説明

移動局及び移動通信方法

【課題】無線品質に基づいて測定帯域幅や測定区間を変更することにより、測定精度を一定に保ちつつ、処理負荷や消費電力の低減を可能とする。
【解決手段】本発明に係る移動局UEは、移動局UEにおけるサービングセル及び周辺セルの無線品質を測定するように構成されている測定部13を具備し、測定部13は、測定部13によって測定された無線品質の測定結果に応じて、測定帯域幅及び測定区間の組み合わせを調整するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動局及び移動通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のセルが設けられている移動通信システムでは、移動局UE(User Equipment:ユーザ装置)は、1つのセルから他のセルに移動するときに、セルを切り替えて通信を継続するように構成されている。かかるセルの切り替えは、「Mobility制御」、より具体的には、「セルリセレクション」又は「ハンドオーバ」と呼ばれている。
【0003】
一般的に、移動通信システムでは、移動局UEが、周辺セルに移動し、かかる移動局UEにおいて、周辺セルからの信号の受信電力が、サービングセル(Serving Cell)からの信号の受信電力よりも強くなった場合に、かかる移動局UEは、周辺セルに対して、セルリセレクション又はハンドオーバを行うように構成されている。
【0004】
セルセレクションは、待ち受け時(すなわち、Idle状態)において移動局UEがサービングセルから周辺セルに遷移する処理であり、ハンドオーバは、通信中(すなわち、Connected状態)において移動局UEがサービングセルから周辺セルに遷移する処理である。
【0005】
すなわち、移動局UEは、待ち受け時であっても、また、サービングセルとの間でデータの送受信を行っている場合であっても、サービングセル及び周辺セルからの信号の受信電力を測定する必要がある。
【0006】
なお、周辺セル又はサービングセルからの信号の受信電力は、例えば、周辺セル又はサービングセルから送信される「下りリンクの参照信号(Reference Signal)の受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)」である(RSRPの定義については、非特許文献1を参照)。
【0007】
また、移動局UEは、待ち受け時においては、上述したセルリセレクションのための測定に加えて、サービングセルの無線品質に基づき、圏内/圏外判定を行うように構成されている。
【0008】
例えば、移動局UEは、サービングセルからの信号の受信電力と所定閾値とを比較し、サービングセルからの信号の受信電力が所定閾値以下である場合に、圏外であると判定し、それ以外の場合に、圏内であると判定するように構成されている。
【0009】
かかる所定閾値は、ネットワーク、すなわち、無線基地局eNBからシグナリングによって通知されてもよい。例えば、LTE(Long Term Evolution)方式では、かかる所定閾値は、「Qrxlevmin」と呼ばれる。
【0010】
ここで、移動局UEが、圏内であるにも関わらず圏外であると判定した場合、本来、移動通信サービスを提供可能なエリアにおいて、かかる移動局UEに対して、移動通信サービスを提供することができなくなるため、ユーザにとってのサービス品質が劣化する。
【0011】
一方、移動局UEが、圏外であるにも関わらず圏内であると判定した場合、すなわち、本来、通信が成立しないほど無線品質が良好でないにも関わらず圏内であると判定した場合、ユーザにとっては、自分が圏外にいることを認識できないため、かかる場合もサービス品質上好ましくない。
【0012】
すなわち、圏内/圏外判定においても、適切な測定精度が必要であると考えられる。言い換えれば、測定精度の劣化は、上述したようなサービス品質の劣化を引き起こすことになる。
【0013】
ここで、移動局UEにおける測定については、特に決まりがあるわけではなく、特に、その測定帯域幅や測定区間(測定時間)については、実装依存となっている。
【0014】
例えば、LTE方式の移動通信システムにおいては、移動局UEが測定に用いる下りリンクの参照信号は、周波数軸方向にも時間軸方向にも分散して配置されており(Reference Signalの配置については、非特許文献2を参照)、移動局UEは、ある一定の精度を満たす範囲であれば、その測定帯域幅や測定区間について任意に設定できることになっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】3GPP TS36.214 V8.7.0(2009年6月)
【非特許文献2】3GPP TS36.211 V8.7.0(2009年6月)
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特願2003-163627号公報
【特許文献2】特願2004-356739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、LTE方式の移動通信システムにおいては、移動局UEが測定に用いる下りリンクの参照信号(Reference Signal)は、周波数軸方向にも時間軸方向にも分散して配置されており、ある一定の測定精度さえ満たせば、その測定帯域幅や測定区間について任意に設定できることとなっている。
【0018】
ここで、移動局UEは、処理負荷の低減効果やバッテリーセービング効果を得るため、一般に、できるだけ狭帯域にて、また、短区間においてのみ、サービングセル及び周辺セルにおける無線品質の測定を行うように構成されている。
【0019】
また、一般に、測定帯域幅が広ければ広いほど、また、測定区間が長ければ長いほど、その測定精度は、向上するが、ある一定の無線品質においては、測定精度の向上にも限界があるため、例えば、移動局UEは、キャリア周波数を中心とする所定帯域(システム帯域幅より狭い)の信号のみを用いて、無線品質の測定を行うように構成されていてもよい。
【0020】
しかしながら、特に、かかる無線品質が一定以下の環境においては、測定帯域幅を限定してしまうと、測定精度の劣化が起こる。
【0021】
例えば、各測定帯域幅における測定精度と無線品質との関係は、図7に示すようになることが分かっている。
【0022】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、無線品質に基づいて測定帯域幅や測定区間を変更することにより、測定精度を一定に保ちつつ、処理負荷や消費電力の低減を可能とする移動局及び移動通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の第1の特徴は、無線基地局と通信する移動局であって、前記移動局におけるサービングセル及び周辺セルの無線品質を測定するように構成されている測定部を具備し、前記測定部は、前記無線品質の測定結果に応じて、測定帯域幅及び測定区間の組み合わせを調整するように構成されていることを要旨とする。
【0024】
本発明の第2の特徴は、移動通信方法であって、移動局におけるサービングセル及び周辺セルの無線品質を測定する工程を有し、前記工程において、前記無線品質の測定結果に応じて、測定帯域幅及び測定区間の組み合わせを調整することを要旨とする。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、無線品質に基づいて測定帯域幅や測定区間を変更することにより、測定精度を一定に保ちつつ、処理負荷や消費電力の低減を可能とする移動局及び移動通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の変更例1に係る移動局の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の変更例1に係る移動局の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の変更例1に係る移動局の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の変更例1に係る移動局の動作を示すフローチャートである。
【図7】LTE方式の移動通信システムにおける無線品質に対する測定帯域幅ごとの測定精度の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成)
図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、LTE方式の移動通信システムである。かかる移動通信システムでは、無線アクセス方式として、下りリンクでは「OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式」が適用され、上りリンクでは「SC-FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)方式」が適用されることが検討されている。
【0029】
OFDM方式は、特定の周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各周波数帯域上にデータを載せて伝送を行う方式である。かかるOFDM方式によれば、サブキャリアを周波数軸上で一部重なりあいながらも互いに干渉することなく密に並べることで、高速伝送を実現し、周波数の利用効率を上げることができる。
【0030】
また、SC-FDMA方式は、特定の周波数帯域を分割し、複数の移動局UEの間で異なる周波数帯域を用いて伝送することで、複数の移動局UEの間における干渉を低減することができる伝送方式である。SC-FDMA方式によれば、送信電力の変動が小さくなる特徴を有することから、移動局UEの低消費電力化及び広いカバレッジを実現することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る移動通信システムでは、無線基地局eNBが、PDCCH(Physical Downlink Control Channel、物理下り制御チャネル)を介して下り制御信号を送信し、PDSCH(Physical Downlink Shared Channel、物理下り共有データチャネル)を介して下りデータ信号を送信するように構成されている。
【0032】
一方、本実施形態に係る移動通信システムでは、移動局UEは、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel、物理上り共有データチャネル)を介して上りデータ信号を送信するように構成されている。
【0033】
図2に示すように、移動局UEは、状態管理部11と、パラメータ取得部12と、測定部13と、フィルタリング部14と、判定部15と、通知部16とを具備している。
【0034】
状態管理部11は、測定部13から通知された無線品質の測定結果に基づいて、無線品質の状態を管理するように構成されている。
【0035】
なお、状態管理部11は、かかる無線品質の状態に応じて、測定部13に対して、測定条件(例えば、測定帯域幅及び測定区間の組み合わせ)を変更するための変更閾値又は変更条件を通知するように構成されている。
【0036】
例えば、かかる変更閾値は、サービングセルの受信品質であってもいいし、周辺セルの受信品質であってもよい。また、例えば、かかる変更条件は、受信レベルが変更閾値を連続N回下回った場合といった条件であってもよい。
【0037】
パラメータ取得部12は、無線基地局eNBから、Mobility制御に関するパラメータを取得するように構成されている。
【0038】
例えば、かかるMobility制御に関するパラメータには、圏内/圏外判定に用いられる所定閾値である「Qrxlevmin」が含まれていてもよい。
【0039】
また、かかるMobility制御に関するパラメータには、セルリセレクションに関わるパラメータである「Qhyst」や「Qoffset」や「Treselection」や、ハンドオーバ制御に関わるパラメータである「Time-to-trigger」や、ヒステリシスや、オフセットや、フィルタ係数等が含まれていてもよい。
【0040】
ここで、「Qhyst」は、セルリセレクションの判定の際に、サービングセルの無線品質に与えるプラスのオフセットであり、「Qoffset」は、セルリセレクションの判定の際に、サービングセルの無線品質に与えるマイナスのオフセットである。
【0041】
また、「Treselection」は、セルリセレクションの判定の際に用いられる時間方向のヒステリシスであり、ハンドオーバにおける「Time-to-trigger」に相当するパラメータである。
【0042】
また、パラメータ取得部12は、上述のフィルタ係数を、フィルタリング部14に通知するように構成されている。
【0043】
測定部13は、移動局UEのサービングセル及び周辺セルにおける無線品質を測定するように構成されている。
【0044】
例えば、測定部13は、移動局UEのサービングセル及び周辺セルにおける無線品質として、移動局UEのサービングセル及び周辺セルからの信号(例えば、参照信号(RS:Reference Signal)等)の受信電力を測定するように構成されていてもよい。なお、かかる参照信号の受信電力は、RSRP(Reference Signal Received Power)と呼ばれてもよい。
【0045】
例えば、物理レイヤでの測定区間(Measurement period)は、200msである。ただし、200msの間で実際に測定に用いる区間は、測定精度を保つことができるのであれば、1msでもいい。
【0046】
また、周波数軸方向に用いる測定帯域幅(Measurement bandwidth)もまた、ある一定の測定精度を満たすことができるのであれば、システム帯域幅でもいいし、システム帯域幅よりも小さくてもいい。
【0047】
また、測定部13は、移動局UEのサービングセル及び周辺セルにおける無線品質の測定結果を、フィルタリング部14に通知するように構成されている。
【0048】
また、測定部13は、移動局UEのサービングセル及び周辺セルにおける無線品質の測定結果を、状態管理部11に通知するように構成されていてもよい。
【0049】
また、測定部13は、状態管理部11から通知された変更閾値又は変更条件に基づいて、測定条件、例えば、測定帯域幅及び測定時間の組み合わせ、すなわち、測定帯域幅及び測定時間の少なくとも一方を変更するように構成されていてもよい。
【0050】
測定帯域幅は、例えば、LTE方式の移動通信システムで定義されているRB(Resource Block)と呼ばれるサブキャリアの集合体の倍数によって定義されていてもよい。
【0051】
例えば、測定部13は、測定帯域幅を6RBとして、上述の無線品質の測定を行っている場合に、サービングセル又は周辺セルのRSRPが変更閾値をN回連続で下回った場合、測定帯域幅を25RBに変更して、上述の無線品質の測定を行うように構成されていてもよい。
【0052】
また、測定部13は、測定帯域幅を6RBとして、上述の無線品質の測定を行っている場合に、サービングセル又は周辺セルのRSRPが変更閾値を上回った場合、測定帯域幅を3RBに変更して、上述の無線品質の測定を行うように構成されていてもよい。
【0053】
また、測定区間(測定時間)は、例えば、サブフレーム(Subframe)と呼ばれる連続するOFDMシンボルの倍数によって定義されていてもよい。
【0054】
例えば、測定部13は、測定区間を4サブフレームとして、上述の無線品質の測定を行っている場合に、サービングセル又は周辺セルのRSRPが変更閾値をN回連続で下回った場合、測定区間を10サブフレームに変更して、上述の無線品質の測定を行うように構成されていてもよい。
【0055】
また、測定部13は、測定区間を4サブフレームとして、上述の無線品質の測定を行っている場合に、サービングセル又は周辺セルのRSRPが変更閾値を上回った場合、測定区間を1サブフレームに変更して、上述の無線品質の測定を行うように構成されていてもよい。
【0056】
なお、RB及びサブフレームは、「3GPP TS36.211、V8.7.0」に規定されている。
【0057】
また、測定部13は、状態管理部11から通知された変更閾値又は変更条件に基づいて、測定条件として、受信ダイバーシチを適用するか否かについて変更するように構成されていてもよい。
【0058】
さらに、測定部13は、DRX(Discontinuous Reception、間欠受信)周期ごとに、移動局UEのサービングセル及び周辺セルにおける無線品質(例えば、RSRP)を測定するように構成されていてもよい。
【0059】
フィルタリング部14は、測定部13より、移動局UEのサービングセル及び周辺セルにおける無線品質の測定結果を受け取り、パラメータ取得部12より、フィルタ係数(所定係数)を受け取り、かかる測定結果及びフィルタ係数を用いて、フィルタリング結果を算出するように構成されている。
【0060】
例えば、フィルタリング部14は、測定タイミングに関するインデックスを「n」とし、フィルタリング後の測定結果を「F」とし、フィルタ係数を「k」とし、1つ前の測定タイミングにおけるフィルタリング後の測定結果を「Fn-1」とし、測定部13における測定結果を「M」とした場合に、
= (1−a)・Fn-1 + a・M
a = 1/2(k/4)
に基づいて、フィルタリングを行うように構成されていてもよい。ここで、フィルタ係数は、「k」ではなく、「a」であってもよい。
【0061】
ここで、上述のフィルタリングでは、フィルタリング後の測定結果「F」を算出する際に、フィルタ係数「a」を調整することによって、最新の測定部13における測定結果「M」及び過去のフィルタリング後の測定結果「Fn-1」の寄与率を調整するように構成されていてもよい。
【0062】
判定部15は、フィルタリング部14から、フィルタリングされた測定結果を受信し、測定部13から、フィルタリングされていない測定結果を受信するように構成されている。
【0063】
判定部15は、測定部13によって測定された無線品質の測定結果を用いて、圏内であるか或いは圏外であるかについて判定する、すなわち、圏内/圏外判定を行うように構成されていてもよい。
【0064】
例えば、待ち受け時(Idle状態)において、判定部15は、上述のフィルタリング部14からではなく、直接、測定部13から測定結果を受信して、圏内/圏外判定を行ってもよい。
【0065】
また、判定部15は、測定部13によって測定された無線品質の測定結果を用いて、セルリセレクションを行うべきか否かについて判定するように構成されていてもよい。
【0066】
例えば、判定部15は、所定期間以上継続して所定条件が満たされている場合に、セルリセレクションを行うべきであると判定するように構成されていてもよい。
【0067】
ここで、判定部15は、かかる所定条件を、以下の(式1)に示す条件としてもよい。かかる所定期間は、「Treselection」と呼ばれてもよい。
【0068】
(周辺セルからの信号の受信電力)+(キューヒスト)>(サービングセルからの信号の受信電力) … (式1)
また、判定部15は、上述のフィルタリング部14から受信したフィルタリングされた測定結果を通知すべきであるか否かについて判定するように構成されていてもよい。
【0069】
例えば、判定部15は、所定期間以上継続して所定条件が満たされている場合に、上述の測定結果を通知すべきであると判定するように構成されていてもよい。
【0070】
ここで、判定部15は、かかる所定条件を、以下の(式2)に示す条件としてもよい。かかる所定期間は、「Time-to-trigger」と呼ばれてもよい。
【0071】
(周辺セルからの信号の受信電力)+(ヒステリシス)>(サービングセルからの信号の受信電力) … (式2)
通知部16は、判定部15によって測定結果を送信すべきであると判定された場合、かかる測定結果を無線基地局eNBに対して通知するように構成されている。
【0072】
具体的には、通知部16は、PUSCHを介して、かかる測定結果を無線基地局eNBに対して通知するように構成されている。かかる測定結果は、「Measurement Report」と呼ばれてもよい。
【0073】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作)
図3乃至図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作について、具体的には、本発明の第1の実施形態に係る移動局UEの動作について説明する。
【0074】
第1に、図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動局UEにおいて行われる無線品質の測定手順の一例について説明する。
【0075】
図3に示すように、ステップS101において、移動局UEは、サービングセル又は周辺セルの無線品質が変更閾値以上であるか否かについて判定する。
【0076】
かかる無線品質が変更閾値以下であると判定された場合、ステップS102において、移動局UEは、測定条件を調整する。
【0077】
ステップS103において、移動局UEは、調整された測定条件に基づいて、サービングセル及び周辺セルの無線品質を測定する。
【0078】
一方、かかる無線品質が変更閾値以下でないと判定された場合、ステップS104において、移動局UEは、現在の測定状況に基づいて、サービングセル及び周辺セルの無線品質を測定する。
【0079】
第2に、図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動局UEにおいて行われる圏内/圏外判定手順の一例について説明する。
【0080】
図4に示すように、ステップS201において、移動局UEは、サービングセルからの信号の受信電力を測定する。
【0081】
ステップS202において、移動局UEは、サービングセルからの信号の受信電力が所定閾値Sを下回っているか否かについて判定する。
【0082】
ステップS203において、移動局UEは、サービングセルからの信号の受信電力が所定閾値Sを下回っていると判定した場合、サービングセルからの信号の受信電力が所定閾値Sを下回っていた回数をカウントし、カウントした回数が回数Nを上回っているか否かについて判定する。
【0083】
ステップS204において、移動局UEは、カウントした回数が回数Nを上回っていると判定した場合、一定期間(例えば、10秒間)、サービングセル及び周辺セルからの信号の受信電力が所定閾値Sを下回っているか否かについて判定する。
【0084】
ステップS205において、移動局UEは、所定閾値Sを上回るセルを検出しなかった場合、圏外であると判定する。
【0085】
第3に、図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動局UEにおいて行われるセルリセレクション手順の一例について説明する。
【0086】
図5に示すように、ステップS301において、移動局UEは、サービングセル及び周辺セルからの信号の受信電力を測定する。
【0087】
ステップS302において、移動局UEは、周辺セルからの信号の受信電力について、以下の(式3)が満たされているか否かについて判定する。
【0088】
(周辺セルからの信号の受信電力)+(キューヒスト)>(サービングセルからの信号の受信電力) … (式3)
かかる(式3)が満たされていると判定された場合、ステップS3において、移動局UEは、該当する周辺セルへ在圏する。
【0089】
第4に、図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動局UEにおいて行われるハンドオーバ手順の一例について説明する。
【0090】
図6に示すように、ステップS401において、移動局UEは、サービングセル及び周辺セルからの信号の受信電力を測定する。
【0091】
ステップS402において、移動局UEは、周辺セルからの信号の受信電力について、以下の(式4)が満たされているか否かについて判定する。
【0092】
(周辺セルからの信号の受信電力)+(ヒステリシス)>(サービングセルからの信号の受信電力) … (式4)
かかる(式4)が満たされていると判定された場合、移動局UEは、上述の測定結果を報告するためのイベントを、ネットワークに対して通知する。なお、かかるイベントは、例えば、LTE方式では、「イベント(Event)A3」と呼ばれる。
【0093】
ここで、信号の受信電力(無線品質)Fとしては、以下の(式5)及び(式6)によって算出された値が用いられるものとする。
【0094】
具体的には、移動局UEにおいて、上位レイヤが、物理レイヤによる測定値に対して、(式5)に示すフィルタリング処理(L3 Filtering)を行うように構成されている。
【0095】
= (1−a)・Fn-1 + a・M … (式5)
a = 1/2(k/4) … (式6)
なお、(式6)における「k」の値は、無線基地局eNBから移動局UEに対して事前に通知されているものとする。
【0096】
また、(式5)において、「n」は、測定タイミングに関するインデックスであり、「F」は、フィルタリング後の測定結果であり、「Fn-1」は、1つ前の測定タイミングにおけるフィルタリング後の測定結果であり、「M」は、前記測定部における測定結果である。
【0097】
また、ステップS403において、ネットワークは、イベントA3の通知を受信すると、かかる移動局UEが、受信したイベントA3に係るセルに対してハンドオーバすべきであることを決定する。
【0098】
なお、上述した第1の実施形態に係る移動通信システムでは、1種類の無線品質に対する判定基準が用いられたが、複数種類の無線品質に対する判定基準が用いられてもよい。
【0099】
また、上述した第1の実施形態に係る移動通信システムでは、サービングセル及び周辺セルにおける無線品質として、参照信号の受信電力(RSRP)が用いられたが、代わりに、RSRQ(Reference Signal Received QualityPower)やRS-SIR(Received Signal Strength Indicator)やCQI(Channel Quality Indicator)が用いられてもよい。或いは、サービングセル及び周辺セルにおける無線品質として、RSRPやRSRQやRS-SIRやCQIの少なくとも1つが用いられてもよい。
【0100】
ここで、RSRQは、下りリンクの参照信号の受信電力を、下りリンクのRSSIで割った値である。
【0101】
また、RSSIは、移動局UEにおいて観測されるトータルの受信レベルであり、熱雑音や他セルからの干渉電力や自セルからの希望信号の電力等の全てを含む受信レベルである(RSRQの定義については、3GPP TS36.214 V8.7.0参照)。
【0102】
また、RS-SIRは、下りリンクの参照信号のSIR(Signal-to-Interference Ratio)である。
【0103】
また、CQIは、下りリンクの無線品質情報である(CQIの定義については、3GPP TS36.213 V8.7.0参照)。
【0104】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの作用・効果)
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、移動局UEは、無線品質が低い場合であっても、測定精度を一定に保つことが可能となるため、移動局UEが適切なタイミングでネットワークに対して測定結果を報告することによって、通信断を起こすことなく通信を継続することができ、ネットワークにおける負荷や、移動局UEの消費電流の抑制、更にはユーザ利便性を向上することができる。
【0105】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0106】
本実施形態の第1の特徴は、無線基地局eNBと通信する移動局UEであって、移動局UEにおけるサービングセル及び周辺セルの無線品質を測定するように構成されている測定部13を具備し、測定部13は、測定部13によって測定された無線品質の測定結果に応じて、測定帯域幅及び測定区間の組み合わせを調整するように構成されていることを要旨とする。
【0107】
本実施形態の第1の特徴において、測定部13によって測定された無線品質の測定結果を用いて、圏内であるか或いは圏外であるかについて判定するように構成されている判定部15を更に具備してもよい。
【0108】
本実施形態の第1の特徴において、測定部13によって測定された無線品質の測定結果を用いて、セルリセレクションを行うべきか否かについて判定するように構成されている判定部15を更に具備してもよい。
【0109】
本実施形態の第1の特徴において、所定係数を用いて、測定部13によって測定された無線品質の測定結果をフィルタリングするように構成されているフィルタリング部14と、フィルタリングされた測定結果を通知すべきであるか否かについて判定するように構成されている判定部15とを更に具備してもよい。
【0110】
本実施形態の第2の特徴は、移動通信方法であって、移動局UEにおけるサービングセル及び周辺セルの無線品質を測定する工程を有し、かかる工程において、無線品質の測定結果に応じて、測定帯域幅及び測定区間の組み合わせを調整することを要旨とする。
【0111】
なお、上述の無線基地局eNB及び移動局UEの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0112】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0113】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNB及び移動局UE内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNB及び移動局UE内に設けられていてもよい。
【0114】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0115】
eNB…無線基地局
UE…移動局
11…状態管理部
12…パラメータ取得部
13…測定部
14…フィルタリング部
15…判定部
16…通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局と通信する移動局であって、
前記移動局におけるサービングセル及び周辺セルの無線品質を測定するように構成されている測定部を具備し、
前記測定部は、前記無線品質の測定結果に応じて、測定帯域幅及び測定区間の組み合わせを調整するように構成されていることを特徴とする移動局。
【請求項2】
前記測定部によって測定された前記無線品質の測定結果を用いて、圏内であるか或いは圏外であるかについて判定するように構成されている判定部を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の移動局。
【請求項3】
前記測定部によって測定された前記無線品質の測定結果を用いて、セルリセレクションを行うべきか否かについて判定するように構成されている判定部を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の移動局。
【請求項4】
所定係数を用いて、前記測定部によって測定された前記無線品質の測定結果をフィルタリングするように構成されているフィルタリング部と、
フィルタリングされた前記測定結果を通知すべきであるか否かについて判定するように構成されている判定部とを更に具備することを特徴とする請求項1に記載の移動局。
【請求項5】
移動局におけるサービングセル及び周辺セルの無線品質を測定する工程を有し、
前記工程において、前記無線品質の測定結果に応じて、測定帯域幅及び測定区間の組み合わせを調整することを特徴とする移動通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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