説明

移動家具の給電システム

【課題】テーブル等の家具にアダプタ機能を設け、移動させるだけで簡単、確実に家具上で電力供給を受けることができるようにした移動家具の給電システムを提供する。
【解決手段】コネクタ11bを有し下端部をキャスタ15aにより滑動可能に支持された移動家具たるテーブル1を床上で移動させることにより、そのコネクタ11bを電力供給部たる電源ポール2のコネクタ21bに電気的に接続して、テーブル1側より電力を取り出すように構成するにあたり、両コネクタ11b、21b間に設けられ、磁気的作用により互いに吸着して電気的な接続状態を確立するとともに吸着力以上の外力により電気的な接続状態を解除するマグネット機構5と、一方のコネクタ21bを所定範囲内で遊動可能に支持する遊動支持部3とを備え、電源ポール2に対するテーブル1のアクセス動作に伴い、遊動支持部3で許容される範囲内でコネクタ21bが接続に必要な位置変位又は姿勢変更を引き起こすようした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセントを備えて床上を移動可能とした移動家具に係り、特に電力供給部との接続に便ならしめた移動家具の給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、テーブル上でパーソナルコンピュータ(パソコン)等に電源供給を受けるために、従来では、壁面のコンセントからOAタップを介して配線を引き込むようにしていた。このため、その都度OAタップを引き回す必要があるため煩雑であるほか、机上面にコンセントが転がって乱雑になり、さらに歩行の邪魔になるほか、コードを引っ掛けて机上のパソコン等が落下したり、配線類に損傷を生じるおそれもある。
【0003】
そこで、近時のテーブル等には、コンセントが机上面に組み込まれたものが比較的多く出回っている。特許文献1には、移動式のテーブルにおいてそのような家具が開示されている。
【特許文献1】特開2003−93161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように構成した場合、机上面は整然となるにしても、テーブルを移動させる際には逐一コンセントの抜き差しが必要となる点に変わりはなく、また、壁面のコンセントとの間に配線が張り巡らされた場合に、OAタップに足をとられ易く、歩行の邪魔になったり、抜き差しを忘れて移動しようとした際にコードを引っ掛けて配線類に損傷を生じるおそれもある。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、テーブル等の家具にアダプタ機能を設け、移動させるだけで簡単、確実に家具上で電力供給を受けることができるようにした移動家具の給電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0007】
すなわち、本発明の給電システムは、一部にコネクタを有し下端部を滑動可能に支持された移動家具を床上で移動させることにより、そのコネクタを電力供給部のコネクタに電気的に接続して、前記移動家具側で電力を取り出すようにしたものであって、両コネクタ間に設けられ、磁気的作用により互いに吸着して電気的な接続状態を確立するとともに吸着力以上の外力により電気的な接続状態を解除するマグネット機構と、少なくとも一方のコネクタを所定範囲内で遊動可能に支持する遊動支持部とを備え、電力供給部に対する移動家具のアクセス動作に伴い、前記遊動支持部で許容される範囲内で前記コネクタが接続に必要な位置変位、姿勢変更などの状態変化を引き起こすように構成したことを特徴とする。
【0008】
なお、ここに言う給電システムは、バッテリ等のような蓄電機能を備えた移動家具に給電を行う場合に限らず、移動家具上に設置したOA機器等に当該移動家具から給電を行える状態にあれば足りるものとする。
【0009】
このように構成すれば、移動家具を移動させるだけで電源供給部との接続を行うことができるので、逐一プラグをコンセントに着脱する煩わしさを解消することができる。また、移動家具を電源供給部に密着させて給電を行うため、壁面のコンセントとの間に配線類が張り巡らされるような状態となることもなく、配線類に足をとられたり、歩行の邪魔になることも解消することができる。さらに、移動家具の移動に伴ってマグネットによりコンセント間の着脱が行われるため、抜き差しを忘れて移動しようとした際にコードを引っ掛けて配線類に損傷を生じる不具合も有効に解消することができる。但し、床は必ずしも面精度が高いとは限らず、波打って不陸が生じていたり、部分的にカーペットが敷いてあるなどして、コンセント同士の高さは必ずしも合致するとは限らない。また、アクセス方向が多少ずれる場合もあり得るし、移動家具の急激な衝突を回避する必要もある。そこで、上記のような構成により、少なくとも一方のコネクタを遊動支持しておけば、自らが動いて適切な位置や姿勢をとるので、移動家具を移動させるだけで電源供給部との接続を行うという本発明の効果を実効あらしめることができる。
【0010】
コネクタ同士の衝撃を緩和するためには、遊動支持部は、コネクタが吸着方向へ引き起こす突出動作を許容するものであることが望ましい。
【0011】
この場合、電力供給状態にないときの適正な状態を確保するためには、コネクタ間が接続されていない状態で、コネクタを没入位置に保持するためのオフセット用の補助マグネット機構を備えていることが好ましい。
【0012】
床の不陸等に有効に対応するためには、遊動支持部は、コネクタが高さ違いを解消するために引き起こす上下動作を許容するものであることが望ましい。
【0013】
この場合、一対のコネクタの何れか一方のみが遊動するように構成するときには、コネクタ間が接続されていない状態で、遊動する側のコネクタが自重により支持面上にオフセットされるように構成するとともに、この位置でのコネクタの基準床面からの高さが、遊動しない側のコネクタの基準床面からの高さよりも低く設定しておくことが効果的である。
【0014】
遊動支持部を簡素に構成するためには、当該遊動支持部に通過窓を有し、コネクタと一体的に設けられた軸部を前記通過窓に通過させた状態で軸部の遊動を所定範囲内で許容するものであることが好ましい。
【0015】
移動家具を無造作に移動させても所定位置に確実に導くためには、移動家具をコネクタ同士の接続に必要な位置の近傍に導くためのガイド機構を当該移動家具と電力供給部との間に設けておくことが効果的である。
【0016】
移動家具の移動の慣性がコネクタ同士の衝撃になることを確実に回避するためには、ガイド機構によるガイド終端位置は、コネクタ同士を、コネクタが遊動しない限り接続されない範囲で近接させる位置に設定されていることが望ましい。
【0017】
本発明を効果的に展開するためには、電源供給部に複数のコネクタを備え、複数の移動家具が所定位置に配列集合した状態で電源供給部の各コネクタに各々対応する移動家具のコネクタが接続されるように構成することが有効となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上説明した構成であるから、移動家具を移動させるだけで電源供給部との間で電力供給状態の断接切替を行うことができるので、逐一コンセントの抜き差しを行うことを不要にして、移動家具側から適切に電力を取り出すことが可能とり、抜き差しを忘れて移動しようとした際にコードを引っ掛けて配線類に損傷を生じるおそれも解消することができる。その際、移動家具を電力供給部に密接させて給電を受けるため、移動家具と電力供給部との間に配線が引き回されることを回避して、オフィスの機能低下を防止し、足を引っ掛けるおそれも解消することができる。また、移動家具にバッテリを搭載すれば、移動家具を移動させるだけで電源供給部から離れた位置でもパソコン等に有効に電力を供給することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
この実施形態の移動家具の給電システムは、図1に示すように、コネクタ11を有し下端部をキャスタ15aに支持された移動家具であるテーブル1を床上で移動させることにより、前記テーブル1のコネクタ11を、電力供給部である電源ポール2のコネクタ21bに電気的に接続して、前記テーブル1側で電力を取り出せるようにしたものである。
【0021】
電源ポール2は、脚羽根22に支柱23を介してコネクタボックス24を支持させたもので、脚羽根22はアジャスタ22aを介して床上に安定的に接地される。コネクタボックス24は図2に示すように外壁24aにコネクタ21bを備え、床から立ち上げた電源線Cが図示しないブレーカを介して前記コネクタ21bに接続されている。この実施形態では、コネクタボックス24の外壁24aは平面視六角形状であり、各面にそれぞれ窓24bを形成して、その窓24bごとに計6個のコネクタ21bを配している。窓24bの大きさはコネクタ21bを保持するコネクタ保持部21aよりも若干大きく、特に上下方向に対して遊びが設定されている。
【0022】
そして、前記コネクタ21bをコネクタ保持部21aに取り付けて、図3に示す遊動支持部3を介して前記窓24b内で遊動させ得るようにしている。図3はコネクタ21bをコネクタ保持部21aから分離させた状態で示している。前記コネクタボックス24の底壁24cにはアングル状の起立片31が固定してあり、遊動支持部3は、当該起立片31の2箇所に設けた長孔状の通過窓31aと、前記コネクタ保持部21aの裏面より後方に向けて突出する4本の軸部32とを具備し、この軸部32を前記通過窓31aに通過させて構成されている。そして、軸部32が通過窓31aを通過した位置に、ストッパ33を配置している。図3において符号30で示すものはゴム等の緩衝部材である。すなわち、かかる遊動支持部3によりコネクタ21bは、コネクタ保持部21aと一体となって背面3aを緩衝部材30を介して起立片31に突き当てる図3の没入位置とストッパ33を起立片31に突き当てる突出位置との間で前後方向に遊動するとともに、底壁24c上に接地する位置とコネクタ保持部21aの上部が窓24bの上縁に突き当たる位置との間で上下方向にも遊動することが可能とされている。勿論、軸部32が先に通過窓31aの上端に到達するようにしてもよい。通過窓31aは軸部32よりも若干幅広に設けてあり、コネクタ保持部21aの左右方向の首振りも若干許容されるようになっている。この実施形態では、ボルトvのねじ部が軸部32、頭部がストッパ33として用いられている。
【0023】
前記コネクタ21bは、図4に示すように、雌型端子21xとマグネット21yとを備えたもので、これ自体は次に述べるコネクタ11bとともにマグネットスイッチとして一般に市場に供されているものである。
【0024】
一方、図1に示すテーブル1の天板12は、平面視概略三角形状のもので、天板12の机上面に前記コネクタ21bと対をなすコネクタ11bを突出状態で配している。このコネクタ11bは、図3に示すように、雄型端子11xとマグネット吸着板11yとを備えたもので、上記コネクタ21bと対をなして用いられるものであり、コネクタホルダ11に保持されている。コネクタ保持部11は着脱自在な半割り構造をなしていて、前記コネクタ11bの背面にOAコンセントプラグ41aを差し込んだ状態でコネクタ保持部11を閉じることができるように構成されている。
【0025】
図1に示す天板12は、机上面の中央よりに開口13を有し、その開口13内における机上面に略連続する位置に透明の開閉蓋13aが取り付けられている。この開閉板13aを開けた位置には図示しないOAコンセントが待機状態で設けられ、このOAコンセントから引き出された配線の先端が前述したOAコンセントプラグ41aに相当する。天板12の下には図5に示すように棚14が設けてあり、この棚14に必要に応じてバッテリB等の必要な部材を搭載することができる。バッテリBを搭載する際には、前記コネクタ11bをACコンバータを介して当該バッテリBに接続し、このバッテリBから前記開口13内のOAコンセントに直流電力を供給するように構成してもよい。この場合には、テーブル1は電源ポール2から離れた位置でも電力を供給できる電源搭載家具として機能することになる。
【0026】
そして、両コネクタ11b、21b間に、磁気的作用により互いに吸着して電気的な接続状態を確立するとともに吸着力以上の外力により電気的な接続状態を解除するマグネット機構5を設けている。
【0027】
このマグネット機構5は、図3、図4および図6に示すように、電力供給部たる電源ポール2のコネクタ保持部21a内に設けた第1のマグネット51と、移動家具たるテーブル1のコネクタ保持部11内に設けた第2のマグネット52とから構成されるもので、第1のマグネット51はコネクタ保持部21aの裏面における高さ方向ほぼ中央部の左右二箇所に開口する有底穴21cに装着され、第2のマグネット52はコネクタ保持部11を半割りした状態で第2接続部が存する側の分割片の裏面における高さ方向ほぼ中央部の左右二箇所に開口する有底穴11cに装着されて、相互に引き合う磁極関係に設定されている。
【0028】
また、図3および図6に示す電源ポール2側の第1のマグネット51は、コネクタボックス24に設けた起立片31と協働して補助マグネット機構6を構成している。この補助マグネット機構6は、突出位置にあるコネクタ21bを吸着して没入位置にオフセットさせるためのもので、前記起立片31は鉄等により構成されており、前記第1のマグネット51はかかるオフセット力を発揮するに足る磁力に設定されている。ただし、テーブル1側のコネクタ11bが近づいた際には、第1のマグネット51と第2のマグネット52の間の磁気吸引力が勝って、電源ポール2側のコネクタ保持部21aは起立片31から離反してコネクタ21bに突出動作が引き起こされるように構成されている。没入位置でコネクタ21bは、コネクタボックス24の外壁24aから僅かに突出した状態にあるように設定されている。
【0029】
さらに、この実施形態は、移動家具であるテーブル1と電力供給部である電源ポール2との間に、図1および図5の位置から→図7の位置に向かってテーブル1をコネクタ11b、21b同士の接続に必要な位置の近傍に導くためのガイド機構7を設けている。このガイド機構7は、電源ポール2のコネクタボックス24の下に所定の間隙δを隔てて取り付けた外向きに開くガイド板71と、テーブル1の天板12と脚15との間に設けた凹所16の内部にあって前記ガイド板71が部分的に進入した際に係合する位置に形成した外向きのフォロア72とから構成される。ガイド板71には凹状に湾曲したガイド面71aが形成され、フォロア72は概略半月状に突出させて設けられたものである。すなわち、テーブル1が電源ポール2に近づいて天板12の一部が前記間隙δに進入し、同時にガイド板71が前記凹所16に侵入したときに、ガイド板71のガイド面71aに沿ってフォロア72が案内されるようにしている。図7に示すガイド機構7によるガイド終端位置で、コネクタ11b、21b同士を、コネクタ21bが遊動しない限り接続されない位置で近接させるように設定されている。つまり、テーブル1が電源ポール2にある程度接近した位置で前記ガイド機構7により停止させられ、その停止の前後において電源ポール2のコネクタ21bが図6に示す実線位置から想像線位置にまで突出することによりテーブル1のコネクタ11bとの接続を果たすようにしている。前記ガイド機構7は、テーブル1の脚15が電源ポール2の支柱23と衝突することを避ける役割を兼ねている。
【0030】
以上において、コネクタ11b、21b同士が接続されていない状態では、遊動する側のコネクタ21bが自重により支持面である底壁24c上にオフセットされる。そして、この場合の電源ポール2における基準床面からコネクタ21bの中心までの高さh2が、テーブル1における基準床面からコネクタ11bの中心までの高さh1よりも若干低くなるように設定されている。ここに言う基準床面とは、不陸のない同一水平レベルにある床面を意味する。したがって、実際の使用場所で床面の高低差により電源ポール2側のコネクタ21bがテーブル1側のコネクタ11bよりもある程度高くても低くても上下方向の遊動の範囲にあれば図6に示すように上下方向に同時に動いて接続を完了することができる。
【0031】
図8は、この移動家具の給電システムの使用例を示している。前述したように、電源供給部である電源ポール2には複数のコネクタ21bを備えており、移動家具であるテーブル1の天板12は平面視三角形状に形成されて机上面にコネクタ11bを備えているため、6個のテーブル1が電源ポール2の周囲に隙間なく配列集合した状態で、電源ポール2の各コネクタ21bに各々対応するテーブル1のコネクタ11bが接続されることとなる。
【0032】
以上のように、本実施形態の移動家具の給電システムは、コネクタ11bを有し下端部をキャスタ15aにより滑動可能に支持された移動家具たるテーブル1を床上で移動させることにより、そのコネクタ11bを電力供給部たる電源ポール2のコネクタ21bに電気的に接続して、テーブル1側より電力を取り出すように構成するにあたり、両コネクタ11b、21b間に設けられ、磁気的作用により互いに吸着して電気的な接続状態を確立するとともに吸着力以上の外力により電気的な接続状態を解除するマグネット機構5と、一方のコネクタ21bを所定範囲内で遊動可能に支持する遊動支持部3とを備え、電源ポール2に対するテーブル1のアクセス動作に伴い、遊動支持部3で許容される範囲内でコネクタ21bが接続に必要な位置変位又は姿勢変更を引き起こすようにしたものである。
【0033】
このように構成すれば、テーブル1を移動させるだけで電源ポール2との接続を行うことができるので、逐一プラグ41aを壁面コンセント等に着脱する煩わしさを解消することができる。また、テーブル1を電源ポール2に密着させて給電を行うため、壁面コンセントとの間に配線類が張り巡らされるような状態となることもなく、配線類に足をとられたり、歩行の邪魔になることも解消することができる。さらに、テーブル1の移動に伴ってマグネット機構5によりコンセント11b、21b間の着脱が行われるため、抜き差しを忘れて移動しようとした際にコードを引っ掛けて配線類に損傷を生じる不具合も有効に解消することができる。但し、床は必ずしも面精度が高いとは限らず、波打って不陸が生じていたり、部分的にカーペットが敷いてあるなどして、コンセント同士の高さは必ずしも合致するとは限らない。また、アクセス方向が多少ずれる場合もあり得るし、テーブル1の急激な衝突を回避する必要もある。これに対して、本実施形態は、テーブル1側のコネクタ11bを遊動可能に支持しており、自らが動いて適切な位置や姿勢をとるので、テーブル1を移動させるだけで電源ポール2との接続を的確に行うことが可能となる。
【0034】
具体的には、テーブル1の移動力でコネクタ11b、21b同士を接続すると、衝突時のコネクタ11b、21bの衝撃が無視できなくなるが、本実施形態の遊動支持部3は、コネクタ11bが吸着方向へ引き起こす突出動作を許容するものであるので、ある程度近づけるだけでコネクタ11b、21b同士が吸着することになり、無理のない接続を行うことができる。
【0035】
この場合、コネクタ11b、21b間が接続されていない状態で、コネクタ21bを没入位置に保持するためのオフセット用の補助マグネット機構6を備えているので、電力供給を行わないときに、電源ポール2の良好な見栄えを確保し、コネクタ21bが突出して邪魔になることも有効に回避することができる。
【0036】
また、コネクタ11b、21bの高さが違うとコネクタ11b、21b同士の接続が困難となるが、本実施形態の遊動支持部3は、コネクタ21bが高さ違いを解消するために引き起こす上下動作を許容するものであるので、床に不陸があって高さ方向にコネクタ11b、21b間の相対変位が生じても、確実な接続状態を得ることができる。
【0037】
この場合、本実施形態では、コネクタ11b、21bのうちのコネクタ21bのみが遊動するように構成されていることに鑑みて、コネクタ11b、21b間が接続されていない状態で、遊動する側のコネクタ21bが自重により支持面である底壁24c上にオフセットされるように構成するとともに、この位置でのコネクタ21bの基準床面からの高さh2が、遊動しない側のコネクタ11bの基準床面からの高さh1よりも低くなるように設定しているので、床の不陸に対して、コネクタ11b、21bの何れが相対的に高くなっても接続を確実に行うことができる。
【0038】
遊動支持部3の具体的構成としては、通過窓31aを有し、コネクタ21bと一体的に作動するように設けた軸部32を前記通過窓31aに通過させた状態で軸部32の遊動を所定範囲内で許容するようにしているので、ブラケットやボルト等の簡単な部品を使うだけで、遊動支持部3を構成することができる。
【0039】
さらに、テーブル1をコネクタ11b、21b同士の接続に必要な位置の近傍に導くためのガイド機構7を当該テーブル1と電力供給部との間に設けているので、テーブル1を無造作に移動させても、所定位置に確実に導くことができる。
【0040】
さらにまた、ガイド機構7によるガイド終端位置は、コネクタ11b、21b同士を、コネクタ21bが遊動しない限り接続されない範囲で近接させる位置に設定しているので、テーブル1の移動の慣性がコネクタ同士の衝撃になることを確実に回避することができる。
【0041】
そして、本実施形態では、電源供給部である電源ポール2に複数のコネクタ21bを備え、移動家具である複数のテーブル1が所定位置に配列集合した状態で電源ポール2の各コネクタ21bに各々対応するテーブル1のコネクタ11bが接続されるように構成しているので、1箇所おいて集中的に電力給電ができる利便性が得られるのは勿論のこと、個々のテーブル1,1同士を突き合せて図示のよう大型のテーブルを構成する場合にも、有効な電力供給を受ける状態を構築ことができる。
【0042】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0043】
例えば、上記実施形態では電源供給部である電源ポール2側のコネクタ21bを遊動可能としたが、テーブル1側のコネクタ11bを遊動可能としてもよく、或いは双方遊動可能とする構成も可能である。また、コネクタ11b、21bの雄雌関係は逆であっても構わない。
【0044】
さらに、電源供給部は上記のような電源ポールに限らず、例えば図9のような電源供給用のフレーム構造体102であってもよい。このフレーム構造体102は、左右の支柱120に水平フレーム121が架設されて、この水平フレーム121に沿って両面にそれぞれ複数のコネクタ121bが配列されているものである。これらのコネクタ121bには、床から立ち上げた電力線が引き込んである。そして、移動家具であるデスク101を接近させると、デスク101側に設けたコネクタ111b若しくはフレーム構造体102側のコネクタ121bの何れか一方が上記実施形態と同様に遊動して所定の接続状態を確立するようになっている。
【0045】
この場合、フレーム構造体102側のコンセント121b、121b間のピッチは、デスク101のモジュール(天板巾)に対応させてあり、図10に示すように複数のデスク101をフレーム構造体102に沿って配列集合した状態で、フレーム構造体102の各コネクタ121bに各々対応するデスク101のコネクタ111bが接続されるように構成してある。
【0046】
このため、図示のようにデスクを島型配置した状態で、フレーム構造体から有効に電力供給を受けることが可能となる。
【0047】
勿論、フレーム構造体の左右の支柱部分は、電力線を水平フレーム導くことができれば、パネルであっても枠体であっても構わない。また、電力線をコネクタに導くことができれば、電源供給部として、衝立や幕板として機能するパネル構造体を使用することもできる。さらに電源供給部はコンセントを備えた建築構造物の壁面であっても構わない。
【0048】
さらにまた、上記各実施形態において移動家具であるテーブル1やデスク101にバッテリを搭載しておけば、電力供給位置から離れた場所にテーブル1やデスク101を移動させてもパソコン等に電力供給することができるので、オフィスのレイアウトの自由度を高め、目的・用途に応じた執務体制を臨機応変に整えることが可能となる。
【0049】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係る給電システムを、その構成要素であるテーブルおよび電源ポールとともに示す斜視図。
【図2】同電源ポールの内部構造を示す斜視図。
【図3】同電源ポールおよびテーブルにそれぞれ設けたコンセントの説明図。
【図4】同電源ポールおよびテーブルにそれぞれ設けたコンセントの説明図。
【図5】同電源ポールへのテーブルの接続関係を示す正面図。
【図6】同電源ポールへのテーブルの接続関係を示す要部断面図。
【図7】同電源ポールへのテーブルの接続関係を示す図5に対応した正面図。
【図8】同給電システムの使用例を示す図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る給電システムを、その構成要素であるデスクおよびフレーム構造体とともに示す斜視図。
【図10】同給電システムの使用例を示す図。
【符号の説明】
【0051】
1…移動家具(テーブル)
2…電力供給部(電源ポール)
3…遊動支持部
5…マグネット機構
6…補助マグネット機構
7…ガイド機構
11b…コネクタ
21b…コネクタ
31a…通過窓
32…軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部にコネクタを有し下端部を滑動可能に支持された移動家具を床上で移動させることにより、そのコネクタを電力供給部のコネクタに電気的に接続して、前記移動家具側で電力を取り出すようにしたものであって、
両コネクタ間に設けられ、磁気的作用により互いに吸着して電気的な接続状態を確立するとともに吸着力以上の外力により電気的な接続状態を解除するマグネット機構と、少なくとも一方のコネクタを所定範囲内で遊動可能に支持する遊動支持部とを備え、電力供給部に対する移動家具のアクセス動作に伴い、前記遊動支持部で許容される範囲内で前記コネクタが接続に必要な位置変位、姿勢変更などの状態変化を引き起こすように構成したことを特徴とする移動家具の給電システム。
【請求項2】
遊動支持部は、コネクタが吸着方向へ引き起こす突出動作を許容するものである請求項1記載の移動家具の給電システム。
【請求項3】
コネクタ間が接続されていない状態で、コネクタを没入位置に保持するためのオフセット用の補助マグネット機構を備えている請求項2記載の移動家具の給電システム。
【請求項4】
遊動支持部は、コネクタが高さ違いを解消するために引き起こす上下動作を許容するものである請求項1〜3何れかに記載の移動家具の給電システム。
【請求項5】
一対のコネクタの何れか一方のみが遊動するように構成される場合において、コネクタ間が接続されていない状態で、遊動する側のコネクタが自重により支持面上にオフセットされるように構成するとともに、この位置でのコネクタの基準床面からの高さが、遊動しない側のコネクタの基準床面からの高さよりも低く設定されている請求項4記載の移動家具の給電システム。
【請求項6】
遊動支持部が通過窓を有し、コネクタと一体的に設けられた軸部を前記通過窓に通過させた状態で軸部の遊動を所定範囲内で許容するものである請求項1〜5何れかに記載の移動家具の給電システム。
【請求項7】
移動家具をコネクタ同士の接続に必要な位置の近傍に導くためのガイド機構を当該移動家具と電力供給部との間に設けている請求項1〜6何れかに記載の移動家具の給電システム。
【請求項8】
ガイド機構によるガイド終端位置は、コネクタ同士を、コネクタが遊動しない限り接続されない範囲で近接させる位置に設定されている請求項7記載の移動家具の給電システム。
【請求項9】
電源供給部に複数のコネクタを備え、複数の移動家具が所定位置に配列集合した状態で電源供給部の各コネクタに各々対応する移動家具のコネクタが接続されるように構成している請求項7又は8何れかに記載の移動家具の給電システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−118247(P2010−118247A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290418(P2008−290418)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】