説明

移動可能な車両構成要素の駆動ユニット

本発明は、ロック装置(21)と、移動可能な構成要素(3)の調節装置(6)とに連結される、移動可能な車両構成要素(1、3)、特にコンバーチブルのコンバーチブルトップ仕切りカバーの駆動ユニット(15)に関する。移動工程を改善するために、駆動ユニットは、伝達ユニット(16、20;16’、20’)を介してロック装置(21)に連結される。好ましくは、伝達ユニットは比率を増大させ、この比率において、ロック装置に関連付けられた駆動ユニットが、それ相応に力伝達比を低減しつつ、特に3〜5の係数だけ移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動可能な車両構成要素、特にコンバーチブルのコンバーチブルトップ仕切りカバーの駆動ユニットであって、移動可能な構成要素の軸受装置に、さらにロック装置に連結される駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、最初に、車両のコンバーチブルトップの軸受装置の主リンクに連結され、次に、ロックレバーのロックフックに連結される駆動ユニットを開示している。ロックフックはコンバーチブルトップをその載置位置でロックする。ロックフックのための駆動力は、油圧ピストン/シリンダユニットとして形成された駆動ユニットから直接伝達されるので、ロック動作部またはロックレバーは、動作が阻止される場合、ピストン/シリンダユニットの完全な力を受ける。したがって、ロック動作部の関連付けられた構成要素は、大きな力に応じて安定するように寸法決めされなければならず、これにより、構成要素は比較的重くなる。
【0003】
駆動力が駆動動作部の異なる構成部材から伝達された場合、ロックフックにまたはロック装置に必要な閉鎖距離が、一般に、動作構成要素が進んだ移動距離よりも短くなるという問題が生じる。したがって、移動の低減を保証しなければならず、このことにより、力の伝達が増大し、この結果、阻止を行う際に、ロック動作部または係止動作部に対する負荷は、ピストン/シリンダユニットに直接連結する場合よりもさらに大きくする必要がある。
【特許文献1】独国第10313496B4号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、ロック装置の作動が改善された冒頭に記載した駆動ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
冒頭に記載した駆動ユニットの場合、この目的は、本発明によれば、駆動ユニットが、伝達ユニットを介してロック装置に連結されることによって達成される。伝達ユニットによって、駆動ユニットおよびロック装置の移動距離を互いに調節するかまたは適合させることが可能になり、この措置により、駆動ユニットの作動力も低減される。力に関する低減ユニットを構成する伝達ユニットは、1つの構成要素または2つ以上の構成要素を備えることが可能であり、それらの構成要素は、例えば連結動作構造を形成する。
【0006】
移動可能な構成要素は、コンバーチブルのコンバーチブルトップ仕切りカバー、コンバーチブルトップ仕切りカバーを支持するフレーム、コンバーチブルのコンバーチブルハードトップルーフまたはコンバーチブルトップルーフ、さもなければ、例えば旋回可能に取り付けられたリンクによって移動させることができ、2つの終端位置に調節でき、かつ終端位置の少なくとも一方にロックできる車両またはコンバーチブルの異なる部分であり得る。
【0007】
本発明の有利な改良形態は従属請求項に示されている。
【0008】
好ましい形態によれば、伝達ユニットが、特に3〜5の係数だけ、駆動ユニットの、ロック装置に関連する移動距離の伝達比を増大させることが意図される。このことによって実現された効果により、ロック装置が必要とする移動距離に対して、駆動ユニットの移動距離が低減され、比較的短くて済む。必要になった場合に、伝達比の増大を例えば2〜10の係数にすることも可能であるが、これらの制限値に限定されない。距離の伝達比を増大させることにより、対応する力の低減も行われ、したがって、移動を阻止している間における、ロック装置の構成要素に対するおよび駆動ユニットとロック装置との間の伝達要素に対する、駆動ユニットによって加えられる負荷が低減される。
【0009】
伝達ユニットは、好ましくは、最初に、車両に固定されるように旋回可能に取り付けられ、次に、ジョイントにおいてロック装置にまたはロック装置の補助構成要素に連結される伝達レバーを含み、この伝達レバーにおいて、駆動装置の係合箇所は、前記2つの連結箇所の間にまたは前記連結箇所の外側に配置される。したがって、伝達ユニットまたは伝達レバーは、異なる方法で中間に連結することができ、多数の構造条件に適合させることができる。駆動装置の係合箇所が2つの上記連結箇所の間に配置された場合、伝達レバーは駆動運動を同一の方向に伝達する。アームがロック装置の連結器の反対側にあるように伝達レバーの旋回取付部に対して延びるアームに、駆動装置の係合箇所が配置された場合、駆動運動の方向が反転される。
【0010】
好ましくは、構成要素が第2の終端位置の方向に移動された場合に駆動ユニットの後退を防止する阻止装置が設けられる。したがって、構成要素の調節中に構成要素への望ましくない力の印加があったとしても、構成要素の規定されたおよび遊びのない移動が可能である。阻止装置は構成要素の軸受装置または調節装置と相互作用でき、特に、それらの軸受装置または調節装置によって、阻止装置を作動させることができる。好ましくは、阻止装置は阻止要素を含み、この阻止要素は、ロック装置に、特にロック装置のロックフックに配置され、かつ構成要素の調節装置に配置された阻止部に係合して阻止を行うことができる。
【0011】
例示的な2つの実施形態を用いて、かつ図面を参照して、駆動ユニットについて以下により詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
コンバーチブル(図示せず)のコンバーチブルトップ仕切りカバー1は、それぞれの連結装置2(具体的には図示せず)によってフレーム3の横方向前部フレーム部の両側に取り付けられ、前記フレームに固定されるコンバーチブルトップ仕切りカバー1が、その前縁4を持ち上げられ、また載置されかつ特にハードトップルーフまたはコンバーチブルトップルーフであることができる折り畳み可能なまたは折り畳み式のルーフ用の通路開口部を開くように、折り畳み可能なまたは折り畳み式のルーフが後部コンバーチブルトップ格納空間に載置される前にフレームが後方に旋回される。コンバーチブルトップ仕切りカバー1は、フレーム3が車体に固定された場合、フレームの後縁5でフレームの閉鎖位置からフレーム1または車体に対して旋回され、したがって、トランクの積載開口部を開くことによって、トランクカバーとして機能することも可能である。独国特許発明第4445944C1号明細書は、基本的に、この種類のコンバーチブルトップ仕切りカバーを開示しており、このコンバーチブルトップ仕切りカバーは、補助フレームが、車体に固定された旋回軸を中心に旋回できるように、車両後部に取り付けられた補助フレームを介して支持される。
【0013】
コンバーチブルトップ仕切りカバー1のフレーム3は、車体に固定されたフレーム3のジョイント8と9および軸受板12のジョイント10と11と共に4ジョイント機構を形成するそれぞれの主リンク6および補助リンク7によって車体の両側に旋回可能に取り付けられる。フレーム1は、例えば、独国特許発明第4445944C1号明細書に開示されている補助フレームによれば、前方に開くようなU字状構造である。
【0014】
主リンク6は、旋回軸または軸受軸を形成するジョイント8を越えて延びる湾曲した延長部13を有し、油圧ピストン/シリンダユニット15の形態の駆動ユニットはジョイント14の延長部の端側に連結される。ピストン/シリンダユニット15は、ジョイントまたは連結箇所17において伝達レバー16の他方の端部に支持され、ジョイントまたは連結箇所は、伝達レバー16の旋回取付部18と、連結ロッド20がジョイント19に連結される旋回取付部の反対端との間の軸受板12に配置される。連結ロッド20は、車体におけるまたは軸受板12におけるフレーム3の終端位置または閉鎖位置でフレームを固定するロック装置のロックフック21に向かって上方に延びる。ロックフック21は、車体の旋回軸22の周囲に旋回可能に取り付けられ、かつフレーム3から下方に突出する支持部24に固定されるボルト23の背部に係合する。
【0015】
引張りばね25は、連結ロッド20のジョイント19の近傍において、最初に伝達レバー16に固定され、次に軸受板12に固定され、そして伝達レバー16にプレストレスを加え、したがって、ロック装置をその閉鎖位置に向かわせる。車体に固定されかつ例えば軸受板12に形成されるストッパ26によって、引張りばね25の力の方向に抗する開放方向への伝達レバー16の旋回距離が制限される。
【0016】
コンバーチブルトップ仕切りカバー1のおよびフレーム3の閉鎖位置(図1を参照)において、ピストンロッド27が後退された場合、ピストン/シリンダユニット15は加圧されない。引張りばね25が連結ロッド20を使用して、ロックフック21をそのロック位置で締め付け、このロック位置において、ロックフックにより、スリーブで囲み得るボルト23が車体に固定されてロックされ続ける。フレーム3の下方に先細りする案内部28は、車体の対応する収容部29にセンタリングするように収容され、このようにして、フレーム3のy−z支持部(x−y−z座標系における)が形成され、一方、ロックフック21によってx支持部が許容される。
【0017】
コンバーチブルトップ仕切りカバー1を開くために、かつフレーム3を上方に旋回させるために、ピストン/シリンダユニット15のピストンロッド27を伸長させることによってピストン/シリンダユニットが伸長するように、そのピストン/シリンダユニットに圧力が加えられる。最初に、ピストン力または拡張力によって、伝達レバー16が、引張りばね25の力に抗してストッパ26まで下方に旋回されるが、この理由は、フレーム3とコンバーチブルトップ仕切りカバー1とが重いことにより、主リンク6が、伝達レバー16およびそれに連結されたロック装置を旋回させるのに必要な調節力よりも大きい抗力をピストン/シリンダユニット15に加えるからである。
【0018】
ピストン/シリンダユニット15は、その連結箇所17によって、実質的に、連結ロッド20のジョイント19よりも伝達レバー16の旋回取付部18に近接して連結され、その結果、提供された構造によれば、例えば、連結ロッド20に対して4の係数だけ、ピストン/シリンダユニット15の移動距離の伝達比の増大が生じる。連結ロッド20の調節距離の一定の長さについて、例えば20mmであった場合、ピストン/シリンダユニット15の移動距離は5mmで済む。移動距離の伝達比を増大させることにより、それと同時に、連結ロッド20に対するピストン/シリンダユニット15の作動力の対応する低減が同程度に生じ、この結果、構成要素をより小さく寸法決めすることができ、したがって、より軽量に構成することができる。さらに、主リンク6のまたはロック装置の移動を阻止した場合、油圧ピストン/シリンダユニット15の大きな調節力は、ロック装置の伝達比の範囲で低減され、このようにして、より重大な損傷を回避することが可能になる。
【0019】
連結ロッド20の移動距離によって、ロックフック21が、開放位置と閉鎖位置との間における必要な旋回運動を行うことができるように、連結ロッド20をロックフック21に連結するジョイント30が前記ロックフックに配置される。
【0020】
ロックフック21がロック解除された場合(図2を参照)、ジョイント14を介して、ピストンロッド27のさらなる伸長により主リンク6が開放方向(図2から図3への移動)に調節されるように、伝達レバー16、さもなければロック動作部の他の構成要素がストッパ26またはその上に当接する。
【0021】
環状部31が、その内側支持経路33によって、図2の位置で、軸受板12に対して横方向にロックフック21から突出する支持ボルト34の背部から係合し始めるように、軸受軸10に対して同心である環状部31が、主リンク6に固定取り付けされる支持板32によって前記主リンクの軸受軸10の領域に固定される。阻止案内溝を形成する環状部31によって、ロックフック21は閉鎖方向への旋回を阻止し、その結果、伝達レバー16に取り付けられるピストン/シリンダユニット15の当該端部は、望ましくない負荷または抗力が、開いているコンバーチブルトップ仕切りカバー1および/またはフレーム3に作用したとしても、伝達レバーによって位置固定されるように保持される。
【0022】
ピストンロッド27のさらなる伸長によって、主リンク6がその開放終端位置に旋回され(図3から図4への移動)、この開放終端位置において、フレーム3は、コンバーチブルトップ仕切りカバー1と共に後方に旋回され、したがって、コンバーチブルトップを後退または伸長させるための開放が開始される。伝達レバー16はストッパ26に当接し、ロックフック21は、その係合部を介して環状部31に対する反対側の支持を行う。したがって、ピストン/シリンダユニット15の下部連結箇所17は固定位置に保持される。開放位置において、フレーム3がコンバーチブルトップ仕切りカバー1と共に、その取付部に対して死点を越えた位置を取った場合、すなわち、フレーム3とコンバーチブルトップ仕切りカバー1とを備えるユニットの重心が、軸受軸を介して後方に移動されており、ユニットが例えば支持部に当接している場合、ピストン/シリンダユニット15を加圧せずに切り換えることができる。
【0023】
図1による閉鎖位置において、ピストン/シリンダユニット15の加圧なしの切り換えを行うことも可能である。次に、駆動モード中に振動したとしても、ロックフック21が開くことができないようなピストン/シリンダユニット15のシリンダハウジングの重量になるように、引張りばね25によって、ロック装置およびロックフック21には、閉鎖位置に向かうようにプレストレスが加えられる。
【0024】
コンバーチブルトップ仕切りカバー1およびフレーム3の閉鎖は、ピストン/シリンダユニット15のピストンロッド27を後退させることによって、移動とは逆の順序で行われる。この場合、ピストンロッド27が、図2による位置からさらに後退したとき、支持ボルト34が阻止案内溝または環状部31から解放されると、伝達レバー16は上方に(図2による反時計回り方向に)旋回され、ロックフック21はボルト23に係合しつつフレーム3をその終端位置に引っ張り、案内部28は収容部29の中央に収容される。
【0025】
伝達ユニットと共に駆動ユニットを設計することによって、ロック装置およびロックフック21に関する力レベルおよび移動距離を自由に選択できる。伝達すべき力が小さくて済むということは、構成要素のより簡単で、かつ摩耗の少ない取り付けを利用できることを意味している。簡単に構成された軽量の部分によって、ロック装置の阻止力を実現できる。
【0026】
駆動ユニットの第2の例示的な実施形態(図6〜図9を参照)では、ピストン/シリンダユニット15(図6と図7の一点破線で概略的に図示)は、ジョイント35において、伝達レバー16’を主リンク6と同軸に旋回させることができるようにジョイント10に取り付けられる伝達レバーに連結される。伝達レバー16’はジョイント36で連結ロッド20’に連結され、次に、この連結ロッドはジョイント37でロックフック21’に連結され、このロックフックは、旋回軸38で軸受板12に旋回可能に連結され、例えばフレーム3の後縁領域に固定されるロックボルト23’のようなロック部にロック係合するために設けられる。伝達レバー16’は、ジョイント10に対して2つのアームで形成され、ピストン/シリンダユニット15の連結器は、短いアームのジョイント35に配置され、連結ロッド16’用のジョイント36は、反対側の長いアームに配置され、ジョイント36と、旋回軸を形成するジョイント10との間の距離は、ピストン/シリンダユニット15の連結器のジョイント35とジョイント10との間の距離の倍数である。
【0027】
連結ロッド41は、ジョイント40において、軸受軸を形成するジョイント10を越えて延びる主リンク6の湾曲した延長部13の端側に連結され、次に、前記連結ロッドは、ジョイント42において、略T字状のクランク44の横方向に突出するアーム43に旋回可能に連結される。クランク44は、回転軸線45で軸受板12に旋回可能に取り付けられ、かつクランクの基部46に2つのジョイント47と48を含み、これらのジョイントは回転軸線45に対して互いに反対側にあり、これらのジョイントには、クロスリンク機構のそれぞれのクロスリンク49と50が連結される。2つのクロスリンク49と50の他方の端部は、互いに離間したジョイント52と53において、駆動リンク51にクロスリンク構造で連結され、ジョイント53は、駆動リンク51の一方の端部に配置され、この駆動リンクの他方の端部はジョイント54で振動レバー55に連結され、次に、この振動レバーはジョイント56で軸受板12の下端に旋回可能に連結される。
【0028】
リンクの全ては平坦な板状構成要素として形成され、したがって、調節装置は、車両の横方向の極めて細い構造である。
【0029】
フレーム3およびコンバーチブルトップ仕切りカバー1の閉鎖位置(図6を参照)において、ピストン/シリンダユニット15のピストンロッド27は後退され、クランク44は、駆動リンク51とクロスリンク機構とを介して、連結ロッド41の長手方向軸が本質的にクランク44の回転軸線45を通過する終端位置に旋回される。したがって、クランク44の連結ロッド41は死点位置に配置され、この死点位置では、主リンク6によって連結ロッド41に加えられた力により、クランク44の動作が生じることはない。したがって、閉鎖位置では、ピストン/シリンダユニット15に対する力が軽減される。
【0030】
駆動リンク51の3つのジョイント52、53および54は、例えば、略直線上にあるが、図9に示されている終端位置または閉鎖位置において、駆動リンク51が、ジョイント48を含むクランク44の当該端部の周囲に空間節約的に係合し、したがって、クランク44および駆動リンク51を本質的に旋回面に空間節約的に配置できるように、駆動リンク51がジョイント52と54の間で湾曲するかまたは隆起している。
【0031】
ロック動作部は、ロック位置に配置され、かつロックフック21によってロックされたフレーム3のロックボルト23’を保持する。
【0032】
コンバーチブルトップ仕切りカバー1の前縁4を上方に旋回させるために、ピストン/シリンダユニット15が作動され、最初に、ピストンロッド27が伸長してその長さが増大することにより、伝達レバー16’が時計回り方向(図6による)に旋回され、かつロックフック21が連結器20’を介して開かれ、ロックボルト23’が解放される。最初に、ピストン/シリンダユニット15の初期膨張によって、ロック動作部が作動されるが、この理由は、このために、比較的小さい力が必要となるからであり、これに対して、コンバーチブルトップ仕切りカバー1とフレーム3とが重いことにより、クロスリンク49と50を介して連結されたクランク44または駆動リンク51の移動には、より大きい力が必要となる。
【0033】
伝達レバー16’の旋回軸10からジョイント35と36までの距離が異なることにより、調節距離またはロック解除距離の伝達比が増大し、したがって、ロック動作部またはロックフック21をロック解除するためのピストン/シリンダユニット15の長さの増大は少なくて済む。それに応じて、ピストン/シリンダユニット15の力が低減される。
【0034】
ロックフック21がロック解除された場合、そのロックフック、またはロック動作部の他の構成要素はストッパに当接し、したがって、ジョイント54を介してピストンロッド27がさらに伸長することにより、駆動リンク51が開放方向(図6から図7への移動)に調節され、前記駆動リンクは、2つのクロスリンク49と50を介してクランク44を旋回させる。中間に連結される連結ロッド41を介して、主リンク6がその軸受軸10を中心に旋回され、最初に、回転するクランク44によって、ジョイント40で連結ロッド41の小さな移動のみが生じ、したがって、最初は主リンク6のゆっくりとした旋回が生じる。また、移動速度のこの低減により、望ましい二次効果として、主リンク6への大きな調節力または開放力の伝達が行われる。
【0035】
ここで、ロックフック21の支持ボルト34は、第1の例示的な実施形態に対応して、環状部31の内側支持経路33の背部に係合され、したがって、ロックフック21が閉鎖方向に旋回することが防止され、その結果、望ましくない負荷または抗力が、開いているコンバーチブルトップ仕切りカバー1およびフレーム3に作用したとしても、伝達レバー16’に取り付けられるピストン/シリンダユニット15の当該端部はその固定位置に保持される。
【0036】
ピストンロッド27のさらなる伸長によって、駆動ユニットが、図7と図8に示されている位置に移動され、この位置において、クランク44のアーム43と連結ロッド41とが互いに略直角の位置にあるため、ピストンロッド27を移動させることにより、連結ロッド41の最大調節移動が得られ、したがって、主リンク6の最大調節速度が得られる。
【0037】
さらなる開放過程の間に、クランク44は旋回角度領域を通過し、この旋回角度領域において、クランク44の回転軸線45とジョイント40との間の連結直線の、アーム43に配置されるジョイント42が、主リンク6の延長部13に接近する。したがって、連結ロッド41の調節移動の速度は、最終的に、図9に示されている位置でゼロになるまで、再び著しく低減される。移動終端位置において、連結ロッド41およびクランク44は再び死点位置に配置され、この死点位置では、主リンク6によって連結ロッド41に力が加えられても、クランク44の調節が行われない。したがって、クランク44は、約180°の旋回角度にわたって旋回されている。
【0038】
調節装置によって、好ましい伝達特性を得ることができる。クロスリンク機構を有する駆動ユニットによって、力の分布が最適化され、ピストン/シリンダユニット15の移動距離が短くなり、このようにして、調節時間も短縮される。したがって、コンバーチブルトップ仕切りカバー1またはフレーム3はその2つの終端位置にゆっくりと移動され、大きな調節力または支持力が付与される。
【0039】
図9による終端位置において、コンバーチブルトップ仕切りカバー1とフレーム3とが開いている場合に駆動ユニットの確実なロックを実現するために、死点位置を越えて約1°〜3°だけ、クランク44を旋回させることも可能である。
【0040】
コンバーチブルトップ仕切りカバー1およびフレーム3の閉鎖は、ピストン/シリンダユニット15を後退させることによって、移動とは逆の順序で行われる。
【0041】
勿論、中間に連結されたクロスリンク機構なしの連結装置を介して、ピストン/シリンダユニット15を軸受板12に支持することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】コンバーチブルのフレームがその閉鎖位置に配置され、かつコンバーチブルトップ仕切りカバーを支持するコンバーチブルのフレームの駆動ユニットの横平面図である。
【図2】フレームのロック装置をロック解除した後の駆動ユニットの横平面図である。
【図3】フレームおよびコンバーチブルトップ仕切りカバーを開いている間の中間位置における、コンバーチブルトップ仕切りカバーのフレームを伴う駆動ユニットの横平面図である。
【図4】フレームおよびコンバーチブルトップ仕切りカバーの後方に旋回される開放位置における駆動ユニットの横平面図である。
【図5】図2による位置におけるロック装置の拡大斜視図である。
【図6】閉鎖位置に配置されたフレームおよびコンバーチブルトップ仕切りカバーを有する駆動ユニットの第2の例示的な実施形態の横平面図である。
【図7】フレームおよびコンバーチブルトップ仕切りカバーを上方に旋回している間の第1の中間位置における駆動ユニットの第2の例示的な実施形態の横平面図である。
【図8】図7に示されている中間位置における駆動ユニットの横平面図である。
【図9】フレームおよびコンバーチブルトップ仕切りカバーを開いている際の終端位置における駆動ユニットの横平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…コンバーチブルトップ仕切りカバー、2…連結装置、3…フレーム、4…前縁、5…後縁、6…主リンク、7…補助リンク、8…ジョイント、9…ジョイント、10…ジョイント、11…ジョイント、12…軸受板、13…延長部、14…ジョイント、15…ピストン/シリンダユニット、16…伝達レバー、17…連結箇所、18…旋回取付部、19…ジョイント、20…連結ロッド、21…ロックフック、22…旋回軸、23…ボルト、24…支持部、25…引張りばね、26…ストッパ、27…ピストンロッド、28…案内部、29…収容部、30…ジョイント、31…環状部、32…支持板、33…支持経路、34…支持ボルト、35…ジョイント、36…ジョイント、37…ジョイント、38…旋回軸、40…ジョイント、41…連結ロッド、42…ジョイント、43…アーム、44…クランク、45…回転軸線、46…基部、47…ジョイント、48…ジョイント、49…クロスリンク、50…クロスリンク、51…駆動リンク、52…ジョイント、53…ジョイント、54…ジョイント、55…振動レバー、56…ジョイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な車両構成要素、特にコンバーチブルのコンバーチブルトップ仕切りカバーの駆動ユニットであって、前記移動可能な構成要素の軸受装置に、さらにロック装置に連結される駆動ユニットにおいて、前記駆動ユニットが、伝達ユニット(16、20;16’、20’)を介して前記ロック装置(21)に連結されることを特徴とする駆動ユニット。
【請求項2】
前記伝達ユニットが、特に3〜5の係数だけ、前記駆動ユニットの、前記ロック装置に関連する移動距離の伝達比を増大させる(対応する力の低減と共に)ことを特徴とする請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記伝達ユニットが、最初に、前記車両に固定されるように旋回可能に取り付けられ、次に、前記ロック装置にまたは前記ロック装置の補助構成要素に連結される伝達レバー(16;16’)を含み、前記伝達レバーにおいて、前記駆動装置(15)の係合箇所(17;35)が前記連結箇所(18と19)の間にまたは前記連結箇所(10と36)の外側に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記ロック装置(21)には、閉鎖方向へのプレストレスが加えられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記ロック装置には、前記伝達レバー(16)、または前記ロック装置の別の構成要素、特に連結ロッド(20)に作用するばね(25)によってプレストレスが加えられることを特徴とする請求項4に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
ロック側において、前記車両に固定される少なくとも1つのストッパ(26)が前記駆動ユニットの移動方向の一方に設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
前記車両に固定された2つのストッパの間で前記伝達レバー(16)を旋回させることができることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
前記構成要素(3)の開始位置または第1の終端位置において、前記駆動ユニットが、最初に前記ロック装置を作動させ、次に前記構成要素(3)を移動させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項9】
前記ロック装置(21)の初期作動が、前記構成要素(1、3)の重量によって制御されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項10】
構成要素(3)が第2の終端位置の方向に移動された場合に前記駆動ユニット(15)の後退を防止する阻止装置(31、34)が設けられることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項11】
前記阻止装置(31、34)が、前記構成要素(3)の調節装置(6)と相互作用し、特に、前記調節装置によって作動されることを特徴とする請求項10に記載の駆動ユニット。
【請求項12】
前記阻止装置が阻止要素(34)を有し、前記阻止要素が、前記ロック装置に、特に前記ロック装置のロックフック(21)に配置され、かつ前記構成要素(3)の前記調節装置(6)に配置された阻止部(31)に係合して阻止を行うことができることを特徴とする請求項10または11に記載の駆動ユニット。
【請求項13】
前記構成要素(3)が、特に4ジョイント構造の主リンク(6)によって車両側に支持されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項14】
前記ロック装置のロックフック(21)が、前記閉鎖位置において、前記車両に固定されたy−z支持部(28、29)に向かって前記構成要素(3)を引っ張ることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項15】
前記構成要素は、連結装置、特に、4ジョイント機構またはマルチジョイント機構を介して車体に移動可能に支持されるフレーム(3)であり、前記フレームにおいて、コンバーチブルトップ仕切りカバー(1)が旋回可能に取り付けられることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項16】
前記駆動ユニットは、線形調節ユニット、特に、油圧ピストン・シリンダユニット(15)であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項17】
クロスリンク機構(49、50)が前記駆動ユニットと前記ロック装置との間に連結されることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項18】
前記移動可能な構成要素(3)の前記軸受装置の一方のリンク(6)が、連結ロッド(41)を介して、回転可能に取り付けられたクランク(44)に連結され、前記クランクが、2つのクロスリンク(49、50)を介して、前記駆動ユニット(15)によって移動させることができる駆動リンク(51)に連結されることを特徴とする請求項17に記載の駆動ユニット。
【請求項19】
前記クランク(44)が、前記クロスリンク(49、50)の2つの連結箇所(47、48)の間に回転可能に取り付けられ、かつ前記連結ロッド(41)が連結される横方向に突出するアーム(43)を有することを特徴とする請求項18に記載の駆動ユニット。
【請求項20】
前記構成要素(3)の一方の終端位置においておよび/または他方の終端位置において、前記連結ロッド(41)および前記クランク(44)が死点位置に配置され、前記死点位置では、前記構成要素(3)によって前記連結ロッド(41)に力が加えられたとしても、前記クランク(44)が前記死点位置を維持することを特徴とする請求項18または19に記載の駆動ユニット。
【請求項21】
前記駆動リンク(51)が、位置固定された軸受部(12)に旋回可能に連結される振動レバー(55)に連結されることを特徴とする請求項17〜20のいずれか一項に記載の駆動ユニット。
【請求項22】
前記駆動ユニットが、最初に、前記振動レバー(55)と前記駆動リンク(51)との間の連結ジョイント(54)に作用し、次に、少なくとも一時的に位置固定されて支持されることを特徴とする請求項21に記載の駆動ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−500240(P2009−500240A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520713(P2008−520713)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001214
【国際公開番号】WO2007/006295
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(591018763)ベバスト・アクチィエンゲゼルシャフト (102)
【Fターム(参考)】