く歩道の場合には、ライザは、一般に、乗客へと露出されない。エスカレータまたは動く歩道の運転中に乗客へと露出されないボックスの残りの側面、底面および後面は、閉じられ得るが、開いたままであることも多い。これは、踏板面の反対側に位置した踏板の裏側と、踏段の後面に特にあてはまる。駆動チェーンに向けられた踏板の側壁が、構造上の理由のために、一般に規則的に配置されている。ボックス状踏板の後壁が前面の反対側に設けられていない場合には、駆動チェーンに向けられたボックスの側壁は、三角形状を有することができ、この三角形状は、底部に向かって傾斜しており、踏板自体は、前面の近傍の踏板の厚さと比較して、踏板の後領域の比較的小さな厚さのみを備えることができる。これらの基準によって、重量および材料の要求を著しく減少させることができる。
【0009】
踏板は、一般に、駆動チェーンローラ駆動軸によって駆動チェーンに固定される。駆動チェーンローラ駆動軸は、踏板ボディを貫通することが多く、側部に配置された2つの駆動チェーンの場合には、駆動チェーンローラ駆動軸の自由端部の双方において駆動チェーンに接続されている。踏板は、通常は、乗客の負荷を運ぶのに必要な強さを示し、かつ容易に加工処理することができる材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金またはプラスチックのような押し出し成形することができる材料から製造される。駆動チェーンローラ駆動軸は、より強い材料、例えば、鉄または鋼から製造される。
【0010】
従来の乗客コンベアの状態においては、個々の踏板は、一般に、パネルエレメントまたは「スカートボード」によって横方向に制限される「チャネル」を移動する。上記スカートボードは、乗客コンベアのフレームに対して堅固に配置されており、踏板は、(静止した)スカートボードに対して移動する。物体または乗客の衣服が隙間に引き込まれて捕らえられないことを確実にするために、安全上の理由により、(移動している)踏板と(静止した)スカートボードとの間の隙間を非常に小さく維持することが必要である。
【0011】
非常に狭い隙間を確実に得るための要求は、高額のメンテナンス費用に関連している。ある場合には、狭い隙間に対して安全上の要求を満たすのは完全に不可能である。狭い隙間を用いること以外で、リスクの可能性を減少させるための1つの選択肢は、踏板に固定され、踏板と一緒に移動する底部パネルを設けることから構成される。この移動可能な底部パネルは、例えば、米国特許第4,470,497号明細書で説明されている。従来技術の上記底部パネルには、底部パネルが、エスカレータの水平領域、例えば、入口地点および出口地点において踏板の踏板面を越えて踏板面の上方へと比較的遠くに突出するという欠点か、または底部パネルの設計が比較的複雑であるという欠点がある。
【0012】
独国特許発明第2346266A1号明細書には、回転可能な側面スカートパネルを用いた他の取り組みが開示されており、エスカレータの各踏段が一対の側面スカートパネルに取り付けられている。スカートパネルは、各踏段およびこれに隣接した踏段を踏段チェーンに接続する踏段チェーンローラ駆動軸によって支持される。したがって、踏段が継目なし移動経路の傾斜部/水平部を移動するときに、側面スカートパネルは、踏段ライザの上昇/下降に対応した各踏板面に対して回転する。しかし、この構成は、側面スカートパネルおよび踏段チェーンリンクの双方が踏段の踏板面と同じ長さを有する必要があり、結果として、旋回部の曲率半径が大きくなる。
【0013】
米国特許第6,450,316B1号明細書には、各踏段の踏板面に固定された円形底部パネルと、2つの連続した円形底部パネルの間に位置決めされた移動可能なブリッジ部との組み合わせによって形成された側面パネルの構造を有してなるエスカレータが開示されている。踏段チェーンが継目なし移動経路の異なる部分を通って移動するときに、移動可能なブリッジ部は、踏段チェーンの対応したリンクと関連し、このリンクに対して静止したままとなる。ブリッジ部の各々は、2つの凹状境界縁部を備えており、該凹状境界縁部は、エスカレータの移動経路に沿って、踏段の各側面に沿った連続的なバリアを提供するように、隣接した底部パネルの円形縁部と協同する。この構造は、各踏段の各側面に1つの円形底部パネルおよび1つのブリッジ部を正確に配置することが必要となり、結果として、独国特許発明第2346266A1号明細書と同様に、旋回部の曲率半径が大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特に、踏板バンドの旋回部において、より小さな空間を必要とし、かつ実現するのに効率的である、乗客コンベアの移動エレメントの側面に形成される隙間を十分に閉じる側面パネル部材の利用可能な代替的な構成を有することが有益となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の特徴に従う一実施例においては乗客コンベアを提供している。乗客コンベアは、継目なしの踏板バンド、少なくとも1つの継目なし駆動チェーンおよび少なくとも1つのパネル部材を備えている。継目なし踏板バンドは、複数の踏板を備えている。継目なし駆動チェーンは、駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部の周囲で駆動される。継目なし駆動チェーンは、複数の駆動チェーンリンクを備えており、該駆動チェーンリンクの各々は、各駆動チェーンローラに関連している。連続した駆動チェーンリンクは、駆動チェーンローラによって接続されている。複数の踏板は、例えば、駆動チェーンローラ駆動軸によって駆動チェーンに接続されている。少なくとも1つのパネル部材は、踏板に対して移動可能となるように踏板の側面に配置されている。少なくとも1つのパネル部材は、駆動チェーンリンクの1つに対して静止したままとなるように支持されている。踏板の各々は、複数の連続したパネル部材と関連している。
【0016】
第2の特徴に従う他の実施例は、乗客コンベアを提供する。乗客コンベアは、継目なしの踏板バンド、少なくとも1つの継目なし駆動チェーンおよび少なくとも1つのパネル部材を備えている。継目なし踏板バンドは、複数の踏板を備えている。継目なし駆動チェーンは、駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部の周囲で駆動される。継目なし駆動チェーンは、複数の駆動チェーンリンクを備えており、該駆動チェーンリンクの各々は、各駆動チェーンローラに関連している。連続した駆動チェーンリンクは、駆動チェーンローラによって接続されている。複数の踏板は、例えば、駆動チェーンローラ駆動軸によって駆動チェーンに接続されている。少なくとも1つのパネル部材は、踏板に対して移動可能となるように踏板の側面に配置されている。少なくとも1つのパネル部材は、駆動チェーンリンクの1つに対して静止したままとなるように支持されている。少なくとも1つのパネル部材は、駆動チェーンリンクの1つと一体に形成される。
【0017】
第3の特徴に従う別の実施例は、乗客コンベアを提供する。乗客コンベアは、継目なしの踏板バンド、少なくとも1つの継目なし駆動チェーンおよび少なくとも1つのパネル部材を備えている。継目なし踏板バンドは、複数の踏板を備えている。継目なし駆動チェーンは、駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部の周囲で駆動される。継目なし駆動チェーンは、複数の駆動チェーンリンクを備えており、該駆動チェーンリンクの各々は、各駆動チェーンローラに関連している。連続した駆動チェーンリンクは、駆動チェーンローラによって接続されている。複数の踏板は、例えば、駆動チェーンローラ駆動軸によって駆動チェーンに接続されている。少なくとも1つのパネル部材は、踏板に対して移動可能となるように踏板の側面に配置されている。少なくとも1つのパネル部材は、駆動チェーンリンクの1つに対して静止したままとなるように支持されている。少なくとも1つのパネル部材は、アーム部およびスカート部を備えることができる。アーム部は、各駆動チェーンリンクおよび/または該駆動チェーンリンクに関連した駆動チェーンローラに接続された取付端部と、スカート部に接続された回転端部とを備えている。アーム部は、その回転軸からある距離だけ離間させてスカート部を配置するように実質的に駆動チェーンリンクの方向に延びる。
【0018】
第4の特徴に従う別の実施例は、乗客コンベアを提供する。乗客コンベアは、継目なしの踏板バンド、少なくとも1つの継目なし駆動チェーンおよび少なくとも1つのパネル部材を備えている。継目なし踏板バンドは、複数の踏板を備えている。継目なし駆動チェーンは、駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部の周囲で駆動される。継目なし駆動チェーンは、複数の駆動チェーンリンクを備えており、該駆動チェーンリンクの各々は、各駆動チェーンローラに関連している。連続した駆動チェーンリンクは、駆動チェーンローラによって接続されている。複数の踏段は、例えば、駆動チェーンローラ駆動軸によって駆動チェーンに接続されている。少なくとも1つのパネル部材は、踏板に対して移動可能となるように踏板の側面に配置されている。少なくとも1つのパネル部材は、駆動チェーンリンクの1つに対して静止したままとなるように支持されている。少なくとも1つのパネル部材が、第1の境界縁部と、該第1の境界縁部とは反対側の第2の境界縁部とを備えることができる。第1の境界縁部は、凹状の曲率を備えており、第2の境界縁部は、凸状の曲率を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施例のエスカレータの旋回部を移動する複数の連続した側面パネル部材の構成を示した概略的かつ簡潔な断面図である。
【図2】1つおきに側面パネル部材を省略して、踏段チェーンへの側面パネル部材の取付方を示した図1と同様の図である。
【図3】本実施例の踏段チェーンリンクに取り付けられた側面パネル部材の図である。
【図4a】図3の「裏」側から見た斜視図として示した図3の側面パネル部材の図である。
【図4b】関連した踏段チェーンリンクと一体に形成された側面パネル部材を示す、図3の側面パネル部材の他の実施例の図である。
【図5】一実施例のエスカレータの上側移行部を移動する複数の連続した側面パネル部材の構成を示した概略的かつ簡潔な断面図である。
【図6】1つおきに側面パネル部材を省略して、踏段チェーンへの側面パネル部材の取付方を示した図5と同様の図である。
【図7】1つおきに側面パネル部材を省略した、一実施例のエスカレータの下側移行部を移動する複数の連続した側面パネル部材の構成を示した「裏」側から見た斜視図である。
【図8】一実施例のエスカレータの直線部を移動する複数の連続した側面パネル部材の構成を示した「裏」側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜図8には、エスカレータ10の形態とされた実施例の種々の図が示されているが、例えば、動く歩道の形態とされた他の実施例も可能であることを理解されたい。図1および図2には、エスカレータの輸送方向に沿った概略的かつ簡潔な断面図として、エスカレータ10の旋回部14を移動する側面スカートパネル12の形態とされた複数の連続した側面パネル部材12の構成が示されている。また、図5および図6には、同様の形態として、エスカレータ10の上側移行部16を移動する複数の連続した側面パネル部材12の構成が示されている。また、図7および図8には、「裏」側からの各斜視図として、エスカレータ10の下側移行部20を移動する複数の連続した側面パネル部材12の構成と、直線部22を移動する複数の連続した側面パネル部材12の構成とがそれぞれ示されている。
【0021】
図3,図4aおよび図4bには、1つのパネル部材12と、このパネル部材12に関連した踏段チェーンリンク18とからなる異なる2つの実施例が詳細にそれぞれ示されている。図4aにおいては、パネル部材が符号12’で示されており、該パネル部材に関連した踏段チェーンリンクが符号18’で示されている。図4bにおいては、パネル部材が符号12’’で示されており、該パネル部材に関連した踏段チェーンリンクが符号18’’で示されている。一般に、図4aの実施例と図4bの実施例との間の相違は、他の図1,2,5〜8に示した設計に影響を及ぼさない。したがって、以下の説明において、簡潔にするために、踏段チェーンリンクが図4aに示した踏段チェーンリンク18,18’を参照するか、または踏段チェーンリンクが図4bに示した踏段チェーンリンク18,18’’を参照するかに関係なく、踏段チェーンリンクを符号18で示す。同様に、スカート部材が図4aに示したスカートパネル12’を参照するか、またはスカート部材が図4bに示したスカートパネル12’’を参照するかに関係なく、スカート部材を符号12で示す。図4aおよび図4bの各々の実施例の特定の特徴部を明確に参照しなければ、図1,2,5〜8が図4aの実施例および図4bの実施例の双方を適用することを理解されたい。
【0022】
図の全てについて、対応する構成要素および特徴は、同様の符号で示される。したがって、特定の図面についての説明は、他の図の各々にも適用され、図の全てについて繰り返し強調されない。
【0023】
図1〜図8には、(符号24で非常に概略的に示した)相互接続された数個の踏段から構成される継目なし踏板バンドを備えてなるエスカレータ10が示されている。踏段24は、輸送チェーンつまり踏段チェーン26に横方向に接続されている。図1,図2および図5には、1つのみの踏段チェーン26が図示されているが、本実施例においては、エスカレータ10が踏段24の側面の各々に配置された2つの踏段チェーン26を有するように、対応した第2の踏段チェーンが反対の側面に配置される。踏段24に「側面に」接続されるという用語は、上方から見て、踏段チェーン26が踏段24に隣接して横方向に配置される実施例と、上方から見て、踏段チェーン26が踏段24の踏板面28の下方で完全にまたは部分的に横方向に配置される実施例とを備えている。
【0024】
踏段チェーン26の各々は、一連の踏段チェーンリンク18から構成される。踏段チェーンリンク18は、該踏段チェーンリンク18の長手方向の両端部において各結合部を備えている。2つの隣接した踏段チェーンリンク18の各々は、各結合部(図においては、上記結合部の回転軸は「X」または「X1」、「X2」でそれぞれ示されている)において回転可能に互いに接続されている。また、踏段チェーン26の継目なしの移動経路に沿って踏段チェーンガイド32の間で踏段チェーン26を案内する踏段チェーンローラ30が、上記結合部に支持される。
【0025】
エスカレータ10は、踏段チェーンリンク18の歯と噛み合う駆動スプロケットを用いるか、または踏段チェーンリンク18の歯と噛み合う継目なしの回転歯駆動ベルトを用いることにより実現することができる駆動ユニット(図示せず)によって駆動される。
【0026】
図1においては、踏段24の各々は、踏板面28および前方側つまり「ライザ」34を備えている。また、踏段24の後方側が、前方側34の反対側の踏段24に配置されている。図示した実施例においては、踏段24の各々は、踏段チェーン駆動軸36によって側部の踏段チェーン26に接続されているが、踏段24の部分のみが踏段チェーン駆動軸36によって側部の踏段チェーン26に接続されている他の実施例も可能である。踏段チェーン駆動軸36は、各踏段24の前方側34の近傍に配置されており、踏段チェーン駆動軸36を接続する踏段チェーンリンク18の対応した結合部の軸Xと一致する。踏段チェーン駆動軸36の各々は、該踏段チェーン駆動軸の各自由端部において一対の踏段チェーンローラ30を支持している。
【0027】
また、図1〜図8には、踏段24と共に移動する側面パネル部材つまりスカートパネル12と、スカートパネル12の上部を覆い、かつ上方へと延びる固定の欄干パネル38とが示されている。欄干(図示せず)、例えば、ガラスを、パネル38上に配置することができ、移動手すり(図示せず)は、実質的に、踏段バンドと同時に欄干上で回転する。
【0028】
図1および図5の実施例において最も良く示されているように、踏段24の各々は、踏段24の各側面において、3つのスカートパネル12とそれぞれ関連している。スカートパネル12の各々は、踏段チェーンリンク18の各々に関連している。図3および図4aに詳細に示した実施例においては、スカートパネル12’は、ボルト46によって踏段チェーンリンク18’に取り付けられている。図4bに示した実施例においては、スカートパネル12’’は、関連した踏段チェーンリンク18’’と一体に形成されている。図2,図6および図7においては、スカートパネル12が1つおきに省略されており、スカートパネル12の各々が該スカートパネルの関連した踏段チェーンリンク18からどのように延びているかが示されている。スカートパネル12’が図4aの踏段チェーンリンク18’に取り付けられるか、または踏段チェーンリンク18’’が図4bのスカートパネル12’’と一体に形成されるかに関係なく、同様の構成が適用されることを理解されたい。
【0029】
上記の説明に従い、図示した実施例においては、各第3の踏段チェーンローラ30のみが、踏段24の1つを踏段チェーン26に接続する踏段チェーン駆動軸36によって接続されるように、踏板バンドのピッチは、踏段チェーン26のピッチの3倍である。
【0030】
踏段につき2つ以上のスカートパネルである限り、踏段24につき他の数のスカートパネル12、例えば、踏段24につき2つのスカートパネル12、もしくは踏段24につき4つまたは5つのスカートパネル12を実現することができる他の実施例も可能である。踏段についてのスカートパネルの数は、必ずしも整数である必要はない。(図1〜図8の実施例において実現されるように)隣接したライザ34の間の距離によって画定される踏板バンドのピッチを、隣接した踏段チェーンローラ30の軸Xの間の距離によって画定される踏段チェーン26のピッチの3倍とすることができ、または2倍以上の他の数とすることができる。大抵の実施例においては、1つのスカートパネル12は、踏段チェーンリンク18の各々と関連し、したがって、踏段チェーン26のピッチは、隣接した2つのスカートパネル12の間の距離によって画定されるスカートパネル12の「ピッチ」に等しくなる。
【0031】
図1,2,5,6,7においては、上記スカートパネル12が、各踏段チェーン駆動軸36がスカートパネル12を貫通することができる位置に配置された凹部40を備えている点で、踏段チェーン駆動軸36に関連したスカートパネル12は、他のスカートパネル12とは僅かに異なる形状とされている。凹部40は、踏段が負荷通路を移動するときに踏段の踏板面28の下方に常にあるように配置されている。
【0032】
図3、図4aおよび図4bにおいて、スカートパネル12の各々の形状と、スカートパネル12に関連した踏段チェーンリンク18に対するスカートパネル12の関係とを最も明確に見ることができる。図3および図4aにおいては、アーム部12aおよびスカート部12bを有したスカートパネル12’が示されており、スカートパネル12’は、図示したボルト46によって、または他の適切な取付手段によって踏段チェーンリンク18’に取り付けられている。また、図4bには、スカートパネル12’’と一体に形成された踏段チェーンリンク18’’が示されている。図3に示した数量R,L,H,d,αの間の形状関係は、図4aおよび図4bで同様の符号R,L,H,d,αで示した図4aおよび図4bの実施例に適用されることを理解されたい。
【0033】
図4aから分かるように、スカートパネル12’のアーム部12aは、2つのボルト46によって踏段チェーンリンク18’の取付用突出部18aに固定された取付端部を備えている。アーム部12aは、取付端部の反対側に回転端部を備えている。回転端部は、スカートパネル12’のスカート部12bに当接する。本実施例においては、アーム部12aおよびスカート部12bは1つの片から一体に形成されているが、他の実施例においては、これらの部分は、(例えば、溶接または取り外し可能な結合によって一体化した部品を形成するように)互いに結合された個別の片から形成され得る。図4aの実施例においては、スカート部12bは、1つの片から形成されている。図4bの実施例においては、スカート部12bは、カバーエレメント12b2に取り付けられたスカート部本体12b1によって形成されている。双方の実施例において、スカート部は、第1の境界縁部48、第2の境界縁部50、上側縁部52および下側縁部54によって画定されている。第1の境界縁部48および第2の境界縁部50は湾曲させて形成されており、上側縁部52および下側縁部54は、直線的に形成されている。
【0034】
第1の境界縁部48は、(図1および図3において点線で示された)円CのセグメントS1の円周部を形成しており、円Cは、スカートパネル12が関連する(スカートパネル12が取り付けられる、またはスカートパネル12が一体に形成される)踏段チェーンリンク18の1つの端部に位置した第1の結合部の回転軸X1を中心とした半径Rを備えている。回転軸X1は、第1の踏段チェーンローラ30の軸と一致している。第2の境界縁部50は、他の円のセグメントS2の円周部の部分を形成しており、該他の円は、スカートパネル12が関連する(スカートパネル12が取り付けられる、またはスカートパネル12が一体に形成される)踏段チェーンリンク18の反対の端部に位置した第2の結合部の回転軸X2を中心とした半径Rを備えている。回転軸X2は、第2の踏段チェーンローラ30の軸と一致している。したがって、第1の境界縁部48および第2の境界縁部50は、互いに距離dだけ離間して互いに平行に延びている。距離dは、実質的に、踏段チェーン26のピッチ、つまり連続した踏段チェーンローラ30の軸の間の距離Lに対応している。したがって、踏段チェーンリンク18の第1の回転軸X1(または第1の踏段チェーンローラ30の軸)は、スカートパネル12の回転軸を形成しており、この回転軸を中心として、スカート部12bは、踏段チェーンリンク18が湾曲した部分を移動するときに回転する。スカートパネル12の各々について、第1の境界縁部48および第2の境界縁部50は、同じ曲率を有しているので、スカートパネル12を取り付ける踏段チェーンリンク18が、その移動経路の湾曲部分を通して移動する、例えば、(図1および図2に示した)旋回部14または(図5〜図7に示した)移行部16,20を移動するときに、各スカートパネル12の第1の境界縁部48は、隣接したスカートパネル12の第2の境界縁部50に沿ってスライドすることができる。上記の湾曲部分においては、一般に、スカートパネル12の各アーム部12aによって形成される、隣接したスカートパネル12の回転アームは、同じ方向において互いに平行に配置されるのではく、互いに傾斜して配置されることになる。偏差角度は、移動経路の曲率が大きくなるにつれて増加することになる。
【0035】
スカートパネル12の各々について、第1の境界縁部48と第2の境界縁部50との間の距離dが、踏段チェーン26のピッチに等しいので、隣接したスカートパネル12のスカート部12bによって、スカートパネル12の各々のアーム部12aに必要な空間を完全に覆うことができる。したがって、連続した踏段チェーンリンク18に取り付けられたスカートパネル12のうちの連続したスカートパネル12の各々が、踏段チェーンリンク18の継目なしの経路に沿った踏段チェーンリンク18の移動の全体にわたって互いに当接し、これにより、踏段の踏板面28と、踏板面28の上方にある高さで終端する固定の欄干パネル38との間の踏段バンドの経路に沿って残されたいかなる開口部が、スカートパネル12によって覆われる。したがって、上述の連続したスカートパネル12は、踏板面28の下方へと延びる固定の側面パネルによって、または踏段24に横方向に固定された「スカートボード」によって従来は形成されたような側面パネルエレメントを形成している。
【0036】
図4aの実施例においては、上記の連続したスカートパネル12’は、各スカートパネル12’を各踏段チェーンリンク18’に取り付けることの結果として生じる。図4bの実施例においては、上記の連続したスカートパネル12’’は、拡張部を有した踏段チェーンリンク18’’の各々を形成することの結果として生じる。この実施例においては、拡張部は、実質的に、スカート部12bを備えており、踏段チェーンリンク18’’は、実質的に、アーム部12aを備えている。スカート部12bは、実質的に、踏段チェーンリンク18’’の長手方向に踏段チェーンリンク18’’を拡張している。
【0037】
円Cの直径は、スカートパネル12によって覆うことができる(上側縁部52と下側縁部54との間の距離に対応した)最大高さHを決定する。一般に、スカートパネル12は、最大高さHが、半径Rの2倍か、または半径Rの2倍よりも僅かだけ小さいものとなる(つまり、円のセグメントS1およびセグメントS2からなる角度αが180°に近づくことになる)ように、できる限り効率的に最大高さを用いるようにして構成される。例えば、1.6R≦H≦2Rの関係が適用される。
【0038】
図4bの実施例に関して、「一体に形成される」という用語は、踏段チェーンリンク18’’およびスカートパネル12’’が、実際に、単一の片を形成している、つまり踏段チェーンリンク18’’がアーム部12aおよびスカート部12bを有した形状を備えているものとして理解され得る。このような形状の踏段チェーンリンク18’’は、単一の片を望ましい形状に形成することによって単一の片から非常に効率よく形成することができる。また、2つ以上の片を一緒に一体に結合(例えば、溶接)することによって上記の形状の踏段チェーンリンク18’’を実現することができる。
【0039】
また、図4bの実施例においては、スカート部12bは、スカート部本体12b1と、ボルトまたは他の適切な取付手段によってスカート部本体12b1に取り付けられたカバーエレメント12b2とを備えている。図4bは、側面パネル部材の「裏」または「後方」側から見た斜視図であり、該斜視図においては、スカート部本体12b1自体は、取付状態にあり、使用者が見ることができないが、スカート部本体12b1に取り付けられたカバーエレメント12b2は、乗客が見ることができる。カバーエレメント12b2は、必ずしもスカート部本体12b1と同様の材料から形成される必要はなく、異なる外観、質感または審美的な特徴を備えることができる。
【0040】
図4bの実施例においては、カバーエレメント12b2がスカート部本体12b1を覆って延びているので、スカート部12bの境界縁部48,50,52,54は、カバーエレメント12b2の縁部によって形成される。上記カバーエレメントがスカート部本体12b1の縁部の部分を覆って延びるのみの実施例とすることができることにも留意されたい。この実施例においては、各境界縁部は、その最も遠くに延びる縁部によって形成される。さらに、カバーエレメント12b2の縁部の少なくとも一部が、隣接したスカートパネル12とオーバラップすることを意図する実施例とすることができることにも留意されたい。一般に、この実施例においては、スカート部本体12b1の各縁部が、各境界縁部48,50,52,54を形成することになる。例えば、2つの隣接したスカートパネル12について、互いに対向するカバーエレメント12b2の湾曲した前方の縁部および後方の縁部の各々が、適切にオーバラップして隣接したスカートパネル12の間に形成される隙間を安全に閉じることができるように、カバーエレメント12b2の湾曲した縁部が、比較的薄く、好ましくは弾性の材料から形成されることが容易に想像できる。このような設計においては、対応した湾曲した境界縁部52,54がスカート部本体12b1の各湾曲した縁部によって形成されることが明らかである。
【0041】
さらに、図4aの実施例が、図4bの実施例のために示されたカバーエレメントを備えることができ、この場合には、図4bについて上述した数量R,L,H,d,αの間の寸法関係を適用しなければならないことにも留意されたい。同様に、カバーエレメントを用いることなく図4bの実施例を実現することもでき、この場合には、図4aについて説明した数量R,L,H,d,αの間の関係が適用される。
【0042】
踏段24の各々は、踏段ローラ42をさらに備えており、該踏段ローラ42は、継目なし経路の各部分において踏段24の踏板面28の正確な水平方向位置を制御するように、踏段24が踏段バンドの継目なし経路に沿って移動するときに踏段ローラガイド44によって案内される。一実施例においては、踏段ローラ42は、踏段24から、継目なし踏段バンドによって形成される閉ループの内側へと向かって突出する取付アーム(図示せず)に接続されている。
【0043】
図5においては、旋回部14に隣接して、負荷経路の最上端部に配置された踏段バンドの踏段24の踏板面28が、実質的に、1つの平面E上にある。しかし、高低差hが、傾斜したエスカレータ10の部分において隣接した踏段24の踏板面28の間に存在することが分かる。この高低差hは、傾斜が一定であるエスカレータの中央部において最大となる。踏段24が、エスカレータ10の運転中に、双方の踏段の踏板面28が実質的に1つの平面上にある位置から、踏板面28が高さhだけ互いにオフセットしているが水平のままである位置へと、隣接した踏段24に対して配置されるように、踏段ローラ42が踏段ローラガイド44によって案内される。少なくとも連続した踏板面28の間の最大の高低差hになるようにスカートパネル12の高さHを選択することにより、踏板面28と固定欄干パネル38の下側縁部との間に開いたいかなる垂直方向空間を完全に覆うことができるようになる。スカートパネル12の高さHは、踏板面28の最大の高低差hよりも僅かだけ大きくなることが多い。中央部において傾斜角βを有したエスカレータ(図5)については、H≧h・cosβの関係を導き出すことができる。
【0044】
開示した実施例は、特に、踏段バンドの旋回部において、より小さな空間を必要とし、かつ実現するのに効率的であるパネル部材によって、踏板の側面に形成される隙間を十分に閉じることができる乗客コンベアの側面パネル部材の構成を提供する。
【0045】
第1の特徴に従う一実施例においては、乗客コンベアは、継目なしの踏板バンド、少なくとも1つの継目なし駆動チェーンおよび少なくとも1つのパネル部材を備えている。継目なし踏板バンドは、複数の踏板を備えている。継目なし駆動チェーンは、駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部の周囲で駆動される。継目なし駆動チェーンは、複数の駆動チェーンリンクを備えており、該駆動チェーンリンクの各々は、各駆動チェーンローラに関連している。連続した駆動チェーンリンクは、駆動チェーンローラによって接続されている。複数の踏板は、例えば、駆動チェーンローラ駆動軸によって駆動チェーンに接続されている。少なくとも1つのパネル部材は、踏板に対して移動可能となるように踏板の側面に配置されている。少なくとも1つのパネル部材は、駆動チェーンリンクの1つに対して静止したままとなるように支持されている。踏板の各々は、複数の連続したパネル部材と関連している。
【0046】
本実施例によると、側面パネル部材は、踏板よりも小さいものとすることができる。これは、乗客コンベアの移動方向によって画定される(「深さ」と呼ぶことができる)長手方向の上記側面パネル部材の寸法に特に適用される。一例として、各踏板に関連したn個の側面パネル部材を有した一実施例においては、側面パネル部材の1つの深さは、各踏板の深さの単にn分の1倍である(ここで、nは2以上の任意の数字であり、必ずしも整数である必要はないことに留意されたい)。しかし、側面パネル部材は、側面パネル部材の各々が同じ踏板と常に関連するように、踏板バンドの継目なし移動経路に沿って踏板と一緒に移動する。したがって、踏板に対して回転可能となるように踏板に横方向に接続された従来のスカートパネルと同様に、踏板の側面において踏板の踏板面と側面パネル部材との間に形成された隙間を、物体、例えば、衣服がこの隙間に引き込まれて捕らえられることを安全に防止する程小さいものとすることができる。
【0047】
しかし、側面パネル部材の干渉が効率的に抑制されるので、側面パネル部材のより小さな寸法によって、継目なし経路の湾曲部分、特に旋回部における踏板および駆動チェーンの最小曲げ半径をより小さいものとすることができる。
【0048】
一実施例においては、少なくとも1つのパネル部材が、駆動チェーンリンクの1つに取り付けられる。上記駆動チェーンリンクに対して唯一要求されることは、側面パネル部材を取り付ける手段(例えば、各ボルトを挿入するための穴)を設ける必要があることなので、多かれ少なかれ、本実施例において従来の駆動チェーンリンクを用いることができる。特に、パネル部材を駆動チェーンリンクに固定することができ、駆動チェーンリンクから取り外し可能となるようにパネル部材を駆動チェーンリンクに取り付けることもできる。
【0049】
他の実施例においては、少なくとも1つのパネル部材は、駆動チェーンリンクの1つと一体に形成されている。本実施例においては、一連の連続したパネル部材は、拡張部を有した駆動チェーンリンクの各々または一部(例えば、任意の第2の駆動チェーンリンク)を形成することの結果として生じ、この拡張部は、実質的に運転中に側面パネル部材を形成する。駆動チェーンリンク自体は、駆動チェーンリンクに関連した駆動チェーン駆動軸と、隣接した駆動チェーンリンクの駆動チェーン駆動軸とに取り付けられることが多いものであり、側面パネル部材のアーム部を提供するように用いられる。「一体に形成される」という用語は、駆動チェーンリンクと、該駆動チェーンリンクに関連する側面パネル部材とが単一の片を形成するものとして理解され得る。また、駆動チェーンリンクは、駆動チェーンに取り付けられたアーム部と、運転中に、対応した踏板の踏板面の上方に延びる側面パネル部との双方を有するような形状とされ得る。この形状の駆動チェーンリンクは、例えば、板金をロール成形や切削して、単一の片を望ましい形状へ形成することにより、単一の片から非常に効率的に形成され得る。また、2つ以上の片を一緒に一体に結合(例えば、溶接)することにより、この形状の駆動チェーンリンクを実現することができる。
【0050】
上述の実施例の側面パネル部材は、実質的に、側面パネル部材に関連した各駆動チェーンリンクの長手方向軸の方向に沿って延びる。
【0051】
乗客コンベアの輸送エレメントの側面に形成される隙間を十分に閉じることができる側面パネル部材の効率的に実現可能な構造を提供することを考慮すると、駆動チェーンリンクと一体に側面パネル部材を形成するという考え方は、それ自体価値のあるものである。したがって、上述したいかなる他の手段から独立して、またはこれらの手段と組み合わせて、第2の特徴に従う一実施例は、乗客コンベアを提供する。乗客コンベアは、継目なしの踏板バンド、少なくとも1つの継目なし駆動チェーンおよび少なくとも1つのパネル部材を備えている。継目なし踏板バンドは、複数の踏板を備えている。継目なし駆動チェーンは、駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部の周囲で駆動される。継目なし駆動チェーンは、複数の駆動チェーンリンクを備えており、該駆動チェーンリンクの各々は、各駆動チェーンローラに関連している。連続した駆動チェーンリンクは、駆動チェーンローラによって接続されている。複数の踏板は、例えば、駆動チェーンローラ駆動軸によって駆動チェーンに接続されている。少なくとも1つのパネル部材は、踏板に対して移動可能となるように踏板の側面に配置されている。少なくとも1つのパネル部材は、駆動チェーンリンクの1つに対して静止したままとなるように支持されている。少なくとも1つのパネル部材は、駆動チェーンリンクの1つと一体に形成される。
【0052】
別の実施例においては、少なくとも1つの側面パネル部材は、アーム部およびスカート部を備えることができる。アーム部は、各駆動チェーンリンクおよび/または該駆動チェーンリンクに関連した駆動チェーンローラに接続された取付端部と、スカート部に接続された回転端部とを備えている。アーム部は、その回転軸からある距離だけ離間させてスカート部を配置するように駆動チェーンリンクの方向に延びる。
【0053】
特に、踏板バンドの旋回部において、より小さな空間を必要とするパネル部材によって乗客コンベアの輸送エレメントの側面に形成される隙間を十分に閉じることを考慮すると、上述の考え方は、それ自体価値がある。したがって、上述したいかなる他の手段から独立して、またはこれらの手段と組み合わせて、第3の特徴に従う一実施例は、乗客コンベアを提供する。乗客コンベアは、継目なしの踏板バンド、少なくとも1つの継目なし駆動チェーンおよび少なくとも1つのパネル部材を備えている。継目なし踏板バンドは、複数の踏板を備えている。継目なし駆動チェーンは、駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部の周囲で駆動される。継目なし駆動チェーンは、複数の駆動チェーンリンクを備えており、該駆動チェーンリンクの各々は、各駆動チェーンローラに関連している。連続した駆動チェーンリンクは、駆動チェーンローラによって接続されている。複数の踏板は、例えば、駆動チェーンローラ駆動軸によって駆動チェーンに接続されている。少なくとも1つのパネル部材は、踏板に対して移動可能となるように踏板の側面に配置されている。少なくとも1つのパネル部材は、駆動チェーンリンクの1つに対して静止したままとなるように支持されている。少なくとも1つのパネル部材は、アーム部およびスカート部を備えることができる。アーム部は、各駆動チェーンリンクおよび/または該駆動チェーンリンクに関連した駆動チェーンローラに接続された取付端部と、スカート部に接続された回転端部とを備えている。アーム部は、その回転軸からある距離だけ離間させてスカート部を配置するように駆動チェーンリンクの方向に延びる。
【0054】
アーム部は、数ある方向の中で、少なくとも駆動チェーンリンクの方向に延びることができる。取付端部は、駆動チェーンリンクに対して静止するように間接的に支持され得る(例えば、駆動チェーンローラの軸によって支持される)か、または直接的に支持され得る(例えば、駆動チェーンリンクに固定されるか、または駆動チェーンリンクと一体に形成される)。特に、駆動チェーンリンクを隣接した駆動チェーンリンクに接続する2つの駆動チェーンローラの一方が、回転軸を形成することができ、この回転軸を中心として、パネル部材が回転する。
【0055】
アーム部は、隣接したパネル部材のスカート部が、互いに干渉することなく、十分に大きな回転角で互いに回転することができる十分な長さを有した回転アームを提供する。したがって、第2の特徴に従う実施例によっても、特に、曲率が最大となることが多い旋回部において、踏板および駆動チェーンリンクがそれらの継目なし移動経路の湾曲部を移動するときに、側面パネル部材の干渉を効率的に抑制することができる。第1の特徴に従う実施例と同様に、これにより、旋回部において、より小さな最小曲げ半径を実現することができる。
【0056】
上述の第1の特徴に従う実施例と同様に、側面パネル部材は、常に同じ踏板と関連し、踏板バンドの継目なし移動経路に沿って踏板と一緒に移動することになるが、踏板に対して移動可能である。したがって、第1の特徴および第2の特徴に従う実施例と同様に、第3の特徴に従う実施例は、踏板の側面において踏板の踏板面と側面パネル部材との間の隙間を、物体、例えば、衣服がこの隙間に引き込まれて捕らえられることを安全に防止する程小さいものとすることができるという利点をもたらす。
【0057】
エスカレータに関しては、十分な長さを有した回転アームを設けることは、付加的な重要な利点をもたらす。つまり、回転アームが長いほど、湾曲部における側面部材の回転運動の半径が大きくなる。上記回転運動の半径がパネル部材の最大高さを制限するので、エスカレータの傾斜した中央部を移動するときでさえも、隣接した踏段の踏板面の間の高低差を越えて延びるほど十分に高くなるようにしてパネル部材を形成することができる。
【0058】
乗客コンベアのさらに別の実施例においては、少なくとも1つのパネル部材が、第1の境界縁部と、該第1の境界縁部とは反対側の第2の境界縁部とを備えることができる。第1の境界縁部は、凹状の曲率を備えている。凹状の曲率を有する縁部を備えたスカート部について、湾曲した縁部の2点を接続する直線は、スカート部の外側に延びることが多い。第1の境界縁部および第2の境界縁部は、これらの間にスカート部を画定することができる。
【0059】
特に、第2の境界縁部は、凸状の曲率を備えることができる。凸状の曲率を有する第2の境界縁部を備えたスカート部について、湾曲部の2点を接続する線は、スカート部の内側に延びることが多い。本実施例においては、スカート部は、鎌形状を有するものと言われることがある。
【0060】
特に、踏板バンドの旋回部において、より小さな空間を必要とするパネル部材によって乗客コンベアの輸送エレメントの側面に形成される隙間を十分に閉じることを考慮すると、上述の考え方は、それ自体価値がある。したがって、上述したいかなる他の手段から独立して、またはこれらの手段と組み合わせて、第4の特徴に従う一実施例は、乗客コンベアを提供する。乗客コンベアは、継目なしの踏板バンド、少なくとも1つの継目なし駆動チェーンおよび少なくとも1つのパネル部材を備えている。継目なし踏板バンドは、複数の踏板を備えている。継目なし駆動チェーンは、駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部の周囲で駆動される。継目なし駆動チェーンは、複数の駆動チェーンリンクを備えており、該駆動チェーンリンクの各々は、各駆動チェーンローラに関連している。連続した駆動チェーンリンクは、駆動チェーンローラによって接続されている。複数の踏板は、例えば、駆動チェーンローラ駆動軸によって駆動チェーンに接続されている。少なくとも1つのパネル部材は、踏板に対して移動可能となるように踏板の側面に配置されている。少なくとも1つのパネル部材は、駆動チェーンリンクの1つに対して静止したままとなるように支持されている。少なくとも1つのパネル部材が、第1の境界縁部と、該第1の境界縁部とは反対側の第2の境界縁部とを備えることができる。第1の境界縁部は、凹状の曲率を備えており、第2の境界縁部は、凸状の曲率を備えている。
【0061】
特定の実施例においては、第1の境界縁部および第2の境界縁部は、第1の境界縁部上の各点が、第2の境界縁部上の対応した点に対して同じ距離にあるという意味で、互いに平行となり得る。特に、第1の境界縁部および第2の境界縁部は、同じ曲率を備えることができる。第2の境界縁部は、第1の境界縁部を距離dだけ直線的に離間させて配置することにより導き出され得る。
【0062】
特定の実施例においては、第1の境界縁部は、円形状を備えることができる。円は、必ずしも完全な円の周縁部を示すものではなく、円の扇形の周縁部を示すことを意図している。扇形は、180°までの角度を有するように選択され得る。
【0063】
一例として、第1の境界縁部は、第1の円の円周の部分に沿って延びることができ、該第1の円は、パネル部材を取り付ける、またはパネル部材と関連する駆動チェーンリンクに隣接して配置された駆動チェーンローラの双方のうちの一方の軸を中心とした半径Rを備えている。上記駆動チェーンローラの駆動チェーンローラ軸は、パネル部材の回転軸を形成することになる。したがって、パネル部材の第1の境界縁部は、半径Rを有した上記第1の円の周縁部に沿って駆動チェーンリンクと一緒に回転することになる。特定の実施例においては、第1の円の半径Rは、隣接した駆動チェーンローラの間の距離に等しくなり得る、つまり、第1の円の半径Rは、駆動チェーンのピッチと等しくなり得る。
【0064】
また、第2の境界縁部は、円形状を有することができる。上記の説明と同様に、円形状は、必ずしも完全な円の周縁部を示すものではなく、円の扇形の周縁部を示すことを意図している。扇形は、180°までの扇形とすることができる。特に、本実施例においては、第2の境界縁部は、パネル部材に関連した駆動チェーンリンクに隣接して配置された駆動チェーンローラの他方を中心とした第2の円の円周の部分に沿って延びることができる。したがって、第2の円は、第1の円から駆動チェーンのピッチだけ離間して配置されることになる。第2の円は、第1の円と同じ半径Rを備えることができる。
【0065】
第1の駆動チェーンリンクに関連した第1のパネル部材の第1の境界縁部と、第2の駆動チェーンリンクに関連した隣接した第2のパネル部材の第2の境界縁部とが、同じ曲率を有しているならば、直線部から湾曲部(例えば、移行部または旋回部)へと変化する継目なし経路の異なる部分をパネル部材が移動しているときに、第1の境界縁部および第2の境界縁部は、互いに沿って容易にスライドすることができる。このようなスライドする動きは、例えば、対応した溝部へ嵌合する凸部の形態として、または厚さ方向に互いに相補的に形成された凹部の形態として、境界縁部の小さなオーバラップ部を含むことができる。
【0066】
さらに別の実施例においては、スカート部が、上側縁部と、該上側縁部とは反対側の下側縁部との間に画定され得る。上側縁部および下側縁部は、互いに水平かつ平行に配置され得る。水平な上側縁部および下側縁部は、第1の境界縁部と第2の境界縁部とを相互接続することができる。一例として、上側縁部および下側縁部は、共に距離Hを備えることができ、1.6R≦H≦2Rの関係が適用される。
【0067】
例えば、下方の入口地点から上方の出口地点へと上方に輸送するエスカレータの進路にわたってエスカレータの踏段の移動経路において、踏段は、個々の踏段の踏板面が1つの平面上に実質的に配置された状態で、実質的に水平位置にある入口地点のくし板の下側に現れる。踏段の移動経路は、この水平部から、下側移行部および傾斜部の傾斜した移動経路へと徐々に変化する。上側移行部においては、移動経路は、踏段が出口地点においてくし板の下側に最終的に消えるまで水平の移動経路へと戻る。個々の踏段の踏板面は、この全面的に露出した移動経路にわたって水平位置を維持する。隣接した踏段の踏板面の間の垂直方向距離hのみが、出発時のゼロから、移動経路の傾斜領域の最大距離へと変化し、そして、再び実質的にゼロへと減少する。
【0068】
さらに別の実施例においては、乗客コンベアは、傾斜部を有したエスカレータとすることができる。踏板は、傾斜部を移動しているときに踏段高さhを有してなる踏段を形成することができる。本実施例においては、パネル部材の上側縁部と下側縁部との間の距離Hは、傾斜部の踏段の踏段高さhと実質的に等しいか、またはこれより僅かに大きくなるように選択され得る。より明確には、H≧h・cosβの関係が適用される。βは、水平に対して計測されたエスカレータの傾斜角である。また、(上述の)H≦2Rの関係と一緒に、R≧0.5h・cosβの関係が導き出される。
【0069】
さらに別の実施例においては、上側縁部および下側縁部は、連続した駆動チェーンローラの間の距離Lに実質的に等しい長さdをそれぞれ有することができる、つまり駆動チェーンのピッチと実質的に等しいものとすることができる。
【0070】
特に、駆動チェーンローラは、駆動チェーンローラガイドによって案内され得る。さらに、各踏板を駆動チェーンに支持する駆動チェーンローラ駆動軸が、踏板の前方側の近傍に配置され得る。踏板の各々は、前面、後面および2つの側面によって画定された踏板面を備えることができる。
【0071】
別の実施例においては、複数の第1のパネル部材および第2のパネル部材が、踏板の側面にそれぞれ連続的に配置され得る。輸送チャネルが、側面パネル部材の間を移動する踏板によって形成されるように、複数の連続した第1のパネル部材は、踏板の一方の側面に配置され、複数の連続した第2のパネル部材は、踏板の反対の側面に配置され得る。
【0072】
乗客コンベアのさらに別の実施例においては、複数のパネル部材は、連続したパネル部材が、踏板の移動経路に沿った踏板の側面に延びる開いた垂直方向の空間を覆うように連続的に配置され得る。
【0073】
乗客コンベアは、互いに平行に移動するように踏板の各側面に配置された第1の駆動チェーンおよび第2の駆動チェーンをさらに備えることができ、第1の駆動チェーンおよび第2の駆動チェーンの各々は、第1の旋回部および第2の旋回部の周囲で駆動される。
【0074】
踏板の各々は、(共通の)駆動チェーンローラ駆動軸によって第1の駆動チェーンおよび第2の駆動チェーンに接続され得る。第1のパネル部材および第2のパネル部材の各々は、駆動チェーンリンクに対して静止したままとなるように駆動チェーンリンクの1つによって支持され得る。
【0075】
別の実施例においては、駆動チェーンリンクの各々は、パネル部材の1つと関連し得る。この実施例においては、駆動チェーンリンクは、各側面パネル部材を直接的に支持するか、または、例えば、パネル部材が駆動チェーンローラによって直接的に支持される場合に、駆動チェーンリンクをこれに隣接したリンクに接続する駆動チェーンローラによって、各側面パネル部材を間接的に支持する。
【0076】
特に、連続した駆動チェーンローラの間の距離(つまり、連続した駆動チェーンリンクまたは駆動チェーンローラの距離によって定義される駆動チェーンのピッチ)が、踏板自体のピッチよりも小さいものとなり得る。この構成では、各n番目の駆動チェーンローラのみが、駆動チェーンローラ駆動軸によって踏板の1つに接続される。
【0077】
各駆動チェーンリンクおよび/または該駆動チェーンリンクに関連した駆動チェーンローラが側面パネル部材の1つを支持するさらに別の実施例においては、パネル部材は、駆動チェーンリンクに固定され得るか、または駆動チェーンリンクと一体に形成され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の踏板(24)を有した継目なし踏板バンドと、
駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部(14)の周囲で駆動される、複数の駆動チェーンリンク(18)を有した少なくとも1つの継目なし駆動チェーン(26)であって、前記駆動チェーンリンク(18)の各々が、各駆動チェーンローラ(30)と関連し、連続した前記駆動チェーンリンク(18)が前記駆動チェーンローラ(30)によって接続され、前記複数の踏板(24)が接続された少なくとも1つの継目なし駆動チェーン(26)と、
前記踏板(24)に対して移動可能となるように前記踏板(24)の側面に配置された少なくとも1つのパネル部材(12)であって、前記駆動チェーンリンク(18)の1つに対して静止したままとなるように支持された少なくとも1つのパネル部材(12)と、
を備え、
前記踏板(24)の各々は、複数の連続したパネル部材(12)と関連していることを特徴とする乗客コンベア(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパネル部材(12’)が、前記駆動チェーンリンク(18’)の1つに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのパネル部材(12’’)が、前記駆動チェーンリンク(18’’)の1つと一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア(10)。
【請求項4】
複数の踏板(24)を有した継目なし踏板バンドと、
駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部(14)の周囲で駆動される、複数の駆動チェーンリンク(18)を有した少なくとも1つの継目なし駆動チェーン(26)であって、前記駆動チェーンリンク(18)の各々が、各駆動チェーンローラ(30)と関連し、連続した前記駆動チェーンリンク(18)が前記駆動チェーンローラ(30)によって接続され、前記複数の踏板(24)が接続された少なくとも1つの継目なし駆動チェーン(26)と、
前記踏板(24)に対して移動可能となるように前記踏板(24)の側面に配置された少なくとも1つのパネル部材(12)であって、前記駆動チェーンリンク(18)の1つに対して静止したままとなるように支持された少なくとも1つのパネル部材(12)と、
を備え、
前記少なくとも1つのパネル部材(12’’)が、前記駆動チェーンリンク(18’’)の1つと一体に形成されることを特徴とする乗客コンベア(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのパネル部材(12)は、アーム部(12a)およびスカート部(12b)を備え、前記アーム部(12a)は、各駆動チェーンリンク(18)および/または該駆動チェーンリンク(18)に関連した駆動チェーンローラ(30)に接続された取付端部と、前記スカート部(12b)に接続された回転端部とを備え、前記アーム部(12a)は、その回転軸(X)から距離(L)に前記スカート部(12b)を配置するように前記駆動チェーンリンク(18)の方向に延びることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の乗客コンベア(10)。
【請求項6】
複数の踏板(24)を有した継目なし踏板バンドと、
駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部(14)の周囲で駆動される、複数の駆動チェーンリンク(18)を有した少なくとも1つの継目なし駆動チェーン(26)であって、前記駆動チェーンリンク(18)の各々が、各駆動チェーンローラ(30)と関連し、連続した前記駆動チェーンリンク(18)が前記駆動チェーンローラ(30)によって接続され、前記複数の踏板(24)が接続された少なくとも1つの継目なし駆動チェーン(26)と、
前記踏板(24)に対して移動可能となるように前記踏板(24)の側面に配置された少なくとも1つのパネル部材(12)であって、前記駆動チェーンリンク(18)の1つに対して静止したままとなるように支持された少なくとも1つのパネル部材(12)と、
を備え、
前記少なくとも1つのパネル部材(12)は、アーム部(12a)およびスカート部(12b)を備え、前記アーム部(12a)は、各駆動チェーンリンク(18)および/またはこの駆動チェーンリンク(18)に関連した駆動チェーンローラ(30)に接続された取付端部と、前記スカート部(12b)に接続された回転端部とを備え、前記アーム部(12a)は、その回転軸(X)から距離(L)に前記スカート部(12b)を配置するように前記駆動チェーンリンク(18)の方向に延びることを特徴とする乗客コンベア(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのパネル部材(12)は、第1の境界縁部(48)と、該第1の境界縁部(48)とは反対側の第2の境界縁部(50)とを備えており、前記第1の境界縁部(48)は、凹状の曲率を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の乗客コンベア(10)。
【請求項8】
前記第2の境界縁部(50)は、凸状の曲率を備えることを特徴とする請求項7に記載の乗客コンベア(10)。
【請求項9】
複数の踏板(24)を有した継目なし踏板バンドと、
駆動装置によって、第1の旋回部および第2の旋回部(14)の周囲で駆動される、複数の駆動チェーンリンク(18)を有した少なくとも1つの継目なし駆動チェーン(26)であって、前記駆動チェーンリンク(18)の各々が、各駆動チェーンローラ(30)と関連し、連続した前記駆動チェーンリンク(18)が前記駆動チェーンローラ(30)によって接続され、前記複数の踏板(24)が接続された少なくとも1つの継目なし駆動チェーン(26)と、
前記踏板(24)に対して移動可能となるように前記踏板(24)の側面に配置された少なくとも1つのパネル部材(12)であって、前記駆動チェーンリンク(18)の1つに対して静止したままとなるように支持された少なくとも1つのパネル部材(12)と、
を備え、
前記少なくとも1つのパネル部材(12)は、第1の境界縁部(48)と、該第1の境界縁部(48)とは反対側の第2の境界縁部(50)とを備え、前記第1の境界縁部(48)は、凹状の曲率を備え、前記第2の境界縁部(50)は、凸状の曲率を備えることを特徴とする乗客コンベア(10)。
【請求項10】
前記第1の境界縁部(48)は、円形状を備えることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の乗客コンベア(10)。
【請求項11】
前記第1の境界縁部(48)は、第1の円(C)の円周部の部分に沿って延び、該第1の円(C)は、前記パネル部材(12)に関連した前記駆動チェーンリンク(18)に隣接して配置された前記駆動チェーンローラ(30)の双方のうちの一方の軸(X1)を中心とした半径Rを備えることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の乗客コンベア(10)。
【請求項12】
前記第1の円Cの半径Rは、隣接した駆動チェーンローラの間の距離と等しいことを特徴とする請求項11に記載の乗客コンベア(10)。
【請求項13】
前記第2の境界縁部(50)は、円形状を備えることを特徴とする請求項7〜12のいずれかに記載の乗客コンベア(10)。
【請求項14】
前記第2の境界縁部(50)は、第2の円の円周部の部分に沿って延び、該第2の円は、前記パネル部材に関連した前記駆動チェーンリンク(18)に隣接して配置された前記駆動チェーンローラ(30)の他方を中心とすることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載の乗客コンベア(10)。
【請求項15】
前記第2の円は、前記第1の円(C)と同じ半径Rを備えることを特徴とする請求項14に記載の乗客コンベア(10)。
【請求項16】
前記スカート部(12b)は、上側縁部(52)と、該上側縁部(52)とは反対側の下側縁部(54)との間に画定され、前記上側縁部(52)および前記下側縁部(54)は、互いに水平でかつ平行であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の乗客コンベア(10)。
【請求項17】
前記上側縁部(52)および前記下側縁部(54)は、前記第1の円(C)の直径よりも僅かに小さい距離(H)を備えることを特徴とする請求項16に記載の乗客コンベア(10)。
【請求項18】
前記乗客コンベア(10)は、傾斜部を有したエスカレータであり、前記踏板(24)は、前記傾斜部を移動するときに踏段高さ(h)を有する踏段を形成し、前記パネル部材(12)の前記上側縁部(52)と前記下側縁部(54)との間の前記距離(H)は、前記踏段高さ(h)と実質的に等しいか、または前記踏段高さ(h)よりも僅かに大きいことを特徴とする請求項16または17に記載の乗客コンベア(10)。
【請求項19】
前記上側縁部(52)および前記下側縁部(54)の各々は、連続した前記駆動チェーンローラ(30)の間の距離(L)と実質的に等しい長さ(d)を備えることを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の乗客コンベア(10)。
【請求項20】
前記駆動チェーンリンク(18)の各々は、前記パネル部材(12)の1つと関連することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の乗客コンベア(10)。
【請求項21】
前記少なくとも1つのパネル部材(12)は、前記駆動チェーンリンク(18)の1つによって固定されていることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の乗客コンベア(10)。
【請求項22】
複数のパネル部材(12)は、連続したパネル部材(12)が前記踏板(24)の側面において固定側面パネル部材(38)の下側縁部と前記踏板(24)の前記踏板面(28)との間に延びる開いた空間を覆うように連続的に配置されることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の乗客コンベア(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−508238(P2013−508238A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533703(P2012−533703)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007144
【国際公開番号】WO2011/045626
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(591020353)オーチス エレベータ カンパニー (402)
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
【Fターム(参考)】