説明

移動型寝台装置及びこれを備えた医用画像撮像装置

【課題】病室から検査室への移動及び寝台装置の昇降動時における被検体及び医療従事者の負荷を軽減できる移動型寝台装置及びこれを備えた医用画像撮像装置を提供する。
【解決手段】移動型寝台装置1は、天板11を備えた本体部3と、本体部3を走行させる走行部41、42と、本体部3とは別体に構成された医用画像撮像装置200に対して機械的及び電気的に着脱可能に接続する寝台側接続コネクタ部50と、バッテリー82及び充電器83と、バッテリー駆動する昇降装置30と、天板11の昇降動の操作を行う昇降操作スイッチ70とを備える。ドッキング時には医用画像撮像装置200から移動型寝台装置1に給電され、切り離した時には移動型寝台装置1はバッテリー駆動となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動型寝台装置及びこれを備えた医用画像撮像装置に係り、特に電動での昇降動作が行える移動用寝台装置及びそれを備えた医用画像撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院で被検体の医用画像を撮像する場合、被検体がいる病室から医用画像撮像装置が設置された検査室へ、被検体を移動用ベッドに乗せて搬送する。そして、検査室内で移動用ベッドから医用画像撮像装置に備えられた専用の寝台装置に被検体が移動し、撮像が行われる。このための移動用ベッドとして、特許文献1には、電池を搭載し、その電池の動力により昇降調整が可能な移動用ベッドが開示されている。また特許文献2には、油圧ポンプを足で踏んで昇降動させる寝台装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−2041117号公報
【特許文献2】米国特許第6,640,374号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の移動式ベッドでは、検査室内で移動式ベッドから医用画像撮像装置用の寝台装置に乗り換える必要があり、その乗り換え作業時に被検体及び医療従事者に負荷がかかるという問題があった。また、特許文献2では、寝台装置の昇降動作を足踏みで行う必要があり、医療従事者に昇降動作に伴う負荷がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、病室から検査室への移動及び寝台装置の昇降動作に伴う被検体及び医療従事者の負荷を軽減できる移動型寝台装置及びこれを備えた医用画像撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、本発明に係る移動型寝台装置は、被検体を載置する天板を備えた本体部と、前記本体部を走行させる走行部と、前記本体部を、前記本体部とは別体に構成された医用画像撮像装置に対して機械的及び電気的に着脱可能に接続する接続コネクタ部と、を備え、前記本体部は、バッテリー及びそのバッテリーに充電する充電器と、前記バッテリーから給電される電力により駆動して前記天板を昇降動させる昇降装置と、前記昇降装置に対して前記天板を上昇及び下降させる指示を入力するための昇降操作部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また本発明に係る医用画像撮像装置は、被検体を撮像する撮像部と、前記撮像部とは別体に構成され、前記被検体を載置する天板を備えた本体部、及び前記本体部を走行させる走行部を備えた移動型寝台装置と、を備え、前記撮像部は、前記移動型寝台装置に対して機械的及び電気的に着脱可能に接続する装置側接続コネクタ部を備え、前記移動型寝台装置は、前記装置側接続コネクタ部に対して機械的及び電気的に着脱可能に接続する寝台側接続コネクタ部を備え、前記移動型寝台装置の前記本体部は、バッテリー及びそのバッテリーに充電する充電器と、前記バッテリーからの給電される電力により駆動して前記天板を昇降動させる昇降装置と、前記昇降装置に対して前記天板を上昇及び下降させる指示を入力するための昇降操作部と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動型寝台装置に被検体を載せて病室から検査室への移動し、寝台装置に乗り換えることなく撮像し、再び病室へ戻ることができるので、被検体がベッドを載りかえる回数を減らし、被検体及び医療従事者の負荷を軽減することができる。更に、昇降装置を移動型寝台装置に備えたバッテリーで駆動させることにより、移動型寝台装置を医用画像撮像装置から切り離した状態でも昇降動させることができ、昇降動作に伴う医療従事者の負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第一実施形態に係る移動型寝台装置の外観を示す斜視図
【図2】外装部材22を取り除いた移動型寝台装置1の側面ブロック図
【図3】移動型寝台装置1の内部構成を示す上面ブロック図
【図4】外部電源からの充電状態を示す説明図
【図5】昇降機構の概略構成を示すブロック図
【図6】昇降操作スイッチ70を示す模式図であって、(a)は、基本的な昇降操作スイッチ70aを示し、(b)は、追加機能を備えた昇降操作スイッチ70bの例を示す。
【図7】昇降機構30の制御を示すブロック図
【図8】移動型寝台装置1とMRI装置200との接続状態を示す側面説明図
【図9】移動型寝台装置1の電気回路の全体構成を示すブロック図
【図10】MRI装置200とドッキング状態かつ非充電時における移動型寝台装置1の直流電流の流れを示す説明図
【図11】MRI装置200とのドッキング状態かつ充電中の移動型寝台装置1の直流電流及び交流電流の流れを示す説明図
【図12】MRI装置200と切り離した状態かつ非充電時における移動型寝台装置1の直流電流の流れを示す説明図
【図13】MRI装置200と切り離した状態かつ充電中の移動型寝台装置1の直流及び交流電流の流れを示す説明図
【図14】電気回路の変形例を示すブロック図
【図15】移動型寝台装置1を用いてMRI装置200により医用画像の撮像を行う手技の流れを示すフローチャート
【図16】第二実施形態に係る移動型寝台装置1aの外観を示す斜視図
【図17】外装部材22を取り除いた移動型寝台装置1aの側面ブロック図
【図18】第二実施形態に係る移動型寝台装置1aの内部構成を示す上面ブロック図
【図19】第三実施形態に係る移動型寝台装置1bの外装部材22を取り除いた状態における側面ブロック図
【図20】第三実施形態に係る移動型寝台装置1bの電気回路の全体構成を示すブロック図
【図21】PCB81が体重の算出に用いるテーブルの模式図
【図22】第三実施形態に係る移動型寝台装置1bの昇降操作スイッチ70cを示す模式図
【図23】第四実施形態に係る移動型寝台装置1cの外装部材22を取り除いた状態における側面ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。同一機能を有する構成及び同一の処理内容の手順には同一符号を付し、その説明の繰り返しを省略する。本実施形態では、本発明を適用した移動型寝台装置を用いる医用画像撮像装置として磁気共鳴イメージング装置(以下「MRI装置」という)を例に挙げて説明するが、医用画像撮像装置は、X線CT装置、PET装置など、本発明に係る移動型寝台装置を用いて被検体の医用画像を撮像できるものであればその種類は問わない。
【0011】
<第一実施形態>
まず、図1に基づいて、第一実施形態に係る移動型寝台装置の概略構成について説明する。図1は、第一実施形態に係る移動型寝台装置の外観を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る移動型寝台装置1は、被検体を載置する天板11を備えた本体部3と、床面上を走行して本体部3を移動させる車輪41、42と、を備える。本体部3の下部かつ天板11の長手方向の一端部にはMRI装置に機械的及び電気的に接続するための寝台側接続コネクタ部50を備える。また、本体部3の下部かつ天板11の長手方向他端部には、寝台側接続コネクタ50の操作を行うガントリ連結ペダル61、コネクタ接続ペダル62、連結解除ペダル63を備える。また、本体部3の上面には、天板11の上昇又は下降の指示を入力するための昇降操作スイッチ70を備える。
【0013】
本体部3の側面は、昇降動に従って伸縮する蛇腹状の外装部材22が備えられ、本体部3の内部構成が外部からは見えないように構成される。
【0014】
次に図2、図3、及び図4に基づいて、移動型寝台装置1の内部構成について説明する。図2は、外装部材22を取り除いた移動型寝台装置1の側面ブロック図である。図3は、移動型寝台装置1の内部構成を示す上面ブロック図である。図4は、外部電源からの充電状態を示す説明図である。
【0015】
図2に示すように、天板11は上部基台10上に配置される。上部基台10と天板11との間には、天板11の長手方向に沿って上部基台10に対してスライド(進退)させる移動機構12を備える。被検体2は、その頭足方向を天板11の長手方向に沿わせて天板11上に横臥する。
【0016】
また、上部基台10の上部の昇降操作スイッチ70は、天板11の昇降指示を入力するための「UP」ボタン71と天板11の下降指示を入力するための「DOWN」ボタン72とを備える。
【0017】
一方、上部基台10の下部には、上部基台10を昇降させる昇降機構30と、その昇降機構30を搭載する下部基台21とが備えられる。下部基台21の下部には、前述の車輪41、42が備えられる。図1及び図2では車輪は二つ描出しているが、実際には、図3に示すように、車輪43、44を加えた合計4つの車輪を備える。
【0018】
昇降機構30は、下部基台21の上面と上部基台10の下面とを連結する第一アーム31及び第二アーム32を備える。第一アーム31及び第二アーム32は、第一アーム31及び第二アーム32のそれぞれの長手方向の略中間位置において交差させ、回転軸33により回動可能に連結させ、パンタアーム30pを構成する。昇降機構30は、油圧式モータポンプ(図では「P」と略記し、明細書中では単に「モータポンプ」という)34と、モータポンプ34により動作する油圧シリンダ36と、モータポンプ34と油圧シリンダ36との間に作業油を通すためのドレン35と、を備える。
【0019】
モータポンプ34は下部基台21上に配置され、油圧シリンダ36は、第一アーム31の長手方向に沿って、第一アーム31に固定される。油圧シリンダ36は、作業油の量に応じて進退するピストン36aを備える。ピストン36aの先端には、上部基台10に当接するローラ37が備えられる。昇降機構30についての更なる説明は、後述する。
【0020】
下部基台21の内部には、移動型寝台装置1の昇降動を含む動作制御を行うための制御部(本実施形態ではプリント回路基板printed circuit boardを用いるので以下「PCB」と略記する)81と、PCB81に供給する電力を蓄電するバッテリー82(図では「B」と略記する)と、バッテリー82に充電する充電器(図では「C」と略記する)83と、商用電源100(一般にはAC100V)のコンセントに電気的に接続し、充電器83に給電するプラグ84と、プラグ84と充電器83とを電気的に接続する巻取り式のケーブル85と、を備える。プラグ84は、下部基台21における連結解除ペダル63付近に備えられる。プラグ84は、使用時には、ケーブル85を伸張させて商用電源のコンセントに差し込まれ(図4参照)、収納時にはケーブル85が巻かれた状態で下部基台21内に収納される(図2、図3参照)。これにより、商用電源100と充電器83とが、コンセント、プラグ84、ケーブル85を介して導通し、商用電源100(通常はAC100V)からのバッテリー82への充電が可能になる。
【0021】
下部基台21の他端部(連結解除ペダル63が配置される側とは反対側)には、寝台側接続コネクタ部50が備えられる。
【0022】
PCB81と移動機構12とは、ケーブル13により電気的に接続される。そしてPCB81からの制御に従って移動機構12は天板11を進退させる。移動機構12は、移動型寝台装置1に備えず、外部機構で天板11を進退させるように構成してもよい。
【0023】
次に、図5に基づいて、昇降機構30の構成について説明する。図5は、昇降機構の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
図5に示すように、第一アーム31の下端には、昇降動に従って第一アーム31をスライド移動するための第一ローラ23を備え、第二アーム32の上端には、昇降動に従って第二アーム32をスライド移動するための第二ローラ24を備える。更に、第一アーム31の上端には、上部基台10に対して第一アーム31を固定するための第一固定ブロック25を備え、第二アーム32の下端には、下部基台21に対して第二アーム32を固定するための第二固定ブロック26を備える。また、下部基台21の上面における、下部基台21の長手方向他端部には、第一ローラ23がスライド移動する範囲を規制するための第一レール27を備え、上部基台10の下面における、上部基台10の長手方向他端部には、第二ローラ24がスライド移動する範囲を規制するための第二レール28を備える。
【0025】
図5において油圧シリンダ36のピストン36aが伸張してローラ37が第一固定ブロック25に当接して押し続けると、第一ローラ23が第一レール27に沿って、パンタアーム30pの中心方向(図5の矢印a方向)にスライドし、これに応動して第二ローラ24も第二レール28に沿ってスライドし、第一アーム31及び第二アーム33が回転軸33を中心に回動する。そして、パンタアーム30Pに押し上げられて、上部基台10が上昇する。上部基台10は最上位置に達すると静止する。
【0026】
また油圧シリンダ36aのピストン36aが収縮すると、ローラ37が上部基台10に押し下げられ、第一ローラ23が第一レール27に沿ってパンタアーム30pの外方向(図5の矢印b方向)にスライドし、これに応動して第二ローラ24も第二レール28に沿ってスライドし、第一アーム31及び第二アーム33が回転軸33を中心に回動する。そしてパンタアーム30Pが収縮し、上部基台10が下降する。
【0027】
上記上部基台10の最上位置及び最下位置は、移動型寝台装置1を連結するMRI装置の撮影空間位置との関係で定まるものであり、最上位置は撮影空間内に天板11を搬送して検査が行える位置として定まり、最下位置はパンタアーム30pを最も収縮させたときの機械的な位置で定まる。望ましくは、被検体2が天板11への乗降の際し、動きやすい高さ定められる。
【0028】
次に図6に基づいて昇降操作スイッチ70について説明する。図6は、昇降操作スイッチ70を示す模式図であって、(a)は、基本的な昇降操作スイッチ70aを示し、(b)は、追加機能を備えた昇降操作スイッチ70bの例を示す。
【0029】
図6の(a)に示す昇降操作スイッチ70aは、上部基台10の上昇指示を入力するための「UP」ボタン71と、上部基台10の下降指示を入力するための「DOWN」ボタン72と、を備える。また、図5の(b)に示す昇降操作スイッチ70bは、上部基台10の上昇指示を入力するための「UP」ボタン71と、上部基台10の下降指示を入力するための「DOWN」ボタン72と、に加え、バッテリー82の残量及び充電中状態を表示するバッテリーステータス表示73と、昇降操作スイッチ70bの操作を禁止するロック及びそのロックを解除するロックボタン74と、医用画像撮像装置との接続状態を表示する「DOCK」表示75と、を備える。
【0030】
バッテリーステータス表示73は、4つの目盛を備え、1つの目盛は昇降動が約10回行えるだけのバッテリ残量が有ることを示す。また、バッテリー82が充電中には、4つの目盛全部を点滅させたり、1メモリずつ点灯させる処理を繰り返すインジケータ表示を行い、充電中と充電を行っていないときとの識別表示を行う。
【0031】
ロックボタン74を所定時間、例えば2秒長押しすると、昇降操作スイッチ70bの「UP」ボタン71及び「DOWN」ボタン72の操作ができないようロックされる。ロック中は、ロックボタン74の表示色を変更し、ロック状態が操作者に分かるようにしてもよい。次にロックボタン74を所定時間長押しすると、ロックが解除され、昇降操作スイッチ70bの「UP」ボタン71及び「DOWN」ボタン72の操作が行えるようになる。図6の(a)の昇降操作スイッチ70aには、ロックボタン74が備えられないが、「UP」ボタン71及び「DOWN」ボタン72を同時に所定時間、例えば2秒長押しするとロックされ、次に「UP」ボタン71及び「DOWN」ボタン72を同時に所定時間長押しするとロックが解除されるように構成してもよい。この場合も、ロック状態と解除状態とを識別するために、「UP」ボタン71及び「DOWN」ボタン72の表示態様を変更してもよい。また、昇降操作スイッチ70bのロックボタン74に代えて、LED等を用いたロック状態表示部を備えてもよい。この場合、「UP」ボタン71及び「DOWN」ボタン72を同時かつ所定時間の長押しでロックと解除とを行い、ロック状態でロック状態表示部が点灯、解除で消滅するように構成してもよい。また、最後に昇降動作が行われてから所定時間(例えば5分)を経過するとPCB81がロックをかけ、この状態で操作者が「UP」ボタン71及び「DOWN」ボタン72を同時に所定時間長押しすると、ロックが解除されるように構成しても良い。
【0032】
「DOCK」表示75は、医用画像撮像装置と移動型寝台装置1とが機械的かつ電気的に接続した導通状態と、電気的な接続が行われていない不通状態と、を識別表示するものである。
【0033】
次に図7に基づいて、昇降機構30の制御について説明する。図7は、昇降機構30の制御を示すブロック図である。
【0034】
昇降操作スイッチ70aは、PCB81と電気的に接続される。PCB81は、モータポンプ34内の電磁弁からなる方向切替弁34aと電気的に接続され、方向切替弁34aの切替制御を行う。油圧シリンダ36は、油圧シリンダ36内に位置するピストン36aを挟んで両側に、モータポンプ34からの作業油(圧力油)が流入する二つの流入口を備えた複動型シリンダを用いる。ピストン36aの開放端には、上部基台に当接するローラ37が備えられる。以下の説明では、油圧シリンダ36内においてピストン36aが伸張する方向に圧油が流入する流入口を第一流入口36b、シリンダ内においてピストン36aが収縮する方向に圧油が流入する流入口を第二流入口36cという。モータポンプ34と第一流入口36b及び第二流入口36cのそれぞれとは、ドレン35により接続され、作業油(圧力油)がモータポンプ34からドレン35内を通って油圧シリンダ36内に流入する。
【0035】
昇降操作スイッチ70aの「UP」ボタン71が押されると、PCB81は、第一流入口36bに作業油(圧力油)が流入するよう方向切替弁34aの切替制御を行う。これにより、ドレン35を介して第一流入口36bから油圧シリンダ36内に作業油(圧力油)が注入され、ピストン36aが伸張する。
【0036】
また、昇降操作スイッチ70aの「DOWN」ボタン72が押されると、PCB81は、第二流入口36cに作業油(圧力油)が流入するよう方向切替弁34aの切替制御を行う。これにより、ドレン35を介して第二流入口36cから油圧シリンダ36内に作業油(圧力油)が注入され、ピストン36aが収縮する。既述図6の昇降操作スイッチ70bの「UP」ボタン71及び「DOWN」ボタン72についても、昇降操作スイッチ70aと同様の機能を有する。
【0037】
本実施形態では、昇降機構30の動力・駆動装置として油圧装置を用いることで、移動型寝台装置1の軽量化を図り、移動型寝台装置1の移動操作性の向上を図ったが、動力・駆動装置は、昇降機構30の昇降動作を行えるものであれば油圧装置に限らない。また、上記では、油圧式シリンダとして複動型を用いたが、単動型の油圧式シリンダを用い、上昇のときにはPCB81がモータポンプ34の起動及び弁をONにし、圧油によりピストンが伸張し、下降の時はPCB81が弁のONのみを行い、ピストンの自重で収縮するように構成してもよいし、油圧式シリンダに代えてジャッキ装置を用いてもよい。また、昇降機構30は、パンタアーム30pの形状も昇降動が行えるものであれば上記に限らない。
【0038】
次に図8に基づいて、移動型寝台装置1とMRI装置200との接続状態について説明する。図8は、移動型寝台装置1とMRI装置200との接続状態を示す側面説明図である。
【0039】
移動型寝台装置1を接続するMRI装置200には、寝台側接続コネクタ部50と機械的かつ電気的に接続する装置側接続コネクタ部210と、商業電源110のコンセントに差し込むプラグ(図示を省略)を備えたケーブル220と、被検体2を位置させて撮像を行う撮像空間230とを備える。
【0040】
寝台側接続コネクタ部50と装置側接続コネクタ部210とを機械的かつ電気的に接続することにより、移動型寝台装置1とMRI装置200とが導通する。(以下、移動型寝台装置1及びMRI装置200が導通している状態をドッキング状態と称する。)ドッキング時には、MRI装置200から移動型寝台装置1のPCB81に対して、直流電力が給電され、かつ、MRI装置200からの制御信号が移動型寝台装置1に出力され、これに応じて移動型寝台装置1が動作する。
【0041】
例えば、操作者がMRI装置200の図示しない操作パネルなどの操作部から、天板11の撮影空間230内への搬入指示を入力すると、装置側接続コネクタ部210及び寝台側接続コネクタ部50を介してPCB81に搬入指示を示す制御信号(以下「搬入指示信号」という。)が出力される。PCB81は、ケーブル13を介して移動機構12に対して天板11の搬入指示信号を送る。移動機構12は、その搬入指示信号に基づいて天板11をMRI装置200の撮像空間230内に向かってスライド移動する。これにより、天板11に載置された被検体2が、撮像空間230内に搬送される。
【0042】
また、撮像終了後に、操作者がMRI装置200の操作部から天板11の搬出指示を入力する(以下、搬出指示を示す制御信号を「搬出指示信号」という)と、搬入時と同じ経路に沿って搬出指示信号が移動機構12に出力され、天板11がスライド移動して被検体2が撮像空間230から搬出される。
【0043】
更に、ドッキング時には、MRI装置200から移動型寝台装置1のPCB81に対して、交流電力が給電され、この交流電力を用いて移動型寝台装置1の充電器83からバッテリー82に充電がされる。
【0044】
次に図9に基づいて、本実施形態に係る移動型寝台装置1の電気的な構成について説明する。図9は、移動型寝台装置1の電気回路の全体構成を示すブロック図である。
【0045】
図9に示すように、移動型寝台装置1のPCB81は、寝台側接続コネクタ部50、モータポンプ34、昇降操作スイッチ70、充電器83及びバッテリー82とそれぞれ電気的に接続される。モータポンプ34は、スイッチ54を介して直流コネクタ51と電気的に接続される。スイッチ54は、PCB81と電気的に接続される。PCB81は、スイッチ54のON/OFFの制御を行う。スイッチ54をONに切り替える制御信号は、図中では94で示す。更にモータポンプ34は、スイッチ55を介してバッテリー82と電気的に接続される。スイッチ55は、PCB81と電気的に接続される。PCB81は、スイッチ55のON/OFFの制御を行う。スイッチ55をONに切り替える制御信号は、図中9では96で示す。スイッチ54、55は通常はOFFになっており、直流コネクタ51及びバッテリー82とモータポンプ34とを切断している。そして、ドッキング状態では、PCB81は、スイッチ55をOFFのまま、スイッチ54をONに切替え、MRI装置200からの直流電力をモータポンプ34に給電する。切り離された状態では、PCB81は、スイッチ54をOFFのまま、スイッチ55をONに切替え、バッテリー82からの直流電力をモータポンプ34に給電する。
【0046】
PCB81は、モータポンプ34に対して方向弁切替制御に必要な制御信号92を出力する。また、PCB81は、寝台側接続コネクタ部50から電気的に接続しているか否かを示す接続状態信号97を取得する。更にPCB81は、常にバッテリー残量を監視するとともに、充電器83から充電状態か否かを示す充電状態信号91を受信する。バッテリー残量の監視結果を示す信号は、図中では90で示す。
【0047】
PCB81は、昇降操作スイッチ70からの操作信号に従って制御を行うと共に、昇降操作スイッチ70に対して、バッテリー残量の監視結果を示す信号90、充電状態信号91及び接続状態信号97に基づいて、バッテリー残量表示、充電中表示、及びドッキング状態表示のための制御を行う。PCB81と昇降操作スイッチ70との間を流れる信号は、図中では93で示す。
【0048】
装置側接続コネクタ部210は、制御信号を含む直流電力を供給する直流コネクタ211と、交流電力を供給する交流コネクタ212と、を備える。一方、寝台側接続コネクタ50も、直流コネクタ51および交流コネクタ52を備える。ドッキング時には、寝台側接続コネクタ50の直流コネクタ51と装置側接続コネクタ部210の直流コネクタ211とが電気的に接続し、寝台側接続コネクタ50の交流コネクタ52と装置側接続コネクタ部210の交流コネクタ212とが電気的に接続する。
【0049】
寝台側接続コネクタ50の交流コネクタ52と充電器83との間にはスイッチ53が備えられる。スイッチ53は、PCB81と電気的に接続される。スイッチ53は通常はOFFになっており、交流コネクタ52と充電器83とを切断している。PCB81は、バッテリー82の監視の結果、バッテリー残量が閾値以下であり、充電が必要と判断すると、スイッチ53をONに切り替える。このスイッチ93をONに切り替える信号は、図中では95で示す。これにより、交流コネクタ52と充電器83とが導通し、MRI装置200から給電される交流電力を用いて充電器83からバッテリー82に充電される。なお、図9から図14では、スイッチ53、54、55は、PCB81とは別体に描出しているが、スイッチ53、54、55をPCB81の回路基板上に備えてもよく、スイッチ53、54、55の配置場所は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
【0050】
PCB81は、寝台側接続コネクタ部50及び装置側接続コネクタ部210を介してMRI装置200からの直流供給回路と、バッテリー82からの直流供給回路と、の2系統の直流供給回路を備える。ドッキング時には、MRI装置200から直流電力がPCB81に供給される。また移動型寝台装置1がMRI装置200と切り離されている状態では、バッテリー82からPCB81に直流電力が給電される。
【0051】
充電器83は、寝台側接続コネクタ部50及び装置側接続コネクタ部210を介してMRI装置200からの交流供給回路と、プラグ84及びケーブル85を介する商用電源100のコンセントからの交流供給回路と、の2系統の交流供給回路を備える。ドッキング時には、MRI装置200から交流電力が充電器83に供給される。また移動型寝台装置1がMRI装置200と切り離され状態では、プラグ84を商用電源100につなぐと、商用電源100から充電器83に交流電力が供給される。
【0052】
次に図10から図14に基づいてドッキング状態及び切り離した状態における直流電流及び交流電流の流れについて説明する。図10は、MRI装置200とドッキング状態かつ非充電時における移動型寝台装置1の直流電流の流れを示す説明図である。図11は、MRI装置200とのドッキング状態かつ充電中の移動型寝台装置1の直流電流及び交流電流の流れを示す説明図である。図12は、MRI装置200と切り離した状態かつ非充電時における移動型寝台装置1の直流電流の流れを示す説明図である。図13は、MRI装置200と切り離した状態かつ充電中の移動型寝台装置1の直流及び交流電流の流れを示す説明図である。図14は、電気回路の変形例を示すブロック図である。
【0053】
(ドッキング状態かつ非充電時)
ドッキング状態かつ非充電時は、図10に示すように、直流コネクタ211及び直流コネクタ51を介してPCB81に対してD1Vの直流電力(以下では「DCD1V」と記載する。)が給電され、PCB81はこの直流電力により動作する。この直流供給回路を通じて、MRI装置200の各種制御信号も送られる。よってMRI装置200に備えられた図示しない操作パネルから、天板11の昇降動及び進退移動の指示を入力すると、その入力指示に対応する制御信号が上記直流供給回路を通じてPCB81に入力される。これに従い、PCB81は、例えばモータポンプ34の方向弁の切替制御や移動機構12を動作させる。また、PCB81は、スイッチ54をONに切り替え、直流コネクタ51からモータポンプ34に対してもDCD1Vを給電するよう制御する。
【0054】
PCB81はバッテリー残量を常に監視し、バッテリー82の充電の要否を判断する。昇降操作スイッチ70にバッテリー残量を表示する機能、例えば図6の(b)のバッテリーステータス表示73が有る場合には、昇降操作スイッチ70に出力し、バッテリー残量を表示するための制御を行う。
【0055】
(ドッキング状態かつ充電時)
PCB81は、残量信号を基にバッテリー残量が閾値以下であることを検知すると、図11に示すように、スイッチ53をONに切り替える。これにより、装置側接続コネクタ部210の交流コネクタ212と、寝台側接続コネクタ50の交流コネク52、及び交流コネク52と充電器83が導通し、MRI装置200からA1Vの交流電力(図11〜図14では「ACD1V」と記載する。)が充電器83に給電される。充電器83は、交流直流変換を行い、ACD1VからDCD1Vに変換し、バッテリー82に充電する。充電器83は、充電が開始したこと示す充電状態信号をPCB81に出力し、PCB81は、昇降操作スイッチ70のバッテリーステータス表示73に充電中を示す表示を行う。
【0056】
(切り離された状態かつ非充電時)
移動型寝台装置1がMRI装置200から切り離され、かつ充電をしない状態では、図12に示すように、バッテリー82からPCB81に対してDCD1Vが給電され、これによりPCB81が動作する。PCB81は、スイッチ55をONに切り替えて、バッテリー82とモータポンプ34とを電気的に接続し、モータポンプ34がバッテリー82からDCD1Vを給電されるように制御する。また、この状態で昇降操作スイッチ70を操作して天板11の昇降動の操作を行うと、PCB81は、モータポンプ34の方向切替弁の制御を行い、モータポンプ34がバッテリー82により駆動する。昇降操作スイッチ70にバッテリー残量表示機能が有る場合には、PCB81は、充電器83から残量信号を取得し、昇降操作スイッチ70に対してバッテリー残量表示制御を行う。
【0057】
(切り離された状態かつ充電時)
移動型寝台装置1がMRI装置200から切り離された状態で、プラグ84を商用電源100に接続すると、図13に示すように、プラグ84及びケーブル85を介して商業電源100と充電器83とが導通して、充電器83に商用電源100からACA1Vが供給される。充電器83では、交流直流変換を行い、ACA1VをDCD1Vに変換し、バッテリー82に充電する。バッテリー82の充電中は、PCB81は、スイッチ55をOFFに切替え、バッテリー82とモータポンプ34とを電気的に切断する。また、バッテリー82からPCB81への直流電力の供給は停止する。プラグ84を商用電源100のコンセントから抜くと、商用電源100と充電器83とが切断され、バッテリー82からPCB81への通電が開始し、図12の状態に遷移する。これにより、PCB81が復帰し、昇降操作スイッチ70の操作が可能となる。
【0058】
(変更例)
図9〜図13の変形例として、図14に示すように、移動型寝台装置1に交流直流変換回路(以下「AC/DC変換回路」という。)86を備え、商用電源100から充電器83への交流供給回路を2系統に分配し、一方は充電器83に接続、他方は、AC/DC変換回路86に接続する。AC/DC変換回路86は、スイッチ55を介してモータポンプ54と電気的に接続される。そして、商用電源100から給電されたACA1VをAC/DC変換回路86にてDCD1Vに変換し、これをPCB81に給電、及びスイッチ55をONに切り替えてモータポンプ34に給電するように構成してもよい。これにより、充電器83からバッテリー82に充電をしている間でも、商用電源100からの交流電力を用いて、PCB81及びモータポンプ34を動作させることができる。そのため、移動型寝台装置1がMRI装置200から切り離され、かつバッテリー82の残量がない場合でも、商用電源100からの給電により移動型寝台装置1を動作させることができる。なお、図14では、AC/DC変換回路86を備えることにより、MRI装置200からACA1Vの給電を受け、これをAC/DC変換回路86にてDCD1Vに変換し、PCB81及びスイッチ55を介してモータポンプ34に給電してもよい。この場合、スイッチ54、寝台側接続コネクタ50の直流コネクタ51、及び装置側接続コネクタ210の直流コネクタ211が不要となる。
【0059】
なお、図14の例の更なる変更例として、図14の構成に加えて、寝台側接続コネクタ50の直流コネクタ51とスイッチ54、及び装置側接続コネクタ210の直流コネクタ211を備え、ドッキング状態では医用画像撮像装備200からDCD1Vの給電を受けてPCB81が動作し、切り離した状態では、商用電源100から供給される交流を直流に変換して動作するようにしてもよい。この切替操作は、PCB81が寝台側接続コネクタ50からの接続状態信号97に基づいて行う。この変更例によれば、PCB81への直流供給回路が、MRI装置200、バッテリー82、商用電源100及びAC/DC変換回路の3系統となるので、何れかの系統に不具合が生じた時でも他の2系統を用いて動作させることができ、動作の安定性を向上させることができる。
【0060】
次に図15に基づいて、移動型寝台装置1を用いてMRI装置200により医用画像の撮像を行う手技の流れについて説明する。図15は、移動型寝台装置1を用いてMRI装置200により医用画像の撮像を行う手技の流れを示すフローチャートである。以下図15の各ステップに沿って説明する。
【0061】
(ステップS1)
移動型寝台装置1をMRI装置200から切り離し、被検体2の病室に移動させる。そして、操作者が昇降操作スイッチ70の「DOWN」ボタン72を押して、天板11を被検体2が乗りやすい高さまで下げる(S1)。この状態では、移動型寝台装置1はMRI装置200と切り離されており、電気的な接続は行われていないので、移動型寝台装置1の電源状態は、図11に示す状態である。すなわち、移動型寝台装置1は、それに搭載されたバッテリー82からの直流電力により動作する(図12の状態である)。
【0062】
(ステップS2)
被検体2を天板11に載置した状態で、操作者は移動型寝台装置1を押して病室から検査室に移動させる(S2)。
【0063】
(ステップS3)
操作者は、昇降操作ボタン70の「UP」ボタン71を押し、天板11を最上位置、すなわち図8に示すMRI装置200の撮像空間230内に天板11を搬入できる高さまで天板11を上昇させる。次に操作者は、MRI装置200の装置側接続コネクタ210と移動型寝台装置1の寝台側接続コネクタ50とが連結する位置に移動型寝台装置1の位置合わせを行う(S3)。
【0064】
(ステップS4)
操作者が、ガントリ連結ペダル61を踏む。これにより、装置側接続コネクタ210と寝台側接続コネクタ50との機械的な連結が行われる(S4)。この状態では、移動型寝台装置1とMRI装置200との電気的な接続は行われておらず、移動型寝台装置1の電源状態は、図12に示す状態のままである。
【0065】
(ステップS5)
操作者が、コネクタ接続ペダル62を踏む。これにより、装置側接続コネクタ210と寝台側接続コネクタ50との電気的な接続が行われる(S5)。寝台側接続コネクタ50と装置側接続コネクタ210との連結を機械的連結と電気的接続との二段階に分けることにより、機械的連結により連結状態を保持してから電気的接続用のコネクタ(直流コネクタ51、211、及び交流コネクタ52及び212)の接続が行えるので、これらのコネクタが位置ずれした状態のまま差しこまれることにより異常な負荷かがかかり、コネクタが破損する危険性を抑制することができる。
【0066】
本ステップにより、MRI装置200から移動型寝台装置1に対して直流電力が給電され、MRI装置200から給電される直流電力により移動型寝台装置1が動作し、移動型寝台装置1の電源状態は、図10に示す状態に遷移する。ここで、PCB81が、バッテリー残量が閾値以下であることを検知すると、移動型寝台装置1の電源状態は、図11に示す状態に遷移し、MRI装置200から交流電力が給電され、充電も開始する。
【0067】
(ステップS6)
操作者は、昇降操作ボタン70の操作を禁止するためのロックをかける。ロックは、図6の(a)及び(b)で既述したように、「UP」ボタン71及び「DOWN」ボタン72を同時に長押ししたり、ロックボタン74を押したりする。これにより、被検体2が誤って昇降操作ボタン70に触れても、天板11が昇降動することがなく、誤動作を抑制できる(S6)。
【0068】
(ステップS7)
操作者は、MRI装置200の図示しない操作パネルから、天板11の撮像空間230内への移動の指示を入力する。移動型寝台装置1の移動機構12は、天板11を撮像空間230内に搬入する。その後、操作パネルから入力された撮像条件に従って被検体2の撮像が行われる(S7)。
【0069】
(ステップS8)
操作者は、撮像が終了すると、MRI装置200の図示しない操作パネルから、天板11を撮像空間230の外へ搬出する指示を入力する。移動型寝台装置1の移動機構12は、天板11を撮像空間230の外へ搬出し、天板11が移動型寝台装置1の上部基台10上に完全に収納されるまで移動させる。次いで、操作者は連結解除ペダル63を踏む。第一段階まで踏み込むと、装置側接続コネクタ210と寝台側接続コネクタ50との電気的な接続が切断される。すなわち、電気的接続用のコネクタ(直流コネクタ51、211、及び交流コネクタ52及び212)が切断される。続いて、第二段階まで踏み込むと、装置側接続コネクタ210と寝台側接続コネクタ50との機械的な連結が解除される。これにより、移動型寝台装置1はMRI装置200から切り離され、その電源状態は、図12に示す電源状態に遷移する(S8)。
【0070】
(ステップS9)
移動型寝台装置1を押して被検体2を病室へ搬送する。病室内で操作者は、昇降操作ボタン70のロックを解除し、「DOWN」ボタン72を押し、天板11を下げる。このときの下降動作は、移動型寝台装置1に搭載されたバッテリー82からの直流電力により駆動する(S9)。
【0071】
(ステップS10)
移動型寝台装置1の保管場所に移動させる。操作者は、充電を希望するときは、プラグ84を商用電源のコンセントに接続する。これにより移動型寝台装置1の電源状態は図13に遷移し、バッテリー82への充電が開始する。または、図14に示す例では、バッテリー82への充電と共に商用電源からの交流電力による移動型寝台装置1の駆動が可能となる。
【0072】
本実施形態の移動型寝台装置1によれば、被検体2を移動型寝台装置1に載せて病室から検査室へ移動し、そのまま医用画像の撮像を行い、再び被検体2を病室へ搬送することができるので、検査時に被検体2を医用画像撮像装置専用のベッドに移し替える手間が省ける。また、移動型寝台装置1を医用画像撮像装置から切り離しても、バッテリー駆動で昇降動作が行えるので被検体2の移動式寝台装置1への乗り降りの負担を軽減できる。加えて、医用画像撮像装置1に接続すると、移動型寝台装置1のバッテリーへの充電も行えるので、充電の手間が省ける。万一、バッテリー残量不足となった場合にも、商用電源から移動型寝台装置1への充電及び駆動を行うことができる。
【0073】
<第二実施形態>
図16から図18に基づいて、第二実施形態に係る移動型寝台装置1aの構成について説明する。図16は、第二実施形態に係る移動型寝台装置1aの外観を示す斜視図である。図17は、外装部材22を取り除いた移動型寝台装置1aの側面ブロック図である。図18は、第二実施形態に係る移動型寝台装置1aの内部構成を示す上面ブロック図である。
【0074】
第二実施形態に係る移動型寝台装置1aが第一実施形態にかかる移動型寝台装置1と異なる点は、第一実施形態の昇降操作スイッチ70に代えて、昇降操作フットスイッチ80を備える点である。その他の構成は、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0075】
図16に示すように、第二実施形態に係る移動型寝台装置1aは、昇降操作スイッチ70に代えて、連結解除ペダル63の近傍に、上部基台10の昇降動の指示を入力するための昇降操作フットスイッチ80を備える。
【0076】
昇降操作フットスイッチ80は、ガントリ連結ペダル61、コネクタ接続ペダル62、連結解除ペダル63と異なる形状で構成される。より詳しくは、図17に示すように、昇降操作フットスイッチ80は、踏み板80aを備え、この踏み板80aがガントリ連結ペダル61、コネクタ接続ペダル62、及び連結解除ペダル63の踏み板(例えば連結解除ペダルの踏み板63b)よりも低い位置に備えることで、ガントリ連結ペダル61、コネクタ接続ペダル62、及び連結解除ペダル63と昇降操作フットスイッチ80との形状を変えて、誤動作を抑止する。
【0077】
図18に示すように、昇降操作フットスイッチ80は、上部基台10を上昇させる指示を入力するための上昇用フットペダル81と、上部基台10を下降させる指示を入力するための下降用フットペダル82と、を備える。上昇用フットペダル81と下降用フットペダル82とは、ガントリ連結ペダル61、コネクタ接続ペダル62、連結解除ペダル63を挟み、離して下部基台21に設けられる。図18では、上昇用フットペダル81が連結解除ペダル63に隣接して備えられ、下降用フットペダル82がガントリ連結ペダル61に隣接して備えられる。上昇用フットペダル81及び下降用フットペダル82は、共にPCB81に接続されており、上昇用フットペダル81が踏まれると、第一実施形態における昇降操作スイッチの「UP」ボタン71を押したときと同様の動作を行い、下降用フットペダル82が踏まれると、第一実施形態における昇降操作スイッチの「DOWN」ボタン72を押したときと同様の動作を行う。
【0078】
本実施形態では、昇降操作フットスイッチ80を備えることで、被検体2が誤って昇降操作スイッチに触れることによる誤動作がなくなる。
【0079】
<第三実施形態>
図19から図22に基づいて、第三実施形態に係る移動型寝台装置1bの構成について説明する。図19は、第三実施形態に係る移動型寝台装置1bの外装部材22を取り除いた状態における側面ブロック図である。図20は、第三実施形態に係る移動型寝台装置1bの電気回路の全体構成を示すブロック図である。図21は、PCB81が体重の算出に用いるテーブルの模式図である。図22は、第三実施形態に係る移動型寝台装置1bの昇降操作スイッチ70cを示す模式図である。
【0080】
第三実施形態に係る移動型寝台装置1bが第一実施形態にかかる移動型寝台装置1と異なる点は、第一実施形態の移動型寝台装置1に加えて、上部基台10に被検体2の体重を測定する体重測定部を備えた点である。その他の構成は、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0081】
図19に示すように、移動型寝台装置1bの上部基台10には、天板11の長手方向に沿って圧力センサ14が備えられる。圧力センサ14は、図20に示すように、ケーブル15を介してPCB81に電気的に接続される。そして、天板11に被検体2が載り、横臥姿勢をとると、天板11からの圧力を圧力センサ14が検知し、検知した圧力を示す信号をPCB81に出力する。PCB81は、圧力を被検体2の体重に換算する。圧力センサ14は、バッテリー82により駆動してもよいし、MRI装置200から給電される直流により駆動しても良い。
【0082】
PCB81には、図21に示す圧力と体重との対応関係を示すテーブルを予め備えておく。図21のテーブルでは、横軸が体重、縦軸が圧力を示す。また、縦軸においてPoは、天板11の自重によるオフセット値に相当する。PCB81は、圧力センサ14から検知した値、例えばP1を取得すると、このテーブルを参照して体重W1と換算する。
【0083】
図22に示すように、本実施形態に係る昇降操作スイッチ70cには、体重表示部76が備えられており、PCB81は、算出した体重測定値を昇降操作スイッチ70cに出力し、体重表示部76に数値を表示する。移動型寝台装置1をMRI装置200にドッキングさせると、寝台型接続コネクタ部50及び装置側接続コネクタ部210を介して、MRI装置200に体重測定値が出力され、撮像条件の設定に用いてもよい。また、逆に、MRI装置200において、撮像条件や撮像部位を設定すると、その検査に用いる装備品、例えば被検体2の頭部が撮像中に動かないように固定する固定装置の重量を示す情報をMRI装置200から移動型寝台装置1のPCB81に出力してもよい。そしてPCB81が、受信した固定装置の重量を用いて図21のテーブルのオフセット値Poを修正し、固定装置の重量を含まない、被検体2の体重測定値を算出できるように構成してもよい。
【0084】
本実施形態によれば、寝たきりの被検体のように体重測定が困難な被検体であっても、移動型寝台装置1に載置するだけで体重測定ができ、これを用いて撮像条件の設定が行える。
【0085】
本実施形態の別態様として、圧力センサ14を天板11に備え、被検体2から圧力が加わる天板11上の領域を検出できるように構成してもよい。これにより、被検体2の体幅を計測することができる。医用画像撮像装置としてMRI装置200に代わりX線CT装置を用いる場合に、スキャノグラム撮像に代えて、計測した体幅値を用いて体幅方向の管電流の値を制御してもよい。これにより、スキャノグラム撮像による被ばくを低減することができる。
【0086】
<第四実施形態>
図23に基づいて、第四実施形態に係る移動型寝台装置1cの構成について説明する。図23は、第四実施形態に係る移動型寝台装置1cの外装部材22を取り除いた状態における側面ブロック図である。
【0087】
第四実施形態に係る移動型寝台装置1cが第一実施形態にかかる移動型寝台装置1と異なる点は、第一実施形態の移動型寝台装置1に加えて、バッテリー82で車輪を駆動させる駆動装置と、移動型寝台装置1cの制動機構とを備えた点である。その他の構成は、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0088】
図23に示すように、移動型寝台装置1cの上部基台10の長手方向端部には、操作者が移動型寝台装置1cの移動時に把持するハンドル100と、車輪42をモータ駆動するための駆動装置(図22では「M」と記載する)101と、移動型寝台装置1cに制動をかけるブレーキ機構(図22では「BK」と記載する)1022と、ハンドル100に備えられた図示しないブレーキハンドルと、ブレーキ機構102とを接続するブレーキワイヤ103と、を備える。操作者がハンドル100を把持して押すと、車輪42(及び車輪42に対し、下部基台21の長手方向軸を挟んで反対に位置する車輪44)に係る負荷を検知して、駆動装置101がバッテリー82から給電された直流電力より車輪42及び車輪44をモータ駆動する。車輪41及び43は、車輪42及び車輪44に従動する。
【0089】
走行中、操作者がハンドル100のブレーキハンドルを操作すると、ブレーキ機構102が車輪42及び車輪44に対して制動をかけ、移動型寝台装置1cが停止する。
【0090】
本実施形態によれば、移動型寝台装置1cのバッテリー82により、車輪を駆動させることで走行時に係る操作者への負荷が軽減する。また、ブレーキ機構102を備えることで、重量がある移動型寝台装置1cでも、容易に停止させることができ、走行時の安全性を向上させることができる。
【0091】
上記実施形態では、MRI装置を例に説明したが、MRI装置に限らず、X線CT装置やPET装置等の他の医用画像診断装置にも本発明の移動型寝台装置を適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1:移動型寝台装置、1a:移動型寝台装置、1b:移動型寝台装置、1c:移動型寝台装置、2:被検体、3:本体部、10:上部基台、11:天板、12:移動機構、21:下部基台、30:昇降機構、41:車輪、42:車輪、43:車輪、44:車輪、50:寝台側接続コネクタ部、61:ガントリ連結ペダル、62:コネクタ接続ペダル、63:連結解除ペダル、70:昇降操作スイッチ、82:バッテリー、200:MRI装置、210:装置側接続コネクタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を載置する天板を備えた本体部と、
前記本体部を走行させる走行部と、
前記本体部を、前記本体部とは別体に構成された医用画像撮像装置に対して機械的及び電気的に着脱可能に接続する接続コネクタ部と、を備え、
前記本体部は、
バッテリー及びそのバッテリーに充電する充電器と、
前記バッテリーから給電される電力により駆動して前記天板を昇降動させる昇降装置と、
前記昇降装置に対して前記天板を上昇及び下降させる指示を入力するための昇降操作部と、
を備えたことを特徴とする移動型寝台装置。
【請求項2】
前記昇降操作部は、前記本体部の上面に備えられ、操作者が手で操作する昇降操作スイッチにより構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動型寝台装置。
【請求項3】
前記昇降操作スイッチは、前記天板の上昇を指示する上昇スイッチと、前記天板の下降を指示する下降スイッチと、前記上昇スイッチ及び前記下降スイッチの操作を禁止するロック及びそのロックを解除する操作ロック部と、を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の移動型寝台装置。
【請求項4】
前記昇降操作スイッチは、前記接続コネクタ部を介して前記医用画像撮像装置に電気的に接続しているか否かを示す接続状態表示部を更に備える、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の移動型寝台装置。
【請求項5】
前記昇降操作部は、前記本体部の下部に備えられ、操作者が足で操作するフットペダルにより構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動型寝台装置。
【請求項6】
前記昇降操作部は、前記天板の上昇を指示する上昇ペダルと、前記天板の下降を指示する下降ペダルと、を備え、
前記本体部は、前記接続コネクタ部を前記医用画像撮像装置に接続させる接続ペダルと、前記接続コネクタ部を前記医用画像撮像装置から切り離す解除ペダルと、を備え、
前記上昇ペダル及び前記下降ペダルは、前記接続ペダル及び前記解除ペダルを挟んで離れた位置に配置する、
ことを特徴とする請求項5に記載の移動型寝台装置。
【請求項7】
前記本体部は、前記バッテリーから給電される電力により、前記天板に載置された前記被検体の体重を計測する体重計測部と、
前記被検体の体重の計測値を表示する計測値表示部と、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動型寝台装置。
【請求項8】
前記本体部は、前記バッテリーから給電される電力により、前記天板に載置された前記被検体の体重を計測する体重計測部と、
前記被検体の体重の計測値を、前記接続コネクタ部を介して前記医用画像撮像装置に出力する計測値出力部と、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動型寝台装置。
【請求項9】
前記走行部は、床面上を走行する車輪と、当該車輪を前記バッテリーから給電される電力により駆動させる駆動装置と、前記車輪に対して制動をかける制動装置と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動型寝台装置。
【請求項10】
前記接続コネクタ部を介して前記医用画像撮像装置に接続すると、前記医用画像撮像装置から前記接続コネクタ部を介して前記充電器に対して給電され、前記充電器から前記バッテリーに充電される、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動型寝台装置。
【請求項11】
前記充電器は、外部電源に電気的に接続する外部電源接続部を更に備え、当該外部電源接続部を外部電源に接続すると、前記充電器に対して給電され、前記充電器から前記バッテリーに充電される、
ことを特徴とする請求項1に記載の移動型寝台装置。
【請求項12】
被検体を撮像する撮像部と、
前記撮像部とは別体に構成され、前記被検体を載置する天板を備えた本体部及び前記本体部を走行させる走行部を備えた移動型寝台装置と、を備え、
前記撮像部は、前記移動型寝台装置に対して機械的及び電気的に着脱可能に接続する装置側接続コネクタ部を備え、
前記移動型寝台装置は、前記装置側接続コネクタ部に対して機械的及び電気的に着脱可能に接続する寝台側接続コネクタ部を備え、
前記移動型寝台装置の前記本体部は、バッテリー及びそのバッテリーに充電する充電器と、前記バッテリーから給電される電力により駆動して前記天板を昇降動させる昇降装置と、前記昇降装置に対して前記天板を上昇及び下降させる指示を入力するための昇降操作部と、を備える、
ことを特徴とする医用画像撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−106676(P2013−106676A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252299(P2011−252299)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】