説明

移動端末及びリマインド方法

【課題】移動端末において表示されたシーンが「お気に入り」として保存されていることを、適切なタイミングでユーザが思い出せるようにすること。
【解決手段】ネットワークを通じて通信することが可能な移動端末は、表示部と、表示部が表示したシーンの画像及びメタデータを含むシーン情報を保存する保存部と、移動端末の位置を示す位置情報を利用して、その位置周辺の周辺情報を前記ネットワークを介して情報サーバから取得する周辺情報取得部と、保存されているシーン情報から導出された単語ベクトルと、周辺情報から導出された単語ベクトルとの類似度を算出することで、シーン情報が示すシーンの優先度を決定する優先度決定部とを有し、表示部は、優先度が相対的に高いシーンの画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末及びリマインド方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
移動端末の進歩及び普及により、多くの移動端末は、動画を再生することができるだけでなく、動画の様々なシーンを「お気に入り」として登録することができる。例えば、シーンに登場したきれいな景色、俳優、製品等にユーザが興味を持った場合、ユーザは、そのシーンを「お気に入り」として登録できる。特定のシーンを「お気に入り」に関連付ける従来技術については、特許文献1に示されている。
【0003】
シーンを見て保存した後、ユーザはシーンを登録したことを思い出し、例えば、景色を見ることができる場所、俳優のプロフィール、新製品の詳細等を調べることで、ユーザにとって有用な情報を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−182875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、「お気に入り」として登録したシーンの数が多くなってくると、ユーザがそれら全てを適切に思い出すことは困難になってくる。例えば、ユーザが、あるシーンに登場した店舗に興味を持ってそのシーンを登録したとする。後日、ユーザが、偶然にその店舗の近くを歩いたとしても、登録したことを思い出せなかった場合、ユーザはその店舗に気付くことができない。さらに、ユーザが、シーンを登録したことを覚えていたとしても、その店舗が近くに存在することを知らなければ、ユーザは、店舗の近所を素通りしてしまうことになる。その結果、ユーザは後悔することになる一方、登録した情報が有効に活用されない点で問題がある。
【0006】
本発明の課題は、移動端末において表示されたシーンが「お気に入り」として保存されていることを、適切なタイミングでユーザが思い出せるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態による移動端末は、
ネットワークを通じて通信することが可能な移動端末であって、
表示部と、
前記表示部が表示したシーンの画像及びメタデータを含むシーン情報を保存する保存部と、
当該移動端末の位置を示す位置情報を利用して、該位置周辺の周辺情報を前記ネットワークを介して情報サーバから取得する周辺情報取得部と、
保存されているシーン情報から導出された単語ベクトルと、前記周辺情報から導出された単語ベクトルとの類似度を算出することで、該シーン情報が示すシーンの優先度を決定する優先度決定部と
を有し、前記表示部は、前記優先度が相対的に高いシーンの画像を表示する、移動端末である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一形態によれば、移動端末において表示されたシーンが「お気に入り」として保存されていることを、適切なタイミングでユーザが思い出せるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例で使用される移動端末の機能ブロック図。
【図2】お気に入りシーンを登録する動作例を示すフローチャート。
【図3】再生中の動画の一シーンを示す図。
【図4】画像及びメタデータが表示されている様子を示す図。
【図5】特徴辞書の一例を示す図。
【図6】単語ベクトルの一例を示す図。
【図7】保存済みのお気に入りシーンをリマインドする動作例を示すフローチャート。
【図8】類似度の計算法を説明する図。
【図9】お気に入りシーンをリマインドする様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の観点から実施例を説明する。
【0011】
1.移動端末
2.お気に入りシーンの登録
3.お気に入りシーンのリマインド
4.変形例
【実施例1】
【0012】
<1.移動端末>
図1は、実施例で使用される移動端末の機能ブロック図を示す。図1は、移動端末に備わる様々な機能の内、本実施例に特に関連する機能要素が示されている。移動端末は、公衆電話網やインターネット等のようなネットワークを介して様々な装置(特に、位置情報や周辺情報を提供するサーバ)と通信することが可能な如何なるユーザ装置でもよい。移動端末は、典型的には携帯電話であるが、情報端末、スマートフォン、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ等でもよい。
【0013】
移動端末は、動画再生部22、お気に入りシーン保存部23、シーン情報格納データベース24、シーン情報取得部25、現在位置情報取得部26、周辺情報取得部27、周辺情報格納データベース28、お気に入りシーン優先度決定部29、お気に入りシーン推薦理由生成部30及びお気に入りシーン並べ替え部31を有する。
【0014】
動画再生部22は、動画を再生することに加えて、静止画その他の情報を表示することができる。したがって、図示されてはいないが、動画再生部22は、視覚的な表示部や、聴覚的な音を再生する拡声部(スピーカ)を少なくとも有する。
【0015】
お気に入りシーン保存部23は、ユーザが「お気に入り」として指定した特定のシーンを保存する。お気に入りシーンの登録の具体的な手順については、図2を参照しながら説明する。シーンの保存は、シーン情報をシーン情報格納データベース24に保存することにより行われる。シーン情報は、シーンの画像及びメタデータを含む。画像は動画でも静止画でもよいが、典型的には静止画(動画の一部分)である。メタデータは、シーンに登場する場所、人、事物、音楽、出来事等についての説明文を含む。場所は、緯度及び経度の情報により特定される。事物は、シーンに登場する店舗、製品、乗物等の情報により示される。音楽は、シーンに登場した音楽やメロディの作者や名称等により示される。出来事は、出来事の舞台となった場所、日付等により示される。メタデータに関するこれらの具体例は単なる例示にすぎず、当業者に既知の適切な如何なる情報が含まれてもよい。
【0016】
シーン情報格納データベース24は、シーン情報取得部24により取得されたシーン情報を格納する。
【0017】
シーン情報取得部25は、お気に入りシーン保存部23に保存されたシーンから、シーン情報を取得し、シーン情報格納データベース24に保存する。また、シーン情報取得部25は、後述の優先度を決定するためにシーン情報格納部データベース24からシーン情報を取得する。
【0018】
現在位置情報取得部26は、移動端末の現在の位置を示す位置情報を取得又は算出する。位置情報の取得は、当業者に既知の適切な如何なる方法により行われてもよい。例えば、移動端末が不図示のGPS受信機を備えていた場合、GPS受信機がGPS衛星から受信した信号に基づいて、移動端末の位置情報を算出してもよい。あるいは、移動端末が、複数の固定点(典型的には、基地局)から受信した信号を利用して測量を行うことで、位置情報を算出してもよい。また、移動端末は、何らかの情報提供サービスを利用することで位置情報を取得してもよい。例えば、ネットワークを介して位置情報提供サーバから位置情報を取得してもよい。位置情報は、典型的には緯度及び経度により表現されるが、他の方法で表現されてもよい。例えば、位置情報は、水平面内の座標に加えて、高さ方向の座標を含んでもよい。
【0019】
周辺情報取得部27は、移動端末の現在の位置情報を利用して、その位置周辺の周辺情報を取得する。例えば、移動端末が、現在の位置情報とともに、ネットワークを介して周辺情報提供サーバにアクセスすることで、周辺情報を取得してもよい。上記の位置情報提供サーバ及び周辺情報提供サーバは、別々のネットワーク要素でもよいし、同じネットワーク要素でもよい。周辺情報は、例えば、指定された位置の周辺に存在する建物、店舗、施設、企業、学校、公園、道路、河川、港その他の地図情報(位置情報を含む)に加えて、それらの説明文を含む。移動端末は、現在の位置情報だけでなく、何らかのフィルタリング情報を周辺情報提供サーバに提供し、全ての周辺情報の内、ユーザが特に関心を持っている周辺情報のみが、移動端末に提供されるようにしてもよい。例えば、和食のレストランのみを指定するフィルタリング情報により、現在の位置の周辺に存在する和食のレストランの情報が、移動端末に提供されてもよい。
【0020】
周辺情報格納データベース28は、周辺情報取得部27により取得した周辺情報を格納する。
【0021】
お気に入りシーン優先度決定部29は、シーン情報格納部データベース24に保存されているシーン各々に対する優先度を、後述の方法により決定する。概して、あるシーンの優先度が高い場合、そのシーンが現在のユーザに優先的にリマインドされる。リマインドは、一例として、シーンの画像のサムネイルを、何らかの説明文(具体的には、推薦理由)とともに表示することにより行われる。逆に、あるシーンの優先度が低い場合、そのシーンを現在のユーザにリマインドする必要性は少ない。
【0022】
お気に入りシーン推薦理由生成部30は、後述の方法で決定された優先度にしたがってシーンの画像をユーザに提示する際、画像とともに表示する推薦理由を示す情報を生成する。推薦理由を示す情報として、ユーザがシーンを登録する際に指定した情報を使用することができる。例えば、ユーザが、シーンに登場した公園に興味を持ち、そのシーンを「お気に入り」に登録したとする。登録(保存)の際、場所に興味があることをユーザが指定してシーン情報格納部データベース24に保存していたとする。例えば、表示部のタッチパネルにおいて「場所」、「製品」、「人」を示すボタンの内、「場所」のボタンを押すことで、場所に興味があることを指定できる。この場合、お気に入りシーン推薦理由生成部30は、ユーザに提示されるシーンの画像に付随する推薦理由として、場所に興味があったことが表示されるようにする。一例として、画像のサムネイルの横に「場所」の文字が表示される。
【0023】
お気に入りシーン並べ替え部31は、後述の方法で決定された優先度にしたがって、シーンを表示する順序を決定する。
【0024】
<2.お気に入りシーンの登録>
以下、本実施例の動作例を説明する。説明する動作は、移動端末において行われる。動作例は、お気に入りシーンを登録するための動作と、登録したお気に入りシーンをリマインドする動作とに分けて説明される。
【0025】
図2は、お気に入りシーンを登録するための動作例を示す。ステップ202において、ユーザは、移動端末において動画を再生している。実施例は動画に限定されず、静止画が表示されていてもよい。
【0026】
ステップ204において、ユーザは、動画再生中に気に入ったシーンを発見し、そのシーンを保存する。図3は、動画の一シーンを示す図である。図4は、図3に示されるシーンの画像とともに表示される各種の情報(メタデータ)を示す。図3、図4に示されるように、シーンは画像41とメタデータ42−47により表現され、ユーザは、画像41だけでなく、場所情報42、人物情報43、事物情報44、その他の情報45、タイトル46及びURL47を確認することができる。画像41は、動画又は静止画を示す。場所情報42ないしURL47の情報は、シーンのメタデータに含まれる情報である。場所情報42は、シーンに登場する場所についての情報である。人物情報43は、シーンに登場する人物についての情報である。事物情報44は、シーンに登場する物や出来事についての情報である。例えば、画像に写っている車両の情報が事物情報44に含まれる。その他の情報45は、シーンに登場する場所、人物及び事物以外についての情報であり、例えば、動画がテレビジョンで放送された日時の情報や、シーンに流れた音楽についての情報等を含む。タイトル46は、シーンに付随するタイトルを示す。URL(ユニバーサルリソースロケータ)47は、動画を配信しているサイトを示す。図3の例は、画像41とともに場所情報42が右側に表示されている様子を示す。
【0027】
メタデータは、原則として動画のシーン毎に用意され、一例として、動画が再生される際の一定の期間毎に(例えば、5分間の動画セグメント毎に)メタデータが更新される。
【0028】
気に入ったシーンに対して、ユーザが、保存ボタン48を押すことで、シーンが保存される。なお、気に入ったシーンが表示された時点と、保存ボタン48を押した時点との間の時間差を少なくする観点からは、ユーザが保存ボタン48を押した直前のシーンが保存されるようにしてもよい。
【0029】
図2のステップ206において、保存されたシーンからシーン情報(シーンの画像及びメタデータ)が取得される。取得されたシーン情報は、シーン情報格納部データベース24に保存される。
【0030】
ステップ208において、ユーザが、リマインド条件を指定する。後述するように、登録されたシーンは、後にユーザにリマインドされる。リマインドは、典型的には、保存したシーンの画像のサムネイルと、付随する説明とを表示部に表示することにより行われる。付随する説明は、上記の「推薦理由」に対応する。例えば、ユーザが、シーンに登場した公園に興味を持っていた場合、そのシーンの登録の際、表示部のタッチパネルにおいて「場所」、「製品」、「人」を示すボタンの内、「場所」のボタンを押すことで、場所に興味があることを指定する。この場合、推薦理由は、「場所」である。一例として、リマインドの際、画像のサムネイルの横に「場所」の文字が表示される。
【0031】
なお、ステップ208は本実施例において必須の手順ではなく、省略されてもよい。
【0032】
ステップ210において、登録されたシーンのシーン情報から位置情報が生成され、かつシーン情報が単語ベクトルに変換される。上述したように、シーン情報には、場所情報42、人物情報43、事物情報44等の情報が含まれている。本実施例の場合、どのシーン情報にも場所情報42が含まれている。すなわち、シーン情報のメタデータの内、場所情報は必須であるが、人物情報43、事物情報44及びその他の情報45は任意的である。一例として、位置情報は、緯度及び経度により表現される。図3の例の場合、シーンに登場している公園の緯度及び経度の情報が、位置情報として生成される。
【0033】
シーン情報のメタデータは、何らかの情報抽出アルゴリズムにより、単語ベクトルに変換される。単語ベクトルは、特徴ベクトルとも言及される。情報抽出アルゴリズムは、例えば形態素解析アルゴリズムである。メタデータについて形態素解析を行うことで、メタデータの説明文が品詞毎に分類される。品詞は、概して、一般名詞、固有名詞、動詞、助詞等を含む。形態素解析の結果、シーンのメタデータから一般名詞及び固有名詞が抽出される。抽出された名詞各々が、特徴辞書における所定の言葉(特徴要素)に対応付けられているか否かを判別することで、そのシーンの単語ベクトルが生成される。
【0034】
図5は、特徴辞書の一例を示す。「特徴要素(Features)」は、単語ベクトルの要素又は成分となる言葉を表す。「マッチング対象属性(Matching target attribute)」は、シーンのメタデータを特徴要素に対応付ける際に、メタデータのどの属性と照合するかを表す。概して、マッチング対象属性には、「カテゴリ(Category)」と「説明文(Description)」とがある。「カテゴリ」の場合、説明文中の個々の言葉ではなく、カテゴリを表す言葉が一致するか否かに基づいて、メタデータが特徴要素を有するか否かが判定される。「説明文」の場合、説明文中の個々の言葉が、特徴要素を有するか否かが判定される。「マッチング情報(Matching Information)」は、照合する対象の個々の言葉を示す。1つの特徴要素に対して、1つ以上のマッチング情報が存在する。マッチング情報は、一般的には、キーワード及びキーワードに付随するウェイトにより表現される。カテゴリの説明の文字数は少ないので、図示の例において、カテゴリ同士の比較の場合、ウェイトは全て1に統一されている。これに対して、説明文の比較の場合、様々な言葉の表現に応じて、ウェイトが設定されている。形態素解析の結果、例えば、メタデータの説明文中に「公園」という名詞が含まれていた場合、このシーンのメタデータの単語ベクトルは、「公園」という特徴要素を有する。
【0035】
図6は、単語ベクトルの一例を示す。1つのシーン情報は、1つのシーン識別子(シーンID)により区別される。図示の例の場合、6つのシーンに対する単語ベクトルが示されている。S1−S6のシーンID各々について、所定の特徴要素が含まれているか否かが示されている。1はその特徴要素を含んでいることを示す。0はその特徴要素を含んでいないことを示す。例えば、シーンID−S4の単語ベクトルは、「ニュース」、「バラエティ」、「ドラマ」及び「公園」という4つの特徴要素を含む。
【0036】
ステップ210では、保存したシーンのメタデータから位置情報及び単語ベクトルが導出され、保存された特定のシーン各々について、単語ベクトル及び位置情報が保存される。
【0037】
<3.お気に入りシーンのリマインド>
図7は、保存済みのお気に入りシーンをリマインドするための動作例を示す。図2を参照しながら説明したように、ユーザは、幾つかのシーンをお気に入りとして保存している。保存されている特定のシーン各々について、単語ベクトル及び位置情報が保存されている。
【0038】
ステップ702において、移動端末は、現在の位置情報に基づいて周辺情報を取得する。現在の位置情報は、移動端末に搭載されているGPS受信機が受信した情報から算出してもよいし、ネットワークを介して位置情報提供サーバにアクセスすることにより取得してもよいし、他の方法により求めてもよい。移動端末は、現在の位置情報とともに、ネットワークを介して周辺情報提供サーバにアクセスすることで、周辺情報を取得してもよい。上記の位置情報提供サーバ及び周辺情報提供サーバは、別々のネットワーク要素でもよいし、同じネットワーク要素でもよい。周辺情報は、例えば、指定された位置の周辺に存在する建物、店舗、施設、企業、学校、公園、道路、河川、港その他の地図情報(位置情報を含む)に加えて、それらの説明文を含む。移動端末は、現在の位置情報だけでなく、何らかのフィルタリング情報を周辺情報提供サーバに提供し、全ての周辺情報の内、ユーザが特に関心を持っている周辺情報のみが、移動端末に提供されるようにしてもよい。
【0039】
ステップ704において、移動端末は、取得した周辺情報から単語ベクトルを生成する。単語ベクトルの生成法自体は、図2のステップ210において説明した方法と同様である。先ず、周辺情報を表す説明文が形態素解析により品詞毎に分類され、一般名詞及び固有名詞が抽出される。それらの名詞が特徴辞書(図5)における所定の言葉に対応するか否かを判別することで、周辺情報の単語ベクトルが生成される。
【0040】
ステップ706において、シーン情報の単語ベクトルと、周辺情報の単語ベクトルとの類似度が算出される。類似度は当業者に既知の適切な如何なる方法により算出されてもよい。一例として、単語ベクトル同士の類否は、次式に示すように、ベクトル同士がなす角度に基づいて導出されてもよい。
【0041】
【数1】

この場合において、sim(Xs,Xi)は、シーン情報の単語ベクトルXsと、周辺情報の単語ベクトルXsとの類似度を示す。この類似度は、コサイン類似度とも言及される。Xs・Xiは、単語ベクトルXsとXiの内積を示す。|Xs|は単語ベクトルXsの大きさ(二乗ノルム)を示す。|Xi|は単語ベクトルXiの大きさ(二乗ノルム)を示す。
【0042】
図8は、類似度を算出する様子を示す。簡明化のため、シーンIDS1−S6の単語ベクトルが、図6左側の破線枠部分の4成分により表現されていたとする。さらに、周辺情報の単語ベクトルXiが、(スポーツ,ニュース,バラエティ,音楽)=(0.4,0.7,0.2,0.7)であったとする。この場合、シーンID−S1と周辺情報の単語ベクトルの類似度sim(Xs1,Xi)は、(0.11)/√2√(0.42+0.72+0.22+0.72)≒0.72 となる。同様に、他のシーンについても類似度を計算することができ、以下のような計算結果が得られる。
【0043】
シーンID−S1と周辺情報の単語ベクトルの類似度sim(Xs1,Xi)=0.72
シーンID−S2と周辺情報の単語ベクトルの類似度sim(Xs2,Xi)=0.85
シーンID−S3と周辺情報の単語ベクトルの類似度sim(Xs3,Xi)=0.91
シーンID−S4と周辺情報の単語ベクトルの類似度sim(Xs4,Xi)=0.59
シーンID−S5と周辺情報の単語ベクトルの類似度sim(Xs5,Xi)=0.72
シーンID−S6と周辺情報の単語ベクトルの類似度sim(Xs6,Xi)=0.72。
【0044】
このように、図7のステップ706では、保存したシーンの各々の単語ベクトルXsと、周辺情報の単語ベクトルXiとの類似度が計算される。
【0045】
図7のステップ708において、移動端末は、計算した類似度に基づいて、保存しているシーンの優先度を決定する。優先度は、類似度だけに基づいて決定されてもよいし、変形例において説明するように、類似度とは異なる基準を加味して決定されてもよい。説明の便宜上、優先度は、類似度から決定されるものとする。すなわち、シーン情報及び周辺情報の単語ベクトル同士が類似していれば、そのシーンの優先度は高く、類似していなければ、そのシーンの優先度は低い。
【0046】
ステップ710において、移動端末は、保存しているシーンを優先度に応じて表示することで、シーンを登録したことをユーザにリマインドする。リマインドは、優先度が高いシーンから順に行われる。
【0047】
図9は、お気に入りシーンをリマインドする様子を示す。例えば、ユーザが、ある動画のシーンに登場したXXX公園に興味を持ち、そのシーンをシーンID−Sxとして登録していたとする。後日、ユーザが別の用事でそのXXX公園の近辺にいたとする。この場合、シーンID−Sxの単語ベクトルと、ユーザの現在位置の周辺情報の単語ベクトルとの類似度は高い。移動端末は、類似度が高いシーンを登録していることを表示するために、画像のサムネイルを表示する。これにより、ユーザは、そのシーンの場所に興味を持って登録したことを思い出すことができ、その画像をクリックすることで、地図情報とともにその場所の詳細がユーザに提示される。
【0048】
なお、ユーザにリマインドするシーンは、優先度ないし類似度が一定値以上であるものに限定して行われる。登録したシーンとあまり関係ない状況でユーザにリマインドしても、リマインドの意義が薄いからである。
【0049】
さらに、リマインドする際の条件をユーザが指定することも可能である。例えば、シーンを登録する際に、ユーザが、「場所」、「人」又は「事物」の内の何れかをシーンとともに登録する。ユーザが、場所についてのリマインドを希望し、その他についてのリマインドを強くは希望していないことを移動端末に設定したとする。この場合、移動端末は、保存されたシーンの内、「場所」について保存されたもののみを抽出し、それぞれの優先度を決定してリマインドを行う。これにより、ユーザが希望したものに絞り込んでリマインドをすることが可能になる。
【0050】
<4.変形例>
上述したように、シーンの優先度は、単語ベクトル同士の類似度だけでなく、他の情報を加味して決定されてもよい。例えば、シーン情報に示されている場所と、現在の位置との間の距離が加味されてもよい。距離が近いほど、シーンをリマインドすべき状況として相応しいからである。例えば、シーン情報と周辺情報の単語ベクトルの類似度を5段階で表現した第1の値(d1=1,2,...,5)と、距離の近接度合いを5段階で表現した値(d2=1,2,...,5)とを加算した合計ポイント(D)により、優先度が決定されてもよい。最も類似している場合、d1=5であり、最も近接している場合、d2=5であり、2≦D≦10である。
【0051】
D=d1+d2
あるいは、第1の値(d1)と第2の値(d2)を重み付け加算してもよい。
【0052】
D=αd1+βd2
ここで、α、βは所定の定数である。優先度を決定する際に、類似度に加えて距離を考慮するだけでなく、別の情報(例えば、時間)がさらに考慮されてもよい。
【0053】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。発明の理解を促すため具体的な数式を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数式は単なる一例に過ぎず適切な如何なる数式が使用されてもよい。実施例又は項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に格納されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0054】
22 動画再生部
23 お気に入りシーン保存部
24 シーン情報格納データベース
25 シーン情報取得部
26 現在位置情報取得部
27 周辺情報取得部
28 周辺情報格納データベース
29 お気に入りシーン優先度決定部
30 お気に入りシーン推薦理由生成部
31 お気に入りシーン並べ替え部
41 画像
42 場所情報
43 人物情報
44 事物情報
45 その他の情報
46 タイトル
47 URL

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを通じて通信することが可能な移動端末であって、
表示部と、
前記表示部が表示したシーンの画像及びメタデータを含むシーン情報を保存する保存部と、
当該移動端末の位置を示す位置情報を利用して、該位置周辺の周辺情報を前記ネットワークを介して情報サーバから取得する周辺情報取得部と、
保存されているシーン情報から導出された単語ベクトルと、前記周辺情報から導出された単語ベクトルとの類似度を算出することで、該シーン情報が示すシーンの優先度を決定する優先度決定部と
を有し、前記表示部は、前記優先度が相対的に高いシーンの画像を表示する、移動端末。
【請求項2】
前記メタデータが、シーンに登場する場所、人、事物、音楽又は出来事の説明文を含む、請求項1記載の移動端末。
【請求項3】
シーン情報から導出された前記単語ベクトルは、シーン情報のメタデータに所定の単語が含まれているか否かを判別することで導出されている、請求項1又は2に記載の移動端末。
【請求項4】
前記周辺情報から導出された前記単語ベクトルは、前記周辺情報に所定の単語が含まれているか否かを判別することで導出されている、請求項1ないし3の何れか1項に記載の移動端末。
【請求項5】
前記優先度決定部が、当該移動端末の位置と、前記シーン情報が示す位置との間の距離をさらに算出し、前記類似度及び前記距離により前記優先度を決定する、請求項1ないし4の何れか1項に記載の移動端末。
【請求項6】
前記類似度が、単語ベクトル同士の内積及び単語ベクトル各々の大きさから導出される、請求項1ないし5の何れか1項に記載の移動端末。
【請求項7】
ネットワークを通じて通信することが可能な移動端末におけるリマインド方法であって、
前記移動端末の表示部が表示したシーンの画像及びメタデータを含むシーン情報を保存し、
前記移動端末の位置を示す位置情報を利用して、該位置周辺の周辺情報を前記ネットワークを介して情報サーバから取得し、
保存されているシーン情報から導出された単語ベクトルと、前記周辺情報から導出された単語ベクトルとの類似度を算出することで、該シーン情報が示すシーンの優先度を決定するステップ
を有し、前記表示部は、前記優先度が相対的に高いシーンの画像を表示する、移動端末におけるリマインド方法。
【請求項8】
前記メタデータが、シーンに登場する場所、人、事物、音楽又は出来事の説明文を含む、請求項7記載のリマインド方法。
【請求項9】
シーン情報から導出された前記単語ベクトルは、シーン情報のメタデータに所定の単語が含まれているか否かを判別することで導出されている、請求項7又は8に記載のリマインド方法。
【請求項10】
前記周辺情報から導出された前記単語ベクトルは、前記周辺情報に所定の単語が含まれているか否かを判別することで導出されている、請求項7ないし9の何れか1項に記載のリマインド方法。
【請求項11】
前記優先度を決定する際、前記移動端末の位置と、前記シーン情報が示す位置との間の距離をさらに算出し、前記類似度及び前記距離により前記優先度を決定する、請求項7ないし10の何れか1項に記載のリマインド方法。
【請求項12】
前記類似度が、単語ベクトル同士の内積及び単語ベクトル各々の大きさから導出される、請求項7ないし11の何れか1項に記載のリマインド方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−49922(P2012−49922A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191399(P2010−191399)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】