説明

移動無線ネットワークにおいて回路交換コールを確立する方法及び移動無線ネットワーク

【課題】移動無線ネットワークにおいて回路交換コールを確立する方法及び移動無線ネットワークを提供する。
【解決手段】コアネットワーク(CN)と、ベースステーションサブシステム(BSS)を伴う無線アクセスネットワーク(RA)とを有する移動無線ネットワーク(MRN)内で第1の移動ステーション(MS1)と第2の移動ステーション(MS2)との間に回路交換コールを確立する方法は、コアネットワークにおいて、第1の移動ステーションからの回路交換コール要求を、同じベースステーションサブシステムに通信結合される第2の移動ステーションに着信させるかどうか監視するステップと、第1及び第2の移動ステーションがその同じベースステーションサブシステムに通信結合された場合に、ベースステーションサブシステムのインフラストラクチャー要素(BSC, BTSa, BTSb)を排他的に通して第1及び第2の移動ステーション間にユーザプレーンデータフローを確立するステップとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動無線ネットワークにおいて移動ステーション間に回路交換コールを確立する方法及びそれに対応する移動無線ネットワークに係る。より詳細には、本発明は、移動無線ネットワーク、特に、GSM Edge無線ネットワーク(GERAN)ネットワークにおいて回路交換(CS)コールのローカルスイッチングを可能にすることに向けられる。
【背景技術】
【0002】
GERANネットワークは、多数のベースステーションサブシステム(BSS)で作られたアクセスネットワークと、CDドメインにおいて多数の移動交換センター(MSC)で作られたコアネットワークとを備えている。BSSは、多数のベーストランシーバステーション(BTS)に接続されたベースステーションコントローラ(BSC)を備えている。MSCは、任意ではあるが、コントロールプレーン手順を取り扱うMSCサーバー(MSC−S)と、ユーザプレーンデータを取り扱うメディアゲートウェイ(MGW)とに分割することができる。典型的に、1つのBSCが、Aインターフェイスを経てMSCに接続されるが、おそらくは、例えば、冗長性の理由で、2つ以上のMSCに接続される。又、典型的に、1つのMSCが2つ以上のBSCに接続される。Aインターフェイスは、BSSとMSCとを接続するインターフェイスである。
【0003】
GERANのような移動無線ネットワークでは、シグナリング及びユーザプレーンデータフローの両方を含めて、各々のCSコールをMSCに通す必要がある。これは、コールを発信するユーザ及びコールを着信又は受信するユーザが、同じBSCにより制御されるBTSに接続された場合にも適用され、即ち1つのBSS内のローカルコールについても適用される。これが必要とされるのは、移動ステーションがコールを発信するとき、BSCが、被呼者のアイデンティティに関する情報をもたず、それが同じBSSエリアに位置しているかどうかの情報をもたないからである。コールは、常に、MSCによって制御され、これは、コールが発信されるBSSに向かう回路(回路アイデンティティコードCICにより識別される)、及びコールが着信されるBSSに向かう別の回路(他のCICをもつ)も確立する。発呼者及び被呼者が同じBSSに属する場合には、2つの回路がBSSとMSCとの間に確立される。
【0004】
「ローカルスイッチング」という語は、CSコールが同じBSSによってサービスされる2つの移動ステーションを含むときにMSCをユーザプレーンデータフローから除外し(又はMSCの機能がMSC−SとMGWとに分割されるときはMGWを除外し)、そしてCSコールをターゲットセルへスイッチングするためにBSCに依存するという可能性を指す。その重要な利益の1つは、BSCとMSCとの間(又はBSCとMGWとの間)のユーザプレーンインターフェイスに2つの回路を確立することを回避でき、又、多量の帯域巾を節約できることである。
【0005】
上述したように、ローカルスイッチングは、現在、行うことができない。というのは、MSCによりコールが確立された後であっても、「誰が誰と話すか」相関するための情報をBSCが有していないからである。又、BSCがこの情報を有するとしても、MSC(又はMGW)に向かう回路が既に確立され、解除することができない。
【0006】
ユーザプレーンにおいてIPベースのAインターフェイスを定義するために3GPP TSG GERAN委員会では実現性の研究が現在行われている(G2−070305、“AoIP Motivation, Architecture, Functional Impacts”、GERAN WG2#35bis、及びG2−070359、“Draft Technical Report: A-interface over IP”、GERAN WG2#35bisを参照)。
【0007】
このような提案の主たるアイデアは、MSC(又はMGW)とBSCとの間のユーザプレーン回路をIP接続(即ち、IPアドレス及びUDPポートの対)に置き換え、従って、CICをIP接続の識別子(例えば、「AオーバーIPコールインスタンスコード」)に置き換え、或いはそれと同等であるが、それに関連したシグナリング接続の識別子(例えば、「AオーバーIPシグナリング接続識別子」)に置き換えることである。
【0008】
AインターフェイスオーバーIP(ユーザプレーンにおける)の標準化は、例えば、容易なネットワーク構成や、BSSとMSCとの間に圧縮スピーチコーデックを使用して、Aインターフェイスにおける帯域巾の必要性を減少する可能性、のような多数の目標を有する。3GPP TS 48.008「移動交換センター/ベースステーションシステム(MSC−BSS)インターフェイス」には、BSSとMSCとの間の通信の一般的観点が開示されている。
【0009】
しかしながら、ローカルCSコール(即ち、同じBSCにより制御される2つの移動ステーションを含むコール)については、Aインターフェイスにおいてある程度の帯域巾を消費することが依然必要である。ローカルスイッチング解決策だけで、Aインターフェイスに必要とされる帯域巾をゼロにもっていくことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それ故、本発明の目的は、移動無線ネットワークにおけるコールに対して更なる帯域巾節約及び遅延減少を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
それ故、移動無線ネットワークにおいて第1の移動ステーションと第2の移動ステーションとの間に回路交換コールを確立するための方法が開示される。移動無線ネットワークは、コアネットワークと、少なくとも1つのベースステーションサブシステムを伴う無線アクセスネットワークとを備えている。この方法は、コアネットワークにおいて、第1の移動ステーションからの回路交換コール要求を、同じベースステーションサブシステムに通信結合される第2の移動ステーションに着信させるかどうか監視することを含む。そして、第1及び第2の移動ステーションが同じベースステーションサブシステムに通信結合された場合に、ベースステーションサブシステムのインフラストラクチャー要素を排他的に通して第1の移動ステーションと第2の移動ステーションとの間にユーザプレーンデータフローを確立することも含む。
【0012】
従って、ベースステーションサブシステムと移動交換センターとの間に帯域巾を与える必要がないので、ローカルスイッチングを行うことができる。更に、ベースステーションコントローラと移動交換センターの要素との間の従来からのデータフローを含めて送信経路が短縮されたので、コールの遅延が減少される。
【0013】
この方法は、更に、第1及び第2の移動ステーションが同じベースステーションサブシステムに通信結合される場合に、コアネットワークから無線アクセスネットワークへ情報要素を送信することも含み、この情報要素は、第1の移動ステーションと第2の移動ステーションとの間のローカル回路交換コールを指示する。
【0014】
情報要素は、例えば、ローカルコールが予想される場合には、「他の当事者情報」を含む。
【0015】
好ましくは、情報要素は、移動交換センターサーバーからコントロールプレーンデータフローを通してベースステーションコントローラへ送信される。これは、ベースステーションコントローラが、ローカル回路交換コールが確立されるかどうか判断できるようにし、ユーザプレーンデータは、第1の移動ステーションと第2の移動ステーションとの間でベースステーションコントローラ又はベーストランシーバステーションを通して直接的に送信される。後者は、両移動ステーションが同じベーストランシーバステーションに通信結合される場合に実現可能である。
【0016】
回路交換コールを確立するための方法のある態様によれば、ベースステーションサブシステムと移動交換センターサーバーとの間、及び移動交換センターのメディアゲートウェイとベースステーションサブシステムとの間のユーザプレーンデータフローがブロックされる。これは、例えば、第1及び第2の移動ステーションと、移動交換センターとの間に確立されたIP接続が保持されるが、これらの接続を通してデータが交換されないことを意味する。むしろ、2つの移動ステーション間のデータは、ベースステーションサブシステムを経て交換される。
【0017】
回路交換コアを確立するための方法において、情報要素は、次の通りである。
− 第2の移動ステーションと移動交換センターとの間の接続のための識別子、
− 第2の移動ステーションのユーザプレーン接続に関連したシグナリング接続の識別子、
− 第2の移動ステーションのIP接続の無線アクセスネットワークにおけるIPアドレス及びUDPポート、
− 第2の移動ステーションのIP接続の「AオーバーIPコールインスタンスコード」、
− 第2の移動ステーションのIP接続の「AオーバーIPシグナリング接続識別子」、又は
− 第2の移動ステーションのIP接続のBSCにおけるIPアドレス及びUDPポート。
【0018】
無線アクセスネットワークを経てMSCとメディアゲートウェイ及びBSCとの間に新たなIP接続を確立するメッセージに対して「他の当事者情報」を含む任意の情報エレメントは、2つの接続を識別及び相関させると共に、それらを合流できるようにする。次いで、直接的な通信が与えられ、それは、コアネットワークをユーザプレーンデータフローから除外する。
【0019】
それ故、この方法では、監視は、第1の移動ステーションと移動交換センターとの間の第1のIP接続、及び第2の移動ステーションと移動交換センターとの間の第2のIP接続のIP接続識別子を比較することも含む。
【0020】
又、ユーザプレーンデータフローの確立は、ベースステーションコントローラ又はベーストランシーバステーションにおいて第1の移動ステーションと移動交換センターとの間の第1のIP接続を、第2の移動ステーションと移動交換センターとの間の第2のIP接続に合流させることを含む。
【0021】
好ましくは、移動無線ネットワークは、GSM/EDGE無線アクセスネットワーク(GERAN)として実施される。
【0022】
又、本発明は、コアネットワークと、ベースステーションサブシステムを伴う無線アクセスネットワークとを備えた移動無線ネットワークにおいて、上述した回路交換コールを確立するための方法を遂行するように実施される移動無線ネットワークも提供する。
【0023】
更に、少なくとも、移動交換センターサーバー、メディアゲートウェイ、ベースステーションコントローラ、及び複数のベーストランシーバステーションを備えた移動無線ネットワークにおいて他のステーションとの間に回路交換コールを確立するための方法を実行するように実施されるコンピュータプログラム製品が請求項に述べられる。
【0024】
更に、前記コンピュータプログラム製品が記憶された記録メディアを提供することもできる。ここでは、コンピュータプログラム製品は、磁気メディア、光学的メディア、ハードディスク、USBメモリスティック、等を含む既知の形式のデータ記憶メディアを含む記録メディアにおいて実現することができる。又、コンピュータプログラム製品は、例えば、インターネットにおいてサーバーにより与えられるダウンロード可能なファイルとして実施することもできる。
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の幾つかの態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】MSC(MGW)において交換されるローカルコールを例示するブロック図である。
【図2】ローカルスイッチングがBSCにおいて行われるローカルコールを例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付図面において、同じ及び機能的に同じ要素に同じ参照符号が指定されている。図1は、例えば、コアネットワーク及びベースステーションサブシステムを備えたUMTSネットワークの一部分として実施される移動無線ネットワークMRNの一部分を示している。ベースステーションサブシステムBSSは、通常、無線アクセス(RA)ネットワークに含まれる。又、これは、UMTS地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)も備えている。ここでBSSとして考えられるGMS/EDGE無線アクセスネットワークは、GERANとしても知られている。
【0028】
コアネットワークCNは、例えば、MSCサーバー及びメディアゲートウェイMGWを有する移動交換センターMSCを備えている。ベースステーションサブシステムBSSは、通常、複数のベーストランシーバステーションBTSa、BTSbに通信結合されたベースステーションコントローラBSCを備えている。ベーストランシーバステーションBTSa、BTSbは、ユーザ装置、例えば、移動電話、PDA、適切に装備されたラップトップコンピュータ、等に実際の無線結合を与える。図1は、第1のベースステーションMS1及び第2のベースステーションMS2を示している。MS1及びMS2は、両方とも、ベーストランシーバステーションBTSa、BTSbに各々結合される。ベーストランシーバステーションBTSa、BTSbは、ベースステーションコントローラBSCに結合される。
【0029】
図中、コントロールプレーン信号経路は、破線で示されており、そしてユーザプレーンデータ経路は、実線で示されている。UMTSシステムにおいて、回路交換コールがユーザ装置との間で開始された場合でも、実際のデータ送信は、IPテクノロジーにより構成され、それ故、パケット指向である。
【0030】
慣習的に、例えば、移動電話MS1から移動電話MS2へのコールを確立すべき場合には、MS1からBTSa及びBSCを経て移動交換センターサーバーMSCサーバーへ至るコントロールプレーン信号経路が確立される。ベースステーションコントローラBSCとコアネットワークとの間では、3GPP規格がコントロールプレーン及びユーザプレーンに対して「Aインターフェイス」を与える。原理的に、両セルラー電話MS1、MS2は、コアネットワークへのコントロールプレーン信号経路にIP接続を有する。
【0031】
慣習的に、両当事者又はセルラー電話MS1及びMS2がコールを確立する場合、それは、メディアゲートウェイMGWを通して与えられる。メディアゲートウェイMGWは、BSC及びBTSaを経て第1の移動ステーション又は電話MS1へのIPデータ接続1を確立する。更に、メディアゲートウェイMGWは、BSC及びBTSbへの接続を経て第2のセルラー電話即ち移動ステーションMS2への第2のIP接続(「データ接続2」として示された)を確立する。両当事者即ち第1及び第2の移動ステーションMS1及びMS2が同じベースステーションコントローラBSCに通信結合されるか又は同じベースステーションサブシステムに属することを確認できる場合には、ベースステーションコントローラBSCと、コアネットワークCN、特に、メディアゲートウェイMGWとの間に帯域巾を生成せずに、直接的なユーザプレーンデータ経路を確立することができる。
【0032】
それ故、MSC又はMGWとBSCとの間の新たなIP接続が確立されたときに使用される「他の当事者の情報」を含む任意の情報要素が与えられる。無線アクセスネットワーク、特に、BSC又はBTSが、2つのIP接続、即ちMS1とMGWとの間の第1の接続、及びMS2とMGWとの間の第2の接続、に対してこの付加的な情報要素を受け取る場合には、その両方を、コアネットワークCNを迂回する1つのユーザプレーンデータフローへと合流させることができる。その結果、ローカル回路交換コールが発生される。
【0033】
その結果、図2に示すように、ユーザプレーンデータ経路(実線)は、第1の移動ステーション又はセルラー電話MS1から、それに関連したベーストランシーバステーションBTSa、ベースステーションコントローラBSC、及び関連ベーストランシーバステーションBTSbを通して、第2のセルラー電話又は移動ステーションMS2へと直接的に延びる。ここでは、コアネットワークCNへと送信されるデータはない。
【0034】
情報要素は、コール設定にとにかく使用されるメッセージにおける任意のフィールドにより実現することができる。例えば、コール設定のためのメッセージ“ASSIGNMENT REQUEST(指定要求)”には、いわゆる「他の当事者の情報」が挿入されるデータフィールドを設けることができる。又、“HANDOVER REQUEST(ハンドオーバー要求)”メッセージにも、任意のフィールドを設けることができる。これは、インターBSSハンドオーバーを遂行すべき場合に有用である。これは、移動ステーションが実際のBTSのカバレージエリアを去って、異なるBSCに関連した別のBTSにログオンする場合に、BSSにおける排他的なローカルスイッチングを中断し、MSCへの通常のスイッチングを遂行しなければならない。
【0035】
情報要素に関する「他の当事者情報」は、MSCサーバーにより、考慮中のBSSとの新たなIP接続を確立するのに必要な任意のメッセージに含ませられる。好都合なことに、コアネットワークCNのMSCにおいて、同じBSSに属する移動ステーションに第2のIP接続を着信させるべきであることが検出された場合だけ、付加的な情報要素がメッセージに追加される。
【0036】
これは、例えば、図2において、移動ステーションMS1及び移動ステーションMS2がBTSa及びBTSbを通して同じBSCに結合される場合である。ここでは、図1に示されたデータ接続1、データ接続2のデータ接続が切断され、そして合流されるユーザプレーンデータ経路がBSCを通して直接確立される。更に、コントロールプレーンシグナリング経路(破線)におけるシグナリング接続1及びシグナリング接続2のシグナリング接続は、MSCサーバーとのAインターフェイスを通してアクティブに保つことができる。ここに提案する方法の変形態様では、例えば、合法的傍受の場合にCSコールを監視のためにコアネットワークCNに通す必要がある場合には、MSCが、ローカルスイッチコールを許す情報要素を含むのを控えることも考えられる。
【0037】
例えば、BSSがAオーバーIPコールインスタンスコードを実際にローカルスイッチングできるようにする情報要素を使用することができる。或いは又、第2の移動ステーションMS2のIP接続のAオーバーIPシグナリング接続識別子、第2の移動ステーションMS2のIP接続のMSC又はMGWにおけるUDPポートのIPアドレス、又は第2の移動ステーションMS2のIP接続のBSCにおけるUDPポートのIPアドレスを、「他の当事者」として使用することもできる。付加的な情報要素を含むメッセージがBSSにより確認されると、2つの識別されたIP接続を相関させて一緒にまとめることができる。ここで、ユーザプレーンデータフローからMSC又はMGWが除外されたローカルスイッチンが達成される。上述したように、MSCへの2つのIP接続は、解除する必要がない。むしろ、MSC又はMGWは、これら接続を通してデータを受け取ることを除外するものではない。当該IP接続の1つがMSCにより解除されると、各移動ステーションからMSC又はMGWへのユーザプレーンデータフローがBSCによって再スタートされる。これは、出て行くインターBSSハンドオーバーが、BSSカバレージエリアから移動する移動ステーションに対して遂行されるときに生じる。
【0038】
この方法及びそれに対応する無線ネットワークの別の実施形態では、2つの移動ステーション、例えば、図2のMS2及びMS3に関するユーザプレーンフローをBTSレベルで予め合流させることができる。例えば、セルラー電話MS2及びMS3は、両方とも、同じBTSbに通信結合される。ローカルスイッチングは、BTSレベルで行うことができる。ここで、これら2つの当事者MS2及びMS3間の実際のデータ転送をBSCから除外することもできる。図2では、これは、MS2とMS3との間のユーザプレーンデータ経路に対応する一点鎖線で示されている。この場合も、この状態においてコアネットワークCNにより帯域巾を与える必要はない。
【0039】
移動ステーション間に回路交換コールを確立するための方法及びシステムの結果として、各コールにおける帯域巾節約及び遅延減少が達成される。特に、UMTSアーキテクチャーでは、Aインターフェイスにおける帯域巾が、従来のスイッチングプロセスに対してあまり消費されない。
【符号の説明】
【0040】
GERAN:GMS Edge無線ネットワーク
BSS:ベースステーションサブシステム
BSC:ベースステーションコントローラ
BTS:ベーストランシーバステーション
MGW:メディアゲートウェイ
MSC:移動交換センター
CN:コアネットワーク
MS1、MS2:移動ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアネットワーク(CN)と、ベースステーションサブシステム(BSS)を伴う無線アクセスネットワーク(RA)とを有する移動無線ネットワーク(MRN)内で第1の移動ステーション(MS1)と第2の移動ステーション(MS2)との間に回路交換コールを確立する方法において、
前記コアネットワーク(CN)において、前記第1の移動ステーションからの回路交換コール要求を、同じベースステーションサブシステム(BSS)に通信結合される第2の移動ステーション(MS2)に着信させるかどうか監視するステップと、
第1及び第2の移動ステーション(MS1, MS2)が前記同じベースステーションサブシステム(BSS)に通信結合された場合に、前記ベースステーションサブシステム(BSS)のインフラストラクチャー要素(BSC, BTSa, BTSb)を排他的に通して第1の移動ステーションと第2の移動ステーションとの間にユーザプレーンデータフローを確立するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
第1及び第2の移動ステーション(MS1, MS2)が前記同じベースステーションサブシステム(BSS)に通信結合される場合に前記コアネットワーク(CN)から前記無線アクセスネットワーク(RA)へ情報要素を送信するステップを更に備え、この情報要素は、第1の移動ステーション(MS1)と第2の移動ステーション(MS2)との間のローカル回路交換コールを指示する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記情報要素は、移動交換センターサーバー(MSC)からコントロールプレーンデータフローを通してベースステーションコントローラ(BSC)へ送信される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ベースステーションサブシステム(BSS)と、前記移動交換センターサーバー(MSC)及び移動交換センター(MSC)のメディアゲートウェイ(MGW)との間のユーザプレーンデータフローをブロックするステップを更に備えた、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記情報要素は、次のグループ、即ち
第2の移動ステーション(MS2)と移動交換センター(MSC)との間の接続の識別子、
第2の移動ステーション(MS2)のユーザプレーン接続に関連したシグナリング接続の識別子、
第2の移動ステーション(MS2)のIP接続のコアネットワークにおけるIPアドレス及びUDPポート、
第2の移動ステーション(MS2)のIP接続の無線アクセスネットワーク(RA)におけるIPアドレス及びUDPポート、
第2の移動ステーション(MS2)のIP接続のAオーバーIPコールインスタンスコード、
第2の移動ステーション(MS2)のIP接続のAオーバーIPシグナリング接続識別子、又は
第2の移動ステーション(MS2)のIP接続のBSCにおけるIPアドレス及びUDPポート、
のうちの1つである、請求項2から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記コアネットワーク(CN)と無線アクセスネットワーク(RAN)との間の接続は、IP接続である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記監視ステップは、第1の移動ステーション(MS1)と移動交換センター(MSC)との間のIP接続、及び第2の移動ステーション(MS2)と移動交換センター(MSC)との間の第2のIP接続のIP接続識別子を比較することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザプレーンデータフローを確立するステップは、ベースステーションコントローラ(BSC)又はベーストランシーバステーション(BTS)において第1の移動ステーション(MS1)と移動交換センター(MSC)との間の第1のIP接続を、第2の移動ステーション(MS2)と移動交換センター(MSC)との間の第2のIP接続に合流させることを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記ベースステーションサブシステム(BSS)のインフラストラクチャー要素(BSC, BTSa, BTSb)は、ベースステーションコントローラ(BSC)又はベーストランシーバステーション(BTS)である、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記移動無線ネットワークは、GSM Edge無線アクセスネットワーク(GERAN)である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
コアネットワーク(CN)と、ベースステーションサブシステム(BSS)を伴う無線アクセスネットワーク(RA)とを備えた移動無線ネットワーク(MRN)において、請求項1から10のいずれかに記載の方法を遂行するように実施される移動無線ネットワーク(MRN)。
【請求項12】
前記ベースステーションサブシステム(BSS)は、ベースステーションコントローラ(BSC)及び複数のベーストランシーバステーション(BTS)を含む、請求項11に記載の移動無線ネットワーク(MRN)。
【請求項13】
移動交換センター(MSC)は、移動交換センターサーバー(MSC)及びメディアゲートウェイ(MGW)を含む、請求項11又は12に記載の移動無線ネットワーク(MRN)。
【請求項14】
前記移動無線ネットワークは、GSM Edge無線アクセスネットワーク(GERAN)である、請求項11から12のいずれかに記載の移動無線ネットワーク(MRN)。
【請求項15】
移動無線ネットワーク(MRN)のプログラム可能な移動交換センターサーバー(MSC)、メディアゲートウェイ(MGW)、ベースステーションコントローラ(BSC)、及び複数のベーストランシーバステーション(BTS)において請求項1から10のいずれかに記載の方法を実行するように実施されるコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−505718(P2011−505718A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532594(P2010−532594)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065093
【国際公開番号】WO2009/060046
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(507142063)ノキア シーメンス ネットワークス オサケユキチュア (81)
【Fターム(参考)】